JP2003105593A - マグネシウム合金基材の防錆被膜構造 - Google Patents

マグネシウム合金基材の防錆被膜構造

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憲治 角田
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部応力により撓みを受けるマグネシウム合
金基材の防錆被膜構造を提供することである。 【解決手段】 マグネシウム合金基材1の表層に主成分
がマグネシウム酸化物である陽極酸化被膜2を形成し、
その実質的な硬度をビッカース硬度でHv100〜20
0(荷重50g)に調整し、その上層に分子量300〜
10000のエポキシオリゴマーに粒径範囲が0.1〜
5.0μmの無機顔料を添加したエポキシオリゴマーサ
フェーサ3を塗布し、塗装時には溶剤希釈により粘度を
10〜50mPa・secに調整して、多孔質の陽極酸
化被膜を可及的細部に至るまで全面的に被覆し、硬化さ
せて前記の陽極酸化被膜と一体化した複合層を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、マグネシウム合金
基材の防錆被膜構造と該被膜構造を有するマグネシウム
合金製ホイールに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、資源のリサイクル利用の重要性が
大きくとり上げられ、構造材としてマグネシウムが見直
されている。マグネシウムは比重が金属の中では1.7
4と最も低く、通常他の金属を微量加えて合金として利
用され、比強度、比耐力が優れているので、重量に制限
があって強度や剛性を増すには好都合の金属材料であ
り、リサイクルが容易な金属である。成形にはダイキャ
スト法が一般的であるが、他に鋳造法や鍛造法が用いら
れている。しかしながら、マグネシウム合金は腐食し易
い金属であり、防錆処理は不可欠である。防錆処理には
化学的処理と電気化学的処理に大別されるが、過酷な環
境で使用されるマグネシウム合金基材の場合は電気化学
的処理が有利とされ、陽極酸化処理法が一般的である。
代表的な処理法としてDow17、Dow9(JIS5
種)などが挙げられるが、いずれもマグネシウム合金基
材との密着性が不十分で、外部から応力が加わるような
製品の基材には不向きであり塩水噴霧試験では48時間
を達成できない。原因として陽極酸化被膜の硬度がビッ
カース硬度でHv400〜500と比較的硬いものであ
り靭性に乏しいためである。またこれらの陽極酸化処理
法における処理液組成は、酸性フッ化アンモン、重クロ
ム酸ナトリウムなど環境を汚染する組成物が含まれるた
め、これらの汚染物質を含まない処理液が望まれてい
た。出願人としてはここ十数年に亘り、マグネシウム合
金鍛造製ホイールの製品化に向けて多数の防錆処理方法
を試験してきたが、塩水噴霧試験よりはるかに厳しいキ
ャス試験の240時間を越える性能を有する防錆構造を
見出したのでここに提案するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、外部応力により撓みを受けるマグネシウム合金基材
の防錆被膜構造を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、マグネシウム
合金基材の表層の少なくとも一部に陽極酸化被膜を形成
し、更にその上方に樹脂層を形成した防錆被膜構造にお
いて、陽極酸化被膜の主成分がマグネシウム酸化物であ
り、実質的な硬度がビッカース硬度のHv100〜20
0(荷重50g)に調整され、樹脂層として、分子量3
00〜10000のエポキシオリゴマーに粒径範囲が
0.1〜8.0μmの無機顔料が使用され、好適には
0.1〜5.0μmの無機顔料を添加し、塗装時には有
機溶剤により粘度を10〜50mPa・secに調整し
て多孔質の陽極酸化被膜を可及的細部に至るまで全面的
に被覆し、硬化させて前記の陽極酸化被膜と一体化した
複合層を形成することを特徴としている。無機顔料の粒
度分布は2μmを中心に分布するものが好ましく、一般
に平均粒径2μmと称されるものであるが、粒径が8μ
程度の粒子分布が多くなると密着性に欠陥が生じるとと
もに多孔質の陽極酸化被膜の微細な孔に浸透できない。
また粒径0.1μmより小さい粒子は目止め効果が少な
く体質顔料として膜厚を形成する効果が小さい。無機顔
料は目止め効果の他に不定形な陽極酸化被膜を補強する
際の応力の分散にも効果的な役割を果たしている。上述
した樹脂層は陽極酸化被膜に平坦な面を形成することか
ら以後サフェーサと記載する。本発明ではエポキシオリ
ゴマーを高分子化せずに加熱乾燥するようにしている
が、他にエポキシアクリレート、オリゴアクリレート等
を用いて光重合開始剤を添加し紫外線硬化させる手法も
利用できる。
【0005】本発明に用いた陽極酸化被膜はAnoma
gと称されるノンクロム陽極酸化システムにより生成し
ているものであるが、標準仕様に基づく陽極酸化被膜に
通常の目止め効果を付与するエポキシ樹脂系サフェーサ
を塗布した被膜構造では、マグネシウム合金基材にホイ
ールを用いた場合、回転曲げテストを行った後、キャス
試験を実施したところ240時間でクロスカット部に約
10mm幅の膨れが生じて不合格になった。キャス試験
は酢酸酸性の塩化ナトリウム溶液に塩化第二銅などを添
加した溶液を噴霧した雰囲気で行われる試験にて塩水噴
霧よりはるかに厳しい基準の試験である。そこで、基材
の撓みに追随できるような陽極酸化被膜を追求するため
に、膜厚を10〜15μmの範囲に規制して成膜速度の
異なる試験品を多数用意し、キャス試験を行い比較的結
果の良いものを選択した。これらの酸化被膜のの硬度を
測定したところHv50〜300程度の範囲にばらつき
がみられたがキャス試験の48〜96時間程度の耐久性
を示した。しかしながら、キャス試験で比較的良好な耐
久性を示した陽極酸化被膜をマグネシウム合金製ホイー
ルに適用し、回転曲げ試験を行った後キャス試験を行っ
たところ耐久性が極端に低下したのでその表面を詳細に
調べたところ微細なクラックが生じていることが判明し
た。原因としては陽極酸化被膜はその生成過程に於いて
不定形に堆積するために基材が収縮や引張り等の応力を
受けた場合に追随できず、ずれが生じるためであると判
断した。試験品のうち追随性がよかったのは比較的軟質
のもので数値的に判断するためにビッカース硬度を測定
したところHv100〜200(荷重50g)であっ
た。この実験結果から陽極酸化被膜を補強するための他
の成分が不可欠であることが認められた。
【0006】次ぎにエポキシ樹脂系のサフェーサを検討
するにあたり、陽極酸化被膜の断面写真を参考にして多
孔質の孔部分に十分浸透できる樹脂成分の流動性を吟味
した。樹脂成分としては耐水性のよいエポキシオリゴマ
ーを選択し、これの分子量の異なるオリゴマー群を用意
して、前出の陽極酸化被膜のキャス試験を行った同一試
料にエアスプレーで塗布し吸い込み状態を観察した。分
子量は300〜30000の範囲で10種類のオリゴマ
ー試料を用意し比較的吸い込みの早いものを選出し、順
次詳細に分子量の大きさを検討した結果300〜100
00が適当と判断したが、吸い込みが大きく基材の表面
を平滑にする機能が不足することから、体質顔料を添加
した。体質顔料としては、カオリナイト、シリカ、酸化
チタンなどを用いており、粒径は多孔質酸化被膜の孔径
を考慮して平均粒径2μmで0.1〜8.0μmの範囲
に粒度分布を有する無機顔料を選択し、顔料の添加量と
してはオリゴマー100重量部に対して30〜80重量
部が好ましい範囲であることを実験的に確かめた。顔料
を加えたところで実際に塗布する際の粘度を検討した
が、陽極酸化被膜が多孔質であることから適度の浸透速
度を付与して残留する空気が置換され易いところを検証
したところ粘度10〜50mPa・secの範囲が好ま
しく、20mPa・secあたりが好適である。粘度の
調整は有機溶剤で行っている。上述したエポキシオリゴ
マーからなるサフェーサは粘着性ではなく加熱硬化後の
硬度は鉛筆硬度の1〜2H程度であるが、陽極酸化被膜
の物理的な挙動と一致しエポキシオリゴマーと陽極酸化
物が一体化した複合層として強固な防錆被膜構造を形成
する。上記の無機顔料の粒径の範囲は8μm程度の粒子
の量が多くなると密着性に欠陥が生じやすく、更にグレ
ードの高い平均粒径2μmの顔料を使用した。その粒度
分布は0.1〜5.0μmの範囲に分布しており被膜の
密着不良は皆無であった。
【0007】また、請求項1に記載の防錆被膜構造は外
部から応力を受けて撓みを生ずる基材に追随性がよく被
膜に損傷を生起しないことから、マグネシウム合金製ホ
イールには最適の防錆構造を提供することができる。本
発明では更に上記防錆構造の上に2層構造を有する化粧
塗膜を設けており、エポキシオリゴマーサフェーサに密
着する側に軟質の有機樹脂層、その表層側に硬質の無機
質層を形成する無機・有機複合系被膜組成物を用いてお
り、この種の組成物はアクリル、メラミン、エポキシ樹
脂の混合樹脂に体質顔料としてシリカを添加して成るハ
ニセランAW(ハニー化成(株)製)として提供されて
いる。この種の塗料を用いることで陽極酸化被膜とサフ
ェーサの複合層に対する分厚い化粧層の歪みなどの影響
が緩和されるから塗膜厚が十分に取れることからチッピ
ングに強い化粧層を設けたマグネシウム合金製ホイール
を提供することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図を用いて
説明する。図1は本発明の防錆被膜構造と化粧層を施し
たマグネシウム合金製ホイールの一部拡大断面写真であ
る。1はマグネシウム合金基材、2は陽極酸化被膜、3
はエポキシオリゴマーサフェーサ、4はアルミ片を含む
中間化粧層、5はクリヤー層である。
【0009】マグネシウム合金基材として鍛造によるマ
グネシウム合金一体型ホイールを用いた。ディスク部表
面側は鍛造肌がそのまま残っており、リム部及びホイー
ルの裏面側は旋盤による切削加工が施されている。鍛造
肌が残っている面は鍛造時の塑性変形を促進する潤滑材
や金型から発生する微量の金属元素残留物が付着してお
り、また400℃近くの高温下で鍛造されることもあっ
て酸化被膜も形成されている。このような面性状は余計
な接触電位差を生じマグネシウム合金に腐食をもたらす
ものであるため、徹底して除去する必用がある。除去す
る方法として化成処理も一部用いられるが効果的な手法
は金属ショットを用いたショットピーニング加工とブラ
スト加工である。ショットピーニング加工に於けるメデ
ィアは比重の重い鉄系のステンレス鋼等であるために鍛
造時の残留物を除去するには好適であるが鉄系の残留物
が鍛造肌に残るため、更にエアーブラスト加工によりセ
ラミック系のメディアで表面を研掃し、残留物を完全に
除去している。
【0010】次ぎに陽極酸化処理を行うのであるが、近
年の環境にやさしい処理技術としてMagoxid法、
Anomag法、Tagnite法を検討したがホイー
ルのような複雑な曲面を多用する形状では、処理条件に
多様性を有するAnomag法が適していると判断して
これによる陽極酸化処理を行った。この手法は特表平1
1−502567号にて公開されている技術であり、ア
ンモニア濃度を調整して電界強度を制御し被処理材の表
面に均一な電界を形成して局部的にスパークを生じさせ
ずに酸化被膜の成長を促すものである。本実施例に於け
る酸化被膜の主成分はマグネシウム酸化物である。最初
は本方法の所定の仕様により酸化被膜を約15μm厚に
形成させたのち、エポキシ樹脂系のサフェーサを乾燥後
の膜厚が約20μmになるように陽極酸化被膜表面全体
に塗布形成した。次ぎにホイールの強度を測定する回転
曲げ試験を行った後、被膜にクロスカットを入れキャス
試験を行い防錆の性能を評価した。結果は48時間後で
既にクロスカット部に幅1.5mmの膨れが生じ240
時間の噴霧テストに耐えられないことが判明した。そこ
で被膜の断面写真を検討したところ基材の表面と陽極酸
化被膜の密着性が不十分であり、またエポキシ樹脂サフ
ェーサの多孔質部への浸透も不十分であることが判明し
た。原因としてホイールの強度試験により基材が撓み、
基材表面に圧縮と引っ張りが繰り返されたために一部が
剥離し、更にサフェーサが陽極酸化被膜を補強していな
いためであると判断した。
【0011】そこで基材の撓みに追随しやすい適度の硬
度を有する陽極酸化被膜を形成するために成膜条件を種
々に変更し探求した結果比較的硬度の低い方が有利であ
ることが判明し、詳細に試験したところビッカース硬度
でHv100〜200(荷重50g)の範囲が最適であ
ることを突き止めた。成膜条件によりHv50〜300
程度のバラツキが生じるが柔軟性を要求する場合は前出
の範囲が好ましい。しかしながら、陽極酸化被膜は無定
形に積層しながら成長するので、電流が流れて溶出物が
局部的に移動した後の痕跡を示す孔は種々の方向性をも
ち孔の形状も種々で、顕微鏡写真を見る限り長径5〜8
μmの長円形のものが多数見られる。陽極酸化処理工程
が終了後、不純物を除去する表面調整が行われても微細
な鋭い凹みが無数に存在するので、これらの鋭い凹みを
可及的細部に至るまで全面的に埋め尽くし積層状の被膜
を強固に支える樹脂層が要求される。図1に陽極酸化被
膜2の断面を示した。引出線の近傍に見える大きな空洞
は電子顕微鏡で観察するための資料作成の際に剥がれた
部分とみられ他の小さな黒点は溶出物の通り抜けた痕跡
と見られる。なお、多孔質の陽極酸化被膜の硬度をビッ
カース法で測定するには不向きであるとの意見もある
が、当該技術書にもビッカース硬度の記載があるので特
段の問題点もないと判断しており、膜厚が15μm程度
あれば断面の硬度測定も可能である。また他の陽極酸化
被膜との硬度比較を同様の測定法で比較しているので陽
極酸化被膜の全体の硬度範囲からすれば、本発明の陽極
酸化被膜は軟質の部類に属するものであり、多孔質であ
るが故に硬度に多少のバラツキが生じるので好適な硬度
の数値に幅をもたせている。
【0012】エポキシオリゴマーのサフェーサ層3を形
成するにあたり、陽極酸化被膜の鋭い凹みを細部に至る
まで埋め尽くすための樹脂組成を決定するところは既に
述べた通りであり、実際に使用したエポキシオリゴマー
サフェーサの塗料仕様は表1に示されるもので、特別に
調合されたハニー化成(株)製の品番:エポキシサフェ
ーサMGを使用した。
【0013】
【表1】
【0014】ここで使用されるエポキシオリゴマーの特
徴はビスフェノールA型及びB型と多官能エポキシが用
いられ、分子量としては300〜10000が好ましい
が微細な鋭い凹みに対してぬれ性を特に良くするために
分子量300〜5000が使用された。図1に於ける陽
極酸化被膜2の鋭い凹みにエポキシオリゴマーサフェー
サ3が細部に至るまで浸透しているところが目視でき
る。通常このような凹みは空気の置換が難しく気泡が残
り加熱乾燥したときに気泡が膨張し、抜けるときに微細
な孔を形成して密閉できないのであるが、分子量が小さ
く粘度も低いことから塗膜としては軟らかいために空気
が抜けやすくなったと判断している。分子量が1000
0を越えるようなポリマーを使用したサフェーサでは皮
を張るような積層状になり陽極酸化被膜を補強すること
はできない。また体質顔料として上記の無機顔料を使用
しているが、粒径範囲は0.1〜8μmが使用できるが
好ましくは0.1〜5.0μmであり、2μmを中心に
した粒度分布を有する顔料を使用して微細な凹みにも抵
抗無く浸透できるようにしている。出願明細書の写真は
電子化されるので色調の加減で鮮明ではないが印画紙写
真では明瞭に確認できる。このように陽極酸化被膜とエ
ポキシオリゴマーサフェーサが単なる積層状態ではな
く、完全に一体化した複合層を形成することで陽極酸化
被膜を補強する効果が生じると共に、双方の物理的挙動
が一致するように構成されたことが、外力による撓みが
生じるマグネシウム合金基材に対して耐久性に優れた防
錆構造を形成しているものである。なお、本発明では好
適な樹脂成分として加熱硬化型のエポキシオリゴマーを
用いたが、他にエポキシアクリレート、オリゴアクリレ
ート等を用いて光重合開始剤を添加し紫外線硬化させる
手法も利用できる。
【0015】上述したエポキシオリゴマーサフェーサの
上層にホイールとして化粧層を形成するために次のよう
な塗料を用いてチッピングに対しての耐久性を向上させ
た。化粧層は大略100μmの厚みが好ましいが隠蔽性
のよい塗膜が必用であり、またその下層にある陽極酸化
被膜とエポキシオリゴマーサフェーサの複合層からなる
防錆構造に負担がかからないものが好ましい。換言する
と、耐チッピング性のよい硬い部分と下層部分(防錆構
造部分)を結合するためには緩衝層を設けることが有効
で、一つの塗膜が2種の性質を有しているものが好まし
い。このような塗料は、特許第3196017号に示さ
れるハニー化成(株)製の品番:ハニセランAW−13
0SLが好適に用いることができる。この塗料にアルミ
顔料を3〜5%を添加して中間の化粧層4(図1)とし
た。この塗料は乾燥時点でエポキシオリゴマーサフェー
サ層3との密着面側に比較的軟質の有機系樹脂成分を有
し、その外側面はシリコーンの無機的性質を有する耐擦
傷性に優れた層を形成し、中間部はこれらの性質が混じ
り合う海島構造を形成しており、本例では膜厚を40〜
50μmに調整し、更にその上方にアルミ顔料を除いた
同質の透明な塗料ハニセランAW−130を30〜40
μmの膜厚でクリヤー層5を形成し本発明のマグネシウ
ム合金製ホイールを完成させた。
【0016】一方、上記の本発明のマグネシウム合金製
ホイールは、熱的環境の変化にも耐久性が証明されてい
る。熱的条件として自動車メーカーなどが採用している
試験を行った。熱的条件は次のようなものである。 試験方法 試験24h(時間)後碁盤目試験実施 使用試験機 恒温恒湿器 試験条件 1サイクル:下記条件 90℃×4h→20℃×0.5h→−40℃×1.5h→ 20℃×0.5h→70℃・95%Rh×3h→ 20℃×0.5h→−40℃×1.5h→20℃×0.5h 上記を2サイクル行ってホイールのディスク部とリム部
の表面を検査したころ碁盤目試験で塗膜の剥離は皆無で
あった。
【0017】
【発明の効果】上述したように、本発明のマグネシウム
合金基材は、軟質の陽極酸化被膜とエポキシオリゴマー
サフェーサが一体化して補強する複合層を防錆被膜構造
としているので、外部応力により撓みが生じる基材にも
十分な防錆性を発揮できる。更に陽極酸化被膜とエポキ
シオリゴマーサフェーサ層、化粧層、透明層は一体に構
成しているのであるがそれぞれの干渉を最低限に抑え、
応力による歪みとチッピングに対して段階的に対応する
ことで耐食性と耐擦傷性に優れたマグネシウム合金製ホ
イールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防錆被膜構造を示す電子顕微鏡による
拡大断面写真である。
【符号の説明】
1 マグネシウム合金基材 2 陽極酸化被膜 3 エポキシオリゴマーサフェーサ 4 中間化粧層 5 クリヤー層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウム合金基材の表層の少なくと
    も一部に陽極酸化被膜を形成し、更にその上方に樹脂層
    を形成した防錆構造において、 陽極酸化被膜の主成分がマグネシウム酸化物であり、実
    質的な硬度がビッカース硬度でHv100〜200(荷
    重50g)に調整され、 樹脂層として、分子量300〜10000のエポキシオ
    リゴマーに粒径範囲が0.1〜5.0μmの無機顔料を
    添加し、塗装時には溶剤希釈により粘度を10〜50m
    Pa・secに調整して、多孔質の陽極酸化被膜を可及
    的細部に至るまで全面的に被覆し、硬化させて前記の陽
    極酸化被膜と一体化した複合層を形成したことを特徴と
    するマグネシウム合金基材の防錆被膜構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の防錆被膜構造を有する
    マグネシウム合金製ホイール。
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