JP2003089851A - 高弾性を有する高強度複相ステンレス鋼板およびその製造法 - Google Patents
高弾性を有する高強度複相ステンレス鋼板およびその製造法Info
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- JP2003089851A JP2003089851A JP2001280653A JP2001280653A JP2003089851A JP 2003089851 A JP2003089851 A JP 2003089851A JP 2001280653 A JP2001280653 A JP 2001280653A JP 2001280653 A JP2001280653 A JP 2001280653A JP 2003089851 A JP2003089851 A JP 2003089851A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 鋼板のT方向,L方向ともに200000N/mm2以
上の高い縦弾性係数を有するステンレス鋼板を提供す
る。 【解決手段】 質量%で、C:0.04〜0.15%,Si:2.0
%以下,Mn:2.0%以下,Cr:10.0〜20.0%,Ni:0.
5〜4.0%,Cu:0〜2.0%,N:0.10%以下,Mo:0〜
2.0%,Al:0〜0.05%,Nb:0〜0.50%,V:0〜0.30
%,Ti:0〜0.50%,B:0〜0.015%,Y:0〜0.2%,
REM:0〜0.2%,Ca:0〜0.1%(0%は無添加を意味す
る)で残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板で
あって、フェライト+40〜95体積%マルテンサイトの複
相組織において旧オーステナイト平均粒径が7μm以下で
ある微細複相組織を有する高強度複相ステンレス鋼板。
この鋼板は、フェライト単相組織を呈する冷延率20%以
上の加工鋼板を例えば950〜1100℃の範囲の温度に加熱
し冷却することによって製造できる。
上の高い縦弾性係数を有するステンレス鋼板を提供す
る。 【解決手段】 質量%で、C:0.04〜0.15%,Si:2.0
%以下,Mn:2.0%以下,Cr:10.0〜20.0%,Ni:0.
5〜4.0%,Cu:0〜2.0%,N:0.10%以下,Mo:0〜
2.0%,Al:0〜0.05%,Nb:0〜0.50%,V:0〜0.30
%,Ti:0〜0.50%,B:0〜0.015%,Y:0〜0.2%,
REM:0〜0.2%,Ca:0〜0.1%(0%は無添加を意味す
る)で残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板で
あって、フェライト+40〜95体積%マルテンサイトの複
相組織において旧オーステナイト平均粒径が7μm以下で
ある微細複相組織を有する高強度複相ステンレス鋼板。
この鋼板は、フェライト単相組織を呈する冷延率20%以
上の加工鋼板を例えば950〜1100℃の範囲の温度に加熱
し冷却することによって製造できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度を必要と
し、縦弾性係数(ヤング率)が大きいことが要求される
各種用途、例えば、鉄道車両のマクラハリや横ハリ材,
カーアンテナ,ドクターブレード等の各種ブレード,プ
リンターレールシャフト,ゴルフクラブヘッド部,スプ
リングバックの小さいばね,制振性が要求されるばね,
押しボタンスイッチとしての反発力が要求されるタクト
スイッチ,VTRカセットの押さえばね,ベアリングシ
ール材等に好適に使用できる、高弾性を有する高強度複
相ステンレス鋼板およびその製造法に関するものであ
る。
し、縦弾性係数(ヤング率)が大きいことが要求される
各種用途、例えば、鉄道車両のマクラハリや横ハリ材,
カーアンテナ,ドクターブレード等の各種ブレード,プ
リンターレールシャフト,ゴルフクラブヘッド部,スプ
リングバックの小さいばね,制振性が要求されるばね,
押しボタンスイッチとしての反発力が要求されるタクト
スイッチ,VTRカセットの押さえばね,ベアリングシ
ール材等に好適に使用できる、高弾性を有する高強度複
相ステンレス鋼板およびその製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】金属材料の縦弾性係数を上昇させる手段
としては、理論的には高弾性を有する析出物を析出さ
せ、その体積率に応じて弾性率が向上する現象を利用す
る手法や、単結晶を用いて集合組織を制御する手法等が
ある。しかし、これらを工業的に実用化することはかな
り困難である。
としては、理論的には高弾性を有する析出物を析出さ
せ、その体積率に応じて弾性率が向上する現象を利用す
る手法や、単結晶を用いて集合組織を制御する手法等が
ある。しかし、これらを工業的に実用化することはかな
り困難である。
【0003】一方、工業的手法により縦弾性係数の向上
が図られている鋼種として、SUS301が挙げられる。この
鋼は準安定オーステナイト系ステンレス鋼であり、冷間
圧延による加工誘起マルテンサイト変態を利用して縦弾
性係数を上昇させるものである(日本金属学会誌 第33
巻 第5号 p.511〜515)。しかし、この手法によれば、
冷間圧延方向に対し直角方向(T方向)の縦弾性係数は
大きく向上する反面、冷間圧延方向(L方向)の縦弾性
係数はあまり上昇しないか逆に下がる傾向がある。例え
ばSUS301 3/4H材の縦弾性係数はT方向で200000N/mm2程
度が得られるものの、L方向では170000〜180000N/mm2
程度である。すなわち、準安定オーステナイト系ステン
レス鋼を用いた高弾性化手法では、鋼板内において縦弾
性係数の異方性が大きくなるという欠点があり、必ずし
も安定して高い縦弾性係数が得られていないのが現状で
ある。
が図られている鋼種として、SUS301が挙げられる。この
鋼は準安定オーステナイト系ステンレス鋼であり、冷間
圧延による加工誘起マルテンサイト変態を利用して縦弾
性係数を上昇させるものである(日本金属学会誌 第33
巻 第5号 p.511〜515)。しかし、この手法によれば、
冷間圧延方向に対し直角方向(T方向)の縦弾性係数は
大きく向上する反面、冷間圧延方向(L方向)の縦弾性
係数はあまり上昇しないか逆に下がる傾向がある。例え
ばSUS301 3/4H材の縦弾性係数はT方向で200000N/mm2程
度が得られるものの、L方向では170000〜180000N/mm2
程度である。すなわち、準安定オーステナイト系ステン
レス鋼を用いた高弾性化手法では、鋼板内において縦弾
性係数の異方性が大きくなるという欠点があり、必ずし
も安定して高い縦弾性係数が得られていないのが現状で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記各種用途に用いる
高強度ステンレス鋼板は、鋼板のT方向,L方向ともに
安定して200000N/mm2以上の高い縦弾性係数が得られる
ものであることが望まれる。本発明は、このような高い
縦弾性係数を有し、かつ、その異方性が少ない高強度ス
テンレス鋼板を工業的に安定的に製造し、提供すること
を目的とする。
高強度ステンレス鋼板は、鋼板のT方向,L方向ともに
安定して200000N/mm2以上の高い縦弾性係数が得られる
ものであることが望まれる。本発明は、このような高い
縦弾性係数を有し、かつ、その異方性が少ない高強度ス
テンレス鋼板を工業的に安定的に製造し、提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは種々研究の結
果、異方性の少ない上記のような高弾性ステンレス鋼板
は、加工誘起マルテンサイト+オーステナイトからなる
準安定オーステナイト系ステンレス鋼ではなく、フェラ
イト+マルテンサイトの複相組織を有するステンレス鋼
において実現可能であることを見出した。すなわち、フ
ェライト+マルテンサイト複相組織ステンレス鋼板にお
いて、金属組織を特定の微細構造とすることにより、T
方向,L方向ともに200000N/mm2以上の高い縦弾性係数
を示すものが安定して得られるのである。本発明はこの
ような知見に基づいて完成したものである。
果、異方性の少ない上記のような高弾性ステンレス鋼板
は、加工誘起マルテンサイト+オーステナイトからなる
準安定オーステナイト系ステンレス鋼ではなく、フェラ
イト+マルテンサイトの複相組織を有するステンレス鋼
において実現可能であることを見出した。すなわち、フ
ェライト+マルテンサイト複相組織ステンレス鋼板にお
いて、金属組織を特定の微細構造とすることにより、T
方向,L方向ともに200000N/mm2以上の高い縦弾性係数
を示すものが安定して得られるのである。本発明はこの
ような知見に基づいて完成したものである。
【0006】すなわち、上記目的は、質量%で、C:0.
04〜0.15%,Cr:10.0〜20.0%,Ni:0.5〜4.0%を含
有する鋼板、より好ましくは、C:0.04〜0.15%,S
i:2.0%以下,Mn:2.0%以下,Cr:10.0〜20.0%,
Ni:0.5〜4.0%,Cu:0(無添加)〜2.0%,N:0.10
%以下,Mo:0(無添加)〜2.0%,Al:0(無添加)
〜0.05%,Nb:0(無添加)〜0.50%,V:0(無添
加)〜0.30%,Ti:0(無添加)〜0.50%,B:0(無
添加)〜0.015%,Y:0(無添加)〜0.2%,REM:0
(無添加)〜0.2%,Ca:0(無添加)〜0.1%で残部が
Feおよび不可避的不純物からなる鋼板であって、フェ
ライト+40〜95体積%マルテンサイトの複相組織におい
て旧オーステナイト平均粒径が7μm以下である微細複相
組織を有し、鋼板のT方向およびL方向の縦弾性係数が
ともに200000N/mm2以上である高強度複相ステンレス鋼
板によって達成される。
04〜0.15%,Cr:10.0〜20.0%,Ni:0.5〜4.0%を含
有する鋼板、より好ましくは、C:0.04〜0.15%,S
i:2.0%以下,Mn:2.0%以下,Cr:10.0〜20.0%,
Ni:0.5〜4.0%,Cu:0(無添加)〜2.0%,N:0.10
%以下,Mo:0(無添加)〜2.0%,Al:0(無添加)
〜0.05%,Nb:0(無添加)〜0.50%,V:0(無添
加)〜0.30%,Ti:0(無添加)〜0.50%,B:0(無
添加)〜0.015%,Y:0(無添加)〜0.2%,REM:0
(無添加)〜0.2%,Ca:0(無添加)〜0.1%で残部が
Feおよび不可避的不純物からなる鋼板であって、フェ
ライト+40〜95体積%マルテンサイトの複相組織におい
て旧オーステナイト平均粒径が7μm以下である微細複相
組織を有し、鋼板のT方向およびL方向の縦弾性係数が
ともに200000N/mm2以上である高強度複相ステンレス鋼
板によって達成される。
【0007】ここで、フェライト+40〜95体積%マルテ
ンサイトの複相組織とは、金属組織の素地がフェライト
+40〜95体積%マルテンサイトの2相混合組織であるこ
とを意味し、これら2相以外の相(析出物等)や介在物
が少量(概ね1体積%以下)存在していても構わない。
旧オーステナイト粒径とは、マルテンサイト相が由来す
る高温オーステナイト相の結晶粒径である。旧オーステ
ナイト結晶の粒界はマルテンサイト相とフェライト相の
境界およびマルテンサイト組織の中に残存する。したが
って、例えば電子顕微鏡等による金属組織観察によって
旧オーステナイト平均粒径を特定することができる。鋼
板のT方向とは圧延方向に直角の方向、L方向とは圧延
方向に平行な方向をいう。なお、本明細書において「鋼
板」には「鋼帯」が含まれる。
ンサイトの複相組織とは、金属組織の素地がフェライト
+40〜95体積%マルテンサイトの2相混合組織であるこ
とを意味し、これら2相以外の相(析出物等)や介在物
が少量(概ね1体積%以下)存在していても構わない。
旧オーステナイト粒径とは、マルテンサイト相が由来す
る高温オーステナイト相の結晶粒径である。旧オーステ
ナイト結晶の粒界はマルテンサイト相とフェライト相の
境界およびマルテンサイト組織の中に残存する。したが
って、例えば電子顕微鏡等による金属組織観察によって
旧オーステナイト平均粒径を特定することができる。鋼
板のT方向とは圧延方向に直角の方向、L方向とは圧延
方向に平行な方向をいう。なお、本明細書において「鋼
板」には「鋼帯」が含まれる。
【0008】また本発明では、フェライト単相組織を呈
する鋼板、好ましくは冷延率20%以上の加工鋼板に対
し、40〜95体積%のオーステナイト相が安定に存在する
フェライト+オーステナイト2相共存温度域かつ950〜1
100℃の範囲の温度に加熱して再結晶オーステナイトを
生成させたのち冷却することからなる複相微細化処理を
施すことによって前記高強度複相ステンレス鋼板を製造
する方法を提供する。
する鋼板、好ましくは冷延率20%以上の加工鋼板に対
し、40〜95体積%のオーステナイト相が安定に存在する
フェライト+オーステナイト2相共存温度域かつ950〜1
100℃の範囲の温度に加熱して再結晶オーステナイトを
生成させたのち冷却することからなる複相微細化処理を
施すことによって前記高強度複相ステンレス鋼板を製造
する方法を提供する。
【0009】ここで、フェライト単相組織には、フェラ
イト相以外の相(析出物やマルテンサイト相)や介在物
が少量(概ね1体積%以下)存在するものが含まれる。
冷延率20%以上の加工鋼板とは、冷延率20%以上の加工
を受けたままの鋼板、すなわち、当該冷延後に回復や再
結晶や時効析出が生じる熱履歴を受けていない鋼板をい
う。冷延途中で中間焼鈍を行ったものでは、最後の中間
焼鈍後の冷延率が20%以上であることを意味する。40〜
95体積%のオーステナイト相が安定に存在する温度域と
は、長時間その温度に加熱したとき(すなわち平衡状態
において)、40〜95体積%のオーステナイト相が存在す
る温度範囲をいう。
イト相以外の相(析出物やマルテンサイト相)や介在物
が少量(概ね1体積%以下)存在するものが含まれる。
冷延率20%以上の加工鋼板とは、冷延率20%以上の加工
を受けたままの鋼板、すなわち、当該冷延後に回復や再
結晶や時効析出が生じる熱履歴を受けていない鋼板をい
う。冷延途中で中間焼鈍を行ったものでは、最後の中間
焼鈍後の冷延率が20%以上であることを意味する。40〜
95体積%のオーステナイト相が安定に存在する温度域と
は、長時間その温度に加熱したとき(すなわち平衡状態
において)、40〜95体積%のオーステナイト相が存在す
る温度範囲をいう。
【0010】また本発明では、前記複相微細化処理が、
連続焼鈍炉に被処理鋼板を通板し、加熱温度における均
熱時間を0.1〜10分とする処理である製造法を提供す
る。ここで、加熱温度とは、5体積%以上のフェライト
相が安定に存在するフェライト+オーステナイト2相共
存温度域かつ950〜1100℃の範囲の温度をいい、均熱時
間とは、鋼板の厚さ方向全体が前記加熱温度範囲に保持
される時間をいう。
連続焼鈍炉に被処理鋼板を通板し、加熱温度における均
熱時間を0.1〜10分とする処理である製造法を提供す
る。ここで、加熱温度とは、5体積%以上のフェライト
相が安定に存在するフェライト+オーステナイト2相共
存温度域かつ950〜1100℃の範囲の温度をいい、均熱時
間とは、鋼板の厚さ方向全体が前記加熱温度範囲に保持
される時間をいう。
【0011】さらに本発明では、前記複相微細化処理の
後、30%以下の最終冷間圧延を施すか、または250〜650
℃での時効処理を施す製造法を提供する。また、前記複
相微細化処理の後、80%以下の最終冷間圧延を施し、次
いで250〜650℃での時効処理を施す製造法を提供する。
後、30%以下の最終冷間圧延を施すか、または250〜650
℃での時効処理を施す製造法を提供する。また、前記複
相微細化処理の後、80%以下の最終冷間圧延を施し、次
いで250〜650℃での時効処理を施す製造法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】前述のように、本発明では、フェ
ライト+マルテンサイトの複相組織ステンレス鋼を用い
ることによってT方向およびL方向の縦弾性係数がとも
に200000N/mm 2以上である異方性の少ない高弾性ステン
レス鋼板を実現する。ただし、単に鋼種を複相組織ステ
ンレス鋼とするだけで高弾性材料が得られるわけではな
い。それには工夫が必要である。すなわち、マルテンサ
イト相が40〜95体積%となるように相比を調整し、か
つ、旧オーステナイト平均粒径が7μm以下に微細化した
組織状態を得なければならない。以下、本発明を特定す
るための事項について説明する。
ライト+マルテンサイトの複相組織ステンレス鋼を用い
ることによってT方向およびL方向の縦弾性係数がとも
に200000N/mm 2以上である異方性の少ない高弾性ステン
レス鋼板を実現する。ただし、単に鋼種を複相組織ステ
ンレス鋼とするだけで高弾性材料が得られるわけではな
い。それには工夫が必要である。すなわち、マルテンサ
イト相が40〜95体積%となるように相比を調整し、か
つ、旧オーステナイト平均粒径が7μm以下に微細化した
組織状態を得なければならない。以下、本発明を特定す
るための事項について説明する。
【0013】〔合金元素〕Cは、マルテンサイト相の強
化に極めて有効な元素である。また、Cはオーステナイ
ト形成元素であるため、本発明ではAc1点以上の温度に
おけるオーステナイト生成量の制御、ひいてはマルテン
サイト生成量の制御に欠くことができない元素である。
十分に高強度化を図る上で0.04質量%以上のC含有量が
必要である。しかし、多量のC含有は複相微細化処理後
の冷却過程や時効処理において粒界にCr炭化物の析出
を招き、粒界腐食や疲労の原因となるので、C含有量の
上限は0.15質量%とする。
化に極めて有効な元素である。また、Cはオーステナイ
ト形成元素であるため、本発明ではAc1点以上の温度に
おけるオーステナイト生成量の制御、ひいてはマルテン
サイト生成量の制御に欠くことができない元素である。
十分に高強度化を図る上で0.04質量%以上のC含有量が
必要である。しかし、多量のC含有は複相微細化処理後
の冷却過程や時効処理において粒界にCr炭化物の析出
を招き、粒界腐食や疲労の原因となるので、C含有量の
上限は0.15質量%とする。
【0014】Crは、ステンレス鋼としての耐食性を確
保する上で必須の元素である。前記各種用途に必要な耐
食性を付与するには少なくとも10.0質量%のCr含有を
必要とする。しかし、20.0質量%を超える多量のCr含
有は鋼板の靱性を低下させ好ましくない。また、このよ
うな多量のCr含有は、マルテンサイトを十分に生成さ
せる上でC,N,Ni,Mn,Cu等のオーステナイト形
成元素の添加量増大を余儀なくし、鋼板のコスト増を招
くだけでなく、室温でオーステナイトを必要以上に安定
化し、高強度化を困難にする。したがって、Cr含有量
の上限は20.0質量%とする。
保する上で必須の元素である。前記各種用途に必要な耐
食性を付与するには少なくとも10.0質量%のCr含有を
必要とする。しかし、20.0質量%を超える多量のCr含
有は鋼板の靱性を低下させ好ましくない。また、このよ
うな多量のCr含有は、マルテンサイトを十分に生成さ
せる上でC,N,Ni,Mn,Cu等のオーステナイト形
成元素の添加量増大を余儀なくし、鋼板のコスト増を招
くだけでなく、室温でオーステナイトを必要以上に安定
化し、高強度化を困難にする。したがって、Cr含有量
の上限は20.0質量%とする。
【0015】Niは、オーステナイト形成元素であり、
高温でフェライト+オーステナイトの2相共存領域を得
るために必要である。特に、Niは2相共存領域におい
てオーステナイト核形成頻度を増大させ、結晶粒の微細
化に大きく寄与する。このメカニズムは以下のように考
えられる。すなわち、2相共存領域に加熱したとき、フ
ェライト相からオーステナイト核が生成するが、このと
き、オーステナイト核は古典的核形成理論で定義される
「臨界核」を超えてからの成長速度が遅くなるので、平
衡論的に安定なオーステナイト量になるためには新たな
オーステナイト核の形成が一層誘発され、その結果オー
ステナイト核形成サイトが多くなって組織は微細化する
と考えられる(オーステナイト核形成サイト増大作
用)。このオーステナイト核形成の駆動力を与える上で
Niは極めて有効に作用する。そのためには少なくとも
0.5質量%以上のNi含有が必要である。ただし、Ni含
有量があまり多いとオーステナイト安定度が高くなりす
ぎ、高温でのオーステナイトは室温までの冷却過程で完
全にマルテンサイトに変態しきれずに残留するようにな
る。こうなると高強度化が達成できない。したがって、
オーステナイト安定度を考慮してNi含有量の上限を定
める必要があり、種々検討の結果、その上限は4.0質量
%とする。
高温でフェライト+オーステナイトの2相共存領域を得
るために必要である。特に、Niは2相共存領域におい
てオーステナイト核形成頻度を増大させ、結晶粒の微細
化に大きく寄与する。このメカニズムは以下のように考
えられる。すなわち、2相共存領域に加熱したとき、フ
ェライト相からオーステナイト核が生成するが、このと
き、オーステナイト核は古典的核形成理論で定義される
「臨界核」を超えてからの成長速度が遅くなるので、平
衡論的に安定なオーステナイト量になるためには新たな
オーステナイト核の形成が一層誘発され、その結果オー
ステナイト核形成サイトが多くなって組織は微細化する
と考えられる(オーステナイト核形成サイト増大作
用)。このオーステナイト核形成の駆動力を与える上で
Niは極めて有効に作用する。そのためには少なくとも
0.5質量%以上のNi含有が必要である。ただし、Ni含
有量があまり多いとオーステナイト安定度が高くなりす
ぎ、高温でのオーステナイトは室温までの冷却過程で完
全にマルテンサイトに変態しきれずに残留するようにな
る。こうなると高強度化が達成できない。したがって、
オーステナイト安定度を考慮してNi含有量の上限を定
める必要があり、種々検討の結果、その上限は4.0質量
%とする。
【0016】その他の合金元素として、オーステナイト
形成元素であるMn,Cu,N等、フェライト形成元素で
あるSi,Ti,Nb,Al等を添加し、常温でフェライト
+マルテンサイトの微細複相組織が得られるように成分
調整することができる。また、必要とする強度を低下さ
せない限り、耐食性を一層向上させるMoを添加した
り、耐酸化性や熱間加工性を向上させるY,Ca,REM
(希土類元素)を添加したり、さらに各種の特性を向上
させる目的でB,V等を添加したりすることができる。
形成元素であるMn,Cu,N等、フェライト形成元素で
あるSi,Ti,Nb,Al等を添加し、常温でフェライト
+マルテンサイトの微細複相組織が得られるように成分
調整することができる。また、必要とする強度を低下さ
せない限り、耐食性を一層向上させるMoを添加した
り、耐酸化性や熱間加工性を向上させるY,Ca,REM
(希土類元素)を添加したり、さらに各種の特性を向上
させる目的でB,V等を添加したりすることができる。
【0017】具体的には、質量%で、Mn:2.0%以下,
Cu:0(無添加)〜2.0%,N:0.10%以下,Si:2.0
%以下,Ti:0(無添加)〜0.50%,Al:0(無添加)
〜0.05%,Mo:0(無添加)〜2.0%,Y:0(無添加)
〜0.2%,Ca:0(無添加)〜0.1%,REM:0(無添加)
〜0.2%,B:0(無添加)〜0.015%,V:0(無添加)
〜0.30%の範囲で含有させることができる。ここで、C
u,Ti,Al,Mo,Y,Ca,REM,B,Vの下限を0
(無添加)としたのは、これらの元素は、Si,Mn,N
等と異なり、一般的な製鋼プロセスにおいて原料から混
入して来ないのが通常であるため、無添加の場合は0%
(一般的な分析手法による検出限界以下)となることを
考慮したものである。なお、不純物であるPは0.040質
量%以下,Sは0.010質量%以下に抑えることが望まし
い。
Cu:0(無添加)〜2.0%,N:0.10%以下,Si:2.0
%以下,Ti:0(無添加)〜0.50%,Al:0(無添加)
〜0.05%,Mo:0(無添加)〜2.0%,Y:0(無添加)
〜0.2%,Ca:0(無添加)〜0.1%,REM:0(無添加)
〜0.2%,B:0(無添加)〜0.015%,V:0(無添加)
〜0.30%の範囲で含有させることができる。ここで、C
u,Ti,Al,Mo,Y,Ca,REM,B,Vの下限を0
(無添加)としたのは、これらの元素は、Si,Mn,N
等と異なり、一般的な製鋼プロセスにおいて原料から混
入して来ないのが通常であるため、無添加の場合は0%
(一般的な分析手法による検出限界以下)となることを
考慮したものである。なお、不純物であるPは0.040質
量%以下,Sは0.010質量%以下に抑えることが望まし
い。
【0018】〔フェライト+40〜95体積%マルテンサイ
ト複相組織〕室温でのマルテンサイト量が40〜95体積%
ということは、言い換えれば高温ではオーステナイト相
が40〜95体積%ということである。本発明は、複相微細
化処理の加熱温度においてフェライトとオーステナイト
の2相を共存させることにより、組織を微細化するもの
である。すなわち、結晶構造の異なる2相の存在がお互
いにその温度での結晶粒の成長を抑制するのである(結
晶粒成長抑制作用)。この作用は、前述の「オーステナ
イト核形成サイト増大作用」と併せて、本発明の組織微
細化を達成する上で骨子となるものである。
ト複相組織〕室温でのマルテンサイト量が40〜95体積%
ということは、言い換えれば高温ではオーステナイト相
が40〜95体積%ということである。本発明は、複相微細
化処理の加熱温度においてフェライトとオーステナイト
の2相を共存させることにより、組織を微細化するもの
である。すなわち、結晶構造の異なる2相の存在がお互
いにその温度での結晶粒の成長を抑制するのである(結
晶粒成長抑制作用)。この作用は、前述の「オーステナ
イト核形成サイト増大作用」と併せて、本発明の組織微
細化を達成する上で骨子となるものである。
【0019】発明者らの研究によれば、この「結晶粒成
長抑制作用」を有効に発現させるには、複相微細化処理
の加熱温度においてフェライト相と共存するオーステナ
イト量が40〜95体積%の範囲にあることが必要である。
理想的にはフェライトとオーステナイトの相比が50%:
50%となる場合が最適であるが、本発明の対象鋼では、
オーステナイト核形成サイトがフェライト粒界や炭化物
等、比較的多数あるので、高温でのオーステナイト量、
つまり室温でのマルテンサイト量は95体積%まで許容さ
れるのである。なお、残部のフェライト相は、靱性,延
性を確保する上で重要となる。
長抑制作用」を有効に発現させるには、複相微細化処理
の加熱温度においてフェライト相と共存するオーステナ
イト量が40〜95体積%の範囲にあることが必要である。
理想的にはフェライトとオーステナイトの相比が50%:
50%となる場合が最適であるが、本発明の対象鋼では、
オーステナイト核形成サイトがフェライト粒界や炭化物
等、比較的多数あるので、高温でのオーステナイト量、
つまり室温でのマルテンサイト量は95体積%まで許容さ
れるのである。なお、残部のフェライト相は、靱性,延
性を確保する上で重要となる。
【0020】〔旧オーステナイト平均粒径:7μm以下〕
発明者らは、組織を微細化すること、特に、強度に寄与
するマルテンサイト相における旧オーステナイト結晶粒
を微細にすることにより、縦弾性係数の向上が可能にな
ることを見出した。この点に着目して種々研究した結
果、旧オーステナイト平均粒径が7μm以下に微細になっ
ているとき、T方向,L方向ともに200000N/mm2以上の
縦弾性係数が安定して得られることがわかった。旧オー
ステナイト粒径が小さくなると、当然ながら単位体積当
たりの粒界頻度は大きくなる。このため、弾性変形領域
での変形による変形歪は容易に旧オーステナイト粒界に
パイルアップされることになる。変形歪がパイルアップ
されるということは、その変形歪による転位同士は互い
に近い距離で干渉しあうということである。この転位の
干渉により、マクロ的に一定の弾性変形を付与したとき
に発生する応力が高くなる。つまり、弾性係数が大きく
なるわけである。
発明者らは、組織を微細化すること、特に、強度に寄与
するマルテンサイト相における旧オーステナイト結晶粒
を微細にすることにより、縦弾性係数の向上が可能にな
ることを見出した。この点に着目して種々研究した結
果、旧オーステナイト平均粒径が7μm以下に微細になっ
ているとき、T方向,L方向ともに200000N/mm2以上の
縦弾性係数が安定して得られることがわかった。旧オー
ステナイト粒径が小さくなると、当然ながら単位体積当
たりの粒界頻度は大きくなる。このため、弾性変形領域
での変形による変形歪は容易に旧オーステナイト粒界に
パイルアップされることになる。変形歪がパイルアップ
されるということは、その変形歪による転位同士は互い
に近い距離で干渉しあうということである。この転位の
干渉により、マクロ的に一定の弾性変形を付与したとき
に発生する応力が高くなる。つまり、弾性係数が大きく
なるわけである。
【0021】〔T方向およびL方向の縦弾性係数がとも
に200000N/mm2以上〕これは、縦弾性係数の異方性が小
さいこと、および高弾性を有することを規定したもので
ある。鋼板からT方向の引張試験片とL方向の引張試験
片を採取してそれぞれ引張試験を行ったとき、いずれの
縦弾性係数も200000N/mm2以上であることが、前記各種
用途に非常に適した特性を有する鋼板であることの必要
条件となる。
に200000N/mm2以上〕これは、縦弾性係数の異方性が小
さいこと、および高弾性を有することを規定したもので
ある。鋼板からT方向の引張試験片とL方向の引張試験
片を採取してそれぞれ引張試験を行ったとき、いずれの
縦弾性係数も200000N/mm2以上であることが、前記各種
用途に非常に適した特性を有する鋼板であることの必要
条件となる。
【0022】〔複相微細化処理〕本発明の製造法では、
複相化処理において同時に組織の微細化を図り、旧オー
ステナイト平均粒径が7μm以下の微細組織を得る。この
複相微細化処理に供する出発材料として、フェライト単
相組織を有するものを用意する。フェライト+オーステ
ナイト2相共存温度域に加熱したときに、フェライト相
から新たな再結晶オーステナイト粒を生成させることに
よって、組織の微細化を図るためである。出発材料にマ
ルテンサイトが混在していると、そのマルテンサイトの
逆変態によって生じたオーステナイトは微細結晶粒にな
らないので、オーステナイト平均粒径は大きくなってし
まう。また、出発材料は冷間加工を受けた状態の加工鋼
板であることが望ましい。加工により蓄積された内部歪
がオーステナイト核発生の駆動力となり、核形成サイト
の増大を助長する。種々研究の結果、冷延率20%以上の
加工鋼板を用いることによって、「オーステナイト核形
成サイト増大作用」が高まり、7μm以下のオーステナイ
ト平均粒径を得ることのできる温度および均熱時間の自
由度が拡がる結果、多くの製造現場(焼鈍設備)におい
て本発明鋼板の工業的生産が可能になることがわかっ
た。
複相化処理において同時に組織の微細化を図り、旧オー
ステナイト平均粒径が7μm以下の微細組織を得る。この
複相微細化処理に供する出発材料として、フェライト単
相組織を有するものを用意する。フェライト+オーステ
ナイト2相共存温度域に加熱したときに、フェライト相
から新たな再結晶オーステナイト粒を生成させることに
よって、組織の微細化を図るためである。出発材料にマ
ルテンサイトが混在していると、そのマルテンサイトの
逆変態によって生じたオーステナイトは微細結晶粒にな
らないので、オーステナイト平均粒径は大きくなってし
まう。また、出発材料は冷間加工を受けた状態の加工鋼
板であることが望ましい。加工により蓄積された内部歪
がオーステナイト核発生の駆動力となり、核形成サイト
の増大を助長する。種々研究の結果、冷延率20%以上の
加工鋼板を用いることによって、「オーステナイト核形
成サイト増大作用」が高まり、7μm以下のオーステナイ
ト平均粒径を得ることのできる温度および均熱時間の自
由度が拡がる結果、多くの製造現場(焼鈍設備)におい
て本発明鋼板の工業的生産が可能になることがわかっ
た。
【0023】本発明の複相微細化処理においては、組織
の微細化を図る上で、結晶構造の異なる2相の存在がお
互いに結晶粒の成長を抑制する「結晶粒成長抑制作用」
を利用する。そのためには平衡論的にオーステナイト相
が40〜95体積%の範囲で安定に存在する2層共存温度域
にてオーステナイトの核生成および再結晶化を行う必要
がある(前述)。
の微細化を図る上で、結晶構造の異なる2相の存在がお
互いに結晶粒の成長を抑制する「結晶粒成長抑制作用」
を利用する。そのためには平衡論的にオーステナイト相
が40〜95体積%の範囲で安定に存在する2層共存温度域
にてオーステナイトの核生成および再結晶化を行う必要
がある(前述)。
【0024】ただし、加熱温度がオーステナイトの生成
開始温度(Ac1点)近傍では、温度変化に対するオース
テナイト量の変動、すなわち冷却後のマルテンサイト量
の変動が大きくなるので、安定した強度が得られない。
本発明で対象とする成分組成の鋼では950℃以上の高温
域に加熱した場合にこのような強度変動は実質上問題に
ならないことがわかった。一方、加熱温度が高すぎると
硬度の上昇効果が飽和するのみならず逆に低下する現象
も生じる。このため1100℃以下の範囲に加熱することが
望ましい。以上のことから、複相微細化処理の加熱温度
は、40〜95体積%のオーステナイト相が安定に存在する
フェライト+オーステナイト2相共存温度域かつ950〜1
100℃の範囲の温度に規定する。
開始温度(Ac1点)近傍では、温度変化に対するオース
テナイト量の変動、すなわち冷却後のマルテンサイト量
の変動が大きくなるので、安定した強度が得られない。
本発明で対象とする成分組成の鋼では950℃以上の高温
域に加熱した場合にこのような強度変動は実質上問題に
ならないことがわかった。一方、加熱温度が高すぎると
硬度の上昇効果が飽和するのみならず逆に低下する現象
も生じる。このため1100℃以下の範囲に加熱することが
望ましい。以上のことから、複相微細化処理の加熱温度
は、40〜95体積%のオーステナイト相が安定に存在する
フェライト+オーステナイト2相共存温度域かつ950〜1
100℃の範囲の温度に規定する。
【0025】複相微細化処理は、一般的な連続焼鈍設備
を用いて行うことができる。すなわち、連続焼鈍炉に被
処理鋼板を鋼帯の状態で連続通板し、その後水冷等によ
り冷却する方法により、工業的に安定した製造ができ
る。その際、加熱温度における均熱時間は0.1〜10分と
することが望ましい。
を用いて行うことができる。すなわち、連続焼鈍炉に被
処理鋼板を鋼帯の状態で連続通板し、その後水冷等によ
り冷却する方法により、工業的に安定した製造ができ
る。その際、加熱温度における均熱時間は0.1〜10分と
することが望ましい。
【0026】複相微細化処理後に最終冷間圧延,時効処
理,または最終冷間圧延+時効処理を行うことは、縦弾
性係数を上昇させるのに有効な手段である。最終冷間圧
延で加えられる歪や、時効処理による溶質原子の転位へ
の集積は、弾性変形時の可動転位の動きを抑える作用を
呈し、縦弾性係数の向上に寄与する。
理,または最終冷間圧延+時効処理を行うことは、縦弾
性係数を上昇させるのに有効な手段である。最終冷間圧
延で加えられる歪や、時効処理による溶質原子の転位へ
の集積は、弾性変形時の可動転位の動きを抑える作用を
呈し、縦弾性係数の向上に寄与する。
【0027】最終冷間圧延は、あまり過度の冷延率で行
うと延性低下や材質の異方性を招く。このため、最終冷
間圧延率は、時効処理を施さない場合は30%まで、時効
処理を施す場合は80%までの範囲で行うのがよい。時効
処理を施すと最終冷間圧延での歪が解放されるので、時
効処理を施す場合にはより高い冷延率まで許容されるの
である。
うと延性低下や材質の異方性を招く。このため、最終冷
間圧延率は、時効処理を施さない場合は30%まで、時効
処理を施す場合は80%までの範囲で行うのがよい。時効
処理を施すと最終冷間圧延での歪が解放されるので、時
効処理を施す場合にはより高い冷延率まで許容されるの
である。
【0028】時効処理の加熱温度が250℃未満では時効
処理による縦弾性係数の向上効果が小さい。他方、650
℃を超えると加熱時間が短時間であっても複相微細化処
理後に過飽和に固溶していた炭素がクロム炭化物として
粒界および粒内に析出し易くなり、その結果、材料強度
の低下をもたらし、また特に粒界に析出するクロム炭化
物は鋭敏化の原因となり耐食性の劣化を招く。したがっ
て、複相微細化処理の後に行う時効処理は250〜650℃の
加熱温度で行うことが望ましい。なお、時効処理の加熱
時間は均熱0.5〜90分程度とするのが好ましい。
処理による縦弾性係数の向上効果が小さい。他方、650
℃を超えると加熱時間が短時間であっても複相微細化処
理後に過飽和に固溶していた炭素がクロム炭化物として
粒界および粒内に析出し易くなり、その結果、材料強度
の低下をもたらし、また特に粒界に析出するクロム炭化
物は鋭敏化の原因となり耐食性の劣化を招く。したがっ
て、複相微細化処理の後に行う時効処理は250〜650℃の
加熱温度で行うことが望ましい。なお、時効処理の加熱
時間は均熱0.5〜90分程度とするのが好ましい。
【0029】
【実施例】表1に示す成分組成の鋼を真空溶解炉で溶製
し、熱間鍛造,熱間圧延を経て板厚3.0mmの熱延板とし
た。鋼A〜Hは、この熱延板に780℃×8時間の拡散焼鈍
を施し、酸洗した後、冷間圧延により板厚0.8mmとし、7
80℃×均熱1分+空冷の中間焼鈍と酸洗を施した。その
後、一部の試料を除き再度冷間圧延を施した。これらの
冷延材(一部は板厚0.8mmの冷延焼鈍酸洗材)を出発材
料として、表2に示す条件で複相微細化処理を施した。
その後、表2に示すとおり最終冷間圧延および時効処理
(均熱10分)をそれぞれ選択的に実施した。表2中、最
終冷間圧延率または時効処理温度の欄に「−」と記した
ものはその工程を実施していないものである。
し、熱間鍛造,熱間圧延を経て板厚3.0mmの熱延板とし
た。鋼A〜Hは、この熱延板に780℃×8時間の拡散焼鈍
を施し、酸洗した後、冷間圧延により板厚0.8mmとし、7
80℃×均熱1分+空冷の中間焼鈍と酸洗を施した。その
後、一部の試料を除き再度冷間圧延を施した。これらの
冷延材(一部は板厚0.8mmの冷延焼鈍酸洗材)を出発材
料として、表2に示す条件で複相微細化処理を施した。
その後、表2に示すとおり最終冷間圧延および時効処理
(均熱10分)をそれぞれ選択的に実施した。表2中、最
終冷間圧延率または時効処理温度の欄に「−」と記した
ものはその工程を実施していないものである。
【0030】いずれも最終板厚が0.2mmになるように、
複相化熱処理前の冷間圧延率および最終冷間圧延率を調
整した。例えば、最終冷間圧延を施していないもの(N
o.1,2,6,8,10〜13,16,17)は、複相化熱処理前の
冷延率が75%(0.8→0.2mm)であったことを意味する。
最終冷間圧延率が25%のもの(No.3)は、複相化熱処理
前の冷延率が67%(0.8→0.26mm)であったことを意味
する。最終冷間圧延率が75%のもの(No.5,15)は、板
厚0.8mmの冷延焼鈍酸洗材(冷延率0%)を複相化熱処理
に供したことを意味する。
複相化熱処理前の冷間圧延率および最終冷間圧延率を調
整した。例えば、最終冷間圧延を施していないもの(N
o.1,2,6,8,10〜13,16,17)は、複相化熱処理前の
冷延率が75%(0.8→0.2mm)であったことを意味する。
最終冷間圧延率が25%のもの(No.3)は、複相化熱処理
前の冷延率が67%(0.8→0.26mm)であったことを意味
する。最終冷間圧延率が75%のもの(No.5,15)は、板
厚0.8mmの冷延焼鈍酸洗材(冷延率0%)を複相化熱処理
に供したことを意味する。
【0031】なお、これらの鋼については、950〜1100
℃の温度範囲は、40〜95体積%のオーステナイト相が安
定に存在するフェライト+オーステナイト2相共存温度
域であることが確認されている。鋼Iは、従来材のSUS3
01である。この鋼種については熱延板を1050℃×均熱60
秒焼鈍(溶体化処理)した後、50%の冷間圧延を施し
た。
℃の温度範囲は、40〜95体積%のオーステナイト相が安
定に存在するフェライト+オーステナイト2相共存温度
域であることが確認されている。鋼Iは、従来材のSUS3
01である。この鋼種については熱延板を1050℃×均熱60
秒焼鈍(溶体化処理)した後、50%の冷間圧延を施し
た。
【0032】表2には、複相微細化処理後(No.20のみ
溶体化処理後)の旧オーステナイト平均粒径を示す。ま
た、最終工程後(複相微細化処理後,最終冷間圧延後ま
たは時効処理後のいずれか)のマルテンサイト量および
縦弾性係数を示す。旧オーステナイト平均粒径は、試料
の電子顕微鏡組織における切片法により求めた。その
際、旧オーステナイト結晶粒100個について測定を行
い、その平均値を採用した。
溶体化処理後)の旧オーステナイト平均粒径を示す。ま
た、最終工程後(複相微細化処理後,最終冷間圧延後ま
たは時効処理後のいずれか)のマルテンサイト量および
縦弾性係数を示す。旧オーステナイト平均粒径は、試料
の電子顕微鏡組織における切片法により求めた。その
際、旧オーステナイト結晶粒100個について測定を行
い、その平均値を採用した。
【0033】図1には一例として表2のNo.1の電子顕微
鏡組織写真(測定に用いた観察視野のうちの1つ)を示
す。また、図2には、図1のスケッチを示す。図2中、
実線が結晶粒界であり、グレーに着色した結晶粒が旧オ
ーステナイト結晶粒である。なお、図2中、旧オーステ
ナイト結晶粒以外の部分については結晶粒界を一部を省
略してある。
鏡組織写真(測定に用いた観察視野のうちの1つ)を示
す。また、図2には、図1のスケッチを示す。図2中、
実線が結晶粒界であり、グレーに着色した結晶粒が旧オ
ーステナイト結晶粒である。なお、図2中、旧オーステ
ナイト結晶粒以外の部分については結晶粒界を一部を省
略してある。
【0034】マルテンサイト量は、試料の電子顕微鏡組
織においてマルテンサイトの面積率を画像処理によって
測定することにより求めた。縦弾性係数は、JIS 13B号
引張試験片の平行部にひずみゲージを貼り付けて弾性領
域において応力を付加し、応力/変位の傾きから求め
た。なお、縦弾性係数はT方向とL方向の両方について
測定した。
織においてマルテンサイトの面積率を画像処理によって
測定することにより求めた。縦弾性係数は、JIS 13B号
引張試験片の平行部にひずみゲージを貼り付けて弾性領
域において応力を付加し、応力/変位の傾きから求め
た。なお、縦弾性係数はT方向とL方向の両方について
測定した。
【0035】本発明例(No.1〜9)のものはいずれも旧
オーステナイト平均粒径が7μm以下、かつマルテンサイ
ト量が40〜95体積%の範囲にあって、縦弾性係数はT方
向,L方向とも200000N/mm2以上の高い値が安定して得
られた。
オーステナイト平均粒径が7μm以下、かつマルテンサイ
ト量が40〜95体積%の範囲にあって、縦弾性係数はT方
向,L方向とも200000N/mm2以上の高い値が安定して得
られた。
【0036】これに対し、No.10,11,13は複相微細化
処理温度が高すぎたため旧オーステナイト平均粒径が7
μmを超えて大きくなり、縦弾性係数が低かった。No.12
は時効処理温度が高すぎたため逆変態が生じてマルテン
サイト量が40体積%未満になってしまい、縦弾性係数が
低かった。No.14は最終冷間圧延率が30%を超えて大き
く、その後時効処理を施さなかったため、延性が不足し
縦弾性係数の測定は不可能であった。No.15は複相微細
化処理温度が低すぎたためマルテンサイト量が40体積%
未満となり、縦弾性係数が低かった。No.16,17はNi含
有量が低すぎたためオーステナイトの粒成長が進み、縦
弾性係数が低かった。No.18,19はC含有量およびNi含
有量が低すぎたため高温で40体積%以上のオーステナイ
ト量が確保できず、その結果マルテンサイト量が不足
し、かつ旧オーステナイト平均粒径も7μmを超えてしま
い、縦弾性係数は低かった。No.20は従来材のオーステ
ナイト系ステンレス鋼SUS301であり、L方向の縦弾性係
数が低く、面内異方性が大きかった。
処理温度が高すぎたため旧オーステナイト平均粒径が7
μmを超えて大きくなり、縦弾性係数が低かった。No.12
は時効処理温度が高すぎたため逆変態が生じてマルテン
サイト量が40体積%未満になってしまい、縦弾性係数が
低かった。No.14は最終冷間圧延率が30%を超えて大き
く、その後時効処理を施さなかったため、延性が不足し
縦弾性係数の測定は不可能であった。No.15は複相微細
化処理温度が低すぎたためマルテンサイト量が40体積%
未満となり、縦弾性係数が低かった。No.16,17はNi含
有量が低すぎたためオーステナイトの粒成長が進み、縦
弾性係数が低かった。No.18,19はC含有量およびNi含
有量が低すぎたため高温で40体積%以上のオーステナイ
ト量が確保できず、その結果マルテンサイト量が不足
し、かつ旧オーステナイト平均粒径も7μmを超えてしま
い、縦弾性係数は低かった。No.20は従来材のオーステ
ナイト系ステンレス鋼SUS301であり、L方向の縦弾性係
数が低く、面内異方性が大きかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、鋼板のT方向,L方向
ともに200000N/mm2以上の高い縦弾性係数を有する高強
度ステンレス鋼板を工業的に安定して製造し提供するこ
とが可能になった。本発明に係る鋼板は、鉄道車両のマ
クラハリや横ハリ材,カーアンテナ,ドクターブレード
等の各種ブレード,プリンターレールシャフト,ゴルフ
クラブヘッド部,スプリングバックの小さいばね,制振
性が要求されるばね,押しボタンスイッチとしての反発
力が要求されるタクトスイッチ,VTRカセットの押さ
えばね,ベアリングシール材等の各種用途において望ま
れていた「異方性の少ない高弾性特性」を実現したもの
であり、これらの用途において、材料面から性能向上に
寄与するものである。
ともに200000N/mm2以上の高い縦弾性係数を有する高強
度ステンレス鋼板を工業的に安定して製造し提供するこ
とが可能になった。本発明に係る鋼板は、鉄道車両のマ
クラハリや横ハリ材,カーアンテナ,ドクターブレード
等の各種ブレード,プリンターレールシャフト,ゴルフ
クラブヘッド部,スプリングバックの小さいばね,制振
性が要求されるばね,押しボタンスイッチとしての反発
力が要求されるタクトスイッチ,VTRカセットの押さ
えばね,ベアリングシール材等の各種用途において望ま
れていた「異方性の少ない高弾性特性」を実現したもの
であり、これらの用途において、材料面から性能向上に
寄与するものである。
【図1】本発明例の鋼板の金属組織を示す電子顕微鏡写
真である。
真である。
【図2】図1の金属組織における旧オーステナイト結晶
粒を示すスケッチである。
粒を示すスケッチである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 熊野 尚仁
山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製
鋼株式会社内
(72)発明者 平松 直人
山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製
鋼株式会社内
Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA05 EA06 EA09
EA12 EA13 EA15 EA17 EA18
EA19 EA20 EA27 EA28 EA31
EA32 EA36 FG01 FG03 FJ06
FJ07 FL01 FL02 FL03 FM01
Claims (9)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.04〜0.15%,Cr:10.
0〜20.0%,Ni:0.5〜4.0%を含有し、フェライト+40
〜95体積%マルテンサイトの複相組織において旧オース
テナイト平均粒径が7μm以下である微細複相組織を有
し、鋼板のT方向およびL方向の縦弾性係数がともに20
0000N/mm2以上である高強度複相ステンレス鋼板。 - 【請求項2】 質量%で、C:0.04〜0.15%,Si:2.0
%以下,Mn:2.0%以下,Cr:10.0〜20.0%,Ni:0.
5〜4.0%,Cu:0(無添加)〜2.0%,N:0.10%以
下,Mo:0(無添加)〜2.0%,Al:0(無添加)〜0.0
5%,Nb:0(無添加)〜0.50%,V:0(無添加)〜0.
30%,Ti:0(無添加)〜0.50%,B:0(無添加)〜
0.015%,Y:0(無添加)〜0.2%,REM:0(無添加)
〜0.2%,Ca:0(無添加)〜0.1%で残部がFeおよび
不可避的不純物からなり、フェライト相+40〜95体積%
マルテンサイト相の複相組織において旧オーステナイト
平均粒径が7μm以下である微細複相組織を有し、鋼板の
T方向およびL方向の縦弾性係数がともに200000N/mm2
以上である高強度複相ステンレス鋼板。 - 【請求項3】 質量%で、C:0.04〜0.15%,Cr:10.
0〜20.0%,Ni:0.5〜4.0%を含有し、フェライト単相
組織を呈する鋼板に対し、40〜95体積%のオーステナイ
ト相が安定に存在するフェライト+オーステナイト2相
共存温度域かつ950〜1100℃の範囲の温度に加熱して平
均粒径が7μm以下の再結晶オーステナイトを生成させた
のち冷却することからなる複相微細化処理を施すことを
特徴とする、鋼板のT方向およびL方向の縦弾性係数が
ともに200000N/mm2以上である高強度複相ステンレス鋼
板の製造法。 - 【請求項4】 質量%で、C:0.04〜0.15%,Si:2.0
%以下,Mn:2.0%以下,Cr:10.0〜20.0%,Ni:0.
5〜4.0%,Cu:0(無添加)〜2.0%,N:0.10%以
下,Mo:0(無添加)〜2.0%,Al:0(無添加)〜0.0
5%,Nb:0(無添加)〜0.50%,V:0(無添加)〜0.
30%,Ti:0(無添加)〜0.50%,B:0(無添加)〜
0.015%,Y:0(無添加)〜0.2%,REM:0(無添加)
〜0.2%,Ca:0(無添加)〜0.1%で残部がFeおよび
不可避的不純物からなる、フェライト単相組織を呈する
鋼板に対し、40〜95体積%のオーステナイト相が安定に
存在するフェライト+オーステナイト2相共存温度域か
つ950〜1100℃の範囲の温度に加熱して平均粒径が7μm
以下の再結晶オーステナイトを生成させたのち冷却する
ことからなる複相微細化処理を施すことを特徴とする、
鋼板のT方向およびL方向の縦弾性係数がともに200000
N/mm2以上である高強度複相ステンレス鋼板の製造法。 - 【請求項5】 複相微細化処理に供するフェライト単相
組織を呈する鋼板が、冷延率20%以上の加工鋼板であ
る、請求項3または4に記載の製造法。 - 【請求項6】 複相微細化処理は、連続焼鈍炉に被処理
鋼板を通板し、加熱温度における均熱時間を0.1〜10分
とする、請求項3〜5に記載の製造法。 - 【請求項7】 複相微細化処理の後、30%以下の最終冷
間圧延を施す請求項3〜5に記載の製造法。 - 【請求項8】 複相微細化処理の後、250〜650℃での時
効処理を施す請求項3〜5に記載の製造法。 - 【請求項9】 複相微細化処理の後、80%以下の最終冷
間圧延を施し、次いで250〜650℃での時効処理を施す請
求項3〜5に記載の製造法。
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