JP2003116991A - 誤穿刺防止用の翼付きシールドを有する医療用針装置 - Google Patents
誤穿刺防止用の翼付きシールドを有する医療用針装置Info
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Abstract
針を翼付きシールドに保持する力を、最適にすることを
可能とする。 【解決手段】 円筒状シールド筒4aおよびその先端側
に結合した翼部5、6を有する翼付きシールド4と、シ
ールド筒内に挿入された針基2および針管1を備える。
翼部は翼突起7、8を有する。シールド筒は、その円筒
壁に貫通孔9、10が形成されるとともに、貫通孔と略
一致する軸方向位置の内周面に先端部突起15、16が
形成される。針基は先端部の外表面に段差部26を有す
る。針基の段差部に先端部突起を係合可能であり、更
に、両翼部を重ね合わせることにより、貫通孔を通して
各翼突起が針基の段差部に係合される。針基の段差部
と、先端部突起もしくは各翼突起の係合により、シール
ド筒先端から針管が突出した状態で、針基がシールド筒
内を基端側に移動しないように保持される。
Description
置、特に、使用後に針管を安全に収容できる誤穿刺防止
用の翼付きシールドを有する医療用針装置に関する。
針等の誤穿刺による汚染・感染は問題となっている。特
に最近ではB型肝炎、C型肝炎やHIV(ヒト免疫不全
ウィルス)等が社会的に広く取り上げられてきたため、
誤穿刺等の偶発的な事故を積極的に防止するための手段
が要望されている。
使用後に注射針や穿刺針を収容する際、針管をカバーで
覆うようにした注射針装置が種々提案されてきた。その
ような誤穿刺防止手段の多くは、使用後の誤穿刺を防止
するための円筒状の保護カバー(以下シールドと称す
る)を有し、そのシールドが注射針に対してスライド可
能となっている。つまり、シールドのスライドにより、
注射針が露出した状態と、シールドにカバーされた状態
とをとれるように構成されている。
の際に、翼付き注射針装置が広く使用されている。翼付
き注射針装置は、先端に注射針が固定され後端が輸液チ
ューブと接続された針基に、翼が装着された構造を有す
る。そのため、翼付き注射針装置の誤穿刺防止手段は、
特有の構造が必要になる。つまり、シールドのスライド
に対して、翼の存在が邪魔にならないようにする構造を
とらなければならない。従来の技術を分類すると、翼が
注射針もしくは針基に取付られた構造と、翼がシールド
に取付られた構造に分けられる。
1号公報、国際公開WO91/04761号公報、ある
いは米国特許第5,088,982号明細書に記載され
たものがある。これらの従来例においては、スライド可
能な円筒状のシールドの外周面に翼が取り付けられ、翼
はシールドとともに注射針の外側をスライドする。注射
針の使用後は誤穿刺防止のために、シールドをスライド
させて注射針の先端を覆うことができる。
ドに翼を取り付けた注射針装置は、使用する際に、注射
針をシールドに対して所定の位置に一時的に保持し、両
者を一体化する機構が必要である。しかも、穿刺操作時
と、誤穿刺防止のために注射針をシールドに収納する操
作を行う収納操作時とでは、針をシールドに対して保持
する作用が以下のように異なることが望ましい。
行うので、針がシールドに確実に保持される必要があ
る。これに対して収納操作時には、針をシールドに対し
て保持する力は弱い方がよい。保持力が強すぎると、針
をシールド内でスライドさせる際の操作が困難になり、
不測の事故を招くおそれがあるからである。一方、針を
患者に留置している状態では、シールドは患者の穿刺部
に固定されているので、その状態で針がシールド内で容
易に移動すると、針が患者から抜けてしまう恐れがあ
る。従って留置の際は、保持力が弱すぎても不都合であ
る。結局、穿刺操作後には、穿刺操作時に比べて弱い適
度な保持力が、注射針あるいは針基に作用していること
が望ましい。
する注射針装置では、注射針の保持は、穿刺操作時も穿
刺操作後(留置時及び抜去時)も同一の機構により行わ
れ、穿刺操作時および収納操作の双方について、最適な
保持力が得られるものではなかった。
作後において、医療用針を翼付きシールドに対してそれ
ぞれ最適な保持力で保持することが可能であり、使用後
に医療用針をシールド内に収納する操作を、安全かつ容
易に行うことを可能とする医療用針装置を提供すること
を目的とする。
る医療用針装置は、略円筒状のシールド筒および前記シ
ールド筒の先端側に結合した一対の翼部を有する翼付き
シールドと、前記シールド筒の内腔に軸方向に移動可能
なように挿入された針基と、前記針基の先端部に装着さ
れた針管とを備え、前記シールド筒の内腔に、前記針管
をその先端を被覆して収納可能である。前記各翼部は、
その基端側領域の翼面から突出するように形成された翼
突起を有する。前記シールド筒は、前記各翼突起を挿入
可能なように側部の円筒壁に形成された貫通孔、および
前記貫通孔と略一致する軸方向位置の内周面に形成され
た先端部突起を有する。前記針基は、主管部および前記
主管部の先端近傍に位置する保持部を有し、前記保持部
は、前記主管部よりも径大な部分を有して、その径大部
の後部外表面に段差部が形成される。前記針基の段差部
に前記シールド筒の先端部突起が係合可能である。その
係合状態において、前記両翼部を前記シールド筒側面に
沿って重ね合わせることにより、前記貫通孔を通して前
記各翼突起を前記針基の段差部に係合可能である。前記
針基の段差部に、前記先端部突起もしくは前記各翼突起
を係合させることにより、前記シールド筒先端から前記
針管が所定長さ突出した状態で、前記針基が前記シール
ド筒内を基端側に移動しないように保持される。
作後において、医療用針を翼付きシールドに対して保持
するための保持力がそれぞれ最適に設定される。
記両翼部を前記シールド筒側面に沿って重ね合わせて、
前記針基の環状溝と前記各翼突起を係合させた状態で、
前記両翼部を前記各翼突起の位置において挟んで押圧す
ることにより、前記針基に対する保持力を、前記針基の
環状溝と前記先端部突起の係合により得られる保持力よ
りも大きくすることが可能であるように構成される。
に対応する一対の前記貫通孔が、前記シールド筒の両側
壁に別個に形成される。
成され、前記シールド筒の内面周方向における前記一対
の貫通孔の間に、それぞれ1個ずつ配置される。
連なって形成された1本の溝状であてもよい。
領域の肉厚が先端側よりも薄い。
表面が平坦に形成される。
後端部の内周面に形成された後端係止部を更に有し、前
記後端係止部は、前記針基の保持部における径大部より
も内径が小さく、その軸方向中間部に環状溝が形成され
る。前記針基を前記シールド筒に対して軸方向基端側に
移動させることにより、前記シールド筒の後端係止部に
おける環状溝に、前記針基の保持部における径大部を係
合させることが可能である。その係合により、前記シー
ルド筒の内腔に前記針管を収納した状態で、前記針基が
前記シールド筒に保持される。
しくは、前記針基の保持部は、前記径大部の後部に外方
環状突起を更に有し、前記径大部と前記外方環状突起の
間の外表面に環状溝が形成される。前記針基の環状溝に
前記シールド筒の先端部突起もしくは前記各翼突起を係
合させて、前記段差部に基づく保持機能と同様の機能を
得ることが可能である。
ド筒は、その後端部の内周面に形成された後端係止部を
更に有し、前記後端係止部は内方環状突起を含む。前記
針基を前記シールド筒に対して軸方向基端側に移動させ
ることにより、前記環状溝に前記内方環状突起を係合さ
せることが可能である。その係合により、前記シールド
筒の内腔に前記針管を収納した状態で、前記針基が前記
シールド筒に保持される。
しくは、前記シールド筒は、その上面に保持桿が形成さ
れる。施術者が保持桿に指を当接させることにより、操
作中のシールド筒の移動を防止することが容易になる。
に設けられた補助保持機構と、前記針基の後部に形成さ
れた補助保持部とを更に備える。前記補助保持機構は、
前記シールド筒の基端部外表面に取り付けられた回動
片、その回動片に設けられた補助突起、および前記回動
片の回動により前記補助突起が前記シールド筒の内腔に
挿入可能なように前記シールド筒壁に設けられた貫通孔
を含む。前記補助保持部は、前記針基の外表面に形成さ
れた補助環状溝または補助環状突起を含む。前記貫通孔
を通して前記補助突起を前記針基の補助環状溝または補
助環状突起に係合させることにより、前記所定長さだけ
前記シールド筒先端から前記針管が突出した状態で、前
記針基を前記シールド筒に保持する補助保持力が付与さ
れる。
の実施の形態1における医療用針装置の平面図である。
1は針管であり、樹脂製の針基2の先端部に固定されて
いる。針基2の後端部にはチューブ3が接続されてい
る。4は翼付きシールドであり、樹脂製の略円筒形状を
有するシールド筒4aと、左右の翼部5、6からなる。
シールド筒4aの内腔に針管1および針基2が挿入され
て、軸方向に移動可能である。左右の翼部5、6は、シ
ールド筒4aの先端部、すなわち針管1が突出する側の
端部に設けられている。翼部5、6は、各々シールド筒
4aの外周面の両側部に結合し、シールド筒4aの軸を
中心として互いに対称な形状を有する。針基2の先端部
には針キャップ18が装着され、針管1を覆っている。
基端側領域(シールド筒4aとの結合側の領域)5b、
6bとに分かれている。基端側領域5b、6bには、そ
れぞれ翼突起7、8が形成されている。翼突起7、8に
対応するシールド筒4aの左右の側部壁には、貫通孔
9、10が形成されている。先端側領域5a、6aに
は、凸条11、12、および条溝13、14が形成され
ている。
状を示す。図2(b)は、図2(a)のA−Aにおける
断面を示す。翼部5、6の基端側領域5b、6bの厚さ
は、先端側領域5a、6aの厚さよりも薄い。従って翼
部5、6は、基端側領域5b、6bにおいて屈曲が容易
である。
4aの軸方向断面を図3に示す。シールド筒4aにおけ
る先端側内周面の上下には、先端部突起15、16が形
成されている。先端部突起15、16の軸方向の位置
は、貫通孔9、10の位置と略一致している。シールド
筒4aの後端部内周面には、後端係止部17が形成され
ている。後端係止部17は、径小部17a、および周方
向に形成された内方環状突起17bを含む。内方環状突
起17bは径小部17aに対して所定の間隔を設けて配
置され、それにより環状溝17cが形成されている。
れる。図4(b)は、その軸方向における断面図であ
る。針基2は、軸方向中央部の主管部2aと、その先端
部に形成された保持部2bと、後端部に形成された規制
部2cとを有する。主管部2aの外径は、シールド筒4
aの径小部17aおよび内方環状突起17bの内径より
も小さい。従って、主管部2aが径小部17aおよび内
方環状突起17bに対向する範囲においては、シールド
筒4aを針基2に対して軸方向に自由に移動させること
ができる。保持部2bの更に先端側、および規制部2c
の更に後端側の部分は、主管部2aと同径である。
4aの径小部17aの内径よりも大きい。従って、規制
部2cと主管部2aの境界に形成された段差部が径小部
17aすなわちシールド筒4aの後端に当接すると、針
基2をシールド筒4aの先端の向きに更に移動すること
が阻止される。それにより、針管1が、所定長さ以上シ
ールド筒4aから突出することが防止される。
溝2e、および外方環状突起2fからなる。径大部2
d、および外方環状突起2fの外径は、シールド筒4a
の先端部突起15、16の径方向間隔よりも僅かに大き
い。
は、針基2をシールド筒4aの先端から挿入して基端側
に移動させる。まず規制部2cが後端係止部17に当接
する。規制部2cの後端側は図示されるようにテーパが
設けられているので、樹脂の柔軟性により、後端係止部
17を容易に通過する。ほぼ同時に、針基2の外方環状
突起2fが先端部突起15、16に当接する。さらに針
基2を強制的に基端側に移動させることにより、先端部
突起15、16が外方環状突起2fを越えて、先端部突
起15、16は環状溝2eに係合する。
る。図1における針基2は使用位置にあり、針管1がシ
ールド筒4aの先端から所定長さ突出した状態が得られ
ている。先端部突起15、16と環状溝2eの係合によ
り、シールド筒4a内での針基2の軸方向移動が阻止さ
れ、針基2がシールド筒4a内に保持された状態とな
る。上述のように図1に示す状態では、針管1が更に軸
方向先端側へ移動することが、規制部2cと径小部17
aの係合により阻止されている。従って、先端部突起1
5、16と環状溝2eの係合は、針基2がシールド筒4
aの基端側に移動しないように保持することが主要な役
割である。
が患者に穿刺された後留置される際に、針管1が翼付き
シールド4内で基端側に移動して患者から外れる等の、
不慮の事故が発生することを防止するための機能であ
る。一方、使用後に医療用針装置を廃棄する際には、誤
穿刺防止のために針管1をシールド筒4a内に収納す
る。その際には、針基2をシールド筒4aの後端側に移
動させるので、使用位置での上記保持力が強すぎると操
作し難い。従って使用位置での保持力は、あまりに簡単
に針基2の保持が外れることなく、かつ針管1の収納時
の操作が困難とならない範囲に設定される。
係合するシールド筒4aの先端部突起15、16は、内
周の上下にのみ部分的に形成されている。それにより、
係合による保持力が比較的弱くなるように調整されてい
る。但し、このように先端部突起15、16の形成範囲
を制限することに限らず、先端部突起15、16の突出
量を変えること、等の他の構成により保持力を調整して
もよい。
径は、シールド筒4aの径小部17a、および内方環状
突起17bの内径よりも大きい。従って、図1の状態か
ら針基2をシールド筒4aの後端方向に移動させて、先
端部突起15、16と環状溝2eの係合を解除し、さら
に針基2を後端方向に移動させると、まず外方環状突起
2fが内方環状突起17bに当接する。外方環状突起2
fは、図4に示されるように後部にテーパを有し、また
その外径は内方環状突起17bの内径より僅かに大きい
だけであるため、さらに針基2を強制的に移動させるこ
とにより、容易に内方環状突起17bを通過することが
できる。外方環状突起2fが内方環状突起17bを通過
すると、外方環状突起2fが環状溝17cに係合する。
また、内方環状突起17bが環状溝2eに係合する。そ
れらの係合により、シールド筒4a内での針基2の軸方
向移動が阻止され、針基2がシールド筒4a内の収納位
置に保持された状態となる。この収納位置では、針管1
がシールド筒4a内に収納され、誤穿刺を防止した状態
が得られる。
分に強いことを要する。通常、誤穿刺を防止する収納状
態から、再度針管1が突出する向きに針基2を移動させ
る必要はなく、収納位置で針基2を確実に保持すること
が望ましいからである。上記の構成による収納位置での
針基2の保持力は、使用位置での保持力よりも十分に大
きい。何故ならば、先端部突起15、16と異なり、針
基2の保持部2bとシールド筒4aの後端係止部17の
係合は、全内周に亘って形成された環状突起によりなさ
れるからである。
状突起17bで置き換えた構成とすることもできる。す
なわち、シールド筒4aの後端に内方環状突起17bの
みが形成され、環状溝17cは形成されていない構成で
ある。その場合、針基2の保持部2bとシールド筒4a
の後端係止部17の係合には、内方環状突起17bと環
状溝2eの係合のみにより行われる。
た翼突起7、8の作用を示す。同図は、図1のC−Cに
おける断面を示す。但し、図の見易さを考慮して、針基
2以外のハッチングは省略されている。このような翼部
5、6を用いる操作は、穿刺に際して行われる。この場
合、針基2は図1に示す使用位置に位置し、針基2の環
状溝2eが貫通孔9、10に対向していることを要す
る。通常、医療用針装置は図1の状態で使用に供され、
針管1が、翼付きシールド4に対して穿刺時の適切な位
置にあるので、使用に際して位置決めを行う必要はな
い。また本実施の形態によれば、図1の状態は、環状溝
2eと先端部突起15、16の係合により保持されるの
で、穿刺操作前に位置ずれを生じることが防止される。
ールド筒4aの外表面に沿って上方に持ち上げると、翼
突起7、8が貫通孔9、10と対向する。図5(b)に
示すように、翼部5、6を更に持ち上げると、翼突起
7、8が貫通孔9、10に挿入され、シールド筒4aの
壁を貫通して内腔に突出する。その結果、針基2の環状
溝2eに翼突起7、8の先端部が係合する。それによ
り、針基2、すなわち、針管1が翼付きシールド4に保
持される。
6を重ね合わせると、凸条11、12が条溝13、14
にそれぞれ嵌合する。それにより、両翼部5、6は、相
互の位置が所定の関係となるように重ね合わされる。従
って、図5(b)に示す段階で翼突起7、8が貫通孔
9、10に適切に挿入されていない場合でも、相互の位
置関係が修正され、上記の係合が確実に行われる。
るためには、翼突起7、8と貫通孔9、10の相互の位
置関係が精度よく設定されていなければならない。ま
た、上記のとおり、基端側領域5b、6bの肉厚を薄く
することにより、翼部5、6を上方に持ち上げた際に、
シールド筒4aの外面に沿わせ易くなる。
翼突起7、8と環状溝2eの係合による針基2の保持力
は、十分強固である必要がある。すなわち、上述の先端
部突起15、16と環状溝2eとの係合による保持に比
べて、より強い保持力を作用させることが可能であるこ
とを要する。穿刺の操作は、針基2の環状溝2eに翼突
起7、8の先端部が係合した状態で、両翼部5、6を指
で挟み押圧して行うので、十分な保持力を得ることは容
易である。しかしながら、環状溝2eおよび翼突起7、
8の形状や寸法を的確に設定するように留意する必要が
ある。
い形状、寸法であることが望ましい。また、押圧を解除
した時には、直ちに翼突起7、8が貫通孔9、10から
抜去されるように、貫通孔9、10の径に対して、突起
7、8の径が少し小さい方が使い易い。
3が、また翼部6に凸条12と条溝14が形成され、凸
条11と条溝14が、また凸条12と条溝13がそれぞ
れ係合するようになっているが、特にこのような組合せ
に限定される必要はない。例えば、一方の翼部に1本の
凸条を形成し、他方の翼部に対応する条溝を形成しても
良いし、一方の翼部に2本の凸条を形成し、他方の翼部
に対応する2本の条溝を形成しても良い。
表面形状に対応させることが好ましい。例えば、針基2
の軸に垂直な断面が円形ならば、シールド筒4aの内腔
形状も同じような円形状であるか、少なくとも内腔の一
部が円形であることが望ましい。本実施の形態ではシー
ルド筒4aの内腔は円形であるが、内腔の上側は針基2
の外表面形状に対応する曲面に形成され、内腔面の底部
は平坦に形成されていてもよい。また、シールド筒4a
の外表面の底部は平坦に形成されている。特に、シール
ド筒4aの外表面底部は、患者の皮膚上に安定に配置さ
れるように、平坦にすることが好ましい。
納できる長さが必要であることは言うまでもないが、そ
の他については特に限定されない。好ましくは、針基の
最大外径よりシールド筒内腔径を若干大きくする。例え
ば、針基の最大外径部がシールド筒内腔面に触れるか、
触れないか程度の関係とし、摺動によって、針基および
針管がシールド筒内腔を軸方向に移動するように構成す
る。
方法について説明する。使用に際しては、図1に示すよ
うに、針管1を取り付けた針基2に翼付きシールド4が
装着され、針管1には針キャップ18が被嵌された状態
で、医療用針装置が供される。施術者は、片手で両翼部
5、6を重ね合わせて把持し、他方の手で針管1から針
キャップ18を抜去する。次に、図5(b)または
(c)に示すように両翼部を上方に持ち上げて、翼部
5、6を翼突起7、8の部分で把持する。その状態で、
翼突起7、8は貫通孔9、10を貫通し、針基2の環状
溝2eに係合する。従って、針管1および針基2は、シ
ールド筒4a内で自由に移動できないように保持されて
いる。この状態で、患者体内に針管1が穿刺される。
れた両翼部5、6を開いて、粘着テープによって翼部
5、6を患者皮膚上に固定する。この状態では、翼突起
7、8が針基2に係合していないが、シールド筒4aの
先端部突起15、16が針基2の環状溝2eに係合し、
翼部5、6を用いた場合よりも弱い保持力ではあるが、
針基2がシールド筒4a内に保持されている。従って、
シールド筒4a内で針管1が軸方向基端側に移動して、
患者体内から針管1が抜去されることが防止される。
5、6を固定したままで、或いは翼部5、6を手で押さ
えながら、チューブ3をシールド筒4aの基端側に引張
る。それにより、保持力の弱い先端部突起15、16と
環状溝2eの係合が外れ、針基2が移動可能になる。さ
らにチューブ3を基端側に引張ると、針管2の先端部ま
でシールド筒4a内に完全に収納され、誤穿刺が防止さ
れた状態が得られる。同時に、針基2の保持部2bとシ
ールド筒4aの後端係止部17が係合して、針基2がシ
ールド筒4a内の収納位置に強固に保持された状態とな
る。
おける医療用針装置を構成する翼付きシールドを示す。
この翼付きシールドは、実施の形態1における構成に加
えて、シールド筒4aの上面に保持桿20を設けたもの
である。上述のように、医療用針装置を使用した後に
は、針基に接続されたチューブをシールド筒4aの基端
側に引張り、誤穿刺防止状態で針基をシールド筒4a内
に保持する。保持桿20は、その際に、シールド筒4a
が移動しないように固定するために用いられる。すなわ
ち、保持桿20に指を当てて、チューブを引張る力に抗
することにより、針基をシールド筒4aの基端側に引張
る操作が容易になる。
おける医療用針装置を構成する翼付きシールドを示す。
この翼付きシールドは、実施の形態1における構成に加
えて、シールド筒4aの基端部に、回動片21を含む補
助保持機構を設けたことである。図7(a)はその平面
図、図7(b)は図7(a)のD−Dにおける断面図で
ある。回動片21は、その長手方向片側でシールド筒4
aに固定されている。他方の側は、シールド筒4aの軸
の回りに回動可能であり、突起22を有する。固定され
た部分には、貫通孔23が形成されている。シールド筒
4aの円筒壁には貫通孔23と連通する貫通孔が設けら
れている。
用いられる針基2を、図8に示す。この針基2の後部に
は、環状突起24と環状溝25からなる補助保持部が設
けられている。この針基2を図7の翼付きシールドに挿
入し、規制部2cをシールド筒4aの基端に当接させた
状態、すなわち上述の使用状態において、補助保持部の
環状溝25の位置が、回動片21の貫通孔23の位置と
一致する。
22を貫通孔23に挿入することにより、突起22の先
端が、環状溝25に係合する。それにより、針基2をシ
ールド筒4aに対して保持する保持力を付与することが
できる。この保持力は、シールド筒4aの先端部突起1
5、16と針基2の環状溝2eの係合により得られる保
持力に対して、補助的に付加される。補助の保持力を必
要としない場合、あるいは使用後に針基2をシールド筒
4a内に収納する際には、回動片21の突起22を貫通
孔23から抜去しておく。
し、貫通孔23に突起22が圧入されるようにすれば、
その状態を固定することも可能である。また、環状突起
24と環状溝25のうち、いずれか一方のみにより同様
の保持作用を得ることも可能である。
後における相対的に弱い保持力を補強し、針留置時と針
収納時の保持力を異ならせて、2段階の保持力に設定す
ることが可能になる。
療用針装置を図9に示す。この装置においては、針基2
の保持部が、径大部2dのみで構成されている。シール
ド筒4aの後端部には、径小部17aのみが形成されて
いる。他の構成は、実施の形態1と同様である。
とその後部の境界に形成された段差部26により、使用
時の保持作用が得られる。すなわち、翼突起7、8また
はシールド筒4aの先端部突起(図9には図示されてい
ない)が、段差部26に係合することにより、針基2が
図に示す位置からシールド筒4aの後端側へ移動するこ
とが防止される。これにより実施の形態1と同様に、翼
突起7、8により穿刺操作時における針基2の保持を、
そしてシールド筒4aの先端部突起により穿刺操作後に
おける針基2の保持を行うことができる。
る構造が図示されていないが、周知のいずれかの構造を
用いて、そのような保持の作用を得ればよい。
療用針装置を図10に示す。この装置においては、針基
2の保持部が外方環状突起2fのみで構成されている。
外方環状突起2fは、図1における径大部2dを置き換
えたように配置される。他の構成は、実施の形態1と同
様である。
起2fとその後部の境界に形成された段差部27によ
り、保持作用が得られる。すなわち、翼突起7、8また
はシールド筒4aの先端部突起(図10には図示されて
いない)が、段差部27に係合することにより、針基2
が図に示す位置からシールド筒4aの後端側へ移動する
ことが防止される。これにより実施の形態1と同様に、
翼突起7、8により穿刺操作時における針基2の保持
を、そしてシールド筒4aの先端部突起により穿刺操作
後における針基2の保持を行うことができる。
状突起2fが、シールド筒4aの後端係止部17に形成
された環状溝17cに係合する。それにより、針基2を
収納した状態が保持される。
操作後において医療用針を翼付きシールドに対して保持
するための保持力が、それぞれ最適に設定された医療用
針装置を得ることができる。それにより、穿刺操作時に
は医療用針を確実に保持し、使用後には医療用針を容易
に収納位置に移動させることができ、医療用針を翼付き
シールド内の穿刺防止可能な位置に収納して、その状態
を保持する操作を、安全かつ容易に行うことが可能とな
る。
を備えた翼付き医療用針装置の平面形状を示す断面図
シールドを示し、(a)はその平面形状を示す断面図、
(b)は(a)のA−Aにおける断面図
示し、(a)はその正面図、(b)はその軸方向におけ
る断面図
図
針装置を構成する翼付きシールドの側面図
針装置を構成する翼付きシールドを示し、(a)はその
平面図、(b)は(a)のD−Dにおける断面図
針装置を構成する針基の正面図
針装置の平面形状を示す断面図
用針装置の平面形状を示す断面図
Claims (12)
- 【請求項1】 略円筒状のシールド筒および前記シール
ド筒の先端側に結合した一対の翼部を有する翼付きシー
ルドと、前記シールド筒の内腔に軸方向に移動可能なよ
うに挿入された針基と、前記針基の先端部に装着された
針管とを備え、前記シールド筒の内腔に、前記針管をそ
の先端を被覆して収納可能である誤穿刺防止用の翼付き
シールドを有する医療用針装置において、 前記各翼部は、その基端側領域の翼面から突出するよう
に形成された翼突起を有し、前記シールド筒は、前記各
翼突起を挿入可能なように側部の円筒壁に形成された貫
通孔、および前記貫通孔と略一致する軸方向位置の内周
面に形成された先端部突起を有し、前記針基は、主管部
および前記主管部の先端近傍に位置する保持部を有し、
前記保持部は、前記主管部よりも径大な部分を有して、
その径大部の後部外表面に段差部が形成され、 前記針基の段差部に前記シールド筒の先端部突起が係合
可能であり、その係合状態において、前記両翼部を前記
シールド筒側面に沿って重ね合わせることにより、前記
貫通孔を通して前記各翼突起を前記針基の段差部に係合
可能であり、 前記針基の段差部に、前記先端部突起もしくは前記各翼
突起を係合させることにより、前記シールド筒先端から
前記針管が所定長さ突出した状態で、前記針基が前記シ
ールド筒内を基端側に移動しないように保持されること
を特徴とする医療用針装置。 - 【請求項2】 前記両翼部を前記シールド筒側面に沿っ
て重ね合わせて、前記針基の段差部と前記各翼突起を係
合させた状態で、前記両翼部を前記各翼突起の位置にお
いて挟んで押圧することにより、前記針基に対する保持
力を、前記針基の段差部と前記先端部突起の係合により
得られる保持力よりも大きくすることが可能である請求
項1に記載の医療用針装置。 - 【請求項3】 前記一対の翼突起の各々に対応する一対
の前記貫通孔が、前記シールド筒の両側壁に別個に形成
された請求項1に記載の医療用針装置。 - 【請求項4】 前記先端部突起は一対形成され、前記シ
ールド筒の内面周方向における前記一対の貫通孔の間
に、それぞれ1個ずつ配置された請求項3に記載の医療
用針装置。 - 【請求項5】 前記貫通孔は、前記シールド筒の両側面
に連なって形成された1本の溝状である請求項1に記載
の医療用針装置。 - 【請求項6】 前記各翼部は、基端側の領域の肉厚が先
端側よりも薄い請求項1に記載の医療用針装置。 - 【請求項7】 前記シールド筒の底部外表面が平坦に形
成された請求項1に記載の医療用針装置。 - 【請求項8】 前記シールド筒は、その後端部の内周面
に形成された後端係止部を更に有し、前記後端係止部
は、前記針基の保持部における径大部よりも内径が小さ
く、その軸方向中間部に環状溝が形成され、 前記針基を前記シールド筒に対して軸方向基端側に移動
させることにより、前記シールド筒の後端係止部におけ
る環状溝に、前記針基の保持部における径大部を係合さ
せることが可能であり、その係合により、前記シールド
筒の内腔に前記針管を収納した状態で、前記針基が前記
シールド筒に保持されることを特徴とする請求項1に記
載の医療用針装置。 - 【請求項9】 前記針基の保持部は、前記径大部の後部
に外方環状突起を更に有して、前記径大部と前記外方環
状突起の間の外表面に環状溝が形成され、 前記針基の環状溝に前記シールド筒の先端部突起もしく
は前記各翼突起を係合させて、前記段差部に基づく保持
機能と同様の機能を得ることが可能である請求項1に記
載の医療用針装置。 - 【請求項10】 前記シールド筒は、その後端部の内周
面に形成された後端係止部を更に有し、前記後端係止部
は内方環状突起を含み、前記針基を前記シールド筒に対
して軸方向基端側に移動させることにより、前記針基の
環状溝に前記内方環状突起を係合させることが可能であ
り、その係合により、前記シールド筒の内腔に前記針管
を収納した状態で、前記針基が前記シールド筒に保持さ
れることを特徴とする請求項9に記載の医療用針装置。 - 【請求項11】 前記シールド筒の上面に保持桿が形成
された請求項1に記載の医療用針装置。 - 【請求項12】 前記シールド筒の基端部に設けられた
補助保持機構と、前記針基の後部に形成された補助保持
部とを更に備え、前記補助保持機構は、前記シールド筒
の基端部外表面に取り付けられた回動片、その回動片に
設けられた補助突起、および前記回動片の回動により前
記補助突起が前記シールド筒の内腔に挿入可能なように
前記シールド筒壁に設けられた貫通孔を含み、前記補助
保持部は、前記針基の外表面に形成された補助環状溝ま
たは補助環状突起を含み、 前記貫通孔を通して前記補助突起を前記針基の補助環状
溝または補助環状突起に係合させることにより、前記所
定長さだけ前記シールド筒先端から前記針管が突出した
状態で、前記針基を前記シールド筒に保持する補助保持
力が付与されることを特徴とする請求項1に記載の医療
用針装置。
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