JP2003089848A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 加工性に優れた超高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、C:0.07〜0.15%、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む平均粒径が10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項2】 質量%で、C:0.07〜0.15%、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、さらにNb:0.06%以下、V:0.15%以下のうち1種以上を含み、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む平均粒径が10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項3】 前記析出物の組成が、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項4】 質量%で、
C:0.07〜0.15%、
Si:0.3%以下、
Mn:0.5〜2.0%、
P:0.06%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.06%以下、
N:0.006%以下、
Mo:0.3〜0.7%、
Ti:0.15〜0.35%
を含み、残部が実質的にFeからなり、実質的にフェライト単相組織であり、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項5】 質量%で、
C:0.07〜0.15%、
Si:0.3%以下、
Mn:0.5〜2.0%、
P:0.06%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.06%以下、
N:0.006%以下、
Mo:0.3〜0.7%、
Ti:0.15〜0.35%
を含み、さらにNb:0.06%以下、V:0.15%以下のうち1種以上を含み、残部が実質的にFeからなり、実質的にフェライト単相組織であり、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項6】 析出物の平均粒径が10nm未満であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超高張力鋼板を製造するに際し、熱間圧延を、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で行うことを特徴とする加工性に優れた超高張力鋼板の製造方法。
【請求項8】 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超高張力鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前記部材にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品に加工する第2の工程とを有する超高張力鋼板の加工方法。
【請求項9】 前記プレス成形品は、自動車用部品であることを特徴とする請求項8に記載の超高張力鋼板の加工方法。
【請求項10】 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超高張力鋼板により製造されることを特徴とする自動車用部品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用部材の素材に適した加工性に優れた、引張強度が950MPa以上の超高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法に関する。
【0002】
【従来技術】
環境保全につながる燃費向上の観点から、益々、自動車用鋼板の高強度薄肉化が強く求められているが、自動車用部材はプレス成形により得られる複雑な形状のものが多く、加工性の指標である伸びおよび伸びフランジ性がともに優れた材料が必要とされている。
【0003】
従来、この種の鋼板は種々提案されており、例えば、特開平6−172924号公報には、転位密度の高いベイニティック・フェライト組織が生成した伸びフランジ性に優れる鋼板が提案されている。しかし、この鋼板は、転位密度の高いベイニティック・フェライト組織を含むため伸びが乏しいという欠点がある。
【0004】
特開平6−200351号公報には、組織の大部分をポリゴナルフェライトとし、TiCを中心として析出強化および固溶強化した伸びフランジ性に優れる鋼板が提案されている。しかし、この鋼板に用いられている一般的によく知られた析出物で高張力化するには多量のTi添加を必要とし、寸法の大きい析出物が生成しやすく、特性が不安定になりやすいという欠点がある。
【0005】
特開平7−11382号公報には、微細なTiCおよび/またはNbCが析出したアシキュラー・フェライト組織を有した伸びフランジ性に優れる鋼板が提案されている。しかし、この鋼板も、先に述べた特開平6−172924号公報に提案された鋼板同様、アシキュラー・フェライトという転位密度の高い組織であるため十分な伸びが得られていない。
【0006】
また、上記3つの公報において提案されている鋼板の強度レベルは、いずれも引張強度(TS)が780MPa(80kgf/mm2)クラスのものであり、これらの鋼板で950MPa以上の強度を得ることは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、自動車用部材のようにプレス時の断面形状が複雑な用途に適した、加工性の指標である伸びと伸びフランジ性がともに優れた超高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。
(1)転位密度が低い組織とし、微細析出物で強化すると、強度−伸びバランスが向上する。
(2)実質的に単相組織とし、微細析出物で強化すると、強度−伸びフランジ性バランスが向上する。
(3)Moを含む複合析出物とすると、析出物が微細に析出する。
(4)複合析出物中のMoの割合が低くなると、析出物が粗大化するため、伸びおよび伸びフランジ性がともに低下する。
【0009】
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜(10)を提供する。
【0010】
(1) 質量%で、C:0.07〜0.15%、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む平均粒径が10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【0011】
(2) 質量%で、C:0.07〜0.15%、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、さらにNb:0.06%以下、V:0.15%以下のうち1種以上を含み、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む平均粒径が10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【0012】
(3) 上記(1)または(2)において、前記析出物の組成が、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たすことを特徴とする加工性に優れた超高張力鋼板。
【0013】
(4) 質量%で、C:0.07〜0.15%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.06%以下、N:0.006%以下、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、残部が実質的にFeからなり、実質的にフェライト単相組織であり、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【0014】
(5) 質量%で、C:0.07〜0.15%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.06%以下、N:0.006%以下、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、さらにNb:0.06%以下、V:0.15%以下のうち1種以上を含み、残部が実質的にFeからなり、実質的にフェライト単相組織であり、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【0015】
(6) 上記(4)または(5)において、析出物の平均粒径が10nm未満であることを特徴とする加工性に優れた超高張力鋼板。
【0016】
(7) 上記(1)から(6)のいずれかに記載の超高張力鋼板を製造するに際し、熱間圧延を、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で行うことを特徴とする加工性に優れた超高張力鋼板の製造方法。
【0017】
(8) 上記(1)から(6)のいずれかに記載の超高張力鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前記部材にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品に加工する第2の工程とを有する超高張力鋼板の加工方法。
【0018】
(9) 上記(8)において、前記プレス成形品は、自動車用部品であることを特徴とする超高張力鋼板の加工方法。
【0019】
(10) 上記(1)から(6)のいずれかに記載の超高張力鋼板により製造されることを特徴とする自動車用部品。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、金属組織、化学成分、および製造方法に分けて具体的に説明する。
【0021】
[金属組織]
本発明の超高張力鋼板は、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む析出物が分散析出している。
【0022】
・実質的にフェライト単相組織:
マトリックスを実質的にフェライト単相組織としたのは、伸びの向上には転位密度の低いフェライトが有効であり、また、伸びフランジ性の向上には単相組織とすることが有効であり、特に延性に富むフェライト単相組織でそれらの効果が顕著なためである。ただし、マトリックスは必ずしも完全にフェライト単相組織でなくともよく、実質的にフェライト単相組織であればよい。ここで、実質的にフェライト単相組織とは、本発明の析出物以外に、微量の他の相または析出物を許容することをいい、好ましくはフェライトの面積比率が95%以上である。
【0023】
・TiおよびMoを含む析出物:
TiとMoとを含む析出物は微細となるため鋼を強化するのに有効である。従来は、析出物としてTiCを用いることが主流であったが、Tiは析出物形成傾向が強いためMoを含まない場合には粗大化しやすく、強化に対する効果が低くなることから、必要な強化量を得るには加工性を劣化させるまでの析出物が必要となる。これに対し、TiとMoとを含む複合析出物は微細に析出して加工性を劣化させずに鋼を強化することができる。これは、Moの析出物形成傾向がTiと比べて弱いため、析出物が安定的に微細に存在できることで強化に対する効果が高く、加工性を良好に維持できる析出物量で必要な強化量が得られるためと考えられる。特に、この複合析出物を平均粒径を10nm未満のものとすることで、析出物周囲の歪みが転位の移動の抵抗にとってより効果的となり、良好な鋼の強化が得られるため、平均粒径10nm未満の複合析出物とすることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒径5nm以下である。本発明の微細析出物はこのようにTi,Moを含有しているから、鋼中にこれらTi,Moおよび析出物を構成するCを以下に示す所定の範囲で含有させることにより本発明の微細析出物を有効に析出させることができる。析出物が安定的に微細に存在できるためには、析出物の組成が影響し、析出物の組成が、原子比で、Mo/(Ti+Mo)≧0.25となると、析出物の粗大化を抑制する効果が高くなり、微細析出物を形成しやすくなる。
【0024】
[化学成分]
本発明の超高張力鋼板は、質量%で、C:0.07〜0.15%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.06%以下、N:0.006%以下、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、残部が実質的にFeからなる組成が例示される。また、組織をより細粒化して伸びおよび伸びフランジ性をさらに向上させる場合には、上記成分に加えてNb≦0.06%、V≦0.15%のうち1種以上を含有し、残部が実質的にFeであることが好ましい。以下、これら各成分について説明する。
【0025】
C:0.07〜0.15%
Cは炭化物を形成し、鋼を強化するのに有効である。しかし、0.07%未満では、鋼の強化が不十分であり、0.15%を超えて添加するとパーライトが形成されやすくなることと析出物が粗大化することから伸びおよび伸びフランジ性を損なうおそれがある。このため、C含有量は0.07〜0.15%とする。
【0026】
Si:0.3%以下
Siは固溶強化には有効な元素であるが、0.3%を超えて添加すると、フェライトからのC析出が促進されて粒界に粗大な炭化物が析出しやすくなり、伸びフランジ性が低下する傾向となる。このため、Si含有量は0.3%以下とする。
【0027】
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、固溶強化により鋼を強化する観点から0.5%以上とする。しかし、2.0%を超えて添加すると偏析し、かつ硬質相が形成され、伸びフランジ性が低下する。このため、Mn含有量は0.5〜2.0%とする。
【0028】
P:0.06%以下
Pは固溶強化に有効であるが、0.06%を超えて添加すると偏析して伸びフランジ性が低下するおそれがあるため、0.06%以下とする。
【0029】
S:0.005%以下
Sは少ないほど好ましく、0.005%を超えると伸びフランジ性を低下させるおそれがあるため、0.005%以下とする。
【0030】
Al:0.06%以下
Alは脱酸剤として添加される。しかし、0.06%を超えると伸びおよび伸びフランジ性がともに低下する傾向にあるため0.06%以下とする。
【0031】
N:0.006%以下
Nは少ないほど好ましく、0.006%を超えると粗大な窒化物が増え、伸びフランジ性が低下する傾向にあるため0.006%以下とする。
【0032】
Mo:0.3〜0.7%
Moは本発明において重要な元素であり、0.3%以上含有させることで、パーライト変態を抑制しつつ、Tiとの微細な複合析出物、または、Tiに加えNbおよびVのうち1種以上を含む微細な複合析出物を形成し、優れた伸びおよび伸びフランジ性を確保しつつ、鋼を強化することができる。しかし、0.7%を超えて添加すると硬質相が形成され伸びフランジ性が低下する傾向にある。このため、Mo含有量は0.3〜0.7%とする。
【0033】
Ti:0.15〜0.35%
Tiは本発明において重要な元素である。Moと複合析出物を形成することで、優れた伸びおよび伸びフランジ性を確保しつつ、鋼を強化することができる。しかし、0.15%未満では、鋼を強化する効果が不十分であり、0.35%を超えると伸びが劣化する傾向にある。このため、Ti含有量は0.15〜0.35%とする。
【0034】
Nb:0.06%以下
Nbは組織の細粒化に有効であり、かつTiおよびMoとともに複合析出して複合析出物を形成し、優れた伸びおよび伸びフランジ性を得ることに寄与するため、必要に応じて添加する。しかし、Nb量が0.06%を超えると伸びが劣化する傾向にあるため、Nbを含有させる場合には0.06%以下が好ましい。なお、Nbの組織の細粒化効果を得る観点からは0.005%以上が好ましい。
【0035】
V:0.15%以下
Vは組織の微細化に有効であり、かつTiおよびMoとともに複合析出して複合析出物を形成し、優れた伸びおよび伸びフランジ性を得ることに寄与するため、必要に応じて添加する。しかし、V量が0.15%を超えると伸びが劣化する傾向にあるため、Vを含有させる場合には0.15%以下が好ましい。なお、Vの組織の細粒化効果を得る観点からは0.001%以上が好ましい。
【0036】
なお、Cr:0.15%以下、Cu:0.15%以下、Ni:0.15%以下の1種類以上を含んでいても特性上問題はない。
【0037】
[製造方法]
本発明では、上記高張力鋼を製造するに際し、熱間圧延を、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で行う。以下、これら条件について説明する。
【0038】
・仕上圧延終了温度880℃以上
仕上圧延終了温度は伸びおよび伸びフランジ性と圧延荷重を低減するのに重要である。880℃未満では、板厚方向で層状組織となり伸びおよび伸びフランジ性が損なわれるため、880℃以上とする。
【0039】
・巻取温度570℃以上
フェライト組織を得るため、巻取温度を570℃以上とする。
【0040】
なお、本発明の鋼板は、黒皮ままでも、酸洗ままでもその特性に差異はない。調質圧延についても通常行われるものであれば特に制限はない。また、電気めっきも可能であり、化成処理についても特に問題はない。鋳造後直ちにまたは補熱を目的とした加熱を施した後にそのまま熱間圧延を行う直送圧延を行っても本発明の効果に影響はない。さらに、粗圧延後に仕上圧延前で、圧延材を加熱しても、粗圧延後、圧延材を接合して行う連続圧延を行っても、さらには圧延材の加熱と連続圧延を同時に行っても本発明の効果は損なわれない。
【0041】
本発明の超高張力鋼板は、加工性に優れ、特に伸びフランジ性に優れているのでこれをプレス成形した場合、その特質が活かされ、自動車用部材、特にサスペンションアーム等の足廻り部材のようなプレス時の断面形状が複雑な部材を良好な品質で製造することができ、特に、プレス成形品の軽量化に資することができる。以下に具体的に、本発明に係る超高張力鋼板の加工方法、換言すればプレス成形品の製造方法について説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る超高張力鋼板の加工方法の作業フローの一例を示すフローチャートである。この作業フローは、通常、本発明に係る鋼板を製造することまたはその製造された鋼板を例えばコイルにして目的場所に搬送することを前工程としており、まず、本発明に係る超高張力鋼板を準備することから始まる(S0、S1)。この鋼板に対してプレス加工を施す前に、鋼板に対して前処理的な加工を施すこともあれば(S2)、裁断機により所定の寸法や形状に加工することもある(S3)。前者のS2の工程では、例えば鋼板の幅方向の所定箇所に切り込みや穿孔を行い、引き続くプレス加工を終えた段階またはそのプレス加工の過程で、所定の寸法および形状のプレス成形品または被プレス加工部材として切り離すことができるようにしておく。後者のS3の工程では、最終的なプレス成形品の寸法、形状等を予め考慮して、所定の寸法および形状の鋼板部材に加工(したがって裁断)するようにしておく。その後、S2およびS3の工程を経由した部材には、プレス加工が施され、最終的に目的とする寸法・形状の所望のプレス成形品が製造される(S4)。このプレス加工は、通常は多段階で行われ、3段階以上7段階以下であることが多い。
【0043】
S4の工程は、S2およびS3の工程を経由した部材に対してさらに所定の寸法や形状に裁断する工程を含む場合もある。この場合の「裁断」という作業は、例えば、少なくともプレス加工の過程で、S2およびS3の工程を経由した部材の端部のような最終的なプレス成形品には不要部分を切り離す作業であっても構わないし、また、S2の工程で設けられた鋼板の幅方向の切り込みや穿孔に沿って被プレス加工部材を切り離す作業であっても構わない。
【0044】
なお、図1中、N1ないしN3は、鋼板、部材、プレス成形品を、機械的にあるいは作業員による搬送作業である場合がある。
【0045】
こうして製造されるプレス成形品は、必要に応じて次工程に送られる。次工程としては、例えば、プレス成形品にさらに機械加工を施し、寸法や形状を調整する工程、プレス成形品を所定場所に搬送し、格納する工程、プレス成形品に表面処理を施す工程、プレス成形品を用いて自動車のような目的物を組み立てる組立工程がある。
【0046】
図2は、図1に示した作業を実際に行う装置と鋼板、部材、プレス成形品の流れとの関係を示すブロック図である。この図においては、本発明に係る超高張力鋼板はコイル状で準備されており、プレス加工機によりプレス成形品が製造される。プレス加工機は多段プレスを行う機種のものであるが、本件発明はこれに限定されない。
【0047】
プレス加工機の前段に、裁断機その他の前処理機械を設置する場合(図2の(a))もあれば、設置しない場合(図2の(b))もある。裁断機が設置される場合には、コイルから供給される長尺の本発明に係る鋼板から、必要な寸法または形状の部材を裁断し、この部材がプレス加工機においてプレス加工され、所定のプレス成形品となる。鋼板の幅方向に切り欠きや穿孔を施す前処理機械が設置される場合には、プレス加工機においてその切り欠きや穿孔に沿って裁断が行われても構わない。前処理機械を設置しない場合には、プレス加工機において鋼板がプレス加工される過程で、裁断が行われ、最終的に所定の寸法、形状を有するプレス成形品が製造される。なお、図2における「裁断」の意味は、図1における裁断と同じである。
【0048】
こうして製造されるプレス成形品は、その原材料として加工性に優れ、特に伸びフランジ性に優れている本発明に係る超高張力鋼板を使用しているので、プレス時の断面形状が複雑であっても、良好な品質で製造することができ、軽量なものとなる。このような特長は、プレス成形品が自動車用部材、特にサスペンションアーム等の足廻り部材である場合に特に有用である。
【0049】
【実施例】
表1に示す化学成分を有する鋼片を、1250℃に加熱し、通常の熱間圧延工程によって仕上温度880〜930℃で、板厚2.6mmに仕上げた。この後、600℃を超える巻取温度で、冷却速度と巻取温度を変化させて、種々の組織の鋼板を製造した。
【0050】
得られた鋼板を酸洗後、それら鋼板からJIS5号引張試験片(圧延垂直方向)および穴広げ試験片を採取し、引張試験および穴広げ試験を行った。穴広げ試験は、130mm角の鋼板の中央に10mmφのポンチによりクリアランス12.5%で打ち抜いた穴を有する試験片を準備し、60°円錐ポンチにより打抜き穴のバリ側の反対方向から押し上げ、割れが鋼板を貫通した時点での穴径dを測定し、穴広げ率λを次式より算出した。
λ(%)=[(d−10)/10]×100
【0051】
また、鋼板から作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、析出物寸法を測定した。析出物中のTi、Moの組成は、TEMに装備されたEDXによる分析から決定した。
【0052】
表2に、引張強度(TS)、伸び(El)、穴広げ率(λ)、組織、析出物平均粒径、析出物組成を示す。
【0053】
表2に示す通り、本発明鋼のNo.1〜9はいずれもフェライト組織からなり、析出物の平均粒径は10nm未満で、原子%で、Mo比率が0.25以上となっているため、引張強度(TS)が950MPa以上で優れた伸びおよび伸びフランジ性を有している。
【0054】
これに対し、比較鋼のNo.10はC量が多すぎることとMo無添加のため、パーライトが生成し、かつ析出物が粗大化しており、伸びおよび伸びフランジ性がともに低く、特に伸びフランジ性が低い。また、No.11はMo無添加のため、析出物が粗大化しており、伸びおよび伸びフランジ性がともに低く、特に伸びフランジ性が低い。No.12はC量が低いため、鋼の強化に必要な析出物量が少ないことから引張強度(TS)が950MPa未満となっている。No.13はMn量が多すぎるため偏析が顕著であり、かつ組織内にマルテンサイトが形成されているため、伸びおよび伸びフランジ性がともに低い。No.14はTi量が少ないため、鋼の強化に必要な析出物が不足して引張強度(TS)が950MPa未満となっている。No.15はTiとMoの複合析出物は存在するものの、Mo量が少なくSi量が多すぎるため、複合析出物中のMo比率が低くなり析出物が粗大化するため、伸びおよび伸びフランジ性がともに低い。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加工性の指標である伸びおよび伸びフランジ性に優れた超高張力鋼板を提供することができ、自動車部材の軽量化に寄与する効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る超高張力鋼板の加工方法の作業フローの一例を示すフローチャート。
【図2】
図1に示した作業を実際に行う装置と鋼板、部材、プレス成形品の流れとの関係を示すブロック図。
【発明の名称】 加工性に優れた超高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、C:0.07〜0.15%、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む平均粒径が10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項2】 質量%で、C:0.07〜0.15%、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、さらにNb:0.06%以下、V:0.15%以下のうち1種以上を含み、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む平均粒径が10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項3】 前記析出物の組成が、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項4】 質量%で、
C:0.07〜0.15%、
Si:0.3%以下、
Mn:0.5〜2.0%、
P:0.06%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.06%以下、
N:0.006%以下、
Mo:0.3〜0.7%、
Ti:0.15〜0.35%
を含み、残部が実質的にFeからなり、実質的にフェライト単相組織であり、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項5】 質量%で、
C:0.07〜0.15%、
Si:0.3%以下、
Mn:0.5〜2.0%、
P:0.06%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.06%以下、
N:0.006%以下、
Mo:0.3〜0.7%、
Ti:0.15〜0.35%
を含み、さらにNb:0.06%以下、V:0.15%以下のうち1種以上を含み、残部が実質的にFeからなり、実質的にフェライト単相組織であり、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項6】 析出物の平均粒径が10nm未満であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の加工性に優れた超高張力鋼板。
【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超高張力鋼板を製造するに際し、熱間圧延を、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で行うことを特徴とする加工性に優れた超高張力鋼板の製造方法。
【請求項8】 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超高張力鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前記部材にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品に加工する第2の工程とを有する超高張力鋼板の加工方法。
【請求項9】 前記プレス成形品は、自動車用部品であることを特徴とする請求項8に記載の超高張力鋼板の加工方法。
【請求項10】 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超高張力鋼板により製造されることを特徴とする自動車用部品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用部材の素材に適した加工性に優れた、引張強度が950MPa以上の超高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法に関する。
【0002】
【従来技術】
環境保全につながる燃費向上の観点から、益々、自動車用鋼板の高強度薄肉化が強く求められているが、自動車用部材はプレス成形により得られる複雑な形状のものが多く、加工性の指標である伸びおよび伸びフランジ性がともに優れた材料が必要とされている。
【0003】
従来、この種の鋼板は種々提案されており、例えば、特開平6−172924号公報には、転位密度の高いベイニティック・フェライト組織が生成した伸びフランジ性に優れる鋼板が提案されている。しかし、この鋼板は、転位密度の高いベイニティック・フェライト組織を含むため伸びが乏しいという欠点がある。
【0004】
特開平6−200351号公報には、組織の大部分をポリゴナルフェライトとし、TiCを中心として析出強化および固溶強化した伸びフランジ性に優れる鋼板が提案されている。しかし、この鋼板に用いられている一般的によく知られた析出物で高張力化するには多量のTi添加を必要とし、寸法の大きい析出物が生成しやすく、特性が不安定になりやすいという欠点がある。
【0005】
特開平7−11382号公報には、微細なTiCおよび/またはNbCが析出したアシキュラー・フェライト組織を有した伸びフランジ性に優れる鋼板が提案されている。しかし、この鋼板も、先に述べた特開平6−172924号公報に提案された鋼板同様、アシキュラー・フェライトという転位密度の高い組織であるため十分な伸びが得られていない。
【0006】
また、上記3つの公報において提案されている鋼板の強度レベルは、いずれも引張強度(TS)が780MPa(80kgf/mm2)クラスのものであり、これらの鋼板で950MPa以上の強度を得ることは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、自動車用部材のようにプレス時の断面形状が複雑な用途に適した、加工性の指標である伸びと伸びフランジ性がともに優れた超高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。
(1)転位密度が低い組織とし、微細析出物で強化すると、強度−伸びバランスが向上する。
(2)実質的に単相組織とし、微細析出物で強化すると、強度−伸びフランジ性バランスが向上する。
(3)Moを含む複合析出物とすると、析出物が微細に析出する。
(4)複合析出物中のMoの割合が低くなると、析出物が粗大化するため、伸びおよび伸びフランジ性がともに低下する。
【0009】
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜(10)を提供する。
【0010】
(1) 質量%で、C:0.07〜0.15%、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む平均粒径が10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【0011】
(2) 質量%で、C:0.07〜0.15%、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、さらにNb:0.06%以下、V:0.15%以下のうち1種以上を含み、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む平均粒径が10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【0012】
(3) 上記(1)または(2)において、前記析出物の組成が、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たすことを特徴とする加工性に優れた超高張力鋼板。
【0013】
(4) 質量%で、C:0.07〜0.15%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.06%以下、N:0.006%以下、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、残部が実質的にFeからなり、実質的にフェライト単相組織であり、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【0014】
(5) 質量%で、C:0.07〜0.15%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.06%以下、N:0.006%以下、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、さらにNb:0.06%以下、V:0.15%以下のうち1種以上を含み、残部が実質的にFeからなり、実質的にフェライト単相組織であり、原子%でMo/(Ti+Mo)≧0.25を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強度が950MPa以上の加工性に優れた超高張力鋼板。
【0015】
(6) 上記(4)または(5)において、析出物の平均粒径が10nm未満であることを特徴とする加工性に優れた超高張力鋼板。
【0016】
(7) 上記(1)から(6)のいずれかに記載の超高張力鋼板を製造するに際し、熱間圧延を、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で行うことを特徴とする加工性に優れた超高張力鋼板の製造方法。
【0017】
(8) 上記(1)から(6)のいずれかに記載の超高張力鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前記部材にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品に加工する第2の工程とを有する超高張力鋼板の加工方法。
【0018】
(9) 上記(8)において、前記プレス成形品は、自動車用部品であることを特徴とする超高張力鋼板の加工方法。
【0019】
(10) 上記(1)から(6)のいずれかに記載の超高張力鋼板により製造されることを特徴とする自動車用部品。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、金属組織、化学成分、および製造方法に分けて具体的に説明する。
【0021】
[金属組織]
本発明の超高張力鋼板は、実質的にフェライト単相組織であり、TiおよびMoを含む析出物が分散析出している。
【0022】
・実質的にフェライト単相組織:
マトリックスを実質的にフェライト単相組織としたのは、伸びの向上には転位密度の低いフェライトが有効であり、また、伸びフランジ性の向上には単相組織とすることが有効であり、特に延性に富むフェライト単相組織でそれらの効果が顕著なためである。ただし、マトリックスは必ずしも完全にフェライト単相組織でなくともよく、実質的にフェライト単相組織であればよい。ここで、実質的にフェライト単相組織とは、本発明の析出物以外に、微量の他の相または析出物を許容することをいい、好ましくはフェライトの面積比率が95%以上である。
【0023】
・TiおよびMoを含む析出物:
TiとMoとを含む析出物は微細となるため鋼を強化するのに有効である。従来は、析出物としてTiCを用いることが主流であったが、Tiは析出物形成傾向が強いためMoを含まない場合には粗大化しやすく、強化に対する効果が低くなることから、必要な強化量を得るには加工性を劣化させるまでの析出物が必要となる。これに対し、TiとMoとを含む複合析出物は微細に析出して加工性を劣化させずに鋼を強化することができる。これは、Moの析出物形成傾向がTiと比べて弱いため、析出物が安定的に微細に存在できることで強化に対する効果が高く、加工性を良好に維持できる析出物量で必要な強化量が得られるためと考えられる。特に、この複合析出物を平均粒径を10nm未満のものとすることで、析出物周囲の歪みが転位の移動の抵抗にとってより効果的となり、良好な鋼の強化が得られるため、平均粒径10nm未満の複合析出物とすることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒径5nm以下である。本発明の微細析出物はこのようにTi,Moを含有しているから、鋼中にこれらTi,Moおよび析出物を構成するCを以下に示す所定の範囲で含有させることにより本発明の微細析出物を有効に析出させることができる。析出物が安定的に微細に存在できるためには、析出物の組成が影響し、析出物の組成が、原子比で、Mo/(Ti+Mo)≧0.25となると、析出物の粗大化を抑制する効果が高くなり、微細析出物を形成しやすくなる。
【0024】
[化学成分]
本発明の超高張力鋼板は、質量%で、C:0.07〜0.15%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.06%以下、N:0.006%以下、Mo:0.3〜0.7%、Ti:0.15〜0.35%を含み、残部が実質的にFeからなる組成が例示される。また、組織をより細粒化して伸びおよび伸びフランジ性をさらに向上させる場合には、上記成分に加えてNb≦0.06%、V≦0.15%のうち1種以上を含有し、残部が実質的にFeであることが好ましい。以下、これら各成分について説明する。
【0025】
C:0.07〜0.15%
Cは炭化物を形成し、鋼を強化するのに有効である。しかし、0.07%未満では、鋼の強化が不十分であり、0.15%を超えて添加するとパーライトが形成されやすくなることと析出物が粗大化することから伸びおよび伸びフランジ性を損なうおそれがある。このため、C含有量は0.07〜0.15%とする。
【0026】
Si:0.3%以下
Siは固溶強化には有効な元素であるが、0.3%を超えて添加すると、フェライトからのC析出が促進されて粒界に粗大な炭化物が析出しやすくなり、伸びフランジ性が低下する傾向となる。このため、Si含有量は0.3%以下とする。
【0027】
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、固溶強化により鋼を強化する観点から0.5%以上とする。しかし、2.0%を超えて添加すると偏析し、かつ硬質相が形成され、伸びフランジ性が低下する。このため、Mn含有量は0.5〜2.0%とする。
【0028】
P:0.06%以下
Pは固溶強化に有効であるが、0.06%を超えて添加すると偏析して伸びフランジ性が低下するおそれがあるため、0.06%以下とする。
【0029】
S:0.005%以下
Sは少ないほど好ましく、0.005%を超えると伸びフランジ性を低下させるおそれがあるため、0.005%以下とする。
【0030】
Al:0.06%以下
Alは脱酸剤として添加される。しかし、0.06%を超えると伸びおよび伸びフランジ性がともに低下する傾向にあるため0.06%以下とする。
【0031】
N:0.006%以下
Nは少ないほど好ましく、0.006%を超えると粗大な窒化物が増え、伸びフランジ性が低下する傾向にあるため0.006%以下とする。
【0032】
Mo:0.3〜0.7%
Moは本発明において重要な元素であり、0.3%以上含有させることで、パーライト変態を抑制しつつ、Tiとの微細な複合析出物、または、Tiに加えNbおよびVのうち1種以上を含む微細な複合析出物を形成し、優れた伸びおよび伸びフランジ性を確保しつつ、鋼を強化することができる。しかし、0.7%を超えて添加すると硬質相が形成され伸びフランジ性が低下する傾向にある。このため、Mo含有量は0.3〜0.7%とする。
【0033】
Ti:0.15〜0.35%
Tiは本発明において重要な元素である。Moと複合析出物を形成することで、優れた伸びおよび伸びフランジ性を確保しつつ、鋼を強化することができる。しかし、0.15%未満では、鋼を強化する効果が不十分であり、0.35%を超えると伸びが劣化する傾向にある。このため、Ti含有量は0.15〜0.35%とする。
【0034】
Nb:0.06%以下
Nbは組織の細粒化に有効であり、かつTiおよびMoとともに複合析出して複合析出物を形成し、優れた伸びおよび伸びフランジ性を得ることに寄与するため、必要に応じて添加する。しかし、Nb量が0.06%を超えると伸びが劣化する傾向にあるため、Nbを含有させる場合には0.06%以下が好ましい。なお、Nbの組織の細粒化効果を得る観点からは0.005%以上が好ましい。
【0035】
V:0.15%以下
Vは組織の微細化に有効であり、かつTiおよびMoとともに複合析出して複合析出物を形成し、優れた伸びおよび伸びフランジ性を得ることに寄与するため、必要に応じて添加する。しかし、V量が0.15%を超えると伸びが劣化する傾向にあるため、Vを含有させる場合には0.15%以下が好ましい。なお、Vの組織の細粒化効果を得る観点からは0.001%以上が好ましい。
【0036】
なお、Cr:0.15%以下、Cu:0.15%以下、Ni:0.15%以下の1種類以上を含んでいても特性上問題はない。
【0037】
[製造方法]
本発明では、上記高張力鋼を製造するに際し、熱間圧延を、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度570℃以上の条件で行う。以下、これら条件について説明する。
【0038】
・仕上圧延終了温度880℃以上
仕上圧延終了温度は伸びおよび伸びフランジ性と圧延荷重を低減するのに重要である。880℃未満では、板厚方向で層状組織となり伸びおよび伸びフランジ性が損なわれるため、880℃以上とする。
【0039】
・巻取温度570℃以上
フェライト組織を得るため、巻取温度を570℃以上とする。
【0040】
なお、本発明の鋼板は、黒皮ままでも、酸洗ままでもその特性に差異はない。調質圧延についても通常行われるものであれば特に制限はない。また、電気めっきも可能であり、化成処理についても特に問題はない。鋳造後直ちにまたは補熱を目的とした加熱を施した後にそのまま熱間圧延を行う直送圧延を行っても本発明の効果に影響はない。さらに、粗圧延後に仕上圧延前で、圧延材を加熱しても、粗圧延後、圧延材を接合して行う連続圧延を行っても、さらには圧延材の加熱と連続圧延を同時に行っても本発明の効果は損なわれない。
【0041】
本発明の超高張力鋼板は、加工性に優れ、特に伸びフランジ性に優れているのでこれをプレス成形した場合、その特質が活かされ、自動車用部材、特にサスペンションアーム等の足廻り部材のようなプレス時の断面形状が複雑な部材を良好な品質で製造することができ、特に、プレス成形品の軽量化に資することができる。以下に具体的に、本発明に係る超高張力鋼板の加工方法、換言すればプレス成形品の製造方法について説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る超高張力鋼板の加工方法の作業フローの一例を示すフローチャートである。この作業フローは、通常、本発明に係る鋼板を製造することまたはその製造された鋼板を例えばコイルにして目的場所に搬送することを前工程としており、まず、本発明に係る超高張力鋼板を準備することから始まる(S0、S1)。この鋼板に対してプレス加工を施す前に、鋼板に対して前処理的な加工を施すこともあれば(S2)、裁断機により所定の寸法や形状に加工することもある(S3)。前者のS2の工程では、例えば鋼板の幅方向の所定箇所に切り込みや穿孔を行い、引き続くプレス加工を終えた段階またはそのプレス加工の過程で、所定の寸法および形状のプレス成形品または被プレス加工部材として切り離すことができるようにしておく。後者のS3の工程では、最終的なプレス成形品の寸法、形状等を予め考慮して、所定の寸法および形状の鋼板部材に加工(したがって裁断)するようにしておく。その後、S2およびS3の工程を経由した部材には、プレス加工が施され、最終的に目的とする寸法・形状の所望のプレス成形品が製造される(S4)。このプレス加工は、通常は多段階で行われ、3段階以上7段階以下であることが多い。
【0043】
S4の工程は、S2およびS3の工程を経由した部材に対してさらに所定の寸法や形状に裁断する工程を含む場合もある。この場合の「裁断」という作業は、例えば、少なくともプレス加工の過程で、S2およびS3の工程を経由した部材の端部のような最終的なプレス成形品には不要部分を切り離す作業であっても構わないし、また、S2の工程で設けられた鋼板の幅方向の切り込みや穿孔に沿って被プレス加工部材を切り離す作業であっても構わない。
【0044】
なお、図1中、N1ないしN3は、鋼板、部材、プレス成形品を、機械的にあるいは作業員による搬送作業である場合がある。
【0045】
こうして製造されるプレス成形品は、必要に応じて次工程に送られる。次工程としては、例えば、プレス成形品にさらに機械加工を施し、寸法や形状を調整する工程、プレス成形品を所定場所に搬送し、格納する工程、プレス成形品に表面処理を施す工程、プレス成形品を用いて自動車のような目的物を組み立てる組立工程がある。
【0046】
図2は、図1に示した作業を実際に行う装置と鋼板、部材、プレス成形品の流れとの関係を示すブロック図である。この図においては、本発明に係る超高張力鋼板はコイル状で準備されており、プレス加工機によりプレス成形品が製造される。プレス加工機は多段プレスを行う機種のものであるが、本件発明はこれに限定されない。
【0047】
プレス加工機の前段に、裁断機その他の前処理機械を設置する場合(図2の(a))もあれば、設置しない場合(図2の(b))もある。裁断機が設置される場合には、コイルから供給される長尺の本発明に係る鋼板から、必要な寸法または形状の部材を裁断し、この部材がプレス加工機においてプレス加工され、所定のプレス成形品となる。鋼板の幅方向に切り欠きや穿孔を施す前処理機械が設置される場合には、プレス加工機においてその切り欠きや穿孔に沿って裁断が行われても構わない。前処理機械を設置しない場合には、プレス加工機において鋼板がプレス加工される過程で、裁断が行われ、最終的に所定の寸法、形状を有するプレス成形品が製造される。なお、図2における「裁断」の意味は、図1における裁断と同じである。
【0048】
こうして製造されるプレス成形品は、その原材料として加工性に優れ、特に伸びフランジ性に優れている本発明に係る超高張力鋼板を使用しているので、プレス時の断面形状が複雑であっても、良好な品質で製造することができ、軽量なものとなる。このような特長は、プレス成形品が自動車用部材、特にサスペンションアーム等の足廻り部材である場合に特に有用である。
【0049】
【実施例】
表1に示す化学成分を有する鋼片を、1250℃に加熱し、通常の熱間圧延工程によって仕上温度880〜930℃で、板厚2.6mmに仕上げた。この後、600℃を超える巻取温度で、冷却速度と巻取温度を変化させて、種々の組織の鋼板を製造した。
【0050】
得られた鋼板を酸洗後、それら鋼板からJIS5号引張試験片(圧延垂直方向)および穴広げ試験片を採取し、引張試験および穴広げ試験を行った。穴広げ試験は、130mm角の鋼板の中央に10mmφのポンチによりクリアランス12.5%で打ち抜いた穴を有する試験片を準備し、60°円錐ポンチにより打抜き穴のバリ側の反対方向から押し上げ、割れが鋼板を貫通した時点での穴径dを測定し、穴広げ率λを次式より算出した。
λ(%)=[(d−10)/10]×100
【0051】
また、鋼板から作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、析出物寸法を測定した。析出物中のTi、Moの組成は、TEMに装備されたEDXによる分析から決定した。
【0052】
表2に、引張強度(TS)、伸び(El)、穴広げ率(λ)、組織、析出物平均粒径、析出物組成を示す。
【0053】
表2に示す通り、本発明鋼のNo.1〜9はいずれもフェライト組織からなり、析出物の平均粒径は10nm未満で、原子%で、Mo比率が0.25以上となっているため、引張強度(TS)が950MPa以上で優れた伸びおよび伸びフランジ性を有している。
【0054】
これに対し、比較鋼のNo.10はC量が多すぎることとMo無添加のため、パーライトが生成し、かつ析出物が粗大化しており、伸びおよび伸びフランジ性がともに低く、特に伸びフランジ性が低い。また、No.11はMo無添加のため、析出物が粗大化しており、伸びおよび伸びフランジ性がともに低く、特に伸びフランジ性が低い。No.12はC量が低いため、鋼の強化に必要な析出物量が少ないことから引張強度(TS)が950MPa未満となっている。No.13はMn量が多すぎるため偏析が顕著であり、かつ組織内にマルテンサイトが形成されているため、伸びおよび伸びフランジ性がともに低い。No.14はTi量が少ないため、鋼の強化に必要な析出物が不足して引張強度(TS)が950MPa未満となっている。No.15はTiとMoの複合析出物は存在するものの、Mo量が少なくSi量が多すぎるため、複合析出物中のMo比率が低くなり析出物が粗大化するため、伸びおよび伸びフランジ性がともに低い。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加工性の指標である伸びおよび伸びフランジ性に優れた超高張力鋼板を提供することができ、自動車部材の軽量化に寄与する効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る超高張力鋼板の加工方法の作業フローの一例を示すフローチャート。
【図2】
図1に示した作業を実際に行う装置と鋼板、部材、プレス成形品の流れとの関係を示すブロック図。
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