JP2003094495A - 熱可塑性樹脂製精密成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂製精密成形品の製造方法

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JP2003094495A
JP2003094495A JP2001287256A JP2001287256A JP2003094495A JP 2003094495 A JP2003094495 A JP 2003094495A JP 2001287256 A JP2001287256 A JP 2001287256A JP 2001287256 A JP2001287256 A JP 2001287256A JP 2003094495 A JP2003094495 A JP 2003094495A
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molding
resin
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Shigemi Mukoyama
滋美 向山
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分析用チップや電子製品の部品等の凹状通路
を有する成形品の成形時に発生する金型表面転写性不良
を解決するための金型及びこの金型を用いた成形品の製
造方法を提供すること 【解決手段】 熱可塑性樹脂の射出成形により、少なく
とも一つの面に凹状通路を有する成形品を製造するため
の金型であって、金型面に前記の凹状通路を形成するた
めの凸部を有し、凸部の根本の周辺の少なくとも一部に
ガス抜き用の溝を有することを特徴とする成形用金型及
びこの金型を用いて射出成形して得られる成形品の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂を用
いて表面に凹状通路を有する成形品を高い転写精度で製
造するための金型及びこの金型を用いて成形品を製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金型表面を高精度で転写した熱可塑性樹
脂の精密成形品は、射出成形法や圧縮(エンボス)成形
法により成形されている。特に、射出成形法は、量産性
及び経済性に優れる成形法である。しかしながら、現在
のところ、精度の高い金型表面転写性が得られていな
い。特に、微細な凹状通路を表面に有する精密成形品に
おいては、凹状通路に対応する金型の凸部の転写精度が
低いという問題がある。
【0003】金型表面転写性が良好な射出成形手段とし
て、これまで種々の方法が提案されている。例えば、 1.高い金型温度、高速射出成形等の成形条件で成形す
る方法、 2.金型に熱媒と冷媒を交互に流して金型表面の加熱及
び冷却を繰り返して成する方法(Plastics T
echnology,34,(1988),p.15
0)、 3.成形直前に高周波誘導加熱で金型表面を選択的に加
熱する方法(米国特許第4439492号明細書)、 4.金型表面に電気絶縁層、更にその上に電気導電層を
設け、成形直前に導電層に電気を通電して金型表面を加
熱する方法(Polymer Eng.&Sci.,3
4,(1994)p.894等) 5.金型表面を成形直前に輻射加熱する方法(合成樹
脂,42[1](1996)p.48)、 6.樹脂を振動させつつ成形する方法(工業材料,46
[4](1998)p.58)、 7)金型を振動させつつ成形する方法(Polymer
Eng.& Sci.,38(1998)p.1)、 8.金型表面を断熱層で被覆し、成形樹脂自身の熱で型
表面を一時的に高温に保持しつつ成形する断熱層被覆金
型法(成形加工,9(1997)p.889)、 9.樹脂の金型キャビティへの充填工程中に、金型に接
する樹脂表面の固化温度を低下させつつ成形する方法
(特開平10−128783号公報)、 等がある。
【0004】本発明者は、これらの成形方法を用いて微
細凹状通路を有する精密成形品を成形する技術について
種々検討したが、微細凹状通路の溝エッジや角部の、金
型からの転写性に課題があることを発見した。近年、1
0cmから数cm角程度のチップ表面に溝等の凹状通路
を刻んで、その溝で液体中の分離、反応を利用して微量
液体試料の分析を行うμTAS(マイクロトータルアナ
リシスシステム)等が行われている。本発明者は、精密
成形品として、分析用チップや配線用基板等の電子製品
の部品等について特に詳しく検討した。
【0005】これらの成形品は、その表面に極めて精密
な寸法の溝等の凹状通路を形成させることが要求されて
おり、これらの成形品を一般の成形法で成形すると種々
の問題が発生する。分析用チップについて、キャピラリ
ー電気泳動を送液及び分離手段に用いる分析用チップ
(以下、キャピラリー電気泳動分析用チップ、という)
を一つの例にとり、熱可塑性樹脂の精密成形品の必要性
等について、次に説明する。
【0006】従来から、電気泳動は、タンパク質成分の
検出等の分析に用いられており、特に代表的な電気泳動
分析法であるスラブゲル電気泳動分析は微量分析に適し
ているため、タンパク質、アミノ酸、アルカロイド、色
素等の多くの有機物の分析に利用され、医化学、生化
学、免疫学等の方面で活用されている。近年、更に高い
分離性能が得られる電気泳動法として、キャピラリー電
気泳動法が登場し、ペプチド、タンパク質、核酸、糖等
の生体分析の他、光学分割、同位体の分離等、極めて近
い成分を高速で分離するのに適した方法として、臨床診
断や医薬品、環境物質の分析等に広く利用されている。
【0007】このキャピラリー電気泳動の装置は、内径
100μm程度又はそれ以下のガラスキャピラリーやフ
ューズドシリカキャピラリー内に泳動バッファーを充填
し、一方の端に試料を導入した後、キャピラリーの両端
に高電圧を印加し、分析対象物をキャピラリー内で展開
することにより、極微量試料を高速、かつ、高分解能で
分析するというものである。このように、キャピラリー
電気泳動法は、分析感度が高く、必要な溶媒や試料の量
が極めて少なくてすみ、しかも高速で分析できるという
利点がある。しかしながら、キャピラリーの内表面の状
態は泳動液によって敏感に変化するため、泳動液を交換
する際には十分な状態調整作業が必要である。
【0008】泳動液の交換作業を行わなくてもすむよう
に、泳動液ごとにキャピラリーを準備しておくことも可
能であるが、使用するキャピラリーの外径が100〜数
100μm程度と細く、キャピラリー交換時の取り扱い
が容易でない等の問題がある。このような問題点を解決
するために、透明プラスチック又はシリコンや石英やガ
ラス等の透明無機材料から作られた2枚の基板を接合し
て形成された小型のキャピラリー電気泳動分析用装置が
提案されている。この電気泳動装置は、各試料、各分析
条件毎に装置を準備しておくことにより、条件の変更等
を簡便に、かつ、短時間に行うことができるようにする
ものである。
【0009】上記透明プラスチック製小型平板キャピラ
リー電気泳動分析用装置としては、射出成形によって作
られた分離用の溝を有するアクリル樹脂製電気泳動装置
(R.M.Mccormick et al./Ana
l. Chem. Vol.69,No.14(199
7)2626−2630) 、国際公開第97/383
00号パンフレット、透明樹脂にエッチングにより分離
用の溝を形成した電気泳動装置(特開平2−25955
7号公報)、フォトリソグラフィーにより作られた分析
用の溝が形成された電気泳動装置(特開平5−6072
8号公報、特開平6−294771号公報)等が提案さ
れている。また、上記シリコンや石英やガラス製の小型
平板状キャピラリー電気泳動分析用装置が、A.Man
z etal./Trac. Vol.10,No.5
(1991)144−149、A.Manz et a
l./Adv. Chromatogr. Vol.3
3(1993)1−66、奥村昭彦 et al./ク
ロマトグラフィー Vol.17,No.2(199
6)126−127、特開平5−80032号公報、特
開平8−327594号公報等で提案されている。
【0010】従来の射出成形によって作られたキャピラ
リー電気泳動分析用チップは、チップの凹状通路に対応
する金型の凸部の転写精度が悪いために、従来の金型を
用いて成形された成形品の寸法精度は低いものである。
このため、1つの電気泳動装置による繰り返し分析の分
離精度は優れているが、装置間の再現性に乏しい。一
方、シリコンや石英やガラス製の平板状の小型キャピラ
リー電気泳動分析用装置は、半導体集積回路の製造技術
を発展させた方法(フォトリソグラフィー技術とエッチ
ング技術の組み合わせ)により、1枚づつチップ上に溝
を形成して製造されるために、凹状通路設計の自由度が
高く、試料の前処理、試料の濃縮、試料と試薬の混合等
の機能を持たせる凹状通路を分離分析用の凹状通路に加
えた複合装置を容易にデザインすることも可能である。
しかしながら、この方法は、製造工程において、多くの
有害な薬品を使用すると共に、製造工程が長く、半導体
製造等に用いられる高価な大型設備を必要とするもので
ある。
【0011】このような問題を解決するために、小型平
板状のキャピラリー電気泳動分析用装置が提案され、そ
れによって取り扱い性が改善されると共に、無機材料の
分析用装置については、分離処理に加え、試料の前処
理、試料の濃縮、試料と試薬の混合等の機能を複合化し
た装置をデザインすることも可能となってきた。しか
し、未だに、精度及び装置間の再現性に優れ、かつ、安
価な大量生産が可能なキャピラリー電気泳動分析用装置
は開発されておらず、精度、再現性、デザイン性及びコ
スト性に優れるキャピラリー電気泳動分析用装置の開発
が望まれているのが現状である。特に、医療診断用の分
析用途に用いる場合には、装置としての信頼性、すなわ
ち、装置間で構造に違いが無く分析結果に差がないこと
が重要である。
【0012】次に、精密な凹状通路を必要とする配線用
基板、ICカードをはじめ多くの電子製品の部品につい
て、ICカードを1つの例として、以下に説明する。I
Cカードは、薄いシート状であるにもかかわらず、その
内部にICチップと共にアンテナを備え、外部装置と電
磁波によりデータの送受信を行う非接触方式のものもあ
り、最近では、IC回路の駆動電力を電磁波で供給し、
バッテリを内蔵しない非接触型ICカードの需要が高く
なっている。
【0013】従来の非接触型ICカードは、樹脂シート
と樹脂シートとの間にICチップ及びアンテナで構成さ
れたICモジュールを組み込んだ構造となっている。こ
の非接触型ICカードは、シートにアンテナ、非接触方
式ICモジュール、コイル、コンデンサー、電池等の部
品を装着する凹部を加工し、その後、各部品を装着し、
樹脂シートをプレス機により張り合わせることによって
製造され、表面に文字等の所定の印刷が行われる。
【0014】しかしながら、このようなICカードで
は、必要な出力を得るための広い面積のアンテナ、非接
触方式ICモジュール、コンデンサ、電池等の部品を内
部に装着しているため、表面に凹凸があり、この凹凸の
ために印刷が困難な場合が多い。また、電子部品を樹脂
シートでサンドイッチ状に挟んで加熱圧縮してカードを
製造する場合に、電子部品の凹凸が、樹脂と部品の線膨
張係数の違いにより、樹脂シート表面に反映して外観不
良が発生することがある。
【0015】そこで、印刷性に優れ、かつ、外観不良の
発生を抑制された非接触型ICカード等の製造に有用な
配線基板用の熱可塑性樹脂の精密成形方法及び精密成形
品が求められている。本発明者は、上記の各種課題を満
たすべく、精密成形時の転写性について研究した結果、
微細な溝等の凹状通路を有する精密成形品を成形する時
に、凹状通路のエッジや角部に転写性不良が発生するこ
とを発見した。
【0016】更に、精密成形品として、キャピラリー電
気泳動分析用チップ(送液及び/又は分離を電気泳動で
行う)等の分析用チップや配線用基板等の電子製品の部
品について特に詳しく検討した結果、これらの成形品表
面には極めて精密な寸法の溝及び/又は凹みが要求さ
れ、これらの成形品を一般の射出成形法で成形すると種
々の問題が発生することが判明した。
【0017】この問題を解決するために、本発明者は、
既に、特開平11−245270号公報及び特開平11
−245251号公報において、精密な寸法を有する電
気泳動用キャピラリー用チップ及び熱可塑性樹脂精密成
形品を提案した。その内容は、幅が1〜500μm、深
さが0.1〜1000μm、断面積が1〜250000
μm2の寸法精度に優れた溝(凹状通路に該当)を表面
に有し、しかも、熱可塑性樹脂の射出成形品であること
を特徴とするキャピラリー電気泳動分析用チップ、及び
幅(a)が1〜500μm、断面積(b)μm2が、下
記式で示される範囲の寸法精度に優れた溝を表面に有す
る、熱可塑性樹脂の射出成形品であることを特徴とする
精密成形品である。 5a2>b>a2/2 更に、前記公報中で、このチップを射出成形する方法に
ついても提案している。
【0018】しかしながら、前記公報に開示された技術
を用いた射出成形法により成形したチップの溝(凹状通
路)には、微少の金型表面転写性不良の問題があり、金
型表面が正確に転写されない部分が成形品の溝付近に頻
繁に発生するという問題の解決には不充分であった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分析
用チップや電子製品の部品等の凹状通路を有する成形
品、特に、精密成形品の成形時に発生する金型表面転写
性不良を解決するための金型及びこの金型を用いた成形
品の製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の通りで
ある。 (1)熱可塑性樹脂の射出成形により、少なくとも一つ
の面に凹状通路を有する成形品を製造するための金型で
あって、金型面に前記の凹状通路を形成するための凸部
を有し、凸部の根本の周辺の少なくとも一部にガス抜き
用の溝を有することを特徴とする成形用金型。
【0021】(2)金型の凸部の幅が5〜500μmで
あり、高さが1〜1000μmである(1)に記載の成
形用金型。 (3)ガス抜き用の溝は、微小な凹凸面により形成さ
れ、複数の凹部は連通しており、その凹凸面は、JIS
B 0601により測定した算術平均粗さ(Ra)が
0.01〜5μm、かつ、凹状通路の深さの1/5以
下、最大高さ(Ry)が0.1〜32μm、かつ、凹状
通路の深さの1/2以下、十点平均粗さ(Rz)が0.
1〜32μm、かつ、凹状通路の深さの1/2以下、及
び局部的山頂の平均間隔(S)が0.5〜200μmで
ある(1)又は(2)に記載の成形用金型。
【0022】(4)ガス抜き用の溝は、幅が10μm未
満、かつ、凹状通路の幅の1/10以下の線状の溝から
なる(1)又は(2)に記載の精密成形用金型。 (5)線状の溝が1000μm以下の間隔で複数設けら
れている(4)に記載の成形用金型。 (6)1000μm以下の間隔で設けられた複数の線状
の溝が相互に交わっている(5)に記載の成形用金型。
【0023】(7)(1)〜(6)のいずれか1つに記
載の成形用金型を用いて熱可塑性樹脂を射出成形するこ
とによって凹状通路を有する成形品を製造する方法。 (8)凹状通路の幅が5〜500μmであり、深さが1
〜1000μmである(7)に記載の成形品を製造する
方法。 (9)精密成形用金型のキャビティに予め二酸化炭素を
大気圧以上15MPa以下の圧力で満たし、次いで、熱
可塑性樹脂をキャビティに充填して射出成形することを
特徴とする(7)又は(8)に記載の成形品の製造方
法。
【0024】(10)成形品が分析用チップである
(7)〜(9)のいずれか1つに記載の成形品の製造方
法。 (11)成形品が電子製品の部品である(7)〜(9)
のいずれか1つに記載の成形品の製造方法。 (12)電子製品の部品が、幅(a)が5〜500μm
であり、断面積(bμm2)が下記式で示される範囲凹
状通路を表面に有する(11)に記載の成形品の製造方
法。 5a2>b>a2/2
【0025】本発明の金型は、微細な溝のような凹状通
路を有する精密成形品の製造に適している。微細な凹状
通路を有する精密成形品の例としては、分析用チップや
配線用基板、ICカードをはじめ多くの電子製品の部品
の成形品が挙げられ、最も代表的な例としては、キャピ
ラリー電気泳動分析用チップがあげられる。分析用チッ
プは、数十cmから数cm角程度のチップ表面に凹状通
路を刻んで、その凹状通路(上面をカバーしたキャピラ
リーを含む)中にガスや液体を、ポンプ、圧力、重力、
遠心力、毛管現象、電気泳動(電気浸透流を含む)等を
利用して流し、試薬等との反応及び/又は分離を利用し
て微量試料の分析を行うμTAS用チップである。
【0026】精密成形品の表面に有する凹状通路の断面
形状は、四角形、三角形等の多角形、半円形、半楕円形
等、さまざまなものがあり、形状は問わない。また、チ
ップが何種類かの異なった形状の凹状通路を組み合わせ
てなる凹状通路を表面に有していてもよい。溝の上面
(開放面)の幅は、溝の下面(底)の幅と同じであるか
又は広くてもよい。好ましい溝断面形状は四角形であ
る。精密成形品の表面に有する凹状通路は、以下のよう
なものが好ましい。
【0027】分析用チップの場合は、あまり小さすぎる
と、ゴミ等の微粒子により流れが乱される原因となり、
あまり大きすぎると、拡散により試料のバンドが広がる
原因となるため、幅は5〜500μm、深さは1〜10
00μmであることが好ましく、より好ましくは、幅は
10〜200μm、深さは10〜200μmである。断
面積は5〜250000μm2であることが好ましく、
より好ましくは100〜40000μm2である。
【0028】電子製品の部品の成形品の場合は、あまり
幅が狭すぎたり深さが浅すぎると、導電性ペーストや導
電性インキの充填不良の原因となり、広すぎると、必要
な回路を限られた面積に入れることができなくなり、深
すぎると成形品(部品)の強度低下の原因となるため、
幅(a)は5〜500μm、深さは3〜1000μmで
あることが好ましく、より好ましくは、幅(a)は10
〜200μm、深さは5〜300μmである。
【0029】使用時に製品が曲げられて変形した際に、
溝の幅に比べて断面積があまり小さすぎると配線が断線
し易くなり、大きすぎると溝部分に応力が集中し、シー
トが破損し易くなる等の問題が生じやすいため、幅を
(aμm)、断面積を(bμm 2)と表したした時に、
下記式の範囲であることが最も好ましい。 5a2>b>a2/2 以上のように、成形品の凹状通路の、金型からの精度の
高い転写性は、操作の精度及び装置間の再現性を得るた
めに必要であって、求められる寸法精度は、金型の凸形
状(成形されたチップでは凹状通路となる)に対し、幅
及び深さは±5%以内、断面積は±7%以内の寸法精度
(寸法転写精度)が好ましく、より好ましくは、幅及び
深さが2±%以内、断面積が±4%以内である。
【0030】以上、述べたように、本発明の金型は、熱
可塑性樹脂を射出成形して凹状通路を有する成形品を製
造するための金型であって、金型面に前記の凹状通路を
形成するための凸部を有するものであるが、本発明の特
徴は、この凸部の根本の周辺の少なくとも一部にガス抜
き用の溝を有する点にある。このような凹状通路を有す
る成形品は、射出成形や圧縮成形により製造されるが、
本発明の金型は、射出成形に使用した際に、極めて顕著
な効果を発揮するものである。
【0031】本発明の金型が射出成形用として特異的に
適している理由を、射出成形と圧縮成形との相違を踏ま
えながら説明する。圧縮成形は、予め板状に成形された
熱可塑性樹脂(通常板状)を金型内に入れ、熱プレスに
より熱可塑性樹脂を加熱溶融し、加圧圧縮して型表面を
転写後、加圧した状態で熱プレスを冷却して熱可塑性樹
脂を冷却固化するため、成形時の加熱冷却に要する時間
が非常に長くなると共に、金型の加熱冷却に多くのエネ
ルギーを要する。また、成形可能な形状として、微凹凸
のみを有する平板状成形品を成形することができるが、
貫通穴等の複雑な形状を成形することができない。この
ため、貫通穴等を有する複雑な形状のチップを安価に量
産する目的には適さない。
【0032】射出圧縮成形を含む射出成形は、押出機に
より加熱溶融された熱可塑性樹脂を、予め軟化温度以下
に冷却された金型内に高圧で充填して成形するため、成
形時間が非常に短くて済むと共に、金型の温度が一定で
よいため、エネルギー効率もよい。また、溶融された樹
脂を圧入するため、複雑な形状を自由に成形することが
できる。したがって、貫通穴等を有する複雑な形状のチ
ップを安価に量産するのに非常に適している。しかし、
加熱溶融された高粘度の樹脂を冷たい金型に圧入するた
め、金型内での樹脂圧力の局部的な差等により樹脂の充
填が遅れる部分が発生し易く、充填が遅れた部分(特に
凹状通路の根本等)に金型内のガスが局部的に取り残さ
れ金型形状の転写性低下が発生しやすい成形方法でもあ
る。
【0033】本発明の金型は、金型の凸部の根本の周辺
の少なくとも一部にガス抜き用の溝を有しているため
に、この金型を用いて射出成形を行うと、複雑な形状の
成形品を安価に量産できる特徴を保持したまま、金型内
の局部的ガス残留を抑制し、金型形状の高い転写性を有
する精密成形品を製造することができる。金型に設けら
れるガス抜き用の溝と溝の位置、金型の材質と成形法、
成形品に用いられる樹脂と成形品の成形法について説明
する。
【0034】本発明の金型のガス抜き用の溝は、微細な
溝ゆえに、熱可塑性樹脂が成形時に満たしきることがで
きない程度の微細な溝であり、満たしきらない部分の存
在により射出成形時に使用されるガスが排出される溝で
ある。ガス抜き用の溝は、凹状通路を有する成形品の成
形用金型を作成後、金型表面に形成することもできる
し、凹状通路を有する成形品の成形用金型の元となる形
状(母型)を作製後、電鋳により金型を作製する時に
は、母型にガス抜き用の溝の元となる形状を作ってお
き、金型の作製と同時に金型表面に形成することもでき
る。
【0035】本発明における好ましいガス抜き用の溝の
二つの形態について説明する。好ましいガス抜き用の溝
の一つの形態は、微細な凹凸面により形成され、複数の
凹部は連通してガス抜き溝を形成している。その凹凸面
はJIS B 0601で測定した算術平均粗さ(R
a)が0.01〜5μm、かつ、凹状通路深さの1/5
以下、最大高さ(Ry)が0.1〜32μm、かつ、凹
状通路深さの1/2以下、十点平均粗さ(Rz)が0.
1〜32μm、かつ、凹状通路深さの1/2以下、及び
局部的山頂の平均間隔(S)が0.5〜200μmであ
る。より好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.1〜
2μm、かつ、凹状通路深さの1/10以下、最大高さ
(Ry)が1〜20μm、十点平均粗さ(Rz)が1〜
20μm、及び局部的山頂の平均間隔(S)が1〜10
0μmである。
【0036】この微小な凹凸面は、硬い微細粒径の無機
物を金型面に吹き付けること、金属表面をケミカルエッ
チングすること等により形成される。この形状の表面凹
凸は、吹き付け法の場合には、吹き付ける無機物の材
質、粒径、吹き付ける圧力等を選択することにより、エ
ッチング法の場合には、酸の種類、温度等を選択するこ
とにより形成される。好ましいガス抜き用の溝の二つ目
の形態は線状である。この線状の溝の幅は、成形される
溶融樹脂が十分に入り込むことができず、ガス体は十分
に通過できる大きさであり、また成形品に線状溝の痕が
著しく目立たない程度の大きさである。線状の溝は幅1
0μm未満で、凹状通路の巾の1/10以下であること
が好ましい。溝の深さは30μm以下、かつ、凹状通路
の深さ1/2以下が好ましい。ガスの抜き易さの点か
ら、幅は0.1μm以上で、深さは0.1μ以上がより
好ましく、成形品を後で接着する時の接着のし易さの点
から、深さは10μ以下、かつ、凹状通路の深さ1/5
以下がより好ましい。
【0037】線状の溝は、間隔が1000μm以下で、
線状の溝巾の2倍以上の状態で多数本存在することが好
ましい。溝を縦又は横のいずれか一方向に設けてもよい
が、好ましくは、線状の複数の溝を縦方向と横方向に交
わらせて設ける。より好ましくは、線状の溝は、幅が5
μm未満で、間隔が250μm以下、かつ、線状溝巾の
4倍以上の状態で多数本存在し、線状の溝を縦方向と横
方向に交わらせて設ける。線状の溝は縦方向と横方向に
直角に交わっていても、斜めに交わっていてもよく、間
隔も縦方向と横方向で異なっていても、間隔が部分的に
異なっていてもよい。
【0038】この線状の溝は種々の方法で形成される。
次に、その方法の例を示す。最も簡単な方法としては、
ダイヤモンド、カーボランダム等の金型材より硬度が高
く、適度な粒径の微粒子で金型表面を縦方向と横方向に
擦る方法である。他の方法としては、鋭利な刃先で所定
寸法の間隔に傷を入れる方法である。正確な寸法の溝を
形成するには、溝を形成し易い材質で正確な寸法のマス
ター型をつくつた後、電鋳法により転写して金型をつく
る。正確な寸法のマスター型をつくつた後、電鋳法によ
り転写して金型をつくることにより、均質なガス抜き用
の溝を作ることができる。マスター型の作製には、例え
ば、シリコンのプラズマ、ウェットエッチング又は異方
性エッチングや高分子材料のX線エッチング等により均
質な四角形や三角形の断面形状の溝を作る方法が使用で
きる。
【0039】ガス抜き用の溝の断面形状は限定されない
が、四角形、三角形等の角を有する多角形の形状は、角
部へ樹脂が充填し難く、成形時にガス抜き効果が高く好
ましい。特に、三角形の形状は、ガス抜き効果、成形品
の離型のし易さや成形品を後で接着する時の接着し易さ
等の点で好ましい。本発明に必要なガス抜き用の溝の位
置は、金型表面の凹状通路に相当する金型の凸部の根本
部周辺の少なくとも一部である。ここでいう周辺とは、
金型の凹状通路を形成する突起に接する根本部から5m
m程度の範囲である。ガス抜き用の溝は凹状通路の周辺
の全てに存在してもよいが、凹状通路周辺の一部にあっ
てもよく、また、端部が成形品部周辺の金型の閉鎖面ま
で延びていてもよい。熱可塑性樹脂の成形時にガス体が
残りやすい部分、例えば、凹状通路が交差した部分、凹
状通路が急角度で曲がった部分の凹状通路周辺のみにガ
ス抜き用の溝を設けることも本発明に含まれる。
【0040】本発明の金型の材質は、鉄又は鉄を主成分
とする鋼材、アルミニウム、アルミニウムを主成分とす
る合金、亜鉛合金、ベリリウム−銅合金、銅、真鍮、ニ
ッケル等の一般に合成樹脂の成形に使用されている金型
に用いられる金属が好ましい。本発明の金型は種々の方
法で製作できる。金型作製方法の1つの例を挙げると、
金属、プラスチック、シリコン又はガラス等の材料から
の切削加工、エッチング加工又は紫外線硬化樹脂のフォ
トリソグラフィ加工等の方法により、目的とする分析用
チップ等の表面形状を有する母型を1つ作成し、この母
型からニッケル等の電気化学的鋳造法(以下、電鋳、と
いう)により作製する方法が挙げられる。
【0041】代表的な金型の製法例としては、LIGA
プロセスが挙げられる。LIGAプロセスは、リソグラ
フィ、電気メッキ、成形を経て溝を形成する方法であ
り、その詳細プロセスは、報告書「平成4年度 LIG
Aプロセスに関する調査研究((社)日本機械工業連合
会、(財)先端加工機械技術振興協会)、(平成5年5
月)」に記載されている。金型の製造法を図面を用いて
説明する。
【0042】図1は、従来の金型を用いて射出成形され
た、表面に幅が5〜500μmの凹状通路を有する成形
品の凹状通路付近の部分平面図、図2は、図1のAー
A'線で切断した断面図である。図1において、成形品
の凹状通路1の周囲にガス体のトラップ痕2が存在す
る。このガス体のトラップ痕2は、金型キャビティ中の
ガス体の一部が射出成形時に型外に排出しきれずに金型
キャビティに残ったものであり、型表面転写性を著しく
阻害する。このガス体のトラップ痕2は、型表面転写性
を向上させるために、金型温度を高くしたり、金型キャ
ビティに加圧炭酸ガスを充填して成形すると多く発生す
る。
【0043】図3は、本発明の金型の表面の部分平面図
であり、図4は、図3のB−B’線で切断した断面図で
ある。図3及び4において、成形品に凹状通路を形成さ
せるための金型表面の凸部3の周辺にガス抜き用の線状
溝4があり、この線状溝4によりガス体のトラップ痕発
生を低減できる。図5は、JIS B 0601によ
り、金型のガス抜き用溝の算術平均粗さ、最大高さ、十
点平均粗さ及び局部的山頂の平均間隔を求めるための粗
さ曲線の例である。
【0044】図6は、LIGAプロセスによる本発明の
ガス抜き用の線状溝の製作工程図である。図6におい
て、基板8の上にポリメチルメタクリレート(以下、P
MMA、という)からなるレジスト材6を被覆した積層
板に、ガス抜き用の線状溝の部分にX線遮蔽材を被覆し
た遮蔽パターンを有するマスク5を設置し、X線を照射
する[(1)露光]。PMMAからなるレジスト材6は
X線により分解され、この分解されたX線照射部分を取
り除くことによって、線状溝に相当する未分解PMMA
からなる突起7が基板8の上に存在するマスター型を作
製する[(2)現像]。こうして得られたマスター型表
面に電鋳加工を行い、Ni層9を形成させる[(3)電
鋳]。基板8及び突起7を除去し、電鋳加工により得た
ガス抜き用線状溝パターンを表面に有する薄いNi金型
(スタンパ)10を、鋼材等のベース金型24に組み合
わせる[(4)金型組立]。
【0045】図7は、 LIGAプロセスによる本発明
の金型の製作工程図である。図7において、基板11の
上にレジスト材12を被覆した積層板に、凹状通路用の
凸部形成部を除いた部分にX線遮蔽材を被覆した遮蔽パ
ターン14を有するマスクシート13を設置し、このマ
スクシートを通して、X線15を照射する[(1)露
光]。PMMAからなるレジスト材12はX線により分
解され、この分解されたX線照射部分を取り除くことに
よって、凸部を形成するための凹部16を形成させる
[(2)現像]。残ったレジスト材(PMMA)12上
にX線遮蔽層17を被覆し[(3)遮蔽材被覆]、更に
その上にPMMAの薄層18を被覆する[(4)レジス
ト材被覆]。次に、遮蔽材により微細線状溝のパターン
20を描いたマスクシート19を通してX線15を照射
する[(5)露光]。PMMAからなるレジスト材18
はX線により分解され、分解されたX線照射部分を取り
除き、本発明の線状溝に対応する突起21を有するマス
ター型をつくる[(6)現像]。
【0046】こうして得られたマスター型表面に電鋳加
工を行い、Ni層22を形成させる[(7)電鋳]。基
板11、凹状通路部の形状を作るのに用いたレジスト材
12、遮蔽層17、線状溝に対応する突起形状のレジス
ト材21を除去することによって、電鋳加工により得た
凹状通路に対応する凸部及びガス抜き用溝パターンを表
面に有する薄いNi金型(スタンパ)23を作製し、こ
れに鋼材等のベース金型24を裏面に組み合わせて本発
明の金型を得る[(8)金型組立]。
【0047】図8は、本発明の金型の別の製作工程を示
す図である。図8において、基板として用いるシリコン
ウェハ25の上にポジ型レジスト材の薄層26を被覆し
た積層ウェハに、ガス抜き用の線状溝形成部だけを除い
てUV遮蔽材を被覆したパターン27を描いたマスクシ
ート28を通して、UV29を照射する[(1)露
光]。ポジ型レジスト材の薄層はUVにより分解され、
この分解されたUV照射部分を取り除く[(2)現
像]。プラズマエッチングにより、シリコンウェハをエ
ッチングした後、ポジ型レジスト材の薄層を除去する
[(3)エッチング]。なお、シリコンウェハの線状溝
加工において、シリコンウェハの異方エッチング(結晶
界面を選びウェットエッチング)を使うことにより線状
溝の断面形状を三角形とすることもできる。
【0048】更にその上にPMMAからなるレジスト層
12を積層し、凹状通路用の凸部形成部だけをX線遮蔽
材で被覆した遮蔽パターン30を有するマスクシート3
1を通してX線15を照射する。[(4)露光]。 レ
ジスト層のX線照射された部分のみを除去し、凹状通路
形成用凸部を有するマスター型を作製する[(5)現
像]。こうして得られたマスター型表面に1回目の電鋳
加工を行い、Ni層32を形成させる[(6)電鋳]。
【0049】次に、Ni層32をシリコンウェハ25か
ら離型し、レジスト材を除去した後、Ni層の表面に離
型し易いよう処理を施した後、このNi層32の表面に
2回目の電鋳加工を行い、 Ni金型(スタンパ)33
を形成させる[(7)電鋳]。2回目の電鋳加工により
得た凹状通路に対応する凸起形状及びガス抜き用線状溝
パターンを表面に有する、薄いNi金型(スタンパ)3
3をNi層32から離型し、離型したNi金型(スタン
パ)33を、鋼材等のベース金型24を裏面に組み合わ
せて本発明の金型を得る[(8)金型組立]。
【0050】図9は、本発明に用いる金型の別の製作工
程を示す図である。図9において、基板11の上にPM
MAから成るレジスト材12を被覆した積層板に、凹状
通路形成部にX線遮蔽材を被覆した遮蔽パターン30を
有するマスクシート31を積層し、このマークシートを
通してX線15を照射する[(1)露光]。レジスト1
2はX線照射により凹状通路形成用凸部を除いた部分が
除去される[(2)現像]。これをマスター型として、
マスター型表面に電鋳加工を行い、Ni層34を形成さ
せる[(3)電鋳]。基板11及び凹状通路形成用凸部
形状レジスト材を除去し、Ni層の凹状通路部を充填物
35で埋めた後、サンドブラストにより凹状通路周辺部
36にガス抜き用溝を形成する[(4)充填材充填、ガ
ス抜き用溝の形成]。凹状通路部周辺にガス抜き用の溝
を形成したNi層38の凹状通路部の充填物35を取り
除いた後、Ni層38の表面に離型しやすいように処理
を施した後、このNi層38の表面に2回目の電鋳加工
を行い、Ni金型39を形成させる[(5)電鋳]。2
回目の電鋳加工により得た凹状通路に対応する凸部形状
及びガス抜き用線状溝パターンを表面に有する薄いNi
金型(スタンパ)39をNi層38から離型し、離型し
たNi金型(スタンパ)39に、鋼材等のベース金型2
4を裏面に組み合わせて本発明の金型を得る[(6)金
型組立]。
【0051】本発明で使用される熱可塑性樹脂は、一般
の射出成形に使用できる熱可塑性樹脂である。好ましい
樹脂として、ASTM試験法D790で測定した曲げ弾
性率が1000MPa以上の硬い樹脂(以下、硬質性樹
脂、という)が挙げられる。硬質性樹脂として、例え
ば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合
体等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、メ
チルメタクリレート−スチレン共重合体等のメタクリル
樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル
スルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイ
ミド、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリメチ
ルペンテン、環状オレフィン系重合体及びその共重合体
(1,3−シクロヘキサジエン系重合体、ノルボルネン
系重合体等)、液晶ポリマー、ナイロン、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル等がある。
【0052】精密成形品がμTAS用チップ等の分析用
チップの場合には、高い透明性を有する熱可塑性樹脂を
用いることが好ましく、例えば、ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂、ポ
リメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−スチ
レン共重合体等のメタクリル樹脂、ポリカーボネート、
ポリメチルペンテン、環状オレフィン系重合体及びその
共重合体(1,3−シクロヘキサジエン系重合体、ノル
ボルネン系重合体等)ポリエステル、ポリ塩化ビニル等
が用いられる。
【0053】本発明のもう一つの発明は、この金型を用
いて、熱可塑性樹脂を射出成形することによって凹状通
路を有する成形品を製造する方法である。本発明の金型
を用いた成形品は、各種の射出成形方法を単独で、又は
二種以上をと組み合わせて用いることができる。既に知
られている型表面転写性を改善する射出成形方法の一つ
以上の方法と組み合わせて使用するとより効果的であ
る。型表面転写性を改善する射出成形方法例としては、
下記の(1)〜(6)が挙げられる。
【0054】(1)樹脂の金型キャビティへの充填工程
中に、金型に接する樹脂表面の固化温度を低下させつつ
成形する射出成形法、(2)断熱層被覆金型を用いた射
出成形法、(3)射出直前に高周波誘導加熱で金型表面
を加熱して成形する射出成形法、(4)射出直前に輻射
加熱で金型表面を加熱して成形する射出成形法、(5)
樹脂を振動させつつ射出して成形する射出成形法、
(6)金型を振動させつつ射出して成形する射出成形法 上記の射出成形方法のうち、(1)〜(4)の方法の一
つ以上の方法と本発明のガス抜き用の溝を表面に有する
金型を用いた製造方法を組み合わせて使用することが好
ましい。すなわち、(1)〜(4)の方法は、樹脂の固
化温度と金型温度を接近させて成形して、型表面転写性
を良くする成形法であり、樹脂が成形時に金型表面に密
着し易くなる。したがって、金型キャビティ中のガス体
が樹脂と金型の界面にトラップされ易くなり、成形品表
面にトラップ痕が残り易くなる。
【0055】本発明は、このようなトラップ痕が発生し
易い成形法の場合に特に効果を発揮する。なお、成形時
のガス抜きを良くするために、成形品の周辺の金型の閉
鎖面に、樹脂の浸み出し(バリ)が発生しない程度のガ
ス抜きの隙間を設けることは、従来から行われている
(例えば、特開2000−317946号公報等)が、
本発明は、成形品の表面に微細な溝を設け、取り残され
たガスを金型の閉鎖面まで導くものであり、技術思想が
異なる。また、周辺の金型の閉鎖面にガス抜きの隙間を
設ける上記の方法に比べ、本発明の金型を用いると、金
型閉鎖面より遠い部分でも、成形品表面のトラップ痕の
発生を抑える効果を発揮する。
【0056】本発明に特に好ましく使用できる(1)の
方法について、更に詳しく説明する。樹脂の金型キャビ
ティへの充填工程中に、金型に接する樹脂表面の固化温
度を低下させつつ成形する(1)の射出成形方法は、従
来、金型表面の転写を阻害すると考えられていた金型キ
ャビティ内のガス体に着目したものであり、その効果が
発現されるメカニズムは次のように考えられる。
【0057】射出成形では、樹脂は金型キャビティ内を
常に層流で流れ、冷却された金型壁面に接触するとその
界面に固化層が形成され、後から充填される樹脂はその
固化層の内側を流動して前進し、樹脂流動先端部(フロ
ーフロント)に達してから金型壁面に向かうファウンテ
ンフローと呼ばれる流動をする。金型キャビティを二酸
化炭素等、樹脂に溶解し易く、かつ、可塑剤として働く
特定のガス体で、適度なガス圧力で満たした状態で樹脂
を充填すると、ガス体は流動樹脂のフローフロントで吸
収されたり、金型と樹脂の界面に入り込み、樹脂表面層
に溶解する。
【0058】樹脂に溶解したガス体は可塑剤として作用
し、樹脂表面だけ固化温度を選択的に低下させたり、樹
脂の溶融粘度を下げる。薄い樹脂表面層だけ固化温度が
下がり、固化温度が金型表面温度以下になると、樹脂充
填工程中の固化が起きず、成形品の金型表面転写性を著
しく改良することができる。このガス体を用いる成形方
法に、本発明のガス抜き用の溝を有する成形用金型を用
いることは特に有効であり、金型表面転写性が向上する
ために、取り残され易い溝のエッジや角部等の局部的な
過剰なガスの溜まりをガス抜き用の溝が逃がし、転写性
を著しく向上させる。
【0059】一方、樹脂表面層に溶解したガス体は時間
とともに樹脂内部に拡散し、樹脂表面層の固化温度が上
昇するため、通常の樹脂冷却時間内で表面層は固化し、
製品として取り出すことができる。この結果、樹脂充填
工程中に金型に接する樹脂表面の固化温度を低下させつ
つ成形し、型壁面転写性に優れた本発明のチップが得ら
れる。この方法においては、使用するガス体が使用する
樹脂によく溶解するものであることが好ましい。ガス体
として二酸化炭素を使用する場合、二酸化炭素との親和
性が高く、二酸化炭素の溶解度が高い樹脂の方が大きな
効果が得られる。樹脂の固化温度とは、溶融した熱可塑
性樹脂が金型内で固化する温度であり、非結晶性樹脂で
はガラス転移温度である。金型キャビティに充填するガ
ス体とは、ガス体の熱可塑性樹脂への溶解度が大きく、
樹脂の固化温度において空気及び/又は窒素の2倍以上
であり、樹脂の可塑化効果を有するガス体である。すな
わち、ガス体は金型キャビティに存在し、樹脂充填工程
中に樹脂表面に吸収されて、金型に接する樹脂表面の固
化温度を低下させるガス体である。
【0060】樹脂への溶解度が空気や窒素程度のガス体
では、従来から知られるように、金型キャビティ中で金
型表面の転写を阻害するだけであり、少なくともこれら
の2倍以上の樹脂への溶解度が必要である。また、樹脂
を劣化させないこと、金型や成形する環境に対し危険性
がないこと、安価であること等の制約から選定される。
ガス体は樹脂への溶解度が大きいものであれば2種以上
の混合物であってもよい。具体的には、二酸化炭素、メ
タン、エタン、プロパン等の炭化水素、及びその一部の
水素をフッ素等で置換したフロン等であり、使用する熱
可塑性樹脂により最適なものが選択される。この中で
も、二酸化炭素は安全性、価格、取り扱いやすさ等の点
で最も好ましく使用できるだけでなく、樹脂によく溶解
して可塑剤となり、樹脂の固化温度を低下させる効果も
大きいことから好ましい。
【0061】最も好ましく使用されるガス体である二酸
化炭素の各樹脂への溶解量、二酸化炭素溶解による樹脂
のガラス転移温度(以後Tgと略称する)の低下等につ
いては、成形加工,96,279(1989)、J.A
ppl.Polym.Sci.,Vol.30,401
9(1985)、J.Appl.Polym.Sc
i.,Vol.30,2633(1985)、J.Me
mbrane Sci.,Vol.5,63(197
9)等に示されている。
【0062】金型キャビティに封入するガス体の圧力
は、高い圧力になるほど多量のガス体が樹脂に溶解する
ため、より固化温度が低くなり、低い金型温度でも樹脂
充填工程中の固化を防止できることになる。実用的に
は、要求される金型表面転写性の程度、樹脂やガス体の
種類、金型温度等から必要なガス圧力が決まる。圧力の
下限は、樹脂に溶解したガス体の可塑剤効果から決ま
り、樹脂の固化温度において、平衡状態で0.1質量%
樹脂に溶解する圧力であり、好ましくは0.5質量%溶
解する圧力である。ここで用いるガス体の樹脂への溶解
度は、圧力降下法による測定値である。これ以下の圧力
や、大気圧であっても、二酸化炭素等の溶解性の高いガ
ス体を使用すれば、金型キャビティを真空ポンプにより
減圧にしたときと同等以上の転写性向上効果を得ること
ができる。低い圧力で使用する場合は、金型キャビティ
を可能な限りこのガス体で置換することが好ましい。
【0063】圧力の上限は限定はないが、あまりに高圧
になるとガス体圧力により金型を開こうとする力が無視
できなくなったり、金型のシールが難しくなる等の問題
が生じやすいことから、15MPa以下が実用的であ
り、好ましくは10MPa以下である。ガス圧力は一工
程に使用するガス体の量を最小限に押さえ、金型のシー
ルやガス供給装置の構造を簡単にするために、要求する
効果が得られる範囲で低い方が好ましい。
【0064】型閉時に型内に残る空気は、型締め中や型
締め完了後にガス体を供給して置換した方が好ましい
が、使用するガス圧力が1MPaを超えるような場合、
空気の影響はほとんど無視できる。樹脂充填後、金型キ
ャビティ外に押し出されたガス体を解放し、大気圧とす
る。ガス体の解放は、金型キャビティ内を溶融樹脂で満
たした後に行う。樹脂充填後は金型表面状態を成形品に
転写するため、成形品表面が固化するまで金型キャビテ
ィ内の樹脂に十分な圧力を与えることが好ましい。金型
表面のガス抜き用溝及び/又は成形品の凹状通路に対応
する凸部を、寸法精度良く転写するには、溝内部のガス
圧力に対抗して樹脂を金型に押し付ける必要があり、そ
れに必要な樹脂圧力で成形することが好ましい。
【0065】樹脂中に溶解したガス体は、樹脂の成形後
に成形品を大気中に放置すれば徐々に大気中に放散して
いく。放散により成形品に気泡を生じることはなく、放
散後の成形品の機械的性能は通常の成形法で成形したの
と変わらない。金型キャビティへのガス体の注入は、一
般に金型キャビティのガス抜きに用いられる金型構造を
用いれば可能であり、金型キャビティ外周のパーティン
グ面に設けたスリット、金型入れ子や突き出しピンの隙
間、ガス抜きピン、多孔質焼結体でできた入れ子等が使
用できる。
【0066】金型キャビティを大気圧付近のガス体で置
換する場合、金型キャビティの空気を、できるだけ短時
間に、できるだけ少量のガス体で、できるだけ100%
近く置換する経済的な方法が好ましく、金型スプルから
ガス体を吹き込む方法が適している。金型キャビティへ
樹脂を充填するに先立ち、金型スプル付近よりガス体を
注入してから射出すると、ガス体が樹脂により押され
て、ガス体により金型キャビティに残存する空気を金型
外へ排出しつつ樹脂を金型キャビティに充填することが
できる。すなわち、金型のスプル、ランナ、ゲート付近
を十分に該ガス体で置換すれば、樹脂に触れるガス体は
常に注入したガス体となる。
【0067】金型キャビティを炭酸ガスで満たす成形法
は一般的には極めて良好な成形法であるが、成形品形状
によって特異な不良現象が発生することを発見した。す
なわち、本発明に述べる寸法精度に優れた凹状通路を有
する成形品を成形する場合に、金型キャビティを数MP
aの圧力の炭酸ガスで置換して射出成形すると、樹脂に
溶け込めなかったガス体が、凹状通路の溝エッジや角部
に選択的に残り易くなり、凹状通路の溝エッジや角部に
ガスのトラップ痕が発生することを発見した。この場合
に本発明の成形法は極めて良好に作用する。
【0068】本発明の成形体の製造方法においては、一
般に、型表面転写性がよい他の成形法と組み合わせて用
いる程、その効果は大きく現れる。金型キャビティを炭
酸ガスで置換して成形する方法、射出圧縮成形法、本発
明法の3つを組み合わせて成形することは更に好ましく
使用できる。また、射出直前に高周波誘導加熱で金型表
面を加熱して成形する射出成形法と、本発明法を組み合
わせた成形法、更にこの組み合わせに射出圧縮成形法を
加えた、3つの成形法を組み合わせた成形法でも同様に
良好に使用できる。
【0069】
【発明の実施の形態】実施例及び比較例を用いて本発明
を具体的に説明する。
【0070】
【実施例1】射出成形に使用した樹脂は、メタクリル樹
脂(旭化成(株)社製、「デルペット(登録商標)80
NH)である。その際に用いる二酸化炭素ガスの純度は
99%以上のものであった。成形機には、住友重機械工
業(株)製のSG50を使用した。金型本体は図10に
示す本発明の金型を使用した。
【0071】図10において、金型40の金型キャビテ
ィ41の周囲には、パーティング面の隙間42を通して
金型キャビティに二酸化炭素を吸排気する吸排気用溝4
3があり、吸排気用溝43は二酸化炭素の供給源48と
金型外通気用穴44を通してつながっている。金型キャ
ビティ41の外側には、金型キャビティ41を加圧状に
保持するためのOリング用溝45があり、その中にOリ
ング46が設置されている。金型通気用穴44はガス体
導管47を通して二酸化炭素源48つながっている。ガ
ス体導管47には圧力計49と安全弁50が連結されて
いる。金型表面はスタンパー51で形成されている。
【0072】スタンパー51の表面は、図11に示すキ
ャピラリー電気泳動分析用チップのパターン図における
キャピラリー電気泳動分析用チップ52の形状に対応し
ている。成形品のチップ52は、厚み2mm、縦横が共
に50mmである。チップ52の表面には精密凹状通路
53、各種試薬を入れ、検査測定する円形の凹み54が
設けられている。凹状通路用精密溝53の断面は、図1
1のC−C’線で切断した断面図を示す図12に示す形
状をしており、その寸法は、幅60μm、深さ40μ
m、断面積2400μm2の長方形状である。
【0073】図10のスタンパー51は、図8に示した
方法で製作し、型表面に格子状のガス抜き用の溝を20
μ間隔で格子状に有した面とした。ガス抜き用溝は、断
面形状が幅3μm、深さ3μmである。図10に示す金
型装置を用い、金型キャビティ表面温度80℃の金型内
に、二酸化炭素を5.0MPaの圧力に満たし、次い
で、樹脂温度240℃のメタクリル樹脂を射出し、シリ
ンダ内樹脂圧力80MPaで10秒間保圧し、20秒間
冷却した後、成形品を取り出した。金型に満たした二酸
化炭素は、樹脂充填完了と同時に大気中に開放して、キ
ャピラリー電気泳動分析用チップを成形した。
【0074】得られた成形品の表面は、ガス抜き用の溝
に対応する格子状の非常に微細な突起を有するが、張り
合わせには影響を与えない、十分な平滑性を有してい
た。凹状通路は幅60.7μm、深さ39.8μmであ
り、金型に対して幅及び深さが±2%以内の寸法精度で
溝が転写されていた。更に凹状通路付近には図1に示し
たようなガス体のトラップ痕はなく、良好な精密成形品
であった。
【0075】
【比較例1】実施例1において、微細ガス抜き溝を有し
ない以外は実施例1と同じ凹状通路パターン形状のスタ
ンパーを用い、実施例1と同様に成形を行った。凹状通
路付近には図1に示したようなガス体のトラップ痕が発
生した。。
【0076】
【発明の効果】本発明の金型を用いて熱可塑性樹脂を射
出成形することによって、成形品表面に、寸法精度に優
れた凹状通路を有する成形品が得られる。この成形品
は、溝のエッジや角部の転写性に優れた微細溝を表面に
有する分析用チップ(μ−TAS)や電子製品(非接触
型ICカード等)の部品等の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の金型を用いて成形した成形品の部分平面
図。
【図2】図1をAーA'線で切断した断面図。
【図3】本発明法の金型の部分平面図。
【図4】図3をB−B’線で切断した断面図。
【図5】金型表面のガス抜き用の溝の粗さ曲線の一例を
示す図。
【図6】LIGAプロセスによる本発明法のガス抜き用
の線状溝の製作工程図。
【図7】本発明法の金型の製作工程図。
【図8】本発明法の金型の他の製作工程図。
【図9】本発明法の金型の別の製作工程図。
【図10】本発明法の金型を用いた金型装置の概略図。
【図11】キャピラリー電気泳動分析用チップのパター
ン図。
【図12】図11をC−C’線で切断した断面図。
【符号の説明】
1 凹状通路 2 ガス体のトラップ痕 3 金型表面の凸部 4 ガス抜き用の線状溝 5 マスク 6 レジスト材 7 突起 8 基板 9 Niメッキ層 10 Ni金型 11 基板 12 レジスト材 13 マスクシート 14 遮蔽パターン 15 X線 16 凸部を形成するための凹部 17 X線遮蔽層 18 レジスト材 19 マスクシート 20 線状溝のパターン 21 突起 22 電鋳Ni層 23 Ni金型 24 ベース金型 25 シリコンウェハ 26 レジスト材 27 パターン 28 マスクシート 29 UV光 30 遮蔽パターン 31 マスクシート 32 電鋳Ni層 33 Ni金型 34 電鋳Ni層 35 充填物 36 凹状通路周辺部 37 ガス抜き用の溝 38 ガス抜き用溝を形成したNi層 39 Ni金型 40 金型 41 金型キャビティ 42 隙間 43 吸排気用溝 44 金型外通気用穴 45 Oリング用溝 46 Oリング 47 ガス体導管 48 二酸化炭素源 49 圧力計 50 安全弁 51 スタンパー 52 キャピラリー電気泳動分析用チップ 53 精密溝 54 円形凹み

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂の射出成形により、少なく
    とも一つの面に凹状通路を有する成形品を製造するため
    の金型であって、金型面に前記の凹状通路を形成するた
    めの凸部を有し、凸部の根本の周辺の少なくとも一部に
    ガス抜き用の溝を有することを特徴とする成形用金型。
  2. 【請求項2】 金型の凸部の幅が5〜500μmであ
    り、高さが1〜1000μmである請求項1記載の成形
    用金型。
  3. 【請求項3】 ガス抜き用の溝は、微小な凹凸面により
    形成され、複数の凹部は連通しており、その凹凸面は、
    JIS B 0601により測定した算術平均粗さ(R
    a)が0.01〜5μm、かつ、凹状通路の深さの1/
    5以下、最大高さ(Ry)が0.1〜32μm、かつ、
    凹状通路の深さの1/2以下、十点平均粗さ(Rz)が
    0.1〜32μm、かつ、凹状通路の深さの1/2以
    下、及び局部的山頂の平均間隔(S)が0.5〜200
    μmである請求項1又は2記載の成形用金型。
  4. 【請求項4】 ガス抜き用の溝は、幅が10μm未満、
    かつ、凹状通路の幅の1/10以下の線状の溝からなる
    請求項1又は2記載の精密成形用金型。
  5. 【請求項5】 線状の溝が1000μm以下の間隔で複
    数設けられている請求項4記載の成形用金型。
  6. 【請求項6】 1000μm以下の間隔で設けられた複
    数の線状の溝が相互に交わっている請求項5記載の成形
    用金型。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の成
    形用金型を用いて熱可塑性樹脂を射出成形することによ
    って、凹状通路を有する成形品を製造する方法。
  8. 【請求項8】 凹状通路の幅が5〜500μmであり、
    深さが1〜1000μmである請求項7記載の成形品を
    製造する方法。
  9. 【請求項9】 精密成形用金型のキャビティに予め二酸
    化炭素を大気圧以上15MPa以下の圧力で満たし、次
    いで、熱可塑性樹脂をキャビティに充填して射出成形す
    ることを特徴とする請求項7又は8記載の成形品の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 成形品が分析用チップである請求項7
    〜9のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
  11. 【請求項11】 成形品が電子製品の部品である請求項
    7〜9のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
  12. 【請求項12】 電子製品の部品が、幅(a)が5〜5
    00μmであり、断面積(bμm2)が下記式で示され
    る範囲凹状通路を表面に有する請求項11記載の成形品
    の製造方法。 5a2>b>a2/2
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