JP2003088575A - 消臭ポリウレタンフォーム - Google Patents

消臭ポリウレタンフォーム

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JP2003088575A JP2001284643A JP2001284643A JP2003088575A JP 2003088575 A JP2003088575 A JP 2003088575A JP 2001284643 A JP2001284643 A JP 2001284643A JP 2001284643 A JP2001284643 A JP 2001284643A JP 2003088575 A JP2003088575 A JP 2003088575A
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篤 石川
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正芳 森井
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一夫 桑原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】消臭効果及び消臭効果の持続性に優れた消臭ポ
リウレタンフォームを提供すること。 【解決手段】アミノ基を有する高分子化合物(A) と酸基
及び/又はその酸基が塩になった基を有する高分子化合
物(B) とを含有してなる消臭成分を有する消臭ポリウレ
タンフォーム;高分子化合物(A) と高分子化合物(B) と
を含有してなる消臭成分の粒子とポリウレタンフォーム
とを接触させるか、又は該消臭成分の粒子の分散液とポ
リウレタンフォームとを接触させる消臭ポリウレタンフ
ォームの製造法;並びに高分子化合物(A) と重合性単量
体(C) とを混合し、得られた混合物とポリウレタンフォ
ームとを接触させた後、重合性単量体(C) を重合させる
消臭ポリウレタンフォームの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消臭ポリウレタン
フォームに関する。更に詳しくは、シートクッション、
ヘッドレスト等の自動車用内装材、マットレス、ソファ
ー等の家具、下着パッド、まくら、靴底、台所用クリー
ナ、スポンジ、住宅用パネル、ボード等に好適に使用し
うる消臭ポリウレタンフォーム及びその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、地球を取り巻く環境への関心の高
まりから、自動車内装材、家具、衣類等のように生活環
境下で使用されているポリウレタンフォームには、低臭
化、臭気の消臭及びその持続性の向上が望まれている。
【0003】ポリウレタンフォームに起因する臭気物質
や生活環境下で発生する臭気物質としては、アミン類、
メルカプタン類、カルボニル化合物等がある。これらの
臭気の消臭は、物理的消臭法、感覚的消臭(マスキン
グ)法、及び化学的消臭法によって行われている。
【0004】しかしながら、物理的消臭法には、消臭剤
として極めて優れている活性炭の微粒子化が困難であっ
たり、ポリウレタンフォームへの固定が難しい等の欠点
がある。
【0005】また、感覚的消臭(マスキング)法には、
一般に香料等による消臭では、人の嗜好性によってその
もの自体が悪臭になることや、嗅覚疲労を起こすおそれ
があることから、その用途に制限があるという欠点があ
る。
【0006】一方、化学的消臭法には、一般に化学中和
反応が利用されており、前記欠点がないという利点があ
るが、これまでの化学中和反応を用いた化学的消臭法で
は、臭気成分として酸性物質及び塩基性物質のいずれか
一方を消臭させるためには、他方の物質を消臭させるこ
とができないという欠点がある。また、酸性基と塩基性
基を両方もつ低分子量の化合物に対しては、その化合物
の吸着性やポリウレタンフォームへの定着性に劣るた
め、継続した消臭性を発現させることが困難であるとい
う欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、消臭効果及
びその持続性に優れた消臭ポリウレタンフォームを提供
することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) アミノ基
を有する高分子化合物(A) 〔以下、成分(A) という〕と
酸基及び/又はその酸基が塩になった基を有する高分子
化合物(B) 〔以下、成分(B) という〕とを含有してなる
消臭成分を有する消臭ポリウレタンフォーム、(2) 成分
(A) と成分(B) とを含有してなる消臭成分の粒子とポリ
ウレタンフォームとを接触させるか、又は該消臭成分の
粒子の分散液とポリウレタンフォームとを接触させる消
臭ポリウレタンフォームの製造法、並びに(3) 成分(A)
と酸基及び/又はその酸基が塩になった基を有する重合
性単量体(C) 〔以下、重合性単量体(C) という〕とを混
合し、得られた混合物とポリウレタンフォームとを接触
させた後、重合性単量体(C) を重合させる消臭ポリウレ
タンフォームの製造法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】成分(A) の例としては、ポリガラ
クトサミン、キトサン(ポリグルコサミン)、キチン、
ポリエチレンイミン、ポリアニリン等が挙げられる。こ
れらの中では、高分子化合物としての安定性及び成分
(A) 自体が低臭気であることから、キトサンが好まし
い。成分(A) の重量平均分子量は、好ましくは5,000 〜
500,000 、より好ましくは7,000 〜300,000 である。
【0010】成分(B) の例としては、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、ポリクロトン酸、ポリイタコン酸、
ポリマレイン酸等のポリカルボン酸が挙げられる。これ
らの酸の中では、酸性度が低く、またこれらの酸の酸基
が塩になった場合には、他の酸性臭気物質と塩交換のし
やすいことから、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸
が好ましく、ポリメタクリル酸がより好ましい。
【0011】成分(B) を構成するモノマーとして、悪臭
成分である電子供与性物質(例えば、ケトン類)と相互
作用を呈するアクリルアミド、メチルアクリルアミド、
ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、3
−アクリルアミド−N,N−ジメチルプロピルアミン等
のアミド系単量体が用いられていてもよい。これらのア
ミド系単量体は、成分(B) 中に0〜30重量%の量で含有
されていることが好ましい。
【0012】成分(B) は、酸基及び/又はその酸基が塩
になった基を有する。塩としては、例えば、リチウム、
ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム
等のアルカリ土類金属塩、メチルアミン、エチルアミ
ン、ブチルアミン等の有機アミン塩、アラニン、グリシ
ン等のアミノ酸塩等が挙げられる。これらの中では、安
価で低臭気の観点から、ナトリウム、カリウム等のアル
カリ金属塩が好ましい。成分(B) が有する酸基及び/又
はその酸基は、その全部が塩になっていてもよく、ある
いはその一部が塩になっていてもよい。後者の場合、成
分(B) が有する酸基の一部がエステル化されていてもよ
い。成分(B) の重量平均分子量は、好ましくは5,000 〜
500,000 、より好ましくは7,000 〜300,000 である。
【0013】消臭成分を構成している成分(A) 及び成分
(B) は、成分(A) と成分(B) との混合物であってもよ
く、成分(A) と成分(B) とが部分的に結合しているもの
であってもよい。成分(A) 及び成分(B) は、それぞれ微
細な粒子として存在し、それらの粒子が均一に分散して
いることが、臭気成分である酸性物質及び塩基性物質の
双方を効率よく消臭する観点から好ましい。
【0014】成分(A) /成分(B) (重量比)は、消臭効
果を十分に発現させる観点から、 0.5/99.5〜99.5/0.
5 であることが好ましく、20/80〜75/25であることが
より好ましい。
【0015】消臭成分は、成分(A) 及び成分(B) を含有
するものである。消臭成分は、成分(A) 及び成分(B) の
みで構成されていてもよく、あるいは他の消臭成分、添
加剤や、後述するように成分(A) 及び成分(B) を担体に
担持させた場合にはその担体等の第三成分を本発明の目
的が阻害されない範囲内で含有していてもよい。この場
合、消臭効果を十分に発現させるとともに、その消臭効
果を十分に持続させる観点から、消臭成分における成分
(A) 及び成分(B) の合計含有量は、通常、50重量%以上
であることが好ましく、70重量%以上であることがより
好ましい。
【0016】消臭成分の形態としては、例えば、成分
(A) 及び成分(B) の各成分からなる粒子の混合物、タル
ク粉、マイカ粉等の無機粒子やポリマー粒子等の有機粒
子等の粒子の表面に成分(A) 及び成分(B) を担持させた
担持体、ポリウレタンフォーム上で形成された成分(A)
及び成分(B) の被膜等が挙げられるが、本発明はかかる
形態のみに限定されるものではない。
【0017】成分(A) 及び成分(B) がそれぞれの成分か
らなる粒子である場合、その平均粒径は、0.01〜100 μ
mが好ましく、0.01〜50μmがより好ましい。なお、平
均粒径は、走査型電子顕微鏡により、その粒子を観察
し、単位面積(100μm ×100 μm)あたりに存在している
粒子の直径の総和をその粒子の個数で除することによっ
て求められる。
【0018】成分(A) 及び成分(B) を粒子の表面に担持
させた担持体は、例えば、成分(A)及び成分(B) を溶媒
に溶解させた溶液を粒子に付着させる方法や、ポリマー
粒子の原料モノマーを溶解しないが、成分(A) 及び成分
(B) の原料モノマーを溶解する溶媒中に、成分(A) 、成
分(B) の原料モノマー及びポリマー粒子の原料モノマー
を分散又は溶解させ、成分(B) の原料モノマー及びポリ
マー粒子の原料モノマーの重合を行うことにより、生成
したポリマー粒子の表面に成分(A) 及び成分(B) を付着
させる方法によって製造することができる。
【0019】成分(A) 及び成分(B) を担持させるための
担体である粒子の平均粒径は、0.01〜100 μmが好まし
く、0.01〜50μmがより好ましい。なお、平均粒径は、
前記と同様にして求められる。
【0020】消臭成分がポリウレタンフォーム上で被膜
を形成している場合、その被膜は連続したものであって
もよく、その被膜に不連続な部分が存在していてよい。
【0021】本発明の消臭ポリウレタンフォームにおい
ては、消臭成分がポリウレタンフォームの外部表面に存
在していてもよく、その内部表面に存在していてもよ
く、あるいはその双方であってもよい。
【0022】本発明の消臭ポリウレタンフォームにおけ
る消臭成分の量は、消臭効果を高める観点から、30mm×
30mm×30mmの大きさのポリウレタンフォームにおいて、
0.05〜2gであることが好ましく、0.1 〜1gであるこ
とがより好ましい。
【0023】ポリウレタンフォームとしては、一般に使
用されているものであればよく、その種類には特に制限
がない。ポリウレタンフォームの例としては、硬質ポリ
ウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び軟
質ポリウレタンフォームが挙げられる。
【0024】ポリウレタンフォームの例としては、ポリ
オール成分とイソシアネート化合物とを、発泡剤及び触
媒の存在下で反応させて得られたポリウレタンフォーム
が挙げられる。
【0025】ポリオール成分は、ポリウレタンフォーム
を製造する際に従来使用されているものであればよく、
特に限定がない。ポリオール成分としては、官能基の数
が2〜8であるポリエステルポリオール及びポリエーテ
ルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオール及
びポリエーテルポリオールは、単独で又は2種以上を混
合して用いることができる。
【0026】ポリエステルポリオールは、ジカルボン酸
と多価アルコールの縮合反応により製造することができ
る。
【0027】ポリエステルポリオールに用いられるジカ
ルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂
肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の飽
和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;テトラ
ブロモフタル酸等のハロゲン含有ジカルボン酸;これら
のエステル形成性誘導体、これらの酸無水物等が挙げら
れ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いること
ができる。なお、該ジカルボン酸には、トリメリット
酸、ピロメリット酸等の3官能性以上の多塩基酸が所望
により含有されていてもよい。
【0028】ポリエステルポリオールを構成する多価ア
ルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオー
ル、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5- ペンタンジ
オール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリ
ン、デキストロース、ソルビトール等が挙げられ、これ
らは単独で又は2種以上を混合して用いることができ
る。
【0029】ポリエーテルポリオールの代表例として
は、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリオキシテト
ラメチレングリコール及びそれらの混合物等が挙げられ
る。
【0030】ポリオキシアルキレンポリオールは、2個
以上の活性水素含有基を有する化合物を出発原料化合物
とし、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブ
チレンオキシド、1,3-ブチレンオキシド、スチレンオキ
シド等のアルキレンオキシドの開環付加反応により製造
することができる。
【0031】2個以上の活性水素含有基を有する化合物
としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘ
キサンジオール等の2価のアルコール;グリセリン、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリ
セリン、デキストロース、ソルビトール、蔗糖等の3価
以上の多価アルコール;レゾルシノール、ハイドロキノ
ン、ビスフェノールA等の多価フェノール;エチレンジ
アミン、トリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、イ
ソホロンジアミン等の多価アミン;ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、そ
れらの変性物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で
又は2種以上を混合して用いることができる。
【0032】ポリオキシテトラメチレングリコールは、
テトラヒドロフランの開環重合により製造することがで
きる。
【0033】ポリオール成分の官能基数及び水酸基価
は、要求されるポリウレタンフォームの物性等によって
異なるので一概には決定することができない。ポリオー
ル成分の代表例としては、官能基数が2〜4であり、水
酸基価が10〜250 であるポリオール等が挙げられる。
【0034】イソシアネート化合物としては、2,4-トリ
レンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネー
ト、4,4'- ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2 '-
ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'- ジフェニル
メタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレン
ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナ
フチレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネー
ト;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシ
アネート等の脂肪族ポリイソシアネート;水添ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソ
シアネート;ウレタン結合、カルボジイミド結合、ウレ
トイミン結合、アロファネート結合、ウレア結合、ビュ
ーレット結合、イソシアヌレート結合等の1種以上を含
有する前記ポリイソシアネート変性物等が挙げられ、こ
れらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ
る。
【0035】ポリオール成分とイソシアネート化合物と
の割合は、通常、イソシアネートインデックスが80〜16
0 、好ましくは90〜120 となるように調整することが好
ましい。
【0036】発泡剤としては、水、イソペンタン、ノル
マルペンタン、シクロペンタン等の低沸点炭化水素、窒
素ガス、空気、二酸化炭素等のガス、塩化メチレン、HC
FC-141b 、HCFC-142b 、HCFC-22 、HFC-134a、HFC-152
a、HFC-245fa 、HFC-245ca 、HFC-236ea 、HFC-365mfc
等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して
用いることができる。これらの中では、環境保護の観点
から、水が好ましい。
【0037】発泡剤の量は、その種類や目的とするポリ
ウレタンフォームの密度によって異なるので一概には決
定することができないため、これらに応じて適宜調整す
ることが望ましい。
【0038】触媒としては、1,4-ジアザビシクロ[2.2.
2] オクタン、2-メチル-1,4- ジアザビシクロ[2.2.2]
オクタン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、
N-(ジメチルアミノエチル)モルホリン、N,N,N',N'-テ
トラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチル
プロピレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルヘキサメ
チレンジアミン、N,N-ジメチルピペラジン、N,N',N'-ト
リメチルアミノエチルピペラジン、トリス(3- ジメチル
アミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルシクロヘキシル
アミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N,N',N”,N”
- ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2- ジメチ
ルアミノエチル)エーテル、1,8-ジアザビシクロ[5.4.
0] ウンデセン-7、N,N',N”- トリス(3- ジメチルアミ
ノプロピル)ヘキサヒドロ-s- トリアジン、
【0039】6-ジメチルアミノ-1- ヘキサノール、5-ジ
メチルアミノ-3- メチル-1- ペンタノール、N,N-ジメチ
ルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタ
ノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシエタノー
ル、N-(3- ジメチルアミノプロピル)-N- メチルアミノ
エタノール、N-(2- ジメチルアミノエチル)-N-メチルア
ミノエタノール、1-メチルイミダゾール、1-イソブチル
-2- メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール等
の第3アミン系触媒及びこれらの誘導体、これらとカル
ボン酸や炭酸等の酸との塩;ジブチルジ酢酸スズ、ジオ
クタン酸スズ、ジブチルジラウリン酸スズ等の有機スズ
化合物に代表される有機金属化合物等が挙げられる。
【0040】触媒の量は、その触媒の種類によって反応
機構や反応特性が異なるので一概には決定することがで
きないため、その種類に応じて適宜調整することが望ま
しい。
【0041】ポリウレタンフォームを製造する際には、
必要に応じて整泡剤を用いることができる。
【0042】整泡剤としては、一般にポリウレタンフォ
ームを製造する際に使用されているものであればよい。
整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシ
アルキレン変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン
系界面活性剤、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エス
テル塩、スルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤等が挙げ
られる。
【0043】整泡剤の量は、その種類や目的とするポリ
ウレタンフォームの特性によって異なるので一概には決
定することができないため、これらに応じて適宜調整す
ることが望ましい。
【0044】更に、前記成分に加えて、必要に応じて他
の助剤を用いることができる。他の助剤としては、例え
ば、架橋剤、安定剤、顔料、難燃剤、充填剤等が挙げら
れ、これらは、本発明の目的が阻害されない範囲内で用
いることができる。
【0045】ポリウレタンフォームは、発泡剤及び触
媒、必要に応じて整泡剤、他の助剤の存在下で、ポリオ
ール成分とイソシアネート化合物とを反応させることに
よって製造することができる。例えば、ポリオール成分
と、発泡剤、触媒並びに必要により整泡剤及び他の助剤
を混合し、得られたポリオール混合物と、イソシアネー
ト化合物とを成形機等により、混合、攪拌し、成形型内
に注入し、発泡させることにより、ポリウレタンフォー
ムを成形することができる。より具体的には、例えば、
前記ポリオール混合物をタンク等を用いて、20℃程度
に調温したのち、自動混合注入型発泡機、自動混合射出
型発泡機等の発泡機を用いてイソシアネート成分と反応
させることにより、ポリウレタンフォームを製造するこ
とができる。
【0046】本発明の消臭ポリウレタンフォームは、例
えば、(1) 成分(A) と成分(B) とを含有する消臭成分の
粒子とポリウレタンフォームとを接触させるか、又は該
粒子の分散液とポリウレタンフォームとを接触させる方
法(以下、製法Aという)、(2) 成分(A) と成分(B) と
を含有する消臭成分の粒子又は該消臭成分の粒子の分散
液をポリウレタンフォームの原料、例えば、ポリオール
成分に含有させ、これを用いてポリウレタンフォームを
製造することにより、ポリウレタンフォーム内に消臭成
分を含有させる方法(以下、製法Bという)、(3) 成分
(A) と重合性単量体(C) とを混合し、得られた混合物と
ポリウレタンフォームとを接触させた後、前記重合性単
量体(C) を重合させる方法(以下、製法Cという)、又
は(4) 成分(A) と重合性単量体(C) とを混合し、得られ
た混合物とポリウレタンフォームの原料、例えば、ポリ
オール成分とを混合し、これを用いてポリウレタンフォ
ームを製造することにより、ポリウレタンフォーム内に
消臭成分を含有させる方法(以下、製法Dという)が挙
げられる。
【0047】消臭成分の粒子又はその分散液は、例え
ば、以下のようにして調製することができる。
【0048】水、又は水と有機溶媒との混合溶媒に、成
分(A) 及び成分(B) の原料単量体である重合性単量体
(C) を溶解させ、得られた溶液に重合開始剤を添加し、
必要に応じてマイルダー、高圧ホモジナイザー、ホモミ
キサー等の機械で乳化を行った後、重合反応を行い、得
られた消臭成分の粒子の分散液を得る。得られた分散液
は、そのまま使用することができるが、必要により、塩
基で中和した後に使用することもできる。
【0049】好適な重合性単量体(C) としては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸及びそれらの塩からなる群より選ばれた
1種以上が挙げられる。
【0050】このようにして成分(A) 及び成分(B) の原
料単量体である重合性単量体(C) を溶解させた溶液を重
合させた場合には、成分(A) 及び成分(B) の分散体を得
ることができる。
【0051】また、溶媒として、水、または水と水溶性
有機溶媒との混合溶媒を用い、成分(A) 及び成分(B) の
原料単量体である重合性単量体(C) に加えて、該溶媒に
溶解しがたい重合性単量体(D) を溶媒に添加し、必要に
応じてマイルダー、高圧ホモジナイザー、ホモミキサー
等の機械で乳化を行った後、重合を行った場合には、重
合性単量体(D) は重合によって当該溶媒中でポリマー粒
子となり、その表面には成分(A) 及び重合性単量体(C)
が重合して得られた成分(B) が付着するため、結果的に
は、成分(A) 及び成分(B) が担持されたポリマー〔重合
性単量体(D) からなる重合体〕粒子が得られる。
【0052】重合性単量体(D) としては、前記溶媒に溶
解しがたいものであればよい。その例としては、例え
ば、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキ
ルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸
アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル等が挙
げられる。かかるアルキルエステルの炭素数は、特に限
定がないが、通常、2〜20程度であることが好ましい。
【0053】重合方法としては、乳化重合法及び懸濁重
合法が挙げられる。重合は、界面活性剤の存在下で行う
ことができる。
【0054】界面活性剤としては、陰イオン性界面活性
剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び
両性界面活性剤が挙げられる。その具体例としては、ド
デシル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテルのサルフェート塩
等の陰イオン界面活性剤;オクタデシルトリメチルアン
モニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ポリオキ
シエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレ
ート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン
ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン等の
非イオン界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の量は、
重合性単量体(C) の0.5 〜5重量%であることが好まし
い。
【0055】重合反応の際に使用される重合開始剤とし
ては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、
過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸
化物;2,2'- アゾビス-2- アミジノプロパン塩類、4,4'
- アゾビス-4- シアノペンタノン酸等のアゾ化合物等が
挙げられ、これらそれぞれ単独で又は2種以上をこんご
うして用いることができる。界面活性剤は、必要に応じ
て還元剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として使
用することもできる。
【0056】重合温度は、20〜80℃であることが好まし
い。重合時間は、重合条件によって異なるので、一概に
は決定することができないが、通常、0.1 〜24時間程度
である。
【0057】かくして得られた反応溶液を消臭成分の粒
子の分散液として用いることができる。また、この反応
溶液と疎水性有機溶媒とを混合することにより、粒子を
析出させ、濾過等によりその粒子を回収し、前述した消
臭成分の粒子として用いることができる。
【0058】製法Aにおいては、消臭成分の粒子とポリ
ウレタンフォームとを接触させる際や、該粒子の分散液
を用いる場合にはその分散液に、バインダーを用いても
よい。消臭効果及びその持続性を考慮すれば、バインダ
ーを用いることが好ましい。バインダーとしては、例え
ば、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系、酢酸ビニ
ル系等のバインダーが挙げられる。
【0059】分散液における消臭成分の粒子の平均粒径
は、好ましくは0.01〜100 μm、より好ましくは0.01〜
50μm、更に好ましくは0.1 〜10μmである。平均粒径
は、レーザー回分型粒径分布測定装置〔(株)島津製作
所製、品番:SALD-2000J〕により測定される。
【0060】前記粒子の分散液に使用される分散媒体と
して、水及び/又は有機溶媒を用いることができる。有
機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノー
ル、ヘプタノール、オクタノール等のアルコール類や、
アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、酢酸エチル等の極性溶媒;シクロヘキサン、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン等の非極性溶媒等が挙げら
れる。
【0061】消臭粒子又は前記粒子の分散液とポリウレ
タンフォームとを接触させる方法として、例えば、マン
グル、ドライヤーを用いたパッド・ドライ法、浸漬法、
スプレーコーティング法等が挙げられる。
【0062】浸漬法を使用する場合には、前記粒子の分
散液中にポリウレタンフォームを浸漬させ、ポリウレタ
ンフォーム中に分散液を含浸させた後、そのポリウレタ
ンフォームを乾燥させればよい。
【0063】また、製法Bを採用する場合には、所望量
の消臭成分の粒子又は該粒子の分散液を、例えば、ポリ
オール成分等のポリウレタンフォームの原料に添加した
後、ポリウレタンフォームを製造すればよい。
【0064】製法Cによれば、成分(A) と重合性単量体
(C) とを混合し、得られた混合物をポリウレタンフォー
ムと接触させた後、重合性単量体(C) を重合させること
により、被膜状の消臭成分をポリウレタンフォーム上に
形成させることができる。より具体的には、成分(A) と
重合性単量体(C) とを混合し、得られた混合物中にポリ
ウレタンフォームを浸漬し、マングルで絞った後、好ま
しくは60〜90℃、より好ましくは70〜80℃の温度で重合
反応を行った後、そのポリウレタンフォームを乾燥させ
ることにより、消臭ポリウレタンフォームを得ることが
できる。
【0065】製法Dを採用する場合には、成分(A) と重
合性単量体(C) とを混合し、得られた混合物を、例え
ば、ポリオール成分等のポリウレタンフォームの原料に
添加した後、ポリウレタンフォームを製造すればよい。
【0066】かくして得られる本発明の消臭ポリウレタ
ンフォームは、消臭効果があり、しかも消臭効果の持続
性に優れたものである。
【0067】
【実施例】製造例(試験用フォームの成形) ポリオール〔三井化学(株)製、商品名:MN-3050 ONE、
水酸基価55.4〕100 重量部、シリコーン系整泡剤〔日本
ユニカー(株)製、品番:L-580〕1.5 重量部、触媒とし
てオクタン酸錫〔和光純薬工業(株)製〕0.2 重量部、
アミン系触媒〔花王(株)製、商品名:カオーライザー
No.31 〕0.3 重量部及び水4重量部をラボミキサーによ
り混合し、ポリオール混合物を得た。
【0068】得られたポリオール混合物及びポリイソシ
アネート〔住友バイエルウレタン(株)製、商品名:ス
ミジュールT-80〕の温度を23℃に調整した後、それらを
イソシアネートインデクッスが100 となるように混合、
攪拌し、150mm ×150mm ×300mm の木製モールド内に流
し込み、発泡させて軟質ポリウレタンフォームを得た。
【0069】実施例1 キトサン〔甲陽ケミカル(株)製、品番:SK-10、脱アセ
チル化度85〜88%、重量平均分子量130000〕40gと水と
を混合して総量を900 gとし、これにメタクリル酸120
gを加え、60℃で撹拌しながら溶解させ、キトサンとメ
タクリル酸の水溶液を得た。
【0070】次に、得られた水溶液に、過硫酸カリウム
3gをイオン交換水100 gに溶かした水溶液を添加し、
25℃で5分間撹拌した。得られたキトサン水溶液に、ソ
ルビタンモノラウレートの1.0 %シクロヘキサン溶液
を、キトサン水溶液/シクロヘキサン溶液(重量比)が
1/1 となるように混合し、70℃で5時間反応させた。
【0071】反応終了後、得られた反応溶液に、イソプ
ロピルアルコール1kgを加えて撹拌し、固液分離を行っ
た。得られた固形分にイソプロピルアルコール500 gを
加えて固液分離する操作を2回行い、50℃にて減圧乾燥
して粉末状の消臭成分を得た。
【0072】得られた消臭成分の平均粒子径は、5μm
であり、その組成は、キトサン25重量%及びメタクリル
酸75重量%であった。
【0073】この粉体5gを水250mL に分散させた分散
体に、製造例で得られた軟質ポリウレタンフォーム(30m
m ×30mm×30mm)を浸し、角棒(底面の面積:10cm2
で20回ポンピング後、乾燥し、消臭ポリウレタンフォー
ムを得た。
【0074】得られた消臭ポリウレタンフォームには、
消臭成分が0.28g含まれていた。
【0075】実施例2 実施例1と同じキトサン60gに水を加えて総量を900 g
とし、これにメタクリル酸60gを加え、60℃で撹拌しな
がら溶解させ、キトサンとメタクリル酸との水溶液を得
た。
【0076】得られた水溶液に、メタクリル酸ラウリル
20gとラウリルパーオキサイド0.5gを加えて超音波を
5分間照射して乳液を得た。
【0077】得られた乳液を75℃で2時間加熱すること
によって反応を行った後、過硫酸アンモニウム2gをイ
オン交換水20gに溶解させた溶液を加え、75℃で3時間
反応を行った。その後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液
を生成したポリメタクリル酸の75モル%が中和されるよ
うに滴下して中和した。
【0078】得られた消臭成分の粒子の分散液に含まれ
ている粒子の平均粒径は2μm であった。
【0079】その粒子におけるキトサン/ポリメタクリ
ル酸及びその塩の重量比は50/50 であり、またキトサン
とポリメタクリル酸及びその塩との合計含有量は、約85
%であった。
【0080】この得られた消臭成分の粒子の分散液に、
製造例で得られた軟質ポリウレタンフォーム(30mm ×30
mm×30mm)を浸し、角棒(底面の面積:10cm2 )で20回
ポンピング後、乾燥し、消臭ポリウレタンフォームを得
た。得られた消臭ポリウレタンフォームには、消臭成分
が0.28g含まれていた。
【0081】比較例1 イオン交換水中に、実施例1で用いたのと同様の軟質ポ
リウレタンフォーム(30mm×30mm×30mm)を浸し、実施
例1と同様にして消臭ポリウレタンフォームを得た。
【0082】比較例2 キトサン10gの粉末を水に加えて総量を250 gとし、60
℃で攪拌しながら溶解させてキトサン水溶液を得た。
【0083】得られたキトサン水溶液中に、実施例1で
用いたのと同様の軟質ポリウレタンフォーム(30mm×30
mm×30mm)を浸し、実施例1と同様にして消臭ポリウレ
タンフォームを得た。
【0084】実験例 実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた消臭ポリウレ
タンフォームについて、下記方法で消臭効果及び消臭効
果の持続性を調べた。
【0085】〔消臭効果〕消臭ポリウレタンフォームを
120mL 容の蓋付きマヨネーズビンの中に入れ、室温で24
時間放置した後、マヨネーズビン内の臭気を臭気センサ
ー〔新コスモス電機(株)製、商品:XP-329 〕で測定す
る。
【0086】〔消臭効果の持続性〕デシケータ(内径18
00mm) の底部にN,N,N',N'-テトラメチルヘキサメチレン
ジアミン〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.
1〕2gを入れ、その上部に消臭ポリウレタンフォーム
を置き、室温で放置する。
【0087】次に、所定の時間内にデシケータ内から消
臭ポリウレタンフォームを取り出して消臭ポリウレタン
フォームの臭気を嗅覚にて直接官能評価する。N,N,N',
N'-テトラメチルヘキサメチレンジアミンの臭気が感じ
られない場合を○と判定し、N,N,N',N'-テトラメチルヘ
キサメチレンジアミンの臭気を感じる場合を×と評価す
る。
【0088】
【表1】
【0089】表1に示された結果から、実施例1〜2で
得られた消臭ポリウレタンフォームには、成分(A) と成
分(B) とを含有する消臭成分が用いられているので、そ
れ自体臭気を発しないのみならず(消臭効果)、周囲雰
囲気に含まれている臭気のいわゆる臭い移りが長期間に
わたってないこと(消臭効果の持続性があること)がわ
かる。
【0090】
【発明の効果】本発明の消臭ポリウレタンフォームは、
消臭効果及び消臭効果の持続性に優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森井 正芳 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内 (72)発明者 桑原 一夫 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内 Fターム(参考) 4C080 AA03 BB02 CC01 HH05 JJ03 KK08 LL02 MM22 MM28 4F074 AA78 AA80 AA81 AA83 BA31 BA32 BA33 BA34 BA35 BA39 CE15 CE43 CE56 CE66 CE98 DA59 4J002 AB00W AB05W BG01X BG13X BH02X CM01W CM05W GC00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を有する高分子化合物(A) と酸
    基及び/又はその酸基が塩になった基を有する高分子化
    合物(B) とを含有してなる消臭成分を有する消臭ポリウ
    レタンフォーム。
  2. 【請求項2】 アミノ基を有する高分子化合物(A) が、
    キトサンである請求項1又は2記載の消臭ポリウレタン
    フォーム。
  3. 【請求項3】 酸基及び/又はその酸基が塩になった基
    を有する高分子化合物(B) が、ポリアクリル酸及びその
    塩並びにポリメタクリル酸及びその塩からなる群より選
    ばれた1種以上である請求項1又は2記載の消臭ポリウ
    レタンフォーム。
  4. 【請求項4】 アミノ基を有する高分子化合物(A) と酸
    基及び/又はその酸基が塩になった基を有する高分子化
    合物(B) とを含有してなる消臭成分の粒子とポリウレタ
    ンフォームとを接触させるか、又は該消臭成分の粒子の
    分散液とポリウレタンフォームとを接触させる消臭ポリ
    ウレタンフォームの製造法。
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