JP2003093044A - 培養容器の包装方法及び使用方法 - Google Patents

培養容器の包装方法及び使用方法

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JP2003093044A
JP2003093044A JP2001288811A JP2001288811A JP2003093044A JP 2003093044 A JP2003093044 A JP 2003093044A JP 2001288811 A JP2001288811 A JP 2001288811A JP 2001288811 A JP2001288811 A JP 2001288811A JP 2003093044 A JP2003093044 A JP 2003093044A
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cells
well
culture container
freezing
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Kanehisa Yokoyama
兼久 横山
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のウェルを有する培養容器の培養面上に
細胞を培養用培養液とともに凍結した培養容器の、細胞
の生存を保ちかつ菌のコンタミの危険性がない解凍を可
能とする。 【解決手段】 底面を断熱材で覆い、水を透さない袋の
中に納めた包装形態で、空気中または水中に放置し加熱
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は凍結保護剤を含有す
る凍結用培養液と共に凍結されている細胞が付与された
培養容器の包装方法及び使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】動物細胞は一般に−80℃以下のディー
プフリーザーや液体窒素中に凍結された状態で保存され
ている。動物細胞の凍結保存の形態は一般的にはアンプ
ルや凍結保存用のチューブに凍結用培養液とともに細胞
浮遊液の状態で凍結されている。このように凍結され保
存されている動物細胞は、必要なときに解凍されて再び
培養される。細胞の解凍において重要なことはいかにし
て高い細胞生存率を維持して解凍できるかである。
【0003】従来より細胞の解凍においては、速やかに
解凍することが必要であり、そうすることで細胞の生存
率を高くすることができると言われていた。また、温度
を高く上げすぎると細胞が死んだり、ヒートショックプ
ロテインの発現のような細胞のストレス応答を惹起する
ことになるため、一般的には37℃の温水中に浸漬し解
凍する方法がとられていた。動物細胞の凍結保存の形態
は一般的にはアンプルや凍結用チューブの場合が多く密
閉状態を保つことができる構造であり、温水へ浸漬して
も容器中へ菌が混入する危険性は少なく、解凍作業は比
較的に容易に行なわれていた。
【0004】最近になって、特公平5−77389号公
報に開示されているように培養用容器に培養凍結培養液
と共に動物細胞が凍結され保存されている細胞付の培養
容器が提唱されている。動物細胞の場合、菌の培養に比
較し細胞の増殖が遅く、目的の実験に用いることができ
るまでに細胞の準備に多大の時間と労力を要するため、
培養容器中に所定の数の動物細胞が培養されており、解
凍するだけで細胞の播種をすることなく、実験に使用で
きる細胞付の培養容器は非常に魅力的である。
【0005】中でも、増殖に培養表面への接着を必要と
する足場依存性動物細胞においては、接着してから増殖
できる状態になるまで、より細胞播種後時間が必要なこ
とから、培養容器の培養面に動物細胞が接着した状態で
凍結保存されていることは有益なことである。さらに、
上記のような培養された状態で凍結されている動物細胞
が工業的に供給されることは、実験者の細胞調製のため
に費す時間と費用を節約できることから望まれるところ
である。しかしながら実際には実現は難しく、最もメリ
ットが大きいと思われる96ウェルプレートの場合にお
いて特に実現が困難であった。その理由の一つには培養
容器の解凍の問題であった。
【0006】培養容器中に動物細胞が培養されている状
態で凍結されている場合、フラスコのような密閉するこ
とができる培養容器であれば、温水へ浸漬し解凍するこ
とは容易であるが、シャーレや複数のウェルを有するプ
レートの形態の場合は密閉できる構造ではないため、そ
のまま温水中に浸漬すると温水が培養器内に容易に浸入
する可能性が高く、菌が混入する可能性が高い。このた
め、シャーレや複数のウェルを有するプレートにの場
合、温水中に浸漬する方法での細胞の解凍は、実験者の
不必要な精神的不安を惹起することにもなる。
【0007】前記の特公平5−77389号公報では3
7℃インキュベーター中にただ放置し解凍する方法がシ
ャーレを用いた場合において開示されており、シャーレ
においては、細胞の生存を確保した解凍ができている。
しかし、この解凍方法を複数のウェルを有するプレー
ト、特に96ウェルプレーとに適用しようとすると、イ
ンキュベーター中にただ放置する加温方法では、プレー
ト内の動物細胞を生存した状態で解凍することは難し
く、動物細胞は殆ど死滅してしまう。
【0008】96ウェルプレートのような多数のウェル
を有するプレートの加温方法としては、アルミブロック
を加温してチューブ等を加温する方法が広く普及してい
る。PCR(polymerase chain reaction)法に用いられて
いるプレートは、アルミブロックの凹みにウェル部を納
め加温するという方式がとられる。この時用いられるプ
レートはウェルの肉厚が薄く、ウェル形状は底部が丸く
なって且つ傾斜がついておりアルミブロックとチューブ
が密着できるようになっているため、効率良く加温でき
る。
【0009】しかし、培養に用いられるプレートのウェ
ルの形状は、まずウェルの肉厚が厚く、ウェル間の距離
も取られておらず、上記のように各ウェルをアルミブロ
ックの凹みに納めることはできない。専用に肉薄でウェ
ル間の距離を十分にとり凹みにウェルを納めることがで
きるプレートを特別に製作したとしても、培養面に均一
に細胞が培養される必要から底部は平面とする必要があ
り、かつ、培養面を広くとる必要性からウェルの側壁は
ほとんど傾斜をとることができず、したがってアルミブ
ロックと培養用容器の外壁を密着させることは困難であ
り、空気層が隔たりとなって加温効率を下げることにな
り、アルミブロックによる加温方法を96ウェルプレー
トのような多数のウェルを有する培養器の解凍に展開す
るのは困難であった。
【0010】以上のように、上記特公平5−77389
号公報に開示されているような培養用容器に培養凍結培
地と共に動物細胞が凍結され保存されている細胞培養器
を96ウェルプレートのような多数のウェルをもった培
養器へ応用展開しようとしても、解凍方法が無く、実現
は難しかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、96
ウェルプレートのような複数のウェルを有する培養容器
でも、培養面上に動物細胞を凍結用培養液とともに凍結
した際に、凍結細胞の生存を保った、菌のコンタミの危
険性がない解凍を可能とする、細胞培養容器の包装方法
と使用方法に関するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記のような
問題点を解決するため鋭意検討し、解凍の過程において
培養面付近が最後に解凍されれば、動物細胞の生存を保
った解凍が出来ることを見出し、本発明を完成するに至
った。即ち本発明は、(1)凍結保護剤を含有する凍結
用培養液とともに培養面に存在する動物細胞が凍結され
ている培養容器の包装方法において、断熱材が培養容器
の底面のみを覆うかたちで固定されて包装されているこ
とを特徴とする培養容器の包装方法、(2)培養容器は
本体と蓋から構成され、本体と蓋の間に熱伝導性を有す
るシートを設けた(1)記載の培養容器の包装方法、
(3)(1)又は(2)記載の包装方法で包装した状態
の培養容器を1〜37℃の雰囲気下で放置し、凍結用培
養液および細胞を解凍することを特徴とする培養容器の
使用方法、(4)放置が空気中または水中で行なわれる
(3)記載の培養容器の使用方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の解凍の対象となる培養器の形態について
特に指定はなく、フラスコ、シャーレ複数のウェルを有
するマルチウェルプレート等、容器形状をなす培養容器
であればよいが、本発明において特に効果があるのは、
複数のウェルを有するプレートであり、特に96ウェル
プレートである。
【0014】本発明は、従来のアンプルやチューブ中に
浮遊した状態で細胞が凍結されている場合の解凍とは異
なり、ウェル底面および底面付近に細胞の存在箇所が限
定されている場合において、ウェル底面付近を最後に解
凍するようにすれば、ウェル内全体が解凍し終わるまで
に若干時間を要しても、解凍時細胞性を確保できるこ
と、およびこのような解凍は培養容器の包装方法により
達成できるという知見を得たことに基づくものである。
【0015】本発明の包装方法は、特公平5−7738
9号に開示されているように培養容器底面に細胞が存在
するかたちで凍結用培地とともに凍結する場合、特開平
6−209767号公報に開示されているように不織布
内に細胞を存在させ、その不織布を培養容器底面に存在
させるかたちで凍結用培地とともに凍結保存された場合
に適用する。
【0016】始めに、本発明の包装方法について記載す
る。図1は本発明を96ウェルプレートに展開した際の
1実施形態の断面図である。プレート底面(2)に断熱
性シート(6)を密着させ固定する。固定の方法は粘着
剤で粘着させても、次に述べる袋(7)の大きさを工夫
して行なっても良い。断熱性シートとしては、発泡スチ
ロールのシートに代表されるように、発泡体のシートが
安価で扱いやすい。厚さは2〜5mm程度が好適であ
り、2mm未満では断熱材の断熱性にもよるが、解凍に
おいて底面部分を最後に解凍するという目的を達成する
には不十分であり、5mmを越えるとそれ以上の効果は
得られず、ただ保存スペースを大きくするだけである。
【0017】袋(7)も培養容器の解凍の際、重要であ
る。材質として水不透過の袋を用いる。具体的にはポリ
エチレン製の袋で十分である。水不透過性の袋を用いな
ければならない理由は、後で使用方法のところで述べる
が、本発明の包装方法を施した培養容器は空気中で放置
又は水中に浸漬して行なわれる、空気中で放置した場
合、水を透過する材質では培養容器外面に霜が付着し、
解凍の際の解凍スピードに影響を与え、またさらには、
解けた霜が結露となりその結露が培養容器内に浸入し菌
のコンタミの要因となる。水に浸漬する場合も袋が水を
透す材質では、水が培養容器の中に浸入し菌のコンタミ
をまねくこととなる。袋(7)は、ヒートシールなどに
より密封されるか、あるいはチャック付のものを使用す
る。チャック付の袋の使用は水に浸漬して解凍する場合
は、チャックの強度がないと加温による中の空気の膨張
によりチャックが開いてしまうことがあるので注意を要
する。
【0018】先に本発明を完成するに至った知見とし
て、培養容器の底面を最後に解凍することを記載した。
一般に市販されている細胞培養用のマルチウェルプレー
トはウェルを有する本体(4)と蓋(5)よりなり、本
体のウェル(1)の開口部と蓋との間には隙間があるこ
とが多く、この隙間の存在により、解凍の際、この隙間
の部分で蓋からの熱伝導が途切れ、ウェルの上がわから
の解凍ができなくなり、ウェルの上側から解凍が始まり
最後にウェル底面部が解凍されるというプロセスの達成
が難しくなる。
【0019】このような、本体と蓋との間に隙間が存在
するマルチウェルプレートにおいては、この隙間を埋め
るために、隙間の厚さ分のシート(8)を導入する。シ
ートとしては、熱伝導性を有していれば特に制限はない
が、プラスチック製のフィルムや、厚めの紙、アルミ
箔、アルミ箔とプラスチックフィルムや紙を張り合わせ
たものなどを用いることができる。
【0020】このシートの導入により、解凍の際、蓋か
らの熱をウェルに伝え、ウェル上側からの解凍が確実に
行なえるようになる。本発明の包装方法は、培養面およ
びまたは培養面近傍に位置する担体上に動物細胞が存在
するかたちで凍結保護剤を含有する凍結用培養液ととも
に凍結する際にも有効である。
【0021】動物細胞の凍結を行なう際は、細胞のダメ
ージを少なくするために緩やかに温度を下げる必要があ
るが、本発明の包装方法ではウェル底面部の断熱材によ
り、緩やかな温度低下が可能となる。特公平5−773
89号公報ではシャーレ等を動物細胞及び培地と共に凍
結する際に、プログラムディープフリーザーを用いて凍
結する方法が記載されているが、本発明では、包装のま
まディープフリーザーに納めて凍結することが可能であ
る。その際凍結する動物細胞によっては、より緩慢な冷
却が必要であり、その際は包装ごと発泡スチロール製の
箱中に納めた後、ディープフリーザー中で凍結すれば良
い。その際複数の培養容器を凍結する場合は、一つの発
泡スチロール製の箱中に納めて凍結することができる。
【0022】次に、本発明の包装方法で包装された、培
養容器の解凍方法について記載する。本発明の包装方法
の目的は、培養面およびまたは培養面近傍に位置する担
体上に動物細胞が存在するかたちで凍結保護剤を含有す
る凍結用培地とともに動物細胞が凍結されている培養容
器の解凍のためになされたものである。
【0023】解凍手順を記載すると、ディープフリーザ
ーから取り出し、実験台の上や培養に用いているインキ
ュベーター中、恒温層中等、空気中に包装ごと放置すれ
ば良い。培養容器中の培地はウェルの上がわから解凍さ
れ、最後に動物細胞の存在する底面部分が解凍される。
放置の際の温度は1〜37℃が好ましく、1℃未満では
解凍が困難となり37℃を越えると細胞にダメージを与
える。
【0024】従来、動物細胞の解凍は急速に行なう必要
があるとされてきたが、上記方法では解凍に時間を要す
るが、解凍時の細胞の生存率は高いまま維持が可能であ
る。上記、空気中に放置する解凍では、1ウェルあたり
100μl培地が充填され−80℃からの解凍で、室温
20℃で約30分、37℃のインキュベーター中で約2
0分である。このように解凍時間は従来考えられている
時間よりもかなり長いが、細胞の生存を保った解凍が可
能である。
【0025】インキュベーターや恒温層を用いないで解
凍する方法としては、包装ごと水中に浸漬させる方法が
ある。その際の水の温度は、上記空気中に放置した場合
と同様1〜37℃の範囲が好ましく、この範囲であれば
上記空気中に放置した場合と同様に、最後に培養面部分
を解凍し、動物細胞の生存を保った解凍が可能である。
【0026】
【実施例】(実施例1)培養容器として細胞培養用96
ウエルプレート(住友ベークライト(株)製品番MS-30
96F)を用い、細胞はHepG2細胞を用いた。培養
液はFBS10%を含有するDMEM培地中を培養用培
養液とし、さらに10%DMSOを添加したものを凍結
用培養液として用いた。HepG2細胞を1×105
/mlの濃度で培養用培養液に分散させた細胞浮遊液を
各ウェルに100μl分注し、二酸化炭素濃度5%、3
7℃の炭酸ガスインキュベーター内で2日間培養を行な
った。
【0027】その後、ウェル内の培養用培養液全量を凍
結用培養液に交換し、培養器本体のウェル開口部に長さ
11.5cm、幅8cm、厚さ1mmの滅菌したろ紙を
のせ、その上から蓋をした。培養容器外側ウェル底面を
長さ12cm、幅9cm、厚さ5mmの発泡ポリエチレ
ンシートで覆い、そのまま滅菌した長さ17cm、幅1
2cmのポリエチレン製チャック付袋に納め、チャック
を閉め包装を完了した。この包装形態のまま、発泡スチ
ロール製の箱の中に納め−80℃のディープフリーザー
中で凍結した。
【0028】凍結後−80℃で7日間保存した。保存の
後、ディープフリーザーから上記包装形態のまま培養容
器を取り出し、培養容器を上記包装形態のまま実験台上
で25℃の室温下30分放置した。培養器ウェル内の凍
結用培養液をディスペンサーを用いて静かに除去し、培
養用培養液を各ウェル100μlずつ静かに分注し、炭
酸ガスインキュベーター中で2時間培養を行なった。そ
の後、細胞の生存率の確認試験に供した。
【0029】(実施例2)実施例1と同じ方法および条件
で細胞播種、培養、凍結および保存を行なった。保存の
後、ディープフリーザーから上記包装形態のまま培養容
器を取り出し、培養容器を上記包装形態のまま、25℃
の水中に浸漬した状態で15分間放置した。解凍後、培
養器ウェル内の凍結用培養液をディスペンサーを用いて
静かに除去し、培養用培養液を各ウェル100μlずつ
静かに分注し、炭酸ガスインキュベーター中で2時間培
養を行なった。その後、細胞の生存率の確認試験に供し
た。
【0030】(実施例3)実施例1と同じ方法および条
件で細胞播種、培養、凍結および保存をおこなった。保
存の後、ディープフリーザーから上記包装形態のまま培
養容器を取り出し、培養容器を上記包装形態のまま、3
7℃の炭酸ガスインキュベーター中で20分間放置し
た。解凍後、培養器ウェル内の凍結用培養液をディスペ
ンサーを用いて静かに除去し、培養用培養液を各ウェル
100μlずつ静かに分注し、炭酸ガスインキュベータ
ー中で2時間培養を行なった。その後、細胞の生存率の
確認試験に供した。
【0031】(実施例4)培養容器として細胞培養用9
6ウエルプレート(住友ベークライト(株)製品番MS-
3096F)を用い、細胞はHepG2細胞を用いた。培
養液はFBS10%を含有するDMEM培地中を培養用
培養液とし、さらに10%DMSOを添加したものを凍
結用培養液として用いた。HepG2細胞を1×105
個/mlの濃度で培養用培養液に分散させた細胞浮遊液
を各ウェルに100μl分注し、二酸化炭素濃度5%、
37℃の炭酸ガスインキュベーター内で2日間培養を行
なった。
【0032】その後、ウェル内の培養用培養液全量を凍
結用培養液に交換し、蓋をしたのち、そのまま滅菌した
長さ17cm、幅12cmのポリエチレン製チャック付
袋に納め、チャックを閉め包装を完了した。この包装形
態のまま、発泡スチロール製の箱の中に納め−80℃の
ディープフリーザー中で凍結した。凍結の後、培養器本
体のウェル開口部に長さ11.5cm、幅8cm、厚さ
1mmの滅菌したろ紙をのせ、その上から蓋をして培養
容器外側ウェル底面を長さ12cm、幅9cm、厚さ5
mmの発泡ポリエチレンシートで覆い、ポリエチレン製
チャック付袋に納め直し、凍結後−80℃で7日間保存
した。
【0033】保存の後、ディープフリーザーから上記包
装形態のまま培養容器を取り出し、培養容器を上記包装
形態のまま実験台上で25℃の室温下30分放置した。
培養器ウェル内の凍結用培養液をディスペンサーを用い
て静かに除去し、培養用培養液を各ウェル100μlず
つ静かに分注し、炭酸ガスインキュベーター中で2時間
培養を行なった。その後、細胞の生存率の確認試験に供
した。
【0034】(実施例5)実施例4と同じ方法および条
件で細胞播種、培養、凍結および保存を行なった。保存
の後、ディープフリーザーから包装形態のまま培養容器
を取り出し、そのまま、25℃の水中に浸漬し、15分
間放置した。解凍後、培養器ウェル内の凍結用培養液を
ディスペンサーを用いて静かに除去し、培養用培養液を
各ウェル100μlずつ静かに分注し、炭酸ガスインキ
ュベーター中で2時間培養を行なった。その後、細胞の
生存率の確認試験に供した。
【0035】(実施例6)実施例4と同じ方法および条
件で細胞播種、培養、凍結および保存を行なった。保存
の後、ディープフリーザーから包装形態のまま培養容器
を取り出し、そのまま、37℃の炭酸ガスインキュベー
ター中で20分間放置した。解凍後、培養器ウェル内の
凍結用培養液をディスペンサーを用いて静かに除去し、
培養用培養液を各ウェル100μlずつ静かに分注し、
炭酸ガスインキュベーター中で2時間培養を行なった。
その後、細胞の生存率の確認試験に供した。
【0036】(比較例1)培養容器として細胞培養用9
6ウエルプレート(住友ベークライト(株)製品番MS-
3096F)を用い、細胞はHepG2細胞を用いた。培
養液はFBS10%を含有するDMEM培地中を培養用
培養液とし、さらに10%DMSOを添加したものを凍
結用培養液として用いた。HepG2細胞を1×105
個/mlの濃度で培養用培養液に分散させた細胞浮遊液
を各ウェルに100μl分注し、二酸化炭素濃度5%、
37℃の炭酸ガスインキュベーター内で2日間培養を行
なった。
【0037】その後、ウェル内の培養用培養液全量を凍
結用培養液に交換し、蓋をしたのち、そのまま滅菌した
長さ17cm、幅12cmのポリエチレン製チャック付
袋に納め、チャックを閉め包装を完了した。この包装形
態のまま、発泡スチロール製の箱の中に納め−80℃の
ディープフリーザー中で凍結した。凍結後−80℃で7
日間保存した。保存の後、ディープフリーザーから上記
包装形態のまま培養容器を取り出し、培養容器を上記包
装形態のまま実験台上で25℃の室温下30分放置し
た。培養器ウェル内の凍結用培養液をディスペンサーを
用いて静かに除去し、培養用培養液を各ウェル100μ
lずつ静かに分注し、炭酸ガスインキュベーター中で2
時間培養を行なった。その後、細胞の生存率の確認試験
に供した。
【0038】(比較例2)比較例1と同じ方法および条件
で細胞播種、培養、凍結および保存を行なった。保存の
後、ディープフリーザーから上記包装形態のまま培養容
器を取り出し、培養容器を上記包装形態のまま、25℃
の水中に浸漬し、15分間放置した。解凍後、培養器ウ
ェル内の凍結用培養液をディスペンサーを用いて静かに
除去し、培養用培養液を各ウェル100μlずつ静かに
分注し、炭酸ガスインキュベーター中で2時間培養を行
なった。その後、細胞の生存率の確認試験に供した。
【0039】(比較例3)比較例1と同じ方法および条
件で細胞播種、培養、凍結および保存を行なった。保存
の後、ディープフリーザーから上記包装形態のまま培養
容器を取り出し、培養容器を上記包装形態のまま、37
℃の炭酸ガスインキュベーター中で20分間放置した。
解凍後、培養器ウェル内の凍結用培養液をディスペンサ
ーを用いて静かに除去し、培養用培養液を各ウェル10
0μlずつ静かに分注し、炭酸ガスインキュベーター中
で2時間培養を行なった。その後、細胞の生存率の確認
試験に供した。
【0040】(比較例4)比較例1と同じ方法および条件
で細胞播種、培養、凍結および保存を行なった。保存の
後、ディープフリーザーから取り出し、さらに包装から
培養容器を取り出し、実験台上で25℃の室温下30分
放置した。培養器ウェル内の凍結用培養液をディスペン
サーを用いて静かに除去し、培養用培養液を各ウェル1
00μlずつ静かに分注し、炭酸ガスインキュベーター
中で2時間培養を行なった。その後、細胞の生存率の確
認試験に供した。解凍後、培養器ウェル内の凍結用培養
液をディスペンサーを用いて静かに除去し、培養用培養
液を各ウェル100μlずつ静かに分注し、炭酸ガスイ
ンキュベーター中で2時間培養を行なった。その後、細
胞の生存率の確認試験に供した。
【0041】(比較例5)比較例1と同じ方法および条
件で細胞播種、培養、凍結および保存を行なった。保存
の後、ディープフリーザーから取り出し、さらに包装か
ら培養容器を取り出し、37℃炭酸ガスインキュベータ
ー中でで25℃の20分間放置した。培養器ウェル内の
凍結用培養液をディスペンサーを用いて静かに除去し、
培養用培養液を各ウェル100μlずつ静かに分注し、
炭酸ガスインキュベーター中で2時間培養を行なった。
その後、細胞の生存率の確認試験に供した。解凍後、培
養器ウェル内の凍結用培養液をディスペンサーを用いて
静かに除去し、培養用培養液を各ウェル100μlずつ
静かに分注し、炭酸ガスインキュベーター中で2時間培
養を行なった。その後、細胞の生存率の確認試験に供し
た。
【0042】(比較例6)比較例1と同じ方法および条
件で細胞播種、培養、凍結および保存を行なった。保存
の後、ディープフリーザーから取り出し、さらに包装か
ら培養容器を取り出し、37℃温水中に培養器底面から
5mmを浸漬し5分間放置した。培養器ウェル内の凍結
用培養液をディスペンサーを用いて静かに除去し、培養
用培養液を各ウェル100μlずつ静かに分注し、炭酸
ガスインキュベーター中で2時間培養を行なった。その
後、細胞の生存率の確認試験に供した。解凍後、培養器
ウェル内の凍結用培養液をディスペンサーを用いて静か
に除去し、培養用培養液を各ウェル100μlずつ静か
に分注し、炭酸ガスインキュベーター中で2時間培養を
行なった。その後、細胞の生存率の確認試験に供した。
【0043】(比較例7)実施例1と同じ条件で細胞を
播種し凍結前まで培養を行い、細胞の生存率の確認試験
時のコントロールとして供した。
【0044】(細胞解凍時の細胞生存率)実施例1〜
6、比較例1〜6について、WST-8(同仁)を各ウエル
に10μl加え、生細胞数に応じて生成されるホルマザ
ン量をプレートリーダーにより、波長450nmでの吸光
度を測定した。各ウェルの吸光度の平均をAとし、比較
例7について同様にして吸光度を測定し、各ウェルの吸
光度の平均をBとし、計算式A/B×100(%)によ
り細胞の生存率とした算出した。各実施例および比較例
での細胞の生存率の平均を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の細胞培養容器の包装方法および
使用方法に従って、細胞が培養容器に凍結用培養液とと
もの凍結された培養容器の解凍を行なうと、96ウェル
プレートのような複数のウェルを有する培養容器でも、
凍結細胞の生存を保った解凍が可能となり、解凍の際の
菌のコンタミの危険性が低く、細胞が培養容器に凍結用
培養液とともの凍結された培養容器の包装方法および使
用方法として有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】96ウェルプレートに展開した際の本発明の1
実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 ウェル 2 ウェル底面 3 培地 4 本体 5 蓋 6 断熱性シート 7 袋 8 シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:91) Fターム(参考) 3E067 AA11 AB99 BA12A BB15A BB17A CA18 EA25 ED04 FA02 FC01 GA01 GA14 GD06 GD10 4B029 AA08 AA27 BB11 GA03 GA06 GB09 GB10 4B065 AA90X BB40 BD09 BD12 BD50 CA60

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凍結保護剤を含有する凍結用培養液とと
    もに培養面に存在する動物細胞が凍結されている培養容
    器の包装方法において、断熱材が培養容器の底面のみを
    覆うかたちで固定されて包装されていることを特徴とす
    る培養容器の包装方法。
  2. 【請求項2】 培養容器は本体と蓋から構成され、本体
    と蓋の間に熱伝導性を有するシートを設けた請求項1記
    載の培養容器の包装方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の包装方法で包装し
    た状態の培養容器を1〜37℃の雰囲気下で放置し、凍
    結用培養液および細胞を解凍することを特徴とする培養
    容器の使用方法。
  4. 【請求項4】 放置が空気中または水中で行なわれる請
    求項3記載の培養容器の使用方法。
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