JP2003095756A - 灰溶融炉用耐火組成物 - Google Patents
灰溶融炉用耐火組成物Info
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Abstract
ミア質耐火物と同等の耐用性を示す灰溶融炉用耐火組成
物を得る。 【解決手段】 アルミナ質骨材:80〜99.5質量%
及び水硬性セメント:0.5〜20質量%からなる配合
物に、さらに金属モリブデン粉末が外掛けで0.1〜
5.0質量%添加した耐火組成物。アルミナ質骨材の一
部を、スピネル質、マグネシア質、ジルコニア質又はジ
ルコンの1種以上の骨材で置換できる。
Description
産業廃棄物等の焼却灰の減容化と無害化処理のための灰
溶融炉の内張り用不定形耐火物として使用される耐火組
成物、特にCr2O3を含まない耐火組成物に関するも
のである。
るいは産業廃棄物なども埋め立て処分地の不足から焼却
処理され、さらなる減容化とリサイクルのため、焼却灰
の溶融処理が次第に行われつつある。焼却灰の溶融処理
装置にはいくつかの方式があるが、内張り材として使用
される耐火物の観点から分類すると、操業時に還元雰囲
気になる装置と酸化雰囲気になる装置に大別される。
り材としては、スラグに対する高い抵抗性から炭化珪素
質あるいはC含有複合耐火物が使用され耐用している
が、酸化雰囲気になる灰溶融炉では上記の耐火物は酸化
抵抗性が低いために、大きく侵食され適用できない。灰
成分は塩基度が低く、かつアルカリやリンなどの成分を
含み侵食作用が大きいために、酸化雰囲気になる灰溶融
炉では、内張り材としてアルミナをベース成分とし、こ
れにCr2O3を添加したアルミナ−クロミア質耐火物
が適用されている。
に優れるが、Cr2O3を添加することでアルミナ質耐
火物に比べて耐スポーリング性が低下することから、特
定の粒度範囲のアルミナ系粉末を使用して耐スポーリン
グ性を改良したり(特開平11−189459号公
報)、不定形材料ではアルミナ−クロミア質キャスタブ
ルをプレキャスト化して、耐用性を高める提案などがな
されている(特開平10−324562号公報)。しか
し、Cr2O3含有耐火物は使用中に灰成分に含まれる
アルカリと反応して有害な6価クロムを生成し、炉の改
修時など耐火物を解体する時に有害廃棄物となり、その
処理が問題となっている。
の耐火物としては、ジルコニアを5〜90%添加したア
ルミナ−ジルコニア質耐火物(特開平10−32455
9号公報)、スピネル10〜45%とジルコニア10〜
35%を添加したアルミナ−スピネル−ジルコニア質耐
火物(特開平11−199316号公報)、マグネシア
5〜20重量%、ジルコニア5〜20重量%、残部がス
ピネル質であるマグネシア−ジルコニア−スピネル質耐
火物(特開2000−72536号公報)などが提案さ
れている。
囲といわれており、また焼却物の種類あるいは集塵ダス
トである飛灰の混入割合によっても変化するが、ジルコ
ニアを添加した場合には、焼却灰の塩基度が1.0〜
1.5になると侵食量が大きくなり、また使用中に単斜
晶系のジルコニアヘ相転移を起こすことにより耐スポー
リング性が低下するという問題がある。また、スピネル
あるいはマグネシアを添加した耐火物では、高塩基度で
ある飛灰の混入量が多い場合には良いが、塩基度が通常
の0.5〜1.5の範囲では、スラグの塩基度が相対的
に低く浸食量が大きくなり、アルミナ−クロミア質耐火
物に比べて耐用性が充分であるとはいいがたい。
みてなされたもので、Cr2O3を含有せず使用中に有
害な6価クロムを発生することなく、かつアルミナ−ク
ロミア質耐火物と同等の耐用性を示す灰溶融炉用耐火組
成物を得ることを目的とする。
質骨材に高融点金属の1種である金属モリブデン粉末を
添加することによって、アルミナ−クロミア質耐火物と
同等の耐食性が得られることを見い出した。本発明は、
その知見に基づいて得られたものである。すなわち、本
発明に係る灰溶融炉用耐火組成物は、アルミナ質骨材:
80〜99.5質量%及び水硬性セメント:0.5〜2
0質量%からなる配合物に、さらに金属モリブデン粉末
が外掛けで0.1〜5.0質量%添加されていることを
特徴とする。本発明において、アルミナ質骨材の一部
を、スピネル質、マグネシア質、ジルコニア質又はジル
コン骨材のうちの1種以上で置換することができる。
独、若しくはアルミナ質にスピネル質、マグネシア質、
ジルコニア質又はジルコンのうちの1種以上を併用して
骨材とする。スピネル質、マグネシア質、ジルコニア質
又はジルコンを併用する場合でもアルミナ質が耐火組成
物全体の50質量%以上を占め、併用するスピネル質等
が合計で骨材全体の45質量%以下、例えば5〜45質
量%の範囲内であるのが望ましい。アルミナ質骨材とし
ては、例えば焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミ
ナ、電融ボーキサイト、焼成ボーキサイト、スピネル質
骨材としては、例えば理論組成のMgO・Al2O3の
ほか、Al2O3にMgOを5〜30質量%固溶する焼
結スピネル、電融スピネル、及びMgOが60質量%ま
でのスピネル−ペリクレースクリンカー、マグネシア質
骨材としては、例えば電融マグネシア、海水マグネシア
クリンカー、天然マグネサイトクリンカー、ジルコニア
質骨材としては、例えばCaO、MgOあるいはY2O
3で安定化したジルコニア、バッデライトを使用するこ
とができる。
アルミナセメント、ポルトランドセメント、ρ−Al2
O3などの水硬性を示すものが使用でき、耐火物が常温
で硬化するのに必要な量として0.5質量%以上が配合
され、耐火物の耐食性を低下させない限界量として20
質量%以下の範囲で配合量とされる。金属モリブデン粉
末は、前記骨材及び水硬性セメントに対する外掛け量と
して0.1〜5.0質量%が添加される。0.1質量%
で耐食性の向上に効果がみられ、一方、5質量%を超え
て添加しても5質量%添加時に比べて耐食性の向上に効
果はなく、逆にコストアップの要因となる。金属モリブ
デン粉末の粒度は、累積50質量%平均粒径で50μm
以下が好ましく、さらに好ましくは同じく累積50質量
%平均粒径で10μm以下である。Moの純度に関して
は特に制限はないが、純度99%以上のものが現在一般
的に市販されているのでこれが使用できる。なお、累積
50質量%平均粒径とは、粒度分布グラフで、X軸に粒
径、Y軸に累積質量%(積分値)をとったとき、グラフ
上で50質量%の点に対応するX軸の粒径をいう。
0mm以上の粗粒が30〜70質量%、0.1mm以下
の微粉が25〜60質量%の一般的なキャスタブルの粒
度範囲に属するものでよい。なお、常法に従い、耐火物
を緻密化するために、前記耐火組成物の加水混練時又は
予め前記耐火組成物に分散剤が約0.05〜0.5%
(耐火組成物に対する外掛け)の範囲で適宜添加され
る。分散材を添加して緻密化することは、耐食性を向上
させる上で有効であり、例えばオキシカルボン酸塩、ア
ルキルベンゼンスルフォン酸塩、リン酸塩などが使用で
きる。
体的に説明する. (実施例1)表1に示す割合の耐火組成物を調合し、水
を加えて混練し型枠に流し込んで耐火物試験片を作製
し、乾燥後、耐食性を調査するため侵食試験に供した。
また、別途、特性試験を行った。
PGと酸素ガスにより加熱し、炉内を酸化雰囲気として
行った。炉内を1500℃に保持し、1時間毎に侵食材
を取り替えて6サイクル実施した後、侵食量及び浸透厚
みを測定した。試験に用いた侵食材は、溶融灰を想定し
て合成した塩基度C/S=1.0と1.5の2種類のス
ラグである。その組成を、表2に侵食材A、侵食材Bと
して示す。特性試験は、試験片を1500℃×3h焼成
したのち実施した。
す。なお、表1の溶損指数とは、比較例No.6に示す
アルミナ質耐火物試験片の侵食量を基準(溶損量10
0)として、他の試験片の侵食量の比率(溶損比)を求
めたものである。溶損指数の小さい方が耐食性が良好で
ある。
、の試験において、Mo粉末を0.1質量%添加
した実施例No.1は、比較例No.6に比べて耐食性
の向上が認められる。さらにMo粉末を2質量%添加
した実施例No.2及びNo.4では顕著な耐食性の向
上がみられ、比較例No.10(アルミナ−クロミア
質)と同等の耐食性を示している。また、比較例No.
10では浸透厚みが大きいが、Mo粉末を2質量%添
加した実施例No.2及びNo.4は浸透厚みも小さ
い。実施例No.5と比較例No.7は、ともに水硬性
セメントにρ−Al2O3を使用し、Mo粉末の添加
量を変えたもので、Mo粉末の添加量が6質量%の比
較例No.7は、5質量%の実施例No.5に比べて溶
損指数がかえって増大している。コストアップの要因で
もあるため、5質量%を超えてのMo粉末の添加は不要
である。
添加した実施例No.2とNo.3を比較すると、平均
粒径42μm(100メッシュ− )のMo粉末を添
加した実施例No.3より、平均粒径3μm(20μm
−)のMo粉末を添加した実施例No.2の方が、溶
損指数の減少が顕著である。従って、Mo粉末の粒度に
関しては、の平均粒径3μmの方がほうが好ましいと
いえる。今回実施したC/S=1.0と1.5の2水準
の耐食性試験において、比較例No.8及びNo.9で
は、侵食材の塩基度により溶損指数が比較例No.6よ
りも増大している場合がみられるのに対して、実施例N
o.1〜No.5はいずれも比較例No.6に比べて溶
損指数は減少しており、アルミナ−クロミア質と同等の
耐食性を示していることが認められる。
を発揮する理由については、現在究明中であり充分に判
ってはいない。しかしながら、耐火物の加熱面側及びス
ラグと接触する稼働面において、CaMoO4の化合物
が生成していることから、Moが酸化しさらにCaOと
化合することにより体積膨張し、耐火物組織を緻密にす
ること、同時にスラグ中のCaOをCaMoO4として
固定することにより、スラグ自体の粘度を増大させるこ
と、この両者の相乗効果により、耐火物組織中へのスラ
グの浸透を抑制すると同時にスラグを通じての拡散を遅
らせることが、耐食性の向上に寄与しているのではない
かと推定される.
発揮するメカニズムの推定から、Mo粉末を不定形耐火
物のみならず不焼成の定型耐火物に添加しても、同様の
効果を発揮することは容易に推定される。
4〜6、8〜10の組成の耐火組成物を、230×11
4×65mmの並型れんがサイズの試験片を流し込みに
よって成型し、乾燥後、耐スポ−リング性試験に供し
た。試験片の114×65mmの面の前面を1500℃
に保持した電気炉の炉壁と同じ位置まで挿入し、2時間
保持後、大気中に取り出し2時間冷却する。これを5サ
イクル繰り返した後、試験片内に発生した亀裂の状態に
よって、耐スポ−リング性を評価した。その結果を表4
に示す。表4をみると、本発明の実施例にあたるNo.
2、4、5の耐スポ−リング性は、いずれもアルミナ質
の比較例No.6と同ランクで良好であり、アルミナ−
クロミア質の比較例No.10に比べて耐スポ−リング
性が向上している。また、比較例No.8、9と比べて
も良好である。
炉用耐火組成物は、酸化クロムを含有しないので、使用
中に6価クロムを生成することがなく、炉の解体時に有
害な6価クロムを含む廃棄物処理の問題を生じない。し
かも、酸化クロムを配合した耐火物と同等の耐食性を発
揮させることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 アルミナ質骨材:80〜99.5質量%
及び水硬性セメント:0.5〜20質量%からなる配合
物に、さらに金属モリブデン粉末が外掛けで0.1〜
5.0質量%添加されていることを特徴とする灰溶融炉
用耐火組成物。 - 【請求項2】 アルミナ質骨材の一部をスピネル質、マ
グネシア質、ジルコニア質又はジルコン骨材のうちの1
種以上で置き換えたことを特徴とする請求項1に記載さ
れた灰溶融炉用耐火組成物。
Priority Applications (1)
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JP2001294671A JP3875054B2 (ja) | 2001-09-26 | 2001-09-26 | 灰溶融炉用耐火組成物 |
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JP3875054B2 JP3875054B2 (ja) | 2007-01-31 |
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JP2001294671A Expired - Lifetime JP3875054B2 (ja) | 2001-09-26 | 2001-09-26 | 灰溶融炉用耐火組成物 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3875054B2 (ja) |
-
2001
- 2001-09-26 JP JP2001294671A patent/JP3875054B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JP3875054B2 (ja) | 2007-01-31 |
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