JP2014169503A - 耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014169503A
JP2014169503A JP2014097389A JP2014097389A JP2014169503A JP 2014169503 A JP2014169503 A JP 2014169503A JP 2014097389 A JP2014097389 A JP 2014097389A JP 2014097389 A JP2014097389 A JP 2014097389A JP 2014169503 A JP2014169503 A JP 2014169503A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strength
plated steel
molten metal
metal embrittlement
ferrite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014097389A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5860500B2 (ja
Inventor
Tomoo Yamamoto
智郎 山本
Kentaro Hirata
健太郎 平田
Nobukazu Fujimoto
延和 藤本
Susumu Fujiwara
進 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP2014097389A priority Critical patent/JP5860500B2/ja
Publication of JP2014169503A publication Critical patent/JP2014169503A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5860500B2 publication Critical patent/JP5860500B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract


【課題】 590MPa以上の高強度を有し、耐溶融金属脆化特性および局部延性のいずれにも優れた特性を有するZn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 C、Si,Mnを適宜含有する鋼に、TiC等を微細に析出させるとフェライトの強度が高くなり、フェライトとマルテンサイトの強度差が小さくなるため、590MPa以上の高強度鋼板を下地鋼とする溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の局部延性が大幅に改善できる。Ti添加を前提として、微量のBやNb,Mo,Crの一種または2種以上を添加することにより、590MPa以上の高強度鋼板においても耐溶融金属脆化特性が改善でき、更に、Cu,Niを添加することにより容易にマルテンサイト組織が得られるようになるため、安定して590MPa以上の強度が得られる。
【選択図】 図1

Description

自動車部品や建材等の構造部材として使用される耐食性、耐溶融金属脆化特性および局部延性に優れる高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法に関する。
自動車部材や建材をはじめとする構造部材は、めっき鋼板を溶接して組み立てられる場合が多い。この場合、溶接時にめっき層が鋼素地の一部とともに溶融する。一般的な亜鉛めっき鋼板に比べ、Zn−Al−Mg系めっき鋼板を使用した場合、溶接熱影響部に粒界割れを生じる場合がある。この粒界割れは溶接時の加熱・冷却に伴う鋼の膨張・収縮によって生じる引張応力に起因するもので、溶融金属脆化割れと呼ばれる現象であり、Zn−Al−Mg系めっきの成分が、一般のZnめっきの場合よりも溶融金属脆化割れの感受性を増大させているものと考えられる。
本願の出願人は、Zn−Al−Mg系めっき鋼板の溶融金属脆化割れを抑制する方策について種々の検討を行い、特許文献1、2を発明した。特許文献1、2は、主に溶融めっきによる耐食性の改善と、Ti,B,CrおよびNb等による溶接時の溶融金属脆化割れの抑制を目的としてなされた発明である。
一方、自動車用鋼板では、地球環境の改善、CO2排出量の削減等を目的として高張力鋼板を活用した車体の軽量化が図られているが、とくに引張強度で590MPa以上の強度を有する高強度を有するZn−Al−Mg系鋼板を得る方法に関する知見は多くない。
例えば、特許文献3では、引張強度で590MPa以上の強度を有する溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の製造方法が開示されている。しかし、フェライト+マルテンサイトを主組織とする複合組織が得られるもののフェライトとマルテンサイトの強度差が大きすぎるため、局部延性能に劣る問題があった。また、同時に耐溶融金属脆化割れを抑制する方法に関しては、何の知見も開示されていなかった。
特開2003−3238号公報 特開2008−184685号公報 特開2006−97063号公報
このように、前記文献では、個別に耐溶融金属脆化特性の改善方策や、フェライト+マルテンサイトを主組織とする高強度鋼板の製造方法に関する知見は得られるものの、590MPa以上の高強度を有し、耐溶融金属脆化特性および局部延性のいずれにも優れたZn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法に関する知見は得られていない。
本発明では、590MPa以上の高強度を有し、耐溶融金属脆化特性および局部延性のいずれにも優れた特性を有するZn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法を提供する事を目的とする。
本発明者らの詳細な検討の結果、素地鋼板として、C:0.05〜0.20%で、Si,Mn等を適宜調整した鋼に、0.08〜0.15%のTiを添加し、複合組織強化すると微細なTiC等の析出によってフェライトの強度が高くなってフェライトとマルテンサイトの強度差が小さくなるため、590MPa以上の強度レベルを有する溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の局部延性が大幅に改善できる事を知見した。また、Ti添加を前提として微量のBやNb,Mo,Crの一種または2種以上を添加することで590MPa以上の強度レベルにおいても耐溶融金属脆化特性が改善できることを知見した。更に、Cu,Niを添加することによって容易にマルテンサイト組織が得られるようになるため、安定して590MPa以上の強度が得られることを知見した。
すなわち、本発明によれば、質量%で、Al:3〜22%,Mg:1〜10%,残部は不可避的不純物およびZnからなる溶融めっきを施した鋼板において、素地鋼板を、重量%で、C:0.05〜0.20%,Si:0.05〜1.5%,Mn:1.0〜2.5%,P:0.005〜0.050%,S:0.01%以下,酸可溶Al:0.005〜0.10%,Ti:0.05〜0.15%,B:0.0002〜0.01%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成とするとともに、場合によっては、さらにNb:0.005〜0.10%,Mo:0.05〜0.5%,Cr:0.05%〜1.0%の1種または2種以上および/またはCu:0.05〜0.5%,Ni:0.05〜0.5%の1種または2種を含み、金属組織が体積率:50%以上のフェライトおよび体積率が5〜45%のマルテンサイトを含む組織とすることを特徴とする耐溶融金属脆化特性および局部延性に優れたZn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法を提供する。
なお、めっき浴における不可避的不純物としては、Ti,B,Si,Feが挙げられるが、これらは、Ti:0.1質量%以下、B:0.05質量%以下、Si:2%以下およびFe:2%以下の範囲で含有しても構わない。
本発明によれば、耐食性に優れるZn−Al−Mg系めっき鋼板を使用した健全な溶接部を有する溶接構造部材が提供される。更に、590MPa以上の高強度でかつ自動車用部材に必要とされる曲げ加工や穴広げ加工に有利となる局部延性を良好とすることが可能であり、自動車用鋼板として車体の軽量化にも有効に適用可能となる
以下に本願発明における素地鋼板の化学成分や金属組織の限定理由およびその金属組織を得るための製造条件の限定理由について説明する。 なお、本願発明では、%は特に断りがない限り、質量%を示す。
C:0.05〜0.20%
マルテンサイト組織の強度は、C含有量の影響が大きい。本発明で狙いとする590MPa以上の強度レベルを得るためには、最低でも0.05%以上の添加が必要である。しかし、0.20%を超えて含有すると、強度レベルは高くなるものの局部延性が劣るようになる。したがって、本発明では、C:0.05〜0.20%に限定する。
Si:0.05〜1.5%
Siは、固溶強化によってフェライトの強度アップに有効である。その効果を得るためには0.05%以上の添加が必要である。しかし、1.5%を超えて添加すると溶融めっき性が劣化する。したがって、本発明では、Si:0.05〜1.5%に限定する。
Mn:1.0〜2.5%
Mnは、固溶強化でフェライトの高強度化に有効な他、オーステナイトを安定にしてマルテンサイト等の低温変態相の生成を促進させるのに有効に作用する。これらの効果を得るためには、1.0%以上の添加が必要である。しかし、2.5%を超えて添加すると溶融めっき性が劣化する。したがって、本発明では、Mn:1.0〜2.5%に限定する。
P:0.005〜0.05%
Pは、固溶強化でフェライトの高強度化に有効な他、結晶粒界に偏析して溶接時の耐溶融金属脆化の抑制にも有効に作用する。その効果を得るためには、0.005%以上の添加が必要である。しかし、0.05%を超えて添加すると、低温靭性が劣化する。したがって、本発明では、P:0.005〜0.05%に限定する。
S:0.01%以下
Sは、加工性に有害な硫化物を生成するため、できるだけ低減する必要がある。0.01%までは許容できるので、本願発明では、上限を0.01%に限定する。
酸可溶Al:0.005〜0.10%
酸可溶Alは、鋼の脱酸剤として添加する。その効果を得るためには0.005%以上の添加が必要である。しかし、0.1%を超えて添加しても、その効果が飽和するとともに、返って製造コストの上昇を招く。したがって、本発明では、酸可溶Al:0.005〜0.10%に限定する。
Ti:0.05〜0.15%
Tiは、TiC等としてフェライト中に析出してフェライト組織の強度を高め、局部延性を改善するために有効な元素である。その効果を得るためには、0.05%以上の添加が必要である。しかし、0.15%を超えて添加してもその改善効果が飽和するとともに、返って製造コストの上昇を招く。したがって、本発明では、Ti:0.05〜0.15%に限定する。
B:0.0002〜0.01%
Bは、高温加熱時のオーステナイト粒界に偏析して耐溶融金属脆化特性の改善に有効な元素である。また、オーステナイトからフェライトへの変態を遅らせ、硬質なマルテンサイト組織を得るのにも有効に作用する。0.05%以上のTi添加を前提としている本願発明では、Bによる前記の効果を得るためには少なくとも0.0002%の添加が必要である。しかし、0.01%を超えて添加してもその効果が飽和するとともに、返って製造コストの上昇を招く。したがって、本発明では、B:0.0002〜0.01%に限定する。
Nb:0.005〜0.10%
Mo:0.05〜0.5%
Cr:0.05〜1.0%
Nb,MoおよびCrもBと同様に高温加熱時のオーステナイト粒界に偏析して耐溶融金属脆化特性の改善に有効な元素である。この効果を得るためには、単独添加では、Nb:0.005%以上、Mo:0.05%以上、Cr:0.05%以上が必要である。しかし、Nb:0.10%,Mo:0.5%およびCr:1.0%を超えて添加してもその改善効果が飽和するとともに返って製造コストの上昇を招く。なお、2種以上を複合添加してもその効果は妨げられることなく、同様な効果が得られるが、2種以上を複合添加する場合は、製造コストの観点から、合計で0.5%以下とすることが望ましい。したがって、本発明では、Nb:0.005〜0.10%,Mo:0.05〜0.5%,Cr:0.05〜1.0%の1種または2種以上を添加する。なお、MoおよびCrは、オーステナイトからフェライトへの変態を抑制する作用も有するため、マルテンサイト組織を安定して得るのにも有効である。しかし、製造コストの上昇を招くので、本願発明では前記の耐溶融金属脆化特性を考慮し、必要に応じて選択的に添加されるものである。
Cu:0.05〜0.5%
Ni:0.05〜0.5%
CuやNiもオーステナイトからフェライトへの変態を抑制する作用も有するため、マルテンサイト組織を安定して得るのにも有効である。この効果を得るためには、いずれも0.05%以上の添加が必要である。しかし、0.5%を超えて添加しても、その効果は飽和するとともに返って製造コストの上昇を招くので、添加量の上限を0.5%とした。なお、単独添加でも複合添加でも同様な効果が得られるが、2種を複合添加する場合は、合計して0.6%以下とすることが製造コストの観点から望ましい。したがって、本発明では、Cu:0.05〜0.5%,Ni:0.05〜0.5%の1種または2種を添加する。
本願発明では、前記の化学成分を有するスラブを通常の熱間圧延条件で熱延すれば良く、特別な制約は必要ないが、熱間圧延における仕上温度は、Ar3点以上でないと熱間変形抵抗の変動が大きくなり、ゲージハンチング等の不良が発生するようになるため、Ar3点以上とすることが望ましい。
巻取温度も必要とされる強度レベルに応じて適宜選択すれば良いが、50%以上のフェライト体積率を確保する観点から、500〜700℃とすることが望ましい。
また、酸洗条件にもとくに制約は無く、熱延で生成したスケールが完全に除去可能な一般的な条件であれば良い。
本願発明では、熱間圧延、酸洗後、直ちに連続酸洗ラインにて溶融亜鉛めっきを施す事も可能であるが、2.0mm以下の比較的板厚の薄い鋼板とする場合には、めっき前に冷間圧延を施す事ができる。この場合、冷間圧延率もとくに限定する必要は無く、必要に応じて設定すればよいが、30%未満では生産性に劣り、また80%を超える冷間圧延は、1回の冷間圧延での製造が困難になってくるので、30〜80%の冷間圧延率とすることが望ましい。
連続溶融めっきラインにおける加熱温度が730℃未満では加熱時のオーステナイト量が十分でなく、冷却後に十分なマルテンサイト量が確保できない。また、加熱温度が高くなるほど加熱時のオーステナイト量が増加し、その後の冷却でマルテンサイトを得易くなるが、900℃を超える温度で通板してもその効果は飽和するとともに、返って製造コストの上昇を招く。
めっきラインにおける加熱後の650℃までの平均冷却速度が3℃/秒未満では、フェライト変態だけでなくパーライト変態が生じるため、5%以上のマルテンサイトを確保できなくなる。一方、10℃/秒を超えると、フェライト変態が十分に進行せず、フェライト分率が、50%未満となる場合が有る。したがって、650℃までの平均冷却速度を3〜10℃/秒に限定する。
前記の650℃までの冷却に続き、440℃までの平均冷却速度が10℃/秒未満では、パーライト変態またはベイナイト変態を生じ、5%以上のマルテンサイトが得られなくなる。したがって、650℃から440℃までの平均冷却速度を10℃/秒以上に限定する。
本願発明では、前記の冷却が施された後、440℃以下の温度に保持されたZn−Al−Mg系溶融めっき浴に浸漬され溶融めっきが施される。浴温が440℃を超えると、パーライト変態を生じ、マルテンサイト量が減少する。したがって、440℃以下に限定した。
なお、溶融めっき浴は、例えばAl:4〜10質量%,Mg:1〜4%,残部はZnおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、0.002〜0.20質量%のTiや0.001〜0.1質量%程度のB等も含まれる。また、めっき付着量は、鋼板片面あたり20〜300g/mの範囲で調整することが望ましい。
得られためっき鋼板の金属組織は、フェライトの体積率が、50%以上でないと良好な局部延性が得られない。また、マルテンサイトの体積率が5%未満では十分な強度が得られず、45%を超えると局部延性が劣化する。したがって、フェライト体積率は50%以上かつマルテンサイト体積率は5〜45%の範囲に限定する。
表1に示す組成の鋼スラブを1200℃に加熱し、熱間圧延、酸洗を施して板厚3.2mmの熱延鋼板を得た。熱延仕上げ温度は、850℃、巻取り温度は、580℃の条件とした。得られた熱延鋼板の一部は、酸洗後、圧延を施し、板厚1.6mmの冷延鋼板とした。
Figure 2014169503
各鋼板に表2に示す焼鈍条件の熱処理を施した後、Al:6質量%、Mg:3質量%、残部:Znおよび不可避的不純物からなるめっき浴に導入し、片面当たりめっき付着量:45g/mの溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板を製造した。めっきした鋼板の表面外観観察を行い、不めっきを生じたものについてはめっき性:×、良好な表面性状のものをめっき性:○として評価した。
Figure 2014169503
製造しためっき鋼板から圧延方向と平行にJIS5号試験片を切り出し、常温での引張試験に供した。また、局部延性の評価のために、JIS5号試験片の平行部の中間位置の端面に2mmVノッチを付与し、ノッチ部を中心とした評点間距離10mmの破断伸びをElvとして測定した。本発明においては、Elvが10%以上のものを良好と判断した。
また、各めっき鋼板の下地鋼板の金属組織を走査電子顕微鏡にて観察し、1,000倍で10視野の画像解析を行い、フェライト面積率およびマルテンサイト面積率を算出した。
また、得られためっき鋼板から100mm×75mmのサンプルを切り出し、溶融金属脆化に起因する最大割れ深さを評価するための試験片とした。溶接試験は、図1に示す外観のボス溶接材を作成する「ボス溶接」を行い、その溶接部断面を観察して割れの発生状況を調べた。すなわち、試験片3の板面中央部に直径20mm×長さ25mmの棒鋼からなるボス(突起)1を垂直に立て、このボス1を試験片3にアーク溶接にて接合した。溶接ワイヤーは、YGW12を用い、溶接開始点からボスの周囲を1周して、溶接始点を過ぎた後もさらにビードを重ねて少し溶接を進めたところで溶接を終了とした。溶接条件は、200A,22V,溶接速度0.2m/min、シールドガス:CO、シールドガス流量:20L/minとした。
溶接に際しては、図2に示すように試験片3を120mm×95mm×板厚4mmの拘束板4の板面中央部に置き、予め試験片3の全周を溶接して接合した。この接合体を水平な試験台5の上にクランプにて固定し、この状態でボス溶接を行った。
ボス溶接後、ボス1の中心軸を通り、かつ前記のビードの重なり合う部分8を通る切断面9で、ボス1/試験片3/拘束板4の接合体を切断し、その切断面9について顕微鏡観察を行い、試験片3に観察された割れの最大深さを測定した。最大割れ深さが0.2mm以下を○、0.2mmを超えるものを×として評価した。こうして得られた、引張試験結果、画像解析結果、めっき性評価結果およびボス溶接における最大割れ深さを表2にまとめて示した。
表1および表2からわかるように、本発明範囲に従う化学組成や金属組織に従うZn−Al−Mg系めっき鋼板においては、いずれも引張強さ(TS):590MP以上の高強度が得られるとともに、Elvが10%以上と良好な値を示すとともに、めっき性にも優れている。更には、ボス溶接時の最大割れ深さはいずれも0.2mm以下の良好な値を示すことがわかる。
一方、C含有量が少ないK鋼を用いたNo.11では、金属組織に占めるベイナイトの割合が増えた結果としてフェライト、マルテンサイトとも本願発明範囲よりも小さくなり、結果として590MPa以上の強度レベルが得られなくなる。また、Ti含有量が十分ではないL鋼(No.12)では、Elvが10%未満の値を示す。
SiやMn含有量が、本発明範囲を超えて含有するM鋼(No.13)、O鋼(No.15)では、引張特性や耐溶融金属脆化割れ性は良好となるものの、不めっきが発生しめっき性に劣っている。Ti無添加のP鋼(No.16)では、Elvが小さくなるとともにボス溶接によって板厚を貫通する大きな割れを生じた。また、B添加量が本発明範囲より少ないQ鋼(No.17)でも板厚を貫通する溶融金属脆化割れが発生した。
鋼成分が本発明の範囲内であるA鋼、G鋼を用いた場合であっても、めっき時の焼鈍加熱温度が低いNo.18、およびNo.21では、再結晶が十分に生じなくなるとともにオーステナイトへの変態量が僅かとなるため、マルテンサイト体積率も小さくなる。その結果として、Elvが大幅に低下した。650℃までの冷却速度が小さいNo.19、22および650℃から440℃までの冷却速度が小さいNo.20、23では、フェライトおよびパーライト変態が進行し、十分なマルテンサイト量が得られない。その結果として590MPa以上の強度レベルの確保ができなくなる。
ボス溶接部材の形状を模式的に示した図。 ボス溶接を行う際の試験片の拘束方法を模式的に示した図。
1 ボス
2 クランプ
3 試験片
4 拘束板
5 実験台
6 溶接ビード
7 試験片全周溶接部の溶接ビード
8 溶接ビードの重なり部分
9 切断面

Claims (4)

  1. 重量%で、C:0.05〜0.20%,Si:0.05〜1.5%,Mn:1.0〜2.5%,P:0.005〜0.050%,S:0.01%以下,酸可溶Al:0.005〜0.10%,Ti:0.05〜0.15%, B:0.0002〜0.01%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するとともに、金属組織が体積率:50%以上のフェライトおよび体積率が5〜45%のマルテンサイトを含む組織であり、引張強さ(TS):590MPa以上、Elv10%以上であることを特徴とする耐溶融金属脆化特性および局部延性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
  2. 重量%で、Nb:0.005〜0.10%,Mo:0.05〜0.5%,Cr:0.05%〜1.0%の1種または2種以上を含有する事を特徴とする請求項1に記載した耐溶融金属脆化特性および局部延性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
  3. 重量%で、Cu:0.05〜0.5%,Ni:0.05〜0.5%の1種または2種を含有する事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載した耐溶融金属脆化特性および局部延性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
  4. 請求項1〜請求項3の化学組成を有するスラブを熱間圧延して酸洗後、または酸洗に引き続いて冷間圧延した後、連続溶融めっきラインに通板し、連続溶融めっきラインの還元焼鈍炉にて730℃〜900℃の温度域に加熱した後、平均冷却速度3〜10℃/秒で650℃まで冷却し、更に平均冷却速度:10℃/秒以上で440℃の温度域まで冷却後、浴温:440℃以下の溶融Zn−Al−Mg系めっき浴に導入、引き上げる事を特徴とする金属組織が体積率:50%以上のフェライトおよび体積率が5〜45%のマルテンサイトを含む組織でり、引張強さ(TS):590MPa以上、Elv10%以上であることを特徴とする耐溶融金属脆化特性および局部延性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。
JP2014097389A 2014-05-09 2014-05-09 耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法 Active JP5860500B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014097389A JP5860500B2 (ja) 2014-05-09 2014-05-09 耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014097389A JP5860500B2 (ja) 2014-05-09 2014-05-09 耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009083717A Division JP2010235989A (ja) 2009-03-30 2009-03-30 耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014169503A true JP2014169503A (ja) 2014-09-18
JP5860500B2 JP5860500B2 (ja) 2016-02-16

Family

ID=51692071

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014097389A Active JP5860500B2 (ja) 2014-05-09 2014-05-09 耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5860500B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016160499A (ja) * 2015-03-03 2016-09-05 日新製鋼株式会社 めっき表面外観およびバーリング性に優れた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法
CN108642493A (zh) * 2018-05-15 2018-10-12 首钢集团有限公司 一种改善锌铝镁合金镀层表面色差缺陷的方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002004018A (ja) * 2000-06-22 2002-01-09 Nippon Steel Corp 塗装後耐食性が良好でプレス加工性の良い高強度溶融亜鉛めっき鋼板と塗装鋼板
JP2006097063A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Nisshin Steel Co Ltd 高強度溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法
JP2006183130A (ja) * 2004-03-31 2006-07-13 Jfe Steel Kk 高剛性高強度薄鋼板およびその製造方法
JP2008163388A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Nippon Steel Corp 表面外観及びめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP2009228080A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Nisshin Steel Co Ltd 耐溶融金属脆化割れ性に優れた高降伏比型Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002004018A (ja) * 2000-06-22 2002-01-09 Nippon Steel Corp 塗装後耐食性が良好でプレス加工性の良い高強度溶融亜鉛めっき鋼板と塗装鋼板
JP2006183130A (ja) * 2004-03-31 2006-07-13 Jfe Steel Kk 高剛性高強度薄鋼板およびその製造方法
JP2006097063A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Nisshin Steel Co Ltd 高強度溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法
JP2008163388A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Nippon Steel Corp 表面外観及びめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP2009228080A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Nisshin Steel Co Ltd 耐溶融金属脆化割れ性に優れた高降伏比型Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016160499A (ja) * 2015-03-03 2016-09-05 日新製鋼株式会社 めっき表面外観およびバーリング性に優れた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法
CN108642493A (zh) * 2018-05-15 2018-10-12 首钢集团有限公司 一种改善锌铝镁合金镀层表面色差缺陷的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5860500B2 (ja) 2016-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102400445B1 (ko) 고강도 아연 도금 강판, 고강도 부재 및 그들의 제조 방법
KR102402864B1 (ko) 고강도 아연 도금 강판 및 그의 제조 방법
JP4772927B2 (ja) 疲労特性と伸び及び衝突特性に優れた高強度鋼板、溶融めっき鋼板、合金化溶融めっき鋼板およびそれらの製造方法
KR102099588B1 (ko) 용융 Zn-Al-Mg계 도금 강판 및 제조방법
JP6049516B2 (ja) 溶接構造部材用高強度めっき鋼板およびその製造法
JP5704721B2 (ja) シーム溶接性に優れた高強度鋼板
WO2016199922A1 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP5641741B2 (ja) 曲げ性および耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板
JP3704306B2 (ja) 溶接性、穴拡げ性および耐食性に優れた溶融亜鉛めっき高強度鋼板およびその製造方法
JP6296215B1 (ja) 薄鋼板およびその製造方法
JP6308333B2 (ja) 薄鋼板およびめっき鋼板、並びに、熱延鋼板の製造方法、冷延フルハード鋼板の製造方法、熱処理板の製造方法、薄鋼板の製造方法およびめっき鋼板の製造方法
JPWO2019106894A1 (ja) 高強度亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP5907287B2 (ja) 熱延鋼板及びその製造方法
JP4495064B2 (ja) 熱間プレス用鋼板
JP2013221198A (ja) 冷延鋼板およびその製造方法
JP4676923B2 (ja) 耐食性および溶接強度に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP5264234B2 (ja) 耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法
JP2010235989A (ja) 耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法
JP2016188395A (ja) 溶接性と加工性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法
JP5860500B2 (ja) 耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法
JP2019504203A (ja) 延性、穴加工性、及び表面処理特性に優れた高強度冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、並びにそれらの製造方法
JP2004211158A (ja) 溶接用亜鉛系合金めっき鋼材およびその電縫鋼管
JP6275560B2 (ja) 衝突特性に優れる超高強度鋼板
WO2022249919A1 (ja) 高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP6958459B2 (ja) 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150609

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5860500

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350