JP2003113172A - 無水コハク酸の製造方法 - Google Patents
無水コハク酸の製造方法Info
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- JP2003113172A JP2003113172A JP2001310769A JP2001310769A JP2003113172A JP 2003113172 A JP2003113172 A JP 2003113172A JP 2001310769 A JP2001310769 A JP 2001310769A JP 2001310769 A JP2001310769 A JP 2001310769A JP 2003113172 A JP2003113172 A JP 2003113172A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 不純物の副生を抑制し、高品質で着色の少な
い無水コハク酸を得ることができる製造方法を提供す
る。 【解決手段】 無水マレイン酸を原料として用い、水素
添加反応により無水コハク酸を得る方法において、前記
無水マレイン酸として、溶融状態で製造された無水マレ
イン酸を酸素濃度15%以上かつ水分濃度0.5%以上
の環境下に曝すことなくそのまま用いる。
い無水コハク酸を得ることができる製造方法を提供す
る。 【解決手段】 無水マレイン酸を原料として用い、水素
添加反応により無水コハク酸を得る方法において、前記
無水マレイン酸として、溶融状態で製造された無水マレ
イン酸を酸素濃度15%以上かつ水分濃度0.5%以上
の環境下に曝すことなくそのまま用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無水マレイン酸を
水素添加することにより無水コハク酸を得る方法に関す
る。
水素添加することにより無水コハク酸を得る方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】無水コハク酸は、例えば、コハク酸、コ
ハク酸のジエステル類、スクシンイミド類、ポリエステ
ル類等の合成原料として有用な化合物である。無水コハ
ク酸の製造方法としては、コハク酸を脱水する方法か、
あるいは無水マレイン酸を水素添加する方法が知られて
いるが、工業的な観点からは後者が好ましく、これまで
に水素添加の際の触媒や反応条件等については種々の検
討がなされてきた。従来から、水素添加により無水コハ
ク酸を得る方法において原料となる無水マレイン酸は、
ベンゼンを工業的に接触気相酸化することにより溶融状
態で製造されており、これを無水コハク酸の製造に用い
る場合には、通常、運搬や保管の際の利便性を考慮し
て、製造後の溶融状態の無水マレイン酸を一旦ペレット
等に固形化しておき、水素添加反応を行うときに再溶融
して用いるのが一般的である。
ハク酸のジエステル類、スクシンイミド類、ポリエステ
ル類等の合成原料として有用な化合物である。無水コハ
ク酸の製造方法としては、コハク酸を脱水する方法か、
あるいは無水マレイン酸を水素添加する方法が知られて
いるが、工業的な観点からは後者が好ましく、これまで
に水素添加の際の触媒や反応条件等については種々の検
討がなされてきた。従来から、水素添加により無水コハ
ク酸を得る方法において原料となる無水マレイン酸は、
ベンゼンを工業的に接触気相酸化することにより溶融状
態で製造されており、これを無水コハク酸の製造に用い
る場合には、通常、運搬や保管の際の利便性を考慮し
て、製造後の溶融状態の無水マレイン酸を一旦ペレット
等に固形化しておき、水素添加反応を行うときに再溶融
して用いるのが一般的である。
【0003】しかし、従来のように固体化した無水マレ
イン酸を用いた水素添加反応では、触媒や反応条件につ
いて検討を重ね、最適化した条件で行なったとしても、
得られた反応液に種々の不純物が副生してしまうのが現
状であった。そして、無水コハク酸の製品中にこれらの
不純物が含有していると、着色が著しいという問題を生
じることがあった。また、一般に、これらの不純物を除
去するためには、反応後に蒸留等により精製することが
考えられるが、精製工程を経ると必然的に目的とする無
水コハク酸の収率が下がることから、反応時に不純物の
副生をできる限り抑制することが要望されている。
イン酸を用いた水素添加反応では、触媒や反応条件につ
いて検討を重ね、最適化した条件で行なったとしても、
得られた反応液に種々の不純物が副生してしまうのが現
状であった。そして、無水コハク酸の製品中にこれらの
不純物が含有していると、着色が著しいという問題を生
じることがあった。また、一般に、これらの不純物を除
去するためには、反応後に蒸留等により精製することが
考えられるが、精製工程を経ると必然的に目的とする無
水コハク酸の収率が下がることから、反応時に不純物の
副生をできる限り抑制することが要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、不
純物の副生を抑制し、高品質で着色の少ない無水コハク
酸を得ることができる製造方法を提供することを目的と
する。
純物の副生を抑制し、高品質で着色の少ない無水コハク
酸を得ることができる製造方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を行った結果、原料の無水マレイン
酸が固形化される際に空気中の酸素や水分と接触し、こ
のことが種々の不純物が副生する一因になっていること
を見出した。詳しくは、原料の無水マレイン酸が酸素と
接触していると、着色の原因となる不純物が副生しやす
く、しかも該副生物は蒸留によっても除去が困難である
という知見を得た。さらに、酸素と接触することにより
無水マレイン酸中に混入した酸素そのものも、水素添加
反応の際に用いる触媒の活性を低下させることが判っ
た。一方、原料の無水マレイン酸が水分と接触している
と、有水物が副生しやすく、しかも該有水物は蒸留によ
っても除去が困難であるという知見も得た。そのため、
高純度、高品質の無水コハク酸を得るためには、水素添
加反応終了時に反応液中の前記副生物含有量を抑えるの
が最も効率的であると考え、製造された無水マレイン酸
を溶融状態のまま使用することとし、無水コハク酸の製
造に用いられるまでの間に一定濃度以上の酸素および/
または水分に接触しないようにすることによって、前記
不純物の副生を抑制できることを見出し、本発明を完成
した。
解決すべく鋭意検討を行った結果、原料の無水マレイン
酸が固形化される際に空気中の酸素や水分と接触し、こ
のことが種々の不純物が副生する一因になっていること
を見出した。詳しくは、原料の無水マレイン酸が酸素と
接触していると、着色の原因となる不純物が副生しやす
く、しかも該副生物は蒸留によっても除去が困難である
という知見を得た。さらに、酸素と接触することにより
無水マレイン酸中に混入した酸素そのものも、水素添加
反応の際に用いる触媒の活性を低下させることが判っ
た。一方、原料の無水マレイン酸が水分と接触している
と、有水物が副生しやすく、しかも該有水物は蒸留によ
っても除去が困難であるという知見も得た。そのため、
高純度、高品質の無水コハク酸を得るためには、水素添
加反応終了時に反応液中の前記副生物含有量を抑えるの
が最も効率的であると考え、製造された無水マレイン酸
を溶融状態のまま使用することとし、無水コハク酸の製
造に用いられるまでの間に一定濃度以上の酸素および/
または水分に接触しないようにすることによって、前記
不純物の副生を抑制できることを見出し、本発明を完成
した。
【0006】すなわち、本発明の第一の無水コハク酸の
製造方法は、無水マレイン酸を原料として用い、水素添
加反応により無水コハク酸を得る方法において、前記無
水マレイン酸として、溶融状態で製造された無水マレイ
ン酸を酸素濃度15%以上の環境下に曝すことなくその
まま用いる、ことを特徴とする。本発明の第二の無水コ
ハク酸の製造方法は、無水マレイン酸を原料として用
い、水素添加反応により無水コハク酸を得る方法におい
て、前記無水マレイン酸として、溶融状態で製造された
無水マレイン酸を水分濃度0.5%以上の環境下に曝す
ことなくそのまま用いる、ことを特徴とする。
製造方法は、無水マレイン酸を原料として用い、水素添
加反応により無水コハク酸を得る方法において、前記無
水マレイン酸として、溶融状態で製造された無水マレイ
ン酸を酸素濃度15%以上の環境下に曝すことなくその
まま用いる、ことを特徴とする。本発明の第二の無水コ
ハク酸の製造方法は、無水マレイン酸を原料として用
い、水素添加反応により無水コハク酸を得る方法におい
て、前記無水マレイン酸として、溶融状態で製造された
無水マレイン酸を水分濃度0.5%以上の環境下に曝す
ことなくそのまま用いる、ことを特徴とする。
【0007】本発明の第三の無水コハク酸の製造方法
は、無水マレイン酸を原料として用い、水素添加反応に
より無水コハク酸を得る方法において、前記無水マレイ
ン酸として、溶融状態で製造された無水マレイン酸を酸
素濃度15%以上かつ水分濃度0.5%以上の環境下に
曝すことなくそのまま用いる、ことを特徴とする。
は、無水マレイン酸を原料として用い、水素添加反応に
より無水コハク酸を得る方法において、前記無水マレイ
ン酸として、溶融状態で製造された無水マレイン酸を酸
素濃度15%以上かつ水分濃度0.5%以上の環境下に
曝すことなくそのまま用いる、ことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、無水マレイ
ン酸を水素添加反応により無水コハク酸に変換するもの
である。本発明において、原料となる無水マレイン酸の
製造方法としては、特に制限はなく、例えば、ベンゼン
を固定床プロセスで空気または分子状酸素含有ガスによ
り接触気相酸化する方法(特公平3−54944号公
報、特公昭38−19108号公報等参照)により製造
することができる。具体的には、例えば、シリコンカー
バイトを主体とする多孔性不活性担体に、五酸化バナジ
ウム、三酸化モリブデン、酸化ナトリウム等を主成分と
する組成に助触媒を添加してなる活性物質を担持させた
触媒を用い、空気または分子状酸素含有ガスにベンゼン
を約20〜100g/NM2の割合で混合し、約100
〜150℃に加熱した原料ガスを、前記触媒を充填した
反応管の上部より空間速度1500〜6000Hr-1程
度の速さで導通して反応を行なうことにより、溶融状態
の無水マレイン酸が得られる。
ン酸を水素添加反応により無水コハク酸に変換するもの
である。本発明において、原料となる無水マレイン酸の
製造方法としては、特に制限はなく、例えば、ベンゼン
を固定床プロセスで空気または分子状酸素含有ガスによ
り接触気相酸化する方法(特公平3−54944号公
報、特公昭38−19108号公報等参照)により製造
することができる。具体的には、例えば、シリコンカー
バイトを主体とする多孔性不活性担体に、五酸化バナジ
ウム、三酸化モリブデン、酸化ナトリウム等を主成分と
する組成に助触媒を添加してなる活性物質を担持させた
触媒を用い、空気または分子状酸素含有ガスにベンゼン
を約20〜100g/NM2の割合で混合し、約100
〜150℃に加熱した原料ガスを、前記触媒を充填した
反応管の上部より空間速度1500〜6000Hr-1程
度の速さで導通して反応を行なうことにより、溶融状態
の無水マレイン酸が得られる。
【0009】本発明においては、例えば上記のようにし
て得られた溶融状態の無水マレイン酸を、酸素濃度15
%以上および/または水分濃度0.5%以上の環境下に
曝すことなく用いることが重要である。さらに、本発明
の好ましい形態においては、酸素濃度については、好ま
しくは10%以上の環境下に曝すことのないように、よ
り好ましくは7%以上の環境下に曝すことのないよう
に、するのがよい。一方、水分濃度については、好まし
くは0.2%以上の環境下に曝すことのないように、よ
り好ましくは0.1%以上の環境下に曝すことのないよ
うに、するのがよい。製造後の無水マレイン酸を、酸素
濃度15%以上の環境下に曝すことなく用いることによ
り、着色の原因になる不純物の副生を抑制することが可
能となり、水分濃度0.5%以上の環境下に曝すことな
く用いることにより、有水物の副生を抑制することが可
能となり、ひいては高品質で着色の少ない無水コハク酸
を得ることができるのである。なお、本発明における酸
素濃度および水分濃度とは、それぞれ下記式によって求
められるものである。 酸素濃度(%)=[空気中に含有される酸素の容積
(m3)]/[全空気の容積(m3)]×100 水分濃度(%)=[空気中に含有される水蒸気(kg)]
/[乾き空気(kg)]×100 溶融状態で製造された無水マレイン酸を、前記範囲の酸
素濃度および/または水分濃度の環境下に曝すことのな
いようにするには、製造後水素添加反応に用いるまでの
間、例えば、真空もしくは窒素等の不活性ガス雰囲気下
で保管するなどして、外気との接触を避けることがより
好ましい。具体的には、例えば、次の(1)や(2)の
ようにすればよい。 (1)無水マレイン酸の製造装置と水素添加反応を行う
装置とをパイプで接続し、酸素および水分との接触を避
けて、無水マレイン酸を移送する。 (2)不活性ガス雰囲気下に保つことができ、かつ無水
マレイン酸の融点以上に加熱もしくは保温可能な容器や
タンクローリーにて、酸素および水分との接触を避け
て、製造後の無水マレイン酸の保管や移送を行う。 また、例えば、無水マレイン酸の製造後水素添加反応に
用いるまでの間の利便性から通常行なわれている固形化
を行なうと、空気中の酸素や水分によって、酸素濃度1
5%以上および/または水分濃度0.5%以上の環境下
に曝すこととなるので、本発明においては固形化を経る
ことなく溶融状態のままの無水マレイン酸を原料とする
のが好ましい。
て得られた溶融状態の無水マレイン酸を、酸素濃度15
%以上および/または水分濃度0.5%以上の環境下に
曝すことなく用いることが重要である。さらに、本発明
の好ましい形態においては、酸素濃度については、好ま
しくは10%以上の環境下に曝すことのないように、よ
り好ましくは7%以上の環境下に曝すことのないよう
に、するのがよい。一方、水分濃度については、好まし
くは0.2%以上の環境下に曝すことのないように、よ
り好ましくは0.1%以上の環境下に曝すことのないよ
うに、するのがよい。製造後の無水マレイン酸を、酸素
濃度15%以上の環境下に曝すことなく用いることによ
り、着色の原因になる不純物の副生を抑制することが可
能となり、水分濃度0.5%以上の環境下に曝すことな
く用いることにより、有水物の副生を抑制することが可
能となり、ひいては高品質で着色の少ない無水コハク酸
を得ることができるのである。なお、本発明における酸
素濃度および水分濃度とは、それぞれ下記式によって求
められるものである。 酸素濃度(%)=[空気中に含有される酸素の容積
(m3)]/[全空気の容積(m3)]×100 水分濃度(%)=[空気中に含有される水蒸気(kg)]
/[乾き空気(kg)]×100 溶融状態で製造された無水マレイン酸を、前記範囲の酸
素濃度および/または水分濃度の環境下に曝すことのな
いようにするには、製造後水素添加反応に用いるまでの
間、例えば、真空もしくは窒素等の不活性ガス雰囲気下
で保管するなどして、外気との接触を避けることがより
好ましい。具体的には、例えば、次の(1)や(2)の
ようにすればよい。 (1)無水マレイン酸の製造装置と水素添加反応を行う
装置とをパイプで接続し、酸素および水分との接触を避
けて、無水マレイン酸を移送する。 (2)不活性ガス雰囲気下に保つことができ、かつ無水
マレイン酸の融点以上に加熱もしくは保温可能な容器や
タンクローリーにて、酸素および水分との接触を避け
て、製造後の無水マレイン酸の保管や移送を行う。 また、例えば、無水マレイン酸の製造後水素添加反応に
用いるまでの間の利便性から通常行なわれている固形化
を行なうと、空気中の酸素や水分によって、酸素濃度1
5%以上および/または水分濃度0.5%以上の環境下
に曝すこととなるので、本発明においては固形化を経る
ことなく溶融状態のままの無水マレイン酸を原料とする
のが好ましい。
【0010】本発明における水素添加反応は、特に制限
されるものではなく、従来公知の方法により、加圧下で
触媒とともに水素を反応させればよい。また、水素添加
反応はバッチ式で行ってもよいし、流通式で行ってもよ
い。水素添加反応を行なう際の諸条件は、特に限定され
るものではないが、好ましい条件としては、例えば、活
性炭に担持させたパラジウム触媒を無水マレイン酸に対
してパラジウム換算で0.01〜10重量%用い、該触
媒の存在下、490〜1960kPaに加圧した水素
を、120〜160℃の温度で反応させるのがよい。
されるものではなく、従来公知の方法により、加圧下で
触媒とともに水素を反応させればよい。また、水素添加
反応はバッチ式で行ってもよいし、流通式で行ってもよ
い。水素添加反応を行なう際の諸条件は、特に限定され
るものではないが、好ましい条件としては、例えば、活
性炭に担持させたパラジウム触媒を無水マレイン酸に対
してパラジウム換算で0.01〜10重量%用い、該触
媒の存在下、490〜1960kPaに加圧した水素
を、120〜160℃の温度で反応させるのがよい。
【0011】本発明においては、水素添加反応における
未反応原料等を除去する目的で、反応後、さらに蒸留等
により精製を行ってもよい。蒸留の方法は、特に制限さ
れるものではなく、従来公知の方法で行えばよいが、好
ましくは、減圧下、蒸留塔の塔底温度を125〜200
℃にして行うのがよい。本発明の製造方法によれば、有
水物や着色原因となる不純物の副生を抑制することがで
きるので、無水マレイン酸から無水コハク酸への転化率
が高く、高収率で無水コハク酸を得ることができる。水
素添加反応の条件等にもよるが、具体的には、例えば、
無水マレイン酸からの転化率は、好ましくは98%以上
となり、得られる無水コハク酸の収率は、好ましくは9
6%以上となる。
未反応原料等を除去する目的で、反応後、さらに蒸留等
により精製を行ってもよい。蒸留の方法は、特に制限さ
れるものではなく、従来公知の方法で行えばよいが、好
ましくは、減圧下、蒸留塔の塔底温度を125〜200
℃にして行うのがよい。本発明の製造方法によれば、有
水物や着色原因となる不純物の副生を抑制することがで
きるので、無水マレイン酸から無水コハク酸への転化率
が高く、高収率で無水コハク酸を得ることができる。水
素添加反応の条件等にもよるが、具体的には、例えば、
無水マレイン酸からの転化率は、好ましくは98%以上
となり、得られる無水コハク酸の収率は、好ましくは9
6%以上となる。
【0012】本発明の製造方法で得られた無水コハク酸
は、有水物や着色原因となる不純物が極めて少ないもの
であるので、例えば、コハク酸、コハク酸のジエステル
類、スクシンイミド類、ポリエステル類等の合成原料と
して有用であり、とりわけポリエステル類の合成原料と
して適している。
は、有水物や着色原因となる不純物が極めて少ないもの
であるので、例えば、コハク酸、コハク酸のジエステル
類、スクシンイミド類、ポリエステル類等の合成原料と
して有用であり、とりわけポリエステル類の合成原料と
して適している。
【0013】
【実施例】以下、具体的に実施例と比較例を挙げて本発
明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、得られた無水コハク酸の分析
は以下のようにして行った。 <有水物(コハク酸)の含有量> 得られた無水コハク
酸について、400MHzNMR(Varian製)を
用いて1Hを測定することにより、無水コハク酸中のコ
ハク酸量を定量した。 <着色度> 得られた無水コハク酸を窒素雰囲気下で溶
融し、直径5cmの円盤状容器に流し込み固化させて厚
み5mmのサンプルを得た。このサンプルの黄色度(Y
I)を、色差計(日本電色工業製「SE−2000」)
を用いて測定した。
明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、得られた無水コハク酸の分析
は以下のようにして行った。 <有水物(コハク酸)の含有量> 得られた無水コハク
酸について、400MHzNMR(Varian製)を
用いて1Hを測定することにより、無水コハク酸中のコ
ハク酸量を定量した。 <着色度> 得られた無水コハク酸を窒素雰囲気下で溶
融し、直径5cmの円盤状容器に流し込み固化させて厚
み5mmのサンプルを得た。このサンプルの黄色度(Y
I)を、色差計(日本電色工業製「SE−2000」)
を用いて測定した。
【0014】(参考例−無水マレイン酸の製造)水中に
蓚酸を溶解し、これに、メタパナジン酸アンモニウム、
モリブデン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、リン酸二
水素ナトリウムおよび硫酸セシウムを加えて加熱溶解さ
せ、触媒液とし、該触媒液に窒化珪素ウイスカーを添加
して均一に分散させ、活性物質スラリーとした。次い
で、シリコンカーバイド、アルミナおよびシリカからな
る多孔性リング担体を外部加熱装置つきの回転ドラムに
入れ、200〜250℃に保ちながら前記活性物質スラ
リーを噴霧させて活性物質を担持させ、続いて、空気中
400℃にて5時間焼成することにより、触媒Aを作製
した。
蓚酸を溶解し、これに、メタパナジン酸アンモニウム、
モリブデン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、リン酸二
水素ナトリウムおよび硫酸セシウムを加えて加熱溶解さ
せ、触媒液とし、該触媒液に窒化珪素ウイスカーを添加
して均一に分散させ、活性物質スラリーとした。次い
で、シリコンカーバイド、アルミナおよびシリカからな
る多孔性リング担体を外部加熱装置つきの回転ドラムに
入れ、200〜250℃に保ちながら前記活性物質スラ
リーを噴霧させて活性物質を担持させ、続いて、空気中
400℃にて5時間焼成することにより、触媒Aを作製
した。
【0015】他方、リン酸二水素アンモニウムの量を1
7.5倍としたこと以外は上記と同様にして、触媒Bを
作製した。次に、溶融塩浴に浸した内径25mm、長さ
3.5mの反応管に、触媒Bを1.5mの高さまで充填
し、次いでその上に触媒Aを1mの高さまで積層して充
填し、温度を355℃に保った。そして、ベンゼン濃度
65g/NM2のベンゼン−空気混合ガスを、反応管上
部から、空間速度3000Hr-1(STP)で導通し
て、100%純度ベンゼンに対して98.5重量%の収
率で粗製無水マレイン酸を得た。該粗製無水マレイン酸
を150〜160℃で減圧蒸留し、純度99.9%の無
水マレイン酸を溶融状態で得た。
7.5倍としたこと以外は上記と同様にして、触媒Bを
作製した。次に、溶融塩浴に浸した内径25mm、長さ
3.5mの反応管に、触媒Bを1.5mの高さまで充填
し、次いでその上に触媒Aを1mの高さまで積層して充
填し、温度を355℃に保った。そして、ベンゼン濃度
65g/NM2のベンゼン−空気混合ガスを、反応管上
部から、空間速度3000Hr-1(STP)で導通し
て、100%純度ベンゼンに対して98.5重量%の収
率で粗製無水マレイン酸を得た。該粗製無水マレイン酸
を150〜160℃で減圧蒸留し、純度99.9%の無
水マレイン酸を溶融状態で得た。
【0016】(実施例1)参考例で得られた無水マレイ
ン酸100gを、そのままの溶融状態で、酸素濃度7%
未満、水分濃度0.1%未満の環境下、70℃で5時間
保存した後、あらかじめ、活性炭に担持させたパラジウ
ム触媒(Pd5重量%)0.4gを添加し窒素(水分量
0.01%以下)で充分に置換しておいた0.2Lオー
トクレーブに、同様に窒素置換したパイプを通じて外気
に触れさせることなく直接添加した。次いで、窒素雰囲
気下を保持したまま140℃に昇温して無水マレイン酸
を完全に溶解させ、続いて、オートクレーブ内の排気を
行った後、攪拌下、水素圧980kPaで180分間水
素添加反応を行った。そして、オートクレーブ内を排気
し、さらに窒素置換した後、溶融している反応生成物を
ろ過することにより触媒を除去して粗製無水コハク酸を
得た。さらに、該粗製無水コハク酸を、減圧下、蒸留塔
の塔底温度を120〜130℃として単蒸留し、無水コ
ハク酸を得た。
ン酸100gを、そのままの溶融状態で、酸素濃度7%
未満、水分濃度0.1%未満の環境下、70℃で5時間
保存した後、あらかじめ、活性炭に担持させたパラジウ
ム触媒(Pd5重量%)0.4gを添加し窒素(水分量
0.01%以下)で充分に置換しておいた0.2Lオー
トクレーブに、同様に窒素置換したパイプを通じて外気
に触れさせることなく直接添加した。次いで、窒素雰囲
気下を保持したまま140℃に昇温して無水マレイン酸
を完全に溶解させ、続いて、オートクレーブ内の排気を
行った後、攪拌下、水素圧980kPaで180分間水
素添加反応を行った。そして、オートクレーブ内を排気
し、さらに窒素置換した後、溶融している反応生成物を
ろ過することにより触媒を除去して粗製無水コハク酸を
得た。さらに、該粗製無水コハク酸を、減圧下、蒸留塔
の塔底温度を120〜130℃として単蒸留し、無水コ
ハク酸を得た。
【0017】得られた無水コハク酸の分析を行ったとこ
ろ、コハク酸の含有量は2000ppmであり、着色度
(YI)は−1.1であり、目視では白色であった。 (比較例1)参考例で得られた無水マレイン酸100g
を、そのままの溶融状態で、酸素濃度20.0%、水分
濃度0.01%以下の乾燥空気雰囲気下、70℃で5時
間保存した後、実施例1と同様のオートクレーブに同様
にして添加し、以降、実施例1と同様にして無水コハク
酸を得た。得られた無水コハク酸の分析を行ったとこ
ろ、コハク酸の含有量は0.2%であり、着色度(Y
I)は4.3であり、目視では淡黄色であった。
ろ、コハク酸の含有量は2000ppmであり、着色度
(YI)は−1.1であり、目視では白色であった。 (比較例1)参考例で得られた無水マレイン酸100g
を、そのままの溶融状態で、酸素濃度20.0%、水分
濃度0.01%以下の乾燥空気雰囲気下、70℃で5時
間保存した後、実施例1と同様のオートクレーブに同様
にして添加し、以降、実施例1と同様にして無水コハク
酸を得た。得られた無水コハク酸の分析を行ったとこ
ろ、コハク酸の含有量は0.2%であり、着色度(Y
I)は4.3であり、目視では淡黄色であった。
【0018】(比較例2)参考例で得られた無水マレイ
ン酸100gを、そのままの溶融状態で、酸素濃度0.
01%以下、水分濃度1%の窒素雰囲気下、70℃で5
時間保存した後、実施例1と同様のオートクレーブに同
様にして添加し、以降、実施例1と同様にして無水コハ
ク酸を得た。得られた無水コハク酸の分析を行ったとこ
ろ、コハク酸の含有量は1.5%であり、着色度(Y
I)は−0.8であり、目視では白色であった。 (比較例3)参考例で得られた無水マレイン酸を、製造
後、外気(温度25℃、湿度60%、酸素濃度20.9
%、水分濃度1.2%)中に抜き出し、固化させてペレ
ットとした。このペレット100gを、実施例1と同様
のオートクレーブ内に入れ、以降、実施例1と同様にし
て無水コハク酸を得た。
ン酸100gを、そのままの溶融状態で、酸素濃度0.
01%以下、水分濃度1%の窒素雰囲気下、70℃で5
時間保存した後、実施例1と同様のオートクレーブに同
様にして添加し、以降、実施例1と同様にして無水コハ
ク酸を得た。得られた無水コハク酸の分析を行ったとこ
ろ、コハク酸の含有量は1.5%であり、着色度(Y
I)は−0.8であり、目視では白色であった。 (比較例3)参考例で得られた無水マレイン酸を、製造
後、外気(温度25℃、湿度60%、酸素濃度20.9
%、水分濃度1.2%)中に抜き出し、固化させてペレ
ットとした。このペレット100gを、実施例1と同様
のオートクレーブ内に入れ、以降、実施例1と同様にし
て無水コハク酸を得た。
【0019】得られた無水コハク酸の分析を行ったとこ
ろ、コハク酸の含有量は2.1%であり、着色度(Y
I)は5.5であり、目視では黄色であった。
ろ、コハク酸の含有量は2.1%であり、着色度(Y
I)は5.5であり、目視では黄色であった。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、有水物や着色原因とな
る不純物の副生を抑制し、高品質で着色の少ない無水コ
ハク酸を得ることができる。
る不純物の副生を抑制し、高品質で着色の少ない無水コ
ハク酸を得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 井上 理絵
大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社
日本触媒内
(72)発明者 柿本 行彦
兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の
1 株式会社日本触媒内
Fターム(参考) 4H039 CA19 CB10
Claims (3)
- 【請求項1】無水マレイン酸を原料として用い、水素添
加反応により無水コハク酸を得る方法において、前記無
水マレイン酸として、溶融状態で製造された無水マレイ
ン酸を酸素濃度15%以上の環境下に曝すことなくその
まま用いる、ことを特徴とする無水コハク酸の製造方
法。 - 【請求項2】無水マレイン酸を原料として用い、水素添
加反応により無水コハク酸を得る方法において、前記無
水マレイン酸として、溶融状態で製造された無水マレイ
ン酸を水分濃度0.5%以上の環境下に曝すことなくそ
のまま用いる、ことを特徴とする無水コハク酸の製造方
法。 - 【請求項3】無水マレイン酸を原料として用い、水素添
加反応により無水コハク酸を得る方法において、前記無
水マレイン酸として、溶融状態で製造された無水マレイ
ン酸を酸素濃度15%以上かつ水分濃度0.5%以上の
環境下に曝すことなくそのまま用いる、ことを特徴とす
る無水コハク酸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001310769A JP2003113172A (ja) | 2001-10-05 | 2001-10-05 | 無水コハク酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001310769A JP2003113172A (ja) | 2001-10-05 | 2001-10-05 | 無水コハク酸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003113172A true JP2003113172A (ja) | 2003-04-18 |
Family
ID=19129695
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001310769A Pending JP2003113172A (ja) | 2001-10-05 | 2001-10-05 | 無水コハク酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003113172A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113307784A (zh) * | 2021-06-23 | 2021-08-27 | 吉林省长源药业有限公司 | 一种丁二酸酐的精制方法 |
-
2001
- 2001-10-05 JP JP2001310769A patent/JP2003113172A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113307784A (zh) * | 2021-06-23 | 2021-08-27 | 吉林省长源药业有限公司 | 一种丁二酸酐的精制方法 |
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