JP2003055739A - 形状凍結性に優れたフェライト系薄鋼板 - Google Patents

形状凍結性に優れたフェライト系薄鋼板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げを主体とする加工を行ったときの形状凍
結性に優れたフェライト系薄鋼板を提供する。 【解決手段】 板面の{100}<011>〜{22
3}<110>方位群のX線ランダム強度比の平均値が
3.0以上で、かつ、これらの方位群の中で{112}
<110>方位のX線ランダム強度比が最大かつ4.0
以上を満足し、更に、{554}<225>、{11
1}<112>、{111}<110>の3つの結晶方
位のX線ランダム強度比の平均値が3.5以下であり、
加えて、圧延方向および圧延方向と直角方向のr値のう
ち少なくとも1つが0.7以下であるフェライト系薄鋼
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、曲げ加工を主とす
る形状凍結性が優れたフェライト系薄鋼板(以下、単に
鋼板又は薄鋼板ともいう)に関するもので、自動車部品
等が主たる用途である。
【0002】
【従来の技術】自動車からの炭酸ガスの排出量を抑える
ために、高強度鋼板を使用して自動車車体の軽量化が進
められている。また、搭乗者の安全性確保のためにも、
自動車車体には軟鋼板の他に高強度鋼板が多く使用され
るようになってきている。更に自動車車体の軽量化を今
後進めていくために、従来以上に高強度鋼板の使用強度
レベルを高めたいという新たな要請が非常に高まりつつ
ある。
【0003】しかしながら、高強度鋼板に曲げ変形を加
えると、加工後の形状はその高強度ゆえに、加工冶具の
形状から離れて加工前の形状の方向に戻りやすくなるス
プリング・バック現象や、成形中の曲げ−曲げ戻しから
の弾性回復により側壁部の平面が曲率を持った面になっ
てしまうという壁そり現象が起こり、狙いとする加工部
品の形状が得られない寸法精度不良が生じる。
【0004】従って、従来の自動車の車体では、主とし
て440MPa以下の高強度鋼板に限って使用されてき
た。自動車車体にとっては、490MPa以上の高強度
鋼板を使用して車体の軽量化を進めていく必要があるに
もかかわらず、スプリング・バックや壁そりが少なく形
状凍結性の良い高強度鋼板が存在しないのが実状であ
る。
【0005】付け加えるまでもなく、440MPa以下
の高強度鋼板や軟鋼板の加工後の形状凍結性を高めるこ
とは、自動車や家電製品などの製品の形状精度を高める
上で極めて重要であることはいうまでもない。
【0006】特開平10−72644号公報には、圧延
面に平行な面における{200}集合組織の集積度が
1.5以上であることを特徴とするスプリング・バック
量(本発明での寸法精度)が小さいオーステナイト系ス
テンレス冷延鋼板が開示されている。しかし、フェライ
ト系鋼板のスプリング・バック量を小さくする技術につ
いては何ら記載されていない。
【0007】また、フェライト系ステンレス鋼のスプリ
ングバック量を小さくする技術として、特開2001−
32050号公報には、板厚中央部の集合組織において
板面に平行な{100}面の反射X線強度比を2以上と
する発明が開示されている。しかし、この発明は壁そり
現象の低減に関しては何ら記載がなく、{100}<0
11>〜{223}<110>方位群、および、壁そり
低減のために重要な方位である{112}<110>方
位については何ら記載されていない。
【0008】また、本発明者らの一部はWO00/06
791号にて、形状凍結性の向上を目的として、{10
0}面と{111}面の比が1以上であるフェライト系
薄鋼板を開示したが、本発明のように{100}<01
1>〜{223}<110>方位群および{112}<
110>のX線ランダム強度比については開示されてい
ない。
【0009】また、本発明者らの一部は特開2001−
64750号公報にて、スプリングバック量を小さくす
る技術として、板面に平行な{100}面の反射X線強
度比が3以上である冷延鋼板を開示したが、この公報記
載の発明は、本発明とは異なり板厚最表面でのX線強度
比の規定を特徴としており、上記公報には、本発明で最
も重要とされる方位{112}<110>については記
載されていない。
【0010】また、特開2000−297349号公報
には、形状凍結性の良好な鋼板として、r値の面内異方
性Δrの絶対値が0.2以下である熱延鋼板が開示され
ている。しかし、この発明は低降伏比化することによっ
て形状凍結性を向上させることを特徴としており、上記
公報には、本発明の技術思想に基づく形状凍結性の向上
を目的とする集合組織制御に関しては記載されていな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】軟鋼板や高強度鋼板に
曲げ加工を施すと、鋼板の強度に依存しながら大きなス
プリング・バックや壁そりが発生し、加工成形部品の形
状凍結性が悪いのが現状である。本発明は、この問題を
抜本的に解決して、形状凍結性に優れたフェライト系薄
鋼板を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】従来の知見によれば、ス
プリング・バックや壁そりを抑えるための方策として
は、鋼板の変形応力を低くすることがとりあえず重要で
あると考えられていた。そして、変形応力を低くするた
めには、降伏強さや引張強さの低い鋼板を使用せざるを
えなかった。しかし、これだけでは、鋼板の曲げ加工性
を向上させ、スプリング・バック量や壁そり量を低く抑
えるための根本的な解決にはならない。
【0013】そこで、本発明者らは、曲げ加工性を向上
させてスプリング・バックや壁そりの発生を根本的に解
決するために、新たに、鋼板の集合組織の曲げ加工性へ
の影響に着目して、その作用効果を詳細に調査、研究し
た。そして、曲げ加工性に優れた鋼板を見いだした。
【0014】その結果、{100}<011>〜{22
3}<110>方位群の強度と{112}<110>、
{554}<225>、{111}<112>、{11
1}<110>の各方位の強度を制御すること、更に
は、圧延方向のr値および圧延方向と直角方向のr値の
うち少なくとも1つをできるだけ低い値にすることで、
曲げ加工性が飛躍的に向上することを明らかにした。
【0015】本発明は、上記知見に基づいて構成されて
おり、その主旨とするところは、以下のとおりである。
【0016】(1)少なくとも1/2板厚における板面
の{100}<011>〜{223}<110>方位群
のX線ランダム強度比の平均値が3.0以上で、かつ、
これらの方位群の中で{112}<110>方位のX線
ランダム強度比が最大かつ4.0以上を満足し、更に、
{554}<225>、{111}<112>および
{111}<110>の3つの結晶方位のX線ランダム
強度比の平均値が3.5以下であり、加えて、圧延方向
のr値および圧延方向と直角方向のr値のうち少なくと
も1つが0.7以下であることを特徴とする形状凍結性
に優れたフェライト系薄鋼板。
【0017】(2)質量%で、C:0.0001%以
上、0.25%以下、Si:0.001%以上、2.5
%以下、Mn:0.01%以上、2.5%以下、P:
0.2%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%
以上、2%以下、N:0.01%以下、O:0.01%
以下を含有し、残部鉄および不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする前記(1)に記載の形状凍結性に優れた
フェライト系薄鋼板。
【0018】(3)更に、質量%で、Ti:0.2%以
下、Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、B:0.
007%以下の1種または2種以上を含有することを特
徴とする前記(2)に記載の形状凍結性に優れたフェラ
イト系薄鋼板。
【0019】(4)更に、質量%で、Mo:1%以下、
Cr:1.5%以下、Cu:2%以下、Ni:1%以
下、Sn:0.2%以下の1種または2種以上を含有す
ることを特徴とする前記(2)または(3)記載の形状
凍結性に優れたフェライト系薄鋼板。
【0020】(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記
載の鋼板にめっきをしたことを特徴とする形状凍結性に
優れたフェライト系薄鋼板。
【0021】(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記
載の化学成分からなる鋼片を熱間圧延するに当たり、A
3変態温度〜(Ar3+100)℃における圧下率の合
計が25%以上となるように制御し、Ar3変態温度〜
(Ar3+100)℃で熱間圧延を終了し、熱間圧延終
了温度から(1)式に示す鋼の化学成分(質量%)で決
まる臨界温度To(℃)まで平均冷却速度10〜200
℃/sで冷却し、To(℃)以下で巻き取ることを特徴
とする形状凍結性に優れたフェライト系薄鋼板の製造方
法。 To=−650.4×C%+B …(1) ここで、 B=−50.6×Mneq+894.3 Mneq=Mn%+0.24×Ni%+0.13×Si
%+0.38×Mo%+0.55×Cr%+0.16×
Cu%−0.50×Al%−0.45×Co%+0.9
0×V%
【0022】(7)前記Ar3変態温度〜(Ar3+10
0)℃において、(2)式で計算される有効ひずみ量ε
*が0.4以上になるように熱間圧延を行うことを特徴
とする前記(6)に記載の形状凍結性に優れたフェライ
ト系薄鋼板の製造方法。
【0023】
【数2】
【0024】ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド
数、εiはi番目のスタンドで加えられたひずみ、ti
i〜i+1番目のスタンド間の走行時間(秒)、τi
気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延
温度Ti(K)によって下式で計算できる。 τi=8.46×10-9・exp{43800/R/T
i}
【0025】(8)前記Ar3変態温度〜(Ar3+10
0)℃において、少なくとも1パス以上を摩擦係数が
0.2以下となるように圧延することを特徴とする前記
(6)または(7)記載の形状凍結性に優れたフェライ
ト系薄鋼板の製造方法。
【0026】(9)前記(6)〜(8)のいずれかに記
載のフェライト系薄鋼板を酸洗し、圧下率80%未満の
冷間圧延を施した後、600〜(Ac3+100)℃に
加熱し、冷却することを特徴とする、形状凍結性に優れ
たフェライト系薄鋼板の製造方法。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明の内容を詳細に説明
する。まずX線ランダム強度比とr値について説明す
る。
【0028】(a)1/2板厚における板面の{10
0}<011>〜{223}<110>方位群のX線ラ
ンダム強度比の平均値、{112}<110>方位のX
線ランダム強度比、並びに{554}<225>、{1
11}<112>及び{111}<110>の3つの結
晶方位のX線ランダム強度比の平均値:この平均値は、
本発明で特に重要な特性値である。板厚中心位置での板
面のX線回折を行い、ランダム試料に対する各方位の強
度比を求めたときの、{100}<011>〜{22
3}<110>方位群の平均値が3.0以上でなくては
ならない。これが3.0未満では形状凍結性が劣悪とな
る。
【0029】この方位群に含まれる主な方位は、{10
0}<011>、{116}<110>、{114}<
110>、{113}<110>、{112}<110
>、{335}<110>および{223}<110>
である。
【0030】これら各方位のX線ランダム強度比は、
{110}極点図に基づきベクトル法により計算した3
次元集合組織や、{110}、{100}、{21
1}、{310}極点図のうち複数の極点図(好ましく
は3つ以上)を用いて級数展開法で計算した3次元集合
組織から求めればよい。
【0031】例えば、後者の方法における上記各結晶方
位のX線ランダム強度比には、3次元集合組織のφ2=
45゜断面における(001)[1−10]、(11
6)[1−10]、(114)[1−10]、(11
3)[1−10]、(112)[1−10]、(33
5)[1−10]、(223)[1−10]の強度をそ
のまま用いればよい。
【0032】{100}<011>〜{223}<11
0>方位群の平均値とは、上記の各方位の強度の相加平
均である。上記の全ての方位の強度を得ることができな
い場合には、{100}<011>、{116}<11
0>、{114}<110>、{112}<110>、
{223}<110>の各方位の強度の相加平均で代替
してもよい。
【0033】本発明者らは、これらの方位のうち、特
に、{112}<110>方位が壁そりの低減に極めて
効果的な方位であることを新たに見いだした。したがっ
て、{112}<110>方位のX線ランダム強度は、
{100}<011>〜{223}<110>方位群の
中で最大かつ4.0以上でなければならない。これが
4.0未満であると、壁そりの低減量が十分得られず、
極めて良好な形状凍結性を確保することが困難になる。
【0034】ここで述べる{112}<110>方位は
本発明の効果を有する範囲として、圧延方向に対して直
角方向(Transverse direction)を回転軸として、±1
2°の範囲の傾きを許容するこの範囲は、±6°の範囲
とするのが更に望ましい。例えば、3次元集合組織の表
示では{112}<110>方位はφ2=45°断面に
おけるφ1=0°、Φ=35°に相当するが、Φ=35
°±12°を{112}<110>方位として認識す
る。
【0035】更に、1/2板厚における板面の{55
4}<225>、{111}<112>および{11
1}<110>の3つの結晶方位のX線ランダム強度比
の平均値は3.5以下でなくてはならない。これが3.
5超であると、{100}<011>〜{223}<1
10>方位群の強度が適正であっても、良好な形状凍結
性を得ることが困難となる。
【0036】{554}<225>、{111}<11
2>および{111}<110>のX線ランダム強度比
も、上記の方法に従って計算した3次元集合組織から求
めればよい。
【0037】より望ましくは、{100}<011>〜
{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平
均値が4.0以上、{112}<110>のX線ランダ
ム強度比が5.0以上、{554}<225>、{11
1}<112>および{111}<110>のX線ラン
ダム強度比の相加平均値が2.5未満である。
【0038】以上述べた結晶方位のX線強度が曲げ加工
時の形状凍結性に対して重要であることの理由は、必ず
しも明らかではないが、曲げ変形時の結晶のすべり挙動
と関係があるものと推測される。
【0039】X線回折に供する試料は、機械研磨などに
よって鋼板を所定の板厚まで減厚し、次いで、化学研磨
や電解研磨などによって歪みを除去すると同時に、板厚
1/2面が測定面となるように作製する。鋼板の板厚中
心層に偏析帯や欠陥などが存在し測定上不都合が生ずる
場合には、板厚の3/8〜5/8の範囲で適当な面が測
定面となるように、上述の方法に従って試料を調整して
測定すればよい。
【0040】当然のことであるが、上述のX線強度の限
定が板厚1/2近傍だけでなく、なるべく多くの厚みに
ついて満たされることで、より一層、形状凍結性が良好
になる。なお、{hkl}<uvw>で表される結晶方
位は、板面の法線方向が<hkl>に平行で、圧延方向
が<uvw>と平行であることを示している。
【0041】(b)圧延方向のr値(rL)および圧延
方向と直角方向のr値(rC):これらのr値は、本発
明において重要である。すなわち、本発明者等が鋭意検
討の結果、上述した種々の結晶方位のX線強度が適正で
あっても、必ずしも良好な形状凍結性が得られないこと
が判明した。上記のX線強度と同時に、rLおよびrC
のうち少なくとも1つが0.7以下であることが必須で
ある。より好ましくは0.55以下である。
【0042】rLおよびrCの下限は特に定めることな
く本発明の効果を得ることができるが、r値はJIS5
号引張試験片を用いた引張試験により評価する。引張歪
みは通常15%であるが、均一伸びが15%を下回る場
合には、均一伸びの範囲で、できるだけ15%に近い歪
みで評価すればよい。
【0043】なお、曲げ加工を施す方向は加工部品によ
って異なるので特に限定するものではないが、r値が小
さい方向に対して垂直もしくは垂直に近い方向に折り曲
げる加工を主とすることが好ましい。
【0044】ところで、一般に集合組織とr値とは相関
があることが知られているが、本発明においては、既述
の結晶方位のX線強度比に関する規定とr値に関する規
定とは互いに同義ではなく、両方の規定が同時に満たさ
れなくては良好な形状凍結性を得ることはできない。
【0045】本発明は、引張強度レベルの低い軟鋼板か
ら高強度鋼板にいたる全ての薄鋼板に適用できるもので
あり、上記の規定が満たされれば、薄鋼板の曲げ加工性
は飛躍的に向上する。換言すれば、上記規定は、薄鋼板
の機械的強度レベルの制約を越えた、曲げ加工変形に関
する基本的材料指標であるということである。
【0046】薄鋼板であれば上記の規定は普遍的に適用
できるので、特に薄鋼板の種類を限定することは基本的
に必要のないことである。本発明における薄鋼板の種類
は、軟鋼板から高強度鋼板にわたるものである。そし
て、勿論のこととして、熱延鋼板や冷延鋼板の区別は何
ら問うものではない。
【0047】次に、成分の限定理由について説明する。
【0048】Cの下限を0.0001%としたのは、実
用鋼で得られる下限値を用いることにしたためである。
一方でCが0.25%超になると加工性や溶接性が悪く
なるので、上限は0.25%とする。
【0049】Siは鋼板の機械的強度を高めるのに有効
な元素であるが、2.5%超となると加工性が劣化した
り、表面疵が発生したりするので、2.5%を上限とす
る。一方、実用鋼でSiを0.001%未満とするのは
困難であるので、0.001%を下限とする。
【0050】Mnも鋼板の機械的強度を高めるのに有効
な元素であるが、2.5%超となると加工性が劣化する
ので2.5%を上限とする。一方、実用鋼でMnを0.
01%未満とするのは困難であるので、0.01%を下
限とする。また、Mn以外に、Sによる熱間割れの発生
を抑制するTiなどの元素が十分に添加されない場合に
は、質量%で、Mn/S≧20となるMn量を添加する
ことが望ましい。
【0051】PとSは、それぞれ、0.20%以下、
0.03%以下とする。これは加工性の劣化や、熱間圧
延または冷間圧延時の割れを防ぐためである。
【0052】Alは脱酸のために0.01%以上添加す
る。しかし、多すぎると加工性が低下したり、表面性状
が劣悪となるので、上限を2.0%とする。
【0053】NとOは不純物であり、加工性を悪くさせ
ないように、それぞれ、0.01%以下、0.01%以
下とする。
【0054】Ti、Nb、V、Bは、熱延中のオーステ
ナイト相の再結晶を抑制するか、または、γ→α変態温
度を下げることで形状凍結性に好ましい集合組織、特
に、{112)<110>方位の発達を促進する。ま
た、炭素、窒素の固定、析出強化、組織制御、細粒強化
などの機構を通じて材質改善にも寄与することから、必
要に応じて、それぞれ、0.005%以上、0.001
%以上、0.001%以上、0.01%以上、0.00
01%以上を添加することが望ましい。しかし、過度に
添加しても格段の効果はなく、むしろ加工性や表面性状
を劣化させるので、それぞれに上限を設定した。その上
限は、Ti:0.2%、Nb:0.2%、V:0.2
%、B:0.007%である。
【0055】Mo、Cr、Cu、Ni、Snは、機械的
強度を高めたり材質を改善する効果があるので、必要に
応じて、各成分とも0.001%以上を添加することが
望ましい。しかし、過度の添加は逆に加工性を劣化させ
るので、上限を、Mo:1%、Cr:1.5%、Cu:
2%、Ni:1%、Sn:0.2%とする。
【0056】なお、本発明では特に限定しないが、脱酸
の目的や硫化物の形態制御の目的でCaやMgを0.0
1%以下添加しても構わない。
【0057】メッキの種類は特に限定されるものではな
く、電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき等の何れでも
本発明の効果が得られる。
【0058】次に、本発明薄鋼板の製造方法について説
明する。
【0059】熱間圧延に先行する製造方法は、特に限定
されるものではない。すなわち、高炉や電炉等による溶
製に引き続き各種の2次製錬を行い、次いで、通常の連
続鋳造、インゴット法による鋳造の他、薄スラブ鋳造な
どの方法で鋳造すればよい。連続鋳造の場合には、一度
低温まで冷却したのち、再度加熱してから熱間圧延して
もよいし、鋳造スラブを連続的に熱延してもよい。原料
にはスクラップを使用しても構わない。
【0060】本発明の形状凍結性に優れたフェライト系
薄鋼板は、上記化学成分の鋼を鋳造した後、熱間圧延後
冷却まま、熱間圧延後冷却ままもしくは酸洗後に熱処理
を施したまま、熱間圧延後冷却・酸洗し冷延した後に焼
鈍、あるいは、熱延鋼板もしくは冷延鋼板を溶融めっき
ラインにて熱処理を施したまま、更には、これらの鋼板
に別途表面処理を施すことによっても得られる。
【0061】熱間圧延の後半に、Ar3変態温度以上
(Ar3+100)℃以下で合計25%以上の圧延が行
われない場合には、圧延されたオーステナイトの集合組
織が十分に発達しないために、どのような冷却を施して
も、最終的に得られる熱延鋼板の板面に前記(1)の発
明で規定する所定のX線強度レベルの各結晶方位が得ら
れない。
【0062】したがって、Ar3変態温度以上(Ar3
100)℃以下での圧下率の合計の下限値を25%とし
た。
【0063】(Ar3+100)℃以下Ar3変態温度以
上での合計圧下率は、高いほど、よりシャープな集合組
織形成が期待されるので、この合計圧下率は、35%以
上とすることが好ましいが、97.5%を越えると、圧
延機の剛性を過剰に高める必要があり、経済上のデメリ
ットを生じるので、望ましくは97.5%以下とする。
【0064】熱間圧延終了温度は、Ar3変態温度より
低いと{100}<011>〜{223}<110>方
位群の中で{112}<110>方位が特に発達すると
いう現象が発現しなくなり、(Ar3変態温度+10
0)℃を超えると集合組織全体がランダム化することか
ら形状凍結性が劣化する。したがって、Ar3変態温度
〜(Ar3変態温度+100)℃に規定する。
【0065】また、熱延工程では多段の圧延スタンドで
加えられるひずみの累積的な効果が重要である。しかし
ながら、このひずみの累積的な効果は、加工温度が高い
ほど、また、スタンド間の走行時間が長いほど低下す
る。仕上げ熱延がnスタンドで行われる際に、i番目の
スタンドでの圧延温度をTi(K)、加工ひずみをεi
(真ひずみでi番目の圧下率riとは、εi=ln{1/
(1−ri)}の関係を持つ)、i番目とi+1番目の
スタンド間の走行時間(パス間時間:秒)をtiとする
と、累積効果を考慮したひずみ(有効ひずみε*)は実
験より求めた(2)式で表現できる。
【0066】
【数3】
【0067】ここで、τiは気体常数R(R=1.98
7)と圧延温度Tiによって下式で計算できる。 τi=8.46×10-9・exp{43800/R/T
i}
【0068】この有効ひずみε*が0.4未満の場合に
は、集合組織を著しく高く集積させることができない。
したがって、有効ひずみε*は0.4以上とする。
【0069】実際の熱延工程で、前記(2)式の計算を
行う場合には、Tiは、仕上げ熱延入側温度FT0と仕
上げ熱延出側温度FTnを用いて、式Ti=FT0
(FT0−FTn)/(n+1)×(i+1)で計算し
た値を用いるとよい。有効ひずみが高いほど集合組織が
発達することから、有効ひずみは0.45以上であれば
より好ましい。また、有効ひずみが0.9以上であれば
更に好ましい。
【0070】Ar3変態温度以上(Ar3+100)℃以
下の熱間圧延時の熱間圧延ロールと鋼板との摩擦係数が
0.2を越えている場合には、鋼板表面近傍における板
面に、{110}面を主とする結晶方位が発達し、形状
凍結性が劣化するので、より良好な形状凍結性を指向す
る場合には、Ar3変態温度以上(Ar3+100)℃以
下の熱間圧延時における少なくとも1パスについて、熱
間圧延ロールと鋼板との摩擦係数を0.2以下とするこ
とが望ましい。
【0071】この摩擦係数は低ければ低いほど好まし
く、下限は定めないが、さらに良好な形状凍結性が要求
される場合には、Ar3変態温度以上(Ar3+100)
℃以下の熱間圧延の全パスについて、摩擦係数を0.1
5以下とすることが望ましい。摩擦係数は従来から知ら
れているように圧延時の先進率と圧延荷重から求めるも
のとする。
【0072】このようにして形成されたオーステナイト
の集合組織を最終的な熱延鋼板に受け継がせるために
は、熱間圧延終了温度からTo(℃)までを平均冷却速
度10℃/s以上で冷却し、To(℃)以下で巻き取る
必要がある。
【0073】このTo(℃)は、オーステナイトと、オ
ーステナイトと同一成分のフェライトが同一の自由エネ
ルギーを持つ温度として熱力学的に定義され、C以外の
成分の影響も考慮して、前記(1)式を用いて、鋼板の
化学成分(質量%)で簡易的に計算することができる。
本発明において規定した成分以外の成分のTo(℃)に
及ぼす影響はそれほど大きくないので、ここでは無視し
た。
【0074】 To=−650.4×C%+B …(1) ここで、 B=−50.6×Mneq+894.3 Mneq=Mn%+0.24×Ni%+0.13×Si
%+0.38×Mo%+0.55×Cr%+0.16×
Cu%−0.50×Al%−0.45×Co%+0.9
0×V% 平均冷却速度は、好ましくは30℃/s以上、更に好ま
しくは50℃/s以上である。一方、平均冷却速度を2
00℃/s超にすることは実用上困難であるから、20
0℃/s以下と規定する。また、巻き取り温度の下限は
特に限定しないが、250℃より低くしても加工性が劣
化するばかりで格段の効果は得られないから、250℃
以上で巻き取るのが望ましい。
【0075】熱間圧延においては粗圧延後にシートバー
を接合し、連続的に仕上げ圧延をしてもよい。その際
に、粗バーを一旦コイル状に巻き、必要に応じて保温機
能を有するカバーに格納し、再度巻き戻してから接合を
行ってもよい。熱延鋼板には、必要に応じてスキンパス
圧延を施してもよい。スキンパス圧延には、加工成形時
に発生するストレッチャーストレインの防止や形状矯正
の効果があることはいうまでもない。
【0076】このようにして得られた熱延鋼板(もしく
は熱処理された熱延鋼板)を冷間圧延し、焼鈍して最終
的な薄鋼板とする際において、冷間圧延の全圧下率が8
0%以上となる場合には、一般的な冷間圧延−再結晶集
合組織である板面に平行な結晶面のX線回折積分面強度
比の{111}面や{554}面成分が高くなり、本発
明の特徴である前記(1)の発明における結晶方位の規
定を満たさなくなるので、冷間圧延の圧下率の上限を8
0%未満とした。
【0077】形状凍結性を高めるためには、冷間圧下率
を70%以下に制限することが望ましい。冷間圧下率の
下限は特に定めることなく本発明の効果を得ることがで
きるが、結晶方位の強度を適当な範囲に制御するために
は、3%以上とすることが好ましい。
【0078】このような範囲で冷間加工された冷延鋼板
を焼鈍する際に、焼鈍温度が600℃未満の場合には加
工組織が残留し成形性が著しく劣化するので、焼鈍温度
の下限を600℃とする。一方、焼鈍温度が過度に高い
場合には、再結晶によって生成したフェライトの集合組
織が、オーステナイトへ変態後、オーステナイトの粒成
長によってランダム化され、最終的に得られるフェライ
トの集合組織もランダム化される。
【0079】特に、焼鈍温度が(Ac3+100)℃を
越える場合には、そのような傾向が顕著となる。従っ
て、焼鈍温度は(Ac3+100)℃以下とする。冷延
鋼板には必要に応じてスキンパス圧延を施してもよい。
【0080】本発明で得られる組織は、フェライトを主
体とするものであるが、フェライト以外の金属組織とし
て、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト、オース
テナイトおよび/または炭窒化物等の化合物を含有して
も構わない。特に、マルテンサイトやベイナイトの結晶
構造は、フェライトのそれと同等もしくは類似している
ので、フェライトの代わりにこれらの組織が主体であっ
ても差し支えない。
【0081】なお、本発明に係る鋼板は、曲げ加工だけ
でなく、曲げ、張り出し、絞り等、曲げ加工を主体とす
る複合成形にも適用できる。
【0082】
【実施例】(実施例)本発明の実施例を挙げながら、本
発明の技術的内容について説明する。
【0083】実施例として、表1に示す成分組成を有す
る鋼種AからLまでの鋼を用いて検討した結果について
説明する。これらの鋼は、鋳造後、そのままもしくは一
旦室温まで冷却された後に再加熱し、900〜1300
℃に加熱され、その後熱間圧延が施され、最終的には
1.4mm、3.0mmもしくは8.0mm厚の熱延鋼
板にされた。
【0084】3.0mmおよび8.0mm厚の熱延鋼板
は冷間圧延することによって1.4mm厚とし、その後
連続焼鈍工程にて焼鈍を行った。
【0085】これら1.4mm厚の鋼板から50mm
幅、270mm長さの試験片を作成し、ポンチ幅78m
m、ポンチ肩R5、ダイ肩R5の金型を用いてハット曲
げ試験を行った。
【0086】曲げ試験を行った試験片については、三次
元形状測定装置にて板幅中心部の形状を測定し、図1に
示したように、点(1)と点(2)の接線と点(3)と
点(4)の接線の交点の角度から90°を引いた値の左
右での平均値をスプリング・バック量、点(3)と点
(5)間の曲率の逆数を左右で平均化し1000倍した
値を壁そり量、左右の点(5)間の長さからポンチ幅を
引いた値を寸法精度として形状凍結性を評価した。な
お、曲げは、r値の低い方向と垂直に折れ線が入るよう
に行った。
【0087】ところで、図2および図3に示したよう
に、スプリングバック量や壁そり量はBHF(しわ押さ
え力)によっても変化する。本発明の効果は、いずれの
BHFで評価を行ってもその傾向は変わらないが、実機
で実部品をプレスする際には、設備上の制約から高いB
HFはかけられないため、今回は、BHF29kNで各
鋼種のハット曲げ試験を行った。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】表2には、各鋼板の製造条件が本発明の範
囲内にあるか否かを示している。「熱延条件」の「熱延
温度」の欄には、Ar3温度以上(Ar3+100)℃以
下での圧下率の合計が25%以上で熱間圧延終了温度も
その温度範囲にある場合には「○」、その温度域での圧
下率の合計が25%未満の場合には「×」を記した。
【0091】「有効ひずみε*」の欄には、Ar3温度以
上(Ar3+100)℃以下における有効歪み量ε*を示
した。また、その温度域で、少なくとも1パス以上につ
いての摩擦係数が0.2以下の場合には「潤滑」の欄に
「○」、全パスにおける摩擦係数が0.2超の場合には
「△」を記した。「冷却速度」の欄には、熱間圧延終了
温度から熱延後To(℃)までの平均冷却速度を示す。
巻取は全て250℃以上で前記(1)式で求まるTo
(℃)以下とした。
【0092】このような熱延鋼板を1.4mm厚に冷延
する場合、冷延圧下率が80%以上の場合には、「冷延
圧下率」の欄に「×」を記し、「80%未満」の場合に
「○」を記した。また、焼鈍温度が600℃以上(Ac
3+100)℃以下の場合に「焼鈍温度」の欄に「○」
を記し、それ以外の場合には「×」を記した。製造の条
件として関係のない項目には「―」を記した。熱延鋼板
および冷延鋼板のいずれに対しても、スキンパス圧延を
0.5〜1.5%の範囲で施した。
【0093】X線の測定は、鋼板の代表値として板厚の
7/16厚の位置で板面に平行なサンプルを調整して、
実施した。
【0094】表3に、前記の方法によって製造した1.
4mm厚の熱延鋼板と冷延鋼板の機械的特性値を、表4
に、寸法精度、スプリング・バック量、壁そり量を示
す。表3および表4中の鋼種Hを除いた全鋼種におい
て、各鋼種の「−2」及び「−3」の番号が本発明の実
施例である。これらは、発明外の「−1」と「−4」の
番号のものに比べて、スプリング・バック量と壁そり量
が小さく、寸法精度が向上していることがわかる。
【0095】また、図4に、表3および表4に示した引
張強度と寸法精度の関係をグラフにして示す。この図か
らも明らかなように、いずれの強度レベルにおいても、
本発明で規定される各結晶方位のX線ランダム強度比と
r値を満たして、初めて良好な薄鋼板の形状凍結性を達
成することができるのである。
【0096】各結晶方位のX線ランダム強度比やr値が
形状凍結性に重要であることの機構については、現在の
ところ必ずしも明らかとはなっていない。おそらく、曲
げ変形時にすべり変形の進行を容易にすることで、結果
的に曲げ変形時のスプリング・バック量や壁そり量が小
さくなり、寸法精度が向上するものと理解される。
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【発明の効果】薄鋼板の集合組織とr値を制御すると、
その曲げ加工性は著しく向上することを以上に詳述し
た。本発明によって、ハット型成形のような曲げ加工を
主体とする加工を行った際に、スプリング・バック量お
よび側壁部の壁そり量が少なく、形状凍結性に優れた薄
鋼板を提供することができる。特に、従来は形状不良の
問題から高強度鋼板の適用が難しかった部品にも高強度
鋼板を使用できるようになる。自動車の軽量化を推進す
るためには、高強度鋼板の使用は是非とも必要である。
スプリング・バック量や壁そり量が少なく、形状凍結性
に優れた高強度鋼板を適用できるようになると、自動車
車体の軽量化をより一層推進することができる。従っ
て、本発明は、工業的に極めて高い価値のある発明であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハット曲げ試験に用いた試験片の断面図であ
る。
【図2】スプリングバック量とBHF(しわ押さえ力)
の関係を示す図である。
【図3】壁そり量とBHF(しわ押さえ力)の関係を示
す図である。
【図4】引張強度と寸法精度の関係を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/46 C21D 9/46 G T C22C 38/06 C22C 38/06 38/58 38/58 // B21B 37/00 111 B21B 37/00 111B (72)発明者 高橋 学 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 吉田 亨 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4E002 AD04 BC01 BC05 BC07 BD07 BD08 CB01 4E024 BB01 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA06 EA11 EA13 EA15 EA16 EA17 EA18 EA19 EA20 EA22 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA32 EB02 EB06 EB07 EB08 FC00 FD03 FD04 FE00 FG00 FH00 FJ00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1/2板厚における板面の
    {100}<011>〜{223}<110>方位群の
    X線ランダム強度比の平均値が3.0以上で、かつ、こ
    れらの方位群の中で{112}<110>方位のX線ラ
    ンダム強度比が最大かつ4.0以上を満足し、更に、
    {554}<225>、{111}<112>および
    {111}<110>の3つの結晶方位のX線ランダム
    強度比の平均値が3.5以下であり、加えて、圧延方向
    のr値および圧延方向と直角方向のr値のうち少なくと
    も1つが0.7以下であることを特徴とする形状凍結性
    に優れたフェライト系薄鋼板。
  2. 【請求項2】 質量%で、 C:0.0001%以上、0.25%以下、 Si:0.001%以上、2.5%以下、 Mn:0.01%以上、2.5%以下、 P:0.2%以下、 S:0.03%以下、 Al:0.01%以上、2.0%以下、 N:0.01%以下、 O:0.01%以下を含有し、残部鉄および不可避的不
    純物からなることを特徴とする請求項1に記載の形状凍
    結性に優れたフェライト系薄鋼板。
  3. 【請求項3】 更に、質量%で、 Ti:0.2%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 B:0.007%以下の1種または2種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の形状凍結性に優れた
    フェライト系薄鋼板。
  4. 【請求項4】 更に、質量%で、 Mo:1%以下、 Cr:1.5%以下、 Cu:2%以下、 Ni:1%以下、 Sn:0.2%以下の1種または2種以上を含有するこ
    とを特徴とする請求項2または3記載の形状凍結性に優
    れたフェライト系薄鋼板。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼
    板にめっきをしたことを特徴とする形状凍結性に優れた
    フェライト系薄鋼板。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化
    学成分からなる鋼片を熱間圧延するに当たり、Ar3
    態温度〜(Ar3+100)℃における圧下率の合計が
    25%以上となるように制御し、Ar3変態温度〜(A
    3+100)℃で熱間圧延を終了し、熱間圧延終了温
    度から(1)式に示す鋼の化学成分(質量%)で決まる
    臨界温度To(℃)まで平均冷却速度10〜200℃/
    sで冷却し、To(℃)以下で巻き取ることを特徴とす
    る形状凍結性に優れたフェライト系薄鋼板の製造方法。 To=−650.4×C%+B …(1) ここで、 B=−50.6×Mneq+894.3 Mneq=Mn%+0.24×Ni%+0.13×Si
    %+0.38×Mo%+0.55×Cr%+0.16×
    Cu%−0.50×Al%−0.45×Co%+0.9
    0×V%
  7. 【請求項7】 前記Ar3変態温度〜(Ar3+100)
    ℃において、(2)式で計算される有効ひずみ量ε*
    0.4以上になるように熱間圧延を行うことを特徴とす
    る請求項6に記載の形状凍結性に優れたフェライト系薄
    鋼板の製造方法。 【数1】 ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εiはi番
    目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番
    目のスタンド間の走行時間(秒)、τiは気体常数R
    (=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti
    (K)によって下式で計算できる。 τi=8.46×10-9・exp{43800/R/T
    i}
  8. 【請求項8】 前記Ar3変態温度〜(Ar3+100)
    ℃において、少なくとも1パス以上を摩擦係数が0.2
    以下となるように圧延することを特徴とする請求項6ま
    たは7に記載の形状凍結性に優れたフェライト系薄鋼板
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれか1項に記載のフ
    ェライト系薄鋼板を酸洗し、圧下率80%未満の冷間圧
    延を施した後、600〜(Ac3+100)℃に加熱
    し、冷却することを特徴とする形状凍結性に優れたフェ
    ライト系薄鋼板の製造方法。
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