JP2006183130A - 高剛性高強度薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびTi:0.02〜0.50%を含有し、かつC、N、SおよびTiの含有量が、Ti*=Ti −(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≧0.01および0.01≦C−(12/47.9)×Ti*≦0.05の関係式を満足し、残部は実質的に鉄および不可避的不純物の組成にすると共に、組織を、フェライト相を主相とし、面積率で1%以上のマルテンサイト相を有する組織とする。
【選択図】図1
Description
すなわち、特許文献1に開示されている技術では、C量が0.01%以下の極低炭素鋼を用いることで集合組織を制御し、鋼板のヤング率を高めているが、引張強度はせいぜい 450MPa程度と低く、この技術の適用により高強度化を図るには問題があった。
(I) 質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S :0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびTi:0.02〜0.50%を含有し、かつ C、N、SおよびTiの含有量が、下記(1)式および(2)式に示す関係式を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有すると共に、組織が、フェライト相を主相とし、面積率で1%以上のマルテンサイト相を有し、さらに引張強度が 590 MPa以上でかつヤング率が 230 GPa以上であることを特徴とする高剛性高強度薄鋼板。
記
Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≧0.01 ・・・ (1)
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*≦0.05 ・・・ (2)
記
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*−(12/92.9)×Nb−(12/50.9)×V≦0.05 ・・・ (3)
記
Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≧0.01 ・・・ (1)
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*≦0.05 ・・・ (2)
記
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*−(12/92.9)×Nb−(12/50.9)×V≦0.05 ・・・ (3)
Cは、オーステナイトを安定化させる元素であり、冷間圧延後の焼鈍時における冷却過程において、焼入れ性を高め、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。さらにCは、焼鈍工程における昇温段階において、冷間圧延後に{112}<110>の方位をもつフェライト粒の、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進することで、高ヤング率化に寄与することもできる。
このため、C含有量は0.15%以下とする必要があり、より好ましくは0.10%以下とする。
Siは、熱間圧延において、Ar3変態点を上昇させることから、800〜900℃で圧延を終了するに際し、1.5%を超える多量のSiを含有させた場合には、オーステナイト域での圧延 が困難となり、高ヤング率化に必要な結晶方位を得ることができなくなる。また、多量のSi添加は、鋼板の溶接性を劣化させると共に、熱間圧延工程での加熱時においては、スラブ表面においてファイヤライトの生成を促進することで、いわゆる赤スケールと呼ばれる表面模様の発生を助長する。さらに、冷延鋼板として使用される場合には、表面に生成するSi酸化物が化成処理性を劣化させ、溶融亜鉛めっき鋼板として使用される場合には、表面に生成するSi酸化物が不めっきを誘発する。このため、Si含有量は1.5%以下とする必要がある。なお、表面性状を必要とする鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板の場合には、Si含有量を0.5%以下とすることが好ましい。
Mnは、本発明の重要な元素の1つである。Mnは、熱間圧延時において、加工オーステナイトの再結晶を抑制する作用を有する。そして、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進させることで、{113}<110>を発達させることができ、その後の冷間圧延、焼鈍工程でヤング率を向上させることができる。
Pは、粒界に偏析するため、P含有量が0.05%を超えると、鋼板の延性および靭性が低下すると共に、溶接性も劣化する。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板として使用される場合には、Pにより合金化速度が遅滞してしまう。従って、P含有量は0.05%以下とする必要がある。一方、Pは、固溶強化元素として高強度化に有効な元素であり、またフェライト安定化元素として、オーステナイト中へのC濃化を促進する作用も有する。さらにSiを添加した鋼においては、赤スケールの発生を抑制する作用も有する。このような作用を得るためには、P含有量は0.01%以上とすることが好ましい。
Sは、熱間での延性を著しく低下させることで、熱間割れを誘発し、表面性状を著しく劣化させる。さらに、Sは、強度にほとんど寄与しないばかりか、不純物元素として粗大なMnSを形成することにより、延性および穴広げ性を低下させる。これらの問題はS含有 量が0.01%を超えると顕著になるため、極力低減することが望ましい。従って、S含有量は0.01%以下とする。さらに、穴広げ性をとくに向上させる観点からは、0.005%以下とすることが好ましい。
Alは、鋼の脱酸のために添加し、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素である。しかしながら、Alは、フェライト安定化元素であり、鋼のAr3変態点を大きく上昇させることから、800〜900℃で仕上圧延を終了するに際し、1.5%を超える多量のAlを含有する場合には、オーステナイト域での圧延が困難となり、高ヤング率化に必要な結晶方位の発達を抑制してしまう。従って、Al含有量は1.5%以下とする必要があり、この観点では、Al含有量は低い方が好ましく、0.1%以下に制限することがさらに好ましい。一方、フェライト生成元素であるAlは、冷間圧延後の焼鈍工程における二相域均熱後の冷却過程において、フェライト生成を促進し、オーステナイト中にCを濃化させることで、オーステナイトを安定化させ、低温変態相の生成を促進することができる。そのため、必要に応じて鋼の強度を高めることができ、このような効果を得るためには、Al含有量を0.2%以上とすることが望ましい。
Nは、熱間圧延中にスラブ割れを伴い、表面疵を発生させる有害な元素であり、N含有量が0.01%を超えると、スラブ割れや表面疵の発生が顕著になる。さらにNは、TiあるいはNbなどの炭窒化物形成元素添加時には、高温で粗大な窒化物を形成してしまい、炭窒化物形成元素の添加効果を抑制してしまう。従って、N含有量は0.01%以下とする必要がある。
Tiは、本発明において最も重要な元素である。すなわち、Tiは熱間圧延における仕上圧延工程において、加工されたオーステナイトの再結晶を抑制することで、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進し、{113}<110>を発達させることにより、その後の冷間圧延、焼鈍工程でヤング率を向上させることができる。また、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、加工フェライトの再結晶を抑制することで、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進し、均熱後の冷却過程において生成する低温変態相の方位に関し、ヤング率の向上に有利な方位を発達させ、低温変態相の生成に伴うヤング率の低下を抑制することができる。さらに、Tiの微細な炭窒化物は、強度上昇に寄与することもできる。このような作用を有するために、Ti含有量は0.02%以上とする必要があり、より好ましくは0.03%以上とする。
このため、Ti含有量は0.50%以下とする必要があり、より好ましくは0.20%以下とする。
記
Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≧0.01 ・・・ (1)
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*≦0.05 ・・・ (2)
Nbは、微細な炭窒化物を形成することで、強度上昇に寄与する元素である。また、熱間圧延における仕上圧延工程においては、加工されたオーステナイトの再結晶を抑制することで、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進し、高ヤング率化に寄与する元素でもある。このような作用を有するために、Nbの含有量を0.005%以上とすることが 好ましい。一方、0.04%を超えるNbを含有させても、熱間圧延および冷間圧延における圧延荷重が非常に増大することから、製造上の困難が伴うため、Nbの含有量は0.04%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.01%以下とする。
Vは、微細な炭窒化物を形成することで、強度上昇に寄与する元素である。このような作用を有するために、Vの含有量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、0.20%を超える多量のVを含有させても、0.20%を超えた分の強度上昇効果は小さく、その上、合金コストの増加も招いてしまう。
従って、Vの含有量は0.01〜0.20%とすることが好ましい。
記
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*−(12/92.9)×Nb−(12/50.9)×V≦0.05 ・・・ (3)
Crは、セメンタイトの生成を抑制することで、焼入れ性を高める元素であり、焼鈍工程における均熱後の冷却過程において、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。さらに、熱間圧延工程において、加工オーステナイトの再結晶を抑制することで、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進し、{113}<110>を発達させ、その後の冷間圧延、焼鈍工程でヤング率を向上させることができる。このような効果を得るには、Crを0.1%以上含有させることが好ましい。一方、1.0%を超えて多量にCrを含有させても、上記効果が飽和するだけでなく、合金コストが増加することから、Crは1.0%以下で含有させることが好ましい。なお、本発明の薄鋼板を溶融亜 鉛めっき鋼板として使用する場合には、表面に生成するCrの酸化物が不めっきを誘発してしまうので、Crを0.5%以下で含有させることが好ましい。
Niは、オーステナイトを安定化することで焼入れ性を高める元素であり、焼鈍工程における均熱後の冷却過程において、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。さらに、オーステナイト安定化元素であるNiは、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、Ac1変態点を低下させ、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進し、均熱後の冷却過程において生成する低温変態相の方位に関し、ヤング率の向上に有利な方位を発達させ、低温変態相の生成に伴うヤング率の低下を抑制することができる。またNiは、熱間圧延時において、加工オーステナイトの再結晶を抑制することから、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進することで、{113}<110>を発達させ、その後の冷間圧延、焼鈍工程でヤング率を向上させることができる。さらに、Cuを添加した鋼の場合には、熱間圧延時において、熱間延性の低下に伴う割れにより表面欠陥が誘発されるが、Niを複合添加することで、表面欠陥の発生を抑制することができる。このような作用を得るためには、Niを0.1%以上含有させることが好ま しい。
Moは、界面の移動度を小さくすることで、焼入れ性を高める元素であり、冷間圧延後の焼鈍工程における冷却過程においては、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。さらに、加工オーステナイトの再結晶を抑制することができ、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進することで、{113}<110>を発達させ、その後の冷間圧延、焼鈍工程でヤング率を向上させることができる。このような作用を得るためには、Moを0.1%以上含有させることが好ましい。一方、1.0%を超えて多量にMoを含有しても、上記効果が飽和するだけでなく、合金コストが増加することから、Moは1.0%以下で含有させることが好ましい。
Bは、オーステナイト相からフェライト相への変態を抑制することで、焼入れ性を高める元素で、冷間圧延後の焼鈍工程における冷却過程においては、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。さらに、加工オーステナイトの再結晶を抑制することができ、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進することで、{113}<110>を発達させ、その後の冷間圧延、焼鈍工程でヤング率を向上させることができる。この効果を得るためには、Bを0.0005%以上含有させることが好ましい。一方、0.0030%を超えるBの含有は、熱間圧延時の変形抵抗を高め、圧延荷重が増加することで操業上の困難を伴うことから、Bを0.0030%以下で含有させることが好ましい。
Cuは、焼入れ性を高める元素であり、冷間圧延後の焼鈍工程における冷却過程においては、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。この効果を得るためには、Cuを0.1%以上含有させることが好ましい。一方、2.0%を超える過剰なCuの含有は、熱間での延性を低下させ、熱間圧延時の割れに伴う表面欠陥を誘発するとともに、Cuによる焼入れ効果も飽和することから、Cuは2.0%以下で含有させる ことが好ましい。
本発明の薄鋼板では、フェライト相を主相とし、面積率で1%以上のマルテンサイト相を有する組織とする必要がある。
ここで、フェライト相を主相とするとは、フェライト相の面積率を50%以上とすることを意味する。
また、鋼板の引張強度を590MPa以上とするには、硬質な相である低温変態相を、主相であるフェライト相以外の部分である、いわゆる第2相中に形成して複合組織化する必要がある。ここで、低温変態相の中でも特に硬質なマルテンサイト相を組織中に有することが、目標とする引張強度レベルを得るための第2相の分率を小さくし、フェライト相の分率を大きくして高ヤング率化を達成し、さらに加工性も向上できるため有利であり、このためマルテンサイト相は、組織全体に対する面積率で1%以上とする必要がある。さらに、700MPa以上の強度を得るには、マルテンサイト相の面積率を16%以上とすることが好ましい。
本発明の製造方法に用いられる鋼素材の組成は、上述した鋼板の組成と同様であるので、鋼素材組成の限定理由の記載は省略する。
・仕上圧延:950℃以下での総圧下量を30%以上とし、かつ800〜900℃で圧延を終了する こと
熱間圧延工程における仕上圧延において、より低温での圧下を行なうことで、{112}<111>の結晶方位からなる未再結晶のオーステナイト組織を発達させ、その後の冷却過程においては、{112}<111>未再結晶オーステナイトからフェライト変態させることで、{113}<110>のフェライト方位を発達させることができる。この方位は、その後の冷間圧延、焼鈍工程における集合組織形成において、ヤング率の向上に有利に作用する。このような作用を得るためには、950℃以下での総圧下量(総圧下率)は30%以上とし、さらに、900℃以下で仕上圧延を終了する必要がある。一方、仕上圧延の終了温度が800℃を下回ると、変形 抵抗の増加により圧延荷重が非常に増大することから、製造上の困難が伴う。従って、仕上圧延の終了温度は800℃以上とする必要がある。
仕上圧延後の巻取り温度が650℃を上回ると、Tiの炭窒化物が粗大化してしまい、冷間 圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、フェライトの再結晶抑制効果が小さくなり、未再結晶フェライトからオーステナイトに変態させることが困難となる。その結果、均熱後の冷却過程で変態する低温変態相の方位を制御することができず、この歪みを持った低温変態相によりヤング率が大きく低下してしまう。従って、仕上圧延後の巻取り温度は650℃以下とする必要がある。なお、前記巻取り温度はあまり低くなると、硬質な低温変態相が多く生成して、その後の冷間圧延での荷重が増加して操業上の困難が伴うため、400℃以上とすることが好ましい。
・酸洗後、圧下率:50%以上の冷間圧延を行うこと
熱間圧延工程後、鋼板表面に生成しているスケールを除去するために、酸洗を行なう。酸洗は、常法に従い行なえばよい。その後、冷間圧延を行なう。ここで50%以上の圧下率で冷間圧延を行なうことで、熱延鋼板で発達した{113}<110>方位をヤング率の向上に有効な{112}<110>方位に回転させることができる。このように、冷間圧延により{112}<110>方位を発達させることで、その後の焼鈍工程後の組織も、フェライト中の{112}<110>方位を高め、さらに、低温変態相中にも{112}<110>方位を発達させることで、ヤング率を高くすることができる。このような効果を得るには、冷間圧延時の圧下率を50%以上とする必要がある。
・500℃から均熱温度までの昇温速度:1〜30℃/s、均熱温度:780〜900℃
焼鈍工程における昇温速度は、本発明における重要なプロセス条件である。焼鈍工程において、二相域となる均熱温度、すなわち780〜900℃の均熱温度まで昇温する過程において、{112}<110>方位を持つフェライトの再結晶を促進すると共に、{112}<110>の方位を持つフェライト粒の一部は、未再結晶の状態で二相域に到達させることで、{112}<110>の方位を持つ未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進させることができる。従って、均熱後の冷却時にオーステナイトがフェライトに変態するに際しては、{112}<110>の方位を持つフェライトの粒成長を促進することでヤング率を高めることができる。さらに、低温変態相を生成させ、高強度化するに際しては、{112}<110>の方位を含むフェライトから変態したオーステナイト相が、冷却時に再変態することから、低温変態相の結晶方位に関しても、{112}<110>を発達させることができる。このように、フェライト相の{112}<110>を発達させることでヤング率を高めると共に、とくにヤング率の低下に大きな影響をもつ低温変態相の方位に{112}<110>を増加させることで、低温変態相を生成させつつ、低温変態相の生成に伴うヤング率の低下は抑制することができる。このように、昇温過程において、フェライトの再結晶を促進しつつ、未再結晶フェライトからオーステナイト変態させるには、再結晶挙動に大きく影響をおよぼす500℃から均熱温度である780〜900℃までの平均の昇温速度を1〜30℃/sとする必要がある。また、ここで均熱温度を780〜900℃とするのは、780℃を下回ると、未再結晶組織が残ってしまうためであり、また900℃を上回ると、オーステナイトの生成量が多くなり、ヤング率の向上に有利な{112}<110>の方位をもつフェライトを発達させることが困難となるためである。
なお、均熱時間は特に限定する必要はないが、オーステナイトを生成させる上で30秒以上とすることが好ましく、一方長くなりすぎると、生産効率が悪くなるため、300秒以 下程度とすることが好ましい。
均熱後の冷却過程において、高強度化のためにマルテンサイト相を含む低温変態相を生成させる必要がある。そのため、均熱後、500℃までの平均冷却速度を5℃/s以上とする 必要がある。
まず、表1に示す成分の鋼Aを実験室真空溶解炉にて溶製し、一旦室温まで冷却し、鋼塊(鋼素材)を作製した。
なお、上記組織において、フェライト相およびマルテンサイト相以外の残部は、ベイナイト相、残留オーステナイト相、パーライト相およびセメンタイト相のいずれかであった。
表4に試験調査により得られた特性をまとめて示す。ここで、マルテンサイト相およびフェライト相以外の組織は、ベイナイト相、残留オーステナイト相、パーライト相およびセメンタイト相のいずれかであった。
その他の鋼種に関しては、いずれも本発明の適正範囲内にあり、TSおよびヤング率とも本発明の請求範囲を満たした。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S :0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびTi:0.02〜0.50%を含有し、かつ C、N、SおよびTiの含有量が、下記(1)式および(2)式に示す関係式を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有すると共に、組織が、フェライト相を主相とし、面積率で1%以上のマルテンサイト相を有し、さらに引張強度が 590 MPa以上でかつヤング率が 230 GPa以上であることを特徴とする高剛性高強度薄鋼板。
記
Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≧0.01 ・・・ (1)
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*≦0.05 ・・・ (2) - 請求項1に記載の高剛性高強度薄鋼板において、上記組成に加えて、さらに質量%で、Nb:0.005〜0.04%およびV:0.01〜0.20%のうちから選んだ1種または2種を含有し、かつ上記(1)式に示す関係を満たし、さらに上記(2)式に代えて下記(3)式に示す関係式を満たすことを特徴とする高剛性高強度薄鋼板。
記
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*−(12/92.9)×Nb−(12/50.9)×V≦0.05 ・・・ (3) - 請求項1または2に記載の高剛性高強度薄鋼板において、上記組成に加えて、さらに質量%で、Cr:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜2.0%およびB:0.0005〜0.0030%の中から選択される1種以上を含有することを特徴とする高剛性高強度薄鋼板。
- 質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S :0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびTi:0.02〜0.50%を含有し、かつ C、N、SおよびTiの含有量が、下記(1)式および(2)式に示す関係式を満たす組成からなる鋼素材を、熱間圧延工程において、950℃以下での総圧下量を30%以上とし、さらに仕上圧延を800〜900℃で終了したのち、650℃以下で巻取り、酸洗後に、50%以上の圧下率で冷間圧延を行い、その後500℃からの昇温速度を1〜30℃/sとして、780〜900℃の温度に昇温して均熱した後、500℃までの冷却速度を5℃/s以上の速度として冷却する焼鈍を施すことを特徴とする高剛性高強度薄鋼板の製造方法。
記
Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≧0.01 ・・・ (1)
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*≦0.05 ・・・ (2) - 請求項4に記載の鋼素材が、上記組成に加えて、さらに質量%で、Nb:0.005〜0.04 %およびV:0.01〜0.20%のうちから選んだ1種または2種を含有し、かつ上記(1)式に示す関係を満たし、さらに、上記(2)式に代えて下記(3)式に示す関係式を満たすことを特徴とする高剛性高強度薄鋼板の製造方法。
記
0.01≦C−(12/47.9)×Ti*−(12/92.9)×Nb−(12/50.9)×V≦0.05 ・・・ (3) - 請求項4または5に記載の鋼素材が、上記組成に加えて、さらに質量%で、Cr:0.1〜 1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜2.0%およびB:0.0005〜0.0030%の中から選択される1種以上を含有することを特徴とする高剛性高強度薄鋼板の製造方法。
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