JP2003289881A - アルツハイマー病関連遺伝子のスクリーニング方法 - Google Patents

アルツハイマー病関連遺伝子のスクリーニング方法

Info

Publication number
JP2003289881A
JP2003289881A JP2002223200A JP2002223200A JP2003289881A JP 2003289881 A JP2003289881 A JP 2003289881A JP 2002223200 A JP2002223200 A JP 2002223200A JP 2002223200 A JP2002223200 A JP 2002223200A JP 2003289881 A JP2003289881 A JP 2003289881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
protein
production
seq
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002223200A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroto Komano
宏人 駒野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chubu National Hospital
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Chubu National Hospital
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chubu National Hospital, Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Chubu National Hospital
Priority to JP2002223200A priority Critical patent/JP2003289881A/ja
Publication of JP2003289881A publication Critical patent/JP2003289881A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アミロイドβタンパクの産生を制御する遺伝
子のスクリーニング方法の提供。 【解決手段】 アミロイドβタンパクの産生を制御する
遺伝子、該遺伝子にコードされるタンパク質またはその
塩などの提供。該遺伝子を用いたスクリーニング方法の
提供。前記タンパク質に対する抗体、該抗体を含有して
なる診断剤等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルツハイマー病
の発症・進展に深くかわっているアミロイドβタンパク
(Aβ)の産生を制御する遺伝子を探索する方法に関す
る。すなわち、本発明は、Aβ前駆体タンパク質(βA
PP)フラグメントからのAβの産生が促進されること
により薬剤耐性遺伝子の発現が亢進するよう設計された
細胞株、および、その細胞株を作製するために必要な組
換えDNA構築物、さらに、該細胞株にヒトcDNAラ
イブラリーをトランスフェクトし、薬剤耐性能を獲得し
Aβの産生が亢進している細胞のcDNAを同定するこ
とによるAβの産生を制御する遺伝子のスクリーニング
方法に関する。また、本発明は、このスクリーニング方
法により見出されたAβの産生を制御する遺伝子、該遺
伝子を含有する組換えベクター、これによる形質変換
体、該形質変換体による組換えタンパク質製造法、該製
造法による組換えタンパク質、該組換えタンパク質に対
する抗体、これらの形質変換体あるいは組換えタンパク
質を用いたAβ産生阻害剤のスクリーニング方法、その
スクリーニング法より得られたAβ産生阻害剤に関す
る。本発明はさらに、これらの遺伝子、その遺伝子と特
異的にハイブリダイズするヌクレオチド、それらの遺伝
子に由来する組換えタンパク質、その抗体あるいはAβ
産生阻害剤を含有する医薬組成物、疾病の診断方法、治
療方法および予防方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルツハイマー病患者脳の病理学的特徴
として、神経細胞の脱落に加えて、老人斑、神経原線維
変化の蓄積が知られている。これらのうち、アルツハイ
マー病における最初期の病理変化は老人斑の形成であ
り、その主要構成成分がAβであることから、Aβの産
生あるいは分解の異常がアルツハイマー病の発症・進展
に深くかわっていると考えられている。Aβは前駆体タ
ンパク質(βAPP)からβ−セクレターゼとγ−セク
レターゼにより切断され産生される。β−セクレターゼ
については、既に新規アスパラギン酸プロテアーゼであ
ることが同定された(Neuron 27, 419-422, 2000)。一
方、γ−セクレターゼについては、家族性アルツハイマ
ー病(FAD)原因遺伝子、プレセニリンあるいはプレ
セニリンを含む複合体がその活性発現に関与しているこ
とが明らかにされている(Neuron 27,419-422, 200
0)。また、最近、プレセニリンと複合体を形成し、β
APPのプロセシングに関与する新規膜貫通型糖蛋白質
としてニカストリン(Nicastrin)が報告された(Natur
e 407, 48-54, 2000)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、γ−セ
クレターゼについては、その実体の詳細は不明である
(Neuron 27, 419-422, 2000)。γ−セクレターゼ活性
は抗プレセニリン抗体によって巨大な分子量のフラクシ
ョンに回収され、その活性の制御には、プレセニリンN
端およびC端フラグメント複合体の安定化因子など、多
くの未同定の因子が関与し得ると考えられる。さらに、
βAPPのプロセシングは、粗面小胞体、Golgi体など
から細胞膜上へ輸送される分泌経路、細胞膜上、さら
に、細胞内に再取り込みされた後のエンドソーム内で引
き起こされることから(Trends in CellBiology 8, 447
-453, 1998)、βAPPの細胞内輸送系に関与する様々
な因子もAβの産生に影響し得ると考えられる。そこ
で、これらの因子を遺伝子として同定することは、Aβ
の産生を抑制する薬剤の開発やアルツハイマー病の診断
薬など、新しい医薬への応用を図ることができることか
ら、極めて重要なことと考えられる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、Aβの産生
を制御する遺伝子を探索するため、まず、βAPPフラ
グメントからAβの産生が促進されることにより薬剤耐
性遺伝子の発現が亢進するよう設計された細胞株を考案
した。詳しくは、第一に、βAPPのγ−セクレターゼ
切断部位を含むβAPPフラグメントと、NotchのC端
側転写因子領域との融合タンパク質(CAPP-NICD)をコ
ードする融合遺伝子を作製し、第二に、Notchの転写活
性によりピューロマイシン耐性遺伝子の転写が開始され
るように、HES−1プロモーターの下流にピューロマ
イシン−N−アセチルトランスフェラーゼ遺伝子を結合
させた選択マーカー遺伝子を作製し、これら第一および
第二の組換え遺伝子を共発現させた細胞株を作製した。
即ち、この細胞株においては、細胞内でCAPP-NICDがγ
−セクレターゼによって切断を受け、Notch転写因子が
細胞膜から遊離すると細胞がピューロマイシン耐性にな
るよう設計されている。実際、発明者は、この細胞でCA
PP-NICDから内在性γ−セクレターゼによりAβが産生
されること、それに依存してピューロマイシン耐性遺伝
子が発現していることを確認した。従って、この細胞を
用いて、γ−セクレターゼあるいはγ−セクレターゼ活
性を促進する調節因子のcDNAを同定することは、次
の4ステップで行うことができる。まず、この細胞株に
ヒトcDNAライブラリーをトランスフェクトし、ピュ
ーロマイシン耐性度が増したDNAを有する細胞を選択
する。次に、それらの細胞が産生するAβを測定し、A
β産生を高めるcDNAを有する細胞を選択する。さら
に、そのcDNAをPCR法により同定する。最後に、
得られたcDNAを、APPを発現している他の細胞に
トランスフェクトし、実際に、得られたcDNA がA
βの産生を高めるかどうかを調べる。これらの手段によ
り、本発明者はこれまでにγ−セクレターゼあるいはγ
−セクレターゼ活性を促進する調節因子として少なくと
も3種類の遺伝子を同定した。本発明者らは、これらの
知見に基づいて、さらに検討を重ねた結果、本発明を完
成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、〔1〕アミロイドβタン
パク質(Aβ)の前駆体タンパク質(βAPP)フラグ
メントからのAβの産生が促進されることにより選択マ
ーカー遺伝子の発現が亢進するよう設計された細胞株
に、DNAライブラリーを導入し、Aβの産生が亢進し
ている細胞の導入DNAクローンを同定することを特徴
とするAβの産生を制御するDNAのスクリーニング方
法、〔2〕Aβの産生を制御するDNAがヒトcDNA
である上記〔1〕記載のスクリーニング方法、〔3〕A
βの産生を制御するDNAがヒト染色体DNAである上
記〔1〕記載のスクリーニング方法、〔4〕該細胞株
が、(1)βAPPのγ−セクレターゼ切断部位を含む
βAPPフラグメントと転写促進因子との融合タンパク
質をコードするDNAを含むベクターと(2)転写促進
因子の転写活性により選択マーカー遺伝子の転写が惹起
されるようにプロモーターの下流に選択マーカー遺伝子
を結合させたDNAを含むベクターとで形質転換された
形質転換体である上記〔1〕記載のスクリーニング方
法、〔5〕細胞株が、(1)βAPPのγ−セクレター
ゼ切断部位を含むβAPPフラグメントとNotchのC端
側転写因子領域との融合タンパク質(CAPP-NICD)をコ
ードするDNAを含むベクターと(2)Notchの転写活
性により薬剤耐性遺伝子の転写が惹起されるようにHE
S−1プロモーターの下流に薬剤耐性遺伝子を結合させ
たDNAを含むベクターとで形質転換された形質転換体
である上記〔1〕記載のスクリーニング方法、〔6〕細
胞株が融合タンパク質と選択マーカーを共発現する上記
〔4または5〕記載のスクリーニング方法、〔7〕上記
〔1〕記載のスクリーニング方法により得られうるAβ
の産生を制御するDNAとハイストリンジェントな条件
下でハイブリダイズするDNAを含有するDNA、
〔8〕Aβの産生を制御するDNAがヒトcDNAであ
る上記〔7〕記載のDNA、
〔9〕Aβの産生を制御す
るDNAがヒト染色体DNAである上記〔7〕記載のD
NA、〔10〕アルツハイマー病に関連する上記〔7〕
記載のDNA、〔11〕Aβの産生を亢進するDNAで
ある上記〔7〕記載のDNA、〔12〕Aβの産生を亢
進するDNAが、配列番号:4で表わされる塩基配列を
含有するヒトcDNA(Genbank accession No. AAH062
23)をコードするDNAである上記〔11〕記載のDN
A、〔13〕Aβの産生を亢進するDNAが、配列番
号:5で表わされる塩基配列を含有するヒトHerp(Genb
ank accession No. AB034989)をコードするDNAであ
る上記〔11〕記載のDNA、〔14〕Aβの産生を促
進するDNAが、配列番号:6で表わされる塩基配列を
含有するヒト5−リポキシゲナーゼ(Genbank accessio
n no. XM 005818)の部分配列をコードするDNAであ
る上記〔11〕記載のDNA、〔15〕Aβの産生を促
進するDNAが、配列番号:21で表わされる塩基配列
を含有するヒト5−リポキシゲナーゼの全長配列をコー
ドするDNAである上記〔11〕記載のDNA、〔1
6〕上記〔7〕記載のDNAを含有する組換えベクタ
ー、〔17〕上記〔16〕記載の組換えベクターで形質
転換された形質転換体、〔18〕上記〔17〕記載の形
質転換体を培養し、上記〔7〕記載のDNAにコードさ
れるペプチドまたはタンパク質を生成せしめることを特
徴とする上記〔7〕記載のDNAにコードされるペプチ
ドもしくはタンパク質またはその塩の製造法、〔19〕
上記〔7〕記載のDNAまたはその一部を含有してなる
診断剤、〔20〕アルツハイマー病の診断剤である上記
〔19〕記載の診断剤、〔21〕上記〔7〕記載のDN
Aを用いることを特徴とするアルツハイマー病の診断方
法、〔22〕上記〔7〕記載のDNAを用いることを特
徴とする上記〔7〕記載のDNAの一塩基多型(SNP
s)を検出する方法、〔23〕アルツハイマー病患者の
上記〔7〕記載のDNAに相当するDNAの塩基配列を
解読し、上記〔7〕記載のDNAの塩基配列と比較する
ことを特徴とする上記〔22〕記載の検出方法、〔2
4〕上記〔7〕記載のDNAの一塩基多型(SNP
s)、〔25〕上記〔24〕記載の一塩基多型(SNP
s)を含有してなる診断剤、〔26〕さらに上記〔7〕
記載のDNAまたはその一部を含有する上記〔25〕記
載の診断剤、〔27〕アルツハイマー病の診断剤である
上記〔25〕または〔26〕記載の診断剤、〔28〕上
記〔24〕記載の一塩基多型(SNPs)を用いること
を特徴とするアルツハイマー病の診断方法、〔29〕上
記〔7〕記載のDNAまたはその一部を用いる上記〔2
8〕記載の診断方法、〔30〕上記〔7〕記載のDNA
にコードされるペプチドもしくはタンパク質またはその
塩、〔31〕アルツハイマー病に関連する上記〔30〕
記載のペプチドもしくはタンパク質またはその塩、〔3
2〕Aβの産生を亢進する上記〔30〕記載のペプチド
もしくはタンパク質またはその塩、〔33〕配列番号:
1で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一
のアミノ酸配列を含有する、Aβの産生を亢進するタン
パク質またはその塩、〔34〕配列番号:2で表わされ
るアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配
列を含有する、Aβの産生を亢進するタンパク質または
その塩、〔35〕配列番号:3で表わされるアミノ酸配
列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
る、Aβの産生を亢進するタンパク質またはその塩、
〔36〕配列番号:22で表わされるアミノ酸配列と同
一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する、Aβ
の産生を亢進するタンパク質またはその塩、〔37〕上
記〔29〕〜〔36〕のいずれかに記載のペプチド、タ
ンパク質またはその塩に対する抗体、〔38〕上記〔2
9〕〜〔36〕のいずれかに記載のペプチド、タンパク
質またはその塩の活性を不活性化する中和抗体である上
記〔37〕記載の抗体、〔39〕上記〔37〕記載の抗
体を含有してなる診断剤、〔40〕アルツハイマー病の
診断剤である上記〔39〕記載の診断剤、〔41〕上記
〔37〕記載の抗体を用いることを特徴とする上記〔2
9〕〜〔36〕のいずれかに記載のペプチド、タンパク
質またはその塩の定量法、〔42〕上記〔41〕記載の
定量法を用いるアルツハイマー病の診断方法、〔43〕
上記〔32〕記載のAβの産生を亢進するペプチドもし
くはタンパク質またはその塩に対する抗体を含有してな
る医薬、〔44〕アルツハイマー病の予防・治療剤であ
る上記〔43〕記載の医薬、〔45〕哺乳動物に対し
て、上記〔32〕記載のAβの産生を亢進するペプチド
もしくはタンパク質またはその塩に対する抗体の有効量
を投与することを特徴とするアルツハイマー病の予防・
治療方法、〔46〕上記〔7〕記載のDNAと相補的な
塩基配列またはその一部を含有してなるアンチセンスD
NA、〔47〕上記〔46〕記載のアンチセンスDNA
を含有してなる診断剤、〔48〕アルツハイマー病の診
断剤である上記〔47〕記載の診断剤、〔49〕上記
〔11〕記載のAβの産生を亢進するDNAと相補的な
塩基配列またはその一部を含有してなるアンチセンスD
NAを含有してなる医薬、〔50〕アルツハイマー病の
予防・治療剤である上記〔49〕記載の医薬、〔51〕
哺乳動物に対して、上記〔49〕記載のアンチセンスD
NAの有効量を投与することを特徴とするアルツハイマ
ー病の予防・治療方法、〔52〕上記〔7〕記載のDN
Aを用いることを特徴とするAβ産生阻害薬のスクリー
ニング方法、〔53〕上記〔30〕記載のペプチドもし
くはタンパク質またはその塩を用いることを特徴とする
Aβ産生阻害薬のスクリーニング方法、〔54〕上記
〔37〕記載の抗体を用いることを特徴とするAβ産生
阻害薬のスクリーニング方法、〔55〕上記〔46〕記
載のアンチセンスDNAを用いることを特徴とするAβ
産生阻害薬のスクリーニング方法、〔56〕上記〔1
7〕記載の形質転換体を用いることを特徴とするAβ産
生阻害薬のスクリーニング方法、〔57〕上記〔52〕
〜〔56〕のいずれかに記載のスクリーニング方法で得
られうるAβ産生阻害薬、〔58〕上記〔57〕記載の
Aβ産生阻害薬を含有してなる医薬、〔59〕アルツハ
イマー病の予防・治療剤である上記〔58〕記載の医
薬、〔60〕哺乳動物に対して、上記〔57〕記載のA
β産生阻害薬の有効量を投与することを特徴とするアル
ツハイマー病の予防・治療方法、〔61〕(i)Aβの
前駆体タンパク質(βAPP)フラグメントからのAβ
の産生が促進されることにより選択マーカー遺伝子の発
現が亢進するよう設計された細胞株と(ii)その細胞株
に上記〔11〕記載のAβの産生を亢進するDNAを導
入した細胞株に対して、試験化合物を添加した場合にお
ける、それぞれのAβの産生量の差を測定することを特
徴とするAβの産生を制御する物質のスクリーニング方
法、〔62〕(i)Aβの前駆体タンパク質(βAP
P)フラグメントからのAβの産生が促進されることに
より選択マーカー遺伝子の発現が亢進するよう設計され
た細胞株と(ii)その細胞株に上記〔12〕記載のAβ
の産生を亢進するDNAを導入した細胞株に対して、試
験化合物を添加した場合における、それぞれの選択マー
カーの生物活性の差を測定することを特徴とするAβの
産生を制御する物質のスクリーニング方法、〔63〕選
択マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子であり、選択マーカ
ーの生物活性が薬剤耐性である上記〔62〕記載のスク
リーニング方法、〔64〕上記〔7〕記載のDNAを用
いることを特徴とする当該DNAの発現抑制薬のスクリ
ーニング方法、〔65〕上記
〔9〕記載のヒト染色体D
NAのプロモーター領域とレポーター遺伝子を組み合わ
せて、試験化合物を添加した場合と添加しない場合にお
ける、それぞれのレポーター活性を測定することを特徴
とする当該ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝
子のプロモーター活性を抑制または促進する化合物のス
クリーニング方法、〔66〕上記〔30〕記載のペプチ
ドもしくはタンパク質またはその塩を発現し得る細胞
に、試験化合物を添加した場合と添加しない場合におけ
る、それぞれの当該ペプチドもしくはタンパク質または
その塩あるいはそれらのDNAの発現量を抑制する化合
物のスクリーニング法を提供する。さらに、本発明は、
〔67〕上記〔32〕記載のAβの産生を亢進するペプ
チドもしくはタンパク質のドミナントネガティブペプチ
ドもしくはタンパク質またはその塩、〔68〕アミノ酸
配列の置換、欠失または(および)付加によりAβの産
生を亢進する作用が損失または減弱している上記〔6
7〕記載のドミナントネガティブペプチドもしくはタン
パク質またはその塩、〔69〕上記〔67〕記載のドミ
ナントネガティブペプチドもしくはタンパク質またはそ
の塩を含有してなる医薬、〔70〕アルツハイマー病の
予防・治療剤である上記〔69〕記載の医薬、〔71〕
哺乳動物に対して、上記〔67〕記載のドミナントネガ
ティブペプチドもしくはタンパク質またはその塩の有効
量を投与することを特徴とするアルツハイマー病の予防
・治療方法、〔72〕上記〔67〕記載のドミナントネ
ガティブペプチドまたはタンパク質をコードするDN
A、〔73〕上記〔72〕記載のDNAを含有してなる
医薬、〔74〕アルツハイマー病の予防・治療剤である
上記〔73〕記載の医薬、および〔75〕哺乳動物に対
して、上記〔72〕記載のDNAの有効量を投与するこ
とを特徴とするアルツハイマー病の予防・治療方法を提
供する。
【0006】
【発明の実施の形態】〔DNA構築物〕本発明のAβの
産生を制御するDNAを探索する方法には、βAPPフ
ラグメントからのAβの産生が促進されることにより選
択マーカー遺伝子の発現が亢進するよう設計された細胞
株が用いられる。この細胞株には2種類の組換え遺伝子
構築物が導入される。まず第一の組換え遺伝子構築物
は、配列番号:7で表わされるアミノ酸配列を有するβ
APPのγ−セクレターゼ切断部位を含むβAPPフラ
グメントとある種の転写因子活性を促進するタンパク質
(転写促進因子)との融合タンパク質をコードする融合
遺伝子を含む構築物(ベクター)である。βAPPフラ
グメントは、該融合タンパク質を細胞膜に繋ぎとめるこ
とができ、βAPPのγ−セクレターゼ切断部位である
Aβ40(配列番号:18)または(および)Aβ42(配
列番号:19)を含む長さのフラグメントでγ-セクレ
ターゼで切断されるものであればいずれの長さのもので
も良いが、好ましくは配列番号:20で表わされるアミ
ノ酸配列を有するAβ(1-52)が用いられる。また、γ
−セクレターゼで切断されるものであれば、該βAPP
フラグメントに1ないし複数のアミノ酸の欠失、付加あ
るいは置換が施されても良い。これらの置換には家族性
アルツハイマー病(FAD)で認められるアミノ酸変異
なども含まれる。該融合タンパク質に用いられる転写因
子活性を促進するタンパク質(転写促進因子)として
は、内在性の転写因子システムと質的にあるいは量的に
区別可能であること、前記βAPPフラグメントとの融
合タンパク質が細胞膜に繋ぎとめられるものであるこ
と、さらに、融合タンパク質がγ−セクレターゼで切断
された際に核内に移行し転写を促進できるものであるこ
と等の条件が満たされるものであれば、どのような転写
因子システムも利用することができるが、好ましくは、
膜内で調節的限定分解を受ける転写因子システムである
SREBP、Notch、Ire1またはATF6(Cell 100, 391-396, 2
000)の転写因子領域あるいは転写促進活性領域、さら
に好ましくはNotchの細胞内ドメインである配列番号:
10表わされるアミノ酸配列を有するC端側転写因子領
域(NICD)が用いられる。
【0007】第二の組換え遺伝子構築物は、前記融合タ
ンパク質に用いた転写因子が作用しうるプロモーター配
列とその下流に選択マーカー遺伝子を含む構築物(ベク
ター)である。プロモーター配列は、目的とする転写促
進因子選択的にプロモーター活性が発現されるものであ
ればどのような配列でも構わないが、例えば、転写促進
因子としてNICDを用いた場合、プロモーター配列として
はHES−1またはその類似配列が、転写促進因子とし
てIre1のRnase Lドメインを用いた場合、プロモーター
配列としてはunfolded protein response element(U
PRE)が、転写促進因子としてp50ATF6を用いた場
合、プロモーター配列としてはER stress responseelem
ent(ERSE)またはその類似配列が用いられる。前
記類似配列には、一つあるいはそれ以上の挿入、置換ま
たは欠失を含んでも良い。選択マーカー遺伝子として
は、前記プロモーター配列支配下に発現し、その発現を
容易に検出できるものであればどのような遺伝子を用い
ることも可能であるが、好ましくは薬剤耐性遺伝子が用
いられる(新生化学実験講座2、核酸III、3.6動物細胞
発現ベクター、p84-103)。薬剤耐性遺伝子と薬剤の組
み合わせとして、(1)ピューロマイシン−N−アセチ
ルトランスフェラーゼ遺伝子とピューロマイシンとの組
み合わせ、(2)アミノグリコシドホスホトランスフェ
ラーゼ遺伝子(APH)とG418との組み合わせ、
(3)ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ遺
伝子(HPH)とハイグロマイシンBとの組み合わせ、
(4)キサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフ
ェラーゼ(XGPRT)とマイコフェノール酸との組み
合わせ、などを用いることができる。また、親株の細胞
株がヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランス
フェラーゼ(HGPRT)またはチミジンキナーゼ(T
K)欠損株である場合、これらの遺伝子とHAT(ヒポ
キサンチン、アミノプテリン、チミジン)との組み合わ
せを用いることができる。さらに、選択マーカー遺伝子
としては、ジヒドロ葉酸還元酵素やアンピシリン耐性遺
伝子などを用いることもできる。また、前記選択マーカ
ー遺伝子の代用として、種々のレポーター遺伝子を用い
ることもできる。レポーター遺伝子としては、クロラム
フェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、
β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、成長因子、β
−グルクロニダーゼ、アルカリホスファターゼ、Green
fluorescent protein(GFP)およびβ−ラクタマー
ゼなどが好んで用いられる。これらレポーター遺伝子の
ベクター構築やアッセイ法は公知の技術に従うことがで
きる(例えば、Molecular Biotechnology 13, 29-43,19
99)。これらの第一および第二の組換え遺伝子構築物を
含有するベクターには、以上の他に、所望によりエンハ
ンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナ
ル、その他の選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを付加
させても良い。
【0008】〔細胞株〕本発明のスクリーニング方法に
用いられる細胞株は、βAPPフラグメントからのAβ
の産生が促進されることにより選択マーカー遺伝子の発
現が亢進する機能を有する限り、特に限定されないが、
具体的には前記2種類の組換え遺伝子構築物を導入した
細胞株が用いられる。前記2種類の組換え遺伝子構築物
を導入する細胞株としては、DNAライブラリーを効率
よくトランスフェクトできる細胞株であれば、どのよう
な細胞株を用いても良い。該細胞株としては、内在性に
βAPPを発現していない細胞株であることが望ましい
が、発現していても導入したβAPPフラグメントが効
率良く切断されるのであれば、そうした細胞株を用いる
こともできる。また、内在性にγ−セクレターゼ活性を
有する細胞株でも、プレセニリンなどの導入でγ−セク
レターゼ活性を導入した細胞株でも、検出に十分なγ−
セクレターゼ活性を有するものであれば、いずれの細胞
株を用いることもできる。具体的には、細胞株として
は、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニ
ーズハムスター細胞CHO,dhfr遺伝子欠損CH
O,マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエロ
ーマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞、HEK−29
3細胞等の動物細胞株が挙げられるが、好ましくは、マ
ウスpro-B cell由来の細胞株、BaF/3が用いられ
る。
【0009】DNAライブラリーのDNAとしては、c
DNA、染色体DNA、合成DNAの何れであってもよ
い。染色体DNAとしては、プロモーター領域、エンハ
ンサー領域などを含むものであってもよい。また、DN
Aライブラリーとしては、ヒトやその他の温血動物(例
えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサ
ギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)由来のものが用い
られるが、なかでもヒト由来のものが好ましく用いられ
る。さらに、DNAライブラリーとしては、ヒトやその
他の温血動物のあらゆる細胞(例えば、網膜細胞、肝細
胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄
細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細
胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中
球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟
骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細
胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹
細胞もしくは癌細胞など)もしくはそれらの細胞が存在
するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、網
膜、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下
部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵
臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副
腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血
管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾
丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など、または
血球系の細胞もしくはその培養細胞(例えば、MEL,
M1,CTLL−2,HT−2,WEHI−3,HL−
60,JOSK−1,K562,ML−1,MOLT−
3,MOLT−4,MOLT−10,CCRF−CE
M,TALL−1,Jurkat,CCRT−HSB−
2,KE−37,SKW−3,HUT−78,HUT−
102,H9,U937,THP−1,HEL,JK−
1,CMK,KO−812,MEG−01など)に由来
するものであってよく、好ましくはヒト脳由来あるいは
ヒト脳各部位(例えば、海馬)由来のものが用いられ
る。これらの組織は正常由来であっても、あるいは患者
(例えばアルツハイマー病)由来であっても良い。ライ
ブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、
プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであっ
てもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNA
またはmRNA画分を調製したものを用いて直接Revers
e Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、
RT−PCR法と略称する)によって増幅することもで
きる。前記2種類の組換え遺伝子構築物を導入された細
胞株へのDNAライブラリーのトランスフェクション法
としては、例えば、実験医学別冊、遺伝子導入と発現・
解析法(1994年)(羊土社発行)などに従うことができ
る。これらの方法には、物理学的手段(マイクロインジ
ェクション、エレクトロポレーション)、化学的手段
(リポフェクション、リン酸カルシウム法)およびレト
ロウイルスなどのウイルスベクターによる方法等が含ま
れる。
【0010】〔Aβの産生を制御するDNAのスクリー
ニング方法〕Aβの産生を制御するDNAを探索するに
は、まず、前記2種類の組換え遺伝子構築物を導入され
た細胞株(以下、親株と記載する)へDNAライブラリ
ーをトランスフェクションする。そののち、例えば、選
択マーカーとして薬剤耐性遺伝子を用いた場合、対応す
る薬剤の濃度を高め、高濃度の薬剤存在下でも耐性とな
るDNAを持つ細胞を選択することによりなされる。例
えばピューロマイシンを薬剤として用いる場合、あらか
じめDNAライブラリーをトランスフェクションしてい
ない状態で、親株のピューロマイシン感受性を調べ、ほ
とんどの親株が生存できないピューロマイシン濃度を選
択する。例えば、ピューロマイシン濃度として0.1〜25
μg/ml、好ましくは1〜25μg/ml、さらに好ましくは5〜
25μg/mlが用いられる。また、選択マーカーの代用とし
て、前記レポーター遺伝子を用いた場合、そのアッセイ
法は公知の技術に従うことができる(例えば、Molecula
rBiotechnology 13, 29-43, 1999)。
【0011】次に、それらの選択された細胞が産生する
Aβを測定し、Aβ産生を亢進させるDNAを有する細
胞をスクリーニングし、そのDNAをPCRなど公知の
技術により同定する。Aβの測定法には種々の方法が用
いられるが、Aβ特異的抗体を用いる免疫化学的方法を
用いることが好ましい。これらの方法には、免疫沈降
法、ウエスタンブロッテイング、酵素免疫測定法、サン
ドイッチ型酵素免疫測定法あるいはそれらの組み合わせ
方法が用いられる。Aβ特異的抗体としては、ポリクロ
ーナル抗体を用いても良いが、例えば、BAN50、BNT77、
BS85、BA27、BC05(Biochemistry, 34, 10272-10278, 1
995)または6E10、4G8などのモノクローナル抗体を用
いても良い。とりわけ、BA27およびBC05は、それぞれA
β40およびAβ42/43に選択的な抗体であるため、これ
らの抗体、あるいは同様な選択性を有する抗体を用いれ
ば、Aβ40の産生を亢進させる遺伝子、Aβ42/43の産
生を亢進させる遺伝子、あるいはAβ40およびAβ42/4
3いずれの産生も亢進させる遺伝子を見つけることが可
能となる。さらに、分泌型APP量はAβの産生を間接
的に反映すると考えられることから、分泌型APP量を
免疫沈降法、ウエスタンブロッテイング、酵素免疫測定
法、サンドイッチ型酵素免疫測定法などの免疫化学的方
法で検出しても良い。このようにして選択されたAβの
産生を亢進する候補遺伝子を、βAPPを産生している
他の細胞株にトランスフェクトし、Aβを測定し、これ
らの候補遺伝子の導入により、実際にAβの産生亢進が
引き起こされることを確認する。このとき同様にAβ42
/43あるいは分泌型APPを指標とすることもできる。
これらの確認用の細胞株にはβAPPを産生し、γ−セ
クレターゼ活性を有している細胞株ならどのようなもの
も用いることができるが、例えば、IMR-32、PC12h、Neu
ro-2a、SK-N-SHなどの細胞株、またはβAPPとPS-1/2
を導入したHEK-293などの細胞株が用いられる。なお、
上記した本発明のスクリーニング方法において、選択マ
ーカーとして前記のレポーター遺伝子を使用し、そのレ
ポーター活性を指標とすることにより、Aβの産生を促
進または阻害する遺伝子をスクリーニングすることがで
きる。
【0012】〔スクリーニングで得られたDNAおよび
その産物〕本発明のスクリーニング方法で得られるDN
A(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)は、
Aβの産生を制御するDNAであり、cDNA、染色体
DNA、合成DNAの何れであってもよく、特にヒトc
DNA、ヒト染色体DNAが好ましい。また、本発明の
DNAは、本発明のスクリーニング方法で得られたDN
Aそのものであってもよいし、当該DNAまたはその一
部をプローブまたはプラーマーとして用い、遺伝子工学
の常套手段を用いてクローニングしたcDNAまたは染
色体DNAであってもよい。Aβの産生を制御するDN
Aには、Aβの産生を亢進するDNAなどが含まれる。
本発明のスクリーニング方法で得られたDNAとして、
具体的に、以下の3つの遺伝子が取得された。 (1)Genbankに登録されているヒトcDNA(accessi
on No. AAH06223) このcDNAは配列番号:4で表わされる塩基配列を有
しており、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有
するタンパク質Aをコードしている。このヒトcDNA
は機能不明なタンパク質AをコードするマウスcDNA
としてGenbankに登録されているcDNA(accession N
o. AK003241)と極めて高い相同性を示した。さらに、
このcDNAはニワトリからsyndecan-4と結合するタン
パク質として酵母two-hybrid法によって同定されたSynd
esmos (Baciu P.C., et al. J. Cell Science 113, 31
5, 2000; accession no. AF095446) とも高い相同性を
示した。 (2)Genbankに登録されているHerp((Kokame K. et
al. J. Biol. Chem. 275: 3286, 2000; accession no.
AB034989) このcDNAは配列番号:5で表わされる塩基配列を有
しており、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有
するタンパク質Bをコードしている。このcDNAにコ
ードされるタンパク質Bは、小胞体に局在し、小胞体ス
トレスでその発現が誘導されるが機能の不明なタンパク
質であった。 (3)Genbankに登録されている5−リポキシゲナーゼ
(accession no. XM 005818)のN末端1から389個
の途中配列を含むcDNA。このcDNAは配列番号:
6で表わされる塩基配列を有しており、配列番号:3で
表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質Cをコード
している。これらの3つのヒトcDNAを過剰発現させ
るとAβの産生が亢進することから、これらのcDNA
はアルツハイマー病に関連するDNAであることが判明
した。これらのDNAに関しては、エクソン領域のみな
らず、プロモーター領域およびイントロン領域も、全て
アルツハイマー病との関連で重要である。
【0013】本発明のスクリーニング方法で得られたD
NAにコードされるペプチド、タンパク質またはその塩
は、前記したヒトまたはその他の温血動物のあらゆる細
胞やあらゆる組織由来するタンパク質であってもよく、
組換えタンパク質であってもよく、また合成タンパク質
であってもよい。本発明のタンパク質は、配列番号:
1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:22
で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有するタンパク質である。実質的に
同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:、配
列番号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わ
されるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約70
%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましく
は約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性
を有するアミノ酸配列などが挙げられる。さらに、本発
明のタンパク質は配列番号:1、配列番号:2、配列番
号:3または配列番号:22で表わされるアミノ酸配列
と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:
1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:22
で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質
的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。実
質的に同質の活性としては、Aβの産生において配列番
号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:
22で表わされるタンパク質と同質の影響を与えるもの
であれば、他の活性は異なっていてもかまわない。
【0014】また、本発明のタンパク質としては、配
列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番
号:22で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以
上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜
10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のア
ミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:1、配列
番号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わさ
れるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1
〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに
好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したア
ミノ酸配列、配列番号:1、配列番号:2、配列番
号:3または配列番号:22で表わされるアミノ酸配列
中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、
より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個
(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された
アミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸
配列を含有するタンパク質なども用いられる。
【0015】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1、
配列番号:2、配列番号:3または配列番号:22で表
わされるアミノ酸配列を有するタンパク質をはじめとす
る本発明のタンパク質は、C末端がカルボキシル基(−
COOH)、カルボキシレート(−COO-)、アミド
(−CONH2)またはエステル(−COOR)の何れ
であってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、
例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル
もしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、
シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロア
ルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC
6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどの
フェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチ
ルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14
アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用される
ピバロイルオキシメチル基などが用いられる。本発明の
タンパク質がC末端以外にカルボキシル基(またはカル
ボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がア
ミド化またはエステル化されているものも本発明のタン
パク質に含まれる。この場合のエステルとしては、例え
ば上記したC末端のエステルなどが用いられる。さら
に、本発明のタンパク質には、上記したタンパク質にお
いて、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例
えば、ホルミル基、アセチルなどのC2-6アルカノイル
基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、
N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピロ
グルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の
置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾ
ール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保
護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2-6アル
カノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されてい
るもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質
などの複合タンパク質なども含まれる。
【0016】本発明のタンパク質の部分ペプチド(以
下、部分ペプチドと略記する場合がある)としては、前
記した本発明のタンパク質の部分ペプチドと実質的に同
一のアミノ酸配列であれば何れのものであってもよい。
本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数は、例えば、前記
した配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で
表わされる構成アミノ酸配列のうち少なくとも5個以
上、好ましくは20個以上、より好ましくは100個以
上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。実
質的に同一のアミノ酸配列とは、これらアミノ酸配列と
約50%以上、好ましくは約70%以上、より好ましく
は約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も
好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列
を示す。
【0017】また、本発明の部分ペプチドは、上記アミ
ノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10
個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ
酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個
以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1
〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))の
アミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ま
しくは数個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ
酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。また、本発
明の部分ペプチドは、C末端がカルボキシル基(−CO
OH)、カルボキシレート(−COO-)、アミド(−
CONH2)またはエステル(−COOR)のいずれで
あってもよい。ここで、エステルにおけるRは上記と同
意義を示す。さらに、本発明の部分ペプチドには、前記
した本発明のタンパク質と同様に、N末端のメチオニン
残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側
が生体内で切断され生成したGlnがピログルタミン酸
化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当
な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合し
たいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれ
る。本発明のタンパク質またはその部分ペプチドの塩と
しては、酸または塩基との生理学的に許容される塩が挙
げられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ま
しい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機
酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マ
レイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。
【0018】前記した本発明の配列番号:1、配列番
号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わされ
るアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめとする、
本発明のスクリーニング方法で得られたDNAにコード
されるペプチド、タンパク質(以下、ペプチドも含めて
タンパク質と略記する)またはその塩は、前述したヒト
やその他の哺乳動物の細胞または組織から公知のペプチ
ドまたはタンパク質の精製方法によって製造することも
できるし、後述する本発明のタンパク質をコードするD
NAで形質転換された形質転換体を培養することによっ
ても製造することができる。また、後述のタンパク質合
成法またはこれに準じて製造することもできる。ヒトや
その他の哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、
ヒトやその他の哺乳動物の組織または細胞をホモジナイ
ズした後、酸などで抽出を行ない、得られた抽出液を逆
相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー
などのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精
製単離することができる。
【0019】本発明のタンパク質もしくはその部分ペプ
チドまたはその塩またはそのアミド体の合成には、通常
市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。そ
のような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒ
ドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミ
ノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール
樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹
脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミド
メチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'
−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ
樹脂、4−(2',4'−ジメトキシフェニル−Fmoc
アミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができ
る。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基
を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の
配列通りに、公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合
させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出すと
同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子
内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタンパク
質またはそのアミド体を取得する。上記した保護アミノ
酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用できる各種
活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイ
ミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、
N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル
−N'−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミ
ドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化
抑制添加剤(例えば、HOBt,HOOBt)とともに
保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無
水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステ
ルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後
に樹脂に添加することができる。
【0020】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十
分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十
分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチ
ルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化す
ることができる。
【0021】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニ
ル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマン
チルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロ
イル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジ
フェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられ
る。カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化
(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシ
ャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シク
ロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの
直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、ア
ラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−
ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステ
ル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエス
テル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカル
ボニルヒドラジド化、ターシャリーブトキシカルボニル
ヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護
することができる。セリンの水酸基は、例えば、エステ
ル化またはエーテル化によって保護することができる。
このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル
基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロ
イル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボ
ニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。
また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジ
ル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基などであ
る。チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、
例えば、Bzl、Cl2−Bzl、2−ニトロベンジ
ル、Br−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼ
ンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bu
m、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0022】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニ
トロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロ
フェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N
−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕
などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたもの
としては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられ
る。保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd
−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気
流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンス
ルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオ
ロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジ
イソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリ
ジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモ
ニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸
処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温
度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソ
ール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、
パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタン
ジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカ
チオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンの
イミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロ
フェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリ
プトファンのインドール保護基として用いられるホルミ
ル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタ
ンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外
に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによる
アルカリ処理によっても除去される。
【0023】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別の
方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸
のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミ
ノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延
ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護
基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の
保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タ
ンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については上記と同様である。縮合により
得られた保護タンパク質を精製した後、上記方法により
すべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得るこ
とができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
タンパク質のアミド体を得ることができる。タンパク質
のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミ
ノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と
同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ること
ができる。
【0024】本発明のタンパク質の部分ペプチドまたは
その塩は、公知のペプチドの合成法に従って、あるいは
本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断するこ
とによって製造することができる。ペプチドの合成法と
しては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによ
っても良い。すなわち、本発明のタンパク質を構成し得
る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合さ
せ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離するこ
とにより目的のペプチドを製造することができる。公知
の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の
〜に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸
留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ
ー・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを
精製単離することができる。上記方法で得られる部分ペ
プチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当
な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合
は、公知の方法によって遊離体に変換することができ
る。
【0025】本発明のスクリーニング方法で得られたD
NAにコードされるタンパク質をコードするポリヌクレ
オチドは、以下に説明する本発明の配列番号:1、配列
番号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わさ
れるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポ
リヌクレオチドと同様に調製することができる。本発明
の配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配
列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するタン
パク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:
1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:22
で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質をコード
する塩基配列(DNAまたはRNA、好ましくはDN
A)を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。該ポリヌクレオチドとしては、本発明の配列番号:
1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:22
で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質をコード
するDNA、mRNA等のRNAであり、二本鎖であっ
ても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖
DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリ
ッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖(即ち、コー
ド鎖)であっても、アンチセンス鎖(即ち、非コード
鎖)であってもよい。本発明の配列番号:1、配列番
号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わされ
るアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDN
Aとしては、染色体DNA、染色体DNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織
よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを
用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain R
eaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって
増幅することもできる。具体的には、本発明の配列番
号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:
22で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質を
コードするDNAとしては、例えば、それぞれ配列番
号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:
21で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配
列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番
号:21で表わされる塩基配列とハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明
の配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配
列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するタン
パク質と実質的に同質のAβ産生亢進活性を有するタン
パク質をコードするDNAであれば何れのものでもよ
い。配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または
配列番号:21で表わされる塩基配列とハイブリダイズ
できる塩基配列としては、例えば、配列番号:4、配列
番号:5、配列番号:6または配列番号:21で表わさ
れる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以
上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約9
5%以上の相同性を有する塩基配列などが用いられる。
【0026】ハイブリダイゼーションは、公知の方法あ
るいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クロ
ーニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et
al.,Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の
方法などに従って行なうことができる。また、市販のラ
イブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の
方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハ
イストリンジェントな条件に従って行なうことができ
る。該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナト
リウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜2
0mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜
65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19m
Mで温度が約65℃の場合が最も好ましい。本発明の配
列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番
号:22で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質
をコードするDNAの塩基配列の一部、または該DNA
と相補的な塩基配列の一部を含有してなるポリヌクレオ
チドとは、下記の本発明の部分ペプチドをコードするD
NAを包含するだけではなく、RNAをも包含する意味
で用いられる。本発明の配列番号:1、配列番号:2、
配列番号:3または配列番号:22で表わされるアミノ
酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオ
チドを用いて、例えば、公知の実験医学増刊「新PCR
とその応用」15(7)、1997記載の方法またはそれに準じ
た方法により、本発明の配列番号:1、配列番号:2ま
たは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有する
タンパク質のmRNAを定量することができる。本発明
に従えば、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3
または配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有
するタンパク質遺伝子の複製又は発現を阻害することの
できるアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)を、ク
ローン化したあるいは決定された配列番号:1、配列番
号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わされ
るアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDN
Aの塩基配列情報に基づき設計し、合成しうる。そうし
たポリヌクレオチド(核酸)は、配列番号:1、配列番
号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わされ
るアミノ酸配列を含有するタンパク質の遺伝子のRNA
とハイブリダイズすることができ、該RNAの合成又は
機能を阻害することができるか、あるいは配列番号:
1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:22
で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質関連R
NAとの相互作用を介して配列番号:1、配列番号:
2、配列番号:3または配列番号:22で表わされるア
ミノ酸配列を含有するタンパク質遺伝子の発現を調節・
制御することができる。配列番号:1、配列番号:2、
配列番号:3または配列番号:22で表わされるアミノ
酸配列を有するタンパク質関連RNAの選択された配列
に相補的なポリヌクレオチド、及び配列番号:1、配列
番号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わさ
れるアミノ酸配列を含有するタンパク質関連RNAと特
異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチ
ドは、生体内及び生体外で配列番号:1、配列番号:
2、配列番号:3または配列番号:22で表わされるア
ミノ酸配列を含有するタンパク質遺伝子の発現を調節・
制御するのに有用であり、また病気などの治療又は診断
に有用である。そうしたポリヌクレオチドは、配列番
号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:
22で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質遺
伝子の5'端ヘアピンループ、5'端6−ベースペア・リ
ピート、5'端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始コド
ン、タンパク質コード領域、ORF翻訳終止コドン、
3'端非翻訳領域、3'端パリンドローム領域、及び3'
端ヘアピンループを好ましい対象領域として選択し調製
しうるが、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3
または配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有
するタンパク質遺伝子内の如何なる領域も対象として選
択しうる。
【0027】目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に
相補的なポリヌクレオチドとの関係、あるいは、対象物
とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドと
の関係は、「アンチセンス」であるということができ
る。アンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ
−D−リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチ
ド、D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、プ
リン又はピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他
のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド
骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販のタンパ
ク質核酸及び合成配列特異的な核酸ポリマー)又は特殊
な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマー
はDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリン
グや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含
有する)などが挙げられる。それらは、2本鎖DNA、
1本鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにD
NA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非
修飾ポリヌクレオチド(又は非修飾オリゴヌクレオチ
ド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当
該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたも
の、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチ
ドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾の
されたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホ
ネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カ
ルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合又は硫
黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジ
チオエートなど)を持つもの、例えばタンパク質(ヌク
レアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗
体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖
(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有し
ているもの、インターカレート化合物(例えば、アクリ
ジン、プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物
(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性
の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有する
もの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー
型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシ
ド」、「ヌクレオチド」及び「核酸」とは、プリン及び
ピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその
他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。
こうした修飾物は、メチル化されたプリン及びピリミジ
ン、アシル化されたプリン及びピリミジン、あるいはそ
の他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌク
レオチド及び修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修
飾されていてよく、例えば1個以上の水酸基がハロゲン
とか、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエー
テル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
【0028】本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸
(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例と
しては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そ
してポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミ
ドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定さ
れるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のよ
うな方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内で
のアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセ
ンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス
鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし
毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなも
のにする。こうして修飾は当該分野で数多く知られてお
り、例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan, Vo
l. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Cr
ooke et al. ed., Antisense Research and Applicatio
ns, CRC Press, 1993 などに開示がある。本発明のアン
チセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、
塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロス
フェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療
により適用されたり、付加された形態で与えられること
ができうる。こうして付加形態で用いられるものとして
は、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジ
ンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高め
たり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例え
ば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水
性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質として
は、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリ
ルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こ
うしたものは、核酸の3'端あるいは5'端に付着させる
ことができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介し
て付着させることができうる。その他の基としては、核
酸の3'端あるいは5'端に特異的に配置されたキャップ
用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌク
レアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられ
る。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレング
リコール、テトラエチレングリコールなどのグリコール
をはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙
げられるが、それに限定されるものではない。アンチセ
ンス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明の
生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいは配列番号:
1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:22
で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質の生体
内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核
酸は公知の各種の方法で細胞に適用できる。
【0029】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、染色体DNA、染色体DNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織
よりmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse
TranscriptasePolymerase Chain Reaction(以下、RT
−PCR法と略称する)によって増幅することもでき
る。具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするD
NAとしては、例えば、(1)配列番号:4、配列番
号:5、配列番号:6または配列番号:21で表わされ
る塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有するDN
A、または(2)配列番号:4、配列番号:5、配列番
号:6または配列番号:21で表わされる塩基配列とハ
イストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基
配列を有し、本発明の配列番号:1、配列番号:2、配
列番号:3または配列番号:22で表わされるアミノ酸
配列を有するタンパク質と実質的に同質のAβ産生亢進
活性を有するタンパク質をコードするDNAの部分塩基
配列を有するDNAなどが用いられる。配列番号:4、
配列番号:5、配列番号:6または配列番号:21で表
わされる塩基配列の部分塩基配列とハイブリダイズでき
る塩基配列としては、例えば、配列番号:4、配列番
号:5、配列番号:6または配列番号:21で表わされ
る塩基配列の部分塩基配列と約70%以上、好ましくは
約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ま
しくは約95%以上の相同性を有する塩基配列などが用
いられる。
【0030】本発明の配列番号:1、配列番号:2、配
列番号:3または配列番号:22で表わされるアミノ酸
配列を含有するタンパク質またはその部分ペプチド(以
下、本発明のタンパク質と略記する場合がある)を完全
にコードするDNAのクローニングの手段としては、本
発明のタンパク質の部分塩基配列を有する合成DNAプ
ライマーを用いてPCR法によって増幅するか、または
適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のタンパク
質の一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしく
は合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼ
ーションによって選別することができる。ハイブリダイ
ゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニ
ング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al.,
Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法
などに従って行なうことができる。また、市販のライブ
ラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法
に従って行なうことができる。
【0031】DNAの塩基配列の変換は、公知のキッ
ト、例えば、MutanTM-G(宝酒造)、MutanTM-K(宝酒
造)などを用いて、Gapped duplex法やKunkel法などの
公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なう
ことができる。クローン化された本発明のタンパク質を
コードするDNAは目的によりそのまま、または所望に
より制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして
使用することができる。該DNAはその5'末端側に翻
訳開始コドンとしてのATGを有し、また3'末端側に
は翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAG
を有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終
止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加
することもできる。本発明のタンパク質の発現ベクター
は、例えば、(イ)本発明のタンパク質をコードするD
NAを含むDNA(例えばcDNA)から目的とするD
NA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現
ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより
製造することができる。
【0032】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TK
プロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMV
プロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好
ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trp
プロモーター、lacプロモーター、recAプロモー
ター、λPLプロモーター、lppプロモーターなど
が、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモ
ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター
など、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモータ
ー、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH
プロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場
合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター
などが好ましい。
【0033】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、CHO(dhfr-)細胞
を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する
場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても
選択できる。また、必要に応じて、宿主に合ったシグナ
ル配列を、本発明のタンパク質のN端末側に付加する。
宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグ
ナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチ
ルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配
列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母で
ある場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナ
ル配列など、宿主が動物細胞である場合には、インシュ
リン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル
配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用でき
る。このようにして構築された本発明のタンパク質をコ
ードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換
体を製造することができる。
【0034】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH
1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160
(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・
リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y),120巻,517(1978)〕,HB101〔ジ
ャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41
巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス
(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用い
られる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・ズ
ブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,
24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナ
ル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemis
try),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ
(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22
-,NA87−11A,DKD−5D,20B−1
2、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomy
ces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ
キア・パストリス(Pichia pastoris)などが用いられ
る。
【0035】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、ヨトウガの幼虫由来株化細胞(Spod
optera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia n
iの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来の
High FiveTM 細胞、Mamestra brassicae由来の細胞また
はEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイ
ルスがBmNPVの場合は、カイコ由来株化細胞(Bomb
yx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細
胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、S
f21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In
Vivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫
としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前
田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(19
85)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS
−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO
(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャ
イニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhf
-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−2
0,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細
胞などが用いられる。
【0036】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,21
10(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1
982)などに記載の方法に従って行なうことができ
る。バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキ
ュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Mole
cular & General Genetics),168巻,111(19
79)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メッソズ・イン・エ
ンザイモロジー(Methods in Enzymology),194
巻,182−187(1991)、プロシージングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
イズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA),75巻,1929(1978)などに記載
の方法に従って行なうことができる。昆虫細胞または昆
虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー
(Bio/Technology),6, 47-55(1988))などに記載の方
法に従って行なうことができる。動物細胞を形質転換す
るには、例えば、細胞工学別冊8新細胞工学実験プロト
コール.263−267(1995)(秀潤社発行)、
ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)
に記載の方法に従って行なうことができる。このように
して、本発明のタンパク質をコードするDNAを含有す
る発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られ
る。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質
転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液
体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に
必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられ
る。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリ
ン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例え
ば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リ
カー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイ
ショ抽出液などの無機または有機物質、無機物として
は、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エ
キス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよ
い。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0037】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,45
05(1980)」や0.5%カザミノ酸を含有するSD
培地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・
ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・
オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA),81巻,5330(1984)」が挙げられ
る。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培
養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、
必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0038】宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換
体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Mediu
m(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(196
2))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加え
たものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.
4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3
〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。宿
主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地とし
ては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM
培地〔サイエンス(Science),122巻,501(19
52)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),
8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地
〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・ア
ソシエーション(The Journal of the American Medica
l Association)199巻,519(1967)〕,19
9培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フ
ォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding o
fthe Society for the Biological Medicine),73
巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8
であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約
15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。以上のようにして、形質転換体の細胞膜に本発明の
タンパク質を生成せしめることができる。
【0039】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
本発明のタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用
いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタ
ンパク質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活
性剤が含まれていてもよい。培養液中に本発明のタンパ
ク質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で
菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。こ
のようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含
まれる本発明のタンパク質の精製は、公知の分離・精製
法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの
公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの
溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過
法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換
クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、ア
フィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を
利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの
疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等
電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0040】かくして得られる本発明のタンパク質が遊
離体で得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準
じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得
られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法に
より、遊離体または他の塩に変換することができる。な
お、組換え体が産生する本発明のタンパク質を、精製前
または精製後に適当なタンパク質修飾酵素を作用させる
ことにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部
分的に除去することもできる。タンパク質修飾酵素とし
ては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニ
ルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシ
ダーゼなどが用いられる。かくして生成する本発明のタ
ンパク質またはその塩の活性は、標識したリガンドとの
結合実験、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセ
イ、酵素活性、シグナル情報伝達活性、物質輸送活性、
物質透過活性、Aβ産生亢進活性などにより測定するこ
とができる。
【0041】〔抗体〕本発明のタンパク質もしくはその
部分ペプチドまたはその塩(以下、本発明のタンパク質
と略記する場合がある)に対する抗体は、本発明のタン
パク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を認識し
得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナ
ル抗体の何れであってもよい。本発明のタンパク質もし
くはその部分ペプチドまたはその塩(以下、本発明のタ
ンパク質と略記する場合もある)に対する抗体は、本発
明のタンパク質を抗原として用い、公知の抗体または抗
血清の製造法に従って製造することができる。
【0042】〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、哺乳動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺
乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモ
ット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、
マウスおよびラットが好ましく用いられる。モノクロー
ナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された
温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体
を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を
採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と
融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブ
リドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の
測定は、例えば、後記の標識化タンパク質と抗血清とを
反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定す
ることにより行なうことができる。融合操作は既知の方
法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャ
ー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に
従い実施することができる。融合促進剤としては、例え
ば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィ
ルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられ
る。骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U
1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好まし
く用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数
と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程
度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PE
G6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約
20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10
分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を
実施できる。
【0043】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、タンパク質の抗原を直接あるいは担体とともに吸着
させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ
培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識し
た抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞が
マウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられ
る)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノク
ローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体ま
たはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培
養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタン
パク質を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検
出する方法などが挙げられる。モノクローナル抗体産生
ハイブリドーマの選別は、公知あるいはそれに準じる方
法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポ
キサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動
物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育
種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものな
らばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20
%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPM
I 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGI
T培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培
養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))な
どを用いることができる。培養温度は、通常20〜40
℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日
〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、
通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリド
ーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測
定と同様にして測定できる。
【0044】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナ
ル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテ
インAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗
体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精
製法〕に従って行なうことができる。
【0045】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に
したがって製造することができる。例えば、免疫抗原
(本発明のタンパク質抗原)とキャリアータンパク質と
の複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法
と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発
明のタンパク質に対する抗体含有物を採取して、抗体の
分離精製を行なうことにより製造できる。哺乳動物を免
疫するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク
質との複合体に関し、キャリアータンパク質の種類およ
びキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架
橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くでき
れば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよい
が、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリ
ン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比
でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1
〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。また、ハ
プテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を
用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジ
イミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオ
ビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられ
る。縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能
な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与さ
れる。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロ
イントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを
投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ず
つ、計約3〜10回程度行なうことができる。ポリクロ
ーナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血
液、腹水など、好ましくは血液から採取することができ
る。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の
血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリク
ローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体
の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従っ
て行なうことができる。
【0046】以下に、本発明のAβの産生を制御するD
NA(本発明のDNA)、そのDNAと相補的な塩基配
列を有するアンチセンスDNA、そのDNAを含有する
組換えベクターによる形質変換体、そのDNAがコード
するタンパク質、その部分ペプチドまたはその塩(本発
明のタンパク質)および本発明の抗体の用途を説明す
る。 (1)アルツハイマー病の組織マーカー 本発明のタンパク質は、アルツハイマー病患者の脳にも
発現しているため、アルツハイマー病の組織マーカーと
して使用することができる。また、本発明のタンパク質
に選択的に結合するペプチド、タンパク質もしくはDN
Aの検出または分取にも利用できる。 (2)本発明のタンパク質が関与する各種疾病の治療・
予防剤 本発明のAβ産生を亢進する作用を有するタンパク質や
例えば、(1)神経変性疾患(例、老年期痴呆、アルツ
ハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、クロイツフェ
ルト・ヤコブ病、筋萎縮性脊髄側索硬化症、糖尿病性ニ
ューロパシー等)、(2)脳血管障害(例、脳梗塞、脳
出血、脳動脈硬化に伴う脳循環不全等)時、頭部外傷・
脊髄損傷時、脳炎後遺症時または脳性麻痺時の神経障
害、(3)記憶障害(例、老年期痴呆、健忘症等)、
(4)軽度認知障害(mild cognitiveimpairment(M.C.
I.))または(5)精神疾患(例、うつ病、恐慌性障
害、精神分裂症等)など、好ましくはアルツハイマー病
患者でその活性あるいは発現量が亢進しているものにつ
いては、そのドミナントネガテイブ体は上記疾患の治療
・予防剤等の医薬として使用することができる。上記ド
ミナントネガテイブ体は、そのアミノ酸配列の一部が置
換もしくは欠失したもの、そのアミノ酸配列にアミノ酸
が付加したもの、または置換、欠失、付加が組み合わさ
ったもののいずれであってもよく、Aβ産生を亢進する
作用が損失または減弱しているものである。このドミナ
ントネガテイブ体は、通常の遺伝子工学的手法により作
製することができる。例えば、本発明のタンパク質をコ
ードするDNAの塩基配列を公知のキット、例えば、Mu
tanTM-G(宝酒造)、MutanTM-K(宝酒造)などを用い
て、Gapped duplex法やKunkel法などの公知の方法ある
いはそれらに準じる方法に従って変換した後、上記の本
発明のタンパク質の製造法に準じて製造することができ
る。また、Aβ産生を亢進する作用が損失または減弱し
ていることは、ドミナントネガテイブ体またはそれをコ
ードするDNAのAβ産生を亢進する作用を本発明のス
クリーニング方法で確認することによって行うことがで
きる。
【0047】(3)各種疾患に対する医薬候補化合物の
スクリーニング法 本発明のAβ産生を亢進する作用を有するタンパク質の
機能(活性)を阻害(抑制)する化合物またはその塩
は、例えば、(1)神経変性疾患(例、老年期痴呆、ア
ルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、クロイツ
フェルト・ヤコブ病、筋萎縮性脊髄側索硬化症、糖尿病
性ニューロパシー等)、(2)脳血管障害(例、脳梗
塞、脳出血、脳動脈硬化に伴う脳循環不全等)時、頭部
外傷・脊髄損傷時、脳炎後遺症時または脳性麻痺時の神
経障害、(3)記憶障害(例、老年期痴呆、健忘症
等)、(4)軽度認知障害(mild cognitive impairmen
t(M.C.I.))または(5)精神疾患(例、うつ病、恐
慌性障害、精神分裂症等)など、好ましくはアルツハイ
マー病の治療・予防剤等の医薬として使用できる。した
がって、本発明のタンパク質およびそのDNAは、本発
明のタンパク質の機能(活性)を阻害する化合物または
その塩のスクリーニングのための試薬として有用であ
る。すなわち、本発明は、本発明のタンパク質、そのD
NA、そのDNAと相補的に結合するアンチセンスDN
A、そのDNAを含有する組換えベクターで形質転換さ
れた形質変換体、または本発明の抗体を用いることを特
徴とする本発明のタンパク質の機能(活性)を阻害する
化合物(以下、阻害剤と略記する場合がある)のスクリ
ーニング方法を提供する。また、本発明のスクリーニン
グ用キットは、本発明のタンパク質、そのDNA、その
DNAと相補的に結合するアンチセンスDNA、そのD
NAを含有する組換えベクターで形質転換された形質変
換体、または本発明の抗体を含有するものである。上記
スクリーニング方法として、具体的には、次のようなも
のが挙げられる。
【0048】(3−1)本発明のタンパク質と組織、細
胞、またはそれらの膜画分との反応を阻害する化合物の
スクリーニング方法 (i)本発明のタンパク質が作用する組織、細胞または
それらの膜画分に、本発明のタンパク質を接触させた場
合と(ii)本発明のタンパク質が作用する組織、細胞ま
たはそれらの膜画分に、本発明のタンパク質および試験
化合物を接触させた場合との比較を行うことを特徴とす
る本発明のタンパク質と組織、細胞またはそれらの膜画
分との反応性を阻害する化合物またはその塩のスクリー
ニング方法があげられる。上記の細胞には株化細胞を用
いても良いし、初代培養系を用いても良い。細胞または
組織としては、ヒトやその他の温血動物(例えば、モル
モット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒ
ツジ、ウシ、サル等)の細胞(例えば、神経細胞、内分
泌細胞、神経内分泌細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨
髄細胞、肝細胞、脾細胞、メサンギウム細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細
胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中
球、好塩基球、好酸球、単球、樹状細胞)、巨核球、滑
膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺
細胞、もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細
胞、幹細胞もしくはガン細胞等、もしくはそれらの細胞
が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位
(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下
部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵
臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副
腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血
管、心臓、胸腺、脾臓、唾液腺、末梢血、前立腺、睾丸
(精巣)、卵巣、胎盤、子宮、骨、軟骨、関節、骨格筋
等を用いても良い。
【0049】本発明のスクリーニング方法においては、
上記した反応性としては、結合量、細胞刺激活性、組織
刺激活性などを測定して比較する。結合量を測定する場
合、ビアコアなどの測定機器や標識リガンドが用いられ
る場合もある。後者の場合、例えば、〔3H〕、
125I〕、〔14C〕、〔35S〕、蛍光色素、蛍光タン
パク質、ビオチン、β−ガラクトシダーゼやパーオキシ
ダーゼなどの酵素、フラッグなどのタグと呼ばれるペプ
チドなどで標識された本発明のタンパク質を利用するこ
とができる。本発明の配列番号:1、配列番号:2また
は配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタ
ンパク質の結合量を調べる場合、それぞれ、syndecan-
4、プレセニリンあるいはFLAPと呼ばれるタンパク
質、あるいはそれらの類似タンパク質を含有する組織、
細胞、その膜画分あるいは粗精製画分などを用いても良
い。また、細胞刺激活性としては、細胞の生化学的な変
化を伴うものであればどのようなものでも良いが、例え
ば、アラキドン酸代謝物、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+の遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生
成、イノシトールリン酸産生、細胞外液のpHの低下、
細胞膜電位変動、K+チャンネル機能、細胞内タンパク
質のリン酸化、c−fosの活性化、NFκBの活性
化、小胞体Ca濃度、capacitative calcium entry(C
CE)、小胞体ストレス、小胞体ストレスに伴う分子シ
ャペロンの誘導、タウのリン酸化、軸索輸送、キネシン
依存性APP軸索輸送、NO産生、アポトーシス、細胞増
殖活性、細胞接着活性、細胞遊走活性、該細胞が特有に
産生している生理活性物質の産生などが挙げられる。組
織刺激活性としては、組織の生化学あるいは生理学的な
変化を伴うものであればどのようなものでも良いが、例
えば、収縮や弛緩活性を挙げることができる。
【0050】(3−2)本発明のタンパク質の酵素活性
に対する促進剤または阻害剤のスクリーニング法 本発明のタンパク質が酵素活性を有する場合または酵素
活性に何らかの関係を有する場合、その活性を指標とし
て、本発明のタンパク質の酵素活性を促進する化合物
(以下、促進剤と略記する)または阻害する化合物(以
下、阻害剤と略記する)をスクリーニングできる。例え
ば、本発明の配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を
含有するタンパク質は5−リポキシゲナーゼのN端部分
配列に相当することから、5−リポキシゲナーゼ活性の
促進剤または阻害剤のスクリーニングを行うことができ
る。
【0051】(3−3)形質転換体を用いた、本発明の
タンパク質の活性に対する促進剤または阻害剤のスクリ
ーニング法 本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードす
るDNAを含有する組換えベクターによる形質転換体を
用いて、導入された該DNAに起因する形質転換体の生
化学的な変化を指標として、本発明のタンパク質の活性
を促進する化合物(以下、促進剤と略記する)または阻
害する化合物(以下、阻害剤と略記する)をスクリーニ
ングできる。形質転換体としては、酵母や細胞が好まし
く用いられるが、細胞を用いる場合、親株として、株化
細胞を用いても、初代培養系を用いても、さらに、上記
(3−1)記載の種々の細胞を用いても良い。上記の導
入された該DNAに起因する形質転換体の生化学的な変
化の指標としては、検出可能であればどのようなものも
指標として用いることが可能である。例えば、該形質転
換体が特有に産生している物質(例えば、Aβ)の産生
を指標とすることができる。Aβの測定法には種々の方
法が用いられるが、Aβ特異的抗体を用いる免疫化学的
方法を用いることが好ましい。これらの方法には、免疫
沈降法、ウエスタンブロッテイング、酵素免疫測定法、
サンドイッチ型酵素免疫測定法あるいはそれらの組み合
わせ方法が用いられる。形質転換体を作製する親株とし
ては、内在性にβAPPを発現しているものでも、ある
いは外来性にβAPPあるいはそのフラグメントを導入
したものでも、内在性にγ−セクレターゼ活性を有する
ものでも、プレセニリンなどの導入でγ−セクレターゼ
活性を導入したものでも、検出に十分なAβ産生量を示
すものであれば、いずれも用いることができる。導入す
るβAPPやプレセニリンはFAD由来の変異を有して
いてもかまわない。また、本発明者が作製した、βAP
PフラグメントからのAβの産生が促進されることによ
りピューロマイシンなどの薬剤耐性遺伝子の発現が亢進
するよう設計された細胞株を親株として用いた場合、A
βの測定以外にも、ピューロマイシンなどの薬剤耐性を
指標として、化合物のスクリーニングを実施することが
できる。
【0052】導入された該DNAに起因する形質転換体
が特有に産生している物質として、Aβ以外にも例え
ば、分泌型APPを用いても良い。また、Aβの中でも
特にAβ42に注目することもできる。さらに、上記の
導入された該DNAに起因する形質転換体の生化学的な
変化の指標として、本発明のタンパク質と機能的に関連
する物質、例えば、リガンド、基質、被輸送物質または
複合体形成因子との相互作用の変化を測定しても良い。
本発明の配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3ま
たは配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有す
るタンパク質と複合体を形成する因子としては、それぞ
れ、syndecan-4、プレセニリンまたはFLAPと呼ばれ
るタンパク質、あるいはそれらの類似タンパク質が含ま
れる。さらに、上記の導入された該DNAに起因する形
質転換体の生化学的な変化の指標として、例えば、アラ
キドン酸代謝物、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノ
シトールリン酸産生、細胞外液のpHの低下、細胞膜電
位変動、K+チャンネル機能、細胞内タンパク質のリン
酸化、c−fosの活性化、NFκBの活性化、小胞体
Ca濃度、capacitative calcium entry(CCE)、小
胞体ストレス、小胞体ストレスに伴う分子シャペロンの
誘導、タウのリン酸化、軸索輸送、キネシン依存性AP
P軸索輸送、NO産生、アポトーシス、細胞増殖活性、
細胞接着活性、細胞遊走活性などを測定しても良い。
【0053】さらに、上記の形質転換体の生化学的な変
化の指標として、核、小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリ
ア、エンドゾーム、ライソゾーム、あるいはそれらの
膜、プロテアゾーム、細胞膜へ本発明のタンパク質ある
いはある特定のタンパク質の移行を測定しても良い。特
定のタンパク質として、それぞれ配列番号:1、配列番
号:2、配列番号:3または配列番号:22で表わされ
るアミノ酸配列を含有するタンパク質と複合体を形成す
る因子である、syndecan-4、プレセニリンまたはFLA
Pと呼ばれるタンパク質、あるいはそれらの類似タンパ
ク質が含まれる。その検出には、放射ラベルアミノ酸な
どを用いて代謝的にラベルを導入し、抗体を用いて免疫
沈降させたり、それらのタンパク質にGFPなどの蛍光
タンパク質やフラッグなどのタグを結合させたキメラタ
ンパク質を発現させ、その蛍光やタグを指標にタンパク
質の移行を測定することができる。
【0054】(3−4)本発明のタンパク質の発現を阻
害する化合物のスクリーニング法 本発明のタンパク質、そのDNA、そのDNAと相補的
に結合するアンチセンスDNA、そのDNAを含有する
組換えベクターによる形質変換体、または本発明の抗体
は、本発明のタンパク質の発現を阻害する化合物のスク
リーニング法に用いることができる。用いる材料として
は、本発明のタンパク質を発現している細胞が用いられ
るが、組織、動物などを用いても良い。その際、株化細
胞を用いても、初代培養系を用いても、さらに、上記
(3−1)記載の種々の細胞や組織を用いても良い。上
記動物には、後述するレポーター遺伝子を導入したノッ
クアウト動物も含まれる。本発明のタンパク質の発現量
は抗体などを用いて免疫化学的方法などの公知の方法に
より測定することもできるし、本発明のタンパク質のm
RNAをノザンハイブリダイゼーション法、RT−PC
RやTaqMan PCR法を用いて、公知の方法によ
り測定することもできる。さらに、本発明のタンパク質
をコードする遺伝子のプロモーター領域(促進プロモー
ター、抑制プロモーターなど)とレポーター遺伝子を組
み合わせ、プロモーター活性を促進または阻害する化合
物をレポータージーンアッセイによりスクリーニングす
ることができる。その際、親株としては、株化細胞を用
いても、初代培養系を用いても、さらに、上記(3−
1)記載の種々の細胞を用いても良い。レポーター遺伝
子としては、クロラムフェニコールアセチルトランスフ
ェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェ
ラーゼ、成長因子、β−グルクロニダーゼ、アルカリホ
スファターゼ、Green fluorescent protein(GFP)
およびβ−ラクタマーゼなどが好んで用いられる。これ
らレポーター遺伝子のベクター構築やアッセイ法は公知
の技術に従うことができる(例えばMolecular Biotechn
ology 13, 29-43, 1999)。
【0055】(4)本発明の抗体を用いる診断剤 本発明の抗体を作製し、各種疾病、例えば、(1)神経
変性疾患(例、老年期痴呆、アルツハイマー病、ダウン
症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、筋
萎縮性脊髄側索硬化症、糖尿病性ニューロパシー等)、
(2)脳血管障害(例、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化に
伴う脳循環不全等)時、頭部外傷・脊髄損傷時、脳炎後
遺症時または脳性麻痺時の神経障害、(3)記憶障害
(例、老年期痴呆、健忘症等)、(4)軽度認知障害
(mild cognitive impairment(M.C.I.))または
(5)精神疾患(例、うつ病、恐慌性障害、精神分裂症
等)など、好ましくはアルツハイマー病の診断に用いる
ことができる。また、それらの抗体を用いて、本発明の
タンパク質を定量できるほか、組織染色等による検出を
行うこともできる。これらの目的には、抗体分子そのも
のを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、F
ab'、あるいはFab画分を用いてもよい。抗体はモ
ノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト−マウス
キメラ抗体、ヒト抗体、遺伝子工学的に作製されたヒト
抗体でも構わない。ヒト抗体は、ヒトミエローマ細胞を
用いた細胞融合法やヒトイムノグロブリン遺伝子を導入
されたマウスに免疫し、そのマウスの免疫担当細胞をミ
エローマ細胞と細胞融合することにより作製できる(K.
Tomizuka et. Al. Proc. Natl. Acad. Sci. 97, 722-7
27, 2000)。遺伝子工学的に作製されたヒト抗体には、
H領域とVL領域を架橋した単鎖抗体も含まれる。本発
明の抗体を用いる本発明のタンパク質の定量法は、特に
制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例
えば、本発明のタンパク質量)に対応した抗体、抗原も
しくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段
により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用い
て作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いず
れの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、
競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好
適に用いられる。これら個々の免疫学的測定法を本発明
の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作
等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通
常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて
本発明のポリペプチドの測定系を構築すればよい。これ
らの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書等
を参照することができる。
【0056】例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセ
イ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジ
オイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川
栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医
学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測
定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Me
thods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techn
iques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techn
iques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techn
iques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techn
iques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 9
2(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Anti
bodiesand General Immunoassay Methods))、 同書 Vo
l. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma
Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカ
デミックプレス社発行)等を参照することができる。
【0057】(5)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のAβ産生を亢進する作用を有するタンパク質の
活性を中和する作用を有する本発明の抗体は、例えば、
当該タンパク質の発現過多に起因する疾患、例えば、
(1)神経変性疾患(例、老年期痴呆、アルツハイマー
病、ダウン症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤ
コブ病、筋萎縮性脊髄側索硬化症、糖尿病性ニューロパ
シー等)、(2)脳血管障害(例、脳梗塞、脳出血、脳
動脈硬化に伴う脳循環不全等)時、頭部外傷・脊髄損傷
時、脳炎後遺症時または脳性麻痺時の神経障害、(3)
記憶障害(例、老年期痴呆、健忘症等)、(4)軽度認
知障害(mild cognitive impairment(M.C.I.))また
は(5)精神疾患(例、うつ病、恐慌性障害、精神分裂
症等)など、好ましくはアルツハイマー病の治療・予防
剤等の医薬として使用することができる。抗体はモノク
ローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト−マウスキメ
ラ抗体、ヒト抗体、遺伝子工学的に作製されたヒト抗体
でも構わない。ヒト抗体は、ヒトミエローマ細胞を用い
た細胞融合法やヒトイムノグロブリン遺伝子を導入され
たマウスに免疫し、そのマウスの免疫担当細胞をミエロ
ーマ細胞と細胞融合することにより作製できる。遺伝子
工学的に作製されたヒト抗体には、VH領域とVL領域を
架橋した単鎖抗体も含まれる。
【0058】(6)本発明のタンパク質のワクチン 本発明のタンパク質、それ自身、あるいはキャリアータ
ンパク質とともにワクチンとして免疫し、各種疾患、例
えば、(1)神経変性疾患(例、老年期痴呆、アルツハ
イマー病、ダウン症、パーキンソン病、クロイツフェル
ト・ヤコブ病、筋萎縮性脊髄側索硬化症、糖尿病性ニュ
ーロパシー等)、(2)脳血管障害(例、脳梗塞、脳出
血、脳動脈硬化に伴う脳循環不全等)時、頭部外傷・脊
髄損傷時、脳炎後遺症時または脳性麻痺時の神経障害、
(3)記憶障害(例、老年期痴呆、健忘症等)、(4)
軽度認知障害(mild cognitive impairment(M.C.
I.))または(5)精神疾患(例、うつ病、恐慌性障
害、精神分裂症等)など、好ましくはアルツハイマー病
の進展抑制剤あるいは治療剤として用いることができ
る。キャリアータンパク質としては、生体に対して安全
性が高ければどのようなキャリアータンパク質も用いる
ことが可能であるが、例えば、破傷風毒素などが用いら
れる。
【0059】(7)本発明のタンパク質に関連した遺伝
子診断法 本発明のタンパク質をコードするDNA(プロモーター
領域、エクソン、イントロンを含む)またはmRNAの
性状に関する情報は、それらの異常(遺伝子異常)が見
出された場合、例えば、(1)神経変性疾患(例、老年
期痴呆、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン
病、クロイツフェルト・ヤコブ病、筋萎縮性脊髄側索硬
化症、糖尿病性ニューロパシー等)、(2)脳血管障害
(例、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化に伴う脳循環不全
等)時、頭部外傷・脊髄損傷時、脳炎後遺症時または脳
性麻痺時の神経障害、(3)記憶障害(例、老年期痴
呆、健忘症等)、(4)軽度認知障害(mild cognitive
impairment(M.C.I.))または(5)精神疾患(例、
うつ病、恐慌性障害、精神分裂症等)など、好ましくは
アルツハイマー病に関連した該DNAまたは該mRNA
の損傷、突然変異、発現低下、コピー数の増加、発現過
多等の異常を検出することを具現化することになるの
で、遺伝子診断を行う際に有用である。mRNAに関し
てはスプライスバリアントの発現増加や低下、或いはm
RNAエディティング(C. M. Niswender et.Al. Ann.
N. Y. Acad. Sci. 861, 38-48, 1998)による変異導入
も考慮される。また染色体上の座位に関する情報は本発
明のDNAが関与する遺伝病の研究にも利用できる。本
発明のタンパク質をコードするDNAを用いる上記の遺
伝子診断は、例えば、公知のノーザンハイブリダイゼー
ションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomic
s),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロ
シージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceeding
s of the National Academy of Sciences of the Unite
d States of America),第86巻,2766〜277
0頁(1989年)、DNAマイクロアレイ(サイエン
ス(Science),第270巻,467〜470頁(19
95年)、或いはその他の方法(実験医学18巻14
号、1894−1906頁、2000年)等により実施
することができる。上記のいずれかの手法により該遺伝
子の発現増加或いは低下、DNAの突然変異が検出され
た場合は、各種疾病、例えば、(1)神経変性疾患
(例、老年期痴呆、アルツハイマー病、ダウン症、パー
キンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、筋萎縮性脊
髄側索硬化症、糖尿病性ニューロパシー等)、(2)脳
血管障害(例、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化に伴う脳循
環不全等)時、頭部外傷・脊髄損傷時、脳炎後遺症時ま
たは脳性麻痺時の神経障害、(3)記憶障害(例、老年
期痴呆、健忘症等)、(4)軽度認知障害(mild cogni
tive impairment(M.C.I.))または(5)精神疾患
(例、うつ病、恐慌性障害、精神分裂症等)など、好ま
しくはアルツハイマー病に関して罹り易いとか、上記疾
患である可能性が高い、等の診断を行うことができる。
特に近年、疾患関連遺伝子を探索する上で非常に重要な
ツールとしてSNPs(single nucleotide polymorphi
sms、一塩基多型)と呼ばれる多型マーカーが登場し、
疾患へのなり易さ(なり難い)を規定していたり、薬剤
に対する応答性の違い・副作用の違いにも影響するもの
としてにわかに注目を集めている。SNPsのタイピン
グ法としては、その具体的な目的に応じて、直接塩基配
列決定法、Invader法、Sniper法、MALDI-TOF/MS法、オ
リゴSNPチップ法などが挙げられる(実験医学18巻
12号、2000年)。こうした手法により見出された
本発明のタンパク質をコードするDNA(プロモーター
領域、エクソン、イントロンを含む)に存在するSNP
sは、それ自体単独で、或いは他の遺伝子上のSNPs
や本発明のDNAと併せて解析することにより、例え
ば、(1)神経変性疾患(例、老年期痴呆、アルツハイ
マー病、ダウン症、パーキンソン病、クロイツフェルト
・ヤコブ病、筋萎縮性脊髄側索硬化症、糖尿病性ニュー
ロパシー等)、(2)脳血管障害(例、脳梗塞、脳出
血、脳動脈硬化に伴う脳循環不全等)時、頭部外傷・脊
髄損傷時、脳炎後遺症時または脳性麻痺時の神経障害、
(3)記憶障害(例、老年期痴呆、健忘症等)、(4)
軽度認知障害(mild cognitive impairment(M.C.
I.))または(5)精神疾患(例、うつ病、恐慌性障
害、精神分裂症等)など、好ましくはアルツハイマー病
に対する罹りやすさの判定や発症時期の予測、或いは診
断に有用である。
【0060】(8)本発明のタンパク質に関連したアン
チセンスDNAを含有する医薬 Aβ産生を亢進する本発明のDNAまたはその一部と相
補的な塩基配列を含み、当該DNAに相補的に結合し、
当該DNAの発現を抑制することができるアンチセンス
DNAは、生体内における当該DNAまたはそれにコー
ドされるタンパク質の機能を抑制することができるの
で、例えば、Aβ産生を亢進するタンパク質の発現過多
に起因する疾患、例えば、例えば、(1)神経変性疾患
(例、老年期痴呆、アルツハイマー病、ダウン症、パー
キンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、筋萎縮性脊
髄側索硬化症、糖尿病性ニューロパシー等)、(2)脳
血管障害(例、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化に伴う脳循
環不全等)時、頭部外傷・脊髄損傷時、脳炎後遺症時ま
たは脳性麻痺時の神経障害、(3)記憶障害(例、老年
期痴呆、健忘症等)、(4)軽度認知障害(mild cogni
tive impairment(M.C.I.))または(5)精神疾患
(例、うつ病、恐慌性障害、精神分裂症等)など、好ま
しくはアルツハイマー病の治療・予防剤として使用する
ことができる。例えば、該アンチセンスDNAを単独あ
るいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクタ
ー、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクター
等の適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って投
与することができる。該アンチセンスDNAは、そのま
まで、あるいは摂取促進のために補助剤等の生理学的に
認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロ
ゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与でき
る。あるいは、エアロゾル化して吸入剤として気管内に
投与することもできる。さらに、該アンチセンスDNA
は、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発
現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプロー
ブとして使用することもできる。
【0061】(9)DNA導入動物を用いたアルツハイ
マー病の予防・治療薬の評価法 本発明は、外来性の本発明のタンパク質をコードするD
NA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)または
その変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する
場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を用いたアルツハ
イマー病の予防・治療薬の評価法を提供する。すなわ
ち、本発明は、(1)本発明の外来性DNAまたはその
変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト哺乳
動物がげっ歯動物である第(1)記載の動物、 (3)げっ歯動物がマウスまたはラットである第(2)
記載の動物、および(4)本発明の外来性DNAまたは
その変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる
組換えベクターを提供するものである。本発明の外来性
DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物
(以下、本発明のDNA導入動物と略記する)は、未受
精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞
等に対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生におけ
る胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精
卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カ
ルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集
法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン
法、DEAE−デキストラン法等により目的とするDN
Aを導入することによって作出することができる。ま
た、該DNA導入方法により、体細胞、生体の臓器、組
織細胞等に目的とする本発明の外来性DNA導入し、細
胞培養、組織培養等に利用することもでき、さらに、こ
れら細胞を上述の胚芽細胞と公知の細胞融合法により融
合させることにより本発明のDNA導入動物を作出する
こともできる。
【0062】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラット等が用いられる。なか
でも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および
生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なげっ歯
動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57B
L/6系統,DBA2系統等、交雑系として、B6C3
1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BALB/
c系統,ICR系統等)またはラット(例えば、Wis
tar,SD等)等が好ましい。哺乳動物において発現
しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」としては、
上記の非ヒト哺乳動物の他にヒト等が挙げられる。本発
明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来有してい
る本発明のDNAではなく、いったん哺乳動物から単離
・抽出された本発明のDNAをいう。本発明の変異DN
Aとしては、元の本発明のDNAの塩基配列に変異(例
えば、突然変異等)が生じたもの、具体的には、塩基の
付加、欠損、他の塩基への置換等が生じたDNA等が用
いられ、また、異常DNAも含まれる。該異常DNAと
しては、異常な本発明のタンパク質を発現させるDNA
を意味し、例えば、正常な本発明のタンパク質の機能を
抑制するタンパク質を発現させるDNA等が用いられ
る。本発明の外来性DNAは、対象とする動物と同種あ
るいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよ
い。本発明のDNAを対象動物に導入するにあたって
は、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの
下流に結合したDNAコンストラクトとして用いるのが
一般に有利である。例えば、本発明のヒトDNAを導入
させる場合、これと相同性が高い本発明のDNAを有す
る各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモ
ット、ハムスター、ラット、マウス等)由来のDNAを
発現させうる各種プロモーターの下流に、本発明のヒト
DNAを結合したDNAコンストラクト(例、ベクター
等)を対象哺乳動物の受精卵、例えば、マウス受精卵へ
マイクロインジェクションすることによって本発明のD
NAを高発現するDNA導入哺乳動物を作出することが
できる。
【0063】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージ等のバクテリオ
ファージ、モロニー白血病ウィルス等のレトロウィル
ス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルス等の動
物ウイルス等が用いられる。なかでも、大腸菌由来のプ
ラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプ
ラスミド等が好ましく用いられる。上記のDNA発現調
節を行うプロモーターとしては、例えば、ウイルス
(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイルス、モロ
ニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルス、ポ
リオウイルス等)に由来するDNAのプロモーター、
各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、ラット、マウス等)由来のプロモータ
ー、例えば、アルブミン、インスリンII、ウロプラキ
ンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリ
ン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク
質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来
成長因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラ
ーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存タン
パク質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒
石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム
利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般に
Tie2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン
3リン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロ
フィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、
メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラ
スI抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミ
ンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TP
O)、タンパク質鎖延長因子1α(EF−1α)、βア
クチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1およ
び2、ミエリン基礎タンパク質、チログロブリン、Th
y−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清
アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニ
ンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、
バソプレシン等のプロモーター等が用いられる。なかで
も、全身で高発現することが可能なサイトメガロウイル
スプロモーター、ヒトタンパク質鎖延長因子1α(EF
−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチ
ンプロモーター等が好適である。
【0064】上記ベクターは、DNA導入哺乳動物にお
いて目的とするmRNAの転写を終結する配列(一般に
ターミネターと呼ばれる)を有していることが好まし
く、例えば、ウィルス由来および各種哺乳動物由来の各
DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミア
ンウィルスのSV40ターミネーター等が用いられる。
その他、目的とする外来性DNAをさらに高発現させる
目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハンサ
ー領域、真核DNAのイントロンの一部等をプロモータ
ー領域の5'上流、プロモーター領域と翻訳領域間ある
いは翻訳領域の3'下流に連結することも目的により可
能である。該翻訳領域は導入動物において発現しうるD
NAコンストラクトとして、前記のプロモーターの下流
および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常
のDNA工学的手法により作製することができる。受精
卵細胞段階における本発明の外来性DNAの導入は、対
象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在する
ように確保される。DNA導入後の作出動物の胚芽細胞
において、本発明の外来性DNAが存在することは、作
出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細胞のす
べてに本発明の外来性DNAを保持することを意味す
る。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の
子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外
来性DNAを有する。
【0065】本発明の外来性正常DNAを導入させた非
ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持
することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おける本発明の外来性DNAの導入は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確
保される。DNA導入後の作出動物の胚芽細胞において
本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動
物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発
明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発
明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNA
を過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つ
ホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配す
ることによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するよ
うに繁殖継代することができる。本発明の正常DNAを
有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現
させられており、内在性の正常DNAの機能を促進する
ことにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢進症、
や、本発明のタンパク質が関連する疾患、例えばアルツ
ハイマー病あるいはアルツハイマー病様病態(例えば、
Aβの脳内沈着、PHF−タウ、神経細胞死など)を発
症することがあり、その病態モデル動物として利用する
ことができる。例えば、本発明の正常DNA導入動物、
その組織およびその細胞を用いて、本発明のタンパク質
の機能亢進症や、本発明のタンパク質が関連する疾患、
例えばアルツハイマー病あるいはアルツハイマー病様病
態(例えば、Aβの脳内沈着、PHF−タウ、神経細胞
死など)の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方
法の検討を行うことが可能であり、さらに、アルツハイ
マー病の治療・予防薬のスクリーニング試験にも利用可
能である。
【0066】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科とし
て用いることができる。プロモーターとのDNAコンス
トラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製する
ことができる。受精卵細胞段階における本発明の異常D
NAの導入は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の
全てに存在するように確保される。DNA導入後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味す
る。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の
子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異
常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。本発明の異常DNAを有す
る非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させ
られており、内在性の正常DNAの機能を阻害すること
により最終的に本発明のタンパク質の機能不活性型不応
症となることがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の異常DNA導入動
物、その組織およびその細胞を用いて、本発明のタンパ
ク質の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの
疾患を治療方法の検討や治療薬スクリーニング試験にも
利用可能である。また、具体的な利用可能性としては、
本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のタンパク質
の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパク質
による正常タンパク質の機能阻害(dominant negative
作用)を解明するモデルとなる。本発明のタンパク質は
Aβ産生に密接に関係しており、その発現亢進はAβの
産生亢進に繋がっている。一方、この事実は、正常範囲
の発現量のタンパク質が、βAPPやプレセニリンを含
有するγ−セクレターゼ複合体の生理的な役割にも関与
している可能性を示唆するものであり、本発明のタンパ
ク質の異常DNA転移動物、およびその組織あるいは細
胞は、アルツハイマー病の治療・予防薬の検討に有用で
ある。
【0067】また、上記2種類の本発明のDNA導入動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA導入動物の組織中のDNAもしくはR
NAを直接分析するか、またはDNAにより発現された
本発明のタンパク質組織を分析することによる、本発明
のタンパク質により特異的に発現あるいは活性化する本
発明のタンパク質との関連性についての解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質の単離精製およびその抗体作
製等が考えられる。 さらに、本発明のDNA導入動物を用いて、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症等を含む、本発明のタン
パク質に関連する疾患の臨床症状を調べることができ、
また、本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの各臓
器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治
療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研
究および治療に貢献することができる。
【0068】また、本発明のDNA導入動物から各臓器
を取り出し、細切後、トリプシン等のタンパク質分解酵
素により、遊離したDNA導入細胞の取得、その培養ま
たはその培養細胞の系統化を行うことが可能である。さ
らに、本発明のタンパク質産生細胞の特定化、Aβ産
生、アポトーシス、分化あるいは増殖との関連性、また
はそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異
常を調べること等ができ、本発明のタンパク質およびそ
の作用解明のための有効な研究材料となる。さらに、本
発明のDNA導入動物を用いて、本発明のタンパク質の
機能不活性型不応症を含む、本発明のタンパク質に関連
する疾患の治療薬の開発を行うために、上述の検査法お
よび定量法等を用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のス
クリーニング法を提供することが可能となる。また、本
発明のDNA導入動物または本発明の外来性DNA発現
ベクターを用いて、本発明のタンパク質が関連する疾患
のDNA治療法を検討、開発することが可能である。
【0069】(10)ノックアウト動物を用いたアルツ
ハイマー病の予防・治療薬の評価法 本発明は、本発明のタンパク質をコードするDNAが不
活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のタ
ンパク質をコードするDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
用いたアルツハイマー病の予防・治療薬の評価法を提供
する。以下、本発明のタンパク質をコードするDNAを
略して本発明のDNAと記載することがある。すなわ
ち、本発明は、(1)本発明のDNAが不活性化された
非ヒト哺乳動物胚幹細胞、(2)該DNAがレポーター
遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝
子)を導入することにより不活性化された第(1)項記
載の胚幹細胞、(3)ネオマイシン耐性である第(1)
項記載の胚幹細胞、(4)非ヒト哺乳動物がげっ歯動物
である第(1)項記載の胚幹細胞、(5)げっ歯動物が
マウスである第(4)項記載の胚幹細胞、(6)本発明
のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳
動物、(7)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌
由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することに
より不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDN
Aに対するプロモーターの制御下で発現しうる第(6)
項記載の非ヒト哺乳動物、(8)非ヒト哺乳動物がげっ
歯動物である第(6)項記載の非ヒト哺乳動物、(9)
げっ歯動物がマウスである第(8)項記載の非ヒト哺乳
動物、および(10)第(7)項記載の動物に、試験化
合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出すること
を特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性
を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法を提供する。本発明のDNAが不活性化された
非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有す
る本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、
該DNAの発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコ
ードしている本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失
させることにより、DNAが実質的に本発明のタンパク
質の発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトD
NAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞
(以下、ES細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物
としては、前記と同様のものが用いられる。
【0070】本発明のDNAに人為的に変異を加える方
法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA
配列の一部または全部の削除、他DNAを挿入または置
換させることによって行うことができる。これらの変異
により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プ
ロモーターあるいはエクソンの機能を破壊することによ
り本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。本発
明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞
(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明
のノックアウトES細胞と略記する)の具体例として
は、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAを単離し、そのエクソン部分にネオマイシン耐
性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬
剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダー
ゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルト
ランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝
子等を挿入することによりエクソンの機能を破壊する
か、あるいはエクソン間のイントロン部分に遺伝子の転
写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加シグナ
ル等)を挿入し、完全なmRNAを合成できなくするこ
とによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築した
DNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティング
ベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該
動物細胞の染色体に導入し、得られたES細胞について
本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプロ
ーブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいは
ターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッテ
ィングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近
傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により
解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別すること
により得ることができる。
【0071】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
のEvansとKaufmanの方法に準じて新しく樹立したもので
もよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般
的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学
的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で
免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得する等
の目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/
6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善し
たBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2との
1)を用いて樹立したもの等も良好に用いうる。BD
1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であると
いう利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つ
ので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウ
スを作出したとき、C57BL/6マウスと戻し交配
(バッククロス)することでその遺伝的背景をC57B
L/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い
得る。また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後
3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期
胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よ
く多数の初期胚を取得することができる。また、雌雄い
ずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の
方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、
煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌
雄の判別を行うことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定
方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性
決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例と
して挙げることができる。この方法を使用すれば、従
来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要してい
たのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50
個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セ
レクションを雌雄の判別で行うことが可能であり、早期
に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間
は大幅に削減できる。
【0072】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス
培養器内(好ましくは、約5%炭酸ガス、約95%空気
または約5%酸素、約5%炭酸ガス、約90%空気)で
約37℃で培養する等の方法で培養し、継代時には、例
えば、トリプシン/EDTA溶液(通常約0.001−
0.5%トリプシン/約0.1−5mM EDTA、好ま
しくは約0.1%トリプシン/約1mM EDTA)処理
により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に
播種する方法等がとられる。このような継代は、通常1
−3日毎に行うが、この際に細胞の観察を行い、形態的
に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄
することが望まれる。ES細胞は、適当な条件により、
高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形
成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、
心筋等の種々のタイプの細胞に分化させることが可能で
あり〔M. J. EvansおよびM. H. Kaufman, ネイチャー
(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プ
ロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sc
i. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschma
nら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・
エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、
1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発
明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明
のタンパク質の細胞生物学的検討において有用である。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のm
RNA量を公知の方法を用いて測定して間接的にその発
現量を比較することにより、正常動物と区別することが
可能である。該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様の
ものが用いられる。
【0073】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク
質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質の
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本
発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができ
る。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマ
イクロインジェクション法でDNA溶液を注入すること
によりターゲッティングベクターを染色体内に導入した
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、
これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、
遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のある
ものを選択することにより得られる。
【0074】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行うことができる。さらに、生
殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。
すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配
することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に
持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザ
イゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモ
ザイゴート複数になるような状態で飼育することにより
効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌
雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモ
ザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代す
る。本発明のタンパク質のDNAが不活性化された非ヒ
ト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のタンパク質のDNA発
現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用であ
る。また、本発明のタンパク質のDNA発現不全非ヒト
哺乳動物は、本発明のタンパク質により誘導され得る種
々の生物活性を欠失するため、本発明のタンパク質の生
物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得る
ので、これらの疾病の原因究明および治療法の検討に有
用である。本発明のタンパク質はAβ産生に密接に関係
しており、その発現亢進はAβの産生亢進に繋がってい
る。一方、この事実は、正常範囲の発現量の本発明のタ
ンパク質が、βAPPやプレセニリンを含有するγ−セ
クレターゼ複合体の生理的な役割にも関与している可能
性を示唆するものであり、本発明のタンパク質のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物、およびその組織あるいは細胞
は、アルツハイマー病の治療・予防薬の検討に有用であ
る。
【0075】(10a)本発明のDNAの欠損や損傷な
どに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合
物のスクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予
防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることが
できる。すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全
非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を
観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠
損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を
有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供
する。該スクリーニング方法において用いられる本発明
のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様
のものがあげられる。試験化合物としては、例えば、ペ
プチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合
物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽
出液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合
物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。具
体的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、
試験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動
物の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として
試験化合物の治療・予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、例え
ば、経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症
状、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択すること
ができる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試
験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができ
る。該スクリーニング方法において、試験動物に試験化
合物を投与した場合、アルツハイマー病の改善が見られ
た場合、該試験化合物をアルツハイマー病に対して治療
・予防効果を有する化合物として選択することができ
る。
【0076】(10b)本発明のDNAに対するプロモ
ーターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニ
ング方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものがあげられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。本発明
のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本
発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在する
ので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレ
ースすることにより、プロモーターの活性を検出するこ
とができる。例えば、本発明のペプチドをコードするD
NA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺
伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明の
ペプチドの発現する組織で、本発明のペプチドの代わり
にβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、
5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラク
トピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダ
ーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡
便に本発明のペプチドの動物生体内における発現状態を
観察することができる。具体的には、本発明のペプチド
欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドな
どで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄
後、X−galを含む染色液で、室温または37℃付近
で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1
mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、
β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すれ
ばよい。また、常法に従い、lacZをコードするmR
NAを検出してもよい。上記スクリーニング方法を用い
て得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物
から選ばれた化合物であり、本発明のDNAに対するプ
ロモーター活性を促進または阻害する化合物である。本
発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合
物またはその塩は、本発明のペプチドの発現を阻害し、
該ペプチドの機能を阻害することができるので、例えば
アルツハイマー病などの予防・治療剤などの医薬として
有用である。また、本発明のDNAに対する抑制プロモ
ーターのプロモーター活性を促進する化合物またはその
塩は、本発明のペプチドの発現を抑制し、該ペプチドの
機能を抑制することができるので、例えばアルツハイマ
ー病などの予防・治療剤などの医薬として有用である。
【0077】このように、本発明のDNA発現不全非ヒ
ト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモーターの
活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリ
ーニングする上で極めて有用であり、本発明のDNA発
現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療
薬の開発に大きく貢献することができる。また、本発明
のペプチドのプロモーター領域を含有するDNAを使っ
て、その下流に種々のタンパクをコードする遺伝子を連
結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆるトランス
ジェニック動物(遺伝子導入動物)を作出すれば、特異
的にそのペプチドを合成させ、その生体での作用を検討
することも可能となる。さらに上記プロモーター部分に
適当なレポータ遺伝子を結合させ、これが発現するよう
な細胞株を樹立すれば、本発明のペプチドそのものの体
内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を
持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
【0078】本発明のスクリーニング方法で得られた化
合物またはそれから誘導される化合物(以下、本発明の
スクリーニング方法で得られた化合物と略記する場合が
ある)は、塩を形成していてもよく、該化合物の塩とし
ては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)
や塩基(例アルカリ金属)等との塩が用いられ、とりわ
け生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な
塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、
臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、
酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コ
ハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香
酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩等
が用いられる。本発明のスクリーニング方法で得られた
化合物、もしくはそれから誘導される化合物またはその
塩を含有する医薬は、それ自体または適当な医薬組成物
として投与することができる。上記投与に用いられる医
薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得
る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。か
かる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形とし
て提供される。すなわち、例えば、経口投与のための組
成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤
(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆
粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、
シロップ剤、乳剤、懸濁剤等があげられる。かかる組成
物は公知の方法によって製造され、製剤分野において通
常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するも
のである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳
糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウム等が用
いられる。また、例えば非経口投与に適する剤形として
は、注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉注射
剤、腹腔内注射剤など)、外用剤(例、経鼻投与剤、経
皮投与剤、軟膏剤など)、座剤(例、直腸剤、膣座剤な
ど)、徐放剤(例、徐放性マイクロカプセルなど)、ペ
レット、点滴剤などが用いられる。
【0079】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラ
ット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ウマ、ネコ、イヌ、サル等)に対して投与すること
ができる。該化合物またはその塩の投与量は、対象疾
患、投与対象、投与ルート等により差異はあるが、例え
ば、アルツハイマー病の治療目的で該化合物を経口投与
する場合、一般的に成人(体重60kgとして)におい
ては、一日につき該化合物を約0.01〜1000m
g、好ましくは約0.1〜1000mg、さらに好まし
くは約1.0〜200mg、より好ましくは約1.0〜
50mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合
物の1回投与量は投与対象、対象疾患等によっても異な
るが、例えば、アルツハイマー病の治療目的で該化合物
を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する
場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。
【0080】本発明のタンパク質に対するドミナントネ
ガテイブ体または本発明の抗体を含有する上記疾患の治
療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当な剤型
の医薬組成物として、哺乳動物(例、ヒト、ラット、ウ
サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル等)に対
して経口的または非経口的に投与することができる。投
与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルート等によ
っても異なるが、例えば、本発明のドミナントネガテイ
ブ体や抗体を1回量として、通常0.001〜20mg
/kg体重程度、好ましくは0.01〜10mg/kg
体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重
程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程
度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非
経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与
することができる。症状が特に重い場合には、その症状
に応じて増量してもよい。本発明のタンパク質に対する
ドミナントネガテイブ体または本発明の抗体を含有する
医薬は、前記のスクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬と同様にして製造することが
できる。本発明のドミナントネガテイブ体をコードする
DNAまたは本発明のアンチセンスDNAを含有する医
薬の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどに
より差異はあるが、例えば、本発明のアンチセンスDN
Aを吸入剤として気管内に局所投与する場合、一般的に
成人(体重60kg)においては、一日につき該アンチ
センスDNAを約0.1〜100mg投与する。本発明
のドミナントネガテイブ体をコードするDNAまたは本
発明のアンチセンスDNAを含有する医薬は、前記のス
クリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有
する医薬と同様にして製造することができる。
【0081】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸等を略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission o
n Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該
分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下
記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合
は、特に明示しなければL体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0082】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Hse :ホモセリン
【0083】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2−Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0084】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 [配列番号:1]本発明のAβの産生を制御するタンパ
ク質Aのアミノ酸配列を示す。 [配列番号:2]本発明のAβの産生を制御するタンパ
ク質Bのアミノ酸配列を示す。 [配列番号:3]本発明のAβの産生を制御するタンパ
ク質Cのアミノ酸配列を示す。 [配列番号:4]本発明のAβの産生を制御するタンパ
ク質Aの塩基配列を示す。 [配列番号:5]本発明のAβの産生を制御するタンパ
ク質Bの塩基配列を示す。 [配列番号:6]本発明のAβの産生を制御するタンパ
ク質Cの塩基配列を示す。 [配列番号:7]実施例1で用いられたAβのN末端か
らγ−セクレターゼ切断部位を含むAPP細胞膜領域ま
でのAPPフラグメントのN末端にメチオニンを付加し
たC53のアミノ酸配列を示す。 [配列番号:8]実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 [配列番号:9]実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 [配列番号:10]実施例1で用いられたマウスNotch
1の細胞内ドメイン(NICD)のアミノ酸配列を示す。 [配列番号:11]実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 [配列番号:12]実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 [配列番号:13]実施例1で用いられたDNAオリゴ
マーの塩基配列を示す。 [配列番号:14]実施例1で用いられたDNAオリゴ
マーの塩基配列を示す。 [配列番号:15]実施例2記載のHES−1プロモー
ターの塩基配列を示す。 [配列番号:16]実施例6で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 [配列番号:17]実施例6で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 [配列番号:18]Aβ40のアミノ酸配列を示す。 [配列番号:19]Aβ42のアミノ酸配列を示す。 [配列番号:20]Aβ52のアミノ酸配列を示す。 [配列番号:21]全長5−リポキシゲナーゼcDNA
の塩基配列を示す。 [配列番号:22]全長5−リポキシゲナーゼのアミノ
酸配列を示す。 [配列番号:23]実施例7で用いられたPCR産物1
を増幅するためのセンスプライマーの塩基配列を示す。 [配列番号:24]実施例7で用いられたPCR産物1
を増幅するためのアンチセンスプライマーの塩基配列を
示す。 [配列番号:25]実施例7で用いられたPCR産物2
を増幅するためのセンスプライマーの塩基配列を示す。 [配列番号:26]実施例7で用いられたPCR産物1
を増幅するためのアンチセンスプライマーの塩基配列を
示す。
【0085】後述の実施例1で得られたプラスミドをpC
xNC53NICDを保持する形質転換体エシェリヒア・コリ(E
scherichia coli)DH5α/pCxNC53NICDは、2001年7
月26日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第
6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技
術総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号FERM
BP−7676として寄託され、さらに、2001年
6月19日から大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17
番85号(郵便番号532−8686)の財団法人・発
酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16651とし
て寄託されている。後述の実施例2で得られたプラスミ
ドpHESpacを保持する形質転換体エシェリヒア・コリ(E
scherichia coli)DH5α/pHESpacは、2001年7月2
6日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術
総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号FERM
BP−7677として寄託され、さらに、2001年6
月19日から大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番
85号(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵
研究所(IFO)に寄託番号IFO 16652として
寄託されている。
【0086】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
なお、大腸菌を用いての遺伝子操作は、モレキュラー・
クローニング(Molecular cloning)に記載されている
方法に従った。
【0087】実施例1 キメラタンパク質C53NICDをコ
ードするDNAの作製 AβのN末端からγ−セクレターゼ切断部位を含むAP
P細胞膜領域までのAPPフラグメントのN末端にメチ
オニンを付加したC53(配列番号:7)をコードする
DNAをヒトAPP cDNA(Kang J. et al., Natur
e 32, 733-736,1987)を鋳型にPCR法により作製し
た。配列番号:8で示したオリゴDNA(ATCTGGTACCCC
ACCATGGATGCAGAATTCCGACATGAC)をセンス鎖プライマー
として、配列番号:9で表されるオリゴDNA(GCTTCT
AGACAGCATCACCAAGGTGATGACGAT)をアンチセンス鎖プラ
イマーとして用いた。その際、マウスNotch 1の細胞内
ドメイン(NICD)(配列番号:10)をコードするDNA
断片とのキメラDNAを調製するため、5'側に、Kp
nI部位、3'側にXbaI部位を導入した。NICDをコ
ードするDNA断片は、マウスNotch 1 cDNA(Amo FF e
t al.,Genomics 15, 259-264, 1993)を鋳型にPCR法
により以下の方法で調製した。まず、配列番号:11で
示したオリゴDNA(CTGTCTAGAAAGCGCCGGCGCCAGCATGGC
CAG)をセンス鎖プライマー、配列番号:12で表され
るオリゴDNA(ATTGTTCACCGCGGCCGCCCAATG)をアンチ
センス鎖プライマーとしてPCR法を行うことにより、
NICDのN末端からC端側の途中までをコードする短いD
NA断片(928bp)を調製した。この断片は、5'側に人
工的にXbaI部位を付加しており、また、3'側には
マウスNotch 1 cDNA配列由来のNotI部位を含んでい
る。次に、これにC53をコードするDNA断片をXb
aIでつなげ、このキメラDNA断片を、あらかじめK
pnIとNotI部位を導入したpCxN(Niwa H etal.,
Gene 108:193, 1991)に、この部位で挿入した。これに
より、C53およびNICD C端側の途中までをコードを
キメラDNAを含むプラスミド、pCxNC53NICD△Cを調製
した。次に、完全長のNICDをコードするDNA断片を調
製するため、あらかじめクローニングしたNICDコード領
域を含むマウスNotch 1 cDNA Ssp I-Hind III 断片よ
り、NotI−NotI DNA断片を調製し、これをp
CxNC53NICD△CのNotI部位に挿入した。これによ
り、C53NICDをコードするキメラDNAが調製され、こ
のキメラDNAを含むプラスミドをpCxNC53NICDと命名
した。なお、ベクターとして用いたpCxN(Niwa H et a
l., Gene 108:193, 1991)は、β−actinのプロモータ
-、ネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドである
が、pCxNC53NICDを調製するため、pCxNのEcoRI部
位に配列番号:13および配列番号:14のDNAオリ
ゴマー(配列番号13:5'-AATTCGGTACCCCCGGGGCGGCCGC
CTCGAGGA- 3'、配列番号14: 3'-GCCATGGGGGCCCCGCCG
GCGGAGCTCCTTTAA-5')を挿入することにより、新たにK
pnIとNotI部位を導入して使用した。
【0088】実施例2 HES−1をプロモーターとす
るピューロマイシン耐性遺伝子(pac:puromycin-N-acet
yl-transferase gene)の作製 HES1プロモーター(配列番号:15)(Takebayashi
K., et al. J Biol Chem .269(7):5150-6, 1994)は、
マウス染色体を鋳型とし、PCR法でKpnIとHin
dIII部位を付加し増幅し調製した。次に、これを、
ベクターPGV-B(東洋ビーネット株式会社より購入。TOY
O B-Net Co., LTD)のKpnIとHindIII部位に
挿入した。このプラスミドをpGV-B-HES-1と命名した。
一方、ピューロマイシン耐性遺伝子は、pPUR(クローン
テック社)より、制限酵素HindIIIとBamHI
でピューロマイシン耐性遺伝子をコードするDNA断片
を切り出し調製した。このDNA断片をpGV-B-HES-1の
HindIIIとBamHI部位に挿入し、完成したプ
ラスミドをpHESpacと命名した。
【0089】実施例3 ピューロマイシン耐性遺伝子お
よびC53NICDcDNA(およびヒトヒトプレセニリン1cD
NA)を恒常的に発現する細胞株:A5-9細胞(およびA5
-9-PS1)の樹立 マウスpro-B細胞由来の細胞株、BaF/3細胞(Palacios,
R., et al., Cell 41:727, 1985)に上記の構築したプ
ラスミドをエレクトロポレーション法により遺伝子導入
した。細胞はネオマイシンおよびピューロマイシン耐性
を指標に選択した。得られた形質変換体をA5-9細胞と命
名した。さらに、A5-9細胞にヒトプレセニリン1cDN
Aを導入した。ヒトプレセニリン1cDNAは、ヒト脳
より調製したcDNAよりPCR法で調製し(Sudoh,
S. et al., J. Neurochem. 71:1535, 1998)、SRαプ
ロモーター(Takebe,Y., Mol. Cell. Biol. 8:466, 198
8)とハイグロマイシン耐性遺伝子をもつベクターに挿
入したのち、エレクトロポレーション法によりA5-9細胞
に遺伝子導入した。細胞はハイグロマイシン耐性を指標
に選択した。得られた形質変換体をA5-9-PS1細胞と命名
した。
【0090】実施例4 ヒトcDNAライブラリーの作
製とA5-9あるいはA5-9-PS1細胞へのトランスフェクショ
ン ヒトcDNAライブラリーは、ヒト海馬由来のmRNA
(クローンテック社)より、ギブコ社から市販されてい
るcDNA合成キット(SuperScriptTM Choicesystem)
を用いてcDNAを合成し調製した。得られたcDNA
は、BstX Iアダプター(インビトロゲン社)を付け、
レトロウイルスベクター、pMX(Onishi,M. et al., Ex
p. Hematol. 24:324, 1996)のBstXI部位に導入した。
このライブラリーをパッケージング細胞 Phnenix-Eco
細胞にトランスフェクトし、ヒトcDNAライブラリー
を含むウイルスを産生させた(Xu X. et al., Nature G
enetics. 27:23-29, 2001; Hitoshi Y. et al., Immuni
ty. 8:461-471, 1998 )。このウイルスを既に報告され
ている方法にしたがい(Kitamura, K. et al., Proc.Na
tl. Acad. Sci., 92:9146, 1995)A5-9細胞あるいはA5-
9-PS1細胞(それぞれ4X106細胞数)に感染させた。感染
効率は、GFPをコードするcDNAを同時に感染させ
て、GFPを発現している細胞の蛍光で解析した結果、
ほぼ25%であった。
【0091】実施例5 Aβ産生を上げる細胞の選択 上記実施例4記載の、レトロウイルスによる感染により
ヒト海馬cDNAライブラリーを遺伝子導入されたA5-9
細胞あるいはA5-9-PS1細胞を、高濃度のピューロマイシ
ン(A5-9細胞, 25μg/ml;A5-9-PS1細胞, 9μg/ml)存在
下で培養することにより、ピューロマイシン耐性能を獲
得した細胞を選択した。用いたピューロマイシン濃度
は、親株であるA5-9細胞およびA5-9-PS1細胞が死滅する
ピューロマイシン最低濃度が、それぞれ20μg/ml およ
び5μg/mlであることから決定した。次に、それらの細
胞が産生するAβを、高感度ウエスタンブロッティング
法(IdaN. et al., J. Biol. Chem. 271:22908, 1996)を
用いて測定した。即ち、Aβの検出は、3日間の培養
(初期細胞濃度2X105細胞/ml、3ml培地)で培地に分泌
されるAβを抗Aβモノクローナル抗体6E10で免疫沈降
し、その沈降物を抗Aβ抗体を用いる高感度ウエスタン
ブロッティング法で検出した。Aβ産生量の比較は、ウ
エスタンブロッティング法で検出されるAβのバンドの
強度を親株の産生するAβ量と比較して判定した。結果
を表1に示す。PS1を過剰発現していないA5-9細胞で
は、16クローンのピューロマイシン耐性細胞が、ま
た、PS1を過剰発現しているA5-9-PS1細胞では、2回
のトランスフェクションの結果、合計約60クローンの
ピューロマイシン耐性細胞が得られた。それらのうち、
A5-9細胞では5クローンが、A5-9-PS1では、25クロー
ンがAβ40の産生を上げていることがわかった(表
1)。
【0092】実施例6 Aβ産生を上げるcDNAの同
定 上記実施例5で選択されたAβ産生をあげるクローンか
ら、ヒト海馬由来cDNAをウイルスベクター、pMXの
部位をプライマー(センス鎖プライマー、配列番号:1
6;GGTGGACCATCCTCTAGACTG;アンチセンス鎖プライマ
ー、配列番号:17;GTTACTTAAGCTAGCTTGCC)としてP
CR法により同定した。) PCR法により得られたcD
NAを、ベクターpcDNA3(インビトロゲン社)につな
ぎ、APPおよびPS1を過剰発現させたHEK293細
胞(Tomita S., et al., J. Biol. Chem. 273: 19304-1
9310, 1998; Tomita S., et al., J. Biol. Chem. 275:
13056-13060, 2000)4×105細胞にトランスフェク
トした。1日後に、新しい培地に変え、24時間培養し
たのち、培地中に分泌されたAβ量を、ELISA法
(Asami-Odaka, A. et al., 34:10272, 1995)で測定し
た。これまでに3種類のヒト海馬由来cDNAがAβ産
生量を高めることを見出した(表2)。その一つは、Ge
nbankに登録されているヒトcDNA(accession No. A
AH06223)と同一のものであった。以下、本発明ではこ
のcDNAを遺伝子A(配列番号:4)とし、そのコー
ドするタンパク質をタンパク質A(配列番号:1)とす
る。遺伝子Aは機能不明なタンパク質をコードするマウ
スcDNAとしてGenbankに登録されているcDNA(a
ccession No. AK003241)と極めて高い相同性を示し
た。さらに、遺伝子Aはニワトリからsyndecan-4と結合
するタンパク質として酵母two-hybrid法によって同定さ
れたSyndesmos(Baciu P.C., et al. J. Cell Science
113, 315, 2000; accession no. AF095446)とも高い相
同性を示した。他のAβ産生を制御する遺伝子として見
出されたものは、小胞体に局在し、小胞体ストレスでそ
の発現が誘導されるが機能の不明なタンパク質であるHe
rp((Kokame K. etal. J. Biol. Chem. 275: 3286, 20
00; accession no. AB034989)(cDNA:配列番号:
5、タンパク質:配列番号:2)であった。さらに、他
のAβ産生を制御する遺伝子として見出されたものは、
5−リポキシゲナーゼ(accessionno. XM 005818)のN末
端1から389個の途中配列を含むcDNA(cDN
A:配列番号:6、タンパク質:配列番号:3)であっ
た。これらの結果から、上記3種類の遺伝子およびその
産物は、アルツハイマー病の発症あるいは進展に関与す
ると考えられる。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】実施例7 また、実施例6のスクリーニングによって得られた5−
リポシゲナーゼの部分cDNA配列(配列番号:6)に
ついても、全長5−リポシゲナーゼ(cDNAを配列番
号:21で、アミノ酸配列を配列番号:22で示す)を
実施例4記載のヒト海馬由来のcDNAライブラリーよ
り下記のようにPCR法により調製した。すなわち、P
CR産物1(EcoRI部位を付加したセンスプライマ
ー CGGAATTCCGCGCCATGCCCTCCTACACG(配列番号:2
3);アンチセンスプライマー CCCCGCATGCCGTACACGTA
GACA(配列番号:24))とPCR産物2(SalI部
位を付加したセンスプライマー TGTCTACGTGTACGGCATGC
GGGG(配列番号:25);アンチセンスプライマー GCG
TCGACCTGGCTGGGGCAGCTGGCCTTCCC(配列番号:26))
をそれぞれヒト海馬由来のcDNAライブラリーを鋳型
としてPCR法により増幅した。PCRにより得られた
二つのPCR産物をSphI部位でのライゲーションに
より全長5−リポシゲナーゼcDNAを調製した。この
全長5−リポキシゲナーゼcDNAを用いてAβの産生
への影響を解析した。この結果を表3に示した。表3に
おいてコントロール(対照)は、ウイルスベクター(p
MX:実施例4記載)だけをトランスフェクトさせた細
胞を示している。不死化したマウス線維芽細胞2×10
5をヒトAPP cDNAとともに、上記cDNAをレト
ロウイルスによる感染により細胞内にトランスフェクト
させ(実施例4記載)、1日後に新しい培地に変え、4
日間の培地中に分泌されたAβ量を、ELISA法で測
定した。Aβ産生増加率は、対照と比べての増加率で示
した。値は、3サンプルの平均値を示した。
【0096】
【表3】
【0097】
【発明の効果】本発明によって、Aβの産生を制御する
遺伝子のスクリーニング方法が提供され、アルツハイマ
ー病関連遺伝子あるいはアルツハイマー病関連候補遺伝
子が提供される。それらの遺伝子、それらの遺伝子と特
異的にハイブリダイズするヌクレオチド、それらの遺伝
子を含有する組換えベクターによる形質変換体、それら
のcDNAがコードするタンパク質、あるいは該タンパ
ク質に対する抗体を用いたアルツハイマー病の診断方
法、治療方法および予防方法が提供される。さらに、そ
れらの遺伝子、それらの遺伝子と特異的にハイブリダイ
ズするヌクレオチド、それらの遺伝子を含有する組換え
ベクターによる形質変換体、それらのcDNAがコード
するタンパク質、あるいは該タンパク質に対する抗体を
用いたAβ産生阻害剤のスクリーニング方法、そのスク
リーニング法より得られたAβ産生阻害剤、さらにその
Aβ産生阻害剤を用いたアルツハイマー病の診断方法、
治療方法および予防方法が提供される。
【0098】
【配列表】 [Sequence Listing] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> A Method For Screening A Gene Related To Alzheimer's Disease <130> P01-0277A <150> JP 2001-266510 <151> 2001-07-31 <150> JP 2002-25878 <151> 2002-02-01 <160> 26 <210> 1 <211> 211 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Ser Thr Ala Ala Val Pro Glu Leu Lys Gln Ile Ser Arg Val Glu 1 5 10 15 Ala Met Arg Leu Gly Pro Gly Trp Ser His Ser Cys His Ala Met Leu 20 25 30 Tyr Ala Ala Asn Pro Gly Gln Leu Phe Gly Arg Ile Pro Met Arg Phe 35 40 45 Ser Val Leu Met Gln Met Arg Phe Asp Gly Leu Leu Gly Phe Pro Gly 50 55 60 Gly Phe Val Asp Arg Arg Phe Trp Ser Leu Glu Asp Gly Leu Asn Arg 65 70 75 80 Val Leu Gly Leu Gly Leu Gly Cys Leu Arg Leu Thr Glu Ala Asp Tyr 85 90 95 Leu Ser Ser His Leu Thr Glu Gly Pro His Arg Val Val Ala His Leu 100 105 110 Tyr Ala Arg Gln Leu Thr Leu Glu Gln Leu His Ala Val Glu Ile Ser 115 120 125 Ala Val His Ser Arg Asp His Gly Leu Glu Val Leu Gly Leu Val Arg 130 135 140 Val Pro Leu Tyr Thr Gln Lys Asp Arg Val Gly Gly Phe Pro Asn Phe 145 150 155 160 Leu Ser Asn Ala Phe Val Ser Thr Ala Lys Cys Gln Leu Leu Phe Ala 165 170 175 Leu Lys Val Leu Asn Met Met Pro Glu Glu Lys Leu Val Glu Ala Leu 180 185 190 Ala Ala Ala Thr Glu Lys Gln Lys Lys Ala Leu Glu Lys Leu Leu Pro 195 200 205 Ala Ser Ser 210 <210> 2 <211> 391 <212> PRT <213> Human <400> 2 Met Glu Ser Glu Thr Glu Pro Glu Pro Val Thr Leu Leu Val Lys Ser 1 5 10 15 Pro Asn Gln Arg His Arg Asp Leu Glu Leu Ser Gly Asp Arg Gly Trp 20 25 30 Ser Val Gly His Leu Lys Ala His Leu Ser Arg Val Tyr Pro Glu Arg 35 40 45 Pro Arg Pro Glu Asp Gln Arg Leu Ile Tyr Ser Gly Lys Leu Leu Leu 50 55 60 Asp His Gln Cys Leu Arg Asp Leu Leu Pro Lys Gln Glu Lys Arg His 65 70 75 80 Val Leu His Leu Val Cys Asn Val Lys Ser Pro Ser Lys Met Pro Glu 85 90 95 Ile Asn Ala Lys Val Ala Glu Ser Thr Glu Glu Pro Ala Gly Ser Asn 100 105 110 Arg Gly Gln Tyr Pro Glu Asp Ser Ser Ser Asp Gly Leu Arg Gln Arg 115 120 125 Glu Val Leu Arg Asn Leu Ser Ser Pro Gly Trp Glu Asn Ile Ser Arg 130 135 140 Pro Glu Ala Ala Gln Gln Ala Phe Gln Gly Leu Gly Pro Gly Phe Ser 145 150 155 160 Gly Tyr Thr Pro Tyr Gly Trp Leu Gln Leu Ser Trp Phe Gln Gln Ile 165 170 175 Tyr Ala Arg Gln Tyr Tyr Met Gln Tyr Leu Ala Ala Thr Ala Ala Ser 180 185 190 Gly Ala Phe Val Pro Pro Pro Ser Ala Gln Glu Ile Pro Val Val Ser 195 200 205 Ala Pro Ala Pro Ala Pro Ile His Asn Gln Phe Pro Ala Glu Asn Gln 210 215 220 Pro Ala Asn Gln Asn Ala Ala Pro Gln Val Val Val Asn Pro Gly Ala 225 230 235 240 Asn Gln Asn Leu Arg Met Asn Ala Gln Gly Gly Pro Ile Val Glu Glu 245 250 255 Asp Asp Glu Ile Asn Arg Asp Trp Leu Asp Trp Thr Tyr Ser Ala Ala 260 265 270 Thr Phe Ser Val Phe Leu Ser Ile Leu Tyr Phe Tyr Ser Ser Leu Ser 275 280 285 Arg Phe Leu Met Val Met Gly Ala Thr Val Val Met Tyr Leu His His 290 295 300 Val Gly Trp Phe Pro Phe Arg Pro Arg Pro Val Gln Asn Phe Pro Asn 305 310 315 320 Asp Gly Pro Pro Pro Asp Val Val Asn Gln Asp Pro Asn Asn Asn Leu 325 330 335 Gln Glu Gly Thr Asp Pro Glu Thr Glu Asp Pro Asn His Leu Pro Pro 340 345 350 Asp Arg Asp Val Leu Asp Gly Glu Gln Thr Ser Pro Ser Phe Met Ser 355 360 365 Thr Ala Trp Leu Val Phe Lys Thr Phe Phe Ala Ser Leu Leu Pro Glu 370 375 380 Gly Pro Pro Ala Ile Ala Asn 385 390 <210> 3 <211> 389 <212> PRT <213> Human <400> 3 Met Pro Ser Tyr Thr Val Thr Val Ala Thr Gly Ser Gln Trp Phe Ala 1 5 10 15 Gly Thr Asp Asp Tyr Ile Tyr Leu Ser Leu Val Gly Ser Ala Gly Cys 20 25 30 Ser Glu Lys His Leu Leu Asp Lys Pro Phe Tyr Asn Asp Phe Glu Arg 35 40 45 Gly Ala Val Asp Ser Tyr Asp Val Thr Val Asp Glu Glu Leu Gly Glu 50 55 60 Ile Gln Leu Val Arg Ile Glu Lys Arg Lys Tyr Trp Leu Asn Asp Asp 65 70 75 80 Trp Tyr Leu Lys Tyr Ile Thr Leu Lys Thr Pro His Gly Asp Tyr Ile 85 90 95 Glu Phe Pro Cys Tyr Arg Trp Ile Thr Gly Asp Val Glu Val Val Leu 100 105 110 Arg Asp Gly Arg Ala Lys Leu Ala Arg Asp Asp Gln Ile His Ile Leu 115 120 125 Lys Gln His Arg Arg Lys Glu Leu Glu Thr Arg Gln Lys Gln Tyr Arg 130 135 140 Trp Met Glu Trp Asn Pro Gly Phe Pro Leu Ser Ile Asp Ala Lys Cys 145 150 155 160 His Lys Asp Leu Pro Arg Asp Ile Gln Phe Asp Ser Glu Lys Gly Val 165 170 175 Asp Phe Val Leu Asn Tyr Ser Lys Ala Met Glu Asn Leu Phe Ile Asn 180 185 190 Arg Phe Met His Met Phe Gln Ser Ser Trp Asn Asp Phe Ala Asp Phe 195 200 205 Glu Lys Ile Phe Val Lys Ile Ser Asn Thr Ile Ser Glu Arg Val Met 210 215 220 Asn His Trp Gln Glu Asp Leu Met Phe Gly Tyr Gln Phe Leu Asn Gly 225 230 235 240 Cys Asn Pro Val Leu Ile Arg Arg Cys Thr Glu Leu Pro Glu Lys Leu 245 250 255 Pro Val Thr Thr Glu Met Val Glu Cys Ser Leu Glu Arg Gln Leu Ser 260 265 270 Leu Glu Gln Glu Val Gln Gln Gly Asn Ile Phe Ile Val Asp Phe Glu 275 280 285 Leu Leu Asp Gly Ile Asp Ala Asn Lys Thr Asp Pro Cys Thr Leu Gln 290 295 300 Phe Leu Ala Ala Pro Ile Cys Leu Leu Tyr Lys Asn Leu Ala Asn Lys 305 310 315 320 Ile Val Pro Ile Ala Ile Gln Leu Asn Gln Ile Pro Gly Asp Glu Asn 325 330 335 Pro Ile Phe Leu Pro Ser Asp Ala Lys Tyr Asp Trp Leu Leu Ala Lys 340 345 350 Ile Trp Val Arg Ser Ser Asp Phe His Val His Gln Thr Ile Thr His 355 360 365 Leu Leu Arg Thr His Leu Val Ser Glu Val Phe Gly Ile Ala Met Tyr 370 375 380 Arg Gln Leu Pro Ala <210> 4 <211> 633 <212> DNA <213> Human <400> 4 atgtcgacgg cggcggttcc ggagctgaag cagatcagcc gggtggaggc gatgcgccta 60 gggccgggct ggagccactc gtgccacgcc atgctgtacg ccgccaaccc tgggcagctc 120 ttcggccgca tccccatgcg cttctcggtg ctgatgcaga tgcgtttcga cgggctgctg 180 ggcttccccg ggggcttcgt ggaccggcgc ttctggtcgc tggaggacgg cctgaaccgg 240 gtgctgggcc tgggcctggg ctgcctgcgc ctcaccgagg ccgactacct gagctcgcac 300 ctgaccgagg gcccacaccg cgtcgtggcg cacctgtacg cgcggcagct gacgctggag 360 cagctgcacg ccgtggagat cagcgcggtg cactcgcgcg accacggcct ggaggtgctg 420 ggcctcgtgc gggtcccgct gtacacccag aaggaccgag tcggaggctt ccccaacttc 480 ctgagcaacg ccttcgtgag cacggctaag tgccagctcc tctttgccct caaggtgctc 540 aacatgatgc ccgaggagaa gctggttgag gccctggctg cagccaccga gaagcagaag 600 aaggccctgg agaagttgct cccggcctcc tct 633 <210> 5 <211> 1173 <212> DNA <213> Human <400> 5 atggagtccg agaccgaacc cgagcccgtc acgctcctgg tgaagagccc caaccagcgc 60 caccgcgact tggagctgag tggcgaccgc ggctggagtg tgggccacct caaggcccac 120 ctgagccgcg tctaccccga gcgtccgcgt ccagaggacc agaggttaat ttattctggg 180 aagctgttgt tggatcacca atgtctcagg gacttgcttc caaagcagga aaaacggcat 240 gttttgcatc tggtgtgcaa tgtgaagagt ccttcaaaaa tgccagaaat caacgccaag 300 gtggctgaat ccacagagga gcctgctggt tctaatcggg gacagtatcc tgaggattcc 360 tcaagtgatg gtttaaggca aagggaagtt cttcggaacc tttcttcccc tggatgggaa 420 aacatctcaa ggcctgaagc tgcccagcag gcattccaag gcctgggtcc tggtttctcc 480 ggttacacac cctatgggtg gcttcagctt tcctggttcc agcagatata tgcacgacag 540 tactacatgc aatatttagc agccactgct gcatcagggg cttttgttcc accaccaagt 600 gcacaagaga tacctgtggt ctctgcacct gctccagccc ctattcacaa ccagtttcca 660 gctgaaaacc agcctgccaa tcagaatgct gctcctcaag tggttgttaa tcctggagcc 720 aatcaaaatt tgcggatgaa tgcacaaggt ggccctattg tggaagaaga tgatgaaata 780 aatcgagatt ggttggattg gacctattca gcagctacat tttctgtttt tctcagtatc 840 ctctacttct actcctccct gagcagattc ctcatggtca tgggggccac cgttgttatg 900 tacctgcatc acgttgggtg gtttccattt agaccgaggc cggttcagaa cttcccaaat 960 gatggtcctc ctcctgacgt tgtaaatcag gaccccaaca ataacttaca ggaaggcact 1020 gatcctgaaa ctgaagaccc caaccacctc cctccagaca gggatgtact agatggcgag 1080 cagaccagcc cctcctttat gagcacagca tggcttgtct tcaagacttt ctttgcctct 1140 cttcttccag aaggcccccc agccatcgca aac 1173 <210> 6 <211> 1167 <212> DNA <213> Human <400> 6 atgccctcct acacggtcac cgtggccact ggcagccagt ggttcgccgg cactgacgac 60 tacatctacc tcagcctcgt gggctcggcg ggctgcagcg agaagcacct gctggacaag 120 cccttctaca acgacttcga gcgtggcgcg gtggattcat acgacgtgac tgtggacgag 180 gaactgggcg agatccagct ggtcagaatc gagaagcgca agtactggct gaatgacgac 240 tggtacctga agtacatcac gctgaagacg ccccacgggg actacatcga gttcccctgc 300 taccgctgga tcaccggcga tgtcgaggtt gtcctgaggg atggacgcgc aaagttggcc 360 cgagatgacc aaattcacat tctcaagcaa caccgacgta aagaactgga aacacggcaa 420 aaacaatatc gatggatgga gtggaaccct ggcttcccct tgagcatcga tgccaaatgc 480 cacaaggatt taccccgtga tatccagttt gatagtgaaa aaggagtgga ctttgttctg 540 aattactcca aagcgatgga gaacctgttc atcaaccgct tcatgcacat gttccagtct 600 tcttggaatg acttcgccga ctttgagaaa atctttgtca agatcagcaa cactatttct 660 gagcgggtca tgaatcactg gcaggaagac ctgatgtttg gctaccagtt cctgaatggc 720 tgcaaccctg tgttgatccg gcgctgcaca gagctgcccg agaagctccc ggtgaccacg 780 gagatggtag agtgcagcct ggagcggcag ctcagcttgg agcaggaggt ccagcaaggg 840 aacattttca tcgtggactt tgagctgctg gatggcatcg atgccaacaa aacagacccc 900 tgcacactcc agttcctggc cgctcccatc tgcttgctgt ataagaacct ggccaacaag 960 attgtcccca ttgccatcca gctcaaccaa atcccgggag atgagaaccc tattttcctc 1020 ccttcggatg caaaatacga ctggcttttg gccaaaatct gggtgcgttc cagtgacttc 1080 cacgtccacc agaccatcac ccaccttctg cgaacacatc tggtgtctga ggtttttggc 1140 attgcaatgt accgccagct gcctgct 1167 <210> 7 <211> 53 <212> PRT <213> Human <400> 7 Met Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val His His Gln 1 5 10 15 Lys Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys Gly Ala Ile 20 25 30 Ile Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val Ile Ala Thr Val Ile Val Ile 35 40 45 Thr Leu Val Met Leu 50 <210> 8 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 8 atctggtacc ccaccatgga tgcagaattc cgacatgac 39 <210> 9 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 9 gcttctagac agcatcacca aggtgatgac gat 33 <210> 10 <211> 786 <212> PRT <213> Human <400> 10 Leu Ser Arg Lys Arg Arg Arg Gln His Gly Gln Leu Trp Phe Pro Glu 1 5 10 15 Gly Phe Lys Val Ser Glu Ala Ser Lys Lys Lys Arg Arg Glu Pro Leu 20 25 30 Gly Glu Asp Ser Val Gly Leu Lys Pro Leu Lys Asn Ala Ser Asp Gly 35 40 45 Ala Leu Met Asp Asp Asn Gln Asn Glu Trp Gly Asp Glu Asp Leu Glu 50 55 60 Thr Lys Lys Phe Arg Phe Glu Glu Pro Val Val Leu Pro Asp Leu Ser 65 70 75 80 Asp Gln Thr Asp His Arg Gln Trp Thr Gln Gln His Leu Asp Ala Ala 85 90 95 Asp Leu Arg Met Ser Ala Met Ala Pro Thr Pro Pro Gln Gly Glu Val 100 105 110 Asp Ala Asp Cys Met Asp Val Asn Val Arg Gly Pro Asp Gly Phe Thr 115 120 125 Pro Leu Met Ile Ala Ser Cys Ser Gly Gly Gly Leu Glu Thr Gly Asn 130 135 140 Ser Glu Glu Glu Glu Asp Ala Pro Ala Val Ile Ser Asp Phe Ile Tyr 145 150 155 160 Gln Gly Ala Ser Leu His Asn Gln Thr Asp Arg Thr Gly Glu Thr Ala 165 170 175 Leu His Leu Ala Ala Arg Tyr Ser Arg Ser Asp Arg Arg Lys Arg Leu 180 185 190 Glu Ala Ser Ala Asp Ala Asn Ile Gln Asp Asn Met Gly Arg Thr Pro 195 200 205 Leu His Ala Ala Val Ser Ala Asp Ala Gln Gly Val Phe Gln Ile Leu 210 215 220 Leu Arg Asn Arg Ala Thr Asp Leu Asp Ala Arg Met His Asp Gly Thr 225 230 235 240 Thr Pro Leu Ile Leu Ala Ala Arg Leu Ala Val Glu Gly Met Leu Glu 245 250 255 Asp Leu Ile Asn Ser His Ala Asp Val Asn Ala Val Asp Asp Leu Gly 260 265 270 Lys Ser Ala Leu His Trp Ala Ala Ala Val Asn Asn Val Asp Ala Ala 275 280 285 Val Val Leu Leu Lys Asn Gly Ala Asn Lys Asp Ile Glu Asn Asn Lys 290 295 300 Glu Glu Thr Ser Leu Phe Leu Ser Ile Arg Arg Glu Ser Tyr Glu Thr 305 310 315 320 Ala Lys Val Leu Leu Asp His Phe Ala Asn Arg Asp Ile Thr Asp His 325 330 335 Met Asp Arg Leu Pro Arg Asp Ile Ala Gln Glu Arg Met His His Asp 340 345 350 Ile Val Arg Leu Leu Asp Glu Tyr Asn Leu Val Arg Ser Pro Gln Leu 355 360 365 His Gly Thr Ala Leu Gly Gly Thr Pro Thr Leu Ser Pro Thr Leu Cys 370 375 380 Ser Pro Asn Gly Tyr Pro Gly Asn Leu Lys Ser Ala Thr Gln Gly Lys 385 390 395 400 Lys Ala Arg Lys Pro Ser Thr Lys Gly Leu Ala Cys Gly Ser Lys Glu 405 410 415 Ala Lys Asp Leu Lys Ala Arg Arg Lys Ser Ser Gln Asp Gly Lys Gly 420 425 430 Trp Leu Leu Asp Ser Ser Ser Ser Met Leu Ser Pro Val Asp Ser Leu 435 440 445 Glu Ser Pro His Gly Tyr Leu Ser Asp Val Ala Ser His Pro Leu Leu 450 455 460 Pro Ser Pro Phe Gln Gln Ser Pro Ser Met Pro Leu Ser His Leu Pro 465 470 475 480 Gly Met Pro Asp Thr His Leu Gly Ile Ser His Leu Asn Val Ala Ala 485 490 495 Lys Pro Glu Met Ala Ala Leu Ala Gly Gly Ser Arg Leu Ala Phe Glu 500 505 510 His Pro Pro Pro Arg Leu Ser His Leu Pro Val Ala Ser Ser Ala Cys 515 520 525 Thr Val Leu Ser Thr Asn Gly Thr Gly Ala Met Asn Phe Thr Val Gly 530 535 540 Ala Pro Ala Ser Leu Asn Gly Gln Cys Glu Trp Leu Pro Arg Leu Gln 545 550 555 560 Asn Gly Met Val Pro Ser Gln Tyr Asn Pro Leu Arg Pro Gly Val Thr 565 570 575 Pro Gly Thr Leu Ser Thr Gln Ala Ala Gly Leu Gln His Ser Met Met 580 585 590 Gly Pro Leu His Ser Ser Leu Ser Thr Asn Thr Leu Ser Pro Ile Ile 595 600 605 Tyr Gln Gly Leu Pro Asn Thr Arg Leu Ala Thr Gln Pro His Leu Val 610 615 620 Gln Thr Gln Gln Val Gln Pro Gln Asn Leu Pro Leu Gln Pro Gln Asn 625 630 635 640 Leu Gln Pro Pro Ser Gln Pro His Leu Ser Val Ser Ser Ala Ala Asn 645 650 655 Gly His Leu Gly Arg Ser Phe Leu Ser Gly Glu Pro Ser Gln Ala Asp 660 665 670 Val Gln Pro Leu Gly Pro Ser Ser Leu Pro Val His Thr Ile Leu Pro 675 680 685 Gln Glu Ser Gln Ala Leu Pro Thr Ser Leu Pro Ser Ser Met Val Pro 690 695 700 Pro Met Thr Thr Thr Gln Phe Leu Thr Pro Pro Ser Gln His Ser Tyr 705 710 715 720 Ser Ser Ser Pro Val Asp Asn Thr Pro Ser His Gln Leu Gln Val Pro 725 730 735 Glu Pro Thr Phe Leu Thr Pro Ser Pro Glu Ser Pro Asp Gln Trp Ser 740 745 750 Ser Ser Ser Pro His Ser Asn Ile Ser Asp Trp Ser Glu Gly Ile Ser 755 760 765 Ser Pro Pro Thr Thr Met Pro Ser Gln Ile Thr His Ile Pro Glu Ala 770 775 780 Phe Lys 785 <210> 11 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 11 ctgtctagaa agcgccggcg ccagcatggc cag 33 <210> 12 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 12 attgttcacc gcggccgccc aatg 24 <210> 13 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 13 aattcggtac ccccggggcg gccgcctcga gga 33 <210> 14 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 14 gccatggggg ccccgccggc ggagctcctt taa 33 <210> 15 <211> 354 <212> DNA <213> Human <400> 15 ctcaggcgcg cgccattggc cgccagacct tgtgcctagc ggccaatggg ggggcgcagt 60 ccacgagcgg tgccgcgtgt ctcttcctcc cattggctga aagttactgt gggaaagaaa 120 gtttgggaag tttcacacga gccgttcgcg tgcagtccca gatatatata gaggccgcca 180 gggcctgcgg atcacacagg atctggagct ggtgctgata acagcggaat cccctgtcta 240 cctctctcct tggtcctgga atagtgctac cgatcactaa gtagccctaa gacataataa 300 accttcaact gctcagtagt ttttcttatg aaagtcaagt aaaaggacgt aagc 354 <210> 16 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 16 ggtggaccat cctctagact g 21 <210> 17 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 17 gttacttaag ctagcttgcc 20 <210> 18 <211> 40 <212> PRT <213> Human <400> 18 Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val His His Gln Lys 1 5 10 15 Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys Gly Ala Ile Ile 20 25 30 Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val 35 40 <210> 19 <211> 42 <212> PRT <213> Human <400> 19 Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val His His Gln Lys 1 5 10 15 Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys Gly Ala Ile Ile 20 25 30 Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val Ile Ala 35 40 <210> 20 <211> 52 <212> PRT <213> Human <400> 20 Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val His His Gln Lys 1 5 10 15 Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys Gly Ala Ile Ile 20 25 30 Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val Ile Ala Thr Val Ile Val Ile Thr 35 40 45 Leu Val Met Leu 50 <210> 21 <211> 2076 <212> DNA <213> Human <400> 21 cgcgccatgc cctcctacac ggtcaccgtg gccactggca gccagtggtt cgccggcact 60 gacgactaca tctacctcag cctcgtgggc tcggcgggct gcagcgagaa gcacctgctg 120 gacaagccct tctacaacga cttcgagcgt ggcgcggtgg attcatacga cgtgactgtg 180 gacgaggaac tgggcgagat ccagctggtc agaatcgaga agcgcaagta ctggctgaat 240 gacgactggt acctgaagta catcacgctg aagacgcccc acggggacta catcgagttc 300 ccctgctacc gctggatcac cggcgatgtc gaggttgtcc tgagggatgg acgcgcaaag 360 ttggcccgag atgaccaaat tcacattctc aagcaacacc gacgtaaaga actggaaaca 420 cggcaaaaac aatatcgatg gatggagtgg aaccctggct tccccttgag catcgatgcc 480 aaatgccaca aggatttacc ccgtgatatc cagtttgata gtgaaaaagg agtggacttt 540 gttctgaatt actccaaagc gatggagaac ctgttcatca accgcttcat gcacatgttc 600 cagtcttctt ggaatgactt cgccgacttt gagaaaatct ttgtcaagat cagcaacact 660 atttctgagc gggtcatgaa tcactggcag gaagacctga tgtttggcta ccagttcctg 720 aatggctgca accctgtgtt gatccggcgc tgcacagagc tgcccgagaa gctcccggtg 780 accacggaga tggtagagtg cagcctggag cggcagctca gcttggagca ggaggtccag 840 caagggaaca ttttcatcgt ggactttgag ctgctggatg gcatcgatgc caacaaaaca 900 gacccctgca cactccagtt cctggccgct cccatctgct tgctgtataa gaacctggcc 960 aacaagattg tccccattgc catccagctc aaccaaatcc cgggagatga gaaccctatt 1020 ttcctccctt cggatgcaaa atacgactgg cttttggcca aaatctgggt gcgttccagt 1080 gacttccacg tccaccagac catcacccac cttctgcgaa cacatctggt gtctgaggtt 1140 tttggcattg caatgtaccg ccagctgcct gctgtgcacc ccattttcaa gctgctggtg 1200 gcacacgtga gattcaccat tgcaatcaac accaaggccc gtgagcagct catctgcgag 1260 tgtggcctct ttgacaaggc caacgccaca gggggcggtg ggcacgtgca gatggtgcag 1320 agggccatga aggacctgac ctatgcctcc ctgtgctttc ccgaggccat caaggcccgg 1380 ggcatggaga gcaaagaaga catcccctac tacttctacc gggacgacgg gctcctggtg 1440 tgggaagcca tcaggacgtt cacggccgag gtggtagaca tctactacga gggcgaccag 1500 gtggtggagg aggacccgga gctgcaggac ttcgtgaacg atgtctacgt gtacggcatg 1560 cggggccgca agtcctcagg cttccccaag tcggtcaaga gccgggagca gctgtcggag 1620 tacctgaccg tggtgatctt caccgcctcc gcccagcacg ccgcggtcaa cttcggccag 1680 tacgactggt gctcctggat ccccaatgcg cccccaacca tgcgagcccc gccaccgact 1740 gccaagggcg tggtgaccat tgagcagatc gtggacacgc tgcccgaccg cggccgctcc 1800 tgctggcatc tgggtgcagt gtgggcgctg agccagttcc aggaaaacga gctgttcctg 1860 ggcatgtacc cagaagagca ttttatcgag aagcctgtga aggaagccat ggcccgattc 1920 cgcaagaacc tcgaggccat tgtcagcgtg attgctgagc gcaacaagaa gaagcagctg 1980 ccatattact acttgtcccc agaccggatt ccgaacagtg tggccatctg agcacactgc 2040 cagtctcact gtgggaaggc cagctgcccc agccag 2076 <210> 22 <211> 673 <212> PRT <213> Human <400> 22 Met Pro Ser Tyr Thr Val Thr Val Ala thr Gly Ser Gln Trp Phe Ala 1 5 10 15 Gly Thr Asp Asp Tyr Ile Tyr Leu Ser Leu Val Gly Ser Ala Gly Cys 20 25 30 Ser Glu Lys His Leu Leu Asp Lys Pro Phe Tyr Asn Asp Phe Glu Arg 35 40 45 Gly Ala Val Asp Ser Tyr Asp Val Thr Val Asp Glu Glu Leu Gly Glu 50 55 60 Ile Gln Leu Val Arg Ile Glu Lys Arg Lys Tyr Trp Leu Asn Asp Asp 65 70 75 80 Trp Tyr Leu Lys Tyr Ile Thr Leu Lys Thr Pro His Gly Asp Tyr Ile 85 90 95 Glu Phe Pro Cys Tyr Arg Trp Ile Thr Gly Asp Val Glu Val Val Leu 100 105 110 Arg Asp Gly Arg Ala Lys Leu Ala Arg Asp Asp Gln Ile His Ile Leu 115 120 125 Lys Gln His Arg Arg Lys Glu Leu Glu thr Arg Gln Lys Gln Tyr Arg 130 135 140 Trp Met Glu Trp Asn Pro Gly Phe Pro Leu Ser Ile Asp Ala Lys Cys 145 150 155 160 His Lys Asp Leu Pro Arg Asp Ile Gln Phe Asp Ser Glu Lys Gly Val 165 170 175 Asp Phe Val Leu Asn Tyr Ser Lys Ala Met Glu Asn Leu Phe Ile Asn 180 185 190 Arg Phe Met His Met Phe Gln Ser Ser trp Asn Asp Phe Ala Asp Phe 195 200 205 Glu Lys Ile Phe Val Lys Ile Ser Asn Thr Ile Ser Glu Arg Val Met 210 215 220 Asn His trp Gln Glu Asp Leu Met Phe Gly Tyr Gln Phe Leu Asn Gly 225 230 235 Cys Asn Pro Val Leu Ile Arg Arg Cys Thr Glu Leu Pro Glu Lys Leu 240 245 250 Pro Val Thr Thr Glu Met Val Glu Cys Ser Leu Glu Arg Gln Leu Ser 255 260 265 270 Leu Glu Gln Glu Val Gln Gln Gly Asn Ile Phe Ile Val Asp Phe Glu 275 280 285 Leu Leu Asp Gly Ile Asp Ala Asn Lys Thr Asp Pro Cys Thr Leu Gln 290 295 300 Phe Leu Ala Ala Pro Ile Cys Leu Leu Tyr Lys Asn Leu Ala Asn Lys 305 310 315 Ile Val Pro Ile Ala Ile Gln Leu Asn Gln Ile Pro Gly Asp Glu Asn 320 325 330 Pro Ile Phe Leu Pro Ser Asp Ala Lys Tyr Asp trp Leu Leu Ala Lys 335 340 345 350 Ile trp Val Arg Ser Ser Asp Phe His Val His Gln Thr Ile Thr His 355 360 365 Leu Leu Arg Thr His Leu Val Ser Glu Val Phe Gly Ile Ala Met Tyr 370 375 380 Arg Gln Leu Pro Ala Val His Pro Ile Phe Lys Leu Leu Val Ala His 385 390 395 Val Arg Phe Thr Ile Ala Ile Asn Thr Lys Ala Arg Glu Gln Leu Ile 400 405 410 Cys Glu Cys Gly Leu Phe Asp Lys Ala Asn Ala Thr Gly Gly Gly Gly 415 420 425 430 His Val Gln Met Val Gln Arg Ala Met Lys Asp Leu Thr Tyr Ala Ser 435 440 445 Leu Cys Phe Pro Glu Ala Ile Lys Ala Arg Gly Met Glu Ser Lys Glu 450 455 460 Asp Ile Pro Tyr Tyr Phe Tyr Arg Asp Asp Gly Leu Leu Val Trp Glu 465 470 475 Ala Ile Arg Thr Phe Thr Ala Glu Val Val Asp Ile Tyr Tyr Glu Gly 480 485 490 Asp Gln Val Val Glu Glu Asp Pro Glu Leu Gln Asp Phe Val Asn Asp 495 500 505 510 Val Tyr Val Tyr Gly Met Arg Gly Arg Lys Ser Ser Gly Phe Pro Lys 515 520 525 Ser Val Lys Ser Arg Glu Gln Leu Ser Glu Tyr Leu Thr Val Val Ile 530 535 540 Phe Thr Ala Ser Ala Gln His Ala Ala Val Asn Phe Gly Gln Tyr Asp 545 550 555 Trp Cys Ser Trp Ile Pro Asn Ala Pro Pro Thr Met Arg Ala Pro Pro 560 565 570 Pro Thr Ala Lys Gly Val Val Thr Ile Glu Gln Ile Val Asp Thr Leu 575 580 585 590 Pro Asp Arg Gly Arg Ser Cys Trp His Leu Gly Ala Val Trp Ala Leu 595 600 605 Ser Gln Phe Gln Glu Asn Glu Leu Phe Leu Gly Met Tyr Pro Glu Glu 610 615 620 His Phe Ile Glu Lys Pro Val Lys Glu Ala Met Ala Arg Phe Arg Lys 625 630 635 Asn Leu Glu Ala Ile Val Ser Val Ile Ala Glu Arg Asn Lys Lys Lys 640 645 650 Gln Leu Pro Tyr Tyr Tyr Leu Ser Pro Asp Arg Ile Pro Asn Ser Val 655 660 665 670 Ala Ile 673 <210> 23 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 23 cggaattccg cgccatgccc tcctacacg 29 <210> 24 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 24 ccccgcatgc cgtacacgta gaca 24 <210> 25 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 25 tgtctacgtg tacggcatgc gggg 24 <210> 26 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 26 gcgtcgacct ggctggggca gctggccttc cc 32
【図面の簡単な説明】
【図1】γ−セクレターゼによってC53NICDキメラ蛋白
から遊離したNotch転写因子領域によるピューロマイシ
ン耐性遺伝子の発現を調べる概略図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 25/28 4C084 A61P 25/28 43/00 111 4C085 43/00 111 C07K 14/47 4C086 C07K 14/47 16/18 4H045 16/18 19/00 19/00 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/02 C12P 21/02 1/68 Z C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A (72)発明者 駒野 宏人 愛知県刈谷市山池町4丁目612番地 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA40 BA13 BB03 BB20 CB01 CB21 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB02 FB03 FB04 FB07 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 CA07 DA02 DA05 DA06 DA11 DA12 EA02 EA04 FA02 FA10 GA11 HA12 4B063 QA19 QA20 QQ08 QQ13 QQ43 QR08 QR42 QR56 QS25 QS34 QX02 4B064 AG01 CA02 CA05 CA06 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA72X AA90X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA13 AA17 NA14 ZA161 ZA162 ZC022 4C085 AA13 AA14 BB11 EE01 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 MA04 NA14 ZA16 ZC02 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA75 EA21 EA50 FA72 FA74

Claims (66)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミロイドβタンパク質(Aβ)の前駆
    体タンパク質(βAPP)フラグメントからのAβの産
    生が促進されることにより選択マーカー遺伝子の発現が
    亢進するよう設計された細胞株に、DNAライブラリー
    を導入し、Aβの産生が亢進している細胞の導入DNA
    クローンを同定することを特徴とするAβの産生を制御
    するDNAのスクリーニング方法。
  2. 【請求項2】 Aβの産生を制御するDNAがヒトcD
    NAである請求項1記載のスクリーニング方法。
  3. 【請求項3】 Aβの産生を制御するDNAがヒト染色
    体DNAである請求項1記載のスクリーニング方法。
  4. 【請求項4】 該細胞株が、(1)βAPPのγ−セク
    レターゼ切断部位を含むβAPPフラグメントと転写促
    進因子との融合タンパク質をコードするDNAを含むベ
    クターと(2)転写促進因子の転写活性により選択マー
    カー遺伝子の転写が惹起されるようにプロモーターの下
    流に選択マーカー遺伝子を結合させたDNAを含むベク
    ターとで形質転換された形質転換体である請求項1記載
    のスクリーニング方法。
  5. 【請求項5】 細胞株が、(1)βAPPのγ−セクレ
    ターゼ切断部位を含むβAPPフラグメントとNotchの
    C端側転写因子領域との融合タンパク質(CAPP-NICD)
    をコードするDNAを含むベクターと(2)Notchの転
    写活性により薬剤耐性遺伝子の転写が惹起されるように
    HES−1プロモーターの下流に薬剤耐性遺伝子を結合
    させたDNAを含むベクターとで形質転換された形質転
    換体である請求項1記載のスクリーニング方法。
  6. 【請求項6】 細胞株が融合タンパク質と選択マーカー
    を共発現する請求項4または5記載のスクリーニング方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のスクリーニング方法によ
    り得られうるアミロイドβタンパク質(Aβ)の産生を
    制御するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイ
    ブリダイズするDNAを含有するDNA。
  8. 【請求項8】 Aβの産生を制御するDNAがヒトcD
    NAである請求項7記載のDNA。
  9. 【請求項9】 Aβの産生を制御するDNAがヒト染色
    体DNAである請求項7記載のDNA。
  10. 【請求項10】 アルツハイマー病に関連する請求項7
    記載のDNA。
  11. 【請求項11】 Aβの産生を亢進するDNAである請
    求項7記載のDNA。
  12. 【請求項12】 Aβの産生を亢進するDNAが、配列
    番号:4で表わされる塩基配列を含有するヒトcDNA
    (Genbank accession No. AAH06223)をコードするDN
    Aである請求項11記載のDNA。
  13. 【請求項13】 Aβの産生を亢進するDNAが、配列
    番号:5で表わされる塩基配列を含有するヒトHerp(Ge
    nbank accession No. AB034989)をコードするDNAで
    ある請求項11記載のDNA。
  14. 【請求項14】 Aβの産生を促進するDNAが、配列
    番号:6で表わされる塩基配列を含有するヒト5−リポ
    キシゲナーゼ(Genbank accession no. XM 005818)の
    部分配列をコードするDNAである請求項11記載のD
    NA。
  15. 【請求項15】 Aβの産生を促進するDNAが、配列
    番号:21で表わされる塩基配列を含有するヒト5−リ
    ポキシゲナーゼの全長配列をコードするDNAである請
    求項11記載のDNA。
  16. 【請求項16】 請求項7記載のDNAを含有する組換
    えベクター。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の組換えベクターで形
    質転換された形質転換体。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の形質転換体を培養
    し、請求項7記載のDNAにコードされるペプチドまた
    はタンパク質を生成せしめることを特徴とする請求項7
    記載のDNAにコードされるペプチドもしくはタンパク
    質またはその塩の製造法。
  19. 【請求項19】 請求項7記載のDNAまたはその一部
    を含有してなる診断剤。
  20. 【請求項20】 アルツハイマー病の診断剤である請求
    項19記載の診断剤。
  21. 【請求項21】 請求項7記載のDNAを用いることを
    特徴とするアルツハイマー病の診断方法。
  22. 【請求項22】 請求項7記載のDNAを用いることを
    特徴とする請求項7記載のDNAの一塩基多型(SNP
    s)を検出する方法。
  23. 【請求項23】 アルツハイマー病患者の請求項7記載
    のDNAに相当するDNAの塩基配列を解読し、請求項
    7記載のDNAの塩基配列と比較することを特徴とする
    請求項22記載の検出方法。
  24. 【請求項24】 請求項7記載のDNAの一塩基多型
    (SNPs)。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の一塩基多型(SNP
    s)を含有してなる診断剤。
  26. 【請求項26】 さらに請求項7記載のDNAまたはそ
    の一部を含有する請求項25記載の診断剤。
  27. 【請求項27】 アルツハイマー病の診断剤である請求
    項25または26記載の診断剤。
  28. 【請求項28】 請求項24記載の一塩基多型(SNP
    s)を用いることを特徴とするアルツハイマー病の診断
    方法。
  29. 【請求項29】 請求項7記載のDNAまたはその一部
    を用いる請求項28記載の診断方法。
  30. 【請求項30】 請求項7記載のDNAにコードされる
    ペプチドもしくはタンパク質またはその塩。
  31. 【請求項31】 アルツハイマー病に関連する請求項3
    0記載のペプチドもしくはタンパク質またはその塩。
  32. 【請求項32】 Aβの産生を亢進する請求項30記載
    のペプチドもしくはタンパク質またはその塩。
  33. 【請求項33】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配
    列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    る、Aβの産生を亢進するタンパク質またはその塩。
  34. 【請求項34】 配列番号:2で表わされるアミノ酸配
    列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    る、Aβの産生を亢進するタンパク質またはその塩。
  35. 【請求項35】 配列番号:3で表わされるアミノ酸配
    列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    る、Aβの産生を亢進するタンパク質またはその塩。
  36. 【請求項36】 配列番号:22で表わされるアミノ酸
    配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    る、Aβの産生を亢進するタンパク質またはその塩。
  37. 【請求項37】 請求項29〜36のいずれかに記載の
    ペプチド、タンパク質またはその塩に対する抗体。
  38. 【請求項38】 請求項29〜36のいずれかに記載の
    ペプチド、タンパク質またはその塩の活性を不活性化す
    る中和抗体である請求項37記載の抗体。
  39. 【請求項39】 請求項37記載の抗体を含有してなる
    診断剤。
  40. 【請求項40】 アルツハイマー病の診断剤である請求
    項39記載の診断剤。
  41. 【請求項41】 請求項37記載の抗体を用いることを
    特徴とする請求項29〜36のいずれかに記載のペプチ
    ド、タンパク質またはその塩の定量法。
  42. 【請求項42】 請求項41記載の定量法を用いるアル
    ツハイマー病の診断方法。
  43. 【請求項43】 請求項32記載のAβの産生を亢進す
    るペプチドもしくはタンパク質またはその塩に対する抗
    体を含有してなる医薬。
  44. 【請求項44】 アルツハイマー病の予防・治療剤であ
    る請求項43記載の医薬。
  45. 【請求項45】 哺乳動物に対して、請求項32記載の
    Aβの産生を亢進するペプチドもしくはタンパク質また
    はその塩に対する抗体の有効量を投与することを特徴と
    するアルツハイマー病の予防・治療方法。
  46. 【請求項46】 請求項7記載のDNAと相補的な塩基
    配列またはその一部を含有してなるアンチセンスDN
    A。
  47. 【請求項47】 請求項46記載のアンチセンスDNA
    を含有してなる診断剤。
  48. 【請求項48】 アルツハイマー病の診断剤である請求
    項47記載の診断剤。
  49. 【請求項49】 請求項11記載のAβの産生を亢進す
    るDNAと相補的な塩基配列またはその一部を含有して
    なるアンチセンスDNAを含有してなる医薬。
  50. 【請求項50】 アルツハイマー病の予防・治療剤であ
    る請求項49記載の医薬。
  51. 【請求項51】 哺乳動物に対して、請求項49記載の
    アンチセンスDNAの有効量を投与することを特徴とす
    るアルツハイマー病の予防・治療方法。
  52. 【請求項52】 請求項7記載のDNAを用いることを
    特徴とするアミロイドβタンパク質(Aβ)産生阻害薬
    のスクリーニング方法。
  53. 【請求項53】 請求項30記載のペプチドもしくはタ
    ンパク質またはその塩を用いることを特徴とするアミロ
    イドβタンパク質(Aβ)産生阻害薬のスクリーニング
    方法。
  54. 【請求項54】 請求項37記載の抗体を用いることを
    特徴とするアミロイドβタンパク質(Aβ)産生阻害薬
    のスクリーニング方法。
  55. 【請求項55】 請求項46記載のアンチセンスDNA
    を用いることを特徴とするアミロイドβタンパク質(A
    β)産生阻害薬のスクリーニング方法。
  56. 【請求項56】 請求項17記載の形質転換体を用いる
    ことを特徴とするアミロイドβタンパク質(Aβ)産生
    阻害薬のスクリーニング方法。
  57. 【請求項57】 請求項52〜56のいずれかに記載の
    スクリーニング方法で得られうるアミロイドβタンパク
    質(Aβ)産生阻害薬。
  58. 【請求項58】 請求項57記載のAβ産生阻害薬を含
    有してなる医薬。
  59. 【請求項59】 アルツハイマー病の予防・治療剤であ
    る請求項58記載の医薬。
  60. 【請求項60】 哺乳動物に対して、請求項57記載の
    Aβ産生阻害薬の有効量を投与することを特徴とするア
    ルツハイマー病の予防・治療方法。
  61. 【請求項61】 (i)アミロイドβタンパク質(A
    β)の前駆体タンパク質(βAPP)フラグメントから
    のAβの産生が促進されることにより選択マーカー遺伝
    子の発現が亢進するよう設計された細胞株と(ii)その
    細胞株に請求項11記載のAβの産生を亢進するDNA
    を導入した細胞株に対して、試験化合物を添加した場合
    における、それぞれのAβの産生量の差を測定すること
    を特徴とするAβの産生を制御する物質のスクリーニン
    グ方法。
  62. 【請求項62】 (i)アミロイドβタンパク質(A
    β)の前駆体タンパク質(βAPP)フラグメントから
    のAβの産生が促進されることにより選択マーカー遺伝
    子の発現が亢進するよう設計された細胞株と(ii)その
    細胞株に請求項12記載のAβの産生を亢進するDNA
    を導入した細胞株に対して、試験化合物を添加した場合
    における、それぞれの選択マーカーの生物活性の差を測
    定することを特徴とするAβの産生を制御する物質のス
    クリーニング方法。
  63. 【請求項63】 選択マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子
    であり、選択マーカーの生物活性が薬剤耐性である請求
    項62記載のスクリーニング方法。
  64. 【請求項64】 請求項7記載のDNAを用いることを
    特徴とする当該DNAの発現抑制薬のスクリーニング方
    法。
  65. 【請求項65】 請求項9記載のヒト染色体DNAのプ
    ロモーター領域とレポーター遺伝子を組み合わせて、試
    験化合物を添加した場合と添加しない場合における、そ
    れぞれのレポーター活性を測定することを特徴とする当
    該ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子のプロ
    モーター活性を抑制または促進する化合物のスクリーニ
    ング方法。
  66. 【請求項66】 請求項30記載のペプチドもしくはタ
    ンパク質またはその塩を発現し得る細胞に、試験化合物
    を添加した場合と添加しない場合における、それぞれの
    当該ペプチドもしくはタンパク質またはその塩あるいは
    それらのDNAの発現量を抑制する化合物のスクリーニ
    ング法。
JP2002223200A 2001-07-31 2002-07-31 アルツハイマー病関連遺伝子のスクリーニング方法 Withdrawn JP2003289881A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002223200A JP2003289881A (ja) 2001-07-31 2002-07-31 アルツハイマー病関連遺伝子のスクリーニング方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001266510 2001-07-31
JP2001-266510 2001-07-31
JP2002025878 2002-02-01
JP2002-25878 2002-02-01
JP2002223200A JP2003289881A (ja) 2001-07-31 2002-07-31 アルツハイマー病関連遺伝子のスクリーニング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003289881A true JP2003289881A (ja) 2003-10-14

Family

ID=29255055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002223200A Withdrawn JP2003289881A (ja) 2001-07-31 2002-07-31 アルツハイマー病関連遺伝子のスクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003289881A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005037316A1 (ja) * 2003-10-20 2005-04-28 Locomogene, Inc. セクレターゼ活性を抑制する方法
JP2007166962A (ja) * 2005-12-21 2007-07-05 Japan Health Science Foundation アルツハイマー病の予測または診断の方法
CN103631925A (zh) * 2013-12-04 2014-03-12 北京理工大学 机械加工设备的快速分组检索方法
WO2023177056A1 (ko) * 2022-03-15 2023-09-21 사회복지법인 삼성생명공익재단 유럽 인구 데이터 기반 알츠하이머병 치매의 발병 위험군 또는 조기 증상 발현 위험군, 기억상실형 경도인지장애의 발병 위험군 및/또는 아밀로이드β 침착에 대한 PET 양성 위험군을 예측하기 위한 정보를 제공하는 방법

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005037316A1 (ja) * 2003-10-20 2005-04-28 Locomogene, Inc. セクレターゼ活性を抑制する方法
JP2007166962A (ja) * 2005-12-21 2007-07-05 Japan Health Science Foundation アルツハイマー病の予測または診断の方法
CN103631925A (zh) * 2013-12-04 2014-03-12 北京理工大学 机械加工设备的快速分组检索方法
CN103631925B (zh) * 2013-12-04 2016-08-17 北京理工大学 机械加工设备的快速分组检索方法
WO2023177056A1 (ko) * 2022-03-15 2023-09-21 사회복지법인 삼성생명공익재단 유럽 인구 데이터 기반 알츠하이머병 치매의 발병 위험군 또는 조기 증상 발현 위험군, 기억상실형 경도인지장애의 발병 위험군 및/또는 아밀로이드β 침착에 대한 PET 양성 위험군을 예측하기 위한 정보를 제공하는 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004107260A (ja) 脳アミロイドーシス予防・治療薬のスクリーニング方法
US20040234990A1 (en) Method of screening alzheimer&#39;s disease-associated gene
JP2003289881A (ja) アルツハイマー病関連遺伝子のスクリーニング方法
JP2003245076A (ja) 新規タンパク質およびそのdna
WO2004028558A1 (ja) 神経変性疾患の予防・治療剤
JP2004101509A (ja) 新規スクリーニング方法
JP4320151B2 (ja) 新規ポリペプチドおよびその用途
JP4300008B2 (ja) 新規タンパク質およびそのdna
EP1428877A1 (en) Novel protein and dna thereof
JP2004026692A (ja) Mepeの新規用途
EP1375663A1 (en) Novel protein, dna thereof and use of the same
JP2001299363A (ja) 新規タンパク質およびそのdna
JP2004261172A (ja) 疾患関連遺伝子の用途
JP2004089182A (ja) がんの予防・治療剤
JP2004121245A (ja) 新規タンパク質およびそのdna
JP2003235586A (ja) アルツハイマー病関連遺伝子、タンパク質およびそれらの用途
JP2003000272A (ja) 新規タンパク質およびそのdna
JP2003144177A (ja) 新規タンパク質、そのdnaおよびその用途
JP2003277289A (ja) がんの予防・治療剤
JP2004135666A (ja) 神経変性疾患の予防・治療剤
US20050208494A1 (en) Novel proteins and dnas thereof
JP2004215517A (ja) アルツハイマー病関連遺伝子、タンパク質およびそれらの用途
JP2004041003A (ja) 新規タンパク質、そのdnaおよびその用途
JP2004121246A (ja) 神経変性疾患の予防・治療剤
JP2004290170A (ja) 疾患関連遺伝子の用途

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20051004