JP2003104800A - ホウ化物単結晶と半導体形成用基板及びその製造方法 - Google Patents
ホウ化物単結晶と半導体形成用基板及びその製造方法Info
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Abstract
のない良質な二ホウ化物基板を提供する。 【解決手段】 ZrB2またはTiB2にY成分とアル
カリ土類金属のホウ化物を配合して原料を調製して原料
棒にし、原料棒から高周波フローティングゾーン法によ
り結晶化させて、ZrB2またはTiB2の単結晶を製
造する。この製造方法によって、結晶中には、クラック
を含まず粒界が実質的に存在しない単結晶になる。単結
晶は、板状に切り出して、表面研磨し、半導体薄膜形成
用基板として利用される。
Description
はTiまたはZrの1つ以上を含む)とその製造方法、
並びにこれを用いた窒化ガリウム系半導体などの薄膜形
成用基板に関する。
ム系半導体の実用化が進んでいる。窒化ガリウム系半導
体とは、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム
(GaN)、窒化インジウム(InN)及びこれらの混
晶であるInxGayAlzN(0≦x,0≦y,x+
y≦1,z=1−x−y)を含むものである。従来、そ
のような窒化ガリウム系半導体はサファイア基板の上に
エピタキシャル成長して作製されていた。
体と大きな格子不整合を持っており、格子不整合に起因
する結晶欠陥がエピタキシャル成長層中に導入され、結
晶性の優れた窒化ガリウム系半導体層が得られない問題
があった。また、サファイア基板は絶縁体であるため、
発光ダイオードなどの構造においてサファイア基板面側
からの電極取り出しができず、窒化ガリウム系半導体の
形成された面にのみ正電極・負電極の両極を形成する必
要があった。このため、発光ダイオードなどの製造プロ
セスが複雑になり、発光面積が素子面積に比べ小さくな
るなどの問題があった。
S.Otani and Y.Ishizawa,”Preparation of TiB2 sing
le crystals by the floating zone method” J. Cryst
al Growth, 140 (1994) 451-453.及び文献2: S.Otani,
M.M.Korsukova and T.Mitsuhashi,”Preparation of Hf
B2 and ZrB2 single crystals by the floating zoneme
thod”, J.Crystal Growth 1686 (1998) 582-586.に開
示されている。
前後と高いため、フローティング・ゾーン法(FZ法)
及びフラックス法で結晶成長させられるが、これらの内
では大型の結晶作成にはFZ法が有利である。従来得ら
れている最も大きなXB2結晶は、FZ法によるもの
で、直径1cm程度のものが育成されていた。
が、GaNやAlNなどの窒化物半導体とほぼ等しい格
子定数や熱膨張係数をもち、比較的高い熱伝導性をも
ち、電気的に良導体であることから、これら窒化ガリウ
ム系半導体層形成用基板結晶しとして利用するものであ
る。XB2結晶を窒化ガリウム系半導体の基板結晶とし
て利用するには、できるだけ大型で単結晶であり、且つ
粒界やその他の欠陥のないことが重要である。
結晶を育成して、直径10mm以上の大きな単結晶を製
造すると、結晶中に微小なクラックが多数発生し、また
粒界や亜粒界を多数含んでおり、良質な単結晶の育成が
困難であった。FZ法による従来の結晶は、基板用に板
状に切断した時点で、板面に既にクラックが多数確認さ
れ、さらに、板面を化学研磨をすると粒界が目視にて観
察される。このような結晶をX線回折すると、六方晶系
指数の(0001)面に対する回折ピークが複数観察さ
れ、基板としては機能上問題があった。
XB2単結晶を提供するものである。また、本発明は、
クラック及び粒界のない良質なXB2単結晶を製造する
方法を提供しようとするものである。さらに、本発明
は、クラック及び粒界のない良質なXB2単結晶を用い
た窒化物半導体層成長用基板を提供するものである。
は、化学式XB2(XはTiまたはZrの1つ以上を含
む)で表される化合物を含み、単結晶中に、イットリウ
ムYを化合物YB4の形で0.01〜10mol%含有
するホウ化物単結晶を提供する。
料中にXB2と0.5〜30mol%のYB4との混合
物を出発原料として帯溶融してひの凝固過程で単結晶化
してホウ化物単結晶を製造するものである。さらに、原
料中にYB4と共にアルカリ土類金属Rのホウ化物RB
6を含むものが好ましい。
法は、帯溶融法、特に、フローティングゾーン法により
結晶成長させる際に、原料中にXB2(XはTiまたは
Zr)と共に、イットリウムYを配合することにより、
単結晶中のクラックの発生を防止、特に、完全除去する
ことがでてきる。Yの配合は、粒界や亜粒界の発生も効
果的に抑制することができる。本発明において、化学式
XB2で出示されるホウ化物は、TiまたはZrのホウ
化物と、TiとZrとを含むホウ化物が利用される。
YB4の形で、配合することができる。このYホウ化物
YB4は、出発原料中に0.5〜30mol%の範囲で
配合される。ここに、YB4の配合量は、原料中XB2
とYB4とのmol総和に対するYB4molの割合
(YB4mol/[XB2mol+YB4mol])で
決められる。尤も、YB4の一部を、Yの他の化合物Y
B12又はYB16に代えて配合してもよい。このよう
な配合原料からフローティングゾーン法により単結晶に
される。製造された単結晶中には、 通常は、Yが、Y
B4の形で、0.01〜5mol%含まれている。
ためには、YB4に換算して原料への配合量(=YB4
mol/[XB2mol+YB4mol])が、0.5
〜30mol%が配合するが、原料中YB4の配合量
0.5mol%からクラック抑制効果が現れ、5mol
%以上では抑制効果が顕著になる。また、配合量30m
ol%を越えると結晶成長時の帯溶融過程で蒸発が激し
く、融帯移動は不可能である。長尺の結晶を得るには、
YB4の配合量が1〜15mol%が好ましい。形成し
たXB2単結晶中には、YB4の形で原料に配合したY
B4量の1/100ないし1/3の程度のYを含有す
る。この結晶中Y含有量は、図4に示すような結晶6中
のクラック14を大幅に減少させ、図3に示すような直
径15mmのXB2結晶においてもクラックのない結晶
6にすることができる。同時に、原料中のYB4の配合
は、XB2結晶の粒界発生の抑制して、欠陥の少ない単
結晶にする効果がある。
アルカリ土類Rのホウ化物RB6を同時に配合すること
ができる。配合された原料中のYホウ化物YB4は、帯
溶融結晶化の過程で、融帯からYとして選択的に蒸発す
るが、アルカリ土類のホウ化物RB6は、Yホウ化物の
蒸発を抑制する効果がある。このようなアルカリ土類の
ホウ化物RB6には、CaB6,SrB6,BaB6を
利用することができる。
グゾーン法を使用する製造方法においては、高周波コイ
ルを使用するので、図2に模式的に示すように、蒸発し
たYがコイル1に付着し、蒸発物19を介して、コイル
間に放電がしばしば発生することがある。放電を防ぎ、
再現性良く結晶を育成するためには、金属的な電気伝導
を示さない物質として上記のアルカリ土類六ホウ化物
(CaB6,SrB6,BaB6)を同時に原料中に配
合しておくのである。
配合されるが、RB6の配合量は、モル比で、YB4の
配合量の0.5〜1.0倍が好ましい。RB6配合量が
YB 4の0.5倍未満では、誘導コイルでの放電を抑え
ることができず、RB6の配合量が、YB4配合量の
0.5倍以上で放電防止効果があり、1.0倍を越えて
も、放電防止効果は十分で、その効果に変わりがない。
する。この実施形態の製造方法では、直径10mmを越
える結晶で且つ粒界を含まず、YB4を0.01〜5m
ol%含有するXB2単結晶を製造するものである。
装置の一例を図1に示す。この装置は、数気圧の不活性
ガス雰囲気において結晶育成するための高周波誘導加熱
フローティングゾーン炉(高周波FZ炉)である。この
炉において、原料棒8の下端の加熱は、誘導コイル4に
高周波電流を流すことにより、原料棒8に誘導電流を生
じさせ、そのジュール熱により行う。このようにして形
成された融帯7に上方より原料棒を送り込み、下方より
単結晶6を育成する。
ず、原料にはTi若しくはZrの少なくとも一種を含む
二ホウ化物粉末XB2と粉末化した配合剤をよく混合す
る。結合剤として少量の樟脳を加え、ラバープレス(例
えば、2000kg/cm2)により圧粉棒を作る。こ
の圧粉棒を真空中又は不活性ガス中で千数百℃に加熱し
て焼結させ、原料棒を作る。
の概念図において、この原料棒8は、上軸2にホルダー
3を介して固定し、下軸10には種結晶(または初期融
帯形成用の焼結棒)5をホルダー11を介してセットす
る。つぎに、原料棒8の下端を加熱により溶融して融帯
7を形成させ、上軸2と下軸10をゆっくりと下方に移
動させて単結晶6を育成する。このとき、原料棒8の融
帯7への供給速度は、供給原料棒の密度(通常55%程
度)と育成する結晶の直径を考慮して設定する。
リウムなどの不活性ガスを用いる。これは高周波誘導コ
イル4の部分で発生する放電を防止するため、および、
融帯7からの蒸発を抑制するためである。
晶面を正確に割り出し、結晶方位に沿って板を切断加工
する。さらに、基板とするには、切断加工した板は外形
が不定型であるので、外形形状を研削加工して整え、片
面を研磨加工して基板とする。この基板は、窒化物半導
体などの薄膜結晶の成長用に用いられる。
末原料にYB4及びCaB6を配合した。YB 4につい
ては0〜30mol%とし4水準の配合として、さら
に、CaB6を、YB4配合量に対してモル比で0.5
ないし1.0倍の範囲で配合して、原料混合物を調製し
た。
粉棒にし、圧粉棒をアルゴン雰囲気中で上記の高周波F
Z炉により帯溶融して、直径15mm、長さ60mmの
結晶棒を作った。原料中のYB4配合量と、得られた結
晶棒中のYB4分析値とを表1に示す。
ラック・粒界の存在を調査した。表中において、原料中
に0.5mol%以上含む結晶試料には、クラックは結
晶成長開始時の部分に僅かに残留する程度しか存在して
いなかった。しかし、原料中にYB4を配合しなかった
ZrB2結晶には、結晶成長開始時の部分から結晶成長
を終了する部分に至るまで周期的にクラックが発生して
いた。これにより、原料中に0.5〜30mol%の範
囲のYB4の配合が、クラックの防止に顕著な効果があ
ることが判る。
YB4を配合しなければ結晶育成初期に導入された粒界
若しくは、亜粒界は容易に除去されないが、実施例で作
製した結晶は、育成開始時に導入される粒界が結晶化初
期の1〜2cmの融帯移動により除かれ、それ以後の融
帯移動により良質な単結晶に成長させることができる。
は明確ではないが、作製した結晶に残ったY成分が結晶
の機械的物性や熱的物性を割れにくい方向に変化させる
ため、また結晶の異方性を緩和させるためではないかと
推測される。粒界の抑制効果は、この理由も明確ではな
いが、Yの配合によるXB2結晶の凝固点の降下によ
り、成長した直後の結晶の温度降下の割合すなわち温度
勾配が少し下がり結晶成長条件が緩和されるためと推測
される。上記の実施例で、原料中にCaB6を配合した
試料は、帯溶融中の誘導コイルの放電を防止することが
できた。放電の抑制効果は、B比率の高い半導電性物質
が蒸発物の中に多く含まれるために、蒸発物を介した放
電が抑制されるためと考えられる。
ol%のYB4と、ZrB2とCaB6と対して5mo
l%のCaB6と、を配合して調製した。この原料から
実施例1と同様にして焼結した圧粉棒に形成した。これ
を上記実施例1と同様にして、高周波FZ炉を用いて、
FZ法により直径15mmのZrB2結晶棒を作った。
を行うと、結晶中に、Yが0.25mol%程度残留し
ていたが、Caは0.01mol%以下であった。結晶
をX線回折により定性的に分析を行うと、金属二ホウ化
物の回折のみが観察されており、YはZrB2相に固溶
していると考えられる。これより、過剰に配合される単
体BやCa化合物のCaなどは溶融中にまたは結晶に凝
固するまでにほとんど揮発するものと考えられる。
たが、YB4とRB6の添加による結晶クラック発生の
防止及び結晶粒界発生の防止は、TiB2結晶にも同様
に適用できる。
れた直径15mmの結晶について、X線回折法により結
晶方位を決定して、六方晶面指数(0001)面を主面
とする厚さ0.6mmの板をバンドソーを用いて切り出
した。得られた板から、12.7mm角に外片を研削加
工し、厚さはダイヤモンド砥石を用いた研削加工を行い
0.4mmにした。この板の片面をコロイダルシリカを
用いて化学研磨加工し、洗浄の上基板とし、表面観察と
X回折試験をした。
察されず、更に、研磨後の基板に塩酸・硝酸による化学
エッチングを行ってもクラックや粒界は観察できず、X
線の回折ピークも単一であった。このことから、欠陥が
非常に少ない良好な単結晶であることが判る。
いて、ZrB2原料粉末にYB4については10mol
%とし、CaB6は、ZrB2とCaB6の 合計量に
対して10mol%配合した。焼結した圧粉棒を使用し
てFZ法により結晶成長を行った。同じく5気圧のAr
雰囲気下で直径15mm、長さ60mmの結晶がえられ
たが、結晶成長中の誘導コイルの放電を起こすこともな
く、製造した結晶にはクラックは全く観察されなかっ
た。
(成長方向)で、結晶成長開始点から1〜2cmの間で
粒界は除去されて単結晶となっており、ZrB2原料中
のYB4とCaB6の配合は、FZ法での結晶成長初期
に発生した粒界を速やかに除去してその後は単結晶とし
て成長させることに有効であることが判る。
を行うと、結晶にはYが0.75mol%程度残留して
いた。このZrB2単結晶について、X線にて定性分析
を行うと、金属二ホウ化物の回折のみが観察された。
mmの結晶について、実施例3に準じて、12.4mm
角で厚さ0.4mmの片面鏡面の基板を作った。この結
晶においては、切断加工後にも全くクラックは存在して
おらず、研磨を終えた基板においてもクラックは全く観
察されなかった。研磨後の粒界も観察されず、X線の回
折ピークも単一である。更に、研磨後の基板に塩酸・硝
酸による化学エッチングを行ってもクラックや粒界は確
認されず均質な単結晶となっていることが確認された。
は、原料中にイットリウムのホウ化物を配合してフロー
ティングゾーン法により、クラックのないTi又はZr
の二ホウ化物の単結晶を提供することができる。これ
により、大型でクラックや粒界を含まない良質の薄膜形
成用基板を作製することができる。
土類Rのホウ化物RB6を配合することにより、高周波
フローティングゾーン固有の問題として蒸発Yによる誘
導コイル放電を回避することができる。
示す説明図である。
図。
示す図。
Claims (4)
- 【請求項1】 化学式XB2(XはTiまたはZrの1
つ以上を含む)で表される化合物を含む単結晶であっ
て、該単結晶中に、イットリウムYを化合物YB4の形
で0.01〜5mol%含有することを特徴とするホウ
化物単結晶。 - 【請求項2】 請求項1記載のホウ化物単結晶から成る
半導体層成長用基板。 - 【請求項3】 化学式XB2(XはTiまたはZrの1
つ以上を含む)で表される化合物を含む単結晶の製造方
法において、 XB2と0.5〜30mol%のYB4との混合物を出
発原料として帯溶融し、単結晶化することを特徴とする
ホウ化物単結晶の製造方法。 - 【請求項4】 原料中にYB4と共にアルカリ土類Rの
ホウ化物RB6を含む請求項3に記載の製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003056073A1 (fr) * | 2001-12-26 | 2003-07-10 | Japan Science And Technology Agency | Substrat semi-conducteur a base de nitrure du groupe iii et son procede de fabrication |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0692793A (ja) * | 1992-09-08 | 1994-04-05 | Kokusai Chodendo Sangyo Gijutsu Kenkyu Center | エレクトロニクス素子用硼化物材料 |
JPH1095699A (ja) * | 1996-09-13 | 1998-04-14 | Natl Inst For Res In Inorg Mater | ニホウ化ジルコニウム単結晶の育成法 |
JP2001213690A (ja) * | 2000-01-27 | 2001-08-07 | Natl Inst For Research In Inorganic Materials Mext | 六ホウ化希土類単結晶の育成法 |
-
2001
- 2001-09-28 JP JP2001300467A patent/JP4538619B2/ja not_active Expired - Fee Related
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