JP2003082122A - ポリフェニレンスルフィドフィルムとその製造方法およびそれからなるコンデンサー - Google Patents

ポリフェニレンスルフィドフィルムとその製造方法およびそれからなるコンデンサー

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JP2003082122A
JP2003082122A JP2001271541A JP2001271541A JP2003082122A JP 2003082122 A JP2003082122 A JP 2003082122A JP 2001271541 A JP2001271541 A JP 2001271541A JP 2001271541 A JP2001271541 A JP 2001271541A JP 2003082122 A JP2003082122 A JP 2003082122A
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pps
polyphenylene sulfide
capacitor
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Jun Sakamoto
純 坂本
Kenji Tsunashima
研二 綱島
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】PPSの優れた電気特性を有しながらも局所的
な電圧破壊が生じた際の自己回復性に優れた、信頼性の
高いフィルムコンデンサーを形成しうるPPSフィル
ム、およびそれからなコンデンサーを提供すること。 【解決手段】大気圧・空気雰囲気下300℃での硫化水
素および二酸化硫黄ガスの発生量が2×10-4mol/
molポリマー未満であるポリフェニレンスルフィドフ
ィルムであり、酸素分圧が1000Pa未満の条件下で
押出機にポリフェニレンスルフィド樹脂を供給し、溶融
押出するポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法
であり、ポリフェニレンスルフィドフィルムの少なくと
も片表面に金属膜を形成してなる金属化ポリフェニレン
スルフィドフィルムを巻回または積層してなるコンデン
サー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフェニレンス
ルフィドフィルムとその製造方法およびそれからなるコ
ンデンサーに関するものであり、特に自己回復性に優れ
た、信頼性の高いコンデンサーを形成しうるポリフェニ
レンスルフィドフィルムとその製造方法およびそれから
なるコンデンサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドフィルム(以
下、PPSフィルムと略す)は、優れた耐熱性や電気特
性を有することからコンデンサーの誘電体として従来か
ら使用されてきており、例えば特開昭57−18732
7号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
PPSフィルムを用いたコンデンサーには、次のような
問題点が存在していた。
【0004】すなわち、従来のPPSフィルムを用いた
コンデンサーでは、局部的な電圧破壊が生じた際の自己
回復性(セルフヒーリング特性)に劣るため、低電圧破
壊が発生した場合に自己回復せずショートしてしまうこ
とが多く、コンデンサーの不良率を増加させたり電圧処
理による不良品が増加し、使用時の信頼性が低いなどの
欠点を有していた。
【0005】これを防止するために、特開平4−219
236号公報や特開平5−318665号公報では、二
軸配向PPSフィルムの表面にポリエステルまたはポリ
オレフィンからなる層を積層させる方法を示している。
しかしながら、これらPPS以外の高分子樹脂を積層さ
せる方法では、PPSが本来有する優れたコンデンサー
特性を損ない、さらにこれらの樹脂とPPS樹脂との接
着性自体が不十分であるために層間剥離等の問題があっ
た。
【0006】本発明の目的は、上記の諸問題を解決する
こと、すなわち、PPSの優れた電気特性を有しながら
も局所的な電圧破壊が生じた際の自己回復性に優れた、
信頼性の高いフィルムコンデンサーを形成しうるPPS
フィルム、およびそれからなコンデンサーを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した問
題に鑑み、鋭意検討した結果、PPS樹脂から発生する
ガスの量を特定の値としたPPSフィルムによって前記
の諸問題が解決できることを見出し、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明のポリフェニレンスルフ
ィドフィルムは、大気圧・空気雰囲気下300℃での硫
化水素および二酸化硫黄ガスの発生量が2×10-4mo
l/molポリマー未満であることを特徴とするポリフ
ェニレンスルフィドフィルムであり、本発明のフィルム
の製造方法は、酸素分圧が1000Pa未満の条件下で
押出機にポリフェニレンスルフィド樹脂を供給し、溶融
押出することを特徴とするポリフェニレンスルフィドフ
ィルムの製造方法であり、本発明のコンデンサーは、請
求項1〜5のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィ
ドフィルムの少なくとも片表面に金属膜を形成してなる
金属化ポリフェニレンスルフィドフィルムを巻回または
積層してなるコンデンサーである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について説明する。
【0010】従来のPPSフィルムコンデンサーにおい
て、自己回復性に劣る原因を追及した結果、PPSフィ
ルム中の揮発性成分と酸素が反応することによって硫化
水素や二酸化硫黄ガスが発生し、これがコンデンサー電
極と反応することによってフィルムを貫通した導電性硫
黄化合物を形成し、これが電気を短絡させるために自己
回復性が劣ると判明した。すなわち、PPSフィルムコ
ンデンサーの自己回復性を向上させるためには、導電性
硫黄化合物の生成を抑制するようにPPSフィルム中の
揮発性成分と酸素との反応を抑制することが必要であ
る。
【0011】本発明のPPSフィルムは、PPS樹脂の
含有する揮発性成分と酸素との反応性を抑制したもので
あり、大気圧・空気雰囲気下300℃での硫化水素およ
び二酸化硫黄ガスの発生量が2×10-4mol/mol
ポリマー未満であることが必要である。
【0012】大気圧・空気雰囲気下300℃での硫化水
素および二酸化硫黄ガスの発生量が2×10-4mol/
molポリマー以上である場合、これらのガスがコンデ
ンサー用金属膜と反応し、硫化物を形成するために自己
回復性が低下してしまう。硫化水素、二酸化硫黄ガスの
発生量は少ないほど好ましく、1×10-4mol/mo
lポリマー未満がより好ましい。このためには原因とな
るPPS樹脂中の揮発成分を少なくしたり、発生した硫
化水素ガスや二酸化硫黄ガスをトラップするガストラッ
プ剤および/またはガス発生防止剤を添加することが好
ましい。
【0013】PPS樹脂に含まれる揮発成分は、空気雰
囲気下250℃における重量減量率が0.3%未満であ
ることが好ましく、さらには0.1%未満が好ましい。
【0014】PPS樹脂に含有される揮発性成分を除去
するには、PPS樹脂を130Pa以下の圧力下、15
0℃以上の温度で3時間以上乾燥処理したり、重合直後
の粉末状PPS樹脂を沸水にて洗浄するなどの方法があ
る。250℃における重量減量率が0.3%を越える場
合、PPS樹脂中の揮発性成分が多いために酸素と反応
することによって硫化水素や二酸化硫黄ガスが発生しや
すくなる。
【0015】ガス発生防止剤は、空気中の酸素ガスとP
PS樹脂が反応してガス発生することを抑制する添加剤
であり、酸化防止剤を用いることが好ましい。
【0016】本発明において、酸化防止剤としては、特
に限定はされないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル
−p−クレゾール等のモノフェノール系、2,2’−メ
チレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
等のビスフェノール系、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼン等の高分子型フェノール系、ト
リフェニルホスファイト等の燐系が好ましく、特にフェ
ノール基を含有するものが好ましい。これらの酸化防止
剤は、PPS樹脂と酸素が反応することを抑制し、硫化
水素や二酸化硫黄ガスの生成を抑制する。このために該
PPSフィルムにアルミニウム等を蒸着させてコンデン
サーを形成した際においてもコンデンサーの自己回復性
を損ねることがなくなるのである。酸化防止剤を用いる
場合、その添加量は0.01%〜5%の配意が好まし
い。酸化防止剤の添加量は、コンデンサーの自己回復性
とフィルム品質のバランスから当該範囲において任意に
選択すればよく、好ましくは0.05〜2%、さらには
0.1〜1.5%が好ましい。
【0017】ガストラップ剤は、PPS樹脂から発生し
た硫化水素や二酸化硫黄ガスを吸収する添加剤であり、
炭酸リチウムや炭酸カルシウムなどのアルカリ金属およ
び/またはアルカリ土類金属の炭酸塩化合物をPPS樹
脂に0.01〜5%含有させることが好ましく、さらに
アイオノマー樹脂をPPS樹脂に0.01〜5%含有さ
せてもよい。上記したガストラップ剤やガス発生防止剤
はそれぞれ単独でPPS樹脂に添加しても良いし、それ
ぞれ組み合わせて複数種類をPPS樹脂に添加してもか
まわない。
【0018】本発明のPPSフィルムは、上記した基本
的にポリフェニレンスルフィド樹脂からなるものであ
る。
【0019】本発明でいうポリフェニレンスルフィド樹
脂とは、ポリフェニレンスルフィド成分を好ましくは7
0モル%以上、より好ましくは80モル%以上含む樹脂
である。かかるPPS成分が70モル%未満では、ポリ
マの結晶性と熱転移温度などが低く、PPSフィルム特
徴である良好な高周波数特性、低吸湿性および難燃性な
どの諸特性を損なうことがある。
【0020】上記PPS樹脂において、繰り返し単位の
30モル%未満、好ましくは20モル%未満であれば、
共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含ま
れていても差し支えない。繰り返し単位の30モル%未
満、好ましくは20モル%未満の繰り返し単位として
は、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単
位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換
基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニ
レン単位、ビニレン単位、カーボネート単位などが具体
例として挙げられ、このうち一つまたは二つ以上共存さ
せて構成することができる。この場合、該構成単位は、
ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であ
ってもよい。
【0021】PPS樹脂の分子は、直鎖・線状の分子量
5万以上の高分子であることが好ましいが、本発明では
必ずしもこれにはこだわらず、分岐鎖を有した高分子で
も、一部架橋構造を有した高分子であってもよい。ま
た、本発明のPPS樹脂の溶融粘度は、温度300℃、
剪断速度200sec-1の下で、好ましくは100〜5
0,000ポイズ、より好ましくは500〜12,00
0ポイズの範囲であることが製膜性の面から好ましい。
【0022】本発明のPPSフィルムには、耐電圧性の
点から無機粒子および/または有機粒子が含有されてい
ることが好ましく、その平均粒子径には特に限定はない
ものの0.1〜3μmが好ましく、さらには0.1〜2
μmの範囲である。また、粒子の添加量にも特に限定は
ないが、0.005〜3重量%が好ましく、さらには
0.01〜1重量%が好ましい。粒子としては、例えば
炭酸カルシウム、アルミナ、ヒドロキシアパタイト、シ
リカ、酸化チタン、架橋ポリスチレン、カーボンブラッ
クなどから選ぶことができる。粒度分布の相対標準偏差
は特に限定されないが、コンデンサーを形成した際の耐
電圧性の面から1.0以下であることが好ましく、さら
には0.5以下が好ましい。
【0023】また、本発明のPPSフィルムの平均表面
粗さ(Ra)は、金属蒸着およびコンデンサー加工適性
の点で30〜120nmの範囲が好ましく、コンデンサ
ー作成後の金属化フィルムにおいてもRaは上記の範囲
が好ましい。Raが上記範囲を越えた場合、コンデンサ
ー作成工程においてフィルム密着性が悪くなったり、面
形状の転写が生じる場合がある。また、Raが上記範囲
未満であると、巻き取り時等において、取り扱い性が悪
くなる場合がある。
【0024】本発明のPPSフィルムの230℃におけ
る熱収縮率は、フィルム長手方向では0〜10%、幅方
向では−2〜5%の範囲がコンデンサー素子の成形性、
コンデンサー特性の点から好ましい。さらに本発明のP
PSフィルムの厚みは、特に限定されないが3μm未満
であることがコンデンサーの容量を増大させる点から好
ましく、0.1〜2.5μmの範囲がより好ましい。
【0025】本発明のPPSフィルムの製造方法は、酸
素分圧が1000Pa未満の条件下で押出機にポリフェ
ニレンスルフィド樹脂を供給し、溶融押出することを特
徴とする方法である。酸素分圧が1000Paを越える
場合、PPS樹脂が酸素ガスと反応して硫化水素や二酸
化硫黄ガスを発生し易くなり、PPSフィルムをコンデ
ンサーに加工した際に自己回復性が不十分となる。本発
明では、PPS樹脂を押出機内へ供給する際のPPS樹
脂チップ周囲雰囲気の酸素分圧を1000Pa未満とし
ている。このような条件は、押出機のチップ供給ホッパ
ーに窒素ガスなどの不活性ガスを充満させる方法や、チ
ップ供給ホッパーを密閉系として真空にするなどの方法
がある。酸素分圧が1000Pa未満であれば、いずれ
の方法でもかまわない。酸素分圧は小さいほど好まし
く、500Pa未満がさらに好ましい。
【0026】本発明のコンデンサーは、上記PPSフィ
ルムの少なくとも片面に金属膜を形成して金属化フィル
ムとし、該金属化フィルム同士または両面金属化フィル
ムと非金属化フィルムを交互に巻回または積層して製作
されるものである。
【0027】金属膜の形成方法は、真空蒸着法やスパッ
タリング法などあり、蒸着させる金属種としては特に限
定はないが、蒸着加工性やコンデンサー特性の点からア
ルミニウムが好ましく用いられる。
【0028】また、本発明のコンデンサーは、コンデン
サーの形状、引き出し電極の作成方法、外装の有無など
には限定されることはなく、目的に応じて適宜選択する
ことができる。
【0029】さらに、金属蒸着層および/または金属蒸
着したPPSフィルム同士の接着性を高める目的で、コ
ロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理などの表面処
理を単独または複数組み合わせて処理してもよい。
【0030】次に、本発明のPPSフィルムおよびその
PPSフィルムを用いたコンデンサーの製法について説
明する。
【0031】ただし、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0032】本発明で用いられる線状のPPS樹脂とし
ては、公知の方法により製造したPPS樹脂を用いるこ
とができる。例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベ
ンゼンを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)など
のアミド系極性溶媒中で高温高圧化で反応させる。必要
によっては、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ま
せることもできる。重合度調整剤として、苛性カリやカ
ルボン酸アルカリ金属塩などを添加し、230〜280
℃で重合反応させる。重合後にポリマーを冷却し、ポリ
マーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリ
マーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜10
0℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30
〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末ポリマーを得
る。
【0033】この粉末ポリマーを、酸素分圧1000P
a以下、好ましくは500Pa以下でNMPにて洗浄
後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、500
Pa以下の減圧下で乾燥する。このようにして得られた
ポリマーは、実質的に線状のPPSポリマーであり、し
かも、このPPS樹脂の溶融結晶化温度Tmcは160
〜190℃の範囲にあるので、安定した延伸製膜が可能
になる。もちろん、必要に応じて、他の高分子化合物や
酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミ
ニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイ
カ、タルク、カオリンなどの無機、有機化合物や熱分解
防止剤、熱安定剤を添加しても良い。
【0034】粉末状PPS樹脂は、酸化防止剤やガスト
ラップ剤と所定の割合で混合した後、酸素の少ない状態
で溶融混練し、ガット状に溶融吐出した後、チップカッ
ターにてチップ形状にカッティングする。この場合に
も、酸素分圧を1000Pa未満としてチップを得るこ
とが好ましい。
【0035】このようにして得られたPPS樹脂(原
料)を、従来から知られている押出し機に供給して、酸
素分圧1000Pa未満条件下で溶融した後、原料中の
異物を除去するために、溶融樹脂を適宜フィルター、例
えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網等で
濾過しながら押し出しする。その後、ギアーポンプで計
量した後に口金から吐出させ、冷却されたドラム上に従
来から知られている密着手段である静電印加法、エアー
チャンバー法、エアーナイフ法あるいはプレスロール法
などで、ドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて急
冷し、未配向非晶質のフィルムを得る。
【0036】次いで、得られた未配向非晶質のフィルム
を、加熱されたロール上に接触させて90〜130℃に
昇温させ、長手方向に2.5〜4倍延伸し、いったん冷
却した後に、テンタークリップに該フィルムの端部を噛
ませて、幅方向に100〜160℃で2〜4倍延伸し、
続いて200〜280℃で0〜10%程度のリラックス
下で10〜100秒程度の熱処理をして、二軸配向PP
Sフィルムを得る。
【0037】もちろん、延伸方式は限定されず、逐次二
時延伸でなくても同時二軸延伸方式を用いることもで
き、このときのフィルム把持クリップの駆動方式には、
スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアモーター駆
動方式などを挙げることができるが、リニアモーター駆
動方式が延伸制御を行ないやすい点から好ましい。これ
らの製造方法は、特公昭63−12772号公報などに
記載されている。
【0038】このようにして得られたPPSフィルム
は、その表面に金属膜を形成して巻回または積層するこ
とによってコンデンサーを形成することができる。
【0039】金属膜の形成方法は、真空蒸着法やスパッ
タリング法等があるが、経済性から真空蒸着法が好まし
い。真空蒸着法では、真空中で冷却ロールに密着したP
PSフィルムに蒸発源から金属を蒸着させてPPSフィ
ルム上に金属を形成する。この蒸発源としては、抵抗加
熱方式のボート形式や輻射あるいは高周波加熱によるル
ツボ形式や電子ビーム加熱による方式などがあるが、特
に限定されない。
【0040】この蒸着に用いる金属としては、Al、Z
n、Mg、Snなどの金属が好ましいが、Ti、In、
Cr、Ni、Cu、Pb、Feなども使用することがで
きる。これらの金属は、その純度が99%以上、好まし
くは99.5%以上の粒状、ロッド状、タブレット状、
ワイヤー状あるいはルツボの形状に加工したものが好ま
しい。
【0041】また、この真空蒸着の場合は、特にアルミ
ニウムが生産性、コスト面から好ましく、少なくとも片
面にアルミニウムを蒸着して、アルミニウム金属層を設
けるが、このとき、アルミニウムと同時あるいは逐次
に、例えばニッケル、銅、金、銀、クロム、亜鉛などの
他の金属成分も蒸着することができる。
【0042】また、蒸着加工性とコンデンサ特性の点で
アルミニウムが特に好ましい。金属化に際しては、あら
かじめ金属化する側のフィルム表面にコロナ放電処理、
プラズマ処理などによって金属薄膜とフィルムとの密着
力を向上させることもできる。さらに金属化に際して、
あるいは金属化後に対向電極が短絡しないようにテープ
マスク、オイルマージン、あるいはレーザー等により非
金属化部分(いわゆるマージン)を設けるのが常法であ
るが、全面に蒸着した後に放電、レーザーによって非金
属化帯を設けることもできる。その後、一方の端にマー
ジン部分がくるように細幅のテープ状にスリットするこ
ともある。
【0043】巻回型コンデンサーを得る場合は、金属化
フィルムを一方の端にマージン部分がくるように細幅の
テープ状にスリットした後、マージン位置が逆側になる
ように2枚を重ねて、あるいは両面金属化フィルムと非
金属化フィルムを重ねて個々の素子を個別に巻いていく
のが常法である。このようにして得られたコンデンサー
素子はプレス成形するのが一般的であり、100℃以上
フィルム融点以下の温度に加熱プレスすることもでき
る。その後、外部電極の取り付け工程(金属溶射、導電
性樹脂等による)、必要に応じて樹脂または油含浸工
程、リードつきタイプのコンデンサーとするときは、リ
ード線の取付け工程、外装工程を経てコンデンサーを得
ることができる。
【0044】積層型コンデンサーの場合は、大径のドラ
ム、あるいは平板に巻回型同様に重ね合わせて巻回し、
この状態で熱処理、あるいはリング等で締め付ける、あ
るいは平行平板でプレスするなどフィルム厚さ方向に圧
力を加えて成型して母素子を得る。その後、母素子に金
属溶射、導電性樹脂などによる外部電極の取り付け工
程、個々の素子の切り出し工程、必要であれば樹脂また
は油含浸工程を経てコンデンサーを得ることができる。 [物性の測定法]次に、本発明で使用した測定法につい
て以下に述べる。 1.PPS樹脂の重量減量率:島津製作所製熱分析装置
TGA50を用いた。PPS樹脂を100mg秤量し、
空気雰囲気下で室温から300℃まで10℃/分の昇温
速度で加熱し、250℃での重量減量率を測定した。 2.ガス発生量:PPS樹脂を10g秤量し、これをガ
ラス容器中で300℃まで室温から20℃/分で加熱す
る。加熱終了後、空気を15ml/分の流量でガラス容
器に通気し、ガスクロマトグラフ装置を用いて硫化水素
ガスおよび二酸化硫黄ガス発生量を測定した。ガス発生
量は、ポリマー1モルに対して発生したガスのモル数で
示した。 3.自己回復性試験:PPS二軸延伸フィルムの片面に
50nmの厚さでアルミニウムを蒸着し、2枚の蒸着フ
ィルムをガラス板に挟んで平行平板コンデンサーを形成
する。このとき、容量を発生する有効面積は100cm
2 とする。このコンデンサーに上から0.5kg/cm
2 の荷重をかけながら電極間にフィルム厚みに対応して
100V/μmの割合で電圧を印加する。試料数をいく
つかとり、3点の絶縁破壊を発生させ、自己回復性(絶
縁破壊点の周りの蒸着膜が飛散して絶縁性が保たれる現
象)の状況を評価する。判定基準は次のとおりとし、×
を不合格とした。
【0045】◎:3点とも十分に自己回復し、良好な絶
縁性が保たれた。
【0046】○:2点は十分に自己回復し、絶縁性が保
たれたが、1点は絶縁不良であるかショートした。
【0047】△:1点は十分に自己回復し、絶縁性が保
たれたが、2点は絶縁不良であるかショートした。
【0048】×:3点とも絶縁不良であるかショートし
た。
【0049】
【実施例】実施例1 重合直後のポリ−パラ−フェニレンスルフィド(PP
S)樹脂粉末を90℃の熱水にて1時間洗浄し、熱風に
て十分乾燥させた後、PPS樹脂99.5重量部、炭酸
リチウム0.5重量部、平均粒子径が0.5μmである
シリカ粒子を0.2重量部を混合し、2軸押出機によっ
て溶融混練を行った。このとき、PPS樹脂・炭酸リチ
ウム・シリカ混合物を窒素ガスシールしたホッパーから
空気(酸素)を遮断した状態で2軸押出機に供給し、さ
らに押出機に設けたベント口から真空ポンプによって脱
気しながら320℃の温度で混練した。このときのホッ
パー内酸素分圧は、酸素濃度計より100Pa程度であ
った。
【0050】混練された樹脂はガット状に溶融押出し、
水槽で冷却した後、チップカッターにてチップ形状とし
た。
【0051】このようにして得たPPSチップは、真空
乾燥機を用いて130Pa未満の圧力下、180℃で5
時間真空乾燥した。
【0052】乾燥が終了したPPSチップは、押出機ホ
ッパー内を130Paの減圧状態とし、シリンダー径9
0mmの一軸押出機に供給し、310℃で溶融させた
後、10μ以上の異物をカットする濾過箱を通過させ
て、リップ幅1000mm、リップ間隙1.0mmのT
ダイ口金からフィルム状に押出した。このようにして押
出された溶融フィルムは、表面温度55℃のキャスティ
ングドラム(直径800mm)上で密着冷却固化させ
た。このようにして得られたキャストフィルムは、非
晶、無配向のフィルムであった。得られたフィルムを、
加熱ロール群からなる長手方向延伸機に供給し、フィル
ム温度100℃で3.6倍延伸し、続いてテンターを用
いて幅方向に100℃で3.5倍延伸し、さらに270
℃で15秒間熱処理をしてテンタ幅方向に3%リラック
スして、端部エッジカットした後に厚さ2μmの二軸配
向フィルムを得た。
【0053】得られたフィルムの空気雰囲気下における
250℃での重量減量率は0.1%であり、さらに大気
圧・空気雰囲気下における300℃での硫化水素および
二酸化硫黄ガスの発生量は0.5×10-4mol/mo
lポリマーであった。
【0054】上記フィルムの片面にアルミニウムを50
nmの厚さで蒸着し、該フィルムを2枚重ね合わせてガ
ラス板で挟み込み、平行平板コンデンサーを形成した。
該コンデンサーに電圧を印加し、自己回復性の評価を行
ったところ、結果は◎であった。結果を表1に示す。 比較例1 炭酸リチウムを添加しない以外は実施例1と同様にして
PPSフィルムを製膜した。250℃における重量減量
率は0.25%であり、300℃における硫化水素およ
び二酸化硫黄の発生量は5×10-4mol/molポリ
マーであった。
【0055】該フィルムを用いて実施例1と同様に平行
平板コンデンサーをを形成し、自己回復性の評価を行っ
たところ、結果は×であった。結果を表1に示す。 実施例2〜3 炭酸リチウムに代わり、各種添加剤をPPS樹脂に添加
し、これ以外は実施例1と同様の条件でPPSフィルム
の製膜、平行平板コンデンサーの作成を行い、自己回復
性の評価を行った。結果を表1に示す。 比較例2 製膜溶融押出時のチップ供給ホッパーを大気圧の空気雰
囲気下とする以外は実施例1と同様にしてPPSフィル
ムを製膜し、平行平板コンデンサーを形成して自己回復
性の評価を行ったところ、結果は×であった。チップ供
給ホッパー内の酸素分圧は20000Paであった。結
果を表1に示す。
【0056】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/18 H01G 4/24 321C Fターム(参考) 4F071 AA62 AC11 AC15 AE05 AF47Y BA01 BB06 BC01 4J002 BB232 CN011 DE227 DE237 EJ016 EJ036 EJ046 EW066 5E082 AB03 AB04 BC09 EE07 FG06 FG34 PP03 PP06 PP07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大気圧・空気雰囲気下300℃での硫化水
    素および二酸化硫黄ガスの発生量が2×10-4mol/
    molポリマー未満であることを特徴とするポリフェニ
    レンスルフィドフィルム。
  2. 【請求項2】空気雰囲気下250℃における重量減量率
    が0.3%未満であることを特徴とする請求項1に記載
    のポリフェニレンスルフィドフィルム。
  3. 【請求項3】モノフェノール系、ビスフェノール系、高
    分子型フェノール系、燐系から少なくとも選択される酸
    化防止剤を0.01〜5%含有することを特徴とする請
    求項1または2のいずれかに記載のポリフェニレンスル
    フィドフィルム。
  4. 【請求項4】アルカリ金属および/またはアルカリ土類
    金属の炭酸塩化合物を0.01〜5%含有することを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレ
    ンスルフィドフィルム。
  5. 【請求項5】アイオノマー樹脂を0.01〜5%含有す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポ
    リフェニレンスルフィドフィルム。
  6. 【請求項6】酸素分圧が1000Pa未満の条件下で押
    出機にポリフェニレンスルフィド樹脂を供給し、溶融押
    出することを特徴とするポリフェニレンスルフィドフィ
    ルムの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載のポリフェ
    ニレンスルフィドフィルムの少なくとも片表面に金属膜
    を形成してなる金属化ポリフェニレンスルフィドフィル
    ムを巻回または積層してなるコンデンサー。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006080251A1 (ja) * 2005-01-27 2006-08-03 The Kansai Electric Power Co., Inc. 高耐熱電力用静止機器
JP2011116010A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Mitsubishi Plastics Inc ポリフェニレンスルフィド系熱収縮性チューブ、および、該チューブで被覆された部材
CN105517797A (zh) * 2013-08-30 2016-04-20 Dic株式会社 多层成形体和使用了其的燃料用部件

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CN105517797B (zh) * 2013-08-30 2018-04-03 Dic株式会社 多层成形体和使用了其的燃料用部件

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