JP4622784B2 - 剛性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Ti-1/Mo=0.4〜0.6・・・・・(1)
C-(12/47.9)×Ti-1-(12/95.9)×Mo<0.010・・・・・(2)
ここで、Ti-1=Ti-(47.9/14)×N-(47.9/32.1)×Sであり、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
C-(12/47.9)×Ti-1-(12/92.9)×Nb-(12/95.9)×Mo-(12/50.9)×V<0.010・・・・・(3)
ただし、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
C:Cは、Ti、Moと複合炭化物を形成することで、高強度化、高ヤング率化に寄与する。このような効果を得るため、C量は0.02%以上とする。一方、Ti、Moで固定されないC量が多くなると低温変態相の生成が促進され、フェライト相が減少し、剛性が低下する。それゆえ、多量のCが添加された場合には、それに応じてTi、Moの添加量を多くする必要があるが、複合炭化物の効果が飽和するとともに合金コストが増加するので、C量は0.15%以下、好ましくは0.10%以下とするとともに、Ti、Moで固定されないC量を表す上記(2)式の左辺を0.010未満とする必要がある。
フェライト相を増加させることで、特に、圧延方向、圧延方向に対して45°方向、圧延方向に対して90°方向の平均の剛性を向上させることができることから、フェライト相の面積率を90%以上、好ましくは95%以上とする必要がある。なお、フェライト相以外のその他の相は、極力少ない方が好ましいが、特に規定する必要はなく、上記フェライト相の面積率を満足すれば、本発明の効果を阻害することはない。
(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位の集合組織を発達させることで、剛性を向上させることができることから、鋼板の1/4板厚における板面の(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位における平均のODF(Orientation Distribution Function)解析強度fを10以上とする必要がある。
本発明の高強度薄鋼板は、例えば、上記のような成分組成からなる鋼を、スラブ鋳造し、熱間圧延を行い熱延鋼板とし、巻取った後、酸洗し、冷間圧延を行って冷延鋼板とし、焼鈍を行って製造されるが、以下にその詳細を説明する。
熱間圧延時の仕上圧延の圧延終了温度(仕上圧延終了直後の温度)がAr3変態点を下回ると、フェライト粒が粗大化したり、巻取温度が低い場合には未再結晶の組織となって、剛性を向上させる集合組織を発達させることができない。したがって、仕上圧延終了温度はAr3変態点以上とする必要がある。
熱間圧延後の鋼板を巻取るにあたり、巻取温度が500℃を下回ると、低温変態相が生成して、その後の冷間圧延において剛性を向上させる集合組織を発達させることができなくなったり、炭化物が微細に析出して、その後の冷間圧延時の負荷が増加するとともに、焼鈍時には微細な炭化物が容易に固溶し、高剛性化への寄与が小さくなる。したがって、巻取温度は500℃以上、好ましくは600℃以上、より好ましくは650℃以上とする必要がある。一方、巻取温度が700℃を超えるとスケールが成長することで歩留まりの低下を招くことから、巻取温度は700℃以下とすることが好ましい。
酸洗後の熱延鋼板を冷間圧延する際に、その圧下率を最適化することで、剛性の向上に有効な(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位に回転させることができる。このような方位を発達させるには圧下率を20〜85%とする必要がある。一方、圧下率が高い場合は、圧延荷重が高くなり操業上のコストが増加することから、圧下率は60%以下とすることが好ましく、50%以下とすることがより好ましい。
焼鈍時の昇温速度が極端に遅いと、昇温途中でフェライトの再結晶が促進し、(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位以外の集合組織を有する粒が成長することから、焼鈍時の昇温速度は室温から820℃までの平均での1℃/s以上とする必要がある。なお、昇温速度は、特に上限を設けるものではないが、大きな昇温速度を得るには急速加熱設備等が必要となり製造コストが上昇するため、平均で30℃/s未満とすることが好ましい。
焼鈍時の加熱温度が820℃未満だと、焼鈍後に未再結晶が残り、加工性が著しく低下するので、加熱温度は820℃以上とする必要がある。一方、加熱温度が900℃を超えると、(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位以外の集合組織を有する粒が成長することから、加熱温度は900℃以下とする必要がある。
焼鈍時の加熱温度が本発明範囲内であっても、長時間滞留させると(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位以外の集合組織を有する粒が成長することから、820〜900℃の温度範囲に上記(4)式を満たすような時間v(s)滞留させる必要がある。ここで、(4)式は、所定の集合組織を得ることができるような滞留時間を求めた実験式である。なお、820〜900℃の温度範囲では、上記滞留時間v(s)を満足しさえすればよく、この温度範囲における熱履歴は、特に規定する必要はなく、製造設備に合わせ設定すればよい。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.3%以下、Mn:1.0〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.0%以下、N:0.01%以下、Ti:0.05〜0.2%、Mo:0.1〜0.4%を含有し、C、N、S、Ti、Moの含有量が下記の(1)〜(2)式を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、面積率で90%以上のフェライト相を含有するミクロ組織を有し、かつ鋼板の1/4板厚における板面の(113)[1-10]〜(223)[1-10]方位における平均のODF解析強度fが10以上であることを特徴とする剛性に優れた高強度薄鋼板;
Ti-1/Mo=0.4〜0.6・・・・・(1)
C-(12/47.9)×Ti-1-(12/95.9)×Mo<0.010・・・・・(2)
ここで、[1-10]は(1,-1,0)の方向を表し、Ti-1=Ti-(47.9/14)×N-(47.9/32.1)×Sであり、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。 - さらに、質量%で、Nb:0.005〜0.2%、V:0.01〜0.5%から選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、上記の(2)式に代わり、C、N、S、Nb、Ti、Mo、Vの含有量が下記の(3)式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の剛性に優れた高強度薄鋼板;
C-(12/47.9)×Ti-1-(12/92.9)×Nb-(12/95.9)×Mo-(12/50.9)×V<0.010・・・・・(3)
ここで、式中の各元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。 - さらに、質量%で、Cr:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、B:0.0005〜0.0030%の中から選ばれた少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の剛性に優れた高強度薄鋼板。
- さらに、質量%で、Cu:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の剛性に優れた高強度薄鋼板。
- さらに、質量%で、W:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の剛性に優れた高強度薄鋼板。
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