JP2003111594A - 新規ポリペプチドおよびその用途 - Google Patents

新規ポリペプチドおよびその用途

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JP2003111594A JP2002174174A JP2002174174A JP2003111594A JP 2003111594 A JP2003111594 A JP 2003111594A JP 2002174174 A JP2002174174 A JP 2002174174A JP 2002174174 A JP2002174174 A JP 2002174174A JP 2003111594 A JP2003111594 A JP 2003111594A
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司 周郷
Masaaki Mori
森  正明
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規ポリペプチドおよびそのポリヌクレオチ
ド等の提供。 【解決手段】 本発明は、細胞死抑制活性を有する新規
ポリペプチドおよびその用途などに関する。 【効果】 本発明のポリペプチドおよび本発明のポリヌ
クレオチドは、神経変性を伴う疾病など、例えば、神経
変性疾患、脳機能障害、癌、免疫疾患、感染症、消化管
疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の種々の疾病の診断、
治療または予防剤、または細胞死抑制剤などとして使用
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な生体機能調
節ポリペプチドおよびそのDNAなどに関する。さらに
詳しくは、神経変性疾患、脳機能障害などの予防・治療
剤、診断薬などに関する。
【0002】
【従来の技術】アルツハイマー病(Alzheimer's diseas
e)は進行性痴呆および認知能力の失調を伴う神経変性
疾患の代表的なものであるが、これまでに効果的な治療
法は見出されていない。アルツハイマー病は高齢化社会
を迎えつつある現在において最も重要な疾患の一つであ
ることは言うまでもなくその治療薬の開発は医療経済的
にも極めて大きな意義を有する。最近、橋本らは、アル
ツハイマー病患者の後頭葉に病変が少ないことに着目し
て「デス・トラップ」法(L. D'Adamioら、Semin. Immu
nol.、9巻、17-23頁、1997年)により家族性アルツハイ
マー病の原因遺伝子を導入した神経細胞の細胞死を抑制
する遺伝子を後頭葉よりクローニングした(Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA、98巻、6336−6341頁、
2001年)。この遺伝子は、humanin(WO 01/2
1787)と名付けられた24残基からなるペプチドを
コードしており、合成humaninペプチドは、家族性アル
ツハイマー病遺伝子を導入した神経細胞死を抑制したの
みならず、アルツハイマー病の原因である可能性がある
と考えられているβアミロイド添加によって誘導される
神経細胞死をも抑制した。こうした知見は、humaninま
たはその誘導体がアルツハイマー病治療薬となる可能性
があることを示唆するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】アルツハイマー病は進
行性痴呆および認知能力の失調を伴う神経変性疾患の代
表的なものであるが、これまでに効果的な治療法は見出
されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、こうした
事実に着目して鋭意研究を重ねた結果、ヒトゲノム中に
humanin遺伝子に類似した遺伝子が存在することを予想
し、humanin遺伝子配列を用いてヒトゲノムデータベー
ス(GEMBLE)を検索することによってhumanin類似配列
を見出した。さらにこの配列情報をもとにヒト脳cDN
Aライブラリーよりhumaninに類似のペプチドをコード
する遺伝子をクローニングすることに成功した。新たに
見出されたこのペプチドは、humaninと同様に24残基
からなるペプチドであり、humaninと6残基が異なって
いた。さらに、本発明者らは、このペプチドが神経細胞
死抑制作用を有していることも見出した。これらの知見
に基づいて、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成す
るに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)配列番号:4
で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のア
ミノ酸配列を含有することを特徴とするポリペプチド、
そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、(2)
配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなる上記
(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩、(3)上記(1)記載のポリペプ
チドの部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステル
またはその塩、(4)上記(1)記載のポリペプチドを
コードする塩基配列を有するポリヌクレオチドを含有す
るポリヌクレオチド、(5)DNAである上記(4)記
載のポリヌクレオチド、(6)配列番号:3で表される
塩基配列を有するポリヌクレオチドを含有する上記
(4)記載のポリヌクレオチド、(7)上記(3)記載
の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌク
レオチドを含有するポリヌクレオチド、(8)上記
(4)または(7)記載のポリヌクレオチドを含有する
組換えベクター、(9)上記(8)記載の組換えベクタ
ーで形質転換された形質転換体、(10)上記(9)記
載の形質転換体を培養し、上記(1)記載のポリペプチ
ドまたは上記(3)記載の部分ペプチドを生成・蓄積せ
しめることを特徴とする上記(1)記載のポリペプチ
ド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、ま
たは上記(3)記載の部分ペプチド、そのアミドもしく
はそのエステルまたはその塩の製造法、(11)上記
(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩、または上記(3)記載の部分ペプ
チド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩に
対する抗体、(12)配列番号:4で表されるアミノ酸
配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
るポリペプチドまたはその部分ペプチドをコードするポ
リヌクレオチドに相補もしくは実質的に相補な塩基配列
またはその一部を有するポリヌクレオチド、(13)上
記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはその
エステルまたはその塩、または上記(3)記載の部分ペ
プチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩
を用いることを特徴とする上記(1)記載のポリペプチ
ド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、ま
たは上記(3)記載の部分ペプチド、そのアミドもしく
はそのエステルまたはその塩の活性を促進または阻害す
る化合物またはその塩のスクリーニング方法、(14)
上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそ
のエステルまたはその塩、または上記(3)記載の部分
ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその
塩を含有してなる上記(1)記載のポリペプチド、その
アミドもしくはそのエステルまたはその塩、または上記
(3)記載の部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物
またはその塩のスクリーニング用キット、(15)上記
(13)記載のスクリーニング方法または上記(14)
記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上
記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはその
エステルまたはその塩、または上記(3)記載の部分ペ
プチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩
の活性を促進する化合物またはその塩、(16)上記
(13)記載のスクリーニング方法または上記(14)
記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上
記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはその
エステルまたはその塩、または上記(3)記載の部分ペ
プチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩
の活性を阻害する化合物またはその塩、(17)上記
(15)記載の化合物またはその塩を含有してなる医
薬、(18)上記(16)記載の化合物またはその塩を
含有してなる医薬、(19)上記(1)記載のポリペプ
チド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
または上記(3)記載の部分ペプチド、そのアミドもし
くはそのエステルまたはその塩を含有してなる医薬、
(20)上記(4)記載のポリヌクレオチドを含有して
なる医薬、(21)上記(4)記載のポリヌクレオチド
を含有してなる診断薬、(22)上記(11)記載の抗
体を含有してなる医薬、(23)上記(11)記載の抗
体を含有してなる診断薬、(24)上記(12)記載の
ポリヌクレオチドを含有してなる医薬、(25)上記
(12)記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断
薬、(26)神経変性疾患または脳機能障害の予防・治
療剤である上記(17)、(19)または(20)記載
の医薬、(27)アルツハイマー病、パーキンソン病、
ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、クロイツ
フェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニ
ューロパチー、多発性硬化症、脳梗塞、脳出血、クモ膜
下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫または硬膜下血腫の
予防・治療剤である上記(26)記載の医薬、(28)
アルツハイマー病の予防・治療剤である上記(26)記
載の医薬、(29)細胞死抑制剤である上記(17)、
(19)または(20)記載の医薬、(30)神経変性
を伴う疾病の診断薬である上記(21)、(23)また
は(25)記載の診断薬、(31)アルツハイマー病、
パーキンソン病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、プリ
オン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞
踏病、糖尿病性ニューロパチー、多発性硬化症、脳梗
塞、脳出血、クモ膜下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫
または硬膜下血腫の診断薬である上記(30)記載の診
断薬、(32)哺乳動物に対し、上記(1)記載のポリ
ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその
塩、または上記(3)記載の部分ペプチド、そのアミド
もしくはそのエステルまたはその塩の有効量を投与する
ことを特徴とする神経変性疾患または脳機能障害の予防
・治療方法、(33)哺乳動物に対し、上記(4)記載
のポリヌクレオチドの有効量を投与することを特徴とす
る神経変性疾患または脳機能障害の予防・治療方法、
(34)哺乳動物に対し、上記(15)記載の化合物ま
たはその塩の有効量を投与することを特徴とする神経変
性疾患または脳機能障害の予防・治療方法、(35)神
経変性疾患または脳機能障害の予防・治療剤を製造する
ための、上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドも
しくはそのエステルまたはその塩、または上記(3)記
載の部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルま
たはその塩の使用、(36)神経変性疾患または脳機能
障害の予防・治療剤を製造するための、上記(4)記載
のポリヌクレオチドの使用、(37)神経変性疾患また
は脳機能障害の予防・治療剤を製造するための、上記
(15)記載の化合物またはその塩の使用などに関す
る。
【0006】さらに、本発明のポリペプチド、本発明の
部分ペプチド、本発明のポリペプチド(例、DNA)等
は、分子量マーカー、組織マーカー、染色体マッピン
グ、遺伝病の同定、病態の診断、プライマー、プローブ
の設計等の基礎研究にも利用できる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:4で表される
アミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列
を含有するポリペプチド(以下、本発明のポリペプチド
と称する場合がある。また、配列番号:4で表されるア
ミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を
含有するポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステ
ルまたはその塩を総称して、本発明のポリペプチドと称
する場合もある。)は、ヒトや非ヒト温血動物(例え
ば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、
ブタ、ヒツジ、ウシ、サル等)の細胞(例えば、肝細
胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄
細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細
胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中
球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟
骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、もし
くは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞も
しくはガン細胞等)もしくはそれらの細胞が存在するあ
らゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃
核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延
髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生
殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、
消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、
唾液腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、
骨、軟骨、関節、骨格筋等に由来するポリペプチドであ
ってもよく、組換えポリペプチドであってもよく、合成
ポリペプチドであってもよい。
【0008】「実質的に同一」とはポリペプチドの活
性、例えば、細胞死抑制作用(例、各種疾患に伴う細胞
死に対する抑制作用)、細胞生存維持作用、または神経
変性疾患、癌、免疫疾患、感染症、消化管疾患、循環器
疾患、内分泌疾患等の予防・治療活性(作用)など、生
理的な特性などが、実質的に同じことを意味する。アミ
ノ酸の置換、欠失、付加あるいは挿入が、ポリペプチド
の生理的な特性や化学的な特性に大きな変化をもたらさ
ない限り、当該置換、欠失、付加あるいは挿入を施され
たポリペプチドは、当該置換、欠失、付加あるいは挿入
のされていないものと実質的に同一である。該アミノ酸
配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換物としては、た
とえばそのアミノ酸が属するところのクラスのうち他の
アミノ酸類から選ぶことができる。非極性(疎水性)ア
ミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、
バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファ
ン、メチオニンなどがあげられる。極性(中性)アミノ
酸としてはグリシン、セリン、スレオニン、システイ
ン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどがあげら
れる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としてはアルギ
ニン、リジン、ヒスチジンなどがあげられる。負電荷を
もつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グル
タミン酸などがあげられる。
【0009】配列番号:4で表されるアミノ酸配列と実
質的に同一のアミノ酸配列としては、該アミノ酸配列を
含有するポリペプチドが、配列番号:4で表されるアミ
ノ酸配列を含有するポリペプチドと実質的に同一の活性
(性質)を有する限り、特に限定されるものではなく、
例えば配列番号:4で表されるアミノ酸配列と約80%
以上、好ましくは約85%以上、さらに好ましくは約9
0%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有す
るアミノ酸配列等が挙げられる。
【0010】上記の実質的に同質の活性(性質)として
は、例えば、配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含
有するポリペプチドの有する細胞死抑制作用(例、各種
疾患に伴う細胞死に対する抑制作用)、細胞生存維持作
用、または神経変性疾患、癌、免疫疾患、感染症、消化
管疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の予防・治療活性
(作用)などが定性的に同質であることを示す。
【0011】また、配列番号:4で表されるアミノ酸配
列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチ
ドとしてより具体的には、例えば、配列番号:4で表
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜
6個程度、好ましくは1〜3個程度、さらに好ましくは
1または2個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
配列番号:4で表されるアミノ酸配列中の1または2個
以上(例えば1〜6個程度、好ましくは1〜3個程度、
さらに好ましくは1または2個)のアミノ酸が付加した
アミノ酸配列、配列番号:4で表されるアミノ酸配列
中の1または2個以上(好ましくは例えば1〜6個程
度、好ましくは1〜3個程度、さらに好ましくは1また
は2個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ
酸配列、またはそれらを組合わせたアミノ酸配列を含
有するポリペプチド等のいわゆるムテインも含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または置換され
ている場合、その挿入、欠失または置換の位置として
は、特に限定されない。
【0012】本発明のポリペプチドの部分ペプチド(本
発明の部分ペプチド)としては、前記した本発明のポリ
ペプチドの部分ペプチドであれば何れのものであっても
よいが、例えば、本発明のポリペプチドと実質的に同質
の活性(「実質的に同質の活性」は上記と同意義を示
す)ものなどが好ましく用いられる。しかし、本発明の
ポリペプチドとは異なり、本発明の部分ペプチドは抗体
作成のための抗原として用いることができるので、必ず
しも本発明のポリペプチドが有する活性を有する必要は
ない。本発明の部分ペプチドとしてより具体的には、配
列番号:4で表されるアミノ酸配列と同一または実質的
に同一のアミノ酸配列を含有する本発明のポリペプチド
の部分ペプチドなどがあげられる。「実質的に同一」と
は、上記本発明のポリペプチドの説明における「実質的
に同一」と同意義を示す。
【0013】また、配列番号:4で表されるアミノ酸配
列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する部分ペプチ
ドとしてより具体的には、例えば、配列番号:4で表
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(例、1〜2
0個程度、好ましくは1〜15個程度、好ましくは1〜
10個程度、好ましくは1〜5個程度、より好ましくは
1または2個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
配列番号:4で表されるアミノ酸配列中の1または2個
以上(例、1〜20個程度、好ましくは1〜15個程
度、好ましくは1〜10個程度、好ましくは1〜5個程
度、より好ましくは1または2個)のアミノ酸が付加し
たアミノ酸配列、配列番号:4で表されるアミノ酸配
列中の1または2個以上(例、1〜5個程度、より好ま
しくは1または2個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換
されたアミノ酸配列、またはそれらを組合わせたアミ
ノ酸配列を含有する部分ペプチド等のいわゆるムテイン
も含まれる。上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失ま
たは置換されている場合、その挿入、欠失または置換の
位置としては、特に限定されない。本発明の部分ペプチ
ドの具体例として、例えば、配列番号:4で表されるア
ミノ酸配列の第19番目〜24番目(配列番号:7)、
第5番目〜24番目、第1番目〜20番目、第5番目〜
20番目、第1番目〜21番目、または第5番目〜21
番目のアミノ酸配列を有するペプチドなどが挙げられ
る。また、本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプチ
ドには、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保
護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したい
わゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
【0014】さらに、本発明のポリペプチド、本発明の
部分ペプチドは、それぞれ単量体の他に、2量体、3量
体、4量体などとして存在していてもよく、具体的に
は、本発明のポリペプチド同士で2量体を形成する場
合、本発明の部分ペプチド同士で2量体を形成する場
合、本発明のポリペプチドと本発明の部分ペプチドとで
2量体を形成する場合などがあげられる。さらに、本発
明のポリペプチド、本発明の部分ペプチドには、おのお
ののN末端またはC末端などにエピトープ(抗体認識部
位)となりうる任意の外来ペプチド配列(例えば、FL
AG、Hisタグ、HAタグ、HSVタグなど)を有し
ているものも含まれる。
【0015】本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプ
チドは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(ア
ミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)であ
る。配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含有するポ
リペプチドをはじめとする、本発明のポリペプチドは、
C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレ
ート(−COO-)、アミド(−CONH2)またはエス
テル(−COOR)であってもよい。ここでエステルに
おけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピルもしくはn−ブチル等のC1-6アル
キル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル等の
3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフ
チル等のC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネ
チル等のフェニル−C 1-2アルキル基もしくはα−ナフ
チルメチル等のα−ナフチル−C1-2アルキル基等のC
7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用さ
れるピバロイルオキシメチル基等が用いられる。 本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプチドがC末端
以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有
している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステ
ル化されているものも本発明のポリペプチド、本発明の
部分ペプチドに含まれる。この場合のエステルとして
は、例えば上記したC末端のエステル等が用いられる。
さらに、本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプチド
には、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)の
アミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基等
のC1-6アルカノイル等のC1-6アシル基等)で保護され
ているもの、生体内で切断されて生成するN末端のグル
タミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のア
ミノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、アミ
ノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基
等)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基
等のC1-6アルカノイル基等のC1-6アシル基等)で保護
されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ポ
リペプチド等の複合ポリペプチド等も含まれる。
【0016】本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプ
チドの塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機
酸、有機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)等との塩が
用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好
ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例え
ば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるい
は有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル
酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸)との塩等が用いられる。本発明のポリペプチ
ド、本発明の部分ペプチドは、前述したヒトや非ヒト温
血動物の細胞または組織から公知のポリペプチド(タン
パク質)の精製方法によって製造することもできるし、
後述する本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプチド
をコードするポリペプチド(DNA等)を含有する形質
転換体を培養することによっても製造することができ
る。また、後述のペプチド合成法に準じて製造すること
もできる。ヒトや非ヒト哺乳動物の組織または細胞から
製造する場合、ヒトや非ヒト哺乳動物の組織または細胞
をホモジナイズした後、酸等で抽出を行ない、得られた
抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマト
グラフィー等のクロマトグラフィーを組み合わせること
により精製単離することができる。
【0017】本発明のポリペプチドもしくは本発明の部
分ペプチドまたはその塩、またはそのアミド体の合成に
は、通常市販のポリペプチド(タンパク質)合成用樹脂
を用いることができる。そのような樹脂としては、例え
ば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズ
ヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジル
オキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒド
リルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメ
チルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルア
ミド樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−ヒ
ドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2’,4’−
ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキ
シ樹脂等をあげることができる。このような樹脂を用
い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ
酸を、目的とするポリペプチドの配列通りに、自体公知
の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最
後に樹脂からポリペプチドを切り出すと同時に各種保護
基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド
結合形成反応を実施し、目的のポリペプチドまたはそれ
らのアミド体を取得する。上記した保護アミノ酸の縮合
に関しては、ポリペプチド合成に使用できる各種活性化
試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類
がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N’
−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−
(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミド等が用
いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤
(例えば、HOBt、HOOBt)とともに保護アミノ
酸を直接樹脂に添加するかまたは、対応する酸無水物ま
たはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとし
てあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂
に添加することができる。
【0018】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、ポリペプチド(タンパク質)縮
合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選
択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,
N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドン
等の酸アミド類、塩化メチレン,クロロホルム等のハロ
ゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノール等のアルコ
ール類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ピ
リジン,ジオキサン,テトラヒドロフラン等のエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリル等のニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチル等のエステル類あるいはこ
れらの適宜の混合物等が用いられる。反応温度はポリペ
プチド(タンパク質)結合形成反応に使用され得ること
が知られている範囲から適宜選択され、通常約−20〜
50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ
酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒ
ドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合
には保護基の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返す
ことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰
り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸
またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸を
アセチル化することによって、後の反応に影響を与えな
いようにすることができる。
【0019】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソ
ボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキ
シカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキ
シカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホ
ルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニル
ホスフィノチオイル、Fmoc等が用いられる。カルボ
キシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオ
クチル、2−アダマンチル等の直鎖状、分枝状もしくは
環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化(例
えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステ
ル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジ
ルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシル
エステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、
t−ブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラ
ジド化等によって保護することができる。セリンの水酸
基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保
護することができる。このエステル化に適する基として
は、例えば、アセチル基等の低級(C1-6)アルカノイ
ル基、ベンゾイル基等のアロイル基、ベンジルオキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭酸から誘導さ
れる基等が用いられる。また、エーテル化に適する基と
しては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル
基、t-ブチル基等である。チロシンのフェノール性水酸
基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2−Bz
l、2−ニトロベンジル、Br−Z、t−ブチル等が用
いられる。ヒスチジンのイミダゾールの保護基として
は、例えば、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリ
メチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメ
チル、Bum、Boc、Trt、Fmoc等が用いられ
る。原料のカルボキシル基の活性化されたものとして
は、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル
〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,
4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェ
ノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロ
キシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕等が用い
られる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、
例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。保護基の
除去(脱離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいは
Pd−炭素等の触媒の存在下での水素気流中での接触還
元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいは
これらの混合液等による酸処理や、ジイソプロピルエチ
ルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン
等による塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムに
よる還元等も用いられる。上記酸処理による脱離反応
は、一般に約−20〜40℃の温度で行なわれるが、酸
処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チ
オアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメ
チルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジ
チオール等のようなカチオン捕捉剤の添加が有効であ
る。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用い
られる2,4−ジニトロフェニル基はチオフェノール処
理により除去され、トリプトファンのインドール保護基
として用いられるホルミル基は上記の1,2−エタンジ
チオール、1,4−ブタンジチオール等の存在下の酸処
理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希ア
ンモニア等によるアルカリ処理によっても除去される。
【0020】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化等は公知の基または公知の手段か
ら適宜選択しうる。本発明のポリペプチド、本発明の部
分ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、例え
ば、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル
基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド
(ポリペプチド)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペ
プチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いた
ポリペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを
除去したポリペプチドとを製造し、この両ポリペプチド
を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の
詳細については上記と同様である。縮合により得られた
保護ポリペプチドを精製した後、上記方法によりすべて
の保護基を除去し、所望の粗ポリペプチドを得ることが
できる。この粗ポリペプチドは既知の各種精製手段を駆
使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のポ
リペプチドのアミド体を得ることができる。本発明のポ
リペプチド、本発明の部分ペプチドのエステル体を得る
には、例えば、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキ
シル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステル
とした後、本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプチ
ドのアミド体と同様にして、所望のポリペプチドのエス
テル体を得ることができる。
【0021】本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプ
チドは、公知のペプチドの合成法に従って製造すること
ができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合
成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、
本発明の部分ペプチドを構成し得る部分ペプチド(本発
明の部分ペプチドを構成し得る部分ペプチド)もしくは
アミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有
する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチド
を製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱
離としては、例えば、以下の〜に記載された方法な
どが挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シ
ンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publish
ers, New York (1966年)、 SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年)、 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年)、 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年)、および 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合
成、広川書店。また、反応後は通常の精製法、例えば、
溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロ
マトグラフィー・再結晶等を組み合わせて本発明のポリ
ペプチド、本発明の部分ペプチドを精製単離することが
できる。上記方法で得られるポリペプチドが遊離体であ
る場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によっ
て適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られ
た場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によっ
て遊離体または他の塩に変換することができる。
【0022】本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプ
チドをコードするポリヌクレオチド(以下、これらを総
称して、本発明のポリヌクレオチドと称する場合があ
る)としては、前述した本発明のポリペプチド、本発明
の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するもので
あればいかなるものであってもよい(DNAまたはRN
A、好ましくはDNA)。該ポリヌクレオチドとして
は、本発明のレセプター蛋白質をコードするDNA、m
RNA等のRNAであり、二本鎖であっても、一本鎖で
あってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖
RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。
一本鎖の場合は、センス鎖(すなわち、コード鎖)であ
っても、アンチセンス鎖(すなわち、非コード鎖)であ
ってもよい。本発明のポリペプチド、本発明の部分ペプ
チドをコードするDNAとしては、ゲノムDNA、前記
した細胞または組織由来のcDNA、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
等いずれであってもよい。また、前記した細胞または組
織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したもの
を用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain
Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)によっ
て増幅することもできる。
【0023】本発明のポリペプチドをコードするDNA
としては、例えば、本発明のポリペプチドと実質的に同
質の活性(性質)(例、細胞死抑制作用(例、各種疾患
に伴う細胞死に対する抑制作用)、細胞生存維持作用;
神経変性疾患、癌、免疫疾患、感染症、消化管疾患、循
環器疾患または内分泌疾患の予防・治療活性(作用)
等)を有するポリペプチドをコードするDNA等を有
し、本発明のポリペプチドと実質的に同質の性質を有す
るポリペプチドをコードするDNAであれば何れのもの
でもよい。本発明のポリペプチドをコードするDNAと
して、具体的には、配列番号:3で表される塩基配列を
有するDNAを含有するDNAなどがあげられる。配列
番号:3で表される塩基配列とハイストリンジェントな
条件下でハイブリダイズできるDNAも本発明のポリペ
プチドをコードするDNAとしてあげることができ、例
えば、配列番号:3で表される塩基配列と約80%以
上、好ましくは約85%以上、さらに好ましくは約90
%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNA等が
用いられる。
【0024】ハイブリダイゼーションは、公知の方法あ
るいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クロ
ーニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et
al.,Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の
方法等に従って行なうことができる。また、市販のライ
ブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方
法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイ
ストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム
濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mM
で、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃
の条件を示す。配列番号:4で表されるアミノ酸配列を
有するポリペプチドをコードするDNAとしては、配列
番号:3で表される塩基配列を有するDNA等が挙げら
れる。
【0025】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、本発明の部分ペプチドをコードするDNAで
あれば何れのものでもよい。具体例としては、配列番
号:8で表される塩基配列を含有するDNAなどが挙げ
られる。
【0026】本発明のポリペプチドまたは本発明の部分
ペプチドを完全にコードするDNAのクローニングの手
段としては、本発明のポリペプチドまたは本発明の部分
ペプチドの部分塩基配列を有する合成DNAプライマー
を用いてPCR法によってゲノムDNAやcDNAを増
幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNA
(ライブラリー)を本発明のポリペプチドまたは本発明
の部分ペプチドの一部あるいは全領域をコードするDN
A断片もしくは合成DNAを用いてラジオアイソトープ
や酵素で標識したもの(DNAプローブ)とのハイブリ
ダイゼーションによって選別することができる。ハイブ
リダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・ク
ローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook e
t al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載
の方法等に従って行なうことができる。また、市販のラ
イブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の
方法に従って行なうことができる。DNAの塩基配列の
置換は、PCRや公知のキット、例えば、MutanTM-supe
rExpress Km(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝酒造
(株))等を用いて、ODA-LAPCR法やGupped duplex法や
Kunkel法等の公知の方法あるいはそれらに準じる方法に
従って行なうことができる。クローン化されたポリペプ
チドをコードするDNAは目的によりそのまま、または
所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加した
りして使用することができる。該DNAはその5’末端
側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末
端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたは
TAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや
翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用い
て付加することもできる。本発明のポリペプチドまたは
本発明の部分ペプチドの発現ベクターは、例えば、
(イ)本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチ
ドをコードするDNAから目的とするDNA断片を切り
出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプ
ロモーターの下流に連結することにより製造することが
できる。
【0027】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージ等のバク
テリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルス等の動物ウイルス等の他、pA1
−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、
pcDNAI/Neo等が用いられる。本発明で用いら
れるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主
に対応して適切なプロモーターであればいかなるもので
もよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、
SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプ
ロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモ
ーター、β−アクチン等が挙げられる。これらのうち、
CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、SRα
プロモーター等を用いるのが好ましい。宿主がエシェリ
ヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプ
ロモーター、recAプロモーター、λPLプロモータ
ー、lppプロモーター、T7プロモーター等が、宿主
がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、
SPO2プロモーター、penPプロモーター等、宿主
が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプ
ロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター
等が好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘド
リンプロモーター、P10プロモーター等が好ましい。
【0028】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)等を含有し
ているものを用いることができる。選択マーカーとして
は、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと
略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MT
X)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Ampr
と略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以
下、Neorと略称する場合がある、Geneticin耐性)等
が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズ
ハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マーカー
として使用する場合、組換え体細胞をチミジンを含まな
い培地によっても選択できる。また、必要に応じて、宿
主に合ったシグナル配列を、本発明のポリペプチドのN
端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合
は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列
等が、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラー
ゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列等が、
宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SU
C2・シグナル配列等、宿主が動物細胞である場合に
は、インシュリン・シグナル配列、α−インターフェロ
ン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列等がそれぞ
れ利用できる。このようにして構築された本発明のポリ
ペプチドまたは本発明の部分ペプチドをコードするDN
Aを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造する
ことができる。
【0029】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞等
が用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、例
えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12
・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエ
スエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,16
0(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ
・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,30
9(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレ
キュラー・バイオロジー(Journal of MolecularBiolog
y),120巻,517(1978)〕,HB101〔ジ
ャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41
巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス
(Genetics),39巻,440(1954)〕等が用いら
れる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サブ
チルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,2
4巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル
・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistr
y),95巻,87(1984)〕等が用いられる。酵母
としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Sa
ccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R-,N
A87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサ
ッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pomb
e)NCYC1913,NCYC2036、ピキア・パ
ストリス(Pichia pastoris)KM71等が用いられ
る。
【0030】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、ヨトウガの幼虫由来株化細胞(Spod
optera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia n
iの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来の
High FiveTM細胞、Mamestrabrassicae由来の細胞または
Estigmena acrea由来の細胞等が用いられる。ウイルス
がBmNPVの場合は、カイコ由来株化細胞(Bombyx m
ori N 細胞;BmN細胞)等が用いられる。該Sf細胞
としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf
21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In V
ivo),13, 213-217,(1977))等が用いられる。昆虫とし
ては、例えば、カイコの幼虫等が用いられる〔前田ら、
ネイチャー(Nature),315巻,592(198
5)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−
7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニ
ーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhf
-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−2
0,マウスミエローマ細胞,ラットGH3細胞,ヒトF
L細胞等が用いられる。エシェリヒア属菌を形質転換す
るには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・
ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69
巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,1
07(1982)等に記載の方法に従って行なうことがで
きる。バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレ
キュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Mo
lecular & General Genetics),168巻,111(1
979)等に記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・イン・エ
ンザイモロジー(Methods in Enzymology),194
巻,182−187(1991)、プロシージングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
イズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA),75巻,1929(1978)等に記載の方
法に従って行なうことができる。昆虫細胞または昆虫を
形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bi
o/Technology),6, 47-55(1988)等に記載の方法に従っ
て行なうことができる。動物細胞を形質転換するには、
例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコー
ル.263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィ
ロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記
載の方法に従って行なうことができる。このようにし
て、ポリペプチドをコードするDNAを含有する発現ベ
クターで形質転換された形質転換体を得ることができ
る。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質
転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液
体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に
必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられ
る。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリ
ン、可溶性澱粉、ショ糖等、窒素源としては、例えば、
アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカ
ー、ペプトン、カゼイン、酵母エキス、肉エキス、大豆
粕、バレイショ抽出液等の無機または有機物質、無機物
としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナト
リウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。また、酵母
エキス、ビタミン類、生長促進因子等を添加してもよ
い。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0031】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505
(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地
〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・
ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),8
1巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のp
Hは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約2
0〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通
気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆虫である形
質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect
Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,78
8(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適
宜加えたもの等が用いられる。培地のpHは約6.2〜
6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で
約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培
地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含む
MEM培地〔サイエンス(Science),122巻,50
1(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virolo
gy),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640
培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル
・アソシエーション(The Journal of the American Me
dical Association)199巻,519(1967)〕,
199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ
・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceedi
ng ofthe Society for the Biological Medicine),7
3巻,1(1950)〕等が用いられる。pHは約6〜8
であるのが好ましい。培養は通常約30〜40℃で約1
5〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜ま
たは細胞外(好ましくは細胞外)に本発明のポリペプチ
ドまたは本発明の部分ペプチドを生成せしめることがで
きる。
【0032】上記培養物から本発明のポリペプチドまた
は本発明の部分ペプチドを分離精製するには、例えば、
下記の方法により行なうことができる。本発明のポリペ
プチドまたは本発明の部分ペプチドを培養菌体あるいは
細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌
体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、
超音波、リゾチームおよび/または凍結融解等によって
菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によ
りポリペプチドの粗抽出液を得る方法等が適宜用いられ
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジン等のタンパク質
変性剤や、トリトンX−100TM等の界面活性剤が含ま
れていてもよい。培養液中にポリペプチドが分泌される
場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞
と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得ら
れた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明のポ
リペプチドまたは本発明の部分ペプチドの精製は、公知
の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができ
る。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒
沈澱法等の溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過
法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法等の主として分子量の差を利用する方法、
イオン交換クロマトグラフィー等の荷電の差を利用する
方法、アフィニティークロマトグラフィー等の特異的親
和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィー
等の疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法等の
等電点の差を利用する方法等が用いられる。
【0033】かくして得られる本発明のポリペプチドま
たは本発明の部分ペプチドが遊離体で得られた場合に
は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に
変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の
方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他
の塩に変換することができる。なお、組換え体が産生す
る本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチド
を、精製前または精製後に適当なタンパク質修飾酵素ま
たはタンパク質分解酵素等を作用させることにより、任
意に修飾を加えたり、本発明のポリペプチドまたは本発
明の部分ペプチドを部分的に除去することもできる。こ
れらの酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプ
シン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナ
ーゼ、グリコシダーゼ等が用いられる。かくして生成す
る本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドの
存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイや
ウエスタンブロット解析等により測定することができ
る。また、上述のとおり、本発明のポリペプチド、本発
明の部分ペプチドのN末端またはC末端などにエピトー
プ(抗体認識部位)となりうる任意の外来ペプチド配列
(例えば、FLAG、HISタグ、mycタグ、HAタ
グ、HSVタグなど)を融合させ、該ペプチド配列を認
識する抗体を用いて、化学発光等を検出することによ
り、本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチド
の存在を測定することも可能である。
【0034】本発明のポリペプチドまたは本発明の部分
ペプチドに対する抗体(以下、本発明の抗体と称する場
合がある)は、本発明のポリペプチドまたは本発明の部
分ペプチドを認識し得る抗体であれば、ポリクローナル
抗体(以下、本発明のポリクローナル抗体と称する場合
がある)、モノクローナル抗体(以下、本発明のモノク
ローナル抗体)の何れであってもよい。本発明のポリペ
プチドまたは本発明の部分ペプチドに対する抗体は、本
発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドを抗原
として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って
製造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクローナル抗体産生細胞の作製 本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドは、
温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそ
れ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与
に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジ
ュバントや不完全フロイントアジュバントを投与しても
よい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回
程度行われる。用いられる温血動物としては、例えば、
サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒ
ツジ、ヤギ、ニワトリが挙げられるが、マウスおよびラ
ットが好ましく用いられる。モノクローナル抗体産生細
胞の作製に際しては、抗原で免疫された温血動物、例え
ばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫
の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに
含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細
胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハ
イブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体
価の測定は、例えば、後記の標識化ポリペプチドと抗血
清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を
測定することにより行なうことができる。融合操作は既
知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネ
イチャー(Nature)、256、495 (1975)〕に従い実施する
ことができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチ
レングリコール(PEG)やセンダイウィルス等が挙げ
られるが、好ましくはPEGが用いられる。
【0035】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1等の温血動物の骨髄腫
細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。
用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数
との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PE
G(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が1
0〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好
ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベー
トすることにより効率よく細胞融合を実施できる。モノ
クローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングに
は種々の方法が使用できるが、例えば、ポリペプチド抗
原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マ
イクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、
次に放射性物質や酵素等で標識した抗免疫グロブリン抗
体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウ
ス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテイン
Aを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出す
る方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸
着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射
性物質や酵素等で標識したポリペプチドを加え、固相に
結合したモノクローナル抗体を検出する方法等が挙げら
れる。モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれ
に準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT
(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加
した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および
育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるもの
ならばどのような培地を用いても良い。例えば、約1〜
20%、好ましくは約10〜20%の牛胎児血清を含む
RPMI 1640培地、約1〜10%の牛胎児血清を
含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブ
リドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))等を用いることができる。培養温度は、通常約
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0036】(b)モノクローナル抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、公知の方法、例え
ば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコ
ール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体
(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過
法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテ
インG等の活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を
解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうこ
とができる。
【0037】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に
従って製造することができる。例えば、免疫抗原(ポリ
ペプチド抗原)自体、あるいはそれとキャリアータンパ
ク質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の
製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物か
ら本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドに
対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なう
ことにより製造することができる。温血動物を免疫する
ために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質との
複合体に関し、キャリアータンパク質の種類およびキャ
リアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させ
て免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、
どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例
えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘ
モシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜
20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が
用いられる。また、ハプテンとキャリアーのカプリング
には、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタル
アルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステ
ル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エス
テル試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対
して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、
希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を
高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロ
イントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約
2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれ
る。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温
血動物の血液、腹水等、好ましくは血液から採取するこ
とができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定
は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定で
きる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノク
ローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離
精製法に従って行なうことができる。
【0038】本発明のポリヌクレオチドに相補的な、ま
たは実質的に相補的な塩基配列を有するアンチセンス・
ポリヌクレオチドとしては、本発明のポリヌクレオチド
に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有し、
該ポリヌクレオチド(DNA)の発現を抑制し得る作用
を有するものであれば、いずれのアンチセンス・ポリヌ
クレオチドであってもよい。本発明のポリヌクレオチド
に実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のポ
リヌクレオチドに相補的な塩基配列(例、本発明のDN
Aの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約7
0%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約
90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有
する塩基配列等が挙げられる。特に、本発明のポリヌク
レオチドの相補鎖の全塩基配列うち、本発明のポリペプ
チドのN末端部位をコードする部分の塩基配列(例え
ば、開始コドン付近の塩基配列等)の相補鎖と約70%
以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90
%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する
アンチセンス・ポリヌクレオチドが好適である。これら
のアンチセンス・ポリヌクレオチドは、公知のDNA合
成装置等を用いて製造することができる。
【0039】本発明のポリペプチドがシグナルペプチド
を有する場合は、細胞外に効率よく分泌され、液性因子
として、シグナル伝達や自己防衛等のための重要な生物
活性を発揮する。以下に、本発明のポリペプチド、本発
明の部分ペプチド(以下、本発明のポリペプチドと本発
明の部分ペプチド、およびこれらの塩も合わせて本発明
のポリペプチドと略記する場合がある)、上記本発明の
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(本発明の
ポリヌクレオチド)、上記本発明のポリペプチドに対す
る抗体(本発明の抗体)、および本発明のアンチセンス
・ポリヌクレオチドの用途を説明する。
【0040】(1)本発明のポリペプチドが関与する各
種疾病の予防・治療剤 本発明のポリペプチドは生体内に存在し、細胞死抑制作
用、細胞生存維持作用などを有する。本発明のポリペプ
チド、または本発明のポリヌクレオチド(例、DNA
等)などに異常があったり、欠損している場合あるいは
発現量が異常に減少または亢進している場合、例えば、
神経変性を伴う疾病など、例えば、神経変性疾患〔例、
アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病、若年性ア
ルツハイマー病、孤発性アルツハイマー病など)、パー
キンソン病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン
病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞踏
病、糖尿病性ニューロパチー、多発性硬化症など〕、脳
機能障害(例、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、虚血性
脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫など)、癌(例、星状
細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免疫疾患、感染症(例、
髄膜炎、原虫感染症、リケッチア感染症、後生動物感染
症、Borna病などの細菌性またはウイルス性髄膜
炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳症など)、消化管
疾患、循環器疾患、内分泌疾患などの種々の疾病が発症
する。したがって、本発明のポリペプチドおよび本発明
のポリヌクレオチドは、例えば、細胞死抑制剤として、
さらには、例えば神経変性を伴う疾病など、例えば、神
経変性疾患〔例、アルツハイマー病(家族性アルツハイ
マー病、若年性アルツハイマー病、孤発性アルツハイマ
ー病など)、パーキンソン病、ダウン症、筋萎縮性側索
硬化症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハ
ンチントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチー、多発性硬
化症など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳出血、クモ膜
下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫な
ど)、癌(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免疫
疾患、感染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リケッチア感
染症、後生動物感染症、Borna病などの細菌性また
はウイルス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳
症など)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の種
々の疾病の予防・治療剤、好ましくは神経変性疾患、脳
機能障害の予防・治療剤として、さらに好ましくはアル
ツハイマー病の予防・治療剤として、低毒性で安全な医
薬として使用することができる。例えば、生体内におい
て本発明のポリペプチドが減少あるいは欠損しているた
めに、細胞における情報伝達が十分に、あるいは正常に
発揮されない患者がいる場合に、(イ)本発明のポリヌ
クレオチドを該患者に投与し、生体内で本発明のポリペ
プチドを発現させることによって、(ロ)細胞に本発明
のポリヌクレオチドを挿入し、本発明のポリペプチドを
発現させた後に、該細胞を患者に移植することによっ
て、または(ハ)本発明のポリペプチドを該患者に投与
すること等によって、該患者における本発明のポリペプ
チドの役割を十分に、あるいは正常に発揮させることが
できる。本発明のポリヌクレオチドを上記の医薬として
使用する場合は、該ポリヌクレオチド(例、DNA)を
単独またはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベ
クター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベク
ター等の適当なベクターに挿入した後、常套手段に従っ
て、ヒトまたは温血動物に投与することができる。本発
明のポリヌクレオチドは、そのままで、あるいは摂取促
進のための補助剤等の生理学的に認められる担体ととも
に製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのよう
なカテーテルによって投与できる。
【0041】本発明のポリペプチドを上記の予防・治療
剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましく
は95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ま
しくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ま
しい。本発明のポリペプチドは、例えば、必要に応じて
糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイク
ロカプセル剤等として経口的に、あるいは水もしくはそ
れ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または
懸濁液剤等の注射剤の形で非経口的に使用できる。例え
ば、本発明のポリペプチドを生理学的に認められる担
体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合
剤等とともに一般に認められた製剤実施に要求される単
位用量形態で混和することによって製造することができ
る。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の
適当な容量が得られるようにするものである。錠剤、カ
プセル剤等に混和することができる添加剤としては、例
えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビ
アゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形
剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸等のような
膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、シ
ョ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミ
ント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤等が用
いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前
記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有す
ることができる。注射のための無菌組成物は注射用水の
ようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油等のよう
な天然産出植物油等を溶解または懸濁させる等の通常の
製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性
液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の
補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−
マンニトール、塩化ナトリウム等)等が挙げられ、適当
な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノー
ル等)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール等)、非イオン性界面活性
剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50等)
等と併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ
油、大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベ
ンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。ま
た、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム
緩衝液等)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウ
ム、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ヒト血清ア
ルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例え
ば、ベンジルアルコール、フェノール等)、酸化防止剤
等と配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当
なアンプルに充填される。本発明のポリヌクレオチドが
挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、
非経口的に使用される。
【0042】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラ
ット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ウマ、ネコ、イヌ、サル等)に対して投与すること
ができる。本発明のポリペプチドの投与量は、対象疾
患、投与対象、投与ルート等により差異はあるが、例え
ば、アルツハイマー病の治療目的で本発明のポリペプチ
ドを経口投与する場合、一般的に成人(60kgとし
て)においては、一日につき本発明のポリペプチドを約
1〜1000mg、好ましくは約10〜500mg、よ
り好ましくは約10〜200mg投与する。非経口的に
投与する場合は、本発明のポリペプチドの1回投与量は
投与対象、対象疾患等によっても異なるが、例えば、ア
ルツハイマー病のような神経変性疾患の治療目的で本発
明のポリペプチドを注射剤の形で成人(体重60kgと
して)に投与する場合、一日につき該ポリペプチドを約
1〜1000mg程度、好ましくは約1〜200mg程
度、より好ましくは約10〜100mg程度を患部に注
射することにより投与するのが好都合である。他の動物
の場合も、60kg当たりに換算した量を投与すること
ができる。
【0043】(2)疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング 本発明のポリペプチドは生体内に存在するため、本発明
のポリペプチドの機能を促進する化合物またはその塩
は、例えば、細胞死抑制剤として、さらには、例えば神
経変性を伴う疾病など、例えば、神経変性疾患〔例、ア
ルツハイマー病(家族性アルツハイマー病、若年性アル
ツハイマー病、孤発性アルツハイマー病など)、パーキ
ンソン病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン
病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞踏
病、糖尿病性ニューロパチー、多発性硬化症など〕、脳
機能障害(例、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、虚血性
脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫など)、癌(例、星状
細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免疫疾患、感染症(例、
髄膜炎、原虫感染症、リケッチア感染症、後生動物感染
症、Borna病などの細菌性またはウイルス性髄膜
炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳症など)、消化管
疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の種々の疾病の予防・
治療剤、好ましくは神経変性疾患、脳機能障害の予防・
治療剤として、さらに好ましくはアルツハイマー病の予
防・治療剤として、低毒性で安全な医薬として使用でき
る。一方、本発明のポリペプチドの機能を阻害する化合
物またはその塩は、本発明のポリペプチドの産生過剰に
起因する疾患(例、癌など)の予防・治療剤等の医薬と
して使用できる。
【0044】したがって、本発明のポリペプチドは、本
発明のポリペプチドの機能を促進または阻害する化合物
またはその塩のスクリーニングのための試薬として有用
である。すなわち、本発明は、(1)本発明のポリペプ
チドを用いることを特徴とする本発明のポリペプチドの
活性(機能)を促進または阻害する化合物またはその塩
(以下、促進剤または阻害剤と略記する場合がある)の
スクリーニング方法を提供する。具体的には、例えば、
(2)(i)本発明のポリペプチドを細胞に接触させた
場合と、(ii)本発明のポリペプチドおよび試験化合物
を細胞に接触させた場合との、該細胞の細胞死抑制活性
の比較を行うことを特徴とする促進剤または阻害剤のス
クリーニング方法を提供する。具体的には、上記スクリ
ーニング方法においては、例えば、(i)と(ii)の場
合において、上記細胞を培養し、その生存率を測定す
る。上記細胞としては、細胞死が誘発されるものが好ま
しく用いられる。例えば、ラット副腎髄質由来褐色細胞
腫細胞(例、後述の実施例に記載のPC12h細胞な
ど)、家族性アルツハイマー病原因遺伝子のDNAを含
有するベクターで形質転換されたラットまたはマウス神
経由来細胞株、マウス大脳皮質初代培養細胞などが用い
られる。これらの細胞の細胞死は、グルタミン酸添加、
血清除去、βアミロイドタンパク質の添加、または組み
込んだ家族性アルツハイマー病原因遺伝子DNAの発現
などにより、誘発される。培地は、本発明のポリペプチ
ドの有する細胞死抑制作用を阻害しない培地であればい
ずれのものでもよく、例えばDulbecco modified Eagle'
s medium(DMEM)などが用いられる。生存率は、公知の
方法、例えば、細胞抽出液の乳酸脱水酵素(LDH)を
測定する方法、MTT(3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)
-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide)アッセイ法、
MTS(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxym
ethoxyphenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-tetrazolium)ア
ッセイ法、トリパンブルー染色法、カルセイン染色法な
どにより測定する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、98
巻、6336-6341頁、2001年、NeuroReport、13巻、903-90
7頁、2002年、WO01/21787など)。試験化合物として
は、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新
規な化合物であってもよいし、公知の化合物であっても
よい。
【0045】例えば、上記(ii)の場合における細胞死
抑制活性(例、生存率)を、上記(i)の場合に比べ
て、約20%以上、好ましくは30%以上、より好まし
くは約50%以上促進する試験化合物を、本発明のポリ
ペプチドの活性を促進する化合物またはその塩として選
択することができる。例えば、上記(ii)の場合におけ
る細胞死抑制活性(例、生存率)を、上記(i)の場合
に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、より
好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を、本発明
のポリペプチドの活性を阻害する化合物またはその塩と
して選択することができる。
【0046】本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポ
リペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物ま
たはその塩のスクリーニングのための試薬として有用で
ある。本発明は、(3)本発明のポリヌクレオチドを用
いることを特徴とする本発明のポリペプチド遺伝子の発
現を促進または阻害する化合物またはその塩(以下、そ
れぞれ促進剤、阻害剤と略記する場合がある)のスクリ
ーニング方法を提供し、より具体的には、例えば、
(4)(iii)本発明のポリペプチドを産生する能力を
有する細胞を培養した場合と(iv)本発明のポリペプチ
ドを産生する能力を有する細胞と試験化合物の混合物を
培養した場合との比較を行うことを特徴とする促進剤ま
たは阻害剤のスクリーニング方法を提供する。上記スク
リーニング方法においては、例えば、(iii)と(iv)
の場合における、本発明のポリペプチド遺伝子の発現量
(例、本発明のポリペプチド遺伝子のプロモーター下流
に挿入したアルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼな
どの酵素活性、本発明のポリペプチドをコードするmR
NA量など)を測定して、比較する。本発明のポリペプ
チドを産生する能力を有する細胞としては、例えば、前
述した本発明のポリペプチドをコードするDNAを含有
するベクターで形質転換された宿主(形質転換体)が用
いられる。宿主としては、例えば、CHO細胞などの動
物細胞が好ましく用いられる。該スクリーニングには、
例えば、前述の方法で培養することによって、本発明の
ポリペプチドを細胞内または培養上清中に産生する形質
転換体が好ましく用いられる。さらに好ましくは、本発
明のポリペプチド遺伝子のプロモーター下流に、分泌型
アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼなどの遺伝子
を挿入した形質転換体などが用いられる。試験化合物と
しては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性
化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽
出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は
新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であって
もよい。上記のスクリーニング方法を実施するには、本
発明のポリペプチドを産生する能力を有する細胞をスク
リーニングに適した培地で培養して調製する。培地は、
本発明のポリペプチドの産生を阻害しない培地であれば
いずれのものでもよく、例えばDMEM培地などが用いられ
る。本発明のポリペプチド遺伝子の発現量は、本発明の
ポリペプチド遺伝子のプロモーター下流に挿入したアル
カリホスファターゼ、ルシフェラーゼなどの酵素活性
を、公知の方法に従い、測定することができる。本発明
のポリペプチド遺伝子の発現量は、さらに、公知の方
法、例えば、ノーザンブロッティングやReverse transc
ription-polymerase chain reaction(RT−PC
R)、リアルタイムPCR解析システム(ABI社製、
TaqMan polymerase chain reaction)などの方法あるい
はそれに準じる方法にしたがって測定することもでき
る。例えば、上記(iv)の場合における本発明のポリペ
プチド遺伝子の発現を、上記(iii)の場合に比べて、
約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは
約50%以上促進する試験化合物を本発明のポリペプチ
ド遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩として選
択することができる。例えば、上記(iv)の場合におけ
る本発明のポリペプチド遺伝子の発現を、上記(iii)
の場合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以
上、より好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を
本発明のポリペプチド遺伝子の発現を阻害する化合物ま
たはその塩として選択することができる。
【0047】本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポ
リペプチド遺伝子の活性を促進または阻害する化合物ま
たはその塩のスクリーニングのための試薬としても有用
である。すなわち、本発明は、(5)本発明のポリヌク
レオチドを用いることを特徴とする本発明のポリペプチ
ドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩(以
下、促進剤または阻害剤と略記する場合がある)のスク
リーニング方法を提供する。具体的には、例えば、
(6)(v)本発明のポリペプチドを産生する能力を有
する細胞を、別の細胞に接触させて培養した場合と(v
i)本発明のポリペプチドを産生する能力を有する細胞
と試験化合物の混合物を、別の細胞に接触させて培養し
た場合との、該別の細胞の細胞死抑制活性の比較を行う
ことを特徴とする本発明のポリペプチドの有する細胞死
抑制活性の促進剤または阻害剤のスクリーニング方法を
提供する。具体的には、上記スクリーニング方法におい
ては、例えば、(v)と(vi)の場合において、上記細
胞を培養し、その生存率を測定する。本発明のポリペプ
チドを産生する能力を有する細胞としては、上記(4)
に記載の細胞が用いられる。別の細胞としては、上記
(2)に記載の細胞が用いられる。試験化合物、培養
法、細胞死抑制活性の測定法などは、上記(2)に準じ
る。例えば、上記(vi)の場合における細胞死抑制活性
(例、生存率)を、上記(v)の場合に比べて、約20
%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50
%以上促進する試験化合物を、本発明のポリペプチドの
活性を促進する化合物またはその塩として選択すること
ができる。例えば、上記(vi)の場合における細胞死抑
制活性(例、生存率)を、上記(v)の場合に比べて、
約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは
約50%以上阻害する試験化合物を、本発明のポリペプ
チドの活性を阻害する化合物またはその塩として選択す
ることができる。
【0048】本発明は、(7)本発明の抗体を用いるこ
とを特徴とする本発明のポリペプチドの発現(産生)を
促進または阻害する化合物またはその塩(以下、それぞ
れ促進剤、阻害剤と略記する場合がある)のスクリーニ
ング方法を提供する。具体的には、例えば、(8)(vi
i)本発明のポリペプチドを産生する能力を有する細胞
を培養した場合と(viii)本発明のポリペプチドを産生
する能力を有する細胞と試験化合物の混合物を培養した
場合との比較を、本発明の抗体を用いて行うことを特徴
とする促進剤または阻害剤のスクリーニング方法を提供
する。上記スクリーニング方法においては、例えば、本
発明の抗体を用いて(vii)と(viii)の場合におけ
る、本発明のポリペプチドの産生量(具体的には、本発
明のポリペプチド量)を測定して、比較する。試験化合
物としては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチ
ド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植
物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合
物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であ
ってもよい。上記のスクリーニング方法を実施するに
は、本発明のポリペプチドを産生する能力を有する細胞
をスクリーニングに適した培地で培養して行う。培地
は、本発明のポリペプチドの産生を阻害しない培地であ
ればいずれのものでもよく、例えばDMEM培地などが用い
られる。本発明のポリペプチドを産生する能力を有する
細胞としては、例えば、前述した本発明のポリペプチド
をコードするDNAを含有するベクターで形質転換され
た宿主(形質転換体)が用いられる。宿主としては、例
えば、CHO細胞などの動物細胞が好ましく用いられ
る。該スクリーニングには、例えば、前述の方法で培養
することによって、本発明のポリペプチドを細胞内また
は培養上清中に産生する形質転換体が好ましく用いられ
る。本発明のポリペプチド量の測定は、公知の方法、例
えば、本発明のポリペプチドを認識する抗体を用いて、
細胞抽出液中などに存在する前記ポリペプチドを、ウェ
スタン解析、ELISA法などの方法またはそれに準じ
る方法に従い測定することができる。例えば、上記(vi
ii)の場合における本発明のポリペプチドの産生量(発
現量)を、上記(vi)の場合に比べて、約20%以上、
好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上促
進する試験化合物を本発明のポリペプチドの発現を促進
する化合物またはその塩として選択することができる。
例えば、上記(viii)の場合における本発明のポリペプ
チドの産生量(発現量)を、上記(vi)の場合に比べ
て、約20%以上、好ましくは30%以上、より好まし
くは約50%以上阻害する試験化合物を本発明のポリペ
プチドの発現を阻害する化合物またはその塩として選択
することができる。本発明のスクリーニング用キット
は、本発明のポリペプチドまたはその塩を含有するもの
である。
【0049】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液、血漿等から選ばれた化合物であ
り、本発明のポリペプチドの機能を促進または阻害する
化合物、本発明のポリペプチド遺伝子の発現を促進する
化合物またはその塩、本発明のポリペプチドの発現を促
進する化合物またはその塩である。該化合物の塩として
は、前記した本発明のポリペプチドの塩と同様のものが
用いられる。本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる、 本発明のポリペ
プチドの機能を促進する化合物またはその塩、本発明の
ポリペプチド遺伝子の発現を促進する化合物またはその
塩、本発明のポリペプチドの発現を促進する化合物また
はその塩は、例えば、細胞死抑制剤として、さらには、
例えば神経変性を伴う疾病など、例えば、神経変性疾患
〔例、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病、若
年性アルツハイマー病、孤発性アルツハイマー病な
ど)、パーキンソン病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化
症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチ
ントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチー、多発性硬化症
など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出
血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫など)、癌
(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免疫疾患、感
染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リケッチア感染症、後
生動物感染症、Borna病などの細菌性またはウイル
ス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳症な
ど)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の種々の
疾病の予防・治療剤、好ましくは神経変性疾患、脳機能
障害の予防・治療剤として、さらに好ましくはアルツハ
イマー病の予防・治療剤として、低毒性で安全な医薬と
して使用できる。一方、本発明のポリペプチドの機能を
阻害する化合物またはその塩、本発明のポリペプチド遺
伝子の発現を阻害する化合物またはその塩、本発明のポ
リペプチドの発現を阻害する化合物またはその塩は、本
発明のポリペプチドの産生過剰に起因する疾患(例、癌
など)の予防・治療剤等の医薬として使用できる。
【0050】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の予防
・治療剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、前記した本発明のポリペプチ
ドを含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液
剤等とすることができる。このようにして得られる製剤
は安全で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例え
ば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ウマ、ネコ、イヌ、サル等)に対して投与すること
ができる。該化合物またはその塩の投与量は、その作
用、対象疾患、投与対象、投与ルート等により差異はあ
るが、例えば、アルツハイマー病の治療の目的で本発明
のポリペプチドの活性や機能を促進する化合物を経口投
与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)にお
いては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、
好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.
0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該
化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患等によっても
異なるが、例えば、アルツハイマー病の治療の目的で本
発明のポリペプチドの活性や機能を促進する化合物を注
射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。一方、本発明のポリペ
プチドの活性や機能を阻害する化合物を経口投与する場
合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、
一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましく
は約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20
mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の
1回投与量は投与対象、対象疾患等によっても異なる
が、本発明のポリペプチドの活性や機能を阻害する化合
物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与す
る場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。
【0051】(3)本発明の抗体を用いるポリペプチド
の定量および診断方法 本発明の抗体は、本発明のポリペプチドを特異的に認識
することができるので、被検液中の本発明のポリペプチ
ドの定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量等に
使用することができる。すなわち、本発明は、(i)本
発明の抗体と、被検液および標識化された本発明のポリ
ペプチドとを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識
化された本発明のポリペプチドの割合を測定することを
特徴とする被検液中の本発明のポリペプチドの定量法、
および(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体
および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは
連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性
を測定することを特徴とする被検液中の本発明のポリペ
プチドの定量法を提供する。
【0052】また、本発明のモノクローナル抗体を用い
て本発明のポリペプチドの定量を行なえるほか、組織染
色等による検出を行なうこともできる。これらの目的に
は、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子
のF(ab')2 、Fab'、あるいはFab画分を用いて
もよい。本発明の抗体を用いる本発明のポリペプチドの
定量法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液
中の抗原量(例えば、本発明のポリペプチド量)に対応
した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的
または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を
含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定
法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、
ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサ
ンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点
で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好まし
い。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤として
は、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物
質等が用いられる。放射性同位元素としては、例えば、
125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕等が用いら
れる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが
好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコ
シダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダー
ゼ、リンゴ酸脱水素酵素等が用いられる。蛍光物質とし
ては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソ
チオシアネート等が用いられる。発光物質としては、例
えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、
ルシゲニン等が用いられる。さらに、抗体あるいは抗原
と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いること
もできる。
【0053】抗原あるいは抗体の不溶化にあたっては、
物理吸着を用いてもよく、また通常ポリペプチドあるい
は酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合
を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デ
キストラン、セルロース等の不溶性多糖類、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、ある
いはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては
不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応
させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のポリペプチド量を定量することができる。1次
反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行
なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化
剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることがで
きる。また、サンドイッチ法による免疫測定法におい
て、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は
必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させ
る等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよ
い。本発明のサンドイッチ法による本発明のポリペプチ
ドの測定法においては、1次反応と2次反応に用いられ
る本発明のモノクローナル抗体は、本発明のポリペプチ
ドの結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられ
る。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗
体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明の
ポリペプチドのC端部を認識する場合、1次反応で用い
られる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を
認識する抗体が用いられる。
【0054】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリー等に用いることができ
る。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に
対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体等を用いる液相法、およ
び、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、
第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗
体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリック
法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識
化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離する
か、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体と
を反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体
を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次
に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を
定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは
溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量
を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈
降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用する
レーザーネフロメトリー等が好適に用いられる。
【0055】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のポリペプチドの測定系を構築すればよい。これらの
一般的な技術手段の詳細については、総説、成書等を参
照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイム
ノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編
「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(Part D: Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E: Mon
oclonal Antibodiesand General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)等を参照するこ
とができる。以上のようにして、本発明の抗体を用いる
ことによって、本発明のポリペプチドを感度良く定量す
ることができる。さらには、本発明の抗体を用いて本発
明のポリペプチドの濃度を定量することによって、本発
明のポリペプチドの濃度の増加または減少が検出された
場合、例えば、神経変性を伴う疾病など、例えば、神経
変性疾患〔例、アルツハイマー病(家族性アルツハイマ
ー病、若年性アルツハイマー病、孤発性アルツハイマー
病など)、パーキンソン病、ダウン症、筋萎縮性側索硬
化症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハン
チントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチー、多発性硬化
症など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳出血、クモ膜下
出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫など)、
癌(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免疫疾患、
感染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リケッチア感染症、
後生動物感染症、Borna病などの細菌性またはウイ
ルス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳症な
ど)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の疾病で
ある、または将来罹患する可能性が高いと診断すること
ができる。また、本発明の抗体は、体液や組織等の被検
体中に存在する本発明のポリペプチドを検出するために
使用することができる。また、本発明のポリペプチドを
精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各
分画中の本発明のポリペプチドの検出、被検細胞内にお
ける本発明のポリペプチドの挙動の分析等のために使用
することができる。
【0056】(4)本発明のポリヌクレオチドを含有す
る診断薬 本発明のポリヌクレオチドは、例えば、プローブとして
使用することにより、哺乳動物(例えば、ヒト、ラッ
ト、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ウマ、ネコ、イヌ、サル等)における本発明のポリ
ペプチドをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺
伝子異常)を検出することができるので、例えば、該D
NAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下
や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多等
の遺伝子診断薬として有用である。本発明のポリヌクレ
オチドを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知のノ
ーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法
(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879
頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナシ
ョナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユ
ーエスエー(Proceedings of the National Academy of
Sciences of the United States of America),第8
6巻,2766〜2770頁(1989年))等により
実施することができる。例えば、ノーザンハイブリダイ
ゼーションにより発現低下が検出された場合やPCR−
SSCP法によりDNAの突然変異が検出された場合
は、例えば、神経変性を伴う疾病など、例えば、神経変
性疾患〔例、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー
病、若年性アルツハイマー病、孤発性アルツハイマー病
など)、パーキンソン病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化
症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチ
ントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチー、多発性硬化症
など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出
血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫など)、癌
(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免疫疾患、感
染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リケッチア感染症、後
生動物感染症、Borna病などの細菌性またはウイル
ス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳症な
ど)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の疾病で
ある可能性が高いと診断することができる。
【0057】(5)アンチセンス・ポリヌクレオチドを
含有する医薬および診断薬 本発明のポリヌクレオチドに相補的に結合し、該ポリヌ
クレオチドの発現を抑制することができるポリヌクレオ
チド(アンチセンス・ポリヌクレオチド)は、生体内に
おける本発明のポリペプチドまたは本発明のポリヌクレ
オチドの機能を抑制することができるので、例えば、本
発明のポリペプチドの発現過多に起因する疾患の(例、
癌など)予防・治療剤として使用することができる。上
記アンチセンス・ポリヌクレオチドを上記の予防・治療
剤として、前記した本発明のDNAを含有する各種疾病
の予防・治療剤と同様に使用することができる。例え
ば、該アンチセンス・ポリヌクレオチドを単独あるいは
レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ア
デノウイルスアソシエーテッドウイルスベクター等の適
当なベクターに挿入した後、常套手段に従って投与する
ことができる。該アンチセンス・ポリヌクレオチドは、
そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤等の生理
学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハ
イドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与
できる。さらに、該アンチセンス・ポリヌクレオチド
は、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発
現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプロー
ブとして使用することもできる。例えば、神経変性を伴
う疾病など、例えば、神経変性疾患〔例、アルツハイマ
ー病(家族性アルツハイマー病、若年性アルツハイマー
病、孤発性アルツハイマー病など)、パーキンソン病、
ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、クロイツ
フェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニ
ューロパチー、多発性硬化症など〕、脳機能障害(例、
脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、虚血性脳疾患、硬膜外
血腫、硬膜下血腫など)、癌(例、星状細胞腫、乏枝神
経膠腫など)、免疫疾患、感染症(例、髄膜炎、原虫感
染症、リケッチア感染症、後生動物感染症、Borna
病などの細菌性またはウイルス性髄膜炎、ワクチン接種
後脳炎、AIDS脳症など)、消化管疾患、循環器疾
患、内分泌疾患等の疾病の診断に使用することができ
る。
【0058】(6)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のポリペプチドの活性を中和する作用を有する本
発明の抗体は、例えば、本発明のポリペプチドの発現過
多に起因する疾患(例、癌など)の予防・治療剤等の医
薬として使用することができる。本発明の抗体を含有す
る上記疾患の予防・治療剤は、そのまま液剤として、ま
たは適当な剤型の医薬組成物として、哺乳動物(例、ヒ
ト、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サル等)に対して経口的または非経口的に投与する
ことができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、
投与ルート等によっても異なるが、例えば、本発明の抗
体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重
程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さ
らに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日
1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射
により投与するのが好都合である。他の非経口投与およ
び経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することがで
きる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量
してもよい。本発明の抗体は、それ自体または適当な医
薬組成物として投与することができる。上記投与に用い
られる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許
容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むもので
ある。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する
剤形として提供される。すなわち、例えば、経口投与の
ための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的
には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、
丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を
含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等があげられる。か
かる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分
野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤
を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤
としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネ
シウム等が用いられる。
【0059】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤等が用いられ、注射剤は静脈注射剤、
皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤等の
剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方法に従
って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用
いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または
乳化することによって調製する。注射用の水性液として
は、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を
含む等張液等が用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、
アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、
プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非
イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−
50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogen
ated castor oil)〕等と併用してもよい。油性液とし
ては、例えば、ゴマ油、大豆油等が用いられ、溶解補助
剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を併
用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアン
プルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記
抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することに
よって調製される。上記の経口用または非経口用医薬組
成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の
剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位
の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(ア
ンプル)、坐剤等が例示され、それぞれの投薬単位剤形
当たり通常5〜500mg程度、とりわけ注射剤では5
〜100mg程度、その他の剤形では10〜250mg
程度の上記抗体が含有されていることが好ましい。なお
前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましく
ない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有しても
よい。
【0060】(7)DNA導入動物 本発明は、外来性の本発明のポリペプチドをコードする
DNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)また
はその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記す
る場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。す
なわち、本発明は、(1)本発明の外来性DNAまたは
その変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト
哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)記載の動物、(3)
ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第(2)記載の
動物、および(4)本発明の外来性DNAまたはその変
異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換え
ベクターを提供するものである。本発明の外来性DNA
またはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、
本発明のDNA導入動物と略記する)は、未受精卵、受
精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞等に対し
て、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生
の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の
段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム
法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイ
クロインジェクション法、パーティクルガン法、DEA
E−デキストラン法等により目的とするDNAを導入す
ることによって作出することができる。また、該DNA
導入方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞等に目
的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培養、組
織培養等に利用することもでき、さらに、これら細胞を
上述の胚芽細胞と公知の細胞融合法により融合させるこ
とにより本発明のDNA導入動物を作出することもでき
る。
【0061】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラット等が用いられる。なか
でも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および
生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ歯
動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57B
L/6系統,DBA2系統等、交雑系として、B6C3
F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BALB
/c系統,ICR系統等)またはラット(例えば、Wi
star,SD等)等が好ましい。哺乳動物において発
現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」として
は、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒト等が挙げられる。
本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来有し
ている本発明のDNAではなく、いったん哺乳動物から
単離・抽出された本発明のDNAをいう。本発明の変異
DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配列に変異
(例えば、突然変異等)が生じたもの、具体的には、塩
基の付加、欠損、他の塩基への置換等が生じたDNA等
が用いられ、また、異常DNAも含まれる。該異常DN
Aとしては、異常な本発明のポリペプチドを発現させる
DNAを意味し、例えば、正常な本発明のポリペプチド
の機能を抑制するポリペプチドを発現させるDNA等が
用いられる。本発明の外来性DNAは、対象とする動物
と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであ
ってもよい。本発明のDNAを対象動物に導入するにあ
たっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモー
ターの下流に結合したDNAコンストラクトとして用い
るのが一般に有利である。例えば、本発明のヒトDNA
を導入する場合、これと相同性が高い本発明のDNAを
有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モ
ルモット、ハムスター、ラット、マウス等)由来のDN
Aを発現させうる各種プロモーターの下流に、本発明の
ヒトDNAを結合したDNAコンストラクト(例、ベク
ター等)を対象哺乳動物の受精卵、例えば、マウス受精
卵へマイクロインジェクションすることによって本発明
のDNAを高発現するDNA導入哺乳動物を作出するこ
とができる。
【0062】本発明のポリペプチドの発現ベクターとし
ては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージ等のバクテリオ
ファージ、モロニー白血病ウィルス等のレトロウィル
ス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルス等の動
物ウイルス等が用いられる。なかでも、大腸菌由来のプ
ラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプ
ラスミド等が好ましく用いられる。上記のDNA発現調
節を行なうプロモーターとしては、例えば、ウイルス
(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイルス、モロ
ニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルス、ポ
リオウイルス等)に由来するDNAのプロモーター、
各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、ラット、マウス等)由来のプロモータ
ー、例えば、アルブミン、インスリンII、ウロプラキ
ンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリ
ン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク
質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来
成長因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラ
ーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存タン
パク質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒
石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム
利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般に
Tie2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン
3リン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロ
フィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、
メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラ
スI抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミ
ンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TP
O)、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、β
アクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1お
よび2、ミエリン基礎タンパク質、チログロブリン、T
hy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血
清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポ
ニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリン
A、バソプレシン等のプロモーター等が用いられる。な
かでも、全身で高発現することが可能なサイトメガロウ
イルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α
(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβ
アクチンプロモーター等が好適である。
【0063】上記ベクターは、DNA導入哺乳動物にお
いて目的とするmRNAの転写を終結する配列(一般に
ターミネターと呼ばれる)を有していることが好まし
く、例えば、ウィルス由来および各種哺乳動物由来の各
DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミア
ンウィルスのSV40ターミネーター等が用いられる。
その他、目的とする外来性DNAをさらに高発現させる
目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハンサ
ー領域、真核DNAのイントロンの一部等をプロモータ
ー領域の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間ある
いは翻訳領域の3’下流 に連結することも目的により
可能である。該翻訳領域はDNA導入動物において発現
しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロモータ
ーの下流および所望により転写終結部位の上流に連結さ
せる通常のDNA工学的手法により作製することができ
る。受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの導
入は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに
存在するように確保される。DNA導入後の作出動物の
胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在するこ
とは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体
細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを
意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の
動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発
明の外来性DNAを有する。
【0064】本発明の外来性正常DNAを導入した非ヒ
ト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持す
ることを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育
環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階にお
ける本発明の外来性DNAの導入は、対象哺乳動物の胚
芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保
される。DNA導入後の作出動物の胚芽細胞において本
発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動物
の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明
の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発明
の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその
胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを
過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つホ
モザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配する
ことによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するよう
に繁殖継代することができる。本発明の正常DNAを有
する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現さ
せられており、内在性の正常DNAの機能を促進するこ
とにより最終的に本発明のポリペプチドの機能亢進症を
発症することがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の正常DNA導入動物
を用いて、本発明のポリペプチドの機能亢進症や、本発
明のポリペプチドが関連する疾患の病態機序の解明およ
びこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能で
ある。また、本発明の外来性正常DNAを導入した哺乳
動物は、遊離した本発明のポリペプチドの増加症状を有
することから、本発明のポリペプチドに関連する疾患に
対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能であ
る。
【0065】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科とし
て用いることができる。プロモーターとのDNAコンス
トラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製する
ことができる。受精卵細胞段階における本発明の異常D
NAの導入は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の
全てに存在するように確保される。DNA導入後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味す
る。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の
子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異
常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。本発明の異常DNAを有す
る非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させ
られており、内在性の正常DNAの機能を阻害すること
により最終的に本発明のポリペプチドの機能不活性型不
応症となることがあり、その病態モデル動物として利用
することができる。例えば、本発明の異常DNA導入動
物を用いて、本発明のポリペプチドの機能不活性型不応
症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を
行なうことが可能である。また、具体的な利用可能性と
しては、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のポ
リペプチドの機能不活性型不応症における本発明の異常
ポリペプチドによる正常ポリペプチドの機能阻害(domi
nant negative作用)を解明するモデルとなる。また、
本発明の外来異常DNAを導入した哺乳動物は、遊離し
た本発明のポリペプチドの増加症状を有することから、
本発明のポリペプチドの機能不活性型不応症に対する治
療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
【0066】また、上記2種類の本発明のDNA導入動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはR
NAを非導入動物(対照群)のものと比較分析するか、
またはポリペプチド組成を比較分析することによる、本
発明のポリペプチドにより特異的に発現あるいは活性化
あるいは不活性化する遺伝子やポリペプチドの解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異ポリペプチドを単離精製およびその抗体
作製等が考えられる。さらに、本発明のDNA導入動物
を用いて、本発明のポリペプチドの機能不活性型不応症
等を含む、本発明のポリペプチドに関連する疾患の臨床
症状を調べることができ、また、本発明のポリペプチド
に関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理
学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、
該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献するこ
とができる。また、本発明のDNA導入動物から各臓器
を取り出し、細切後、トリプシン等のポリペプチド(タ
ンパク質)分解酵素により、遊離したDNA導入細胞の
取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行なうこ
とが可能である。さらに、本発明のポリペプチド産生細
胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは増殖との関連
性、またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、そ
れらの異常を調べること等ができ、本発明のポリペプチ
ドおよびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、本発明のDNA導入動物を用いて、本発明のポ
リペプチドの機能不活性型不応症を含む、本発明のポリ
ペプチドに関連する疾患の治療薬の開発を行なうため
に、上述の検査法および定量法等を用いて、有効で迅速
な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが可
能となる。また、本発明のDNA導入動物または本発明
の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発明のポリペ
プチドが関連する疾患のDNA治療法を検討、開発する
ことが可能である。
【0067】(8)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来の
β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不
活性化された第(1)項記載の胚幹細胞、(3)ネオマ
イシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、(4)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記載の胚幹
細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである第(4)項記載
の胚幹細胞、(6)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(7)該DNAがレポ
ーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポー
ター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制
御下で発現しうる第(6)項記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(6)項記
載の非ヒト哺乳動物、(9)ゲッ歯動物がマウスである
第(8)項記載の非ヒト哺乳動物、および(10)第
(7)項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポータ
ー遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のD
NAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0068】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のポリペプチドの活性を実質的に喪失させるこ
とにより、DNAが実質的に本発明のポリペプチドの発
現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと
称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、
ES細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物として
は、前記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに
人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工
学的手法により該DNA配列の一部または全部の削除、
他DNAを挿入または置換させることによって行なうこ
とができる。これらの変異により、例えば、コドンの読
み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソン
の機能を破壊することにより本発明のノックアウトDN
Aを作製すればよい。本発明のDNAが不活性化された
非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性
化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記
する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺
乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン
部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性
遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ
(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフ
ェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表
とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエキソ
ンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロ
ン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例え
ば、polyA付加シグナル等)を挿入し、完全なメッ
センジャーRNAを合成できなくすることによって、結
果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有
するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記
する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に
導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あ
るいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハ
イブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベ
クター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製
に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列
をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノ
ックアウトES細胞を選別することにより得ることがで
きる。
【0069】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
のEvansとKaufmanの方法に準じて新しく樹立したもので
もよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般
的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学
的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で
免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得する等
の目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/
6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善し
たBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2とのF
1)を用いて樹立したもの等も良好に用いうる。BDF
1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるとい
う利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つの
で、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウス
を作出したとき、C57BL/6マウスと戻し交配(バ
ッククロス)することでその遺伝的背景をC57BL/
6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得
る。また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後
3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期
胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よ
く多数の初期胚を取得することができる。また、雌雄い
ずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の
方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、
煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌
雄の判別を行なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判
定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の
性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例
として挙げることができる。この方法を使用すれば、従
来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要してい
たのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50
個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セ
レクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早
期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手
間は大幅に削減できる。
【0070】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、約5%炭酸ガス、約95%空気また
は約5%酸素、約5%炭酸ガス、約90%空気)で約3
7℃で培養する等の方法で培養し、継代時には、例え
ば、トリプシン/EDTA溶液(通常約0.001−0.
5%トリプシン/約0.1−5mM EDTA、好ましく
は約0.1%トリプシン/約1mM EDTA)処理によ
り単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種
する方法等がとられる。このような継代は、通常1−3
日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に
異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄す
ることが望まれる。ES細胞は、適当な条件により、高
密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成
するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心
筋等の種々のタイプの細胞に分化させることが可能であ
り〔M. J. EvansおよびM. H. Kaufman, ネイチャー(Na
ture)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシ
ーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman
ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エ
クスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、19
85年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明
のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明の
ポリペプチドの細胞生物学的検討において有用である。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のm
RNA量を公知の方法を用いて測定して間接的にその発
現量を比較することにより、正常動物と区別することが
可能である。該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様の
ものが用いられる。
【0071】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のポリペプ
チドのヘテロ発現不全個体であり、本発明のポリペプチ
ドのヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔か
ら本発明のポリペプチドのホモ発現不全個体を得ること
ができる。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核
内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入す
ることによりターゲッティングベクターを染色体内に導
入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることが
でき、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比
べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異
のあるものを選択することにより得られる。
【0072】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のポリペプチドに
より誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発
明のポリペプチドの生物活性の不活性化を原因とする疾
病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明お
よび治療法の検討に有用である。
【0073】(8a)本発明のDNAの欠損や損傷等に
起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物の
スクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷等に起因する疾病、例えば神経変性を
伴う疾病など、例えば、神経変性疾患〔例、アルツハイ
マー病(家族性アルツハイマー病、若年性アルツハイマ
ー病、孤発性アルツハイマー病など)、パーキンソン
病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、クロ
イツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞踏病、糖尿病
性ニューロパチー、多発性硬化症など〕、脳機能障害
(例、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、虚血性脳疾患、
硬膜外血腫、硬膜下血腫など)、癌(例、星状細胞腫、
乏枝神経膠腫など)、免疫疾患、感染症(例、髄膜炎、
原虫感染症、リケッチア感染症、後生動物感染症、Bo
rna病などの細菌性またはウイルス性髄膜炎、ワクチ
ン接種後脳炎、AIDS脳症など)、消化管疾患、循環
器疾患、内分泌疾患等に対して治療・予防効果を有する
化合物のスクリーニングに用いることができる。すなわ
ち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定する
ことを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷等に起
因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物また
はその塩のスクリーニング方法を提供する。該スクリー
ニング方法において用いられる本発明のDNA発現不全
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが挙げられ
る。試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク
質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細
胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿等が挙げ
られ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、
公知の化合物であってもよい。具体的には、本発明のD
NA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、
無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾
病の症状等の変化を指標として試験化合物の治療・予防
効果を試験することができる。試験動物を試験化合物で
処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射等
が用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質等にあ
わせて適宜選択することができる。また、試験化合物の
投与量は、投与方法、試験化合物の性質等にあわせて適
宜選択することができる。
【0074】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物
であり、本発明のポリペプチドの欠損や損傷等によって
引き起こされる疾患、例えば神経変性を伴う疾病など、
例えば、神経変性疾患〔例、アルツハイマー病(家族性
アルツハイマー病、若年性アルツハイマー病、孤発性ア
ルツハイマー病など)、パーキンソン病、ダウン症、筋
萎縮性側索硬化症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤ
コブ病、ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチ
ー、多発性硬化症など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳
出血、クモ膜下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜
下血腫など)、癌(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫な
ど)、免疫疾患、感染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リ
ケッチア感染症、後生動物感染症、Borna病などの
細菌性またはウイルス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、
AIDS脳症など)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌
疾患等に対して治療・予防効果を有するので、該疾患に
対する安全で低毒性な予防・治療剤等の医薬として使用
することができる。さらに、上記スクリーニングで得ら
れた化合物から誘導される化合物も同様に用いることが
できる。該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を
形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的
に許容される酸(例、無機酸、有機酸)や塩基(例アル
カリ金属)等との塩が用いられ、とりわけ生理学的に許
容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例
えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫
酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プ
ロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石
酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩等が用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を
含有する医薬は、前記した本発明のポリペプチドを含有
する医薬と同様にして製造することができる。このよう
にして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例え
ば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモ
ット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イ
ヌ、サル等)に対して投与することができる。該化合物
またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ル
ート等により差異はあるが、例えば、アルツハイマー病
の治療目的で該化合物を経口投与する場合、一般的に成
人(体重60kgとして)においては、一日につき該化
合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜5
0mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。
非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投
与対象、対象疾患等によっても異なるが、例えば、アル
ツハイマー病の治療目的で該化合物を注射剤の形で通常
成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該
化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.
1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg
程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の
動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与する
ことができる。
【0075】(8b)本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニン
グ方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子等が好適である。本発明の
DNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するの
で、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレー
スすることにより、プロモーターの活性を検出すること
ができる。
【0076】例えば、本発明のポリペプチドをコードす
るDNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダー
ゼ遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発
明のポリペプチドの発現する組織で、本発明のポリペプ
チドの代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従っ
て、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル
−β−D−ガラクトピラノシド(X−gal)のような
β−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色す
ることにより、簡便に本発明のポリペプチドの動物生体
内における発現状態を観察することができる。具体的に
は、本発明のポリペプチド欠損マウスまたはその組織切
片をグルタルアルデヒド等で固定し、リン酸緩衝生理食
塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、
室温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応さ
せた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗
浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止
させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、la
cZをコードするmRNAを検出してもよい。
【0077】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター
活性を促進または阻害する化合物である。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、
無機酸)や塩基(例、有機酸)等との塩が用いられ、と
りわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この
様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン
酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例え
ば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安
息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との
塩等が用いられる。本発明のDNAに対するプロモータ
ー活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のポリ
ペプチドの発現を促進し、該ポリペプチドの活性・機能
を促進することができるので、例えば、細胞死抑制剤と
して、さらには、例えば神経変性を伴う疾病など、例え
ば、神経変性疾患〔例、アルツハイマー病(家族性アル
ツハイマー病、若年性アルツハイマー病、孤発性アルツ
ハイマー病など)、パーキンソン病、ダウン症、筋萎縮
性側索硬化症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤコブ
病、ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチー、多
発性硬化症など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳出血、
クモ膜下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫
など)、癌(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免
疫疾患、感染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リケッチア
感染症、後生動物感染症、Borna病などの細菌性ま
たはウイルス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS
脳症など)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の
種々の疾病の予防・治療剤、好ましくは神経変性疾患、
脳機能障害の予防・治療剤として、さらに好ましくはア
ルツハイマー病の予防・治療剤等の医薬として有用であ
る。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から
誘導される化合物も同様に用いることができる。
【0078】該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のポリペ
プチドまたはその塩を含有する医薬と同様にして製造す
ることができる。このようにして得られる製剤は、安全
で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ラッ
ト、ヒト、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル等)に対して投与す
ることができる。該化合物またはその塩の投与量は、対
象疾患、投与対象、投与ルート等により差異はあるが、
例えば、アルツハイマー病の治療目的で本発明のDNA
に対するプロモーター活性を促進する化合物を経口投与
する場合、一般的に成人(体重60kgとして)におい
ては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好
ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0
〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化
合物の1回投与量は投与対象、対象疾患等によっても異
なるが、例えば、アルツハイマー病の治療目的で本発明
のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を
注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。
【0079】一方、例えば、本発明のDNAに対するプ
ロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する場合、
一般的に成人(体重60kgとして)のアルツハイマー
病患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜1
00mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好まし
くは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する
場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患等
によっても異なるが、本発明のDNAに対するプロモー
ター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(6
0kgとして)のアルツハイマー病患者に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。このように、本発明の
DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対
するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物ま
たはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であ
り、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患、例え
ば、神経変性を伴う疾病など、例えば、神経変性疾患
〔例、アルツハイマー病(家族性アルツハイマー病、若
年性アルツハイマー病、孤発性アルツハイマー病な
ど)、パーキンソン病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化
症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチ
ントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチー、多発性硬化症
など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出
血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫など)、癌
(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免疫疾患、感
染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リケッチア感染症、後
生動物感染症、Borna病などの細菌性またはウイル
ス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳症な
ど)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の原因究
明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することがで
きる。
【0080】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸等を略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission o
n Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該
分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下
記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合
は、特に明示しなければL体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0081】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
【0082】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサ
ミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2−Bzl:2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボ
ニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−
4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジ
カルボキシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジ
イミド Pbf :2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒド
ロベンゾフラン−5−スルホニル tBu : 第3ブチル TFA :トリフルオロ酢酸 HOAt : 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾト
リアゾール PyAop : 7−アザベンゾトリアゾール−1−
イルオキシトリスピロリジノホスホニウム ヘキサフル
オロホスフェイト DIPCDI :1,3−ジイソプロピルカルボジイミ
ド Fmoc-Leu-Ser(Psi(Me,Me)pro)-OH:(4S)-3-(Fmoc-Leu)-
2,2,-ジメチルオキサゾリジン-4-カルボン酸[(4S)-3-(F
moc-Leu)-2,2-dimethyloxazolidine-4-carboxylic aci
d)]
【0083】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 〔配列番号:1〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:2〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:3〕実施例1で得られた本発明のポリペプ
チドをコードするDNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕実施例1で得られた本発明のポリペプ
チドのアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:5〕実施例1で用いられたクエリーの塩基
配列を示す。 〔配列番号:6〕実施例1で得られた配列番号:3を含
むDNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕実施例1で得られた本発明のポリペプ
チド(配列番号:4)の部分ペプチドのアミノ酸配列を
示す。 〔配列番号:8〕配列番号:7をコードするDNAの塩
基配列を示す。
【0084】後述の実施例1で得られた形質転換体 Esc
herichia coli TOP10/pcDNA-hn3 は、2001年7月1
9日から日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央
第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業
技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号 F
ERM BP−7674として、2001年7月3日か
ら日本国大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85
号(郵便番号532−8686)の財団法人発酵研究所
(IFO)に受託番号IFO 16673として寄託さ
れている。
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュラー
・クローニング(Molecular cloning)に記載されてい
る方法に従った。
【0085】実施例1 配列番号:5で表されるヒトhumanin遺伝子コード領域
をクエリーにしてGEMBLEに対してデータベースサーチを
行ったところ、アクセッション番号AL356135の配列中に
humanin遺伝子のコード領域に対応した開始および終止
コドンを含むhumanin遺伝子に類似した遺伝子領域が存
在することが見出された。この遺伝子が実際に存在し、
また転写されて機能していることを確認するため、ヒト
全脳polyA+RNA (クロンテック社) 1.0μgを鋳型に、Sup
erScript reversetranscriptase (ギブコ BRL社)を用
い、マニュアルにしたがって、oligo (dT)プライマーを
用いて逆転写を行ってcDNAを作成し、アクセッショ
ン番号AL356135の配列中のhumanin類似配列のコード領
域の5’上流および3’下流に相当する、順に、TACCCT
AACCGTGCAAAGGTAGCATG(配列番号:1)、GTGGGCTTATTG
GGTGTTGTTTGCATTGG(配列番号:2)のプライマーを設
定して20μlの液量でPCR反応を行った。組成は、c
DNA調製液から10ng mRNA相当分を鋳型に両primer 0.
5μM、2.5mM MgCl 2、 dNTP 0.2mM, AmpliTaq Gold (パ
ーキンエルマー社) 1/100 volume 、10倍濃縮AmpliTaq
Gold Buffer 1/10 volumeで行った。反応は、95℃で10
分保温した後、95℃15秒、67℃15秒、72℃15秒のサイク
ルを40回繰り返した後、72℃で5分保温した。得られた
反応液を用い、Eukaryotic TOPO TA cloning kit (イン
ビトロジェン社)を用いてプラスミドベクターpcDNA3.1/
V5/His-TOPOへサブクローニングし、大腸菌TOP10へ導入
した。生じた形質転換体からQIA prep8 mini prep(キ
アゲン社)を用いてプラスミドDNAを精製した。塩基
配列決定のための反応は、BigDye Terminator Cycle Se
quence Ready Reaction Kit(パーキンエルマー社)を
用いて行い、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し
た。その結果、検索で見出されたhumanin類似配列のコ
ード領域(配列番号:3)を含む配列番号:6で表され
る塩基配列が得られたことから、この遺伝子がヒト全脳
において発現していることが確認された。この配列に
は、humanin類似配列のコード領域全長が含まれていた
ので、上記プラスミドで大腸菌TOP10を形質転換して、E
scherichia coli TOP10/pcDNA-hn3を得た。
【0086】実施例2 配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含有するポリペ
プチドを、humanin類似ペプチドと称することがある。H
umanin類似ペプチドを以下の方法で製造した。市販の2-
chlorotrityl resin (Clt resin、1.33 mmol/g) にFmoc
-Thr(tBu)-OHを導入したFmoc-Thr(tBu)-O-Clt resin
(0.527 mmol/g) 0.25 mmol分をペプチド合成機ABI 433A
の反応槽に入れ、Fmoc/ DCC/ HOBt法を用い、固相合成
を行なった。Fmocアミノ酸の側鎖保護基はArgにはPbf
基、LysにBoc基、Asp、Thr、SerにtBu基、CysにTrt基を
用いた。他のアミノ酸は側鎖無保護のものを用い、上記
に示す配列の13位Thrまでペプチド鎖を伸長した。得ら
れたFmoc- humanin類似ペプチド(13-24)-O-Clt resinに
Fmoc-Leu-Ser(Psi(Me,Me)pro)-OH(NOVA社製、製品番号
05-20-1004)をDIPCDI/HOAtで導入した後、10位Leuから
N末端側へ配列順にDCC/ HOBtで導入し、目的の保護ペ
プチド樹脂を得た。この樹脂100 mgをTFA、thioanisol
e、m-cresol、水、triisopropylsilane、ethandithiol
(80:5:5:5:2.5:2.5)の混合液(total 1.5 ml)で室温、
1.5時間攪拌した後、反応溶液にエーテルを加え、白色
粉末を析出させ遠心分離後、上清を除く操作を3回繰り
返した。残渣を水で抽出後、凍結乾燥し白色粉末を得
た。得られた粗ペプチドをYMC Pack R&D-ODS-5-B S-5、
120Aカラム(30 x 250mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1
%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B:
78/22〜68/32への直線型濃度勾配溶出(60分)を行な
い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末21.8 m
gを得た。 ESI-MS: M+ 2692.8 (理論値 2692.5) HPLC溶出時間 10.5分 溶出条件 カラム YMC AM 301 (4.6 x 100mm) 溶離液 A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニ
トリルを用い、A/B: 80/20〜30/70へ 直線型濃度勾配
溶出(25分) 流速 1.0ml/分
【0087】実施例3 Humanin類似ペプチドによるラット副腎髄質由来褐色細
胞腫細胞PC12hに対するグルタミン酸誘発細胞死抑制活
性 コラーゲンコート済み96ウェルプレート(IWAKI)に10%
ウシ胎児血清および5%馬血清を含むDulbecco modified
Eagle's medium(以下、DMEM)を培地としてPC12h細胞
(大阪大学蛋白質研究所・畠中寛教授より供与、Hatana
ka, H.、Brain Research、222巻、225-233頁、1981年)
を2 x 104 cells/cm2の細胞密度でまいた。24時間後に1
00μlの20 mM HEPES (pH 7.5)を含むDMEMに培地を交換
し、同時に、各種濃度の実施例2で製造したhumanin類
似ペプチド(配列番号:4)および添加後の濃度が1 mM
となるようにグルタミン酸を添加した。72時間後に0.2%
Tween20を含むphosphate buffered saline 100μlを用
いて細胞を溶解し、抽出液の乳酸脱水酵素(LDH)活性
をLDH Cytotoxic Test WAKO(和光純薬)によって測定
した。結果を図1に示す。グルタミン酸処理72時間後に
おいて、humanin類似ペプチド無添加区の細胞生存率が3
4.0%であったのに対し、humanin類似ペプチドを1μMま
たは10μM添加することにより、細胞生存率は、それぞ
れ59.3%または74.6%に上昇した。なお、細胞生存率
は、グルタミン酸無添加区を100%としたときの比率によ
って表わす。これより、humanin類似ペプチドにより、
ラット副腎髄質由来褐色細胞腫細胞PC12hのグルタミン
酸誘発細胞死が抑制されることが明らかである。
【0088】実施例4 Humanin類似ペプチド(19−24)(配列番号:
7):Pro-Val-Lys-Arg-Arg-Thrの製造 Fmoc-Thr(tBu)-O-Clt resinを用い、目的配列の保護ペ
プチド樹脂を調製し、実施例2に記載のhumanin類似ペ
プチドの精製法と同様の方法により精製して白色粉末29
mgを得た。 ESI-MS: M+ 756.5 (理論値 756.5) HPLC溶出時間 10.2分 溶出条件 カラム YMC AM 301 (4.6 x 100mm) 溶離液 A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニ
トリルを用い、A/B: 80/20〜30/70へ 直線型濃度勾配
溶出(25分) 流速 1.0ml/分
【0089】
【発明の効果】本発明のポリペプチドおよび本発明のポ
リヌクレオチドは、例えば、神経変性を伴う疾病など、
例えば、神経変性疾患〔例、アルツハイマー病(家族性
アルツハイマー病、若年性アルツハイマー病、孤発性ア
ルツハイマー病など)、パーキンソン病、ダウン症、筋
萎縮性側索硬化症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤ
コブ病、ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチ
ー、多発性硬化症など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳
出血、クモ膜下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜
下血腫など)、癌(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫な
ど)、免疫疾患、感染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リ
ケッチア感染症、後生動物感染症、Borna病などの
細菌性またはウイルス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、
AIDS脳症など)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌
疾患等の種々の疾病の診断、治療または予防剤、または
細胞死抑制剤などとして使用することができる。また、
本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドの活性
を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニ
ングなどのための試薬として有用である。さらに、本発
明のポリペプチドに対する抗体は、本発明のポリペプチ
ドを特異的に認識することができるので、被検液中の本
発明のポリペプチドの検出、定量、中和等に使用するこ
とができ、例えば、神経変性を伴う疾病など、例えば、
神経変性疾患〔例、アルツハイマー病(家族性アルツハ
イマー病、若年性アルツハイマー病、孤発性アルツハイ
マー病など)、パーキンソン病、ダウン症、筋萎縮性側
索硬化症、プリオン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、
ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニューロパチー、多発性
硬化症など〕、脳機能障害(例、脳梗塞、脳出血、クモ
膜下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫、硬膜下血腫な
ど)、癌(例、星状細胞腫、乏枝神経膠腫など)、免疫
疾患、感染症(例、髄膜炎、原虫感染症、リケッチア感
染症、後生動物感染症、Borna病などの細菌性また
はウイルス性髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳
症など)、消化管疾患、循環器疾患、内分泌疾患等の種
々の疾病の診断に有用である。
【0090】
【配列表】 [Sequence Listing] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel polypeptide and its use <130> P02-0068 <150> JP 2001-182275 <151> 2001-06-15 <150> JP 2001-233532 <151> 2001-08-01 <160> 8 <210> 1 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 1 taccctaacc gtgcaaaggt agcatg 26 <210> 2 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 2 gtgggcttat tgggtgttgt ttgcattgg 29 <210> 3 <211> 72 <212> DNA <213> Human <400> 3 atggctcgac gaggtttcag ctgtctctta ctttcaacca ctgcaactga cctgcccgtg 60 aagaggcgga ca 72 <210> 4 <211> 24 <212> PRT <213> Human <400> 4 Met Ala Arg Arg Gly Phe Ser Cys Leu Leu Leu Ser Thr Thr Ala Thr 1 5 10 15 Asp Leu Pro Val Lys Arg Arg Thr 20 <210> 5 <211> 75 <212> DNA <213> Human <400> 5 atggctccac gagggttcag ctgtctctta cttttaacca gtgaaattga cctgcccgtg 60 aagaggcggg cataa 75 <210> 6 <211> 145 <212> DNA <213> Human <400> 6 atcacttgtt ccttaaatag ggacttgtat gaatggctcg acgaggtttc agctgtctct 60 tactttcaac cactgcaact gacctgcccg tgaagaggcg gacataatac aacaagacga 120 gaagaccata tggagcttca attta 145 <210> 7 <211> 6 <212> PRT <213> Human <400> 7 Pro Val Lys Arg Arg Thr 1 5 <210> 8 <211> 18 <212> DNA <213> Human <400> 8 cccgtgaaga ggcgggca 18
【図面の簡単な説明】
【図1】 各種濃度のHumanin類似ペプチドによるラッ
ト副腎髄質由来褐色細胞腫細胞PC12hに対するグルタミ
ン酸誘発細胞死抑制活性を示す。細胞の生存率は、グル
タミン酸無添加区を100%としたときの比率によって表
わした。*はHumanin類似ペプチド無添加区に対して有
意な(p<0.05)差であることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61P 3/10 4C085 48/00 9/10 4C086 A61P 3/10 21/04 4H045 9/10 25/02 21/04 25/14 25/02 25/16 25/14 25/28 25/16 43/00 107 25/28 C07K 14/47 43/00 107 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/50 Z C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/15 5/00 A 33/50 A61K 37/02 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB01 BB10 BB46 BB48 CB01 CB02 DA13 DA36 FB02 FB06 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 HA01 4B064 AG01 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA90Y AB01 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 AA16 NA14 ZA02 ZA15 ZA16 ZA22 ZA94 ZB22 ZC35 4C085 AA14 EE01 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 NA14 ZA02 ZA16 ZA94 ZB22 ZC35 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA18 CA45 DA75 EA20 EA50 FA74

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:4で表されるアミノ酸配列と
    同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有すること
    を特徴とするポリペプチド、そのアミドもしくはそのエ
    ステルまたはその塩。
  2. 【請求項2】 配列番号:4で表されるアミノ酸配列か
    らなる請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしく
    はそのエステルまたはその塩。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリペプチドの部分ペプ
    チド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のポリペプチドをコードす
    る塩基配列を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌ
    クレオチド。
  5. 【請求項5】 DNAである請求項4記載のポリヌクレ
    オチド。
  6. 【請求項6】 配列番号:3で表される塩基配列を有す
    るポリヌクレオチドを含有する請求項4記載のポリヌク
    レオチド。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の部分ペプチドをコードす
    る塩基配列を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌ
    クレオチド。
  8. 【請求項8】 請求項4または請求項7記載のポリヌク
    レオチドを含有する組換えベクター。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の組換えベクターで形質転
    換された形質転換体。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の形質転換体を培養し、
    請求項1記載のポリペプチドまたは請求項3記載の部分
    ペプチドを生成・蓄積せしめることを特徴とする請求項
    1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステ
    ルまたはその塩、または請求項3記載の部分ペプチド、
    そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の製造
    法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のポリペプチド、そのア
    ミドもしくはそのエステルまたはその塩、または請求項
    3記載の部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステ
    ルまたはその塩に対する抗体。
  12. 【請求項12】 配列番号:4で表されるアミノ酸配列
    と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポ
    リペプチドまたはその部分ペプチドをコードするポリヌ
    クレオチドに相補もしくは実質的に相補な塩基配列また
    はその一部を有するポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 請求項1記載のポリペプチド、そのア
    ミドもしくはそのエステルまたはその塩、または請求項
    3記載の部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステ
    ルまたはその塩を用いることを特徴とする請求項1記載
    のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまた
    はその塩、または請求項3記載の部分ペプチド、そのア
    ミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進ま
    たは阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載のポリペプチド、そのア
    ミドもしくはそのエステルまたはその塩、または請求項
    3記載の部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステ
    ルまたはその塩を含有してなる請求項1記載のポリペプ
    チド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
    または請求項3記載の部分ペプチド、そのアミドもしく
    はそのエステルまたはその塩の活性を促進または阻害す
    る化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  15. 【請求項15】 請求項13記載のスクリーニング方法
    または請求項14記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られうる、請求項1記載のポリペプチド、そのアミ
    ドもしくはそのエステルまたはその塩、または請求項3
    記載の部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステル
    またはその塩の活性を促進する化合物またはその塩。
  16. 【請求項16】 請求項13記載のスクリーニング方法
    または請求項14記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られうる、請求項1記載のポリペプチド、そのアミ
    ドもしくはそのエステルまたはその塩、または請求項3
    記載の部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステル
    またはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩。
  17. 【請求項17】 請求項15記載の化合物またはその塩
    を含有してなる医薬。
  18. 【請求項18】 請求項16記載の化合物またはその塩
    を含有してなる医薬。
  19. 【請求項19】 請求項1記載のポリペプチド、そのア
    ミドもしくはそのエステルまたはその塩、または請求項
    3記載の部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステ
    ルまたはその塩を含有してなる医薬。
  20. 【請求項20】 請求項4記載のポリヌクレオチドを含
    有してなる医薬。
  21. 【請求項21】 請求項4記載のポリヌクレオチドを含
    有してなる診断薬。
  22. 【請求項22】 請求項11記載の抗体を含有してなる
    医薬。
  23. 【請求項23】 請求項11記載の抗体を含有してなる
    診断薬。
  24. 【請求項24】 請求項12記載のポリヌクレオチドを
    含有してなる医薬。
  25. 【請求項25】 請求項12記載のポリヌクレオチドを
    含有してなる診断薬。
  26. 【請求項26】 神経変性疾患または脳機能障害の予防
    ・治療剤である請求項17、19または20記載の医
    薬。
  27. 【請求項27】 アルツハイマー病、パーキンソン病、
    ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、クロイツ
    フェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニ
    ューロパチー、多発性硬化症、脳梗塞、脳出血、クモ膜
    下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫または硬膜下血腫の
    予防・治療剤である請求項26記載の医薬。
  28. 【請求項28】 アルツハイマー病の予防・治療剤であ
    る請求項26記載の医薬。
  29. 【請求項29】 細胞死抑制剤である請求項17、19
    または20記載の医薬。
  30. 【請求項30】 神経変性を伴う疾病の診断薬である請
    求項21、23または25記載の診断薬。
  31. 【請求項31】 アルツハイマー病、パーキンソン病、
    ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、クロイツ
    フェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニ
    ューロパチー、多発性硬化症、脳梗塞、脳出血、クモ膜
    下出血、虚血性脳疾患、硬膜外血腫または硬膜下血腫の
    診断薬である請求項30記載の診断薬。
  32. 【請求項32】 哺乳動物に対し、請求項1記載のポリ
    ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその
    塩、または請求項3記載の部分ペプチド、そのアミドも
    しくはそのエステルまたはその塩の有効量を投与するこ
    とを特徴とする神経変性疾患または脳機能障害の予防・
    治療方法。
  33. 【請求項33】 哺乳動物に対し、請求項4記載のポリ
    ヌクレオチドの有効量を投与することを特徴とする神経
    変性疾患または脳機能障害の予防・治療方法。
  34. 【請求項34】 哺乳動物に対し、請求項15記載の化
    合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする
    神経変性疾患または脳機能障害の予防・治療方法。
  35. 【請求項35】 神経変性疾患または脳機能障害の予防
    ・治療剤を製造するための、請求項1記載のポリペプチ
    ド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、ま
    たは請求項3記載の部分ペプチド、そのアミドもしくは
    そのエステルまたはその塩の使用。
  36. 【請求項36】 神経変性疾患または脳機能障害の予防
    ・治療剤を製造するための、請求項4記載のポリヌクレ
    オチドの使用。
  37. 【請求項37】 神経変性疾患または脳機能障害の予防
    ・治療剤を製造するための、請求項15記載の化合物ま
    たはその塩の使用。
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