JP3872971B2 - 樹脂表面への導電性被膜及び導電性回路パターンの形成方法 - Google Patents

樹脂表面への導電性被膜及び導電性回路パターンの形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂表面に導電性被膜や導電性回路パターンを形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂表面に導電性被膜や導電性回路パターンを形成する方法としては、外部電力により電解析出させる電解メッキ法や溶液中の金属イオンを化学薬品によって還元析出させる無電解メッキ法が挙げられる。
【0003】
樹脂は一般的に不導体であるため、電解メッキを行うためには、先ず無電解メッキを行って樹脂表面を導電体にした後に電解メッキを行う方法が一般的に採られるが、無電解メッキを行うためには、無電解メッキの初期の金属析出に必要な触媒層を樹脂表面に付与する必要がある。
【0004】
樹脂表面に触媒層を付与する方法としては、例えば、樹脂表面に塩化第一スズ溶液で官能基を付与した後に塩化パラジウム溶液で処理する方法、樹脂表面を塩化第一スズと塩化パラジウムとを混合したコロイド溶液で処理する方法、樹脂表面をパラジウム錯体溶液に浸漬させて還元剤でパラジウム金属層を付与する方法等が挙げられるが、近年、樹脂表面に触媒層を付与しない方法も提案されている。
【0005】
例えば、特開平8−209354号公報には、樹脂表面にスルホニル基やカルボキシル基等の陽イオン交換基(酸性基)を導入し、これを金属イオン含有液で処理して金属イオンを化学的に吸着させた後に、還元処理を行うことを特徴とする樹脂表面への機能性被膜の形成方法が提案されている。
【0006】
しかし、上記公報に提案されている方法では、樹脂表面にスルホニル基やカルボキシル基等の陽イオン交換基(酸性基)を導入する際に、濃硫酸のような強酸や強アルカリの溶液中に樹脂を浸漬して樹脂表面に官能基を導入し、その後中和処理を行っているため、工程が煩雑であるという問題点や、樹脂が薄いフィルム状である場合、その表面の劣化を防止するために処理方法に工夫を要するという問題点がある。
【0007】
又、樹脂表面に導電性パターンを形成する方法として、いくつかの方法が提案されている。例えば、特開平11−246977号公報には、樹脂表面に酸性基を導入し、該酸性基に銀イオンを吸着させ、樹脂表面にパターン状に活性光線を照射することにより、パターン状に銀を析出させ、次いで、未析出銀を除去した後、無電解メッキ処理を行うことを特徴とする回路形成方法が提案されている。
【0008】
しかし、上記公報に提案されている方法では、パターン部分以外にも銀イオンが吸着するので、余分な銀を消費することになると共に、後で不要な銀イオンを溶解し除去する必要が生じたり、樹脂表面に酸性基を導入するために、濃度の高い硫酸やクロム酸等の水溶液によるウェット処理を行う必要が生じる等、工程が煩雑になるという問題点がある。
【0009】
又、特開2001−26880号公報には、例えば樹脂基板のような有機化合物を主原料とする対象物を直接レーザー光でパターン酸化してカルボキシル基を生成させ、これに金属イオンを結合させる工程と、結合された金属イオンを上記対象物の表面に還元析出させて触媒化する工程とを含むことを特徴とする導体パターン形成方法が提案されている。
【0010】
しかし、上記公報に提案されている方法では、対象物を構成する有機化合物が側鎖又は末端にカルボキシル基に酸化され得る官能基を有するものでなければならず、例えば樹脂基板のような一般的な対象物への適用は困難であるという問題点や、酸化により、カルボキシル基のみならず、カルボニル基や水酸基等に変換されてしまう場合があるため、金属イオンの保持量が少なくなるという問題点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、対象樹脂表面の必要な部分のみに金属イオンを吸着させることによる、導電性被膜や導電性回路パターンの効率的且つ容易な形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、対象樹脂表面にポジ型レジスト層を設け、このポジ型レジスト層の全面に又はマスクパターンを通して部分的(パターン状)に電離放射線を照射し、対象樹脂表面の全面に又は部分的(パターン状)にカルボキシル基又はスルホニル基を生成させ、該カルボキシル基又はスルホニル基と金属塩からの金属イオンとのイオン交換によりカルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を生成させた後、上記カルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を還元し、次いで、無電解メッキ及び/又は電解メッキを施すことにより、対象樹脂表面に導電性被膜や導電性回路パターンを効率的且つ容易に形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明においては、金属イオンを吸着させるためのカルボキシル基又はスルホニル基を例えば樹脂基板のような対象物の表層付近のみに生成させ、且つ、上記カルボキシル基又はスルホニル基の生成は、酸化反応による生成ではなく、分解反応による生成であることを特徴とする。分解反応は、反応の活性化エネルギーが酸化反応より低いので、常温のドライ中での処理が可能であるという利点を有する。
【0014】
本発明による導電性被膜及び導電性回路パターンの形成方法の対象となり得る樹脂(対象樹脂)としては、適度の強度や耐熱性を有するものであれば如何なる樹脂であっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリデニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも、強度や耐熱性に優れることから、ポリイミド樹脂がより好適に用いられる。上記ポリイミド樹脂は、熱可塑性ポリイミド樹脂であっても良いし、熱硬化性ポリイミド樹脂であっても良い。又、これらの樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。更に、これらの樹脂の形状は、特に限定されるものではないが、一般的には基板状のものやフィルム状のものが好ましい。
【0015】
本発明において、上記対象樹脂表面に導電性被膜や導電性回路パターンを形成するために用いられるポジ型レジストとしては、電離放射線を照射された際にカルボキシル基又はスルホニル基を生成し得るものであれば如何なるポジ型レジストであっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、上記対象樹脂の種類に対応する公知の各種ポジ型レジストが挙げられ、好適に用いられるが、なかでも、対象樹脂に対するポジ型レジスト層の密着性が良好となり、ポジ型レジスト層に形成される導電性被膜や導電性回路パターンと対象樹脂との密着性を確保できることから、対象樹脂と同一又は類似の構造を有する樹脂からなるポジ型レジストがより好適に用いられる。これらのポジ型レジストは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】
本発明では、上記対象樹脂表面に上記ポジ型レジストからなるポジ型レジスト層が形成される。ポジ型レジスト層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、コンマコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、スピンコーター等のコーターを用いて、ポジ型レジストを対象樹脂表面に塗工すれば良い。この際、ポジ型レジストとの密着性を上げるために、予め対象樹脂表面にはコロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、サンドブラスト処理、エンボス加工等の表面処理を施していることが好ましい。
【0017】
又、ポジ型レジスト層は、金属イオンを吸着させ、還元した後に、或いは、その後に無電解メッキ及び/又は電解メッキを施した後に、加熱処理等により対象樹脂に対する密着性を上げることもできる。この際、対象樹脂の種類によっては、ポジ型レジスト層と対象樹脂との間に化学結合を生じさせて、密着性をより強固なものとすることもできる。
【0018】
本発明で用いられるポジ型レジストは、電離放射線を照射された際に分解してカルボキシル基又はスルホニル基を生成する。
【0019】
電離放射線を照射された際に分解してカルボキシル基を生成する官能基としては、公知の官能基で良く特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式(1)や下記化学式(2)又は下記化学式(3)で表される官能基が挙げられ、好適に用いられる。これらの官能基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【化1】
Figure 0003872971
【化2】
Figure 0003872971
【化3】
Figure 0003872971
【0020】
電離放射線を照射された際に分解してスルホニル基を生成する官能基としては、公知の官能基で良く特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式(4)や下記化学式(5)で表される官能基が挙げられ、好適に用いられる。これらの官能基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【化4】
Figure 0003872971
【化5】
Figure 0003872971
【0021】
ポジ型レジストを構成する樹脂としては、これらの官能基を分子内に一定量以上含有する樹脂が用いられる。又、樹脂中において、上記官能基は、その分解を促進するために、アリール基や芳香族環等に結合していることが好ましい。
【0022】
本発明において、対象樹脂とポジ型レジストとの好ましい組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、例えば、対象樹脂がポリイミド樹脂であり、ポジ型レジストがポリイミド骨格を有する樹脂からなるポジ型レジストである組み合わせが挙げられる。
【0023】
ポリイミド骨格を有する樹脂からなるポジ型レジストとしては、電離放射線を照射された際に分解してカルボキシル基やスルホニル基を生成するものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。
【0024】
この内、分解時にカルボキシル基を生成するポジ型レジストとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミック酸にナフトキノンジアジドや下記化学式(6)や下記化学式(7)で表される感光剤を添加したものや、ポリアミック酸にo−もしくはp−ニトロベンジルエステルを導入した下記化学式(8)で表されるもの、又は、フェノール性水酸基を導入したポリアミック酸に、アルカリ溶解抑制剤として働くジアゾナフトキノン化合物(DNQ)を必要に応じて添加した下記化学式(9)で表されるもの等が挙げられ、好適に用いられる。これらの分解時にカルボキシル基を生成するポジ型レジストは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【化6】
Figure 0003872971
【化7】
Figure 0003872971
【化8】
Figure 0003872971
【化9】
Figure 0003872971
【0025】
対象樹脂の表面に形成するポジ型レジスト層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜10μmであり、さらに好ましくは0.5〜5μmである。ポジ型レジスト層の厚みが0.1μm未満であると、カルボキシル基やスルホニル基の生成量が少なくなって、充分な量の金属イオンが吸着されないため、後工程における無電解メッキ及び/又は電解メッキを施し難くなることがあり、逆にポジ型レジスト層の厚みが20μmを超えると、対象樹脂の総厚みが厚くなり過ぎて、例えば配線基板等に使用する際に嵩高くなってしまうことがある。
【0026】
本発明で用いられる電離放射線としては、照射により上記ポジ型レジスト層を分解できるエネルギーを有するものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線、レーザー光、電子線、X線等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも紫外線がより好適に用いられる。これらの電離放射線は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0027】
上記紫外線の光源としては、特に限定されるものではないが、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプがより好適に用いられる。これらの紫外線の光源は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
本発明において、対象樹脂の表面に導電性被膜を形成する場合には、対象樹脂表面に形成されたポジ型レジスト層に直接的に上記電離放射線を照射し、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基を生成させる。又、対象樹脂の表面に導電性回路パターンを形成する場合には、対象樹脂表面に形成されたポジ型レジスト層にマスクパターンを通して上記電離放射線を照射し、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基を生成させる。
【0029】
上記マスクパターンの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、電離放射線を通し易い石英ガラスなどのガラス基板やプラスチック基板等に、電離放射線を通さない金属を蒸着し、必要なパターン部分をエッチングして金属を除去したもの等が挙げられ、好適に用いられる。
【0030】
本発明においては、このようにして対象樹脂表面に生成したカルボキシル基又はスルホニル基と金属塩からの金属イオンとのイオン交換により、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を生成させる。
【0031】
金属イオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル、金、銀、銅、白金、パラジウム、鉄、コバルト等の各種金属のイオンが挙げられ、好適に用いられる。これらの金属イオンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0032】
上記金属イオンの供給源となる金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記各種金属の硝酸塩、硫酸塩、塩化物等が挙げられ、好適に用いられる。これらの金属塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0033】
上記金属塩の含有液中に、表面にカルボキシル基又はスルホニル基が生成した対象樹脂を浸漬することにより、カルボキシル基又はスルホニル基と上記金属塩含有液中の金属イオンとのイオン交換が起こり、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を生成させることができる。
【0034】
上記金属塩含有液は、一般的には水溶液であることが好ましいが、金属塩の種類によっては例えばメタノールなどの有機溶媒溶液であっても良い。又、上記金属塩含有液には、必要に応じて、錯化剤や界面活性剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0035】
上記金属塩含有液中における金属イオンの濃度は、特に限定されるものではないが、0.01〜1モル/リットルであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.1モル/リットルである。複数の金属塩(金属イオン)を用いる場合には、金属イオンの合計濃度が上記範囲となるようにすれば良い。
【0036】
上記金属塩含有液中への表面にカルボキシル基又はスルホニル基が生成した対象樹脂の浸漬は、静置状態で行っても良いし、例えば攪拌羽根等を用いた攪拌状態で行っても良い。又、特に限定されるものではないが、浸漬温度は10〜40℃であることが好ましく、より好ましくは20〜30℃であり、浸漬時間は1〜30分であることが好ましく、より好ましくは2〜20分である。
【0037】
本発明においては、このようにして対象樹脂表面に生成させたカルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を還元して、対象樹脂表面に金属被膜を形成する。
【0038】
上記金属塩の還元方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、還元剤を用いて還元する方法、触媒と紫外線等のエネルギーとを利用して還元する方法等が挙げられ、好適に用いられる。これらの還元方法は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】
上記還元剤としては、公知のもので良く特に限定されるものではないが、例えば、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド及びその誘導体、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウムなどの次亜燐酸塩等が挙げられ、好適に用いられる。これらの還元剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0040】
本発明においては、このようにして対象樹脂表面に形成した金属被膜上に無電解メッキ及び/又は電解メッキを施して、対象樹脂表面に導電性被膜又は導電性回路パターンを形成する。
【0041】
無電解メッキや電解メッキの方法は、特に限定されるものではなく従来より行われている公知の方法で良い。
【0042】
無電解メッキは、通常、例えば、金属塩、錯化剤、還元剤、安定剤、促進剤、光沢剤、界面活性剤、緩衝剤、pH調整剤等の成分からなるメッキ液に、還元処理により表面に金属被膜が形成された対象樹脂を浸漬することにより行なわれる。メッキ液は一般に市販されているものを用いても良い。又、無電解メッキを施す際の攪拌方法は、特に限定されるものではなく、例えば、羽根攪拌、スターラー、ホモジナイザー、ミキサー、超音波分散、空気攪拌等の従来より行われている公知の方法で良い。
【0043】
上記金属塩としては、所望の金属の種類に応じて適当な可溶性の金属塩を用いれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、金属がニッケルの場合には、塩化ニッケルや硫酸ニッケル等の塩が挙げられ、好適に用いられる。これらの金属塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0044】
上記錯化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、チオグリコール酸、アンモニア、グリシン、アスパラギン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、ロシェル塩、コハク酸イミド等の、金属イオンに対して錯化作用を有する各種化合物が挙げられ、好適に用いられる。これらの錯化剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0045】
上記還元剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホスフィン酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン、イミダゾール等が挙げられ、好適に用いられる。これらの還元剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0046】
上記緩衝剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸やクエン酸などのカルボン酸、硼素や炭酸などの無機酸、又は、これらのアルカリ金属塩等が挙げられ、好適に用いられる。これらの緩衝剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0047】
又、電解メッキは、金属毎にそれぞれ公知の方法を用いれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、銅メッキの場合には、ピロリドン酸銅メッキ浴や硫酸銅メッキ浴等を用いて電解メッキを施せば良い。
【0048】
本発明においては、上記無電解メッキ及び電解メッキは、それぞれ単独で施しても良いし、両者を併用して施しても良い。
【0049】
本発明の導電性回路パターンの形成方法においては、対象樹脂表面に形成されたポジ型レジスト層にマスクパターンを通して電離放射線を照射し、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基を生成させた後、該カルボキシル基又はスルホニル基と金属塩からの金属イオンとのイオン交換によりカルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を生成させる際に、ポジ型レジスト層の一部を溶解させて凹型状の窪みを形成させ、この窪みに金属イオンを吸着させることが好ましい。
【0050】
このような方法を採ることにより、導電性回路パターンの一部もしくは全部がポジ型レジスト層に埋め込まれた形となり、対象樹脂に対する導電性回路パターンの密着性がより向上する。又、配線基板の配線の凸部分を低くするか無くするので、還元処理により対象樹脂表面に形成された金属被膜上に無電解メッキ及び/又は電解メッキを施す際に、隣接する配線同士の短絡を防止することもできる。
【0051】
ポジ型レジスト層の一部を溶解させる方法としては、対象樹脂表面に形成されたポジ型レジスト層に電離放射線を照射した後、これを前記金属塩含有液に浸漬する前に、対象樹脂をアルカリ溶液に浸漬することにより、ポジ型レジスト層を短時間で溶解させることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
アルゴンガスプラズマ処理により表面を親水化させたポリイミドフィルム(商品名「ユーピレックス50S」、厚み52μm、宇部興産社製)上に、前記化学式(8)で表されるポジ型ポリイミドレジストの溶液を乾燥後の樹脂厚みが2μmとなるように塗工し、乾燥して、ポジ型レジスト層を形成した。これに超高圧水銀灯を備えた露光機(商品名「マスクアライナーMA−10」、三笠社製)を用いて、紫外線を12mW/cm2 の強度で1分間、上記ポジ型レジスト層の全面に照射した。照射後の表面にはIR測定によりカルボキシル基の生成が確認された。これを0.05M硫酸銅水溶液に室温で3分間浸漬して銅イオンを吸着させた後、さらに0.005M水素化硼素ナトリウム水溶液に室温で1分間浸漬して、銅イオンを還元した。還元処理後の表面は金属光沢を示していた。これを無電解銅メッキ液(商品名「OPC−720」、奥野製薬工業社製)に室温で15分間浸漬して無電解メッキを行い、厚み5μmの銅の被膜を形成した。ポリイミドフィルム全面に渡って均一な銅メッキ層の形成が認められた。
【0054】
(実施例2)
アルゴンガスプラズマ処理により表面を親水化させたポリイミドフィルム「ユーピレックス50S」(厚み52μm)に、前記化学式(8)で表されるポジ型ポリイミドレジストの溶液を乾燥後の樹脂厚みが2μmとなるように塗工し、乾燥して、ポジ型レジスト層を形成した。これに40μmのピッチ間隔で幅40μmの配線用の開口部を設けた石英ガラス製のマスクパターンを通して、超高圧水銀灯を備えた露光機「マスクアライナーMA−10」を用いて、紫外線を12mW/cm2 の強度で1分間、上記ポジ型レジスト層の全面に照射した。これを0.05M硫酸銅水溶液に室温で3分間浸漬して銅イオンを吸着させた後、さらに0.005M水素化硼素ナトリウム水溶液に室温で1分間浸漬して、銅イオンを還元した。これを無電解銅メッキ液「OPC−720」に室温で15分間浸漬して無電解メッキを行い、厚み5μmの銅の回路パターンを形成した。この回路パターンの幅を光学顕微鏡で観察したところ、ほぼ40μmの幅の回路パターン(配線パターン)が隣接する回路(配線)と短絡することなく形成されていた。
【0055】
(実施例3)
アルゴンガスプラズマ処理により表面を親水化させたポリイミドフィルム「ユーピレックス50S」(厚み52μm)上に、前記化学式(8)で表されるポジ型ポリイミドレジストの溶液を乾燥後の樹脂厚みが2μmとなるように塗工し、乾燥して、ポジ型レジスト層を形成した。これに40μmのピッチ間隔で幅40μmの配線用の開口部を設けた石英ガラス製のマスクパターンを通して、超高圧水銀灯を備えた露光機「マスクアライナーMA−10」を用いて、紫外線を12mW/cm2 の強度で1分間、上記ポジ型レジスト層の全面に照射した。これをpHを12.0に調整した0.05M硫酸銅水溶液に室温で3分間浸漬して銅イオンを吸着させた後、さらにpHを6.5に調整した0.05M硫酸銅水溶液に室温で3分間浸漬して銅イオンを吸着させ、充分に水洗し、乾燥した。次いで、これを0.005M水素化硼素ナトリウム水溶液に室温で30秒間浸漬して、銅イオンを還元した。これを無電解銅メッキ液「OPC−720」に室温で1時間浸漬して無電解メッキを行い、厚み5μmの銅の回路パターンを形成した。得られた回路基板(配線基板)の表面をSEMで観察したところ、回路(配線)は隣接する回路(配線)と短絡することなく、ほぼ40μmの幅で形成されていた。又、回路(配線)の断面をSEMで観察したところ、厚み5μmの回路(配線)の内、1μmがポジ型レジスト層の中に埋め込まれている様子が観察された。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、対象樹脂の表面を高濃度の酸やアルカリで処理することなく、対象樹脂表面の全面又は回路パターン面にカルボキシル基又はスルホニル基を導入でき、導電性被膜や導電性回路パターンを効率的且つ容易に形成できる。
【0057】
又、対象樹脂と同一又は類似の構造を有する樹脂からなるポジ型レジストを用いることにより、ポジ型レジスト層は対象樹脂に対して優れた密着性を発現するため、形成された導電性被膜及び導電性回路パターンの対象樹脂に対する密着性も優れたものとなる。

Claims (3)

  1. 少なくとも下記(1)〜(5)の5工程をこの順に経る樹脂表面への導電性被膜の形成方法であって、対象樹脂がポリイミド樹脂であり、ポジ型レジストがポリイミド骨格を有する樹脂からなるポジ型レジストであることを特徴とする導電性被膜の形成方法:(1)対象樹脂表面に、電離放射線を照射された際にカルボキシル基又はスルホニル基を生成するポジ型レジスト層を形成する工程、(2)上記ポジ型レジスト層に電離放射線を照射し、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基を生成させる工程、(3)上記カルボキシル基又はスルホニル基と金属塩からの金属イオンとのイオン交換により、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を生成させる工程、(4)上記カルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を還元して、対象樹脂表面に金属被膜を形成する工程、(5)上記金属被膜上に無電解メッキ及び/又は電解メッキを施して、対象樹脂表面に導電性被膜を形成する工程。
  2. 少なくとも下記(1)〜(5)の5工程をこの順に経る樹脂表面への導電性回路パターンの形成方法であって、対象樹脂がポリイミド樹脂であり、ポジ型レジストがポリイミド骨格を有する樹脂からなるポジ型レジストであることを特徴とする導電性回路パターンの形成方法:(1)対象樹脂表面に、電離放射線を照射された際にカルボキシル基又はスルホニル基を生成するポジ型レジスト層を形成する工程、(2)上記ポジ型レジスト層にマスクパターンを通して電離放射線を照射し、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基を生成させる工程、(3)上記カルボキシル基又はスルホニル基と金属塩からの金属イオンとのイオン交換により、対象樹脂表面にカルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を生成させる工程、(4)上記カルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を還元して、対象樹脂表面に金属被膜を形成する工程、(5)上記金属被膜上に無電解メッキ及び/又は電解メッキを施して、対象樹脂表面に導電性回路パターンを形成する工程。
  3. カルボキシル基又はスルホニル基と金属塩からの金属イオンとのイオン交
    換によりカルボキシル基又はスルホニル基の金属塩を生成させる工程において、ポジ型レジスト層の一部を溶解させて、凹型状の窪みを形成することを特徴とする請求項2に記載の導電性回路パターンの形成方法。
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