JP2003119273A - 共重合ポリエステル及びカチオン染料可染性繊維 - Google Patents

共重合ポリエステル及びカチオン染料可染性繊維

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JP2003119273A JP2001316495A JP2001316495A JP2003119273A JP 2003119273 A JP2003119273 A JP 2003119273A JP 2001316495 A JP2001316495 A JP 2001316495A JP 2001316495 A JP2001316495 A JP 2001316495A JP 2003119273 A JP2003119273 A JP 2003119273A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色調に優れ、紡糸口金を通して長時間連続的
に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形
性に優れているという優れた性能を有する、カチオン染
料可染性ポリエステル繊維及びその製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 重縮合触媒として特定のチタン化合物と
特定のリン化合物との反応生成物を用いて得られた、ス
ルホン酸塩基を有するエチレンイソフタレート単位とエ
チレンテレフタレート単位とを有する共重合ポリエステ
ルを溶融紡糸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル及び繊
維に関する。さらに詳しくは、本発明は色調に優れ、紡
糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の
発生量が非常に少なく、成形性に優れているという優れ
た性能を有する共重合ポリエステル、及びカチオン染料
可染性を有する繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレ
ンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレー
トは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているた
め、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されて
いる。
【0003】しかしながらポリエステルは衣料用繊維と
しては染色性が良好とはいえない。また、分散染料を用
いた染色では限られた染料しか使用できず、染色物の鮮
明性が劣るなどの欠点を有している。従来、このような
欠点を補うため、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸
化合物を共重合して塩基性染料(以下、カチオン染料と
称する)に可染性の改質ポリエステルを製造する方法が
公知である(特公昭34−10497号公報参照)。
【0004】このようなカチオン染料可染性ポリエステ
ルは、通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接
エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのよう
なテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリ
コールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸
とエチレンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエ
チレングリコールエステル及び/又はその低重合体を生
成させ、次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減
圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させて製
造されている。
【0005】これらの重縮合反応段階で使用する触媒の
種類によって、反応速度および得られるポリエステルの
品質が大きく左右されることはよく知られているが、カ
チオン可染性ポリエステルは、既知のポリエステルと同
様の重縮合触媒を使用して重縮合反応を行うことがで
き、例えばアンチモン化合物が、優れた重縮合触媒性能
を有し、かつ、色調の良好なポリエステルが得られるな
どの理由から最も広く使用されている。
【0006】しかしながら、アンチモン化合物を重縮合
触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわた
って連続的に溶融紡糸すると、還元されたアンチモン金
属が異物となって紡糸濾過部の圧力(パック圧)上昇が
発生する、口金孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称
することがある。)が付着堆積し、溶融ポリマー流れの
曲がり現象(ベンディング)が発生し、これが原因とな
って紡糸、延伸工程において毛羽及び/又は断糸などを
発生する、といった成形性の問題があり、生産性を著し
く低下させる原因となっていた。
【0007】該アンチモン化合物以外の重縮合触媒とし
て、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用
いることも提案されているが、このようなチタン化合物
を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因す
る成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル
自身が黄色く着色されており、また、溶融熱安定性も不
良であるという新たな問題が発生する。
【0008】上記着色問題を解決するために、コバルト
化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一
般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加する
ことによってポリエステルの色調(カラーb値)は改善
することができるが、コバルト化合物を添加することに
よってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマー
の分解も起こりやすくなるという問題がある。
【0009】また、他のチタン化合物として、特公昭4
8−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭4
7−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポ
リエステル製造用触媒として使用することが開示されて
いる。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉
末化が容易でなく、一方、後者の方法ではα−チタン酸
が変質し易いため、その保存、取り扱いが容易でなく、
したがっていずれも工業的に採用するには適当ではな
く、さらに、良好な色調(カラーb値)のポリマーを得
ることも困難である。
【0010】また、特公昭59−46258号公報には
チタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた
生成物を、また特開昭58−38722号公報にはチタ
ン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生
成物を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用す
ることが開示されている。確かに、この方法によれば、
ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているも
のの、得られるポリマーの色調が十分なものではなく、
したがってポリマー色調のさらなる改善が望まれてい
る。
【0011】口金異物を抑制するには、前記のように触
媒としてアンチモン化合物を使用しないことが有効な手
段であるが、アンチモン化合物を使用しない方法では、
糸のカラーが低下してしまうため、従来は使用に供する
ことができなかった。
【0012】したがって触媒としてアンチモン化合物を
使用せず、かつ色相に優れたポリエステル繊維が求めら
れていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、紡糸口
金を通して長時間連続的に紡糸してもパック圧上昇及び
口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れてい
るという共重合ポリエステル及びその製造方法を提供す
ることにある。本発明の第2の目的は、上記従来が有し
ていたチタン触媒使用時の色調の不良を解消すること。
【0014】さらに、本発明の第3の目的は、色相の改
善されたカチオン染料可染性繊維を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記従来技
術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至
った。
【0016】すなわち、本発明の第1及び第2の目的
は、テレフタル酸のアルキレングリコールエステル及び
その低重合体とスルホン酸塩基を有するイソフタル酸の
アルキレングリコールエステル及びその低重合体とを重
合出発原料とし、触媒の存在下に重縮合して共重合ポリ
エステルポリマーを得るに際し、該触媒として、下記式
(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表さ
れるリン化合物とを、チタン元素のモル数に対するリン
元素のモル数(P/Ti)が1〜4となる範囲とし、グ
リコール中で加熱することにより得られた析出物を用い
て、該共重合ポリエステルの全繰り返し単位を基準とし
て、少なくとも80モル%をエチレンテレフタレート単
位が占め、0.5〜10モル%をスルホン酸塩基を有す
るエチレンイソフタレートが占める共重合ポリエステル
を得ることを特徴とする、共重合ポリエステルの製造方
法によって達成される。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】本発明の第2の目的は、請求項8記載の共
重合ポリエステルを溶融紡糸して得られるカチオン染料
可染性繊維維によって達成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳しく説明する。
【0021】本発明における共重合ポリエステルは、該
共重合ポリエステルの全繰り返し単位を基準として、少
なくとも80モル%以上をエチレンテレフタレート単位
が占め、0.5〜10モル%をスルホン酸塩基を有する
エチレンイソフタレートが占めていることが必要であ
る。
【0022】エチレンテレフタレート単位が80モル%
未満であると、得られる繊維の強伸度等の基本物性が十
分に保持できないため好ましくない。
【0023】また、スルホン酸基を有するイソフタレー
トが0.5モル%未満であるとカチオン染料への染色性
が著しく劣り、10モル%を越えると、吸湿率が高くな
るために紡糸時の加水分解が著しくなるため得られる繊
維の物性が劣るようになり、またスルホン酸塩基由来の
分解性異物によりパック圧上昇が著しくなる。
【0024】本発明におけるポリエステルは、上記のエ
チレンテレフタレート単位及びエチレンイソフタレート
単位以外に、本発明の目的を奏する範囲内であれば第3
成分が共重合されていてもよく、該第3成分は、ジカル
ボン酸成分又はグリコール成分のいずれでもよい。
【0025】本発明において、第3成分として好ましく
用いられるジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、フタル酸等のような芳香族ジカルボ
ン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン
ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等を例示すること
ができ、一方のグリコール成分としてもテトラメチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノールのようなジオ
ールを例示することができる。これらは一種を単独で用
いても、二種以上を併用してもどちらでもよい。
【0026】本発明の共重合ポリエステルは下記一般式
(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で
表されるリン化合物と、グリコール中で加熱することに
よって得られた析出物を重縮合触媒として用いることが
必要であり、その反応割合として、チタン元素のモル数
に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1〜4となる
範囲とした後に加熱反応させて得られたものを用いるこ
とが必要である。
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】ここで、チタン元素のモル数に対するリン
元素のモル数(P/Ti)が1より小さい場合、得られ
るポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性
が低下することがあり好ましくなく、4より大きい場
合、ポリエステル生成反応に対する触媒活性が不十分に
なり好ましくない。チタン元素のモル数に対するリン元
素のモル数(P/Ti)は1.2〜3.5の範囲である
ことが好ましく、1.5〜3.0の範囲がさらに好まし
い。
【0030】また、チタン化合物成分(I)とリン化合
物成分(II)との触媒調製は、エチレングリコール中
で加熱反応されている必要があるが、反応方法としては
例えばリン化合物(II)からなる成分とエチレングリ
コールとを混合して、リン化合物成分の一部又は全部を
溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物成分(I)
を滴下し、反応系を0℃〜200℃の温度に30分間以
上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分
間、加熱することによって行われる。この反応におい
て、反応圧力については格別の制限はなく、通常常圧下
で行われる。
【0031】ここで、上記式(I)で表されるチタン化
合物としては例えば、チタンテトラブトキシド、チタン
テトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、
チタンテトラエトキシドなどのチタンテトラアルコキシ
ドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキル
ジチタネート、アルキルチタネート、酢酸チタン等を挙
げることができる。
【0032】また上記式(II)で表されるリン化合物
としては式中のpが0の場合には、例えば、フェニルホ
スホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロ
ピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホス
ホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフ
ェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホ
スホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カ
ルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニル
ホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン
酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5
−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボ
キシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニ
ルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン
酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、
2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,
3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,
5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−
トリカルボキシフェニルホスホン酸、等が挙げられる
が、これらのうち、モノアリールホスホン酸を用いるこ
とが好ましい。
【0033】また、式中のpが1の場合は例えば、モノ
メチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノト
リメチルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェー
ト、モノヘプチルホスフェート、モノヘキシルホスフェ
ート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェー
ト、モノドデシルホスフェート、モノフェニルホスフェ
ート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−ドデシ
ル)フェニルホスフェート、モノ(4−メチルフェニ
ル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフ
ェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、
モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリ
ルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフ
ェニルホスフェート、モノナフチルホスフェート、モノ
アントリルホスフェート等が挙げられるが、これらのう
ち、モノアルキルホスフェートを用いることが好まし
い。
【0034】本発明においては、上記式(1)で表され
るチタン化合物は予め下記式(III)の多価カルボン
酸及び/又はその無水物と反応させて使用する方法も好
ましく用いられる。その場合、チタン化合物と多価カル
ボン酸及び/又はその無水物の反応モル比は(2:1)
〜(2:5)の範囲が好ましい。特に好ましい範囲は
(1:1)〜(1:2)である。
【0035】
【化8】
【0036】上述した方法によって得られる本発明の共
重合ポリエステルはチタン元素量が全ジカルボン酸成分
を基準として2〜40ミリモル%の範囲である。チタン
元素量が2ミリモル%未満であるような場合には重合反
応が遅くなるため、生産性に劣り、一方、40ミリモル
%を越えると、ポリエステルの色調が不良になるととも
に、かつ耐熱性が低下することもある。該チタン元素量
は5〜35ミリモル%の範囲が好ましく、10〜30ミ
リモル%の範囲がさらに好ましい。
【0037】本発明のカチオン可染性繊維は、上述の共
重合ポリエステルを従来公知の溶融紡糸方法を用いて製
造することができる。例えばポリエステルを270℃〜
300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好まし
く、溶融紡糸の速度は400〜5000m/分で紡糸す
ることが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得ら
れる繊維の強度も十分なものであるとともに、安定して
巻き取りを行うこともできる。また延伸はポリエステル
繊維を巻き取ってから、あるいは一旦巻き取ることなく
連続的に延伸処理することによって、延伸糸を得ること
ができる。さらに本発明のポリエステル繊維は風合いを
高める為に、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
【0038】本発明のポリエステル繊維を製造する際に
おいて、紡糸時に使用する口金の形状について制限は無
く、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用すること
ができる。
【0039】本発明におけるポリエステル繊維は、従来
使用される染料で染色することができ、鮮明かつ色調に
優れたポリエステル繊維を得ることができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。なお実
施例中の部は重量部を示す。また各種特性は下記の方法
により評価した。
【0041】(1)固有粘度:オルトクロルフェノール
を溶媒として35℃で測定し、その相対粘度から常法に
より求めた。
【0042】(2)色調(L値及びb値):ポリマー試
料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミ
ニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形
後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを160℃、1
時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレー
ト上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値を、
ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測
定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度
が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄着色の
度合いが大きいことを示す。
【0043】(3)金属元素含有量:リガク社製蛍光X
線測定装置3270を用いて測定した。
【0044】(4)紡糸圧上昇評価:紡糸口金直上に2
400メッシュの径25mmの金網を装着した紡糸機に
290℃でポリエステルチップを30g/分で7日間放
流し、1日当たりの濾過昇圧として求めた。
【0045】(5)紡糸口金に発生する付着物の層:ポ
リエステルをチップとなし、これを290℃で溶融し、
孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出
し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に
発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の
高さが大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフィ
ラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリ
エステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発
生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の
指標である。
【0046】[参考例1]エチレングリコール131重
量部中にフェニルホスホン酸3.6重量部を120℃に
10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶
液134.5重量部に、さらにエチレングリコール40
重量部を加えた後、これにチタンテトラブトキシド3.
8重量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で6
0分間撹拌し、チタン化合物とフェニルホスホン酸とを
反応させ、反応生成物を含む触媒の白色スラリーを得
た。この触媒スラリーのチタン含量は0.3重量%であ
った。
【0047】[参考例2]エチレングリコール2.5重
量部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、この
溶液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(無水トリ
メリット酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴
下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間
保持してチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸
とを反応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系
を常温に冷却し、これにアセトン15重量部を加え、析
出物をNo.5ろ紙で濾過し、採取し、これを100℃
の温度で2時間乾燥した。得られた反応生成物のチタン
含有量は11.2重量%であった。
【0048】次に、エチレングリコール131重量部中
にフェニルホスホン酸3.6重量部を120℃に10分
間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液13
4.5重量部に、さらにエチレングリコール40重量部
を加えた後、これに上記チタン化合物5.0重量部を溶
解させた。得られた反応系を120℃で60分間撹拌
し、チタン化合物とフェニルホスホン酸とを反応させ、
反応生成物を含む触媒の白色スラリーを得た。この触媒
スラリーのチタン含量は0.3重量%であった。
【0049】[参考例3]エチレングリコール131重
量部中にモノ−n−ブチルホスフェート3.5重量部を
120℃に10分間加熱して溶解した。このエチレング
リコール溶液134.5重量部に、さらにエチレングリ
コール40重量部を加えた後、これにチタンテトラブト
キシド3.8重量部を溶解させた。得られた反応系を1
20℃で60分間撹拌し、チタン化合物とモノ−n−ブ
チルホスフェートとを反応させ、反応生成物を含む触媒
の白色スラリーを得た。この触媒スラリーのチタン含量
は0.3重量%であった。
【0050】[参考例4]エチレングリコール2.5重
量部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、この
溶液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(後記ポリ
エステルの製造に用いられる無水トリメリット酸のモル
量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応系
を空気中、常圧下、80℃に60分間保持してチタンテ
トラブトキシドと無水トリメリット酸とを反応させ、反
応生成物を熟成させた。その後反応系を常温に冷却し、
これにアセトン15重量部を加え、析出物をNo.5ろ
紙で濾過し、採取し、これを100℃の温度で2時間乾
燥した。得られた反応生成物のチタン含有量は11.2
重量%であった。
【0051】次に、エチレングリコール131重量部中
にモノ−n−ブチルホスフェート3.5重量部を120
℃に10分間加熱して溶解した。このエチレングリコー
ル溶液134.5重量部に、さらにエチレングリコール
40重量部を加えた後、これに上記チタン化合物5.0
重量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60
分間撹拌し、チタン化合物とモノ−n−ブチルホスフェ
ートとを反応させ、反応生成物を含む触媒の白色スラリ
ーを得た。この触媒スラリーのチタン含量は0.3重量
%であった。
【0052】[実施例1]テレフタル酸90部、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸4.5部、酢酸ナトリウム
3水和物0.13部及びエチレングリコール55部を
0.1MPa、250℃にてエステル化反応させ、次い
で得られた反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ
入れ、20%の酸化チタンエチレングリコールスラリー
を1.7部、重縮合触媒として参考例1で製造したスラ
リー1.92重量部(テレフタル酸+5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸の物質量を基準として、チタン原子換
算量で20ミリモル%)を加え、得られた反応系を温度
285℃、30Paの高真空下で重縮合反応を行い、得
られたポリエステルを常法に従いチップ化した。
【0053】得られたポリマーの固有粘度は0.50で
あった。チップを160℃×4hrの条件で乾操後、2
90℃にて溶融紡糸し、得られた未延伸糸を4.0倍に
延伸して83.25dtex/24filのマルチフィ
ラメントを得た。結果を表1に示す。
【0054】[実施例2〜4、比較例1]実施例1にお
いて、触媒種類、を表1記載のとおりに変更したこと以
外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステルの重縮合
触媒として、チタン化合物を触媒として使用しつつ、従
来技術の欠点であった色相の悪化を解消し、口金異物の
少ない安定した紡糸を可能とし、ポリエステルが持つ、
優れた特性を保持しながら、色相の優れたカチオン染料
可染性ポリエステル繊維を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AC02 AE02 BA03 CB05A CB06B CH07 HD04 JB131 JC571 JC581 JF321 KB02 KB05 4L035 BB31 EE20 GG02 GG03 KK05 KK08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸のアルキレングリコールエ
    ステル及び又はその低重合体とスルホン酸塩基を有する
    イソフタル酸のアルキレングリコールエステル及び又は
    その低重合体とを重合出発原料とし、触媒の存在下に重
    縮合して共重合ポリエステルポリマーを得るに際し、 該触媒として、下記式(I)で表されるチタン化合物と
    下記式(II)で表されるリン化合物とを、チタン元素
    のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1〜
    4となる範囲とし、グリコール中で加熱することにより
    得られた析出物を用いて、該共重合ポリエステルの全繰
    り返し単位を基準として、少なくとも80モル%をエチ
    レンテレフタレート単位が占め、0.5〜10モル%を
    スルホン酸塩基を有するエチレンイソフタレートが占め
    る共重合ポリエステルを得ることを特徴とする、共重合
    ポリエステルの製造方法。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 前記式(II)中のpの数値が0である
    リン化合物を用いる、請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 リン化合物がモノアリールホスホン酸で
    ある、請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記式(II)中のpの数値が1である
    リン化合物を用いる、請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 リン化合物がモノアルキルホスフェート
    である、請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 チタン化合物として、チタンテトラアル
    コキシド類、オクタアルキルトリチタネート類、及びヘ
    キサアルキルジチタネート類から選ばれた少なくとも一
    種のチタン化合物を用いる、請求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記式(I)のチタン化合物を予め下記
    一般式(III)の多価カルボン酸及び/又はその酸無
    水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲の組成
    で反応させた後、前記式(II)のリン化合物と反応さ
    せる、請求項1記載の製造方法。 【化3】
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の方法に
    よって得られた、チタン元素量が全ジカルボン酸成分を
    基準として2〜40ミリモル%の範囲である、共重合ポ
    リエステル。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の共重合ポリエステルを溶
    融紡糸して得られるカチオン染料可染性繊維。
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