JP2003112215A - Mg合金板用圧延油及びMg合金板の製造法 - Google Patents

Mg合金板用圧延油及びMg合金板の製造法

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JP2003112215A
JP2003112215A JP2001302148A JP2001302148A JP2003112215A JP 2003112215 A JP2003112215 A JP 2003112215A JP 2001302148 A JP2001302148 A JP 2001302148A JP 2001302148 A JP2001302148 A JP 2001302148A JP 2003112215 A JP2003112215 A JP 2003112215A
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roll
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Shigeru Kitani
滋 木谷
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 板幅が135mm 以上の広幅のMg合金板を、圧延
によって工業的規模で真に量産することができる技術を
確立する。 【解決手段】 Mg合金からなる被圧延材1に圧延を行っ
てMg合金板を製造するに際し、圧延を行う圧延ロール2
とこの圧延ロール2に接触する被圧延材1との間隙に、
少なくともシリコーン油を含む圧延油を噴霧ノズル7、
7’から噴霧して供給することによって、板幅が135mm
以上の広幅のMg合金板2を圧延によって製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Mg合金板用圧延油
およびMg合金板の製造方法に関するものであり、具体的
には、Mg合金板の圧延の際に用いられるMg合金板用圧延
油と、このMg合金板用圧延油を用いてMg合金板を圧延に
よって工業的規模で真に量産することができるMg合金板
の製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】Mg合金は、実用金属材料の中で最も軽量
(密度:1.74、Feの1/4.5 、Alの1/1.6)であって比強度
が高く、かつリサイクルも可能である。そのため、Mg合
金は、近年、自動車や電気機器等の構成部品等としての
需要が急速に拡大している。
【0003】これらの部品のうちで形状が比較的複雑な
ものは、例えば鍛造、押し出し(ダイカスト)、チクソ
モールディングさらには粉末冶金等の加工によって、最
終製品に近い形状まで直接的に製造されることが多い。
例えば、特開平11−77214 号公報には、肉厚が2mm以下
であるMg合金製薄肉部品の鍛造による製造方法が開示さ
れている。一方、例えば各種機器のケースのような形状
が比較的平坦なものは、丸ビレットを母材として熱間押
出し加工によって製造された、板幅が135mm 未満程度の
狭幅の平板を素材としてプレス成形することにより大量
に製造することが可能であることから、例えば、携帯電
話等のMg合金製ケースを大量生産する方法として注目さ
れている。
【0004】ところで、このようなケースよりもさらに
大型の製品 (例えばパソコンケース等) もプレス成形に
より製造することが、近年検討されるようになってき
た。このためには、必然的に、板幅が135mm 以上の広幅
の平板をプレス成形の素材として用いる必要がある。し
かし、上記の熱間押出し加工を用いた方法では、かかる
広幅の平板を提供することはできない。プレス成形の素
材となるMg合金からなる、かかる広幅の平板を、工業的
規模で安定して大量に供給するには、圧延ロールを用い
た圧延による方法を用いることが、量産性や製造コスト
等の観点から、最も有効であると考えられる。
【0005】殆ど全てのMg合金は、最密六方晶の結晶構
造を有するために常温での塑性加工性が芳しくなく、常
温では高々約10〜15%程度の圧下率の圧延しか行うこと
ができない。そのため、冷間圧延は例えば調質(機械的
性質等の調整)のための最終圧延といった極一部の限ら
れた圧延にしか適用できず、厚板から薄板までの殆ど全
てのMg合金板は、熱間圧延または温間圧延により例えば
200 〜400 ℃程度の圧延温度で製造する必要がある。
【0006】しかしながら、Mg合金板を圧延により製造
しようとすると、圧延ロールへの被圧延材の付着に起因
した問題が発生することが知られている。すなわち、Mg
合金からなる被圧延材が圧延ロールの表面に付着および
蓄積するために圧延ロールの表面の凹凸が大きくなり、
この凹凸が被圧延材の表面に転写されるために、製品で
あるMg合金板が凹凸の多い表面肌となる。
【0007】このような表面肌が形成されることを防止
するために、文献「Mg技術便覧」(日本Mg協会編、2000
年、カロス出版社発行)の242 頁には、加熱したソリュ
ブルオイル(水溶液に油を懸濁させたタイプの油剤)等
の潤滑剤を用いて圧延を行う発明が、開示されている。
【0008】特開平7−113096号公報には、水との反応
による水素ガスの発生が少ないために爆発の危険性が低
いMg合金用水溶性加工油剤として、スルホン酸塩、非イ
オン系界面活性剤および脂肪酸塩を含む油剤を用いる発
明が、開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Mg合金
板を圧延により製造することを目的とする発明がこのよ
うにこれまでにも種々提案されているにもかかわらず、
板幅が135mm 以上の広幅のMg合金板を圧延によって工業
的規模で量産することは、これまでは全く不可能であっ
た。
【0010】すなわち、文献「Mg技術便覧」の242 頁に
開示された発明を、例えば200 〜400 ℃程度の圧延温度
での温間圧延または熱間圧延に適用しようとすると、ソ
リュブルオイルに含まれる大量の水分がMg合金と反応し
て水素ガスを発生し、この水素ガスに引火して発火また
は爆発するおそれがある。また、ソリュブルオイルに含
まれる水分が急速に蒸発する際にMg合金から蒸発潜熱が
奪われてMg合金からなる被圧延材の温度が低下し、その
後の圧延を継続できなくなる可能性も高い。
【0011】また、特開平7−113096号公報に開示され
た発明では、スルホン酸塩、非イオン系界面活性剤およ
び脂肪酸塩を含む油剤が、圧延ロールへのMg合金の付着
防止にどの程度まで有効であるか明らかでない。一般的
には、スルホン酸塩、非イオン系界面活性剤および脂肪
酸塩は有機物であるため、200 〜400 ℃の温度における
圧延で分解し易いためであることから、この油剤では、
圧延ロールへのMg合金の付着を有効に防止することは困
難であると考えられる。
【0012】ここに、本発明の目的は、最も広義には、
Mg合金板、例えば板幅が135mm 以上の広幅のMg合金板
を、圧延によって工業的規模で真に量産することができ
る技術を、確立することである。
【0013】具体的には、本発明の目的は、Mg合金から
なる被圧延材に圧延を行ってMg合金板、例えば板幅が13
5mm 以上の広幅のMg合金板を製造するにあたり、圧延ロ
ールの表面にMg合金が付着および蓄積することを防止し
ながら、効率的かつ安全に凹凸の少いMg合金板を製造す
る技術を提供し、これにより、上述したMg合金板、特に
板幅が135mm 以上の広幅のMg合金板を、圧延によって工
業的規模で真に量産できるようにすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧延を行う圧
延ロールとこの圧延ロールに接触するMg合金からなる被
圧延材との間隙に、少なくともシリコーン油を含む圧延
油を供給すれば、圧延効率および耐久性を充分に維持し
ながら、ロールと被圧延材との付着防止を確実に図るこ
とができ、これにより、Mg合金板を圧延によって工業的
規模で真に量産することができるという、新規かつ極め
て重要な知見に基づいてなされたものである。
【0015】本発明は、少なくともシリコーン油を含む
ことを特徴とするMg合金板用圧延油である。別の観点か
らは、本発明は、圧延によってMg合金板を製造するに際
し、少なくともシリコーン油を含む圧延油を用いること
を特徴とするMg合金板の製造方法である。
【0016】さらに別の観点からは、本発明は、Mg合金
からなる被圧延材に圧延を行ってMg合金板を製造するに
際し、圧延を行う圧延ロールとこの圧延ロールに接触す
る被圧延材との間隙に、少なくともシリコーン油を含む
圧延油を供給することを特徴とするMg合金板の製造方法
である。
【0017】これらの本発明におけるシリコーン油は、
これまでにも、高温や低温で作動する機械類の減摩剤や
潤滑油として使用されてきたが、Mg合金板の圧延油とし
て用いられることはなかった。本発明は、このシリコー
ン油を、Mg合金板、特に板幅が135mm 以上の広幅のMg合
金板の圧延油として用いることによって、このMg合金板
を圧延によって工業的規模で真に量産可能とするもので
ある。
【0018】上述した本発明にかかるMg合金板の製造方
法では、シリコーン油を含む圧延油が、噴霧法または
塗布法によって、圧延ロールと被圧延材との間隙に供
給されることが、例示される。
【0019】これらの本発明にかかるMg合金板の製造方
法では、Mg合金板が、板幅が135mm以上であることが、
例示される。この場合に、Mg合金板は帯板であることも
例示される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるMg合金板用
圧延油およびMg合金板の製造法の実施の形態を、添付図
面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】本実施の形態は、圧延ロールに接触するMg
合金からなる被圧延材とこの圧延ロールとの間隙に、少
なくともシリコーン油を含む圧延油を供給しながら、圧
延を行うことによって、Mg合金板を製造するものであ
る。そこで、以下、(i) 被圧延材、(ii)圧延ロール、(i
ii) 圧延油および圧延時状況、および(iv)Mg合金板につ
いて順次説明する。
【0022】(i) 被圧延材 本実施の形態における被圧延材は、後述する圧延ロール
によって圧下されるとともに、Mg合金からなるものであ
る。ここで、「Mg合金」とは、特定の組成のMg合金に限
定されるものではなく、例えばMg含有量が50質量%以上
のものであれば等しく包含される。
【0023】また、この被圧延材の板厚や板幅等の寸
法、さらには製造履歴等は何ら限定を要するものではな
く、製造されるMg合金板の圧延素材となり得るものであ
れば、等しく適用される。
【0024】本実施の形態における被圧延材のこれら以
外の要素は、何ら限定を要するものではなく、この種の
被圧延材として公知の被圧延材と同様であってよい。こ
のため、被圧延材に関するこれ以上の説明は省略する。
【0025】(ii)圧延ロール 本実施の形態における圧延ロールは、上述した被圧延材
に圧延を行う圧延ロールである。この圧延ロールは、特
定種のものに限定されるものではなく、Mg合金板の圧延
に適用可能な圧延ロールであれば、等しく適用される。
例えば、炭素およびクロムをそれぞれ約1質量%含有す
る特殊鋼製圧延ロールを用いることが例示される。
【0026】本実施の形態における圧延ロールのこれら
以外の要素は、何ら限定を要するものではなく、この種
の圧延ロールとして公知の圧延ロールと同様であってよ
い。このため、圧延ロールに関するこれ以上の説明は省
略する。
【0027】(iii) 圧延油 本実施の形態で用いる圧延油は、少なくともシリコーン
油を含むMg合金板用圧延油である。
【0028】本発明において「シリコーン油」とは、主
として、−R2Si−O の繰り返しを有する高分子化合物で
あって、比較的重合度が低い油状の直鎖状ジアルキルポ
リシロキサンを包含するが、必ずしもこれに限定される
ものではない。このシリコーン油は、熱的安定性、化学
的安定性、潤滑性、離型性、非粘着性、撥水性および消
泡性がいずれも優れ、電気的性質も良好であり、さらに
蒸気圧が低い液体であることから、これまでにも、トラ
ンス油等の電気絶縁用、ダンパー等の制動・防振用、化
学品添加用、ゴム・プラスチック成型時の離型用等の各
種の用途に用いられ、一部には高温や低温で作動する機
械類の減摩剤や潤滑油として使用されてきたが、Mg合金
板の圧延油として用いられることはなかった。本発明
は、このシリコーン油を、Mg合金板、特に板幅が135mm
以上の広幅のMg合金板の圧延油として用いることによっ
て、このMg合金板を圧延によって工業的規模で真に量産
可能とするものである。
【0029】このシリコーン油は、用途に応じて、多種
類のものが販売されているが、圧延をより高温で行って
圧延効率を高めるためには、これらのうちでも、例え
ば、メチルフェニルシリコーン油やジメチルシリコーン
油のように耐熱性が優れるものが好ましい。
【0030】また、このシリコーン油は、作業環境や安
全性の面から、当然のことながら、揮発分が少なく、引
火点の高いものが好ましい。さらに、本実施の形態で
は、この圧延油が噴霧法または塗布法によって、圧
延ロールと被圧延材との間隙に供給される。すなわち、
本実施の形態の圧延油は、供給方法に応じて、適切な動
粘度のものを選定することが望ましい。
【0031】図1は、圧延油を噴霧法により供給しなが
らMg合金帯板1を連続圧延する状況を模式的に示す説明
図であり、図2は、圧延油を塗布法により供給しながら
Mg合金帯板1を連続圧延する状況を模式的に示す説明図
である。
【0032】図1および図2に示すように、ペイオフリ
ール5により払い出されたMg合金帯板1は、電気炉3に
より加熱され、さらに3基の加熱ロールからなる加熱装
置4により圧延に適した温度に加熱され、圧延機2、
2' に送られて圧延され、圧延後にテンションリール6
によりコイルに巻き取られる。
【0033】ここで、図1に示す噴霧法を用いた場合に
は、圧延機2、2' の近傍に設置された噴霧ノズル7、
7' から本実施の形態の圧延油が供給され、一方、図2
に示す塗布法を用いた場合には、圧延機2、2' の近傍
に設置されたロールコーティング装置8、8' から本実
施の形態の圧延油が供給される。
【0034】例えば、図1に示す噴霧法によって供給す
る場合は、圧延油の動粘度が高過ぎると細かい霧状にし
て噴霧することが困難になるため、1〜100 センチスト
ークス(1×10-6〜10-4m2/s)程度のものが好ましい。
なお、センチストークス(cSt )という単位は絶対粘度
を密度で除したもので、mm2/sの次元を有する。
【0035】ただし、一般に動粘度の低いシリコーン油
は、引火点が低く燃え易い傾向があるので、引火点が例
えば300 ℃以上と充分に高いシリコーン油を 200〜300
℃程度に加熱することによって動粘度を低下して使用す
ることが望ましい。これによって、圧延油を供給される
ことによる被圧延材の温度低下を抑制することができ
る。
【0036】一方、図2に示す塗布法によって供給する
場合には、動粘度が10〜1000cSt 程度とある程度大きい
ものが好ましい。なお、具体的な塗布法としては、帯板
へ塗料を塗布する際にしばしば用いられるロールコーテ
ィング法が最も適するが、必ずしもこのロールコーティ
ング法に限定されるものではない。
【0037】圧延油の供給量は、圧延しようとするMg合
金板1の表面状態(表面粗さ、酸化膜厚さ等)や圧延ロ
ールの表面粗度等によっても異なるが、被圧延材の圧延
面1m2 当たり2〜100g程度が適正である。この供
給量は、ステンレス鋼やチタン合金の冷間圧延における
圧延油の供給量に比較すると、1/100〜1/1000 程度と
はるかに少ない。その理由は、ステンレス鋼やチタン合
金の冷間圧延においては、圧延過程で材料が発熱してロ
ールに焼き付くことを防ぐために大量の圧延油を供給す
る必要があるのに対し、Mg合金の圧延は前述したように
加工性確保のために通常は 200〜400 ℃程度の温度で行
われるので、むしろ圧延油の供給量をできるだけ少なく
して、圧延素材の温度低下を防ぐ必要があるからであ
る。
【0038】本実施の形態で用いる圧延油は、1種類の
シリコーン油からなるものであってもよいが、動粘度等
が異なる複数種のシリコーン油を適当な割合で混合した
ものであってもよい。
【0039】また、動粘度が比較的大きなシリコーン油
を、例えば水や炭化水素系化合物等の動粘度が比較的低
い液体と混合することによって、圧延油としての動粘度
を小さくしてから噴霧法により供給するようにしてもよ
い。シリコーン油と混合して用いる炭化水素系化合物と
しては、引火点が比較的高いものが安全上望ましく、具
体的にはジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタンのよ
うな塩素化した炭化水素が望ましい。ただし、これらの
塩素化した炭化水素は一般に有害性が高く、また揮発性
も高いので、200 〜400 ℃の圧延温度での圧延ではその
多くが揮発し、作業環境を劣化させる。このため、この
場合には圧延機に局所排気装置を設置し、揮散した塩素
化炭化水素を捕集して再使用するようにすることが望ま
しい。
【0040】ただし、通常のシリコーン油は、水と全く
溶け合わないので、適当な界面活性剤を添加して混合す
ることにより、懸濁状態で使用することが望ましい。用
いる界面活性剤としては、市販のエーテル系ノニオン界
面活性剤、エステル系ノニオン界面活性剤、カルボン酸
アルカリ金属塩さらにはスルホン酸アルカリ金属塩等の
中から1種または2種以上を適宜選択して用いればよ
い。
【0041】また、シリコーン油は比較的高価である
が、耐久性が高い物質であるので、圧延に使用したシリ
コーン油はなるべく多くを回収して再使用することによ
って、圧延コストの上昇を抑制することができる。使用
したシリコーン油の回収方法としては、単に圧延ロール
や被圧延材から流れ落ちるシリコーン油を回収するだけ
でなく、被圧延材に付着したシリコーン油も炭化水素系
溶剤(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、リグロ
イン、ミネラルスピリット、ジクロロメタン)で洗い流
して回収してから蒸留分離して、回収することもでき
る。
【0042】このように、本実施の形態では、Mg合金か
らなる被圧延材に圧延を行ってMg合金板を製造するに際
し、圧延を行う圧延ロールとこの圧延ロールに接触する
被圧延材との間隙に、少なくともシリコーン油を含む圧
延油を供給する。
【0043】この本実施の形態では、シリコーン油を含
む圧延油を用いるため、Mg合金からなる被圧延材が圧延
ロールの表面に付着および蓄積して圧延ロールの表面の
凹凸が大きくなることが、防止される。このため、本実
施の形態によれば、凹凸が被圧延材の表面に転写される
ことなく、圧延効率および耐久性を充分に維持しなが
ら、ロールと被圧延材との付着防止を確実に図って、Mg
合金板の圧延を行うことができる。
【0044】(iv)Mg 合金板 このようにして、本実施の形態によりMg合金板が製造さ
れるが、製造されるMg合金板は、凹凸の少ない表面肌を
呈し、そのままでもプレス加工の素材として充分に使用
することができる。
【0045】また、本実施の形態によれば、図1または
図2に示す連続的な製造装置によりMg合金板が製造され
るため、その板幅が135mm 以上の帯板を製造することも
できる。
【0046】このため、本実施の形態によれば、Mg合金
板を圧延によって工業的規模で真に量産することができ
る。したがって、このMg合金板を素材としてプレス成形
を行うことにより、大型のMg合金製品 (例えばパソコン
ケース等) を工業的規模で初めてプレス成形により製造
することできる。
【0047】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながら詳細
に説明する。 (実施例1)Al:3.03質量%、Zn:0.97質量%、残部Mgお
よび不純物からなる板厚2.3 mm、幅100mm 、長さ200mm
のMg合金板を、2質量%硫酸水溶液(30℃)に1分間浸
漬した後、水洗および乾燥した。
【0048】次に、これを電気炉に入れて300 ℃に加熱
し、小型の特殊鋼製圧延ロールを有する2段圧延機を用
いて圧延する操作を5回繰り返した。なお、圧延機のロ
ール表面は圧延前に粒度320 番で研磨した後に圧延油を
塗布するとともに、上下ロールの間隔(ロールギャッ
プ)を1回の圧延毎に圧延前のMg合金板の板厚の70%に
なるように調節した。
【0049】本実施例では、圧延油として2種類のシリ
コーン油 (FL-100、KF-54 、商品名) を用い、比較のた
めにソリュブルオイル(鉱油系圧延油を約10%含む懸濁
水溶液)、固体潤滑剤(ボロンナイトライド)を用い
た。また、圧延油を用いない試験も行った。
【0050】1回の圧延毎に圧延後の板厚を測定し、5
回の圧延によるMg合金板の重量変化を測定した。測定結
果を表1および図3にまとめて示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1および図3に示すように、本発明法に
従って圧延油としてシリコーン油を用いて圧延したMg合
金板の板厚は、比較例に比較して急速に低下した。これ
より、シリコーン油による潤滑が他の圧延油や無潤滑に
比べて優れているため、圧延が極めて円滑に行われたこ
とがわかる。
【0053】また、比較試験として行った無潤滑圧延の
場合には、Mg合金板の重量が大きく減少したが(減少量
は23mg) 、これは圧延ロール表面にMg合金が付着し重量
が減少したためである。
【0054】(実施例2)図1に示す小型連続圧延設備を
用いて、Al:3.01質量%、Zn:1.06質量%、残部Mgおよ
び不純物からなる板厚1.2mm 、幅100mm 、長さ50mのMg
合金帯板1を、板厚1.0 mmのMg合金帯板まで連続的に圧
延した。
【0055】すなわち、Mg合金帯板1は、電気炉3を用
いて300 ℃に加熱した後、加熱ロール4で320 ℃に加熱
し、電熱ヒーターを内蔵する圧延ロール2、2'(表面温
度300 ℃)で圧延した。
【0056】圧延油として、シリコーン油および2種類
のシリコーン油を含む潤滑剤を用い、比較のためにソリ
ュブルオイル(鉱油系圧延油を約10%含む懸濁水溶液)
を用いた。また、圧延油を用いない試験も行った。通常
の鉱油系圧延油は引火の危険性が高いので、試験を行わ
なかった。
【0057】シリコーン油、シリコーン油を含む圧延油
およびソリュブルオイルについては、一部、100 〜280
℃に加熱した後、噴霧する方法で供給した。圧延後のMg
合金帯板を目視および拡大鏡を用いて観察し、耳割れ
(帯板側端から発生した割れ)およびチャタリング(圧
延方向に直角方向に延びた縞状の微細な板厚変動)の程
度を測定した。測定結果を表2にまとめて示す。なお、
表中には参考のために、圧延油の使用量と圧延面積から
算出した圧延油供給量と圧延油の使用条件における動粘
度の概略値も併せて示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2に示すように、無潤滑で圧延した場合
には最大8mmの耳割れとともに、チャタリングが発生し
た。また、圧延油としてソリュブルオイルを用いた場合
には耳割れはほとんど発生しなかったものの、チャタリ
ングが発生した。
【0060】これに対し、シリコーン油を含む圧延油を
用いた場合には耳割れもチャタリングも全く発生しなか
った。
【0061】(実施例3)図2に示す小型連続圧延設備を
用いて、Al:3.01質量%、Zn:1.06質量%、残部Mgおよ
び不純物からなる板厚1.2mm 、幅100mm 、長さ50mのMg
合金帯板を、板厚1.0mm にまで連続的に圧延した。Mg合
金帯板1は、電気炉3を用いて300 ℃に加熱した後、加
熱ロール4で320 ℃に加熱し、電熱ヒーターを内蔵する
圧延ロール2、2' (表面温度300 ℃)で圧延した。
【0062】圧延油として、シリコーン油およびシリコ
ーン油を含む圧延油を用い、比較のために圧延油を用い
ない試験も行った。また、ソリュブルオイルはロールコ
ティング法では均一に塗布できず、通常の鉱油系圧延油
は引火の危険性が高いので、いずれも試験しなかった。
【0063】圧延後のMg合金帯板を目視および拡大鏡を
用いて観察し、耳割れ(帯板側端から発生した割れ)お
よびチャタリング(圧延方向に直角方向に延びた縞状の
微細な板厚変動)の程度を調べた。結果を表3にまとめ
て示す。なお、表中には参考のために、圧延油の使用量
と圧延面積から算出した圧延油供給量と圧延油の使用条
件における動粘度の概略値も併せて示す。
【0064】
【表3】
【0065】表3に示すように、無潤滑で圧延した場合
には最大8mmの耳割れとともに、チャタリングが発生し
たのに対し、シリコーン油を用いた場合には耳割れもチ
ャタリングも全く発生しなかった。
【0066】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、Mg合金板、例えば板幅が135mm 以上の広幅のMg合金
板を、圧延によって工業的規模で真に量産することがで
きる技術を、確立することができた。
【0067】具体的には、本発明により、Mg合金からな
る被圧延材に圧延を行ってMg合金板、例えば板幅が135m
m 以上の広幅のMg合金板を製造するにあたり、圧延ロー
ルの表面にMg合金が付着および蓄積することを防止しな
がら、効率的かつ安全に凹凸の少いMg合金板を製造する
技術を提供できるようになり、これにより、上述したMg
合金板、特に板幅が135mm 以上の広幅のMg合金板を、圧
延によって工業的規模で真に量産できるようになった。
【0068】かかる効果を有する本発明の意義は、極め
て著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧延油を噴霧法により供給しながらMg合金帯板
を連続圧延する状況を模式的に示す説明図である。
【図2】圧延油を塗布法により供給しながらMg合金帯板
を連続圧延する状況を模式的に示す説明図である。
【図3】実施例の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 Mg合金帯板 2、2' 圧延ロール 3 電気炉 4 加熱ロール 5 ペイオフリール 6 テンションリール 7、7' 噴霧ノズル 8、8' ロールコーティング装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともシリコーン油を含むことを特
    徴とするMg合金板用圧延油。
  2. 【請求項2】 Mg合金からなる被圧延材を圧延してMg合
    金板を製造するに際し、前記圧延を行う圧延ロールと該
    圧延ロールに接触する前記被圧延材との間隙に、少なく
    ともシリコーン油を含む圧延油を供給することを特徴と
    するMg合金板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記シリコーン油を含む圧延油は、噴霧
    法によって、前記間隙に供給される請求項2に記載され
    たMg合金板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記シリコーン油を含む圧延油は、塗布
    法によって、前記間隙に供給される請求項2に記載され
    たMg合金板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記Mg合金板は、板幅が135mm 以上であ
    る請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載され
    たMg合金板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記Mg合金板は帯板である請求項2から
    請求項5までのいずれか1項に記載されたMg合金板の製
    造方法。
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