JPH06293574A - マクロ孔及びミクロ孔が分散したシリカ多孔体及び製造方法 - Google Patents

マクロ孔及びミクロ孔が分散したシリカ多孔体及び製造方法

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JPH06293574A
JPH06293574A JP5079480A JP7948093A JPH06293574A JP H06293574 A JPH06293574 A JP H06293574A JP 5079480 A JP5079480 A JP 5079480A JP 7948093 A JP7948093 A JP 7948093A JP H06293574 A JPH06293574 A JP H06293574A
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勘治 坂田
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Tokuyama Corp
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    • C03C1/006Ingredients generally applicable to manufacture of glasses, glazes, or vitreous enamels to produce glass through wet route

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高次の規則性でミクロ孔が配列し、且つ大口
径のマクロ孔を有するシリカ多孔体を得る。 【構成】 両親媒性物質及びアルコキシシラン物質を含
む混合分散液を凍結乾燥させ、両親媒性物質が形成する
分子組織体の微細構造を倣ったミクロ孔,溶媒中におけ
る両親晩成物質の分散状態を倣ったマクロ孔を有するシ
リカ多孔体を得る。 【作用】 溶媒中で両親媒性物質が形成した分子組織体
がアルコキシシラン物質の三次元加工反応で固定され、
規則性の高い微細構造をもったシリカ多孔体となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミクロ孔及びマクロ孔
が分布した特異なハニカム構造をもつシリカ多孔体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性のシリカは、その多孔質構造を利
用して、吸収や吸着作用を呈する物質分離剤,触媒担
体,酵素や機能性有機化合物等に対する固定化担体等と
して広範な分野で使用されている。これらの用途におい
て、細孔構造に起因する作用を効果的に発揮させるた
め、細孔表面積や細孔径等の細孔構造を制御することが
要求される。たとえば、シリカ多孔体を触媒担体として
使用するとき、担持される触媒量は、担体の表面積が大
きいほど高担持量を確保でき、触媒単位重量当りの触媒
活性の増大が期待される。また、吸着剤として使用する
場合でも、表面積の増大に応じて吸着量が増加し、高性
能の吸着剤となる。
【0003】しかし、細孔表面積を大きくすると、一般
に細孔径が小さくなる傾向にある。細孔径が小さくなる
と、移動相中の反応物質や吸着物質の細孔内における拡
散が困難になる。その結果、触媒反応活性の低下,変
化,吸着速度の低下等が生じる。細孔の小径化に伴っ
て、副反応物等が堆積して孔径を減少させる影響が強く
現れ、性能の劣化が早期に進行し、最終的には細孔が閉
塞することによって触媒反応活性が失活する。また、移
動相中に混入している異物による細孔の目詰りも生じ易
く、細孔表面積の有効利用効率が低下する。
【0004】そこで、触媒担体,吸着剤等として使用さ
れるシリカ多孔体には、表面積の増大に有効なミクロ孔
と共に、流動移動相の拡散抵抗を緩和させるマクロ孔を
併せ持つ細孔構造を備えることが期待される。ミクロ孔
及びマクロ孔を併せ持つシリカ多孔体は、ケイ酸塩の溶
液やゾル或いはゲルを凍結乾燥することによって製造さ
れることが特開昭56−41820号公報,特開平2−
102113号公報等で紹介されている。得られたシリ
カ多孔体は、表面積が400m2 /gと大きいものもあ
り、ミクロン単位のマクロ孔を有するが、マクロ孔の細
孔径は高々20μm程度である。しかも、機械的強度が
低いため、通常の取扱いによって粉々に砕け、マクロ孔
が消失する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、マクロ孔の孔
径が大きいほど拡散抵抗が減少し、物質移動に関し高い
効果が期待される。しかし、孔径が大きくなると、多孔
体の機械的強度が低下し、マクロ孔が潰れる虞れが生じ
る。この点、凍結乾燥法で得られたシリカ多孔体は、マ
クロ孔の細孔径が高々20μm程度であり、しかも機械
的強度が劣る。本発明は、このような問題を解消すべく
案出されたものであり、両親媒性物質がつくる特殊な分
子組織体及び溶媒中における分散状態を利用することに
より、従来のシリカ多孔体に比較して大きな細孔径のマ
クロ孔をもち、しかも実用的な機械的強度を備えた大表
面積のシリカ多孔体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のシリカ多孔体
は、その目的を達成するため、両親媒性物質の微細構造
を倣ったミクロ孔と、溶媒中における前記両親媒性物質
の分散状態を倣ったマクロ孔とを有する。このシリカ多
孔体は、分子の両末端に極性基及び疎水基がそれぞれ付
加された両親媒性物質とアルコキシシラン物質とを含有
する混合分散液を調製し、該混合分散液を凍結乾燥して
溶媒を除去することにより製造される。溶媒を除去した
後、化学的処理又は熱処理によって残留しているSiO
R,SiOH等の加水分解重縮合反応を促進させ、次い
で両親媒性物質を除去することが好ましい。混合分散液
としては、メタロキサン結合M−O−Siを生成する金
属アルコキシ物質を更に含有させたものを使用すること
ができる。また、非水系の有機溶媒をベースとして混合
分散液を調製することも可能である。この場合、有機溶
媒に対する親和性のない基及び極性基が分子の両末端に
付加された両親媒性物質が使用される。
【0007】
【作用】本発明者等は、分散液中で安定な高次構造の分
子組織体を形成する両親媒性物質に着目し、両親媒性物
質が形成する分子レベルで規則的な分子組織体を鋳型と
してゾル−ゲル法を行うと、分子組織体の分子レベルで
のミクロ構造に起因するミクロ孔と、分子組織体の高次
構造に起因するマクロ孔の双方を併せもつシリカ多孔体
が作製されると推察し、鋭意研究を進めた結果、本発明
を完成した。分子の両末端に極性基及び疎水基又は疎溶
媒基(非水系の有機溶媒を使用するとき、その有機溶媒
に対する相溶性がない基)が付加された両親媒性物質
は、水溶液等の媒体に溶解又は分散させると、球状,円
盤状,棒状,筒状等の種々の形態の分子組織体を形成す
る(たとえば、1983年学会出版センター発行 日本
化学会編集「分子集合体−その組織化と機能」参照)。
【0008】ある種の両親媒性物質は、生体膜と同様の
安定な二分子膜構造からなる分子組織体を形成する。こ
れに対し、二分子膜形成能が低い両親媒性物質、いわゆ
る通常の界面活性剤は、ミセルからなる同様の形態をも
つ分子組織体を形成する。両者共に細孔形成を目的とし
た鋳型として十分に効果的であるが、分子組織性の違い
は鋳型効果の相違となって現れる。後述する実施例にも
掲げられているように、二分子膜形成能をもたない通常
の界面活性剤では、二分子膜形成能をもつ両親媒性物質
に比較して、製造したシリカ多孔体の表面積が小さく、
しかも機械的強度が弱く成形性に劣っている。二分子膜
形成能をもつ両親媒性物質の高い鋳型効果は、生体膜と
類似した二分子膜構造の安定性や規則性の高さに起因す
る分子組織体の構造特性と推察される。二分子膜形成能
を有する両親媒性物質の分子構造的特徴及び分子組織性
の高い理由等については、特願平1−58889号で詳
細に説明しているので、ここでは省略する。
【0009】両親媒性物質の分子組織体を鋳型とした凍
結乾燥法で合成されるシリカ多孔体においては、次のメ
カニズムに従ってミクロ孔及びマクロ孔が生成するもの
と推察される。両親媒性物質は、アルコキシシラン物質
の共存化でも安定な分子組織体を形成し、溶媒中に分散
する。分散した両親媒性物質は、溶媒に添加されている
アルコキシシラン物質の一部を分子レベルで取り込んだ
分子組織体を形成する。分子組織体を取り囲む溶媒に
は、アルコキシシラン物質が均一に溶解しており、凍結
乾燥することによって分散液中の組織構造を固定する。
その後、アルコキシシラン物質のシリカ構造体への転換
反応処理を施し、両親媒性物質を溶媒抽出等で取り除く
ことにより、両親媒性物質の分子組織体を鋳型とした細
孔構造が形成される。したがって、表面積の増大に寄与
するミクロ孔は分子組織体の微細構造が鋳型に、マクロ
孔は分子組織体の溶媒中における分散状態が鋳型となっ
たものと理解される。
【0010】両親媒性物質及びアルコキシシラン物質等
を含む混合分散液を液体窒素等の冷媒に滴下し、液滴状
で凍結乾燥させるとき、数mm程度の大きさを持った球
状のシリカ多孔体が得られる。他方、混合分散液を成形
しようとする型容器に入れて凍結乾燥させると、乾燥に
よって体積が若干収縮するものの、バルク状の一体成形
体が得られる。得られたシリカ多孔体においては、マク
ロ孔が均一に成長しており、実用上で十分な機械的強度
を有する。本発明においては、分子の両末端に極性基及
び疎水基がそれぞれ付加された両親媒性物質を使用す
る。両親媒性物質と共に、シリカの合成前駆体としての
アルコキシシラン物質を含む混合分散液を調製する。混
合分散液を凍結乾燥させるとき、両親媒性物質が形成す
る安定な分子組織体がアルコキシシランの共存下で凍結
し、両親媒性物質の分子組織体を鋳型としてアルコキシ
シラン物質が加水分解重縮合反応する。
【0011】反応生成物は、シロキサンの三次元網目結
合Si−O−Siを有する構造となる。そこで、両親媒
性物質を溶媒抽出等によって除去するとき、マクロ孔及
びミクロ孔が均一に分散したシリカ多孔体が得られる。
このシリカ多孔体は、両親媒性物質が形成する安定で分
子レベルの精密さをもった分子組織体を鋳型としてるた
め、ミクロ孔及びマクロ孔の配列状態も分子レベルでの
規則性が高いものになる。本発明で使用する両親媒性物
質は、同一分子内に極性基及び疎水基の両方を同時にも
つ化合物であり、分散液中で二分子膜構造の分子組織体
を形成する性質を示す。水性の分散液では、スルホン酸
塩,硫酸塩,アンモニウム塩,ポリアミン塩,カルボン
酸塩,スルホニル塩,燐酸塩,ホスホン酸塩,ホスホニ
ウム塩,ポリエーテル類,アルコール類,糖残基類を含
むポリオール類等、或いはこれらの基の組合せを極性基
として使用することができる。他方、疎水基としては、
アルキル基,アルキルアリル基,脂環基,縮合多環基、
或いはこれらの基の組合せを使用することができる。
【0012】非水系の分散液では、フルオロカーボン鎖
を有し、疎溶媒基及び極性基がそれぞれ分子の両端に付
加され、有機溶媒中で分子組織体を形成する両親媒性物
質が使用される。極性基には、前掲した水性分散液の場
合と同様の基が使用される。疎溶媒基としては、フルオ
ロカーボン鎖を含むアルキル基,アルキルアリル基,脂
環基,縮合多環基、或いはこれらの基の組合せを使用す
ることができる。アルコキシシラン物質としては、Si
OR基を含む化合物が使用される。ROは、アルコキシ
基又はアシロキシ基であり、Rには具体的にはメチル,
エチル,プロピル,ブチル,アセトキシ,アセチルアセ
トナト等がある。
【0013】SiOR基は、加水分解を受けるとシラノ
ール基SiOHになる。次いで、SiOH同士或いはS
iOHとSiORとの間の縮合反応によってシロキサン
結合Si−O−Siが生成し、シリカ構造体を形成す
る。この点、アルコキシシラン物質は、3次元架橋した
シリカ構造体を得るために、Si原子に結合したOR基
が一分子中に少なくとも3個以上あることが必要であ
る。これらアルコキシシラン化合物は、単独又は2種以
上を組み合わせて使用することができ、更にこれらの部
分的加水分解縮合物でも使用される。また、単独では架
橋構造体を形成することができない架橋性の低いアルコ
キシシラン化合物も、前掲した架橋性のアルコキシシラ
ン物質に添加して使用することができる。
【0014】アルコキシシラン物質に対し、Si以外の
金属元素Mのアルコキシ化合物,カルボキシ化合物,ハ
ロゲン化合物,硝酸化合物等を添加しても良い。アルコ
キシシラン物質との相溶性や反応性を考慮すると、金属
アルコキシ化合物M(OR)n が適している。アルコキ
シシラン物質に添加できる金属元素Mは、特段の制約を
うけるものではなく、大部分の金属元素Mについてアル
コキシ化合物が入手可能である。ただし、Si以外の金
属アルコキシ化合物は、加水分解性が高いため、単独で
分散液に添加すると沈澱を生じることがある。そのよう
な場合には、混合分散液の調製に先立って予めアルコキ
シシラン物質と金属アルコキシ化合物を所定量混合して
付加物を調製し、この付加物を原料とすることが好まし
い。また、混合分散液を非水系で調製することも可能で
ある。
【0015】凍結乾燥される混合分散液は、所定量の両
親媒性物質とアルコキシシラン物質等を溶媒に溶解又は
分散して調製される。溶媒としては、多くの場合に水が
使用されるが、有機溶媒の使用も可能である。有機溶媒
系では、疎溶媒系の両親媒性物質が使用される。ただ
し、SiORを加水分解するために、最低限の量の水を
添加することが必要である。アルコキシシラン物質は、
一部を除き難水溶性であり、水性の分散液ではSiOR
基の加水分解によるSiOHの生成に伴って、混合分散
液中に均一に溶解或いは分散する。両親媒性物質を溶媒
中に分散させるとき超音波照射すると、アルコキシシラ
ン物質のSiOR基の一部が加水分解して分散液に溶解
する。また、SiOR基の加水分解を促進させるため、
少量の酸性物質又は塩基性物質の添加も効果的である。
【0016】両親媒性物質及びアルコキシシラン物質の
濃度は、製造されるシリカ多孔体の多孔性,成形性,機
械的強度等に影響を与える。両親媒性物質やアルコキシ
シラン物質の種類にもよるため一概に規定できないが、
両親媒性物質の濃度が低いとマクロ孔の生成がみられ
ず、細孔容積が小さくなる。他方、アルコキシシラン物
質の濃度が低いと、シリカ構造体が十分に成長せず、成
形性が不良で強度的にも弱くなる。添加される物質の溶
解性や分散性にもよるが、安定したシリカ多孔体を得る
上で、両親媒性物質の濃度は10mM以上が好適であ
り、アルコキシシラン物質の濃度は両親媒性物質の2倍
モル以上に相当する20mM以上が好適である。ただ
し、微粉体状のシリカ多孔体を製造する場合、20mM
以下の濃度でアルコキシシラン物質を分散させても良
い。
【0017】両親媒性物質及びアルコキシシラン物質を
含む混合分散液は、適宜の方法で凍結乾燥される。一般
に使用されている凍結乾燥法、すなわち混合分散液を融
点以下の温度に冷却固化して凍結し、次いで真空脱気に
より溶媒を除去して乾燥させる方法が簡便で好適であ
る。混合分散液の凍結には、冷媒に混合分散液を滴下す
る方法,混合分散液の融点以下の温度に冷却した壁面に
混合分散液を噴霧する方法等がある。冷媒としては、液
体窒素等の低温液化ガスや混合分散液と相溶性のない冷
媒(たとえば、水性の混合分散液に対しては塩化メチレ
ン等の有機溶媒を混合分散液の融点以下の温度に冷却し
た冷媒)等が使用される。水性の混合分散液では、凍結
温度が−20℃程度であることから、市販の冷蔵庫に付
設されている冷凍庫を使用できる。得られるシリカ多孔
体は、冷媒に混合分散液を滴下する方法によると球状に
なり、冷却壁面に混合分散液を噴霧する方法によると粉
末状になる。
【0018】また、得られるシリカ多孔体の成形性が優
れていることを利用し、混合分散液を基板上に展開し凍
結乾燥する方法,混合分散液を型容器内に充填し凍結乾
燥する方法等を採用することもできる。混合分散液が展
開された基板又は充填された型容器は、そのまま混合分
散液の融点以下の温度に保冷した冷凍庫に装入され、凍
結される。この場合には、フィルム状又はバルク状に一
体成形されたシリカ多孔体が得られる。水性の混合分散
液を冷却固化して凍結させた後、再融解しない状態で真
空脱気すると、脱気時に特に冷却する必要なく、室温で
の乾燥が可能になる。しかし、非水系の混合分散液で
は、融点が更に低い場合があり、室温で真空脱気すると
混合分散液の凍結体が再融解することがある。このよう
な場合、凍結体を冷却しながら真空脱気することにより
乾燥させることが好ましい。
【0019】凍結乾燥によって溶媒を除去した両親媒性
物質とアルコキシシラン物質からなる複合体は、シロキ
サン結合が生成しており、十分な自己支持性をもってい
る。しかし、未反応のSiORやSiOH等の一部が複
合体に残留しているため、更に引き続き化学的処理や熱
処理を施すことも有効である。化学的処理又は熱処理
は、残留しているSiORやSiOHの加水分解重縮合
反応を更に進め、シロキサン結合の生成及び成長を促進
させる。具体的には、塩酸,硝酸,硫酸,酢酸,アンモ
ニア,水酸化ナトリウム等の酸性又は塩基性物質の液体
又は溶液に複合体を直接浸漬処理する化学的処理が採用
される。また、密閉容器等を使用し、酸性又は塩基性物
質の蒸気に複合体をさらす方法も有効である。
【0020】両親媒性物質を抽出剤で抽出した後、化学
的処理又は熱処理を行うことも可能である。しかし、両
親媒性物質が形成する分子組織体の規則構造をシリカ構
造体に十分に反映させるため、両親媒性物質を含む状態
で化学的処理又は熱処理を行うことが効果的である。ま
た、SiORやSiOHの加水分解重縮合反応は温度の
上昇に伴って迅速になるので、化学的処理を熱処理と併
用することも効果的である。作製された複合体は、両親
媒性物質の種類に応じて選択された抽出剤を使用した抽
出処理によって、或いは酸化的雰囲気下で300℃以上
に加熱する焼却処理によって両親媒性物質が除去され
る。その結果、両親媒性物質の分子組織体を反映したミ
クロ孔及びマクロ孔をもつシリカ多孔体が得られる。
【0021】作製されたシリカ多孔体を走査型電子顕微
鏡によって観察すると、シリカ壁面が蜂の巣状に広が
り、数十μm単位の大きさで連続したマクロ孔が観察さ
れる。また、シリカ壁面の表面には鱗片状の物質が積層
した微細構造があり、ミクロ孔が形成されていることが
判る。このことから、前述したメカニズムが大旨支持さ
れる。得られたシリカ多孔体は、従来にない大きさのマ
クロ孔をもったフォーム状になっている。これは、両親
媒性物質が分散液中で規則的に成長した高次の分子組織
体を形成しているためであり、分子組織体の安定性や規
則性に対応して分子レベルの規則性で配列されたマクロ
孔及びミクロ孔を有する細孔構造が得られる。
【0022】
【実施例】表1及び表2に示す両親媒性物質及びアルコ
キシシラン物質或いはアルコキシチタンの所定量を、超
音波を照射しながら10mlの純水に分散溶解させ、複
数種類の均一な混合分散液を調製した。なお、表1及び
表2における化合物No.1〜5は、それぞれ図1に示し
た構造をもち、化合物1及び化合物2が通常の界面活性
剤、化合物3〜5が二分子膜形成能をもつ両親媒性物質
である。混合分散液を内径38mmのフッ素樹脂容器に
移し、−30℃に保持した冷凍庫で凍結させた。凍結体
が再溶解しないうちに、フッ素樹脂容器のまま真空乾燥
機により真空脱気する凍結乾燥処理を行った。
【0023】処理後の乾燥体を、アンモニア水を底に張
ったガラス密閉容器に入れ、アンモニア蒸気にさらし、
室温で一週間放置した。次いで、メタノールにより両親
媒性物質を抽出除去し、白色のシリカ多孔体を得た。シ
リカ多孔体は、合成条件にも依存するが両親媒性物質を
使用したとき、フッ素樹脂容器の内寸法とほぼ等しい直
径をもち、高さが約10mmの円筒状であった。シリカ
多孔体をフッ素樹脂容器から磁性ルツボに移し、空気雰
囲気で300℃に設定した箱形電気炉で5時間加熱処理
した。加熱処理されたシリカ多孔体は、外観上の変化は
特にみられなかった。
【0024】加熱処理後のシリカ多孔体について、液体
窒素温度における窒素ガス吸着量を測定する方法によっ
て細孔表面積を求めた。また、細孔容積及び細孔分布
を、水銀圧入法によって測定した。水銀圧入法で得られ
た細孔容積の値は、シリカ多孔体をカッターナイフで切
り出して測定した比容積よりもはるかに小さな値であっ
た。これは、水銀圧入法で測定可能な細孔半径が100
μm程度以下であるのに対し、得られたシリカ多孔体が
水銀圧入法で測定できない大きなマクロ孔を有している
ことに起因するものと推察される。大口径のマクロ孔の
存在は、走査型顕微鏡による観察で確認されるものの、
細孔特性を定量化できない。そこで、本実施例において
は、シリカ多孔体をカッターナイフで切りだして測定し
た比容積によって、マクロ孔を便宜的に評価した。見掛
けの比容積が大きいほど、マクロ孔の孔径或いは細孔容
積が大きいといえる。
【0025】シリカ多孔体の成形性,細孔表面積及び比
容積を表1に併せ示す。なお、成形性は、300℃の加
熱処理前後における形状保持状態に基づいて判断し、シ
リカ多孔体が円筒状の一体性を保持している場合を良好
「○」と評価し、以下、一体性の程度に応じて「△」,
「×」と評価した。「×」の多くの場合は、凍結乾燥の
段階ですでに粉状又は小塊状に砕けていた。
【表1】
【表2】
【0026】表1及び表2から明らかなように、化合物
3〜5を使用した実験番号6,7,9,10,12〜1
9では、成形性,細孔表面積及び比容積の何れにおいて
も優れた特性を示すシリカ多孔体が得られた。これに対
し、通常の界面活性剤を使用した実験番号1〜4では、
成形性は良好であるものの、比容積が小さいことからマ
クロ孔が十分に成長していない多孔質構造になっている
ことが窺われる。また、表2の実験番号20〜23は、
両親媒性を添加しない例であり、同様な方法によって製
造したシリカである。何れの場合も、多孔質構造が形成
されず、細孔表面積は1m2 /g以下の低表面積であっ
た。
【0027】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、両親媒性物質及びアルコキシシラン物質の均一な混
合分散液を凍結乾燥することにより、両親媒性物質が分
散液中で形成する分子レベルでの規則性が高い分子組織
体をアルコキシシラン物質のシリカへの三次元架橋反応
によって固定化し、最終的に両親媒性物質を除去するこ
とにより、ミクロ孔及びマクロ孔の両者を含むシリカ多
孔体が製造される。得られたシリカ多孔体は、表面積が
大きく且つマクロ孔を有することから、内部への拡散抵
抗が小さく多孔体内部表面が有効に作用する。また、流
動移動相の圧力損失も低くなる。そのため、触媒等の固
定化担体,吸着材等の物質分離に極めて高性能の多孔体
として使用される。
【0028】また、混合分散液を成形型枠に充填して凍
結するとき、任意形状の一体成形体が得られる。そのた
め、シリカ粉末を二次的に粒状或いは板状に加工する工
程が省略される。本発明で得られるシリカ多孔体は、比
容積が大きく、ミクロ孔が高次の規則性で配列されてい
ることを活用し、各種の用途に使用される。たとえば、
軽量であることを活かしたフィラー,熱伝導度が小さい
ことを活かした断熱材,誘電率が低いことを活かした電
子材料等、広範な分野における使用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例で使用した界面活性剤及び両親
媒性物質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C03B 8/02 20/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両親媒性物質の微細構造を倣ったミクロ
    孔と、溶媒中における前記両親媒性物質の分散状態を倣
    ったマクロ孔とを有するシリカ多孔体。
  2. 【請求項2】 分子の両末端に極性基及び疎水基がそれ
    ぞれ付加された両親媒性物質とアルコキシシラン物質と
    を含有する混合分散液を調製し、該混合分散液を凍結乾
    燥して溶媒を除去することを特徴とするシリカ多孔体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の溶媒を除去した後、化学
    的処理又は熱処理によって残留しているSiOR,Si
    OH等の加水分解重縮合反応を促進させ、次いで両親媒
    性物質を除去することを特徴とするシリカ多孔体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の混合分散液として、メタ
    ロキサン結合M−O−Siを生成する金属アルコキシ物
    質を更に含有させたものを使用することを特徴とするシ
    リカ多孔体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の両親媒性物質が二分子膜
    形成能をもつものであることを特徴とするシリカ多孔体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2〜6の何れかにおいて、有機溶
    媒に対する親和性のない基及び極性基が分子の両末端に
    それぞれ付加された両親媒性物質を使用し、該両親媒性
    物質及びアルコキシシラン物質を有機溶媒に分散させる
    ことにより混合分散液を調製することを特徴とするシリ
    カ多孔体の製造方法。
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