JP2003089930A - 微細炭素繊維混合物及びそれを含む組成物 - Google Patents
微細炭素繊維混合物及びそれを含む組成物Info
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Abstract
スペクト比を有し、摺動性、導電性、熱伝導性等の特性
に優れた微細炭素繊維を量産規模で得ること。 【解決手段】 気相法で製造された炭素繊維混合物であ
って、筒状の炭素層が重なり合い多層構造をなし、その
中心軸が空洞構造であり、外径1〜500nm、アスペ
クト比10〜15000の微細炭素繊維と、片状、粒子
状、シート状などの非繊維状炭素との混合物である。粒
子状炭素が中空構造であるか、または内部に金属あるい
は金属化合物を含んでよい。微細炭素繊維と非繊維状炭
素との質量比が10:90〜95:5の範囲内である。
Description
ト状などの非繊維状炭素を含む微細炭素繊維混合物に係
り、特に導電性、熱伝導性、摺動性に優れた微細炭素繊
維、及びそれを含む樹脂又はゴム組成物に関する。
導電性等の優れた特性から各種の複合材料に使用されて
いる。従来から応用されてきた優れた機械的特性ばかり
でなく、炭素繊維あるいは炭素材料に備わった導電性を
生かし、近年のエレクトロニクス技術の発展に伴い、電
磁波シールド材、静電防止材用の導電性樹脂フィラーと
して、あるいは樹脂への静電塗装のためのフィラーとし
ての用途が期待されてきている。また、炭素材料として
の化学的安定性、熱的安定性と微細構造との特徴を生か
し、フラットディスプレー等の電界電子放出材料として
の用途が期待されている。さらに磨耗性が高い導電性材
料として電気ブラシ、可変抵抗器などの用途にも期待さ
れている。
ロース等の繊維を熱処理し炭化することにより製造する
いわゆる有機系カーボンファイバーとして生産されてい
る。これらを繊維強化複合材のフィラーとして用いる場
合、母材との接触面積を大きくするために、径を細くす
ること、長さを長くすること等が補強効果を上げるため
に望ましい。また、母材との接着性を改善するために
は、炭素繊維の表面が滑らかでなく、ある程度荒れてい
る方が好ましく、このために空気中で高温に晒し酸化さ
せたり、表面にコーティングを施こしたり等の表面処理
が行なわれている。
なる有機繊維の糸径が5〜10μm程度であり、径の小
さい、炭素繊維の製造は不可能であった。また、径に対
する長さの比(アスペクト比)に限界があり、細くてア
スペクト比の大きい炭素繊維が要望されていた。
るいは電子機器への樹脂・ゴム等の使用に関しては、金
属並の導電性を要求され、これに伴い、フィラー材とし
ての炭素繊維もこれら各種導電性塗料、導電性樹脂など
の要求を満たすために導電性を上げる必要が出てきた。
そのための手段として、黒鉛化することでこれら特性を
向上させる必要があり、このために更に高温での黒鉛化
処理が行なわれるのが通例である。しかし、この黒鉛化
処理によっても金属並の導電性は得られず、これを補う
ために配合量を多くすると加工性や機械的特性が低下す
るという問題が生じ、繊維自体の更なる導電性の改良、
繊維の細径化による強度の向上等が必要とされてきた。
系繊維と製法を全く異にするものとして、気相法炭素繊
維(Vapor Grown Carbon Fibe
r;以下VGCFと略す。)が研究されるようになっ
た。このVGCFは、炭化水素等のガスを有機遷移金属
系触媒の存在下で気相熱分解することによって直径1μ
m以下、数100nmまでの炭素繊維が得られることが
知られている。
とし、触媒としてのフェロセン等の有機遷移金属化合物
をキャリアーガスとともに高温の反応炉に導入し、基盤
上に生成させる方法(特開昭60−27700号公
報)、浮遊状態でVGCFを生成させる方法(特開昭6
0−54998号公報)、あるいは反応炉壁に成長させ
る方法(特許2778434号)等が開示されている。
に優れ、アスペクト比の大きいフィラー材に適した炭素
繊維が得られるようになり、100〜200nm程度の
径で、アスペクト比10〜500程度のものが量産化さ
れ、導電性フィラー材として樹脂用フィラーや鉛蓄電池
の添加材等に使用されるようになった。
があり、炭素六角網面の結晶が年輪状に円筒形に巻かれ
積層した構造を示し、その中心部には極めて細い空洞部
を有する繊維である。
維として、飯島らによりヘリウムガス中でアーク放電に
より炭素電極を蒸発させた煤の中から、多層カーボンナ
ノチューブが発見された。この多層カーボンナノチュー
ブの直径は、1nm〜30nmであり、VGCFと同様
に炭素六角網面の結晶が繊維の軸を中心に年輪状に幾重
にも重なり円筒状に閉じられており、その中心部に空洞
径を有する微細炭素繊維である。
は、その製法から量産には向かず実用化には至っていな
い。
ト比、高導電性の可能性があり、この方法を改良し、よ
り細い炭素繊維を製造しようとする試みがなされてい
る。米国特許第4663230号、特公平3−6460
6号公報では、約3.5〜70nmの径でアスペクト比
100以上の黒鉛質からなる円柱状の炭素フィブリルが
開示されている。その構造は、規則的に配列した炭素原
子の連続層が多層にわたり円柱軸に対し同心的に配列さ
れ、炭素原子の各層のC軸がフィブリルの円柱軸に実質
的に直交しており、全体に熱分解により析出する熱炭素
被膜を含まず、滑らかな表面を持っているものである。
は、10〜500nmでアスペクト比2〜30000の
気相法による炭素繊維が紹介されており、熱分解炭素層
の厚みが直径の20%以下であることが記されている。
維においても、摺動電気接点(電気ブラシ、可変抵抗器
など)などの摩擦、放熱などの関係する導電性材料とし
て用いる場合にはさらに高い摺動性、導電性、熱伝導性
を持つものが望まれる。
00nm以下の径と10〜15000のアスペクト比を
有し、摺動性、導電性、熱伝導性等の特性に優れた微細
な炭素繊維を量産規模で得ることが目的である。
するために下記を提供するものである。 (1)気相法で製造された微細炭素繊維混合物であっ
て、筒状の炭素層が重なり合い多層構造をなし、その中
心軸が空洞構造であり、外径1〜500nm、アスペク
ト比10〜15000の微細炭素繊維と、片状、粒子
状、シート状などの非繊維状炭素との混合物であること
を特徴とする微細炭素繊維混合物。
を含む(1)に記載の微細炭素繊維混合物。 (3)粒子状炭素が中空構造であるか、または内部に金
属あるいは金属化合物を含んでいる(1)(2)に記載
の微細炭素繊維混合物。 (4)微細炭素繊維と非繊維状炭素との質量比が10:
90〜95:5の範囲内である(1)〜(3)に記載の
微細炭素繊維混合物。 (5)(1)〜(4)に記載の微細炭素繊維混合物を樹
脂またはゴムに含んだ組成物。
する。本発明は、導電性の良い、外径500nm以下の
微細な炭素繊維を得るために、気相法で製造する微細な
炭素繊維(VGCF)の製造条件をいろいろの変えて検
討を進める中で、或る製造条件下で、従来知られていな
い、微細炭素繊維と共に非繊維状炭素を含む微細炭素繊
維混合物が得られ、これが導電性が高く、また摺動性に
も優れ、従ってさらには熱伝導性などにも優れた炭素繊
維材料であることを見出したものである。本発明の微細
炭素繊維混合物は基本的に気相法で微細な炭素繊維(V
GCF)を製造しようとする過程に得られる非繊維状炭
素を含む炭素繊維混合物であると理解される。
する。本発明の微細炭素繊維混合物に含まれる微細炭素
繊維は、従来の微細炭素繊維と同様に繊維径1〜500
nm程度、好ましくは5〜200nm、アスペクト比1
0〜15000、好ましくは10〜10000の微細炭
素繊維を含み、その微細炭素繊維は円筒状の炭素層が重
なり合い多層構造(年輪構造)をなし、その中心軸が空
洞構造のものである。なお、本発明の微細炭素繊維混合
物に含まれる微細炭素繊維は繊維の途中あるいは端部に
瘤状部、さらには繊維の分岐を有するものでもよい。
生成した微細炭素繊維と共に、やはり気相法で同時に生
成した非繊維状の炭素を含むことを特徴とする。非繊維
状の炭素は、気相法で微細炭素繊維を製造する過程で、
製造条件の変更によって、例えば、助触媒としての硫黄
化合物が不足したような場合に、微細炭素繊維が十分に
成長できずに、片状、粒子状、シート状などの非繊維状
の炭素が成長して得られるものであると考えられる。こ
こで片状、粒子状、シート状などの形状は、いずれも非
繊維形状の炭素という意味であり、これらは寸法が繊維
径の0.1倍から500倍程度の大きさを有することが
でき、言うならば、粒子状の場合には比較的等方的で3
次元いずれの方向も繊維径の0.1〜50倍程度の寸法
であり、シート状の場合には2次元方向の寸法が20〜
500倍程度の寸法の薄物であり、片状の場合には2次
元方向の寸法が1〜50倍程度の寸法の薄物である。片
状、シート状の場合はその厚さは透過電子顕微鏡では不
明であるが、繊維径の0.01〜0.5倍程度の薄いも
のであり得るようである。
繊維状炭素は、いずれも気相法で生成するものであるか
ら、表面全体を覆う比較的に整然とした炭素層が観察さ
れ、例えば、炭素繊維の破砕物では破砕面が存在するが
それとは明確に異なる結晶組織を有するものである。ま
たカーボンブラックとは、大きさ、炭素結晶が異なるも
のである。そのほか単なる非晶質炭素とは勿論異なる。
空洞であることができる。これは微細炭素繊維の成長の
過程で変形してできた非繊維状炭素であることの証左で
あると考えられる。また、空洞内には非結晶炭素や、金
属化合物(炭化物などの触媒金属化合物など)などを含
んでいる場合もある。これは微細炭素繊維の成長の過程
でその触媒物質などの存在が非繊維状炭素の生成原因で
あったか、あるいは逆に炭素の成長の異常による非繊維
状炭素の生成の結果として非繊維状炭素内部に触媒物質
などが包摂されたものと考えられる。非繊維状炭素の内
部に触媒物質などが包摂された場合、焼成段階で触媒物
質などは気化して消失する場合もあるが、非繊維状炭素
の内部に完全に包摂されているために消失できないで残
存し易いものと考えられる。
ず、気相から微細繊維の表面を核として炭素が析出して
生成したものと考えられる。また、以上に説明した片
状、粒子状、シート状などの非繊維状炭素は、気相法で
微細炭素繊維を生成する過程において、微細炭素繊維と
併行して生成されるものであり、微細炭素繊維と非繊維
状炭素は独立して存在するが、生成過程あるいは生成後
の条件によっては非繊維状炭素の少なくとも一部が微細
炭素繊維に付着して存在してもよい。
相法による微細炭素繊維の製造では報告されておらず、
新規なものであると考えられる。特に所定量以上に、特
に片状またはシート状の炭素が、同時生成した気相法微
細炭素繊維混合物は新規である。
来の微細炭素繊維に対し非繊維状炭素が存在しているの
で、混合物全体としてみたとき、気相法で製造した微細
炭素繊維だけの場合よりも、電気伝導性、熱伝導性、摺
動性等の特性が向上する効果がある。本発明の微細炭素
繊維混合物は、非繊維状炭素を5質量%以上、さらに5
〜95質量%、好ましくは10〜70質量%、特に10
〜50質量%を含むとその構造の特徴により、上記の効
果がより有効に得られる。
維は、外径が1〜500nmで、アスペクト比10〜1
5000の微細で長い繊維が得られるので、フィラー材
として多量に添加が可能であり補強効果にも優れるもの
である。
するために好適な方法について説明する。本発明のよう
な微細炭素繊維は、一般的には、遷移金属触媒を用いて
有機化合物、特に炭化水素類を熱分解することにより微
細炭素繊維を得ることができる。好ましくは得られる微
細炭素繊維の表面に付着したタールなどを除くために9
00〜1300℃で熱処理をしてから、通常は、それを
更に2000〜3500℃、好ましくは2500〜35
00℃の熱処理を行ってグラファイト化している。
て有機化合物、特に炭化水素類を熱分解することにより
得ることができる。炭素繊維の原料となる有機化合物
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタ
ノール、ナフタレン、フェナントレン、シクロプロパ
ン、シクロペンテン、シクロヘキサン有機化合物や揮発
油、灯油等あるいはCO、天然ガス、メタン、エタン、
エチレン、アセチレン、ブタジエン等のガス及びそれら
の混合物も可能である。中でもベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族化合物が特に好ましい。
属を含むものである。遷移金属としては、周期律表第I
Va,Va,VIa,VIIa,VIII族の金属を含
む有機化合物である。中でもフェロセン、ニッケルセン
等の化合物が好ましい。触媒としての有機遷移金属化合
物の含有量としては、有機化合物の炭素量に対して0.
01〜15.0質量%、好ましくは0.03〜10.0
質量%、好ましくは0.1〜5.0質量%が良い。
系、反応条件のほか、特に有機化合物と触媒となる有機
遷移金属化合物の種類と量、さらには助触媒の種類と量
を或る種の条件などに選択、制御することにより、本発
明の瘤状部を有する微細炭素繊維を得ることができるこ
とが見出された。
化合物の種類として、一般的に、有機化合物としてベン
ゼン、トルエン、アセチレン、エチレン、ブタジエンあ
るいはそれらの混合物から選択したものと、有機遷移金
属化合物としてニッケロセンあるいはフェロセンとを組
み合わせることが好ましく、中でもベンゼンとフェロセ
ンを組合せることが、本発明の目的のためには好適であ
る。
らに助触媒として硫黄化合物を用い、特にその使用量を
従来よりも少なくした場合に、特異的に有利に本発明の
微細炭素繊維混合物を得ることができた。硫黄化合物の
形態は特に制限は無く、炭素源である有機化合物に溶解
するものなら良く、その硫黄化合物としてチオフェンや
各種チオールあるいは、無機硫黄等が用いられる。硫黄
化合物の使用量は硫黄原子を基準にして、有機化合物
(炭化水素などの炭素原料)に対して3〜10質量%、
好ましくは、4〜10質量%、さらに好ましくは4〜8
質量%が良い。硫黄が少ないと、微細炭素繊維の成長が
速く、非繊維状の炭素が得られない。また硫黄が多い
と、微細炭素繊維の成長が遅く、炭素繊維が得られな
い。
媒となる有機遷移金属化合物の種類と量、さらには助触
媒の種類と量などを選択、制御することにより、特定の
組成を有する微細炭素繊維混合物を製造することができ
るということは従来知られておらず、またこの新規な微
細炭素繊維混合物の有用性も知られていなかったもので
あり、本発明によりこの新規な構造の微細炭素繊維混合
物が提供されることは、産業上有用なものである。
はじめとする還元性のガスが使用される。キャリアーガ
スを予め500〜1300℃に加熱しておくことが好ま
しい。加熱する理由は、反応時に触媒の金属の生成と炭
素化合物の熱分解による炭素源の供給を一致させ、反応
を瞬時に起こすようにして、より微細な炭素繊維が得ら
れるようにするためである。キャリアーガスを原料と混
合した際に、キャリアーガスの加熱温度が500℃未満
では、原料の炭素化合物の熱分解が起こりにくく、13
00℃をこえると炭素繊維の径方向の成長が起こり、径
が太くなりやすい。
有機化合物1.0モル部に対し1〜70モル部が適当で
ある。炭素繊維の径は、炭素源とキャリアーガスの比率
を変えることにより、制御することが出来る。原料は、
炭素源の有機化合物に遷移金属化合物及び助触媒の硫黄
化合物を溶解し調整する。そして原料は液体のままキャ
リアーガスで噴霧して反応炉へ供給することも出来る
が、キャリアーガスの一部をパージガスとして気化させ
て反応炉へ供給し反応させることも出来る。繊維径の細
い炭素繊維を得る場合は原料は気化して反応炉へ供給し
た方が好ましい。
反応炉温度は800〜1300℃、好ましくは1000
〜1300℃である。所定の温度に昇温した反応炉へ、
原料液とキャリアーガスあるいは原料を気化させた原料
ガスとキャリアーガスとを供給し、反応させ炭素繊維を
得る。
が熱分解し、有機化合物は炭素源となり、有機遷移金属
化合物は触媒の遷移金属粒子となり、この遷移金属粒子
を核とした微細炭素繊維の生成が行われる。この微細炭
素繊維の生成の過程において、本発明では、反応系の条
件、特に硫黄化合物の量が少ないなどの条件のために、
部分的に微細炭素繊維の成長が阻害され、炭素粒子ある
いは触媒金属を含む粒子の成長が起こり、微細炭素繊維
混合物を得ることが出来る。
ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気化で、900
〜1500℃の熱処理を行う。あるいは、更に2000
〜3500℃の熱処理を行う、あるいは、反応により得
られた状態の微細炭素繊維混合物を不活性ガス雰囲気
化、直接2000〜3500℃の熱処理を行うことが好
ましい。
に、あるいはその微細炭素繊維混合物を不活性ガス雰囲
気下で900〜1500℃の熱処理を行った後に、炭化
ホウ素(B4C)、酸化ホウ素(B2O3)、元素状ホ
ウ素、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸塩等のホウ素化合
物と混合して、更に不活性ガス雰囲気下2000〜35
00℃で熱処理を行ってもよい。ホウ素化合物の添加量
は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依
存するために限定されないが、例えば炭化ホウ素(B4
C)を使用した場合には、微細炭素繊維混合物に対して
0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の
範囲が良い。
径170mm、長さ1500mm)の頂部に、原料気化
器5を通して気化させた原料を供給する原料供給管4
と、キャリアーガス供給配管6を取りつけた。
%、チオフェン5質量%(硫黄原子換算1.9質量%)
溶解したベンゼンを気化させ200℃に保って15g/
分で供給し、キャリアーガスとして水素を用い、180
リットル/分で供給し反応させた。この反応で得られた
微細炭素繊維をAr(アルゴン)雰囲気下1300℃で
熱処理し、更に1300℃処理品をAr雰囲気下280
0℃で熱処理し、熱処理工程における質量回収率90%
で微細炭素繊維混合物を得た。
箇所の透過型電子顕微鏡写真を図2〜図5に示す。図2
〜図5のいずれでも、微細炭素繊維混合物中の微細炭素
繊維は炭素原子からなる筒状の炭素層が重なりあった多
層構造であり、その中心軸が空洞構造である。繊維の外
径は5〜200nmでアスペクト比数2000以上の繊
維であった。
近い形状の炭素粒子が観察され、微細炭素繊維の径は5
〜20nm程度、それに対して炭素粒子の寸法は5〜5
0nm程度である。この粒子状炭素の内部は空洞であ
る。また、この炭素粒子がお互いに互着したり、微細炭
素繊維の表面に付着したりしている。
れるが、粒子の内部に金属あるいは金属化合物が含まれ
ているのが観察される。図4では、微細炭素繊維の間に
炭素シートあるいは被膜が観察される。寸法は100n
m×100nm程度のものから10,000nm×1
0,000nm程度まであるが、広い範囲で微細炭素繊
維間を埋めているが、厚さは不明である。しかし、薄い
ものは微細繊維径より小さい厚さであると考えられる
が、繊維径よりも厚いシートも存在する可能性がある。
また、片状の炭素は炭素結晶が発達しており、その積層
構造が見られる。しかし、シート状はアモルファスであ
り、炭素結晶の発達が少ない。図5では、1300℃処
理後の微細炭素繊維の透過電子顕微鏡写真であるが、多
くの炭素粒子が互着し、凝集しているのが見られる。
加熱炉1(内径170mm、長さ1500mm)の頂部
に、原料気化器5を通して気化させた原料を供給する原
料供給管4と、キャリアーガス供給配管6を取りつけ
た。原料供給管4からは、フェロセン4質量%、チオフ
ェン0.5質量%(硫黄原子換算0.4質量%)溶解し
たトルエンを気化させ200℃に保って15g/分で供
給し、キャリアーガスとして水素を用い、180リット
ル/分で供給し反応させた。
(アルゴン)雰囲気下1300℃で熱処理し、更に13
00℃処理品をAr雰囲気下2800℃で熱処理し、熱
処理工程における質量回収率90%で微細炭素繊維を得
た。透過電子顕微鏡で観察したが、均一な繊維径をも
ち、非繊維状炭素が存在しない以外は実施例の微細炭素
繊維混合物中の微細炭素繊維と同様の微細炭素繊維であ
った。
た微細炭素繊維を用いてポリアセタールとの複合材を調
整し、複合材の摩擦係数及び体積固有抵抗を測定した。
結果を下記表1に示す。
り、微細炭素繊維と共に非繊維状炭素を形成することが
でき、その効果は、樹脂と複合材にしたとき摺動特性な
どに優れた微細炭素繊維混合物を得ることができること
が確認された。
法炭素繊維と異なり、外径が1〜500nmであり、そ
のアスペクト比が10〜15000で、微細炭素繊維と
共に非繊維状炭素を含むことを特徴とする微細炭素繊維
混合物を提供でき、電気摺動材料。電気摩擦材料などの
フィラー材料等として有用である。
図である。
ある。
ある。
ある。
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】 気相法で製造された微細炭素繊維混合物
であって、筒状の炭素層が重なり合い多層構造をなし、
その中心軸が空洞構造であり、外径1〜500nm、ア
スペクト比10〜15000の微細炭素繊維と、片状、
粒子状、シート状の非繊維状炭素との混合物であること
を特徴とする微細炭素繊維混合物。 - 【請求項2】 片状またはシート状の非繊維状炭素を必
須に含む請求項1に記載の微細炭素繊維混合物。 - 【請求項3】 粒子状炭素が中空構造であるか、または
内部に金属あるいは金属化合物を含んでいる請求項1ま
たは2に記載の微細炭素繊維混合物。 - 【請求項4】 微細炭素繊維と非繊維状炭素との質量比
が10:90〜95:5の範囲内である請求項1〜3の
いずれか1項に記載の微細炭素繊維混合物。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の微
細炭素繊維混合物を樹脂またはゴムに含んだことを特徴
とする微細炭素繊維混合物の組成物。
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