JP2003089514A - 表面が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方法 - Google Patents

表面が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方法

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JP2003089514A
JP2003089514A JP2001276514A JP2001276514A JP2003089514A JP 2003089514 A JP2003089514 A JP 2003089514A JP 2001276514 A JP2001276514 A JP 2001276514A JP 2001276514 A JP2001276514 A JP 2001276514A JP 2003089514 A JP2003089514 A JP 2003089514A
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porous silica
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film
silica film
surfactant
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JP2001276514A
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Masami Murakami
上 雅 美 村
Kazuo Takamura
村 一 夫 高
Shunsuke Oike
池 俊 輔 大
Takeshi Kubota
田 武 司 窪
Yoshito Kurano
野 義 人 蔵
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明に係る表面が平滑な多孔質シリカフ
ィルムの製造方法は、アルコキシシラン類を界面活性剤
の存在下で部分的に加水分解、脱水縮合して得られる塗
布液を、湿気を有する雰囲気下において、基板に塗布す
ることを特徴とする。 【効果】本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によ
れば、光機能材料や電子機能材料に応用可能な、均一な
細孔を持ち、かつフィルム表面の平滑性に優れる多孔質
シリカフィルムを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、光機能材料、電子機能材
料などに応用できる多孔質シリカフィルムの製造方法に
関する。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、均一なメソ細孔を有する多
孔質の無機化合物が開発され、その多孔質の無機化合物
は、従来から用いられているゼオライト等の酸化物に比
べ、大きな細孔を有し、触媒担体、分離吸着剤、燃料電
池、センサー等への利用が検討されている。
【0003】このような均一なメソ細孔を有する酸化物
の製造法に関しては、有機化合物を利用した無機物の構
造制御を利用した方法が、新規な形状、構造が得られる
ため注目されている。特に有機化合物と無機化合物との
自己組織化を利用することで合成される均一なメソ細孔
を持つ酸化物は、従来のゼオライト等の酸化物に比べ、
高い細孔容積、表面積を有することが知られている。
【0004】有機化合物と無機化合物との自己組織化を
利用した均一なメソ細孔を持つ酸化物の製造方法として
は、例えばWO−91/11390には、シリカゲルと
界面活性剤などを密封した耐熱性容器内で、水熱合成す
ることにより製造する方法が記載され、Bull.Ch
em.Soc.Jp.誌1990年63巻988頁に
は、層状ケイ酸塩の一種であるカネマイトと界面活性剤
とのイオン交換により製造する方法が記載されている。
【0005】このような均一なメソ細孔を持つ酸化物を
光機能材料、電子機能材料などに応用するために、近
年、その形態をフィルム状に調製することが報告されて
いる。例えば、Nature誌1996年379巻70
3頁、またはJ.Am.Chem.Soc.誌1999
年121巻7618頁などには、アルコキシシランの縮
合物と界面活性剤とからなるゾル液中に基盤を浸漬し、
基盤表面に多孔質シリカを析出させフィルムを形成する
方法が記載され、さらに、Supramolecula
r Science誌1998年5巻247頁、Ad
v.Mater.誌1998年10巻1280頁、Na
ture誌1997年389巻364頁、またはNat
ure誌1999年398巻223頁などには、アルコ
キシシランの縮合物と界面活性剤とを有機溶媒に混合し
た液を基板上に塗布し、有機溶媒を蒸発させて基板上に
フィルムを形成する方法が記載されている。
【0006】しかしながら、上述の基盤表面に多孔質シ
リカを析出させフィルムを形成する方法は、調製に長時
間を要し、また、粉体として析出する多孔質シリカが多
く、歩留まりが悪いなど欠点があるため、上述の有機溶
媒を蒸発させて基板上にフィルムを形成する方法の方が
多孔質シリカフィルムの調製に優れている。しかしなが
ら、このような多孔質シリカフィルムを光機能材料、電
子機能材料などに応用する場合には、表面の平滑性の問
題が生じている。例えば、電子機能材料として層間絶縁
膜に用いた場合、フィルムの平滑性を±数nmにする必
要があるが、このような有機溶媒を蒸発させてフィルム
に製膜する方法では、フィルム表面に凹凸形成され、艶
消しを施したようになる場合があり、フィルムの平滑性
の再現性に問題があった。上記問題から、光機能材料、
電子機能材料などへの応用は困難であり、フィルム表面
が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方法が望まれてい
た。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、光機能材料や
電子機能材料に応用可能な、フィルム表面が平滑な多孔
質シリカフィルムの製造方法を提供することを目的とし
ている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る表面が平滑な多孔質シリカ
フィルムの製造方法は、アルコキシシラン類を界面活性
剤の存在下で部分的に加水分解、脱水縮合して得られる
塗布液を、湿気を有する雰囲気下において、基板に塗布
することを特徴としている。
【0009】上記湿気を有する雰囲気中における水分量
が、相対湿度で40〜100%の範囲であることが好ま
しい。上記アルコキシシラン類が、 一般式:(ZO)4-nSiRn 〔式中、n=0〜2、Zはメチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル
基、i−ブチル基、sec−ブチル基を示し、Rはメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n
−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブ
チル基、フェニル基、フェネチル基、フッ素原子、(C
2a(CF2b(O(CF2cdX(式中、Xはフ
ッ素原子、OCF3、OCF(CF32、OC(CF3
3を示し、a=0〜3、b=0〜3、c=1〜3、d=
0〜3である。)、C6e(5-e)(式中、e=0〜4
である。)〕で表される1種または2種以上のアルコキ
シシラン類であることも好ましい。
【0010】また、上記アルコキシシラン類が、テトラ
エトキシシランであることが望ましい。さらに、上記界
面活性剤が、 一般式:Cn2n+1N(CH33X (式中、nは8〜24の整数であり、Xはハロゲン化物
イオン、HSO4 -または有機アニオンである。)で表さ
れるアルキルアンモニウム塩であり、かつ、該界面活性
剤のモル数が、アルコキシシラン類のモル数に対して、
0.03〜1倍の範囲であるか、または、上記界面活性
剤が、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物で
あり、かつ、界面活性剤のモル数が、アルコキシシラン
類のモル数に対して、0.003〜0.05倍の範囲で
あることも望ましい。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る表面が平滑な
多孔質シリカフィルムの製造方法について具体的に説明
する。〔表面が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方法〕 本発
明の表面が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方法は、
アルコキシシラン類を界面活性剤の存在下で部分的に加
水分解、脱水縮合して得られる塗布液を、湿気を有する
雰囲気下において、基板に塗布して多孔質シリカフィル
ムを調製する方法である。
【0012】なおここで、本発明に用いられる「表面が
平滑」とは、多孔質シリカフィルムの表面が鏡面状であ
ることを意味する。まず、以下に本発明に用いられる塗
布液について説明し、本発明の表面が平滑な多孔質シリ
カフィルムの製造方法については後述する。塗布液 本発明に用いられる塗布液は、上述のようにアルコキシ
シラン類を界面活性剤の存在下で部分的に加水分解、脱
水縮合して得られる。
【0013】そのような塗布液は、具体的には、(1)
それぞれ後述するような成分であるアルコキシシラン
類、界面活性剤、触媒、および水、さらに必要に応じて
溶媒を一度に添加して数分〜5時間程度攪拌して得るこ
とができ、(2)アルコキシシラン類、触媒、および
水、さらに必要に応じて溶媒を添加し、10分〜5時間
程度攪拌して、一部加水分解、脱水縮合させ、さらに上
述のモル比で界面活性剤を添加し、さらに数分〜5時間
程度攪拌して得ることもできる。
【0014】本発明において塗布液の調製は、室温下
で、界面活性剤を添加した後、数分〜5時間程度行うこ
とが好ましい。アルコキシシラン類 上記アルコキシシラン類は、特に限定されるものではな
いが、 一般式:(ZO)4-nSiRn 〔式中、n=0〜2、Zはメチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル
基、i−ブチル基、sec−ブチル基を示し、Rはメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n
−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブ
チル基、フェニル基、フェネチル基、フッ素原子、(C
2a(CF2b(O(CF2cdX(式中、Xはフ
ッ素原子、OCF3、OCF(CF32、OC(CF3
3を示し、a=0〜3、b=0〜3、c=1〜3、d=
0〜3である。)、C6e(5-e)(式中、e=0〜4
である。)〕で表されるアルコキシシラン類を用いるこ
とが好ましく、これらのうちから1種または2種以上組
み合わせて用いることができる。
【0015】このようなアルコキシシラン類としては、
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブチルシラ
ン等の4級アルコキシシラン;トリメトキシフルオロシ
ラン、トリエトキシフルオロシラン、トリイソプロポキ
シフルオロシラン、トリブトキシフルオロシラン等の3
級アルコキシフルオロシラン;トリメトキシメチルシラ
ン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシ
ラン、トリエトキシエチルシラン、トリメトキシプロピ
ルシラン、トリエトキシプロピルシラン等の3級アルコ
キシアルキルシラン;トリメトキシフェニルシラン、ト
リエトキシフェニルシラン、トリメトキシクロロフェニ
ルシラン、トリエトキシクロロフェニルシラン等の3級
アルコキシアリールシラントリメトキシフェネチルシラ
ン;トリエトキシフェネチルシラン等の3級アルコキシ
フェネチルシラン;ジメトキシジメチルシラン、ジエト
キシジメチルシラン等の2級アルコキシアルキルシラン
等が挙げられる。これらのうちでは、テトラエトキシシ
ランを用いることが好ましい。本発明においてアルコキ
シシラン類は、これらから選ばれる1種または2種以上
組み合わせて用いることができる。
【0016】本発明において、アルコキシシラン類とし
て、テトラエトキシシランを用いることにより、室温下
での加水分解反応を制御することが容易となる。界面活性剤 上記界面活性剤としては、通常、長鎖アルキル基および
親水基を有する化合物を使用することができる。長鎖ア
ルキル基としては、好ましくは炭素原子数8〜24のも
の、さらに好ましくは炭素原子数12〜18のものが望
ましく、また、親水基としては、例えば、4級アンモニ
ウム塩、アミノ基、ニトロソ基、ヒドロキシル基、カル
ボキシル基等が挙げられ、好ましくは4級アンモニウム
塩、またはヒドロキシル基であることが望ましい。
【0017】そのような界面活性剤としては、具体的に
は、 一般式:Cn2n+1N(CH33X (式中、nは8〜24の整数であり、Xはハロゲン化物
イオン、HSO4 -または有機アニオンである。)で表さ
れるアルキルアンモニウム塩の使用が好ましい。上記一
般式で表される界面活性剤は、ミセルを形成し、規則的
に配列する。本発明においては、このミセルをテンプレ
ートとして、シリカと複合体をつくり、テンプレートを
除去すると均一で規則的な細孔を有する多孔質シリカフ
ィルムを調製することができる。
【0018】本発明の多孔質フィルムの製造方法におい
て、界面活性剤は、アルコキシシラン類とのモル比を変
えることにより、得られる多孔質シリカフィルムの結晶
構造を制御することができる。界面活性剤のモル数はア
ルコキシシラン類のモル数に対して、好ましくは0.0
3〜1倍、さらに好ましくは0.05〜0.2倍、特に
好ましくは0.07〜0.15倍の範囲が望ましい。上
記一般式で表される界面活性剤が上記範囲にあることに
より、自己組織化に寄与できない過剰なシリカが混在す
ることがないため、フィルムの多孔質性が向上し、さら
に、均一な細孔を有する六方晶系の周期的な結晶構造を
形成することができるため、焼成によってその構造が崩
壊しない。
【0019】また、界面活性剤としては、ポリアルキレ
ンオキサイド構造を有する化合物も使用できる。ポリア
ルキレンオキシド構造としてはポリエチレンオキシド構
造、ポリプロピレンオキシド構造、ポリテトラメチレン
オキシド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げら
れる。
【0020】そのようなポリアルキレンオキサイド構造
を有する化合物としては、具体的には、ポリオキシエチ
レンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオ
キシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、
ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテルなどのエーテル型化合物;ポリ
オキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソル
ビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エ
ステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げるこ
とができる。本発明において、界面活性剤は、これらか
ら選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いるこ
とできる。
【0021】界面活性剤が、ポリアルキレンオキサイド
構造を有する化合物の場合には、界面活性剤のモル数が
アルコキシシラン類のモル数に対して、好ましくは0.
003〜0.05倍、さらに好ましくは0.005〜
0.03倍、特に好ましくは0.007〜0.02倍の
範囲が望ましい。上記ポリアルキレンオキサイド構造を
有する界面活性剤が上記範囲にあることにより、自己組
織化に寄与できない過剰なシリカが混在することがない
ため、フィルムの多孔質性が向上し、さらに、均一な細
孔を有する六方晶系の周期的な結晶構造を形成すること
ができるため、焼成によってその構造が崩壊しない。
【0022】界面活性剤が上記に示した範囲で添加され
るのであれば、界面活性剤の状態は問われず、固体状
態、溶媒に溶解した状態の何れの状態であってもよい。触媒 また、上記触媒としては酸が使用され、例えば、塩酸、
臭酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。また、上記水の量
は、アルコキシシラン類1モル当たり、0.5〜20モ
ルの範囲が好ましい。
【0023】溶媒 さらに、上記溶媒としては、メタノール、エタノール、
1−プロパノール等の一級アルコール;2−プロパノー
ル、2−ブタノール等の二級アルコール;ターシャリー
ブチルアルコール等の三級アルコール;アセトン、アセ
トニトリル等が挙げられる。溶媒は、これらから選ばれ
る1種または2種以上を組み合わせて用いることでき
る。
【0024】本発明の多孔質シリカフィルムは、上記の
ようにして得られた塗布液を、湿気を有する雰囲気下、
好ましい態様においては相対湿度で40〜100%の雰
囲気下において、基板に塗布して得られる。本発明にお
いて、フィルム表面を平滑にするためには、アルコキシ
シラン類を界面活性剤の存在下で加水分解し、湿気を有
する雰囲気下において、基板に塗布する必要がある。上
記湿気を有する雰囲気中における水分量は、相対湿度で
好ましくは40%〜100%、さらに好ましくは50%
〜80%の範囲が望ましい。相対湿度が、この範囲内で
あれば、フィルム表面の平滑性に優れた多孔質シリカフ
ィルムを得ることができる。相対湿度が低い場合、水の
存在量が少ないために膜表面にブツブツができ、光沢が
なくなる傾向があり、また、相対湿度が高い場合、水の
存在量が多すぎて部分的に結露したようになり、平滑性
が失われる傾向がある。
【0025】上記湿気を有する雰囲気は、湿気を有すれ
ば特に限定されず、大気中、不活性ガス中、可燃性ガス
中などが挙げられ、好ましくは相対湿度が上記範囲にあ
ることが望ましい。雰囲気中の水分制御方法については
特に制限はなく、水分を含んだガスを流通させた状態で
も、水分を含んだガスを滞留させた状態でもよい。
【0026】上述のように塗布液を、湿度を有する雰囲
気下で基材に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成ある
いは抽出により界面活性剤を除去し、多孔質シリカフィ
ルムが得られる。また、多孔質シリカフィルムに形成す
る場合の基材としては、一般的に用いられるものであれ
ば何れのものも使用できる。例えば、ガラス、石英、シ
リコンウエハー、ステンレス等が挙げられる。また、板
状、皿状等の何れの形状であってもよい。
【0027】基材に塗布する方法としては、例えば、ス
ピンコート法、キャスティング法、ディップコート法等
の一般的な方法が挙げられる。スピンコート法の場合、
スピナー上に基材を置き、該基材上に試料を滴下し、5
00〜10000rpmで回転させることにより、フィル
ム表面が平滑性に優れる均一な膜厚の多孔質シリカフィ
ルムが得られる。
【0028】また、乾燥条件は特に限定されず、溶媒が
蒸発できればよい。またさらに、焼成条件も特に限定さ
れず、界面活性剤が除去できる温度であればよく、焼成
雰囲気も、大気中、不活性ガス中、真空中のいずれでも
行なうことができる。多孔質シリカフィルム 上記、本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法により
得られた多孔質シリカフィルムは、自立した状態、また
は基材に固着した状態で得られる。いずれの場合におい
ても表面平滑性に優れ、また透明なフィルムとして得る
ことも可能なため層間絶縁膜、分子記録媒体、透明導電
性フィルム、固体電解質、光導波路、LCD用カラー部
材などの光機能材料、電子機能材料として応用できる。
特に、層間絶縁膜は、強度、耐熱性、低誘電率(高空隙
率)が求められており、このような均一な細孔を有し、
かつフィルム表面の平滑性に優れる多孔質シリカフィル
ムは有望である。
【0029】さらに、光学顕微鏡によって多孔質シリカ
フィルムの表面にブツブツや結露したような痕が確認さ
れず、鏡面状態であることが望ましい。それにより、多
孔質シリカフィルムは表面平滑性に優れることとなり、
光機能材料や電子機能材料に用いることができる。さら
に、多孔質シリカフィルムのX線解析(CuKα)によ
り、2θ=1.2〜5°に回折ピークが得られ、また、
フィルム断面をTEM観察するとハニカム状の規則的な
細孔が認められることから、多孔質シリカフィルムは、
周期的なヘキサゴナル構造を保持していることが確認さ
れる。多孔質シリカフィルムは、周期的なヘキサゴナル
構造を保持していることにより、均一な細孔を持ち、空
隙率が高く、機械的強度に優れる。
【0030】
【発明の効果】本発明の多孔質シリカフィルムの製造方
法によれば、光機能材料や電子機能材料に応用可能な、
均一な細孔を持ち、かつフィルム表面の平滑性に優れる
多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0032】
【実施例1】テトラエトキシシラン(和光純薬(株)
製)10.0gと、エタノール50mLとを室温下で混
合攪拌した後、1N塩酸1.0mLおよび水10.0m
Lを添加しさらに1時間攪拌した。次いで、ポリ(アル
キレンオキサイド)ブロックコポリマー〔商品名:Pl
uronicP123(BASF社製):HO(CH2
2O)20(CH2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)
20H)〕2.8gをエタノール80mLに溶解し、さら
に混合した。さらに1時間攪拌し、透明、均一な塗布液
を得た。
【0033】この塗布液を、6inchシリコンウエハ
ー表面上に10mL載せ、相対湿度を60%に調整した
雰囲気下において、2000rpmで10秒間回転さ
せ、シリコンウエハー表面に塗膜(湿潤状態)を調製し
た。上記塗膜を100℃で60分間乾燥し、さらに、4
00℃で180分間焼成して、フィルムを調製した。得
られたフィルムをX線解析したところ、該フィルムは面
間隔6.0nmの周期的な構造を保持していた。また、
フィルム断面をTEM観察するとハニカム状の規則的な
細孔が認められることから、多孔質シリカフィルムは、
周期的なヘキサゴナル構造を保持していることが確認さ
れた。さらに、光学顕微鏡によりフィルム表面を確認し
たところ、該表面は鏡面状になっており平滑性が優れて
いることが確認された。光学顕微鏡によるフィルム表面
の写真を図1に示す。
【0034】
【実施例2】テトラエトキシシラン10.0g、トリエ
トキシフルオロシラン(TCI社製)0.5gおよびエ
タノール50mLを混合攪拌した。1N塩酸1.0mL
および水10.0mLを添加し、さらに1時間攪拌し
た。次いで、ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコ
ポリマー2.8gをエタノール60mLに溶解し、さら
に混合した。さらに1時間攪拌し、透明、均一な塗布液
を得た。
【0035】この塗布液を用い、実施例1と同様にして
シリコンウエハー表面にフィルムを調製した。得られた
フィルムをX線解析したところ、該フィルムは面間隔
6.0nmの周期的な構造を保持していた。また、フィ
ルム断面をTEM観察するとハニカム状の規則的な細孔
が認められることから、多孔質シリカフィルムは、周期
的なヘキサゴナル構造を保持していることが確認され
た。さらに、光学顕微鏡によりフィルム表面を確認した
ところ、該表面は鏡面状になっており平滑性が優れてい
ることが確認された。
【0036】
【実施例3】テトラエトキシシラン7.0g、および1
−プロパノール17mLを混合攪拌した。1N塩酸0.
4mLおよび水2.0mLを添加しさらに1時間攪拌し
た。次いで、2−ブタノール9.0mLを添加し、塩化
セチルトリメチルアンモニウム(和光純薬(株)製)
0.95gを水4.5mLに溶解し、さらに混合した。
2時間攪拌後、透明、均一な塗布液を得た。
【0037】この塗布液を用い、実施例1と同様にして
シリコンウエハー表面上にフィルムを調製した。得られ
たフィルムをX線解析したところ、該フィルムは面間隔
3.5nmの周期的な構造を保持していた。また、フィ
ルム断面をTEM観察するとハニカム状の規則的な細孔
が認められることから、多孔質シリカフィルムは、周期
的なヘキサゴナル構造を保持していることが確認され
た。さらに光学顕微鏡によりフィルム表面を確認したと
ころ、該表面は鏡面状になっており平滑性が優れている
ことが確認された。
【0038】
【比較例1】実施例1と同様な操作で塗布液を調製し、
相対湿度を30%に調整した雰囲気下において、さらに
同様な操作でシリコンウエハー表面にフィルムを調製し
た。得られたフィルムをX線解析したところ、該フィル
ムは面間隔6.0nmの周期的な構造を保持していた。
また、フィルム断面をTEM観察するとハニカム状の規
則的な細孔が認められることから、多孔質シリカフィル
ムは、周期的なヘキサゴナル構造を保持していることが
確認された。フィルム表面はざらついた感じになってお
り、光沢はなく、光学顕微鏡で表面観察をするとブツブ
ツが認められた。光学顕微鏡によるフィルム表面の写真
を図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られたフィルム表面の光
学顕微鏡写真である。
【図2】図2は、比較例1で得られたフィルム表面の光
学顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大 池 俊 輔 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 窪 田 武 司 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 蔵 野 義 人 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB24Y BB28Z BB56Y BB91Y CA48 CB21 DA06 DB04 DB13 DB14 DC21 DC22 DC24 EA07 EB43 EB47 EB56 EC35 EC54 4G072 AA25 BB09 BB15 GG03 HH30 JJ11 JJ47 MM01 NN21 RR05 RR12 UU11 UU17 UU30 4J038 DF022 DL021 DL031 DL071 GA12 JA27 JA28 JA57 JB14 JC09 KA09 NA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルコキシシラン類を界面活性剤の存在下
    で部分的に加水分解、脱水縮合して得られる塗布液を、
    湿気を有する雰囲気下において、基板に塗布することを
    特徴とする表面が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方
    法。
  2. 【請求項2】上記湿気を有する雰囲気中における水分量
    が、相対湿度で40〜100%の範囲であることを特徴
    とする請求項1に記載の表面が平滑な多孔質シリカフィ
    ルムの製造方法。
  3. 【請求項3】上記アルコキシシラン類が、 一般式:(ZO)4-nSiRn 〔式中、n=0〜2、Zはメチル基、エチル基、n−プ
    ロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル
    基、i−ブチル基、sec−ブチル基を示し、Rはメチ
    ル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n
    −ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブ
    チル基、フェニル基、フェネチル基、フッ素原子、(C
    2a(CF2b(O(CF2cdX(式中、Xはフ
    ッ素原子、OCF3、OCF(CF32、OC(CF3
    3を示し、a=0〜3、b=0〜3、c=1〜3、d=
    0〜3である。)、C6e(5-e)(式中、e=0〜4
    である。)〕で表される1種または2種以上のアルコキ
    シシラン類であることを特徴とする請求項1または2に
    記載の表面が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】上記アルコキシシラン類が、テトラエトキ
    シシランであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の表面が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方
    法。
  5. 【請求項5】上記界面活性剤が、 一般式:Cn2n+1N(CH33X (式中、nは8〜24の整数であり、Xはハロゲン化物
    イオン、HSO4 -または有機アニオンである。)で表さ
    れるアルキルアンモニウム塩であり、 かつ、該界面活性剤のモル数が、アルコキシシラン類の
    モル数に対して、0.03〜1倍の範囲であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面が平滑な
    多孔質シリカフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】上記界面活性剤が、ポリアルキレンオキサ
    イド構造を有する化合物であり、 かつ、該界面活性剤のモル数が、アルコキシシラン類の
    モル数に対して、0.003〜0.05倍の範囲である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面
    が平滑な多孔質シリカフィルムの製造方法。
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