JP2003104906A - 抗癌剤 - Google Patents

抗癌剤

Info

Publication number
JP2003104906A
JP2003104906A JP2002173924A JP2002173924A JP2003104906A JP 2003104906 A JP2003104906 A JP 2003104906A JP 2002173924 A JP2002173924 A JP 2002173924A JP 2002173924 A JP2002173924 A JP 2002173924A JP 2003104906 A JP2003104906 A JP 2003104906A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antigen
salt
substance
cancer
partial peptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002173924A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsukasa Seya
司 瀬谷
Misako Matsumoto
美佐子 松本
Kenichiro Naito
健一郎 内藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP2002173924A priority Critical patent/JP2003104906A/ja
Publication of JP2003104906A publication Critical patent/JP2003104906A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた抗癌剤を提供する。 【解決手段】M161抗原もしくはその部分ペプチドま
たはその塩は、優れたCTL誘導作用を有している。M
161抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩と癌
抗原とを組み合わせて用いることにより、癌を効率良く
予防・治療することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、M161抗原もし
くはその部分ペプチドをまたはその塩を含有するCTL
誘導剤、M161抗原もしくはその部分ペプチドをまた
はその塩を用いる癌の予防・治療方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】免疫系は、自己と非自己を識別し、外界
の攻撃から自己を守るべく発達・進化してきた生体防御
系である。系統発生的により primitive な基本免疫系
(innate immunity)と、多様性のあるリンパ球を中心
とする獲得免疫系(acquired immunity)から成り立っ
ている。基本免疫系は、自己にはない糖やリピドを認識
する系で、補体系、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞
などがこれに含まれる。一方、獲得免疫系は、ペプチド
を認識する系で、リンパ球がエフェクター細胞である。
この両者は、独立して働くのではなく、基本免疫系から
のシグナル、すなわちサイトカインの産生や副刺激分子
の発現、抗原提示などによってリンパ球の活性化が誘導
される。この基本免疫系による一次応答がリンパ球によ
る選択的な二次応答の誘導に非常に重要であることが近
年提示されたことにより、基本免疫系の異物認識機構と
活性化機構が非常に注目を浴びるようになってきた(サ
イエンス(Science)272,50,1996)。基本免
疫系の活性化は、病原微生物やウイルス感染防御のみで
なく抗腫瘍免疫においても重要であり、活性化に関わる
種々の因子の同定や機能解析がなされている。M161
抗原は分子量約43kDaの糖鎖をもたない膜蛋白質で
ある。cDNA解析より、M161抗原は24個のアミ
ノ酸からなるシグナルペプチドを含む428個のアミノ
酸から構成された可溶型蛋白質であることが示唆された
が(ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)3,
11巻,1266,1997)、cDNAをプローブと
したサザンハイブリダイゼーションと遺伝子クローニン
グの結果、Mycoplasma fermentans の遺伝子産物で、
N末端システイン残基がパルミチン酸で修飾されたリポ
プロテインであることが明らかとなった(ジャーナル・
オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Che
m.)273,12407,1998)。すなわち、M1
61抗原遺伝子には原核生物特有のプロモーター領域と
リボソーム結合部位のシャインダルガーノ配列が存在
し、シグナルシークエンスには、原核生物のリポプロテ
イン特有のシグナル配列(AVSC)が存在することが
明らかとなった。M161抗原遺伝子は、M. fermentan
s の遺伝子産物である monocyte differentiation / ac
tivation factor P48 の遺伝子(621bp)と塩基配列
で99%の一致を示す。しかし、アミノ酸レベルでは、
N末端114アミノ酸が97%の一致を示すにもかかわ
らず、C末端アミノ酸は全く異なっており、一次構造
上、両者は異なる分子である。
【0003】M161抗原は補体C3の活性化能を有し
ている他、サイトカイン誘導活性を有しており、THP
−1細胞、レチノイン酸で処理してマクロファージ化し
たTHP−1細胞、ヒト monocytes からIL−1β、
TNF−β、TNF−α、IL−6、IL−8の産生を
誘導する。さらに、天然T細胞からTh1/Th2の分
化に影響を及ぼすサイトカインであるIL−10とIL
−12の産生もヒト monocytes において誘導する。M.
fermentans 由来の生理活性分子としては、これまでに
MALP−2とP48が報告されている。MALP−2
は、2モルのパルミチン酸がN末端システイン残基に結
合した14個のアミノ酸からなるリポペプチドで、マウ
スマクロファージに作用しNO産生を誘導する(ジャ
ーナル・エクスペアリメンタル・メディスン(J. Exp.
Med.)185,1951,1997)。14個のアミノ
酸は、M161抗原のN末端アミノ酸と同一である。最
近、MALP−2のもとの分子MALP−404が同定
され、M161抗原と同一であることが明らかとなっ
た。一方、P48は161個のアミノ酸からなる分子量
48kDaの蛋白質で、N末端90個のアミノ酸がM1
61抗原と相同しており、ヒトmonocytes や myelomono
cytic cell line に作用し炎症性サイトカイン(IL−
1β、TNF−α、IL−6)の産生を誘導する。さら
に、M161抗原は、未成熟樹状細胞の成熟化を誘導す
る。樹状細胞は、professional な抗原提示細胞といわ
れ、リンパ球の活性化に最も重要な細胞である。骨髄に
存在する前駆細胞から、サイトカインの刺激で分化し未
成熟樹状細胞(iDC)となり各臓器に分布する。抗原
貪食後、成熟樹状細胞(mDC)となり、リンパ節へと
移行しリンパ球に抗原を提示する。iDCは抗原の貪食
能が高く、costimulator は表現しておらずリンパ球を
活性化しない。一方、mDCは貪食能がなく、CD8
0、CD86、CD83といったcostimulatorを発現
し、リンパ球を活性化する。iDCからmDCへの移行
には、IL−1β、TNF−α、CD40Lといった生
体内分子あるいはLPSBCG−CWSといった微生物
の構成成分による刺激が必要である。末梢血単球からG
M−CSFとIL−4で分化させた未成熟樹状細胞を精
製M161抗原で刺激すると、成熟化のマーカーである
CD83とCD86の発現とIL−12P40の産生が
誘導されることから、M161抗原は樹状細胞の成熟化
を誘導しうることが明らかとなった。
【0004】マイコプラズマはウイルスと細菌の中間に
属する微生物で、細胞壁をもっていないことが特徴であ
る。M161抗原の発現は、すべてのマイコプラズマ種
に見られるものではなく、M. fermentans に特異的であ
る。M. fermentans はヒトに細胞内寄生感染するが、そ
れ自身の病原性は報告されていない。最近、AIDS発
症を促進する cofactor ではないかと報告されており、
患者の末梢血からDNAが検出されるが、この点は明ら
かではない。ホモロジーサーチにより、M161抗原の
特定のアミノ酸領域でホモロジーの高い分子が見い出さ
れる。これらは、Borreria、Treponema、Listeriaなど
のリポプロテインで、いずれもN末端システイン残基に
脂質が結合しており、免疫系を活性化する(Matsumoto
M. and Seya T., インターナショナル・ジャーナル・オ
ブ・モレキュラー・メディシン(Int. J. Mol. Med.)
3:291−295,1999)。このようなバクテリ
ア由来の分子を認識し、シグナルを細胞内へ伝達する分
子であるヒトの Toll ホモローグ(TLR4)が、19
97年に Janeway らによってクローニングされた(ネ
イチャー(Nature)388,394,1997)。Toll
の細胞外はロイシンリッチリピートからなり細胞内はI
L−1Rのシグナリングドメインと共通で、サイトカイ
ンの産生や副刺激分子の発現を誘導する。Toll 様分子
は、植物や昆虫にも広く見い出されており、非常に基本
的な生体防御分子のひとつと考えられる。Drosophila
では最初に、背・腹決定に必須の分子として同定され、
その後、細菌感染時の抗真菌ペプチドの誘導に関与する
ことが明らかとなっている。Toll からのシグナルは、
MyD88、IRAK、TRAF6を経てNF−kBへ
とつながり、標的遺伝子の発現を誘導する。ヒト/マウ
スでは、Toll like receptor (TLR)は報告されているも
ので6種類あり、そのうちTLR−4がLPSやlipote
ichoic acidsを、TLR-2が peptidoglycan やlipoprotei
n を認識し、シグナルを伝えることがノックアウトマウ
スを用いた解析で示されている(イムニティー(Immuni
ty)11,443,1999)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた癌の
予防・治療剤などを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、(1)M16
1抗原が予想外にも優れたCTL誘導作用を有するこ
と、(2)M161抗原と癌抗原とを併用することによ
り予想外にも癌を効率良く予防・治療できることを見出
した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さらに
検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、(1)M161抗原
もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなる
CTL誘導剤、(2)哺乳動物に対して、M161抗原
もしくはその部分ペプチドまたはその塩の有効量を投与
することを特徴とするCTL誘導方法、(3)CTL誘
導剤を製造するためのM161抗原もしくはその部分ペ
プチドまたはその塩の使用、(4)M161抗原もしく
はその部分ペプチドまたはその塩を含有してなるTh1細
胞誘導剤、(5)哺乳動物に対して、M161抗原もし
くはその部分ペプチドまたはその塩の有効量を投与する
ことを特徴とするTh1細胞誘導方法、(6)Th1細胞誘導
剤を製造するためのM161抗原もしくはその部分ペプ
チドまたはその塩の使用、(7)M161抗原もしくは
その部分ペプチドまたはその塩と癌抗原とを組み合わせ
て成る医薬、(8)抗癌剤である前記(7)記載の医
薬、(9)サイトカイン誘導剤である前記(7)記載の
医薬、(10)未成熟樹状細胞の成熟化誘導剤である前
記(7)記載の医薬、(11)貧食促進剤である前記
(7)記載の医薬、(12)CTL誘導剤である前記
(7)記載の医薬、(13)Th1細胞誘導剤である前記
(7)記載の医薬、(14)哺乳動物に対して、M16
1抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩の有効量
と癌抗原の有効量とを組み合わせて投与することを特徴
とする癌の予防・治療方法、(15)哺乳動物に対し
て、M161抗原もしくはその部分ペプチドまたはその
塩の有効量と癌抗原の有効量とを組み合わせて投与する
ことを特徴とするサイトカイン誘導方法、(16)哺乳
動物に対して、M161抗原もしくはその部分ペプチド
またはその塩の有効量と癌抗原の有効量とを組み合わせ
て投与することを特徴とする未成熟樹状細胞の成熟化誘
導方法、(17)哺乳動物に対して、M161抗原もし
くはその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌抗原の
有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする貧食
促進方法、(18)哺乳動物に対して、M161抗原も
しくはその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌抗原
の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするC
TL誘導方法、(19)哺乳動物に対して、M161抗
原もしくはその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌
抗原の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とす
るTh1細胞誘導方法、(20)抗癌剤を製造するための
M161抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩お
よび癌抗原の使用、(21)サイトカイン誘導剤を製造
するためのM161抗原もしくはその部分ペプチドまた
はその塩および癌抗原の使用、(22)未成熟樹状細胞
の成熟化誘導剤を製造するためのM161抗原もしくは
その部分ペプチドまたはその塩および癌抗原の使用、
(23)貧食促進剤を製造するためのM161抗原もし
くはその部分ペプチドまたはその塩および癌抗原の使
用、(24)CTL誘導剤を製造するためのM161抗
原もしくはその部分ペプチドまたはその塩および癌抗原
の使用、(25)Th1細胞誘導剤を製造するためのM1
61抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩および
癌抗原の使用、(26)M161抗原もしくはその部分
ペプチドと癌抗原との融合蛋白質またはその塩、(2
7)M161抗原もしくはその部分ペプチドのC末端に
癌抗原を連結した前記(26)記載の融合蛋白質、(2
8)M161抗原もしくはその部分ペプチドと癌抗原と
を連結させることを特徴とする前記(26)記載の融合
蛋白質またはその塩の製造法、(29)前記(26)記
載の融合蛋白質またはその塩を含有してなる医薬、(3
0)抗癌剤である前記(29)記載の医薬、(31)サ
イトカイン誘導剤である前記(29)記載の医薬、(3
2)未成熟樹状細胞の成熟化誘導剤である前記(29)
記載の医薬、(33)貧食促進剤である前記(29)記
載の医薬、(34)CTL誘導剤である前記(29)記
載の医薬、(35)Th1細胞誘導剤である前記(29)
記載の医薬、(36)哺乳動物に対して、前記(26)
記載の融合蛋白質またはその塩の有効量を投与すること
を特徴とする癌の予防・治療方法、(37)哺乳動物に
対して、前記(26)記載の融合蛋白質またはその塩の
有効量を投与することを特徴とするサイトカイン誘導方
法、(38)哺乳動物に対して、前記(26)記載の融
合蛋白質またはその塩の有効量を投与することを投与す
ることを特徴とする未成熟樹状細胞の成熟化誘導方法、
(39)哺乳動物に対して、前記(26)記載の融合蛋
白質またはその塩の有効量を投与することを特徴とする
貧食促進方法、(40)哺乳動物に対して、前記(2
6)記載の融合蛋白質またはその塩の有効量を投与する
ことを特徴とするCTL誘導方法、(41)哺乳動物に
対して、前記(26)記載の融合蛋白質またはその塩の
有効量を投与することを特徴とするTh1細胞誘導方法、
(42)抗癌剤を製造するための前記(26)記載の融
合蛋白質またはその塩の使用、(43)サイトカイン誘
導剤を製造するための前記(26)記載の融合蛋白質ま
たはその塩の使用、(44)未成熟樹状細胞の成熟化誘
導剤を製造するための前記(26)記載の融合蛋白質ま
たはその塩の使用、(45)貧食促進剤を製造するため
の前記(26)記載の融合蛋白質またはその塩の使用、
(46)CTL誘導剤を製造するための前記(26)記
載の融合蛋白質またはその塩の使用、(47)Th1細胞
誘導剤を製造するための前記(26)記載の融合蛋白質
またはその塩の使用、(48)M161抗原もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩および癌抗原を用いること
を特徴とする抗癌作用を有する物質のスクリーニング方
法,(49)前記(48)記載のスクリーニング方法で
得られる抗癌作用を有する物質、(50)前記(48)
記載のスクリーニング方法で得られる抗癌作用を有する
物質を含有してなる医薬、(51)M161抗原もしく
はその部分ペプチドまたはその塩および癌抗原を用いる
ことを特徴とするM161抗原もしくはその部分ペプチ
ドまたはその塩の活性を増強する物質のスクリーニング
方法、(52)前記(51)記載のスクリーニング方法
で得られるM161抗原もしくはその部分ペプチドまた
はその塩の活性を増強する物質、(53)前記(51)
記載のスクリーニング方法で得られるM161抗原もし
くはその部分ペプチドまたはその塩の活性を増強する物
質を含有してなる医薬、(54)M161抗原もしくは
その部分ペプチドまたはその塩および癌抗原を用いるこ
とを特徴とするサイトカインの誘導を促進する物質のス
クリーニング方法、(55)前記(54)記載のスクリ
ーニング方法で得られるサイトカインの誘導を促進する
物質、(56)前記(54)記載のスクリーニング方法
で得られるサイトカインの誘導を促進する物質を含有し
てなる医薬、(57)M161抗原もしくはその部分ペ
プチドまたはその塩および癌抗原を用いることを特徴と
するCTLの誘導を促進する物質のスクリーニング方
法、(58)前記(57)記載のスクリーニング方法で
得られるCTLの誘導を促進する物質、(59)前記
(57)記載のスクリーニング方法で得られるCTLの
誘導を促進する物質を含有してなる医薬、(60)M1
61抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩および
癌抗原を用いることを特徴とするTh1細胞の誘導を促進
する物質のスクリーニング方法、(61)前記(60)
記載のスクリーニング方法で得られるTh1細胞の誘導を
促進する物質、(62)前記(60)記載のスクリーニ
ング方法で得られるTh1細胞の誘導を促進する物質を含
有してなる医薬、(63)さらに未成熟樹状細胞を用い
ることを特徴とする前記(48)、(51)、(5
4)、(57)または(60)記載のスクリーニング方
法、(64)M161抗原もしくはその部分ペプチドま
たはその塩、癌抗原および未成熟樹状細胞を用いること
を特徴とする未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質の
スクリーニング方法、(65)前記(64)記載のスク
リーニング方法で得られる未成熟樹状細胞の成熟化を誘
導する物質、(66)前記(64)記載のスクリーニン
グ方法で得られる未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物
質を含有してなる医薬、(67)M161抗原もしくは
その部分ペプチドまたはその塩、癌抗原および未成熟樹
状細胞を用いることを特徴とする貪食を促進する物質の
スクリーニング方法、(68)前記(67)記載のスク
リーニング方法で得られる貪食を促進する物質、(6
9)前記(67)記載のスクリーニング方法で得られる
貪食を促進する物質を含有してなる医薬、(70)前記
(26)記載の融合蛋白質またはその塩を用いることを
特徴とする当該融合蛋白質またはその塩の作用を増強す
る物質のスクリーニング方法、(71)前記(70)記
載のスクリーニング方法で得られる、前記(26)記載
の融合蛋白質またはその塩の作用を増強する物質、(7
2)前記(70)記載のスクリーニング方法で得られ
る、前記(26)記載の融合蛋白質またはその塩の作用
を増強する物質を含有してなる医薬、(73)前記(2
6)記載の融合蛋白質またはその塩を用いることを特徴
とするサイトカインの誘導を促進する物質のスクリーニ
ング方法、(74)前記(73)記載のスクリーニング
方法で得られる、サイトカインの誘導を促進する物質、
(75)前記(73)記載のスクリーニング方法で得ら
れる、サイトカインの誘導を促進する物質を含有してな
る医薬、(76)前記(26)記載の融合蛋白質または
その塩を用いることを特徴とするCTLの誘導を促進す
る物質のスクリーニング方法、(77)前記(76)記
載のスクリーニング方法で得られる、CTLの誘導を促
進する物質、(78)前記(76)記載のスクリーニン
グ方法で得られる、CTLの誘導を促進する物質を含有
してなる医薬、(79)前記(26)記載の融合蛋白質
またはその塩を用いることを特徴とするTh1細胞の誘導
を促進する物質のスクリーニング方法、(80)前記
(79)記載のスクリーニング方法で得られる、Th1細
胞の誘導を促進する物質、(81)前記(79)記載の
スクリーニング方法で得られる、Th1細胞の誘導を促進
する物質を含有してなる医薬、(82)前記(26)記
載の融合蛋白質またはその塩および未成熟樹状細胞を用
いることを特徴とする未成熟樹状細胞の成熟化を誘導す
る物質のスクリーニング方法、(83)前記(82)記
載のスクリーニング方法で得られる、未成熟樹状細胞の
成熟化を誘導する物質、(84)前記(82)記載のス
クリーニング方法で得られる、未成熟樹状細胞の成熟化
を誘導する物質を含有してなる医薬、(85)前記(2
6)記載の融合蛋白質またはその塩および未成熟樹状細
胞を用いることを特徴とする貪食を促進する物質のスク
リーニング方法、(86)前記(85)記載のスクリー
ニング方法で得られる、貪食を促進する物質、(87)
前記(85)記載のスクリーニング方法で得られる、貪
食を促進する物質を含有してなる医薬、(88)M16
1抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩および癌
抗原を用いることを特徴とするTLR2を活性化させる
物質のスクリーニング方法、(89)前記(88)記載
のスクリーニング方法で得られる、TLR2を活性化さ
せる物質、(90)前記(88)記載のスクリーニング
方法で得られる、TLR2を活性化させる物質を含有し
てなる医薬、(91)M161抗原もしくはその部分ペ
プチドまたはその塩および癌抗原を用いることを特徴と
する(1)M161抗原もしくはその部分ペプチドまた
はその塩と(2)TLR2および/またはβ2インテグ
リンとの結合性を変化させる物質のスクリーニング方
法、(92)前記(91)記載のスクリーニング方法で
得られる、(1)M161抗原もしくはその部分ペプチ
ドまたはその塩と(2)TLR2および/またはβ2イ
ンテグリンとの結合性を変化させる物質、(93)前記
(91)記載のスクリーニング方法で得られる、(1)
M161抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩と
(2)TLR2および/またはβ2インテグリンとの結
合性を変化させる物質を含有してなる医薬、(94)前
記(26)記載の融合蛋白質またはその塩を用いること
を特徴とする(1)前記(26)記載の融合蛋白質また
はその塩と(2)TLR2および/またはβ2インテグ
リンとの結合性を変化させる物質のスクリーニング方
法、(95)前記(94)記載のスクリーニング方法で
得られる、(1)前記(26)記載の融合蛋白質または
その塩と(2)TLR2および/またはβ2インテグリ
ンとの結合性を変化させる物質、(96)前記(94)
記載のスクリーニング方法で得られる、(1)前記(2
6)記載の融合蛋白質またはその塩と(2)TLR2お
よび/またはβ2インテグリンとの結合性を変化させる
物質を含有してなる医薬、(97)哺乳動物のTLR2
および/またはβ2インテグリンを活性化することを特
徴とする癌の予防・治療方法、(98)哺乳動物に対し
て、TLR2に対するリガンドまたはアゴニストの有効
量および/またはβ2インテグリンに対するリガンドま
たはアゴニストの有効量を投与することを特徴とする癌
の予防・治療方法、(99)(1)M161抗原もしく
はその部分ペプチドまたはその塩、(2)癌抗原および
(3)他の抗癌剤とを組み合わせてなる医薬、(10
0)哺乳動物に対して、(1)M161抗原もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩、(2)癌抗原および
(3)他の抗癌剤とを組み合わせて有効量を投与するこ
とを特徴とする癌の予防・治療方法、(101)抗癌性
併用剤を製造するための(1)M161抗原もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩、(2)癌抗原および
(3)他の抗癌剤の使用、(102)M161抗原もし
くはその部分ペプチドと癌抗原との融合蛋白質またはそ
の塩と他の抗癌剤とを組み合わせてなる医薬、(10
3)哺乳動物に対して、M161抗原もしくはその部分
ペプチドと癌抗原との融合蛋白質またはその塩と他の抗
癌剤とを組み合わせて有効量を投与することを特徴とす
る癌の予防・治療方法、(104)抗癌性併用剤を製造
するためのM161抗原もしくはその部分ペプチドと癌
抗原との融合蛋白質またはその塩と他の抗癌剤の使用、
(105)他の抗癌剤がチロシンキナーゼ阻害剤である
前記(99)または(102)記載の医薬、(106)
他の抗癌剤がチロシンキナーゼ阻害剤である前記(10
0)または(103)記載の方法、(107)他の抗癌
剤がチロシンキナーゼ阻害剤である前記(101)また
は(104)記載の使用等を提供する。さらに、(10
8)部分ペプチドが配列番号:1で表されるアミノ酸配
列を有する前記(1)または(4)記載の剤、(10
9)M161抗原が、配列番号:2で表されるアミノ酸
配列のN末端システイン残基のチオール基を介して脂質
が結合したペプチドである前記(1)または(4)記載
の剤、(110)部分ペプチドが、配列番号:1で表さ
れるアミノ酸配列のN末端システイン残基のチオール基
を介して脂質が結合したペプチドである前記(1)また
は(4)記載の剤、(111)脂質が1または2個の炭
素数2〜24個の飽和脂肪酸である前記(109)また
は(110)項記載の剤、(112)脂質が2個のパル
ミチン酸である前記(109)または(110)項記載
の剤、(113)M161抗原が配列番号:2で表され
るアミノ酸配列を有する前記(7)記載の医薬、(11
4)部分ペプチドが配列番号:1で表されるアミノ酸配
列を有する前記(7)記載の医薬、(115)M161
抗原が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列のN末端
システイン残基のチオール基を介して脂質が結合したペ
プチドである前記(7)記載の医薬、(116)部分ペ
プチドが、配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末
端システイン残基のチオール基を介して脂質が結合した
ペプチドである前記(7)記載の医薬、(117)脂質
が1または2個の炭素数2〜24個の飽和脂肪酸である
前記(115)または(116)記載の剤、および(1
18)脂質が2個のパルミチン酸である前記(115)
または(116)記載の剤等を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるM161抗原
としては、ネイチャー・メディシン(NatureMedicine)
3,11巻、1266頁,1997に記載のものを用い
ることができる。さらには、M161抗原としては、例
えば、ネイチャー・メディシン(NatureMedicine)3,
11巻、1997の1267頁に記載のアミノ酸配列
(以下、アミノ酸配列A)と実質的に同一のアミノ酸配
列を含有するペプチドなどが用いられ、これらペプチド
は温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニ
ワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル、ヒトなど
の哺乳動物や鳥類)の細胞[例えば、肝細胞、脾細胞、
神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサン
ギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細
胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細
胞、免疫細胞(例えば、マクロファージ、T細胞、B細
胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基
球、好酸球、単球など)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細
胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、もしくは
間質細胞、またはこれらの細胞の前駆細胞、幹細胞もし
くはガン化細胞など]もしくはそれらの細胞が存在する
あらゆる組識[例えば、脳、脳の各部位(例えば、嗅
球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳
皮質、延髄、小脳など)脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎
臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮
膚、筋肉、肺、消化管(例えば、大腸、小腸など)、血
管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾
丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など]または
血球系の細胞もしくはその培養細胞株などに由来するペ
プチド、合成ペプチド、組換え型ペプチドの何れであっ
てもよい。
【0009】アミノ酸配列Aは具体的には配列番号:2
で表されるアミノ酸配列〔図1〕である。アミノ酸配列
Aと実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質と
は、アミノ酸配列Aと約70%以上、好ましくは約80
%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは
約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する蛋
白質などが挙げられる。アミノ酸配列Aと実質的に同一
のアミノ酸配列を有する蛋白質としては、例えば、前記
のアミノ酸配列Aと実質的に同一のアミノ酸配列を有
し、アミノ酸配列Aを有する蛋白質と実質的に同質の活
性を有する蛋白質などが好ましい。実質的に同質の活性
としては、例えば、シグナル伝達活性、サイトカイン誘
導活性、未成熟樹状細胞の成熟化誘導作用、貧食促進作
用、補体活性化作用などがあげられる。実質的に同質と
は、それらの活性が性質的に(例、生理化学的に、また
は薬理学的に)同質であることを示す。また、M161
抗原としては、例えば、アミノ酸配列A中の1または2
個以上(好ましくは、1から7個程度、より好ましくは
1から5個程度、さらに好ましくは1から3個)のアミ
ノ酸が欠失したアミノ酸配列、アミノ酸配列Aに1また
は2個以上(好ましくは、1から7個程度、より好まし
くは1から5個程度、さらに好ましくは1から3個)の
アミノ酸が付加または挿入されたアミノ酸配列、アミノ
酸配列A中の1または2個以上(好ましくは、1から7
個程度、より好ましくは1から5個程度、さらに好まし
くは1から3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換され
たアミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸
配列を含有する蛋白質なども用いられる。
【0010】M161抗原の部分ペプチドとしては、前
記したM161抗原の断片ペプチドであって、少なくと
も10個以上、好ましくは10〜50個程度、特に好ま
しくは10〜15個程度のアミノ酸残基からなり、前記
したM161抗原と実質的に同質の活性を有するペプチ
ドなどが用いられる。この部分ペプチドは温血動物(例
えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサ
ギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル、ヒトなどの哺乳動物や
鳥類)の細胞[例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グ
リア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、
ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、
繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞
(例えば、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラ
ルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、
単球など)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨
芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、もしくは間質細胞、また
はこれらの細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン化細胞
など]もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組識
[例えば、脳、脳の各部位(例えば、嗅球、扁桃核、大
脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小
脳など)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖
腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消
化管(例えば、大腸、小腸など)、血管、心臓、胸腺、
脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子
宮、骨、関節、骨格筋など]または血球系の細胞もしく
はその培養細胞株などに由来するペプチド、合成ペプチ
ド、組換え型ペプチドの何れであってもよい。実質的に
同質の活性としては、例えば、シグナル伝達活性、サイ
トカイン誘導活性、未成熟樹状細胞の成熟化誘導作用、
貧食促進作用、補体活性化作用、あるいはこれらから選
ばれる1もしくは2種以上の活性などがあげられる。実
質的に同質とは、それらの活性が性質的に(例、生理化
学的に、または薬理学的に)同質であることを示す。よ
り具体的には、M161抗原の部分ペプチドとしては、
例えば、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的
に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドなどが用いら
れる。配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に
同一のアミノ酸配列を含有するペプチドとは、配列番
号:1で表されるアミノ酸配列と約70%以上、好まし
くは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も
好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列
を有するペプチドなどが挙げられる。また、M161抗
原の部分ペプチドとしては、例えば、配列番号:1で表
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1から7個程度、より好ましくは1から5個程度、
さらに好ましくは1から3個)のアミノ酸が欠失したア
ミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に
1または2個以上(好ましくは、1から7個程度、より
好ましくは1から5個程度、さらに好ましくは1から3
個)のアミノ酸が付加または挿入されたアミノ酸配列、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2
個以上(好ましくは、1から7個程度、より好ましくは
1から5個程度、さらに好ましくは1から3個)のアミ
ノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または
それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するペプチド
なども用いられる。
【0011】M161抗原またはその部分ペプチドは、
ペプチド表記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末
端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列
番号:2で表されるアミノ酸配列を有するM161抗
原、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するM1
61抗原の部分ペプチドをはじめとするM161抗原ま
たはその部分ペプチドは、C末端がカルボキシル基(−
COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド
(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れ
であってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、
例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル
もしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例え
ば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8
クロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなど
のC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチ
ル、α−ナフチルメチルなどのC6−12アリール−C
1−2アルキル基のほか、経口用エステルとして汎用さ
れるピバロイルオキシメチルエステルなどが用いられ
る。M161抗原またはその部分ペプチドがC末端以外
にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有して
いる場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化
されているものもM161抗原またはその部分ペプチド
に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば、上
記したC末端のエステルなどが用いられる。さらに、M
161抗原またはその部分ペプチドには、分子内のアミ
ノ酸の側鎖上にある、例えば、OH、COOH、N
、SHなどが適当な保護基(例えば、ホルミル基、
アセチル基などのC1−6アシル基など)で保護されて
いるもの、糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複
合ペプチドなども含まれる。
【0012】合成したM161抗原またはその部分ペプ
チドは、分子内に脂質が結合していることが望ましい。
該脂質は、ペプチドや蛋白質に結合し得る脂質であれば
特に限定されないが、例えば、脂肪酸、アシルグリセロ
ール類、リン脂質、スフィンゴリピド、糖脂質、グリセ
リンエーテル、テルペノイド、ステロールなどが挙げら
れる。脂肪酸としては、飽和脂肪酸(酢酸、プロピオン
酸、酪酸、カプロン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、
ベヘン酸、リグノセリン酸などの炭素数2〜24個の飽
和脂肪酸)、不飽和脂肪酸(オレイン酸、バクセン酸、
リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキ
ドン酸などの炭素数15〜24の不飽和脂肪酸)、α−
エレオステアリン酸、タリル酸、イサン酸、ラクロバシ
ル酸、ベルノル酸、プロスタグランジンなどが用いら
れ、なかでもパルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数
2〜24個の飽和脂肪酸が好ましい。アシルグリセロー
ル類(中性脂質とも呼ばれる)とは、グリセロールと前
記した脂肪酸とのモノエステル、ジエステルまたはトリ
エステルを言い、なかでもグリセロールと脂肪酸とのト
リエステルであるトリアシルグリセロールが好ましい。
リン脂質としては、リン酸の他、グリセロール、脂肪酸
または(および)窒素塩基を含んでいてもよい脂質が用
いられ、例えば、3−sn−ホスファチジルコリン、3
−sn−ホスファチジルエタノールアミン、3−sn−
ホスファチジルセリン、3−sn−ホスファチジルエタ
ノールアミン、1−アルコキシホスホリピド、3−sn
−ホスファチジルイノシトール、3−sn−ホスファチ
ジルグリセロールなどが用いられる。スフィンゴリピド
としては、セレブロシド、サイコシン、スフィンゴミエ
リンなどが用いられる。糖脂質としては、炭水化物とジ
アシルグリセロールを主成分とし、リン酸を含まない脂
質が用いられ、例えば、3−sn−モノガラクトシルジ
アシルグリセロール、3−sn−ジガラクトシルジアシ
ルグリセロール、3−sn−(6−スルホ−6−デオキ
シ−α−D−グリコシル)ジアシルグリセロールなどが
用いられる。グリセリンエーテルとしては、例えば、1
−アルキル−2,3−ジアシル−sn−グリセロール、
1−アルケニル−2,3−ジアシル−sn−グリセロー
ル、1−アルキル−2−アセチル−sn−グリセロール
−3−ホスホリルコリンなどが用いられる。テルペノイ
ドとしては、イソプレノイド重合体、β−カロチンなど
が用いられる。ステロールとしては、例えば、コレステ
ロールまたはそのエステルなどが用いられる。上記した
中でも、脂質としては、脂肪酸が好ましく、特にパルミ
チン酸、ステアリン酸などの炭素数2〜24個の飽和脂
肪酸が好ましい。
【0013】上記脂質とM161抗原またはその部分ペ
プチドとの結合位置は、特に限定されないが、上記した
M161抗原またはその部分ペプチドのN末端などが好
適である。また、上記脂質とM161抗原またはその部
分ペプチドとの結合様式も特に限定されないが、上記し
たM161抗原またはその部分ペプチドの構成アミノ酸
の側鎖上にある、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル
基、アミノ基、チオール基などを介して結合していても
よい。例えば、M161抗原またはその部分ペプチドが
配列番号:2または配列番号:1で表されるペプチドで
ある場合、N末端のシステイン残基のチオール基を介し
て脂質が結合していてもよい。例えば、M161抗原の
部分ペプチドとしては、配列番号:1で表されるアミノ
酸配列からなるペプチドのN末端システイン残基を介し
て2個の炭素数2〜24個の飽和脂肪酸(特に、パルミ
チン酸)が結合したペプチドなどが好ましく、特に、式
【化1】 (式中、Palはパルミチン酸を示す)で表されるMA
LP−2などが好ましい。M161抗原またはその部分
ペプチドと脂質との結合は、自体公知の方法を用いて行
うことができる。例えば、MALP−2は、ジャーナル
・エクスペアリメンタル・メディスン(J. Exp. Me
d.), Vol. 185, Number 11, June 2, 1997, 1951-1958
に記載の方法に従って製造することができる。
【0014】M161抗原またはその部分ペプチドの塩
としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好
ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば、
塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有
機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、
マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、
シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸)との塩などが用いられる。また、無機塩基(例
えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カル
シウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミ
ニウムまたはアンモニウムなど)との塩、有機塩基(例
えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジ
ン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘ
キシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジ
ベンジルエチレンジアミンなど)との塩なども用いられ
る。
【0015】M161抗原またはその部分ペプチド
(例、MALP−2)またはその塩(以下、本発明のペ
プチド等と略記する)のプロドラッグとしては、生体内
における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により本
発明のペプチド等に変換する化合物、すなわち酵素的に
酸化、還元、加水分解等を起こして本発明のペプチド等
に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして
本発明のペプチド等に変化する化合物などが用いられ
る。具体的には、本発明のペプチド等のプロドラッグと
しては、本発明のペプチド等のアミノ基がアシル化、ア
ルキル化、りん酸化された化合物(例えば、本発明のペ
プチド等のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、
ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキ
ソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボ
ニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル
化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された
化合物等);本発明のペプチド等の水酸基がアシル化、
アルキル化、りん酸化、ホウ酸化された化合物(例え
ば、本発明のペプチド等の水酸基がアセチル化、パルミ
トイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル
化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカ
ルボニル化された化合物等);本発明のペプチド等のカ
ルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例え
ば、本発明のペプチド等のカルボキシ基がエチルエステ
ル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル
化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキ
シメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチル
エステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2
−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエ
ステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエス
テル化、メチルアミド化された化合物等);等が挙げら
れる。これらの化合物は自体公知の方法によって本発明
のペプチド等から製造することができる。また、本発明
のペプチド等のプロドラッグは、広川書店1990年刊
「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁
に記載されているような生理的条件で本発明のペプチド
等に変化するものであってもよい。
【0016】M161抗原もしくはその部分ペプチドま
たはその塩(以下、M161抗原と略記する)は、
(1)前述した哺乳動物の細胞または組織から自体公知
の方法によっても製造することもできるし、(2)ペプ
チド合成法に準じて製造することもできるし、(3)M
161抗原をコードするDNAを含有する形質転換体を
培養することによっても製造することができる。 〔哺乳動物の細胞または組織から製造する方法〕ヒトや
哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや哺
乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸など
で抽出を行い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イ
オン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー
を組合せることによりM161抗原を単離精製すること
ができる。
【0017】〔ペプチド合成法に準じて製造する方法〕
M161抗原またはそのアミド体は、自体公知のペプチ
ドの合成法に従って、あるいはM161抗原を適当なペ
プチダーゼで切断することによって製造することができ
る。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、
液相合成法のいずれによってもよい。すなわち、当該部
分ペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸
と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合
は保護基を脱離することにより目的のM161抗原を製
造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離と
しては、例えば、以下のからに記載された方法が挙
げられる。 M.BodanszkyおよびM.A.Ondett
i、ペプチド シンセシス(Peptide Synth
esis),Interscience Publis
hers,New York(1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチ
ド(The Peptide),Academic Pr
ess,New York(1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)
(1975年) 矢島治明および榊原俊平、生化学実験講座1、タンパ
ク質の化学IV、205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合
成 広川書店
【0018】より具体的には、M161抗原またはその
アミド体の合成には、通常市販のペプチド合成用樹脂を
用いることができる。そのような樹脂としては、例え
ば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズ
ヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジル
オキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒド
リルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルフ
ェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹
脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニルヒドロキシ
メチル)フェノキシ樹脂、4−(2’ ,4’−ジメト
キシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂
などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α
−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、
目的とする部分ペプチドの配列通りに、自体公知の各種
縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹
脂から部分ペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除
去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形
成反応を実施し、目的のM161抗原またはそのアミド
体を取得する。上記した保護アミノ酸の縮合に関して
は、ペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いる
ことができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カル
ボジイミド類としては、DCC、N,N’ −ジイソプ
ロピルカルボジイミド、N−エチル−N’ −(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミドなどが用いられ
る。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例え
ば、HOBt、HOOBt)とともに保護アミノ酸を直
接樹脂に添加するか、または、対称酸無水物またはHO
BtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらか
じめ保護アミノ酸の活性化を行った後に樹脂に添加する
ことができる。
【0019】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しうる
ことが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度は、
ペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃から50℃の
範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体
は通常1.5から4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン
反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保
護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことによ
り十分な縮合を行うことができる。反応を繰り返しても
十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセ
チルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化
することができる。
【0020】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、tert−ペンチルオキシカルボニ
ル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマン
チルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロ
イル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジ
フェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられ
る。カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化
(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ter
t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロ
ヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直
鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラ
ルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニ
トロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステ
ル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエス
テル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカル
ボニルヒドラジド化、tert−ブトキシカルボニルヒ
ドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護す
ることができる。セリンの水酸基は、例えば、エステル
化またはエーテル化によって保護することができる。こ
のエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基
などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイ
ル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニ
ル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。ま
た、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル
基、テトラヒドロピラニル基、tert−ブチル基など
である。チロシンのフェノール性水酸基の保護基として
は、例えば、Bzl、Cl−Bzl、2−ニトロベン
ジル、Br−Z、tert−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼ
ンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bu
m、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。原料
のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例え
ば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコ
ール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−
トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、
シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HO
NB、N−ヒドロキシスクシミド、HOBt)とのエス
テル]などが用いられる。原料のアミノ基の活性化され
たものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用い
られる。
【0021】保護基の除去(脱離)方法としては、例え
ば、Pd黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での
水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メ
タンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリ
フルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理
や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、
ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また、液
体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられ
る。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃か
ら40℃の温度で行われるが、酸処理においては、例え
ば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタク
レゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,
4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールなど
のようなカチオン補足剤の添加が有効である。また、ヒ
スチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4
−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去
され、トリプトファンのインドール保護基として用いら
れるホルミル基は上記1,2−エタンジチオール、1,
4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保
護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなど
によるアルカリ処理によっても除去される。原料の反応
に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およ
びその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化な
どは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
【0022】目的とするM161抗原のアミド体を得る
別の方法としては、例えば、まず、カルボキシル末端ア
ミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した
後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした
後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみ
を除いた部分ペプチドとC末端のカルボキシル基の保護
基のみを除去した部分ペプチドとを製造し、この両部分
ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については上記と同様である。縮合により
得られた保護ペプチドを精製した後、上記方法によりす
べての保護基を除去し、所望の粗M161抗原を得るこ
とができる。この粗M161抗原は既知の各種精製手段
を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望
のM161抗原のアミド体を得ることができる。M16
1抗原のエステル体を得るには、例えば、カルボキシル
末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール
類と縮合しアミノ酸エステルとした後、M161抗原の
アミド体と同様にして、所望のM161抗原のエステル
体を得ることができる。また、反応後は通常の精製法、
例えば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、
液体クロマトグラフィー、再結晶などを組合せて目的の
部分ペプチドを単離精製することができる。上記方法で
得られるM161抗原が遊離体である場合は、公知の方
法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩
で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換す
ることができる。
【0023】〔M161抗原をコードするDNAを含有
する形質転換体を培養することによって製造する方法〕
M161抗原をコードするDNAとしては、M161抗
原をコードする塩基配列を含有するものであればいかな
るものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムD
NAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDN
A、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリーよ
り自体公知の方法により単離されたもの、合成DNAの
いずれでもよい。具体的には、ネイチャー・メディシン
(Nature Medicine)3,1266,1997;ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol.
Chem.)273,12407,1998などに記載のc
DNAを用いることができる。ライブラリーに使用する
ベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミ
ド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前
記した細胞・組織よりtotalRNA画分またはmR
NA画分を調製したものを用いて、直接Reverse
Transcriptase Polymerase
Chain Reaction(以下、RT−PCR法
と略称する)によって単離することもできる。具体的に
は、本発明のM161抗原をコードするDNAとして
は、例えば、配列番号:3で表わされる塩基配列を含有
するDNA、または配列番号:3で表わされる塩基配列
とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
塩基配列を有し、本発明のM161抗原と実質的に同質
の活性(例、シグナル伝達活性、サイトカイン誘導活
性、未成熟樹状細胞の成熟化誘導作用、貧食促進作用、
補体活性化作用など)を有するペプチドをコードするD
NAであれば何れのものでもよい。配列番号:3で表わ
される塩基配列とハイブリダイズできるDNAとして
は、例えば、配列番号:3で表わされる塩基配列と約7
0%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約
90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有
する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。ハイ
ブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じ
る方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecu
lar Cloning)2nd(J. Sambrook et al.,Cold Spring
Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って
行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用
する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行な
うことができる。より好ましくは、ハイストリンジェン
トな条件に従って行なうことができる。該ハイストリン
ジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19
〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約
50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示
す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65
℃の場合が最も好ましい。より具体的には、配列番号:
2で表わされるアミノ酸配列を含有するM161抗原を
コードするDNAとしては、配列番号:3で表わされる
塩基配列を含有するDNA〔図2〕などが用いられる。
M161抗原の部分ペプチドをコードするDNAとして
は、例えば、(1)配列番号:3で表わされる塩基配列
を有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、または
(2)配列番号:3で表わされる塩基配列とハイストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有
し、本発明のM161抗原と実質的に同質の活性(例、
シグナル伝達活性、サイトカイン誘導活性、未成熟樹状
細胞の成熟化誘導作用、貧食促進作用、補体活性化作用
など)を有するペプチドをコードするDNAの部分塩基
配列を有するDNAなどが用いられる。
【0024】M161抗原をコードするDNAのクロー
ニングの手段としては、M161抗原の部分配列をコー
ドする塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて
PCR法によって増幅するか、または適当なベクターに
組み込んだDNA、また、ゲノムDNA、ゲノムDNA
ライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前
記した細胞・組織由来のcDNAライブラリーより自体
公知の方法により単離されたものをM161抗原の一部
あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成D
NAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーション
によって単離することができる。ハイブリダイゼーショ
ンの方法は、例えば、モレキュラー クローニング(M
olecular Cloning)2nd ( J.Sa
mbrook et.al., Cold Spring H
arbor Lab.Press,1989)に記載の方
法などに従って行うことができる。また、市販のライブ
ラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法
に従って行うことができる。DNAの塩基配列の変換
は、公知のキット、例えば、MutantTM−sup
er Express Km(宝酒造(株))、Muta
ntTM−K(宝酒造(株))などを用いて、ODA−
LA PCR法、Gapped duplex法、Kun
kel法などの自体公知の方法あるいはそれらに準じる
方法に従って行うことができる。
【0025】クローン化されたM161抗原をコードす
るDNAは目的によりそのまま、または所望により制限
酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用する
ことができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コ
ドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終
止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有して
いてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドン
は適当な合成DNAアダプターを用いて付加することも
できる。M161抗原の発現ベクターは、例えば、
(イ)M161抗原をコードするDNAから目的とする
DNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発
現ベクター中のプロモーターの下流に連結することによ
り製造することができる。べクターとしては、大腸菌由
来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,p
UC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド
(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由
来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファ
ージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワク
シニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイルス
などの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、
pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられ
る。プロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主
に対応して適切なプロモーターであればいかなるもので
もよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、
SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモ
ーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショッ
クプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、
SRαプロモーターなどが挙げられる。これらのうち、
サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモータ
ーなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌
である場合は、trpプロモーター、lacプロモータ
ー、recAプロモーター、λPプロモーター、lp
pプロモータなどが、宿主がバチルス属菌である場合
は、SP01プロモーター、SP02プロモーター、p
enPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、p
H05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロ
モーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が
昆虫細胞である場合には、ポリヘドリンプロモーター、
P10プロモ−ターなどが好ましい。
【0026】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子[メソトレキセート(M
TX)耐性]、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
と略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)
などが挙げられる。特に、CHO(dhfr)細胞を
用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場
合、目的遺伝子を含有する形質転換体をチミジンを含ま
ない培地によっても選択することができる。また、必要
に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、M161抗原
のN末端側に付加することもできる。宿主がエシェリヒ
ア属菌である場合は、アルカリフォスファターゼ・シグ
ナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチ
ルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配
列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母で
ある場合は、メイテイングファクターα・シグナル配
列、インベルターゼ・シグナル配列など、宿主が動物細
胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配
列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・
シグナル配列などがそれぞれ利用できる。このようにし
て構築されたM161抗原をコードするDNAを含有す
るベクターを用いて、形質転換体を製造することができ
る。
【0027】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
エシェリヒア・コリ(Escherichia col
i)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・
ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. S
ci. USA),60巻,160(1968)〕,JM
103〔ヌクイレックアシッズ・リサーチ(Nucle
ic Acids Research),9巻,309
(1981), JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Mole
cular Biology)〕,120巻,517
(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレ
キユラー・バイオロジー,41巻,459(196
9)〕,C600〔ジェネティックス(Genetic
s),39巻,440(1954)〕などが用いられ
る。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サブチ
リス(BacillusSubtilis)MI114
〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−2
21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Jou
rnal of Biochemistry),95巻.
87(1984)〕などが用いられる。酵母としては、
例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccha
romyces cerevisiae)AH22,A
H22R,NA87−11A,DKD−5D,20B
−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizo
saccharomyces pombe)NCYC1
913、NCYC2036、サッカロマイセス ピキア
パストリス(Saccharomyces picj
ia pastoris)などが用いられる。昆虫細胞
としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜
盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera fr
ugiperda cell;Sf細胞)、Trich
oplusia niの中腸由来のMG1細胞、Tri
choplusia niの卵由来のHigh Five
TM細胞、Mamestra brassicae由来
の細胞またはEstigmena acrea由来の細
胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、
蚕由来株化細胞(Bombyx mori N細胞;Bm
N細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例え
ば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf2
1細胞(以上、Vaughn,J.L.ら、イン・ヴィ
ボ(in vivo),13,213−217,197
7)などが用いられる。昆虫としては、例えば、カイコ
の幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nat
ure),315巻,592(1985)〕。動物細胞
としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チ
ャイニーズハムスター細胞CHO,DHFR遺伝子欠損
チャイニーズハムスター細胞CHO(dhfr CH
O細胞),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウス
ミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞などが用
いられる。
【0028】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),69巻,2110(1972)やジーン(Gen
e),17巻,107(1982)などに記載の方法に
従って行うことができる。バチルス属菌を形質転換する
には、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジ
ェネティックス(Molecular&General
Genetics)168巻,111(1979)な
どに記載の方法に従って行うことができる。酵母を形質
転換するには、例えば、メソッズ・イン・エンザイモロ
ジー(Methods in Enzymology),
194巻,182−187(1991)、プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ−(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA)75巻,1929
(1978)などに記載の方法に従って行うことができ
る。昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、
バイオ/テクノロジー(Bio/Technolog
y),6,47−55(1988)などに記載の方法に
従って行うことができる。動物細胞を形質転換するに
は、例えば、細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロト
コール.263−267(1995)(秀潤社発行)、
ヴィロロジー(Virology),52巻,456
(1973)に記載の方法に従って行うことができる。
このようにして、M161抗原をコードするDNAを含
有する発現ベクターで形質転換された形質転換体を得る
ことができる。
【0029】宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌で
ある形質転換体を培養する際、培養に使用される培地と
しては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体
の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せ
しめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デ
キストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源として
は、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチ
ープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆
粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機
物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナ
トリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、
酵母抽出物、ビタミン類、生長促進因子などを添加して
もよい。培地のpHは約5から8が望ましい。エシェリ
ヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコ
ース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Mille
r),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モ
レキュラー・ジェネティックス(Journal of
Experiments in Molecular G
enetics),431−433,Cold Spr
ing Harbor Laboratory,NewY
ork 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロ
モーターを効率よく働かせるために、例えば、3β-イ
ンドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができ
る。宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15
から43℃で約3から24時間行い、必要により、通気
や撹拌を加えることもできる。宿主がバチルス属菌の場
合、培養は通常約30から40℃で約6から24時間行
い、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。宿
主が酵母である形質転換体を培養する際、培地として
は、例えば、バークホ−ルダー(Burkholde
r)最小培地〔Bostian,K.L.ら、プロシー
ジングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA),77巻,45
05(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するS
D培地〔Bitter,G.A.らプロシージングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカテミー・オブ・サイエンシ
イズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl.
Acad. Sci. USA),81巻,5330(19
84)〕が挙げられる。培地のpHは約5から8に調整
するのが好ましい。培養は通常約20℃から35℃で約
24から72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。
【0030】宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換
体を培養する際、培地としては、Grace’s In
sect Medium(Grace,T.C.C.,ネイ
チャー(Nature),195巻,788(196
2))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加
えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2から
6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で
約3から5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培
地としては、例えば、約5から20%の胎児牛血清を含
むMEM培地〔サイエンス(Science),122
巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジ
ー(Virology),8巻.396(195
9)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・
ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(Jo
urnal of the American Medic
al Association)199巻.519(1
967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・
ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディス
ン(Proceeding of the Societ
y for the Biological Medici
ne),73巻,1(1950)〕などが用いられる。
pHは約6から8であるのが好ましい。培養は通常約3
0℃から40℃で約15から60時間行い、必要に応じ
て通気や撹拌を加える。以上のようにして、M161抗
原を培養培地中あるいは形質転換体中に生成せしめるこ
とができる。
【0031】上記培養物からM161抗原を分離精製す
るには、例えば、下記の方法により行うことができる。
M161抗原を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際
しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集
め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチーム
および/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞
を破壊したのち、遠心分離やろ過によりペプチドの粗抽
出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿
素や塩酸グアニジンなどのペプチド変性剤や、トリトン
X−100(商品名)などの界面活性剤が含まれていて
もよい。培養液中にM161抗原が分泌される場合に
は、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細
胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得
られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるM161
抗原の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合
わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製
法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する
方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分
子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィ
ーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロ
マトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆
相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用
する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用す
る方法などが用いられる。かくして得られるM161抗
原が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるい
はそれに準じる方法によって塩に変換することができ、
逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれ
に準じる方法により、遊離体または他の塩に変換するこ
とができる。なお、組換え体が産生するM161抗原
を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用さ
せることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチド
を部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素として
は、例えばトリプシン、キモトリプシン、アルギニルエ
ンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダー
ゼなどが用いられる。かくして生成するM161抗原ま
たはその塩は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッ
セイなどにより検出することができる。
【0032】本発明で用いられる癌抗原としては、例え
ば、癌細胞またはその抽出物、癌原性蛋白質またはペプ
チド、癌細胞に選択的に発現している蛋白質またはペプ
チド、腫瘍、破壊腫瘍、癌細胞のアポトーシス小体など
が用いられる。これら癌抗原は患者から分離したもので
も、癌患者自身の生体内に有しているものであってもよ
い。癌細胞としては、治療対象とする癌細胞を用いるの
が好ましい。腫瘍としては、治療対象とする腫瘍を用い
るのが好ましい。破壊腫瘍としては、例えば、治療対象
とする腫瘍を破壊したものなどを用いるのが好ましい。
例えば、メラノーマの治療を目的とする場合は、患者か
ら分離したメラノーマの破壊細胞などを用いるのが好ま
しい。より具体的には、癌抗原としては、HER2蛋白
質、変異型p53蛋白質、変異型ras蛋白質などの癌
原性蛋白質、パピローマウイルス由来のE−7蛋白質な
どの腫瘍ウイルス蛋白質、PSA(前立腺特異抗原)、
CEA(腫瘍胎児性抗原)などの腫瘍マーカー蛋白質、
また serological expression cloning (SEREX) などの
手法で同定される癌細胞抗原やインテレクチンなどが用
いられる。M161抗原またはその部分ペプチドと癌抗
原が連結した融合蛋白質としては、前記したM161抗
原またはその部分ペプチドと前記した癌抗原が任意の位
置で連結した蛋白質が用いられるが、特にM161抗原
またはその部分ペプチドのC末端に癌抗原を連結した蛋
白質が好ましい。上記の癌抗原および、M161抗原ま
たはその部分ペプチドと癌抗原が連結した融合蛋白質
は、上記のM161抗原の製造法に準じて製造すること
ができる。具体的には、ペプチド合成法によって製造す
る場合には、M161抗原のC末端のアミノ酸に続けて
癌抗原を同様の方法で合成し、M161抗原をコードす
るDNAを含有する形質転換体を培養することによって
製造する場合には、M161抗原をコードするDNAの
終始コドンの上流に癌抗原をコードするDNAを直接ま
たは適当なリンカー配列に続けて挿入し、上記のM16
1抗原をコードするDNAを含有する形質転換体を培養
することによって製造する方法に準じて製造することが
できる。
【0033】M161抗原もしくはその部分ペプチドま
たはその塩あるいはそのプロドラッグ(以下、本発明の
M161抗原と略記する)は樹状細胞の活性化とともに
クロスプライミング(クラスII-クラスI スイッチン
グ)のあとクラスIへの抗原提示によってCTLを誘導
する。すなわち、Th1細胞を介さずにCTLを誘導する
ことができる。また、M161抗原はIL−12、IL
−18、INFγ、TNF−αなどのサイトカインを誘
発し、Th1細胞を誘導して、さらに上記のようなサイト
カインを連鎖反応的に産生することによってCTLを誘
導することもできる。したがって、M161抗原もしく
はその部分ペプチドまたはその塩あるいはそのプロドラ
ッグは、優れたCTL誘導作用および/またはTh1細胞
誘導作用を有しているので、本発明のM161抗原を含
有する医薬組成物は、哺乳動物(例えば、マウス、ラッ
ト、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、
サル、ヒトなど)に対して、CTL誘導剤および/また
はTh1細胞誘導剤として有用である。CTL[細胞傷害
性Tリンパ球(Cytotoxic T Lymphoc
yte)]とは、キラー細胞とも呼ばれ、細胞傷害性細
胞であり、標的細胞を破壊する能力を持つTリンパ球
で、前記癌抗原を提示する癌細胞を特異的に攻撃し抗腫
瘍性を発現する細胞のことである。未成熟樹状細胞には
シグナル伝達受容体(TLR2)と抗原取り込み受容体
(補体の受容体CR3、すなわちβ2インテグリン)が
存在し、シグナルが未成熟樹状細胞の成熟および活性化
を、抗原取り込みが樹状細胞の抗原提示を誘起する。M
161抗原はこれら2種類の受容体に結合し樹状細胞の
エンドソームへの取り込みを受け、抗原提示を誘起する
とともにサイトカイン並びにCTLを誘導し得るのでM
161抗原と癌抗原と組み合わせることにより優れた癌
免疫系を成立させることができる。したがって、本発明
のM161抗原と癌抗原とを組み合わせてなる医薬およ
び本発明の融合蛋白質またはその塩は、(1)THP−
1細胞、マクロファージ、ヒト単核細胞などからのサイ
トカイン誘導作用(サイトカイン産生誘導作用)、
(2)未成熟樹状細胞の成熟化誘導作用、(3)貧食促
進作用、(4)腫瘍免疫機構の活性化作用、(5)CT
L誘導作用、(6)Th1細胞誘導作用などを有している
ので、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスタ
ー、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトな
ど)に対して、サイトカイン誘導剤、未成熟樹状細胞の
成熟化誘導剤、貧食促進剤、腫瘍免疫機構の活性化剤、
CTL誘導剤、Th1細胞誘導剤などの抗癌剤として有用
である。特に、M161抗原と癌抗原とを組み合わせて
用いる場合は別々に用いるよりも融合蛋白質として用い
る方が好ましい。サイトカインとしては、例えば、イン
ターフェロン−α,−βまたは−γ、インターロイキン
−1、2、3、6、8、10、12または18、腫瘍壊
死因子(TNF)、リンホトキシン、コロニー刺激因子
(CSF)、エリスロポエチン、上皮増殖因子(EG
F)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)などが挙げられ、
なかでもインターフェロン−γ、インターロイキン−1
2またはインターロイキン−18などが好ましい。さら
には、M161抗原と癌抗原とを組み合わせてなる医薬
および本発明の融合蛋白質またはその塩は、哺乳動物
(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネ
コ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)の癌(例、
乳癌、前立腺癌、膵癌、胃癌、肺癌、大腸癌(結腸癌、
直腸癌、肛門癌)、食道癌、十二指腸癌、頭頚部癌(舌
癌、咽頭癌)、脳腫瘍、神経鞘腫、非小細胞肺癌、肺小
細胞癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、子宮癌(子宮体癌、
子宮頸癌)、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、血管腫、悪性リ
ンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺癌、骨腫瘍、血管腫、血管
線維腫、網膜肉腫、陰茎癌、小児固形癌、カポジ肉腫、
AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組
織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫など)、白血病などの
悪性腫瘍などの予防・治療剤として有用である。本発明
のM161抗原、癌抗原、本発明の融合蛋白質またはそ
の塩は、毒性が低く、安全である。
【0034】本発明のM161抗原または融合蛋白質ま
たはその塩を含有してなる医薬組成物は、毒性が低く、
医薬製剤の製造法で一般的に用いられている自体公知の
手段に従って、M161抗原または本発明の融合蛋白質
またはその塩をそのままあるいは薬理学的に許容される
担体と混合して、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーテ
ィング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフ
トカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の
医薬製剤として、経口的又は非経口的(例、局所、直
腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。M1
61抗原と癌抗原とを組み合わせて用いる場合、これら
の薬物を別々にあるいは同時に、製剤に製剤化し、医薬
組成物として経口的にまたは非経口的に投与することが
できる。薬物を別々に製剤化した場合、別々に製剤化し
たものを使用時に希釈剤などを用いて混合して投与する
ことができるが、別々に製剤化した個々の製剤を、同時
に、あるいは時間差をおいて別々に、同一対象に投与し
てもよい。別々に製剤化したものを使用時に希釈剤など
を用いて混合して投与するためのキット製品(例えば、
粉末状の個々の薬物を含有するアンプルと2種以上の薬
物を用時に混合して溶解するための希釈剤などを含有す
る注射用キットなど)、別々に製剤化した個々の製剤
を、同時に、あるいは時間差をおいて別々に、同一対象
に投与するためのキット製品(例えば、個々の薬物を含
有する錠剤を同一または別々の袋に入れ、必要に応じ、
薬物を投与する時間の記載欄を設けた、2種以上の錠剤
を同時にあるいは時間差をおいて別々に投与するための
錠剤用キットなど)なども本発明の医薬に含まれる。さ
らに、M161抗原を単独で製剤化したものを癌抗原を
保持している患者に投与し、癌抗原リッチな環境下にM
161抗原を併存せしめるような態様も本発明の医薬に
含まれる。本発明の医薬組成物の製造に用いられてもよ
い薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として
慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例え
ば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊
剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁
化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等が挙げられる。
更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘
味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いるこ
ともできる。賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−
マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロ
ース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤として
は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カ
ルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。結
合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マン
ニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙
げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキ
シメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカル
シウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒ
ドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。溶剤とし
ては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコ
ール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリー
ブ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えばポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、D−マン
ニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミ
ノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭
酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。懸
濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミ
ン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオ
ン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト
ニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;
例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロ
ース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性
高分子等が挙げられる。等張化剤としては、例えばブド
ウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリ
ン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤として
は、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の
緩衝液等が挙げられる。無痛化剤としては、例えばベン
ジルアルコール等が挙げられる。防腐剤としては、例え
ばパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノー
ル、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒ
ドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤として
は、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロ
ール等が挙げられる。
【0035】本発明の医薬組成物において、本発明のM
161抗原または本発明の融合蛋白質またはその塩の含
有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全
体に対して約0.1〜100重量%、好ましくは約10
〜99.9重量%、さらに好ましくは約20〜90重量
%程度である。M161抗原と癌抗原とを組み合わせて
用いる場合の癌抗原の含有量は製剤の形態によって相違
するが、通常、製剤全体に対して約10〜99.9重量
%、好ましくは約20〜90重量%程度である。本発明
の医薬組成物において、本発明のM161抗原または本
発明の融合蛋白質またはその塩以外の成分の含有量は、
製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対し
て約10〜99.9重量%、好ましくは約20〜90重
量%程度である。本発明の医薬組成物の投与量は、投与
ルート、症状、患者の年令などによっても異なるが、例
えば、癌を治療する目的で経口的に投与する場合、1日
当たり体重1kgあたり本発明のM161抗原または本
発明の融合蛋白質またはその塩として約0.005〜5
0mg,好ましくは約0.05〜10mg、さらに好ま
しくは約0.2〜4mgを1〜3回に分割投与できる。
【0036】本発明の医薬組成物は、本発明のM161
抗原、本発明の融合蛋白質またはその塩以外に、適宜、
他の医薬と適量配合して、または適量併用して使用する
こともできる。このような配合あるいは併用する為の医
薬(以下、併用薬ともいう)としては、例えば、癌の治
療に供することのできる種々の抗癌剤(本明細書中、本
発明のM161抗原もしくはその部分ペプチド、そのプ
ロドラッグまたはその塩を含有してなる抗癌剤と区別す
るため、便宜上「他の抗癌剤」と称することもある)が
挙げられる。具体的には、免疫抑制作用の低い医薬、例
えば、内分泌療法薬(LH−RHアゴニストおよびアン
タゴニスト、性ホルモンアンタゴニスト、性ホルモン合
成阻害薬など)、癌に選択的なチロシンキナーゼなどの
遺伝子産物(EGF受容体、HER2/erb−2、H
ER3/erb−3、HER4/erb−4、PDGF
受容体、VEGF受容体など)を標的とした医薬、さら
には癌ワクチン療法薬などが挙げられる。癌ワクチン療
法薬としては、(1)腫瘍抗原またはそれに類する腫瘍
細胞由来のタンパク質、その部分ペプチドまたはこれら
を含む融合タンパク質、(2)これらタンパク質または
ペプチドをコードし、生体内で発現しうるDNA断片や
それを含有するリポソーム、(3)そのDNA断片を含
むウイルスまたはプラスミドなどが挙げられる。癌ワク
チン療法薬として用いることのできる腫瘍細胞由来のタ
ンパク質としては、例えば、メラノーマ関連抗原(例、
MAGE−1、MAGE−3、MART−1、gp10
0、チロシンキナーゼなど)、前立腺特異抗原(PS
A)、HER2タンパク質、MUC−1ムチン、hC
G、ガストリン、熱ショックタンパク質、ヒトパピロー
ママウスのE7タンパク質、癌胎児性抗原(CEA)、
変異Ras蛋白などが挙げられる。このように本発明の
医薬組成物は単剤として使用しても優れた抗癌作用を示
すが、さらに他の抗癌剤と併用(多剤併用)することに
よって、その効果をより一層増強させることができる。
その他、併用による利点として、互いの薬剤の使用量を
削減することが可能となり、これによって副作用が軽減
し、癌患者のクオリティー・オブ・ライフ:Quality of
Life(例えば、Performance Stasisや疼痛の軽減、浮
腫の抑制、食欲増進、体重増加など)を改善することに
も大きく貢献することが挙げられる。例えば、他の抗癌
剤を併用する場合、他の抗癌剤によって癌患者の癌発生
部位において癌細胞のアポトーシスを誘発させ癌抗原の
放出を誘導し、癌患者自身の生体内に本発明の癌抗原
(例、アポトーシス小体)を増加せしめ、さらにM16
1抗原を投与、同環境下に併存せしめることによって樹
状細胞を活性化、抗原提示誘起およびサイトカイン産生
誘導させるとともにCTL等の細胞性免疫を誘導し、癌
の治療効果を増強させることが可能である。
【0037】本発明の医薬組成物に併用し得る併用薬を
以下に具体的に例示する。該「ホルモン療法剤」として
は、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベス
トロール、クロロトリアニセリン、酢酸メドロキシプロ
ゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノ
ン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノ
ール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェ
ン、オルメロキフェン、レボルメロキシフェン、抗エス
トロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレ
ミフェンなど)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロ
ラクトン、アミノグルテチイミド、LH−RHアゴニス
ト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリ
ンなど)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、ス
ルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害
薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レト
ロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタ
ンなど)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタ
ミド、ニルタミドなど)、5α-レダクターゼ阻害薬
(例、フィナステリド、エプリステリドなど)、副腎皮
質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロ
ン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)、アンドロ
ゲン合成阻害薬(例、アビラテロンなど)、レチノイド
およびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例、リアロゾ
ールなど)などが挙げられる。
【0038】該「化学療法剤」としては、例えばアルキ
ル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、植物由来抗癌剤
などが挙げられる。「アルキル化剤」としては、例え
ば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマ
スタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロフォ
スファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、
トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニム
スチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジ
ン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウ
ム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチ
ン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、
カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプ
ラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバム
スチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレ
ドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミ
ド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタ
チンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システ
ムスチン、ビゼレシンなどが挙げられる。「代謝拮抗
剤」としては、例えば、メルカプトプリン、6−メルカ
プトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサー
ト、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォス
ファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フ
ルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジ
ン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフールな
ど)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブ
ロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォ
リネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フ
ルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペ
ントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミ
トグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチンなどが挙げ
られる。「抗癌性抗生物質」としては、例えば、アクチ
ノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシン
C、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブ
レオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシ
ン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピ
ラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチ
ン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリ
ン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロ
ン、塩酸イダルビシンなどが挙げられる。「植物由来抗
癌剤」としては、例えば、エトポシド、リン酸エトポシ
ド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビ
ンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタクセ
ル、ビノレルビンなどが挙げられる。
【0039】該「免疫療法剤(BRM)」としては、例
えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レン
チナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロ
イキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロ
ニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、
BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミ
ゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾールなどが挙
げられる。該「細胞増殖因子ならびにその受容体の作用
を阻害する薬剤」における、「細胞増殖因子」として
は、細胞の増殖を促進する物質であればどのようなもの
でもよく、通常、分子量が20,000以下のペプチド
で、受容体との結合により低濃度で作用が発揮される因
子が挙げられ、具体的には、(1)EGF(epidermalgr
owth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有す
る物質〔例、EGF、ハレグリン(HER2リガンド)
など〕、(2)インシュリンまたはそれと実質的に同一
の活性を有する物質〔例、インシュリン、IGF(insul
in-like growthfactor)−1、IGF−2など〕、(3)
FGF(fibroblast growth factor)またはそれと実質
的に同一の活性を有する物質〔例、酸性FGF、塩基性
FGF、KGF(keratinocyte growth factor)、 F
GF-10など〕、(4)その他の細胞増殖因子〔例、C
SF(colony stimulating factor)、EPO(erythro
poietin)、IL−2(interleukin-2)、NGF(nerve
growth factor)、PDGF(platelet-derived growth
factor)、TGFβ(transforming growth factor
β)、HGF(hepatocyte growth factor)、VEGF
(vascular endothelial growth factor)など〕などが
挙げられる。該「細胞増殖因子の受容体」としては、上
記の細胞増殖因子と結合能を有する受容体であればいか
なるものであってもよく、具体的には、EGF受容体、
ハレグリン受容体(HER2)、インシュリン受容体−
1、インシュリン受容体−2、 IGF受容体、FGF受
容体−1またはFGF受容体−2などが挙げられる。該
「細胞増殖因子の作用を阻害する薬剤」としては、ハー
セプチン(HER2レセプター抗体)やグリベック(メ
シル酸イマチニブ)、イレッサ(ゲフィチニブ、ZD183
9)、その他チロシンキナーゼ阻害作用を有するオキサ
ゾール誘導体などの複素環化合物(特開2001-34838
5):例えば1−(4−{4−[(2−{(E)−2−
[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−
1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニ
ル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール、1−
(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフル
オロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾ
ール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1
H−1,2,3−トリアゾール、3−(1−{4−[4
−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニ
ル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メ
トキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2
−イル)−1,2−プロパンジオールまたはそれらの塩
等のチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。塩として
は、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基
との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との
塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム
塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マ
グネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム
塩;アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩の
好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘ
キシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン等
との塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例として
は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等と
の塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、
例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シ
ュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リ
ンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-ト
ルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。塩基性アミノ
酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジ
ン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との
塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタ
ミン酸等との塩が挙げられる。前記の薬剤の他に、L−
アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジ
ン、プロトポルフィリン・コバルト錯塩、水銀ヘマトポ
ルフィリン・ナトリウム、トポイソメラーゼ1I阻害薬
(例、イリノテカン、トポテカンなど)、トポイソメラ
ーゼII阻害薬(例えば、ソブゾキサンなど)、分化誘
導剤(例、レチノイド、ビタミンD類など)、血管新生
阻害薬、α−ブロッカー(例、塩酸タムスロシンな
ど)、癌抗原、DNA、レクチン、糖質、脂質なども用
いることができる。
【0040】本発明のM161抗原、本発明の融合蛋白
質またはその塩(以下、本発明のM161抗原等と略称
する場合がある)と併用薬との併用に際しては、本発明
のM161抗原等と併用薬の投与時期は限定されず、本
発明のM161抗原等と併用薬とを、投与対象に対し、
同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよ
い。併用薬の投与量は、臨床上用いられている投与量に
準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わ
せ等により適宜選択することができる。本発明のM16
1抗原等と併用薬の投与形態は、特に限定されず、投与
時に、本発明のM161抗原等と併用薬とが組み合わさ
れていればよい。このような投与形態としては、例え
ば、(1)本発明のM161抗原等と併用薬とを同時に
製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の
M161抗原等と併用薬とを別々に製剤化して得られる
2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明
のM161抗原等と併用薬とを別々に製剤化して得られ
る2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投
与、(4)本発明のM161抗原等と併用薬とを別々に
製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同
時投与、(5)本発明のM161抗原等と併用薬とを別
々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路で
の時間差をおいての投与(例えば、本発明のM161抗
原等→併用薬の順序での投与、あるいは逆の順序での投
与)などが挙げられる。以下、これらの投与形態をまと
めて、本発明の併用剤と略記する。特に、癌の予防、治
療を目的とする場合には抗癌性併用剤ともいう。
【0041】本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、
本発明のM161抗原または(および)上記併用薬を自
体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混
合して医薬組成物とすることができる。本発明の併用剤
の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体と
しては、前記した本発明の医薬組成物に使用されるもの
と同様のものを使用することができる。本発明のM16
1抗原等および併用薬とを同時に製剤化して単剤として
使用する場合、本発明の併用剤における本発明のM16
1抗原等の含有量は、製剤の形態によって相違するが、
通常、製剤全体に対して約0.1〜100重量%、好ま
しくは約10〜99.9重量%、さらに好ましくは約2
0〜90重量%程度である。また、本発明の併用剤にお
ける併用薬の含有量は、製剤の形態によって相違する
が、通常、製剤全体に対して約0.1〜100重量%、
好ましくは約10〜99.9重量%、さらに好ましくは
約20〜90重量%程度である。本発明の併用剤におい
て、本発明のM161抗原および併用薬以外の成分の含
有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全
体に対して約10〜99.9重量%、好ましくは約20
〜90重量%程度である。本発明の併用剤における本発
明のM161抗原等と併用薬との配合比は、投与対象、
投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
本発明の併用剤の投与量は、本発明のM161抗原等お
よび併用薬の種類、投与ルート、症状、患者の年令など
によっても異なるが、例えば、癌を治療する目的で経口
的に投与する場合、1日当たり体重1kgあたり本発明
のM161抗原等および併用薬として約0.005〜5
0mg,好ましくは約0.05〜10mg、さらに好ま
しくは約0.2〜4mgを1〜3回に分割投与できる。
【0042】本発明のM161抗原等および併用薬物を
それぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
本発明のM161抗原等と併用薬をそれぞれ別々に製剤
化して併用投与するに際しては、本発明のM161抗原
等と併用薬を含有する医薬組成物とを同時期に投与して
もよいが、併用薬を含有する医薬組成物を先に投与した
後、本発明のM161抗原等を含有する医薬組成物を投
与してもよいし、本発明のM161抗原等を含有する医
薬組成物を先に投与し、その後で併用薬を含有する医薬
組成物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場
合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により
異なるが、例えば、併用薬を含有する医薬組成物を先に
投与する場合、併用薬を含有する医薬組成物を投与した
後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より
好ましくは15分〜1時間以内に本発明のM161抗原
等を含有する医薬組成物を投与する方法が挙げられる。
本発明のM161抗原等を含有する医薬組成物を先に投
与する場合、本発明のM161抗原等を含有する医薬組
成物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分
〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に
併用薬を含有する医薬組成物を投与する方法が挙げられ
る。
【0043】さらに、本発明の医薬組成物または併用剤
は、例えば(1)手術、(2)遺伝子療法、(3)アン
ジオテンシンIIなどを用いる昇圧化学療法、(4)温熱
療法、(5)凍結療法、(6)レーザー焼灼法、(7)
放射線療法などの前または後、あるいはこれら2〜3種
を組み合わせた治療の前または後に使用することができ
る。この方法によって、耐性発現の阻止、無病期(Dise
ase-Free Survival)の延長、癌転移あるいは再発の抑
制、延命などの効果が得られる。また、本発明の医薬組
成物または併用剤による治療と、支持療法〔(i)各種感
染病の併発に対する抗生物質(例えば、パンスポリンな
どのβ−ラクタム系、クラリスロマイシンなどのマクロ
ライド系など)の投与、(ii)栄養障害改善のための高カ
ロリー輸液、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤の投与、(i
ii)疼痛緩和のためのモルヒネ投与、(iv)悪心、嘔吐、
食欲不振、下痢、白血球減少、血小板減少、ヘモグロビ
ン濃度低下、脱毛、肝障害、腎障害、DIC、発熱など
のような副作用を改善する薬剤の投与および(v)癌の多
剤耐性を抑制するための薬剤の投与など〕を組み合わせ
ることもできる。前記の処置を施す前または施した後
に、本発明の医薬組成物または併用剤を経口投与(徐放
性を含む)、静脈内投与(bolus、infusion、包接体を
含む)、皮下および筋注(bolus、infusion、徐放性を
含む)、経皮、腫瘍内および近位投与によって投与する
のが好ましい。 (1)手術、(2)アンジオテンシンIIなどを用いる昇
圧化学療法、(3)遺伝子療法、(4)温熱療法、
(5)凍結療法、(6)レーザー焼灼法、(7)放射線
療法の前に本発明の医薬組成物または併用剤を投与する
場合の時期としては、例えば、手術等の前、約10分〜
約24時間以内である。手術等の後に本発明の医薬組成
物または併用剤を投与する場合の時期としては、例え
ば、手術等の後、約10分〜約24時間以内である。
【0044】また、本発明のM161抗原と癌抗原とを
組み合わせてなる医薬は、上記の本発明の併用剤におけ
る「併用薬」を「癌抗原」に代えて同様に製造し、使用
することができる。さらに、本発明のM161抗原と癌
抗原とを組み合わせてなる医薬に上記の併用薬を併用す
ることもできる。以下に、本発明の医薬の好ましい態様
について一例を挙げて説明する。例えば、治療対象とす
る癌が、乳癌、卵巣癌などであればチロシンキナーゼ活
性を有する受容体型蛋白質であるHER2が過剰発現し
ている場合が多い。このようなHER2陽性の患者に対
してはHER2を癌抗原として用い、M161抗原と組
み合わせて投与することが考えられる。癌抗原として用
いるHER2はアポトーシス小体として用いるのが好ま
しい。HER2陽性患者に対し、適量のM161抗原お
よびHER2を投与することにより、樹状細胞が活性
化、抗原提示誘起およびサイトカイン産生が誘導される
とともに、CTL等の細胞性免疫が誘導される。かかる
抗癌免疫療法に合わせて、チロシンキナーゼ阻害剤など
の併用薬を投与すればより効率的に癌を治療することが
できる。また、併用薬を癌抗原に代えて使用する例とし
ては、上記HER2陽性癌に、HER2の阻害薬(例え
ば、HER2のチロシンキナーゼ阻害薬など)を併用薬
として用いる。これによりHER2陽性腫瘍に選択的に
細胞死を誘導でき、患者の生体内で効率的にHER2陽
性腫瘍から癌抗原の放出を誘導できる。この癌抗原と適
量に投与されたM161抗原またはその塩により樹状細
胞が活性化、抗原提示誘起およびサイトカイン産性が誘
導されるとともに、CTL等の細胞性免疫が誘導され
る。
【0045】本発明のM161抗原もしくはその部分ペ
プチドまたはその塩(以下、本発明のM161抗原と略
記する)と癌抗原、さらに所望により樹状細胞(好まし
くは、未成熟樹状細胞)、マクロファージなどの活性化
抗原提示細胞(好ましくは、TLR2および/またはβ
2インテグリンを発現した細胞)を用いることによっ
て、抗癌作用を有する物質(X);具体的には 本発明のM161抗原に作用し、M161抗原の活性
を増強する物質(物質X1)、 サイトカインの誘導を促進する物質(物質X2)、 CTLの誘導を促進する物質(物質X3)、および/
または Th1細胞の誘導を促進する物質(物質X4) などをスクリーニングすることができ、さらに、M16
1抗原、癌抗原および未成熟樹状細胞を用いることによ
って、 未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質(物質X
5)、および/または (樹状細胞の)貪食を促進する物質(物質X6) などをスクリーニングすることができる。また、(i)M
161抗原、(ii)癌抗原および(iii)TLR2および/
またはβ2インテグリンなどの受容体発現細胞(例、未
成熟樹状細胞など)を用いることによって、 TLR2および/またはβ2インテグリンを活性化さ
せる物質(物質X7)、 M161抗原および癌抗原と、TLR2および/また
はβ2インテグリンとの結合性を変化させる(阻害また
は促進する)物質(物質X8) などをスクリーニングすることができる。
【0046】すなわち、本発明は、〔1〕標識化したM
161抗原および癌抗原を、TLR2および/またはβ
2インテグリンに接触させた場合と、標識化したM16
1抗原、癌抗原および被験化合物をTLR2および/ま
たはβ2インテグリンに接触させた場合における、標識
化したM161抗原のTLR2および/またはβ2イン
テグリンに対する結合量を測定し、比較することを特徴
とする、物質X(例、X7、X8)のスクリーニング方
法、〔2〕TLR2および/またはβ2インテグリンを
発現した細胞(例、未成熟樹状細胞、THP−1細胞、
マクロファージ)またはその膜画分に標識化したM16
1抗原および癌抗原を接触させた場合と、TLR2およ
び/またはβ2インテグリンを発現した細胞またはその
膜画分に標識化したM161抗原、癌抗原および被験化
合物を接触させた場合における、標識化したM161抗
原のTLR2および/またはβ2インテグリンに対する
結合量を測定し、比較することを特徴とする、物質X
(例、X7、X8)のスクリーニング方法、および
〔3〕TLR2および/またはβ2インテグリンを発現
した細胞にM161抗原および癌抗原を接触させた場合
と、TLR2および/またはβ2インテグリンを発現し
た細胞にM161抗原、癌抗原および被験化合物を接触
させた場合における、TLR2および/またはβ2イン
テグリンを介した細胞刺激活性(例、サイトカインの産
生誘導促進作用、未成熟樹状細胞の成熟化、貧食促進作
用、CTL誘導作用、Th1細胞誘導作用)を測定し、比
較することを特徴とする、物質X1〜X8のスクリーニ
ング方法を提供する。
【0047】本発明のスクリーニング方法の具体的な説
明を以下にする。まず、本発明のスクリーニング方法に
用いるTLR2および/またはβ2インテグリンなどの
受容体(以下、受容体と略記する場合がある)として
は、公知の受容体を用いることができる。受容体は、自
体公知の手法を用いて、温血動物の組織や臓器から抽出
することもできる。しかし、ヒト由来の臓器は入手が極
めて困難なことから、スクリーニングに用いられるもの
としては、遺伝子組換技術を用いて大量発現させた受容
体が適している。具体的には、ヒトTLR2を製造する
には、例えば、ヒトのTLR2をコードするDNA(R
ock、F.L.ら, プロシーディング・オブ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンス・U.S.A.
(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.)、 95巻、588〜593、1998年;Ge
nBabk AAC34133)を哺乳動物や昆虫細胞
で発現することにより行うことができる。目的とする受
容体をコードするDNA断片には、通常、相補DNAが
用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではな
く、例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。
受容体をコードするDNA断片を宿主動物細胞に導入
し、それらを効率よく発現させるためには、該DNA断
片を昆虫を宿主とするバキュロウイルスに属する核多角
体病ウイルス(nuclear polyhedros
is virus;NPV)のポリヘドリンプロモータ
ー、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプ
ロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒト・ヒ
ートショツクプロモーター、サイトメガロウイルスプロ
モーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むの
が好ましい。発現した受容体の量と質の検査はそれ自体
公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Nam
bi.P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル
・ケミストリー(J.Biol.Chem.),267
巻,19555〜19559頁,1992年〕に記載の
方法に従って行うことができる。したがって、本発明の
スクリーニング方法において、受容体としては、それ自
体公知の方法に従って精製した受容体であってもよい
し、受容体を含有する細胞またはその膜画分を用いても
よい。本発明のスクリーニング方法において、受容体を
含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒ
ド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は
それ自体公知の方法に従って行うことができる。
【0048】受容体を含有する細胞としては、受容体を
発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸
菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられ
る。膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知
の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをい
う。細胞の破砕方法としては、Potter−Elve
hjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワー
リングブレンダーやポリトロン(Kinellmati
ca社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプ
レスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させ
ることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画に
は、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力
による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕
液を低速(500から3000rpm)で短時間(通
常、約1から10分)遠心し、上清をさらに高速(15
000から30000rpm)で通常30分から2時間
遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中に
は、発現した受容体と細胞由来のリン脂質や膜部分ペプ
チドなどの膜成分が多く含まれる。受容体を含有する細
胞や膜画分中の受容体の量は、1細胞当たり10から
10分子であるのが好ましく、10から10分子
であるのが好適である。なお、発現量が多いほど細胞抽
出物または膜画分当たりのM161抗原との結合活性
(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構
築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料
を測定できるようになる。
【0049】物質X7またはX8をスクリーニングする
前記の〔1〕または〔2〕を実施するためには、適当な
受容体画分と、標識化したM161抗原、および適当な
癌抗原が必要である。受容体画分としては、天然型の受
容体画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型
受容体画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、
M161抗原に対する同等の結合活性などを示す。標識
化したM161抗原としては、例えば、〔H〕、〔
125I〕、〔14C〕、〔135S〕などで標識化さ
れたM161抗原などを利用することができる。
【0050】具体的には、本発明のM161抗原と受容
体との結合性を変化させる(阻害または促進する)化合
物のスクリーニングを行うには、まず、受容体を含有す
る細胞またはその膜画分を、スクリーニングに適した緩
衝液に懸濁することにより受容体標品を調製する。緩衝
液には、pH4から10(望ましくはpH6から8)の
リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液などのM161抗原
と受容体との結合を阻害しない緩衝液であればいずれで
もよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CH
APS、Tween−80(商品名)(花王−アトラス
社製)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性
剤を緩衝液に加えることもできる。さらに、プロテアー
ゼによる受容体やM161抗原の分解を抑える目的でP
MSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所
製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加す
ることもできる。例えば、0.01から10mlのM1
61抗原受容体溶液に、一定量(5000から5000
00cpm)の標識化したM161抗原および適当な癌
抗原を添加し、同時に10−4から10−10Mの試験
化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知る
ために大過剰の未標識のM161抗原を加えた反応チュ
ーブも用意する。反応は0から50℃、望ましくは4か
ら37℃で20分から24時間、望ましくは30分から
3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量
の同緩衝液で洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放
射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カ
ウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウン
ト(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウ
ント(B―NSB)を100%とした時、特異的結合
量(B−NSB)が例えば50%以下になる試験化合物
を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することがで
き、一方、特異的結合量(B−NSB)が例えば150
%以上になる被験化合物を結合促進能力のある候補化合
物として選択することができる。
【0051】物質X1〜X8(特に物質X1〜X7)を
スクリーニングする前記の〔3〕の方法を実施するため
には、例えば、受容体を介する細胞刺激活性(例えば、
サイトカイン誘導作用、未成熟樹状細胞の成熟化誘導作
用、貧食促進作用、腫瘍免疫機構の活性化作用、CTL
誘導作用、Th1細胞誘導作用、アラキドン酸遊離、アセ
チルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP
生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、
細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fos
の活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制す
る活性など)を公知の方法または市販の測定用キットを
用いて測定することができる。具体的には、まず、受容
体を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養す
る。スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮
な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファー
に交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュ
ベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、
生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞
刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸な
ど)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困
難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッ
セイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの
活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産
生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用とし
て検出することができる。細胞刺激活性を測定してスク
リーニングを行なうには、適当な受容体を発現した細胞
が必要である。受容体を発現した細胞としては、天然型
の受容体を有する細胞株(例、未成熟樹状細胞)、上記
の組換え型受容体を発現した細胞株などが望ましい。物
質X1〜X8の分類は、M161抗原に作用するか(物
質X1)、受容体に作用するか(物質X7〜8)、また
は受容体発現細胞またはそれにより誘導される細胞性免
疫系に作用するか(物質X2〜6)で区別することがで
きる。試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白、
非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽
出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、こ
れら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化
合物であってもよい。
【0052】物質X(例、X1〜8)のスクリーニング
用キットは、M161抗原、癌抗原、および受容体を含
有する細胞または受容体を含有する細胞の抽出画分を含
有するものである。本発明のスクリーニング用キットの
例としては、次のものが挙げられる。 1.スクリーニング用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 受容体標品 受容体を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5
×105個/穴で継代し、37℃、5%CO、95%
airで2日間培養したもの。 標識リガンド 市販の〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、
35S〕などで標識したM161抗原。水溶液の状態
のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定
用緩衝液にて1μMに希釈する。 リガンド標準液 M161抗原を0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社
製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20
℃で保存する。
【0053】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した受容体発現C
HO細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、4
90μlの測定用緩衝液を各穴に加える。 10−3〜10−10Mの試験化合物溶液を5μl加
えた後、標識リガンドを5μl加え、さらに癌抗原を適
量加える。室温にて1時間反応させる。非特異的結合量
を知るためには試験化合物の代わりに10−3Mのリガ
ンドを5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH
−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA
(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式で求める。 PMB=[(B−NSB)/(B−NSB)]×10
0 PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の値 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B :最大結合量
【0054】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる物質は、前記したと
おり、抗癌作用を有する物質(X)、具体的には 本発明のM161抗原に作用し、M161抗原の活性
を増強する物質(物質X1)、 サイトカインの誘導を促進する物質(物質X2)、 CTLの誘導を促進する物質(物質X3)、 Th1細胞の誘導を促進する物質(物質X4)、 未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質(物質X
5)、 (樹状細胞の)貪食を促進する物質(物質X6)、 TLR2および/またはβ2インテグリンを活性化さ
せる物質(物質X7)、 M161抗原および癌抗原と、TLR2および/また
はβ2インテグリンとの結合性を変化させる(特に、促
進する)物質(物質X8) などである。該物質としては、ペプチド、蛋白、非ペプ
チド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げら
れ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公
知の化合物であってもよい。該物質の塩としては、前記
した本発明の融合蛋白質の塩と同様のものが用いられ
る。
【0055】本発明のスクリーニング方法で得られた物
質X(例、X1〜X8)を含有する医薬組成物は、哺乳
動物に対して、安全な貧食促進剤、サイトカイン誘導促
進剤、未成熟樹状細胞の成熟化誘導剤、CTL誘導剤、
Th1細胞誘導剤などとして有用である。さらには、癌
(例、乳癌、前立腺癌、膵癌、胃癌、肺癌、大腸癌(結
腸癌、直腸癌、肛門癌)、食道癌、十二指腸癌、頭頚部
癌(舌癌、咽頭癌)、脳腫瘍、神経鞘腫、非小細胞肺
癌、肺小細胞癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、子宮癌(子
宮体癌、子宮頸癌)、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、血管
腫、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺癌、骨腫瘍、血
管腫、血管線維腫、網膜肉腫、陰茎癌、小児固形癌、カ
ポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫
瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫など)、
白血病などの悪性腫瘍の予防・治療剤として有用であ
る。これらの物質Xを含有する医薬組成物は、前記した
本発明の融合蛋白質を含有する医薬組成物と同様にして
製造でき、使用することができる。また、上記物質X1
〜X8とは反対の作用を有する物質: M161抗原に作用し、M161抗原の活性を減弱す
る物質(物質Y1)、 サイトカインの誘導を阻害する物質(物質Y2)、 CTLの誘導を阻害する物質(物質Y3)、 Th1細胞の誘導を阻害する物質(物質Y4)、 未成熟樹状細胞の成熟化を阻害する物質(物質Y
5)、 (樹状細胞の)貪食を阻害する物質(物質Y6)、 TLR2および/またはβ2インテグリンの活性を阻
害させる物質(物質Y7)、 M161抗原および癌抗原と、TLR2および/また
はβ2インテグリンとの結合性を変化させる(特に、阻
害する)物質(物質Y8) もスクリーニングすることができるが、そのような物質
は下記の物質BおよびC1と同様にして用いることがで
きる。
【0056】本発明の融合蛋白質またはその塩(以下、
本発明の融合蛋白質と略記する)と、TLR2および/
またはβ2インテグリンなどの受容体とを用いることに
よって、 (1)本発明の融合蛋白質の作用を増強する物質
(A): 本発明の融合蛋白質に作用し、本発明の融合蛋白質と
TLR2および/またはβ2インテグリンなどの受容体
との結合を促進する物質(物質A1)、 本発明の融合蛋白質を活性化する物質(物質A2)、
(2)本発明の融合蛋白質の作用を減弱する物質
(B): 本発明の融合蛋白質に作用し、本発明の融合蛋白質と
TLR2および/またはβ2インテグリンなどの受容体
との結合を阻害する物質(物質B1)、 本発明の融合蛋白質を不活化する物質(物質B2)、
(3)(i)本発明の融合蛋白質と(ii)TLR2およ
び/またはβ2インテグリンなどの受容体との結合性を
変化させる物質(C): アンタゴニスト(物質C1)、 アゴニスト(物質C2)、などをスクリーニングする
ことができる。
【0057】すなわち、本発明は、〔1〕標識した本発
明の融合蛋白質をTLR2および/またはβ2インテグ
リンに接触させた場合と、標識した本発明の融合蛋白質
および被験化合物をTLR2および/またはβ2インテ
グリンに接触させた場合における、標識した本発明の融
合蛋白質のTLR2および/またはβ2インテグリンに
対する結合量を測定し、比較することを特徴とする、物
質A,BまたはCのスクリーニング方法、〔2〕TLR
2および/またはβ2インテグリンを発現した細胞
(例、THP−1細胞、マクロファージ)またはその膜
画分に標識した本発明の融合蛋白質を接触させた場合
と、TLR2および/またはβ2インテグリンを発現し
た細胞またはその膜画分に本発明の融合蛋白質および被
験化合物を接触させた場合における、本発明の融合蛋白
質のTLR2および/またはβ2インテグリンに対する
結合量を測定し、比較することを特徴とする、物質A、
BまたはCのスクリーニング方法、および〔3〕TLR
2および/またはβ2インテグリンを発現した細胞に本
発明の融合蛋白質を接触させた場合と、TLR2および
/またはβ2インテグリンを発現した細胞に本発明の融
合蛋白質および被験化合物を接触させた場合における、
TLR2および/またはβ2インテグリンを介した細胞
刺激活性(例、サイトカインの産生誘導作用、未成熟樹
状細胞の成熟化、貧食促進作用、CTL誘導作用、Th1
細胞誘導作用)を測定し、比較することを特徴とする、
物質A、BまたはCのスクリーニング方法を提供する。
【0058】本発明のスクリーニング方法の具体的な説
明を以下にする。まず、本発明のスクリーニング方法に
用いるTLR2および/またはβ2インテグリンなどの
受容体(以下、受容体と略記する場合がある)として
は、公知の受容体を用いることができる。受容体は、自
体公知の手法を用いて、温血動物の組織や臓器から抽出
することもできる。しかし、ヒト由来の臓器は入手が極
めて困難なことから、スクリーニングに用いられるもの
としては、遺伝子組換技術を用いて大量発現させた受容
体が適している。具体的には、ヒトTLR2を製造する
には、例えば、ヒトのTLR2をコードするDNA(R
ock、F.L.ら, プロシーディング・オブ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンス・U.S.A.
(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.)、 95巻、588〜593、1998年;Ge
nBabk AAC34133)を哺乳動物や昆虫細胞
で発現することにより行うことができる。目的とする受
容体をコードするDNA断片には、通常、相補DNAが
用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではな
く、例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。
受容体をコードするDNA断片を宿主動物細胞に導入
し、それらを効率よく発現させるためには、該DNA断
片を昆虫を宿主とするバキュロウイルスに属する核多角
体病ウイルス(nuclear polyhedros
is virus;NPV)のポリヘドリンプロモータ
ー、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプ
ロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒト・ヒ
ートショツクプロモーター、サイトメガロウイルスプロ
モーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むの
が好ましい。発現した受容体の量と質の検査はそれ自体
公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Nam
bi.P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル
・ケミストリー(J.Biol.Chem.),267
巻,19555〜19559頁,1992年〕に記載の
方法に従って行うことができる。したがって、本発明の
スクリーニング方法において、受容体としては、それ自
体公知の方法に従って精製した受容体であってもよい
し、受容体を含有する細胞またはその膜画分を用いても
よい。本発明のスクリーニング方法において、受容体を
含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒ
ド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は
それ自体公知の方法に従って行うことができる。
【0059】受容体を含有する細胞としては、受容体を
発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸
菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられ
る。膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知
の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをい
う。細胞の破砕方法としては、Potter−Elve
hjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワー
リングブレンダーやポリトロン(Kinellmati
ca社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプ
レスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させ
ることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画に
は、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力
による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕
液を低速(500から3000rpm)で短時間(通
常、約1から10分)遠心し、上清をさらに高速(15
000から30000rpm)で通常30分から2時間
遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中に
は、発現した受容体と細胞由来のリン脂質や膜部分ペプ
チドなどの膜成分が多く含まれる。受容体を含有する細
胞や膜画分中の受容体の量は、1細胞当たり10から
10分子であるのが好ましく、10から10分子
であるのが好適である。なお、発現量が多いほど細胞抽
出物または膜画分当たりのM161抗原との結合活性
(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構
築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料
を測定できるようになる。
【0060】物質A、BまたはCをスクリーニングする
前記の〔1〕または〔2〕を実施するためには、適当な
受容体画分と、標識した本発明の融合蛋白質が必要であ
る。受容体画分としては、天然型の受容体画分か、また
はそれと同等の活性を有する組換え型受容体画分などが
望ましい。ここで、同等の活性とは、本発明の融合蛋白
質に対する同等の結合活性などを示す。標識した本発明
の融合蛋白質としては、例えば、〔H〕、
125I〕、〔 14C〕、〔135S〕など標識され
た本発明の融合蛋白質などを利用することができる。
【0061】具体的には、本発明の融合蛋白質と受容体
との結合性を変化させる(阻害または促進する)化合物
のスクリーニングを行うには、まず、受容体を含有する
細胞またはその膜画分を、スクリーニングに適した緩衝
液に懸濁することにより受容体標品を調製する。緩衝液
には、pH4から10(望ましくはpH6から8)のリ
ン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液などの本発明の融合蛋
白質と受容体との結合を阻害しない緩衝液であればいず
れでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、
CHAPS、Tween−80(商品名)(花王−アト
ラス社製)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面
活性剤を緩衝液に加えることもできる。さらに、プロテ
アーゼによる受容体や本発明の融合蛋白質の分解を抑え
る目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド
研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を
添加することもできる。例えば、0.01から10ml
のM161抗原受容体溶液に、一定量(5000から5
00000cpm)の標識した本発明の融合蛋白質を添
加し、同時に10−4から10−10Mの試験化合物を
共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大
過剰の未標識のM161抗原を加えた反応チューブも用
意する。反応は0から50℃、望ましくは4から37℃
で20分から24時間、望ましくは30分から3時間行
う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同緩衝
液で洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を
液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンター
で計測する。拮抗する物質がない場合のカウント
(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウン
ト(B―NSB)を100%とした時、特異的結合量
(B−NSB)が例えば50%以下になる試験化合物を
拮抗阻害能力のある候補物質として選択することがで
き、一方、特異的結合量(B−NSB)が例えば150
%以上になる被験化合物を結合促進能力のある候補化合
物として選択することができる。
【0062】物質A、BまたはCをスクリーニングする
前記の〔3〕の方法を実施するためには、例えば、受容
体を介する細胞刺激活性(例えば、サイトカイン誘導作
用、未成熟樹状細胞の成熟化誘導作用、貧食促進作用、
腫瘍免疫機構の活性化作用、CTL誘導作用、Th1細胞
誘導作用、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低
下などを促進する活性または抑制する活性など)を公知
の方法または市販の測定用キットを用いて測定すること
ができる。具体的には、まず、受容体を含有する細胞を
マルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを
行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に
毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物
などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を
抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞ
れの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする
物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含
有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素
に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。
また、cAMP産生抑制などの活性については、フォル
スコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた
細胞に対する産生抑制作用として検出することができ
る。細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうに
は、適当な受容体を発現した細胞が必要である。受容体
を発現した細胞としては、天然型の受容体を有する細胞
株、上記の組換え型受容体を発現した細胞株などが望ま
しい。物質AおよびBと物質Cの分類は、本発明の融合
蛋白質に直接作用するか、または受容体に結合するかで
区別することができる。すなわち、スクリーニング方法
〔3〕で得られた物質のうち、スクリーニング方法
〔1〕または〔2〕で選択されない物質は物質Aまたは
Bであり、スクリーニング方法〔1〕または〔2〕で選
択された物質は物質Cと判断できる。試験化合物として
は、例えば、ペプチド、蛋白、非ペプチド性化合物、合
成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物
組織抽出液などが用いられ、これら化合物は新規な化合
物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0063】物質A、BまたはCのスクリーニング用キ
ットは、本発明の融合蛋白質、受容体を含有する細胞ま
たは受容体を含有する細胞の抽出画分を含有するもので
ある。本発明のスクリーニング用キットの例としては、
次のものが挙げられる。 1.スクリーニング用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 受容体標品 受容体を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5
×105個/穴で継代し、37℃、5%CO、95%
airで2日間培養したもの。 標識リガンド 市販の〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、
35S〕などで標識した本発明の融合蛋白質 水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存
し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。 リガンド標準液 本発明の融合蛋白質を0.1%ウシ血清アルブミン(シ
グマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、
−20℃で保存する。
【0064】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した受容体発現C
HO細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、4
90μlの測定用緩衝液を各穴に加える。 10−3〜10−10Mの試験化合物溶液を5μl加
えた後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反
応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の
代わりに10−3Mのリガンドを5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH
−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA
(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式で求める。 PMB=[(B−NSB)/(B−NSB)]×10
0 PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の値 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B :最大結合量
【0065】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる物質は、前記したと
おり、(1)本発明の融合蛋白質の作用を増強する物質
(A): 本発明の融合蛋白質に作用し、本発明の融合蛋白質と
TLR2および/またはβ2インテグリンなどの受容体
との結合を促進する物質(物質A1)、 本発明の融合蛋白質を活性化する物質(物質A2)、
(2)本発明の融合蛋白質の作用を減弱する物質
(B): 本発明の融合蛋白質に作用し、本発明の融合蛋白質と
TLR2および/またはβ2インテグリンなどの受容体
との結合を阻害する物質(物質B1)、 本発明の融合蛋白質を不活化する物質(物質B2)、
(3)本発明の融合蛋白質とTLR2および/またはβ
2インテグリンとの結合を変化させる物質(C): アンタゴニスト(受容体に結合するが、受容体を介し
た細胞刺激活性(例えば、貧食促進作用、腫瘍免疫機構
の活性化作用、サイトカイン誘導作用、未成熟樹状細胞
の成熟化誘導作用などを促進する活性または抑制する活
性などを示さない物質(物質C1))、 アゴニスト(受容体に結合し、受容体を介した細胞刺
激活性を示す物質(物質C2))などである。該物質と
しては、ペプチド、蛋白、非ペプチド性化合物、合成化
合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規
な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよ
い。該物質の塩としては、前記した本発明の融合蛋白質
の塩と同様のものが用いられる。
【0066】本発明のスクリーニング方法で得られた物
質Aは、本発明の融合蛋白質の作用を増強することがで
きるので、当該物質Aを含有する医薬組成物は、哺乳動
物に対して、安全な貧食促進剤、サイトカイン誘導促進
剤、未成熟樹状細胞の成熟化誘導剤などとして有用であ
る。さらには、癌(例、乳癌、前立腺癌、膵癌、胃癌、
肺癌、大腸癌(結腸癌、直腸癌、肛門癌)、食道癌、十
二指腸癌、頭頚部癌(舌癌、咽頭癌)、脳腫瘍、神経鞘
腫、非小細胞肺癌、肺小細胞癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管
癌、子宮癌(子宮体癌、子宮頸癌)、卵巣癌、膀胱癌、
皮膚癌、血管腫、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺
癌、骨腫瘍、血管腫、血管線維腫、網膜肉腫、陰茎癌、
小児固形癌、カポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉
腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋
肉腫など)、白血病などの悪性腫瘍の予防・治療剤とし
て有用である。本発明のスクリーニング方法で得られた
物質Bは、本発明の融合蛋白質の作用を減弱することが
できるので、当該物質Bを含有する医薬組成物は、哺乳
動物に対して、安全なサイトカイン誘導阻害剤(サイト
カイン産生抑制剤)、未成熟樹状細胞の成熟化誘導阻害
剤、貧食抑制剤、CTL誘導阻害などとして有用であ
る。さらに、アレルギー疾患、自己免疫疾患などの予防
・治療剤として有用である。本発明のスクリーニング方
法で得られた物質C1(アンタゴニスト)は、本発明の
融合蛋白質またはその塩の作用を抑制することができる
ので、当該物質C1を含有する医薬組成物は、哺乳動物
に対して、安全なサイトカイン誘導阻害剤(サイトカイ
ン産生抑制剤)、未成熟樹状細胞の成熟化誘導阻害剤、
貧食抑制剤、CTL誘導阻害剤などとして有用である。
さらに、アレルギー疾患、自己免疫疾患などの予防・治
療剤として有用である。本発明のスクリーニング方法で
得られた物質C2(アゴニスト)は、B本発明の融合蛋
白質またはその塩と同様の作用を有しているので、当該
物質C2を含有する医薬組成物は、哺乳動物に対して、
安全な、サイトカイン誘導促進剤、未成熟樹状細胞の成
熟化誘導剤、貧食促進剤、CTL誘導剤などとして有用
である。さらには、癌(例、乳癌、前立腺癌、膵癌、胃
癌、肺癌、大腸癌(結腸癌、直腸癌、肛門癌)、食道
癌、十二指腸癌、頭頚部癌(舌癌、咽頭癌)、脳腫瘍、
神経鞘腫、非小細胞肺癌、肺小細胞癌、肝臓癌、腎臓
癌、胆管癌、子宮癌(子宮体癌、子宮頸癌)、卵巣癌、
膀胱癌、皮膚癌、血管腫、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、
甲状腺癌、骨腫瘍、血管腫、血管線維腫、網膜肉腫、陰
茎癌、小児固形癌、カポジ肉腫、AIDSに起因するカ
ポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、
横紋筋肉腫など)、白血病などの悪性腫瘍の予防・治療
剤として有用である。これらの物質A、BまたはCを含
有する医薬組成物は、前記した本発明の融合蛋白質を含
有する医薬組成物と同様にして製造でき、使用すること
ができる。
【0067】さらに、本発明は、(1)哺乳動物のTL
R2および/またはβ2インテグリンを活性化すること
を特徴とする癌の予防・治療方法、および(2)哺乳動
物に対して、TLR2に対するリガンドまたはアゴニス
トの有効量、および/またはβ2インテグリンに対する
リガンドまたはアゴニストの有効量を投与することを特
徴とする癌の予防・治療方法を提供する。TLR2に対
するリガンドまたはアゴニストとしては、例えば、M1
61抗原またはその結合脂質を含むN末端部分ペプチド
などが用いられる。β2インテグリンに対するリガンド
またはアゴニストとしては、M161抗原またはその部
分ペプチドなどが用いられる。TLR2および/または
β2インテグリンを活性化する物質としては、例えば、
M161抗原や本発明の融合蛋白質、物質C2またはそ
の塩などが用いられる。本発明の融合蛋白質または、物
質C2またはその塩を含む医薬組成物および哺乳動物へ
の投与量は、前記と同様である。
【0068】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commision on Biochemical N
omenclatureによる略号あるいは当該分野に
おける慣用略号に基づくものであり、その例を下記す
る。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、
特に明示しなければL体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 * :終止コドンに対応する Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記 する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド 本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。 〔配列番号:1〕MALP−2のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕M161抗原のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:3〕M161抗原のcDNA配列を示す。
【0069】
【実施例】以下に、実施例、参考例および試験例を挙げ
て本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれに
限定されるものではない。
【実施例1】 (1)M161抗原 10.0g (2)乳糖 60.0g (3)コーンスターチ 35.0g (4)ゼラチン 3.0g (5)ステアリン酸マグネシウム 2.0g M161抗原10.0gと乳糖60.0gおよびコーンス
ターチ35.0gの混合物を10重量%ゼラチン水溶液
30ml(ゼラチンとして3.0g)を用い、1mmメッシ
ュの篩を通して顆粒化した後、40℃で乾燥し再び篩過
した。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム2.0
gと混合し、圧縮した。得られた中心錠を、蔗糖、二酸
化チタン、タルクおよびアラビアゴムの水懸濁液による
糖衣でコーティングした。コーティングが施され た錠
剤をミツロウで艶出して1000錠のコート錠を得た。
【0070】
【実施例2】 (1)M161抗原 10.0g (2)乳糖 70.0g (3)コーンスターチ 50.0g (4)可溶性デンプン 7.0g (5)ステアリン酸マグネシウム 3.0g M161抗原10.0gとステアリン酸マグネシウム
3.0gを可溶性デンプンの水溶液70ml(可溶性デン
プンとして7.0g)で顆粒化した後、乾燥し、乳糖7
0.0gおよびコーンスターチ50.0gと混合した。混
合物を圧縮して1000錠の錠剤を得た。
【0071】
【試験例1】M161抗原の抗腫瘍作用 M161抗原(2.5μg)を破壊腫瘍(B16メラノ
ーマ、5×10)と共に皮下注で4回、7日ごとに8
匹のC57BL/6にpreimmunizationし、その後、腫
瘍(B16メラノーマ、5×10)を接種した。4週
間後、腫瘍の大きさを皮膚の上からノギスで測定した。
結果を表1に示す。 〔表1〕 腫瘍の大きさ 1cm以下 1〜2cm 2cm以上 対照 1匹 3匹 4匹 M161抗原投与 5匹 2匹 1匹 この結果、M161抗原(2.5μg)と破壊腫瘍(B
16メラノーマ)との併用投与により、腫瘍が縮小する
ことが分かった。
【0072】
【発明の効果】M161抗原もしくはその部分ペプチド
またはその塩は、優れたCTL誘導作用を有している。
M161抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩と
癌抗原とを組み合わせて用いることにより、癌を効率良
く予防・治療することができる。
【0073】
【配列表】 [SEQUENCE LISTING] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Anti-tumor agent <130> B02182 <150> JP 2001-182250 <151> 2001-06-15 <160> 3 <210> 1 <211> 14 <212> PRT <213> Mycoplasma fermentans <400> 1 Cys Gly Asn Asn Asp Glu Ser Asn Ile Ser Phe Lys Glu Lys 1 5 10 <210> 2 <211> 428 <212> PRT <213> Mycoplasma fermentans <400> 2 Met Lys Lys Ser Lys Lys Ile Leu Leu Gly Leu Ser Pro Ile Ala Ala 1 5 10 15 Ile Leu Pro Ala Val Ala Val Ser Cys Gly Asn Asn Asp Glu Ser Asn 20 25 30 Ile Ser Phe Lys Glu Lys Asp Ile Ser Lys Tyr Thr Thr Thr Asn Ala 35 40 45 Asn Gly Lys Gln Val Val Lys Asn Ala Glu Leu Leu Lys Leu Lys Pro 50 55 60 Val Leu Ile Thr Asp Glu Gly Lys Ile Asp Asp Lys Ser Phe Asn Gln 65 70 75 80 Ser Ala Phe Glu Ala Leu Lys Ala Ile Asn Lys Gln Thr Gly Ile Glu 85 90 95 Ile Asn Asn Val Glu Pro Ser Ser Asn Phe Glu Ser Ala Tyr Asn Ser 100 105 110 Ala Leu Ser Ala Gly His Lys Ile Trp Val Leu Asn Gly Phe Lys His 115 120 125 Gln Gln Ser Ile Lys Gln Tyr Ile Asp Ala His Arg Glu Glu Leu Glu 130 135 140 Arg Asn Gln Ile Lys Ile Ile Gly Ile Asp Phe Asp Ile Glu Thr Glu 145 150 155 160 Tyr Lys Trp Phe Tyr Ser Leu Gln Phe Asn Ile Lys Glu Ser Ala Phe 165 170 175 Thr Thr Gly Tyr Ala Ile Ala Ser Trp Leu Ser Glu Gln Asp Glu Ser 180 185 190 Lys Arg Val Val Ala Ser Phe Gly Gly Gly Ala Phe Pro Gly Val Thr 195 200 205 Thr Phe Asn Glu Gly Phe Ala Lys Gly Ile Leu Tyr Tyr Asn Gln Lys 210 215 220 His Lys Ser Ser Lys Ile Tyr His Thr Ser Pro Val Lys Leu Asp Ser 225 230 235 240 Gly Phe Thr Ala Gly Glu Lys Met Asn Thr Val Ile Asn Asn Val Leu 245 250 255 Ser Ser Thr Pro Ala Asp Val Lys Tyr Asn Pro His Val Ile Leu Ser 260 265 270 Val Ala Gly Pro Ala Thr Phe Glu Thr Val Arg Leu Ala Asn Lys Gly 275 280 285 Gln Tyr Val Ile Gly Val Asp Ser Asp Gln Gly Met Ile Gln Asp Lys 290 295 300 Asp Arg Ile Leu Thr Ser Val Leu Lys His Ile Lys Gln Ala Val Tyr 305 310 315 320 Glu Thr Leu Leu Asp Leu Ile Leu Glu Lys Glu Glu Gly Tyr Lys Pro 325 330 335 Tyr Val Val Lys Asp Lys Lys Ala Asp Lys Lys Trp Ser His Phe Gly 340 345 350 Thr Gln Lys Glu Lys Trp Ile Gly Val Ala Glu Asn His Phe Ser Asn 355 360 365 Thr Glu Glu Gln Ala Lys Ile Asn Asn Lys Ile Lys Glu Ala Ile Lys 370 375 380 Met Phe Lys Glu Leu Pro Glu Asp Phe Val Lys Tyr Ile Asn Ser Asp 385 390 395 400 Lys Ala Leu Lys Asp Gly Asn Lys Ile Asp Asn Val Ser Glu Arg Leu 405 410 415 Glu Ala Ile Ile Ser Ala Ile Asn Lys Ala Ala Lys 420 425 <210> 3 <211> 1287 <212> DNA <213> Mycoplasma fermentans <400> 3 atgaaaaagt caaaaaaaat tttattagga ttgagtccta ttgctgctat tcttcctgca 60 gtagctgttt cttgtggaaa caacgatgaa tccaatattt cattcaaaga gaaagatatt 120 agtaaatata ccacaacaaa tgctaatgga aaacaagttg ttaaaaacgc tgaattgtta 180 aaattgaaac cagttcttat tacagatgaa ggtaaaattg atgataaatc atttaaccaa 240 tcagcttttg aagctttaaa agctataaat aaacaaactg gtattgaaat taacaatgtt 300 gaacctagct caaactttga aagtgcttac aacagtgcac tttcagccgg acacaaaatt 360 tgagtactta atggcttcaa acaccaacaa tctattaaac aatacattga tgctcacaga 420 gaagaacttg aaagaaatca aatcaaaatc attggtatcg actttgatat tgaaacagag 480 tacaagtgat tctactcatt acaattcaat attaaagaat ctgcatttac aacaggctat 540 gcaattgcaa gttgattaag tgaacaagat gaaagtaaaa gagttgttgc atcatttggt 600 ggaggtgcat tcccaggtgt tacaacattt aacgaaggtt ttgcaaaagg tattctatac 660 tacaaccaaa aacataaatc aagtaaaatt taccacacat cacctgttaa attagactca 720 ggttttactg ctggtgaaaa aatgaacact gttattaata atgttttatc ttcaacacca 780 gctgatgtta aatacaaccc acatgttatc ttatctgttg ctggacctgc tacatttgaa 840 actgtaagat tagcaaacaa aggtcaatat gtaattggtg ttgactcaga ccaaggcatg 900 attcaagaca aagacagaat tcttacatca gttctaaaac acattaaaca agctgtttat 960 gaaacattat tagatcttat tcttgaaaaa gaagaaggat ataaaccata tgtagttaaa 1020 gacaaaaaag cagacaaaaa atgaagccac tttggaactc aaaaagaaaa atgaatcggt 1080 gtcgcagaaa accacttctc aaatacagaa gaacaagcaa aaattaataa caaaattaaa 1140 gaagcaatta aaatgtttaa agaattacca gaagatttcg ttaaatatat taatagtgac 1200 aaagctttaa aagatggtaa taaaattgac aatgttagtg aaagattaga agcaattatt 1260 tctgctatta acaaggcagc aaaataa 1287
【図面の簡単な説明】
【図1】 M161抗原のアミノ酸配列を示す。
【図2】 M161抗原をコードするDNAの塩基配列
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 107 A61P 43/00 107 4C085 111 111 4H045 121 121 C07K 14/30 C07K 14/30 14/82 14/82 19/00 19/00 C12N 15/09 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12Q 1/02 C12Q 1/02 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 C12N 15/00 A Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB14 BB50 BB51 CB01 DA13 DA36 FB02 FB03 FB07 FB08 4B024 AA01 AA11 BA36 BA45 CA04 CA07 DA02 DA05 EA02 EA04 GA11 HA15 4B063 QA18 QQ08 QR48 QX10 4B064 AG31 CA02 CA05 CA06 CA10 CA19 CC24 DA05 DA13 4C084 AA17 AA19 AA22 MA02 NA14 ZB09 ZB22 ZB26 ZC20 ZC41 4C085 AA03 BA99 BB01 BB11 BB12 BB17 CC03 CC04 CC05 CC21 CC31 DD21 DD62 EE01 EE03 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA11 CA41 DA75 DA86 EA28 EA51 FA72 FA74

Claims (107)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】M161抗原もしくはその部分ペプチドま
    たはその塩を含有してなるCTL誘導剤。
  2. 【請求項2】哺乳動物に対して、M161抗原もしくは
    その部分ペプチドまたはその塩の有効量を投与すること
    を特徴とするCTL誘導方法。
  3. 【請求項3】CTL誘導剤を製造するためのM161抗
    原もしくはその部分ペプチドまたはその塩の使用。
  4. 【請求項4】M161抗原もしくはその部分ペプチドま
    たはその塩を含有してなるTh1細胞誘導剤。
  5. 【請求項5】哺乳動物に対して、M161抗原もしくは
    その部分ペプチドまたはその塩の有効量を投与すること
    を特徴とするTh1細胞誘導方法。
  6. 【請求項6】Th1細胞誘導剤を製造するためのM161
    抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩の使用。
  7. 【請求項7】M161抗原もしくはその部分ペプチドま
    たはその塩と癌抗原とを組み合わせて成る医薬。
  8. 【請求項8】抗癌剤である請求項7記載の医薬。
  9. 【請求項9】サイトカイン誘導剤である請求項7記載の
    医薬。
  10. 【請求項10】未成熟樹状細胞の成熟化誘導剤である請
    求項7記載の医薬。
  11. 【請求項11】貧食促進剤である請求項7記載の医薬。
  12. 【請求項12】CTL誘導剤である請求項7記載の医
    薬。
  13. 【請求項13】Th1細胞誘導剤である請求項7記載の医
    薬。
  14. 【請求項14】哺乳動物に対して、M161抗原もしく
    はその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌抗原の有
    効量とを組み合わせて投与することを特徴とする癌の予
    防・治療方法。
  15. 【請求項15】哺乳動物に対して、M161抗原もしく
    はその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌抗原の有
    効量とを組み合わせて投与することを特徴とするサイト
    カイン誘導方法。
  16. 【請求項16】哺乳動物に対して、M161抗原もしく
    はその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌抗原の有
    効量とを組み合わせて投与することを特徴とする未成熟
    樹状細胞の成熟化誘導方法。
  17. 【請求項17】哺乳動物に対して、M161抗原もしく
    はその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌抗原の有
    効量とを組み合わせて投与することを特徴とする貧食促
    進方法。
  18. 【請求項18】哺乳動物に対して、M161抗原もしく
    はその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌抗原の有
    効量とを組み合わせて投与することを特徴とするCTL
    誘導方法。
  19. 【請求項19】哺乳動物に対して、M161抗原もしく
    はその部分ペプチドまたはその塩の有効量と癌抗原の有
    効量とを組み合わせて投与することを特徴とするTh1細
    胞誘導方法。
  20. 【請求項20】抗癌剤を製造するためのM161抗原も
    しくはその部分ペプチドまたはその塩および癌抗原の使
    用。
  21. 【請求項21】サイトカイン誘導剤を製造するためのM
    161抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩およ
    び癌抗原の使用。
  22. 【請求項22】未成熟樹状細胞の成熟化誘導剤を製造す
    るためのM161抗原もしくはその部分ペプチドまたは
    その塩および癌抗原の使用。
  23. 【請求項23】貧食促進剤を製造するためのM161抗
    原もしくはその部分ペプチドまたはその塩および癌抗原
    の使用。
  24. 【請求項24】CTL誘導剤を製造するためのM161
    抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩および癌抗
    原の使用。
  25. 【請求項25】Th1細胞誘導剤を製造するためのM16
    1抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩および癌
    抗原の使用。
  26. 【請求項26】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    と癌抗原との融合蛋白質またはその塩。
  27. 【請求項27】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    のC末端に癌抗原を連結した請求項26記載の融合蛋白
    質。
  28. 【請求項28】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    と癌抗原とを連結させることを特徴とする請求項26記
    載の融合蛋白質またはその塩の製造法。
  29. 【請求項29】請求項26記載の融合蛋白質またはその
    塩を含有してなる医薬。
  30. 【請求項30】抗癌剤である請求項29記載の医薬。
  31. 【請求項31】サイトカイン誘導剤である請求項29記
    載の医薬。
  32. 【請求項32】未成熟樹状細胞の成熟化誘導剤である請
    求項29記載の医薬。
  33. 【請求項33】貧食促進剤である請求項29記載の医
    薬。
  34. 【請求項34】CTL誘導剤である請求項29記載の医
    薬。
  35. 【請求項35】Th1細胞誘導剤である請求項29記載の
    医薬。
  36. 【請求項36】哺乳動物に対して、請求項26記載の融
    合蛋白質またはその塩の有効量を投与することを特徴と
    する癌の予防・治療方法。
  37. 【請求項37】哺乳動物に対して、請求項26記載の融
    合蛋白質またはその塩の有効量を投与することを特徴と
    するサイトカイン誘導方法。
  38. 【請求項38】哺乳動物に対して、請求項26記載の融
    合蛋白質またはその塩の有効量を投与することを投与す
    ることを特徴とする未成熟樹状細胞の成熟化誘導方法。
  39. 【請求項39】哺乳動物に対して、請求項26記載の融
    合蛋白質またはその塩の有効量を投与することを特徴と
    する貧食促進方法。
  40. 【請求項40】哺乳動物に対して、請求項26記載の融
    合蛋白質またはその塩の有効量を投与することを特徴と
    するCTL誘導方法。
  41. 【請求項41】哺乳動物に対して、請求項26記載の融
    合蛋白質またはその塩の有効量を投与することを特徴と
    するTh1細胞誘導方法。
  42. 【請求項42】抗癌剤を製造するための請求項26記載
    の融合蛋白質またはその塩の使用。
  43. 【請求項43】サイトカイン誘導剤を製造するための請
    求項26記載の融合蛋白質またはその塩の使用。
  44. 【請求項44】未成熟樹状細胞の成熟化誘導剤を製造す
    るための請求項26記載の融合蛋白質またはその塩の使
    用。
  45. 【請求項45】貧食促進剤を製造するための請求項26
    記載の融合蛋白質またはその塩の使用。
  46. 【請求項46】CTL誘導剤を製造するための請求項2
    6記載の融合蛋白質またはその塩の使用。
  47. 【請求項47】Th1細胞誘導剤を製造するための請求項
    26記載の融合蛋白質またはその塩の使用。
  48. 【請求項48】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩および癌抗原を用いることを特徴とする抗
    癌作用を有する物質のスクリーニング方法。
  49. 【請求項49】請求項48記載のスクリーニング方法で
    得られる抗癌作用を有する物質。
  50. 【請求項50】請求項48記載のスクリーニング方法で
    得られる抗癌作用を有する物質を含有してなる医薬。
  51. 【請求項51】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩および癌抗原を用いることを特徴とするM
    161抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活
    性を増強する物質のスクリーニング方法。
  52. 【請求項52】請求項51記載のスクリーニング方法で
    得られるM161抗原もしくはその部分ペプチドまたは
    その塩の活性を増強する物質。
  53. 【請求項53】請求項51記載のスクリーニング方法で
    得られるM161抗原もしくはその部分ペプチドまたは
    その塩の活性を増強する物質を含有してなる医薬。
  54. 【請求項54】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩および癌抗原を用いることを特徴とするサ
    イトカインの誘導を促進する物質のスクリーニング方
    法。
  55. 【請求項55】請求項54記載のスクリーニング方法で
    得られるサイトカインの誘導を促進する物質。
  56. 【請求項56】請求項54記載のスクリーニング方法で
    得られるサイトカインの誘導を促進する物質を含有して
    なる医薬。
  57. 【請求項57】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩および癌抗原を用いることを特徴とするC
    TLの誘導を促進する物質のスクリーニング方法。
  58. 【請求項58】請求項57記載のスクリーニング方法で
    得られるCTLの誘導を促進する物質。
  59. 【請求項59】請求項57記載のスクリーニング方法で
    得られるCTLの誘導を促進する物質を含有してなる医
    薬。
  60. 【請求項60】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩および癌抗原を用いることを特徴とするTh
    1細胞の誘導を促進する物質のスクリーニング方法。
  61. 【請求項61】請求項60記載のスクリーニング方法で
    得られるTh1細胞の誘導を促進する物質。
  62. 【請求項62】請求項60記載のスクリーニング方法で
    得られるTh1細胞の誘導を促進する物質を含有してなる
    医薬。
  63. 【請求項63】さらに未成熟樹状細胞を用いることを特
    徴とする請求項48、51、54、57または60記載
    のスクリーニング方法。
  64. 【請求項64】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩、癌抗原および未成熟樹状細胞を用いるこ
    とを特徴とする未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質
    のスクリーニング方法。
  65. 【請求項65】請求項64記載のスクリーニング方法で
    得られる未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質。
  66. 【請求項66】請求項64記載のスクリーニング方法で
    得られる未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質を含有
    してなる医薬。
  67. 【請求項67】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩、癌抗原および未成熟樹状細胞を用いるこ
    とを特徴とする貪食を促進する物質のスクリーニング方
    法。
  68. 【請求項68】請求項67記載のスクリーニング方法で
    得られる貪食を促進する物質。
  69. 【請求項69】請求項67記載のスクリーニング方法で
    得られる貪食を促進する物質を含有してなる医薬。
  70. 【請求項70】請求項26記載の融合蛋白質またはその
    塩を用いることを特徴とする当該融合蛋白質またはその
    塩の作用を増強する物質のスクリーニング方法。
  71. 【請求項71】請求項70記載のスクリーニング方法で
    得られる、請求項26記載の融合蛋白質またはその塩の
    作用を増強する物質。
  72. 【請求項72】請求項70記載のスクリーニング方法で
    得られる、請求項26記載の融合蛋白質またはその塩の
    作用を増強する物質を含有してなる医薬。
  73. 【請求項73】請求項26記載の融合蛋白質またはその
    塩を用いることを特徴とするサイトカインの誘導を促進
    する物質のスクリーニング方法。
  74. 【請求項74】請求項73記載のスクリーニング方法で
    得られる、サイトカインの誘導を促進する物質。
  75. 【請求項75】請求項73記載のスクリーニング方法で
    得られる、サイトカインの誘導を促進する物質を含有し
    てなる医薬。
  76. 【請求項76】請求項26記載の融合蛋白質またはその
    塩を用いることを特徴とするCTLの誘導を促進する物
    質のスクリーニング方法。
  77. 【請求項77】請求項76記載のスクリーニング方法で
    得られる、CTLの誘導を促進する物質。
  78. 【請求項78】請求項76記載のスクリーニング方法で
    得られる、CTLの誘導を促進する物質を含有してなる
    医薬。
  79. 【請求項79】請求項26記載の融合蛋白質またはその
    塩を用いることを特徴とするTh1細胞の誘導を促進する
    物質のスクリーニング方法。
  80. 【請求項80】請求項79記載のスクリーニング方法で
    得られる、Th1細胞の誘導を促進する物質。
  81. 【請求項81】請求項79記載のスクリーニング方法で
    得られる、Th1細胞の誘導を促進する物質を含有してな
    る医薬。
  82. 【請求項82】請求項26記載の融合蛋白質またはその
    塩および未成熟樹状細胞を用いることを特徴とする未成
    熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質のスクリーニング方
    法。
  83. 【請求項83】請求項82記載のスクリーニング方法で
    得られる、未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質。
  84. 【請求項84】請求項82記載のスクリーニング方法で
    得られる、未成熟樹状細胞の成熟化を誘導する物質を含
    有してなる医薬。
  85. 【請求項85】請求項26記載の融合蛋白質またはその
    塩および未成熟樹状細胞を用いることを特徴とする貪食
    を促進する物質のスクリーニング方法。
  86. 【請求項86】請求項85記載のスクリーニング方法で
    得られる、貪食を促進する物質。
  87. 【請求項87】請求項85記載のスクリーニング方法で
    得られる、貪食を促進する物質を含有してなる医薬。
  88. 【請求項88】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩および癌抗原を用いることを特徴とするT
    LR2を活性化させる物質のスクリーニング方法。
  89. 【請求項89】請求項88記載のスクリーニング方法で
    得られる、TLR2を活性化させる物質。
  90. 【請求項90】請求項88記載のスクリーニング方法で
    得られる、TLR2を活性化させる物質を含有してなる
    医薬。
  91. 【請求項91】M161抗原もしくはその部分ペプチド
    またはその塩および癌抗原を用いることを特徴とする
    (1)M161抗原もしくはその部分ペプチドまたはそ
    の塩と(2)TLR2および/またはβ2インテグリン
    との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法。
  92. 【請求項92】請求項91記載のスクリーニング方法で
    得られる、(1)M161抗原もしくはその部分ペプチ
    ドまたはその塩と(2)TLR2および/またはβ2イ
    ンテグリンとの結合性を変化させる物質。
  93. 【請求項93】請求項91記載のスクリーニング方法で
    得られる、(1)M161抗原もしくはその部分ペプチ
    ドまたはその塩と(2)TLR2および/またはβ2イ
    ンテグリンとの結合性を変化させる物質を含有してなる
    医薬。
  94. 【請求項94】請求項26記載の融合蛋白質またはその
    塩を用いることを特徴とする(1)請求項26記載の融
    合蛋白質またはその塩と(2)TLR2および/または
    β2インテグリンとの結合性を変化させる物質のスクリ
    ーニング方法。
  95. 【請求項95】請求項94記載のスクリーニング方法で
    得られる、(1)請求項26記載の融合蛋白質またはそ
    の塩と(2)TLR2および/またはβ2インテグリン
    との結合性を変化させる物質。
  96. 【請求項96】請求項94記載のスクリーニング方法で
    得られる、(1)請求項26記載の融合蛋白質またはそ
    の塩と(2)TLR2および/またはβ2インテグリン
    との結合性を変化させる物質を含有してなる医薬。
  97. 【請求項97】哺乳動物のTLR2および/またはβ2
    インテグリンを活性化することを特徴とする癌の予防・
    治療方法。
  98. 【請求項98】哺乳動物に対して、TLR2に対するリ
    ガンドまたはアゴニストの有効量および/またはβ2イ
    ンテグリンに対するリガンドまたはアゴニストの有効量
    を投与することを特徴とする癌の予防・治療方法。
  99. 【請求項99】(1)M161抗原もしくはその部分ペ
    プチドまたはその塩、(2)癌抗原および(3)他の抗
    癌剤とを組み合わせてなる医薬。
  100. 【請求項100】哺乳動物に対して、(1)M161抗
    原もしくはその部分ペプチドまたはその塩、(2)癌抗
    原および(3)他の抗癌剤とを組み合わせて有効量を投
    与することを特徴とする癌の予防・治療方法。
  101. 【請求項101】抗癌性併用剤を製造するための(1)
    M161抗原もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)癌抗原および(3)他の抗癌剤の使用。
  102. 【請求項102】M161抗原もしくはその部分ペプチ
    ドと癌抗原との融合蛋白質またはその塩と他の抗癌剤と
    を組み合わせてなる医薬。
  103. 【請求項103】哺乳動物に対して、M161抗原もし
    くはその部分ペプチドと癌抗原との融合蛋白質またはそ
    の塩と他の抗癌剤とを組み合わせて有効量を投与するこ
    とを特徴とする癌の予防・治療方法。
  104. 【請求項104】抗癌性併用剤を製造するためのM16
    1抗原もしくはその部分ペプチドと癌抗原との融合蛋白
    質またはその塩と他の抗癌剤の使用。
  105. 【請求項105】他の抗癌剤がチロシンキナーゼ阻害剤
    である請求項99または102記載の医薬。
  106. 【請求項106】他の抗癌剤がチロシンキナーゼ阻害剤
    である請求項100または103記載の方法。
  107. 【請求項107】他の抗癌剤がチロシンキナーゼ阻害剤
    である請求項101または104記載の使用。
JP2002173924A 2001-06-15 2002-06-14 抗癌剤 Withdrawn JP2003104906A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002173924A JP2003104906A (ja) 2001-06-15 2002-06-14 抗癌剤

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-182250 2001-06-15
JP2001182250 2001-06-15
JP2002173924A JP2003104906A (ja) 2001-06-15 2002-06-14 抗癌剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003104906A true JP2003104906A (ja) 2003-04-09

Family

ID=26617029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002173924A Withdrawn JP2003104906A (ja) 2001-06-15 2002-06-14 抗癌剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003104906A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007051066A (ja) * 2003-10-31 2007-03-01 Univ Kurume ペプチドワクチン投与およびエストラムスチン処置の併用療法
JP2007515924A (ja) * 2003-12-15 2007-06-21 アウレリウム バイオファーマ インク. ビメンチン指向性診断法、および、多剤耐性を示す腫瘍性疾患の治療法
US7670604B2 (en) 2002-12-13 2010-03-02 Aurelium Biopharma, Inc. Vimentin directed diagnostics and therapeutics for multidrug resistant neoplastic disease
CN111511761A (zh) * 2017-08-02 2020-08-07 Idp研发制药有限公司 抗癌肽

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7670604B2 (en) 2002-12-13 2010-03-02 Aurelium Biopharma, Inc. Vimentin directed diagnostics and therapeutics for multidrug resistant neoplastic disease
JP2007051066A (ja) * 2003-10-31 2007-03-01 Univ Kurume ペプチドワクチン投与およびエストラムスチン処置の併用療法
JP2007515924A (ja) * 2003-12-15 2007-06-21 アウレリウム バイオファーマ インク. ビメンチン指向性診断法、および、多剤耐性を示す腫瘍性疾患の治療法
CN111511761A (zh) * 2017-08-02 2020-08-07 Idp研发制药有限公司 抗癌肽

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101424306B1 (ko) 메타스틴 유도체 및 그의 용도
KR20050090420A (ko) 메타스틴 유도체 및 이의 용도
JP2009131263A (ja) 50個のヒト分泌タンパク質
WO2006059777A1 (ja) アルツハイマー治療剤
US7309693B2 (en) Preventives and remedies for pulmonary hypertension
MX2011009478A (es) Dominio angiogenico de proteina secretada, acida, rica en cisteinas y metodos de uso.
JPWO2007072980A1 (ja) アペリンの新規用途
JP4804714B2 (ja) メタスチン誘導体およびその用途
JP2003104906A (ja) 抗癌剤
JP2008509655A (ja) Unc5h2のスプライス変異体
WO2000071151A1 (fr) Regulateurs des fonctions hepatiques
JP2003521865A (ja) 148個のヒト分泌タンパク質
EP1239039A1 (en) Novel polypeptide and dna thereof
JP2003300906A (ja) がん転移抑制因子の安定化
JP2002308799A (ja) 抗癌剤
KR20010043088A (ko) 신규인 폴리펩티드, 그 폴리펩티드를 코드화하는 cDNA및 그 용도
WO2002102402A1 (fr) Agents anticancereux
JP2001511648A (ja) 樹状細胞由来成長因子
WO2002066050A1 (fr) Inhibiteurs de caspase 3
JP2006213632A (ja) 癌治療の副作用予防・軽減剤
JP4299527B2 (ja) 増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤
JP2003513660A (ja) ヘッジホッグ融合タンパク質及び利用
JP2000191696A (ja) ペプチドの用途
JP4827320B2 (ja) 肺高血圧症予防・治療剤
EP1600165A1 (en) Medicinal use of mip-3alpha inhibitor and method of screening brain/nerve cell protective agent

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050906