JP4804714B2 - メタスチン誘導体およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、メタスチン誘導体およびその用途に関する。
ヒト由来メタスチン(KiSS−1ペプチドとも呼ばれる)(特許文献1)およびマウス・ラット由来メタスチン(特許文献2)が知られている。メタスチンを含有する徐放製剤も知られている(特許文献3)。
メタスチンは、癌転移抑制活性を有しており、癌(例えば、肺癌、胃癌、肝癌、膵癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌、腎癌、膀胱癌、脳腫瘍等)の予防・治療に有効であること、膵臓機能調節作用を有しており、膵臓疾患(例えば、急性または慢性膵炎、膵癌等)の予防・治療にも有効であること、胎盤機能調節作用を有しており、絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩異常の予防・治療に有効であることが報告されている(特許文献1〜3)。
WO00/24890号 WO01/75104号 WO02/85399号
本発明は、優れた癌転移抑制活性、癌増殖抑制活性等を有する安定なメタスチン誘導体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、メタスチンの構成アミノ酸を特定の修飾基で修飾することにより、予想外にも天然型メタスチンよりも血中安定性などが向上し、かつ優れた癌転移抑制活性や癌増殖抑制活性を示すことを見出した。さらに、本発明者らは、メタスチンおよびメタスチン誘導体が、予想外にも従来知られていた作用とは全く異なる血糖上昇作用、膵グルカゴン分泌促進作用、尿生成促進作用を有することを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さらに検討し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕式
Figure 0004804714
〔式中、Z1、Z3、Z5およびZ7はそれぞれ水素原子またはC1-3アルキル基を、Z2、Z4、Z6およびZ8はそれぞれ水素原子、OまたはSを、
1は(1)水素原子または(2)置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいヒドロキシル基および置換されていてもよい芳香族環基から成る群から選ばれる基で置換されていてもよいC1-8アルキル基を、
2は(1)水素原子または(2)環状または鎖状のC1-10アルキル基または(3)環状アルキル基と鎖状アルキル基からなるC1-10アルキル基を、
3は(1)置換されていてもよい塩基性基を有し、さらに他の置換基を有していてもよいC1-8アルキル基、
(2)置換されていてもよい塩基性基を有し、さらに他の置換基を有していてもよいアラルキル基、
(3)置換されていてもよい塩基性基を有している炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基を有し、さらに他の置換基を有していてもよいC1-4アルキル基、または
(4)置換されていてもよい塩基性基を有している炭素数7以下の非芳香性複素環基を有し、さらに他の置換基を有していてもよいC1-4アルキル基を、
4は(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基、
(2)置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基、
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基、
(4)置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基、
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基、および
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基、
から成る群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基を、
Xは式 −NHCH(Q1)YQ2C(=Z9)−
(式中、Q1は(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基、
(2)置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基、
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基、
(4)置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基、
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基、および
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基、
から成る群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基を、Q2は(1)カルバモイル基およびヒドロキシル基から成る群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基で置換されていてもよいCH2、(2)カルバモイル基およびヒドロキシル基から成る群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基で置換されていてもよいNHまたは(3)Oを、
YはC1-6アルキル基で置換されていてもよい、式−CONH−、−CSNH−、−CH2NH−、−NHCO−、−CH2O−、−CH2S−または−CH2CH2−で表わされる基を、
9は水素原子、OまたはSを示す)で表わされる基を、
Pは(1)水素原子、
(2)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第1〜48番目のアミノ酸配列のC末端側から任意の連続したまたは不連続に結合したアミノ酸残基、
(3)式 J1−J2−C(J3)(Q3)Y1C(J4)(Q4)Y2C(J5)(Q5)Y3C(J6)(Q6)C(=Z10)−
(式中、J1は(a)水素原子または(b)置換基を有していてもよい環基を含む置換基で置換されていてもよい、(i)C1-15アシル基、(ii)C1-15アルキル基、(iii)C6-14アリール基、(iv)カルバモイル基、(v)カルボキシル基、(vi)スルフィノ基、(vii)アミジノ基、または(viii)グリオキシロイル基を、
2は(1)C1-6アルキル基で置換されていてもよいNH、(2)C1-6アルキル基で置換されていてもよいCH2、(3)Oまたは(4)Sを、
3〜J6はそれぞれ水素原子またはC1-3アルキル基を、
3〜Q6はそれぞれ、
(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基、
(2)置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基、
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基、
(4)置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基、
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基、
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基、
(7)置換されていてもよいアミノ基、
(8)置換されていてもよいグアニジノ基、
(9)置換されていてもよいヒドロキシル基、
(10)置換されていてもよいカルボキシル基、
(11)置換されていてもよいカルバモイル基、および
(12)置換されていてもよいスルフヒドリル基
から成る群から選ばれる置換基を有していてもよいC1-4アルキル基又は水素原子を示し、
3とQ3、J4とQ4、J5とQ5、J6とQ6が結合することで、あるいはJ2とQ3、Y1とQ4、Y2とQ5、Y3とQ6が結合することで環を形成してもよい、
1〜Y3はそれぞれ−CON(J13)−、−CSN(J13)−、−C(J14)N(J13)−または−N(J13)CO−(J13およびJ14はそれぞれ水素原子またはC1-3アルキル基を示す)で示される基を示し、
10は水素原子、OまたはSを示す)で表わされる基、
(4)式 J1−J2−C(J7)(Q7)Y2C(J8)(Q8)Y3C(J9)(Q9)C(=Z10)−
(式中、J1およびJ2はそれぞれ前記と同意義を、
7〜J9はJ3と同意義を、
7〜Q9はQ3と同意義を、
2およびY3は前記と同意義を、
10は前記と同意義を示し、
7とQ7、J8とQ8、J9とQ9が結合することで、あるいはJ2とQ7、Y2とQ8、Y3とQ9が結合することで環を形成してもよい。)で表わされる基、
(5)式 J1−J2−C(J10)(Q10)Y3C(J11)(Q11)C(=Z10)−
(式中、J1およびJ2は前記と同意義を、
10およびJ11はJ3と同意義を、
10およびQ11はQ3と同意義を、
3は前記と同意義を、
10は前記と同意義を示し、
10とQ10、J11とQ11が結合することで、あるいはJ2とQ10、Y3とQ11が結合することで環を形成してもよい。)で表わされる基、
(6)式 J1−J2−C(J12)(Q12)C(=Z10)−
(式中、J1およびJ2は前記と同意義を、
12はJ3と同意義を、
12はQ3と同意義を、
10は前記と同意義を示し、
12とQ12が結合することで、あるいはJ2とQ12が結合することで環を形成してもよい。)で表わされる基、または
(7)式 J1−(J1は前記と同意義を示す)で表わされる基を示す。〕で表わされるメタスチン誘導体(I)(ただし、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第1〜54番目、第2〜54番目、第3〜54番目、第4〜54番目、第5〜54番目、第6〜54番目、第7〜54番目、第8〜54番目、第9〜54番目、第10〜54番目、第11〜54番目、第12〜54番目、第13〜54番目、第14〜54番目、第15〜54番目、第16〜54番目、第17〜54番目、第18〜54番目、第19〜54番目、第20〜54番目、第21〜54番目、第22〜54番目、第23〜54番目、第24〜54番目、第25〜54番目、第26〜54番目、第27〜54番目、第28〜54番目、第29〜54番目、第30〜54番目、第31〜54番目、第32〜54番目、第33〜54番目、第34〜54番目、第35〜54番目、第36〜54番目、第37〜54番目、第38〜54番目、第39〜54番目、第40〜54番目、第41〜54番目、第42〜54番目、第43〜54番目、第44〜54番目、第45〜54番目、第46〜54番目、第47〜54番目、第48〜54番目または第49〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチドを除く)またはその塩、
〔2〕(i)D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号141)、
(ii)D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2(化合物番号174)、
(iii)3-(3-Indolyl)propionyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号260)、
(iv)3-Phenylpropionyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号269)、
(v)2-(indol-3-yl)ethylcarbamoyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号279)、
(vi)D-Tyr-Asn-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号286)、
(vii)D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(CSNH)Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号296)、
(viii)TyrΨ(CH2NH)Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号300)、
(ix)D-Tyr-D-Asn-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号303)、
(x)D-Tyr-D-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号305)、
(xi)D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe(4F)-NH2(化合物番号318)、
(xii)D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(NHCO)Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号319)、
(xiii)3-Pyridylpropionyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号322)、
(xiv)4-Imidazoleacetyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2(化合物番号323)、
(xv)D-Tyr-D-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2(化合物番号385)、または
(xvi)D-Tyr-D-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2(化合物番号386)である請求項1記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩、
〔3〕上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩のプロドラッグ、〔4〕上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグを含有してなる医薬、
〔5〕癌転移抑制剤または癌増殖抑制剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔6〕癌の予防・治療剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔7〕膵臓機能調節剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔8〕急性もしくは慢性膵炎または膵癌の予防・治療剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔9〕胎盤機能調節剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔10〕絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩誘発の予防・治療剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔11〕性腺機能改善剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔12〕ホルモン依存性癌(例えば、前立腺癌、乳癌)、不妊症、子宮内膜症または子宮筋腫の予防・治療剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔13〕排卵誘発または促進剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔14〕性腺刺激ホルモン分泌促進剤または性ホルモン分泌促進剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔15〕アルツハイマー病または軽度認知障害の予防・治療剤である上記〔4〕記載の医薬、
〔16〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする癌転移抑制または癌増殖抑制方法、
〔17〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする癌の予防・治療方法、
〔18〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする膵臓機能調節方法、
〔19〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする急性もしくは慢性膵炎または膵癌の予防・治療方法、
〔20〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする胎盤機能調節方法、
〔21〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩誘発の予防・治療方法、
〔22〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする性腺機能改善方法、
〔23〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするホルモン依存性癌(例えば、前立腺癌、乳癌)、不妊症、子宮内膜症または子宮筋腫の予防・治療方法、
〔24〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする排卵誘発または促進方法、
〔25〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする性腺刺激ホルモン分泌促進方法または性ホルモン分泌促進方法、
〔26〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするアルツハイマー病または軽度認知障害の予防・治療方法、
〔27〕癌転移抑制剤または癌増殖抑制剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔28〕癌の予防・治療剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔29〕膵臓機能調節剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔30〕急性もしくは慢性膵炎または膵癌の予防・治療剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔31〕胎盤機能調節剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔32〕絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩誘発の予防・治療剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔33〕性腺機能改善剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔34〕ホルモン依存性癌(例えば、前立腺癌、乳癌)、不妊症、子宮内膜症または子宮筋腫の予防・治療剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔35〕排卵誘発または促進剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔36〕性腺刺激ホルモン分泌促進剤または性ホルモン分泌促進剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔37〕アルツハイマー病または軽度認知障害の予防・治療剤を製造するための上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用、
〔38〕メタスチン受容体アゴニストを含有してなる膵グルカゴン分泌促進剤、
〔39〕メタスチン受容体アゴニストを含有してなる尿生成促進剤、
〔40〕メタスチン受容体アゴニストを含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤、
〔41〕メタスチン受容体アゴニストが請求項1記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグである上記〔38〕〜〔40〕記載の剤、
〔42〕哺乳動物に対して、メタスチン受容体アゴニストの有効量を投与することを特徴とする膵グルカゴン分泌促進方法、
〔43〕哺乳動物に対して、メタスチン受容体アゴニストの有効量を投与することを特徴とする尿生成促進方法、
〔44〕哺乳動物に対して、メタスチン受容体アゴニストの有効量を投与することを特徴とする肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療方法、
〔45〕膵グルカゴン分泌促進剤を製造するためのメタスチン受容体アゴニストの使用、
〔46〕尿生成促進剤を製造するためのメタスチン受容体アゴニストの使用、および
〔47〕肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤を製造するためのメタスチン受容体アゴニストの使用を提供する。
さらに、本発明は、
〔1〕メタスチンまたはその塩を含有してなる血糖上昇剤、
〔2〕メタスチンまたはその塩を含有してなる膵グルカゴン分泌促進剤、
〔3〕メタスチンまたはその塩を含有してなる尿生成促進剤、
〔4〕メタスチンまたはその塩を含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤、
〔5〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAを含有してなる血糖上昇剤、
〔6〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAを含有してなる膵グルカゴン分泌促進剤、
〔7〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAを含有してなる尿生成促進剤、
〔8〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAを含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤、
〔9〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAを含有してなる肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、頻尿、夜尿症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の診断剤、
〔10〕メタスチンまたはその塩に対する抗体を含有してなる血糖低下剤、
〔11〕メタスチンまたはその塩に対する抗体を含有してなる膵グルカゴン分泌抑制剤、
〔12〕メタスチンまたはその塩に対する抗体を含有してなる尿生成抑制剤、
〔13〕メタスチンまたはその塩に対する抗体を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
〔14〕メタスチンまたはその塩に対する抗体を含有してなる肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、頻尿、夜尿症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の診断剤、
〔15〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNAを含有してなる血糖低下剤、
〔16〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNAを含有してなる膵グルカゴン分泌抑制剤、
〔17〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNAを含有してなる尿生成抑制剤、
〔18〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNAを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
〔19〕メタスチンが、
(1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から第47〜54番目のアミノ酸配列を含有し、8乃至54個のアミノ酸残基からなるペプチド、
(2)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列のN末端から第134〜141番目のアミノ酸配列を含有し、8乃至54個のアミノ酸残基からなるペプチド、
(3)配列番号:5で表わされるアミノ酸配列のN末端から第138〜145番目のアミノ酸配列を含有し、8乃至54個のアミノ酸残基からなるペプチド、または
(4)配列番号:7で表わされるアミノ酸配列のN末端から第112〜119番目のアミノ酸配列を含有し、8乃至54個のアミノ酸残基からなるペプチドである上記〔1〕〜〔18〕記載の剤、
〔20〕メタスチン受容体またはその塩を含有してなる血糖上昇剤、
〔21〕メタスチン受容体またはその塩を含有してなる膵グルカゴン分泌促進剤、
〔22〕メタスチン受容体またはその塩を含有してなる尿生成促進剤、
〔23〕メタスチン受容体またはその塩を含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤、
〔24〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAを含有してなる血糖上昇剤、
〔25〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAを含有してなる膵グルカゴン分泌促進剤、
〔26〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAを含有してなる尿生成促進剤、
〔27〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAを含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤、
〔28〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAを含有してなる肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、頻尿、夜尿症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の診断剤、
〔29〕メタスチン受容体またはその塩に対する抗体を含有してなる血糖低下剤、
〔30〕メタスチン受容体またはその塩に対する抗体を含有してなる膵グルカゴン分泌抑制剤、
〔31〕メタスチン受容体またはその塩に対する抗体を含有してなる尿生成抑制剤、
〔32〕メタスチン受容体またはその塩に対する抗体を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
〔33〕メタスチン受容体またはその塩に対する抗体を含有してなる肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、頻尿、夜尿症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の診断剤、
〔34〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNAを含有してなる血糖低下剤、
〔35〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNAを含有してなる膵グルカゴン分泌抑制剤、
〔36〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNAを含有してなる尿生成抑制剤、
〔37〕メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNAを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
〔38〕メタスチン受容体が配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質である上記〔1〕〜〔22〕記載の剤、
〔39〕メタスチンまたはその塩および(または)メタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩を用いることを特徴とする血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬のスクリーニング方法、
〔40〕メタスチンまたはその塩および(または)メタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩を含有することを特徴とする血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬のスクリーニング用キット、
〔41〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAおよび(または)メタスチン受容体またはその部分ペプチドをコードするDNAを含有するDNAを用いることを特徴とする血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬のスクリーニング方法、
〔42〕メタスチンをコードするDNAを含有するDNAおよび(または)メタスチン受容体またはその部分ペプチドをコードするDNAを含有するDNAを含有することを特徴とする血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬のスクリーニング用キット、
〔43〕メタスチン受容体に対するアンタゴニストを含有してなる血糖低下剤、
〔44〕メタスチン受容体に対するアンタゴニストを含有してなる膵グルカゴン分泌抑制剤、
〔45〕メタスチン受容体に対するアンタゴニストを含有してなる尿生成抑制剤、
〔46〕メタスチン受容体に対するアンタゴニストを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
〔47〕メタスチンの発現を促進する物質を含有してなる血糖上昇剤、
〔48〕メタスチンの発現を促進する物質を含有してなる膵グルカゴン分泌促進剤、
〔49〕メタスチンの発現を促進する物質を含有してなる尿生成促進剤、
〔50〕メタスチンの発現を促進する物質を含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤、
〔51〕メタスチンの発現を抑制する物質を含有してなる血糖低下剤、
〔52〕メタスチンの発現を抑制する物質を含有してなる膵グルカゴン分泌抑制剤、
〔53〕メタスチンの発現を抑制する物質を含有してなる尿生成抑制剤、
〔54〕メタスチンの発現を抑制する物質を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
〔55〕メタスチン受容体の発現を促進する物質を含有してなる血糖上昇剤、
〔56〕メタスチン受容体の発現を促進する物質を含有してなる膵グルカゴン分泌促進剤、
〔57〕メタスチン受容体の発現を促進する物質を含有してなる尿生成促進剤、
〔58〕メタスチン受容体の発現を促進する物質を含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤、
〔59〕メタスチン受容体の発現を抑制する物質を含有してなる血糖低下剤、
〔60〕メタスチン受容体の発現を抑制する物質を含有してなる膵グルカゴン分泌抑制剤、
〔61〕メタスチン受容体の発現を抑制する物質を含有してなる尿生成抑制剤、
〔62〕メタスチン受容体の発現を抑制する物質を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
〔63〕哺乳動物に対して、
(1)メタスチンまたはその塩、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNA、
(5)メタスチンの発現を促進する物質、または
(6)メタスチン受容体の発現を促進する物質の有効量を投与することを特徴とする血糖上昇方法、
〔64〕哺乳動物に対して、
(1)メタスチンまたはその塩、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNA、
(5)メタスチンの発現を促進する物質、または
(6)メタスチン受容体の発現を促進する物質の有効量を投与することを特徴とする膵グルカゴン分泌促進方法、
〔65〕哺乳動物に対して、
(1)メタスチンまたはその塩、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNA、
(5)メタスチンの発現を促進する物質、または
(6)メタスチン受容体の発現を促進する物質の有効量を投与することを特徴とする肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療方法、
〔66〕哺乳動物に対して、
(1)メタスチンまたはその塩に対する抗体、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩に対する抗体、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(5)メタスチン受容体に対するアンタゴニスト、
(6)メタスチンの発現を抑制する物質、または
(7)メタスチン受容体の発現を抑制する物質の有効量を投与することを特徴とする血糖低下方法、
〔67〕哺乳動物に対して、
(1)メタスチンまたはその塩に対する抗体、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩に対する抗体、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(5)メタスチン受容体に対するアンタゴニスト、
(6)メタスチンの発現を抑制する物質、または
(7)メタスチン受容体の発現を抑制する物質の有効量を投与することを特徴とする膵グルカゴン分泌抑制方法、
〔68〕哺乳動物に対して、
(1)メタスチンまたはその塩に対する抗体、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩に対する抗体、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(5)メタスチン受容体に対するアンタゴニスト、
(6)メタスチンの発現を抑制する物質、または
(7)メタスチン受容体の発現を抑制する物質の有効量を投与することを特徴とする糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障の予防・治療方法、
〔69〕血糖上昇剤を製造するための
(1)メタスチンまたはその塩、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNA、
(5)メタスチンの発現を促進する物質、または
(6)メタスチン受容体の発現を促進する物質の使用、
〔70〕膵グルカゴン分泌促進剤を製造するための
(1)メタスチンまたはその塩、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNA、
(5)メタスチンの発現を促進する物質、または
(6)メタスチン受容体の発現を促進する物質の使用、
〔71〕肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤を製造するための
(1)メタスチンまたはその塩、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNA、
(5)メタスチンの発現を促進する物質、または
(6)メタスチン受容体の発現を促進する物質の使用、
〔72〕血糖低下剤を製造するための
(1)メタスチンまたはその塩に対する抗体、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩に対する抗体、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(5)メタスチン受容体に対するアンタゴニスト、
(6)メタスチンの発現を抑制する物質、または
(7)メタスチン受容体の発現を抑制する物質の使用、
〔73〕膵グルカゴン分泌抑制剤を製造するための
(1)メタスチンまたはその塩に対する抗体、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩に対する抗体、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(5)メタスチン受容体に対するアンタゴニスト、
(6)メタスチンの発現を抑制する物質、または
(7)メタスチン受容体の発現を抑制する物質の使用、
〔74〕糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障の予防・治療剤を製造するための
(1)メタスチンまたはその塩に対する抗体、
(2)メタスチンをコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(3)メタスチン受容体またはその塩に対する抗体、
(4)メタスチン受容体をコードするDNAを含有するDNAに対するアンチセンスDNA、
(5)メタスチン受容体に対するアンタゴニスト、
(6)メタスチンの発現を抑制する物質、または
(7)メタスチン受容体の発現を抑制する物質の使用、
〔75〕(a)メタスチンおよび(または)(b)メタスチン受容体(以下、部分ペプチドも含む)を用いることを特徴とする血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬のスクリーニング方法、
〔76〕(a)メタスチンをコードするDNAを含有するDNAおよび(または)(b)メタスチン受容体をコードするDNAを用いることを特徴とする血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬のスクリーニング方法、
〔77〕標識したメタスチンをメタスチン受容体に接触させた場合と、標識したメタスチンおよび試験化合物をメタスチン受容体に接触させた場合における、標識したメタスチンのメタスチン受容体に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
〔78〕標識したメタスチンをメタスチン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、標識したメタスチンおよび試験化合物をメタスチン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したメタスチンの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
〔79〕標識したメタスチンを、メタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合と、標識したメタスチンおよび試験化合物をメタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合における、標識したメタスチンの該メタスチン受容体に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
〔80〕メタスチン受容体を活性化する化合物(例えば、メタスチン、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグ)をメタスチン受容体を含有する細胞(例、CHO細胞、ヒト大腸癌由来細胞株SW620細胞)に接触させた場合と、メタスチン受容体を活性化する化合物および試験化合物をメタスチン受容体を含有する細胞に接触させた場合における、メタスチン受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
〔81〕メタスチン受容体を活性化する化合物(例えば、メタスチン、上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグ)をメタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合と、メタスチン受容体を活性化する化合物および試験化合物をメタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合における、メタスチン受容体を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
〔82〕試験化合物をメタスチン受容体を含有する細胞に接触させた場合における、メタスチン受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするメタスチン受容体アゴニストのスクリーニング方法、
〔83〕試験化合物をメタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合における、メタスチン受容体を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするメタスチン受容体アゴニストのスクリーニング方法、
〔84〕細胞刺激活性が細胞内Ca2+遊離の促進活性、細胞増殖阻害活性、遊走阻害活性、腫瘍増殖抑制活性、血糖上昇活性または膵グルカゴン分泌促進活性である上記〔80〕〜〔83〕記載のスクリーニング方法、
〔85〕(a)上記〔1〕記載のメタスチン誘導体(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグおよび(または)(b)メタスチン受容体を用いることを特徴とするメタスチン受容体アゴニストまたはメタスチン受容体アンタゴニストのスクリーニング方法を提供する。
上記式中、Z1、Z3、Z5およびZ7はそれぞれ水素原子またはC1-3アルキル基を、Z2、Z4、Z6およびZ8はそれぞれ水素原子、OまたはSを示す。
1-3アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が用いられる。
1〜Z8の組み合わせとしては、Z1およびZ3が水素原子で、Z5およびZ7がそれぞれ水素原子またはC1-3アルキル基で、Z2、Z4、Z6およびZ8がそれぞれOまたはSを示す場合も好ましい。
1〜Z8のより好ましい組み合わせとしては、
(a)Z1が水素原子、Z3が水素原子、Z5が水素原子、Z7が水素原子であり、Z2がO、Z4がO、Z6がO、Z8がOである場合、
(b)Z1が水素原子、Z3が水素原子、Z5が水素原子、Z7が水素原子であり、Z2がO、Z4がO、Z6がO、Z8がSである場合、
(c)Z1およびZ3が水素原子であり、Z5が水素原子で、Z7がメチル基であり、Z2がOで、Z4がOで、Z6がOで、Z8がOである場合などが挙げられる。なかでも、(a)と(b)の場合が好ましい。
1は(1)水素原子または(2)置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいヒドロキシル基および置換されていてもよい芳香族環基から成る群から選ばれる基で置換されていてもよいC1-8アルキル基を示し、なかでも(1)水素原子または(2)置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいヒドロキシル基および置換されていてもよい芳香族環基から成る群から選ばれる基で置換されているC1-8アルキル基が好ましい。
「C1-8アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどの鎖状C1-8アルキル基やシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの環状C3-8アルキル基などが用いられる。なかでもメチル、エチルなどのC1-3アルキル基が好ましい。
「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、例えば、カルバモイル、モノ−C1-6アルキルカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル等)、ジ−C1-6アルキルカルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル等)、モノ−またはジ−C6-14アリールカルバモイル基(例、フェニルカルバモイル、1−ナフチルカルバモイル、2−ナフチルカルバモイル等)、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし7員複素環カルバモイル基(例、2−ピリジルカルバモイル、3−ピリジルカルバモイル、4−ピリジルカルバモイル、2−チエニルカルバモイル、3−チエニルカルバモイル等)などが用いられる。
「置換されていてもよいヒドロキシル基」としては、例えば、ヒドロキシ基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC6-14アリールオキシ基、置換されていてもよいC7-16アラルキルオキシ基などが用いられる。「置換されていてもよいC1-6アルコキシ基」、「置換されていてもよいC6-14アリールオキシ基」および「置換されていてもよいC7-16アラルキルオキシ基」としては、後述する置換基A群の「置換されていてもよいC1-6アルコキシ基」、「置換されていてもよいC6-14アリールオキシ基」および「置換されていてもよいC7-16アラルキルオキシ基」と同様のものが用いられる。
「置換されていてもよい芳香族環基」の「芳香族環基」としては、例えば、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、芳香族縮合環基、芳香族縮合複素環基などが用いられる。
「芳香族炭化水素基」としては、例えば、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、シクロオクタテトラエニルなどのC6-14アリール基が用いられる。
「芳香族複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員、好ましくは5ないし10員、より好ましくは5または6員の芳香族複素環基が用いられる。具体的には、例えば、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル)、ピラジニル、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル)などが用いられる。
「芳香族縮合環基」としては、ナフチル(例、1−ナフチル、2−ナフチル)、アンスリル(例、2−アンスリル、9−アンスリル)などのC8-14芳香族縮合環基が用いられる。
「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、3ないし11個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の2環または3環式の芳香族複素環基、または炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の7ないし10員芳香族複素架橋環から任意の1個の水素原子を除いてできる1価の基が用いられる。具体的には、例えば、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル)、イソキノリル(例、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル)、インドリル(例、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル)、2−ベンゾチアゾリル、ベンゾ[b]チエニル、(例、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[b]フラニル(例、2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル)などが用いられる。
「芳香族環基」の「置換基」としては、後述する置換基A群から選ばれる置換基が用いられる。
1としては、例えば、水素原子、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、2−チエニルメチル、3−チエニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、3−インドールメチル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルメチルなどが用いられ、なかでもヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、3−インドールメチル、メチル、イソブチルなどが好ましく、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチルなどが好ましい。
2は(1)水素原子、(2)環状または鎖状のC1-10アルキル基または(3)環状アルキル基と鎖状アルキル基からなるC1-10アルキル基を示す。
環状のC1-10アルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基などが用いられる。
鎖状のC1-10アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノナニル、デカニルなどが用いられる。
環状アルキル基と鎖状アルキル基からなるC1-10アルキル基としては、例えば、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなどのC3-7シクロアルキル−C1-3アルキル基などが用いられる。
2としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシルメチルなどが用いられ、なかでもメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどが好ましく、特にイソプロピル、イソブチルなどが好ましい。
3は(1)置換されていてもよい塩基性基を有し、さらに他の置換基を有していてもよいC1-8アルキル基、
(2)置換されていてもよい塩基性基を有し、さらに他の置換基を有していてもよいアラルキル基、
(3)置換されていてもよい塩基性基を有している炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基を有し、さらに他の置換基を有していてもよいC1-4アルキル基、または
(4)置換されていてもよい塩基性基を有している炭素数7以下の非芳香性複素環基を有し、さらに他の置換基を有していてもよいC1-4アルキル基を示す。
「置換されていてもよい塩基性基」としては、例えば、(1)1または2個のC1-6アルキル、C1-6アシル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アセチル、プロピオニルなど)などを有していてもよいグアニジノ基、(2)1ないし3個のC1-6アルキル、C1-6アシル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アセチル、プロピオニルなど)などを有していてもよいアミノ基、(3)1または2個のC1-6アルキル、C1-6アシル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アセチル、プロピオニルなど)などを有していてもよいグアニジノ基で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル−アミノ基(例、アセトアミド)、(4)1ないし3個のC1-6アルキル、C1-6アシル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アセチル、プロピオニルなど)などを有していてもよいアミノ基で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル−アミノ基(例、アセトアミド)などが用いられる。なかでも、グアニジノ、N−メチルグアニジノ、N,N−ジメチルグアニジノ、N,N’−ジメチルグアニジノ、N−エチルグアニジノ、N−アセチルグアニジノ、アミノ、N−メチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、アミノアセタミド、グアニジノアセタミド、アミジノなどが好ましい。
「置換されていてもよい塩基性基」以外の他の「他の置換基」としては、後述する置換基A群から選ばれる置換基が用いられる。
「C1-8アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが用いられる。
「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、2−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルメチル、4−ビフェニリルメチルなどのC7-16アラルキル基などが用いられる。
「炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-7シクロアルキル基などが用いられる。
「炭素数7以下の非芳香性複素環基」としては、例えば、1ないし7個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし10員非芳香性複素環基などが用いられる。具体的には、例えばピロリジニル(例、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、オキサゾリジニル(例、2−オキサゾリジニル)、イミダゾリニル(例、1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル)、ピペリジニル(例、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル)、モルホリノ、チオモルホリノなどが用いられる。
「C1-4アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどが用いられる。
3としては、例えば、(1)3−グアニジノプロピル、3−(N−メチルグアニジノ)プロピル、3−(N,N−ジメチルグアニジノ)プロピル、3−(N,N’−ジメチルグアニジノ)プロピル、3−(N−エチルグアニジノ)プロピル、3−(N−プロピルグアニジノ)プロピル、3−(N−アセチルグアニジノ)プロピル、4−グアニジノブチル、4−(N−メチルグアニジノ)ブチル、2−グアニジノエチル、2−(N−メチルグアニジノ)エチル、4−アミノブチル、4−(N−メチルアミノ)ブチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)ブチル、3−アミノプロピル、2−アミノエチル、アミノメチル、アミノアセタミドメチル、グアニジノアセタミドメチル、2−(グアニジノカルボニル)エチル、(2)4−グアニジノベンジル、4−アミノベンジル、(3)4−グアニジノシクロヘキシルメチル、4−アミノシクロヘキシルメチル、(4)1−アミジノピペリジン−4−イルメチルなどが用いられ、なかでも3−グアニジノプロピル、3−(N−メチルグアニジノ)プロピル、3−(N,N−ジメチルグアニジノ)プロピル、3−(N,N’−ジメチルグアニジノ)プロピル、3−(N−エチルグアニジノ)プロピル、3−(N−プロピルグアニジノ)プロピル、3−(N−アセチルグアニジノ)プロピル、4−グアニジノブチル、4−(N−メチルグアニジノ)ブチル、2−グアニジノエチル、2−(N−メチルグアニジノ)エチル、4−アミノブチル、4−(N−メチルアミノ)ブチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)ブチル、3−アミノプロピル、2−アミノエチル、4−アミノベンジル、アミノアセタミドメチル、グアニジノアセタミドメチルなどが好ましく、特に、3−グアニジノプロピル、3−(N−メチルグアニジノ)プロピル、3−(N,N−ジメチルグアニジノ)プロピル、3−(N,N’−ジメチルグアニジノ)プロピル、3−(N−エチルグアニジノ)プロピル、3−(N−アセチルグアニジノ)プロピル、4−グアニジノブチル、4−(N−メチルグアニジノ)ブチル、2−グアニジノエチル、4−アミノブチルなどが好ましい。
4は(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基、
(2)置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基、
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基、
(4)置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基、
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基、および
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基、
から成る群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基を示し、なかでも
(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基、
(2)置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基、
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基、
(4)置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基、
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基、および
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基、
から成る群から選ばれる置換基で置換されているC1-4アルキル基が好ましい。
「C1-4アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどが用いられる。
「C6-12芳香族炭化水素基」としては、例えば、フェニル、シクロオクタテトラエニルなどの単環式のC6-12芳香族炭化水素基などが用いられる。
「1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基」としては、例えば、1ないし7個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員、好ましくは5ないし10員、より好ましくは5または6員の単環式の芳香族複素環基が用いられる。具体的には、例えばチエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル)、ピラジニル、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル)などが用いられる。
「C8-14芳香族縮合環基」としては、例えば、ナフチル(例、1−ナフチル、2−ナフチル)、アンスリル(例、2−アンスリル、9−アンスリル)などが用いられる。
「3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基」としては、例えば、3ないし11個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の2環または3環式の芳香族複素環基、または炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の7ないし10員芳香族複素架橋環から任意の1個の水素原子を除いてできる1価の基が用いられる。具体的には、例えばキノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル)、イソキノリル(例、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル)、インドリル(例、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル)、2−ベンゾチアゾリル、ベンゾ[b]チエニル、(例、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[b]フラニル(例、2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル)などが用いられる。
「炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-7シクロアルキル基などが用いられる。
「炭素数7以下の非芳香性複素環基」としては、ピロリジニル(例、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、オキサゾリジニル(例、2−オキサゾリジニル)、イミダゾリニル(例、1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル)、ピペリジニル(例、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル)、モルホリノ、チオモルホリノなどの1ないし7個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし10員の非芳香性複素環基などが用いられる。
これら「C6-12芳香族炭化水素基」、「1ないし7個の炭素原子と窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基」、「C8-14芳香族縮合環基」、「3ないし11個の炭素原子と窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基」、「炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基」および「炭素数7以下の非芳香性複素環基」の置換基としては、例えば、オキソ、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、C1-3アルキレンジオキシ(例、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等)、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいC1-6アルキル、置換されていてもよいC2-6アルケニル、置換されていてもよいC2-6アルキニル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、置換されていてもよいC6-14アリール、置換されていてもよいC7-16アラルキル、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいC6-14アリールオキシ、置換されていてもよいC7-16アラルキルオキシ、メルカプト、置換されていてもよいC1-6アルキルチオ、置換されていてもよいC6-14アリールチオ、置換されていてもよいC7-16アラルキルチオ、置換されていてもよいアミノ[アミノ、置換されていてもよいモノ又はジ−C1-6アルキル−アミノ(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ等)、置換されていてもよいモノ又はジ−C2-6アルケニル−アミノ(例、ビニルアミノ、プロペニルアミノ、イソプロペニルアミノ)、置換されていてもよいC2-6アルキニル−アミノ(例、2−ブチン−1−イル−アミノ、4−ペンチン−1−イル−アミノ、5−へキシン−1−イル−アミノ)、置換されていてもよいモノ又はジ−C3-8シクロアルキル−アミノ(例、シクロプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、置換されていてもよいC6-14アリール−アミノ(例、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ナフチルアミノ)、置換されていてもよいC1-6アルコキシ−アミノ(例、メトキシアミノ、エトキシアミノ、プロポキシアミノ、イソプロポキシアミノ)、ホルミルアミノ、置換されていてもよいC1-6アルキル−カルボニルアミノ(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ等)、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル−カルボニルアミノ(例、シクロプロピルカルボニルアミノ、シクロペンチルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ等)、置換されていてもよいC6-14アリール−カルボニルアミノ(例、ベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等)、置換されていてもよいC1-6アルコキシ−カルボニルアミノ(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ等)、置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルアミノ(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ等)、置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルアミノ(例、フェニルスルホニルアミノ、2−ナフチルスルホニルアミノ、1−ナフチルスルホニルアミノ等)]、ホルミル、カルボキシ、置換されていてもよいC1-6アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等)、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル−カルボニル(例、シクロプロピルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、1−メチル−シクロヘキシル−カルボニル等)、置換されていてもよいC6-14アリール−カルボニル(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等)、置換されていてもよいC7-16アラルキル−カルボニル(例、フェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル等)、置換されていてもよい、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし7員複素環カルボニル(例、ニコチノイル、イソニコチノイル、テノイル、フロイル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル等)、エステル化されていてもよいカルボキシル、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、置換されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等)、置換されていてもよいC6-14アリールスルホニル(例、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル等)、置換されていてもよいC6-14アリールスルフィニル(例、フェニルスルフィニル、1−ナフチルスルフィニル、2−ナフチルスルフィニル等)、置換されていてもよいC1-6アルキル−カルボニルオキシ(例、アセトキシ、プロピオニルオキシ等)、置換されていてもよいC6-14アリール−カルボニルオキシ(例、ベンゾイルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ等)、置換されていてもよいC1-6アルコキシ−カルボニルオキシ(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ等)、置換されていてもよいモノ−C1-6アルキルカルバモイルオキシ(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ等)、置換されていてもよいジ−C1-6アルキルカルバモイルオキシ(例、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ等)、置換されていてもよいモノ−またはジ−C6-14アリールカルバモイルオキシ(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ等)、置換されていてもよい複素環基、スルホ、スルファモイル、スルフィナモイル、スルフェナモイル、またはこれらの置換基が2個以上(例、2〜3個)結合した基などから選ばれる置換基(置換基A群)が用いられる。置換基の数は特に限定されないが、置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
置換基A群の「エステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、例えば置換されていてもよいC1-6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル等)、置換されていてもよいC6-14アリールオキシ−カルボニル(例、フェノキシカルボニル等)、置換されていてもよいC7-16アラルキルオキシ−カルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル等)などが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC1-6アルキル」の「C1-6アルキル」としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC2-6アルケニル」の「C2-6アルケニル」としては、例えばビニル、プロペニル、イソプロペニル、2−ブテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、5−へキセン−1−イルなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC2-6アルキニル」の「C2-6アルキニル」としては、例えば2−ブチン−1−イル、4−ペンチン−1−イル、5−へキシン−1−イルなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC3-8シクロアルキル」の「C3-8シクロアルキル」としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC6-14アリール」の「C6-14アリール」としては、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、2−アンスリルなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC7-16アラルキル」の「C7-16アラルキル」としては、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、2−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルメチル、4−ビフェニリルメチル)などが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC1-6アルコキシ」の「C1-6アルコキシ」としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC6-14アリールオキシ」の「C6-14アリールオキシ」としては、例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC7-16アラルキルオキシ」の「C7-16アラルキルオキシ」としては、例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC1-6アルキルチオ」の「C1-6アルキルチオ」としては、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC6-14アリールチオ」の「C6-14アリールチオ」としては、例えばフェニルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオなどが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいC7-16アラルキルチオ」の「C7-16アラルキルチオ」としては、例えばベンジルチオ、フェネチルチオなどが用いられる。
これら「C1-6アルコキシ−カルボニル」、「C1-6アルキル基」、「C2-6アルケニル」、「C2-6アルキニル」、「C1-6アルコキシ」、「C1-6アルキルチオ」、、C1-6アルキル−アミノ、C2-6アルケニル−アミノ、C2-6アルキニル−アミノ、C1-6アルコキシ−アミノ、「C1-6アルキル−カルボニル」、「C1-6アルキルスルホニル」、「C1-6アルキルスルフィニル」、「C1-6アルキル−カルボニルアミノ」、「C1-6アルコキシ−カルボニルアミノ」、「C1-6アルキルスルホニルアミノ」、「C1-6アルキル−カルボニルオキシ」、「C1-6アルコキシ−カルボニルオキシ」、「モノ−C1-6アルキルカルバモイルオキシ」、「ジ−C1-6アルキルカルバモイルオキシ」の置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1-6アルキルアミノ、モノ−またはジ−C6-14アリールアミノ、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシ−カルボニル、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、上記したエステル化されていてもよいカルボキシル、カルバモイル、チオカルバモイル、モノ−C1-6アルキルカルバモイル(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル等)、ジ−C1-6アルキルカルバモイル(例、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル等)、モノ−またはジ−C6-14アリールカルバモイル(例、フェニルカルバモイル、1−ナフチルカルバモイル、2−ナフチルカルバモイル等)、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし7員複素環カルバモイル(例、2−ピリジルカルバモイル、3−ピリジルカルバモイル、4−ピリジルカルバモイル、2−チエニルカルバモイル、3−チエニルカルバモイル等)などから選ばれる1ないし5個の置換基が用いられる。
置換基A群の「C6-14アリールオキシ−カルボニル」、「C7-16アラルキルオキシ−カルボニル」、「C3-8シクロアルキル」、「C6-14アリール」、「C7-16アラルキル」、「C6-14アリールオキシ」、「C7-16アラルキルオキシ」、「C6-14アリールチオ」、「C7-16アラルキルチオ」、C3-8シクロアルキル−アミノ、C6-14アリール−アミノ、「C3-8シクロアルキル−カルボニル」、「C6-14アリール−カルボニル」、「C7-16アラルキル−カルボニル」、「炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし7員複素環カルボニル」、「C6-14アリールスルホニル」、「C6-14アリールスルフィニル」、「C3-8シクロアルキル−カルボニルアミノ」、「C6-14アリール−カルボニルアミノ」、「C6-14アリールスルホニルアミノ」、「C6-14アリール−カルボニルオキシ」、「モノ−またはジ−C6-14アリールカルバモイルオキシ」の置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、上記した置換されていてもよいC1-6アルキル、上記した置換されていてもよいC2-6アルケニル、上記した置換されていてもよいC2-6アルキニル、上記した置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、上記した置換されていてもよいC1-6アルコキシ、上記した置換されていてもよいC1-6アルキルチオ、上記した置換されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル、上記した置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル、上記したエステル化されていてもよいカルボキシル、カルバモイル、チオカルバモイル、モノ−C1-6アルキルカルバモイル、ジ−C1-6アルキルカルバモイル、モノ−またはジ−C6-14アリールカルバモイル、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし7員複素環カルバモイルなどから選ばれる1ないし5個の置換基が用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、上記した置換されていてもよいC1-6アルキル、上記した置換されていてもよいC2-6アルケニル、上記した置換されていてもよいC2-6アルキニル、上記した置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、上記した置換されていてもよいC6-14アリール、上記した置換されていてもよいC1-6アルコキシ、上記した置換されていてもよいC1-6アルキルチオ、上記した置換されていてもよいC6-14アリールチオ、上記した置換されていてもよいC7-16アラルキルチオ、上記した置換されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル、上記した置換されていてもよいC6-14アリールスルフィニル、上記した置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル、上記した置換されていてもよいC6-14アリールスルホニル、上記したエステル化されていてもよいカルボキシル、カルバモイル、チオカルバモイル、モノ−C1-6アルキルカルバモイル、ジ−低級アルキルカルバモイル、モノ−またはジ−C6-14アリールカルバモイル、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし7員複素環カルバモイルなどで置換されていてもよい、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(単環、2環または3環式)複素環基、好ましくは(i)5ないし14員(好ましくは5ないし10員)芳香族複素環基、(ii)5ないし10員非芳香族複素環基または(iii)7ないし10員複素架橋環から任意の1個の水素原子を除いてできる1価の基などが用いられ、なかでも5員芳香族複素環基が好ましく用いられる。具体的には、例えばチエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル)、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル)、イソキノリル(例、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル)、ピラジニル、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル)、インドリル(例、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル)、2−ベンゾチアゾリル、ベンゾ[b]チエニル、(例、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[b]フラニル(例、、2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル)などの芳香族複素環基、例えばピロリジニル(例、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、オキサゾリジニル(例、2−オキサゾリジニル)、イミダゾリニル(例、1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル)、ピペリジニル(例、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル)、モルホリノ、チオモルホリノなどの非芳香族複素環基などが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、上記した置換されていてもよいC1-6アルキル、置換されていてもよいC2-6アルケニル、置換されていてもよいC2-6アルキニル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、置換されていてもよいC6-14アリール、置換されていてもよい複素環基などで置換されていてもよいカルバモイル基が用いられ、具体的には、例えばカルバモイル、チオカルバモイル、モノ−C1-6アルキルカルバモイル(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル等)、ジ−C1-6アルキルカルバモイル(例、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル等)、C1-6アルキル(C1-6アルコキシ)カルバモイル(例、メチル(メトキシ)カルバモイル、エチル(メトキシ)カルバモイル)、モノ−またはジ−C6-14アリールカルバモイル(例、フェニルカルバモイル、1−ナフチルカルバモイル、2−ナフチルカルバモイル等)、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし7員複素環カルバモイル(例、2−ピリジルカルバモイル、3−ピリジルカルバモイル、4−ピリジルカルバモイル、2−チエニルカルバモイル、3−チエニルカルバモイル等)、5ないし7員の環状カルバモイル(例、1−ピロリジニルカルボニル、1−ピペリジニルカルボニル、ヘキサメチレンイミノカルボニル)などが用いられる。
置換基A群の「置換されていてもよいアミノ」としては、上記した置換されていてもよいC1-6アルキル、上記した置換されていてもよいC2-6アルケニル、上記した置換されていてもよいC2-6アルキニル、上記した置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、上記した置換されていてもよいC6-14アリール、上記した置換されていてもよいC1-6アルコキシ、ホルミル、上記した置換されていてもよいC1-6アルキル−カルボニル、上記した置換されていてもよいC3-8シクロアルキル−カルボニル、上記した置換されていてもよいC6-14アリール−カルボニル、上記した置換されていてもよいC1-6アルコキシ−カルボニル、上記した置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル、置換されていてもよいC6-14アリールスルホニル)などから選ばれる1または2個の基で置換されていてもよいアミノが用いられる。
より好ましくは、「C6-12芳香族炭化水素基」、「1ないし7個の炭素原子と窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基」、「C8-14芳香族縮合環基」、「3ないし11個の炭素原子と窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基」、「炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基」および「炭素数7以下の非芳香性複素環基」の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノなどが好ましい。
4としては、例えば、
(1)ベンジル、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジル、4−フルオロベンジル、4−クロロベンジル、3,4−ジフルオロベンジル、3,4−ジクロロベンジル、ペンタフルオロベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−メトキシベンジル、3−トリフルオロメチルベンジル、4−アミノベンジル、4−ニトロベンジル、4−シアノベンジル、フェネチルなどの「置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基を有しているC1-4アルキル基」、
(2)2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、2−チエニルメチル、3−チエニルメチル、4−チアゾリルメチルなどの「置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基を有しているC1-4アルキル基」、
(3)1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、インデン−2−イルメチルなどの「置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基を有しているC1-4アルキル基」、
(4)3−インドールメチル、1−ホルミルインドール−3−イルメチル、3−ベンゾ[b]チエニルメチル、2−キノリルメチルなどの「置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基を有するC1-4アルキル基」、
(5)シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、インダン−2−イルメチルなどの「置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基を有するC1-4アルキル基」、
(6)4−ピペリジニルメチル、テトラヒドロフルフリル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、インドリン−3−イルなどの「置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基を有するC1-4アルキル基」などが用いられ、なかでもベンジル、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジル、4−フルオロベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−アミノベンジル、4−ニトロベンジル、4−クロロベンジル、4−メトキシベンジル、4−シアノベンジル、3−トリフルオロメチルベンジル、3,4−ジクロロベンジル、3,4−ジフルオロベンジル、ペンタフルオロベンジル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、3−インドールメチル、1−ホルミルインドール−3−イルメチル、3−ベンゾ[b]チエニルメチル、2−キノリルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、シクロヘキシルメチル、フェネチルなどが好ましく、特にベンジル、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジル、4−フルオロベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−アミノベンジル、4−ニトロベンジル、4−クロロベンジル、4−メトキシベンジル、4−シアノベンジル、3−トリフルオロメチルベンジル、3,4−ジクロロベンジル、3,4−ジフルオロベンジル、ペンタフルオロベンジル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、3−インドールメチル、3−ベンゾ[b]チエニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、シクロヘキシルメチルなどが好ましい。
Xは式
−NHCH(Q1)YQ2C(=Z9)−
(式中、各記号は前記と同意義を示す)で表わされる基を示す。
1は(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基、
(2)置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基、
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基、
(4)置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基、
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基、および
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基、
から成る群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基を示し、R4と同様のものが用いられる。
1としては、
(1)ベンジル、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジル、4−フルオロベンジル、4−クロロベンジル、3,4−ジフルオロベンジル、3,4−ジクロロベンジル、ペンタフルオロベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−メトキシベンジル、4−トリフルオロメチルベンジル、4−アミノベンジル、4−ニトロベンジル、4−シアノベンジル、フェネチルなどの「置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基を有しているC1-4アルキル基」、
(2)2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、2−チエニルメチル、3−チエニルメチル、4−チアゾリルメチルなどの「置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基を有しているC1-4アルキル基」、
(3)1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、インデン−2−イルメチルなどの「置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基を有しているC1-4アルキル基」、
(4)3−インドールメチル、1−ホルミルインドール−3−イルメチル、3−ベンゾ[b]チエニルメチル、2−キノリルメチルなどの「置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基を有するC1-4アルキル基」、
(5)シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、インダン−2−イルメチルなどの「置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基を有するC1-4アルキル基」、
(6)4−ピペリジニルメチル、テトラヒドロフルフリル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、インドリン−3−イルなどの「置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基を有するC1-4アルキル基」などが用いられ、なかでもシクロヘキシルメチル、ベンジル、4−フルオロベンジル、4−ヒドロキシベンジル、ペンタフルオロベンジル、2−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチルなどが好ましく、特にベンジル、4−フルオロベンジル、シクロヘキシルメチルなどが好ましい。
2は(1)カルバモイル基およびヒドロキシ基から成る群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基で置換されていてもよいCH2、(2)カルバモイル基およびヒドロキシ基から成る群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基で置換されていてもよいNHまたは(3)Oを示す。
「C1-4アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどが用いられる。
2としては、CH2、CH(CH3)、CH(CH2OH)、NHなどが好ましい。
YはC1-6アルキル基で置換されていてもよい、式−CONH−、−CSNH−、−CH2NH−、−NHCO−、−CH2O−、−CH2S−または−CH2CH2−で表わされる基を示す。
「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが用いられる。
Yとしては、式−CONH−、−CSNH−、−NHCO−、−CH2NH−で表される基が好ましい。
9は水素原子、OまたはSを示し、なかでもO、Sが好ましい。
Pは(1)水素原子、
(2)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列(ヒトメタスチンの54アミノ酸残基)の第1〜48番目のアミノ酸配列のC末端側から任意の連続したまたは不連続に結合したアミノ酸残基、
(3)式 J1−J2−C(J3)(Q3)Y1C(J4)(Q4)Y2C(J5)(Q5)Y3C(J6)(Q6)C(=Z10)−
(式中、各記号は前記と同意義を示す)で表わされる基、
(4)式 −J1−J2−C(J7)(Q7)Y2C(J8)(Q8)Y3C(J9)(Q9)C(=Z10)−
(式中、各記号は前記と同意義を示す)で表わされる基、
(5)式 J1−J2−C(J10)(Q10)Y3C(J11)(Q11)C(=Z10)−
(式中、各記号は前記と同意義を示す)で表わされる基、
(6)式 J1−J2−C(J12)(Q12)C(=Z10)−
(式中、各記号は前記と同意義を示す)で表わされる基、または
(7)式 J1-(J1は前記と同意義を示す)で表わされる基を示す。
「配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第1〜48番目のアミノ酸配列のC末端側から任意の連続したまたは不連続に結合したアミノ酸残基」としては、具体的には、
(1)Asn-
(2)Trp Asn-、
(3)Asn Trp Asn-、
(4)Tyr Asn Trp Asn-、
(5)Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(6)Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(7)Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(8)Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(9)Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(10)Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(11)Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(12)Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(13)Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(14)Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(15)Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(16)Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(17)Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(18)Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(19)Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(20)Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(21)Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(22)Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(23)Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(24)Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(25)Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(26)His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(27)Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(28)Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(29)Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(30)Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(31)Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(32)Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(33)Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(34)Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(35)Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(36)Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(37)Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(38)Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(39)Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(40)Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(41)Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(42)Pro Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(43)Pro Pro Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(44)Ser Pro Pro Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(45)Leu Ser Pro Pro Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(46)Ser Leu Ser Pro Pro Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(47)Thr Ser Leu Ser Pro Pro Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-、
(48)Gly Thr Ser Leu Ser Pro Pro Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn-
などが用いられる。
1は、(a)水素原子または(b)置換基を有していてもよい環基を含む置換基で置換されていてもよい、(i)C1-15アシル基、(ii)C1-15アルキル基、(iii)C6-14アリール基、(iv)カルバモイル基、(v)カルボキシル基、(vi)スルフィノ基、(vii)アミジノ基、または(viii)グリオキシロイル基を示す。
「環基」としては、例えば、「置換されていてもよい芳香族炭化水素基」、「置換されていてもよい芳香族複素環基」、「置換されていてもよい芳香族縮合環基」、「置換されていてもよい芳香族縮合複素環基」、「置換されていてもよい非芳香性環状炭化水素基」、「置換されていてもよい非芳香性複素環基」などが用いられ、「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」、「芳香族縮合環基」、「芳香族縮合複素環基」としては、前記と同様のものが用いられる。
「非芳香性環状炭化水素基」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基などが用いられる。
「非芳香性複素環基」としては、ピロリジニル(例、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、オキサゾリジニル(例、2−オキサゾリジニル)、イミダゾリニル(例、1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル)、ピペリジニル(例、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル)、モルホリノ、チオモルホリノなどの1ないし7個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし10員の非芳香性複素環基などが用いられる。
「環基」が有していてもよい置換基としては、前記した置換基A群の置換基と同様のものが用いられる。
「C1-15アシル基」としては、例えば、ホルミル、C1-14アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等などのC1-6アルキル−カルボニル)などが用いられる。
「C1-15アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノナニル、デカニルなどが用いられる。
「C6-14アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニルなどが用いられる。
(1)環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アシル基としては、(i)ホルミル、(ii)C1-14アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等などのC1-6アルキル−カルボニル)、(iii)C3-8シクロアルキル−カルボニル(例、シクロプロピルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、1−メチルシクロヘキシルカルボニル等)、(iv)C3-8シクロアルキル−C1-6アルキル−カルボニル(例えば、シクロプロピルアセチル、シクロペンチルアセチル、シクロヘキシルアセチル等)(v)C6-14アリール−カルボニル(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等)、C6-14アラルキル−カルボニル(例、フェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル等)、(vi)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし7員の単環式複素環カルボニル(例、ニコチノイル、イソニコチノイル、テノイル、フロイル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル等)、(vii)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし7員の単環式複素環−C1-6アルキルカルボニル(例、3−ピリジルアセチル、4−ピリジルアセチル、2−チエニルアセチル、2−フリルアセチル、モルホリノアセチル、チオモルホリノアセチル、ピペリジン−2−アセチル、ピロリジン−2−イルアセチル等)、(viii)3ないし11個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の2環または3環式の芳香族複素環カルボニル(例えば、2−インドールカルボニル、3−インドールカルボニル、2−キノリルカルボニル、1−イソキノリルカルボニル、2−ベンゾ[b]チエニルカルボニル、2−ベンゾ[b]フラニルカルボニル等)、(ix)3ないし11個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の2環または3環式の芳香族複素環−C1-6アルキルカルボニル(例えば、2−インドールアセチル、3−インドールアセチル、2−キノリルアセチル、1−イソキノリルアセチル、2−ベンゾ[b]チエニルアセチル、2−ベンゾ[b]フラニルアセチル等)などが用いられ、なかでもアセチル、2−インドールカルボニル、3−インドールカルボニル、3−インドールアセチル、3−インドールプロピオニル、2−インドリンカルボニル、3−フェニルプロピオニル、ジフェニルアセチル、2−ピリジンカルボニル、,3−ピリジンカルボニル、,4−ピリジンカルボニル、1−ピリジニオアセチル、2−ピリジンアセチル、,3−ピリジンアセチル、,4−ピリジンアセチル、3−(1−ピリジニオ)プロピオニル、3−(ピリジン−2−イル)プロピオニル、3−(ピリジン−3−イル)プロピオニル、3−(ピリジン−4−イル)プロピオニル、4−イミダゾールアセチル、シクロヘキサンカルボニル、1−ピペリジンアセチル、1−メチル−1−ピペリジニオアセチル、4−ピペリジンカルボニル、2−ピリミジンカルボニル、4−ピリミジンカルボニル、5−ピリミジンカルボニル、2−ピリミジンアセチル、4−ピリミジンアセチル、5−ピリミジンアセチル、3−(ピリミジン−2−イル)プロピオニル、3−(ピリミジン−4−イル)プロピオニル、3−(ピリミジン−5−イル)プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、D−グルクロニル、アミノ−(4−ヒドロキシフェニル)アセチル)などが好ましく用いられる。
(2)環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アルキル基としては、例えば、(i)モノ−またはジ−C1-15アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノナニル、デカニル)、(ii)モノ−またはジ−C3-8シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロペンチル等)、(iii)モノ−またはジ−C3-8シクロアルキル−C1-7アルキル(例えば、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルエチル等)、(iv)モノ−またはジ−C7-15アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等)、(v)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし7員の単環式複素環−C1-6アルキル基(例、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、2−チエニルメチル、フルフリル等)、(vi)3ないし11個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の2環または3環式の芳香族複素環−C1-6アルキル基(例えば、2−インドールメチル、3−インドールメチル、3−(インドール−3−イル)プロピル、2−キノリルメチル、1−イソキノリルメチル、2−ベンゾ[b]チエニルメチル、2−ベンゾ[b]フラニルメチル等)などが用いられ、なかでもメチル、エチル、ベンジル、3−(インドール−3−イル)プロピルなどが好ましく用いられる。
(3)環基を含む置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基としては、例えば、(i)C6-14炭素環基(例、シクロアルキル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、(ii)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし7員の単環式複素環基(例、3−ピリジル、2−チエニル等)、(iii)3ないし11個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の2環または3環式の芳香族複素環基(例えば、2−インドリル、3−インドリル、2−キノリル、1−イソキノリル、2−ベンゾ[b]チエニル、2−ベンゾ[b]フラニル等)などで置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル、ナフチル、ビフェニル)などが用いられる。
(4)環基を含む置換基で置換されていてもよいカルバモイル基としては、(i)カルバモイル、(ii)モノ−またはジ−C1-15アルキルカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、(iii)モノ−またはジ−C3-8シクロアルキル−カルバモイル(例、シクロプロピルカルバモイル、シクロペンチルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル等)、(iv)モノ−またはジ−C3-8シクロアルキル−C1-6アルキル−カルバモイル(例えば、シクロプロピルメチルカルバモイル、シクロペンチルメチルカルバモイル、2−シクロヘキシルエチルカルバモイル等)(v)モノ−またはジ−C6-14アリール−カルバモイル(例、フェニルカルバモイル等)、モノ−またはジ−C6-14アラルキル−カルバモイル(例、ベンジルカルバモイル、フェネチルカルバモイル等)、(vi)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし7員の単環式複素環カルバモイル(例、3−ピリジンカルバモイル、2−チオフェンカルバモイル、ピペリジン−3−イルカルバモイル等)、(vii)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし7員の単環式複素環−C1-6アルキルカルバモル(例、3−ピリジルメチルカルバモイル、2−(ピリジン−2−イル)エチルカルバモイル、2−(ピペリジン−1−イル)エチルカルバモイル等)、(viii)3ないし11個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の2環または3環式の芳香族複素環カルバモイル(例、4−インドールカルバモイル、5−インドールカルバモイル、3−キノリルカルバモイル、5−キノリルカルバモイル等)、(ix)3ないし11個の炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含むモノ−またはジ−5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の2環または3環式の芳香族複素環−C1-6アルキルカルボニル(例、ベンズイミダゾール−2−イルメチルカルバモイル、2−(インドール−3−イル)エチルカルバモイル等)、(x)5ないし7員の環状カルバモイル(例、1−ピロリジニルカルボニル、1−ピペリジニルカルボニル、ヘキサメチレンイミノカルボニル等)(xi)C1-15アシルカルバモイル(ここで言うC1-15アシルは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アシル基」の「C1-15アシル基」と同意義を示す)、(xii)C1-15アルキルアミノカルバモイル(ここで言うC1-15アルキルは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アルキル基」の「C1-15アルキル基」と同意義を示す)(xiii)C6-14アリールアミノカルバモイル(ここで言うC6-14アリールは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基」の「C6-14アリール基」と同意義を示す)などが用いられ、なかでも2−(インドール−3−イル)エチルカルバモイルなどが好ましく用いられる。
(5)環基を含む置換基で置換されていてもよいカルボキシル基としては、(i)C1-15アルキルオキシカルボニル(ここで言うC1-15アルキルは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アルキル基」の「C1-15アルキル基」と同意義を示す。例、tert-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル)、(ii)C6-14アリールオキシカルボニル(ここで言うC6-14アリールは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基」の「C6-14アリール基」と同意義を示す。例、フェノキシカルボニル)、などが用いられる。
(6)環基を含む置換基で置換されていてもよいスルフィノ基としては、(i)C1-15アルキルスルホニル(ここで言うC1-15アルキルは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アルキル基」の「C1-15アルキル基」と同意義を示す。例、ベンジルスルホニル)、(ii)C6-14アリールスルホニル(ここで言うC6-14アリールは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基」の「C6-14アリール基」と同意義を示す。例、トシル)などが用いられる。
(7)環を含む置換基基で置換されていてもよいアミジノ基としては、(i)アミジノ、(ii)C1-15アルキルアミジノ(ここで言うC1-15アルキルは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アルキル基」の「C1-15アルキル基」と同意義を示す。例、N−メチルアミジノ)、(iii)C1-15アシルアミジノ(ここで言うC1-15アシルは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アシル基」の「C1-15アシル基」と同意義を示す。例、N−アセチルアミジノ)などが用いられる。
(8)環基を含む置換基で置換されていてもよいグリオキシロイル基としては、(i)C1-15アルキルオキザリル(ここで言うC1-15アルキルは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC1-15アルキル基」の「C1-15アルキル基」と同意義を示す。例、エチルオキザリル)、(ii)C6-14アリールオキザリル(ここで言うC6-14アリールは「環基を含む置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基」の「C6-14アリール基」と同意義を示す。例、、フェニルオキザリル)などが用いられる。
上記した中でも、J1としては、水素原子、アセチル、3−インドールカルボニル、3−(インドール−3−イル)プロピオニル、3−フェニルプロピオニル、ジフェニルアセチル、3−(ピリジン−3−イル)プロピオニル、4−イミダゾールアセチル、シクロヘキサンカルボニル、1−ピペリジンアセチル、1−メチル−1−ピペリジニオアセチル、4−ピペリジンカルボニル、ヘキサノイル、アミノ−(4−ヒドロキシフェニル)アセチル、D−グルクロニル、2−(インドール−3−イル)エチルカルバモイル、tert-ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、アミジノなどが好ましく用いられ、なかでも水素原子、アセチル、3−インドールカルボニル、3−(インドール−3−イル)プロピオニル、3−フェニルプロピオニル、3−(ピリジン−3−イル)プロピオニル、4−イミダゾールアセチル、シクロヘキサンカルボニル、ヘキサノイル、アミノ−(4−ヒドロキシフェニル)アセチル、2−(インドール−3−イル)エチルカルバモイル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、アミジノなどが好ましい。
2は(1)C1-6アルキル基で置換されていてもよいNH、(2)C1-6アルキル基で置換されていてもよいCH2、(3)Oまたは(4)Sを示す。
「C1-6アルキル基」としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが用いられる。
2としては、NHが好ましい。
3〜J12はそれぞれ水素原子またはC1-3アルキル基を示す。
「C1-3アルキル基」としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルが用いられる。
3としては、水素原子が好ましい。
4としては、水素原子が好ましい。
5としては、水素原子が好ましい。
6としては、水素原子が好ましい。
7としては、水素原子が好ましい。
8としては、水素原子が好ましい。
9としては、水素原子が好ましい。
10としては、水素原子が好ましい。
11としては、水素原子が好ましい。
12としては、水素原子が好ましい。
3〜Q12はそれぞれ、
(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基、
(2)置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基、
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基、
(4)置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基、
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基、
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基、
(7)置換されていてもよいアミノ基、
(8)置換されていてもよいグアニジノ基、
(9)置換されていてもよいヒドロキシル基、
(10)置換されていてもよいカルボキシル基、
(11)置換されていてもよいカルバモイル基、および
(12)置換されていてもよいスルフヒドリル基
から成る群から選ばれる置換基を有していてもよいC1-4アルキル基を示す。
特に、Q3〜Q6としては、
(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基、
(2)置換されていてもよい、1ないし7個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基、
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基、
(4)置換されていてもよい、3ないし11個の炭素原子と、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基、
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基、
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基、
(7)置換されていてもよいアミノ基、
(8)置換されていてもよいグアニジノ基、
(9)置換されていてもよいヒドロキシル基、
(10)置換されていてもよいカルボキシル基、
(11)置換されていてもよいカルバモイル基、および
(12)置換されていてもよいスルフヒドリル基
から成る群から選ばれる置換基を有するC1-4アルキル基が好ましい。
「置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基」、「置換されていてもよい1ないし7個の炭素原子と窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基」、「置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基」、「置換されていてもよい3ないし11個の炭素原子と窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基」、「置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基」および「置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基」としては、前記と同様のものが用いられる。
(1)置換されていてもよいC6-12芳香族炭化水素基を有しているC1-4アルキル基としては、例えばベンジル、4−ヒドロキシベンジル、2−クロロベンジル、3−クロロベンジル、4−クロロベンジル、4−アミノベンジルなどが用いられる。
(2)置換されていてもよい1ないし7個の炭素原子と窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族複素環基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、4−イミダゾールメチルなどが用いられる。
(3)置換されていてもよいC8-14芳香族縮合環基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチルなどが用いられる。
(4)置換されていてもよい3ないし11個の炭素原子と窒素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選ばれるヘテロ原子とからなる5ないし14員芳香族縮合複素環基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、3−インドールメチル、1−ホルミルインドール−3−イルメチル、2−キノリルメチルなどが用いられる。
(5)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性環状炭化水素基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、シクロヘキシルメチルなどが用いられる。
(6)置換されていてもよい炭素数7以下の非芳香性複素環基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、ピペリジン−1−イルメチルなどが用いられる。
(7)置換されていてもよいアミノ基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、4−アセタミドブチルなどが用いられる。
(8)置換されていてもよいグアニジノ基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、3−グアニジノプロピル、3−(N−トシル)グアニジノプロピルなどが用いられる。
(9)置換されていてもよいヒドロキシル基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、ベンジルオキシメチルなどが用いられる。
(10)置換されていてもよいカルボキシル基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、カルボキシルメチル、2−カルボキシルエチル、ベンジルオキシカルボニルメチルなどが用いられる。
(11)置換されていてもよいカルバモイル基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、キサンチルカルバモイルなどが用いられる。
(12)置換されてもよいスルフヒドリル基を有しているC1-4アルキル基としては、例えば、スルフヒドリルメチル、2−(メチルスルフヒドリル)エチルなどが用いられる。
(13)無置換のC1-4アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどが用いられる。
3としては、4−ヒドロキシベンジル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、メチル、イソブチル、ヒドロキシメチル、カルボキシメチル、4−アミノブチルなどが好ましく用いられ、特に、4−ヒドロキシベンジル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチルなどが好ましく用いられる。
4としては、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、4−ヒドロキシベンジル、4−イミダゾールメチル、イソブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、4−アミノブチルなどが好ましく用いられ、特に、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、4−ヒドロキシベンジルなどが好ましく用いられる。
5としては、ベンジル、2−クロロベンジル、3−クロロベンジル、4−クロロベンジル、4−アミノベンジル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、3−インドールメチル、1−ホルミルインドール−3−イルメチル、2−キノリルメチル、シクロヘキシルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、カルボキシメチル、4−アミノブチルなどが好ましく用いられ、特に、ベンジル、2−クロロベンジル、3−クロロベンジル、4−クロロベンジル、4−アミノベンジル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、3−インドールメチル、2−キノリルメチル、シクロヘキシルメチル、1−ヒドロキシエチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルなどが好ましく用いられる。
6としては、メチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチルなどが好ましく用いられ、特に、カルバモイルメチルなどが好ましく用いられる。
7としては、4−ヒドロキシベンジル、カルバモイルメチル、3−ピリジルメチルなどが好ましく用いられ、特に、4−ヒドロキシベンジルなどが好ましく用いられる。
8としては、ベンジル、4−ピリジルメチル、2−ナフチルメチル、3−インドールメチル、ヒドロキシメチル、シクロヘキシルメチル、sec-ブチル、1−ヒドロキシエチルなどが好ましく用いられ、特に、4−ピリジルメチル、3−インドールメチル、sec-ブチルなどが好ましく用いられる。
9としては、カルバモイルメチルなどが好ましく用いられる。
10としては、4−ヒドロキシベンジル、3−インドールメチル、メチル、1−ヒドロキシエチル、3−グアニジノプロピルなどが好ましく用いられ、特に、3−インドールメチルなどが好ましく用いられる。
11としては、カルバモイルメチルなどが好ましく用いられる。
12としては、カルバモイルメチルなどが好ましく用いられる。
1〜Y3はそれぞれ式−CON(J13)−、−CSN(J13)−、−C(J14)N(J13)−または−N(J13)CO−(J13およびJ14はそれぞれ水素原子またはC1-3アルキル基を示す)で示される基を示す。
13およびJ14で示されるC1-3アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルが用いられる。
13としては、水素原子が好ましい。
14としては、水素原子が好ましい。
1としては、式−CONH−、または−CH2NH−で示される基などが好ましい。
2としては、式−CONH−、または−CH2NH−で示される基などが好ましい。
3としては、式−CONH−で示される基などが好ましい。
3とQ3、J4とQ4、J5とQ5、J6とQ6、J7とQ7、J8とQ8、J9とQ9、J10とQ10、J11とQ11、J12とQ12が結合することで環を形成してもよい。この場合、C(J3)(Q3)、C(J4)(Q4)、C(J5)(Q5)、C(J6)(Q6)、C(J7)(Q7)、C(J8)(Q8)、C(J9)(Q9)、C(J10)(Q10)、C(J11)(Q11)またはC(J12)(Q12)で、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、ピペリジンなどを形成する。
2とQ3、Y1とQ4、Y2とQ5、Y3とQ6、J2とQ7、Y2とQ8、Y3とQ9、J2とQ10、Y3とQ11、J2とQ12が結合することで環を形成してもよい。
2とQ3、J2とQ7、J2とQ10、J2とQ12が結合して環を形成する場合、J2−C(J3)(Q3)、J2−C(J7)(Q7)、J2−C(J10)(Q10)、J2−C(J12)(Q12)で、例えば、ピロリジン、ピペリジン、チアゾリジンを形成する。
1とQ4、Y2とQ5、Y3とQ6、Y2とQ8、Y3とQ9、Y3とQ11が結合して環を形成する場合、Y1C(J4)(Q4)、Y2C(J5)(Q5)、Y3C(J6)(Q6)、Y2C(J8)(Q8)、Y3C(J9)(Q9)、Y3C(J11)(Q11)で、例えば、ピロリジン−2−カルボニル、ピペリジン−2−カルボニル、チアゾリジン−4−カルボニルを形成する。
式 J1−J2−C(J3)(Q3)Y1C(J4)(Q4)Y2C(J5)(Q5)Y3C(J6)(Q6)C(=Z10)−で表わされる基としては、例えば、
Tyr Asn Trp Asn-、
Tyr Asn Trp D-Asn-、
Tyr Asn D-Trp Asn-、
Tyr D-Asn Trp Asn-、
D-Tyr Asn Trp Asn-、
Tyr Lys Trp Asn-、
Tyr Asp Trp Asn-、
Tyr Tyr Trp Asn-、
Tyr Leu Trp Asn-、
Tyr Asn Ala Asn-、
Tyr Asn Leu Asn-、
Tyr Asn Ser Asn-、
Tyr Asn Asp Asn-、
Tyr Asn Lys Asn-、
Ala Asn Trp Asn-、
Leu Asn Trp Asn-、
Ser Asn Trp Asn-、
Asp Asn Trp Asn-、
Lys Asn Trp Asn-、
Tyr Asn Trp(For) Asn-、
D-Tyr Asn D-Trp Asn-、
D-Tyr Asn Ala Asn-、
D-Tyr Asn Ser Asn-、
D-Tyr Asn Cha Asn-、
D-Tyr Asn Thr Asn-、
D-Tyr Asn Ile Asn-、
D-Tyr Gln Trp Asn-、
D-Tyr Thr Trp Asn-、
D-Tyr Asn Val Asn-、
D-Tyr D-Asn Trp Asn-、
D-Tyr D-Asn D-Trp Asn-、
D-Tyr Asn Phe Asn-、
D-Tyr Asn Nal(1) Asn-、
D-Tyr Asn Nal(2) Asn-、
D-Tyr Asn Phe(2Cl) Asn-、
D-Tyr Asn Phe(3Cl) Asn-、
D-Tyr Asn Phe(4Cl) Asn-、
D-Tyr Asn Phe(4NH2) Asn-、
D-Tyr Asn Pya(3) Asn-、
D-Tyr D-Asn Phe Asn-、
D-Tyr D-Asn Cha Asn-、
D-Tyr D-Asn Thr Asn-、
D-Tyr Asn Pya(2) Asn-、
D-Tyr Asn Pya(4) Asn-、
D-Tyr D-Ser Trp Asn-、
D-Tyr D-His Trp Asn-、
D-Pya(3) D-Asn Cha Asn-、
D-Pya(3) D-Tyr Cha Asn-、
TyrΨ(CH2NH)Asn Trp Asn-、
D-Tyr AsnΨ(CH2NH)Trp Asn-、
TyrΨ(CH2NH)Asn D-Trp Asn-、
D-Tyr Asn Ala(2-Qui) Asn-、
D-Tyr Asn D-Pya(4) Asn-、
D-Tyr D-Asn Pya(4) Asn-、
Tyr D-Asn Cha Asn-、
D-Tyr D-Asn Thr Asn-、
D-Tyr D-Asn Pya(4) Asn-などが好ましい。
式 J1−J2−C(J7)(Q7)Y2C(J8)(Q8)Y3C(J9)(Q9)C(=Z10)−で表わされる基としては、例えば、
Fmoc Asn Trp Asn-、
D-Asn Trp Asn-、
D-Tyr Trp Asn-、
D-Tyr D-Trp Asn-、
D-Tyr Ser Asn-、
D-Tyr Thr Asn-、
D-Tyr Ile Asn-、
D-Tyr Phe Asn-、
D-Tyr Nal(2) Asn-、
D-Pya(3) Phe Asn-、
D-Pya(3) Trp Asn-、
D-Tyr D-Pya(4) Asn-、
D-Asn Cha Asn-
などが好ましい。
式 J1−J2−C(J10)(Q10)Y3C(J11)(Q11)C(=Z10)−で表わされる基としては、例えば、
Fmoc Trp Asn-、
Boc Tyr Asn-、
Tyr Asn-、
D-Trp Asn-、
Ac Trp Asn-、
Amidino Trp Asn-、
Ac Ala Asn-、
Ac Arg Asn-、
Ac Thr Asn-などが好ましい。
式 J1−J2−C(J12)(Q12)C(=Z10)−で表わされる基としては、
Fmoc Asn-、
3-(Indol-3-yl)propionyl Asn-、
3-Indolecarbonyl Asn-、
3-Indoleacetyl Asn-、
4-(Indol-3-yl)butyryl Asn-、
Diphenylacetyl Asn-、
Hexanoyl Asn-、
Cyclohexanecabonyl Asn-、
2-(Indol-3-yl)ethylcabamoyl Asn-、
3-Pyridylpropionyl Asn-、
4-Imidzoleacetyl Asn-、
Piperidinecarbonyl Asn-、
1-Piperidineacetyl Asn-、
1-Methyl-1-piperidinioacetyl Asn-、
1-Pyridinioacetyl Asn-、
D-Glucronyl Asn-などが好ましい。
式 J1-で表わされる基としては、例えば、水素原子などが好ましい。
本発明のメタスチン誘導体(I)としては、前記した各記号の基を任意に組み合わせた全ての化合物が好ましく用いられるが、なかでも以下の化合物番号で示す化合物(表1〜11)が好適である。
MS10 :Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
化合物番号17:[Pya(4)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Pya(4)-NH2
化合物番号18:[Tyr(Me)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Tyr(Me)-NH2
化合物番号19:[Phe(2F)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(2F)-NH2
化合物番号23:[Tyr5]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Tyr-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号24:[Leu5]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Leu-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号30:Acetyl-MS10
Acetyl-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号31:Fmoc-MS10
Fmoc-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号38:[D-Ser5]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-D-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号39:[D-Asn4]MS10
Tyr-Asn-Trp-D-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号40:[D-Trp3]MS10
Tyr-Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号41:[D-Asn2]MS10
Tyr-D-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号42:[D-Tyr1]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号44:[Lys9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Lys-Phe-NH2
化合物番号45:[Ala8]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Ala-Arg-Phe-NH2
化合物番号50:[Ala7]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Ala-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号51:[NMePhe10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-NMePhe-NH2
化合物番号53:des(1-3)-Fmoc-MS10
Fmoc-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号54:des(1-2)-Fmoc-MS10
Fmoc-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号55:des(1)-Fmoc-MS10
Fmoc-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号56:[Lys2]MS10
Tyr-Lys-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号57:[Asp2]MS10
Tyr-Asp-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号58:[Tyr2]MS10
Tyr-Tyr-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号59:[Leu2]MS10
Tyr-Leu-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号60:[Pya(3)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Pya(3)-NH2
化合物番号61:[Phe(4F)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(4F)-NH2
化合物番号67:[Ala3]MS10
Tyr-Asn-Ala-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号68:[Leu3]MS10
Tyr-Asn-Leu-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号69:[Ser3]MS10
Tyr-Asn-Ser-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号70:[Asp3]MS10
Tyr-Asn-Asp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号71:[Lys3]MS10
Tyr-Asn-Lys-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号72:[Ala1]MS10
Ala-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号73:[Leu1]MS10
Leu-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号74:[Ser1]MS10
Ser-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号75:[Asp1]MS10
Asp-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号76:[Lys1]MS10
Lys-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号77:[Phe(4CN)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(4CN)-NH2
化合物番号78:[Trp(For)3, Phe(4CN)10]MS10
Tyr-Asn-Trp(For)-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(4CN)-NH2
化合物番号79:[Hph10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Hph-NH2
化合物番号81:[NMeArg9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-NMeArg-Phe-NH2
化合物番号82:[Arg(Me)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号83:[Arg(asy Me2)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(asyMe2)-Phe-NH2
化合物番号87:des(4-5)-Boc-MS10
Boc-Tyr-Asn-Trp-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号88:des(4-5)-MS10
Tyr-Asn-Trp-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号90:[9Ψ10,CH2NH]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-ArgΨ(CH2NH)Phe-NH2
化合物番号91:[8Ψ9,CH2NH]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-LeuΨ(CH2NH)Arg-Phe-NH2
化合物番号97:[Har9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Har-Phe-NH2
化合物番号98:[Lys(Me2)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Lys(Me2)-Phe-NH2
化合物番号101:[Ser7]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Ser-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号105:[Nle8]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Nle-Arg-Phe-NH2
化合物番号107:[Val8]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Val-Arg-Phe-NH2
化合物番号109:[Tyr10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Tyr-NH2
化合物番号110:[Nal(2)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Nal(2)-NH2
化合物番号111:[Phe(F5)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(F5)-NH2
化合物番号112:[Cha10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Cha-NH2
化合物番号114:des(1-3)-3-(3-Indolyl)propionyl-MS10
3-(3-Indolyl)propionyl-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号121:des(1-4)-[Trp5]MS10
Trp-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号123:[NMeLeu8]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-NMeLeu-Arg-Phe-NH2
化合物番号126:[NMeSer5]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-NMeSer-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号127:[D-Asn4,NMePhe6]MS10
Tyr-Asn-Trp-D-Asn-Ser-NMePhe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号128:[10Ψ,CSNH]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-PheΨ(CSNH)NH2
化合物番号129:[Arg(symMe2)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(symMe2)-Phe-NH2
化合物番号130:[Phe(4Cl)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(4Cl)-NH2
化合物番号131:[Phe(4NH2)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(4NH2)-NH2
化合物番号132:[Phe(4NO2)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(4NO2)-NH2
化合物番号133:[Nal(1)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Nal(1)-NH2
化合物番号134:[Trp10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH2
化合物番号137:[Nle9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Nle-Phe-NH2
化合物番号138:[Cit9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Cit-Phe-NH2
化合物番号140:[Arg(Me)9,NMePhe10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-NMePhe-NH2
化合物番号141:[D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号142:[D-Tyr1,D-Trp3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号143:[D-Trp3,Arg(Me)9]MS10
Tyr-Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号144:des(1-3)-Fmoc-[Arg(Me)9]MS10
Fmoc-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号145:des(1-2)-Fmoc-[Arg(Me)9]MS10
Fmoc-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号146:[10Ψ,CSNH,D-Tyr1]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-PheΨ(CSNH)NH2
化合物番号150:[Tyr6]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Tyr-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号151:[Nal(1)6]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Nal(1)-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号152:[Nal(2)6]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Nal(2)-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号153:[Phe(F5)6]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe(F5)-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号154:[Phe(4F)6]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe(4F)-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号156:[Cha6]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Cha-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号163:[6Ψ7,CH2NH]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(CH2NH)Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号165:[Dap(Gly)9]-MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Dap(Gly)-Phe-NH2
化合物番号166:[6Ψ7,CSNH]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe?Ψ(CSNH)Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号169:[D-Tyr1,Ala3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Ala-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号170:[D-Tyr1,Ser3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Ser-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号171:[D-Tyr1,Cha3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Cha-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号172:[D-Tyr1,Cha6,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Cha-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号173:[D-Tyr1,Ala7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Ala-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号174:[D-Tyr1,Arg(Me)9,Trp10]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2
化合物番号176:[AzaGly7]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号181:[D-Tyr1,Cha3,6,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Cha-Asn-Ser-Cha-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号182:[D-Tyr1,Cha3,6,Arg(Me)9,Trp10]MS10
D-Tyr-Asn-Cha-Asn-Ser-Cha-Gly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2
化合物番号183:[Phe(4NH2)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Phe(4NH2)-Phe-NH2
化合物番号184:[Phe(4-Guanidino)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Phe(4-Guanidino)-Phe-NH2
化合物番号185:[Dap(GnGly)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Dap(GnGly)-Phe-NH2
化合物番号186:[Trp(For)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp(For)-NH2
化合物番号187:[Abu8]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Abu-Arg-Phe-NH2
化合物番号189:[Ala(3-Bzt)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Ala(3-Bzt)-NH2
化合物番号190:[D-Tyr1,Cha3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Cha-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号191:[D-Tyr1,Ser3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Ser-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号192:[D-Tyr1,Arg(Et)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Et)-Phe-NH2
化合物番号193:[D-Tyr1,Arg(n-Pr)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(n-Pr)-Phe-NH2
化合物番号194:[D-Tyr1,Arg(Ac)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Ac)-Phe-NH2
化合物番号197:[Phe(3F)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(3F)-NH2
化合物番号198:[Phe(3,4F2)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(3,4F2)-NH2
化合物番号199:[Phe(3,4Cl2)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(3,4Cl2)-NH2
化合物番号200:[Phe(3CF3)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe(3CF3)-NH2
化合物番号201:[Ala(2-Qui)10]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Ala(2-Qui)-NH2
化合物番号203:[D-Tyr1,Cha6,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Cha-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号204:[D-Tyr1, Ala7, Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Ala-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号205:[D-Tyr1,Thr3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Thr-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号206:[D-Tyr1,Ile3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Ile-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号207:[D-Tyr1,Ser4,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Ser-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号208:[D-Tyr1,Thr4,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Thr-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号209:[D-Tyr1,Gln4,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Gln-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号210:[D-Tyr1,Ala4,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Ala-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号211:[D-Tyr1,Thr5,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Thr-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号212:[D-Tyr1,Ala5,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ala-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号213:[D-Tyr1,Val8,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Val-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号214:[D-Tyr1,Gln2,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Gln-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号215:[D-Tyr1,Thr2,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Thr-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号216:des(1)-[D-Asn2,Arg(Me)9]MS10
D-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号217:des(1)-[D-Tyr2,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号218:[N((CH2)3Gn)]Gly9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-N((CH2)3Gn)Gly-Phe-NH2
化合物番号220:[Arg(Et)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Et)-Phe-NH2
化合物番号221:[D-Tyr1,Thr3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Thr-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号222:des(1)-[D-Tyr2,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号223:des(1-2)-[D-Trp3,Arg(Me)9]MS10
D-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号224:des(1)-[D-Tyr2,D-Trp3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号225:des(1)-[D-Asn2,D-Trp3,Arg(Me)9]MS10
D-Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号226:des(1)-[D-Tyr2,Ser3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Ser-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号227:des(1)-[D-Tyr2,Thr3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Thr-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号228:des(1)-[D-Tyr2,Ile3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Ile-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号229:[D-Tyr1,Val3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Val-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号230:[D-Tyr1,D-Asn2,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号231:[D-Tyr1,D-Asn2,D-Trp3,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号232:[D-Tyr1,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号233:[D-Tyr1,Ile3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Ile-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号234:[D-Tyr1,Val3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Val-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号235:[D-Tyr1,Ala3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Ala-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号236:[D-Tyr1,D-Trp3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号237:[D-Tyr1,D-Asn2,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号238:[D-Tyr1,D-Asn2,D-Trp3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号239:des(1)-[D-Tyr2,Ser3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Ser-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号240:des(1)-[D-Tyr2,Ile3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Ile-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号241:des(1)-[D-Tyr2,Thr3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Thr-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号242:des(1)-[D-Tyr2,D-Trp3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号244:[D-Tyr1,Phe3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Phe-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号245:[D-Tyr1,Nal(1)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Nal(1)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号246:[D-Tyr1,Nal(2)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Nal(2)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号247:[D-Tyr1,Phe(2Cl)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Phe(2Cl)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号248:[D-Tyr1,Phe(3Cl)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Phe(3Cl)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号249:[D-Tyr1,Phe(4Cl)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Phe(4Cl)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号250:[D-Tyr1,Phe(4NH2)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Phe(4NH2)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号251:[D-Tyr1,Pya(3)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Pya(3)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号252:[D-Tyr1,D-Ala3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-D-Ala-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号253:[D-Tyr1,Pro3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Pro-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号254:des(1)-[D-Tyr2,Phe3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Phe-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号255:des(1)-[D-Tyr2,Nal(2)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Nal(2)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号256:des(1)-[D-Pya(3)2,Phe3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Pya(3)-Phe-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号257:[D-Tyr1,D-Asn2,Phe3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-Phe-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号258:[D-Pya(3)1,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Pya(3)-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号259:[D-Ala1,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Ala-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号260:des(1-3)-3-(3-Indolyl)propionyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
3-(3-Indolyl)propionyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号261:[7Ψ8,CH2NH]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-GlyΨ(CH2NH)Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号265:des(1-3)-Indole-3-carbonyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Indole-3-carbonyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号266:des(1-3)-Indole-3-acetyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Indol-3-acetyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号267:des(1-3)-4-(3-Indolyl)butyryl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
4-(3-Indolyl)butyryl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号268:des(1-3)-Diphenylacetyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Diphenylacetyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号269:des(1-3)-3-Phenylpropionyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
3-Phenylpropionyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号270:[D-Tyr1,Phe3,Ser-Phe5,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Phe-Asn-Ser-Phe-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号271:des(1-2)-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号272:des(1-2)-Acetyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Acetyl-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号273:des(1-2)-Amidino-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Amidino-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号274:des(1-2)-Acetyl-[Ala3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Acetyl-Ala-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号275:des(1-2)-Acetyl-[Arg3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Acetyl-Arg-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号276:des(1-2)-Acetyl-[Thr3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Acetyl-Thr-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号277:des(1-3)-n-Hexanoyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
n-Hexanoyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号278:des(1-3)-Cyclohexanecarbonyl-[AzaGly7, Arg(Me)9]MS10
Cyclohexanecarbonyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号279:des(1-3)-2-(Indol-3-yl)ethylcarbamoyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
2-(indol-3-yl)ethylcarbamoyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号281:[D-Tyr1,Pya(2)6,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Pya(2)-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号282:[D-Tyr1,Pya(4)6,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Pya(4)-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号283:[D-Tyr1,D-Asn2,Cha3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-Cha-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号284:[D-Tyr1,D-Asn2,Thr3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-Thr-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号285:[D-Tyr1,Pya(2)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Pya(2)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号286:[D-Tyr1,Pya(4)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号287:[D-Tyr1,D-Ser2,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Ser-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号288:[D-Tyr1,D-His2,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-His-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号289:des(1)-[D-Pya(3)2,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Pya(3)-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号290:[D-Pya(3)1,D-Asn2,Cha3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Pya(3)-D-Asn-Cha-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号291:[D-Pya(3)1,D-Tyr2,Cha3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Pya(3)-D-Tyr-Cha-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号293:[4Ψ5,CH2NH]MS10
Tyr-Asn-Trp-AsnΨ(CH2NH)Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号294:[1Ψ2,CH2NH]MS10
TyrΨ(CH2NH)Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号295:[2Ψ3,CH2NH]MS10
Tyr-AsnΨ(CH2NH)Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
化合物番号296:[6Ψ7,CSNH,D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(CSNH)Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号297:[D-Tyr1,Thr5,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Thr-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号298:[D-Tyr1,D-Asn2,Thr5,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-Trp-Asn-Thr-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号299:[1Ψ2,CH2NH,AzaGly7,Arg(Me)9]-MS10
TyrΨ(CH2NH)Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号300:[1Ψ2,CH2NH,D-Trp3,AzaGly7,Arg(Me)9]-MS10
TyrΨ(CH2NH)Asn-D-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号301:[D-Tyr1,Ala(2-Qui)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Ala(2-Qui)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号302:[D-Tyr1,D-Pya(4)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-D-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号303:[D-Tyr1,D-Asn2,Pya(4)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Asn-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号304:[D-Asn2,Pya(4)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Tyr-D-Asn-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号305:des(1)-[D-Tyr2,D-Pya(4)3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-D-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号306:[D-Pya(4)1,D-Asn2,Cha3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Pya(4)-D-Asn-Cha-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号307:[7Ψ8,CH2NH,D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-GlyΨ(CH2NH)Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号308:[6Ψ7,CH2NH,D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(CH2NH)Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号310:[Nar9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Nar-Phe-NH2
化合物番号311:[Nar(Me)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Nar(Me)-Phe-NH2
化合物番号312:[Har(Me)9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Har(Me)-Phe-NH2
化合物番号313:[Dab9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Dab-Phe-NH2
化合物番号314:[Orn9]MS10
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Orn-Phe-NH2
化合物番号315:des(1)-[D-Asn2,Cha3,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Asn-Cha-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号316:[D-Tyr1,D-Asn2,Thr3,AzaGly7,Arg(Me)9,Phe(4F)10]MS10
D-Tyr-D-Asn-Thr-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe(4F)-NH2
化合物番号317:[D-Tyr1,D-Asn2,Pya(4)3,AzaGly7,Arg(Me)9,Phe(4F)10]MS10
D-Tyr-D-Asn-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe(4F)-NH2
化合物番号318:[D-Tyr1,AzaGly7,Arg(Me)9,Phe(4F)10]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe(4F)-NH2
化合物番号319:[6Ψ7,NHCO,D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(NHCO)Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号322:des(1-3)-3-Pyridylpropionyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
3-Pyridylpropionyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号323:des(1-3)-4-Imidazoleacetyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
4-Imidazoleacetyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号324:des(1-3)-4-Piperidinecarbonyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Piperidinecarbonyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号325:des(1-3)-1-Piperidineacetyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
Piperidineacetyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号326:des(1-3)-1-Methylpiperidinio-1-acetyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]
MS10
Methylpiperidino-1-acetyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号327:des(1-3)-1-Pyridinioacetyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
1-Pyridinoacetyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号328:des(1-3)-D-Glucronyl-[AzaGly7,Arg(Me)9]MS10
D-Glucronyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号375:2-Aminoethyl-Gly-[D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
2-Aminoethyl-Gly-D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号385:des(1)-[D-Tyr2,D-Pya(4)3,AzaGly7,Arg(Me)9,Trp10]MS10
D-Tyr-D-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2
化合物番号386:des(1-3)-3-Pyridylpropionyl-[AzaGly7,Arg(Me)9,Trp10]MS10
3-Pyridylpropionyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2
化合物番号387:Dap-[D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
Dap-D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号397:Methylthiocarbamoyl-Sar-[D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
Methylthiocarbamoyl-Sar-D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
化合物番号400:(S)-1-(Quinolin-8-yl-carbamoyl)-4-thiapentylcarbamoyl-[D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10
(S)-1-(Quinolin-8-yl-carbamoyl)-4-thiapentylcarbamoyl-D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH2
ただし、本発明のメタスチン誘導体(I)は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第1〜54番目(化合物番号1)、第2〜54番目、第3〜54番目、第4〜54番目、第5〜54番目、第6〜54番目、第7〜54番目、第8〜54番目、第9〜54番目、第10〜54番目、第11〜54番目、第12〜54番目、第13〜54番目、第14〜54番目、第15〜54番目、第16〜54番目、第17〜54番目、第18〜54番目、第19〜54番目、第20〜54番目、第21〜54番目、第22〜54番目、第23〜54番目、第24〜54番目、第25〜54番目、第26〜54番目、第27〜54番目、第28〜54番目、第29〜54番目、第30〜54番目、第31〜54番目、第32〜54番目、第33〜54番目、第34〜54番目、第35〜54番目、第36〜54番目、第37〜54番目、第38〜54番目、第39〜54番目、第40〜54番目(化合物番号2)、第41〜54番目、第42〜54番目(化合物番号32)、第43〜54番目、第44〜54番目、第45〜54番目(化合物番号3)、第46〜54番目(化合物番号4)、第47〜54番目、第48〜54番目または第49〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(天然型のヒト・メタスチンまたはその部分ペプチド)を含まない。
本発明のメタスチン誘導体またはその塩あるいはそのプロドラッグは、優れた癌転移抑制作用や癌増殖抑制作用に加え、優れた血中安定性を有しており、癌(例えば、肺癌、胃癌、肝癌、膵癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌等)の予防・治療薬として有用である。本発明のメタスチン誘導体またはその塩あるいはそのプロドラッグは、膵臓機能調節作用を有しており、膵臓疾患(例えば、急性または慢性膵炎、膵癌等)の予防・治療薬として有用である。本発明のメタスチン誘導体またはその塩あるいはそのプロドラッグは、胎盤機能調節作用を有しており、絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩誘発の予防・治療薬として有用である。
また、本発明のメタスチン誘導体またはその塩あるいはそのプロドラッグを含むメタスチン受容体アゴニストは、血糖上昇作用、膵グルカゴン分泌促進作用、尿生成促進作用を有しており、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療薬として有用である。
さらに、本発明のメタスチン誘導体またはその塩あるいはそのプロドラッグは、優れた性腺刺激ホルモン分泌促進活性、性ホルモン分泌促進活性、排卵誘発または促進作用等を有し、低毒性で安全な、例えば、性腺機能改善剤、ホルモン依存性癌(例えば、前立腺癌、乳癌等)、不妊症、子宮内膜症、子宮筋腫等の予防・治療剤、排卵誘発または促進剤、性腺刺激ホルモン分泌促進剤または性ホルモン分泌促進剤などとして有用である。
さらに、本発明のメタスチン誘導体またはその塩あるいはそのプロドラッグは、アルツハイマー病、軽度認知障害などの予防・治療剤などとして有用である。
本発明のメタスチン誘導体(I)は、自体公知のペプチドの合成法に従って製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明のペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離法としてはたとえば、以下の(1)〜(5)に記載された方法が挙げられる。
(1)M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
(2)SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
(3)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
(4)矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205、(1977年)
(5)矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られるペプチドが遊離体である場合は公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
保護されたアミノ酸またはペプチドの縮合に関しては、ペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、トリスフォスフォニウム塩類、テトラメチルウロニウム塩類、カルボジイミド類等がよい。トリスフォスフォニウム塩類としてはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)フォスフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト(PyBOP)、ブロモトリス(ピロリジノ)フォスフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト(PyBroP)、7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ピロリジノ)フォスフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト(PyAOP)、テトラメチルウロニウム塩類としては2-(1H-ベンゾトリアゾル-1-イル)-1,1,3,3ヘキサフルオロフォスフェイト(HBTU)、2-(7-アザベンゾトリアゾル-1-イル)-1,1,3,3ヘキサフルオロフォスフェイト(HATU)、2-(1H-ベンゾトリアゾル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレイト(TBTU)、2-(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド)- 1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレイト(TNTU)、O-(N-スクシミジル)- 1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレイト(TSTU)、カルボジイミド類としてはDCC、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl)などが挙げられる。これらによる縮合にはラセミ化抑制剤(例えば、HONB,HOBt,HOAt, HOOBtなど)の添加が好ましい。縮合に用いられる溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。たとえば無水または含水のN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノール、フェノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジンなどの三級アミン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5から6倍過剰で用いられる。固相合成の場合にはニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールなどを用いて未反応アミノ酸をアシル化して、後の反応に影響を及ぼさないようにすることができる。
原料アミノ酸のアミノ基の保護基としては、たとえば、Z、Boc、tert-ペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが挙げられる。カルボキシル基の保護基としては、たとえばRとして上記したC1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C7-14アラルキル基の他、アリル、2−アダマンチル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、4−クロロベンジル、フェナシル基およびベンジルオキシカルボニルヒドラジド、tert-ブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどが挙げられる。
セリンおよびスレオニンの水酸基は、たとえばエステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては例えばアセチル基などの低級(C2-4)アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基などの有機酸から誘導される基などが挙げられる。また、エーテル化に適する基としては、たとえばベンジル基、テトラヒドロピラニル基、tert-ブチル基、トリチル基(Trt)などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、たとえばBzl、 2,6-ジクロルベンジル、2−ニトロベンジル、Br-Z、tert-ブチルなどが挙げられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)、DNP、Bom、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが挙げられる。
アルギニンのグアニジノ基の保護基としてはTos,Z, 4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルフォニル(Mtr), p-メトキシベンゼンスルフォニル(MBS), 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルフォニル(Pmc), メシチレン-2-スルフォニル(Mts)、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、Boc、Z、NO2などが挙げられる。
リジンの側鎖アミノ基の保護基としてはZ, Cl-Z, トリフルオロアセチル、Boc、Fmoc、Trt、Mtr、4,4-ジメチル-2,6-ジオキソサイクロヘキシリデンエイル(Dde)などが挙げられる。
トリプトファンのインドリル保護基としてはフォルミル(For)、Z, Boc、Mts、Mtrなどが挙げられる。
アスパラギン、グルタミンの保護基としてはTrt, キサンチル(Xan)、 4,4’-ジメトキシベンズヒドリル(Mbh)、2,4,6-トリメトキシベンジル(Tmob)などが挙げられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、たとえば対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコール(たとえば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)とのエステル]などが挙げられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、たとえば対応する亜リン酸アミドが挙げられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、たとえばPd黒あるいはPd炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、臭化トリメシルシラン(TMSBr)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロホウ酸、トリス(トリフルオロ)ホウ素、三臭化ホウ素あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども挙げられる。上記酸処理による脱離反応は一般に−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においてはアニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾールのようなカチオン捕捉剤や、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオール等の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の保護基あるいは公知の手段から適宜選択しうる。
ペプチドのアミド体を得る方法としては、アミド体合成用樹脂を用いて固相合成するかまたはカルボキシル末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化した後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除いたペプチド(またはアミノ酸)とを製造し、この両ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ポリペプチドを得ることができる。この粗ペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のペプチドのアミド体を得ることができる。
本発明のメタスチン誘導体(I)が、コンフィギュレーショナル アイソマー(配置異性体)、ジアステレオマー、コンフォーマー等として存在する場合には、所望により、前記の分離、精製手段によりそれぞれを単離することができる。また、本発明の化合物がラセミ体である場合には、通常の光学分割手段によりS体及びR体に分離することができる。
本発明のメタスチン誘導体(I)に立体異性体が存在する場合には、この異性体が単独の場合及びそれらの混合物の場合も本発明に含まれる。
また、本発明のメタスチン誘導体(I)は、水和物または非水和物であってもよい。
本発明のメタスチン誘導体(I)は同位元素(例、3H、14C、35S)等で標識されていてもよい。
本明細書におけるペプチドはペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。ペプチドのC末端は、アミド(−CONH2)、カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO-)、アルキルアミド(−CONHR)またはエステル(−COOR)であってもよいが、特にアミド(−CONH2)が好ましい。エステルまたはアルキルアミドのRとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルなどのフェニル−C1-2アルキル、もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキルなどのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などがあげられる。
本発明のメタスチン誘導体(I)の塩としては、例えば金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。金属塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
このうち、薬学的に許容し得る塩が好ましい。例えば、化合物内に酸性官能基を有する場合にはアルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)等の無機塩、アンモニウム塩等が、また、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が好ましい。
本発明のメタスチン誘導体(I)またはその塩(以下、本発明のメタスチン誘導体(I)と略記する)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により本発明のメタスチン誘導体(I)に変換するメタスチン誘導体、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして本発明のメタスチン誘導体に変化するメタスチン誘導体、胃酸等により加水分解等を起こして本発明のメタスチン誘導体(I)に変化するメタスチン誘導体をいう。
本発明のメタスチン誘導体(I)のプロドラッグとしては、本発明のメタスチン誘導体(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化されたメタスチン誘導体(例えば、本発明のメタスチン誘導体(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化されたメタスチン誘導体等);本発明のメタスチン誘導体(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化されたメタスチン誘導体(例えば、本発明のメタスチン誘導体(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化されたメタスチン誘導体等);本発明のメタスチン誘導体(I)のカルボキシ基がエステル化、アミド化されたメタスチン誘導体(例えば、本発明のメタスチン誘導体(I)のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化されたメタスチン誘導体等);等が挙げられる。これらのメタスチン誘導体は自体公知の方法によって本発明のメタスチン誘導体(I)から製造することができる。
また、本発明のメタスチン誘導体(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で本発明のメタスチン誘導体(I)に変化するものであってもよい。
本発明のメタスチン誘導体(I)またはその塩のプロドラッグ(以下、本発明の化合物と略記する場合がある)は癌転移抑制活性または癌増殖抑制活性を有するため、癌転移抑制剤または癌増殖抑制剤として、あらゆる癌(例えば、肺癌、胃癌、肝癌、膵癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌等)の予防・治療剤などの医薬として有用である。
さらに、本発明の化合物は膵臓機能調節作用を有するため、膵臓機能調節剤として、種々の膵臓疾患(例えば、急性または慢性膵炎、膵癌等)の治療・予防剤として有用である。
また、本発明の化合物は胎盤機能調節作用を有するため、胎盤機能調節剤として、例えば、絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩誘発の予防または治療剤などの医薬として有用である。
さらに、本発明の化合物は血糖上昇作用、膵グルカゴン分泌促進作用、尿生成促進作用を有しているので、血糖上昇剤、膵グルカゴン分泌促進剤、尿生成促進剤として、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防または治療剤などの医薬として有用である。
さらに、本発明の化合物は、性腺刺激ホルモン(例、FSH、LHなど)分泌促進作用、性ホルモン〔例、アンドロゲン(例、テストステロン、アンドロステンジオンなど)、エストロゲン(例、エストラジオール、エストロンなど)、プロゲステロンなど〕分泌促進作用、性腺機能改善作用、排卵誘発または促進作用、性成熟作用などを有しているので、例えば、性腺機能改善剤、排卵誘発または促進剤、性腺刺激ホルモン分泌促進剤または性ホルモン分泌促進剤、ホルモン依存性癌〔例、前立腺癌、乳癌など〕、不妊症〔例、月経不順、月経困難症、無月経症、体重減少性無月経症、続発性無月経症、無排卵症、卵巣機能低下症、性腺機能低下症、精子形成障害、性機能低下症(例、インポテンスなど)、性器萎縮症、精巣萎縮症、精巣機能障害、無精子症、低アンドロゲン血症など〕、子宮内膜症、子宮筋腫などの予防・治療剤として使用することができる。
さらに、本発明のメタスチン誘導体またはその塩あるいはそのプロドラッグは、アルツハイマー病、軽度認知障害などの予防・治療剤などとして有用である。
さらに、本発明の化合物は、天然型メタスチン、例えばメタスチン54(1−54)やメタスチン10(45−54)に比べて、優れた血中安定性を有している。
本発明の化合物を含有してなる医薬は、毒性が低く、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている自体公知の手段に従って、本発明の化合物をそのままあるいは薬理学的に許容される担体と混合して、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の医薬製剤として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
本発明の化合物の本発明製剤中の含有量は、製剤全体の約0.01ないし約100重量%である。
本発明の化合物の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に、癌患者(体重60kgとして)に対して、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常、癌患者(体重60kgとして)に対して、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本発明の医薬の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等が挙げられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
さらに、本発明の化合物は、本発明の化合物以外の薬物と併用して使用することができる。
本発明の化合物と併用し得る薬物(以下、併用薬物と略記する場合がある)としては、例えば、癌治療のための化学療法剤、ホルモン療法剤、免疫療法剤等の薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。
該「化学療法剤」としては、例えばアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、植物由来抗癌剤などが挙げられる。
「アルキル化剤」としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシンなどが挙げられる。
「代謝拮抗剤」としては、例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフールなど)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチンなどが挙げられる。
「抗癌性抗生物質」としては、例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシンなどが挙げられる。
「植物由来抗癌剤」としては、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタクセル、ビノレルビンなどが挙げられる。
該「ホルモン療法剤」としては、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェンなど)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタンなど)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミドなど)、5α-レダクターゼ阻害薬(例、フィナステリド、エプリステリドなど)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)、アンドロゲン合成阻害薬(例、アビラテロンなど)、レチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例、リアロゾールなど)などが挙げられ、なかでもLH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど)が好ましい。
該「免疫療法剤(BRM)」としては、例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾールなどが挙げられる。
本発明の化合物と併用薬物とを組み合わせることにより、
(1)本発明の化合物または併用薬物を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができる、
(2)患者の症状(軽症、重症など)に応じて、本発明の化合物と併用する薬物を選択することができる、
(3)本発明の化合物と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療期間を長く設定することができる、
(4)本発明の化合物と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる、
(5)本発明の化合物と併用薬物とを併用することにより、相乗効果が得られる、などの優れた効果を得ることができる。
以下、本発明の化合物(I)と併用薬物を併用して使用することを「本発明の併用剤」と称する。
本発明の併用剤の使用に際しては、本発明の化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明の化合物またはその医薬組成物と併用薬物またはその医薬組成物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の併用剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の化合物と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明のとを別々に製剤化して得られる2種2種の製剤の投与の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物;併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明の化合物または(および)上記併用薬物を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下または臓器内投与あるいは直接病巣に投与することができる。
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質があげられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等があげられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
本発明の併用剤における本発明の化合物と併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
例えば、本発明の併用剤における本発明の化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜50重量%、さらに好ましくは約0.5〜20重量%程度である。
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜50重量%、さらに好ましくは約0.5〜20重量%程度である。
本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1〜99.99重量%、好ましくは約10〜90重量%程度である。
また、本発明の化合物および併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公知の方法により製造することができる。
例えば、本発明の化合物または併用薬物は、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンなど)、安定化剤(例、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(例、ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(例、グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(例、リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、pH調節剤(例、塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(例、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール等)、溶解剤(例、濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(例、プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(例、ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などと共に水性注射剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコールなどの溶解補助剤に溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
経口投与用製剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明の化合物または併用薬物を例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン 80、プルロニック F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および色素(例、ベンガラ,二酸化チタン等)などが用いられる。経口投与用製剤は速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。
例えば、坐剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明の化合物または併用薬物を油性または水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
上記徐放性製剤としては、徐放性マイクロカプセル剤などが挙げられる。
徐放型マイクロカプセルとするには、自体公知の方法を採用できるが、例えば、下記〔2〕に示す徐放性製剤に成型して投与するのが好ましい。
本発明の化合物は、固形製剤(例、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤)などの経口投与用製剤に成型するか、坐剤などの直腸投与用製剤に成型するのが好ましい。特に経口投与用製剤が好ましい。
併用薬物は、薬物の種類に応じて上記した剤形とすることができる。
以下に、〔1〕本発明の化合物または併用薬物の注射剤およびその調製、〔2〕本発明の化合物または併用薬物の徐放性製剤または速放性製剤およびその調製、〔3〕本発明の化合物または併用薬物の舌下錠、バッカルまたは口腔内速崩壊剤およびその調製について具体的に示す。
〔1〕注射剤およびその調製
本発明の化合物または併用薬物を水に溶解してなる注射剤が好ましい。該注射剤には安息香酸塩または/およびサリチル酸塩を含有させてもよい。
該注射剤は、本発明の化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩または/およびサリチル酸塩の双方を水に溶解することにより得られる。
上記安息香酸、サリチル酸の塩としては、例えばナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、その他トロメタモールなどの有機酸塩などが挙げられる。
注射剤中の本発明の化合物または併用薬物の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%程度である。また安息香酸塩または/およびサリチル酸塩の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%が好ましい。
また、本剤には一般に注射剤に使用される添加剤、例えば安定化剤(アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、分散剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン)、pH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸等)、溶解剤(濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などを適宜配合することができる。これらの添加剤は一般に注射剤に通常用いられる割合で配合される。
注射剤はpH調節剤の添加により2〜12好ましくは2.5〜8.0に調整するのがよい。
注射剤は本発明の化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩または/およびサリチル酸塩の双方を、また必要により上記添加剤を水に溶解することにより得られる。これらの溶解はどのような順序で行ってもよく、従来の注射剤の製法と同様に適宜行うことができる。
注射用水溶液は加温するのがよく、また通常の注射剤と同様にたとえば濾過滅菌,高圧加熱滅菌などを行うことにより注射剤として供することができる。
注射用水溶液は、例えば100℃〜121℃の条件で5分〜30分高圧加熱滅菌するのがよい。
さらに多回分割投与製剤として使用できるように、溶液の抗菌性を付与した製剤としてもよい。
〔2〕徐放性製剤または速放性製剤およびその調製
本発明の化合物または併用薬物を含んでなる核を所望により水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどの被膜剤で被覆してなる徐放性製剤が好ましい。例えば、1日1回投与型の経口投与用徐放性製剤が好ましい。
被膜剤に用いられる水不溶性物質としては、例えばエチルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートなどのセルロースエステル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレートなどのポリビニルエステル類、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート/シンナモエチルメタクリレート/アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、グリシジルメタクリレート共重合体、とりわけオイドラギットRS−100,RL−100,RS−30D,RL−30D,RL−PO,RS−PO(アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチル・アンモニウムエチル共重合体)、オイドラギットNE−30D(メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体)などのオイドラギット類(ローム・ファーマ社)などのアクリル酸系ポリマー、硬化ヒマシ油(例、ラブリーワックス(フロイント産業)など)などの硬化油、カルナバワックス、脂肪酸グリセリンエステル、パラフィンなどのワックス類、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
膨潤性ポリマーとしては、酸性の解離基を有し、 pH依存性の膨潤を示すポリマーが好ましく、胃内のような酸性領域では膨潤が少なく、小腸や大腸などの中性領域で膨潤が大きくなる酸性の解離基を有するポリマーが好ましい。
このような酸性の解離基を有し pH依存性の膨潤を示すポリマーとしては、例えばカーボマー(Carbomer)934P、940、941、974P、980、1342等、ポリカーボフィル(polycarbophil)、カルシウムポリカボーフィル(carcium polycarbophil)(前記はいずれもBFグツドリッチ社製)、ハイビスワコー103、104、105、304(いずれも和光純薬(株)製)などの架橋型ポリアクリル酸重合体が挙げられる。
徐放性製剤に用いられる被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよい。
該親水性物質としては、例えばプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩などの硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのヒドロキシアルキル基またはカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
徐放性製剤の被膜剤における水不溶性物質の含有率は約30〜約90%(w/w)、好ましくは約35〜約80%(w/w)、さらに好ましくは約40〜75%(w/w)、膨潤性ポリマーの含有率は約3〜約30%(w/w)、好ましくは約3〜約15%(w/w)である。被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよく、その場合被膜剤における親水性物質の含有率は約50%(w/w)以下、好ましくは約5〜約40%(w/w)、さらに好ましくは約5〜約35%(w/w)である。ここで上記%(w/w)は被膜剤液から溶媒(例、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール等)を除いた被膜剤組成物に対する重量%を示す。
徐放性製剤は、以下に例示するように薬物を含む核を調製し、次いで得られた核を、水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどを加熱溶解あるいは溶媒に溶解または分散させた被膜剤液で被覆することにより製造される。
I.薬剤を含む核の調製。
被膜剤で被覆される薬物を含む核(以下、単に核と称することがある)の形態は特に制限されないが、好ましくは顆粒あるいは細粒などの粒子状に形成される。
核が顆粒または細粒の場合、その平均粒子径は、好ましくは約150〜2,000μm、さらに好ましくは約500〜約1,400μmである。
核の調製は通常の製造方法で実施することができる。例えば、薬物に適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等を混合し、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより調製する。
核の薬物含量は、約0.5〜約95%(w/w)、好ましくは約5.0〜約80%(w/w)、さらに好ましくは約30〜約70%(w/w)である。
核に含まれる賦形剤としては、例えば白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、澱粉、結晶セルロース、リン酸カルシウム、コーンスターチなどが用いられる。中でも、結晶セルロース、コーンスターチが好ましい。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉などが用いられる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)などが用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。滑沢剤、凝集防止剤としては例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびその無機塩、また潤滑剤としてポリエチレングリコールなどが用いられる。安定化剤としては酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸が用いられる。
核は上記製造法以外にも、例えば核の中心となる不活性担体粒子上に水、低級アルコール(例、メタノール、エタノールなど)等の適当な溶媒に溶解した結合剤をスプレーしながら、薬物あるいはこれと賦形剤、滑沢剤などとの混合物を少量づつ添加して行なう転動造粒法、パンコーティング法、流動層コーティング法や溶融造粒法によっても調製することができる。不活性担体粒子としては、例えば白糖、乳糖、澱粉、結晶セルロース、ワックス類で製造されたものが使用でき、その平均粒子径は約100μm〜約1,500μmであるものが好ましい。
核に含まれる薬物と被膜剤とを分離するために、防護剤で核の表面を被覆してもよい。防護剤としては、例えば前記親水性物質や、水不溶性物質等が用いられる。防護剤は、好ましくはポリエチレングリコールやヒドロキシアルキル基またはカルボキシアルキル基を有する多糖類、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。該防護剤には安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸や、タルクなどの滑沢剤を含んでいてもよい。防護剤を用いる場合、その被覆量は核に対して約1〜約15%(w/w)、好ましくは約1〜約10%(w/w)、さらに好ましくは約2〜約8%(w/w)である。
防護剤は通常のコーティング法により被覆することができ、具体的には、防護剤を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで被覆することができる。
II.核の被膜剤による被覆
前記Iで得られた核を、前記水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマー、および親水性物質を加熱溶解あるいは溶媒に溶解または分散させた被膜剤液により被覆することにより徐放性製剤が製造される。
核の被膜剤液による被覆方法として、例えば噴霧コーティングする方法などが挙げられる。
被膜剤液中の水不溶性物質、膨潤性ポリマーまたは親水性物質の組成比は、被膜中の各成分の含有率がそれぞれ前記含有率となるように適宜選ばれる。
被膜剤の被覆量は、核(防護剤の被覆量を含まない)に対して約1〜約90%(w/w)、好ましくは約5〜約50%(w/w)、さらに好ましくは約5〜35%(w/w)である。
被膜剤液の溶媒としては水または有機溶媒を単独であるいは両者の混液を用いることができる。混液を用いる際の水と有機溶媒との混合比(水/有機溶媒:重量比)は、1〜100%の範囲で変化させることができ、好ましくは1〜約30%である。該有機溶媒としては、水不溶性物質を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトンなどの低級アルカノン、アセトニトリル、クロロホルム、メチレンクロライドなどが用いられる。このうち低級アルコールが好ましく、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。水及び水と有機溶媒との混液が被膜剤の溶媒として好ましく用いられる。この時、必要であれば被膜剤液中に被膜剤液安定化のために酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸を加えてもよい。
噴霧コーティングにより被覆する場合の操作は通常のコーティング法により実施することができ、具体的には、被膜剤液を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで実施することができる。この時必要であれば、タルク、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などを滑沢剤として、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどを可塑剤として添加してもよい。
被膜剤による被膜後、必要に応じてタルクなどの帯電防止剤を混合してもよい。
速放性製剤は、液状(溶液、懸濁液、乳化物など)であっても固形状(粒子状、丸剤、錠剤など)であってもよい。経口投与剤、注射剤など非経口投与剤が用いられるが、経口投与剤が好ましい。
速放性製剤は、通常、活性成分である薬物に加えて、製剤分野で慣用される担体、添加剤や賦形剤(以下、賦形剤と略称することがある)を含んでいてもよい。用いられる製剤賦形剤は、製剤賦形剤として常用される賦形剤であれば特に限定されない。例えば経口固形製剤用の賦形剤としては、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH101など)、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システインなどが挙げられ、好ましくはコーンスターチおよびマンニトールなどが挙げられる。これらの賦形剤は一種または二種以上を組み合わせて使用できる。賦形剤の含有量は速放性製剤全量に対して、例えば約4.5〜約99.4w/w%、好ましくは約20〜約98.5w/w%、さらに好ましくは約30〜約97w/w%である。
速放性製剤における薬物の含量は、速放性製剤全量に対して、約0.5〜約95%、好ましくは約1〜約60%の範囲から適宜選択することができる。
速放性製剤が経口固型製剤の場合、通常上記成分に加えて、崩壊剤を含有する。このような崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品製、ECG−505)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アクジゾル)、クロスポビドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))、カルボキシメチルスターチ(松谷化学(株)、カルボキシメチルスターチナトリウム(木村産業製、エキスプロタブ)、部分α化デンプン(旭化成(株)製、PCS)などが用いられ、例えば水と接触して吸水、膨潤、あるいは核を構成している有効成分と賦形剤との間にチャネルを作るなどにより顆粒を崩壊させるものを用いることができる。これらの崩壊剤は、一種または二種以上を組み合わせて使用できる。崩壊剤の配合量は、用いる薬物の種類や配合量、放出性の製剤設計などにより適宜選択されるが、速放性製剤全量に対して、例えば約0.05〜約30w/w%、好ましくは約0.5〜約15w/w%である。
速放性製剤が経口固型製剤である場合、経口固型製剤の場合には上記の組成に加えて、所望により固型製剤において慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば結合剤(例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなど)、滑沢剤(例えば、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル(日本アエロジル))、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤など)、着色剤(例えば、タール系色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類)、必要ならば、橋味剤(例えば、甘味剤、香料など)、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などが用いられる。また、安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸を加えてもよい。
上記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンなどが好ましく用いられる。
速放性製剤は、通常の製剤の製造技術に基づき、前記各成分を混合し、必要により、さらに練合し、成型することにより調製することができる。上記混合は、一般に用いられる方法、例えば、混合、練合などにより行われる。具体的には、例えば速放性製剤を粒子状に形成する場合、前記徐放性製剤の核の調製法と同様の手法により、バーチカルグラニュレーター、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)等を用いて混合しその後、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより造粒することにより調製することができる。
このようにして得られた速放性製剤と徐放性製剤とは、そのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に常法により別々に製剤化後、同時あるいは任意の投与間隔を挟んで組み合わせて投与する製剤としてもよく、また両者をそのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に一つの経口投与製剤(例、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル等)に製剤化してもよい。両製剤を顆粒あるいは細粒に製して、同一のカプセル等に充填して経口投与用製剤としてもよい。
〔3〕舌下錠、バッカルまたは口腔内速崩壊剤およびその調製
舌下錠、バッカル製剤、口腔内速崩壊剤は錠剤などの固形製剤であってもよいし、口腔粘膜貼付錠(フィルム)であってもよい。
舌下錠、バッカルまたは口腔内速崩壊剤としては、本発明の化合物または併用薬物と賦形剤とを含有する製剤が好ましい。また、滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤などの補助剤を含有していてもよい。また、吸収を容易にし、生体内利用率を高めるためにβ−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体(例、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)などを含有していてもよい。
上記賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウムやコロイドシリカが好ましい。等張化剤としては塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、サッカロース、グリセリン、尿素などが挙げられ、特にマンニトールが好ましい。親水性担体としては結晶セルロース、エチルセルロース、架橋性ポリビニルピロリドン、軽質無水珪酸、珪酸、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウムなどの膨潤性親水性担体が挙げられ、特に結晶セルロース(例、微結晶セルロースなど)が好ましい。水分散性ポリマーとしてはガム(例、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム)、アルギン酸塩(例、アルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ゼラチン、水溶性デンプン、ポリアクリル酸(例、カーボマー)、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボフィル、アスコルビン酸パルミチン酸塩などが挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどが好ましい。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。安定化剤としては、システイン、チオソルビトール、酒石酸、クエン酸、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、グリシン、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられ、特に、クエン酸やアスコルビン酸が好ましい。
舌下錠、バッカルまたは口腔内速崩壊剤は、本発明の化合物または併用薬物と賦形剤とを自体公知の方法により混合することにより製造することができる。さらに、所望により上記した滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤、着色剤、甘味剤、防腐剤などの補助剤を混合してもよい。上記成分を同時に若しくは時間差をおいて混合した後、加圧打錠成形することにより舌下錠、バッカル錠または口腔内速崩壊錠が得られる。適度な硬度を得るため、打錠成形の過程の前後において必要に応じ水やアルコールなどの溶媒を用いて加湿・湿潤させ、成形後、乾燥させて製造してもよい。
粘膜貼付錠(フィルム)に成型する場合は、本発明の化合物または併用薬物および上記した水分散性ポリマー(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、賦形剤などを水などの溶媒に溶解させ、得られる溶液を流延させて(cast)フィルムとする。さらに、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、甘味剤などの添加物を加えてもよい。フィルムに適度の弾性を与えるためポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール類を含有させたり、口腔の粘膜ライニングへのフィルムの接着を高めるため生物接着性ポリマー(例、ポリカルボフィル、カルボポール)を含有させてもよい。流延は、非接着性表面に溶液を注ぎ、ドクターブレードなどの塗布用具で均一な厚さ(好ましくは10〜1000ミクロン程度)にそれを広げ、次いで溶液を乾燥してフィルムを形成することにより達成される。このように形成されたフィルムは室温若しくは加温下乾燥させ、所望の表面積に切断すればよい。
好ましい口腔内速崩壊剤としては、本発明の化合物または併用薬物と、本発明の化合物または併用薬物とは不活性である水溶性若しくは水拡散性キャリヤーとの網状体からなる固体状の急速拡散投与剤が挙げられる。該網状体は、本発明の化合物または併用薬物を適当な溶媒に溶解した溶液とから構成されている固体状の該組成物から溶媒を昇華することによって得られる。
該口腔内速崩壊剤の組成物中には、本発明の化合物または併用薬物に加えて、マトリックス形成剤と二次成分とを含んでいるのが好ましい。
該マトリックス形成剤としてはゼラチン類、デキストリン類ならびに大豆、小麦ならびにオオバコ(psyllium)種子タンパクなどの動物性タンパク類若しくは植物性タンパク類;アラビアゴム、ガーガム、寒天ならびにキサンタンなどのゴム質物質;多糖類;アルギン酸類;カルボキシメチルセルロース類;カラゲナン類;デキストラン類;ペクチン類;ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー類;ゼラチン−アラビアゴムコンプレックスなどから誘導される物質が含まれる。さらに、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトースならびにトレハロースなどの糖類;シクロデキストリンなどの環状糖類;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムならびにケイ酸アルミニウムなどの無機塩類;グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロシキプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンならびにL−フェニルアラニンなどの炭素原子数が2から12までのアミノ酸などが含まれる。
マトリックス形成剤は、その1種若しくはそれ以上を、固形化の前に、溶液または懸濁液中に導入することができる。かかるマトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて存在していてもよく、また界面活性剤が排除されて存在していてもよい。マトリックス形成剤はそのマトリックスを形成することに加えて、本発明の化合物または併用薬物の拡散状態をその溶液または懸濁液中に維持する助けをすることができる。
保存剤、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、香味料、甘味料若しくは食味マスキング剤などの二次成分を組成物中に含有していてよい。適当な着色剤としては、赤色、黒色ならびに黄色酸化鉄類およびエリス・アンド・エベラールド社のFD&Cブルー2号ならびにFD&Cレッド40号などのFD&C染料が挙げられる。適当な香味料には、ミント、ラスベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、チェリーならびにグレープフレーバーおよびその組合せたものが含まれる。適当なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸が含まれる。適当な甘味料としてはアスパルテーム、アセスルフェームKならびにタウマチンなどが含まれる。適当な食味マスキング剤としては、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着質物質ならびにマイクロカプセル化アポモルフィンが含まれる。
製剤には通常約0.1〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約30重量%の本発明の化合物または併用薬物を含み、約1分〜約60分の間、好ましくは約1分〜約15分の間、より好ましくは約2分〜約5分の間に(水に)本発明の化合物または併用薬物の90%以上を溶解させることが可能な製剤(上記、舌下錠、バッカルなど)や、口腔内に入れられて1〜60秒以内に、好ましくは1〜30秒以内に、さらに好ましくは1〜10秒以内に崩壊する口腔内速崩壊剤が好ましい。
上記賦形剤の製剤全体に対する含有量は、約10〜約99重量%、好ましくは約30〜約90重量%である。β−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン誘導体の製剤全体に対する含有量は0〜約30重量%である。滑沢剤の製剤全体に対する含有量は、約0.01〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。等張化剤の製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約90重量%、好ましくは、約10〜約70重量%である。親水性担体の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約50重量%、好ましくは約10〜約30重量%である。水分散性ポリマーの製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約30重量%、好ましくは約10〜約25重量%である。安定化剤の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。上記製剤はさらに、着色剤、甘味剤、防腐剤などの添加剤を必要に応じ含有していてもよい。
本発明の併用剤の投与量は、本発明の化合物の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なる。
本発明の化合物の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に、癌患者(体重60kgとして)に対して、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常、癌患者(体重60kgとして)に対して、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
併用薬物は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬物としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
本発明の医薬を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、本発明の化合物を投与してもよいし、本発明の化合物を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の化合物を投与する方法が挙げられる。本発明の化合物を先に投与する場合、本発明の化合物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
好ましい投与方法としては、例えば、経口投与製剤に製形された併用薬物約0.001〜200mg/kgを経口投与し、約15分後に非経口投与製剤に製形された本発明の化合物 約0.005〜0.5mg/kgを1日量として非経口投与する。
メタスチンとしては、例えばWO00/24890号に記載のヒトメタスチン、WO01/75104号に記載のマウスまたはラットメタスチンなどが用いられる。
ヒトメタスチンとしては、具体的には、配列番号:1で表されるアミノ酸配列において、N末端から第47〜54番目のアミノ酸配列を含有し、8乃至54個のアミノ酸残基からなるペプチドなどがあげられる。
「配列番号:1で表されるアミノ酸配列において、N末端から第47〜54番目のアミノ酸配列を含有し、8乃至54個のアミノ酸残基からなるペプチド」としては、配列番号:1で表されるアミノ酸配列において、N末端から第47〜54番目のアミノ酸配列を含有し、かつ8乃至54個のアミノ酸残基からなるペプチドであればいかなるものであってもよいが、生理活性(例えば、受容体結合活性、シグナル情報伝達作用、血糖上昇作用、膵グルカゴン分泌促進作用、尿生成促進作用など)が実質的に同じであることを意味する。具体的には、(i)配列番号:1で表されるアミノ酸配列で表されるペプチド、(ii)配列番号:1で表されるアミノ酸配列において、N末端から第47〜54番目のアミノ酸配列をC末端に有し、8乃至15個のアミノ酸残基からなるペプチドなどが用いられる。
より具体的には、ヒトメタスチンとしては、(i)配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン54(1−54))、(ii)配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第40〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン15(40−54);配列番号:15)、(iii)配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第45〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン10(45−54);配列番号:16)、(iv)配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第46〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン9(46−54);配列番号:17)、(v)配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第47〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン8(47−54);配列番号:18)などが用いられる。
マウスメタスチン(A)としては、例えば、(i)配列番号:3で表されるアミノ酸配列のN末端から第134〜141番目のアミノ酸配列を含有し、8ないし52個のアミノ酸残基からなるペプチドなどが用いられ、具体的には、(i)配列番号:3で表されるアミノ酸配列のN末端から第90〜141番目のアミノ酸配列からなるペプチド、(ii)配列番号:3で表されるアミノ酸配列のN末端から第132〜141番目のアミノ酸配列からなるペプチド、(iii)配列番号:3で表されるアミノ酸配列のN末端から第127〜141番目のアミノ酸配列からなるペプチドなどが用いられる。
マウスメタスチン(B)としては、例えば、配列番号:5で表されるアミノ酸配列のN末端から第138〜145番目のアミノ酸配列を含有し、8ないし52個のアミノ酸残基からなるペプチドなどが用いられ、具体的には、配列番号:5で表されるアミノ酸配列のN末端から第94〜145番目のアミノ酸配列からなるペプチドなどが用いられる。
ラットメタスチンとしては、例えば、配列番号:7で表されるアミノ酸配列のN末端から第112〜119番目のアミノ酸配列を含有し、8ないし52個のアミノ酸残基からなるペプチドなどが用いられ、具体的には、(i)配列番号:7で表されるアミノ酸配列のN末端から第68〜119番目のアミノ酸配列からなるペプチド、(ii)配列番号:7で表されるアミノ酸配列のN末端から第110〜119番目のアミノ酸配列からなるペプチド、(iii)配列番号:7で表されるアミノ酸配列のN末端から第105〜119番目のアミノ酸配列からなるペプチドなどが用いられる。
本明細書におけるメタスチンはペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で表されるペプチドのC末端は、カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。エステルまたはアルキルアミドのRとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルなどのフェニル−C1−2アルキル、もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキルなどのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などがあげられる。
さらに、メタスチンには、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、−COOH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明のメタスチンの塩としては、生理学的に許容される塩基(例えばアルカリ金属など)や酸(有機酸、無機酸)との塩が用いられるが、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
メタスチンをコードするDNAとしては、例えばWO00/24890号に記載のヒトメタスチンをコードするDNA、WO01/75104号に記載のマウスまたはラットメタスチンをコードするDNAなどが用いられる。
メタスチンをコードするDNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
ヒトメタスチン、マウスメタスチン前駆体(A)、マウスメタスチン前駆体(B)またはラットメタスチン前駆体をコードするDNAとしては、それぞれ配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6または配列番号:8で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6または配列番号:8で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、前記したヒトメタスチン、マウスメタスチン(A)、マウスメタスチン(B)またはラットメタスチンをコードするDNAを含有するDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6または配列番号:8で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6または配列番号:8で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=−3)にて計算することができる。
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるヒトメタスチンをコードするDNAとしては、配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAが用いられる。したがって、前述した各種アミノ酸配列からなるヒトメタスチンをコードする塩基配列としては、配列番号:1のアミノ酸配列中の部分アミノ酸配列に対応する塩基配列を配列番号:2で表わされる塩基配列から選択すればよい。
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するマウスメタスチン前駆体(A)をコードするDNAとしては、配列番号:4で表わされる塩基配列からなるDNAが用いられる。したがって、前述した各種アミノ酸配列からなるマウスメタスチン(A)をコードする塩基配列としては、配列番号:3のアミノ酸配列中の部分アミノ酸配列に対応する塩基配列を配列番号:4で表わされる塩基配列から選択すればよい。
配列番号:5で表わされるアミノ酸配列からなるマウスメタスチン前駆体(B)をコードするDNAとしては、配列番号:6で表わされる塩基配列からなるDNAが用いられる。したがって、前述した各種アミノ酸配列からなるマウスメタスチン(B)をコードする塩基配列としては、配列番号:5のアミノ酸配列中の部分アミノ酸配列に対応する塩基配列を配列番号:6で表わされる塩基配列から選択すればよい。
配列番号:7で表わされるアミノ酸配列からなるラットメタスチン前駆体をコードするDNAとしては、配列番号:8で表わされる塩基配列からなるDNAが用いられる。したがって、前述した各種アミノ酸配列からなるラットメタスチンをコードする塩基配列としては、配列番号:7のアミノ酸配列中の部分アミノ酸配列に対応する塩基配列を配列番号:8で表わされる塩基配列から選択すればよい。
より具体的には、配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン54(1−54))をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:2で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第40〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン15(40−54);配列番号:15)をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:19で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第45〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン10(45−54);配列番号:16)をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:20で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第46〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン9(46−54);配列番号:17)をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:21で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第47〜54番目のアミノ酸配列からなるペプチド(ヒトメタスチン8(47−54);配列番号:18)をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:22で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
メタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩としては、例えばWO00/24890号に記載のヒトメタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩、WO01/75104号に記載のマウスまたはラットメタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩などが用いられる。
具体的には、メタスチン受容体としては、配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質などが用いられる。
配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
アミノ酸配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタリング=OFF)にて計算することができる。
配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、例えば、配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、自体公知の方法に準じて行なうことができるが、例えば、WO00/24890号やWO01/75104号に記載のリガンドの決定方法やスクリーニング方法に従って測定することができる。
また、メタスチン受容体としては、(i)配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(ii)配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(iii)配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(iv)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられる。
本明細書におけるメタスチン受容体は、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列を含有するメタスチン受容体をはじめとするメタスチン受容体のC末端は、カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
メタスチン受容体がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のレセプター蛋白質に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、メタスチン受容体には、上記した蛋白質において、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6ルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、−COOH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6ルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども含まれる。
メタスチン受容体の具体例としては、例えば、配列番号:9で表わされるアミノ酸配列からなるヒトメタスチン受容体、配列番号:11で表わされるアミノ酸配列からなるラットメタスチン受容体、配列番号:13で表わされるアミノ酸配列からなるマウスメタスチン受容体などが用いられる。
メタスチン受容体の部分ペプチド(以下、部分ペプチドと略記する場合がある)としては、前記したメタスチン受容体の部分ペプチドであれば何れのものであってもよいが、例えば、メタスチン受容体のタンパク質分子のうち、細胞膜の外に露出している部位であって、リガンド結合活性を有するものなどが用いられる。
具体的には、配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13で表わされるアミノ酸配列からなるメタスチン受容体の部分ペプチドとしては、疎水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも良い。
部分ペプチドのアミノ酸の数は、前記したメタスチン受容体の構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。
また、部分ペプチドは、上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
また、部分ペプチドは前記したメタスチン受容体のごとく、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。
さらに、部分ペプチドには、前記したメタスチン受容体と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したGlnがピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
メタスチン受容体またはその部分ペプチドの塩としては、生理学的に許容される塩基もしくは酸との塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
メタスチン受容体またはその部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えばWO00/24890号に記載のヒトメタスチン受容体またはその部分ペプチドをコードするDNA、WO01/75104号に記載のマウスまたはラットメタスチン受容体またはその部分ペプチドをコードするDNAなどが用いられる。
メタスチン受容体またはその部分ペプチドをコードするDNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
具体的には、ヒトメタスチン受容体、マウスメタスチン受容体またはラットメタスチン受容体をコードするDNAとしては、それぞれ配列番号:10、配列番号:12または配列番号:14で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:10、配列番号:12または配列番号:14で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含有し、配列番号:10、配列番号:12または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列からなるヒトメタスチン受容体、マウスメタスチン受容体またはラットメタスチン受容体と実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有する受容体をコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:10、配列番号:12または配列番号:14で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、10、配列番号:12または配列番号:14で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=−3)にて計算することができる。
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
より具体的には、配列番号:9で表わされるアミノ酸配列からなるヒトメタスチン受容体をコードするDNAとしては、配列番号:10で表わされる塩基配列からなるDNAが用いられる。
配列番号:11で表わされるアミノ酸配列を含有するラットメタスチン受容体をコードするDNAとしては、配列番号:12で表わされる塩基配列からなるDNAが用いられる。
配列番号:13で表わされるアミノ酸配列からなるマウスメタスチン受容体をコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列からなるDNAが用いられる。
メタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩、およびメタスチン受容体またはその部分ペプチドをコードするDNAは、WO00/24890号またはWO01/75104号に記載されている方法で取得・製造することができる。
ヒトメタスチンまたはその塩、またはヒトメタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩に対する抗体は、WO00/24890号に記載のものを使用することができる。
マウスまたはラットメタスチンまたはその塩、またはマウスまたはラットメタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩に対する抗体は、WO01/75104号に記載のものを使用することができる。
メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAに対するアンチセンス・ポリヌクレオリドは、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAの塩基配列の一部、または該DNAと相補的な塩基配列の一部を含有するポリヌクレオチドであり、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAを包含するだけではなく、RNAをも包含する意味で用いられる。
メタスチン遺伝子またはメタスチン受容体遺伝子の複製または発現を阻害することのできるアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)を、クローン化した、あるいは決定されたメタスチンをコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しうる。そうしたポリヌクレオチド(核酸)は、メタスチン遺伝子またはメタスチン受容体遺伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの合成または機能を阻害することができるか、あるいはメタスチン関連RNAまたはメタスチン受容体関連RNAとの相互作用を介してメタスチン遺伝子またはメタスチン受容体遺伝子の発現を調節・制御することができる。
メタスチン関連RNAまたはメタスチン受容体関連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、およびメタスチン関連RNAまたはメタスチン受容体関連RNAと特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内および生体外でメタスチン遺伝子またはメタスチン受容体遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療または診断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列または核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列または核酸とペプチド(蛋白質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)の配列またはその相補体から誘導される指令にあるペプチド(蛋白質)のアミノ酸を通常指している。
メタスチン遺伝子またはメタスチン受容体遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、ペプチド翻訳開始コドン、蛋白質コード領域、ORF翻訳終止コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、および3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、メタスチン遺伝子内またはメタスチン受容体遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的でハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係は、対象物と「アンチセンス」であるということができる。アンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有しているポリデオキシリボヌクレオチド、D−リボースを含有しているポリリボヌクレオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販の蛋白質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙げられる。それらは、2本鎖DNA、1本鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにDNA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレント化合物(例えば、アクリジン、プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
アンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。
こうして修飾は当該分野で数多く知られており、例えば J. Kawakami et al., Pharm Tech Japan, Vol. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Crooke et al. ed., Antisense Research and Applications, CRC Press, 1993 などに開示がある。
アンチセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。こうして付加形態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった粗水性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。その他の基としては、核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、前記したメタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAを含有する組換えベクターで形質転換された形質転換体、メタスチンまたはメタスチン受容体の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいはメタスチンまたはメタスチン受容体の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸それ自体公知の各種の方法で細胞に適用できる。
以下に、メタスチンまたはその塩(以下、メタスチンと略記する)、メタスチンをコードするDNA、メタスチンに対する抗体、メタスチンをコードするDNAに対するアンチDNA、メタスチン受容体、その部分ペプチドまたはその塩(以下、メタスチン受容体と略記する)、メタスチン受容体をコードするDNA、メタスチン受容体に対する抗体、メタスチン受容体をコードするDNAに対するアンチDNAなどの用途について、具体的に説明する。
(1)メタスチン、メタスチンをコードするDNA、メタスチン受容体またはメタスチン受容体をコードするDNAを含有する医薬
メタスチンは、血糖上昇作用、膵グルカゴン分泌促進作用、尿生成促進作用を有しているので、メタスチン、メタスチンをコードするDNA、メタスチン受容体またはメタスチン受容体をコードするDNAは、例えば、血糖上昇剤、膵グルカゴン分泌促進剤、尿生成促進剤として有用である。
さらには、メタスチン、メタスチンをコードするDNA、メタスチン受容体またはメタスチン受容体をコードするDNAは、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤として有用である。
メタスチン、メタスチンをコードするDNA、メタスチン受容体またはメタスチン受容体をコードするDNAを上述の医薬として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物またはその塩を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
メタスチンをコードするDNAまたはメタスチン受容体をコードするDNAは、(イ)メタスチンをコードするDNAまたはメタスチン受容体をコードするDNAを該患者に投与し発現させることによって、あるいは(ロ)細胞などにメタスチンをコードするDNAまたはメタスチン受容体をコードするDNAを挿入し発現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによって、該患者の細胞におけるメタスチンまたはメタスチン受容体の量を増加させ、メタスチンの作用を充分に発揮させることができる。
メタスチンをコードするDNAまたはメタスチン受容体をコードするDNAを用いる場合は、該DNAを単独またはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたがって処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えばヒトや哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、マントヒヒ、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
メタスチン、メタスチンをコードするDNA、メタスチン受容体またはメタスチン受容体をコードするDNAの投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人の肥満患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、たとえば注射剤の形では成人の肥満患者(体重60kgとして)への投与においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(2)メタスチンまたはメタスチン受容体に対する抗体を含有する医薬
メタスチンまたはメタスチン受容体の活性を中和する作用を有する抗体は、メタスチンの血糖上昇作用、膵グルカゴン分泌促進作用、尿生成促進作用を抑制することができるので、血糖低下剤、膵グルカゴン分泌抑制剤、尿生成抑制剤として有用である。
さらには、メタスチンまたはメタスチン受容体の活性を中和する作用を有する抗体は、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤として使用することができる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
メタスチンまたはメタスチン受容体に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する)を含有する上記疾患の治療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、成人に使用する場合には、本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよい。
本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬組成物として投与することができる。上記投与に用いられる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
すなわち、例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞれの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
(3)本発明の抗体を含有する診断剤
本発明の抗体は、メタスチンまたはメタスチン受容体を認識することができるので、被検液中のメタスチンまたはメタスチン受容体の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。本発明の抗体を用いるメタスチンの定量法は、WO00/24890号またはWO01/75104号に記載の方法に従って実施することができる。
したがって、本発明の抗体は、メタスチンまたはメタスチン受容体の異常発現(過剰発現、発現低下)に伴う血糖異常、膵グルカゴン分泌異常、尿生成異常を検出することができる。具体的には、本発明の抗体は、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)におけるメタスチンまたはメタスチン受容体の異常発現に伴う血糖異常、膵グルカゴン分泌異常、尿生成異常による肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、頻尿、夜尿症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害などの診断剤として使用することができる。
より具体的には、本発明の抗体を用いてメタスチンまたはメタスチン受容体の濃度を定量することによって、メタスチンまたはメタスチン受容体の濃度の減少が検出された場合、例えば、メタスチンまたはメタスチン受容体の機能不全に関連する疾患である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、メタスチンまたはメタスチン受容体の濃度の増加が検出された場合には、例えば、メタスチンまたはメタスチン受容体の過剰発現に起因する疾患である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
メタスチンまたはメタスチン受容体の機能不全に関連する疾患としては、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性などが挙げられる。
メタスチンまたはメタスチン受容体の過剰発現に起因する疾患としては、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害などが挙げられる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
(4)遺伝子診断剤
メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAまたはそれに対するアンチセンス・ポリヌクレオチドは、例えば、プローブとして使用することにより、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)におけるメタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。
メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAまたはそれに対するアンチセンス・ポリヌクレオチドを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America),第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。
具体的には、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAまたはそれに対するアンチセンス・ポリヌクレオチドは、ヒトまたは哺乳動物におけるメタスチンまたはメタスチン受容体の異常発現に伴う血糖異常、膵グルカゴン分泌異常、尿生成異常による肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、頻尿、夜尿症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害などの診断剤として使用することができる。
例えば、ノーザンハイブリダイゼーションによりメタスチンまたはメタスチン受容体の発現低下が検出された場合は、例えば、メタスチンまたはメタスチン受容体の機能不全に関連する疾患である可能性が高いまたは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、ノーザンハイブリダイゼーションによりメタスチンまたはメタスチン受容体の発現過多が検出された場合は、例えば、メタスチンまたはメタスチン受容体の過剰発現に起因する疾患である可能性が高いまたは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
メタスチンまたはメタスチン受容体の機能不全に関連する疾患としては、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性などが挙げられる。
メタスチンまたはメタスチン受容体の過剰発現に起因する疾患としては、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害などが挙げられる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
(5)アンチセンスDNAを含有する医薬
メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAに対するアンチセンスDNAは、メタスチンの血糖上昇作用、膵グルカゴン分泌促進作用、尿生成促進作用を抑制することができるので、血糖低下剤、膵グルカゴン分泌抑制剤、尿生成抑制剤として有用である。
さらには、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAに対するアンチセンスDNAは、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤として使用することができる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
上記アンチセンスDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該アンチセンスDNAを、メタスチンをコードするDNAと同様にして製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は低毒性であり、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。
なお、該アンチセンスDNAは、そのままで、あるいは摂取促進用の補助剤などの生理学的に認められる担体とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与することもできる。
該アンチセンスDNAの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより異なるが、例えば、糖尿病の治療の目的でアンチセンスDNAを臓器(例、肝臓、肺、心臓、腎臓など)に局所投与する場合、成人(体重60kg)に対して、一日あたり約0.1〜100mgである。
さらに、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするRNAの一部とそれに相補的なRNAとを含有する二重鎖RNA(RNAi;RNA interference法)、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするRNAの一部を含有するリボザイムなどは、上記アンチセンスDNAと同様に、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAの発現を抑制することができ、生体内におけるメタスチンまたはメタスチン受容体、またはメタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAの機能を抑制することができる。
したがって、該二重鎖RNAまたはリボザイムは、メタスチンのの血糖上昇作用、膵グルカゴン分泌促進作用、尿生成促進作用を抑制することができるので、血糖低下剤、膵グルカゴン分泌抑制剤、尿生成抑制剤として有用である。さらには、該二重鎖RNAまたはリボザイムは、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤として使用することができる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
二重鎖RNAは、公知の方法(例、Nature, 411巻, 494頁, 2001年)に準じて、本発明のDNAの配列を基に設計して製造することができる。
リボザイムは、公知の方法(例、TRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年)に準じて、メタスチンまたはメタスチン受容体のDNAの配列を基に設計して製造することができる。例えば、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするRNAの一部に公知のリボザイムを連結することによって製造することができる。メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするRNAの一部としては、公知のリボザイムによって切断され得るメタスチンまたはメタスチン受容体のRNA上の切断部位に近接した部分(RNA断片)が挙げられる。
上記の二重鎖RNAまたはリボザイムを上記予防・治療剤として使用する場合、アンチセンスDNAと同様にして製剤化し、投与することができる。
(6)スクリーニング方法
本発明のスクリーニング方法は、
(6−1)(a)メタスチンおよび(または)(b)メタスチン受容体(以下、部分ペプチドも含む)を用いることを特徴とする血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬のスクリーニング方法、および
(6−2)(a)メタスチンをコードするDNAを含有するDNAおよび(または)(b)メタスチン受容体をコードするDNAを用いることを特徴とする血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬のスクリーニング方法である。
血糖調節薬、膵グルカゴン調節薬または尿生成調節薬としては、
(a)メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質、または
(b)メタスチンおよび(または)メタスチン受容体の発現を調節する物質などが挙げられる。
まず、メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法について説明する。
メタスチン受容体を用いるか、または組換え型メタスチン受容体の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質をスクリーニングすることができる。
このような物質には、メタスチン受容体を介して細胞刺激活性を有する物質(すなわち、メタスチン受容体アゴニスト)と該細胞刺激活性を有しない物質(すなわち、メタスチン受容体アンタゴニスト)などが含まれる。「メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる」とは、メタスチンとメタスチン受容体との結合を阻害する場合と、メタスチンとメタスチン受容体との結合を促進する場合の両方を包含するものである。
細胞刺激活性としては、例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性、細胞増殖阻害活性、遊走阻害活性、腫瘍増殖抑制活性、血糖上昇活性、膵グルカゴン分泌促進活性などが挙げられるが、なかでも細胞内Ca2+遊離の促進活性、細胞増殖阻害活性、遊走阻害活性、腫瘍増殖抑制活性、血糖上昇活性、膵グルカゴン分泌促進活性が好ましい。
すなわち、本発明は、(i)メタスチン受容体にメタスチンを接触させた場合と(ii)メタスチン受容体にメタスチンおよび試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)メタスチン受容体にメタスチンを接触させた場合と(ii)メタスチン受容体にメタスチンおよび試験化合物を接触させた場合における、例えばメタスチン受容体に対するメタスチンの結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較する。
本発明のスクリーニング方法は、具体的には、
(i)標識したメタスチンをメタスチン受容体に接触させた場合と、標識したメタスチンおよび試験化合物をメタスチン受容体に接触させた場合における、標識したメタスチンのメタスチン受容体に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(ii)標識したメタスチンをメタスチン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、標識したメタスチンおよび試験化合物をメタスチン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したメタスチンの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(iii)標識したメタスチンを、メタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合と、標識したメタスチンおよび試験化合物をメタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合における、標識したメタスチンの該メタスチン受容体に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(iv)メタスチン受容体を活性化する化合物(例えば、メタスチン、本発明のメタスチン誘導体)をメタスチン受容体を含有する細胞に接触させた場合と、メタスチン受容体を活性化する化合物および試験化合物をメタスチン受容体を含有する細胞に接触させた場合における、メタスチン受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(v)メタスチン受容体を活性化する化合物(例えば、メタスチン、本発明のメタスチン誘導体)をメタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合と、メタスチン受容体を活性化する化合物および試験化合物をメタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合における、メタスチン受容体を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(vi)試験化合物をメタスチン受容体を含有する細胞に接触させた場合における、メタスチン受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするメタスチン受容体アゴニストのスクリーニング方法、および
(vii)試験化合物をメタスチン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したメタスチン受容体に接触させた場合における、メタスチン受容体を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするメタスチン受容体アゴニストのスクリーニング方法などである。
本発明のスクリーニング方法においては、リガンドとしては、メタスチンを使用する代わりに、メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる化合物(例えば、低分子合成化合物、好ましくは低分子合成アゴニスト)またはその塩を用いることもできる。このメタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる化合物またはその塩は、例えば、リガンドとしてメタスチンを用いて本発明のスクーニング方法を実施することによって得ることができる。具体的には、上記した本発明のメタスチン誘導体またはその塩などを用いることができる。
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、本発明のスクリーニング方法に用いるメタスチン受容体としては、前記したメタスチン受容体を含有するものであれば何れのものであってもよいが、ヒトや温血動物の臓器の膜画分などが好適である。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させたメタスチン受容体などが適している。
本発明のスクリーニング方法において、メタスチン受容体を含有する細胞または該細胞膜画分などを用いる場合、後述の調製法に従えばよい。
メタスチン受容体を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行うことができる。
メタスチン受容体を含有する細胞としては、メタスチン受容体を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、前述の大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられる。
膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したメタスチン受容体と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該メタスチン受容体を含有する細胞や膜画分中のメタスチン受容体の量は、1細胞当たり10〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質をスクリーニングする前記の(i)〜(iii)を実施するためには、適当なメタスチン受容体画分と、標識したメタスチンが用いられる。メタスチン受容体画分としては、天然型のメタスチン受容体画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型メタスチン受容体画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性などを示す。
標識したメタスチンとしては、標識したリガンド、標識したリガンドアナログ化合物などが用いられる。例えば〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたメタスチンなどを利用することができる。
具体的には、メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニングを行うには、まずメタスチン受容体を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのメタスチンとメタスチン受容体との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるメタスチン受容体やメタスチンの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01〜10mlの該メタスチン受容体溶液に、一定量(5000〜500000cpm)の標識したメタスチンを添加し、同時に10−4〜10−1μMの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のメタスチンを加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃〜約50℃、望ましくは約4℃〜約37℃で約20分〜約24時間、望ましくは約30分〜約3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質をスクリーニングする前記の(iv)〜(vii)の方法を実施するためには、メタスチン受容体を介する細胞刺激活性を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、メタスチン受容体を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行うにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、Ca2+、アラキドン酸、cAMPなど)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当なメタスチン受容体を発現した細胞が必要である。本発明のメタスチン受容体を発現した細胞としては、前述の組換え型メタスチン受容体発現細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、例えばペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
試験化合物は塩を形成していてもよく、試験化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸など)や塩基(例、有機酸など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
また、試験化合物としては、メタスチン受容体の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて、リガンド結合ポケットに結合するように設計された化合物が好ましく用いられる。メタスチン受容体の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置の測定は、公知の方法あるいはそれに準じる方法を用いて行うことができる。
メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング用キットは、メタスチン受容体、メタスチン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分、および(または)メタスチンを含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.スクリーニング用試薬
(1)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
(2)メタスチン受容体標品
メタスチン受容体を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×10個/穴で継代し、37℃、5%CO、95%airで2日間培養したもの。
(3)標識リガンド
H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識したメタスチン
適当な溶媒または緩衝液に溶解したものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
(4)リガンド標準液
メタスチンを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
2.測定法
(1)12穴組織培養用プレートにて培養したメタスチン受容体を発現させた細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(2)10−3〜10−10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識したメタスチンを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物のかわりに10−3Mのリガンドを5μl加えておく。
(3)反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識メタスチンを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(4)液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式〔数1〕で求める。
Figure 0004804714
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
:最大結合量
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる物質は、メタスチンとメタスチン受容体との結合を変化させる(結合を阻害または促進する)物質であり、具体的にはメタスチン受容体を介して細胞刺激活性を有する物質(いわゆるメタスチン受容体アゴニスト)または該刺激活性を有しない化合物(いわゆるメタスチン受容体アンタゴニスト)である。
該物質は、前記した試験化合物から選ばれる化合物またはその塩であり、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
メタスチン受容体アゴニストであるか、アンタゴニストであるかの具体的な評価方法は以下の(1)または(2)に従えばよい。
(1)前記(i)〜(iii)のスクリーニング方法で示されるバインディング・アッセイを行い、メタスチンとメタスチン受容体との結合性を変化させる(特に、結合を阻害する)物質を得た後、該物質が上記したメタスチン受容体を介する細胞刺激活性を有しているか否かを測定する。細胞刺激活性を有する物質はメタスチン受容体アゴニストであり、該活性を有しない物質はメタスチン受容体アンタゴニストである。
(2)(a)試験化合物をメタスチン受容体を含有する細胞に接触させ、上記メタスチン受容体を介した細胞刺激活性を測定する。細胞刺激活性を有する物質はメタスチン受容体アゴニストである。
(b)メタスチン受容体を活性化する化合物(例えば、メタスチンなど)をメタスチン受容体を含有する細胞に接触させた場合と、メタスチン受容体を活性化する化合物および試験化合物をメタスチン受容体を含有する細胞に接触させた場合における、メタスチン受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較する。メタスチン受容体を活性化する化合物による細胞刺激活性を減少させ得る物質はメタスチン受容体アンタゴニストである。
指標とする細胞刺激活性としては、例えば、細胞内Ca2+遊離の促進活性、細胞増殖阻害活性、遊走阻害活性、腫瘍増殖抑制活性、血糖上昇活性、膵グルカゴン分泌促進活性が好ましい。
メタスチン受容体アゴニストとしては、例えば、前記した本発明のメタスチン誘導体(I)またはその塩のプロドラッグなどが用いられる。
メタスチン受容体アゴニストは、メタスチンが有する生理活性と同様の作用を有しているので、メタスチンと同様に安全で低毒性な医薬として有用である。
逆に、メタスチン受容体アンタゴニストは、メタスチンが有する生理活性を抑制することができるので、メタスチンの活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
したがって、メタスチン受容体アゴニストは、例えば、血糖上昇剤、膵グルカゴン分泌促進剤、尿生成促進剤として有用である。さらには、メタスチン受容体アゴニストは、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤として有用である。
一方、メタスチン受容体アンタゴニストは、血糖低下剤、膵グルカゴン分泌抑制剤、尿生成抑制剤として有用である。さらには、メタスチン受容体アンタゴニストは、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤として使用することができる。
さらに、上記のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる物質から誘導される物質も同様に使用することができる。
上記のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる物質は塩を形成していてもよく、例えば、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸など)や塩基(例、アルカリ金属など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる物質を上述の治療・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、前記したメタスチンを含有する医薬組成物と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
該物質の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、メタスチン受容体アゴニストを経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg当たり)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該物質の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、メタスチン受容体アゴニストを注射剤の形で通常成人(体重60kg当たり)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
次に、メタスチンおよび(または)メタスチン受容体の発現を調節する物質のスクリーニング方法について説明する。
本発明のスクリーニング方法は、具体的には、
(1)(i)メタスチンを発現し得る細胞または組織を、試験化合物の存在下および非存在下で培養した場合における、それぞれのメタスチンの発現量またはメタスチンをコードするmRNA量を測定し、比較することを特徴とするメタスチンの発現を促進または抑制する物質のスクリーニング方法、
(2)(i)メタスチン受容体を発現し得る細胞または組織を、試験化合物の存在下および非存在下で培養した場合における、それぞれのメタスチン受容体の発現量またはメタスチンをコードするmRNA量を測定し、比較することを特徴とするメタスチン受容体の発現を促進または抑制する物質のスクリーニング方法である。
メタスチンまたはメタスチン受容体を発現し得る細胞または組織としては、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル等)の細胞(例えば、神経細胞、内分泌細胞、神経内分泌細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、肝細胞、脾細胞、メサンギウム細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、樹状細胞)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞等)、もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、唾液腺、末梢血、前立腺、睾丸(精巣)、卵巣、胎盤、子宮、骨、軟骨、関節、骨格筋等を用いても良い。その際、株化細胞、初代培養系を用いてもよい。また、前記したメタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAを含有する組換えベクターで形質転換された形質変換体を使用してもよい。
メタスチンまたはメタスチン受容体を発現し得る細胞の培養方法は、前記した形質変換体の培養法と同様である。
試験化合物としては、前記の試験化合物の他、DNAライブラリーなどを用いることができる。
メタスチンまたはメタスチン受容体の発現量は抗体などを用いて免疫化学的方法などの公知の方法により測定することもできるし、メタスチンをコードするmRNAをノーザンハイブリダイゼーション法、RT−PCRやTaqMan PCR法を用いて、公知の方法により測定することもできる。
mRNAの発現量の比較をハイブリダイゼーション法によって行うには、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法等に従って行なうことができる。
具体的には、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするmRNAの量の測定は、公知の方法に従って細胞から抽出したRNAと、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAもしくはその一部または本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチドとを接触させ、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAもしくはその一部または本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチドと結合したmRNAの量を測定することによって行われる。メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAもしくはその一部または本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチドを、例えば放射性同位元素、色素などで標識することによって、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAもしくはその一部または本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチドに結合したmRNAの量が容易に測定できる。放射性同位元素としては、例えば32P、3Hなどが用いられ、色素としては、例えばfluorescein、FAM(PE Biosystems社製)、JOE(PE Biosystems社製)、TAMRA(PE Biosystems社製)、ROX(PE Biosystems社製)、Cy5(Amersham社製)、Cy3(Amersham社製)などの蛍光色素が用いられる。
また、mRNAの量は、細胞から抽出したRNAを逆転写酵素によってcDNAに変換した後、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNAもしくはその一部または本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRによって、増幅されるcDNAの量を測定することによって行うことができる。
このように、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするmRNAの量を増加させる試験化合物を、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を促進する活性を有する物質として選択することができ、また、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするmRNAの量を減少させる試験化合物を、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を抑制する活性を有する物質として選択することができる。
さらに、本発明は、
(ii)メタスチンまたはメタスチン受容体をコードする遺伝子のプロモーター領域またはエンハンサー領域の下流にレポーター遺伝子を連結した組換えDNAで形質転換した形質転換体を試験化合物の存在下および非存在下で培養した場合における、それぞれのレポーター活性を測定し、比較することを特徴とする当該プロモーター活性を促進または抑制する物質のスクリーニング方法を提供する。
レポーター遺伝子としては、例えば、lacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、成長因子、β-グルクロニダーゼ、アルカリホスファターゼ、Green fluorescent protein (GFP)、β-ラクタマーゼなどが用いられる。
レポーター遺伝子産物(例、mRNA、タンパク質)の量を公知の方法を用いて測定することによって、レポーター遺伝子産物の量を増加させる試験化合物を本発明のペプチドのプロモーターもしくはエンハンサーの活性を制御(特に促進)する作用を有する化合物、すなわちメタスチンまたはメタスチン受容体の発現を促進する活性を有する物質として選択できる。逆に、レポーター遺伝子産物の量を減少させる試験化合物をメタスチンまたはメタスチン受容体のプロモーターもしくはエンハンサーの活性を制御(特に抑制)する作用を有する物質、すなわちメタスチンまたはメタスチン受容体の発現を抑制する活性を有する物質として選択することができる。
試験化合物としては、前記と同様のものが使用される。
形質転換体の培養は、前記の形質転換体と同様にして行うことができる。
レポーター遺伝子のベクター構築やアッセイ法は公知の技術に従うことができる(例えば、Molecular Biotechnology 13, 29-43, 1999)。
メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を促進する活性を有する物質は、メタスチンが有する生理活性を促進する作用を有しているので、メタスチンと同様に安全で低毒性な医薬として有用である。
逆に、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を抑制する活性を有する物質は、メタスチンが有する生理活性を抑制することができるので、メタスチンの活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
したがって、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を促進する物質は、例えば、血糖上昇剤、膵グルカゴン分泌促進剤、尿生成促進剤として有用である。さらには、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を促進する物質は、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤として有用である。
一方、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を抑制する物質は、血糖低下剤、膵グルカゴン分泌抑制剤、尿生成抑制剤として有用である。さらには、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を抑制する物質は、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤として使用することができる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる物質は、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物である。該化合物の塩としては、前記したメタスチンの塩と同様のものが用いられる。
さらに、上記のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる物質から誘導される物質も同様に使用することができる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる物質を上述の治療・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、前記したメタスチンを含有する医薬組成物と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
該物質の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、メタスチンの発現を促進する物質を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg当たり)においては、一日につき該物質を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、メタスチンの発現を促進する物質を注射剤の形で通常成人(体重60kg当たり)に投与する場合、一日につき該物質を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(7)DNA転移動物
本発明は、外来性のメタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(i)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、
(ii)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(i)記載の動物、
(iii)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第(ii)記載の動物、および
(iv)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などにより目的とするDNAを転移することによって作出することができる。また、該DNA転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。なかでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BALB/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、Wistar,SDなど)などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげられる。
本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来有しているメタスチンまたはメタスチン受容体(以下、本発明のDNAと略記する)ではなく、いったん哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれる。
該異常DNAとしては、異常なメタスチンまたはメタスチン受容体を発現させるDNAを意味し、例えば、正常なメタスチンまたはメタスチン受容体の機能を抑制するペプチドを発現させるDNAなどが用いられる。
本発明の外来性DNAは、対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺乳動物を作出することができる。
メタスチンまたはメタスチン受容体の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられる。
上記のDNA発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のプロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサイトメガロウイルスプロモーター、ヒトペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
上記ベクターは、DNA転移哺乳動物において目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する配列(一般にターミネーターと呼ばれる)を有していることが好ましく、例えば、ウイルス由来および各種哺乳動物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミアンウイルスのSV40ターミネーターなどが用いられる。
その他、目的とする外来性DNAをさらに高発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流 に連結することも目的により可能である。
正常なメタスチンまたはメタスチン受容体の翻訳領域は、ヒトまたは各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーよりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調製された相補DNAを原料として取得することが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記の細胞または組織より得られた正常なペプチドの翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常のDNA工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを有する。
本発明の外来性正常DNAを転移させた非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有する。
導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するように繁殖継代することができる。
本発明の正常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促進することにより最終的にメタスチンまたはメタスチン受容体の機能亢進症を発症することがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物を用いて、メタスチンまたはメタスチン受容体の機能亢進症や、メタスチンまたはメタスチン受容体が関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離したメタスチンまたはメタスチン受容体の増加症状を有することから、メタスチンまたはメタスチン受容体に関連する疾患に対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
一方、本発明の外来性異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とする外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原料として用いることができる。プロモーターとのDNAコンストラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製することができる。受精卵細胞段階における本発明の異常DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。
本発明の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を阻害することにより最終的にメタスチンまたはメタスチン受容体の機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物を用いて、本発明のペプチドの機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、具体的な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物は、アオエリンまたはメタスチン受容体の機能不活性型不応症における異常メタスチンまたは異常メタスチン受容体による正常メタスチンまたは正常メタスチン受容体の機能阻害(dominant negative作用)を解明するモデルとなる。
また、本発明の外来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明のメタスチンまたはメタスチン受容体の増加症状を有することから、メタスチンまたはメタスチン受容体の機能不活性型不応症(例、、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性)に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
また、上記2種類の本発明のDNA転移動物のその他の利用可能性として、例えば
(1)組織培養のための細胞源としての使用、
(2)本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現されたペプチド組織を分析することによる、メタスチンまたはメタスチン受容体により特異的に発現あるいは活性化するペプチドとの関連性についての解析、
(3)DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
(4)上記(1)記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリーニング、および
(5)本発明の変異ペプチドを単離精製およびその抗体作製などが考えられる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、メタスチンまたはメタスチン受容体の機能不活性型不応症などを含む、メタスチンまたはメタスチン受容体に関連する疾患の臨床症状を調べることができ、また、メタスチンまたはメタスチン受容体に関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、本発明のDNA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。さらに、メタスチンまたはメタスチン受容体の産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、メタスチンまたはメタスチン受容体およびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、メタスチンまたはメタスチン受容体の機能不活性型不応症を含む、メタスチンまたはメタスチン受容体に関連する疾患の治療薬の開発を行なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが可能となる。また、本発明のDNA転移動物または本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、メタスチンまたはメタスチン受容体が関連する疾患のDNA治療法を検討、開発することが可能である。
(8)ノックアウト動物
本発明は、メタスチンまたはメタスチン受容体をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する)が不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(i)本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(ii)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された第(i)項記載の胚幹細胞、
(iii)ネオマイシン耐性である第(i)項記載の胚幹細胞、
(iv)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(i)項記載の胚幹細胞、
(v)ゲッ歯動物がマウスである第(iv)項記載の胚幹細胞、
(vi)本発明のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(vii)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる第(vi)項記載の非ヒト哺乳動物、
(viii)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(vi)項記載の非ヒト哺乳動物、
(ix)ゲッ歯動物がマウスである第(viii)項記載の非ヒト哺乳動物、および
(x)第(vii)項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしている本発明のペプチドの活性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的に本発明のペプチドの発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記する)をいう。
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNAに人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または置換させることによって行なうことができる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーRNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別することにより得ることができる。
また、相同組換え法等により本発明のDNAを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知 EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善したBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2とのF1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。BDF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例としてあげることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
また、第二次セレクションとしては、例えば、G−バンディング法による染色体数の確認等により行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上でLIF(1〜10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001〜0.5%トリプシン/0.1〜5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1〜3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明のペプチドまたは本発明のレセプター蛋白質の細胞生物学的検討において有用である。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区別することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックアウトさせることができる。
本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。
該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別することにより得られる。このようにして得られた個体は、通常、本発明のペプチドのヘテロ発現不全個体であり、本発明のペプチドのヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本発明のペプチドのホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明のDNAがノックアウトされている個体は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用である。
また、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のペプチドにより誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のペプチドの生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
(8a)本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する物質のスクリーニング方法
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病(例、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性)に対して治療・予防効果を有する物質のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する物質のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、前記と同様のものが用いられる。
具体的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
該スクリーニング方法において、試験動物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の疾患症状が約10%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは約50%以上改善された場合、該試験化合物を上記の疾患に対して治療・予防効果を有する物質として選択することができる。
具体的には、該試験化合物を例えば、血糖上昇剤、膵グルカゴン分泌促進剤、尿生成促進剤として、さらには、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤として使用することができる。
その他、該試験化合物は、血糖上昇機能、膵グルカゴン分泌機能、尿生成機能を調べるための検査薬としても応用できる。
該スクリーニング方法を用いて得られる物質は、上記した試験化合物から選ばれた物質であり、メタスチンまたはメタスチン受容体の欠損や損傷などによって引き起こされる疾患に対して治療・予防効果を有するので、該疾患に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として使用することができる。
さらに、上記スクリーニングで得られた物質から誘導される物質も同様に用いることができる。
上記スクリーニング方法で得られた物質は塩を形成していてもよく、該物質の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸など)や塩基(例、アルカリ金属など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた物質を含有する医薬は、前記したメタスチンを含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該物質の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、該物質を経口投与する場合、一般的に成人患者(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該物質の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、該物質を注射剤の形で通常成人患者(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき該物質を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(8b)本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する物質のスクリーニング方法
本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する物質のスクリーニング方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられる。
試験化合物としては、前記と同様のものが用いられる。
レポーター遺伝子としては、前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。
本発明のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、本発明のペプチドをコードするDNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明のペプチドの発現する組織で、本発明のペプチドの代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡便に本発明のペプチドの動物生体内における発現状態を観察することができる。具体的には、本発明のペプチド欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる物質は、上記した試験化合物から選ばれた物質であり、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する物質である。
該スクリーニング方法で得られた物質は塩を形成していてもよく、該物質の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸など)や塩基(例、有機酸など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する物質は、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を促進し、メタスチンの機能を促進することができるので、例えば、血糖上昇剤、膵グルカゴン分泌促進剤、尿生成促進剤として有用である。
さらには、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する物質は、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、浮腫、排尿困難症、インスリン抵抗性、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患または脂肪毒性の予防・治療剤として有用である。
一方、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する物質は、メタスチンまたはメタスチン受容体の発現を阻害し、メタスチンの機能を阻害することができるので、例えば、血糖低下剤、膵グルカゴン分泌抑制剤、尿生成抑制剤として有用である。
さらには、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する物質は、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、頻尿、夜尿症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤として使用することができる。
さらに、上記スクリーニングで得られた物質から誘導される物質も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた物質を含有する医薬は、前記したメタスチンを含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該物質の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する物質を経口投与する場合、一般的に成人患者(体重60kgとして)においては、一日につき該物質を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該物質の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する物質を注射剤の形で通常成人患者(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき該物質を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することができる。
また、本発明のペプチドのプロモーター領域を含有するDNAを使って、その下流に種々のタンパクをコードする遺伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動物(遺伝子移入動物)を作成すれば、特異的にそのペプチドを合成させ、その生体での作用を検討することも可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポーター遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株を樹立すれば、本発明のペプチドそのものの体内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
本発明は、更に以下の実施例、製剤例及び試験例によって詳しく説明されるが、これらの例は単なる実施であって、本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の実施例中の「室温」は通常約10 ℃ないし約35 ℃を示す。%は、収率はmol/mol%を、クロマトグラフィーで用いられる溶媒は体積%を、その他は重量%を示す。プロトンNMRスペクトルで、OHやNHプロトン等ブロードで確認できないものについてはデータに記載していない。
その他の本文中で用いられている略号は下記の意味を示す。
略名 和名
10Ψ,CSNH :10位C末端の-CONH2が-CSNH2に置換されていることを示す。
1Ψ2,CH2NH :1位と2位間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されている
ことを示す。
2Ψ3,CH2NH :2位と3位間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されている
ことを示す。
3Ψ4,CH2NH :3位と4位間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されている
ことを示す。
4Ψ5,CH2NH :4位と5位間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されている
ことを示す。

6Ψ7,CSNH :6位と7位間の-CONH-結合が-CSNH-結合に置換されている
ことを示す。
6Ψ7,NHCO :6位と7位間の-CONH-結合が-NHCO-結合に置換されている
ことを示す。
6Ψ7,CH2NH :6位と7位間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されている
ことを示す。
7Ψ8,CH2NH :7位と8位間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されている
ことを示す。

8Ψ9,CH2NH :8位と9位間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されて
いることを示す。
9Ψ10,CH2NH :9位と10位間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されて
いることを示す。
Abu :2-アミノブタン酸
Ac :アセチル
AcOEt :酢酸エチル
AcOH :酢酸
Ala(2-Qui) :2-キノリルアラニン
Ala(3-Bzt) :3-ベンゾチエニルアラニン
Arg(Ac) :Nω-アセチルアルギニン
Arg(Boc2,Me) :Nω,ω’-ビス-tert-ブトキシカルボニル-Nω-メチルアルギニン
Arg(Et) :Nω-エチルアルギニン
Arg(Me) :Nω-メチルアルギニン
Arg(asyMe2) :非対称-Nω,ω-ジメチルアルギニン
Arg(symMe2) :対称-Nω,ω’-ジメチルアルギニン
Arg(n-Pr) :Nω-プロピルアルギニン
AzaGly :アザグリシン
β-Ala :ベータアラニン
Boc :tert-ブトキシカルボニル
Br-Z :2-ブロモベンジルオキシカルボニル
But :tert-ブチル
Bzl :ベンジル
CDI :1,1'-カルボニルジイミダゾール
Cha :シクロヘキシルアラニン
CIP :2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート
Cit :シトルリン
Clt resin :2-クロロトリチルレジン
Cl-Z :2-クロロベンジルオキシカルボニル
Dab :1,4-ジアミノブタン酸
Dap :1,3-ジアミノプロピオン酸
Dap(Gly) :Nβ-グリシルジアミノプロピオン酸
Dap(GnGly) :Nβ-(N-グアニジノグリシル)ジアミノプロピオン酸
DCM :ジクロロメタン
DEA :ジエチルアミン
DIEA :N,N'-ジイソプロピルエチルアミン
DMF :N,N-ジメチルホルムアミド
EDT :エタンジチオール
Fmoc :9-フルオレニルメトキシカルボニル
Gn :グアニジノ
Har :ホモアルギニン
Har(Me) :Nω-メチルホモアルギニン
HOAt :1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
HOBt :1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HONB :N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキミド
Hph :ホモフェニルアラニン
IndPr :3-(インドール-3-イル)プロピオニル
Lys(Me2) :Nε,ε-ジメチルリジン
MBHA :p-メチルベンズヒドリルアミン
MeOH :メタノール
N((CH2)3Gn)Gly:N-(3-グアニジノプロピル)グリシン
Nal(1) :1-ナフチルアラニン
Nal(2) :2-ナフチルアラニン
Nar :ノルアルギニン
Nar(Me) :Nω-メチルノルアルギニン
Nle :ノルロイシン
NMeArg :Nα-メチルアルギニン
NMeLeu :Nα-メチルロイシン
NMePhe :Nα-メチルフェニルアラニン
NMeSer :Nα-メチルセリン
Orn :オルニチン
Orn(Mtt) :Nδ-(4-メチルトリチル)オルニチン
PAL :5-(4-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-アミノメチル-
3,5-ジメトキシフェノキシ)吉草酸
Pbf :2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-
スルフォニル
Phe(2Cl) :2-クロロフェニルアラニン
Phe(2F) :2-フルオロフェニルアラニン
Phe(3,4Cl2) :3,4-ジクロロフェニルアラニン
Phe(3,4F2) :3,4-ジフルオロフェニルアラニン
Phe(3CF3) :3-トリフルオロメチルフェニルアラニン
Phe(3Cl) :3-クロロフェニルアラニン
Phe(3F) :3-フルオロフェニルアラニン
Phe(4Cl) :4-クロロフェニルアラニン
Phe(4CN) :4-シアノフェニルアラニン
Phe(4F) :4-フルオロフェニルアラニン
Phe(4Gn) :4-グアニジノフェニルアラニン
Phe(4NH2) :4-アミノフェニルアラニン
Phe(4NO2) :4-ニトロフェニルアラニン
Phe(4CN) :4-シアノフェニルアラニン
Phe(F5) :ペンタフルオロフェニルアラニン
PheΨ(CSNH)-NH2 :C末端のフェニルアラニルアミドがフェニルアラニルチオ
アミドで置換されていることを示す
Phg :フェニルグリシン
PhOH :フェノール
PhSMe :チオアニソール
Pro :プロリン
Pya(2) :2-ピリジルアラニン
Pya(3) :3-ピリジルアラニン
Pya(4) :4-ピリジルアラニン
PyAOP :(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-トリス
(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロフォスフェイト
PyBOP :(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-トリス(ピロリジノ)
ホスホニウムヘキサフルオロフォスフェイト
PyBrop :ブロモ-トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロ
フォスフェイト
Sar :N-メチルグリシン
Tle :tert-ロイシン
Trp(For) :Nin-ホルミルトリプトファン
Tyr(Me) :O-メチルチロシン
TyrΨ(CH2NH)Asn :TyrとAsnとの間の-CONH-結合が-CH2NH-結合に置換されていることを示す。
TFA :トリフルオロ酢酸
TFE :トリフルオロエタノール
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
Y :チミンまたはシトシン
N :チミン、シトシン、アデニンまたはグアニン
R :アデニンまたはグアニン
M :シトシンまたはアデニン
W :チミンまたはアデニン
S :シトシンまたはグアニン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
TFA :トリフルオロ酢酸
EIA :エンザイムイムノアッセイ
GlyまたはG :グリシン
AlaまたはA :アラニン
ValまたはV :バリン
LeuまたはL :ロイシン
IleまたはI :イソロイシン
SerまたはS :セリン
ThrまたはT :スレオニン
CysまたはC :システイン
MetまたはM :メチオニン
GluまたはE :グルタミン酸
AspまたはD :アスパラギン酸
LysまたはK :リジン
ArgまたはR :アルギニン
HisまたはH :ヒスチジン
PheまたはF :フェニルアラニン
TyrまたはY :チロシン
TrpまたはW :トリプトファン
ProまたはP :プロリン
AsnまたはN :アスパラギン
GlnまたはQ :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
配列番号:1
ヒト由来メタスチン(Metastin)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:2
ヒトメタスチンをコードするDNAの塩基配列を示す。
配列番号:3
マウスメタスチン前駆体(A)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:4
マウスメタスチン前駆体(A)をコードするDNAの塩基配列を示す。形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH10B/pCMV−mKiSS−1に保持されるプラスミドpCMV−mKiSS−1に含まれる塩基配列である。
配列番号:5
マウスメタスチン前駆体(B)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:6
マウスメタスチン前駆体(B)をコードするDNAの塩基配列を示す。形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α/pCR2.1−mKiSS−1.4Aに保持されるプラスミドpCR2.1−mKiSS−1.4Aに含まれる塩基配列である。
配列番号:7
ラット由来メタスチン前駆体のアミノ酸配列を示す。
配列番号:8
ラットメタスチン前駆体をコードするDNAの塩基配列を示す。
配列番号:9
ヒトOT7T175(メタスチン受容体)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:10
ヒトOT7T175(メタスチン受容体)をコードするDNAの塩基配列を示す。
配列番号:11
ラットOT7T175(メタスチン受容体)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:12
ラットOT7T175(メタスチン受容体)をコードするDNAの塩基配列を示す。
配列番号:13
マウスOT7T175(メタスチン受容体)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:14
マウスOT7T175(メタスチン受容体)をコードするDNAの塩基配列を示す。
配列番号:15
ヒトメタスチン15(40−54)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:16
ヒトメタスチン10(45−54)(MS10)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:17
ヒトメタスチン9(46−54)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:18
ヒトメタスチン8(47−54)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:19
ヒトメタスチン15(40−54)をコードするDNAの塩基配列を示す。
配列番号:20
ヒトメタスチン10(45−54)をコードするDNAの塩基配列を示す。
配列番号:21
ヒトメタスチン9(46−54)をコードするDNAの塩基配列を示す。
配列番号:22
ヒトメタスチン8(47−54)をコードするDNAの塩基配列を示す。
形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH10B/pCMV−mKiSS−1は、平成12(2000)年1月24日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH))に寄託番号FERM BP−7003として、平成11(1999)年12月16日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85の財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16348として寄託されている。
形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α/pCR2.1−mKiSS−1.4Aは、平成12年3月6日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH))に寄託番号FERM BP−7073として、平成12年2月16日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16360として寄託されている。
本発明において、Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2(配列番号:16)をメタスチン10(Metastin10)、すなわちMS10と表記する。
後述する実施例において、MS10のN末端のTyrの位置を1位、C末端のPheの位置を10位と数える。
Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg-Phe-NH2
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
例えば、化合物番号79(実施例1)の[Hph10]MS10はMS10のC末端(10位)のPheがHphに置換されたペプチドであることを意味する。
例えば、化合物番号4のdes(1)-MS10はN末端(1位)のTyrを欠失させたペプチドであることを意味する。
例えば、化合物番号53のdes(1-3)-Fmoc-MS10はN末端(1〜3位)のTyr-Asn-Trpを欠失させ、4位のAsnのアミノ基にFmocを修飾したペプチドであることを意味する。
(合成法A):[Hph10]MS10(化合物番号79)の製造
市販のPAL resin にFmoc-Hph を導入することで調製したFmoc-Hph-PAL resin (sub. 0.39 mmol / g) 51 mg を用い、マルチペプチドシンセサイザー ACT-396 によりペプチド鎖を伸長し、Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheGlyLeuArg(Pbf)Hph-PAL resin を得た。うち、18.2 mg に TFA / PhSMe / m-cresol
/ TIS / EDT (85 / 5 / 5 / 2.5 / 2.5) 200 μL を加え 2 時間振盪した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 73/27〜63/37への直線型濃度勾配溶出(30分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末2.6mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1316.5 (計算値1316.7)
HPLC溶出時間:20.6 分
溶出条件
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法B):[Trp(For)10]MS10(化合物番号186)の製造法
市販 2-chlorotritylchloride resin (Clt resin,1.33mmol/g) にFmoc-Arg(Pbf)-OH を導入したFmoc-Arg(Pbf)-O-Clt resin (sub. 0.33 mmol / g) 379 mg を用い、ABI 433A を用いペプチド鎖を伸長し、Boc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheGlyLeuArg(Pbf)-O-Clt resin を 540 mg 得た。うち 270 mg に AcOH / TFE / DCM (1 / 1 / 8) 10 mL を加え、30 分振盪した。樹脂をろ去後溶媒を濃縮し、AcOEt に溶解後、satd NaCl aq. で洗浄した。Na2SO4で乾燥後溶媒を濃縮し、ジエチルエーテル・石油エーテルを加え、沈殿としてBoc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheGlyLeuArg(Pbf)-OHを得た 68 mg。うち22 mg に HCl H-Trp(For)-NH2(Boc-Trp(For)-NH2 を 9.7 N HCl / dioxane、0 oC、30 分処理することにより調製) 4 mg、PyAOP 10 mg、HOAt 5 mg、DIEA 11
μL を加え、15 時間撹拌した。溶媒を濃縮し、クロロホルム・ジエチルエーテルを加え沈殿としBoc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheGlyLeuArg(Pbf)Trp(For)-NH2を得た。これに TFA / PhSMe / m-cresol / TIS / EDT (85 /
5 / 5 / 2.5 / 2.5) 1 mL を加え 2 時間撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 73/27〜63/37への直線型濃度勾配溶出(30分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末2.0mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1369.3 (計算値1369.6)
HPLC溶出時間:19.6 分
溶出条件
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法C):[10Ψ,CSNH]MS10(化合物番号128)の製造
Boc-Phe-NH2 264 mg を THF 20 mL に溶解後、Lawesson's reagent 1.62 g を加え 24 時間撹拌した。不溶物をろ去後溶媒を濃縮し、AcOEt に溶解後 satd NaHCO3aq.、satd NaCl aq. で洗浄した。Na2SO4で乾燥後溶媒を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。ジエチルエーテル・石油エーテルを加え沈殿として(S)-2-tert-Butoxycarbonylamino-3-phenylpropanethioamide (Boc-PheΨ(CSNH)-NH2) を得た 275 mg (収率 98%)。うち 42 mg を 0 oC 下 9.7 N HCl 処理による脱Boc後、10% DEA / DMF 処理による脱Fmoc, PyBOP / HOBt法による縮合を繰り返しFmoc-LeuArg(Pbf)PheΨ(CSNH)-NH2 を得た 66 mg (収率 93%)。実施例2と同様にして調製したBoc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheGly-OH 17 mg に H-LeuArg(Pbf)PheΨ(CSNH)-NH2(Fmoc-LeuArg(Pbf)PheΨ(CSNH)-NH2 14 mg を 10% DEA / DMF 処理することにより調製)、PyBrop 9 mg、HOAt 3 mg、DIEA 7 mL を加え、15 時間撹拌した。溶媒を濃縮し、クロロホルム・ジエチルエーテルを加え沈殿とした。うち 10 mg に TFA / PhSMe / m-cresol / TIS / EDT (85 / 5 / 5 / 2.5 / 2.5) 100 μL を加え 2 時間撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 72/28〜62/38への直線型濃度勾配溶出(30分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末1.0mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1318.4 (計算値1318.6)
HPLC溶出時間:21.8 分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法D):[6Ψ7,CH2NH]MS10(化合物番号163)の製造
市販のPAL resin にFmoc-Phe を導入することで調製したFmoc-Phe-PAL resin 321 mg を用い ABI 433A によりペプチド鎖を伸長し、Fmoc-LeuArg(Pbf)Phe-PAL
resin を得た。うち半量に Fmoc-Gly を縮合しFmoc-GlyLeuArg(Pbf)Phe-PAL resin を 190 mg 得た。うち 76 mg を脱 Fmoc 後、DMF 2 mL、AcOH 50 μL、Fmoc-Phe-H 46 mg、NaBH3CN 8 mg を加え、1 時間振盪した。樹脂を洗浄後 DMF 2 mL、DIEA 22 μL、Z-Cl 18 μL を加え 3 時間振盪した。樹脂を洗浄後 ABI 433A
を用いペプチド鎖を伸長し、Boc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheΨ(CH2NZ)GlyLeuArg(Pbf)Phe-PAL resin を得た。うち 15 mg に氷冷下、TMS-Br 46 μL、PhSMe 42 μL、m-cresol 38 μL、EDT 18 μL、TFA 227 μL を加え、2 時間撹拌した。溶媒を留去後ジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 72/28〜62/38への直線型濃度勾配溶出(30分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末2.0mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1288.7 (計算値1288.7)
HPLC溶出時間:18.2 分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜0/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法E):[Arg(Me)9]MS10(化合物番号82)の製造
60% NaH in oil 360 mg を dry DMF 20 mL に溶解し、N,N'-Bis-Boc-1-guanylpyrazole 2793 mg の dry DMF 溶液 10 mL を 0 oC 下加え、10 分間撹拌した。methyl iodide 748 μL を加え、室温にて 24 時間撹拌した。溶媒を留去後 AcOEt に溶解し satd NaHCO3aq.、satd NaCl aq. で洗浄した。Na2SO4で乾燥後溶媒を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製しN-Methyl-N,N'-bis-Boc-1-guanylpyrazoleを得た 2.96 g (収率 91%)。市販のRink Amide MBHA resin にFmoc-Phe を導入することで調製したFmoc-Phe-Rink Amide MBHA resin 480 mg を用い ABI 433A によりペプチド鎖を伸長し、Boc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheGlyLeuOrn(Mtt)Phe-Rink Amide MBHA resin を 1080 mg 得た。うち540 mg に TFA / TIS / DCM (1 / 5 / 94) 10 mL を加え 50 分間振盪した。樹脂を洗浄後乾燥し 2/5 量に DMF 2 mL、先に調製したN-Methyl-N,N'-bis-Boc-1-guanylpyrazole 49 mg、DIEA 87 μL を加え 15 時間振盪し Boc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheGlyLeuArg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resin を 220 mg 得た。うち 50 mg に TFA / PhSMe / m-cresol / TIS
/ EDT (85 / 5 / 5 / 2.5 / 2.5) 1 mL を加え 2 時間撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 74/26〜64/36への直線型濃度勾配溶出(30分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末10.5 mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1316.5 (計算値1316.7)
HPLC溶出時間:20.1 分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法F):[6Ψ7,CSNH]MS10(化合物番号166)の製造
HCl H-Gly-OBut 503 mg を DMF 10 mL に溶解し、0 oC 下 Fmoc-Phe 1162 mg、HOBt 608 mg、PyBOP 1874 mg、DIEA 784 μL を加え、4 時間撹拌した。溶媒を濃縮し、AcOEt に溶解後 1N HCl aq.、satd NaHCO3aq.、satd NaCl aq. で洗浄した。Na2SO4 で乾燥後溶媒を濃縮し、ジエチルエーテル・石油エーテルを加え、沈殿としてFmoc-PheGly-OButを得た 1.48 g (収率 99%)。うち 250 mg を toluene 10 mL に溶解後、Lawesson's reagent 404 mg を加え 80 oC 下 2 時間撹拌した。溶媒を濃縮し、AcOEt に溶解後 satd NaHCO3 aq.、satd NaCl aq. で洗浄した。Na2SO4 で乾燥後溶媒を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジエチルエーテル・石油エーテルを加え沈殿としてFmoc-PheΨ(CSNH)Gly-OButを得た 207 mg (収率 80%)。うち103 mg に TFA / H2O (95 / 5)
を加え 1 時間撹拌した。溶媒を濃縮後、ジエチルエーテルを加え沈殿としてFmoc-PheΨ(CSNH)Gly-OHを得た 82.4 mg (収率 90%)。市販のPAL resin にFmoc-Phe を導入することで調製したFmoc-Phe-PAL resinを用い ABI 433A によりペプチド鎖を伸長したFmoc-LeuArg(Pbf)Phe-PAL resin 80 mg を脱 Fmoc 後、 Fmoc-PheΨ(CSNH)Gly-OH 35 mg、PyBrop 47 mg、HOAt 14 mg、DIEA 35 μL を加え 15 時間振盪した。樹脂を洗浄後 ABI 433A を用いペプチド鎖を伸長し、Boc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheΨ(CSNH)GlyLeuArg(Pbf)Phe-PAL resin を得た。うち 15 mg に TFA / PhSMe / m-cresol / TIS / EDT (85 / 5 / 5 / 2.5 / 2.5) 200 μL を加え 2 時間撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 77/23〜57/43への直線型濃度勾配溶出(60分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末1.0 mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1318.7 (計算値1318.6)
HPLC溶出時間:20.8 分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法G):[AzaGly7]MS10(化合物番号176)の製造
市販のPAL resin にFmoc-Phe を導入することで調製したFmoc-Phe-PAL resin 321 mg を用い、ABI 433A によりペプチド鎖を伸長することで得たFmoc-LeuArg(Pbf)Phe-PAL resin 80 mg を脱 Fmoc 後、 THF 2 mL、CDI 16 mg を加え 2 時間振盪した。Hydrazine monohydrate 6 μL を加え1時間振盪した後樹脂を洗浄した。Fmoc-Phe 39 mg、PyBrop 93 mg、HOAt 27 mg、DIEA 105 μL を加え 2 時間振盪した。樹脂を洗浄後、ABI 433Aを用いペプチド鎖を伸長し、Boc-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheAzaGlyLeuArg(Pbf)Phe-PAL resin を得た。うち 25 mg に TFA / PhSMe / m-cresol / TIS / EDT (85 / 5 / 5 / 2.5 / 2.5) 1 mL を加え 2 時間振盪した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 74/26〜64/36への直線型濃度勾配溶出(30分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末5.5 mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1303.3 (計算値1303.6)
HPLC溶出時間:18.9 分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法H):[D-Tyr1,AzaGly7,Arg(Me)9]MS10(化合物番号232)の製造
市販Rink Amide MBHA resin(0.55mmol/g)4gにFmoc-Phe, Fmoc-Orn(Mtt)を導入することで調製したFmoc-Orn(Mtt)-Phe- Rink Amide MBHA resinに TFA / TIS / DCM (1 / 5 / 94) 50 mL を加え 50 分間振盪した。樹脂を洗浄後DCM 40 mL、実施例5で調製したN-Methyl-N,N'-bis-Boc-1-guanylpyrazole 2.27 gを加え、DIEAを加え溶液のpHを9に調製し15 時間振盪しFmoc-Arg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resin 4.74gを得た。別途Fmoc-NHNH2 HCl 145 mg を THF 10 mL に懸濁し、氷冷下 CDI 89 mg、DIEA 87 mL を加え、室温にて 1 時間撹拌した。氷冷下 H-Leu-OBut HCl 224 mg の DMF 5 mL 溶液を加え、室温に戻しながら 18 時間撹拌した。溶媒を留去後 AcOEt に溶解し 1N HCl aq.、satd NaHCO3 aq.、satd NaCl aq. で洗浄した。Na2SO4で乾燥後溶媒を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製しFmoc-AzaGly-Leu-OBut 230 mg (収率 99%)を得た。うち187 mg に TFA / H2O (9 / 1) 10 mL を加え 1 時間撹拌した。溶媒を留去後 AcOEt に溶解し satd NaCl aq. で洗浄した。Na2SO4 で乾燥後溶媒を濃縮し、ジエチルエーテルを加え沈殿としてFmoc-AzaGly-Leu-OH 143 mgを得た (収率 87%)。得られたFmoc-AzaGly-Leu-OH, Trt-PheをFmoc-Arg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resinに導入することで調製したTrt-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resin にTFA / TIS / DCM (1 / 5 / 94) 50 mL を加え 50 分間振盪した。樹脂を洗浄、中和後Fmoc-Ser(But)続いてFmoc-Asn(Trt)を導入した。得られたFmoc-Asn(Trt)Ser(But)Phe-AzaGly-LeuArg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resinのうち80.3mgを用いペプチド鎖を伸長しH-D-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)Phe-AzaGly-LeuArg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resin 97.2mgを得た。得られた樹脂にTFA / PhSMe / m-cresol / H2O / TIS / EDT (80 / 5 / 5 / 5/ 2.5 / 2.5) 1 mL を加え 90 分撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC SH-343-5 S-5, 120Aカラム(20 x 250mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 76/24〜66/34への直線型濃度勾配溶出(60分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末11.7mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1317.0 (計算値1317.6)
HPLC溶出時間:21.0 分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法I):des(1-3)-3-pyridinepropionyl- [AzaGly7,Arg(Me)9]MS10(化合物番号322)の製造
実施例8にて調製したFmoc-Asn(Trt)Ser(But)Phe-AzaGly-LeuArg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resinのうち48.2mgを脱Fmoc後、市販3-pyridinepropionic acid 15.2mg, DIPCDI 15.9μL, 0.5M HOAt/DMF溶液 200μLで室温90分処理した。得られた樹脂を洗浄乾燥後、TFA / PhSMe / m-cresol / H2O / TIS / EDT (80 / 5 / 5 / 5/ 2.5 / 2.5) 1 mL を加え 90 分撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC SH-343-5 S-5, 120Aカラム(20 x 250mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 80/20-60/40への直線型濃度勾配溶出(60分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末6.0mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 987.4 (計算値987.5)
HPLC溶出時間:8.1 分
溶出条件:
カラムYMC-AM301 (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 80/20〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(25分)。
流速:1.0ml/分
(合成法J):des(1-2)-Amidino- [AzaGly7,Arg(Me)9]MS10(化合物番号273)の製造
実施例8にて調製したFmoc-Asn(Trt)Ser(But)Phe-AzaGly-LeuArg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resin 48.2mgにFmoc-Trp(Boc)を導入後脱Fmocし、H-Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)Phe-AzaGly-LeuArg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resinを得た。得られた樹脂をDMF中N,N'-bis-Boc-1-guanylpyrazole29.3mg, DIEA 34.8μLで室温14時間処理し、Amidino-Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)Phe-AzaGly-LeuArg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resinを得た。得られた樹脂を洗浄乾燥後、TFA / PhSMe / m-cresol / H2O / TIS / EDT (80 / 5 / 5 / 5/ 2.5 / 2.5) 1 mL を加え 90 分撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC SH-343-5 S-5, 120Aカラム(20 x 250mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 78/22-58/42への直線型濃度勾配溶出(60分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末0.6mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1082.3 (計算値1082.6)
HPLC溶出時間:11.4 分
溶出条件:
カラム:YMC-AM301 (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 80/20〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(25分)。
流速:1.0ml/分
(合成法K):[6Ψ7,NHCO,D-Tyr1,Arg(Me)9]MS10(化合物番号319)の製造
Z-Phe 5.99 g を MeCN 30 mL に溶解し、0 ℃下 HONB 3.94 g、WSCD HCl 4.59
g を加え、室温にて 4 時間撹拌した。0 ℃下 25% NH3aq. 3.4 mL、DMF 10 mL を加え 4 時間撹拌した。溶媒を留去後 AcOEt に溶解し 1N HClaq.、satd.NaHCO3aq.、satd.NaClaq. で洗浄した。Na2SO4で乾燥後溶媒を濃縮し、ジエチルエーテルを加え、沈殿としてZ-Phe-NH2を得た 1.48 g (収率 99%)。[Bis(trifluoroacetoxy)iodo]benzene 1.94 g を MeCN 20 mL、H2O 5 mL に溶解後、 0 ℃下 先に調製したZ-Phe-NH2890 mg、pyridine 972 μL を加え、室温にて 15 時間撹拌した。溶媒を濃縮後ジエチルエーテル- 1N HClaq. で分液し、1N HClaq. 層を濃縮後乾燥した。半量を DMF 5 mL に溶解し、mono-tert-Butyl malonate 486 μL、HOBt 540 mg を加えた後、0 ℃下 PyBOP 2.08 g、DIEA 1394 μL を加え、室温にて 15 時間撹拌した。溶媒を留去後 AcOEt に溶解し 1N HCl aq.、satd NaHCO3 aq.、satd NaCl aq. で洗浄した。Na2SO4で乾燥後溶媒を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製後ジエチルエーテル・石油エーテルを加え、沈殿としてZ-PheΨ(NHCO)Gly-OButを得た 304 mg (収率 33%)。うち 154 mg
を MeOH 20 mL に溶解後 10% Pd-C を加え、水素気流下 2 時間接触還元を行った。触媒をろ去後溶媒を濃縮し、乾燥した。これを MeCN 10 mL に溶解し、Fmoc-OSu 152 mg、DIEA 78 μL を加え 15 時間撹拌した。溶媒を留去後 AcOEt に溶解し 1N HClaq.、satd.NaHCO3aq.、satd.NaClaq. で洗浄した。Na2SO4 で乾燥後溶媒を濃縮し、ジエチルエーテル・石油エーテルを加え、沈殿としてFmoc-PheΨ(NHCO)Gly-OButを得た 127 mg (収率 68%)。実施例10にて調製したFmoc-Arg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resin 63 mg にFmoc-Leuを導入、脱Fmoc後、 Fmoc-PheΨ(NHCO)Gly-OH (Fmoc-PheΨ(NHCO)Gly-OBut25 mg TFA 3 分処理により調製)、0.5M HOAt 300 μL、PyAOP 78 mg、DIEA 52 μL を加え 6 時間振盪した。樹脂を洗浄後 DMF 2 mL、DIEA 9 μL、Ac2O 12 μL を加え 30 分振盪した。樹脂を洗浄後 ABI 433A を用いペプチド鎖を伸長し、Boc-D-Tyr(But)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheΨ(NHCO)GlyLeuArg(Boc2,Me)Phe-Rink Amide MBHA resinを得た。うち 34 mg に TFA / PhSMe / m-cresol / TIS / EDT (85 / 5 / 5 / 2.5 / 2.5) 200 μL を加え 2 時間撹拌した。反応溶液にエーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 76/24〜66/34への直線型濃度勾配溶出(60分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末0.7 mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1316.3 (計算値1316.7)
HPLC溶出時間:18.7 分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜0/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法L):[N((CH2)3Gn)Gly9]-MS10(化合物番号218)の製造
Fmoc-Phe-Rink Amide MBHA resin 192 mg を用い ABI 433A によりペプチド鎖を伸長し、Fmoc-GlyPhe-Rink Amide MBHA resin を得た。うち 1/4 量を脱 Fmoc
し、DMF 2 mL、AcOH 50 μL、Boc-β-Ala-H 5 mg、NaBH3CN 16 mg を加え、30 分間振盪した。樹脂を洗浄後 Fmoc-Leu 71 mg、CIP 56 mg、HOAt 27 mg、DIEA 105 mL を加え 15 時間振盪した。樹脂を洗浄後 ABI 433A を用いペプチド鎖を伸長し、Z-Tyr(Bzl)Asn(Trt)Trp(Boc)Asn(Trt)Ser(But)PheGlyLeuN((CH2)3NHBoc)GlyPhe-Rink Amide MBHA resin を得た。これに TFA / PhOH / H2O / TIS / EDT (87.5 / 5 / 2.5 / 2.5 / 2.5) 1 mL を加え 2 時間撹拌した。樹脂をろ去後濃縮し、エーテルを加え沈殿とした後、半量を DMF 500 μL に溶解し、1H-pyrazole-1-carboxamidine hydrochloride 9 mg、DIEA 22 mL を加え、15 時間撹拌した。溶媒を留去後エーテルを加え沈殿とし、氷冷下 PhSMe 60 μL、m-cresol 56 μL、EDT 26 μL、TFA 337 μL、TMSBr 65 μL を加え 2 時間撹拌した。溶媒を留去後エーテルを加え沈殿を得、遠心分離後、上清を除く操作を繰り返し洗浄を行い、残渣を酢酸水溶液で抽出、濾過により樹脂を除いた後、YMC D-ODS-5-ST S-5 120A カラム(20 x 150mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルによるA/B: 74/26〜64/36への直線型濃度勾配溶出(60分)を行い、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末1.8mgを得た。
質量分析による(M+H)+ 1302.5 (計算値1302.7)
HPLC溶出時間:18.6分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18 HG (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1%TFA-水、B液: 0.1%TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜30/70へ。直線型濃度勾配溶出(35分)。
流速:1.0ml/分
(合成法M):MS10(化合物番号3)の製造
市販p−メチルBHA樹脂(0.77 m mole/g resin)をベプチド合成機ABI 430Aの反応曹に入れ、Boc−Strategy(DCC-HOBt)ベプチド合成方法でBoc−Phe.Boc−Arg(Tos),Boc−Leu.Boc−Gly,Boc−Phe.Boc−Ser(Bzl))),Boc−Asn.Boc−Trp(For),Boc−Asn.Boc−Tyr(Br−Z)を順に導入し目的の保護ベプチド樹脂を得た。この樹脂0.11gをp−クレゾール1ml、1,4−ブタンジチオール1.2 mlと共に無水弗化水素10 ml中、0℃、60分攪拌した後、弗化水素を減圧留去し、残留物ヘジエチルエーテルを加え沈殿を濾過した。この沈殿に50%酢酸水を加え抽出し、不溶部分を除き、抽出液を十分に濃縮後、50%酢酸水で充填したセファデックス(商品名)G−25カラム(2.0 x 80cm)に付し、同溶媒で展開、主要画分を集め凍結乾燥し、白色粉末40mgを得た。半量をLiChroprep(商品名)RP-18を充填したクロマトカラム(2.6 x 60cm)に付け0.1%TFA水 200mlで洗浄、0.1%TFA水 300mlと0.1%TFA含有33%アセトニトリル水 300mlを用いた線型勾配溶出を行い、主要画分を集め凍結乾燥し目的とするペプチド2.2mgを得た。
質量分析による(M+H)1302.5(計算値1302.6)
HPLC溶出時間:18.7分
溶出条件:
カラム:Wakosil-II 5C18T 4.6 x 100mm
溶離液:A液:0.1%TFA水、B液:0.1%TFA含有アセトニトリルを用い A/B:95/5〜45/55へ直線型濃度勾配溶出(25分)
流速:1.0 ml/分
実施例1〜11と同様にして合成した化合物の構造と物理化学的性質を以下の表1〜表11に示す。
Figure 0004804714
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製剤例1:
(1)化合物番号305 10.0mg
(2)乳糖 60.0mg
(3)コーンスターチ 35.0mg
(4)ゼラチン 3.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
化合物番号305 10.0mgと乳糖60.0mg及びコーンスターチ35.0mgの混合物を10%ゼラチン水溶液0.03ml(ゼラチンとして3.0mg)を用い、1mmメッシュの篩を通して顆粒化した後、40℃で乾燥し再び篩過する。かくして得られる顆粒をステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合し、圧縮する。得られる中心錠を、蔗糖,二酸化チタン,タルク及びアラビアゴムの水懸液による糖衣でコーティングする。コーティングが施された錠剤をミツロウで艶出してコート錠を得る。
製剤例2
(1)化合物番号305 10.0mg
(2)乳糖 70.0mg
(3)コーンスターチ 50.0mg
(4)可溶性デンプン 7.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
化合物305 10.0mgとステアリン酸マグネシウム3.0mgを可溶性デンプンの水溶液0.07ml(可溶性デンプンとして7.0mg)で顆粒化した後、乾燥し、乳糖70.0mg及びコーンスターチ50.0mgと混合する。混合物を圧縮して錠剤を得る。
製剤例3
(1)化合物番号305 5.0mg
(2)食塩 20.0mg
(3)蒸留水 全量2mlとする
化合物番号305 5.0mg及び食塩20.0mgを蒸留水に溶解させ、水を加えて全量2.0mlとする。溶液をろ過し、無菌条件下に2mlのアンプルに充填する。アンプルを滅菌した後、密封し注射用溶液を得る。
試験例1:hOT7T175レセプター結合活性測定
(1)Cy-5標識metastin(40-54)の作製
Metastinのアミノ酸配列の40番目から54番目のアミノ酸配列を有する合成ペプチドに、そのアミノ末端に位置するリジンのε位のアミノ基を介してCy-5を導入し、さらにカルボキシル末端をアミド化したものをアマシャム バイオサイエンス社の有する合成技術により得た。この合成ペプチドを用いて結合阻害実験を行なった。配列:(Cy-5)-KDLPNYNWNSFGLRF-NH2
(2)試験化合物、Cy-5標識metastin(40-54)およびh0T7T175発現CHO細胞を用いた結合阻害実験
h0T7T175発現CHO細胞は10%透析血清を含むMEM-α培地(核酸不含)で培養した。培地を除き、接着している細胞をPBSで洗浄した後、5mM EDTAを含むPBSを添加し、セルスクレーパーを用いて細胞をフラスコから剥がした。 遠心操作の後、細胞を1.11x105cells/mlとなるように測定用バッファー(10mM HEPES pH7.4、140mM NaCl、2.5mM CaCl2、3mM MgCl2、0.5% BSA、0.01% NaN3)に懸濁し、終濃度1nMのCy-5標識metastin(40-54) を加えた。96穴黒色クリアボトムプレート(アプライドバイオシステム社)の各wellに、総結合を調べるために1%ジメチルスルホキシドを含む測定用バッファーを10μL、非特異的結合を調べるために測定用バッファーで希釈した10μMの非標識ペプチド(標識したものと同じアミノ酸配列)溶液を10μL、試験化合物の結合阻害活性を調べるために測定用バッファーで希釈した試験化合物を10μLそれぞれ添加し、さらに細胞懸濁液を90μLずつ分注した。1時間後、FMAT 8100 HTS system(アプライドバイオシステム社)で細胞に結合したCy-5標識metastin(40-54)量を測定した。特異的結合は、総結合から非特異的結合を減じた値である。試験化合物の結合阻害活性は、総結合から試験化合物を加えた場合の測定値を減じた値の特異的結合に対する比率で示される。試験化合物のレセプター結合活性を表12〜表17に示す。
Figure 0004804714
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試験例2:FLIPRを用いた細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定
特開2000-312590記載の方法でFLIPRを用いた細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定を実施した。
hOT7T175安定発現細胞株は動物細胞発現用プラスミドpAK-rOT175をCHO/dhfr-細胞にCellPhect Transfection kit(Amersham Pharmacia Biotecb社)を用いて形質導入することにより取得した。まず、蒸留水240 μLに溶解したプラスミドDNA 9.6 μgに対してBuffer A(CellPhect Transfection kitに添付)240 μLを添加し、撹拝し、10分間静置後、Buffer B(CellPhect Transfection kitに添付)480 μLを添加し、激しく撹絆し該DNAを含有するリポソームを形成させた。4x105個のCHO/dhfr-細胞(ATCCより入手)を60 mmシャーレに播き、10%のウシ胎児血清(BIO WHITTAKER社)を含むHam’s F-12培地(日水製薬株式会社)中で37℃、5%炭酸ガス中で2日間培養した後、該リポソーム480mlをシャーレの該細胞上に滴下させた。これを、37℃、5%炭酸ガス中にて6時間培養した後、血清を含まないHam’s F-12培地で2回細胞を洗浄し、シャーレの該細胞上に15%グリセロール3 mlを添加し2分間処理した。これを、再度、血清を含まないHam’s F-12培地で2回洗浄した後、10%のウシ胎児血清を含むHam’s F-12培地中で37℃、5%炭酸ガス中で15時間培養した。該細胞をトリプシン処理により分散させてシャーレから回収し、1.25x1O4個ずつ6−well plateに播き、透析済み10%ウシ胎児血清(JRH BIOSCIENCES社)を含むDulbecco’s modified Eagle medium〈DMEM〉培地(日水製薬株式会社)中にて37℃、5%炭酸ガス中にて培養を開始した.プラスミドの導入された形質転換CHO細胞は該培地中で生育するが非導入細胞は次第に死滅していくので、培養開始1日目、および2日目に培地を交換して死滅細胞を除去した。培養開始8-10日後に生育してきた形質転換CHO細胞のコロニーを約20個単離した。これらのコロニーの細胞からリガンドペプチドであるメタスチンに対して高い反応性を示す細胞(以後hOT7T175/CHOと略称する)を選別し、以降の実験に用いた。
合成ペプチドについて、hOT7T175/CHOにおける細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定をFLIPR〈Molecular Devices社〉を用いて行った。
hOT7T175/CHOは10%透析処理済ウシ胎児血清(以後dFBSと略称する)を加えたDMEM(以下10%dFBS/DMEMとする)を用いて継代培養し、実験に用いた。hOT7T175/CHOをそれぞれ15×1O4cells/mlとなるように10%dFBS-DMEMに懸濁し、FILPR用96穴プレート(Black Plate clear bottom、Coster社)へ、各ウェルあたり200μLずつ蒔き(3.0x1O4 cells/200μL/ウエル)、37℃-5%CO2インキュベーター中で一晩培養した(以後細胞プレートと略称する)。 HANKS/HBSS (HANKS 9.8 g、炭酸水素ナトリウム0.35 g、1M HEPES 20 ml、1N水酸化ナトリウムでpH 7.4に合わせた後、フィルター滅菌処理)21 ml、250 mM Probenecid 210μ1、ウシ胎児血清(FBS)210μ1( HANKS/HBSS- Probenecid-FBS)を混合した。
また、Fluo3−AM2バイアル(50μg/バイアル)をジメチルスルフォキシド21μL、20% Pluronic acid 21μLに溶解し、これを上記HANKS/HBSS- Probenecid-FBS 10 mlに加え、混和後、培養液を除いた細胞プレートに各ウエルあたり1O0μLずつ分注し、37℃-5%CO2インキュベーター中で1時間インキュベー卜した〈色素ローディング〉。ペプチドを1×10-3Mとなるようジメチルスルフオキシドに溶解した。このペプチド溶液を2.5 mM Probenecid、0.2%BSA、0.1% CHAPSを含むHANKS/HBSS を用いて希釈し、FLIPR用96穴プレート(V-Bottomプレート、Coster社)へ移した(以後、サンプルプレートとする)。細胞プレートの色素ローディング終了後、HANKS/HBSSに2.5 mM Probenecidを加えた洗浄バッファーでプレートウォッシャーを用いて細胞プレートを4回洗浄し、洗浄後100μLの洗浄バッファーを残した。この細胞プレートとサンプルプレートをFLIPRにセットし、FLIPR装置により自動的にサンプルプレートから0.05 mlのサンプルを細胞プレートヘと移して、細胞の応答反応を促した。180秒間の細胞内カルシウムイオン濃度の変化を継時的に測定した。表18〜表22に細胞内Caイオン濃度上昇活性[Metastin(1-54)に対する比活性で表示]を示す。
Figure 0004804714
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試験例3:hOT7T175発現CHO細胞における細胞増殖阻害活性の測定
hOT7T175発現CHO細胞(以後、hOT7T175とする)を10% dialyzed FBSを添加したDMEM(以後、10%dFBS/DMEMとする)を用いて培養し、以下のアッセイに用いた。hOT7T175をそれぞれ10,000 cells/mlとなるように10% dFBS/DMEMに懸濁し、96 well plateに各ウェルあたり100μLずつ播き(1,000 cells/well)、37℃-5% CO2インキュベーター中で一晩培養した。翌日培地を除き、0.5% BSAを添加した10% dFBS/DMEM (以後、0.5% BSA/10% dFBS/DMEMとする)を90μL加えた。続いて、各ウエルに0.5% BSA/10% dFBS/DMEMに溶解したメタスチンもしくはメタスチン誘導体溶液10μLを加え、37℃-5% CO2インキュベーター中で3日間培養した。Cell Counting Kit-8溶液(同仁化学研究所)を各ウェルに10μL加え、37℃-5% CO2インキュベーター中で4時間培養し、450nmの吸光度を測定した。
Metasti(1-54)、Metastin(45-54)、合成化合物の細胞増殖阻害活性を表23に示す。
Figure 0004804714
*1-54はMetastin(1-54)を、45-54はMetastin(45-54)を示す。
試験例4:hOT7T175発現CHO細胞における遊走阻害活性の測定
hOT7T175発現CHO細胞(以後、hOT7T175とする)を10% dialyzed FBSを添加したDMEM(以後、10%dFBS/DMEMとする)を用いて培養しアッセイに用いた。また、24-well 6.5mm Transwell(pore size 8.0μm)(COSTAR)は以下の方法によりフィブロネクチン処理を行いアッセイに用いた。すなわち、Transwellの上下室に1μg/mlのウシフィブロネクチン(ヤガイ株式会社)0.5mlを加え、室温で10分間静置し、フィブロネクチン溶液を除き、さらに風乾させた。hOT7T175をDMEMで3回洗った後、0.5% BSAを添加したDMEM (以後、0.5% BSA/DMEMとする)に2.5×106 cells/mlとなるように懸濁した。メタスチンもしくはメタスチン誘導体を 0.5% BSA/DMEMで希釈した。Transwellの下室に20% FBSを添加した0.5% BSA/DMEM (或いはnegative controlの場合には0.5% BSA/DMEM)を600μL加え、上室に細胞懸濁液50μL、メタスチンもしくはメタスチン誘導体希釈溶液(或いはpositive contorolの場合には0.5% BSA/DMEM)を50μL加えた。37℃-5% CO2インキュベーター中で7時間培養した後、培養液をのぞき、Phosphate-buffered salineで湿らせた綿棒でフィルター上面をぬぐい、フィルター上面の細胞を全て除いた。ディフクイック(国際試薬株式会社)でフィルターを固定、染色し、フィルター下面に遊走した細胞数を数えた。遊走阻害活性を図1に示す。
試験例5:腫瘍増殖抑制活性評価
ヒト結腸癌由来細胞株SW620担癌マウスを用い、Metastin(1-54)(以下、Metastinと標記する)および化合物(化合物番号305,322)のin vivoでの腫瘍増殖抑制作用について評価した。
蒸留水(大塚蒸留水)に溶解した1 mMのMetastin、0.1 mMおよび1 mMの 化合物、およびvehicleとしての蒸留水をそれぞれ100μLづつ充填したAlza 浸透圧ポンプ(0.25 μL/hour, 14 days release, Model 1002)をエーテル麻酔下でBALB/cAnN-nu(6週齢、雌、日本チャールズリバー)マウス背部の皮下に埋め込み14日間の持続投与を開始した。実験数は、Metastin投与群とvehicle投与群はn=10、化合物投与群はいずれもn=11とした。翌日にヒト大腸癌由来細胞株SW620細胞(ATCC) 2 x 106cellsを200μLの0.15M NaClを含む20 mMリン酸緩衝液(pH 7.2)(PBS)に溶解し、上記のマウスの左脇腹に皮下投与した。細胞を投与した日を0日目として、細胞投与4日目より13日目まで1日または2日おきに腫瘍を電子ノギスで測定し、腫瘍体積を(短径)2x 長径/2で算出した。図2に示す様に、Metastin投与群(24 nmol/day/mouse x 14 days)は、投与6日目にvehicle群に比較して有意な増殖抑制作用を示した。一方、化合物322投与群は、Metastinの1/10の投与量 (2.4 nmol/day/mouse x 14 days)で投与6日目から8日目までvehicle群に比較して有意な腫瘍増殖抑制活性を示した。また、Metastinと同用量の化合物322投与群(24 nmol/day/mouse x 14 days)は、投与6日目から11日目までvehicle群に比較して有意な腫瘍増殖抑制活性を示し、投与11日目ではMetastin投与群と比較しても有意な腫瘍増殖抑制活性を示した。以上の結果から、Metastinはin vivo においても腫瘍増殖抑制作用を示し、化合物322は、Metastinの10倍以上の腫瘍増殖抑制作用を有することが明らかとなった。
同様に化合物305についての結果を図3に示す。Metastin投与群(24 nmol/day/mouse x 14 days)は、投与5-7日目にvehicle群に比較して有意な増殖抑制作用を示した。一方、化合物305投与群は、Metastinの1/10の投与量 (2.4 nmol/day/mouse x 14 days)で投与5日目から11日目までvehicle群に比較して有意な腫瘍増殖抑制活性を示した。また、Metastinと同用量の化合物305投与群(24 nmol/day/mouse x 14 days)は、投与5日目から9日目までvehicle群に比較して有意な腫瘍増殖抑制活性を示し、化合物305もin vivoにおいてMetastinの10倍以上の腫瘍増殖抑制作用を示すことが明らかとなった。
試験例6:メタスチンの血糖上昇作用
メタスチンの末梢投与による血糖値に及ぼす影響を検討するため、自由行動下採血用の手術を行った。成熟Wistar系雄性ラット(手術時体重210〜230g)をペントバルビタール50 mg/kgの腹腔内投与にて麻酔した。解剖用パッドの上に背位に固定し、左側の頚静脈を露出させた。ポリエチレンチューブSP35(内径0.5 mm、外径0.9 mm、夏目製作所)を約30 cmの長さに切り、200単位/mlのヘパリン含有生理食塩水で満たした後、頚静脈に約4.5 cm挿入し固定した。チューブのもう一端は背側の皮下を通して頚部(背側)より露出させた。
術後一晩待ってから、メタスチン投与前に用量1 mlのツベルクリン用注射筒と25ゲージ注射針(いずれもテルモ社)を用いて300μlの血液を採取した。血液凝固を防止するため、注射筒には予め3 mg/ml EDTAを含む300 KIU/ml aprotinin溶液を3μl入れておいた。大塚生理食塩水またはメタスチン (17, 80, 170 nmol)の1mL生理食塩水溶解液をチューブより1mL/Kgで静脈投与した。静脈投与の開始時点から0、5、15、30、60分後に頚静脈より300μlずつ採血した。採血した血液は微量高速冷却遠心機(MR‐150、トミー精工)を用いて遠心(13,000 rpm、5分間)し、上清(血漿)を回収した。血中グルコース濃度は、フジドライケム3500(FUJIFILM社)を用いて測定した。図4に示すごとくメタスチン投与群は対象群に比し、静脈投与5分後より用量依存的(17-170 nmol/kg)に有意な(p<0.005, n=5))血中グルコース濃度の上昇作用を示した。血中グルコース値は、メタスチン投与量の増加にしたがい、最大値の上昇とともに上昇時間の延長(最大30分)が認められた。
試験例7:メタスチンの膵グルカゴン分泌促進作用
メタスチンの血中グルコース濃度上昇作用についてそのメカニズムを検討するため、血中グルコース濃度に変動を与えるホルモンとして知られている血中グルカゴン、インスリン、コルチコステロン、甲状腺ホルモン(T3)濃度に対するメタスチンの影響について検討した。成熟Wistar系雄性ラット(手術時体重260〜3000g)に対し自由行動下採血用の手術を行った。術後一晩待ってから、メタスチン投与前に用量1 mlのツベルクリン用注射筒と25ゲージ注射針(いずれもテルモ社)を用いて300μlの血液を採取した。血液凝固を防止するため、注射筒には予め3 mg/ml EDTAを含む300 KIU/ml aprotinin溶液を3μl入れておいた。大塚生理食塩水またはメタスチンの生理食塩水溶解液(80 nmol/mL)をチューブより1mL/Kgで静脈投与した。静脈投与の開始時点から1、3、5、15分後に頚静脈より300μlずつ採血した。採血した血液は微量高速冷却遠心機(MR‐150、トミー精工)を用いて遠心(13,000 rpm、5分間)し、上清(血漿)を回収した。血中グルカゴン濃度はグルカゴンキット「第一」(第一ラジオアイソトープ研究所)、血中インスリン濃度はラットインスリン[125I]、アッセイシステム(Amersham Biosciences) 、血中コルチコステロン濃度はラットコルチコステロンン[125I]、アッセイシステム(Amersham Biosciences) 、血中甲状腺ホルモン(T3)濃度はT−3・リアビーズ(ダイナボット(株))、血中グルコース濃度はフジドライケム3500(FUJIFILM社)を用いて測定した。図5に示すごとくメタスチン投与群は対象群に比し、投与1分後で有意な血中グルカゴン濃度の上昇が認められ、投与5分後まで有意な上昇は持続した。一方、血中インスリン濃度(図6)、血中コルチコステロン濃度(図7)および血中甲状腺ホルモン(T3)濃度(図8)はメタスチン投与による変動は認められなかった。これらの結果およびメタスチン投与群では、血中グルカゴン濃度の上昇の後に血中グルコース濃度の上昇(図9)が見られることから、メタスチン静脈投与による血中グルコース濃度の上昇作用は、メタスチンによるグルカゴン分泌刺激によって引き起こされるものと考えられた。
試験例8 メタスチン誘導体の血糖上昇作用
メタスチン誘導体KiSS305(化合物305)およびKiSS322(化合物322)の血中グルコース濃度および血中グルカゴン濃度に及ぼす影響について検討した。成熟Wistar系雄性ラット(手術時体重260〜3000g)に対し実験例1と同様に自由行動下採血用の手術を行った。術後一晩待ってから、メタスチン投与前に用量1 mlのツベルクリン用注射筒と25ゲージ注射針(いずれもテルモ社)を用いて300μlの血液を採取した。血液凝固を防止するため、注射筒には予め3 mg/ml EDTAを含む300 KIU/ml aprotinin溶液を3μl入れておいた。大塚生理食塩水またはメタスチンの生理食塩水溶解液(80 nmol/mL)をチューブより1mL/Kgで静脈投与した。静脈投与の開始時点から2、5、15、30、45、60分後に頚静脈より300μlずつ採血した。採血した血液は微量高速冷却遠心機(MR‐150、トミー精工)を用いて遠心(13,000 rpm、5分間)し、上清(血漿)を回収した。実験例1または2と同様に、血中グルコース濃度はフジドライケム3500(FUJIFILM社)、血中グルカゴン濃度はグルカゴンキット「第一」(第一ラジオアイソトープ研究所)を用いて測定した。図10に示すごとく両化合物とも血中グルコース濃度の上昇が見られた。また、図11に示すごとく両化合物とも血中グルカゴン濃度の上昇が見られた。
試験例9 ヒトメタスチンを用いた未成熟ラットでの排卵誘発
equine chorionic gonadotropin(eCG、セロトロピン、大日本製薬)を100 IU/mLで生理食塩水(大塚製薬)に溶解し、生後23日齢の雌性Wistarラット(日本チャールズリバー)の背部皮下に、1個体当たり10 IUのeCGを、午前9時30分から10時の間に、容量1mLのツベルクリン用注射筒と26ゲージ注射針(いずれもテルモ)を用いて投与した。eCG投与後47〜48時間後に以下に示す群分けを行い、それぞれの薬剤投与を行った。
グループA(ラット5匹):human chorionic gonadotropin(hCG、ゴナトロピン、大日本製薬)を100 IU/mLで生理食塩水に溶解し、1個体当たり20 IUを背部皮下に投与した。
グループB(ラット5匹):ヒトメタスチンを100nmol/mLで生理食塩水に溶解し、1個体当たり20nmolを背部皮下に皮下投与した。
グループC(ラット5匹):ヒトメタスチンを33.3nmol/mLで生理食塩水に溶解し、1個体当たり6.67nmolを背部皮下に投与した。
グループD(ラット6匹):1個体当たり200μLの生理食塩水を背部皮下に投与した。
上記の薬剤の投与後、さらに24〜25時間後に断頭し、血液、両側卵管および子宮を回収した。血液回収に際しては、血液凝固を防止するために、回収する遠心チューブにはあらかじめ3mg/mL EDTAを含む10KIU/mLのアプロチニン溶液(トラジロール、バイエル)を90μL入れておいた。血液回収後は、よく混和し、2,000Gで25分間遠心し、上清を回収して血漿サンプルとした。
排卵数の計数は、次のようにして行った。
実体顕微鏡下での卵管の観察により、卵管膨大部における卵の滞留が確認された場合には、同部位を27ゲージの注射針(テルモ)によって切開して卵を取り出し、トリプシン処理によって卵を取り囲む顆粒膜細胞を除去した後、卵を計数した。実体顕微鏡下での卵管の観察で、卵管膨大部での卵が確認できなかった場合には、先端を研磨した27ゲージの注射針を卵管口に挿入し、卵管および子宮内を400μL以上の生理食塩水で洗浄した後、流出液中の卵の有無を観察した。
得られた排卵数を表24に示す。
Figure 0004804714
表中、1〜5はラットの個体番号を示す。
汎用の過排卵処理群であるグループAでは、ラット1匹あたり平均37.6個の排卵が確認された。メタスチンを投与したグループB、グループCでは、それぞれ平均31.8個、27.6個の排卵が確認された。一方、生理食塩水を投与したグループDでは、排卵数の平均は0.6個であり、排卵刺激非存在下での自発的排卵はほとんどなかった。
表22に示すラットから採取した血漿中に含まれるエストラジオール濃度を、ラジオイムノアッセイ(DPC・エストラジオール キット;Diagnostic Products Corporation)により測定した結果を図12に示す。
これより、グループA、グループBおよびグループC間で、血漿中に含まれるエストラジオールの濃度差は無く、生理食塩水を投与したグループDでのみ、エストラジオールの濃度が非常に高かったことがわかる。
血漿中に含まれるプロゲステロン濃度を、ラジオイムノアッセイ(DPC・プロゲステロン;Diagnostic Products Corporation)により測定した結果を図13に示す。
これより、プロゲステロン濃度はグループAが最も高く、グループBおよびグループCは、グループAの約半分の血中濃度であったことが、また、グループDのプロゲステロン濃度は非常に低かったことがわかる。
一般に、ラット、マウスおよびヒトの卵巣において産生される主なステロイドホルモンは、卵胞の成熟期ではエストロゲンであり、一方、排卵を誘発された後はプロゲステロンである。実際、図12および図13の結果でも、生理食塩水を投与したグループDでは、排卵が誘発されていないためにエストロゲン産生が高い状態にあり、一方hCGを投与したグループAでは、エストロゲン産生が低下し、プロゲステロンの産生が上昇していることがわかる。メタスチン投与群であるグループBおよびグループCでは、血漿中エストロゲン濃度は非常に低く、逆にプロゲステロン濃度が上昇していることから、メタスチンはラット卵巣に対して、正常な過程を経て排卵を誘発していることがわかる。また、グループAよりもグループB、グループCのプロゲステロン濃度が低いことから、hCGと比べてメタスチンは、より穏やかな卵巣刺激作用を有していると考えられる。
試験例10 ヒトメタスチンの未成熟ラットでのゴナドトロピン放出作用
生後25日齢の雌性Wistarラット(日本チャールズリバー)に対し、午前9時から10時の間に、生理食塩水に33.3 nmol/mLの濃度で溶解したヒトメタスチンを、1個体当たり200μL、すなわちヒトメタスチン6.67nmolを背部皮下に投与した。メタスチンを投与する前、および投与してから1、2、4時間後に断頭し、血液を回収した。血液回収に際しては、血液凝固を防止するために、回収する遠心チューブにはあらかじめ3 mg/mLのEDTAを含む10 KIU/mLのアプロチニン溶液(トラジロール、バイエル)を90μL入れておいた。また回収後は、よく混和した後、2,000Gで25分間遠心し、上清を回収して血漿サンプルとした。血漿中に含まれるFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体刺激ホルモン)、およびプロゲステロン濃度は、ラジオイムノアッセイ(Rat Follicle Stimulating Hormone (rFSH)[125I] Biotrack Assay System with Magnetic Separation、Rat Luteinizing Hormone (rLH)[125I] Biotrack Assay System with Magnetic Separation、いずれもアマシャムバイオサイエンス、およびDPC・プロゲステロン、Diagnostic Products Corporation)を用いて測定した。
メタスチン投与による未成熟ラット血中FSH濃度の変動を測定した結果を、図14に示す。メタスチン投与後1時間から、血中FSH濃度は有意に上昇を始め、2時間後で最も高くなっていた。4時間後では血中FSH濃度の低下が認められたが、投与前に比べると高い状態を維持していた。
メタスチン投与による未成熟ラット血中LH濃度の変動を測定した結果を、図15に示す。FSHの場合と同様に、メタスチン投与後1時間から、血中LH濃度は有意に上昇を始め、2時間後で最も高くなっていた。4時間後では血中LH濃度の低下が認められたが、投与前に比べると、高い状態を維持していた。
メタスチン投与による未成熟ラット血中プロゲステロン濃度の変動を測定した結果を、図16に示す。血中LH濃度の上昇を反映して、血中プロゲステロン濃度はメタスチン投与後1時間から穏やかな上昇を始め、2時間後は投与前に比べて有意に高い値を示した。
図14および図15の結果より、メタスチンを末梢投与すると、FSH、LHなどのゴナドトロピンの放出が誘導されることがわかる。試験例9で示したメタスチンによる排卵誘発は、このゴナドトロピン放出、特にLHの放出を介したものであると推察される。
なお、試験例9で示した排卵誘発作用はeCGを投与したラットでの作用であるが、本実施例の作用は未処置のラットを用いた結果であり、メタスチンによるゴナドトロピン放出作用にはeCGの前処理は必要としない。
図16の結果は、メタスチンの投与によるゴナドトロピンの放出が、卵巣にも生理的な刺激を与え、プロゲステロンの産生を亢進することを意味している。
試験例11 ヒトメタスチンによる成熟雄性ラットのゴナドトロピン放出作用
生後11週齢の雄性Wistarラット(日本チャールズリバー)に対し、午前10時30分から11時30分の間に、生理食塩水に175 nmol/mLの濃度で溶解したヒトメタスチンを、1個体当たり200μL、すなわちヒトメタスチン35 nmolを背部皮下に投与した。メタスチンを投与する前、および投与してから1、2、4時間後に断頭し、血液を回収した。血液回収に際しては、血液凝固を防止するために、回収する遠心チューブにはあらかじめ3 mg/mLのEDTAを含む10 KIU/mLのアプロチニン溶液(トラジロール、バイエル)を300μL入れておいた。また回収後は、よく混和した後、2,000Gで25分間遠心し、上清を回収して血漿サンプルとした。血漿中に含まれるFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体刺激ホルモン)、およびテストステロン濃度は、ラジオイムノアッセイ(Rat Follicle Stimulating Hormone (rFSH)[125I] Biotrack Assay System with Magnetic Separation、Rat Luteinizing Hormone (rLH)[125I] Biotrack Assay System with Magnetic Separation、いずれもアマシャムバイオサイエンス、およびDPC・トータルテストステロン キット、Diagnostic Products Corporation)を用いて測定した。
メタスチン投与によるラット血中FSH濃度の変動を測定した結果を、図17に示す。メタスチン投与後1時間から、血中FSH濃度は有意に上昇を始め、2時間後で最も高く、4時間後でも高い状態を維持していた。
メタスチン投与によるラット血中LH濃度の変動を測定した結果を、図18に示す。FSHの場合と同様に、メタスチン投与後1時間から、血中LH濃度は有意に上昇を始め、2時間後で最も高くなっていた。4時間後では血中LH濃度の低下が認められたが、投与前に比べると、高い状態を維持していた。
メタスチン投与によるラット血中テストステロン濃度の変動を測定した結果を、図19に示す。血中テストステロン濃度はメタスチン投与後1時間に急激な上昇を示し、2時間後、4時間後では低下が認められたが、投与前に比べるといずれの時点でも有意に高い値を示した。
図17および図18の結果より、メタスチンを末梢投与すると、雄性ラットにおいてFSH、LHなどのゴナドトロピンの放出が誘導されることがわかる。試験例9の結果を考慮すると、メタスチンはゴナドトロピンの放出を促す上で、雌雄いずれにおいても非常に重要な因子であると考えられる。
図19の結果は、メタスチンの投与によるゴナドトロピンの放出が、精巣にも生理的な刺激を与え、テストステロンの産生を亢進することを意味している。
これらの結果から、メタスチンの投与は、ゴナドトロピンの放出を介して精巣を刺激すると考えられる。メタスチンは、精子の成熟やホルモンの分泌など、男性生殖機能にも影響を及ぼしうることが示唆された。
試験例12 化合物の血中安定性試験
マウス血清は、8週齢Balb/cマウス(♀)から採血後、37℃、30分放置し、13000 rpmにて10分間遠心分離した上清として取得し、得られた血清は-80℃にて凍結保存した。
安定性試験は血清45μLに、化合物5nmol(5μL水溶液)を加え、37℃にて放置することで行った。放置時間は2、10、30分間の3点とした。放置後のサンプルは3分間煮沸後氷浴で冷却し、アセトニトリル/水(3/1)200μLを加え、5分間超音波処理後5000rpmにて1分間遠心分離した。上清150μLを蒸留水250μLで希釈後不溶物を孔径0.45μmのフィルターでろ去し、ろ液200μLをHPLC 分析 (220 nm) して化合物のピーク面積を求めた。同様の条件下、0分間処理時の面積との比を、それぞれ4回ずつ行った平均値の比率として計算し、残存率を求めた。次いで得られた残存率を縦軸に、時間を横軸としてグラフを作成後指数近似し、残存率が50%になる時間を半減期として算出した。
分析用HPLCは島津製作所製LC-VP seriesを用い、カラムは和光純薬製Wakosil-II 5C18 HG(4.6mm×100mm)を使用した。溶離液にはA液(0.1%TFA含有水)、B液(0.1%TFA含有アセトニトリル)を用い、流速1.0ml/分にてA/B: 100/0 - 0/50の直線型濃度勾配溶出(25分)により分析を行った。
試験実施化合物とそのt1/2 (min)の値を表25に示す。
Figure 0004804714
試験例13 メタスチン誘導体を用いた未成熟ラットでの排卵誘発
equine chorionic gonadotropin(eCG、セロトロピン、大日本製薬)を100IU/mLで生理食塩水(大塚製薬)に溶解し、生後23日齢の雌性Wistarラット(日本チャールズリバー)の背部皮下に、1個体当たり10IUのeCGを、午前9時から10時の間に、容量1mLのツベルクリン用注射筒と26ゲージ注射針(いずれもテルモ)を用いて投与した。eCG投与後47−48時間後に以下に示す群分けを行い、それぞれの薬剤投与を行った。
グループA(5匹):human chorionic gonadotropin(hCG、ゴナトロピン、大日本製薬)を100 IU/mLで生理食塩水に溶解し、1個体当たり20IUを背部皮下に投与。
グループB(5匹):化合物番号305を33.3nmol/mLで生理食塩水に溶解し、1個体当たり6.7nmolを背部皮下に皮下投与。
グループC(5匹):化合物番号305を10.0nmol/mLで生理食塩水に溶解し、1個体当たり2.0nmolを背部皮下に投与。
グループD(5匹):化合物番号322を33.3nmol/mLで生理食塩水に溶解し、1固体当たり6.7nmolを背部皮下に投与。
グループE(5匹):化合物番号322を10.0nmol/mLで生理食塩水に溶解し、1個体当たり2.0nmolを背部皮下に投与。
グループF(6匹):1個体当たり200 μLの生理食塩水を背部皮下に投与。
これら薬剤の投与後さらに24−25時間後に断頭の後、血液、両側卵管および子宮を回収した。血液回収に際しては、血液凝固を防止するために、回収する遠心チューブにはあらかじめ3mg/mLのEDTAを含む10kIU/mLのアプロチニン溶液(トラジロール、バイエル)を90μL入れておき、また回収後は、よく混和したのち、2,000Gで25分間遠心し、上清を回収して血漿サンプルとした。
排卵数の計数は、Eur.J.Endocrinol.138、594−600(1998)に記載の方法を参考にして行った。すなわち、実体顕微鏡下での卵管の観察により、卵管膨大部における卵の滞留が確認された場合には、同部位を27ゲージの注射針(テルモ)によって切開して卵を取り出し、トリプシン処理によって卵を取り囲む顆粒膜細胞を除去した後、卵を計数した。実体顕微鏡下での卵管の観察で、卵管膨大部での卵が確認できなかった場合には、先端を研磨した27ゲージの注射針を卵管口に挿入し、卵管および子宮内を400μL以上の生理食塩水で洗浄した後、流出液中の卵の有無を観察した。
こうして得られた排卵数を図20に示す。汎用の過排卵処理群であるグループAでは、ラット1匹あたり平均38.0個の排卵が確認され、グループB、C、Dでの平均排卵数はそれぞれ32.6個、29.4個、29.6個であり、グループAと同等の排卵を示した。一方、化合物番号322を2.0nmol投与したグループEでは、排卵したラットは5匹中3匹であり、また平均排卵数も11.6個と、グループAと比較して少なかった。また陰性対象群であるグループFでは、全く排卵はみられなかった。
図20の結果から、hCGと同等の排卵を誘発するためには、化合物番号305は2.0nmol/個体以上、化合物番号322は6.7nmol/個体以上を投与しなければならないことが判明した。
血漿中に含まれるエストラジオール濃度を測定した結果を図21に示す。血中エストラジオール濃度は、ラジオイムノアッセイ(DPC・エストラジオール キット、ヤトロン)により測定した。図21に示すように、エストラジオールに関しては、グループA、B、CおよびDの間で差は無く、生理食塩水を投与したグループFでのみ高値を示した。またグループEでは、排卵が誘発されなかったラットで高値を示す傾向にあった。
血漿中に含まれるプロゲステロン濃度を測定した結果を図22に示す。血中プロゲステロン濃度は、ラジオイムノアッセイ(DPC:プロゲステロン、ヤトロン)によって測定した。図22に示すように、血中プロゲステロンの値はグループAで最も高く、グループB、C、およびDではグループAの半分弱の値を示した。またグループEとグループFは非常に低い値を示した。
図21および図22の結果から、化合物番号305では2.0nmol/個体以上、化合物番号322では6.7nmol/個体を投与することによって、エストロゲン産生細胞である顆粒膜細胞から、プロゲステロン産生細胞である黄体細胞への正常な分化が誘導されていることが判明した。またhCG投与時に比べて化合物番号305、KiSS−322投与時ではプロゲステロン濃度が低いことから、これら誘導体の卵巣に対する刺激作用はhCGよりも緩和であることが示唆された。
hOT7T175発現CHO細胞を用いた化合物322、化合物305、化合物303、化合物286、化合物232、化合物141の遊走阻害活性評価を示す。横軸のFBS−はFBS無添加の場合、FBS+はFBS添加の場合、322は化合物322添加の場合、305は化合物305添加の場合、303は化合物303添加の場合、286は化合物286添加の場合、232は化合物232添加の場合、141は化合物141添加の場合、(1−54)はメタスチン(1−54)添加の場合、(45−54)はメタスチン45−54添加の場合を示す。縦軸は、FBS添加の場合の遊走活性を100%とした場合の相対活性を示す。 ヒト結腸癌由来細胞株SW620担癌マウスを用いた化合物322およびMetastin(1-54)の腫瘍増殖抑制活性評価を示す。値は(平均値)±(標準誤差)を示す。◇はVehicle(蒸留水)を、○は化合物322(0.1mM)を、●は化合物322(1mM)を、■はMetastin(Metastin 1-54)を添加した時の結果を示す。横軸は投与後の日数を示す。横軸上のバーは投与期間を示す。縦軸は腫瘍体積(mm)を示す。 ヒト結腸癌由来細胞株SW620担癌マウスを用いた化合物305およびMetastin(1-54)の腫瘍増殖抑制活性評価を示す。値は(平均値)±(標準誤差)を示す。◇はVehicle(蒸留水)を、○は化合物305(0.1mM)を、●は化合物305(1mM)を、■はMetastin(Metastin 1-54)を添加した時の結果を示す。横軸は投与後の日数を示す。横軸上のバーは投与期間を示す。縦軸は腫瘍体積(mm)を示す。 メタスチンを無麻酔下のラットに静脈投与した際の血中グルコース濃度の変動を調べた結果を示す。図中、(−○−)は生理食塩水投与群、(−▲−)はメタスチン17nmol/kg投与群、(−●−)はメタスチン80 nmol/kg投与群および(−◆−)はメタスチン170nmol/kg投与群の血中グルコース濃度を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=5)を示す。*は生理食塩水投与群に比べて、P値が0.05以下であることを示す。**は生理食塩水投与群に比べて、P値が0.01以下であることを示す。 メタスチンを無麻酔下のラットに静脈投与した際の血中グルカゴン濃度の変動を調べた結果を示す。図中、(−○−)は生理食塩水投与群、(−●−)はメタスチン80 nmol/kg投与群の血中グルカゴン濃度を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=6〜9)を示す。*は生理食塩水投与群に比べて、P値が0.05以下であることを示す。**は生理食塩水投与群に比べて、P値が0.01以下であることを示す。 メタスチンを無麻酔下のラットに静脈投与した際の血中インスリン濃度の変動を調べた結果を示す。図中、(−○−)は生理食塩水投与群、(−●−)はメタスチン80 nmol/kg投与群の血中インスリン濃度を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=6〜9)を示す。 メタスチンを無麻酔下のラットに静脈投与した際の血中コルチコステロン濃度の変動を調べた結果を示す。図中、(−○−)は生理食塩水投与群、(−●−)はメタスチン80 nmol/kg投与群の血中コルチコステロン濃度を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=4〜5)を示す。 メタスチンを無麻酔下のラットに静脈投与した際の血中甲状腺ホルモン(T3)濃度の変動を調べた結果を示す。図中、(−○−)は生理食塩水投与群、(−●−)はメタスチン80 nmol/kg投与群の血中甲状腺ホルモン(T3)濃度を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=4〜5)を示す。 メタスチンを無麻酔下のラットに静脈投与した際の血中グルコース濃度の変動を調べた結果を示す。図中、(−○−)は生理食塩水投与群、(−●−)はメタスチン80 nmol/kg投与群の血中グルコース濃度を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=6〜9)を示す。*は生理食塩水投与群に比べて、P値が0.05以下であることを示す。 メタスチン誘導体を無麻酔下のラットに静脈投与した際の血中グルコース濃度の変動を調べた結果を示す。図中、(−○−)は生理食塩水投与群、(−●−)はKiSS1-305 80nmol/kg投与群、(−▲−)はKiSS1-322 80 nmol/kg投与群の血中グルコース濃度を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=5)を示す。*は生理食塩水投与群に比べて、P値が0.05以下であることを示す。**は生理食塩水投与群に比べて、P値が0.01以下であることを示す。 メタスチンを無麻酔下のラットに静脈投与した際の血中グルカゴン濃度の変動を調べた結果を示す。図中、(−○−)は生理食塩水投与群、(−●−)はKiSS1-305(化合物305) 80 nmol/kg投与群、(−▲−)はKiSS1-322(化合物322) 80 nmol/kg投与群の血中グルカゴン濃度を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=5)を示す。*は生理食塩水投与群に比べて、P値が0.05以下であることを示す。 ラットの血漿中に含まれるエストラジオールの濃度を表す図である。図中、縦軸はエストラジオールの濃度を、横軸は薬剤投与群のグループをそれぞれ示す。 ラットの血漿中に含まれるプロゲステロンの濃度を表す図である。図中、縦軸はエストラジオールの濃度を、横軸は薬剤投与群のグループをそれぞれ示す。 メタスチン投与による未成熟ラット血中FSH濃度の変動を表す図である。 メタスチン投与による未成熟ラット血中LH濃度の変動を表す図である。 メタスチン投与による未成熟ラット血中プロゲステロン濃度の変動を表す図である。 メタスチン投与によるラット血中FSH濃度の変動を表す図である。 メタスチン投与によるラット血中LH濃度の変動を表す図である。 メタスチン投与によるラット血中テストステロン濃度の変動を表す図である。 試験例13で測定した各投与群におけるラット1個体当たりの排卵数を示す図である。図中◆は、ラット個体ごとの値を示し、■は各群における平均値を示す。 試験例13で測定した各投与群における血中エストラジオール濃度を示す図である。図中▲は、ラット個体ごとの値を示し、■は各群における平均値を示す。 試験例13で測定した各投与群における血中プロゲステロン濃度を示す図である。図中▲は、ラット個体ごとの値を示し、■は各群における平均値を示す。
配列番号:15 C末端がアミド化している。
配列番号:16 C末端がアミド化している。
配列番号:17 C末端がアミド化している。
配列番号:18 C末端がアミド化している。

Claims (12)

  1. (1) Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH 2 (化合物番号82)、
    (2) D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-Phe-Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH 2 (化合物番号141)、
    (3) D-Tyr-Asn-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH 2 (化合物番号286)、
    (4) D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(CSNH)Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH 2 (化合物番号296)、
    (5) D-Tyr-D-Pya(4)-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH 2 (化合物番号305)、
    (6) D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(CH 2 NH)Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH 2 (化合物番号308)、
    (7) D-Tyr-Asn-Trp-Asn-Ser-PheΨ(NHCO)Gly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH 2 (化合物番号319)、および
    (8) 3-Pyridylpropionyl-Asn-Ser-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Phe-NH 2 (化合物番号322)
    から選択されるメタスチン誘導体またはその塩。
  2. 請求項1記載のメタスチン誘導体またはその塩を含有してなる医薬。
  3. 癌転移抑制剤または癌増殖抑制剤である請求項記載の医薬。
  4. 癌の予防・治療剤である請求項記載の医薬。
  5. 膵臓機能調節剤である請求項記載の医薬。
  6. 急性もしくは慢性膵炎または膵癌の予防・治療剤である請求項記載の医薬。
  7. 胎盤機能調節剤である請求項記載の医薬。
  8. 糖代謝異常または脂質代謝異常の予防・治療剤である請求項記載の医薬。
  9. 性腺機能改善剤である請求項記載の医薬。
  10. 不妊症の予防・治療剤である請求項記載の医薬。
  11. 排卵誘発または促進剤である請求項記載の医薬。
  12. 性腺刺激ホルモン分泌促進剤または性ホルモン分泌促進剤である請求項記載の医薬。
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