JP4622783B2 - 剛性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Ti-1≧0.01・・・・・・・・(1)
Ti-1/Mo=0.10〜0.50・・・・・(2)
C-(12/47.9)×Ti-1-(12/92.9)×Nb-(12/95.9)×Mo≧0.01・・・・・(3)
ここで、Ti-1=Ti-(47.9/14)×N-(47.9/32.1)×Sであり、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
C-(12/47.9)×Ti-1-(12/92.9)×Nb-(12/95.9)×Mo-(12/50.9)×V≧0.01・・・・・(4)
ただし、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
Ta=930-200×C0.5+40×Si-30×Mn+40×Al-10×Cr+30×Mo-15×Ni-20×Cu+10×W
・ ・・・(5)
ただし、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
C:Cは、オーステナイトを安定化させる元素であり、冷間圧延後の焼鈍時の冷却過程において焼入れ性を高め、低温変態相の生成を促進することで高強度化に大きく寄与する。このような効果を得るためには、C量を0.05%以上とし、さらに、Nb、Ti、Moで炭化物として固定されない量として上記(3)式の左辺で計算される固溶Cを0.01%以上とする必要がある。一方、C量が0.15%を超えると、硬質な低温変態相が増加して鋼板が極端に高強度化し、その加工性が劣化するとともに、冷間圧延および焼鈍時に剛性向上に有利な集合組織の発達を抑制したり、溶接性の劣化を招く。したがって、C量は0.05〜0.15%、好ましくは0.05〜0.11%とする。
(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位の集合組織を発達させることで、特に圧延方向に対して直角方向の剛性を向上させることができることから、鋼板の1/4板厚における板面の(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位における平均のODF(Orientation Distribution Function)解析強度fを6以上とする必要がある。
本発明の高強度薄鋼板は、例えば、上記のような成分組成からなる鋼を、スラブ鋳造し、熱間圧延を行い熱延鋼板とし、巻取った後、酸洗し、冷間圧延を行って冷延鋼板とし、焼鈍を行って製造されるが、以下にその詳細を説明する。
熱間圧延時の仕上圧延の圧延終了温度(仕上圧延終了直後の温度)がAr3変態点を下回ると、フェライト粒が粗大化したり、巻取温度が低い場合には未再結晶の組織となって、剛性を向上させる集合組織を発達させることができない。したがって、仕上圧延終了温度はAr3変態点以上とする必要がある。なお、仕上圧延を行うに際し、Ar3変態点直上での圧延を行うと{112}<111>の結晶方位からなる未再結晶のオーステナイト組織を発達させ、その後の冷却過程において{112}<111>未再結晶オーステナイトからフェライト変態させることで{113}<110>のフェライト方位を発達させることができ、冷間圧延、焼鈍後に(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位を高めることができ、剛性をより向上させることができる。それには、(Ar3変態点+100)℃以下における合計圧下率を50%以上で仕上圧延を行い、かつ仕上圧延終了温度をAr3変態点〜(Ar3変態点+50)℃の温度範囲とすることが好ましい。また、仕上圧延を行うに際し、潤滑圧延を行うと高剛性化に不利な剪断歪による集合組織の発達を抑制できる。
熱間圧延後の鋼板を巻取るにあたり、巻取温度が500℃を下回ると低温変態相が生成して、その後の冷間圧延において、剛性を向上させる集合組織を発達させることができない。したがって、巻取温度は500℃以上とする必要がある。一方、巻取温度が高いと、冷間圧延前のフェライト粒が粗大化し、剛性を向上させる集合組織の発達を抑制することから、巻取温度は650℃以下とすることが好ましい。
酸洗後の熱延鋼板を冷間圧延する際に、その圧下率を最適化することで、剛性の向上に有効な(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位に回転させることができる。このような方位を発達させるには圧下率を45〜85%とする必要がある。圧下率が45%未満あるいは85%を超えると(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位への回転が不十分となり、剛性を向上させることが困難となる。
焼鈍時の昇温速度が極端に遅いと、昇温途中でフェライトの再結晶が進行することから、焼鈍時の昇温速度は室温からTa℃までの平均で1℃/s以上とする必要がある。なお、昇温速度は、特に上限を設けるものではないが、大きな昇温速度を得るには急速加熱設備等が必要となり製造コストが上昇するため、平均で30℃/s未満とすることが好ましい。
焼鈍時の加熱温度は、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を進行させる必要があることから、Ac3変態点に影響を及ぼすC、Si、Mn、Al、Cr、Mo、Ni、Cu、Wの含有量から求まる上記(5)式のTa=930-200×C0.5+40×Si-30×Mn+40×Al-10×Cr+30×Mo-15×Ni-20×Cu+10×W(℃)以上の温度とする必要がある。なお、Taは、昇温時のオーステナイト変態の完了の目安となる温度であり、発明者らの求めた回帰式である。一方、加熱温度が高い場合には、オーステナイトが粗大化し、剛性を高めることができなくなり、また、この傾向は圧下率が低いほど顕著であることから、加熱温度は(Ta+10+R0.9)℃以下とする必要がある。
焼鈍時の加熱温度が高いところで、長時間滞留させるとオーステナイトが粗大化し、曲げ剛性を高めることができなることから、焼鈍加熱時に鋼板をTa〜(Ta+10+R0.9)℃の温度範囲に上記(6)式を満たすような時間v(s)滞留させる必要がある。なお、Ta〜(Ta+10+R0.9)℃の温度範囲では、上記滞留時間v(s)を満足しさえすればよく、この温度範囲における熱履歴は、特に規定する必要はなく、製造設備に合わせ設定すればよい。ここで、上記(6)式は、オーステナイトが粗大化し過ぎず剛性を確保することができるための滞留時間を求めた実験式である。
焼鈍時の加熱後の冷却は、(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位をもつフェライトを生成、成長させる必要があることから、Ta〜600℃の温度範囲を30℃/s以下の平均冷却速度で冷却する必要がある。一方、平均冷却速度が3℃/sを下回る場合には、フェライト粒が大きくなるとともに、粒径分布の分散も大きくなり、優れた剛性が得られない。したがって、加熱後は、Ta〜600℃の温度範囲を3〜30℃/sの平均冷却速度で冷却する必要がある。なお、600℃未満の冷却は、特に規定する必要はなく、製造設備に合わせ設定すればよい。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.3%以下、Mn:1.5〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.0%以下、N:0.01%以下、Nb:0.02〜0.1%、Ti:0.01〜0.2%、Mo:0.1〜1.0%を含有し、C、N、S、Nb、Ti、Moの含有量が下記の(1)〜(3)式を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ鋼板の1/4板厚における板面の(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位における平均のODF解析強度fが6以上であることを特徴とする剛性に優れた高強度薄鋼板;
Ti-1≧0.01・・・・・・・・(1)
Ti-1/Mo=0.10〜0.50・・・・・(2)
C-(12/47.9)×Ti-1-(12/92.9)×Nb-(12/95.9)×Mo≧0.01・・・・・(3)
ここで、[1-10]は(1,-1,0)の方向を表し、Ti-1=Ti-(47.9/14)×N-(47.9/32.1)×Sであり、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。 - さらに、質量%で、V:0.01〜0.2%を含有し、上記の(3)式に代わり、C、N、S、Nb、Ti、Mo、Vの含有量が下記の(4)式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の剛性に優れた高強度薄鋼板;
C-(12/47.9)×Ti-1-(12/92.9)×Nb-(12/95.9)×Mo-(12/50.9)×V≧0.01・・・・・(4)
ただし、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。 - さらに、質量%で、Cr:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、B:0.0005〜0.0030%の中から選ばれた少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の剛性に優れた高強度薄鋼板。
- さらに、質量%で、Cu:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の剛性に優れた高強度薄鋼板。
- さらに、質量%で、W:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の剛性に優れた高強度薄鋼板。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の組成からなる鋼を、鋳造し、Ar3変態点以上の仕上圧延終了温度で熱間圧延し、500℃以上の巻取温度で巻取った後、酸洗を行い、45〜85%の範囲の圧下率Rで冷間圧延を行った後、焼鈍を行うに際し、室温から下記の(5)式に定義する温度Ta℃までを平均1℃/s以上の昇温速度で加熱し、Ta〜(Ta+10+R0.9)℃の温度範囲に下記の(6)式を満たすような時間v(s)滞留させた後、Ta〜600℃の温度範囲を3〜30℃/sの平均冷却速度で冷却することを特徴とする剛性に優れた高強度薄鋼板の製造方法;
Ta=930-200×C0.5+40×Si-30×Mn+40×Al-10×Cr+30×Mo-15×Ni-20×Cu+10×W
・ ・・・(5)
ただし、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
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JP2005154808A (ja) * | 2003-11-21 | 2005-06-16 | Jfe Steel Kk | プレス成形性に優れた溶接継手用高強度薄鋼板およびこれを用いた溶接継手 |
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