JP2003129247A - 樹脂表面への導電性被膜及び導電性回路パターンの形成方法 - Google Patents

樹脂表面への導電性被膜及び導電性回路パターンの形成方法

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JP2003129247A
JP2003129247A JP2001323669A JP2001323669A JP2003129247A JP 2003129247 A JP2003129247 A JP 2003129247A JP 2001323669 A JP2001323669 A JP 2001323669A JP 2001323669 A JP2001323669 A JP 2001323669A JP 2003129247 A JP2003129247 A JP 2003129247A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 対象樹脂表面の必要な部分のみに金属イオン
を吸着させることによる、導電性回路パターンの効率的
且つ容易な形成方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも下記(1)〜(4)の5工程
をこの順に経ることを特徴とする樹脂表面への導電性被
膜の形成方法:(1)対象樹脂表面に、カルボキシル基
及び/又はスルホニル基を有するネガ型レジスト層を形
成する工程、(2)上記回路パターン上に残存する未硬
化部分のカルボキシル基及び/又はスルホニル基と金属
塩からの金属イオンとのイオン交換により、対象樹脂表
面にカルボキシル基及び/又はスルホニル基の金属塩を
生成させる工程、(3)上記カルボキシル基及び/又は
スルホニル基の金属塩を還元して、対象樹脂表面に金属
被膜を形成する工程、(4)上記金属被膜上に無電解メ
ッキ及び/又は電解メッキを施して、対象樹脂表面に導
電性被膜又は導電性回路パターンを形成する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂表面に導電性
被膜や導電性回路パターンを形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂表面に導電性被膜や導電性回路パタ
ーンを形成する方法としては、外部電力により電解析出
させる電解メッキ法や溶液中の金属イオンを化学薬品に
よって還元析出させる無電解メッキ法が挙げられる。
【0003】樹脂は一般的に不導体であるため、電解メ
ッキを行うためには、先ず無電解メッキを行って樹脂表
面を導電体にした後に電解メッキを行う方法が一般的に
採られるが、無電解メッキを行うためには、無電解メッ
キの初期の金属析出に必要な触媒層を樹脂表面に付与す
る必要がある。
【0004】樹脂表面に触媒層を付与する方法として
は、例えば、樹脂表面に塩化第一スズ溶液で官能基を付
与した後に塩化パラジウム溶液で処理する方法、樹脂表
面を塩化第一スズと塩化パラジウムとを混合したコロイ
ド溶液で処理する方法、樹脂表面をパラジウム錯体溶液
に浸漬させて還元剤でパラジウム金属層を付与する方法
等が挙げられるが、近年、樹脂表面に触媒層を付与しな
い方法も提案されている。
【0005】例えば、特開平8−209354号公報に
は、樹脂表面にスルホニル基やカルボキシル基等の陽イ
オン交換基(酸性基)を導入し、これを金属イオン含有
液で処理して金属イオンを化学的に吸着させた後に、還
元処理を行うことを特徴とする樹脂表面への機能性被膜
の形成方法が提案されている。
【0006】しかし、上記公報に提案されている方法で
は、樹脂表面にスルホニル基やカルボキシル基等の陽イ
オン交換基(酸性基)を導入する際に、濃硫酸のような
強酸や強アルカリの溶液中に樹脂を浸漬して樹脂表面に
官能基を導入し、その後中和処理を行っているため、工
程が煩雑であるという問題点や、樹脂が薄いフィルム状
である場合、その表面の劣化を防止するために処理方法
に工夫を要するという問題点がある。
【0007】又、樹脂表面に導電性回路パターンを形成
する方法として、いくつかの方法が提案されている。例
えば、特開平11−246977号公報には、樹脂表面
に酸性基を導入し、該酸性基に銀イオンを吸着させ、樹
脂表面にパターン状に活性光線を照射することにより、
パターン状に銀を析出させ、次いで、未析出銀を除去し
た後、無電解メッキ処理を行うことを特徴とする回路形
成方法が提案されている。
【0008】しかし、上記公報に提案されている方法で
は、パターン部分以外にも銀イオンが吸着するので、余
分な銀を消費することになると共に、後で不要な銀イオ
ンを溶解し除去する必要が生じたり、樹脂表面に酸性基
を導入するために、濃度の高い硫酸やクロム酸等の水溶
液によるウェット処理を行う必要が生じる等、工程が煩
雑になるという問題点がある。
【0009】又、特開2001−26880号公報に
は、例えば樹脂基板のような有機化合物を主原料とする
対象物を直接レーザー光でパターン酸化してカルボキシ
ル基を生成させ、これに金属イオンを結合させる工程
と、結合された金属イオンを上記対象物の表面に還元析
出させて触媒化する工程とを含むことを特徴とする導体
パターン形成方法が提案されている。
【0010】しかし、上記公報に提案されている方法で
は、対象物を構成する有機化合物が側鎖又は末端にカル
ボキシル基に酸化され得る官能基を有するものでなけれ
ばならず、例えば樹脂基板のような一般的な対象物への
適用は困難であるという問題点や、酸化により、カルボ
キシル基のみならず、カルボニル基や水酸基等に変換さ
れてしまう場合があるため、金属イオンの保持量が少な
くなるという問題点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、対象樹脂表面の必要な部分のみに金属イ
オンを吸着させることによる、導電性被膜や導電性回路
パターンの効率的且つ容易な形成方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、対象樹脂表面にネ
ガ型レジスト層を設け、このネガ型レジスト層に金属イ
オンを吸着させた後に還元し、次いで、無電解メッキ及
び/又は電解メッキを施すことにより、対象樹脂表面に
導電性被膜を効率的且つ容易に形成できることを見出し
た。又、上記ネガ型レジスト層に対し、所望の回路パタ
ーン部分をマスクしたマスクパターンを通して上記回路
パターン部分以外のネガ型レジスト層に電離放射線を照
射して硬化させた後、回路パターン部分に金属イオンを
吸着させて還元し、次いで、生じた金属パターン部分に
無電解メッキ及び/又は電解メッキを施すことにより、
対象樹脂表面に導電性回路パターンを効率的且つ容易に
形成できることを見出した。
【0013】本発明においては、金属イオンを吸着させ
るためのカルボキシル基及び/又はスルホニル基を例え
ば樹脂基板のような対象物の表層付近に導入する方法と
して、カルボキシル基及び/又はスルホニル基を有する
ネガ型レジストの層を対象物の表面に形成し、これに金
属イオンを吸着させることを特徴とする。このことによ
り、従来行われていたような強酸や強アルカリの溶液中
で対象物の表面を処理する必要がなくなるという利点を
得られる。
【0014】本発明による導電性被膜及び導電性回路パ
ターンの形成方法の対象となり得る樹脂(対象樹脂)と
しては、適度の強度や耐熱性を有するものであれば如何
なる樹脂であっても良く、特に限定されるものではない
が、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ABS樹脂等が挙げられ、好適に
用いられるが、なかでも、強度や耐熱性に優れることか
ら、ポリイミド樹脂がより好適に用いられる。上記ポリ
イミド樹脂は、熱可塑性ポリイミド樹脂であっても良い
し、熱硬化性ポリイミド樹脂であっても良い。又、これ
らの樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が
併用されても良い。更に、これらの樹脂の形状は、特に
限定されるものではないが、一般的には基板状のものや
フィルム状のものが好ましい。
【0015】本発明において、上記対象樹脂表面に導電
性被膜や導電性回路パターンを形成するために用いられ
るネガ型レジストとしては、分子内にカルボキシル基及
び/又はスルホニル基を有し、電離放射線を照射された
際にカルボキシル基及び/又はスルホニル基が反応して
消失するか、又は、電離放射線を照射された際に架橋し
て硬化し、溶解性が減少するものであれば如何なるネガ
型レジストであっても良く、特に限定されるものではな
いが、例えば、上記対象樹脂の種類に対応する公知の各
種ネガ型レジストが挙げられ、具体的には、分子内にカ
ルボキシル基及び/又はスルホニル基、及び、光重合性
官能基及び/又は光架橋性官能基を有する樹脂を主成分
とし、これに光重合開始剤、増感剤、安定剤等が添加さ
れてなるネガ型レジストや、分子内にカルボキシル基及
び/又はスルホニル基を有する樹脂を主成分とし、これ
に光重合性官能基を有する化合物及び/又は光架橋性官
能基を有する化合物、光重合開始剤、増感剤、安定剤等
が添加されてなるネガ型レジスト等が挙げられ、好適に
用いられるが、なかでも、対象樹脂に対するネガ型レジ
スト層の密着性が良好となり、ネガ型レジスト層に形成
される導電性被膜や導電性回路パターンと対象樹脂との
密着性を確保できることから、対象樹脂と同一又は類似
の構造を有する樹脂からなるネガ型レジストがより好適
に用いられる。これらのネガ型レジストは、単独で用い
られても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】本発明において、対象樹脂とネガ型レジス
トとの好ましい組み合わせとしては、特に限定されるも
のではないが、例えば、対象樹脂がポリイミド樹脂であ
り、ネガ型レジストがポリイミド骨格を有する樹脂から
なるネガ型レジストである組み合わせが挙げられる。
【0017】ポリイミド骨格を有する樹脂からなるネガ
型レジストとしては、特に限定されるものではないが、
例えば、ポリアミック酸に光アミン発生剤を添加してな
るネガ型レジスト、ポリアミック酸にアミン化合物を添
加してなるネガ型レジスト、ポリアミック酸に光重合性
官能基を化学結合で導入したネガ型レジスト等が挙げら
れ、好適に用いられる。これらのポリイミド骨格を有す
る樹脂からなるネガ型レジストは、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0018】本発明では、前記対象樹脂表面に対して、
導電性被膜や導電性回路パターンを形成する前に、上記
ネガ型レジストからなるネガ型レジスト層が形成され
る。ネガ型レジスト層の形成方法としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、コンマコーター、グラビ
アコーター、マイクログラビアコーター、スピンコータ
ー等の公知のコーターを用いて、ネガ型レジストを対象
樹脂表面に塗工すれば良い。この際、ネガ型レジストと
の密着性を上げるために、予め対象樹脂表面にはコロナ
放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、サンドブラ
スト処理、エンボス加工等の表面処理を施していること
が好ましい。
【0019】又、ネガ型レジスト層は、金属イオンを吸
着させ、還元した後に、或いは、その後に無電解メッキ
及び/又は電解メッキを施した後に、加熱処理等により
対象樹脂に対する密着性を上げることもできる。この
際、対象樹脂の種類によっては、ネガ型レジスト層と対
象樹脂との間に化学結合を生じさせて、密着性をより強
固なものとすることもできる。
【0020】対象樹脂の表面に形成するネガ型レジスト
層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1〜
20μmであることが好ましく、より好ましくは0.2
〜10μmであり、特に好ましくは0.5〜5μmであ
る。ネガ型レジスト層の厚みが0.1μm未満である
と、カルボキシル基及び/又はスルホニル基の絶対量が
少なくなって、充分な量の金属イオンが吸着されないた
め、後工程における無電解メッキ及び/又は電解メッキ
を施し難くなることがあり、逆にネガ型レジスト層の厚
みが20μmを超えると、対象樹脂の総厚みが厚くなり
過ぎて、例えば配線基板等に使用する際に嵩高くなって
しまうことがある。
【0021】本発明において、対象樹脂の表面に導電性
回路パターンを形成する場合には、対象樹脂表面に形成
されたネガ型レジスト層に、所望の回路パターン部分を
マスクしたマスクパターンを通して電離放射線を照射
し、所望の回路パターン部分以外の部分を硬化させる。
【0022】上記マスクパターンの材料としては、特に
限定されるものではないが、例えば、電離放射線を通し
易い石英ガラスなどのガラス基板やプラスチック基板等
に、電離放射線を通さない金属を蒸着し、所望の回路パ
ターン部分以外の部分をエッチングして金属を除去した
もの等が挙げられ、好適に用いられる。
【0023】上記電離放射線としては、照射により上記
ネガ型レジスト層を硬化させ得るエネルギーを有するも
のであれば良く、特に限定されるものではないが、例え
ば、紫外線、レーザー光、電子線、X線等が挙げられ、
好適に用いられるが、なかでも紫外線がより好適に用い
られる。これらの電離放射線は、単独で用いられても良
いし、2種類以上が併用されても良い。
【0024】上記紫外線の光源としては、特に限定され
るものではないが、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水
銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、キ
セノンランプ等が挙げられ、好適に用いられるが、なか
でも高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハラ
イドランプがより好適に用いられる。これらの紫外線の
光源は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用
されても良い。
【0025】本発明においては、対象樹脂表面に導入さ
れたカルボキシル基及び/又はスルホニル基と金属塩か
らの金属イオンとのイオン交換により、対象樹脂表面に
カルボキシル基及び/又はスルホニル基の金属塩を生成
させる。
【0026】金属イオンとしては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、ニッケル、金、銀、銅、白金、パ
ラジウム、鉄、コバルト等の各種金属のイオンが挙げら
れ、好適に用いられる。これらの金属イオンは、単独で
用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0027】上記金属イオンの供給源となる金属塩とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、上記各
種金属の硝酸塩、硫酸塩、塩化物等が挙げられ、好適に
用いられる。これらの金属塩は、単独で用いられても良
いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】上記金属塩の含有液中に、表面にカルボキ
シル基及び/又はスルホニル基が導入された対象樹脂を
浸漬することにより、カルボキシル基及び/又はスルホ
ニル基と上記金属塩含有液中の金属イオンとのイオン交
換が起こり、対象樹脂表面にカルボキシル基及び/又は
スルホニル基の金属塩を生成させることができる。
【0029】上記金属塩含有液は、一般的には水溶液で
あることが好ましいが、金属塩の種類によっては例えば
メタノールなどの有機溶媒溶液であっても良い。又、上
記金属塩含有液には、必要に応じて、錯化剤や界面活性
剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加さ
れていても良い。
【0030】上記金属塩含有液中における金属イオンの
濃度は、特に限定されるものではないが、0.01〜1
モル/リットルであることが好ましく、より好ましくは
0.03〜0.1モル/リットルである。複数の金属塩
(金属イオン)を用いる場合には、金属イオンの合計濃
度が上記範囲となるようにすれば良い。
【0031】上記金属塩含有液中への表面にカルボキシ
ル基及び/又はスルホニル基が導入された対象樹脂の浸
漬は、静置状態で行っても良いし、例えば攪拌羽根等を
用いた攪拌状態で行っても良い。又、特に限定されるも
のではないが、浸漬温度は10〜40℃であることが好
ましく、より好ましくは20〜30℃であり、浸漬時間
は1〜30分であることが好ましく、より好ましくは2
〜20分である。
【0032】本発明においては、このようにして対象樹
脂表面に生成させたカルボキシル基及び/又はスルホニ
ル基の金属塩を還元して、対象樹脂表面に金属被膜を形
成する。
【0033】上記金属塩の還元方法としては、特に限定
されるものではないが、例えば、還元剤を用いて還元す
る方法、触媒と紫外線等のエネルギーとを利用して還元
する方法等が挙げられ、好適に用いられる。これらの還
元方法は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併
用されても良い。
【0034】上記還元剤としては、公知のもので良く特
に限定されるものではないが、例えば、水素化硼素ナト
リウム、水素化硼素カリウム、ジメチルアミンボラン、
トリメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒ
ド及びその誘導体、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、
次亜燐酸ナトリウムなどの次亜燐酸塩等が挙げられ、好
適に用いられる。これらの還元剤は、単独で用いられて
も良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0035】本発明においては、このようにして対象樹
脂表面に形成した金属被膜上に無電解メッキ及び/又は
電解メッキを施して、対象樹脂表面に導電性被膜又は導
電性回路パターンを形成する。
【0036】無電解メッキや電解メッキの方法は、特に
限定されるものではなく従来より行われている公知の方
法で良い。
【0037】無電解メッキは、通常、例えば、金属塩、
錯化剤、還元剤、安定剤、促進剤、光沢剤、界面活性
剤、緩衝剤、pH調整剤等の成分からなるメッキ液に、
還元処理により表面に金属被膜が形成された対象樹脂を
浸漬することにより行なわれる。メッキ液は一般に市販
されているものを用いても良い。又、無電解メッキを施
す際の攪拌方法は、特に限定されるものではなく、例え
ば、羽根攪拌、スターラー、ホモジナイザー、ミキサ
ー、超音波分散、空気攪拌等の従来より行われている公
知の方法で良い。
【0038】上記金属塩としては、所望の金属の種類に
応じて適当な可溶性の金属塩を用いれば良く、特に限定
されるものではないが、例えば、金属がニッケルの場合
には、塩化ニッケルや硫酸ニッケル等の塩が挙げられ、
好適に用いられる。これらの金属塩は、単独で用いられ
ても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】上記錯化剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石
酸、クエン酸、チオグリコール酸、アンモニア、グリシ
ン、アスパラギン、エチレンジアミン、エチレンジアミ
ン四酢酸、ロシェル塩、コハク酸イミド等の金属イオン
に対して錯化作用を有する各種化合物が挙げられ、好適
に用いられる。これらの錯化剤は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0040】上記還元剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、ホスフィン酸ナトリウム、水素化
硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、ジメチルアミン
ボラン、ヒドラジン、ホルマリン、イミダゾール等が挙
げられ、好適に用いられる。これらの還元剤は、単独で
用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0041】上記緩衝剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、酢酸やクエン酸などのカルボン
酸、硼素や炭酸などの無機酸、又は、これらのアルカリ
金属塩等が挙げられ、好適に用いられる。これらの緩衝
剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用さ
れても良い。
【0042】又、電解メッキは、金属毎にそれぞれ公知
の方法を用いれば良く、特に限定されるものではない
が、例えば、銅メッキの場合には、ピロリドン酸銅メッ
キ浴や硫酸銅メッキ浴等を用いて電解メッキを施せば良
い。
【0043】本発明においては、上記無電解メッキ及び
電解メッキは、それぞれ単独で施しても良いし、両者を
併用して施しても良い。
【0044】本発明の導電性回路パターンの形成方法に
おいては、対象樹脂表面に形成されたネガ型レジスト層
に所望の回路パターン部分をマスクしたマスクパターン
を通して電離放射線を照射し、所望の回路パターン部分
以外の部分を硬化させた後、上記回路パターン上に残存
する未硬化部分のカルボキシル基及び/又はスルホニル
基と金属塩からの金属イオンとのイオン交換により対象
樹脂表面にカルボキシル基及び/又はスルホニル基の金
属塩を生成させる際に、未硬化のネガ型レジスト層の一
部を溶解させて凹型状の窪みを形成させ、この窪みに金
属イオンを吸着させることが好ましい。
【0045】このような方法を採ることにより、導電性
回路パターンの一部もしくは全部がネガ型レジスト層に
埋め込まれた形となり、対象樹脂に対する導電性回路パ
ターンの密着性がより向上する。又、例えば配線基板の
配線の凸部分を低くするか無くするので、還元処理によ
り対象樹脂表面に形成された金属被膜上に無電解メッキ
及び/又は電解メッキを施す際に、隣接する配線同士の
短絡を防止することもできる。
【0046】未硬化のネガ型レジスト層の一部を溶解さ
せる方法としては、特に限定されるものではないが、例
えば、対象樹脂表面に形成されたネガ型レジスト層に上
記マスクパターンを通して電離放射線を照射し、回路パ
ターン部分以外の部分を硬化させた後、これを前記金属
塩含有液に浸漬する際に、金属塩含有液の温度やpH、
浸漬時間等を適宜調整する方法が挙げられる。例えば、
金属塩含有液のpHをアルカリ側に調整することによ
り、未硬化のネガ型レジスト層の一部を短時間で溶解さ
せることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。
【0048】(実施例1)脱水したN−メチルピロリド
ン100gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
45gを溶解し、これに室温下でピロメリット酸55g
を少量ずつ添加しながら攪拌溶解し、更に室温下で5時
間攪拌し、ポリアミック酸を合成した。次に、ネガ型レ
ジスト作製の文献に記載の公知の方法(例えば、「躍進
するポリイミドの最新動向II−多様化する種類・特性・
加工性と用途拡大の実態−」、住ベテクノリサーチ株式
会社)に従って、上記ポリアミック酸50gにジメチル
アミノエチルアクリレート0.25g及び光重合開始剤
(商品名「IRGACURE184」、共栄化学社製)
0.2gを添加し、充分に混合した後、加熱脱泡して、
カルボキシル基含有ネガ型ポリイミドレジスト溶液を作
製した。
【0049】次いで、アルゴンガスプラズマ処理により
表面を親水化させたポリイミドフィルム(商品名「ユー
ピレックス50S」、厚み52μm、宇部興産社製)上
に、上記で得られたカルボキシル基含有ネガ型ポリイミ
ドレジスト溶液を乾燥後の樹脂厚みが2μmとなるよう
に塗工し、乾燥して、ネガ型レジスト層を形成した。こ
れを0.05M硫酸銅水溶液に室温で3分間浸漬して銅
イオンを吸着させた後、0.005M水素化硼素ナトリ
ウム水溶液に室温で1分間浸漬して、銅イオンを還元し
た。還元処理後の表面は金属光沢を示していた。これを
無電解銅メッキ液(商品名「OPC−720」、奥野製
薬工業社製)に室温で15分間浸漬して無電解メッキを
行い、厚み5μmの銅の被膜を形成した。ポリイミドフ
ィルム全面に渡って均一な銅メッキ層の形成が認められ
た。
【0050】(実施例2)アルゴンガスプラズマ処理に
より表面を親水化させたポリイミドフィルム「ユーピレ
ックス50S」(厚み52μm)上に、実施例1で得ら
れたカルボキシル基含有ネガ型ポリイミドレジスト溶液
を乾燥後の樹脂厚みが2μmとなるように塗工し、乾燥
して、ネガ型レジスト層を形成した。これに40μmの
ピッチ間隔で幅40μmの回路パターン(配線パター
ン)を備え、回路パターン(配線パターン)部分が金属
蒸着で遮光され、回路パターン(配線パターン)部分以
外の部分に開口部を設けた石英ガラス製のマスクパター
ンを通して、超高圧水銀灯を備えた露光機(商品名「マ
スクアライナーMA−10」、三笠社製)を用いて、紫
外線を500mJ/cm2 の強度で1分間、上記ネガ型
レジスト層に照射した。これを0.05M硫酸銅水溶液
に室温で3分間浸漬して銅イオンを吸着させた後、0.
005M水素化硼素ナトリウム水溶液に室温で1分間浸
漬して、銅イオンを還元した。これを無電解銅メッキ液
「OPC−720」に室温で15分間浸漬して無電解メ
ッキを行い、厚み5μmの銅の回路パターン(配線パタ
ーン)を形成した。得られた回路パターン(配線パター
ン)の幅を光学顕微鏡で観察したところ、ほぼ40μm
の幅の回路パターン(配線パターン)が隣接する回路パ
ターン(配線パターン)と短絡することなく形成されて
いた。
【0051】(実施例3)アルゴンガスプラズマ処理に
より表面を親水化させたポリイミドフィルム「ユーピレ
ックス50S」(厚み52μm)上に、実施例1で得ら
れたカルボキシル基含有ネガ型ポリイミドレジスト溶液
を乾燥後の樹脂厚みが2μmとなるように塗工し、乾燥
して、ネガ型レジスト層を形成した。これに40μmの
ピッチ間隔で幅40μmの回路パターン(配線パター
ン)を備え、回路パターン(配線パターン)部分が金属
蒸着で遮光され、回路パターン(配線パターン)部分以
外の部分に開口部を設けた石英ガラス製のマスクパター
ンを通して、超高圧水銀灯を備えた露光機「マスクアラ
イナーMA−10」を用いて、紫外線を500mJ/c
2 の強度で1分間、上記ネガ型レジスト層に照射し
た。これをpHを12.0に調整した水酸化ナトリウム
水溶液に30秒間浸漬した後、弱酸性の硫酸水溶液で中
和し、水洗した。これを0.05M硫酸銅水溶液に室温
で3分間浸漬して銅イオンを吸着させた後、更にpHを
6.5に調整した0.05M硫酸銅水溶液に室温で3分
間浸漬して銅イオンを吸着させ、充分に水洗して、乾燥
した。これを0.005M水素化硼素ナトリウム水溶液
に室温で30秒間浸漬して、銅イオンを還元した。これ
を無電解銅メッキ液「OPC−720」に室温で1時間
浸漬して無電解メッキを行い、厚み5μmの銅の回路パ
ターン(配線パターン)を形成した。得られた回路基板
(配線基板)の表面をSEMで観察したところ、回路
(配線)は隣接する回路(配線)と短絡することなく、
ほぼ40μmの幅で形成されていた。又、回路(配線)
の断面をSEMで観察したところ、厚み5μmの回路
(配線)の内、1μmがネガ型レジスト層の中に埋め込
まれている様子が観察された。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、対象樹脂の表面を高濃
度の酸やアルカリで処理することなく、対象樹脂表面の
全面又は所望の回路パターン面にカルボキシル基及び/
又はスルホニル基を容易に導入でき、導電性被膜や導電
性回路パターンを効率的且つ容易に形成できる。
【0053】又、対象樹脂と同一又は類似の構造を有す
る樹脂からなるネガ型レジストを用いることにより、ネ
ガ型レジスト層は対象樹脂に対して優れた密着性を発現
するので、形成された導電性被膜や導電性回路パターン
の対象樹脂に対する密着性も優れたものとなる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/18 H05K 3/18 B D // C08L 79:08 C08L 79:08 Z Fターム(参考) 4F006 AA20 AA22 AA32 AA33 AA34 AA36 AA39 AB38 AB73 BA06 BA07 CA08 DA04 EA01 EA03 EA05 4K022 AA14 AA15 AA18 AA20 AA22 AA24 AA36 AA42 BA03 BA08 BA14 BA31 CA03 CA06 CA26 DA01 DA03 DB03 5E343 AA02 AA12 AA38 AA39 BB02 BB03 BB16 BB24 BB61 BB71 CC46 CC63 CC67 CC71 CC74 DD33 DD43 ER07 ER11 ER42 ER49 GG11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記(1)〜(4)の4工程
    をこの順に経ることを特徴とする樹脂表面への導電性被
    膜の形成方法: (1)対象樹脂表面に、カルボキシル基及び/又はスル
    ホニル基を有するネガ型レジスト層を形成する工程、
    (2)上記カルボキシル基及び/又はスルホニル基と金
    属塩からの金属イオンとのイオン交換により、対象樹脂
    表面にカルボキシル基及び/又はスルホニル基の金属塩
    を生成させる工程、(3)上記カルボキシル基及び/又
    はスルホニル基の金属塩を還元して、対象樹脂表面に金
    属被膜を形成する工程、(4)上記金属被膜上に無電解
    メッキ及び/又は電解メッキを施して、対象樹脂表面に
    導電性被膜を形成する工程。
  2. 【請求項2】 少なくとも下記(1)〜(5)の5工程
    をこの順に経ることを特徴とする樹脂表面への導電性回
    路パターンの形成方法:(1)対象樹脂表面に、カルボ
    キシル基及び/又はスルホニル基を有するネガ型レジス
    ト層を形成する工程、(2)上記ネガ型レジスト層に、
    所望の回路パターン部分をマスクしたマスクパターンを
    通して電離放射線を照射し、所望の回路パターン部分以
    外の部分を硬化させる工程、(3)上記回路パターン上
    に残存する未硬化部分のカルボキシル基及び/又はスル
    ホニル基と金属塩からの金属イオンとのイオン交換によ
    り、対象樹脂表面にカルボキシル基及び/又はスルホニ
    ル基の金属塩を生成させる工程、(4)上記カルボキシ
    ル基及び/又はスルホニル基の金属塩を還元して、対象
    樹脂表面に金属被膜を形成する工程、(5)上記金属被
    膜上に無電解メッキ及び/又は電解メッキを施して、対
    象樹脂表面に導電性回路パターンを形成する工程。
  3. 【請求項3】 ネガ型レジストが対象樹脂と同一又は類
    似の構造を有する樹脂からなるネガ型レジストであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の導電性被膜の形成方法
    又は請求項2に記載の導電性回路パターンの形成方法。
  4. 【請求項4】 対象樹脂がポリイミド樹脂であり、ネガ
    型レジストがポリイミド骨格を有する樹脂からなるネガ
    型レジストであることを特徴とする請求項1に記載の導
    電性被膜の形成方法、又は、請求項2又は請求項3に記
    載の導電性回路パターンの形成方法。
  5. 【請求項5】 カルボキシル基及び/又はスルホニル基
    と金属塩からの金属イオンとのイオン交換によりカルボ
    キシル基及び/又はスルホニル基の金属塩を生成させる
    工程において、ネガ型レジスト層の一部を溶解させて、
    凹型状の窪みを形成することを特徴とする請求項2〜請
    求項4のいずれかに記載の導電性回路パターンの形成方
    法。
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