JP2002322540A - 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板ならびにその製造方法および加工方法 - Google Patents
伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板ならびにその製造方法および加工方法Info
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- JP2002322540A JP2002322540A JP2001333375A JP2001333375A JP2002322540A JP 2002322540 A JP2002322540 A JP 2002322540A JP 2001333375 A JP2001333375 A JP 2001333375A JP 2001333375 A JP2001333375 A JP 2001333375A JP 2002322540 A JP2002322540 A JP 2002322540A
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Abstract
形状が複雑な部材に好適な、伸びおよび伸びフランジ性
に優れた高張力熱延鋼板ならびにその製造方法および加
工方法を提供すること。 【解決手段】 重量%で、C≦0.06%、Si≦0.
3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.00
5%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:
0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10%、
Nb≦0.08%を含み、TiもしくはTiとNbの炭
窒化物およびMoの炭化物がそれぞれ単独でおよび/ま
たは複合化して析出したフェライト組織からなる。
Description
材の素材に適した伸びおよび伸びフランジ性に優れた高
張力熱延鋼板ならびにその製造方法および加工方法に関
する。
ら、自動車用熱延鋼板の高強度薄肉化が強く求められて
いる。特に、ホイールや足廻り部材の高強度薄肉化は自
動車の燃費向上に極めて有効な手段であるため、これら
の部材に対する高強度薄肉化の要望が特に強い。また、
ホイールや足廻り部材は複雑な形状であるため、高強度
であることに加え伸びおよび伸びフランジ性がともに優
れた材料が必要とされている。
る熱延鋼板が種々提案されている。例えば、特開平4−
329848号公報には、フェライトと第2相(パーラ
イト、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイ
トの1種以上)からなる疲労特性と伸びフランジ性の優
れた複合組織鋼板が開示されている。しかし、その構成
要素に第2相が存在しているため、伸びフランジ性が十
分とはいえない。
密度の高いベイニティック・フェライト組織が生成した
伸びフランジ性に優れた鋼板が提案されている。しか
し、この鋼板は、転位密度の高いベイニティック・フェ
ライト組織を含むためやはり伸びが十分とはいえない。
の大部分をポリゴナルフェライトとし、TiCを中心と
して析出強化および固溶強化により高強度化を図った伸
びフランジ性に優れる鋼板が提案されている。しかし、
この鋼板に用いられている一般的によく知られた析出物
で高張力化するには多量のTi添加を必要とし、寸法の
大きい析出物が生成しやすく、特性が不安定になりやす
いという欠点がある。
TiCおよび/またはNbCが析出したアシキュラー・
フェライト組織を有する伸びフランジ性に優れる鋼板が
提案されている。しかし、この鋼板も転位密度の高いア
シキュラー・フェライト組織であるため伸びフランジ性
には優れるものの十分な伸びが得られていない。
鑑みてなされたものであって、自動車用足廻り部材のよ
うなプレス時の断面形状が複雑な部材に好適な、伸びお
よび伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板ならびにそ
の製造方法および加工方法を提供することを目的とす
る。
を解決すべく鋭意研究を行った結果、以下の知見を得
た。 (1)Mo添加により、炭・窒化物が微細に析出する。 (2)延性に富むフェライト組織に、Mo添加により炭
・窒化物を微細に析出させると、高張力でありながら優
れた伸びおよび伸びフランジ性が得られる。 (3)Ti,Nbを過度に添加すると、析出物が過多と
なり伸びおよび伸びフランジ性がともに低下する。 (4)(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/9
6)}が0.5〜1.5を満足するようにC,Ti,M
oを添加すると、TiとMoとを含む析出物が微細化す
る。 (5)Ti、Moと結合しないC量が0.01%以下で
材質安定性は向上する。
ものであり、以下の(1)〜(11)を提供する。
0.3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.
005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、M
o:0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10
%、Nb≦0.08%を含み、TiもしくはTiとNb
の炭・窒化物およびMoの炭化物がそれぞれ単独でおよ
び/または複合化して析出したフェライト組織からなる
ことを特徴とする伸びおよび伸びフランジ性に優れた高
張力熱延鋼板。
0.3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.
005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、M
o:0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10
%、Nb≦0.08%を含み、Tiの炭化物およびMo
の炭化物がそれぞれ単独でおよび/または複合化して析
出したフェライト組織からなることを特徴とする伸びお
よび伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板。
0.3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.
005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、M
o:0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10
%、Nb≦0.08%を含み、TiとMoとを含む炭化
物が析出したフェライト組織からなることを特徴とする
伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板。
Ti、Moを以下の(1)式を満足するように含有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項
に記載の伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力熱延
鋼板。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5 …( 1) ただし、上記(1)式中、C、Ti、Moは各成分の重
量%を表す。
Ti、N、Moを以下の(2)式を満足するように含有
することを特徴とする伸びおよび伸びフランジ性に優れ
た高張力熱延鋼板。 C−[{Ti−(48/14)N}×(12/48)+(12/96)×Mo ]≦0.005 …(2) ただし、上記(2)式中、C、Ti、N、Moは各成分
の重量%を表す。
%で、固溶Cが0.0020%以下であることを特徴と
する伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼
板。
に溶融亜鉛系めっき皮膜を有することを特徴とする伸び
および伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板。
0.3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.
005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、M
o:0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10
%、Nb≦0.08%を含む鋼を溶製し、連続鋳造によ
り鋼スラブとなし、直ちに、または、一旦冷却してから
1150℃以上に加熱した後、熱間圧延し、仕上熱間圧
延出側温度を850℃以上とし、550℃〜700℃で
巻取ることを特徴とする伸びおよび伸びフランジ性に優
れた高張力熱延鋼板の製造方法。
鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前記部材に
プレス成形を施して所望の形状のプレス成形品に加工す
る第2の工程とを有する高張力熱延鋼板の加工方法。
品は、自動車用部品、特に自動車用足廻り部材である高
張力熱延鋼板の加工方法。
に記載の鋼板により製造された自動車用部品。
炭化物、窒化物および炭窒化物のいずれか、またはこれ
らが2種類以上複合したものをいう。
金属組織および製造条件に分けて具体的に説明する。
%で、C≦0.06%、Si≦0.3%、Mn:1〜2
%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.0
6%、N≦0.006%、Mo:0.07〜0.45
%、Ti:0.03〜0.10%、Nb≦0.08%の
成分組成を有する。以下、各成分をこのように規定した
理由を説明する。
かし、0.06%を超えて添加するとパーライトが形成
され、伸びおよび伸びフランジ性を損なうため0.06
%以下とする。
%を超えて添加するとフェライトからのC排出が促進さ
れて粒界に粗大な鉄炭化物が析出しやすくなり、伸びフ
ランジ性が低下するため、0.3%以下とする。
%を超えて添加すると偏析し、かつ硬質相が形成され、
伸びおよび伸びフランジ性がともに低下する。したがっ
てMn量を1〜2%の範囲とする。
て添加すると偏析して伸びおよび伸びフランジ性がとも
に低下するため0.06%以下とする。
フランジ性を低下させるため0.005%以下とする。
超えると伸びおよび伸びフランジ性がともに低下するた
め0.06%以下とする。
な窒化物が増え、伸びおよび伸びフランジ性がともに低
下するため0.006%以下とする。
上添加することでパーライト変態を抑制し、Tiまたは
TiとNbとを含む炭・窒化物を微細化させ、かつMo
自体も炭化物を形成して析出するため、高強度を得つつ
伸びフランジ性が向上する。しかし、0.45%を超え
て添加すると硬質相が形成され、伸びフランジ性が低下
する。したがってMo量を0.07〜0.45%以下と
する。
上添加することで炭・窒化物析出による効果が得られ、
高強度でありながら伸びおよび伸びフランジ性が向上す
る。しかし、0.10%を超えてTiを多量に添加する
とMoを複合添加しても粗大なTiCが生成しやすくな
り、伸びフランジ性が低下する。したがって、Ti量は
0.03〜0.10%とする。
および伸びフランジ性を向上させる。しかし、0.08
%を超えて添加すると析出物が過多となり、伸びおよび
伸びフランジ性が低下するため0.08%以下とする。
+(Mo/96)}≦1.5 鋼中のCと(Ti+Mo)との原子数比が0.5〜1.
5となるように、C、Ti、Moの含有量を制御する
と、TiとMoとを含む炭化物が微細に析出しやすくな
る。その結果、高張力でありながら、優れた伸びおよび
伸びフランジ性が容易に得られる。したがって、(C/
12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}の値が以
下の(1)式を満たすことが望ましい。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5 …( 1) ただし、上記(1)式中、C、Ti、Moは各成分の重
量%を表す。上記(C/12)/{(Ti/48)+
(Mo/96)}の値は、0.8〜1.3を満たすこと
がより望ましい。
2/48)+(12/96)×Mo]≦0.005 TiとMoとを含む炭化物を形成しないC量が0.00
5%を超える場合、材質のばらつきが大きくなる傾向が
ある。また、Tiは、Nと結合した後の残余がCと結合
する。したがって、以下の(2)式を満たすことが好ま
しい。 C−[{Ti−(48/14)N}×(12/48)+(12/96)×Mo] ≦0.005 …(2) ただし、上記(2)式中、C、Ti、N、Moは各成分
の重量%を表す。
050%、Si=0.21%、Mn=1.61%、Ti
=0.083%、N=0.0036%、Mo=0.20
%を含む鋼A(上記(2)式のC−[{Ti−(48/
14)N}×(12/48)+(12/96)×Mo]
の値(以下、B値という)が0.0073)と、C=
0.040%、Si=0.03%、Mn=1.34%、
Ti=0.095%、N=0.0040%、Mo=0.
24%を含む鋼B(B値が0以下)を用いて熱延鋼板を
作成した。仕上温度は910℃と、巻取温度を550〜
700℃まで変化させ、巻取温度と強度との関係を調査
した。強度(TS)は、JIS5号試験片で測定した。
これにより、コイル内で巻取温度が変化したときに強度
が変化するかどうかがわかる。すなわち、巻取温度の依
存性が強い場合、小さい巻取温度の変動で強度が著しく
変化することとなる。
に、Ti、Moと結合しないC(A値)が0.005%
を超える鋼Aでは、TSの巻き取り温度依存性が著しい
ことがわかる。
i=0.2%、Mn=1.6%、Ti=0.080〜
0.090%、Mo=0.10〜0.20%、N=0.
0020%の鋼を用いて、巻取温度を650℃で一定と
して熱間圧延を行い、上記B値とTSとの関係を求め
た。その結果を図2に示す。図2に示すように、B値が
0.005%以上になるとTSが低下する傾向が大きく
なることがわかる。
びフランジ性を高める作用を有するので0.1%以下の
範囲で添加してもよい。0.1%以下とするのは、0.
1%を超えて添加すると硬質相が形成され、伸びフラン
ジ性が低下するためである。
記以外の元素を添加してもよく、また他の不可避的な不
純物元素が含有されていてもよい。
び伸びフランジ性を確保するため、TiもしくはTiと
Nbの炭・窒化物およびMoの炭化物がそれぞれ単独で
および/または複合化して析出したフェライト組織とし
ている。すなわち、延性に富むフェライト組織に適正量
の炭・窒化物を析出させることで優れた伸びおよび伸び
フランジ性の両立が可能となる。
物およびMoの炭化物がそれぞれ単独でおよび/または
複合化して析出する形態としては、Tiの炭化物および
Moの炭化物がそれぞれ単独でおよび/または複合化し
て析出するものが好ましい。特に、これらが複合化した
TiとMoとを含む炭化物が析出することが望ましい。
TiとMoとを含む炭化物は微細かつ均一に分散析出す
ることから、高張力と優れた伸びおよび伸びフランジ性
との両立が容易となる。
i,Mo量を適正化し、鋼中Cのほとんどを微細な炭・
窒化物として析出させているため、固溶Cは非常に少な
い。良好な伸びを得るためには固溶C量が少ないほど好
ましく、固溶C量が0.0020%を超えると伸びが低
下する傾向にあるため0.0020%以下とすることが
望ましい。より好ましくは0.0010%以下である。
亜鉛系めっき皮膜を形成し、溶融亜鉛系めっき鋼板とし
たものも含む。本発明の高張力熱延鋼板は良好な伸びお
よび伸びフランジ性を有することから、溶融亜鉛系めっ
き皮膜を形成しても良好な伸びおよび伸びフランジ性を
維持することができる。ここで、溶融亜鉛系めっきと
は、亜鉛および亜鉛を主体とした溶融めっきであり、亜
鉛の他にAl、Cr等の合金元素を含んだものを含む。
このような溶融亜鉛系めっきを施した本発明の高張力熱
延鋼板は、めっきままでもめっき後合金化処理を行って
もかまわない。
分組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造により鋼スラブと
なし、直ちに、または、一旦冷却してから1150℃以
上に加熱した後、熱間圧延し、仕上熱間圧延出側温度を
850℃以上とし、550℃〜700℃で巻取ることに
よって製造される。
から1150℃以上に加熱後、熱間圧延 熱間圧延後に、TiもしくはTiとNbの炭・窒化物お
よびMoの炭化物をそれぞれ単独でおよび/または複合
化して析出させるために、熱間圧延前のスラブ段階では
Ti,NbおよびMoを固溶させる必要があるため、鋼
スラブを直ちに熱間圧延するか、または一旦冷却してか
ら1150℃以上に加熱後熱間圧延する。つまり、スラ
ブ製造後はTi,NbおよびMoは固溶しているため直
ちに熱間圧延する場合は固溶状態が保たれているが、一
旦冷却した場合には粗大な析出物が形成されるので11
50℃以上に加熱してTi,NbおよびMoを再度固溶
させる必要がある。
延出側温度を850℃以上とする。850℃未満とした
場合、表層が粗大粒となり伸びおよび伸びフランジ性が
損なわれる。
0℃とする。550℃未満では転位密度の高い組織とな
るため伸びが低下し、700℃を超えるとTi,Nbお
よびMoによる析出強化の効果が小さくなる。さらに望
ましくは600〜660℃である。巻取温度を600〜
660℃とすると、強度と伸びおよび伸びフランジ性と
のバランスがさらに良好となる。
施す場合には、常法にしたがって行えばよいが、めっき
前焼鈍温度については、450℃未満ではめっきがつか
ず、750℃超えでは強度低下が生じやすい。そのた
め、焼鈍温度は450℃以上、750℃以下が好まし
い。
いた状態でも酸洗材でもその特性に差異はない。調質圧
延についても通常行われる条件であれば問題はない。ま
た、上記溶融亜鉛めっきは、酸洗後であってもスケール
のついたままであってもよい。電気めっきを施したもの
でもかまわず、化成処理を施したものであっても特に問
題はない。鋳造後直ちにまたは補熱を目的とした加熱を
施した後にそのまま熱間圧延を行う直送圧延を行ったも
のであっても本発明の効果に影響はない。また、粗圧延
後に仕上圧延前もしくは仕上圧延中に圧延材を加熱また
は保熱しても、粗圧延後に圧延材を接合して行う連続圧
延を行っても、また、圧延材の加熱と連続圧延とを同時
に行っても本発明の効果は損なわれない。
ンジ性に優れているのでこれをプレス成形した場合、そ
の特質が活かされ、自動車用部材、特にサスペンション
アーム等の足廻り部材のようなプレス時の断面形状が複
雑な部材を良好な品質で製造することができ、特に、プ
レス成形品の軽量化に資することができる。以下に具体
的に、本発明に係る熱延鋼板の加工方法、換言すればプ
レス成形品の製造方法について説明する。
の作業フローの一例を示すフローチャートである。この
作業フローは、通常、本発明に係る鋼板を製造すること
またはその製造された鋼板を例えばコイルにして目的場
所に搬送することを前工程としており、まず、本発明に
係る熱延鋼板を準備することから始まる(S0、S
1)。この鋼板に対してプレス加工を施す前に、鋼板に
対して前処理的な加工を施すこともあれば(S2)、裁
断機により所定の寸法や形状に加工することもある(S
3)。前者のS2の工程では、例えば鋼板の幅方向の所
定箇所に切り込みや穿孔を行い、引き続くプレス加工を
終えた段階またはそのプレス加工の過程で、所定の寸法
および形状のプレス成形品または被プレス加工部材とし
て切り離すことができるようにしておく。後者のS3の
工程では、最終的なプレス成形品の寸法、形状等を予め
考慮して、所定の寸法および形状の鋼板部材に加工(し
たがって裁断)するようにしておく。その後、S2およ
びS3の工程を経由した部材には、プレス加工が施さ
れ、最終的に目的とする寸法・形状の所望のプレス成形
品が製造される(S4)。このプレス加工は、通常は多
段階で行われ、3段階以上7段階以下であることが多
い。
由した部材に対してさらに所定の寸法や形状に裁断する
工程を含む場合もある。この場合の「裁断」という作業
は、例えば、少なくともプレス加工の過程で、S2およ
びS3の工程を経由した部材の端部のような最終的なプ
レス成形品には不要部分を切り離す作業であっても構わ
ないし、また、S2の工程で設けられた鋼板の幅方向の
切り込みや穿孔に沿って被プレス加工部材を切り離す作
業であっても構わない。
部材、プレス成形品を、機械的にあるいは作業員による
搬送作業である場合がある。
に応じて次工程に送られる。次工程としては、例えば、
プレス成形品に更に機械加工を施し、寸法や形状を調整
する工程、プレス成形品を所定場所に搬送し、格納する
工程、プレス成形品に表面処理を施す工程、プレス成形
品を用いて自動車のような目的物を組み立てる組立工程
がある。
置と鋼板、部材、プレス成形品の流れとの関係を示すブ
ロック図である。この図においては、本発明に係る熱延
鋼板はコイル状で準備されており、プレス加工機により
プレス成形品が製造される。プレス加工機は多段プレス
を行う機種のものであるが、本件発明はこれに限定され
ない。
処理機械を設置する場合(図4の(a))もあれば、設
置しない場合(図4の(b))もある。裁断機が設置さ
れる場合には、コイルから供給される長尺の本発明に係
る鋼板から、必要な寸法又は形状の部材を裁断し、この
部材がプレス加工機においてプレス加工され、所定のプ
レス成形品となる。鋼板の幅方向に切り欠きや穿孔を施
す前処理機械が設置される場合には、プレス加工機にお
いてその切り欠きや穿孔に沿って裁断が行われても構わ
ない。前処理機械を設置しない場合には、プレス加工機
において鋼板がプレス加工される過程で、裁断が行わ
れ、最終的に所定の寸法、形状を有するプレス成形品が
製造される。なお、図4における「裁断」の意味は、図
3における裁断と同じである。
原材料として伸び及び伸びフランジ性に優れている本発
明に係る鋼板を使用しているので、プレス時の断面形状
が複雑であっても、良好な品質で製造することができ、
軽量なものとなる。このような特長は、プレス成形品が
自動車用部材、特にサスペンションアーム等の足廻り部
材である場合に特に有用である。
を、表2に示す製造条件を用いて板厚3.2mmの熱延
鋼板とした。表1において、A値は上記(1)式の(C
/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}の値、
B値は上記(2)式のC−[{Ti−(48/14)
N}×(12/48)+(12/96)×Mo]の値を
示す。また、表2においてSRTはスラブ加熱温度であ
り、FTは仕上熱間圧延出側温度、およびCTは巻取温
度である。
張試験片および穴広げ試験片を採取し、引張試験および
穴広げ試験を実施するとともに、光学顕微鏡および走査
型電子顕微鏡(SEM)で金属組織を確認した。穴広げ
試験は130mm角の鋼板の中央に10mmφのポンチ
によりクリアランス12.5%で打ち抜いた穴を有する
試験片を準備し、60°円錐ポンチにより打ち抜き穴の
バリ側の反対方向から押し上げる方法で行った。また、
鋼板から作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)に
よって観察し析出物を確認した。また、析出物の成分を
TEMに装備されたエネルギー分散型X線分光装置(E
DX)により分析した。
る。試験結果の評価については、引張強さ(TS)が7
80MPa以上、伸び(El)が20%以上かつ穴広げ
率(λ)が70%以上を良好とした。
〜15の鋼板は、成分組成が本発明の範囲で、金属組織
も本発明の範囲内である適正な量のTiとMoとを含む
炭化物が析出したフェライト組織であった。このため伸
びおよび伸びフランジ性がともに優れた結果が得られて
いる。なお、図5に、No.2の鋼板の透過型電子顕微
鏡写真を示す。この写真から、微細なTiとMoとを含
む炭化物がフェライト単相組織中に均一に分散している
ことがわかる。
低いため転位密度の高いベイナイト組織となりElが低
く、No.16〜18,20の熱延鋼板は、第2相であ
るパーライトまたはマルテンサイトが形成され、伸びお
よび伸びフランジ性がともに低く、No.19の鋼板は
Moの添加量が少ないためTi,Nbの炭・窒化物が微
細とならず、かつ、Mo炭化物の析出もほとんどないた
めλが低く、No.21の鋼板はTi添加量が少なくT
iの炭・窒化物が少ないためTS、λが低く、No.2
2〜26の鋼板はTiまたはNbまたはこれらの両方の
添加量が多すぎるため、析出物量が過多となり、El、
λともに低くなっている。
Vのスラブを準備し、そのスラブを1250℃に加熱
後、仕上熱間圧延出側温度890℃で熱間圧延した後、
巻取温度630℃として板厚3.0mmの鋼板を作製し
た。得られた鋼板からJIS5号引張試験片を採取し、
引張試験を行った。また、固溶C量を内部摩擦測定によ
り決定した。固溶C量と、引張試験により測定されたE
lとの関係を図6に示す。
とすることで伸びが良好となることが確認される。
げ温度920℃、巻き取り温度610℃で熱間圧延を行
い、板圧1.8mmの熱延鋼板を製造した。得られた熱
延鋼板を酸洗後、合金化溶融亜鉛めっきを行った。亜鉛
めっき板よりJIS5号引張試験片および穴広げ試験片
を採取し、引張試験および穴広げ試験を実施するととも
に、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)で金
属組織を確認し、析出物の成分を透過型顕微鏡(TE
M)に装備されたエネルギー分散型X線分光装置(ED
X)により分析した。その際のTS、El、λの値を表
3に併記する。なお、表3中のA値、B値は表1と同様
である。
27は、合金化溶融亜鉛めっきを行っても優れた伸びお
よび伸びフランジ性を示したが、比較例であるNo.2
8はMoを含有していないため、析出物がMoを含まな
いものとなり、伸びフランジ性が著しく低い値となっ
た。
上げ温度910℃、巻取温度600℃と650℃で熱間
圧延を行った。得られた板厚3.2mmの鋼板の組織を
確認し、析出物の分析を行った後、鋼板よりJIS5号
引張試験片を作成して引張試験を行った。600℃巻取
材と650℃巻取材とでTSの差をとり、巻き取り温度
依存性を調査した。結果を表4に併記する。なお、表4
に示すNo.29〜32は、いずれもフェライト組織に
本発明の炭化物が析出した組織を有していた。
下で上記(2)式を満たすNo.29〜31はTSの差
は小さく、巻取温度依存性が小さいが、上記(2)式を
満たさないNo.32は巻取温度依存性が大きいことが
確認された。
成分組成を適切に調整することにより、微細な炭・窒化
物が析出したフェライト組織を形成するので、伸びおよ
び伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板を提供するこ
とができる。したがって、本発明は、自動車用足廻り部
材の軽量化に大いに寄与するものである。
48)+(12/96)×Mo]の値とTSとの関係を
示すグラフ。
の一例を示すフローチャート。
材、プレス成形品の流れとの関係を示すブロック図。
透過型電子顕微鏡写真。
の関係を示すグラフ。
Claims (11)
- 【請求項1】 重量%で、C≦0.06%、Si≦0.
3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.00
5%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:
0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10%、
Nb≦0.08%を含み、TiもしくはTiとNbの炭
・窒化物およびMoの炭化物がそれぞれ単独でおよび/
または複合化して析出したフェライト組織からなること
を特徴とする伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力
熱延鋼板。 - 【請求項2】 重量%で、C≦0.06%、Si≦0.
3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.00
5%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:
0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10%、
Nb≦0.08%を含み、Tiの炭化物およびMoの炭
化物がそれぞれ単独でおよび/または複合化して析出し
たフェライト組織からなることを特徴とする伸びおよび
伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板。 - 【請求項3】 重量%で、C≦0.06%、Si≦0.
3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.00
5%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:
0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10%、
Nb≦0.08%を含み、TiとMoとを含む炭化物が
析出したフェライト組織からなることを特徴とする伸び
および伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板。 - 【請求項4】 C、Ti、Moを以下の(1)式を満足
するように含有することを特徴とする請求項1から請求
項3のいずれか1項に記載の伸びおよび伸びフランジ性
に優れた高張力熱延鋼板。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5 …( 1) ただし、上記(1)式中、C、Ti、Moは各成分の重
量%を表す。 - 【請求項5】 C、Ti、N、Moを以下の(2)式を
満足するように含有することを特徴とする請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の伸びおよび伸びフラン
ジ性に優れた高張力熱延鋼板。 C−[{Ti−(48/14)N}×(12/48)+(12/96)×Mo ]≦0.005 …(2) ただし、上記(2)式中、C、Ti、N、Moは各成分
の重量%を表す。 - 【請求項6】 重量%で、固溶Cが0.0020%以下
であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれ
か1項に記載の伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張
力熱延鋼板。 - 【請求項7】 表面に溶融亜鉛系めっき皮膜を有するこ
とを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に
記載の伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼
板。 - 【請求項8】 重量%で、C≦0.06%、Si≦0.
3%、Mn:1〜2%、P≦0.06%、S≦0.00
5%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:
0.07〜0.45%、Ti:0.03〜0.10%、
Nb≦0.08%を含む鋼を溶製し、連続鋳造により鋼
スラブとなし、直ちに、または、一旦冷却してから11
50℃以上に加熱した後、熱間圧延し、仕上熱間圧延出
側温度を850℃以上とし、550℃〜700℃で巻取
ることを特徴とする伸びおよび伸びフランジ性に優れた
高張力熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項9】 請求項1から請求項7のいずれかに記載
の鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前記部材
にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品に加工
する第2の工程とを有する高張力熱延鋼板の加工方法。 - 【請求項10】 前記プレス成形品は、自動車用部品で
ある請求項9に記載の高張力熱延鋼板の加工方法。 - 【請求項11】 請求項1から請求項7のいずれかに記
載の鋼板により製造された自動車用部品。
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