JP2003102368A - パン製造法ならびにそれに使用する製パン用プレミックスおよび製パン用改良剤 - Google Patents

パン製造法ならびにそれに使用する製パン用プレミックスおよび製パン用改良剤

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JP2003102368A
JP2003102368A JP2001305867A JP2001305867A JP2003102368A JP 2003102368 A JP2003102368 A JP 2003102368A JP 2001305867 A JP2001305867 A JP 2001305867A JP 2001305867 A JP2001305867 A JP 2001305867A JP 2003102368 A JP2003102368 A JP 2003102368A
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wheat flour
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gluten
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Masahiro Harada
昌博 原田
Masanori Hirayama
正則 平山
Takanobu Shibuta
隆伸 渋田
Kenichi Kumagai
憲一 熊谷
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Torigoe Flour Milling Co Ltd
Original Assignee
Torigoe Flour Milling Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 国内産麦小麦粉を原料とした製パンに於い
て、機械耐性、ボリュームアップおよび食感等を向上さ
せ、外国産麦強力小麦粉を使用した製品と比較して見劣
りのしない優れた品質を得ることができる。 【解決手段】 国内産麦小麦粉にグルテン、水溶性増粘
剤、ヘミセルラーゼ、α-アミラーゼおよびビタミンC
を含む製パン用改良剤をストレート法、中種法等の製法
に応じて添加し、ハースブレッド、食パン、バターロー
ル、ソフトフランスパンおよびクロワッサンなどの各種
パンの製造を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イーストフードお
よび乳化剤を使用せずに国内産麦小麦粉を原料とするパ
ンを製造する上で有効な製パン法ならびにそれに使用す
る製パン用プレミックスおよび製パン用改良剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】国内産麦小麦粉は、蛋白質含量の割りに
は麩質が弱く、生地の伸長力は大きいが弾力に乏しい。
よって、麩質の強い外国産麦強力小麦粉と比べると、製
パン用の原料としては問題が多いが、国内産麦小麦粉が
持つ安心感、健康的なイメージから、消費者の間に国内
産麦小麦粉を用いたパンのニーズが高まってきている。
【0003】一方、イーストフードおよび乳化剤を駆使
することによって、国内産麦小麦粉を原料とするパンで
あっても、外国産麦強力小麦粉を用いた製品と同等の品
質を得ることが可能であるが、これらイーストフードお
よび乳化剤は、消費者の間で添加物としてとらえられて
おり、これら添加物を用いたパンは、消費者の自然志
向、健康志向から敬遠される傾向にある。
【0004】国内産麦小麦粉を用いたパン製造法のう
ち、イーストフードおよび乳化剤を使用しないものとし
ては、例えば、次の2つの方法が挙げられる。 (イ) グルテンの強化 国内産麦小麦粉を原料とするパンは、小麦粉中の蛋白質
含量が少ない上に、麩質が軟弱であることから、機械生
産を可能とする適度な麩質を得るため、グルテンを補充
して製パン性の向上を図っている。
【0005】(ロ) 改良中種生地法 パン科学会誌平成13年6月号p19〜p45:『国内
産小麦を利用したパン製品の老化遅延及び生地物性向上
利用技術の研究』報告書(財団法人日本パン科学会)に
記載されたパン製造法であって、その基本条件は次の通
りである。パン製造法:改良中種生地法 中種:小麦粉、イースト、L−アスコルビン酸 生地:小麦粉、イースト、モルト、ヘミセルラーゼ、グ
ルコースオキシダーゼ、ペクチン
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のパン製造法のうち前者にあっては、強靱なグルテン
を使用するので、使用量に比してボリュームアップは達
成されるが、逆に食感に引きが出て硬い食感になるとい
う問題がある。このため、ソフトで口溶けの良い満足な
食感が得られない。また、菓子パン等のリッチな生地に
おいては、ビタミンCとの併用によって火ぶくれやシワ
の問題も生じやすい。
【0007】また、後者の改良中種生地法にあっては、
以下のような未解決の課題を有している。 (1) 製造条件の許容範囲が狭い。小麦粉の蛋白質含量が
少ないので、発酵オーバー、ミキシングオーバーに陥り
易く、非常に厳格な工程管理が必要となってコストアッ
プも伴う。 (2) 安定した製品を得るためには外国産麦強力小麦粉の
混合が必要である。外国産麦強力小麦粉を混合したので
は、国内産麦小麦粉100%を望む消費者ニーズに応え
ることができない。 (3) 焼成後2日目以降の老化が著しい。焼成後1日目は
老化遅延効果が認められるが、焼上後2日目以降はクラ
ムの硬さの差が大きくなる。クラストの硬化を含め、検
討する必要がある。 (4) 食感に対する改善が為されていない。国内産麦小麦
粉は、澱粉の特性上、ネチャネチャしやすい傾向があ
る。再現テストの結果、食感に欠点があることが明らか
となった。外国産麦強力小麦粉と同等か、またはこれに
準じた品質を得るためには、食感に対する改善が不可欠
である。 (5) 風味が劣る。再現テストの結果、著しく少ないイー
スト量で、中種を僅かに発酵させる改良中種生地法で
は、通常の中種法と同等またはこれに準ずる発酵臭は得
られない。その結果、風香味が非常に劣った製品とな
る。上記(1)〜(3)については、前述のパン学会誌にも記
載されているところである。
【0008】本発明は、上記従来技術が抱える問題点に
着目してなされたものであって、その目的とするところ
は、イーストフードおよび乳化剤を使用せずに、国内産
麦小麦粉を原料として外国産麦強力小麦粉と同等の品質
のパンを製造することができるパン製造法ならびにそれ
に使用する製パン用プレミックスおよび製パン用改良剤
を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明請求項1記載のパン製造法では、国内産麦小
麦粉を原料とするパン製造法において、原料にグルテ
ン、水溶性増粘剤、ヘミセルラーゼ、α-アミラーゼお
よびビタミンCを添加することを特徴とする。
【0010】請求項2記載の製パン用プレミックスで
は、国内産麦小麦粉を原料とするパン製造に使用する製
パン用プレミックスにおいて、グルテン、水溶性増粘
剤、ヘミセルラーゼ、α-アミラーゼおよびビタミンC
を含有することを特徴とする。
【0011】請求項3記載の製パン用改良剤では、国内
産麦小麦粉を原料とするパン製造に使用する製パン用改
良剤において、グルテン、水溶性増粘剤、ヘミセルラー
ゼ、α-アミラーゼおよびビタミンCを含有することを
特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明では、請求項1記載の
パン製造法において、原料にカルシウム塩を添加するこ
とを特徴とする。
【0013】請求項5記載の発明では、請求項2記載の
製パン用プレミックスにおいて、カルシウム塩を含有す
ることを特徴とする。
【0014】請求項6記載の発明では、請求項3記載の
製パン用改良剤において、カルシウム塩を含有すること
を特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。本実施の形態の製パン用改良剤は、国内産麦小
麦粉を原料とするパンの製造時に添加するものであっ
て、イーストフードおよび乳化剤を用いることなく、外
国産麦強力小麦粉使用製品と同等の品質のパンを製造す
ることができる。この製パン用改良剤は、グルテン、水
溶性増粘剤、ヘミセルラーゼ、α-アミラーゼ、カルシ
ウム塩およびビタミンCを主要な成分としている。
【0016】まず、本実施の形態の製パン用改良剤の各
成分について説明する。ここで言うグルテンとは、常法
により小麦から分取されたものであり、市販の粉末品で
あれば、種類は特に問わない。添加量は、グルテン添加
後に小麦粉全体として10〜15%の蛋白質含量となる
ように添加するのが適しており、好ましくは11〜13
%が良い。添加後の蛋白質含量が10%よりも少ない
と、ボリュームが小さく、老化が早い。逆に15%より
も多いと、ケービングが生じる、食感の引きが強すぎ
る、火ぶくれが起こりやすいという問題が生じる。市販
の国内産麦小麦粉において既にグルテンが強化されてい
るものもあるので、この場合は、前述した蛋白質含量が
実現されていれば、グルテンの添加は不要または微量で
良い。なお、グルテンの構成成分であるグルテニン製剤
とグリアジン製剤の併用も可能である。
【0017】水溶性増粘剤としては、アルギン酸ナトリ
ウム、カラギーナン、ペクチンおよびカルボキシメチル
セルロース等を用いることができる。これらは、単独ま
たは併用で互いに代替可能である。ここで言う水溶性増
粘剤とは、ナトリウムやカルシウム等と反応できる反応
基を持つものを言う。これら反応基が、小麦粉中の蛋白
質やその他成分と相互作用し、国内産麦小麦粉特有の弱
い麩質を改善する。小麦粉100%(重量)に対する添
加量は、いずれも0.02〜1.5%が適しており、特
に0.1〜0.6%が好ましい。0.02%よりも少な
いと、パンの保湿性が劣り、老化が早くなる。一方、
1.5%よりも高いと食感がネチャついてしまう。
【0018】ヘミセルラーゼとしては、一般に食品に使
用されている市販のヘミセルラーゼであれば、いずれを
用いても良い。ここで言うヘミセルラーゼの酵素力価
は、1分間に1mgのキシロースに相当する還元糖を生
成する酵素量を100ユニットとしたものである。酵素
力価によって酵素の添加量は異なるので、酵素力価と後
記表1記載の酵素比活性90ユニット/mgの酵素を用
いた時の添加量とを併記する。小麦粉100%に対する
ヘミセルラーゼの添加量は、27〜3,600ユニット
/kg(0.3〜40ppm)が適しており、好ましく
は270〜1,800ユニット/kg(3〜20pp
m)が望ましい。27ユニット/kgよりも少ないと、
ボリューム感がなく、生地の弾力も強すぎてライン耐性
が悪い。逆に3,600ユニット/kgよりも多いと、
生地の伸展性過剰で作業性に劣り、食感がネチャつく。
【0019】また、α-アミラーゼについても同様に、
食品に一般に使われている市販品であれば、種類を問わ
ない。ここで言うα-アミラーゼの酵素力価は、40
℃、30分間で10mgのグルコースに相当する還元力
の増加をもたらす酵素量を1ユニットとしたものであ
る。酵素力価によって酵素の添加量は異なるので、酵素
力価と後記表1記載の酵素比活性40ユニット/mgの
酵素を用いた時の添加量とを併記する(酵素活性測定法
は色素澱粉法を用い、標準酵素活性と比較して測定し
た。)。小麦粉100%に対するα-アミラーゼは、1
60〜4,000ユニット/kg(4〜100ppm)
が適しており、好ましくは400〜2,800ユニット
/kg(10〜70ppm)が望ましい。160ユニッ
ト/kgよりも少ないと、ボリューム感、ソフト感がな
く、老化が早い。さらに焼色が薄くなってしまう。一
方、4,000ユニット/kgよりも多いと、生地の伸
展性過剰で作業性が損なわれ、食感がネチャつく。
【0020】カルシウム塩としては、炭酸カルシウムや
リン酸カルシウム等の化学品も使用できるが、卵殻カル
シウム、乳性カルシウム、珊瑚カルシウム、蠣殻カルシ
ウム、牛骨カルシウムおよび魚骨カルシウム等の自然界
由来のカルシウムが、天然志向の消費者ニーズに適うの
で好ましく、単独または併用使用可能である。小麦粉1
00%に対してカルシウムとしての添加量は、40〜
2,000ppmが適しており、好ましくは120〜8
00ppmが最も望ましい。40ppmよりも少ない場
合、生地がべたついてライン耐性が悪く、食感がネチャ
つく。一方、2,000ppmよりも多い場合は、生地
の弾力が強すぎてライン耐性が悪い。加えて、パンが硬
く、老化も早い。
【0021】ビタミンCは、商品に使われるものであれ
ば、種類は問わない。小麦粉100%に対するビタミン
Cの添加量は、8〜50ppmが適しており、好ましく
は12〜25ppmが望ましい。8ppmよりも少ない
とミキシング耐性がなく、生地がべたついてライン耐性
が悪い。50ppmよりも多いと生地の弾力が強すぎて
ライン耐性が悪い。ビタミンCと酵素は相反する作用を
有しているので、酵素使用量によりビタミンC添加量を
適宜変更するのが通常である。
【0022】本発明に使用する小麦粉は、国内産麦小麦
粉であれば、品種は特に問わない。望ましくは、品種選
定基準として、製粉したとき、蛋白質含量が8%以上の
品種が適している。8%未満の場合、麩質が弱すぎてミ
キシング耐性、ライン耐性および製品の老化が早い等の
問題がある。ただし、国内産麦小麦粉と外国産麦強力小
麦粉とを混合すれば、以上のような問題は解消できる
が、消費者のニーズに適わない。本発明においても、国
内産麦小麦粉の一部を外国産麦強力小麦粉に置き換える
と、製パン性はさらに向上する。
【0023】また、本発明は外国産麦小麦粉に応用する
ことも可能である。ただし、小麦粉に添加するグルテン
の使用量を調整する必要がある。改良剤を添加した小麦
粉全体としての蛋白質含量は10〜15%が適してお
り、中でも11〜13%が望ましい。10%よりも少な
いと、ボリュームが小さく、老化が早い。逆に15%よ
りも多いと、ケービングが生じる、食感の引きが強すぎ
る、火ぶくれが起こりやすいという問題が生じる。使用
小麦粉原料は、薄力粉では、やや老化が早く、クラスト
が硬くなりやすいという問題があるが、中力粉(麺
用)、準強力粉(中華麺用)、強力粉のいずれでも可能
である。
【0024】砂糖、油脂、イーストおよび乳製品等につ
いても、通常の製パンに使われるものであれば、特に限
定されない。また、バラエティブレッド等で使用する大
麦、ライ麦、α化澱粉、大豆繊維、ポテトパウダー、大
豆、胡麻、ひまわりの種および胡桃等も、通常の製パン
に使われるものであれば、使用できる。
【0025】本発明のパンの製造法については、通常ベ
ーカリーで用いられる製法であれば、特に限定されな
い。例えば、70%中種4時間発酵法、70%加糖中種
2.5時間発酵法、50%中種2.5時間発酵法、スト
レート2時間発酵法、ストレート1時間発酵法、冷蔵中
種法、オーバーナイト中種法、生地玉冷蔵法、成型冷凍
法などがある。改良剤の添加方法については、特に問わ
ない。例えば、予め小麦粉に添加し、その他資材を加え
て混捏するストレート法、中種使用小麦粉に添加し、発
酵させた後、通常通り本捏する中種法、また中種法にお
いて本捏時に添加する方法等がある。また、あらかじめ
原料のプレミックスに配合して用いることもできる。製
パン機械、設備についても、通常の製パン機械、設備や
ラインであれば、特に問わない。
【0026】(試験例)外国産麦強力小麦粉を標準とし
て、国内産麦小麦粉に市販の改良剤およびこれら原料資
材・酵素を組み合わせ、製パン性を比較し、品質向上を
検討した。使用資材を下記表1に示す。
【表1】
【0027】上記表1記載の資材を用いて、70%中種
4時間発酵法による食パンの試験製造を下記表2に示す
使用原料、配合比率、工程で行った。
【表2】
【0028】試験結果 まず、ビタミンC単独使用、ビタミンCとグルテンとの
併用、ならびにビタミンC、グルテンおよびヘミセルラ
ーゼの三者併用についての試験結果を下記表3に示す。
評価はパンの容積、食感、3日目の老化の3点について
行った。評価配点方法は、外国産麦強力小麦粉使用製品
を標準の3点とし、5段階評価を行った。配点基準は次
の通りである。 5点:非常に良好、4点:良好、3.5点:やや良い、
3点:普通 2.5点:やや劣る、2点:劣る、1点:非常に劣る
【0029】
【表3】 上記表3記載の通り、ビタミンC以外の改良剤を用いな
かった試験区2に比し試験区3〜7で効果が認められ、
試験区4〜6で総合的にかなりの改善が認められる。
【0030】次に、ビタミンCと水溶性増粘剤としての
ペクチンとの併用、ならびにビタミンC、ペクチンおよ
びヘミセルラーゼの三者併用についての試験結果を下記
表4に示す。
【表4】 上記表4の試験区8〜12の結果と前記表3の試験区2
の結果とを比較して、8〜12の全試験区でペクチンの
添加による効果が認められる。
【0031】次に、α-アミラーゼの添加について試験
を行った。その結果を下記表5に示す。
【表5】 上記表5の試験区13〜16と前記表3の試験区5、上
記表5の試験区17〜20と前記表4の試験区10とを
比較して、試験区14〜20でα-アミラーゼの添加に
よるパン容積の増加が認められ、試験区15、16およ
び試験区18〜20で老化遅延の効果が認められる。そ
こで、次に、グルテンとペクチンの併用を検討するとと
もに、ミキシング耐性向上のために、ビタミンC増量を
検討した。その結果を下記表6に示す。
【0032】なお、以下の試験では評価項目に、分割成
型時の生地の粘弾性(ラインへの適応性)を追加した。
これは、外国産麦強力小麦粉使用標準の生地を3点とし
て、5点法で評価した。べたつく生地やバッキー(伸展
性が著しく劣る物性)で切れやすい生地は減点とした。
一方、滑らかで適度な粘弾性を持った生地は加点した。
【表6】 以上の結果により、ボリュームについて、試験区23,
24で外国産麦強力小麦粉(前記表1の試験区1)と同
等のボリュームまでアップさせることができた。
【0033】次に、上記試験例で検討した改良剤配合か
ら、さらに外国産麦強力小麦粉使用製品と同等の品質が
得られるよう、食感、ソフトさについてカルシウム含有
食品素材類を用いて試験した。その結果を下記表7に示
す。
【0034】
【表7】 以上の結果により、試験区29で最も良好な結果を得
た。
【0035】次に、各種国内産麦小麦粉および外国産麦
強力小麦粉併用国内産麦小麦粉を用いて本発明の改良剤
配合の効果を確認するとともに、グルテンの添加試験を
行った。
【0036】使用した小麦粉を下記表8に示す。
【表8】
【0037】上記表8記載の小麦粉を用いて70%中種
2.5時間発酵法により食パンの試験製造を下記表9に
示す使用原料、配合比率、工程で行った。
【表9】
【0038】上記方法により製造した食パンについての
試験結果を下記表10に示す。
【表10】 以上の結果により、試験区36〜39については、グル
テンを改良剤または小麦粉のいずれかに配合すること
で、品質アップが可能であることが言える。さらに、吸
水の少ない低蛋白質含量のもの(試験区38,39)で
あっても、外国産麦強力小麦粉並みの品質が得られるこ
とが判った。さらには、国内産麦小麦粉の一部を外国産
麦強力小麦粉に代替することで(試験区40〜42)、
いずれも外国産麦強力小麦粉並み、またはそれに準じる
品質が得られることが判った。
【0039】次に、ペクチンと酷似した増粘安定性を示
す増粘剤(アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カル
ボキシメチルセルロース)と、その他の増粘剤(グァ−
ガム、キサンタンガム)とを、前者増粘剤の有効性を確
認するために比較検討した。
【0040】製造試験は食パンについて70%中種オー
バーナイト発酵法により下記表11に示す使用原料、配
合比率、工程で行った。
【表11】
【0041】上記方法により製造した食パンについての
試験結果を下記表12に示す。
【表12】 以上の結果により、試験区43〜46については、外国
産麦強力小麦粉並み、またはこれに準じる品質が得られ
ることが判った。試験区47,48は、ボリューム、食
感のネチャつき、老化の点で著しく試験区43〜46と
は異なることが判った。
【0042】(実施例)以下に実施例によって本発明の
製パン用改良剤およびパン製造法を説明する。本発明者
らは、以下の製法ならびに製品について、外国産麦強力
小麦粉使用品質と比較し、遜色のない製品が得られるこ
とを確認した。
【0043】改良剤 実施例1 下記表13に示す配合はハースブレッド用改良剤の一例
である。
【表13】
【0044】実施例2 下記表14に示す配合は食パン、バターロール用改良剤
の一例である。
【表14】
【0045】実施例3 下記表15に示す配合はオールマイティー国内産麦小麦
粉用改良剤の一例である。
【表15】
【0046】パン製造法 下記表16に概要を一括して示したパン製造法の実施例
を以下に挙げる。
【表16】
【0047】実施例4 90分発酵ストレート法によるソフトフランスパンの製
造法の一例を下記表17に示す。
【表17】
【0048】実施例5 60分発酵ストレート法によるバターロールの製造法の
一例を下記表18に示す。
【表18】
【0049】実施例6 50%中種2.5時間発酵法によるバターロールの製造
法の一例を下記表19に示す。
【表19】
【0050】実施例7 冷凍生地製法/成型冷凍によるバターロールの製造法の
一例を下記表20に示す。
【表20】
【0051】実施例8 ストレート法によるクロワッサンの製造法の一例を下記
表21に示す。
【表21】
【0052】上記実施例4〜7によって製造したパンに
ついての試験結果を下記表22に示す。なお、評価の基
準として、改良剤を用いず、原料、配合比率、工程は使
用小麦粉に最適の条件として外国産麦強力小麦粉を用い
たパンについての評価を3とした。また、表中の国内産
麦小麦粉の後に括弧書きした数字は、実施例番号であ
る。
【表22】 以上のテストの結果、本発明の方法によって得られた製
品はいずれも、外国産麦強力小麦粉よりも高い評価を得
た。
【0053】次に、パン科学会の中間工業化試験の食パ
ンについての再現試験、および本発明による製法との比
較を、小麦粉として国内産麦小麦粉(ホクシン100%
使用、鳥越製粉、灰分0.38%、蛋白質9.2%)を
用いて、実際の製造ラインで検証し、比較した。
【0054】(比較例)70%中種4時間発酵法による
パン科学会処方食パンを下記表23に示す原料、配合比
率、工程で製造した。
【表23】
【0055】実施例9 本発明方法による食パンとして70%中種2.5時間発
酵法による食パンを下記表24に示す原料、配合比率、
工程で製造した。 食パン:70%中種2.5時間発酵法
【表24】 なお、比較例及び実施例9のパン製造に使用した機械、
設備は下記の通りである。 ミキサー :中種用 フジサワ製横型3袋用ミキサー :本捏用 フジサワ製横型5袋用ミキサー 中種発酵室 :加温、冷却、加湿コントロール式 分割機 :オシキリ製 ピストン式ディバイダー 丸め機 :オシキリ製 傘型ラウンダー ベンチタイム:オーバーヘッドプルファー使用 モルダー :オシキリ製 モルダー ホイロ :ラック式 オーブン :フジサワ製 トンネルオーブン
【0056】比較例および実施例9についてのラインテ
スト結果を下記表25に示す。
【表25】
【0057】一般の外国産麦強力小麦粉、乳化剤、イー
ストフード、ビタミンC使用の食パンと、本発明の方法
による食パンについて、焼成後1日目から4日目にかけ
てのパンの硬さの変化を、クリープメータを用いて測定
した。測定サンプルは、プルマン型で焼成し、それを
1.8cmでスライス(6枚切り)し、それを縦に半分
に切断し、クラム中心部より4cm×4cmの内相を切
り出しサンプルとした。このサンプルを測定器に置き、
圧縮したときの荷重を測定した。荷重(数値)が大きい
ほど、潰すために力が必要なため、パンは硬いと判断さ
れる。
【0058】サンプルの調製法および測定結果を下記表
26に示す。
【表26】 測定の結果、麦娘について本発明方法はどちらも、従来
の国内産麦小麦粉使用よりも格段に老化が遅く、外国産
麦強力小麦粉並みの品質であることが判った。
【0059】
【発明の効果】本発明のパン製造法ならびにそれに使用
する製パン用プレミックスおよび製パン用改良剤は、次
の効果を奏する。 (イ) 製パン吸水増加 外国産麦強力小麦粉に対してはやや少ないものの、製パ
ンに適した粘弾性を得るために必要な吸水性が得られ、
吸水は増加する。 (ロ) ミキシング耐性の向上 外国産麦強力小麦粉とほぼ同等のミキシング時間であっ
ても、生地の弾力が失われることがなく、窯伸し、ボリ
ュームのあるソフトなパンが得られる。
【0060】(ハ) 機械耐性の向上 通常のピストン式ディバイダー(分割機)を通しても生
地の粘弾性が保たれ、ボリュームのあるソフトなパンが
得られる。また、分割機に連動した傘型ラウンダー(丸
め機)に通しても、ラウンダー表面に生地が粘着するこ
とがないので、作業性に優れている。 (ニ) ボリュームアップ(体積の増大) 本発明に従ってグルテンを補充してもなお全体としての
蛋白質含量は外国産麦強力小麦粉よりも少ないにも拘ら
ず、強靱で滑らかな生地に改質することができる。この
ため、生地のガス保持力が大幅に向上し、外国産麦強力
小麦粉使用パンと比べても全く遜色のないボリュームが
得られる。 (ホ) 香りの改善 ボリュームが出るので、火通りが良好な香りの良いパン
が得られる。
【0061】(ヘ) 食感の向上 本発明は、一般に言われる、老化防止効果のある酵素、
水溶性増粘剤と、老化促進効果のあるカルシウム塩を併
用している。この両者の併用によって、食感のネチャつ
きの主原因となっているモチ性の澱粉特性を調整するこ
とで、ネチャつきが防止され、ソフトで口溶けが良く、
歯切れの良い食感を得ることができる。 (ト) 老化の改善 ミキシング耐性向上によって、外国産麦強力小麦粉並み
のミキシングが可能となるので、内相膜が薄くなり、窯
伸も向上する。その結果、外国産麦強力小麦粉使用パン
と比べて、遜色のない程度に老化の遅いパンが得られ
る。なお、本発明に用いるグルテン、水溶性増粘剤、ビ
タミンC、酵素剤(ヘミセルラーゼ,α-アミラーゼ)
は、冷凍生地のボリュームアップ、冷凍耐性に効果があ
ることは良く知られており、よって本発明は、冷凍生地
改良剤としても有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渋田 隆伸 福岡市東区箱崎ふ頭6丁目8番8号 鳥越 製粉株式会社研究開発第一部内 (72)発明者 熊谷 憲一 福岡市東区箱崎ふ頭6丁目8番8号 鳥越 製粉株式会社研究開発第一部内 Fターム(参考) 4B032 DB01 DB13 DG02 DK01 DK08 DK14 DK22 DK24 DK51 DL20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 国内産麦小麦粉を原料とするパン製造法
    において、 原料にグルテン、水溶性増粘剤、ヘミセルラーゼ、α-
    アミラーゼおよびビタミンCを添加することを特徴とす
    るパン製造法。
  2. 【請求項2】 国内産麦小麦粉を原料とするパン製造に
    使用する製パン用プレミックスにおいて、 グルテン、水溶性増粘剤、ヘミセルラーゼ、α-アミラ
    ーゼおよびビタミンCを含有することを特徴とする製パ
    ン用プレミックス。
  3. 【請求項3】 国内産麦小麦粉を原料とするパン製造に
    使用する製パン用改良剤において、 グルテン、水溶性増粘剤、ヘミセルラーゼ、α-アミラ
    ーゼおよびビタミンCを含有することを特徴とする製パ
    ン用改良剤。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のパン製造法において、 原料にカルシウム塩を添加することを特徴とするパン製
    造法。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の製パン用プレミックスに
    おいて、 カルシウム塩を含有することを特徴とする製パン用プレ
    ミックス。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の製パン用改良剤におい
    て、 カルシウム塩を含有することを特徴とする製パン用改良
    剤。
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