JP2003093145A - 化粧料収納容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ネットを介して化粧料を取り出すようにした従
来の化粧料収納容器は、中皿容器に収納される化粧料の
量が少なかった。また、中皿容器を変形可能に外容器に
固定することも困難であった。さらに中皿容器が不規則
に変形することにより化粧料の取り出しも安定して行え
なかった。本発明は、これらの点の改善を課題とする。 【解決手段】中皿容器５を、周縁が薄肉部５ｆとされた
円板状の底部５ａと、この薄肉部５ｆに連続した周壁部
５ｂと、周壁部５ｂの上端に連続した周縁部５ｃとから
なる有底略円筒形に、弾性を有する合成樹脂材で形成し
た。そして、化粧料７の取り出しの際に、この周壁部５
ｂが上下方向に重なり合うように折り畳まれると共に、
その基端側の薄肉部５ｆが外下り方向に屈曲され、この
ことで、周壁部５ｂが底部５ａの周囲に没入するように
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ペースト状ファン
デーションやクリーム状クレンシングなどの粘稠性を有
する液体化粧料や、あるいはパウダー状の粉末化粧料の
収納に好適な化粧料容器に係り、詳しくは、携帯時に化
粧料が外部に漏出せず、かつ、使用する際には、パフを
用いて容易に、この化粧料を取り出せるように、化粧料
の上面をネットで覆った化粧料収納容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の化粧料収納容器として
は、実公平７−１１６９４号公報や、特開平９−２８４
５３号公報に示されるものがあった。

【０００３】上記実公平７−１１６９４号公報に示され
た粉末化粧料用容器は、図５に示すように、弾性を有す
る合成樹脂材料で碗型形状の粉末化粧料収納用のドラム
１０を形成し、この中に粉末化粧料１１を充填した後、
その上面をネット１２で覆い、これを外容器１３の凹所
１３ａ内に収納したものである。そして、この容器から
の化粧料の取り出しは、ネット１２の上面をパフ１４で
押圧し、ネット１２の網目を通してドラム１０に収納さ
れた粉末化粧料１１をパフ１４に付着させることにより
なされる。

【０００４】そして、このようして化粧料が取り出さ
れ、ドラム１０内に収納された粉末化粧料１１の残量が
少なくなってくると、パフ１４の押圧力を受け、ドラム
１０が図６に示すように撓み、このことで収納された粉
末化粧料１１が攪拌されると共に、ネット１２が粉末化
粧料１１に接する位置まで下降し、ネット１２を介して
パフ１４に粉末化粧料１１を付着させることができるよ
うになっている。

【０００５】また、特開平９−２８４５３号公報に示さ
れた粉末化粧料用レフィル容器は、図７に示すように、
化粧料の収納容積が大きくなるように、粉末化粧料２１
が収納される内容器２０の底面２０ａを平坦な形状にす
ると共に、この底面２０ａに連続した側面を、外側また
は内側に屈曲した屈曲部２０ｂを有するものとしたもの
であり、ネット２２や外容器２３などのその他の構成
は、前述のものと殆ど同じである。

【０００６】そして、化粧料の取出し方も前記のものと
全く同じであり、パフ（図示せず）で内容器２０上面の
ネット２２を押圧することによりなされる。

【０００７】ただし、この粉末化粧料用レフィル容器の
場合は、収納された粉末化粧料２１の残量が少なくなっ
てくると、パフで押圧された際に、内容器２０の屈曲部
２０ｂが屈曲することにより、ネット２２が粉末化粧料
２１に接する位置まで下降するようになっている。した
がって、その際、側壁部分の屈曲変形により、収納され
た粉末化粧料２１を流動させ、その固化を防止するよう
にしている。

【０００８】なお、図５において符号１５は、ドラム１
０とネット１１を挟持して連結する枠状の部材を示す。
また、図７において符号２０ｃは、ネット２２を保持
し、内容器２０の鍔２０ｃに嵌合する係止環を示す。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の化粧料
収納容器のうち、図５と図６に示したものは、化粧料を
収納するためのドラムが、底部が小さく上部が大きな径
を有する碗型形状に形成されているので、化粧料の収納
量が少なくなるという問題点があった。また、このドラ
ムは、化粧料の取り出しの際、図６に示すように底面が
波打つように変形するので、ドラムの裏面を外容器に固
定することができず、そのため、別途、ドラムが外容器
から脱落を防止するため抜け止め手段を設けなくてはな
らないという問題点があった。

【００１０】また、図７に示したものは、化粧料を収納
するための内容器が、底面が平坦なほぼ円筒形状に形成
されているので、上記のような問題点は解消されるもの
の、今度は、屈曲した側壁が邪魔となり、網を完全に内
容器の底面に近づけることができないので、収納された
化粧料を完全に取り出すことができず、底部側に残ると
いう問題点があった。

【００１１】本発明は、上記従来の化粧料収納容器が有
していた問題点の解決を課題とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明のうち、請求項１記載の発明は、外容器に
設けられた凹所内に、上面がネットで覆われた中皿容器
が脱落不可に装着され、このネットを透過させて中皿容
器内に収納された化粧料を取り出すようにした化粧料収
納容器において、上記中皿容器を、弾性を有する合成樹
脂材で、平坦な円板状で周縁が下方に間隙を有する薄肉
部とされた底部と、この薄肉部に連続した断面略くの字
形の周壁部と、周壁部の上端の外側に連設された周縁部
とからなる有底略円筒形に形成し、上面を覆ったネット
がパフで押圧されることにより、上記周壁が上下方向に
重なり合うように折り畳まれると共に、この周壁に連続
した底部周縁の薄肉部が外下り方向に屈曲され、周壁が
底部の周縁下方の間隙に没入するようにしたことを特徴
とする。

【００１３】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明の構成に、中皿容器の周壁部の外側の下面と、この中
皿容器が収納された外容器の凹所底面との間の寸法が、
中皿容器に収納された化粧料の厚みと同等か、あるいは
この厚みよりも大きいという限定条件を加えたことを特
徴とする。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示した実施の形
態に基づき詳細に説明する。

【００１５】図１は、本発明に係る化粧料収納容器の平
面図、図２は、その半断面図である。図示したように、
本発明の化粧料収納容器１は、凹所２ａが設けられた外
容器２と、この凹所２ａ内に装着された弾性変形可能な
中皿容器５と、周囲が枠体４で保持され、前記中皿容器
５の上面を覆ったネット３と、上記枠体４を中皿容器５
に固定するリング状の係止部材６とからなる。

【００１６】外容器２は、凹所２ａを設けた有底円筒形
に合成樹脂で形成されたものであり、この外容器２に、
あるいは、この外容器２を収納するために別途、設けら
れたコンパクト容器などの化粧外容器（図示せず）に、
図示しない蓋体が、嵌合あるいは螺合することにより、
凹所２ａの上面が塞がれるようになっている。

【００１７】本発明が要部とする中皿容器５は、弾性を
有する合成樹脂材で、上面が開放された略円筒形に形成
されたものであり、周縁が薄肉部５ｆとされた平坦な円
板状の底部５ａと、この底部５ａの周囲に連設された周
壁部５ｂと、周壁部５ｂの上端に設けられた周縁部５ｃ
とからなる。

【００１８】上記底部５ａは、図３の拡大断面図に示す
ように、周縁部分を除いて裏面にリブ５ｄを有する厚肉
に形成されており、周縁部分には、底部５ａの表面に連
続するように、その外方にフランジ状の薄肉部５ｆを突
出させたものである。したがって、この薄肉部５ｆの下
方には、底部５ａの中心側の厚さとの差による間隙が形
成されることとなる。

【００１９】周壁部５ｂは、上記底部５ａの薄肉部５ｆ
の先端（外周端）に連続するように、その上側に同じく
薄肉で形成されたものであり、この周壁部５ｂは、その
中程において内方に略くの字形に屈曲している。

【００２０】周縁部５ｃは、周壁部５ｂの上端からその
外周方向に連続するように設けられたリング状のもので
ある。

【００２１】そして、上記の構成を有する中皿容器５に
は、パウダー状の粉末化粧料、あるいはペースト状ファ
ンデーションやクリーム状クレンシングなどの粘稠性を
有する液体化粧料などの化粧料７が収納されるようにな
っている。

【００２２】なお、上記の弾性を有する合成樹脂材とし
ては、例えば、シリコン系、ウレタン系、スチレン系、
ポリエステル系などのエラストマーがある。

【００２３】ネット３は、ポリエステル、ナイロン、テ
トロン、絹などで形成されたものであり、使用する化粧
料の種類に応じて適宜、網目のものが選択され、使用さ
れる。このネット３は、枠体４の内周に張設されてお
り、枠体４は、下端内周に突条４ａを設けた断面略Ｌ字
形のリング状のものである。

【００２４】なお、このネット３の枠体４への取り付け
は、枠体４を製造する際にインサート成形により、ネッ
ト３の周縁を枠体４の合成樹脂中に一体的に埋設した
り、あるいは枠体４を成形した後、その上面にネット３
の周縁を熱融着したり、接着したりすることによりなさ
れる。

【００２５】なお、図３において符号６は、外径が枠体
４の内周とほぼ等しい寸法に形成されたリング状の係止
部材、５ｅは、中皿容器５の外周所定位置に突設された
突条を示す。

【００２６】上記の部材で構成される本発明の化粧料収
納容器１は、まず化粧料７を充填した中皿容器５上に、
内周にネット３が張設された枠体４を被せ、その下側か
ら係止部材６を上記枠体４の内側に押し込むと、この係
止部材６は、枠体４の下端内周に設けられた突条４ａ
と、中皿容器５の外周に設けられた突条５ｅを乗り越
え、枠体４との環で中皿容器５の周縁部５ｃを挟み込ん
だ状態で、枠体４と嵌合する。よって、ネット３を張設
した枠体４が中皿容器５上に固定され、ネット３が化粧
料７の表面を覆うように取り付けられる。

【００２７】次に、この中皿容器５を外容器２の凹所２
ａ内に入れ、その裏面を接着剤や両面粘着テープなどで
凹所２ａの底面に固定する。このことで、中皿容器５
は、外容器２の凹所２ａ内に脱落不可に取り付けられ、
その周壁５ｂが弾性変形し得るように、この凹所２ａ内
に保持される。

【００２８】以上のようにして本発明の化粧料収納容器
１は、組み立てられ、その上面を覆うように図示しない
蓋体が、外容器２に、あるいは、外容器２が収納される
コンパクト容器などの化粧外容器（図示せず）に取り付
けられるようになっている。なお、この蓋体と化粧料収
納容器１との間、あるいは化粧外容器が用いられた際に
は、化粧料収納容器１の側方に、化粧具であるパフ（図
４において符号８で示す）が設けられ、収納されるよう
になっている。

【００２９】そして、使用する際には、図示しない蓋体
を開放して収納されていたパフ８を取り出し、このパフ
８でネット３上を拭えば良く、このことで中皿容器５内
に収納されていた化粧料７がネット３の網目を通して上
側に滲み出し、パフ８に付着して外部に取り出されるも
のである。

【００３０】そして、使用に伴って中皿容器５内に収納
された化粧料７が減少してくると、パフ８の押圧力によ
り、薄肉で断面略く字形に内方に屈曲するように形成さ
れた中皿容器５の周壁部５ｂが、上下方向に重なり合う
ように変形して折り畳まれ、かつ、この周壁部５ｂが連
続した底部５ａ周縁の薄肉部５ｆが外下がり方向に変形
し、このことで周壁部５ｂは、図４に示すように、底部
５ａの周縁の下方に形成されていた間隙内に没入するこ
ととなる。よって、ネット３は、この周壁部５ｂで妨げ
られることなく、中皿容器５の底部５ａ側に移動し、ネ
ット３に接したパフ８の表面には、上記と同様にしてネ
ット３の網目を通して滲み出した化粧料７が付着するも
のである。

【００３１】また、この時、本発明の化粧料収納容器１
では、化粧料７を収納した中皿容器５の底部５ａは、平
坦に形成され、かつ、この中皿容器５の上面を覆ったネ
ット３は、中皿容器５の周壁部５ｂが変形することによ
り、ほぼ水平を保ったまま下降するようになっているの
で、ネット３の下側には、化粧料７が均等な厚さで存在
し、ネット３は、この化粧料７の表面に均等に接する。
よって、パフ８への化粧料７の付着が常に安定して確実
になされるものである。

【００３２】なお、パフ８による押圧力が作用しない間
は、化粧料７は、その表面を覆ったネット３の網目を通
過することができず、外部に漏れることはない。

【００３３】以上のようにして本発明の化粧料収納容器
１は、使用されるものである。

【００３４】なお、図示した実施の形態では、リング状
の係止部材６を用いて中皿容器５上にネット３の枠体４
を固定した例を示したが、本発明の化粧料収納容器１で
は、ネット３を保持した枠体４が中皿容器５の上側に密
着して取り付けられれば良く、その取付方は、図示した
例に限定されるものではない。また、この枠体４が位置
した周縁部分の厚さを薄くすれば、それだけネット３の
下降ストロークを稼げることとなり、例えば、この部分
の厚さを中皿容器５の底部５ａの厚さと同等か、それよ
りも薄く、つまり、中皿容器５の周壁部５ｂの外側の下
面と外容器２の凹所２ａ底面との間の寸法を、中皿容器
５に収納された化粧料７の厚みと同等か、それよりも大
きくすれば、ネット３を中皿容器５の底面に密着する位
置まで下降させることが可能となり、収納された化粧料
７を無駄なく最後まで使い切ることができる。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち、請
求項１記載の発明は、外容器内に収納される中皿容器
を、周壁部が変形することにより、化粧料の取り出しが
可能なようにネットが化粧料に接触するようにしたの
で、その底面を平坦にすることができると共に、底の径
と上部の径を等しくすることができ、無駄なスペースが
少なくなり、化粧料の収納量を増加させることができる
と共に、中皿容器と外容器との接合も容易かつ確実にな
る。さらに、ネットの昇降移動が円滑かつ確実で、ネッ
トが化粧料に均等に接することから取扱性が良く、化粧
料の取り出しも容易かつ確実に行えることとなる。

【００３６】請求項２記載の発明は、中皿容器の周壁部
の外側の下面と外容器の凹所底面との間の寸法を、中皿
容器に収納された化粧料の厚みと同等か、それよりも大
きくなるようにしたので、中皿容器の上面に張設された
ネットを中皿容器の底面に密着する位置まで下降させる
ことが可能となり、このことで、化粧料を無駄なく最後
まで使い切ることが可能になるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る化粧料収納容器の実施形態を示し
た平面図である。

【図２】図１に示した化粧料収納容器の半断面図であ
る。

【図３】図２の要部拡大図である。

【図４】図１に示した化粧料収納容器の使用状態の半断
面図である。

【図５】化粧料収納容器の従来例を示した断面図であ
る。

【図６】図５に示した化粧料収納容器の使用状態の断面
図である。

【図７】化粧料収納容器の他の従来例を示した断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 化粧料収納容器 ２ 外容器 ２ａ 凹所 ３ ネット ４ 枠体 ４ａ 突条 ５ 中皿容器 ５ａ 底部 ５ｂ 周壁部 ５ｃ 周縁部 ５ｄ リブ ５ｅ 突条 ５ｆ 薄肉部 ６ 係止部材 ７ 化粧料

フロントページの続き (72)発明者 山根 邦夫 奈良県大和郡山市額田部南町382−３ 釜 屋化学工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外容器に設けられた凹所内に、上面がネ
   ットで覆われた中皿容器が脱落不可に装着され、このネ
   ットを透過させて中皿容器内に収納された化粧料を取り
   出すようにした化粧料収納容器において、 上記中皿容器が、弾性を有する合成樹脂材で、平坦な円
   板状で周縁が下方に間隙を有する薄肉部とされた底部
   と、この薄肉部に連続した断面略くの字形の周壁部と、
   周壁部の上端の外側に連設された周縁部とからなる有底
   略円筒形に形成され、上面を覆ったネットがパフで押圧
   されることにより、上記周壁が上下方向に重なり合うよ
   うに折り畳まれると共に、この周壁に連続した底部周縁
   の薄肉部が外下り方向に屈曲され、周壁が底部の周縁下
   方の間隙に没入するようになされたことを特徴とする化
   粧料収納容器。
2. 【請求項２】 中皿容器の周壁部の外側の下面と、この
   中皿容器が収納された外容器の凹所底面との間の寸法
   が、中皿容器に収納された化粧料の厚みと同等か、ある
   いはこの厚みよりも大きいことを特徴とする請求項１記
   載の化粧料収納容器。