JP2003513660A - ヘッジホッグ融合タンパク質及び利用 - Google Patents

ヘッジホッグ融合タンパク質及び利用

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Abstract

(57)【要約】 ヘッジホッグのアミノ酸配列(X)を含むアミノ酸配列X−Y−Z又はその部分を有する融合ポリペプチドを記載し;Yは、随意のリンカー部分であり;Zは、ヘッジホッグ以外のポリペプチドの少なくとも一部分を含むポリペプチドである。Xは、ヒトのヘッジホッグであることが好ましい。ヘッジホッグの変異体も又記載する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 一つのペプチドファミリーであって、その投与及びバイオアベイラビリティー
を改善するために多くの研究と努力が集中されてきたのは、タンパク質のヘッジ
ホッグファミリーである。これらのヘッジホッグタンパク質は、脊椎動物及び無
脊椎動物の胚発生の様々な面を調節する細胞外シグナリングタンパク質のファミ
リーである(総説としては、Perrimon,N.(1995)Cell 81,313-316を参照されたい)
。最もよく特性決定されたヘッジホッグタンパク質は、前後パターン形成、先端
外胚葉隆起、後腸中胚葉、脊柱、遠位肢、肋骨発生及び肺発生並びに脊髄、後脳
及び前脳中の腹側細胞型の誘導に関与するソニックヘッジホッグ(Shh)である(Ri
ddle,R.D.等(1993)Cell 75,1401-1416;Echelard,Y.等(1993)Cell 75,1417-1471
;Roelink,H.等(1994)Cell 76,761-775;及びRoelink,H.等(1995)Cell 81,445-4
55を参照されたい)。
【0002】 ヘッジホッグタンパク質の作用機構は完全には分かっていないが、最も最近の
生化学的及び遺伝学的データは、Shhのレセプターが腫瘍抑制遺伝子パッチト
の産物であるということ(Marigo,V.等(1996)Nature 384,176-179;Stone,D.M.等
(1996)Nature 384,129-134)及び他のタンパク質;スムースンド(Alcedo,J.等(19
96)Cell 86,221-232)、Cubitus interruptus又はその哺乳動物対応物のgli(D
ominguez,M.(1996)Science 272,1621-1625;Alexandre,C.等(1996)Genes & Dev
.10,2003-2013)及びfused(Therond,P.P.等(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,42
24-4228)がヘッジホッグシグナリング経路に含まれるということを示唆している
【0003】 ヒトのShhは、45kDaの前駆体タンパク質として合成され、これは、自
己触媒的に開裂されて:(I)すべての公知のヘッジホッグシグナリング活性の原
因である20kDaのN末端断片(SEQ ID NO:6及び24)と;(II)
自己プロセッシング活性を含む25kDaのC末端断片(Lee,J.J.等(1994)Scien
ce 266,1528-1536;Bumcrot,D.A.等(1995)Mol.Cell Biol.15,2294-2303;Porter
,J.A.等(1995)Nature 374,363-366)を生じる。天然のヘッジホッグのN末端断片
は、完全長前駆体配列のアミノ酸残基24〜197よりなり、そのN末端アミノ
酸は、システインである。
【0004】 このN末端断片は、そのC末端のコレステロール付加(Porter,J.A.等(1996)Sc
ience 274,255-258:Porter,J.A.等(1995)Cell 86,21-34)及びN末端の脂肪酸付
加(Pepinsky等(1998)J.Biol.Chem.273,14037-14045)の間中、膜に結合したまま
でいる。これらの修飾は、ヘッジホッグシグナルの組織配置の限定にとって非常
に重要である。コレステロールの付加は、プロセッシング過程において、C末端
ドメインにより触媒される。
【0005】 ヘッジホッグのようなタンパク質様基質のそれらの意図される応用についての
有用性を制限する主な因子は、非経口的に投与された場合に、それらが短時間で
身体から排除されることである。これは、プロテアーゼによる代謝、又はタンパ
ク質排除のための正常な経路を利用する例えば腎臓での濾過によるクリアランス
の代謝の結果として起こりうる。これらの物質の経口経路での投与は、胃におけ
るタンパク質分解に加えて、胃の高い酸性は、それらを意図する標的組織に到達
する前に不活性化しうるので、一層問題がある。これらの投与経路に関係する問
題は、製薬産業では周知であり、それらを解決する試みにおいて様々な戦略が用
いられている。
【0006】 タンパク質安定化を扱った多くの仕事が発表されてきた。広く用いられてきた
一つの安定化方法は、不活性ポリマーのタンパク質への添加である。タンパク質
の選択したアミノ酸残基(例えば、システイン、リジン、N末端残基)を高分子物
質と結合させる多くの方法(デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリコペプ
チド、ポリエチレングリコール及びポリアミノ酸の利用を含む)が知られている
。生成した結合ポリペプチドは、非経口適用につき、それらの生物学的活性及び
水溶性を保持していると報告されている。
【0007】 ヘッジホッグの場合には、我々は、以前に、ある種の細胞においては、タンパ
ク質がそのN末端ドメインの様々な部位においてタンパク質分解性の切り取り(
クリッピング)を受けるということを発見した。その上、これらのN末端を切り
取られた形態のヘッジホッグは、10T1/2アッセイにおいて不活性である(
該アッセイにおいては、10T1/2細胞株が、活性なソニックヘッジホッグタ
ンパク質の存在下で5日間培養した際に、アルカリホスファターゼのアップレギ
ュレーションを示す)。特に、N末端の最初の10アミノ酸を欠くソニックヘッ
ジホッグは、不活性であり、このアッセイで野生型のSHHと共存した場合には
該野生型と拮抗しもする。(U.S.S.N.60/106,703)。従って、もし
、完全に活性で、ポリマーなどの非ヘッジホッグ部分を用いて更に安定化するこ
とのできるタンパク質を生成することを希望するならば、N末端のタンパク質分
解性の切り取りを防止する必要がある。
【0008】 発明の要約 この発明は、部分的に、ある細胞型における発現中のヘッジホッグのN末端切
り取りが細胞内で起き、KEX2ゴルジプロテアーゼ又は類似のKEX2様細胞
内プロテアーゼによって触媒されるらしいという我々の発見に基づいている。
【0009】 ヘッジホッグ中のKEX2認識部位を、細胞内タンパク質分解性の切り取りを
排除し、そうして、非ヘッジホッグ部分(例えば、免疫グロブリン部分)に結合す
ることのできるヘッジホッグタンパク質部分を与えるために変異させた。これら
の変異型タンパク質をN末端ドメイン(単一の配列開裂後の成熟タンパク質の残
基Cys1〜Gly174に対応するソニックヘッジホッグコード配列のコドン
Cys24〜Gly197)として発現させた。ここに、我々は、これらの変異
体の安定性及びヘッジホッグ活性につき並びにヘッジホッグ−Fc融合タンパク
質の活性型の製造について報告する。
【0010】 更に、我々は、免疫グロブリンヘッジホッグ融合タンパク質の非融合型と比べ
ての利点を利用することができる(ヘッジホッグタンパク質がN末端でタンパク
質分解性の切り取りを受けていてもいなくても)。しかしながら、特に、我々は
、Ig部分を欠くヘッジホッグと比べて増大したバイオアベイラビリティーを有
し且つ更に細胞内プロテアーゼにより切り取られ得ないという有益な特性を有す
るヘッジホッグ−Ig融合物を開発した。従って、ヘッジホッグ部分に修飾を施
して、生成物(ヘッジホッグ免疫グロブリン融合タンパク質)がアゴニスト又はア
ンタゴニストであるが、それらの生物学的活性のすべて又は殆どを保持している
ようにすることができる。次の特性が生じうる:増大した半減期及び組織分布の
変化へと導く改変した薬物速度論及び薬力学(例えば、脈管構造に一層長時間留
まっている能力)。かかる配合物は、製薬及び医療技術における実質的な進歩で
あり、ヘッジホッグが幾らかの有用性を有する様々な疾病例えば末梢神経障害及
び神経退行性疾患の取り扱いに有意の貢献をなすであろう。特に、脈管構造中に
一層長時間留まる能力は、潜在的に、ヘッジホッグ融合タンパク質が血液脳関門
を通過することを可能にする。
【0011】 特に、この発明は、アミノ酸配列X−Y−Zを有する単離されたポリペプチド
に関係する(式中、Xは、ヘッジホッグのアミノ酸配列よりなるアミノ酸配列又
はその部分を有するポリペプチドであり;Yは、随意のリンカー部分であり;そ
してZは、ヘッジホッグ以外のポリペプチドの少なくとも一部分を含むポリペプ
チドである)。好ましくは、Xは、ヒトのソニック、インディアン又はデザート
ヘッジホッグである。好適具体例において、Zは、免疫グロブリンの定常領域の
少なくとも一部分であり、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEから選択
するクラスの免疫グロブリンから誘導することができる。このクラスがIgGで
あれば、それを、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の一つから選択す
る。ヒトのIgM及びIgEの定常領域は、4つの定常領域(CH1、(ヒンジ)
、CH2、CH3及びCH4)を含んでいるが、ヒトのIgG、IgA及びIg
Dの定常領域は、3つの定常領域(CH1、(ヒンジ)、CH2及びCH3)を含ん
でいる。この発明の最も好適な融合タンパク質において、定常領域は、少なくと
もヒンジ、CH2及びCH3ドメインを含む。
【0012】 この発明の他の具体例は、ヘッジホッグ又はその部分のアミノ酸配列よりなる
アミノ末端領域とヘッジホッグ以外のタンパク質の少なくとも一部分を含むカル
ボキシ末端領域を有する融合タンパク質である。このカルボキシ部分は、好まし
くは、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEから選択するクラスの免疫グ
ロブリンに由来する免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分である。最も
好適な融合タンパク質において、定常領域は、少なくともヒンジ、CH2及びC
H3ドメインを含む。
【0013】 この発明の他の具体例は、ヘッジホッグ部分(例えば、上記の式中のX)が変化
したKEX2プロテアーゼ認識部位を有する突然変異タンパク質を与えるように
変異した融合タンパク質である。
【0014】 この発明の更に別の具体例は、上記の融合タンパク質をコードする単離された
DNAである。この発明は又、上記の融合タンパク質をコードする単離されたD
NAと発現制御配列を含む組換えDNA(該発現制御配列は、該DNAに機能的
に結合されている)にも関係する。この発明の範囲は又、この発明の組換えDN
A配列でトランスフォームされた宿主細胞をも包含する。
【0015】 この発明は、更に、組換えポリペプチドの製造方法であって、この発明による
宿主細胞の集団を用意し;その細胞集団を条件下で増殖させ、それにより、組換
えDNAによりコードされるポリペプチドを発現させ;そして発現されたポリペ
プチドを単離することを含む当該組換えポリペプチドの製造方法にも関係する。
【0016】 この発明の更なる面は、ヘッジホッグと天然においては結合していない付加的
ポリペプチドを含む実質的に純粋な形態のヘッジホッグ融合タンパク質であり、
この融合物は、付加的ポリペプチドを欠くヘッジホッグのバイオアベイラビリテ
ィーと少なくとも等しい、好ましくは一層大きいバイオアベイラビリティーを有
する。
【0017】 この発明の更に別の面は、有効量のヘッジホッグ融合タンパク質を含む医薬組
成物である。
【0018】 詳細な説明 この詳細な説明で引用するすべての参考文献を、別途明記しない限り、参考とし
て本明細書中に援用する。本明細書においては、以下の用語を用いる:
【0019】 I.定義 この発明を、今から、以下の定義を含む以下の詳細な説明を参照しながら説明
する:
【0020】 ここで用いる場合、用語ヘッジホッグ「アンタゴニスト」は、ヘッジホッグが
そのレセプターに結合するのを阻害する任意の化合物を包含する。この発明の目
的に関して、ヘッジホッグアンタゴニストは又、ヘッジホッグ及び/又はパッチ
ト媒介の結合を阻害若しくはブロックすることができ或はヘッジホッグ及び/又
はパッチト機能を例えばヘッジホッグリガンド媒介のヘッジホッグシグナル変換
を阻害し又はブロックすることにより調節することのできる抗ヘッジホッグ又は
抗パッチト抗体などの剤例えばポリペプチドをもいう。かかるヘッジホッグ/パ
ッチト相互作用のアンタゴニストは、次の特性の一つ以上を有する剤である:(
1)それは、ヘッジホッグを有し又は分泌する細胞の表面のヘッジホッグを十分
な特異性で被覆し又はそれに結合して、ヘッジホッグリガンド/ヘッジホッグ相
互作用例えばヘッジホッグ/パッチト相互作用を阻害し;(2)それは、ヘッジホ
ッグを有し又は分泌する細胞の表面上のヘッジホッグを十分な特異性で被覆し又
はそれに結合して、ヘッジホッグ媒介のシグナルの変換例えばヘッジホッグ/パ
ッチト媒介のシグナリングを改変し好ましくは阻害し;(3)それは、細胞内又は
細胞上のヘッジホッグレセプター(例えば、パッチト)を十分な特異性で被覆し又
はそれに結合して、ヘッジホッグ/パッチト相互作用を阻害し;(4)それは、細
胞内又は細胞上のヘッジホッグレセプター(例えば、パッチト)を十分な特異性で
被覆し又はそれに結合して、ヘッジホッグ媒介のヘッジホッグシグナリング例え
ばパッチト媒介のヘッジホッグシグナリングの変換を改変し好ましくは阻害する
【0021】 好適具体例において、このアンタゴニストは、特性1及び2の一方又は両方を
有している。他の好適具体例において、このアンタゴニストは、特性3及び4の
一方又は両方を有している。その上、2以上のアンタゴニスト例えばヘッジホッ
グに結合する薬剤を患者に投与することができる(ヘッジホッグは、パッチトに
結合する薬剤と組み合わせることができる)。
【0022】 例えば、抗体又は抗体同族体を含むヘッジホッグタンパク質(下記で論じる)並
びに他の分子例えばヘッジホッグに対する天然の可溶性形態の結合性タンパク質
は、有用である。ヘッジホッグに対する天然の可溶性形態の結合性タンパク質に
は、可溶性のパッチトペプチド、パッチト融合タンパク質又は二官能性パッチト
/Ig融合タンパク質が含まれる。例えば、可溶性形態のパッチト又はその断片
を投与してヘッジホッグに結合させ、好ましくは細胞上のヘッジホッグ結合部位
について競争させ、それにより、抗ヘッジホッグ抗体などのアンタゴニストの投
与と似た効果を導くことができる。特に、パッチトに結合するがヘッジホッグ依
存性シグナリングを誘出しない可溶性ヘッジホッグ変異体は、この発明の範囲内
に含まれる。かかるヘッジホッグ変異体は、野生型ヘッジホッグタンパク質の競
争阻害剤として作用しうるものであり、「アンタゴニスト」と考えられる。
【0023】 ここで論じるように、例えば免疫グロブリン又はその断片などの抗体同族体と
融合させ或は結合させることのできるヘッジホッグアンタゴニストは、ヘッジホ
ッグ若しくはパッチト又は他の分子の特定の種類又は構造に限られず、それで、
この発明の目的に関して、ヘッジホッグ抗原と融合タンパク質を形成することの
できる及びヘッジホッグ抗原に結合することのできる任意の薬剤であって、ヘッ
ジホッグを効果的にブロックし又は被覆する任意の薬剤は、本明細書の実施例に
おいて用いられるアンタゴニストと同等であると考えられる。
【0024】 ここで用いる場合、用語「抗体同族体」は、ジスルフィド結合により繋がれた
免疫グロブリン軽鎖と重鎖からなる完全な抗体を含む。用語「抗体同族体」は、
少なくとも一の抗原(即ち、ヘッジホッグ又はパッチト)に結合することのできる
免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖及びこれらの抗原結合性断片から選択
する少なくとも一のポリペプチドを含むタンパク質を包含することも意図してい
る。2以上のポリペプチドからなる抗体同族体の成分ポリペプチドは、適宜、ジ
スルフィド結合或は共有結合により架橋されていてよい。従って、「抗体同族体
」は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM型(並びに、これらのサブタイ
プ)の完全な免疫グロブリンを包含し、ここに、免疫グロブリンの軽鎖は、カッ
パ又はラムダ型のものであってよい。この発明の好適な融合タンパク質は、抗原
結合特異性を保持している完全な抗体の部分例えばFab断片、Fab'断片、F(ab
')2断片、F(v)断片、重鎖モノマー又はダイマー、軽鎖モノマー又はダイマー
、一の重鎖と一の軽鎖からなるダイマーなどを含むことができる。
【0025】 最も好適な融合タンパク質は、免疫グロブリン軽鎖、重鎖又はこれらの両者の
ヒンジ及び定常領域の全部又は一部に融合或は結合されたヘッジホッグ部分を含
むものである。従って、この発明は、(1)ヒンジ部分、(2)第二のペプチド例え
ばヘッジホッグ部分の溶解度又はイン・ビボでの寿命を増大させるペプチド例え
ば免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー又はその断片若しくは部分例え
ばIgGの一部分又は断片例えばヒトIgG1重鎖定常領域例えばCH2、CH
3及びヒンジ領域;及び毒素部分を含む分子を特徴とする。
【0026】 ここで用いる場合、「ヒト化抗体同族体」は、組換えDNA技術により生成さ
れる抗体同族体であって、ヒト免疫グロブリンの抗原結合に必要でない軽鎖又は
重鎖のアミノ酸配列の幾つか又は前部が非ヒト哺乳動物免疫グロブリン軽鎖又は
重鎖由来の対応アミノ酸の代わりに用いられている抗体同族体である。「ヒト抗
体同族体」は、免疫グロブリン軽鎖又は重鎖のすべてのアミノ酸が(それらが抗
原結合に必要であるか否かに関係なく)ヒト起源に由来する抗体同族体である。
【0027】 ここで用いる場合、用語ヘッジホッグ「アゴニスト」は、ヘッジホッグレセプ
ターを活性化する任意の化合物を包含する。
【0028】 「アミノ酸」 − ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質のモノマーユニット
。天然のペプチド、ポリペプチド及びタンパク質においては、20アミノ酸が見
出されており、それらのすべてはL異性体である。この用語は又、これらのアミ
ノ酸の類似体及びタンパク質アミノ酸のD異性体及びそれらの類似体をも包含す
る。
【0029】 ヘッジホッグタンパク質は、もしそれが、次の特性の少なくとも一つを有する
ならば、「生物学的活性」を有する:(i)それは、そのレセプター、パッチトに
結合する能力を有し、若しくはそれは、この特徴を有するポリペプチドを発現に
際してコードし;及び/又は(ii)それは、C3H10T1/2細胞においてアル
カリホスファターゼ活性を誘導することができる。この「生物学的活性」の機能
試験に適合するヘッジホッグタンパク質は、本願で図2で規定するヘッジホッグ
共通基準(SEQ ID NO:26)に適合しうるが、それは、ヘッジホッグの
変異型であってもよい。この用語「生物学的活性」は、ここに規定するアンタゴ
ニスト及びアゴニストを包含する。
【0030】 用語「バイオアベイラビリティー」は、化合物の、投与後に身体により吸収さ
れる能力をいう。例えば、第一の化合物と第二の化合物の両者を等量投与した場
合に、第一の化合物が第二の化合物よりも多量に血液中に吸収されるならば、第
一の化合物は、第二の化合物よりも大きいバイオアベイラビリティーを有する。
【0031】 ここで用いる場合、用語「共有結合された」は、この発明(例えば、免疫グロ
ブリン断片/ヘッジホッグタンパク質)の特定の部分が、互いに共有結合で直接
結合されるか、或は互いにブリッジ、スペーサー若しくは結合部分などの介在部
分を介して間接的に結合されることを意味する。この介在部分は、「カップリン
グ基」と呼ばれる。用語「結合された」は、「共有結合された」と浩瀚可能に用
いる。
【0032】 「発現制御配列」 − 遺伝子の発現をそれらの遺伝子に機能的に結合された場
合に、制御し、調節するポリヌクレオチド配列。
【0033】 「発現ベクター」 − 宿主細胞に導入した場合に、少なくとも一つの遺伝子の
発現を可能にするDNAプラスミド又はファージなど(他の共通の例の内で)のポ
リヌクレオチド。このベクターは、細胞内で複製できてもできなくてもよい。
【0034】 語句「細胞外シグナリングタンパク質」は、細胞から分泌され又は細胞膜に結
合しており、標的細胞上のそのタンパク質のレセプターへの結合に際してその標
的細胞における応答を開始させる任意のタンパク質を意味する。
【0035】 この発明の薬剤の「有効量」は、処理される特定の条件につき、結果を生じ又
は作用を発揮する量である。
【0036】 アミノ酸残基の「機能的同等物」は、(i)機能的同等物により置換されたアミ
ノ酸残基と類似の反応特性を有するアミノ酸;(ii)この発明のポリペプチドのリ
ガンドのアミノ酸、機能的同等物により置換されたアミノ酸残基と類似の特性を
有するアミノ酸;(iii)機能的同等物により置換されたアミノ酸残基と類似の特
性を有する非アミノ酸分子である。
【0037】 ヘッジホッグタンパク質をコードする第一のポリペプチドは、下記の条件の少
なくとも一つを満足するならば、ヘッジホッグタンパク質をコードする第二のポ
リペプチドと比較して「機能的同等物」である: (a):「機能的同等物」は、第二のポリペプチドと標準的ハイブリダイゼーシ
ョン条件下でハイブリダイズし及び/又は第一のポリヌクレオチドに対する縮重
である第一のポリヌクレオチドである。最も好ましくは、それは、ヘッジホッグ
タンパク質活性を有する変異型ヘッジホッグをコードする; (b)「機能的同等物」は、第二のポリヌクレオチドによりコードされるアミノ
酸配列を発現に際してコードする第一のポリヌクレオチドである。
【0038】 用語「ヘッジホッグ」は、ここに列記した薬剤並びにそれらの機能的同等物を
含むが、それらに限らない。それ故、ここで用いる場合、用語「機能的同等物」
は、ヘッジホッグタンパク質又はヘッジホッグタンパク質をコードするポリヌク
レオチドをいい、それは、哺乳動物レシピエントに対してヘッジホッグと同じか
又は改善された有益な効果を有する。当業者は認めるであろうが、機能的に同等
なタンパク質は、組換え技術により、例えば「機能的に同等なDNA」を発現さ
せることよって作成することができる。従って、本発明は、天然のDNAにより
コードされる並びに天然のDNAにコードされるのと同じタンパク質をコードす
る非天然DNAによりコードされるヘッジホッグタンパク質を包含する。ヌクレ
オチドコード配列の縮重のために、他のポリヌクレオチドを用いてヘッジホッグ
タンパク質をコードすることができる。これらは、配列内の同じアミノ酸残基を
コードする別のコドンでの置換(サイレントな変化を生じる)により変更された上
記の配列のすべて又は部分を包含する。かかる変更された配列は、これらの配列
の同等物と考えられる。例えば、Phe(F)は、2つのコドンTTC又はTTT
によりコードされ、Tyr(Y)は、TAC又はTATによりコードされ、そして
His(H)は、CAC又はCATによりコードされる。他方、Trp(W)は、単
一のコドンTGGによりコードされる。従って、特定のヘッジホッグをコードす
る所定のDNA配列には、該ヘッジホッグをコードする多くのDNA縮重配列が
あるということは認められよう。これらの縮重DNA配列は、この発明の範囲内
にあると考えられる。
【0039】 「融合」は、2つ以上のタンパク質又はそれらの断片の、それらの個々のペプ
チド主鎖による共直線性の結合をいう(それらのタンパク質をコードするポリヌ
クレオチド分子の遺伝子発現による)。タンパク質又はその断片が異なる起源で
あることは好ましい。従って、好適な融合タンパク質は、ヘッジホッグでない第
二の部分に共有結合されたヘッジホッグタンパク質又は断片を含む。特に、「ヘ
ッジホッグタンパク質/Ig融合物」は、この発明のヘッジホッグタンパク質又
はその断片を免疫グロブリン鎖のN末端に結合して含むタンパク質であり、ここ
に、その免疫グロブリンのN末端の一部は、ヘッジホッグタンパク質により置換
されている。
【0040】 用語「融合物」又は「融合タンパク質」は、2つ以上のタンパク質又はそれら
の断片の、それらの個々のペプチド主鎖による共直線性の共有結合をいい、最も
好ましくは、それらのタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子の遺伝子発
現による。これらのタンパク質又はそれらの断片が異なる起源に由来するという
ことは好ましい。従って、好適な融合タンパク質は、ヘッジホッグタンパク質又
は断片をヘッジホッグタンパク質でない第二の部分に共有結合させて含む。特に
、「ヘッジホッグ/Ig融合物」は、この発明の生物学的に活性なヘッジホッグ
分子(即ち、ソニックヘッジホッグ)又は生物学的に活性なその断片を免疫グロブ
リン鎖のN末端に結合して含むタンパク質であり、ここに、この免疫グロブリン
のN末端の一部はヘッジホッグにより置換されている。ヘッジホッグ/Ig融合
物の一の種は、この発明のヘッジホッグ分子(即ち、ヘッジホッグ−)を免疫グロ
ブリンの定常ドメインの少なくとも一部に結合して含むタンパク質である「ヘッ
ジホッグ/Fc融合物」である。好適なFc融合物は、この発明のヘッジホッグ
変異体を、免疫グロブリン重鎖のC末端ドメインを含む抗体の断片に結合して含
む。用語「融合タンパク質」は又、ヘッジホッグタンパク質でない第二の部分に
モノ又はヘテロ官能性分子を介して化学的に結合された、下記のように精製タン
パク質からデ・ノボで生成されるヘッジホッグタンパク質をも意味する。
【0041】 「異種プロモーター」は、ここで用いる場合、天然において、遺伝子又は精製
核酸と結合していないプロモーターである。
【0042】 「相同性」は、ここで用いる場合、用語「同一性」と同義語であり、2つのポ
リペプチド分子間の又は2つの核酸の間の配列類似性をいう。2つの比較される
配列の両者のある位置が同じ塩基又はアミノ酸モノマーで占められるならば(例
えば、2つのDNA分子の各々のある位置がアデニンで占められ、又は2つのポ
リペプチドの各々のある位置がリジンで占められているならば)、これら各分子
は、その位置で相同である。2つの配列間の相同性パーセンテージは、それら2
つの配列に共通の一致するか又は相同な位置の数を比較される位置の数で除した
ものを100倍したものの関数である。例えば、2つの配列中の10の位置の内
の6つが一致し又は相同であれば、これらの2つの配列は、60%相同である。
例えば、DNA配列CTGACTとCAGGTTは、50%相同性を共有してい
る(6つの全位置の内の3つが一致)。一般に、比較は、2つの配列を最大の相同
性を与えるように整列させて行う。かかるアラインメントは、例えばNeedleman
等、J.Mol Biol.48:443-453(1970)の方法(以下に、一層詳細に記すように、コン
ピュータープログラムによって便利に実行される)を用いて与えることができる
。相同配列は、同一の又は類似のアミノ酸残基を共有し、ここに、類似の残基と
は、整列させた基準配列中の対応アミノ酸残基について保存的置換を受けた残基
又は該対応アミノ酸残基の「許された点突然変異体」である。この点に関して、
基準配列中の残基の「保存的置換」は、対応基準残基に物理的又は機能的に類似
する置換であり、例えば、類似の大きさ、形状、電荷、化学的特性(共有結合又
は水素結合を形成する能力を含む)などを有するものである。特に好適な保存的
置換は、Dayhoff等、5: Atlas of Protein Sequence and Structure, 5:補遺3,
第22章:354-352, Nat.Biomed.Res.Foundation, Washington,D.C.(1978)中の「許
容される点突然変異」について規定された基準を満たすものである。
【0043】 「相同性」及び「同一性」は、各々、2つのポリペプチド配列間の配列類似性
をいうが、同一性は一層厳格な比較である。相同性及び同一性は、比較目的で整
列させうる各配列中の一つの位置を比較することにより測定される。比較する配
列中のある位置が同じアミノ酸残基で占められていれば、それらのポリペプチド
は、その位置で同一であるということができ;相当する位置が同じアミノ酸(例
えば、同一)又は類似するアミノ酸(例えば、立体的及び/又は電子的性質が類似
)で占められていれば、それらの分子は、その位置で相同であるということがで
きる。配列間の相同性又は同一性のパーセンテージは、それらの配列に共有され
る一致し又は相同な位置の数の関数である。「無関係の」又は「非相同な」配列
は、本発明のAR配列と、40パーセント未満の同一性を共有するが、好ましく
は25パーセント未満の同一性を共有する。
【0044】 FASTA、BLAST又はENTREZを含む様々なアラインメントアルゴ
リズム及び/又はプログラムを利用することができる。FASTA及びBLAS
Tは、GCG配列分析パッケージ(ウィスコンシン大学、ウィスコンシン、Madis
on在)の一部として利用可能であり、例えば、デフォルトセッティングを用いて
利用することができる。ENTREZは、National Center for Biotechnology
Information, National Library of Medicine, National Institutes of Health
(メリーランド、Bethesda在)から入手可能である。一具体例において、2つの配
列の同一性パーセントを、ギャップウェイト1で(例えば、各アミノ酸ギャップ
を、それが2つの配列間の単一のアミノ酸又はヌクレオチドミスマッチであるか
のように重み付けして)GCGプログラムによって決定することができる。
【0045】 この発明の「ヘッジホッグタンパク質」は、少なくとも図2のコンセンサスア
ミノ酸配列(SEQ ID NO:26)よりなる部分を有することによって定義
される。この用語は又、ヘッジホッグポリペプチド、又はヘッジホッグポリペプ
チドの機能的変異体、又はヘッジホッグポリペプチド若しくは機能的変異体の同
族体(生物学的活性を有するもの)をも意味する。
【0046】 用語「ヘッジホッグN末端断片」は、「ヘッジホッグ」と交換可能に用い且つ
ヘッジホッグ前駆体からタンパク質分解によって開裂された活性な成熟配列をい
う。
【0047】 用語「疎水性」は、無極性原子を有する化学的部分が水その他の極性原子とよ
りも互いに相互作用する傾向をいう。「疎水性」の物質は、たいてい、水に不溶
性である。疎水性を有する天然の生成物には、脂質、脂肪酸、リン脂質、スフィ
ンゴ脂質、アシルグリセロール、ワックス、ステロール、テルペン、プロスタグ
ランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、イソプレノイド、レチノイド、ビ
オチン、及び疎水性アミノ酸例えばトリプトファン、フェニルアラニン、イソロ
イシン、バリン、メチオニン、アラニン、プロリン及びチロシンが含まれる。化
学的部分は又、物理的特性が無極性原子の存在により測定されるならば、疎水性
でもあり又は疎水性を有する。
【0048】 語句「内部アミノ酸」は、ペプチド配列内のN末端アミノ酸でもC末端アミノ
酸でもない任意のアミノ酸を意味する。
【0049】 「単離された」(「実質的に純粋」と交換可能に用いる)は、ポリペプチドをコ
ードする核酸即ちポリヌクレオチド配列に適用する場合には、起源又は操作によ
り、(i)天然において結合しているすべてのポリヌクレオチドと結合しておらず
(例えば、宿主細胞内に、発現ベクター又はその一部として存在し);又は(ii)天
然において結合しているもの意外の核酸又は他の化学部分と結合しており;又は
(iii)天然に存在しないRNA又はDNAポリヌクレオチド、ゲノムポリヌクレ
オチドの部分、cDNA又は合成ポリヌクレオチドを意味する。「単離された」
とは、更に、(i)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってイン・ビトロで
増幅され;(ii)化学的に合成され;(iii)クローニングにより組換えによって生
成され;又は(iv)開裂及びゲル分離により精製されたポリヌクレオチド配列を意
味する。
【0050】 「単離された」(「実質的に純粋」と交換可能に用いる)は、ポリペプチドに適
用する場合には、その起源又は操作により、(i)発現ベクターの一部の発現産物
として宿主細胞中に存在し;又は(ii)天然において結合しているもの以外のタン
パク質又は他の化学部分に結合し;又は(iii)天然に存在しないポリペプチド又
はその一部分を意味する(例えば、天然において見出されない形態になるように
少なくとも一つの疎水性部分を付加することにより化学的に操作されたタンパク
質)。「単離された」とは、更に、(i)化学的に合成され;又は(ii)宿主細胞内
で発現されて、結合し及び夾雑しているタンパク質から精製されたタンパク質を
意味する。この用語は、一般に、天然において共存している他のタンパク質及び
核酸から分離されたポリペプチドを意味する。好ましくは、このポリペプチドは
、それを精製するために用いた抗体又はゲルマトリクス(ポリアクリルアミド)な
どの物質からも分離される。
【0051】 「多価タンパク質複合体」は、複数(即ち、一種以上)のヘッジホッグタンパク
質をいう。抗体同族体又は断片を、複数のヘッジホッグタンパク質の少なくとも
一つに結合させる。このヘッジホッグタンパク質又は抗体同族体若しくは断片は
、他の抗体同族体又は断片に架橋し又は結合させることができる。各タンパク質
は、同じであっても異なってもよく、各抗体同族体又は断片は、同じであっても
異なってもよい。
【0052】 「突然変異体」 − 生物の遺伝物質の任意の変化、特に、野生型ポリヌクレオ
チド配列における任意の変化(即ち、欠失、置換、付加又は変更)又は野生型タン
パク質における任意の変化。用語「突然変異タンパク質」は、「突然変異体」と
交換可能に用いられる。
【0053】 「N末端」は、タンパク質の成熟型の最初のアミノ酸残基(アミノ酸番号1)を
いう。
【0054】 「N末端システイン」は、図1及び2(SEQ ID NO:23〜26)に示
したアミノ酸番号1をいう。ヘッジホッグタンパク質のある具体例において、N
末端システインは、「改変」されている。用語「改変」は、この点に関して、N
末端システインの化学的改変例えば他の部分例えば疎水性基への結合及び/又は
N末端システインの他の部分例えば疎水性機での置換をいう。
【0055】 「機能的に結合された」 − ポリヌクレオチド配列(DNA、RNA)は、発現
制御用配列がそのポリヌクレオチド配列の転写及び翻訳を制御し及び調節するな
らば、機能的に発現制御用配列に結合されている。用語「機能的に結合された」
は、適当な開始シグナル(例えば、ATG)を発現すべきポリヌクレオチド配列の
前に有すること及び正しい読み枠を維持して、その発現制御用配列の制御下での
ポリヌクレオチド配列の発現及びそのポリヌクレオチド配列にコードされる所望
のポリペプチドの生成を可能にすることを包含する。
【0056】 「タンパク質」 − 本質的に20種類のアミノ酸の何れかからなる任意のポリ
マー。「ポリペプチド」は、しばしば、比較的大きいポリペプチドを参照する際
に用いられ、「ペプチド」は、しばしば、小さいポリペプチドを参照する際に用
いられるが、これらの用い方は、当分野においては、重複し、又、変化する。用
語「タンパク質」は、ここで用いる場合、別途指示しない限り、ペプチド、タン
パク質及びポリペプチドをいう。
【0057】 用語「ペプチド」、「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、ここでは、交換
可能に用いる。用語「ポリヌクレオチド配列」及び「ヌクレオチド配列」も又、
ここでは、交換可能に用いる。
【0058】 「組換え」は、ここで用いる場合、組換え哺乳動物発現系に由来するタンパク
質を意味する。ヘッジホッグはグリコシル化されてもおらずジスルフィド結合も
含まないので、それは、殆どの原核生物及び真核生物発現系において発現させる
ことができる。
【0059】 「スペーサー」配列は、抗体同族体又は断片により改変すべきアミノ酸とタン
パク質の残りの部分との間に挿入されうる部分をいう。スペーサーは、改変がタ
ンパク質機能を邪魔するのを阻止するように及び/又は改変が抗体同族体部分若
しくは任意の他の部分と結合するのを容易にするように、改変とタンパク質の残
りとの間の分離を与えるようにデザインする。
【0060】 従って、「実質的に純粋な核酸」は、その核酸が由来した生物の天然のゲノム
中で通常隣接しているコード配列の一方又は両方と直接隣接しない核酸である。
実質的に純粋なDNAは又、付加的ヘッジホッグ配列をコードするハイブリッド
遺伝子の部分である組換えDNAをも包含する。
【0061】 語句「表面アミノ酸」は、タンパク質が天然形態で折り畳まったときに、溶媒
にさらされている任意のアミノ酸を意味する。
【0062】 「標準的ハイブリダイゼーション条件」 − ハイブリダイゼーションと洗浄の
両方について、0.5×SSC〜5×SSC及び65℃と実質的に等しい塩及び
温度条件。それ故、用語「標準的ハイブリダイゼーション条件」は、ここで用い
る場合、操作限定であり、ある範囲のハイブリダイゼーション条件を包含する。
例えば、高緊縮条件は、プラークスクリーニング緩衝液(0.2% ポリビニルピ
ロリドン、0.2% フィコール400;0.2% ウシ血清アルブミン、50m
M トリス−HCl(pH7.5);1M NaCl;0.1% ピロリン酸ナトリ
ウム;1% SDS);10% デキストランサルフェート及び100μg/ml
変性超音波処理サケ精子DNAを用いて、65℃で12〜20時間ハイブリダイ
ズさせ、75mM NaCl/7.5mM クエン酸ナトリウム(0.5×SSC)
/1% SDSで65℃で洗浄することを含むことができる。一層低緊縮の条件
は、例えば、プラークスクリーニング緩衝液、10% デキストランサルフェー
ト及び110μg/ml 変性超音波処理サケ精子DNAを用いて55℃で12
〜20時間ハイブリダイズさせ、300mM NaCl/30mM クエン酸ナト
リウム(2.0×SSC)/1% SDSで55℃で洗浄する。Current Protocols
in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. New York, 第6.3.1-6.3.6
節(1989)も参照されたい。
【0063】 「治療用組成物」は、ここで用いる場合、この発明のタンパク質と他の生物学
的に適合性の成分を含むとして定義される。この治療用組成物は、水、ミネラル
及びキャリアー例えばタンパク質などの賦形剤を含むことができる。
【0064】 「野生型」 − イン・ビボで正常に存在する通りのタンパク質のエキソン若し
くはその一部分の天然のポリヌクレオチド配列、又はタンパク質配列若しくはそ
の部分。
【0065】 本発明の実施は、別途指示しない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、
微生物学、組換えDNA、タンパク質化学及び免疫学の慣用の技術を用いる(こ
れらは、当業者の技術の内にある)。かかる技術は、文献に記載されている。別
途明記しない限り、詳細な説明において引用したすべての参考文献を、参考とし
て本明細書中に援用する。
【0066】 II.単離されたヘッジホッグタンパク質の一般的特性 主題のタンパク質を誘導することのできる様々な天然のヘッジホッグタンパク
質は、シグナルペプチド、高度に保存されたN末端領域(図1参照)及び一層分岐
したC末端ドメインによって特性表示される。分泌経路におけるシグナル配列開
裂(Lee,J.J.等(1992)Cell 71:33-50;Tabata,T.等(1992)Genes Dev.2633-2645;
Chang,D.E.等(1994)Development 120:3339-3353)に加えて、ヘッジホッグ前駆体
タンパク質は、天然において、C末端部分の保存された配列に依存する内部自己
タンパク質分解性の開裂を受ける(Lee等(1994)Science 266:1528-1537;Porter
等(1995)Nature 374:363-366)。この自己開裂は、19kDのN末端ペプチドと
26〜28kDのC末端ペプチドへと導く。このN末端ペプチドは、それが合成
された細胞の表面にきつく結合したままでいるが、C末端ペプチドは、イン・ビ
トロでもイン・ビボでも自由に拡散することができる。N末端ペプチドの細胞表
面保持は、内部開裂の正常位置で正確に終端するRNAによりコードされた、切
り詰められた形態のヘッジホッグはイン・ビトロ(Porter等(1995)前出)及びイン
・ビボ(Porter,J.A.等(1996)Cell 86,21-34)で拡散しうるので、自己開裂に依存
している。生化学的研究は、ヘッジホッグ前駆体タンパク質の自己タンパク質分
解性開裂が内部チオエステル中間体を経て進行し、その後これが親核置換により
買い列されることを示した。
【0067】 ヘッジホッグ遺伝子の脊椎動物のファミリーには、少なくとも4つのメンバー
例えば単一のショウジョウバエのヘッジホッグ遺伝子(基準)のパラログが含まれ
る。これらのメンバーの内の3者を、ここでは、デザートヘッジホッグ(Dhh)
、ソニックヘッジホッグ(Shh)及びインディアンヘッジホッグ(Ihh)と呼ぶ
が、これらは、明らかに、魚類、鳥類及び哺乳類を含むすべての脊椎動物に存在
している。ここではtiggie-winkleヘッジホッグ(Thh)と呼ぶ第4のメンバー
は、魚類に特異的であるようである。この発明の方法で用いる単離されたヘッジ
ホッグタンパク質は、天然の又は組換えのヘッジホッグファミリーのタンパク質
であり、無脊椎動物又は脊椎動物起源から得ることができる(下記を参照された
い)。脊椎動物ヘッジホッグタンパク質ファミリーのメンバーは、ショウジョウ
バエのヘッジホッグ(hh)遺伝子により個脅されるタンパク質と相同性を共有し
ている(Mohler 及び Vani,(1992)Development 115,957-971)。他のメンバーは、
まだ同定されていない。
【0068】 マウス及びニワトリのShh並びにマウスのIhh遺伝子(例えば、米国特許
第5,789,543号参照)は、糖タンパク質をコードしており、それらは開
裂を受けて約20kDaのアミノ末端断片と約25kDaのカルボキシ末端断片
を生成する。最も好ましい20kDa断片は、コンセンサス配列SEQ ID
NO:26を有し、これは、SEQ ID NO:23〜25のアミノ酸配列を
含む。この20kDa部分を含む様々な他の断片は、現在クレームしている発明
に入ると考えられる。これらの配列並びにそれらの化学的及び物理的特性を開示
する刊行物には、Hall等(1995)Nature 378,212-216;Ekker等(1995)Curent Biol
ogy 5,944-955;Fan等(1995)Cell 81,457-465, Chang等(1994)Development 120,
3339-3353;Echelard等(1993)Cell 75,1414-1430 34-38);PCT特許出願WO
95/23223(Jessel, Dodd, Roelink及びEdlund;PCT特許公開WO95
/18856(Ingham, McMahon及びTabin)が含まれる。米国特許第5,759,
811号は、ヒトのソニックヘッジホッグをコードする完全なmRNA配列;ヒ
トインディアンヘッジホッグmRNAの5’末端部分配列;及びヒトデザートヘ
ッジホッグmRNAの部分配列のGenbank受入番号を列記している。主題の方法
のヘッジホッグ治療用組成物は、天然タンパク質、組換えにより生成したタンパ
ク質の精製及び合成化学を含む様々な技術の何れかによって生成することができ
る。これらのポリペプチド形態のヘッジホッグ治療剤は、好ましくは、脊椎動物
ヘッジホッグタンパク質に由来し、例えば脊椎動物起源由来の天然のヘッジホッ
グタンパク質又はその断片に対応する配列を有するものである。しかしながら、
ヘッジホッグポリペプチドが、任意の後生動物起源に生じるヘッジホッグタンパ
ク質(又はその断片)に対応しうるということは明らかである。
【0069】 脊椎動物のヘッジホッグ遺伝子ファミリーには、少なくとも4つのメンバー、
例えば単一のショウジョウバエヘッジホッグ遺伝子(SEQ ID NO:19)
のパラログが含まれる。これらのメンバーの内の3つを、ここでは、デザートヘ
ッジホッグ(Dhh)、ソニックヘッジホッグ(Shh)及びインディアンヘッジホ
ッグ(Ihh)と呼ぶが、これらは、魚類、鳥類及び哺乳類を含むすべての脊椎動
物に存在する。ここでtiggie-winkleヘッジホッグ(Thh)と呼ぶ第4のメンバ
ーは、魚類に特異的であるようである。添付の配列表によれば(図1も参照され
たい)、ニワトリShhポリペプチドは、SEQ ID NO:1によりコード
され;マウスDhhポリペプチドは、SEQ ID NO:2によりコードされ
;マウスIhhポリペプチドは、SEQ ID NO:3によりコードされ;マ
ウスShhポリペプチドは、SEQ ID NO:4によりコードされ;ゼブラ
フィッシュShhポリペプチドは、SEQ ID NO:5によりコードされ;
ヒトShhポリペプチドは、SEQ ID NO:6によりコードされ;ヒトI
hhポリペプチドは、SEQ ID NO:7によりコードされ;ヒトDhhポ
リペプチドは、SEQ ID NO:8によりコードされ;そしてゼブラフィッ
シュThhは、SEQ ID NO:9によりコードされる。
【0070】
【表1】
【0071】 様々なヘッジホッグ同族体間の配列変異に加えて、これらのヘッジホッグタン
パク質は、明らかに、プロ型、完全長の天然型及びそれらの幾つかのプロセッシ
ングを受けた断片を含む多くの異なる形態で天然に存在している。プロ型は、細
胞外ドメインの方向付けられた分泌のためのN末端シグナルペプチドを含むが、
完全長の天然型は、このシグナル配列を欠いている。
【0072】 上記のように、幾つかの場合には、成熟型の更なるプロセッシングが起きて、
このタンパク質の生物学的に活性な断片が生じる。例えば、ソニックヘッジホッ
グは、更なるタンパク質分解性プロセッシングを受けて約19kDa及び27k
Daの2つのペプチドを生じ、この19kDaの断片は成熟タンパク質のタンパ
ク質分解によるN末端部分に対応している。
【0073】 種々のヘッジホッグ同族体間の配列変異体に加えて、これらのタンパク質は、
明らかに、プロ型、完全長の天然型、及びそれらの幾つかのプロセッシングを受
けた断片を含む多くの異なる形態で存在している。プロ型は、細胞外ドメインの
方向付けられた分泌のためのN末端シグナルペプチドを含むが、完全長の成熟型
は、このシグナル配列を欠いている。
【0074】 この発明の方法で有用なファミリーメンバーには、アレル対応物、系統発生的
対応物を含む任意の天然のネイティブなヘッジホッグタンパク質又はそれらの他
の天然起源の若しくは化学的に生成された変異体(ヘッジホッグファミリーのム
テイン即ち突然変異タンパク質並びに組換え型及び新規な活性なメンバーを含む
)が含まれる。特に有用なヘッジホッグポリペプチドは、図1及び2(SEQ I
D NO:23〜26)の全部又は部分を含む部分を有する。
【0075】 この発明の方法において用いられる単離されたヘッジホッグポリペプチドは、
生物学的活性を有する。これらのポリペプチドは、図1及び/又は2のアミノ酸
配列(SEQ ID NO:23〜26)に少なくとも60%、80%、90%、
95%、98%又は99%相同なアミノ酸配列を含む。このポリペプチドは又、
図1及び/又は2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:23〜26)と本質的に
同じアミノ酸配列を含むこともできる。このポリペプチドは、少なくとも、5、
10、20、50、100又は150アミノ酸長であり、図1及び/又は2から
の、少なくとも5の、好ましくは少なくとも10の、一層好ましくは少なくとも
20の、最も好ましくは少なくとも50、100又は150の隣接アミノ酸を含
む。
【0076】 この発明のポリペプチドは、同義遺伝子、選択的転写事象、選択的RNAスプ
ライシング事象、並びに選択的翻訳及び翻訳後事象の存在の結果として上昇する
ものを包含する。このポリペプチドは、完全に合成的手段により生成してもよい
し、又はネイティブな細胞において発現されたときに実質的に同じ翻訳後修飾を
生じる系例えば培養細胞若しくはネイティブな細胞において発現されたときに翻
訳後修飾の省略を生じる系において発現させてもよい。
【0077】 一具体例において、単離されたヘッジホッグは、下記の特徴の少なくとも一つ
を有するヘッジホッグポリペプチドである: (i)それは、SEQ ID NO:23〜26のアミノ酸と少なくとも30、
40、42、50、60、70、80、90又は95%の配列同一性を有する; (ii)それは、N末端としてシステイン又は機能的同等物を有する; (iii)それは、C3H10T1/2細胞において、アルカリホスファターゼ活
性を誘導することができる; (iv)それは、SEQ ID NO:23〜26のポリペプチドと、少なくとも
50%の、好ましくは少なくとも60%の、一層好ましくは、少なくとも70、
80、90又は95%の全体的配列同一性を有する; (v)それは、哺乳動物細胞などの天然起源から単離することができる; (vi)それは、パッチトと結合し又は相互作用することができる;そして (vii)それは、少なくとも一つのアミノ酸残基において、適宜、該アミノ酸残
基へのリンカー分子を介して、該残基に結合したポリアルキレングリコールポリ
マーにより修飾されている。
【0078】 好適な核酸は、図1及び2よりなる群(SEQ ID NO:23〜26)から
選択するアミノ酸配列と少なくとも60%相同又は同一の、一層好ましくは70
%相同又は同一の、最も好ましくは80%相同又は同一のアミノ酸配列を含むポ
リペプチドをコードする。SEQ ID NO:23〜26の一つに表されたア
ミノ酸配列と少なくとも約90%、一層好ましくは少なくとも約95%、最も好
ましくは少なくとも約98〜99%相同又は同一のポリペプチドをコードする核
酸も又、この発明の範囲内にある。
【0079】 他の具体例において、このヘッジホッグタンパク質は、SEQ ID NO:
1〜9又は19の少なくとも一つに表されたヘッジホッグコード配列と緊縮条件
下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされうるポリペプチドで
ある。DNAハイブリダイゼーションを促進させる適当な緊縮条件は、例えば、
6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)(約45℃)とそれに続く
2.0×SSC(50℃)での洗浄であり、これは、当業者に公知であって、Curr
ent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y.(1989),6.3.1
-6.3.6中に見出すことができる。例えば、洗浄ステップにおける塩濃度は、約2
.0×SSC(50℃)の低緊縮から約0.2×SSC(50℃)の高緊縮までから
選択することができる。加えて、洗浄ステップにおける温度は、室温(約22℃)
の低緊縮条件から約65℃の高緊縮条件まで増大させることができる。
【0080】 好適な核酸は、SEQ ID NO:8〜14よりなる群から選択するアミノ
酸配列と少なくとも60%相同の、一層好ましくは70%相同の、最も好ましく
は80%相同のアミノ酸配列を含むヘッジホッグポリペプチドをコードするもの
である。SEQ ID NO:10〜18又は20の一つに表されたアミノ酸配
列と少なくとも約90%、一層好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは
少なくとも約98〜99%相同のポリペプチドをコードする核酸も又、この発明
の範囲内にある。
【0081】 本発明に好適なヘッジホッグポリペプチドは、天然のヘッジホッグタンパク質
に加えて、SEQ ID NO:10〜18又は20の何れかにより表されるア
ミノ酸配列と少なくとも60%相同の、一層好ましくは70%相同の、最も好ま
しくは80%相同のものである。SEQ ID NO:10〜18又は20より
なる群から選択する配列と少なくとも90%、一層好ましくは少なくとも95%
、最も好ましくは少なくとも約98〜99%相同なポリペプチドも又、この発明
の範囲内にある。
【0082】 ヘッジホッグポリペプチドの断片に関して、好適なヘッジホッグ部分は、ヘッ
ジホッグポリペプチドの少なくとも50アミノ酸残基、一層好ましくは少なくと
も100、尚一層好ましくは少なくとも150アミノ酸残基を含む。
【0083】 ヘッジホッグ治療剤に含有させることのできる他の好適なヘッジホッグポリペ
プチドは、約19kDaの分子量を有する成熟タンパク質のN末端断片である。
【0084】 好適なヒトのヘッジホッグタンパク質には、SEQ ID NO:15の残基
24〜197、SEQ ID NO:16の28〜202、及びSEQ ID
NO:17の23〜198にほぼ対応するN末端断片が含まれる。「ほぼ対応す
る」とは、関心ある配列が基準配列と最大で20アミノ酸残基長異なることを意
味するが、一層好ましくは最大で5、10又は15アミノ酸長異なる。
【0085】 更に別の好適なヘッジホッグポリペプチドには、式A−Bにより表されるアミ
ノ酸配列が含まれる{式中、(i)Aは、SEQ ID NO:21の残基1〜1
68又はSEQ ID NO:22の残基1〜167により示されるアミノ酸配
列の全部又は部分を表し;且つBは、SEQ ID NO:21の残基169〜
221により示されるアミノ酸配列の少なくとも一つのアミノ酸残基を表し;(i
i)Aは、SEQ ID NO:15の残基24〜193により示されるアミノ酸
配列の全部又は部分を表し;且つBは、SEQ ID NO:15の残基194
〜250により示されるアミノ酸配列の少なくとも一つのアミノ酸残基を表し;
(iii)Aは、SEQ ID NO:13の残基25〜193により示されるアミ
ノ酸配列の全部又は部分を表し;且つBは、SEQ ID NO:13の残基1
94〜250により示されるアミノ酸配列の少なくとも一つのアミノ酸残基を表
し;(iv)Aは、SEQ ID NO:11の残基23〜193により示されるア
ミノ酸配列の全部又は部分を表し;且つBは、SEQ ID NO:11の残基
194〜250により示されるアミノ酸配列の少なくとも一つのアミノ酸残基を
表し;(v)Aは、SEQ ID NO:12の残基28〜197により示される
アミノ酸配列の全部又は部分を表し;且つBは、SEQ ID NO:12の残
基198〜250により示されるアミノ酸配列の少なくとも一つのアミノ酸残基
を表し;(vi)Aは、SEQ ID NO:16の残基29〜197により示され
るアミノ酸配列の全部又は部分を表し;且つBは、SEQ ID NO:16の
残基198〜250により示されるアミノ酸配列の少なくとも一つのアミノ酸残
基を表し;(vii)Aは、SEQ ID NO:17の残基23〜193により示
されるアミノ酸配列の全部又は部分を表し;且つBは、SEQ ID NO:1
7の残基197〜250により示されるアミノ酸配列の少なくとも一つのアミノ
酸残基を表す}。ある好適な具体例において、A及びBは、示された配列一緒に
隣接するポリペプチド配列を表し、Aは、示された配列の少なくとも25、50
、75、100又は150アミノ酸を表し、Bは、配列表中の対応項目により示
されたアミノ酸配列の少なくとも5、10又は20アミノ酸残基を表し、そして
A及びBは、一緒に、好ましくは配列表の項目に対応する隣接配列を表す。他の
ヘッジホッグに由来する類似の断片例えば、上に列記した配列表の項目に由来す
る好適な断片に対応する断片も又、企図される。
【0086】 一般に、この発明の好適な結合体化ヘッジホッグタンパク質の構造は、一般式
:X−Y−Zを有する(式中、Xは、ヘッジホッグのアミノ酸配列よりなるアミ
ノ酸配列又はその部分を有するポリペプチドであり;Yは、付加的リンカー部分
であり;Zは、ヘッジホッグ以外のポリペプチドの少なくとも一部分を含むポリ
ペプチドである)。好ましくは、Xは、ヒトのソニック、インディアン又はデザ
ートヘッジホッグである。好適具体例において、Zは、免疫グロブリンの定常領
域の少なくとも一部分であり、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEから
選択するクラスの免疫グロブリンから誘導することができる。もしこのクラスが
IgGであるならば、それは、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の一
つから選択される。ヒトのIgM及びIgEの定常領域は、4つの定常領域(C
H1、(ヒンジ)、CH2、CH3及びCH4)を含むが、ヒトのIgG、IgA
及びIgDの定常領域は、3つの定常領域(CH1、(ヒンジ)、CH2及びCH
3)を含む。この発明の最も好適な融合タンパク質において、定常領域は、少な
くともヒンジ、CH2及びCH3ドメインを含む。
【0087】 他の具体例A−[Sp]−B−[Sp]−X{式中、Aは、非ヘッジホッグ部分例
えば免疫グロブリン又はその断片であり;[Sp]は、随意のスペーサーペプチド
配列であり;Bは、ヘッジホッグタンパク質であり(適宜、ここに記載のような
ムテインであってよい);そしてXは、ヘッジホッグタンパク質B又は他の残基例
えばタンパク質の表面部位に(適宜、スペーサーペプチドにより)結合された随意
の疎水性部分である}。
【0088】 III.組換えポリペプチドの生成 ここに記載の単離されたヘッジホッグポリペプチドは、当分野で公知の任意の
適当な方法によって生成することができる。かかる方法は、直接的タンパク質合
成法から単離されたポリペプチド配列をコードするDNA配列を構築してそれら
の配列を適当なトランスフォームされた宿主中で発現させることまで及ぶ。
【0089】 組換え法の一具体例においては、DNA配列を、関心ある野生型タンパク質を
コードするDNA配列を単離し又は合成することにより構築する。適宜、この配
列を、部位特異的突然変異誘発により変異させて、その機能的類似体を与えるこ
とができる。例えば、米国特許第4,588,585号を参照されたい。関心あ
るポリペプチドをコードするDNA配列を構築する他の方法は、オリゴヌクレオ
チドシンセサイザーを用いる化学合成によるものである。かかるオリゴヌクレオ
チドは、好ましくは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいてデザインす
ることができ、好ましくは、関心ある組換えポリペプチドが生成される宿主細胞
中で優先されるコドンを選択する。
【0090】 標準的方法を適用して、単離された関心あるポリペプチドをコードする単離さ
れたポリヌクレオチド配列を合成することができる。例えば、完全なアミノ酸配
列を用いて、逆翻訳遺伝子を構築することができる。Maniatis等、前出を参照さ
れたい。更に、特定の単離されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を
含むDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの
部分をコードする幾つかの小さいオリゴヌクレオチドを合成して連結することが
できる。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補性によるアセンブリの
ための5’又は3’オーバーハングを含んでいる。
【0091】 一度アセンブルされれば(合成、部位指定突然変異により、又は他の方法によ
り)、関心ある特定の単離されたポリペプチドをコードする変異型DNA配列は
、発現ベクターに挿入され、所望の宿主におけるタンパク質の発現に適した発現
制御配列に機能的に結合される。適当なアセンブリは、ヌクレオチド配列決定、
制限酵素マッピング及び生物学的に活性なポリペプチドの適当な宿主での発現に
より確認することができる。当分野で周知のように、トランスフェクトされた遺
伝子の宿主における高い発現レベルを得るためには、その遺伝子を、選択した発
現用宿主において機能的である転写及び翻訳発現制御用配列に機能的に結合しな
ければならない。
【0092】 発現制御配列及び発現ベクターの選択は、宿主の選択に依存する。様々な発現
用宿主/ベクターの組合せを用いることができる。真核生物宿主用の有用な発現
ベクターには、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス及
びサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターが含まれる。細菌宿
主用の有用な発現ベクターには、公知の細菌プラスミド例えば大腸菌由来のプラ
スミド(pCR1、pBR322、pMB9及びこれらの誘導体を含む)、広宿主
域プラスミド例えばM13及び繊維状一本鎖DNAファージが含まれる。好適な
大腸菌ベクターには、ラムダファージpLプロモーターを含むpLベクター(米
国特許第4,874,702号)、T7ポリメラーゼプロモーターを含むpET
ベクター(Studier等、Methods in Enzymology 185:60-89,1990 1)及びpSP7
2ベクター(Kaelin等、前出)が含まれる。酵母細胞用の有用な発現ベクターには
、例えば、2T及びセントロメアプラスミドが含まれる。各々の特定の発現ベク
ター内で、これらのDNA配列の挿入のために様々な部位を選択することができ
る。これらの部位は、通常、それらを切断する制限エンドヌクレアーゼによって
示される。この発明で有用な所定の発現ベクターは、選択したDNA断片の挿入
のために制限エンドヌクレアーゼ部位を有する必要がないということは認められ
よう。それよりも、このベクターは、その断片と別の手段によって結合されうる
【0093】 発現ベクター、並びに選択したDNA断片の挿入及び発現制御配列への機能的
結合のために選択する部位は、特定の制限酵素に感受性の部位の数、ポリぺプチ
ドの大きさ、ポリペプチドがどれくらい容易にタンパク質分解によって分解され
るかなどの様々な因子によって決定される。所定のDNAについてのベクター及
び挿入部位の選択は、これらの因子のバランスにより決定される。
【0094】 この発明の組換え構築物の十分な転写を与えるためには、好ましくは、適当な
プロモーター/エンハンサー配列を組換えベクターに組み込むことができる(但
し、このプロモーター/発現制御配列は、ヘッジホッグタンパク質をコードする
ヌクレオチド配列の転写を駆動することができるものである)。様々な発現制御
配列の何れかをこれらのベクター中で利用することができる。かかる有用な発現
制御配列には、前述の発現ベクターの構造遺伝子と結合された発現制御配列が含
まれる。有用な発現制御配列の例には、例えば、SV40又はアデノウイルスの
初期及び後期プロモーター、lacシステム、trpシステム、TAC又はTR
Cシステム、ラムダファージの主オペレーター及びプロモーター領域例えばpL
、fdコートタンパク質の制御領域、3−ホスホグリセレートキナーゼその他の
糖分解酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター例えばPho5
、酵母のアルファ交配系のプロモーター及び他の真核又は原核細胞及びこれらの
ウイルスの遺伝子の発現を制御するための配列並びにこれらの様々な組合せが含
まれる。
【0095】 免疫グロブリンベースの融合タンパク質の発現を制御するために利用すること
のできるプロモーターには、SV40初期プロモーター領域(Benoist及びChambo
n, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3’ロングターミナルリ
ピートに含まれるプロモーター(Yamamoto等、1980, Cell 22:787-797)、ヘルペ
スチミジンキナーゼプロモーター(Wagner等、1981, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78
:144-1445)、メタロチオネイン遺伝子(Brinster等、1982, Natutre 296:39-42)
;ノパリン合成プロモーター領域(Herrera-Estrella等、Nature 303:290-213)又
はカリフラワーモザイクウイルス35SRNAプロモーター(Gardner等、1981,
Nucl.Acids Res.9:2871)を含む植物発現ベクターの調節配列、及び光合成酵素リ
ブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrella等、1984,
Nature 310:115-120);酵母その他の真菌類由来のプロモーターエレメント例え
ばGal4プロモーター、ADCプロモーター(アルコールデヒドロゲナーゼ)、
PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプ
ロモーター及び下記の動物の転写制御用領域(これらは、組織特異性を示し、ト
ランスジェニック動物で利用されている):膵臓細胞で活性なエラスターゼI遺
伝子制御領域(Swift等、1984, Cell 38:639-646;Ornitz等、1986, Cold Spring
Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409;MacDonald, 1987, Hepatology 7:425-51
5);膵臓細胞で活性なインスリン遺伝子エンハンサー又はプロモーター(Hanahan
, 1985, Nature 315:115-122);リンパ様細胞において活性な免疫グロブリン遺
伝子エンハンサー又はプロモーター(Grosschedl等、1984, Cell 38:647-658;Ad
ames等、1985, Nature 318:533-538;Alexander等、1987, Mol.Cell.Biol.7:143
6-1444);サイトメガロウイルス初期プロモーター及びエンハンサー領域(Boshar
t等、1985, Cell 41:521-530);精巣、乳房、リンパ様細胞及びマスト細胞におい
て活性なマウス乳癌ウイルス制御領域(Leder等、1986, Cell 45:485-495);肝臓
で活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert等、1987, Genes and Devel.1:268-
276);肝臓で活性なアルファフェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf等、198
5, Mol.Cell.Biol.5:1639-1648;Hammer等、1987, Science 235:53-58);肝臓で
活性なアルファアンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey等、1987, Genes and D
evel.1:161-171);骨髄性細胞で活性なグロビン遺伝子制御領域(Mogram等、1985
, Nature 315:338-340;Kollias等、1986, Cell 46:89-94);脳の乏突起神経膠
細胞で活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead等、1987, Cel
l 48:703-712);骨格筋で活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani, 1985,
Nature 314:283-286);及び視床下部で活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺
伝子制御領域(Mason等、1986, Science 234:1372-1378)が含まれるが、これらに
限らない。
【0096】 細菌、真菌類(酵母を含む)、植物、昆虫、哺乳類その他の適当な動物細胞又は
細胞株並びにトランスジェニック動物又は植物を含む任意の適当な宿主を用いて
、ここに記載の単離されたヘッジホッグポリペプチドを生成することができる。
一層詳細には、これらの宿主は、周知の真核及び原核生物宿主例えば大腸菌、シ
ュードモナス、バチルス、ストレプトミセス、カビ、酵母(例えば、Hansenula)
、昆虫細胞例えばSpodoptera frugiperda(SF9)及びHigh Five(商標)
(実施例1参照)、動物細胞例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)、マウス
細胞例えばNS/O細胞、アフリカミドリザル細胞COS1、COS7、BSC
1、BSC40及びBMT10及びヒト細胞並びに植物細胞株を包含することが
できる。
【0097】 すべてのベクター及び発現制御配列が、所定の単離されたポリペプチドを発現
させるために等しく十分に機能する訳ではないということは理解されるべきであ
る。同じ発現系を用いても、すべての宿主が等しく十分に機能する訳ではない。
しかしながら、当業者は、これらのベクター、発現制御システム及び宿主の内か
ら、過度の実験をすることなく選択することができる。例えば、関心ある単離さ
れたポリペプチドを、大規模な動物培養で生成するためには、発現ベクターのコ
ピー数を制御しなければならない。増幅可能なベクターは、当分野で周知である
。例えば、Kaufman及びSharp,(1982)Mol.Cell.Biol.,2,1304-1319及び米国特許
第4,470,461号及び5,122,464号を参照されたい。
【0098】 かかるDNA配列の発現制御配列への機能的結合には、そのDNA配列の上流
の正しいリーディングフレームにおける翻訳開始シグナルの供給が含まれる。も
し発現される特定のDNA配列がメチオニンで始まるのでないならば、この開始
シグナルが、生成物のN末端に位置される追加のアミノ酸(メチオニン)を生じる
であろう。もし疎水性部分がN末端メチオニル含有タンパク質に結合されるべき
であれば、そのタンパク質を直接この発明の組成物において用いることができる
。それにもかかわらず、このタンパク質の好適なN末端はシステイン(又は機能
的同等物)からなるべきであるので、メチオニンは、使用前に除去されなければ
ならない。かかるN末端メチオニンをそれらにより発現されたポリペプチドから
除去するための方法は、当分野において利用可能である。例えば、ある宿主及び
発酵条件は、実質的にすべてのN末端メチオニンをイン・ビボで除去することを
可能にする。他の宿主は、N末端メチオニンのイン・ビトロでの除去を必要とす
る。かかるイン・ビトロ及びイン・ビボでの方法は、当分野で周知である。
【0099】 これらのポリヌクレオチド構築物の所定の発現ベクター中への上首尾の組み込
みは、次の3つの一般的なアプローチにより同定することができる:(a)DNA
−DNAハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の存否、及び(
c)挿入した配列の発現。第一のアプローチにおいて、発現ベクターに挿入した
ヘッジホッグ遺伝子の存在を、挿入した融合タンパク質遺伝子と相同な配列を含
むプローブを用いるDNA―DNAハイブリダイゼーションにより検出すること
ができる。第二のアプローチにおいては、組換えベクター/宿主系を、外来遺伝
子のベクター中への挿入により引き起こされるある種の「マーカー」遺伝子機能
(例えば、チミジンキナーゼ活性、G418などの抗生物質に対する耐性、トラ
ンスフォーメーション表現型、バキュロウイルスにおける閉鎖体の形成)の存否
に基づいて同定して選択することができる。例えば、もしポリヌクレオチドがこ
のベクターのマーカー遺伝子配列を分断するように挿入されれば、その挿入を含
む組換え体は、そのマーカー遺伝子機能の非存在によって同定することができる
。第三のアプローチにおいては、組換え発現ベクターを、その組換えベクターに
より発現された外来遺伝子産物をアッセイすることにより同定することができる
。かかるアッセイは、例えば、バイオアッセイ系における遺伝子産物の物理的又
は機能的特性に基づくものであってよい。
【0100】 この発明の好適具体例は、融合タンパク質及びそれらをコードするDNA配列
を企図する。これらの融合タンパク質は、ヘッジホッグのアミノ酸配列により特
徴付けられるアミノ末端領域とヘッジホッグ以外のタンパク質のドメインを含む
カルボキシ末端領域を有する。かかるタンパク質の好適な包括的な式は、一次ア
ミノ酸配列X−Y−Zを有するタンパク質である(式中、Xは、ヒトのヘッジホ
ッグのアミノ酸配列よりなるアミノ酸配列又はその部分を有するポリペプチドで
あり;Yは、随意的リンカー部分であり;そしてZは、ヒトヘッジホッグ以外の
ポリペプチドの少なくとも一部分を含むポリペプチドである)。
【0101】 Z部分は、例えば、免疫グロブリンの複数のヒスチジン残基又はFc領域を含
むことができ、ここで抗体の断片として規定される「Fc」は、免疫グロブリン
重鎖のC末端ドメインを含む。
【0102】 最も好適な融合タンパク質において、ヘッジホッグポリペプチドは、免疫グロ
ブリンのFc領域の少なくとも一部分に融合される。このヘッジホッグはアミノ
末端部分を形成し、Fc領域はカルボキシ末端部分を形成する。これらの融合タ
ンパク質において、Fc領域は、好ましくは、定常ドメインヒンジ領域及びCH
2及びCH3ドメインに限られる。これらの融合物中のFc領域は、ヒンジ領域
(この領域は、分子間ジスルフィドブリッジを形成することができる)の一部分、
及びCH2及びCH3ドメイン又はそれらの機能的同等物を形成することができ
る。これらの定常領域は、任意の哺乳動物起源(好ましくはヒト)から誘導するこ
とができ、任意の適当なクラス及び/又はイソ型(IgA、IgD、IgM、I
gE及びIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)から誘導することができ
る。
【0103】 Ig融合物をコードする組換え核酸分子は、当分野で公知の任意の方法(Mania
tis等、1982, Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor
Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.)によって得ることができ、又は一般に
入手可能なクローンから得ることができる。免疫グロブリンの重鎖又は軽鎖定常
領域をコードする遺伝子の調製方法は、例えば、Robinson,R.等、PCT出願、
公開No.WO87−02671により教示されている。ヘッジホッグ分子又は
断片をコードするcDNA配列を、Ig重鎖定常領域をコードするcDNAに直
接又はリンカー配列を介して結合させることができる。この発明の更なる具体例
において、組換えベクターシステムを造って、ヘッジホッグをコードする配列を
合成ヒンジ領域と正しいリーディングフレームで収容することができる。加えて
、RNA開裂/ポリアデニル化部位及び下流の配列を含む免疫グロブリン遺伝子
の3’フランキング領域に対応する核酸をこの組換えベクターシステムの部分と
して含むことは望ましいであろう。その上、免疫グロブリン融合タンパク質をコ
ードする配列の上流にシグナル配列を工作して、この組換えベクターでトランス
フォームした細胞からの融合分子の分泌を容易にすることは望ましいであろう。
【0104】 本発明は、二量体の融合分子並びに融合分子を含む単量体又は多量体分子を提
供する。かかる多量体は、IgM五量体又はIgA二量体のように通常多価であ
るIg分子のFc領域又はその部分を用いることにより生成することができる。
IgM五量体及びIgA二量体を形成して安定化させるにはJ鎖ポリペプチドが
必要であろうことは理解される。或は、ヘッジホッグ融合タンパク質の多量体は
、Ig分子のFc領域に対する親和性を有するタンパク質例えばプロテインAを
用いて形成することができる。例えば、複数のヘッジホッグ/免疫グロブリン融
合タンパク質をプロテインA−アガロースビーズに結合させることができる。
【0105】 これらの多価形態は、それらが多数のヘッジホッグレセプター結合部位を有す
るので有用である。例えば、二価の可溶性ヘッジホッグは、リンカー領域(Y部
分)により分離されたSEQ ID NO:24のアミノ酸(又は、SEQ ID
NO:6の核酸によりコードされるもの)(包括的な式におけるX部分)の2つ
の直列反復からなってよく、これらの反復が免疫グロブリン定常ドメインの少な
くとも一部分(Z部分)に結合されている。別の多価形態は、例えば、ヘッジホッ
グ−/Ig融合物を任意の臨床的に許容しうるキャリアー分子(フィコール、ポ
リエチレングリコール又はデキストランよりなる群から選択するポリマー)に慣
用のカップリング技術を用いて化学結合させることによって構築してもよい。或
は、ヘッジホッグをビオチンに化学結合させ、次いで、そのビオチン−ヘッジホ
ッグFc結合体をアビジンに結合させて、四価のアビジン/ビオチン/ヘッジホ
ッグ分子を生成することができる。ヘッジホッグ/Ig融合物をジニトロフェノ
ール(DNP)又はトリニトロフェノール(TNP)に共有結合させ、生成した結合
体を抗DNP又は抗TNP−IgMで沈降させて、ヘッジホッグレセプター結合
部位について10の結合価を有する十量体の結合体を形成することもできる。
【0106】 トランスフォームされた宿主により生成されたタンパク質は、任意の適当な方
法によって精製することができる。かかる標準的方法には、クロマトグラフィー
(例えば、イオン交換、アフィニティー、及びサイジングクロマトグラフィー)、
遠心分離、示差的溶解度、又はタンパク質精製のための任意の他の標準的技術が
含まれる。イムノアフィニティークロマトグラフィー(実施例1参照)のために、
ソニックヘッジホッグなどのタンパク質は、それを、ソニックヘッジホッグ又は
関連タンパク質に対して高めて固定支持体に付着させた抗体より構成されるアフ
ィニティーカラムに結合させることにより単離することができる。例えば、これ
らのヘッジホッグタンパク質及び断片は、その溶液を、ヘッジホッグレセプター
を固定化して有するカラムを通すことにより精製することができる(米国特許第
4,725,669号)。結合したヘッジホッグ分子を、次いで、カオトロピッ
ク塩で処理するか水性酢酸での溶出により溶出させることができる。免疫グロブ
リン融合タンパク質を、その融合タンパク質を含む溶液を、その融合タンパク質
のFc部分に選択的に結合する固定化プロテインA又はプロテインGを含むカラ
ムを通すことにより精製することができる。例えば、Reis,K.J.等、J.Immunol.1
32:3098-3102(1984);PCT出願公開No.WO87/00329を参照された
い。次いで、キメラ抗体を、カオトロピック塩で処理することにより又は水性酢
酸での溶出により溶出させることができる。或は、ヘッジホッグタンパク質と免
疫グロブリンの融合分子を、抗ヘッジホッグ抗体カラム上で又は抗免疫グロブリ
ン抗体カラム上で精製して実質的に純粋なタンパク質を与えることができる。用
語「実質的に純粋な」は、タンパク質が天然において結合している不純物を含ま
ないことを意図している。実質的純粋は、電気泳動による単一バンドにより示す
ことができる。或は、アフィニティータグ例えばヘキサヒスチジン、マルトース
結合ドメイン、インフルエンザコート配列、及びグルタチオン−S−トランスフ
ェラーゼをこのタンパク質に付着させて、適当なアフィニティーカラムを通過さ
せることによる容易な精製を可能にすることができる。単離されたタンパク質は
又、タンパク質分解、核磁気共鳴及びX線結晶構造解析などの技術を用いて物理
的に特性決定することもできる。
【0107】 この発明の有用なヘッジホッグ/Ig融合タンパク質の例は、SEQ ID
NO:83のものであり、これは、発現プラスミドPUB116を含む真核細胞
によって細胞培養物中に分泌される(実施例参照)。このタンパク質は、マウスの
Igのヒンジ領域並びにCH2及びCH3定常ドメインの一部分と融合された成
熟ヒトヘッジホッグよりなる。これは、Fc結合タンパク質、プロテインAによ
り認識されるのに十分なマウス免疫グロブリンの部分を含んでいる。
【0108】 ヒトヘッジホッグを組み込んだこの発明の他の融合タンパク質を、SEQ I
D NO:80〜82に示してある。
【0109】 この発明の好適なヘッジホッグタンパク質は、11のトリプレットコドンを両
側に表す新規な「ジャンクション」DNA配列を、ヘッジホッグDNAと非ヘッ
ジホッグ部分をコードするDNAとの間に含む。
【0110】 このDNA「ジャンクション」配列は、DNAプローブとして用いることがで
き、任意のヘッジホッグ−/Ig融合タンパク質をコードする任意のDNA配列
への標準的条件下でのハイブリダイゼーションに必要な最小DNAであってよい
。それにもかかわらず、全プローブがこのジャンクションの両側にハイブリダイ
ズし且つヘッジホッグ/定常領域ジャンクションの両側がハイブリダイゼーショ
ンに参加するならば、一層小さい配列が存在しうる。更に、当業者は、これらよ
り大きいDNA配列もハイブリダイゼーションに適しているということを理解す
るであろう。当業者は、特定のプローブがこのジャンクションの両側にハイブリ
ダイズすることができるかどうかを、一本鎖センスオリゴヌクレオチド又は一本
鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの5’末端をポリヌクレオチドキナーゼを用
いてATPの適当に標識したホスフェートで標識することにより試験することが
できる。この発明の配列は、両オリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズし
、それ故、それらによって標識されるに違いない。更に、この発明は、ジャンク
ション配列をコードする完全に縮重した配列を包含するということは、理解され
る。
【0111】 最も好適なヘッジホッグ融合タンパク質は、推定のKEX2認識部位に変異を
含んでいる(表5参照)。
【0112】 A.断片及び類似体の生成 単離されたタンパク質の断片(例えば、SEQ ID NO:23〜26の断
片)は、当業者に公知の方法を用いる組換え法により、タンパク質分解性消化に
より、又は化学合成によって効率的に生成することもできる。組換え法において
は、ポリペプチドの内部又は末端断片を、単離されたヘッジホッグポリペプチド
をコードするDNA配列の一端(末端断片の場合)又は両端(内部断片の場合)から
少なくとも一つのヌクレオチドを除去することにより生成することができる。突
然変異したDNAの発現は、ポリペプチド断片を生成する。「末端を切り取る」
エンドヌクレアーゼによる消化も、断片の配列をコードするDNAを生成するこ
とができる。タンパク質の断片をコードするDNAは又、ランダムシェアリング
、制限消化、又は組合せ若しくは両方によって生成することもできる。タンパク
質断片は、無傷のタンパク質から直接生成することができる。ペプチドは、プラ
スミン、トロンビン、トリプシン、キモトリプシン、又はペプシンを含むタンパ
ク質分解酵素(これらに限らない)によって特異的に開裂させることができる。こ
れらの酵素の各々は、それが攻撃するペプチド結合の種類に関して特異的である
。トリプシンは、カルボキシル基が塩基性アミノ酸(通常、アルギニン又はリジ
ン)に由来するペプチド結合の加水分解を触媒する。ペプシン及びキモトリプシ
ンは、芳香族アミノ酸例えばトリプトファン、チロシン及びフェニルアラニンに
由来するペプチド結合の加水分解を触媒する。タンパク質分解酵素に感受性の部
位の開裂を阻害することによって、開裂タンパク質断片の別のセットが生成され
る。例えば、リジンのε−アミノ酸基のエチルトリフルオロチオアセテートとの
弱塩基性の溶液における反応は、隣接ペプチド結合がもはやトリプシンによる加
水分解に感受性でないブロックされたアミノ酸残基を生じる。タンパク質を改変
して、タンパク質分解酵素に感受性のペプチド結合を造ることができる。例えば
、システイン残基のβ−ハロエチルアミンによるアルキル化は、トリプシンによ
って加水分解されるペプチド結合を生じる(Lindley,(1956)Nature 178,647)。加
えて、ペプチド鎖を特異的残基で開裂させる化学試薬を利用することができる。
例えば、シアノゲンブロミドは、ペプチドをメチオニン残基で開裂させる(Gross
及びWitkip,(1961)J.Am.Chem.Soc.83,1510)。こうして、タンパク質を改質剤、
タンパク質分解酵素及び/又は化学剤の様々な組合せによって処理することによ
り、それらのタンパク質を、所望の長さの重複しない断片又は所望の長さの重複
する断片に分割することができる。
【0113】 断片は又、当業者に公知の技術、例えばメリフィールド固相Fmoc又はt−
Boc化学を用いて化学合成することもできる。Merrifield, Recent Progress
in Hormone Research 23:451(1967)
【0114】 断片及び類似体の生成及び試験を可能にする従来技術の方法の例を、以下で議
論する。これら(又は類似の方法)を用いて、生物学的活性を有することを示しう
る単離されたポリペプチド(例えば、ヘッジホッグ)の断片及び類似体を作成して
スクリーニングすることができる。ヘッジホッグの断片及び類似体が生物学的活
性を有するかどうかを試験する典型的な方法は、実施例3において見出される。
【0115】 B.変化されたDNA及びペプチド配列の生成:ランダム法 タンパク質のアミノ酸配列変異体を、そのタンパク質又はその特定の部分をコ
ードするDNAのランダム突然変異導入法によって調製することができる。有用
な方法には、PCR突然変異導入法及び飽和突然変異導入法が含まれる。ランダ
ムアミノ酸配列変異体のライブラリーを、縮重オリゴヌクレオチド配列のセット
の合成により生成することもできる。所定のタンパク質のアミノ酸配列変異体を
変化させたDNA及びペプチドを用いて生成する方法は、当分野で周知である。
かかる方法の下記の例は、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく
、単に代表的な技術を説明する働きをするだけである。当業者は、この点におい
て他の方法も有用であることを認めるであろう。PCR突然変異導入法 :例えば、Leung等、(1989)Technique 1,11-15参照。飽和突然変異導入法 :他の方法は、一般に、Mayers等、(1989)Science 229,242
に記載されている。縮重オリゴヌクレオチド突然変異導入法 :例えば、Harang,S.A.(1983)Tetrahedr
on 39,3;Itakura等(1984)Ann.Rev.Biochem.53,323及びItakura等、Recombinant
DNA, Proc.3rd Cleveland Symposium on Macromolecules, p.273-289(A.G.Walt
on編), Elsevier, Amsterdam, 1981参照。
【0116】 C.変化されたDNA及びペプチド配列の生成:指定法 非ランダムな又は指定された突然変異導入法は、単離されたポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチド配列の特異的部分に特異的な配列又は突然変異を与えて
、単離されたポリペプチドの公知のアミノ酸配列の残基の欠失、挿入又は置換を
含む変異体を与える。これらの突然変異部位は、例えば、(1)先ず保存的アミノ
酸で置換し次いで達成された結果に依って一層過激な選択物により置換し;(2)
標的残基を欠失させ;又は(3)設定部位の隣に同じ若しくは異なるクラスの残基
を挿入することにより、或は選択肢1〜3の組合せよって個別に又はシリーズで
改変することができる。
【0117】 明らかに、かかる位置指定法は、N末端システイン(又は機能的同等物)を所定
ポリペプチド配列に導入して、疎水性部分のための結合部位を与える一つの方法
である。アラニンスキャニング突然変異導入法 :Cunningham及びWells,(1989)Science 24
4,1081-1085参照。オリゴヌクレオチド媒介突然変異導入法 :例えば、Adelman等(1983)DNA 2,183参
照。我々は、機能的アンタゴニストを、N末端システインの他のアミノ酸残基(
好ましくはセリン残基)への突然変異を有する機能的アンタゴニストをコードす
る単離されたDNA配列を処理することによりオリゴヌクレオチド指定突然変異
導入法を用いて造った(SEQ ID NO:17:実施例7)。カセット突然変異導入法 :Wells等(1985)Gene 34,315参照。コンビナトリアル突然変異導入法 :例えば、Ladner等、WO88/06630参
照。
【0118】 D.単離されたポリペプチドの他の変異体 この発明に含まれるのは、単離された分子であり、それは、アレル変異体、天然
の変異体、誘導された変異体、及び高緊縮又は低緊縮条件下でソニックヘッジホ
ッグのN末端断片(SEQ ID NO:24)及びヘッジホッグペプチドに対す
る抗血清により特異的に結合され、特にヘッジホッグの活性部位又は結合部位に
対する抗血清により特異的に結合されるポリペプチドなどのポリペプチドをコー
ドする核酸にハイブリダイズするDNAによりコードされるタンパク質である。
すべてのここに記載の変異体は、(i)元のタンパク質の生物学的機能を保持し且
つ(ii)少なくとも一つの非ヘッジホッグ部分(例えば、Ig)に結合する能力を保
持していることが予想される。
【0119】 この発明の方法は又、ヘッジホッグなどの単離されたペプチドの断片好ましく
は生物学的に活性な断片の利用をも特徴とする。特に、生物学的に活性な断片又
は類似体は、SEQ ID NO:10〜20若しくは23〜26に示したペプチド又は他
の天然の単離されたヘッジホッグに特徴的な任意のイン・ビボ又はイン・ビトロ
活性を有するものである。最も好ましくは、疎水性に改変された断片又は類似体
は、任意のイン・ビボ又はイン・ビトロアッセイにおいて、ソニックヘッジホッ
グの活性の少なくとも10%、好ましくは40%以上、最も好ましくは少なくと
も90%を有する。
【0120】 類似体は、天然の単離されたタンパク質とアミノ酸配列において若しくは配列
に関与しない仕方で又は両方で異なっていてよい。この発明の最も好適なポリペ
プチドは、好適な配列以外の改変を有し、それは、イン・ビボ又はイン・ビトロ
の化学的誘導体化(例えば、N末端の)並びにアシル化、メチル化、リン酸化、ア
ミド化、カルボキシル化又はグリコシル化における可能な変化を含む。
【0121】 他の類似体は、タンパク質例えばソニックヘッジホッグ又はその生物学的に活
性な断片であって、その配列が、単離されたタンパク質の生物学的活性を完全に
破壊しない少なくなくとも一つの保存的アミノ酸置換又は少なくとも一つの非保
存的アミノ酸置換により、又は欠失若しくは挿入によって、野生型コンセンサス
配列(例えば、SEQ ID NO:26)と異なっているものを包含する。保存
的置換は、典型的には、一つのアミノ酸を他の類似した特徴を有するアミノ酸で
置換すること例えば次のグループ内での置換を含む:バリン、アラニン及びグリ
シン;ロイシン及びイソロイシン;アスパラギン酸及びグルタミン酸;アスパラギ
ン及びグルタミン;セリン及びスレオニン;リジン及びアルギニン;並びにフェ
ニルアラニン及びチロシン。非極性疎水性アミノ酸には、アラニン、ロイシン、
イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びメチ
オニンが含まれる。極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、シ
ステイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンが含まれる。正に帯電してい
る(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン及びヒスチジンが含まれる。負に
帯電した(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれる。他
の保存的置換は、当業者は、容易に知ることができる。例えば、アミノ酸アラニ
ンについては、保存的置換を、D−アラニン、グリシン、β−アラニン、L−シ
ステイン及びD−システインの何れか一つから取ることができる。リジンについ
ては、置換は、D−リジン、アルギニン、D−アルギニン、ホモ−アルギニン、
メチオニン、D−メチオニン、オルニチン、又はD−オルニチンの何れか一つで
あってよい。
【0122】 この発明の方法の中で用いる他の類似体は、ペプチドの安定性を増大させる改
変を有するものである。かかる類似体は、例えば、一つ以上の非ペプチド結合を
(ペプチド結合の代りに)ペプチド配列中に含むことができる。やはり含まれるの
は、天然のL−アミノ酸以外の例えばD−アミノ酸の残基又は非天然アミノ酸若
しくは合成アミノ酸例えばβ若しくはγアミノ酸及び環状類似体を含む類似体で
ある。D−アミノ酸をL−アミノ酸の代りに単離されたヘッジホッグポリペプチ
ドに組み込むことは、プロテアーゼに対する抵抗性を増大させることができる。
米国特許第5,219,990号(前出)参照。
【0123】 用語「断片」は、単離されたヘッジホッグ類似体に適用する場合には、生物学
的活性を保持していれば、単一アミノ酸程に小さくてよい。それは、長さにおい
て、少なくとも約20残基、一層典型的には少なくとも約40残基、好ましくは
少なくとも約60残基であってよい。断片は、当業者に公知の方法によって生成
することができる。候補の断片の単離されたヘッジホッグの生物学的活性を示す
能力は、ここに記載の当業者に公知の方法によって評価することもできる。
【0124】アンタゴニストとしてのヘッジホッグタンパク質 本発明において有用な単離されたヘッジホッグタンパク質は、アンタゴニスト
例えばヘッジホッグと無関係の付加的配列を含む組換え融合タンパク質であって
よい。従って、このアンタゴニストポリペプチドは、SEQ ID NO:10
〜20又は23〜26に由来するアミノ酸配列の全部又は断片を付加的アミノ酸
残基に読み枠を合わせて融合させて含むことができる。この発明のポリペプチド
の一つのバージョンは、第一のポリペプチド部分とヘッジホッグアンタゴニスト
部分を有するタンパク質であり、アンタゴニスト部分は、第一のポリペプチド部
分の5’側又は3’側に融合或は結合されている。従って、第一の付加的ポリペ
プチド部分は、アンタゴニストポリペプチドに無関係のアミノ酸配列を有する。
この付加的ポリペプチド部分は、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラー
ゼ、DNA結合ドメイン、又はポリメラーゼ活性化ドメイン、ヒスチジンタグの
何れかであってよい。それは、最も好ましくは、アンタゴニスト部分のN又はC
末端に融合或は結合された免疫グロブリン又はその部分である。
【0125】 好適なアンタゴニストは、少なくとも次の特性を有する:(i)単離されたタン
パク質は、レセプターパッチト−1と、成熟ヘッジホッグタンパク質のパッチト
−1への結合より小さい親和性で(好ましくは、少なくとも同じ親和性で)結合し
;及び(ii)単離されたタンパク質は、イン・ビトロのCH310T1/2細胞ベ
ースのAP誘導アッセイで試験したときに、成熟ヘッジホッグタンパク質による
アルカリホスファターゼ(AP)誘導をブロックする。この発明のアンタゴニスト
は、(iii)ptc−1及びgli−1発現を誘導することができないという更な
る特性を有することもできる。
【0126】 当業者は、これらの特性について、如何なる推定のヘッジホッグアンタゴニス
トでも容易に試験することができる。特に、マウス胎児繊維芽細胞株C3H10
T1/2は、ヘッジホッグ応答性の間充織幹細胞株である(下記に一層詳細に記
載)。これらの細胞のヘッジホッグ処理は、gli−1及びパッチト−1(公知の
ヘッジホッグ依存性シグナリングの指標)のアップレギュレーションを引き起こ
し、アルカリホスファターゼ活性(軟骨細胞/骨芽細胞系統に分化した細胞の指
標)の誘導をも引き起こす。幾つかのヘッジホッグ変異体は、C3H10T1/
2細胞においてヘッジホッグ依存性応答を誘出することができないが、それらは
、成熟ヘッジホッグと機能につき競争し、それ故、機能的アンタゴニストとして
役立つ。これらの機能的アンタゴニストは、非ヘッジホッグ(例えば、免疫グロ
ブリン)部分を結合するヘッジホッグとして好適である。かかる状況においては
、KEX2様細胞内プロテアーゼ認識部位が無力化されたムテインを用意する必
要はない。かかるヘッジホッグアンタゴニスト部分の合成及び利用を、以下に簡
単に記載する。
【0127】 A.アンタゴニストとしてのN−改変ヘッジホッグポリペプチド N末端改変を含むあるヘッジホッグ変異体は、ヘッジホッグ依存性応答を誘出
する能力を欠くが、ヘッジホッグレセプター、パッチト−1に結合する能力は保
持しているので、ヘッジホッグ機能をブロックすることができる。ヘッジホッグ
ポリペプチド(即ち、ソニック、インディアン又はデザートヘッジホッグ)が機能
的ヘッジホッグアンタゴニストであるかどうかを規定する決定的一次アミノ酸配
列は、成熟ヘッジホッグのCys−1に対応するN末端システイン残基である。
ヘッジホッグポリペプチドがこのN末端システインを完全に欠くか又はこのN末
端システインを改変された形態で含む(例えば、化学的に改変され又はN末端延
長部分の一部として含まれる)ならば、その結果生成するポリペプチドは、機能
的ヘッジホッグアンタゴニストとして作用しうる。この点において、N末端シス
テインが「Cys−1に対応する」という事実は、(a)N末端システインが成熟
ソニック、インディアン若しくはデザートヘッジホッグのCys−1であること
;又は(b)N末端システインが成熟ソニック、インディアン若しくはデザートヘ
ッジホッグのCys−1と同じ位置を占めることを意味する。例えば、ソニック
ヘッジホッグがここに記載のように変更され或は改変されたCys−1に対応す
るN末端システインを有するならば、それは、ヘッジホッグファミリーの任意の
他のメンバーの作用と拮抗することができる。それ故、当業者は、インディアン
ヘッジホッグタンパク質がソニック、デザート又はインディアンヘッジホッグの
活性と拮抗することは可能であるということを理解するであろう。
【0128】 これらのN末端改変を有するアンタゴニストの例は、以下に含まれ、当業者は
、このアンタゴニストの開示された構造を例えば断片又は類似体を生成すること
により変化させることができ、新たに生成された構造をアンタゴニスト活性につ
いて試験することができる。これらの例は、如何なる関連ヘッジホッグアンタゴ
ニストの構造を制限するものではなく、単に、更なる説明のために用意したもの
である。これらの又は同様の方法を用いて、アンタゴニストポリペプチドの断片
及び類似体を生成してスクリーニングすることができる。これらは、アンタゴニ
ストとして機能しうる幾つかの変異体である。
【0129】 1.N末端伸長 この発明のアンタゴニストポリペプチドは、N末端システインがN末端伸長部
分に結合されたヘッジホッグポリペプチド配列を含むことができる。それ故、こ
の単離されたアンタゴニストポリペプチドは、一例として、(a)ヘッジホッグポ
リペプチド自身の5’側であってよく且つヘッジホッグに無関係の少なくとも一
のエレメント(例えば、アミノ酸残基)を含む第一のN末端ポリペプチド部分を、
(b)この発明のヘッジホッグアンタゴニストの部分であるソニックヘッジホッグ
又はその一部分のCys−1に対応するN末端システインに結合させて有する組
換え融合タンパク質であってよい。このN末端伸長部分(例えば、第一のN末端
ポリペプチド部分)は、ヒスチジンタグ、マルトース結合タンパク質、グルタチ
オン−S−トランスフェラーゼ、DNA結合ドメイン又はポリメラーゼ活性化ド
メインであってよい。この機能的アンタゴニストは、成熟ヘッジホッグのCys
−1又は成熟ソニックヘッジホッグのCys−1に対応するN末端システインに
置き換わるエレメントを含むN末端伸長部分を含むことができる。
【0130】 2.N末端欠失 機能的アンタゴニストの他の変異体は、成熟ヘッジホッグのCys−1に対応
するN末端システインから始まる約12アミノ酸より多くを失ったヘッジホッグ
タンパク質である。最初の約12の隣接アミノ酸残基より多くの欠失は、機能的
アンタゴニストを生成しない。好ましくは、約10の隣接アミノ酸の欠失は、適
当な機能的アンタゴニストを与えるであろう。しかしながら、10より少ない隣
接残基を除去して尚アンタゴニスト機能を保持することができる。その上、全部
で少なくとも約3つの欠失残基があれば、隣接しない残基の様々な組み合わせを
欠失させることができる。
【0131】 これらの構造は、機能について、ヘッジホッグタンパク質のN末端の重要性を
目立たせ、実際、ヘッジホッグタンパク質をN末端システイン以外の部位に結合
する必要性を強調する。N末端欠失変異体は、すべて、パッチト−1に結合する
能力において成熟ソニックヘッジホッグ(Shh)から識別可能であったが、イン
・ビトロのC3H10T1/2AP誘導アッセイにおいて不活性であった。これ
らのすべてのN末端変異体は、ヘッジホッグ依存性シグナリングを促進すること
ができない。
【0132】 3.N末端変異 更に別の機能的アンタゴニストは、N末端システインの他のアミノ酸残基への
突然変異である。任意の疎水性でないアミノ酸残基が許容でき、ここに記載の教
示に従う当業者は、これらの突然変異を実施してその効果を試験することができ
るであろう。一例は、N末端システインがセリン残基で置換されたShhである
。この変異型は、パッチト−1に結合する能力において成熟Shhと区別できな
いが、それは、機能についてC3H10T1/2AP誘導アッセイで試験したと
きに成熟ShhによるAP誘導をブロックする。アスパラギン酸、アルギニン及
びヒスチジンでの置換も、アンタゴニストとして働くことが示されている。
【0133】 4.N末端システイン改変 ヘッジホッグの一次アミノ酸配列は生物学的活性に重要なCys−1を含むの
で、ある別の改変は、ヘッジホッグタンパク質の不活性なアンタゴニスト変異体
を生じるであろう。他のアンタゴニストは、ヘッジホッグポリペプチドの単離さ
れた機能的アンタゴニストであり、成熟ソニックヘッジホッグのCys−1に対
応するN末端システインを含むヘッジホッグポリペプチドを含む(但し、このシ
ステインは、改変型である)。ヘッジホッグのアンタゴニストポリペプチドは、
配列以外の改変を有することができ、これは、N末端システインのイン・ビボ又
はイン・ビトロの化学的誘導体化並びにアセチル化、メチル化、リン酸化、アミ
ド化又はカルボキシル化の可能な変化を包含する。一例として、この機能的アン
タゴニストは、酸化型のN末端システインを有することができる。従って、機能
的アンタゴニストは、N末端伸長部分の一部として含まれることにより効果的に
改変されるN末端システインを有することができる。
【0134】 B.他の具体例 これらの機能的アンタゴニストポリペプチドは、ヘッジホッグタンパク質に対
して少なくとも60%相同であるアミノ酸配列を含むことができる。このアンタ
ゴニストは、少なくとも下記の機能的アンタゴニストの特性を示さなければなら
ない:(i)この単離されたタンパク質は、成熟ヘッジホッグタンパク質のパッチ
ト−1への結合より小さい(好ましくは、少なくとも同じ)親和性でレセプターパ
ッチト−1に結合し;及び(ii)この単離されたタンパク質は、イン・ビトロのC
H310T1/2細胞ベースのAP誘導アッセイで試験したときに成熟ヘッジホ
ッグタンパク質によるアルカリホスファターゼ(AP)誘導をブロックする。
【0135】 本発明で有用なアンタゴニストは又、同義遺伝子、選択的転写事象、選択的R
NAスプライシング事象、及び選択的翻訳及び翻訳後事象の存在の結果として生
じるものをも包含する。このポリペプチドは、合成手段によって完全に作ること
ができ、又はこのタンパク質が天然の細胞で発現されたときに存在するのと実質
的に同じ翻訳後修飾を生じる系例えば培養細胞において、又は天然の細胞におい
て発現させたときに存在する翻訳後修飾の省略を生じる系において発現させるこ
とができる。
【0136】 好適具体例において、単離されたアンタゴニストは、下記の特性の少なくとも
一つを有するポリペプチドである: (i)それは、SEQ ID NO:23〜26のアミノ酸と少なくとも60、
一層好ましくは90、最も好ましくは95%の配列同一性を有し; (ii)それは、改変N末端システインを有し又はN末端システインを欠き又はN
末端システインを、ヘッジホッグのCys−1に対応するN末端システインと異
なる位置に有し; (iii)それは、CH310T1/2細胞における成熟ヘッジホッグによるアル
カリホスファターゼ誘導をブロックし; (iv)それは、レセプターパッチト−1と、成熟ヘッジホッグタンパク質のパッ
チト−1への結合より小さい(好ましくは、少なくとも同じ)親和性で結合し又は
相互作用し; (v)それは、イン・ビトロでCH310T1/2細胞においてptc−1及び
gli−1発現を誘導することができず;又は (vi)それは、CH310T1/2アッセイにおいてAPを誘導することができ
ない。
【0137】ヘッジホッグ生物学的活性のアゴニスト この発明の他の好適ヘッジホッグポリペプチドは、ヘッジホッグタンパク質の
幾つかの起源から誘導されるアゴニストである。一具体例において、このアゴニ
ストは、N末端を切り取られたものではなく(上記)、KEX2様認識部位に突然
変異を含んでいる。融合タンパク質部分における利用に適したヘッジホッグアゴ
ニストの他の具体例は、部分的に、昆虫細胞又は哺乳動物細胞において完全長構
築物として発現されたヒトソニックヘッジホッグは疎水性のパルミトイル基をN
末端システインのαアミンに結合して有するという米国特許出願No.60/0
67,423号(12/3/97)に開示された発見に基づいている。これは、か
かる仕方で修飾された細胞外シグナリングタンパク質の最初の例であり、チオー
ル結合したパルミチン酸修飾(この結合は容易に可逆的である)と対照的に、この
新規なN結合パルミトイル部分が非常に安定であるということは、ミリスチン酸
修飾からの類推からありそうなことである。
【0138】 この初期の発見の直接的結果として、ヘッジホッグシグナリングタンパク質の
疎水性を増大させることは、そのタンパク質の生物学的活性を増大させることが
できるということが知られている。従って、改変されたヘッジホッグは、自身の
アンタゴニストとして作用する。特に、ヘッジホッグタンパク質などのシグナリ
ングタンパク質への追加の疎水性部分は、そのタンパク質の活性を増強すること
ができ、それ故、アゴニストとして作用することができる。生物学的に活性なタ
ンパク質のN末端システインは、疎水性部分を追加するのに便利な部位を提供し
て、それにより、そのタンパク質の物理化学的特性を改変するだけでなく、この
N末端システインの改変は、そのタンパク質の安定性を増大させることができる
。加えて、このタンパク質構造の表面の内部アミノ酸残基への疎水性部分の付加
は、そのタンパク質の活性を増強させる。これらのアゴニストを一種以上の非ヘ
ッジホッグ結合体(例えば、免疫グロブリン又はその断片)と共に用いることは、
治療的状況におけるヘッジホッグアゴニストの増大されたバイオアベイラビリテ
ィーを与えるであろう。
【0139】 従って、本発明の方法及び組成物は、結合体化ヘッジホッグアゴニストの利用
を、それらの増大された生物学的活性及び一層高いパッチト−1結合親和性の故
に含む。その上、主題の方法は、培養物にて与えられる細胞(イン・ビトロ)にお
いても、全動物の細胞(イン・ビボ)においても実施することができる。
【0140】 これらのアゴニストは、次の特性の少なくとも一つを有する:(i)この単離さ
れたタンパク質は、レセプターパッチト−1と、成熟ヘッジホッグタンパク質の
パッチト−1への結合より小さい(好ましくは、一層高い)親和性で結合し;又は
(ii)この単離されたタンパク質は、ヘッジホッグタンパク質と、それらのタンパ
ク質のパッチト−1への結合親和性を、イン・ビトロのCH310T1/2細胞
ベースのAP誘導アッセイで試験したときに増大させるような仕方で結合する。
この発明のアゴニストは又、(iii)単独でptc−1及びgli−1発現を誘導
することができるという更なる特性をも有する。
【0141】 A.アゴニストとして作用する単離されたヘッジホッグタンパク質の一般的特性 主題の方法のヘッジホッグ組成物のポリペプチド部分は、天然のタンパク質、
組換えにより生成されたタンパク質の精製及び合成化学を含む様々な技術の何れ
かによって生成することができる。これらのヘッジホッグタンパク質のポリペプ
チド形態は、好ましくは、脊椎動物ヘッジホッグタンパク質に由来し、例えば、
脊椎動物に由来する天然のヘッジホッグタンパク質又はその断片に対応する配列
を有する。しかしながら、このヘッジホッグポリペプチドは、任意の後生動物に
存在するヘッジホッグタンパク質(又はその断片)に対応することができるという
ことは認められよう。
【0142】 この発明の方法において有用なファミリーメンバーには、アレル変異体、系統
発生的対応物又は他の変異体を含む天然のネイティブなヘッジホッグタンパク質
(ムテイン即ち変異タンパク質を含み、天然起源又は化学的に生成)、並びにヘッ
ジホッグファミリーの組換え型及び新規な活性メンバーの何れかが含まれる。
【0143】 非ヘッジホッグ結合体(例えば、免疫グロブリン又はその断片)と共に用いるた
めの好適なアゴニストには、誘導体化ヘッジホッグポリペプチド配列並びに他の
N末端及び/又はC末端アミノ酸配列が含まれ、又はそれは、ヘッジホッグアミ
ノ酸配列の全部又は断片を含むことができる。この発明のアゴニストポリペプチ
ドは、同義遺伝子、選択的転写事象、選択的RNAスプライシング事象、及び選
択的翻訳及び翻訳後事象の存在の結果として生じるものを包含する。このポリペ
プチドは、合成手段によって完全に生成することができ又はタンパク質がネイテ
ィブな細胞で発現されたときに存在するのと実質的に同じ翻訳後修飾を生じる系
例えば培養細胞において発現させることができ、又はネイティブな細胞において
発現されたときに存在する翻訳後修飾の省略を生じる系において発現させること
ができる。
【0144】 好適具体例において、結合体化すべきアゴニストは、下記の特性の少なくとも
一つを有するヘッジホッグポリペプチドである: (i)それは、ヘッジホッグ配列と少なくとも30、40、42、50、60、
70、80、90又は95%の配列同一性を有し; (ii)それは、N末端として、システイン又は機能的同等物を有し; (iii)それは、C3H10T1/2細胞においてアルカリホスファターゼ活性
を誘導することができ; (iv)それは、ヘッジホッグ配列のポリペプチドと少なくとも50%の、好まし
くは少なくとも60%の、一層好ましくは少なくとも70、80、90又は95
%の全体的配列同一性を有し; (v)それは、哺乳動物細胞などの天然起源から単離することができ; (vi)それは、パッチトと結合し又は相互作用することができ;そして (vii)それは、疎水性に改変される(即ち、それは、そのポリペプチドに結合さ
れた少なくとも一つの疎水性部分を有する)。
【0145】 ヘッジホッグタンパク質の全体的疎水性を増大させることは、そのタンパク質
の生物学的活性を増大させる。ヘッジホッグなどのシグナリングタンパク質の効
力は、(a)疎水性部分をN末端システインのスルフヒドリル及び/又はαアミン
に付加することなどによって化学的に改変し(U.S.60/067,423参照)
;(b)N末端システインを疎水性アミノ酸で置換し(U.S.60/067,42
3参照);又は(c)N末端システインを異なるアミノ酸で置換し、次いで、置換
された残基を置換部位に疎水性部分を付加するように化学的に改変することによ
って増大されうる。
【0146】 更に、ヘッジホッグタンパク質を、タンパク質表面の内部残基において、(a)
その内部残基を疎水性アミノ酸で置換し;又は(b)内部残基を異なるアミノ酸で
置換してから、その置換された残基を置換部位に疎水性部分を付加するように化
学的に改変することにより、疎水性部分によって改変することは、そのタンパク
質の生物学的活性を保持し又は増強するであろう。
【0147】 加えて、ヘッジホッグタンパク質などのタンパク質を、C末端において、(a)
そのC末端残基を疎水性アミノ酸で置換し;又は(b)C末端残基を異なるアミノ
酸で置換してから、その置換された残基を置換部位に疎水性部分を付加するよう
に化学的に改変することにより、疎水性部分によって改変することは、そのタン
パク質の生物学的活性を保持し又は増強するであろう。
【0148】 可溶性の未改変タンパク質を化学的に改変することにより得られた疎水性に改
変されたヘッジホッグ関して、パルミチン酸及び他の脂質を可溶性Shhに付加
して、C3H10T1/2アッセイにおいて増大された効力を有する脂質改変型
を造ることができる。この発明に包含される他の形態のタンパク質は、様々な脂
質部分により誘導体化されたタンパク質である。この発明に包含される脂質の主
要なクラスは、脂肪酸及びステロール(例えば、コレステロール)である。この発
明の誘導体化タンパク質は、環式、非環式(即ち、直鎖)の、飽和又は不飽和のモ
ノカルボン酸である脂肪酸を含む。典型的な飽和脂肪酸は、包括的な式:CH3
(CH2)nCOOHを有する。下記の表2には、慣用の化学的方法を用いて便利
に誘導体化されうる幾つかの脂肪酸の例を列記してある。
【0149】
【表2】
【0150】 このタンパク質に結合しうる他の脂質には、分岐鎖脂肪酸及びリン脂質群例え
ばホスファチジルイノシトール(即ち、ホスファチジルイノシトール4−モノホ
スフェート及びホスファチジルイノシトール4,5−ビホスフェート)、ホスフ
ァチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン及び
イソプレノイド例えばファルネシル又はゲラニル群のものが含まれる。脂質で改
変されたヘッジホッグタンパク質は、天然起源から精製するか又は可溶性の未改
変タンパク質を化学的に改変することにより得ることができる。
【0151】 天然起源から精製したタンパク質について、我々は、完全長ヒトソニックヘッ
ジホッグ(Shh)を昆虫細胞で発現させて、膜結合したShhを洗剤処理した細
胞からSP−セファロースクロマトグラフィー及びイムノアフィニティークロマ
トグラフィーの組合せを用いて精製した場合に、精製されたタンパク質が、還元
SDS−PAGEゲル上で20kDaの見かけマスの単一の鋭いバンドとして移
動することを示した。これらの可溶性及び膜結合Shhタンパク質は、係留型が
アセトニトリル勾配中で一層遅く溶出される場合には、逆相HPLCによって容
易に区別することができた。次いで、我々は、ヒトソニックヘッジホッグが細胞
膜に2つの形態(コレステロールを含みそれ故ショウジョウバエヘッジホッグに
ついて以前に報告されたデータと類似する一つの形態と、コレステロールとパル
ミチン酸の修飾の両方を含む第二の新規な形態)で係留されることを示した。可
溶性と係留された形態のShhを、エレクトロスプレーイオン源を備えた三重の
四重極質量分析計を用いるエレクトロスプレー質量分析法により並びに液体クロ
マトグラフィー−質量分析法によって分析した。エンドプロテイナーゼLys−
C消化して疎水性に修飾したShhからのN末端ペプチドの正体を、MALDI
飛行時間質量分析計におけるMALDIPSD質量分析測定により確認した。パ
ルミトイル化部位を、ペプチドマッピングと配列分析の組合せによって同定し、
それは、タンパク質のN末端であった。両改変型は、C3H10T1/2アルカ
リホスファターゼアッセイにおいて等しく活性であったが、興味深いことに、両
方とも係留を欠く可溶性ヒトShhの凡そ30倍よりも強力であった。これらの
疎水性改変は、Shhのレセプター、パッチトに対する見かけの結合親和性に有
意の影響を与えなかった。
【0152】 可溶性の未改変のタンパク質を改変することによって得られる特定の脂質改変
を受けたヘッジホッグについては、パルミチン酸及び他の脂質を可溶性Shhに
加えて、C3H10T1/2アッセイにおいて増大した効力を有する脂質改変型
を造ることができる。それ故、一般に、反応性脂質部分は、飽和又は不飽和のカ
ルボン酸のチオエステル例えば補酵素Aチオエステルの形態であってよい。かか
る物質及びそれらの誘導体は、例えば、市販の補酵素A誘導体例えばパルミトオ
レオイル補酵素A、アラキドイル補酵素A、アラキドノイル補酵素A、ラウロイ
ル補酵素Aなどを含んでよい。これらの物質は、Sigma Chemical社(ミズーリ、S
t. Louis, 1998年度カタログ303〜306頁)から容易に入手することが
できる。
【0153】 ヘッジホッグポリペプチドを誘導体化しうる広範囲の疎水性部分がある。疎水
性の基は、例えば、約7〜30炭素を有する比較的長鎖のアルキル又はシクロア
ルキル(好ましくは、n−アルキル)基であってよい。このアルキル基は、水酸基
又は第一アミン「テイル」で終端していてよい。更なる説明のために、かかる分
子は、天然の及び合成の芳香族及び非芳香族部分例えば脂肪酸、エステル及びア
ルコール、他の脂質分子、かご型構造例えばアダマンタン及びバックミンスター
フラーレン、並びに芳香族炭化水素例えばベンゼン、ペリレン、フェナントレン
、アントラセン、ナフタレン、ピレン、クリセン及びナフタセンを包含する。
【0154】 疎水性分子として特に有用なのは、脂環式炭化水素、飽和又は不飽和の脂肪酸
及び他の脂質及びリン脂質部分、ワックス、コレステロール、イソプレノイド、
テルペン並びにアダマンタン及びバックミンスターフラーレンを含む多環式脂環
式炭水化物、ビタミン、ポリエチレングリコール又はオリゴエチレングリコール
、(C1〜C18)アルキルホスフェートジエステル、−O−CH2−CH(OH)
−O−(C12−C18)アルキル及び特にピレン誘導体との結合体である。この
疎水性部分は、この発明での利用に適した親油性染料であってよく、ジフェニル
ヘキサトリエン、ナイルレッド、N−フェニル−1−ナフチルアミン、プロダン
、ローロダン、ピレン、ペリレン、ローダミン、ローダミンB、テトラメチルロ
ーダミン、テキサスレッド、スルホローダミン、1,1’−ジドデシル−3,3
,3’,3’テトラメチルインドカルボシアニンパークロレート、オクタデシル
ローダミンB及び及びBODIPY染料(Molecular Probes Inc.)を包含するが
これらに限らない。
【0155】 他の典型的な親油性部分は、脂肪族カルボニル遊離基を含み、1−若しくは2
−アダマンチルアセチル、3−メチルアダマント−1−イルアセチル、3−メチ
ル−3−ブロモ−1−アダマンチルアセチル、1−デカリンアセチル、カンフル
アセチル、カンファンアセチル、ノルアダマンチルアセチル、ノルボルナンアセ
チル、ビシクロ[2.2.2.]−オクト−5−エンアセチル、1−メトキシビシク
ロ[2.2.2.]−オクト−5−エン−2−カルボニル、シス−5−ノルボルネン
−エンド−2,3−ジカルボニル、5−ノルボルネン−2−イルアセチル、(1
R)−(−)−ミルテンタンアセチル、2−ノルボルナンアセチル、アンチ−3−
オキソ−トリシクロ[2.2.1.0<2,6>]−ヘプタン−7−カルボニル、デ
カノイル、ドデカノイル、ドデセノイル、テトラデカジエノイル、デシノイル、
又はドデシノイルを包含する。
【0156】 1.ヘッジホッグのN末端システインの化学的修飾 もし適当なアミノ酸が特定の位置で利用可能でないならば、位置指定突然変異
導入法を用いて、反応性アミノ酸をその位置に位置させることができる。反応性
アミノ酸は、システイン、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸
、セリン、スレオニン、チロシン、アルギニン、メチオニン及びトリプトファン
を包含する。突然変異導入法を用いて、反応性アミノ酸をN若しくはC末端又は
内部位置に位置させることもできる。
【0157】 例えば、生物学的に活性なタンパク質例えばヘッジホッグタンパク質のN末端
システインを化学的に改変し又はN末端システインを完全に除去して、しかもそ
のタンパク質の生物学的活性を保持することができる。ヘッジホッグのN末端シ
ステインの疎水性アミノ酸による置換又は修飾は、細胞ベースのシグナリングア
ッセイにおける増大した効力を生じる。システインの置換により、このアプロー
チは、このタンパク質の生成、精製、配合及び貯蔵中に生じうるシステインの他
の望ましくない改変の抑制の問題を排除する。このアプローチの一般性は、3つ
の異なる疎水性アミノ酸フェニルアラニン、イソロイシン及びメチオニンが、各
々、一層活性な形態のヘッジホッグを与え、従ってアゴニストを与えるという発
見に支持されている。
【0158】 これは又、下記のように、非ヘッジホッグ部分(例えば、免疫グロブリン)との
結合にも重要であり、我々は、2つのイソロイシン残基をソニック及びデザート
ヘッジホッグのN末端システインに導入する。これは、我々がC末端システイン
のチオールを共有結合のための反応性部位として利用することを効果的に可能に
する。従って、N末端システインの任意の他の疎水性アミノ酸での置換は、活性
なタンパク質を生じるであろう。その上、我々は、アミノ酸の疎水性又は化学的
改変と対応する改変タンパク質のC3H10T1/2アッセイにおける効力との
間の相関関係を見出したので(例えば、Phe>Met、長鎖脂肪酸>短鎖)、2
以上の疎水性アミノ酸をヘッジホッグ配列に加えることは、アゴニストの効力を
単一のアミノ酸付加により達成されるものを超えて増大させるであろうというこ
とが想像できる。実際、2つの連続するイソロイシン残基のソニックヘッジホッ
グのN末端への付加は、C3H10T1/2アッセイにおいて、唯一のイソロイ
シンが付加された変異体と比較しての効力の増大を生じる。こうして、ヘッジホ
ッグタンパク質のN又はC末端への疎水性アミノ酸の付加は、表面ループ又は幾
つかの位置の組合せにおいて、そのタンパク質の一層活性な形態を与えることが
予想される。置換されるアミノ酸は、一般的な20アミノ酸の一つである必要は
ない。タンパク質の特定の部位を非天然アミノ酸で置換する方法は報告されてお
り、これは、アミノ酸が一層疎水性で、タンパク質分解性の攻撃に抵抗性あれば
有利であろうし、又は更に、ヘッジホッグタンパク質をイン・ビボで特定の部位
に向けるのに利用することができ、それは、その活性を一層強力にし又は特異的
にするであろう。非天然アミノ酸は、イン・ビトロ翻訳において、タンパク質の
特定の部位に組み込むことができ、かかる改変タンパク質の大規模生産を可能に
するイン・ビボシステムの作成における進歩が報告されている。
【0159】 チオールを保護して、疎水性部分を追加するN末端システインの多くの改変が
ある。当業者は、何れの改変が特定の治療用途に最も適当であるかを測定するこ
とができる。かかる測定に影響する因子には、生成、精製及び配合のコスト及び
容易さ、溶解度、安定性、効力、薬力学及び薬物速度論、安全性、免疫原性及び
組織標的が含まれる。
【0160】 2 他のアミノ酸の化学的改変 多くの他のアミノ酸の改変のための特定の化学的方法がある。従って、一層活
性な形態のヘッジホッグを合成するための他の経路は、疎水性部分をヘッジホッ
グ中のN末端システイン以外のアミノ酸に化学的に結合させることであろう。も
し適当なアミノ酸が所望の位置で利用可能でないならば、位置指定突然変異導入
法を用いて、反応性アミノ酸をヘッジホッグ構造中のその部位に位置させること
ができよう(N若しくはC末端又は他の位置に)。反応性アミノ酸には、システイ
ン、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン
、チロシン、アルギニン、メチオニン、及びトリプトファンが含まれよう。こう
して、一層優れたヘッジホッグアゴニストを造るゴールは、多くの化学的手段に
よって達成することができ、我々は、我々の結果がこのアプローチの一般性を支
持するので、改変の特定の化学又は部位により制限されることを臨まない。
【0161】 このヘッジホッグポリペプチドは、多くの方法で疎水性部分に結合させること
ができる(化学カップリング手段によるか遺伝子工学による方法を含む)。説明す
るために、当業者に公知の多数の化学的架橋剤がある。本発明に関して、好適な
架橋剤は、ヘテロ二官能性架橋用リンカーであり、ヘッジホッグポリペプチドと
疎水性部分を段階的様式で結合させるのに利用できるものである。ヘテロ二官能
性架橋用リンカーは、タンパク質に結合するための一層特異的なカップリング法
をデザインし、それにより、望ましくない副反応物例えばホモタンパク質ポリマ
ーの出現を低減させる能力を与える。様々なヘテロ二官能性架橋用リンカーが、
当分野では知られている。これらは、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメ
チル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、m−マレイミドベン
ゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS);N−スクシンイミジ
ル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、スクシンイミジル4−
(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)、1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC);4−スクシンイ
ミジルオキシカルボニル−a―メチル−a−(2−ピリジルジチオ)−トルエン(
SMPT)、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(S
PDP)、スクシンイミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート]ヘ
キサノエート(LC−SPDP)を包含する。N−ヒドロキシスクシンイミド部分
を有する架橋剤は、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド類似体として得ること
ができ、これらは、一般に、一層大きい水溶性を有する。加えて、結合鎖内にジ
スルフィドブリッジを有する架橋剤は、それよりも、イン・ビボでのリンカー開
裂の量を減じるようにアルキル誘導体として合成することができる。
【0162】 一つの特に有用なクラスのヘテロ二官能性架橋用リンカーは、第一アミンの反
応性の基を含むものであり、上記の、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、
又はその水溶性類似体のN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ−NHS)
を含んだ。アルカリ性pHでは、第一アミン(リジンイプシロン基)は、プロトン
化しておらず、NHS又はスルホ−NHSエステルへの親核攻撃により反応する
。この反応は、アミド結合の形成を生じ、副生物としてのNHS又はスルホ−N
HSの放出を生じる。
【0163】 ヘテロ二官能性架橋用リンカーの部分として有用な他の反応性の基は、チオー
ル反応性の基である。一般的なチオール反応性の基には、マレイミド、ハロゲン
及びピリジルジスルフィドが含まれる。マレイミドは、遊離のスルフヒドリル(
システイン残基)と数分で弱酸性から中性(pH6.5〜7.5)条件下で特異的
に反応する。ハロゲン(ヨードアセチル官能基)は、−SH基と生理的pHで反応
する。これらの両方の反応性の基は、安定なチオエーテル結合の形成を生じる。
【0164】生物学的活性の試験 多くのバイオアッセイが、ヘッジホッグ活性を示すために用いられてきたが、
C3H10T1/2細胞株は、ヘッジホッグ機能を、初代細胞培養や器官外植を
しなければならないという複雑さを伴わずに評価するための簡単な系を与える。
このマウス胎児繊維芽細胞株C3H10T1/2は、規定された条件下で含脂肪
細胞、軟骨細胞及び骨芽細胞に分化することのできる間充織幹細胞株である(Tay
lor, S.M.及びJones, P.A., Cell 17:771-779(1979)及びWang, E.A.等、Growth
Factors 9:57-71(1993))。骨形態形成タンパク質は、C3H10T1/2細胞の
骨細胞系統への分化を駆動し、アルカリホスファターゼ誘導がこの過程のマーカ
ーとして用いられてきた(Wang等、前出)。Shhは、C3H10T1/2細胞に
対して類似の効果を有し(Kinto, N.等、FEBS Letts.404:319-323(1997))、我々
は、Shhによるアルカリホスファターゼ誘導を、そのイン・ビトロでの効力の
定量的測定として日常的に利用している。Shh処理は又、gli−1及びpt
c−1発現の投与量依存性の増大をも生じ、これは、PCRベースの分析により
容易に検出することができる。
【0165】 この発明の好適なムテイン ヒトのソニックヘッジホッグタンパク質の活性なN末端シグナリングドメイン
(残基Cys24〜197)は、多くの細胞型(COS、昆虫細胞、大腸菌、酵母)
において発現させることができる。バキュロウイルス及び酵母において、このタ
ンパク質は、Gly9とArg14の間の様々な部位でタンパク質分解性クリッ
ピングを受ける(ソニックヘッジホッグのN末端配列についてのクリップ部位を
示した図3を参照されたい)。メチロトロピック酵母ピチア・パストリス、GS
115株(Invitrogen)において、このN末端クリッピングは、専らArg33〜
Arg34結合で起きてN−10ソニックヘッジホッグタンパク質(残基Arg
34〜Gly197)を生じる。このクリッピングは、細胞内で起き、KEX2
ゴルジプロテアーゼ又は類似のKEX2様細胞内プロテアーゼにより触媒される
ようである。
【0166】 N末端をクリップされた形態のSHHは、10T1/2アッセイにおいて不活
性である(実施例1参照)。N−10SHHは、このアッセイで不活性であり且つ
野生型と共存した場合にはそれと拮抗しもする。従って、ある状況において、N
末端タンパク質分解性クリッピングの阻止は、完全に活性なタンパク質の生成に
必要である。
【0167】 N末端クリッピングの故に、モノマー形態のSHHは、2つのタンパク質種(
無傷のSHH及びN−10SHH)を含むことが予想される。
【0168】 対照的に、ダイマーの融合タンパク質例えばSHH−Fc(免疫グロブリン)タ
ンパク質は、3つの種(2つの無傷のSHHドメインを有する種、2つのクリッ
プされたドメインを有する種及び1つの無傷のSHHドメインと1つのクリップ
されたSHHドメインを有する種)を含むことが予想される。
【0169】 モノマーのSHHは、N末端をクリップされたSHHから標準的タンパク質精
製技術によって分離することができた。しかしながら、ダイマーの融合タンパク
質は、一層困難な精製問題である。加えて、相当の割合のN末端クリッピングが
2つの無傷のSHHドメインを含むダイマー分子の生成を一層激しく低減させる
であろう。従って、ダイマー融合タンパク質の効率的生成は、N末端クリッピン
グの阻止に特に依存する。
【0170】 KEX2プロテアーゼは、下記の形式の少なくとも3アミノ酸残基長の認識配
列を有する:
【化1】 [Arg又はLys]−Arg−[X] (式中、XはPro)。
【0171】 この認識配列は、ソニックヘッジホッグのN末端領域に2回出現し、その一つ
は、Lys9Arg10Arg11であり、これら2つのArg残基の間には開
裂があり(この部位での開裂は観察された)、もう一つは、Arg10Arg11
His12であり、ArgとHisの間での開裂が予想される(この部位での開
裂は観察されていない)。我々は、このLys9Arg10Arg11部位が優
先されて、Arg10Arg11での開裂がArg10Arg11His12部
位を破壊するものと推定している。
【0172】 ソニックヘッジホッグ中のKEX2認識部位を、この細胞内タンパク質分解性
クリッピングを排除するために突然変異させた(実施例1、図3及び表3を参照
されたい)。これらの変異型タンパク質は、N末端ドメインとして発現された(ソ
ニックヘッジホッグコード配列のコドンCys24〜Gly197、これは、シ
グナル配列開裂後の成熟タンパク質の残基Cys1〜Gly174に対応する)
【0173】
【表3】
【0174】 IV.この発明の有用性 この発明の好適な免疫グロブリン融合タンパク質の本発明の治療適用のための
ユニークな特性は、それらの全体的な生体適合性である。この発明の融合タンパ
ク質は、毒性でないと考えられ、それらは、非免疫原性で且つ非抗原性であると
考えられ、そしてここに記載の条件下で結合体化した場合にヘッジホッグタンパ
ク質部分の生物学的活性を邪魔しない。それらは、長期の血中循環を有し、且つ
容易に生物体から排出される。
【0175】 本発明の治療用融合物は、ヘッジホッグ又はパッチトタンパク質成分が効き目
のある任意の病気又は疾病状態の予防又は治療のために利用することができる。
加えて、本発明の構築物は、生物学的系又は試料において、成分、病気又は疾病
状態の診断に利用し、並びに、診断目的のために、非生理学的系において利用す
ることができる。
【0176】 治療的用法において、本発明は、かかる病気又は疾病状態を有し又は潜伏的に
感受性であって、かかる治療を必要とする動物患者の治療方法を企図しており、
それは、かかる動物への有効量の本発明の融合タンパク質(該病気又は疾病状態
に対して治療上有効なもの)の投与を含む。本発明の融合タンパク質により治療
されるべき患者には、哺乳動物患者及び最も好ましくはヒトの患者が含まれる。
闘うべき特定の病気又は疾病状態に依って、動物患者に、この発明の構築物を、
任意の適当な治療上有効で且つ安全な投薬量で投与するが、該量は、当業者によ
って過度の実験をすることなく容易に決定することができる。
【0177】 一般に、ここに記載の改変タンパク質は、それらの未改変型タンパク質を用い
て治療することのできる同じ医学的病気を治療するのに有用である。しかし、こ
の発明のタンパク質の治療状況での適用の一例のように、この発明の改変ヘッジ
ホッグタンパク質は、様々な神経病を患っている患者に投与することができる。
神経系の発生中及びおそらくは成体においてもニューロンの分化を調節するヘッ
ジホッグタンパク質の能力は、ポリマー結合体化ヘッジホッグが、正常細胞の維
持、機能性能及び加齢に関する成体のニューロンの制御;病変細胞における修復
及び再生過程;並びにある種の病理的状態での分化の喪失から生じる退行及び時
期尚早の死の阻止を促進すると期待することができることを示している。これに
照らして、本発明の改変ヘッジホッグ組成物は、局所的注入による治療により、
(i)神経系に対する外傷、化学的傷害、血管傷害及び欠乏(卒中に由来する虚血
など)並びに感染及び腫瘍に誘導された傷害を含む急性、亜急性又は慢性の傷害
;(ii)アルツハイマー病を含む神経系の加齢;(iii)パーキンソン病、ハンチン
トン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症などを含む神経系の慢性神経退行性疾患;及び
(iv) 多発性硬化症を含む神経系の慢性免疫病に由来する神経病の発病を防止し
且つ/又は低減させることができる。これらの改変ヘッジホッグタンパク質は又
、例えば、脳細胞の欠乏を扱うために脳脊髄液中に注入し、又はリンパ系若しく
は血流中に、他の組織又は器官系特異的な異常を標的とすることが必要ならば注
入することができる。
【0178】 この発明のヘッジホッグ組成物を用いて、例えば、様々なニューロンを、傷害
により誘導される死から救済し、並びにかかるダメージの後にこれらのニューロ
ンの再計画を誘導することができる。かかるダメージは、CNS外傷性梗塞、感
染症、代謝性疾患、栄養不足及び毒剤(例えばシスプラチン処理)を包含する状況
(但し、これらに限らない)に帰することができる。ある種のヘッジホッグタンパ
ク質は、新生物細胞又は過形成性のトランスフォームされた細胞を有糸分裂後に
し又はアポトーシスを引き起こす。それ故、かかる組成物は、例えば、悪性のグ
リオーマ、髄芽細胞腫及び神経外胚葉性腫瘍の治療において利用することができ
る。
【0179】 この発明の改変タンパク質を用いて、医学的治療剤を、特異的に、そのタンパ
ク質のレセプターを発現している癌及び腫瘍を標的とすることができる。かかる
物質は、それらを抗新生物剤、毒素及び殺細胞性放射性核種例えばイットリウム
90の送達用ビヒクルとして利用することにより、癌治療剤として一層効果的に
することができる。
【0180】 毒素をこの改変ヘッジホッグに結合させて、ヘッジホッグ応答性細胞例えばヘ
ッジホッグレセプターを発現している腫瘍を選択的に標的にして殺すこともでき
る。他の毒素は、当業者に公知のように、同様に有用である。かかる毒素には、
シュードモナス外毒素、ジフテリア毒素、及びサポリンが含まれるが、これらに
限らない。このアプローチは、ヘッジホッグが非常に限られた数の組織で発現さ
れるので上首尾であることが分かるであろう。かかる医学的治療剤への別のアプ
ローチは、放射性同位元素標識された改変タンパク質を利用することである。か
かる放射性標識された化合物は、優先的に、放射能を、正常組織を回避して、こ
れらのタンパク質レセプターを発現する細胞内の部位を標的として送達する。用
いた放射性同位元素に依って、腫瘍細胞に結合した放射性標識されたタンパク質
から放射される放射線は又、このタンパク質レセプターを発現していない近くの
悪性腫瘍細胞を殺すこともできる。様々な放射性核種を利用することができる。
【0181】 皮下送達がこの発明のタンパク質の治療用投与のための第一の経路であるとい
うことが構想される。局所的、静脈内送達、又はカテーテル若しくは他の外科用
チューブによる送達も又構想されうる。他の経路には、錠剤など、液体配合物用
の市販の噴霧器、及び凍結乾燥又はエーロゾル化した配合物の吸入が含まれる。
液体配合物は、粉末配合物からの再構成後に利用することができる。
【0182】 神経退行性疾患について、幾らかの臨床的な断定的価値を有すると考えられて
いる幾つかのモデル動物が利用可能である。パーキンソン病について、モデルは
、黒質−線条体ドーパミン作動性経路に、MPTPの全身投与又は6−ヒドロキ
シドーパミン[6−OHDA]、2種の選択的ドーパミン作動性毒素の局所(頭蓋
内)投与によって損傷を有するゲッ歯類又は霊長類における防護又は回復を含む
。特異的モデルは、MPTP処理マウスモデル(Tomac等、(1995)Nature 373,335
-339);MPTP処理霊長類(キヌザル又はアカゲザル)モデル(Gash等、(1996)Na
ture 380,252-255)及び片側性6−OHDA傷害ラットモデル(Hoffer等、(1994)
Neuroscience Lett.182,107-111)である。ALS(筋萎縮性側索硬化症)について
は、モデルは、ウォブラー(Duchen, L.W.及びStrich, S.J.,(1968),J.Neurol.Ne
urosurg.Psychiatry 31,535-542)及びpmnマウス(Kennel等、(1996)Neurobiol
ogy of Disease 3,138-147)を含む自発的運動ニューロン退行を示す幾つかのマ
ウス系統、並びに家族性ALSにリンクされてきたヒトの変異型スーパーオキシ
ダーゼジスムターゼ(hSOD)遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(Rip
ps等、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:689-693)の処理を含む。脊髄損傷につ
いては、最も一般的なモデルは、較正重量液滴又は流体(流体力学的)傷害による
ラットへの挫傷を含む。ハンチントンについては、モデルは、ラットの線条体へ
の刺激毒素(NMDA、キノリン酸、カイニン酸、3−ニトロ−プロピオン酸、
APMA)傷害からの防護を含む(Nicholson, L.等、(1995)Neuroscience 66,507
-521;Beal, M.F.等、(1993)J.Neuroscience 13,4181-4192)。最近、ヒトのハン
チントン遺伝子中のトリヌクレオチド伸長反復を過剰発現するトランスジェニッ
クマウスモデルも記載された(Davies, S.等、(1997)Cell 90,537-548)。多発性
硬化症については、マウス及びラットのEAEが、MBP(ミエリン塩基性タン
パク質)による免疫化により、又はMBPで活性化されたT細胞の受動的トラン
スファーによって誘導される(Hebr-Katz, R.(1993)Int.Rev.Immunol.9,237-285)
アルツハイマーについては、関連マウスモデルは、ラットの房状縁脳弓の傷害
(隔膜傷害)に対する防護の測定であり、主神経束は、海馬のコリン作動性神経支
配を与え(Borg等、(1990)Brain Res.,518,295-298)、トランスジェニックマウス
の利用は、ヒトβ−アミロイド遺伝子を過剰発現する。抹消神経障害については
、関連モデルは、化学療法剤例えばタキソール、ビンクリスチン及びシスプラチ
ンによりマウス及びラットで引き起こされる末梢神経コンダクタンスの喪失に対
する防護である(Apfel等、(1991)Ann.Neuro.,29,87-90)。
【0183】 本発明の生成物は、ヘッジホッグの半減期を持続させるのに有用であることが
見出されており、例えば、水又は許容しうる液体媒質に溶解させることにより、
治療投与のために調製することができる。投与は、非経口経路、エアゾール又は
経口経路の何れかによる。微細なコロイド懸濁液を、非経口投与用に調製して、
蓄積効果を生じることができる(又は、エアゾール配合物は液体又は乾燥粉末で
あってよいが、経口経路による)。乾燥した、凍結乾燥状態又は溶液配合物にお
いて、本発明のヘッジホッグタンパク質−ポリマー結合体は、優れた貯蔵安定性
を有するはずである。結合体化ヘッジホッグタンパク質の熱安定性(データは示
してない)は、脱水肯定を有する粉末配合物プロセスにおいて有利である。
【0184】 この発明のヘッジホッグタンパク質は、それ自体で並びに製薬上許容しうるそ
のエステル、塩及び他の生物学的に機能的な誘導体の形態で投与することができ
る。かかる製薬及び医薬配合物において、このヘッジホッグタンパク質は、好ま
しくは、少なくとも一種の製薬上許容しうるキャリアーと共にそして適宜他の治
療用成分と共に用いる。この(これらの)キャリアーは、配合物の他の成分と適合
性であって、レシピエントに対して過度に有害でないという意味において、製薬
上許容されるものでなければならない。このヘッジホッグタンパク質は、上記の
ように所望の薬理学的効果を達成するのに有効な量で及び所望の日々の投与量を
達成するのに適した量で与えられる。
【0185】 これらの配合物には、非経口の並びに非経口でない投与に適したものが含まれ
、特定の投与様式には、経口投与、直腸投与、口内投与、局所投与、鼻投与、眼
投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈投与、経皮投与、髄腔内投与、関節内投与、
動脈投与、くも膜下投与、気管支投与、リンパ投与、膣内投与及び子宮内投与が
含まれる。経口投与、鼻投与及び非経口投与に適した配合物が、好適である。
【0186】 このヘッジホッグタンパク質を液体溶液を含む配合物で用いる場合は、その配
合物は、有利には、経口又は非経口投与することができる。このヘッジホッグタ
ンパク質を液体懸濁配合物中で又は粉末として生体適合性キャリアー配合物中で
用いる場合は、その配合物は、有利には、経口投与、直腸投与又は気管支投与す
ることができる。
【0187】 このヘッジホッグタンパク質を直接粉末化固体の形態で利用する場合は、この
ヘッジホッグタンパク質を、有利には、経口投与することができる。或は、それ
を、キャリアーガスにその粉末を噴霧化させることにより、その粉末のガス状分
散を形成して、鼻投与し又は気管支投与することができ、該分散は適当な噴霧器
を含む呼吸サイクルから患者により吸い込まれる。
【0188】 本発明を構成する配合物は、便利に、投薬形態で与えられ、製薬業界で周知の
何れかの方法によって調製することができる。かかる方法は、一般に、活性成分
を、少なくとも一種の付随的成分を構成するキャリアーと結合させるステップを
含む。典型的には、これらの配合物を、活性成分を一様且つ均質に液体キャリア
ー、微粉固体キャリアー及び必要ならば両者と結合させることにより調製して、
この製品を所望の配合物の投薬形態に形作る。
【0189】 経口投与に適した本発明の配合物は、別々のユニット例えばカプセル、カシェ
剤、錠剤、菓子錠剤として与えることができ、各々は、予め決めた量の活性成分
を粉末又は顆粒として;又は水性液体若しくは非水性液体中の懸濁液例えばシロ
ップ、エリキシル、乳濁液若しくはドラフトとして含む。
【0190】 錠剤は、加圧若しくは型込めにより作成することができ、適宜、一種以上の付
随的成分を伴う。加圧錠剤は、適当な機械で加圧することにより製造することが
でき、活性な化合物は、粉末又は顆粒などの易流動性形態であって、これは、適
宜、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、不活性希釈剤、表面活性剤又は崩壊剤と混合され
る。粉末ポリマー結合体と適当なキャリアーの混合物よりなる型込め錠剤は、適
当な機械で型込めすることにより作成することができる。
【0191】 シロップは、活性な化合物を糖(例えば、ショ糖)の濃縮水溶液に加えることに
より作成することができ、該濃縮水溶液には、任意の付随的成分も加えることが
できる。かかる付随的成分には、香味料、適当な防腐剤、糖の結晶化を遅らせる
薬剤、及び任意の他の成分の溶解度を増大させる薬剤例えばポリヒドロキシアル
コール例えばグリセロール又はソルビトールが含まれうる。
【0192】 非経口投与に適した配合物は、便利に、活性な結合体の無菌の水性調製物を含
み、これは、好ましくはレシピエントの血液と等張である(例えば、生理的塩溶
液)。かかる配合物は、沈殿防止剤及び増粘剤又は他の微粒子系(血液成分又は少
なくとも一つの器官を化合物の標的とするようにデザインされたもの)を含むこ
とができる。これらの配合物は、単一投与形態で与えることも複数投与形態で与
えることもできる。
【0193】 鼻スプレー配合物は、活性成分と防腐剤及び等張剤の精製水溶液を含む。
【0194】 直腸投与用の配合物は、適当なキャリアー例えばカカオ脂、水素化脂肪、又は
水素化脂肪カルボン酸と共に坐剤として与えることができる。
【0195】 目薬などの眼用配合物は、鼻スプレーと類似の方法で調製されるが、pH及び
等張因子は、好ましくは、眼のそれに一致するように調整する。
【0196】 局所用配合物は、この発明の結合体を、少なくとも一種の媒質例えば鉱油、石
油、ポリヒドロキシアルコールに、又は他の局所用医薬配合物に用いられるベー
スに溶解又は懸濁させて含む。
【0197】 前述の成分に加えて、この発明の配合物は、更に、希釈剤、緩衝剤、香味剤、
崩壊剤、表面活性剤、増粘剤、潤滑剤、防腐剤(抗酸化剤を含む)などから選択す
る少なくとも一種の付随的成分を含むことができる。
【0198】 下記の実施例を、本発明の説明のために与えるが、それを限定するものと解釈
すべきではない。特に、ここに記載のイン・ビボの動物実験は、基本的方法論の
他の改変及び変形が可能であるように変えることができるということは理解され
よう。これらの実施例の改変及び変形は、この発明の精神及び範囲内にあると考
えるべきである。
【0199】 実施例1:材料と方法 ソニックヘッジホッグのピチア・パストリスでの発現用プラスミドpUB55の
構築:pUB55(SEQ ID NO:80)は、ヒトのソニックヘッジホッグ
のN末端ドメイン(SEQ ID NO:37、表4)とアルファ因子プレプロ領
域(分泌シグナル)を含む。pUB55を、pPIC9の誘導体pCCM73(Inv
itrogen, カリフォルニア、San Diego)中に、pPIC9のSph1部位に挿入
したpUC−Kのカナマイシン遺伝子(HincII−HincII断片)を用い
て構築した。Ear1−Not1由来のヒトソニックヘッジホッグコード配列を
、コード配列中のGly197の後ろに停止コドンを有し且つNot1部位を工
作したpEAG543から得た。プラスミドpCCM73をXhoI及びNot
Iで切断し、pEAG543のEar1−Not1断片(ソニックヘッジホッグ
コード配列を含む、図4)及びオリゴヌクレオチド[5'TCG AGA AAA GAT GCG GAC
CGG GCA GGG GGT 3':SEQ ID NO:35及び5'CGA ACC CCC TGC CCG GT
C CGC ATC TTT TC 3'](XhoI−EarI断片を形成し、ソニックヘッジホッ
グをアルファ因子のリーダー配列とイン・フレームで隣接させるための適当なコ
ード配列を作る)と連結した。
【0200】 ソニックヘッジホッグ中のKEX2開裂部位変異の構築:pUB55をXhoI
+Bbs1で消化し、合成オリゴヌクレオチド(各変異のために利用するオリゴ
ヌクレオチドについては、表5を参照されたい)(ソニックヘッジホッグのN末端
コード配列を含むXhoI−BbsI断片を置き換える)と連結した。[注:pU
B55は、複数のBbsI部位を有するが、各々は、異なる4塩基対オーバーハ
ングを有するので、その混合物の再連結は、pUB55配列を、各連結反応に含
まれる新規なオリゴヌクレオチドの外側に造る。] 新規な制限部位は、各新規な
変異体のXhoI−BbsI断片中に組み込まれた。
【0201】 デザートヘッジホッグのピチア・パストリスでの発現及びKEX2部位変異の構
築:プラスミドpEAG680中のデザートヘッジホッグコード領域を改変して
、Stratagene 社のQuikChange突然変異導入キットを用いて、Bsr
GI及びXmaI部位を組み込んだ。BsrGI用のオリゴHOG−711及び
HOG−712を用いて、pEAG680を変異させて、pMMC11を生成し
た。XmaI用のオリゴヌクレオチドHOG−720及びHOG−721を用い
て、pMMC11を変異させて、pMMC13を生成した。野生型デザートヘッ
ジホッグN末端ドメインのための発現用プラスミドを、pMMC13のXmaI
−Not1断片をpKS314中の同じ部位にサブクローン化することにより作
成した。[pKS314は、pKS310のソニックヘッジホッグQRRPP変
異体コード配列を含む(表5)。pKS310のXhoI−NotI断片を、Nc
oI部位を突然変異導入により破壊されたHIS4領域に有するpPic9(Inv
itrogen)の誘導体、pWS106にサブクローン化した。pKS314中のXm
aI部位は、ソニックヘッジホッグのコドン3及び4(ProGly)配列内にあ
る。ソニック及びデザートヘッジホッグの最初の4残基は同じであるので、ソニ
ックコード配列は、デザートヘッジホッグ構築物のために用いることができる。
pKS310は、第二のXmaI部位をKan遺伝子内に含み、それ故、デザー
トヘッジホッグ構築物のこのシリーズには適さなかった。] デザートヘッジホッグのKEX2部位内の変異を、 (1)pMMC13からのD
HHコード領域を含むBsrGI−NotI断片、(2)DHHのXmaI−Bs
rGI領域を含むオリゴヌクレオチド(表K−2及びK−3に示したオリゴヌク
レオチド)及び(3)pKS314からのプラスミド主鎖(NotI−XmaI断片
)を用いる3部分連結により構築した。
【0202】 インディアンヘッジホッグのピチア・パストリスでの発現及びKEX2部位変異
の構築:プラスミドpEAG657(SEQ ID NO:84)は、イディアン
ヘッジホッグコード配列とGlyXXXコドンの後ろに停止コドンを有するpB
luescriptである。pEAG658(SEQ ID NO:85)は、イ
ンディアンヘッジホッグコード配列及び、インディアンヘッジホッグコード配列
とFc免疫グロブリンコード配列との免疫グロブリンのヒンジ領域での融合に適
した残基内に工作したSalI部位を有するpBluescriptである。そ
の後の操作を容易にするために、SpeI及びXmaI部位を位置指定突然変異
導入法によってpEAG658に導入した。pEAG658をオリゴヌクレオチ
ドHOG−709及びHog−710を用いて突然変異させて、SpeIを導入
してpMMC10を生成した。次いで、pMMC10を、オリゴヌクレオチドH
OG−722及びHOG−723を用いて変異させて、Xm1部位を導入して、
pMMC12を生成した。次いで、新規なSpeI及びXmaI部位を、pEA
G657の小さいBbsI−DraIII断片とpMMC12の大きいBbsI
−DraIII断片を連結することによりpEAG657にサブクローン化した
。野生型インディアンヘッジホッグのピチア・パストリスでの発現のための発現
用プラスミド(pMMC18)を、pMMC14のXmaI−NotI断片をpK
S314の同じ部位にサブクローン化することによって構築した。KEX2部位
変異体のための発現ベクター(pMMC19、RKRPP;及びpMMC20、
QRRPP)を、pMMC14のSpeI−NotI断片、pKS314のXm
aI−NotI主鎖、及びKEX2部位変異を含むXmaI−SpeI断片を形
成するオリゴヌクレオチドを連結することによって構築した(表5及び6に列記)
【0203】
【表4】
【0204】
【表5】
【0205】
【表6】
【0206】
【表7】
【0207】 ヘッジホッグ−Ig融合タンパク質の構築 10T1/2アッセイにおいて活性を有する変異を、SHH−Fc(muIg
G1)プラスミドpUB114(SEQ ID NO:81)にサブクローン化し
たが、これは、マウスIgG1のCH2及びCH3領域に融合された野生型SH
Hドメインを有する。
【0208】 pUB114中のFc領域は、グリコシル化部位変異を含み[Asn297G
ln、PUB55及びpUB114プラスミドは、SHHに融合されたFcドメ
インをコードする領域の外側で同一である。pUB114と同一であるが、ヒト
IgG 1又はマウスIgG2aFc領域を含むプラスミドが、それぞれ、pUB115
(SEQ ID NO:82)及びpUB116(SEQ ID NO:83)であ
る。(表4も参照されたい)
【0209】 従って、SHH中の変異は、pUB114のAOX1プロモーター中のSHH
の上流のSac1部位からAvr2部位又はSph1部位(両方ともSHH変異
の下流にあるが、SHH−Fc融合部位よりは上流)までにサブクローン化され
た。
【0210】 タンパク質を発現する酵母株の構築のために、プラスミドをStu1で消化し
て、ピチア・パストリスGS115中に、1M ソルビトール(Invitrogen)中で
のエレクトロポレーションにより又はLi塩トランスフォーメーション手順(F
rozen EZ酵母トランスフォーメーションキット、カリフォルニア、Orang
e, Zymo Research)によってトランスフォームした。His+トランスフォーマ
ントをMD寒天上で選択した。コロニーをYPD寒天上で精製し、5ml BM
MY(2% メタノール)培地中でのタンパク質発現のために培養した。BMMY
培養上清を1又は2日目に集めて(1日の収集物をTCA沈殿により濃縮した)、
SDS−PAGE及びクーマシーブルー染色により分析して、クリップされたS
HHとクリップされてないSHHを識別した。
【0211】 タンパク質精製 精製のためのタンパク質の大規模な調製物を、下記のようにして調製した: BMGY中の接種物(後期対数増殖期〜定常期)をフェルンバッハフラスコ中の1
L BMGYに加えて、150rpmで2〜3日間インキュベートした。定常期
のBMGY培養物を遠心分離して、1Lからの細胞ペレットをBMMY(2%メ
タノール)に再懸濁し、フェルンバッハフラスコ中で、30℃で2〜3日間イン
キュベートした。ペプスタチンA(44μM)を、SHH−Fc融合タンパク質の
発現のために、BMMY培地に加えた。
【0212】 A.ヘッジホッグN末端ドメイン塩基性領域変異体の精製 ピチア細胞を遠心分離により除去した後に、調整培地を水で10倍に希釈して
塩濃度を下げてから、3Kカットオフスパイラルフィルター(Amicon)を用いて再
濃縮した。この濃縮物を、50mM リン酸ナトリウム(pH6.0)で平衡化し
たCM−Poros(登録商標)カラム(Perseptive Biosystems)に加えた。0〜
0.8M NaClの勾配による溶出は、2つのヘッジホッグピークを分離した
【0213】 第一のピークは、完全長ヘッジホッグ(システイン又はグルタチオンのジスル
フィドとして)とクリップされたヘッジホッグ(KEX2タンパク質分解部位が存
在する場合)の混合物を含んだ。第二のピークは、完全長ジスルフィド結合した
ヘッジホッグホモダイマーであった。このタンパク質の第二のピークを用いて、
第一のピークが有意の量のクリップされた物質を含む場合に、生物活性を評価し
た。
【0214】 これらのピークを別々にプールして、10mM DTTで還元して、5mM リ
ン酸ナトリウム(pH5.5)、150mM NaCl及び0.5mM DTTに対
して透析した。このタンパク質のN末端システインが他のアミノ酸で置換された
場合には、DTTは用いなかった。この単一の精製ステップは、この調整培地中
の低レベルの夾雑タンパク質のために、>95%の純度を達成するのに十分であ
る。純度は、4〜20%勾配ゲル(Novex)上でのSDS−PAGEにより測定し
て、クーマシーブルーにより染色した。正体を質量分析により確認し、効力は、
細胞ベースの生物活性アッセイ(下記参照)を用いて分析した。
【0215】 B.ヘッジホッグ−Ig融合タンパク質構築物の精製 ピチア細胞を、調整培地から遠心分離により除去してから、プロテインAファ
ーストフロー(登録商標)(Pharmacia)に加えた。ヒトIgG1(SEQ ID N
O:40)又はマウスIgG2A配列(SEQ ID NO:42)を利用する構
築物からのタンパク質を、プロテインAに直接加えた。マウスIgG1配列を利
用する構築物を、水で10倍に希釈して塩濃度を下げ、3Kカットオフスパイラ
ルフィルター(Amicon)を用いて再濃縮し、pHを、ホウ酸ナトリウム緩衝剤(p
H8.5)を50mMの終濃度まで加えて調整した。
【0216】 HHIgを、25mM リン酸ナトリウム(pH2.8)を用いて溶出させ、そ
れらの画分を、0.1容の0.5M リン酸ナトリウム(pH6)を含む管に集め
てpHを再調整した。次いで、プロテインA溶離液を、0.5mM リン酸ナト
リウム(pH6)で8倍に希釈して、50mM リン酸ナトリウム(pH6.0)で
平衡化したCM−Poros(登録商標)カラム(Perseptive Biosystems)に加え
た。0〜0.8M NaClの勾配を用いる溶出は、2つのHHIgピークを分
離した。
【0217】 第一のピークは、ダイマーのHHIgポリペプチドの一つがヒンジ近くの配列
でタンパク質分解により開裂されており、それ故、このダイマーが唯一つのHH
N末端ドメインを含む「1アーム」タンパク質である。第二のピークは、2つの
完全長HHIg鎖を有するダイマーである。これらのピークを別々にプールして
、10mM DTTで還元して、5mM リン酸ナトリウム(pH5.5)、150
mM NaCl及び0.5mM DTTに対して透析した。このタンパク質のN末
端システインが他のアミノ酸で置換されている場合には、DTTを用いなかった
。これらの2つの精製ステップは、>95%の純度を達成する。純度は、SDS
−PAGEを4〜20%勾配ゲル(Novex)上で行ってクーマシーブルーで染色す
ることにより測定した。正体を質量分析により確認して、効力は、細胞ベースの
生物活性アッセイ(下記参照)を用いて分析した。
【0218】 質量分析法 精製したタンパク質の分子質量を、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(
ESI−MS)により、Micromass Quattro II三重四重極質
量分析計で測定した。試料を、Reliasil(登録商標)C4カラム(1mm
×5cm)を有するon−line Michrom Ultrafast Mic
roprotein Analyzerシステムを用いて脱塩した。すべてのエ
レクトロスプレーマススペクトルデータをMicromass MassLyn
xデータシステムを用いて処理した。
【0219】 実施例2:薬物速度論及び薬力学生物活性のアッセイ ヘッジホッグタンパク質を、生物活性について、C3H10T1/2細胞にお
けるアルカリホスファターゼ誘導を測定する細胞ベースのアッセイ(Pepinsky等
、JBC 273,14037-14045(1998))で試験した。
【0220】薬物速度論 表3に示したヘッジホッグ−Ig融合タンパク質を、以下に例示するように、
マウスにおけるスクリーニング薬物速度論において、wt shh N末端ドメイ
ンと比較する。この研究において、2匹の雌のBalb/cマウスに、50μg
の各タンパク質を静脈注射した。全タンパク質の注射後、5分及び5時間又は7
時間で、眼からの採血を行った。最後の採血を注射の24時間後に行った。
【0221】 すべての採血から調製した血清を、直ちにドライアイス上で凍結して、−70
℃に保存した。血清中のヘッジホッグレベルを、サンドイッチELISAによっ
て測定した。該ELISAでは、このタンパク質を、被覆した抗ヘッジホッグm
Ab5E1により及び、その後、第二抗体(ヘッジホッグの15N末端アミノ酸
に対するウサギポリクローナル抗体)により捕捉して、ヤギ抗ウサギHRP結合
体により検出する。血清試料の様々な希釈物についての値を、試験する特定のタ
ンパク質について作成した標準曲線からバックフィットさせた。これらの標準曲
線は、血清に加えた既知のレベルのタンパク質の濃度を測定することにより確認
した。
【0222】 結果 RKRHP変異:この変異は、「N−11」クリップ部位が、N−10クリップ
が起きないときに、KEX2により認識されうるかどうかを試験するために構築
した。予想されるように、この変異体は、無傷のSHHとクリップされたSHH
の両者の混合物として発現される。我々は、正確なクリップ部位を決定しなかっ
たが(質量分析によるN末端配列決定により)、Arg11−His12結合の開
裂により生じると推定している。このタンパク質は、野生型のSHH程には広く
クリップされない。それ故、我々は、このN−11部位は、実際、N−10部位
より劣ったKEX2部位であると結論している。このN−11KEX2部位は、
ソニックヘッジホッグタンパク質のKEX2クリッピングを阻止するために突然
変異によって除去されなければならない。
【0223】 RKRPP変異:この変異は、SHHの塩基性領域内の両KEX2部位を破壊す
る。我々は、一の塩基性残基による他のものの保存的置換[Lys9Arg及び
Arg10Lys]は、活性に対して有害ではないと推定している。ソニックヘ
ッジホッグのインディアンヘッジホッグはProをこの部位に有しているので、
His12Pro置換を選択した。このタンパク質を構築したとき、それは、予
想されたように、クリッピングを示さなかった。10T1/2アッセイで試験し
た場合、RKRPP変異型タンパク質は、活性を示さなかった。この変異は、3
つのアミノ酸置換[Lys9Arg、Arg10Lys及びHis12Pro]を
有するので、我々は、何れの置換が活性を破壊したのかをいうことはできない。
しかしながら、Lys9は、他のソニックヘッジホッグ同族体においてはArg
残基であるので、これが不活性の原因であることは、ありそうにない。我々は、
His12Pro変異がこのタンパク質の不活性の原因であると仮定している。
【0224】 GSRKRPPRK(「インディアン様」ソニックヘッジホッグ)。このインディ
アンソニックヘッジホッグ配列は、2つのKEX2部位を有するソニックヘッジ
ホッグと比較して、塩基性領域内にただ一つのKEX2部位しか有していない。
HisのProでの置換が、第二のKEX2部位の排除の原因である。この領域
におけるソニックとインディアンの他の違いは、インディアンヘッジホッグの3
塩基性モチーフの直ぐ上流のSer残基の挿入である。我々は、このSer付加
が、ソニックヘッジホッグと比べてインディアンヘッジホッグ中の余分なPro
残基を補正することができるものと仮定している。従って、Ser挿入とHis
からProへの変異の両方を含む変異体を構築した。配列GSRKRPPRKが
、ソニックヘッジホッグ中のGKRRHPKK配列に置き換わった。GSRKR
PPRKは、ソニックと、5つの位置(GSRKRPPRK)で異なるが、インデ
ィアン配列とは、唯一つの位置(GSRKRPPRK)で異なるだけであることに
注意されたい。この変異体は、KEX2クリッピング示さず、10T1/2アッ
セイにおいて測定可能な活性を有した(もっとも、それは、野生型ソニックヘッ
ジホッグより少し活性が低いが)。
【0225】 KKKHP、RKKHP、RQRHP変異体:これらの変異体は、His12残
基を保持し且つKEX2認識部位を除去すると同時に、可能な限りの陽性電荷を
保持するようにデザインした。これらの変異体の3つすべては不活性であり、従
って、SHH中の3つの残基Lys9Arg10Arg11配列が活性に必須の
特徴を含んでいるということを示している。このデータは又、RKRPP変異体
中のHis12Pro変異が、このタンパク質により示された活性の喪失と無関
係であるという可能性をも高めた。RKRPP及びRKRHP変異体は、His
12位置でのみ異なるので、我々は、クリップされてないRKRHP変異型タン
パク質の活性を試験した。
【0226】 このクリップされてないRKRHP変異型タンパク質を、クリップされた種か
ら精製して、10T1/2アッセイで試験したが、それは、検出可能な活性を有
しなかった。RKRHPタンパク質は、不活性なRKRPP変異体中に存在する
3つの置換の内の2つを有するので、それは、見かけの保存的Lys9Arg及
び/又はArg10Lys置換が10T1/2アッセイにおいてSHH活性を除
去するのに十分であることを示している。 QRRPP及びQRKHP変異体:これらの変異体は、Arg10残基を維持し
て、正に帯電した残基の数を最大にすると同時にKEX2部位を破壊するために
構築した。両変異体は、野生型タンパク質と同じ高さの活性を有した。我々は、
Arg10残基を維持することがソニックヘッジホッグ活性に決定的に重要であ
ると結論している。
【0227】 結論 野生型ソニックヘッジホッグ配列を有する最初のHHIg融合構築物を発現させ
て精製した際に、それは、R10−R11結合でクリップされてN−10タンパ
ク質を与えることが見出された。それ故、このタンパク質は、以前の仕事が、切
り詰められたN末端を有するヘッジホッグタンパク質はアンタゴニストとして作
用する(上記参照)ということを確立しているので、アゴニストとしての開発に適
さなかった。N−10部位の配列は、それが、3つの残基K/R−R−X(ここ
に、Xはプロリンでない)を必要とするKEX2様プロテアーゼによるタンパク
質分解の標的たりうることを示唆した。この仮説は、発現されて精製されたとき
に無傷のタンパク質を生成するこの開裂部位の配列の変異体の構築により確認さ
れた(表7)。しかしながら、殆どの変異体は、C3H10T1/2アッセイにお
いて不活性であり、活性を保持するためには、アルギニン残基が配列中の決定的
位置に存在しなければならないということが見出された。最も強力で且つタンパ
ク質分解に耐性の配列を、HHIg融合タンパク質の他のシリーズの構築のため
に選択したが、その幾つかは、効力を増して酸化の問題を低減させるためにN末
端システインのイソロイシンでの置換を含んだ。これらの融合タンパク質を発現
させて精製し、C3H10T1/2アッセイにおいて一層強力であることを示し
た(表8)。マウスにおける薬物速度論的データは、これらの融合タンパク質が、
ソニックヘッジホッグN末端ドメインと比較して相当増大された血清中での半減
期を有することを示している。
【0228】
【表8】
【0229】
【表9】
【0230】
【表10】
【0231】 実施例3:霊長類における比較用薬物速度論及び薬力学 ヘッジホッグ融合物と天然のヘッジホッグを用いて、比較用の研究を行って、
それらの霊長類における相対的安定性及び活性を測定する。これらの研究におい
て、霊長類におけるヘッジホッグ融合物の薬物速度論及び薬力学を、天然のヘッ
ジホッグのそれと比較し、合理的な推論をヒトに拡張することができる。
【0232】 動物及び方法 研究のデザイン これは、ヘッジホッグ融合タンパク質と非融合ヘッジホッグの、比較のための
薬物速度論及び薬力学を評価する、並行するグループ、反復投与量による研究で
ある。
【0233】 健康な霊長類(好ましくは、アカゲザル)をこの研究に用いる。投薬する前に、
すべての動物を、病気の徴候について、試験する製品の投与の前の14日間に2
回、Lab Animal Veterinaryにより評価し;一回の評価は、試験する製品の最初
の投与前24時間以内でなければならない。健康な動物のみに、試験する製品を
投与する。評価には、臨床病理学ベースライン及びヘッジホッグに対する抗体レ
ベルのベースラインのための一般的な物理的検査及び投与前採血が含まれる。す
べての動物の体重を測定し、試験製品の投与前24時間以内に体温を記録する。
【0234】 12匹の被験動物を記録して、ヘッジホッグ(融合しているか又はしていない
もので、他の点では同一のヘッジホッグ)を受ける3つのグループに割り振る。
投与は、皮下(SC)又は静脈(IV)経路の何れかによる。6匹の雄動物に、IV
経路で試験製品を投与し(3/治療)、他の6匹の雄動物には、SC経路で投与す
る(3/治療)。すべての動物は、ヘッジホッグ処理未経験でなければならない。
各動物に、2回投与し;投与量を4週間で分割投与する。この投与量は、1.0
mL/kgである。
【0235】 薬物速度論的試験のために、各注射の後0、0.083、0.25、0.5、
1、1.5、2、4、6、8、12、24、48、72及び96時間で採血をす
る。血液試料を、ヘッジホッグの測定のために、研究する薬物の投与の後、0、
24、48、72、96、168、336、504時間で採血する。
【0236】 研究期間中の評価には、毒性の徴候について、投与の30分後及び1時間後に
行う臨床的観察が含まれる。毎日のケージサイドでの観察を行って、全体的外観
、毒性の徴候、不快、及び行動の変化を記録する。体重及び体温を、投与後21
日間、一定の間隔で記録する。
【0237】 アッセイ方法 血清中のヘッジホッグのレベルを、上記のように、ELISAを用いて定量す
る。
【0238】 薬物速度論及び統計的方法 RstripTMソフトウェア(MicroMath, Inc., ユタ、Salt Lake City)を
用いて、データを、薬物速度論的モデルに適合させる。各グループにつき、幾何
平均濃度を時間に関してプロットする。アッセイ結果は希釈度で表されているの
で、幾何平均が、算術平均より適当であると考えられる。血清のヘッジホッグレ
ベルを、ベースラインの値に調整し、検出可能でない血清濃度を5U/mlに設
定するが、これは、検出の下限の1/2を表している。
【0239】 IV注入データに関して、2コンパートメントIV注入モデルは、検出可能な
血清濃度に適合し、SCデータは、2コンパートメント注入モデルに適合する。
【0240】 下記の薬物速度論的パラメーターを計算し: (i)観察されたピーク濃度、Cmax(U/ml); (ii)0〜48時間の曲線下面積AUC(台形公式使用); (iii)排除半減期; そして、IV注入データから下記を計算する(IVを用いた場合): (iv)分布半減期(h); (v)クリアランス(ml/h) (vi)見かけの分布容積、Vd(L)。
【0241】 WinNonlin(バージョン1.0、Scientific Consulting Inc., ノー
スカロライナ、Apex)ソフトウェアを用いて、SC及びIM注射後の排除半減期
を計算する。ヘッジホッグについては、時間に関する算術平均が、各グループに
ついて与えられる。Emax、ベースラインからの最大変化を計算する。Cmax、A
UC及びEmaxを、変動の一方向分析にかけて、投与グループの比較を行う。Cm ax 及びAUCは、対数をとってから分析し;幾何平均を報告する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ソニック、インディアン及びデザートヘッジホッグのN末端配列を示した図で
ある。
【図2】 コンセンサスヘッジホッグ配列を示した図である。
【図3】 切り取り(クリップ)部位を示したソニックヘッジホッグのN末端配列を示し
た図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 43/00 111 43/00 105 C07K 14/435 111 16/46 C07K 14/435 19/00 16/46 C12N 1/15 19/00 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12N 15/00 ZNAA 5/10 5/00 A C12P 21/02 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 エレン エイ.ガーバー アメリカ合衆国 02138 マサチューセッ ツ、ケンブリッジ、ドネル ストリート 14 (72)発明者 フレデリック アール.テイラー アメリカ合衆国 02186 マサチューセッ ツ、ミルトン、ガリバー ストリート 98 Fターム(参考) 4B024 AA01 CA02 HA01 4B064 AG01 CA19 CC24 DA01 4B065 AB01 BA02 CA24 CA44 4C084 AA02 AA07 AA25 BA02 BA08 BA22 BA23 BA41 CA18 DA27 DA40 NA13 NA14 ZA021 ZA151 ZA161 ZA221 ZB212 ZB261 ZC412 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA09 BA41 CA40 CA50 EA21 EA28

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ酸配列X−Y−Zを有する単離されたポリペプチド (式中、Xは、ヘッジホッグタンパク質のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列又は
    その部分を有するポリペプチドであり; Yは、随意のリンカー部分であり;そして Zは、ヘッジホッグ以外のポリペプチドの少なくとも一部分を含むポリペプチド
    である)。
  2. 【請求項2】 Xが、ソニックヘッジホッグタンパク質、インディアンヘッ
    ジホッグタンパク質及びデザートヘッジホッグタンパク質よりなる群から選択す
    るアミノ酸配列又は部分を有するヘッジホッグタンパク質である、請求項1に記
    載の単離されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 Xが、下記の特性の少なくとも一つを有するヘッジホッグア
    ンタゴニストである、請求項1に記載の単離されたポリペプチド:
  4. 【請求項4】 Xが、下記の特性の少なくとも一つを有するヘッジホッグア
    ゴニストである、請求項1に記載の単離されたポリペプチド:
  5. 【請求項5】 ヘッジホッグが、疎水性部分と結合体化された、請求項3又
    は4に記載の単離されたポリペプチド。
  6. 【請求項6】 Zが、免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分である
    、請求項5に記載の単離されたポリペプチド。
  7. 【請求項7】 前記の定常領域の少なくとも一部分が、クラスIgM、Ig
    G、IgD、IgA及びIgEから選択するクラスの免疫グロブリンに由来する
    、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
  8. 【請求項8】 クラスがIgGである、請求項7に記載の単離されたポリペ
    プチド。
  9. 【請求項9】 定常領域の少なくとも一部分が、少なくともヒンジ、CH2
    及びCH3ドメインを含む、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
  10. 【請求項10】 ヘッジホッグタンパク質のアミノ酸配列又はその一部分よ
    りなるアミノ末端領域を有し且つヘッジホッグ以外のタンパク質の少なくとも一
    部分を含むカルボキシ末端領域を有する融合タンパク質。
  11. 【請求項11】 Xが、ソニック、インディアン又はデザートヘッジホッグ
    よりなる群から選択するヘッジホッグである、請求項10に記載の単離されたタ
    ンパク質。
  12. 【請求項12】 Xが、変異したKEX2プロテアーゼ認識配列を有するヘ
    ッジホッグであり、その配列が[Arg又はLys]−Arg−[X](式中、Xは
    Proでない)を含む、請求項10に記載の単離されたタンパク質。
  13. 【請求項13】 ヘッジホッグが、誘導体化されている、請求項11に記載
    の単離されたタンパク質。
  14. 【請求項14】 誘導体を、疎水性部分及びポリアルキレングリコールポリ
    マーから選択する、請求項13に記載の単離されたタンパク質。
  15. 【請求項15】 ヘッジホッグ以外のタンパク質の少なくとも一部分が、免
    疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分である、請求項10に記載の単離さ
    れたタンパク質。
  16. 【請求項16】 前記の定常領域の少なくとも一部分が、クラスIgM、I
    gG、IgD、IgA及びIgEから選択するクラスの免疫グロブリンに由来す
    る、請求項15に記載の単離されたタンパク質。
  17. 【請求項17】 クラスがIgGである、請求項16に記載の単離されたタ
    ンパク質。
  18. 【請求項18】 定常領域の少なくとも一部分が、少なくともヒンジ、CH
    2及びCH3ドメインを含む、請求項15に記載の単離されたタンパク質。
  19. 【請求項19】 表5の配列から選択する変異したKEX2プロテアーゼ認
    識配列を有する、請求項12に記載の単離されたタンパク質。
  20. 【請求項20】 請求項1〜10のタンパク質をコードする単離されたDN
    A配列。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載のDNA配列及び発現制御配列を含み、
    該発現制御配列が該DNAに機能的に結合されている組換えDNA。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載の組換えDNA配列によりトランスフォ
    ームされた宿主細胞。
  23. 【請求項23】 下記を含む組換えポリペプチドを生成する方法: (a)請求項22に記載の宿主細胞の集団を用意し;(b)該細胞集団を、前記の組
    換えDNAによりコードされるポリペプチドが発現される条件下で増殖させ;そ
    して(c)発現されたポリペプチドを単離する。
  24. 【請求項24】 請求項1〜10に記載のヘッジホッグ融合タンパク質の有
    効量を含む医薬組成物。
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