JP2002363695A - 形状凍結性に優れた低降伏比型高強度鋼板とその製造方法 - Google Patents
形状凍結性に優れた低降伏比型高強度鋼板とその製造方法Info
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Abstract
を限定して、良好な形状凍結性を示す低降伏比型高強度
鋼板とその製造方法を提供する。 【解決手段】 所定成分組成の鋼を、体積分率で25%
以下のマルテンサイトを含む複合組織鋼とし、少なくと
も1/2板厚における板面の{100}<011>〜
{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平
均値が3.0以上で、かつ、{554}<225>、
{111}<112>及び{111}<110>の3つ
の結晶方位のX線ランダム強度比の平均値が3.5以
下、さらに、圧延方向のr値及び圧延方向と直角方向の
r値のうち少なくとも1つが0.7以下である形状凍結
性に優れた低降伏比型高強度鋼板。
Description
用し、効率よく自動車部材の軽量化を達成することがで
きる、加工時の形状凍結性に優れた低降伏比型高強度鋼
板とその製造方法に関するものである。
ために、高強度鋼板を使用して自動車車体の軽量化を図
ることが進められている。また、搭乗者の安全性確保の
ためにも、自動車車体には軟鋼板の他に高強度鋼板が多
く使用されるようになってきている。さらに、自動車車
体の軽量化を今後進めていくために、従来以上に高強度
鋼板の使用強度レベルを高めたいという新たな要請が非
常に高まりつつある。
えると、加工後の形状は、その高強度ゆえに、加工冶具
の形状から離れて加工前の形状の方向にもどろうとす
る。加工を与えても元の形状の方向にもどろうとする現
象はスプリング・バックと呼ばれている。このスプリン
グ・バックが発生すると、狙いとする加工部品の形状が
得られない。
て440MPa以下の高強度鋼板に限って使用されてき
た。自動車車体には490MPa以上の高強度鋼板を使
用して、車体の軽量化を進めていく必要があるにもかか
わらず、スプリング・バックが少なく形状凍結性の良い
高強度鋼板が存在しないのが実状である。
の高強度鋼板や軟鋼板において、加工後において、形状
凍結性を高めることは、自動車や家電製品などの製品の
形状精度を高める上で極めて重要であることはいうまで
もない。特開平10−72644号公報には、圧延面に
平行な面における{200}集合組織の集積度が1.5
以上であることを特徴とするスプリング・バック量(本
発明での寸法精度)が小さいオーステナイト系ステンレ
ス冷延鋼板が開示されている。しかし、フェライト系鋼
板のスプリングバック現象や壁そり現象を低減する技術
については何ら記載されていない。
ングバック量を小さくする技術として、特開2001−
32050号公報には、板厚中央部の集合組織において
板面に平行な{100}面の反射X線強度比を2以上と
する発明が開示されている。しかし、この公報に、壁そ
りの低減に関して何ら記載がなく、{100}<011
>〜{223}<110>方位群及び壁そり低減のため
に重要な方位である{112}<110>についても何
ら記載がない。
6791号にて形状凍結性の向上を目的として、{10
0}面と{111}面の比が1以上であるフェライト系
薄鋼板を開示したが、この発明には、本発明のように
{100}<011>〜{223}<110>方位群,
並びに{554}<225>,{111}<112>及
び{111}<110>のX線ランダム強度比の値につ
いては記載されていないと同時に、機械特性としての降
伏比YRを規定することについては何ら開示されていな
い。
−64750号公報にて,スプリングバック量を小さく
する技術として、板面に平行な{100}面の反射X線
強度比が3以上である冷延鋼板を開示したが、この冷延
鋼板は、板厚最表面での{100}面反射X線強度比を
規定することを特徴としており、本発明で規定する“板
厚1/2tでの{100}<011>〜{223}<1
10>方位群の平均X線強度比”とは、X線の測定位置
が異なる。
>、{111}<112>及び{111}<110>方
位についても何ら記載されていないと同時に、機械特性
としての降伏比YRを規定することについては、何ら開
示されていない。また、特開2000−297349号
公報には、形状凍結性の良好な鋼板として、r値の面内
異方性Δrの絶対値が0.2以下である熱延鋼板が開示
されている。しかし、この熱延鋼板は、低降伏比化する
ことによって形状凍結性を向上させることを特徴として
おり、上記公報に、本発明で述べているような思想に基
づいた形状凍結性の向上を目的とする集合組織制御に関
しては記載されていない。
用部材に適用する鋼板の強度を増すと、鋼板強度の上昇
に従ってスプリング・バック量が増大し、形状不良が発
生することから、高強度鋼板の適用が制限されているの
が現状である。本発明は、この問題を抜本的に解決し
て、良好な形状凍結性を持つ低降伏比型高強度鋼板を提
供するものである。
プリング・バックを抑えるための方策として、鋼板の降
伏点を低くすることがとりあえず重要であると考えられ
ていた。そして、降伏点を低くするために、引張強さの
低い鋼板を使用せざるを得なかった。しかし、これだけ
では、鋼板の曲げ加工性を向上させ、スプリング・バッ
ク量を低く抑えるための根本的な解決にはならない。
させてスプリング・バックの発生を根本的に解決するた
めに、新たに、鋼板の集合組織の曲げ加工性への影響に
着目して、その作用効果を詳細に調査、研究した。そし
て、曲げ加工性に優れた鋼板を見いだした。その結果、
{100}<011>〜{223}<110>方位群
と、{554}<225>、{111}<112>及び
{111}<110>の各方位の強度を制御すること、
さらには、圧延方向のr値及び圧延方向と直角方向のr
値のうち少なくとも1つをできるだけ低い値にすること
で、曲げ加工性が飛躍的に向上することを明らかにし
た。
ており、その主旨とするところは、以下のとおりであ
る。 (1)フェライト又はベイナイトを体積分率最大の相と
し、体積分率で25%以下のマルテンサイトを含む複合
組織鋼であり、少なくとも1/2板厚における板面の
{100}<011>〜{223}<110>方位群の
X線ランダム強度比の平均値が3.0以上で、かつ、
{554}<225>、{111}<112>及び{1
11}<110>の3つの結晶方位のX線ランダム強度
比の平均値が3.5以下、さらに、圧延方向のr値及び
圧延方向と直角方向のr値のうち少なくとも1つが0.
7以下であることを特徴とする形状凍結性に優れた低降
伏比型高強度鋼板。 (2)質量%で、C;0.02%以上0.3%以下を含
み、Mn;0.05%以上3%以下、Ni;3%以下、
Cr;3%以下、Cu;3%以下、Mo;1%以下、C
o;3%以下、Sn;0.2%以下で、かつ、これらの
1種又は2種以上を合計で0.1%以上3.5%以下含
み、Si;3%以下、Al;3%以下でかつこれらの1
種又は2種を合計で0.05%以上3%以下含み、残部
がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする前
記(1)記載の形状凍結性に優れた低降伏比型高強度鋼
板。 (3)質量でNb、Ti、Vの1種又は2種以上を合計
で0.3%以下含むことを特徴とする前記(1)又は
(2)記載の形状凍結性に優れた低降伏比型高強度鋼
板。 (4)質量でPを0.2%以下含むことを特徴とする前
記(1)〜(3)のいずれかに記載の形状凍結性に優れ
た低降伏比型高強度鋼板。 (5)質量でBを0.01%以下含むことを特徴とする
前記(1)〜(4)のいずれかに記載の形状凍結性に優
れた低降伏比型高強度鋼板。 (6)質量%で、Ca:0.0005〜0.005%、
Rem:0.001〜0.02%の1種又は2種を含むこ
とを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の
形状凍結性に優れた低降伏比型高強度鋼板。 (7)前記(1)〜(6)のいづれかに記載の鋼板にめ
っきをしたことを特徴とする形状凍結性に優れた低降伏
比型高強度鋼板。 (8)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の鋼板を製
造する方法であって、前記(2)〜(6)の何れかに記
載の成分からなる鋳造スラブを、鋳造ままもしくは一旦
冷却した後に1000℃〜1300℃の範囲に再度加熱
し、熱間圧延をする際、(1)式で計算される有効ひず
み量ε*が0.4以上で、かつ、(Ar3−50)℃〜
(Ar3+100)℃の温度範囲における圧下率の合計
が25%以上となるように制御し、(Ar3−50)℃
〜(Ar3+100)℃で熱間圧延を終了し、熱間圧延
後冷却して、(2)式に示す鋼の化学成分で決まる臨界
温度To(℃)以下でかつ300℃以下の温度で巻き取
ることを特徴とする形状凍結性に優れた低降伏比型高強
度熱延鋼板の製造方法。
数、εiはi番目のスタンドで加えられたひずみ、tiは
i〜i+1番目のスタンド間の走行時間(秒)、τiは
気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延
温度Ti(K)によって下式で計算する値である。 τi=8.46×10-9・exp{43800/R/Ti} To=−438.6×C%−52.7×Mneq+697.4 (2) ここで、Mneqは質量%で表現した鋼の成分より求ま
る。
0.13×Si%+0.38×Mo%+0.55×Cr
%+0.16×Cu%−0.50×Al%−0.45×
Co%+0.90×V% (9)前記(Ar3−50)℃〜(Ar3+100)℃の
温度範囲の熱間圧延の少なくとも1パス以上において、
摩擦係数が0.2以下となるように制御することを特徴
とする前記(8)記載の形状凍結性に優れた低降伏比型
高強度熱延鋼板の製造方法。 (10)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の鋼板を
製造する方法であって、前記(2)〜(6)の何れかに
記載の成分からなる鋳造スラブを、鋳造ままもしくは一
旦冷却した後に1000℃〜1300℃の範囲に再度加
熱し、熱間圧延をする際、(1)式で計算される有効ひ
ずみ量εiが0.4以上で、かつ、(Ar 3−250)
℃〜(Ar3+100)℃の温度範囲における圧下率の
合計が25%以上となるように制御し、(Ar3−25
0)℃〜(Ar3+100)℃で熱間圧延を終了し、熱
間圧延後冷却して、(2)式に示す鋼の化学成分で決ま
る臨界温度To以下で巻き取った後、酸洗・冷間圧延を
施し、Ac1変態温度以上Ac3変態温度以下の温度にて
焼鈍し、その後、焼鈍温度から500℃以下まで1〜2
50℃/秒の冷却速度で冷却することを特徴とする形状
凍結性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板の製造方法。
数、εiはi番目のスタンドで加えられたひずみ、tiは
i〜i+1番目のスタンド間の走行時間(秒)、τiは
気体常数R(=1.987)とi番目のスタンドの圧延
温度Ti(K)によって下式で計算する値である。 τi=8.46×10-9・exp{43800/R/Ti} To=−438.6×C%−52.7×Mneq+697.4 (2) ここで、Mneqは質量%で表現した鋼の成分より求ま
る。
0.13×Si%+0.38×Mo%+0.55×Cr
%+0.16×Cu%−0.50×Al%−0.45×
Co%+0.90×V% (11)前記(Ar3−250)℃〜(Ar3+100)
℃の温度範囲の熱間圧延の少なくとも1パス以上におい
て、摩擦係数が0.2以下となるように制御することを
特徴とする前記(10)記載の形状凍結性に優れた低降
伏比型高強度冷延鋼板の製造方法。 (12)前記(8)又は(9)記載の熱延鋼板、又は、
前記(10)又は(11)記載の冷延鋼板に0.4%以
上5%以下のスキンパス圧延を施すことを特徴とする形
状凍結性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板の製造方
法。
ついて詳細に説明する。1/2板厚における板面の{1
00}<011>〜{223}<110>方位群のX線
ランダム強度比の平均値、及び、{554}<225
>、{111}<112>及び{111}<110>の
3つの結晶方位のX線ランダム強度比の平均値:これら
の平均値は、本発明で特に重要な特性値である。板厚中
心位置での板面のX線回折を行い、ランダム試料に対す
る各方位の強度比を求めたときの、{100}<011
>〜{223}<110>方位群の平均値が3.0以上
でなくてはならない。
劣悪となる。この方位群に含まれる主な方位は、{10
0}<011>、{116}<110>、{114}<
110>、{113}<110>、{112}<110
>、{335}<110>及び{223}<110>で
ある。これら各方位のX線ランダム強度比は、{11
0}極点図に基づきベクトル法により計算した3次元集
合組織や、{110}、{100}、{211}、{3
10}極点図のうち複数の極点図(好ましくは、3つ以
上)を用いて級数展開法で計算した3次元集合組織から
求めればよい。
位のX線ランダム強度比には、3次元集合組織のφ2=4
5゜断面における、(001)[1−10]、(11
6)[1−10]、(114)[1−10]、(11
3)[1−10]、(112)[1−10]、(33
5)[1−10]、(223)[1−10]の強度をそ
のまま用ればよい。{100}<011>〜{223}
<110>方位群の平均値とは、上記の各方位の相加平
均である。上記の全ての方位につき上記強度を得ること
ができない場合には、{100}<011>、{11
6}<110>、{114}<110>、{112}<
110>、{223}<110>の各方位の相加平均で
代替してもよい。
4}<225>、{111}<112>及び{111}
<110>の3つの結晶方位のX線ランダム強度比の平
均値は3.5以下でなくてはならない。これが3.5超
であると、{100}<011>〜{223}<110
>方位群の強度が適正であっても、良好な形状凍結性を
得ることが困難となる。
2>及び{111}<110>のX線ランダム強度比
も、上記の方法に従って計算した3次元集合組織から求
めればよい。より望ましくは、{100}<011>〜
{223}<110>方位群のX線ランダム強度比の平
均値が4.0以上、{554}<225>、{111}
<112>及び{111}<110>のX線ランダム強
度比の相加平均値が2.5未満である。以上述べた結晶
方位のX線強度が曲げ加工時の形状凍結性に対して重要
であることの理由は必ずしも明らかではないが、曲げ変
形時の結晶のすべり挙動と関係があるものと推測され
る。
よって鋼板を所定の板厚まで減厚し、次いで、化学研磨
や電解研磨などによって歪みを除去すると同時に、板厚
1/2面が測定面となるように作製する。鋼板の板厚中
心層に偏析帯や欠陥などが存在し、測定上不都合が生ず
る場合には、板厚の3/8〜5/8の範囲で適当な面が
測定面となるように上述の方法に従って試料を調整して
測定すればよい。
定が、板厚1/2近傍だけでなく、なるべく多くの厚み
(特に、最表層〜板厚の1/4)について満たされるこ
とで、より一層形状凍結性が良好になる。なお、{hk
l}<uvw>で表される結晶方位とは、板面の法線方
向が<hkl>に平行で、圧延方向が<uvw>と平行
であることを示している。
角方向のr値(rC):これらのr値は、本発明におい
て重要である。すなわち、本発明者等が鋭意検討の結
果、上述した種々の結晶方位のX線強度が適正であって
も、必ずしも良好な形状凍結性が得られないことが判明
した。上記のX線強度と同時に、rL及びrCのうち少
なくとも1つが0.7以下であることが必須である。よ
り好ましくは0.55以下である。rL及びrCの下限
は特に定めることなく、本発明の効果を得ることができ
るが、r値はJIS5号引張試験片を用いた引張試験に
より評価する。引張歪みは通常15%であるが、均一伸
びが15%を下回る場合には、均一伸びの範囲で、でき
るだけ15%に近い歪みで評価すればよい。
って異なるので特に限定するものではないが、部品の加
工に際しては、r値が小さい方向に対して垂直もしくは
垂直に近い方向に折り曲げる加工を主とすることが好ま
しい。ところで、一般に、集合組織とr値とは相関があ
ることが知られているが、本発明においては、既述の結
晶方位のX線強度比に関する限定とr値に関する限定と
は互いに同義ではなく、両方の限定が同時に満たされな
ければ、良好な形状凍結性を得ることはできない。
の中で上記のような曲げ加工に起因する形状凍結性が問
題になるだけではなく、同一部品の他の部位において
は、張り出し性や絞り加工性等の良好なプレス加工性が
要求される場合が少なくない。従って、上述の集合組織
を制御した曲げ加工時の形状凍結性の向上とともに、鋼
板そのもののプレス加工性も向上させる必要がある。
びrCのうち、少なくとも1つが0.7以下であること
を満足しつつ、張出し成形性を高めるためには、鋼板中
にマルテンサイトを含ませることによって降伏比を低下
させることが、最も望ましいことを見いだした。この
時、マルテンサイト体積分率が25%を越える場合に
は、鋼板の強度が必要以上に向上するばかりでなく、ネ
ットワーク状に連結したマルテンサイトの割合が増加
し、鋼板の加工性を著しく劣化させるので、25%を、
マルテンサイト体積分率の最大値とした。
効果を得るためには、体積分率最大の相がフェライトの
場合には3%以上、体積分率最大の相がベイナイトの場
合には5%以上であることが望ましい。また、体積分率
最大の相がフェライト又はベイナイト以外の場合には、
鋼材の強度を必要以上に向上させてその加工性を劣化さ
せたり、不必要な炭化物が析出して必要な量のマルテン
サイトを確保できず鋼板の加工性を著しく劣化させたり
することから、体積分率最大の相はフェライト又はベイ
ナイトに限定する。
ていない残留オーステナイトを含有していても、本発明
の効果に大きな影響は及ぼさない。ただし、反射X線法
などによって求める残留オーステナイトの体積分率が増
加すると、降伏比が上昇するので、残留オーステナイト
体積分率はマルテンサイト体積分率の2倍以下であるこ
とが望ましく、さらに、該体積分率がマルテンサイト体
積分率以下であると、さらに好ましい。
ライトもしくはセメンタイトの1種又は2種以上を、体
積分率で15%以下含有することができる。また、残留
オーステナイトを除き、本発明のミクロ組織の体積分率
は、鋼板の圧延方向断面の1/4厚部を光学顕微鏡にて
2〜5視野、組織の粗さに応じて100〜800倍で観
察し、ポイントカウント法により求めた値と定義する。
化学成分の影響について述べる。なお、「%」は「質量
%」を意味する。 C:Cは鋼材の強度を決める最も重要な元素の一つであ
る。鋼板中に含まれるマルテンサイトの体積分率は鋼板
中のC濃度の上昇と共に増加する傾向にある。ここで、
C量が0.02%未満の場合には、硬質のマルテンサイ
トを得ることが困難となるので、0.02%をC量の下
限とした。また、C添加量が0.3%を越える場合に
は、必要以上に鋼板強度が上昇するのみならず、自動車
用鋼材として重要な特性である溶接性が顕著に劣化する
ので、0.3%をC添加量の上限とした。
n:Mn、Ni、Cr、Cu、Mo、Co、Snは、全
て鋼材のミクロ組織の調整のために添加される。特に、
溶接性の観点からCの添加量が制限される場合には、こ
れらの元素を適量添加することによって、効果的に鋼の
焼入性を調整することが有効である。
ないが、セメンタイトの生成を抑制する効果があり、効
果的に、マルテンサイト体積分率を制御することができ
る。さらに、これらの元素は、Al、Siと共にマトリ
ックスであるフェライトやベイナイトを固溶強化して、
高速での動的変形抵抗を高める働きも持つ。しかしなが
ら、これらの元素の1種又は2種以上の添加合計が、
0.1%未満、又は、Mnの含有量が0.05%未満の
場合には、必要な体積分率のマルテンサイトを確保する
ことができなくなるとともに、鋼材の強度が低くなり、
有効な車体軽量化を達成することができなくなるので、
下限を、これら元素の1種又は2種以上の合計で0.1
%とした。
合、Mn、Ni、Cr、Cu、Coの何れかの含有量が
3%を超える場合、Moの含有量が1%を超える場合、
又は、Snの含有量が0.2%を超える場合には、母相
であるフェライト又はベイナイトの硬質化を招き、鋼材
の加工性の低下、靱性の低下、さらには、鋼材コストの
上昇を招くので、上限を、上記合計については3.5
%。Mn、Ni、Cr、Cu、Coについては3%。M
oについては1%、Snについては0.2%とした。 Al、Si:AlとSiは共にフェライトの安定化元素
であり、フェライト体積率を増加させて鋼材の加工性を
向上させる働きがある。また、Al、Siは共にセメン
タイトの生成を抑制するので、パーライト等の炭化物を
含む相の生成を抑制し、効果的にマルテンサイトを生成
させることができる。
l、Si以外に、PやCu、Cr、Mo等があげられ、
この様な元素を適当に添加することによっても同様な効
果が期待される。しかしながら、AlとSiの合計が
0.05%未満の場合には、セメンタイト生成抑制の効
果が十分でなく、適正な体積分率のマルテンサイトが得
られないので、下限を、1種又は2種の合計で0.05
%とした。
3.0%を越える場合には、母相であるフェライトもし
くはベイナイトの硬質化や脆化を招き、鋼材の加工性の
低下、靱性の低下、さらには、鋼材コストの上昇を招
き、また、化成処理性等の表面処理特性を著しく劣化さ
せるので、3.0%を上限とした。 Nb、Ti、V:また、必要に応じて添加するNb、T
i、Vは、炭化物、窒化物もしくは炭窒化物を形成する
ことによって、鋼材を高強度化することができるが、そ
の合計が0.3%を越えた場合には、母相であるフェラ
イトやベイナイト粒内もしくは粒界に多量の炭化物、窒
化物もしくは炭窒化物として析出し、加工性を著しく劣
化させるので、上限を0.3%とした。ただし、これら
の元素の添加によって高強度化を図るためには、Nb、
Ti、Vの1種又は2種以上を、合計で0.005%以
上添加することが好ましい。 P:更に、必要に応じて添加するPは、鋼材の高強度化
や、前述のようにマルテンサイトの確保には有効ではあ
るが、0.2%を越えて添加された場合には、耐置き割
れ性の劣化や、疲労特性、靱性の劣化を招くので、0.
2%を上限とした。ただし、Pの添加の効果を得るため
には、0.005%以上含有することが好ましい。 B:また、必要に応じて添加するBは、粒界の強化や鋼
材の高強度化に有効ではあるが、その添加量が0.01
%を越えると、その効果が飽和するばかりでなく、必要
以上に鋼板強度を上昇させ、部品への加工性も低下させ
るので、上限を0.01%とした。但し、Bの添加効果
を得るためには、0.0005%以上含有することが好
ましい。 Ca、Rem:必要に応じて添加するCa、Remは硫
化物の形態を制御することで伸びフランジ性を改善する
ので、必要に応じて、それぞれ0.0005%、0.0
01%以上添加することが望ましい。しかし、過度に添
加しても格段の効果はなく、コスト高となるので、それ
ぞれの上限を0.005%、0.02%と設定した。
を生成させるために有効ではあるが、同時に鋼材の靱性
や延性を劣化させる傾向があるので、0.01%以下と
することが望ましい。また、Oは酸化物を形成し介在物
として鋼材の加工性、特に、伸びフランジ成形性に代表
されるような極限変形能や鋼材の疲労強度、靱性を劣化
させるので、0.01%以下に制御することが望まし
い。
造方法について述べる。 スラブ再加熱温度:前記(2)〜(6)の何れかの成分
に調整された鋼片(鋳造スラブ)は、鋳造後直接、もし
くは、一旦Ar3変態温度以下まで冷却された後に再加
熱され、熱間圧延される。
合には、熱間圧延を完了するまでに何らかの加熱装置を
設置しなければ、熱間圧延完了温度を本発明の範囲内に
することができないので1000℃を再加熱温度の下限
とした。また、再加熱温度が1300℃を越える場合に
は、加熱時のスケール生成により歩留まり劣化を招くと
同時に、製造コストの上昇も招くことから、1300℃
を再加熱温度の上限とした。
によって、鋼板の組織が所定のミクロ組織と集合組織に
制御される。最終的に得られる鋼板の集合組織は、熱間
圧延の温度領域によって大きく変化する。熱間圧延終了
温度が(Ar3―50)℃未満になった場合には、熱間
圧延完了後に残留しているオーステナイト量が十分でな
く、その後のミクロ組織制御ができず、また、多量の加
工フェライトが残留することから、(Ar3―50)℃
を熱間圧延終了温度の下限とした。
ように、所望の集合組織を得るため、(Ar3+10
0)℃以下とする必要がある。また、熱間圧延におい
て、(Ar3−50)℃〜(Ar3+100)℃の温度範
囲における圧下率は、最終的な鋼板の集合組織形成に大
きな影響を及ぼし、この温度範囲での圧延率の合計が2
5%未満の場合には、集合組織の発達が十分でなく、最
終的に得られる鋼板が良好な形状凍結性を示さないの
で、25%を、(Ar3−50)℃〜(Ar3+100)
℃の温度範囲における圧下率の下限値とした。
達することから、50%以上であることが好ましく、ま
た、75%以上であれば更に好ましい。また、連続熱延
工程では多段の圧延スタンドで加えられるひずみの累積
的な効果が重要である。しかしながら、このひずみの累
積的な効果は、加工温度が高温ほど、また、スタンド間
の走行時間が長いほど低下する。
i番目のスタンドでの圧延温度をT i(K)、加工ひず
みをεi(真ひずみで、i番目の圧下率riとは、εi=
ln{1/(1−ri)}の関係がある)、i番目とi
+1番目のスタンド間の走行時間(パス間時間:秒)を
tiとすると、累積効果を考慮したひずみ(有効ひずみ
ε*)は(1)式で表現できる。
7)と圧延温度Tiによって下式で計算できる。 τi=8.46×10-9・exp{43800/R/T
i} この有効ひずみε*が0.4未満の場合には、たとえ
(Ar3−50)℃〜(Ar3+100)℃の温度範囲に
おける圧下率の合計が25%以上であっても十分な集合
組織の発達が得られない。それ故、0.4を有効ひずみ
の下限とした。
う場合には、Tiは仕上げ熱延入り側温度FT0と仕上
げ熱延で側温度FTnを用いて、 Ti=FT0−(FT0−FTn)/(n+1)×(i+
1) に従って計算した値を用いるとよい。有効ひずみが高い
ほど集合組織が発達するので、0.45以上であればよ
り好ましい。また、有効ひずみが0.9以上であれば、
更に好ましい。
件で行っても、最終的に得られる鋼板の形状凍結性は高
いが、この温度範囲で行われる熱間圧延の少なくとも1
パス以上において、その摩擦係数が0.2以下となるよ
うに制御した場合には、更に最終的に行われる鋼板の形
状凍結性が高くなる。また、仕上げ熱延に先立ってスケ
ール除去を目的とする加工や高圧水噴射、微粒子噴射等
を行うこと、最終鋼板の表面品位を高める効果があるの
で、好ましい。
ることが最も重要であるが、平均の冷却速度が15℃/
秒以上であることが好ましい。冷却は熱間圧延後速やか
に開始されることが望ましい。また、冷却の途中に空冷
を設けることも、最終的な鋼板の特性を劣化させない。
冷却が鋼材の化学成分で決まる下式で示される臨界温度
To(℃)より高い温度で完了し、そのまま巻取り処理
が行われた場合には、上記の熱間圧延条件が満足されて
いた場合でも、最終的に得られる鋼板において所望の集
合組織が十分に発達せず、鋼板の形状凍結性が向上しな
いので、巻取りはTo(℃)以下で行なう。
る。 Mneq=Mn%+0.24×Ni%+0.13×Si
%+0.38×Mo%+0.55×Cr%+0.16×
Cu%−0.50×Al%−0.45×Co%+0.9
0×V% また、巻取り温度が300℃超の場合にはマルテンサイ
トが得られないか、もしくは、生成したマルテンサイト
が焼き戻されることによって降伏比が上昇し、鋼板の加
工性が劣化するので、巻取り温度の上限を300℃とし
た。
低温ほど良好な材質が得られる。ただし、巻き取り温度
を室温以下にすることはコストの上昇を招くので、室温
以上であることが望ましい。 冷間圧延及び焼鈍条件:本発明の鋼板を冷間圧延―焼鈍
によって製造する場合には、熱間圧延後に所望の集合組
織を十分に発達させておくことが必要である。このため
には、加熱温度は1000℃〜1300℃とし、熱間圧
延を(Ar3―250)℃以上で終了し、(1)式で計
算される有効ひずみ量εiが0.4以上で、かつ、この
時の(Ar3−250)℃〜(Ar3+100)℃の温度
範囲における圧下率の下限値を25%とする必要があ
る。この圧下率が高いほど所望の集合組織が発達するこ
とから、50%以上であることが好ましく、また、75
%以上であれば更に好ましい。(Ar3−250)℃〜
(Ar3+100)℃での合計圧下率が97.5%を越
えると、圧延機の剛性を過剰に高める必要があり、経済
上のデメリットを生じるので、望ましくは上記圧下率は
97.5%以下とする。
くとも1パス以上においてその摩擦係数が0.2以下と
なるように制御した場合には、さらに、最終的な鋼板の
形状凍結性が高くなる。熱間圧延終了温度が(Ar3―
250)℃未満になった場合には、熱間圧延後の集合組
織が変化することに起因して、最終的に、所望の集合組
織が得られないので、(Ar3―250)℃を熱間圧延
終了温度の下限とした。熱間圧延終了温度の上限は所望
の集合組織を得るためには(Ar3+100)℃とする
必要がある。
のTo(℃)超となった場合には、その後の冷間圧延―
焼鈍によって所望の集合組織を発達させることができな
いので、良好な形状凍結性を達成することができない。
従って、To(℃)を巻取り温度の上限とした。巻取り
温度はTo(℃)以下であれば良いが、300℃未満で
は冷間圧延時の変形抵抗が大きくなることから、300
℃以上で巻き取ることが望ましい。また、仕上げ熱延開
始以前にスケール除去の目的で加工や高圧水噴射、微粒
子噴射等を行うことは、最終鋼板の表面品位を高める効
果があるので、好ましい。
洗・冷延する際に、冷間圧延圧下率が95%を越える
と、冷間圧延の負荷が増加しすぎるので、95%以下の
圧下率で冷間圧延することが望ましい。冷間圧延後の焼
鈍は連続焼鈍ラインにおいて行われる。焼鈍温度が、鋼
の化学成分によって決まるAc1変態温度より低い場合
には、最終的な鋼板のミクロ組織にマルテンサイトを含
まないことになるので、Ac1変態温度を焼鈍温度の下
限とする。
まるAc3変態温度を超える場合には、熱間圧延によっ
て造り込まれた集合組織の多くが壊され、最終的に得ら
れる鋼板において形状凍結性が損なわれるので、Ac3
変態温度を焼鈍温度の上限とした。最終的に得られる鋼
板の形状凍結性と加工性を両立させるためには、焼鈍温
度が(Ac1+2×Ac3)/3以下であることが望まし
い。
冷却速度が1℃/秒未満の場合には、最終的に得られる
鋼板の集合組織の発達が十分でなく、良好な形状凍結性
が得られないと同時に、マルテンサイトが得られないの
で、1℃/秒を冷却速度の下限とした。また、実用上有
意義である0.4mm〜3.2mmの板厚範囲の全ての
板厚に対して、平均冷却速度を250℃/秒超とするこ
とは、過剰の設備投資を必要とするので、250℃/秒
を冷却速度の上限とした。
却速度での冷却と、20℃/秒以上の高冷却速度を組み
合わせてもよい。焼鈍後の冷却停止温度はパーライトの
生成を抑制するために、500℃以下とする。冷却停止
温度の下限は特に定めないが、経済的観点から室温以上
とすることが好ましい。
を向上させるが、500℃以下に冷却された後に、連続
焼鈍工程や連続溶融亜鉛めっき工程での温度履歴に相当
するような徐冷もしくは等温保持や、連続溶融亜鉛めっ
き工程の合金化処理工程での再加熱の過程を採用しても
よい。 スキンパス圧延:以上の方法で製造された本発明鋼に、
出荷前に、スキンパス圧延を施すことは、鋼板の形状を
良好にするばかりではなく、鋼板の衝突エネルギー吸収
能を高めることになる。この時、スキンパス圧延におけ
る圧下率が0.4%未満ではこの効果が小さいので、
0.4%を上記圧下率の下限とした。また、圧下率が5
%超のスキンパス圧延を行うためには、通常のスキンパ
ス圧延機の改造が必要となり、経済的なデメリットを生
じると共に、鋼板の加工性を著しく劣化させるので、5
%をスキンパス圧延における圧下率の上限とした。
は、通常のJIS5号引張り試験で得られる破断強度
(TS/MPa)と降伏強度(0.2%耐力YS)の比
である降伏比(YS/TS×100)が70%以下であ
ることが望ましい。また降伏比が65%以下であれば、
さらに形状凍結性を向上させることができて望ましい。 めっき:めっきの種類や方法は特に限定されるものでは
なく、電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき等の何れを
用いても、本発明の効果が得られる。
げ、張り出し、絞り等、曲げ加工を主体とする複合成形
にも適用できる。
的内容について説明する。 (実施例1)表1に示す23種類の鋼を表2に示す条件
で熱延し、1.4mm厚の熱延鋼板を製造した。この熱
延鋼板を酸洗後、50mm幅、270mm長さの試験片
を作成し、ポンチ幅78mm、ポンチ肩R5、ダイ肩R
5の金型を用いてハット曲げ試験を行った。
元形状測定装置にて板幅中心部の形状を測定し、図1に
示した様に、左右の点(5)間の長さからポンチ幅を引
いた値を寸法精度、点(1)と点(2)の接線と点
(3)と点(4)の接線の交点の角度から90°を引い
た値の左右での平均値をスプリング・バック量、点
(3)と点(5)間の曲率の逆数を左右で平均化した値
を壁そり量として形状凍結性を評価した。なお曲げはr
値の低い方向と垂直に折れ線が入るように行った。
プリングバック量や壁そり量は、BHF(しわ押さえ
力)によっても変化する。本発明の効果は、いずれのB
HFで評価を行ってもその傾向は変わらないが、実機で
実部品をプレスする際には、あまり高いBHFはかけら
れないので、今回は、BHF29kNで各鋼種のハット
曲げ試験を行った。
積率最大相、マルテンサイト体積率)、機械的性質(イ
ンストロン型の引張り試験機を用い、歪み速度が0.0
01〜0.005/sで行った引張り試験により得られ
た最大強度TS、降伏強度または0.2%耐力YS、圧
延方向及びそれと垂直方向のr値)、1/2板厚におけ
る板面の{100}<011>〜{223}<110>
方位群のX線ランダム強度比の平均値、及び、{55
4}<225>、{111}<112>及び、{11
1}<110>の3つの結晶方位のX線ランダム強度比
の平均値と上記曲げ試験によって得られた寸法精度、壁
そり量を示した。
d)で判断することができる。寸法精度は鋼板の強度上
昇とともに劣化することがよく知られているので、ここ
では、表3に示す結果を、△d/TSを指標とし、YR
に対してプロットした(図4)。図4には後述する実施
例2の結果も同時にプロットしている。表3及び図4か
ら明らかなように、本発明の範囲の鋼は良好な形状凍結
性と低いYRを兼ね備えていることがわかる。 (実施例2)表1中の鋼P3を1200℃に加熱後、表
4に示した条件で熱延―冷延―焼鈍を行い、1.4mm
の冷延焼鈍鋼板を作製し、その後、実施例1と同様の評
価を行った。
組織及び機械的性質、曲げ試験結果を示す。表5及び図
4から明らかなように、本発明の範囲の鋼は良好な形状
凍結性と低いYRを兼ね備えていることがわかる。
その曲げ加工性は著しく向上することを以上に詳述し
た。本発明によって、スプリング・バック量が少なく、
曲げ加工を主体とする形状凍結性に優れた薄鋼板を提供
できる。特に、従来は形状不良の問題から高強度鋼板の
適用が難しかった部品にも、高強度鋼板を使用できるよ
うになると予想される。上記部品に、スプリング・バッ
ク量が少なく、形状凍結性に優れた高強度鋼板が適用で
きるようになると、自動車車体の軽量化をより一層推進
することができる。従って、本発明は、工業的に極めて
高い価値のある発明である。
である。
ングバック量の関係を示す図である。
量(1/ρ)の関係を示す図である。
係を示す図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 フェライト又はベイナイトを体積分率最
大の相とし、体積分率で25%以下のマルテンサイトを
含む複合組織鋼であり、少なくとも1/2板厚における
板面の{100}<011>〜{223}<110>方
位群のX線ランダム強度比の平均値が3.0以上で、か
つ、{554}<225>、{111}<112>及び
{111}<110>の3つの結晶方位のX線ランダム
強度比の平均値が3.5以下、さらに、圧延方向のr値
及び圧延方向と直角方向のr値のうち少なくとも1つが
0.7以下であることを特徴とする、形状凍結性に優れ
た低降伏比型高強度鋼板。 - 【請求項2】 質量%で、 C;0.02%以上0.3%以下 を含み、 Mn;0.05%以上3%以下、 Ni;3%以下、 Cr;3%以下、 Cu;3%以下、 Mo;1%以下、 Co;3%以下、 Sn;0.2%以下 で、かつ、これらの1種又は2種以上を合計で0.1%
以上3.5%以下含み、 Si;3%以下、 Al;3%以下 で、かつ、これらの1種又は2種を合計で0.05%以
上3%以下含み、残部がFe及び不可避的不純物からな
ることを特徴とする請求項1記載の形状凍結性に優れた
低降伏比型高強度鋼板。 - 【請求項3】 質量で、Nb、Ti、Vの1種又は2種
以上を合計で0.3%以下含むことを特徴とする請求項
1又は2記載の形状凍結性に優れた低降伏比型高強度鋼
板。 - 【請求項4】 質量で、Pを0.2%以下含むことを特
徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の形状凍結
性に優れた低降伏比型高強度鋼板。 - 【請求項5】 質量で、Bを0.01%以下含むことを
特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の形状凍
結性に優れた低降伏比型高強度鋼板。 - 【請求項6】 質量%で、Ca:0.0005〜0.0
05%、Rem:0.001〜0.02%の1種又は2種
を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
記載の形状凍結性に優れた低降伏比型高強度鋼板。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいづれか1項に記載の鋼
板にめっきをしたことを特徴とする形状凍結性に優れた
低降伏比型高強度鋼板。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼
板を製造する方法であって、請求項2〜6の何れか1項
に記載の成分からなる鋳造スラブを、鋳造ままもしくは
一旦冷却した後に1000℃〜1300℃の範囲に再度
加熱し、熱間圧延をする際、(1)式で計算される有効
ひずみ量ε*が0.4以上で、かつ、(Ar3−50)℃
〜(Ar3+100)℃の温度範囲における圧下率の合
計が25%以上となるように制御し、(Ar3−50)
℃〜(Ar3+100)℃で熱間圧延を終了し、熱間圧
延後冷却して、(2)式に示す鋼の化学成分で決まる臨
界温度To(℃)以下でかつ300℃以下の温度で巻き
取ることを特徴とする形状凍結性に優れた低降伏比型高
強度熱延鋼板の製造方法。 【数1】 ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εiはi番
目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番
目のスタンド間の走行時間(秒)、τiは気体常数R
(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti
(K)によって下式で計算する値である。 τi=8.46×10-9・exp{43800/R/Ti} To=−438.6×C%−52.7×Mneq+697.4 (2) ここで、Mneqは質量%で表現した鋼の成分より求ま
る。 Mneq=Mn%+0.24×Ni%+0.13×Si
%+0.38×Mo%+0.55×Cr%+0.16×
Cu%−0.50×Al%−0.45×Co%+0.9
0×V% - 【請求項9】 前記(Ar3−50)℃〜(Ar3+10
0)℃の温度範囲の熱間圧延の少なくとも1パス以上に
おいて、摩擦係数が0.2以下となるように制御するこ
とを特徴とする請求項8記載の形状凍結性に優れた低降
伏比型高強度熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項10】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
鋼板を製造する方法であって、請求項2〜6の何れか1
項に記載の成分からなる鋳造スラブを、鋳造ままもしく
は一旦冷却した後に1000℃〜1300℃の範囲に再
度加熱し、熱間圧延をする際、(1)式で計算される有
効ひずみ量ε*が0.4以上で、かつ、(Ar3−25
0)℃〜(Ar3+100)℃の温度範囲における圧下
率の合計が25%以上となるように制御し、(Ar3−
250)℃〜(Ar3+100)℃で熱間圧延を終了
し、熱間圧延後冷却して、(2)式に示す鋼の化学成分
で決まる臨界温度To(℃)以下で巻き取った後、酸洗
・冷間圧延を施し、Ac1変態温度以上Ac3変態温度以
下の温度にて焼鈍し、その後、焼鈍温度から500℃以
下まで1〜250℃/秒の冷却速度で冷却することを特
徴とする形状凍結性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板
の製造方法。 【数2】 ここで、nは仕上げ熱延の圧延スタンド数、εiはi番
目のスタンドで加えられたひずみ、tiはi〜i+1番
目のスタンド間の走行時間(秒)、τiは気体常数R
(=1.987)とi番目のスタンドの圧延温度Ti
(K)によって下式で計算する値である。 τi=8.46×10-9・exp{43800/R/Ti} To=−438.6×C%−52.7×Mneq+697.4 (2) ここで、Mneqは質量%で表現した鋼の成分より求ま
る。 Mneq=Mn%+0.24×Ni%+0.13×Si
%+0.38×Mo%+0.55×Cr%+0.16×
Cu%−0.50×Al%−0.45×Co%+0.9
0×V% - 【請求項11】 前記(Ar3−250)℃〜(Ar3+
100)℃の温度範囲の熱間圧延の少なくとも1パス以
上において、摩擦係数が0.2以下となるように制御す
ることを特徴とする請求項10記載の形状凍結性に優れ
た低降伏比型高強度冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項12】 請求項8又は9記載の熱延鋼板、又
は、請求項10又は11記載の冷延鋼板に0.4%以上
5%以下のスキンパス圧延を施すことを特徴とする形状
凍結性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板の製造方法。
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