JP2002265216A - Iv族遷移金属含有層状メソ細孔シリカ、その製造方法、用途 - Google Patents
Iv族遷移金属含有層状メソ細孔シリカ、その製造方法、用途Info
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Abstract
造を維持する多孔質シリカおよびフィルムを合成する。
また、水の吸脱着の繰り返しによる細孔構造の変化が実
質的にない、耐水性に優れたフッ素原子含有多孔質シリ
カからなる吸着材を合成する。 【効果】 水の吸着量が多く、水の吸脱着が容易な多孔
質シリカとその製造方法および用途を提供することが可
能となった。
Description
かつ水の吸着量が多く、しかも水の吸脱着が容易であ
る、センサーあるいは吸着材などに応用できるような、
周期的な層状構造を有する多孔質シリカに関するととも
に、その製造方法および用途に関する。また、本発明
は、ヒートポンプなどに応用しうる、フッ素原子を含有
したメソ細孔を有する多孔質シリカからなる吸着材料に
関する。
脱離する吸着材として、シリカゲル、活性炭などが知ら
れている。しかしながら、これらの吸着材は、空隙が不
均一であり、また、細孔容積はあまり大きくないため、
吸着脱離は比較的容易であるが、単位重量あたりの吸着
量は多くできなかった。一方、ゼオライトのように均一
な細孔を持つ材料では、単位重量あたりの吸着量を大き
くできるが、この場合、細孔が小さく、また細孔表面に
酸点があるため、水の吸着熱が大きく、吸着した水分を
脱離するためには、高温、高熱量が必要であった。
の自己組織化を利用することで合成される均一なメソ細
孔を有する酸化物が、従来のゼオライトなどの酸化物に
比べて、細孔容積が大きく、表面積も大きいため、注目
されている。有機化合物と無機化合物の自己組織化を利
用した均一なメソ細孔を有する酸化物の製造方法とし
て、たとえば、WO−91/11390号公報に、シリ
カゲルと界面活性剤などを密封した耐熱性容器内で水熱
合成することにより製造する方法が記載されており、B
ull.Chem.Soc.Jp.誌1990年63巻
988頁には、層状ケイ酸塩の一種であるカネマイトと
界面活性剤とのイオン交換により製造する方法が記載さ
れている。
は、従来のゼオライトなどに比べて、大きい細孔を持
ち、細孔壁表面に水酸基を多く持つため、水の吸着量が
多く、水の吸着材としての用途展開あるいは分離吸着
剤、センサー、触媒担体、燃料電池などへの応用が検討
されている。このメソ細孔を有する多孔質無機化合物
は、いわゆる鋳型となるミセル液晶相の構造に対して、
ヘキサゴナル相、キュービック相、そして層状構造を持
つラメラ相となる。
強度が高く、キュービック相に比べて規則性も高いた
め、触媒担体などへの利用が多く検討されている。それ
に対し、ラメラ相では、壁が少ないため、空隙率を多く
とることができ、吸着材として望ましいが、一般にラメ
ラ相は、熱的に不安定で、焼成すると簡単に層状構造が
崩壊してしまうため、その利用は検討されていない。
としては、Chem.Mater.9,2690(1997)に記載された
二酸化チタンにおいて、その可能性が示唆されているに
過ぎない。しかも、この場合には必ずしも良好な再現性
は得られていない。ところで、このメソ細孔を有する多
孔質無機化合物の吸着材への用途展開についても、いく
つか知られている。たとえば、特開平8−992号公報
には、先に述べた層状ケイ酸塩に界面活性剤をイオン交
換により導入して製造する吸着材が記載されている。一
般的に、吸着材の性能を向上させるためには、材料の単
位体積あたりの吸着量が多いほど有利である。
は、材料自体の吸着量は同じでも、密度を上げることに
よって、単位体積当たりの吸着量を増やそうとする発明
が記載されている。しかしながら、材料を詰め込むに
は、自ずと限界がある。したがって、密度を上げなくと
も、空隙率を増やすことによって、単位体積あたりの吸
着量を増やすことができる材料が望まれる。
は、材料の嵩密度が0.5g/cc以上であり、粉末X
線回折パターンにおいて、1nm以上の範囲内のd値に相
当する回折角度に1本以上のピークを持つ高密度シリカ
多孔質体を、吸着式ヒートポンプの吸着材に用いること
が記載されている。しかし、この実施例では、回折角が
1度〜60度の範囲において、粉末X線回折パターンに
明確なピークが観察されず、試料が規則的な結晶構造は
有していないことが記載されており、請求項の記載と矛
盾している。また、このような材料は、実際に高湿度中
で水吸着と吸着水の脱離を繰り返すうちに残留水が増大
し、吸着量が低下していく現象が見られることから、有
望な材料とは言い難い。
物は、その高い細孔容積と表面積のため水の吸着量が多
い一方、その吸着水によって、材料の構造が変化し、細
孔の周期的な構造が崩壊することがある。したがって、
従来のゼオライトよりも吸着量が多く、繰り返しの吸脱
着速度が大きく、水の吸脱着の繰り返しによる吸着量の
変化ができるだけ小さい材料が、吸着式ヒートポンプ材
料として望まれている。
孔構造の変化がない、耐水性に優れた材料の出現が、吸
着式ヒートポンプ材料として望まれる。
服し、センサーや吸着材などに応用できる、水の吸着量
が多く、かつ水の吸脱着が容易な材料と、その製造方
法、用途を提供することを目的とする。また、本発明
は、上記の性質を満たし、さらに耐水性にも優れた吸着
材とその用途を提供することを目的とする。
果、IV族遷移金属を含有させることにより、水の吸着量
が多く、かつ水の吸脱着が容易で、吸脱着の繰り返しに
よる吸着量変化が小さい、層状構造を有する多孔質シリ
カが得られることを見出して、本発明を完成するに至っ
た。
有する多孔質シリカは、250℃以上の熱処理後、X線
回折法によるd(100)面の面間隔が2.3nm以上であ
り、空隙の幅が1.3nm〜10nmの範囲であって、
周期的な層状構造を有することを特徴とする。なお本明
細書において、面間隔とは、図1の周期的な層状構造中
の付番1で示した部分をいい、空隙の幅とは、図1の付
番2で示した部分をいう。
多孔質シリカは、大気圧下、25℃、相対湿度90%に
おける水の吸着量が、シリカ1gあたり0.4g以上に
なることを特徴とする。さらに、該IV族遷移金属を含有
する多孔質シリカは、大気圧下、25℃、1000ml/
minの気流中において、相対湿度90%で吸着した水
の、相対湿度0%にしたときの90重量%脱離が5分以
内であることを特徴とする。本発明のIV族遷移金属を含
有する多孔質シリカにおいて、IV族遷移金属の含有率
は、ケイ素に対してモル比で0.005〜0.2の範囲
であることが好ましい。
リカにおいて、IV族遷移金属はチタンであることが好ま
しい。本発明のIV族遷移金属を含有する多孔質シリカの
製造方法は、一般式(ZO)4-nSiRn(式中、Rおよ
びZはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロ
ピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、
sec−ブチル基を示し、RとZとは同一でも異なって
いても良く、n=0〜3である。)で表されるアルコキ
シシラン類にIV族遷移金属化合物を添加し、中性条件下
で部分的に加水分解し、ついで界面活性剤を混合して前
駆体溶液とした後、この溶液を乾燥し、界面活性剤を除
去する工程を含むことを特徴とする。
製造方法において、アルコキシシラン類は、テトラエト
キシシランであることが好ましい。前記IV族遷移金属を
含有する多孔質シリカの製造方法において、IV族遷移金
属化合物は、キレート化合物であることが好ましい。
リカの製造方法は、IV族遷移金属キレート化合物の存在
下、アルコキシシラン類を加水分解させる際の水の添加
量を、アルコキシ基1モルに対して、0.25モル以下
にして、前駆体溶液を調製し、さらに、アルコキシ基1
モルに対して、水を0.3モル以上添加した後、乾燥
し、界面活性剤を除去することを特徴とする。
多孔質シリカは、吸着式ヒートポンプの吸着材として使
用することができる。また、前記目的を達成すべく鋭意
検討した結果、多孔質シリカ中にフッ素原子を含有させ
ることにより、水の吸着量が多く、かつ水の吸脱着が容
易で、吸脱着の繰り返しによる細孔構造と吸着量の変化
が小さい、耐水性に優れた多孔質シリカからなる吸着材
料が得られることを見出して、本発明を完成するに至っ
た。
は、フッ素原子を含有したメソ細孔を有する多孔質シリ
カからなり、水の吸脱着の繰り返しにより、細孔構造と
水の吸着量が実質的に変化しないことを特徴としてお
り、耐水性に優れる。さらに、このような吸着材料は、
吸着式ヒートポンプの吸着材として使用することができ
る。
明する。 <IV族遷移金属を含有した多孔質シリカ>本発明の多孔質
シリカは、250℃以上の熱処理後、X線回折法による
d(100 )面の面間隔が2.3nm以上、好ましくは2.3n
m〜12nm、さらに好ましくは2.3nm〜7nmであり、
空隙の幅が1.3nm〜10nm、好ましくは1.3nm〜8
nm、さらに好ましくは1.3nm〜6nmの範囲であって、
周期的な層状構造を有するIV族遷移金属を含有したもの
であるが、まずこの多孔質シリカの製造方法について説
明する。
ラン類を混合する。アルコキシシラン類としては、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソ
プロポキシシラン、テトラブチルシランなどが挙げられ
る。特に、テトラエトキシシランの使用が好ましい。
などが挙げられ、特にチタンが好ましい。IV族遷移金属
の含有率は、ケイ素に対してモル比で0.005〜0.
2の範囲、好ましくは0.01〜0.15、さらに好ま
しくは0.02〜0.1の範囲である。
てキレート化されているのが好ましい。キレート剤とし
てはアセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどがある。
具体的な構造としては、(C2H5O)4-nM(CH3CO
CH2COCH3)n、(C2H5O)4-nM(CH3COC
H2COC2H5)n、(C3H7O)4-nM(CH3COCH
2COCH3)n、(C3H7O)4-nM(CH3COCH2C
OC2H5)n、(CH3(CH3)HCO)4-nM(CH3
COCH2COCH3)n、(CH3(CH 3)HCO)4-n
M(CH3COCH2COC2H5)n、(C4H9O)4-nM
(CH3COCH2COCH3)n、(C4H9O)4-nM
(CH3COCH2COC2H5)n、(C2H5(CH3)H
CO)4-nM(CH3COCH2COCH3)n、(C2H5
(CH3)HCO)4-nM(CH3COCH2COC2H5)
n、((CH3)3CO)4-nM(CH3COCH2COCH
3)n、((CH3)3CO)4-nM(CH3COCH2CO
C2H5)nであり、Mは、Ti、Zr、Hfであること
が好ましく、nは1〜4の数を表す。これらのIV族遷移
金属化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わ
せて用いることができる。
こともできる。使用可能な溶媒としては、メタノール、
エタノール、1−プロパノール等の1級アルコール、2
−プロパノール、2−ブタノール等の2級アルコール、
ターシャリーブチルアルコール等の3級アルコール、ア
セトン、アセトニトリルなどが挙げられる。溶媒は1種
単独で、または2種以上の組み合わせで使用できる。
ルに対して、0.25モル以下、好ましくは0.01モ
ル〜0.25モル、さらに好ましくは0.05モル〜
0.25モルとなるように添加する。この添加する水の
量が、0.25モルを越えなければ、この混合液は白濁
することもなく、周期的な層状構造を有する多孔質シリ
カを製造することができる。
ば良く、好ましくはpH6〜8である。pHが中性領域
であれば、層状構造を選択的に形成することが可能であ
る。このようにして得られた混合液を、50〜70℃で
2〜36時間攪拌し、界面活性剤を添加する。界面活性
剤としては、通常、長鎖アルキル基および親水基を有す
る化合物を使用する。長鎖アルキル基としては、炭素原
子数8〜24のものが好ましい。また、親水基として
は、たとえば、4級アンモニウム塩、アミノ基、ニトロ
ソ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などが挙げられ
る。
H3)3X(式中、nは8〜24の整数であり、Xはハロ
ゲン化物イオン、HSO4 -または有機アニオンであ
る。)で表されるアルキルアンモニウム塩の使用が好ま
しい。また、界面活性剤として、ポリアルキレンオキサ
イド構造を有する化合物も使用できる。
ポリエチレンオキシド構造、ポリプロピレンオキシド構
造、ポリテトラメチレンオキシド構造、ポリブチレンオ
キシド構造などが挙げられる。具体的には、ポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテ
ル、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型化合物、
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレン
ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪
酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げ
ることができる。
類とのモル比を変えることにより、得られる結晶構造を
制御することができる。界面活性剤のモル数は、アルコ
キシシラン類のモル数の和に対して、0.03〜1倍の
範囲が好ましく、0.05倍〜0.2倍の範囲がより好
ましい。この範囲内であれば、自己組織化に寄与できな
い過剰なシリカが混在して多孔質性が著しく低下するこ
ともなく、また、層状の周期的な構造を形成できない、
あるいは焼成によって構造が崩壊するなどの不都合も生
じない。
媒、あるいはアルコキシシラン類の加水分解溶液に溶解
した状態でも、界面活性剤が何れの状態であっても、上
記に示した範囲で添加されるのであればよい。この時の
使用可能な溶媒としては、メタノール、エタノール、1
−プロパノール等の1級アルコール、2−プロパノー
ル、2−ブタノールなどの2級アルコール、ターシャリ
ーブチルアルコールなどの3級アルコール、アセトン、
アセトニトリルなどが挙げられる。溶媒は1種単独で、
または2種以上の組み合わせで使用できる。
に、さらに水を添加する。この時に添加する水の量は、
アルコキシ基1モルに対して、0.3モル以上であれば
充分であり、好ましくは1モル〜4モル、さらに好まし
くは1.5モル〜3.5モルである。この溶液を乾燥す
ることにより、層状構造を有する界面活性剤−シリカ複
合体が形成される。
フリーズドライなどが挙げられる。また、多孔質シリカ
をフィルムにする場合は、溶液を基材に塗布して、乾燥
すればよい。このときの基材としては、一般的に用いら
れるものであれば、何れのものでも使用できる。たとえ
ば、ガラス、石英、シリコンウエハー、ステンレスなど
が挙げられる。また、基材は、ハニカム状、円筒状、板
状、皿状などの何れの形状であってもよい。
えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコ
ート法等の一般的な方法が挙げられる。フィルムの状態
では、多孔質シリカは透明になる。この層状構造を有す
る界面活性剤−シリカ複合体から、界面活性剤を除去す
ることによって、多孔質シリカが得られるが、層状構造
は界面活性剤を除去しても崩壊せずに維持している。界
面活性剤の除去手段としては、溶媒抽出あるいは焼成な
どが一般に行われる。
も、基材に固着した状態でも使用できる。このようにし
て得られた多孔質シリカは、層状構造を有するため、水
の吸着量が多く、大気圧下、25℃で相対湿度90%の
条件下において、水の吸着量が、シリカ1gあたり0.
4gを越える。また、水の吸脱着が容易であり、相対湿
度を0%とすると、吸着していた水は、その90重量%
以上が5分以内に脱離し、残留水分はほとんど残らなく
なる。これは水の吸着量が、吸脱着の繰り返しによって
変化しないことを意味し、センサーあるいは吸着材など
の材料に応用できる。特に、吸着式ヒートポンプの吸着
材として有望である。
なる吸着材>また、本発明に係る他の吸着材は、フッ素
原子を含有した多孔質シリカであり、このような多孔質
シリカとしては、フッ素原子がシリカ骨格内に分散し、
1.3nm〜5nmの細孔が規則的に配列しているメソ
細孔を有する多孔質シリカ、または、MCM−41など
の公知のメソ細孔を有するシリカの表面をフッ素含有化
合物で処理した、フッ素原子を含有した多孔質シリカな
どが挙げられる。
リカは、たとえば、フッ素含有アルコキシシラン類とテ
トラアルコキシシラン類の加水分解を行い、これに界面
活性剤を添加後、乾燥し、界面活性剤を除去することに
よって調製することができる。この加水分解の際のpH
は、1〜4の範囲が好ましい。pH調整剤としては、酸
であればいずれのものも使用可能であり、塩酸、臭酸、
硫酸などが、好ましく用いられる。
トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシフルオロシ
ラン、トリイソプロポキシフルオロシラン、トリブトキ
シフルオロシラン、トリフルオロメチルプロピルトリエ
トキシシラン、ペンタフルオロエチルプロピルトリエト
キシシラン、トリフルオロメトキシプロピルトリエトキ
シシラン、ペンタフルオロエトキシプロピルトリエチル
シラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルト
リエトキシシラン、2−フルオロフェニルトリエトキシ
シラン、2,4−ジフルオロフェニルトリエトキシシリ
ル、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシランなどが
挙げられる。特に、トリエトキシフルオロシランの使用
が好ましい。また、これらのフッ素含有アルコキシシラ
ン類は、1種単独で、または2種以上の組み合わせで使
用できる。
は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラブチルシランなどが
挙げられる。特に、テトラエトキシシランの使用が好ま
しい。この時に溶媒を共存させて行うことができる。使
用可能な溶媒としては、メタノール、エタノール、1−
プロパノールなどの1級アルコール、2−プロパノー
ル、2−ブタノールなどの2級アルコール、ターシャリ
ーブチルアルコールなどの3級アルコール、アセトン、
アセトニトリルなどが挙げられる。溶媒は1種単独で、
または2種以上の組み合わせで使用できる。
トラアルコキシシラン類との加水分解反応後、界面活性
剤を添加して、数分〜5時間程度攪拌する。界面活性剤
としては、通常、長鎖アルキル基および親水基を有する
化合物を使用する。長鎖アルキル基としては、炭素原子
数8〜24のものが好ましい。また、親水基としては、
たとえば、4級アンモニウム塩、アミノ基、ニトロソ
基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などが挙げられ
る。
H3)3X(式中、nは8〜24の整数であり、Xはハロ
ゲン化物イオン、HSO4 -または有機アニオンであ
る。)で表されるアルキルアンモニウム塩の使用が好ま
しい。また、界面活性剤として、ポリアルキレンオキサ
イド構造を有する化合物も使用できる。
ポリエチレンオキシド構造、ポリプロピレンオキシド構
造、ポリテトラメチレンオキシド構造、ポリブチレンオ
キシド構造などが挙げられる。具体的には、ポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテ
ル、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型化合物、
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレン
ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪
酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げ
ることができる。
ウム塩を使用する場合には、界面活性剤のモル数は、フ
ッ素含有アルコキシシラン類とテトラアルコキシシラン
類のモル数の和に対して、0.03倍〜1倍の範囲が好
ましく、0.05倍〜0.2倍の範囲がより好ましい。
また、界面活性剤として、前記ポリアルキレンオキサイ
ド構造を有する化合物を使用する場合には、界面活性剤
のモル数は、フッ素含有アルコキシシラン類とテトラア
ルコキシシラン類のモル数の和に対して、0.003倍
〜0.05倍の範囲が好ましく、0.005倍〜0.0
3倍の範囲がより好ましい。
きない過剰なシリカが混在して多孔質性が著しく低下す
ることもなく、また、層状の周期的な構造を形成できな
い、あるいは焼成によって構造が崩壊するなどの不都合
も生じない。界面活性剤の添加は、固体の状態でも、溶
媒、あるいはアルコキシシラン類の加水分解溶液に溶解
した状態でも、界面活性剤が何れの状態であっても、上
記に示した範囲で添加されるのであればよい。
燥、焼成することにより、フッ素原子を含有したメソ細
孔を有する多孔質シリカが得られる。また、該多孔質シ
リカをフィルムにする場合には、上記の界面活性剤を添
加して得られた溶液を基材に塗布して、乾燥、焼成すれ
ばよい。このときの基材としては、一般的に用いられる
ものであれば、何れのものでも使用できる。たとえば、
ガラス、石英、シリコンウエハー、ステンレスなどが挙
げられる。また、基材は、ハニカム状、円筒状、板状、
皿状などの何れの形状であってもよい。
えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコ
ート法等の一般的な方法が挙げられる。スピンコート法
の場合、スピナー上に基材を置き、該基材上に試料を滴
下し、500〜10000rpmで回転させることにより、均一な
膜厚のフッ素原子を含有した多孔質シリカフィルムが得
られる。
カ(たとえば、1992年にMobilが発表したMC
M−41)を密閉容器中に入れ、処理剤であるフッ素含
有化合物を密閉容器内に導入し、メソ細孔を有する多孔
質シリカと接触させて表面処理することによっても、フ
ッ素原子を含有した多孔質シリカが得られる。公知のメ
ソ細孔を有する多孔質シリカの形状は、粉体であって
も、また、基板上のフィルムであっても良い。
く、また、公知のメソ細孔を有する多孔質シリカとの接
触は、液相でも気相でも構わない。このときの温度、処
理時間、フッ素含有化合物の導入量により、また、処理
剤によっては、酸素、水などを共存させることによっ
て、フッ素含有量は制御できる。一般的な処理剤として
は、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシ
ランのようなフルオロアルキルシラン類、トリエトキシ
フルオロシラン、テトラフルオロシラン、フッ化水素な
どが挙げられる。特に、3,3,3−トリフルオロプロ
ピルトリエトキシシランが好ましい。
いは吸着材などに応用でき、水の吸着量が多く、かつ水
の吸脱着が容易である。また、フッ素原子を含有したメ
ソ細孔を有する多孔質シリカは、水の吸脱着の繰り返し
による細孔構造が実質的に変化せず、耐水性に優れた吸
着材料となる。
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
ポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン1.0g(チ
タン含有率は、ケイ素に対してモル比で0.05)およびエ
タノール50mLを混合し、5分間攪拌した。液温を70℃に
上げた後、水0.87mL(アルコキシ基1モルに対して0.24
5モル)を添加し、さらに18時間攪拌した。このときのp
Hは中性であることがpH試験紙で確認された。
ルキレンオキサイド)ブロックコポリマー(BASF社
製PluronicP123:HO(CH2CH2O)
20(CH2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)20H) 2.7g
を混合した。攪拌後、透明、均一な前駆体溶液が得られ
た。この前駆体溶液に、さらに水を10.0mL(アルコキシ
基1モルに対して3モル)添加攪拌後、噴霧乾燥し、乾
燥粉体を得た。さらに、100℃で1時間、乾燥後、400℃
で3時間、焼成を行った。
隔5.3nmの周期的な結晶構造を有することがわかった。
この粉体を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し
たところ、層状構造が確認され、ヘキサゴナル構造は確
認できなかった。このときの空隙の幅は、2.5nmであっ
た。
した後、相対湿度90%にした窒素を流したところ、水分
吸着がシリカ1gあたり0.52gと非常に高い吸水率を持
つことがわかった。この状態から再び乾燥窒素中に戻す
と、吸着水の92重量%は4分でほぼ脱離し、この吸脱着
を10回繰り返しても、乾燥窒素中での残留水分は3重量
%以下であり、吸脱着の再現性が非常によいことがわか
った。
液を、ガラス板表面上に数滴のせ、10秒間、2000rpmで
回転させ、ガラス板表面にフィルムを調製した。さら
に、100℃で1時間、乾燥後、400℃で3時間、焼成を行
った。X線回折法により、焼成後のフィルムは、実施例
1と同様の面間隔4.8nmの周期的な結晶構造を有するこ
とがわかった。
り、CuKαをX線源として、発散スリット1/2度、散
乱スリット1/2度、走査軸2θ/θ、走査範囲1.2
〜8度(2θ)、スキャンスピード2度(2θ)/分の
条件で測定することにより得られた。フィルムの断面を
TEM観察したところ、実施例1と同様、層状構造のみ
観察され、空隙の幅は2.5nmであった。
う)により、得られたフィルムを測定した結果、0.1μm
の均一な膜厚を持つことがわかった。また、このフィル
ムを25℃、窒素中で恒量に達した後、相対湿度90%にし
た窒素を流したところ、水分吸着がシリカフィルム1g
あたり0.62gと非常に高い吸水率を持つことがわかっ
た。
水の97重量%は3分で脱離し、この吸脱着を20回繰り返
しても、乾燥窒素中での残留水分は5重量%以下であ
り、吸脱着の再現性が非常によいことがわかった。
ポリマーの代わりに塩化セチルトリメチルアンモニウム
1.4gを用いて、透明、均一な前駆体溶液を得た。この
前駆体溶液に、さらに水を10.4mL(アルコキシ基1モル
に対して3モル)添加攪拌後、噴霧乾燥し、乾燥粉体を
得た。さらに、100℃で1時間、乾燥後、400℃で3時
間、焼成を行った。
3.3nmの周期的な結晶構造を有することがわかった。こ
の粉体をTEM観察したところ、空隙の幅が1.7nmの層
状構造が確認され、ヘキサゴナル構造は確認できなかっ
た。また、この粉体を25℃、乾燥窒素中で恒量に達した
後、相対湿度90%にした窒素を流したところ、水分吸着
がシリカ1gあたり0.52gと非常に高い吸水率を持つこ
とがわかった。
着水の96重量%は5分で脱離し、この吸脱着を10回繰り
返しても、乾燥窒素中での残留水分は3重量%以下であ
り、吸脱着の再現性が非常によいことがわかった。
(エチルアセトアセテート)チタンを混合せず、水0.87
mLを1.75mLに変更した(アルコキシ基1モルに対して
0.5モル)以外は、同様の操作で前駆体溶液を得た。こ
の前駆体溶液に、さらに水を10.0mL(アルコキシ基1モ
ルに対して3モル)添加攪拌後、噴霧乾燥し、乾燥粉体
を得た。さらに、100℃で1時間、乾燥後、400℃で3時
間、焼成を行った。
り、周期的な結晶構造に起因するピークは見られなかっ
た。この粉体をTEM観察したところ、規則的な細孔配
列も見られなかった。また、この粉体を25℃、窒素中で
恒量に達した後、相対湿度90%にした窒素を流したとこ
ろ、水分吸着がシリカ1gあたり0.25gしかないことが
わかった。この状態から再び乾燥窒素中に戻すと、吸着
水の90重量%以上が脱離するまでに7分かかった。
し後で、7重量%以上の水分が残留することがわかっ
た。
シフルオロシラン0.3gおよび1−プロパノール17mLを
予め混合し、1N塩酸0.4mLおよび水2.0mLを添加し、次
に、2−ブタノール9.0mLを添加し、塩化セチルトリメ
チルアンモニウム0.95gを含む水溶液を混合した。得ら
れた前駆体溶液をガラス板表面上に数滴のせ、2000rpm
で回転させ、ガラス板表面にフィルムを調製した。
面間隔3.5nmの周期的な結晶構造を有することがわかっ
た。さらに、400℃で3時間、焼成した。X線回折法に
より、焼成後のフィルムは、面間隔2.9nmの周期的な結
晶構造を保持していることがわかった。元素分析の結
果、フッ素は1重量%含まれていた。
た結果、0.1μmの均一な膜厚を有することがわかった。
また、得られたフィルムを25℃、乾燥窒素中で恒量にな
るまで放置後、相対湿度90%の窒素に代えて、重量が恒
量になるまで放置した。このときの水分吸着は、シリカ
1gあたり0.51gであった。再び乾燥窒素に代えて、重
量が恒量になるまで放置し、この操作を30回繰り返した
ところ、乾燥窒素中での重量に変化は見られず、また、
X線回折法より、操作後のフィルムの結晶構造には変化
がないことがわかった。
示す線図。
Claims (12)
- 【請求項1】250℃以上の熱処理後、X線回折法によ
るd(100)面の面間隔が2.3nm以上であり、空隙の
幅が1.3nm〜10nmの範囲であって、周期的な層
状構造を有してなることを特徴とするIV族遷移金属を含
有した多孔質シリカ。 - 【請求項2】大気圧下、25℃、相対湿度90%におけ
る水の吸着量が、シリカ1gあたり0.4g以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカ。 - 【請求項3】大気圧下、25℃、1000ml/minの気
流中において、相対湿度90%で吸着した水の、相対湿
度0%における90重量%脱離が5分以内であることを
特徴とする請求項1または2に記載の多孔質シリカ。 - 【請求項4】IV族遷移金属の含有率が、ケイ素に対して
モル比で0.005〜0.2の範囲であることを特徴と
する請求項1ないし3のいずれかに記載の多孔質シリ
カ。 - 【請求項5】IV族遷移金属がチタンであることを特徴と
する請求項1ないし4のいずれかに記載の多孔質シリ
カ。 - 【請求項6】一般式(ZO)4-nSiRn(式中、Rおよ
びZはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロ
ピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、
sec−ブチル基を示し、RとZとは同一でも異なって
いても良く、n=0〜3である。)で表されるアルコキ
シシラン類に、IV族遷移金属化合物を添加し、中性条件
下で部分的に加水分解し、次に界面活性剤を混合して前
駆体溶液とした後、この溶液を乾燥し、界面活性剤を除
去する工程を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載
の多孔質シリカの製造方法。 - 【請求項7】アルコキシシラン類が、テトラエトキシシ
ランであることを特徴とする請求項6に記載の多孔質シ
リカの製造方法。 - 【請求項8】IV族遷移金属化合物が、キレート化合物で
あることを特徴とする請求項6または7に記載の多孔質
シリカの製造方法。 - 【請求項9】 IV族遷移金属キレート化合物の存在下、
アルコキシシラン類を加水分解させる際の水の添加量
を、アルコキシ基1モルに対して、0.25モル以下に
して、前駆体溶液を調製し、さらに、水をアルコキシ基
1モルに対して、0.3モル以上添加した後、乾燥し、
界面活性剤を除去することを特徴とする請求項6ないし
8のいずれかに記載の多孔質シリカの製造方法。 - 【請求項10】吸着式ヒートポンプの吸着材として使用
されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに
記載の多孔質シリカ。 - 【請求項11】フッ素原子を含有したメソ細孔を有する
多孔質シリカであって、水の吸脱着の繰り返しによっ
て、細孔構造および水の吸着量が実質的に変化しないこ
とを特徴とする耐水性に優れた吸着材料。 - 【請求項12】前記吸着材がヒートポンプ用であること
を特徴とする請求項11に記載の吸着材料。
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2001
- 2001-03-07 JP JP2001064044A patent/JP4837177B2/ja not_active Expired - Fee Related
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