JP4692882B2 - マグネシウム板とマグネシウム板の製造方法 - Google Patents

マグネシウム板とマグネシウム板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、マグネシウム板とマグネシウム板の製造方法に関し、特にプレス成形などの二次加工に供される高い板厚精度が求められるマグネシウム板に関する。
従来、金属製品の製造においては、鉄、アルミニウムなどの金属部材を一旦板状物として製造し、次いで該板状物を用いて折り曲げ加工やプレス成型などの最終加工工程が行われたりしている。このような金属部材から板状物を製造する場合には、長尺に成型された金属部材を用いることで連続的に板状物を製造することができ生産効率の高いものとなる。また、このとき板状物として、例えば1m程度の広い幅のものを製造することで、最終加工工程に用いる板状物を前述の幅のものから必要な幅に切り出して使用することができ、個々に、必要幅の板状物を製造する場合に比べて生産効率の高いものとなる。
また、前述のような最終加工工程に用いる場合も、長尺材を用いることで、金属製品を連続的に製造することができ生産効率の高いものとなる。
そのため、従来、鉄、アルミニウムなどの板状物は、例えば、幅1m程度、長さ200m以上もの長尺材として製造されている。
このような長尺の板状物としては、通常、コイル材などと呼ばれるぜんまい状に巻き取りされた帯状の金属部材を、圧延ロールを用いて熱間圧延、冷間圧延することにより所望の幅や厚さに圧延され製造されている。
このような圧延ロールでの圧延においては、得られる板状物の表面性状や外形などの外観は、圧延ロールの熱膨張や金属部材の変形抵抗などの加工特性に影響されることが知られており、特許文献1には熱クラウンを抑制させた圧延ロールが記載されている。
ところで、マグネシウムやその合金は、一般に実用化されている金属材料の中でも特に軽量であることから種々の用途に用いられている。このマグネシウムやその合金は、冷間圧延が困難であることが知られており、通常、マグネシウムやその合金を用いて板状物、即ち、マグネシウム板を製造する場合には、加熱された状態での温間圧延が行われている。しかし、この温間圧延においても、マグネシウムやその合金は、鉄などの一般的な金属に比べて板状体を良好なる外観で連続して製造することが困難である。特に、幅の広いものを良好なる外観で連続して製造することが困難で絞り込みなどの圧延不良が生じることが知られている。また、生産性などを犠牲にして圧延したとしても、幅方向の板厚ばらつきが大きく、品質の劣るものしか製造できないのが実状である。このような板厚精度に劣るマグネシウム板を用いてプレス成形を行った場合には、板厚の薄い部分では局部的に変形して破断したり、板厚の厚い部分では金型によって傷がついたりするために、プレス成形用として使用することは困難である。
したがって、前述のような長尺材を製造する場合には通常、幅100〜300mm程度の狭幅のマグネシウム板しか製造されていない。また、幅1m程度のマグネシウム板を製造する場合には、通常、長さ2m程度の切り板を用い、一枚ずつ短尺のマグネシウム板を製造する生産効率の低い製造方法が行われている。
このことに対し、特許文献2には、圧延されるマグネシウムの幅方向温度差を所定の範囲内とすることで形状不良を抑制しつつマグネシウム板を製造し得ることが記載されてはいるが、通常、マグネシウム板に比べて圧延ロールの方が熱容量が大きく、単に圧延されるマグネシウムの幅方向温度差を所定の範囲内とすることで、長尺で且つ良好なる外観を有するマグネシウム板を従来よりも広幅で製造することは実質困難である。
さらに長尺材の圧延では、温間圧延中に圧延ロールの温度が変化したりすることにより圧延条件が変化してしまうことがある。そのため、製品板厚を一定に保つためには、ロールギャップや圧延荷重を詳細に制御することが必要となるが、圧延荷重が変化するとそれに合わせて圧延ロールの機械的な撓み量も変化することとなるので、幅方向の板厚分布も変化してしまうこととなる。このような問題により、従来、このようなマグネシウムやその合金を用いたマグネシウム板の製造方法においては、良好なる外観を有する製品を高い生産効率で製造することが困難であるという問題を有している。
特開平5−228517号公報 特開2001−252703号公報
本発明は、マグネシウムやその合金を用いたマグネシウム板を、良好なる外観としつつ高い生産効率で製造する製造方法の提供を課題としている。
また、特にプレス成形用の母材などに適した板厚バラツキが低減された板材の製造方法の提供を課題としている。
本発明者らは、圧延ロールによりマグネシウム板を製造する際の、圧延ロールの表面温度とマグネシウム板の加工特性とに着目し、鋭意検討を行った結果、純マグネシウムまたはマグネシウム合金は、変形抵抗の温度依存性が高く、この温度依存性の高いことがマグネシウム板をより広い幅で製造しようとした場合に、絞り込みなどの圧延不良の発生を増大させる原因となっていること、ならびに、圧延ロールの表面温度分布を所定範囲内とすることで、例えば1m程度の広い幅でマグネシウム板を製造する場合においても、前述の絞り込みなど、変形抵抗の温度依存性の高さに起因する圧延不良が発生することを抑制し得ること、さらには長尺材の圧延中に圧延ロールの温度変化により圧延条件が変動して圧延の安定性を低下させていること、ならびに、圧延ロールの温度変化を抑制させることにより、圧延条件の変動を小さくすることができ、得られるマグネシウム板の板厚バラツキを抑制させ得ることを見出し、本発明の完成に至ったのである。
即ち、本発明は、純マグネシウムまたはマグネシウム合金を圧延ロールで温間圧延することにより板状に成形するマグネシウム板の製造方法であって、純マグネシウムまたはマグネシウム合金と接する前記圧延ロールの表面を絶対温度で30K以内の温度分布として、前記温間圧延を実施することを特徴とするマグネシウム板の製造方法を提供する。
本発明によれば、純マグネシウムまたはマグネシウム合金を圧延ロールで温間圧延することにより板状に成形するマグネシウム板の製造方法において、純マグネシウムまたはマグネシウム合金と接する前記圧延ロールの表面が絶対温度で30K以内の温度分布とされているため、従来の製造方法にて製造されているマグネシウム板に比べて広い幅でマグネシウム板を製造した場合でも絞り込みなど変形抵抗の温度依存性の高さに起因する圧延不良が発生することを抑制し得る。さらには、長尺材の圧延中の圧延ロールの温度変化を抑制することにより、圧延条件の変動を小さくすることができ、長尺材の圧延を安定して実施させ得る。
したがって、広幅のマグネシウム板を良好なる外観で連続的に製造して長尺材とすることができる。
すなわち、マグネシウムやその合金を用いたマグネシウム板を良好なる外観としつつ高い生産効率で製造することができる。
また、幅方向の板厚ばらつきを小さくしたマグネシウム板は、連続した圧延を安定して実施できるだけでなく、プレス成形などの最終加工時にも安定して使用できるなどの優れた効果を有する。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、本実施形態に用いる圧延設備と純マグネシウムまたはマグネシウム合金について説明する。
本実施形態においては、マグネシウム板は、圧延ロールの表面温度を30K以内の温度分布に制御し得る圧延設備を用いて製造される。このことにより、長さ20m以上、幅350〜2500mmで、且つ、幅方向の厚さの分布が下記式を満たすマグネシウム板(マグネシウム圧延板)を製造することができる。
(tmax−tmin)/(2×tave)≦e(-4.0+0.0008 × W)
なお、式中のtmaxは、マグネシウム圧延板の幅方向の厚さの最大値(単位:mm)、tminは、マグネシウム圧延板の幅方向の厚さの最小値(単位:mm)、taveは、マグネシウム圧延板の幅方向の厚さの平均値(単位:mm)、eは、自然対数の底、Wは、マグネシウム圧延板の幅(単位:mm)を表し、このマグネシウム板の厚さは、例えば、マイクロメーター、X線板厚計などを用いて測定することができ、その他の測定手段を用いて測定することもできる。
前記圧延設備としては、圧延ロールの表面温度を絶対温度で320〜680K、且つ、30K以内の温度分布に制御し得る圧延ロールを用いることができる。
なお、本明細書における表面温度とは、圧延入側でロール表面がマグネシウム板と接触する直近の圧延ロールの表面温度を意図している。
また、温度分布とは、前記範囲の表面温度を測定したときの最高値と最低値との差を意図している。
また、温度分布が30K以内であるとは、圧延ロールによる圧延が行われる間は、常に温度分布が30K以内であることを意図している。さらに、圧延ロールの表面温度が320〜680Kとは、圧延ロールによる1パスの圧延が行われる間は、常にその表面温度が320〜680Kの範囲にあることを意図している。
前記表面温度は、圧延ロールの表面を接触式温度計や放射温度計などの温度測定手段を用いて測定することができる。
また、圧延ロール内部に複数の熱電対を埋設させて、この複数の熱電対から観測される温度と前述のごとく測定される表面温度との相関関係を把握することで、前述の表面温度測定手段に代えて圧延ロール内部に埋設させた複数の熱電対を用いることもできる。なお、このときの熱電対の埋設位置としては、温度測定精度の点からは、圧延ロール表面に近いほど好ましいが、その分圧延ロールの強度が低下するおそれがあるため、これらのバランスを保つ点からは表面から10mm程度の深さに埋設されることが好ましい。
また、通常、圧延ロールの表面温度の最高温度は、圧延ロールとマグネシウム板とが接触する範囲における圧延ロールの幅方向中央部となり、最低温度はその両端部となることから、温度分布については、通常、圧延ロールの幅方向中央部と両端部との温度を計測することで把握することができる。
また、温間圧延とは、マグネシウムを比較的低温で加熱して圧延を行うことを意図しており、その温度については特に限定されるものではないが、通常、350〜680Kの範囲とされる。
また、本実施形態の圧延設備には、圧延されるマグネシウムコイルを所定の温度まで加熱する加熱装置が用いられ、該加熱装置は、圧延ロールの前後に一台ずつ計2台配されている。
圧延設備には、さらに、マグネシウムコイル材を回転させることによりコイル状体を解きつつマグネシウムコイル材を加熱装置を通して圧延ロールに供給するための送り出し機と、圧延ロールにより圧延され加熱装置を通過したマグネシウム板を再びコイル状に巻き取るための巻き取り機とが備えられている。
この圧延ロール、送り出し機、巻き取り機をこのように配することにより、それぞれ回転方向を逆転させて、逆方向にも圧延が行えるようになっている。すなわち、部材の架け替えを行うことなく、回転方向を切り替えるだけで複数回の圧延が可能となるようになっている。
前記圧延ロールとしては、一般に金属の圧延に用いられるものを用いることができ、通常、中空あるいは中実の圧延ロールを使用することができる。
また、ロール表面温度を一定且つ均一に維持させ得る点において、この圧延ロール内に均熱化機構、加熱機構、冷却機構が備えられていることが好ましい。なお、これらの均熱化機構、加熱機構、冷却機構は、前記圧延ロールの中空部に設置されていてもよく圧延ロール内に埋設されていてもよい。
前記均熱化機構としては、圧延ロールを構成する部材よりも熱伝導性の高い金属部材を圧延ロール内に埋設する手段などを採用することができる。例えば、圧延ロールの有効バレル長と同等の長さの銅、アルミニウムなどの線材を圧延ロールの円周方向に適宜間隔を設けて圧延ロールの長手方向に対して平行となるよう複数本埋設することなどで、圧延ロールの特に幅方向の均熱化を行うことができる。
また、この熱伝導性の高い金属部材に代えてヒートパイプなどの均熱化手段を圧延ロールの円周方向に適宜間隔を設けて圧延ロールの長手方向に対して平行となるよう複数本埋設するなどしてもよく、このようなヒートパイプとしては、例えば鉄、銅、アルミニウムやそれらの合金を用いて形成されたスムース管、あるいはグルーブ管に、作動液として、純水、アルコール、代替フロン、水銀などを封入したものを用いることができる。
前記加熱機構、冷却機構としては、圧延ロールを加熱、冷却することができるものであれば、特に限定されるものではなく、一般的に圧延ロールに用いられる加熱機構、冷却機構などを用いることができる。
例えば、前記加熱機構としては、電気ヒーターなどの電気抵抗式加熱機、誘導加熱コイルなどの電磁誘導式加熱機を圧延ロール内に埋設あるいは中空部に設置する手段などを採用することができる。あるいは、単に加熱された熱媒体を圧延ロール内に循環させる手段を採用することもできる。
また、例えば前記冷却機構としては、水などの熱媒を圧延ロール内に循環させる手段などを採用することができる。
前記送り出し機、巻き取り機については、一般に用いられているものを使用することができる。
このような設備により加工される前記マグネシウムコイルとしては、通常、長さ40m以上、幅100〜1500mm、厚さ0.1〜8.0mmのものを用いることができる。特に、幅が300mmを超えるものは、本発明の効果がより顕著となる点において好適である。
このマグネシウムコイルに用いられるマグネシウム合金としては、マグネシウムを質量%で50%以上含有するマグネシウム合金を用いることができ、絞り込みなど変形抵抗の温度依存性の高さに起因する圧延不良を抑制する効果をより顕著なものとし得る点において、マグネシウムを質量%で80%以上含有するマグネシウム合金を用いることが好ましい。
より詳しくは、本実施形態の前記マグネシウム合金としては、Mg−Al系、Mg−Al−Zn系およびMg−Zn−Zr系などの各種マグネシウム合金を用いることができる。なかでも、強度と加工性のバランスに優れたAZ31B合金(ASTM)を用いることが特に好ましい。
次いで、上記のようなマグネシウムコイルと圧延設備とを用いてマグネシウム圧延板を製造する製造方法について説明する。
前記マグネシウムコイル材は、通常、送り出し機により数m/minから数十m/min程度の送り出し速度で送り出され、加熱装置により通常350〜680Kの温度に加熱され、圧延ロールにより圧延される。このとき、圧延ワークロールの均熱化機構によりロールの温度分布を30K以下として圧延を行う。また、加熱機構、冷却機構などにより、圧延ロールの表面を絶対温度で320〜680Kの温度で圧延を行う。
なお、大きな圧下率を確保しつつ、ピックアップと呼ばれる不具合により表面品質が悪化することを防止し得る点において圧延ロールの表面温度は、340〜520Kであることが好ましい。特に、得られる製品の表面品質を重視する場合には、470K以下であることがさらに好ましい。
圧延ロールにより圧延されたマグネシウムコイルは、再び加熱装置にて焼鈍される。
このとき、圧延全長における圧延ロールの表面温度変化は100K以下となるよう表面温度が制御されることが好ましく、20K以下とされることがさらに好ましい。
また、製造するマグネシウム板の厚みについては、特に限定されるものではないが、マグネシウム板の幅は、本発明の効果がより顕著となる点において、300mmを超えていることが、好適である。
なお、この時、通常、圧下率は5〜50%/パスとされるが、生産性と圧延状態の安定性を両立させ得る点から10〜40%/パスとされるのが好ましい。10%未満の圧下率を行う場合には、圧延状態は安定するが、結晶粒を粗大化させてしまうおそれがあり、40%/パスを超えた圧下率での圧延を行う場合には、圧延割れを生じるおそれを有するためである。このような点において、圧下率は、12〜35%/パスとすることがより好ましい。
なお、本実施形態においては、上記のようなマグネシウムコイル材と圧延設備とを用いて上記のごとくマグネシウム板を製造する場合を例に説明したが、本発明においては、これらを上記の例示に限定するものではない。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
圧延機の圧延ロールには、圧延ロール全長で2700mm、有効バレル長1580mm、ロール外径255mmの鋼製ロールにPCD(ピッチドサークルディアメーター)180mmとなるように16本の純水ヒートパイプを等間隔で埋設したものを用いた。なお、このヒートパイプは、この鋼製ロールの有効バレル長部分において作動するように埋設されている。
市販のマグネシウム合金(ASTM:AZ31B)コイル(2.0mm厚さ×914mm幅)を用いて、4段可逆式コイル圧延機を使用して圧延を行いマグネシウム板の製造を行った。
この時、前記マグネシウムコイルを600Kの温度に加熱し、圧延ロールを用いて圧延速度:18m/min、圧下率:15%/パスの圧延を行い、圧延ロールに埋設された複数の熱電対により圧延ロールの表面温度ならびに温度分布を測定しつつマグネシウム板の製造を行った。
(実施例2)
16本のヒートパイプの内、一つおきに8本のヒートパイプのみを作動させたこと以外は実施例1と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(実施例3)
さらに2本のヒートパイプを作動させないようにして、計6本のヒートパイプのみを作動させたこと以外は実施例2と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(実施例4)
圧延ロールの加熱装置を使用して、圧延開始時のロール表面温度を400Kとした以外は、実施例1と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(実施例5)
ロール表面温度が420Kを超えないように冷却を行いつつ圧延を行ったこと以外は、実施例1と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(実施例6)
ロール表面温度が400〜420Kとなるように加熱機構ならびに冷却機構を作動させた以外は、実施例4と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(実施例7)
マグネシウム合金コイルの板幅が1524mmのものを用いたことと、圧延速度を10m/minとしたこと以外は実施例6と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(実施例8)
圧延機の圧延ロールには、圧延ロール全長で580mm、有効バレル長440mm、ロール外径200mmの鋼製ロールの内部に外径140mm、内径80mm、長さ460mmの銅合金製均熱化スリーブが圧延ロールの長手方向と平行に埋設されたものを用いた。
市販のマグネシウム合金(ASTM:AZ31B)コイル(1.0mm厚さ×380mm幅)を用いて、2段可逆式コイル圧延機を使用して圧延を行いマグネシウム板の製造を行った。
この時、前記マグネシウムコイルを520Kの温度に加熱し、圧延ロールを用いて圧延速度:30m/min、圧下率:20%/パスの圧延を行い、圧延ロールに埋設された複数の熱電対により圧延ロールの表面温度ならびに温度分布を測定しつつマグネシウム板の製造を行った。
(比較例1)
ヒートパイプを埋設していない鋼製の圧延ロールを使用したこと以外は実施例1と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(比較例2)
ヒートパイプを全く作動させなかったこと以外は実施例6と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(比較例3)
ヒートパイプを、圧延ロールの周方向90度毎の位置に配されている4本のみ作動させ、残り12本を作動させなかったこと以外は、実施例6と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(比較例4)
マグネシウムコイルの幅方向の温度分布を8K以内に制御して圧延を行ったこと以外は、比較例3と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(比較例5)
マグネシウム合金コイルの板幅が1524mmのものを用いたことと、圧延速度を10m/minとしたこと以外は比較例3と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(比較例6)
銅合金製均熱化スリーブが埋設されていない通常の鋼製ロールを使用した以外は、実施例8と同様にマグネシウム板の製造を行った。
(評価1)
(表面温度分布と板厚さバラツキ)
各実施例、比較例について均熱化の条件ならびに、圧延ロールの表面温度の変化、表面温度分布を測定した結果を表1に示す。
また、各実施例、比較例で得られたマグネシウム板の厚さを測定し、最大値(tmax)、最小値(tmin)、平均値(tave)をならびに、(tmax−tmin)/(2×tave)を計算することにより厚さばらつきを求めた。結果を表2に示す。
なお、これらマグネシウム板の厚さの測定には、マイクロメーターを用いた。
また、測定は、マグネシウム板の幅方向両端部から10mm内側と中央部の3箇所と、中央部から幅方向両端部に向けて100mm間隔で片側4箇所ずつの8箇所とで合計11個所の測定を行い、この11の測定値の最大値をtmaxとし、最小値をtminとし、算術平均をtaveとした。
また、製造されたマグネシウム板の幅は、用いたマグネシウム合金コイル幅と略同一であり、実施例1乃至6、比較例1乃至4でのW(mm)を914、実施例7、比較例5でのW(mm)を1524、実施例8、比較例6でのW(mm)を380としてそれぞれ計算したe(-4.0+0.0008 × W)の値は、約0.038、約0.062、約0.025となる。
Figure 0004692882
Figure 0004692882
表2より、純マグネシウムまたはマグネシウム合金を圧延ロールで温間圧延することにより板状に成形するマグネシウム板の製造方法であって、純マグネシウムまたはマグネシウム合金と接する前記圧延ロールの表面を絶対温度で30K以内の温度分布として、前記温間圧延を実施することで厚さのばらつきが低減された優れたマグネシウム板を製造し得ることがわかる。
またこのことにより、(tmax−tmin)/(2×tave)≦e(-4.0+0.0008 × W) の式を満足するマグネシウム板を製造し得ることもわかる。
(評価2)
(圧延荷重変化および製造されたマグネシウム板の表面性状)
各実施例、比較例のマグネシウム板について、圧延時の圧延荷重を測定した。また、圧延後のマグネシウム板の表面性状や形状を肉眼で判定し外観判定の良否を以下の基準により判定した。×:実用上問題があるもの。○:実用上の問題が無いもの。◎:優れて美麗であるもの。
なお、圧延時にマグネシウム板の端部と中央部とが不均一に圧延されていることが肉眼で確認された場合にはその時点で圧延を中止し、その時点の長さを圧延可能長さとして判定した。また、この圧延可能長さの合否判定としては、200m以上の長さで圧延可能で実用上問題のない場合を合格とした。結果を表3に示す。
Figure 0004692882
表3の結果から、前記圧延ロールの表面の温度分布が30K以内に保持されている場合は、圧延板の形状が良好で200m以上の圧延が連続して実施可能となることがわかる。
また、実施例4、6に見られるように、ロールの表面温度を高くすることで、圧延開始時の圧延荷重を減少させ得ることもわかる。また、実施例5、6に見られるように、ロール表面温度が高くなりすぎないように冷却することで、圧延終了時の圧延荷重が小さくなりすぎることを抑制し得ることもわかる。すなわち、加熱、冷却を行って、ロールの表面温度の変化を小さくすることにより、圧延荷重の変動を抑制させることができ、安定した圧延が可能となる。さらに、ロールの表面温度を420K以下とした場合には、特に美麗な表面のマグネシウム板を製造することができる。
このように、本発明によれば、外観が良好で、しかも、幅方向の厚さのばらつきが抑制された(tmax−tmin)/(2×tave)≦e(-4.0+0.0008 × W) の式を満足する平坦な、マグネシウム板を長尺で製造し得る。
(評価3)
(プレス成形用母材としてのプレス成形性評価)
各実施例、比較例のマグネシウム板を用いて、温間での円筒深絞り成形を連続して実施しプレス成形性についての評価を行った。
このプレス成形性の評価については、より具体的には、以下のような手順ならびに判定方法により実施した。
(プレス手順)
プレス成形においては、φ127mmに打ち抜いた各実施例、比較例のマグネシウム板を電気炉にて523Kに加熱し、後述の金型を使用し、温間プレス成形機にてその全てが絞り込まれるまでの深絞り成形を行った。なお、プレス成形機には、クランクプレスを用い最高プレス速度300mm/sでの深絞り成形を行った。また、しわ押さえ力は0.98kNとした。
このときの絞り比は3.18という比較的高い値であった。また、プレス加工は、1ショット/12秒のペースで36ショット連続して実施した。なお、この36ショットの内、初回のショットにおいてのみ、ダイス側にグラファイト系固形潤滑剤を塗布した。また、ダイスはヒーターにより523Kに保持してプレス加工を実施した。
一方、ポンチ側には0.05mm厚さのポリ四フッ化エチレン製シートを潤滑および断熱目的として配してプレス加工を実施した。なお、ポンチの温度制御は実施していない。
この36ショットの深絞り加工により得られた加工品の中で最も外観に劣るものを後述する判定方法で判定した。
(使用金型)
深絞り加工には、SKD11製の金型を用いた。
また、実施例1乃至6、比較例1乃至4の板幅914mm、公称板厚1.7mmのマグネシウム板の深絞り加工には外径φ40mmで肩半径5mmのポンチと、内径φ43.5mmで肩半径10mmのダイスを用い、実施例7、比較例5の板幅1524mm、公称板厚1.7mmのマグネシウム板の深絞り加工には外径φ40mmで肩半径6mmのポンチと、内径φ43.7mmで肩半径10mmのダイスを用い、実施例8、比較例6の板幅380mm、公称板厚0.8mmのマグネシウム板の深絞り加工には外径φ40mmで肩半径4mmのポンチと、内径φ42.0mmで肩半径8mmのダイスを用いた。
なお、これらの金型の内、すべてのダイス表面には深絞り加工品を安定した表面状態が確保されるよう硬質クロムメッキが施されている。
(判定方法)
深絞り加工品の評価においては、外側面に生じた破れ、カジリ、キズを目視にて観察した。また、キズが観察されたものについては、キズを爪で引っ掻いての評価を実施し、引っ掛かりが生じる場合を深いキズ、引っ掛かりが生じないものを浅いキズとして、破れ、カジリ、キズの見られないものおよび、キズが見られても浅いキズとして評価されたものを合格品として判定した。判定結果を表4に示す。
Figure 0004692882
表4からもわかるように、実施例3および実施例7のマグネシウム板を用いた深絞り加工品には実用上問題とならない浅いキズが観測されたものの実施例のマグネシウム板は、プレス成形性が良好で、式(tmax−tmin)/(2×tave)≦e(-4.0+0.0008 × W)を満足する板厚精度に優れたこれらのマグネシウム板を用いることで良好なる外観の深絞り加工品を得られることが確認された。
また、比較例1、2では金型へのカジリが強く、プレス成形不可であった。このことは板厚のバラツキが大きく、板厚の厚い部分が金型のクリアランスを超過していることから自明のことである。
比較例3、4のマグネシウム板では、プレス成形は可能ではあるが、深い傷が発生し、実用不可である。
さらに、比較例5、6のマグネシウム板では、絞り成形時に板厚の薄い部分において割れが発生しプレス成形不可であった。
なお、比較例3、4のマグネシウム板については、深絞り加工品に深いキズが発生することを防止すべく実施例7、比較例5の1524mmの板幅のもののプレス加工に用いた金型による加工も試みたが、板厚の薄い部分において割れが発生した。このことから、板厚精度が劣るマグネシウム板を用いる場合は、金型のクリアランスなどの加工条件を変更しても良好なる外観のプレス加工品(深絞り加工品)を得ることが困難であることが確認された。

Claims (4)

  1. 純マグネシウムまたはマグネシウム合金を圧延ロールで温間圧延することにより板状に成形するマグネシウム板の製造方法であって、
    純マグネシウムまたはマグネシウム合金と接する前記圧延ロールの表面を絶対温度で30K以内の温度分布として、前記温間圧延を実施することを特徴とするマグネシウム板の製造方法。
  2. 圧延ロールの表面温度を絶対温度で320〜680Kとして前記温間圧延を実施する請求項1に記載のマグネシウム板の製造方法。
  3. 加熱機構もしくは冷却機構の少なくとも一つが内部に備えられた圧延ロールを用いる請求項1又は2に記載のマグネシウム板の製造方法。
  4. 純マグネシウムまたはマグネシウム合金が用いられてなり、長さ20m以上、幅350〜2500mmに形成され、且つ、幅方向の厚さの分布が下記式(1)を満たすことを特徴とするマグネシウム板。
    (tmax−tmin)/(2×tave)≦e(-4.0+0.0008 × W) ・・・式(1)
    (なお、式中のtmaxは、マグネシウム板の幅方向の厚さの最大値(単位:mm)、tminは、マグネシウム板の幅方向の厚さの最小値(単位:mm)、taveは、マグネシウム板の幅方向の厚さの平均値(単位:mm)、eは、自然対数の底、Wは、マグネシウム板の幅(単位:mm)を表す。)
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