JP2003082064A - 封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉛フリー錫合金ハンダを利用するバンプ電極
等の酸化皮膜を除去するフラックス処理と同等の機能を
も付与され、アンダーフィル(封止充填剤)としても所
望の樹脂特性を有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物の提供。 【解決手段】 フリップチップ実装の封止充填工程に用
いられる液状エポキシ樹脂組成物として、必須成分とし
て、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)硬化剤
として酸無水物、付加的成分として、(C)プロトン供
与能を有するフラックス活性増強成分となる、炭素数9
〜15のジカルボン酸を、酸無水物1モル当たり、5×
10-2〜5×10-1モルの範囲で添加してなる液状エポ
キシ樹脂組成物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フリップチップ実
装における封止充填の際に利用される、封止充填剤用液
状エポキシ樹脂組成物と、それを用いた封止充填方法に
関する。より具体的には、加熱して、封止充填剤の熱硬
化を行う際、バンプ電極材料として、融点が200℃以
上の鉛フリー錫合金ハンダ材料を用いているフリップチ
ップ実装に利用されるバンプの熔融をも行い、電極とバ
ンプとの間をハンダ付け固着・接合する工程において、
鉛フリー錫合金ハンダ製のバンプをも覆う封止充填剤に
好適な液状エポキシ樹脂組成物、特には、バンプを形成
するハンダ材にスズ−銀系合金ハンダを使用した際に
も、その低い溶融温度においても、十分なフラックス活
性が達成できる封止充填剤として、より好適に利用され
る液状エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器の軽量化、小型化ならびに薄型
化を進めるに際し、プリント配線基板上に半導体チップ
部品を実装する方法として、フリップチップ実装方式の
採用が進められている。このフリップチップ実装方式で
は、チップ部品の実装面(裏面)にチップ部品用電極を
形成し、これをプリント配線基板上に形成されている基
板用電極の所定の領域(実装領域)に対向させて配置
し、両電極間に所望の導通を達成するためにバンプ電極
が用いられる。例えば、チップ部品の実装面(裏面)に
形成されるチップ部品用電極に、予め球形状のハンダで
作製されるバンプ電極を設け、このバンプ電極を基板用
電極の所定の領域(実装領域)に接触させる。その配置
において、ハンダを熔融させると、基板用電極と接触さ
せた所望の位置にハンダ付け固着・接合がなされる。こ
れによりバンプ電極を介して、チップ部品とプリント配
線基板の両電極間に所望の導通が達成される。あるい
は、逆にバンプ電極をプリント配線基板の電極上に設け
る手法を用いることもある。
【0003】このフリップチップ実装方式では、チップ
部品とプリント配線基板の両電極間を接続するバンプ電
極のみによって、チップ部品は固着されることになる。
小型化や薄型化を目的とする実装方法であるため、この
バンプ電極は、可能な限り小さくされる。チップ部品と
プリント配線基板は、その熱膨張係数が異なっており、
動作時の温度変化に伴い、相対的にプリント配線基板の
熱膨張あるいは熱収縮が生じた際、バンプ電極には、そ
の熱変位を吸収・緩和する遊び・撓みが存在しない。温
度変化(熱サイクル)が繰り返されると、前記の熱変位
に由来する応力歪みが反復された結果、バンプ電極と電
極間の接合箇所(ハンダ付け箇所)における剥離を引き
起こすこともある。
【0004】この熱サイクル劣化を抑制するため、チッ
プ部品とプリント配線基板との間隙に相互を接着・固定
して、相対的な熱変位を低減する役割を有する樹脂によ
る充填・封止が行われる。この封止充填剤は、アンダー
フィルと呼ばれるが、その使用目的からして、チップ部
品とプリント配線基板と間隙を密に充填し、ボイドと称
される未充填の残り(空隙)を生じないように充填され
る。さらには、バンプ電極の周囲をも密に被覆するよう
に充填・封止が行われる。
【0005】従来は、バンプ電極と電極間の接合(ハン
ダ付け)を先に行い、その後、チップ部品とプリント配
線基板との間隙に、液状エポキシ樹脂組成物を注入、染
み込ませる手法が利用されていた。この手法では、高集
積化に伴いチップ部品自体が大型化し、また、プリント
配線基板の基板電極と結線すべき電極数(端子数)が多
くなり、バンプ電極相互の間隔、チップ部品とプリント
配線基板との間隙が更に狭まると、ボイドの発生頻度が
増す懸念がある。また、液状エポキシ樹脂組成物の注入
工程は、作業効率を更に上げる際の障害ともなってい
る。
【0006】これらの課題を回避する手法として、予
め、プリント配線基板上の所定領域に合わせて、液状エ
ポキシ樹脂組成物の層をスクリーン印刷等の手段で形成
しておき、プリント配線基板上にチップ部品を配置し、
バンプ電極と電極間の接触を行う際、チップ部品の実装
面(裏面)で液状エポキシ樹脂組成物の層を押し伸ばす
手法が提案されている(特開平11−354555号公
報など)。前記のチップ部品を圧接する工程で、バンプ
電極と電極間の接触とともに、チップ部品とプリント配
線基板の間に隙間なく液状エポキシ樹脂組成物の充填が
行われる。次いで、バンプ電極と電極間の接合(ハンダ
付け)を行うべく、リフロー炉内においてハンダ製のバ
ンプを熔融するため加熱を行う。この加熱処理の際、充
填されている液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化も行わ
れ、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とア
ンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着が同時に達成さ
れる。予めアンダーフィル(封止充填剤)を再現性・作
業性の高いスクリーン印刷等の手段で作製でき、また、
加熱工程を一体化できるため、作業効率は大幅に向上す
る方法である。
【0007】前記のバンプ電極と電極間の接合形成(ハ
ンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着
を同一の工程で行う方法は、作業性の点では優れた方法
であり、特に、高集積化に伴うチップ部品自体の大型
化、電極数(端子数)の増加にも容易に対応できるとい
う大きな利点を持っている。一方、バンプ電極と電極間
の接合形成(ハンダ付け)の際、バンプ(球状ハンダ)
の表面あるいは回路の電極面上に酸化皮膜が残っている
と、バンプ(球状ハンダ)自体の熔融が均一とならな
い、あるいは、回路の電極面とハンダとの濡れが不良と
なるといった不具合が少なからず生ずる。このハンダ付
け不良の問題は、フラックス処理を施すことで、一掃さ
れる。
【0008】しかしながら、前記の加熱処理を1工程で
行う方法では、バンプ(球状ハンダ)自体をも覆うよう
に、アンダーフィルの充填がなされるため、前もってフ
ラックス処理を施しておく必要があった。それでもな
お、フラックス処理後に形成される酸化皮膜の影響は残
り、処理後の時間経過とともに、その影響は増すもので
あった。そのため、予めフラックス処理を施しても、な
お、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導
通不良の発生が少なからず見出されている。
【0009】加えて、従来より、前記のバンプ(球状ハ
ンダ)の作製には、Pb−Sn共晶合金ハンダ材が広く
利用されてきたが、このPb−Sn共晶合金に代えて、
鉛を含まない錫合金、所謂、鉛フリーハンダを利用する
バンプ(球状ハンダ)の利用も検討されている。この鉛
フリーハンダ製のバンプ(球状ハンダ)表面の酸化皮膜
の除去を行って、バンプ電極と電極間の接合形成(ハン
ダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を
同時に実施する上では、この鉛フリーハンダの比較的に
高い熔融温度においても、十分なフラックス活性が発揮
され、また、そのリフロー温度を高くし、その高い温度
条件において、適度な熱硬化が進行するアンダーフィル
(封止充填剤)が必要となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記のアンダーフィル
充填をチップ部品のプリント配線基板上へ配置・圧接と
合わせて一工程内で行う方法においても、この工程の直
前にフラックス処理を施すならば、上記する酸化皮膜の
影響は概ね排除できるが、このような工程の時間的な自
由度を制限する手段に代わり、アンダーフィル充填に利
用する熱硬化型樹脂組成物中に、フラックス活性を有す
る成分を加え、酸化皮膜の影響を十分に排除し、工程の
時間的な自由度を制限することのない新たな手段が望ま
れる。
【0011】加えて、従来から利用されているPb−S
n合金ハンダに代えて、廃棄した際、含まれる鉛による
環境汚染を回避する目的で、鉛を含まない錫合金ハン
ダ、所謂、鉛フリーハンダの利用が進められている。こ
の鉛フリーハンダを利用したバンプ電極を採用する際に
は、Pb−Sn合金ハンダと比較して、鉛フリーハンダ
の融点が高い分、そのリフロー温度をより高く選択せざ
るを得ない。そのリフロー温度(熱硬化温度)条件にお
いても、ハンダ表面の酸化皮膜が速やかに除去できる高
いフラックス活性を有し、また、適度な速度で熱硬化が
進行するアンダーフィル(封止充填剤)である必要があ
る。
【0012】封止充填剤の樹脂主成分の熱硬化性エポキ
シ樹脂に対して、その硬化剤として酸無水物を用いる
と、この酸無水物自体、錫合金ハンダ表面の酸化皮膜、
具体的には、より卑な金属成分である錫の表面酸化膜と
高い温度では反応し、フラックス成分として機能するこ
とを、発明者らは先に見出し、その酸無水物のフラック
ス作用と硬化剤としての機能を共に利用する封止充填剤
用液状エポキシ樹脂組成物の発明を、特願2000−7
2184号として特許出願した。
【0013】かかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成
物では、熱硬化性エポキシ樹脂1当量に対して、その硬
化剤として酸無水物を1当量よりも高い比率で含有さ
せ、酸無水物のフラックス作用を発揮させている。酸無
水物のフラックス作用、具体的には、錫の酸化物と酸無
水物との反応速度は、温度の上昇とともに増すものの、
鉛フリーハンダの比較的に高い熔融温度に適合する、高
いリフロー温度(熱硬化温度)では、所望のフラックス
活性を達成するには、エポキシ樹脂組成物中に含有させ
る酸無水物の含有比率を大幅に高めることが必要となっ
ていた。
【0014】なお、この錫の酸化物と酸無水物との反応
により少量の酸無水物が消費され、若干の濃度低下は生
じるものの、依然として、高い含有比率に留まることに
なる。幸いにも、ハンダ材表面に存在する酸化皮膜量が
僅かであった場合には、酸無水物の消費量も僅かなもの
となり、酸無水物の含有比率は、当初の高い含有比率の
ままとなる。
【0015】一方、同時に進行する熱硬化性エポキシ樹
脂の熱硬化反応は、硬化剤となる酸無水物の含有比率が
高いと、酸無水物によるエポキシ環の開環反応の誘起が
より高い頻度で開始することになる。その結果として、
フラックス処理速度に比べて、相対的に熱硬化がより急
速に進行すると、前記錫の酸化物と酸無水物との反応が
終了しない間に、硬化反応によるエポキシ樹脂組成物の
粘度上昇、流動性の低下が起こる。すなわち、目的とす
る、フラックス処理が十分に施されない間に、熱硬化性
エポキシ樹脂の熱硬化が進行するため、場合によって
は、導通不良を生じる事態に至ることもある。加えて、
最終的な封止充填する硬化物の樹脂強度、接着強度は、
熱硬化性エポキシ樹脂とその硬化剤である酸無水物との
比率に依存し、熱硬化温度によって、より好適な比率が
定まるが、酸無水物の含有比率がより高くなるにつれ、
得られる硬化物の樹脂特性は、所望とする最適な特性と
次第に離れたものとなる。一方、熱硬化反応が速やかに
進行すると、残余している酸無水物の濃度は急速に低下
するため、フラックス活性もそれに伴い低下し、目的と
するフラックス活性の維持が困難となる場合も増してく
る。
【0016】実際には、熱硬化温度(リフロー温度)を
比較的に高く選択する際には、熱硬化性エポキシ樹脂と
酸無水物との開環重合反応を促進する作用を有する硬化
促進剤の添加量を抑えて、硬化速度が過度に速くなるこ
との回避を図るものの、熱硬化性エポキシ樹脂に対し
て、その硬化剤となる酸無水物の含有比率を当量比より
高くするにつれ、未反応のまま残留する酸無水物の比率
が増すことになる。その際、この残余する酸無水物の量
が過度になると、封止充填剤としての機能、例えば、高
湿・高温条件における耐久性の維持などの観点では、必
ずしも好ましいものではない。
【0017】従って、フラックス処理において、酸無水
物を利用するものの、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物中に含有させる酸無水物の含有比率を不要に高くす
ることなく、所望のフラックス処理を達成でき、また、
適正な硬化特性をも得られる液状エポキシ樹脂組成物の
開発が、新たな開発の目標となってくる。より具体的に
は、鉛フリーハンダを利用したバンプ電極を採用するこ
とに伴い、熱硬化温度(リフロー温度)を比較的に高く
選択する場合でも、熱硬化速度とフラックス処理速度の
間において均衡を保つとともに、さらに、鉛フリーハン
ダの熔融がなされる温度に達した後も、必要とするフラ
ックス活性を維持することが必要となる。
【0018】加えて、封止充填を施して得られるエポキ
シ樹脂硬化物は、チップ部品とプリント配線基板との隙
間を埋め、例えば、周囲温度が変化を繰り返した際に
も、その封止特性を維持できることが必要であり、より
具体的には、冷熱サイクル試験により、加速的に温度変
化による封止特性の劣化を図った際にも、樹脂自体に熱
的歪応力によるクラックの発生が抑制され、剥離など封
止特性上の不良の発生も抑制できることも望まれてい
る。
【0019】本発明は前記の課題を解決するものであ
り、本発明の目的は、熱硬化性エポキシ樹脂とその硬化
剤として酸無水物を利用する液状エポキシ樹脂組成物に
おいて、前記酸無水物の有するフラックス活性に加え
て、フラックス活性増強成分を付加的成分として添加す
ることで、酸無水物の含有比率を過度に高くしなくと
も、所望のフラックス処理を達成でき、また、適正な硬
化特性をも得られる新規な組成の封止充填剤用液状エポ
キシ樹脂組成物、ならびにかかる封止充填剤用液状エポ
キシ樹脂組成物を利用する封止充填方法を提供すること
にある。より具体的には、本発明の目的は、例えば、リ
フロー温度・熱硬化温度を、所謂鉛フリー錫合金ハンダ
の熔融温度に適合する、相対的に高い温度に選択して、
バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダ
ーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の加熱工程で
行った際、熱硬化性エポキシ樹脂に対して、その硬化剤
となる酸無水物の含有比率は、良好な硬化特性により適
する範囲に留めつつ、一方、ハンダとの濡れ不良に起因
するハンダ付け不良、導通不良の発生を有効に防止でき
る、優れたフラックス活性を発揮するため、フラックス
活性増強成分を付加的成分として添加してなる新規な組
成の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を提供するこ
とにある。
【0020】さらに、本発明は、最終的な目的として、
ハンダ材として、鉛を含まない錫合金ハンダを利用する
際、その鉛フリー錫合金ハンダの種類、そのリフロー温
度(熱硬化温度)に依存することなく、前記するフラッ
クス処理効果をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂
組成物を用いることで、ハンダとの濡れ不良に起因する
ハンダ付け不良、導通不良の発生を防止できるフリップ
チップ実装における封止充填方法、例えば、ハンダ材と
して、Sn−Ag系合金ハンダを利用する際にも、有効
な封止充填方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、その熱硬化を行う温度を、鉛フリー錫
合金ハンダが示す200℃以上、高くとも、230℃を
超えない範囲の熔融温度に応じて、比較的に高い温度に
選択した際にも、適度な熱硬化特性を維持するととも
に、その熱硬化処理を進める間に、目的とするフラック
ス処理効果をも発揮できる封止充填剤用液状エポキシ樹
脂組成物とするためには、特に、熱硬化性エポキシ樹脂
に対して、その硬化剤となる酸無水物の含有比率を当量
比あるいは、当量比より若干低い比率に留めた際にも、
酸無水物自体が主に関与するフラックス活性を、所望の
フラックス活性まで増強を図るフラックス活性増強成分
として、いかなる成分を付加的成分として含む組成物と
すべきか、鋭意検討・研究を進めた。
【0022】前記のフラックス作用を必要としないなら
ば、例えば、熱硬化温度を250℃程度とする際にも、
通常、アンダーフィル(封止充填剤)の用途で推奨され
る液状エポキシ樹脂と硬化剤の酸無水物との混合比率
は、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、例えば、酸無
水物を1当量未満の若干等量より少ない量、好ましくは
0.8当量程度に選択される。その点を考慮すると、フ
ラックス作用をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂
組成物において、酸無水物自体は、フラックス活性に主
に関与させる上では、その過程で消費される酸無水物に
相当する量を余剰に含む必要はあるものの、液状エポキ
シ樹脂と硬化剤の混合比率は、液状エポキシ樹脂の1当
量に対して、前記の0.8当量よりは有意に高いもの
の、1当量を極僅かに超える、できれば、1当量以下、
0.9当量以上の範囲に選択し、この比較的に低い含有
比率において、所望のフラックス活性を達成できるフラ
ックス活性増強成分を選択することが望ましいとの結論
を得た。
【0023】また、付加的に添加するフラックス活性増
強成分は、液状エポキシ樹脂組成物中に添加した際、そ
の熱硬化特性、ならびに得られる硬化物の特性に対して
は、本質的に影響を持たない成分であることが望まし
い。少なくとも、酸無水物自体が主に関与するフラック
ス処理の活性増強を図るものの、エポキシ樹脂の硬化剤
である酸無水物との反応を過度に促進する、あるいは、
逆に阻害することがないものであることが望ましい。更
には、フラックス処理、熱硬化処理が終了した時点で、
このフラックス活性増強成分が残留していたとしても、
得られるエポキシ樹脂硬化物の特性、例えば、絶縁特性
などに実質的な影響を有さないものである必要もある。
【0024】これらの制約条件の下、液状エポキシ樹脂
組成物中に含有した際、その熱硬化性、接着性、硬化後
の樹脂強度を所望の範囲に維持でき、しかも、バンプ電
極と電極などの表面酸化皮膜に対して、一般のフラック
ス処理と同等の効果を発揮でき、しかも添加濃度を少量
としても、酸無水物の示すフラックス活性の増強が可能
な成分を探索した。その結果、フラックス活性増強に
は、プロトン供与能を有する成分が適しており、なお、
液状エポキシ樹脂組成物全体に均一に分布させることが
できる、つまり、液状エポキシ樹脂への混合性(溶解性
・分散性)に優れたものである、ジカルボン酸が、これ
らの要件を満たすものの一つであることを見出した。
【0025】すなわち、ジカルボン酸、例えば、鎖状の
ジカルボン酸は、それを構成する骨格の炭化水素鎖部の
親油性に因り、液状エポキシ樹脂との相溶性を有するの
で、室温付近でも、液状エポキシ樹脂への十分な混合性
(溶解性・分散性)を示し、また、フラックス処理がな
される温度に達した際には、十分なプロトン供与能を発
揮する。従って、ジカルボン酸は、ハンダ材表面の錫の
酸化物に対して、その酸素にプロトンを一旦供与して、
酸無水物との反応を促進するが、酸無水物に由来するジ
カルボン酸型の配位子からなる錯体形成、あるいは、酸
無水物に由来するジカルボン酸の金属塩へと変換がなさ
れた時点で、再び、プロトンが復して、元のジカルボン
酸となる。この触媒的なフラックス活性増強作用のた
め、通常のフラックス剤のように、それ自体が消費され
るものでないため、添加量は少量とできる。
【0026】一方、フラックス処理が終了すると、その
間に徐々に進行している熱硬化反応により生成するエポ
キシ樹脂と酸無水物の重合物における終端、具体的に
は、酸無水物に由来するカルボキシ・アニオン種、なら
びに、エポキシ環の開環で生成しているカルボカチオン
種に、ジカルボン酸に由来するプロトンとカルボキシ・
アニオン種とがそれぞれ結合し、その終端に利用され
る。なお、ジカルボン酸からのプロトン遊離は、平衡反
応であり、プロトン遊離をせずジカルボン酸の形状のも
のが相当割合で存在するものの、硬化物中に均一に分布
しており、何らかの不具合の要因ともなる、ジカルボン
酸の凝集体を形成することも少ない。勿論、ジカルボン
酸自体は、エポキシ樹脂の熱硬化物と比較すると、水に
対する溶解度は高いものの、最終的には熱硬化重合物の
終端にその大部分が消費され、若干残留するジカルボン
酸も、硬化物中に均一に分散される結果、残留するカル
ボキシ基は、イオン電導性を示すものとして機能せず、
硬化物自体の絶縁性に本質的な影響をも与えない。本発
明者らは、上記の一連の知見に基づき、液状エポキシ樹
脂と硬化剤の酸無水物に加えて、ジカルボン酸を少量添
加した液状エポキシ樹脂組成物を調製し、比較的に高い
熱硬化温度で封止充填を実施し、目的とするフラックス
処理と同等の効果が有効に達成され、同時に、熱硬化反
応自体には実質的な影響がなく、また、得られる熱硬化
物の樹脂強度なども、遜色のないものとなることを確認
し、本発明を完成するに至った。
【0027】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物は、熱硬化性エポキシ樹脂、硬化剤の酸無水物を必
須成分とする液状エポキシ樹脂組成物に、前記酸無水物
の有するフラックス活性を増強するため、プロトン供与
能を有するフラックス活性増強成分を少量(触媒量)、
付加的成分として添加するものであり、すなわち、本発
明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、バンプ電
極材料として、融点が200℃以上、高くとも、230
℃を超えない範囲の鉛フリー錫合金ハンダ材料を用いて
いるフリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液
状エポキシ樹脂組成物であって、前記液状エポキシ樹脂
組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポ
キシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する
硬化剤として酸無水物、さらに、付加的成分として、
(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分
を含んでなり、前記(C)フラックス活性増強成分が、
炭素数9〜15のジカルボン酸であり、前記(B)硬化
剤の酸無水物1モル当たり、前記(C)フラックス活性
増強成分のジカルボン酸の含有量が、5×10-2〜5×
10-1モルの範囲に選択されていることを特徴とする封
止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物である。
【0028】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物では、(B)硬化剤の酸無水物に加えて、副次的な
添加成分として、前記酸無水物によるエポキシ環の開環
反応を促進する硬化促進剤をも含む封止充填剤用液状エ
ポキシ樹脂組成物とすることが好ましい。加えて、その
他の副次的な添加成分として、応力緩和剤、レベリング
剤、カップリング剤、酸化防止剤、チキソ剤から選択す
る1種以上の添加成分をも含むこともできる一方、本発
明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(A)
の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有
するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリ
シジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カル
ボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂か
らなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬
化性エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0029】さらに、本発明の封止充填剤用液状エポキ
シ樹脂組成物では、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1
当量に対して、(B)硬化剤の酸無水物を0.9〜1.
1当量含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ
樹脂組成物とすることが望ましい。さらに、前記硬化促
進剤の含有量を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100
質量部当たり、0.1〜1.2質量部の範囲に選択する
ことが好ましい。
【0030】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物では、前記ジカルボン酸は、ω,ω’−直鎖炭化水
素ジカルボン酸であり、その炭素数は、C10〜C13
の範囲に選択されていることがより好ましい。その際、
前記(B)硬化剤の酸無水物1モル当たり、かかるC1
0〜C13のω,ω’−直鎖炭化水素ジカルボン酸の含
有量が、5×10-2〜3×10-1モルの範囲に選択され
ていることが望ましい。
【0031】なお、本発明の封止充填剤用液状エポキシ
樹脂組成物では、(B)硬化剤の酸無水物として、飽和
な環状炭化水素ジカルボン酸由来の分子内酸無水物を用
いることが、得られるエポキシ樹脂硬化物の示す柔軟
性、あるいは、靭性の強化の目的では好ましい。さらに
は、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂として、熱可塑性樹
脂成分の少量添加、微粒子状の熱可塑性樹脂の分散、熱
可塑性樹脂分子の付加修飾による変性のいずれかの処理
により、かかる熱可塑性樹脂に由来する強靭性が付与さ
れた熱硬化性エポキシ樹脂成分を、少なくとも部分的に
含む組成とすることが、得られるエポキシ樹脂硬化物の
示す柔軟性、あるいは、靭性の強化の目的では好まし
い。
【0032】以上に述べた、本発明の封止充填剤用液状
エポキシ樹脂組成物では、副次的な添加成分として含有
される、前記硬化促進剤として、イミダゾール類を含有
することを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物とすることが望ましい。
【0033】加えて、本発明は、上記する構成を有する
本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の有効な
利用法として、封止充填の方法の発明をも提供し、すな
わち、本発明の封止充填の方法は、フリップチップ実装
における封止充填の方法であって、(1)基板用電極を
有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチ
ップ部品とを融点が200℃以上、高くとも、230℃
を超えない範囲の鉛フリー錫合金ハンダ材料製のバンプ
電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリ
ント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置
後、前記バンプ電極と電極間の接触を図る工程、(2)
前記バンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはそ
の工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定
の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接
触を図ったバンプ電極と電極とを被覆するように、上記
のいずれかの構成を有する封止充填剤用液状エポキシ樹
脂組成物を満たす充填工程、(3)次いで加熱して、前
記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組
成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとと
もに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハン
ダ製のバンプを熔融させる工程、所定時間の加熱後、冷
却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電
極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化
したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、上記
(1)〜(3)の一連の工程を有する、封止充填剤とし
て上記のいずれかの構成を有する封止充填剤用液状エポ
キシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方
法である。特に、本発明の封止充填の方法は、前記のハ
ンダ材料は、Sn−Ag系合金であることを特徴とする
封止充填の方法として実施すると好ましいものとなる。
【0034】さらには、本発明は、かかる本発明の封止
充填剤用液状エポキシ樹脂組成物、ならびに、それを利
用する封止充填の方法の発明が最終目的とする、封止充
填された電子部品の発明をも当然に提供し、すなわち、
本発明にかかる電子部品は、プリント配線基板上に、チ
ップ部品を融点が200℃以上、高くとも、230℃を
超えない範囲の鉛フリー錫合金ハンダ材料を利用して、
フリップチップ実装し、その間に封止充填がなされてな
る実装組み立て済み電子部品であって、前記プリント配
線基板は、基板用電極を有するプリント配線基板であ
り、前記チップ部品は、チップ部品用電極を有するチッ
プ部品であり、そのフリップチップ実装において、両電
極間の相互導通は、前記鉛フリー錫合金ハンダ材料製の
バンプ電極を用いてなされており、前記鉛フリー錫合金
ハンダ材料を利用するフリップチップ実装と封止充填と
が、前記本発明にかかる封止充填の方法でなされている
ことを特徴とする電子部品である。その際、通常、本発
明にかかる電子部品は、プリント配線基板上にフリップ
チップ実装、封止充填される前記チップ部品の少なくと
も一つは、半導体素子チップであることを特徴とする電
子部品とする。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の封止充填剤用液状エポキ
シ樹脂組成物は、バンプ電極の材料として、鉛を含まな
い錫合金ハンダ、所謂、鉛フリーハンダ、例えば、Sn
−Ag系合金ハンダなどを利用している半導体素子の組
み立てを行う際、その熱硬化を行う温度を、鉛フリー錫
合金ハンダの熔融温度よりも高い温度に選択し、上述す
るバンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアン
ダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の工程で行
う方法において、その本来の効果を発揮するものであ
る。
【0036】熱硬化性エポキシ樹脂に対し、その熱硬化
を誘起する手段として、特に、酸無水物を硬化剤として
用いることで、この酸無水物の金属酸化物に対する反応
を主なフラックス活性としても利用している。加えて、
前記酸無水物のフラックス活性の増強を図る目的で、付
加的成分として、プロトン供与能を有するフラックス活
性増強成分を添加して、錫合金ハンダ表面の酸化皮膜、
具体的には、錫の酸化物に対する酸無水物の反応を触媒
的な促進を図っている。具体的には、プロトン供与能を
有するフラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹
脂中に溶解可能なジカルボン酸を利用している。熱硬化
(リフロー)のため加熱する際、熱的に前記ジカルボン
酸のカルボキシ基から、錫の酸化物の酸素原子にプロト
ンを供与することで、酸無水物が錫の酸化物と反応し
て、酸無水物に由来するジカルボン酸型の配位子からな
る錯体形成、あるいは、酸無水物に由来するジカルボン
酸の金属塩へと変換する過程を促進している。なお、前
記の反応後、一旦錫の酸化物の酸素原子に供与されてい
たプロトンは、前記の一連の反応を終えると、再び、元
のカルボキシ基に復し、酸解離していないジカルボン酸
となることで、酸触媒として機能するものである。
【0037】以下に、本発明の封止充填剤用液状エポキ
シ樹脂組成物、その調製方法、ならびに、この封止充填
剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いた封止充填の手順に
ついて、より詳しく説明する。
【0038】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキ
シ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬
化剤として酸無水物を含み、この両者を均一に混合した
液状エポキシ樹脂組成物に、付加的成分として、(C)
フラックス活性増強成分に利用するジカルボン酸とし
て、炭素数9〜15のジカルボン酸を選択し、その含有
量を、酸無水物1モル当たり、5×10-2〜5×10-1
モルの範囲にしたものである。
【0039】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物において、熱硬化物を構成する必須成分の(A)液
状の熱硬化性エポキシ樹脂としては、封止充填剤に利用
可能なエポキシ樹脂である限り、その種類に制限はな
い。硬化時の樹脂強度、接着性などから、例えば、ビス
フェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェ
ノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン
酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、
脂環式エポキシ樹脂などが、封止充填剤においては汎用
されている。本発明においても、前記のビスフェノール
型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂
のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは
芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポ
キシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択するとより
好ましい。その際、単一の樹脂化合物を利用すること
も、二種以上の樹脂化合物を混合して利用することもで
きる。より具体的には、ビスフェノール型骨格を有する
ジグリシジルエーテルとして、エピコート828(商品
名;ジャパンエポキシレジン社製:エポキシ当量19
0)など、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテルと
して、エピコート154(商品名;ジャパンエポキシレ
ジン社製:エポキシ当量178)など、脂肪族カルボン
酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステルと
して、エピコート871(商品名;ジャパンエポキシレ
ジン社製:エポキシ当量430)、エポミックR540
(商品名;三井化学社製:エポキシ当量195)など、
脂環式エポキシ樹脂として、セロキサイド2021(商
品名;ダイセル化学工業社製:エポキシ当量135)な
どが使用される。
【0040】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物において、得られる熱硬化物の可撓性、柔軟性を増
進するためには、用いられる必須成分の(A)液状の熱
硬化性エポキシ樹脂として、熱可塑性樹脂成分の少量添
加、微粒子状の熱可塑性樹脂の分散、熱可塑性樹脂分子
の付加修飾による変性のいずれかの処理により、かかる
熱可塑性樹脂に由来する強靭性が付与された熱硬化性エ
ポキシ樹脂成分を、少なくとも部分的に含む組成とする
ことが特に有効である。なかでも、微粒子状の熱可塑性
樹脂の分散、熱可塑性樹脂分子の付加修飾による変性の
いずれかの処理を施したエポキシ樹脂を部分的に利用す
ることが望ましい。微粒子状で分散されている少量の熱
可塑性樹脂は、比較的に高温で硬化を行う本発明の封止
充填剤用液状エポキシ樹脂組成物において、その硬化の
際にも、均一な分散状態を維持でき、得られる硬化物全
体に、かかる熱可塑性樹脂微粒子に由来する強靭性が付
与されたものとできる。同じく、熱可塑性樹脂分子の付
加修飾による変性を施したエポキシ樹脂を部分的に利用
すると、得られる硬化物全体が、均一にかかる熱可塑性
樹脂分子に由来する強靭性が付与されたものとできる。
【0041】微粒子状の熱可塑性樹脂の分散を行ったエ
ポキシ樹脂としては、例えば、熱硬化を行う際、かかる
微粒子状の熱可塑性樹脂の形状を保持するように、コア
シェル型の微粒子とし、コア部にゴム質の熱可塑性樹脂
を、それを覆うシェル部にガラス転移点Tgがより高い
熱可塑性樹脂を用いたものが、かかる目的に好適であ
る。一例として、コアシェル型の平均粒径0.5μmゴ
ム成分微粒子を分散したエポキシ樹脂であるYR−62
8(商品名;東都化成社製、 エポキシ当量:225)
や、EPR−21(商品名;旭電化工業社製、 エポキ
シ当量: 210)を挙げることができる。また、熱可
塑性樹脂分子の付加修飾による変性を施したエポキシ樹
脂としては、ニトリルゴム分子を付加修飾して変性を施
したものなどが挙げられる。一例として、CTBN変性
エポキシ樹脂であるEPR−4023(商品名;旭電気
化学工業社製、 エポキシ当量: 230)、YR−4
50(商品名;東都化成社製、 エポキシ当量: 45
0)、NBR変性エポキシ樹脂であるEPR−4026
(商品名;旭電気化学工業社製、 エポキシ当量:28
0)、EPR−1309(商品名;旭電気化学工業社
製、 エポキシ当量: 300)、ならびに、樹脂骨格
に柔軟性を示すアルキレン鎖を含むエポキシ樹脂である
EPR−4000S(商品名;旭電気化学工業社製、
エポキシ当量: 260)、エピコート871(商品
名;ジャパンエポキシレジン社製:エポキシ当量43
0)、エピコート872(商品名;ジャパンエポキシレ
ジン社製:エポキシ当量650)を挙げることができ
る。これら微粒子状の熱可塑性樹脂の分散や熱可塑性樹
脂分子の付加修飾による変性を施した液状エポキシ樹脂
は、一般に液粘性が増すため、本発明の封止充填剤用液
状エポキシ樹脂組成物において必要とする、液流動性を
維持する目的で、低粘度の液状エポキシ樹脂成分と混和
し、全体として目的とする液粘度の範囲に調整すること
が好ましい。その際、混和比率は、室温付近において、
充填すべき部位に均一な塗布、充填が可能となる樹脂組
成物全体としての粘度範囲に応じて、適宜選択すること
ができる。なお、利用される低粘度の液状エポキシ樹脂
成分の一例として、ビスフェノールF型の低粘度の液状
エポキシ樹脂である、EXA−835LV(商品名;大
日本インキ化学工業社製、 エポキシ当量: 165)
などを挙げることができる。
【0042】かかる熱可塑性樹脂に由来する強靭性が付
与された熱硬化性エポキシ樹脂成分を部分的に用いるこ
とで、得られる熱硬化物全体として、熱可塑性樹脂に由
来する強靭性、柔軟性、可撓性の向上効果が得られ、ま
た、熱硬化性エポキシ樹脂本来の接着性の利点も保持す
るものとなる。特に、氷点以下の温度へと冷却した際、
冷却温度とともに、急速に脆さを増す熱硬化性エポキシ
樹脂の難点は、付加されている熱可塑性樹脂成分に起因
する柔軟性、靭性によって、大幅に改善される。結果と
して、得られる熱硬化物は、靭性を増し、特に、低温脆
性が改善された、接着性、可撓性に富み、特に、冷却し
た際、剪断強度、剥離強度の低下がより緩和されたもの
とできる。
【0043】例えば、微粒子状の熱可塑性樹脂の分散を
行ったエポキシ樹脂を利用する際には、微粒子状の熱可
塑性樹脂の含有比率が増すにつれ、低温脆性の改善は図
られるものの、含有比率が過度に高くなると、エポキシ
樹脂硬化物自体の優れた接着性、耐湿性、耐熱性に影響
を及ぼすことをも考慮すると、液状のエポキシ樹脂組成
物全体、100質量部当たり、それに分散されて含まれ
る微粒子状の熱可塑性樹脂は、微粒子の粒子径にも依存
するが、多くとも40質量部を超えない範囲とすること
が望ましい。エポキシ樹脂硬化物自体の優れた特性を維
持しつつ、有意な低温脆性の改善を図る上では、液状の
エポキシ樹脂組成物全体、100質量部当たり、それに
分散されて含まれる微粒子状の熱可塑性樹脂の総量を、
微粒子の粒子径にも依存するが、好ましくは2〜30質
量部の範囲、より好ましくは4〜20質量部の範囲に選
択することが望ましい。なお、前記の含有比率におい
て、目標とする低温脆性の改善が達成される限り、微粒
子状の熱可塑性樹脂の総量を可能な限り、低く抑えるこ
とがより望ましい。また、熱可塑性樹脂分子の付加修飾
など、付加変性を施したエポキシ樹脂を利用する際に
も、硬化物中に占める、熱可塑性樹脂分子に相当する部
分の比率、例えば、変性により付加されたニトリルゴム
分子に由来する部分の総和は、前記の含有比率に相当す
るものとすることが望ましい。例えば、付加変性を施し
たエポキシ樹脂自体を調製する際に用いる原料に基づ
き、熱可塑性樹脂分子に相当する部分の比率を合算し
て、かかる含有比率とすることもできる。
【0044】(B)の硬化剤として利用できる酸無水物
としては、熱硬化性エポキシ樹脂の硬化を引き起こすジ
カルボン酸の酸無水物が一般に利用できる。この酸無水
物は、エポキシ樹脂と重付加型の反応を起こし、樹脂硬
化を達成する。例えば、脂肪族酸無水物、例えば、ポリ
アゼライン酸無水物(PAPA)、ドデセニル無水コハ
ク酸(DDSA)など、脂環族酸無水物、例えば、ヘキ
サヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒド
ロ無水フタル酸(MTHPA)、無水メチルナジック酸
(NMT)など、芳香族酸無水物、例えば、無水トリメ
ット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)な
ど、ハロゲン系酸無水物、例えば、無水ヘット酸(HE
T)、テトラブロモ無水フタル酸(TBPA)などを、
重付加型の酸無水物硬化剤の一例として挙げることがで
きる。
【0045】なかでも、用いられる酸無水物自体では、
−CO−O−CO−を含む環構造が5員環を構成すると
より好ましい。熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤と
して利用されている酸無水物のうち、前記の構造を有す
るものとして、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサ
ヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタ
ル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるい
はその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル
酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘
導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上
に置換を有する誘導体からなる酸無水物などが挙げられ
る。なお、本発明において好適に利用される、無水テト
ラヒドロフタル酸や無水ヘキサヒドロフタル酸の誘導体
には、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(商品名B−
650;大日本インキ化学工業社製)など、無水コハク
酸の誘導体には、ドデセニル無水コハク酸などが挙げら
れる。
【0046】例えば、前記のビスフェノール型骨格を有
するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリ
シジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カル
ボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂の
いずれかをエポキシ樹脂に選択する際、その硬化剤とし
て機能する酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフ
タル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテ
トラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の
酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導
体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に
置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸
の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体のいずれかを選択
すると一層好ましい組み合わせとなる。
【0047】加えて、下記する一般式(I):
【0048】
【化1】
【0049】(式中、R2は、一価の鎖式炭化水素基で
あり、R3は、一価の鎖式炭化水素基であり、R6は、
水素原子または鎖式炭化水素基である)で示される環上
に置換を有するテトラヒドロフタル酸型の二カルボン酸
の分子内酸無水物、あるいは、一般式(II):
【0050】
【化2】
【0051】(式中、R2は、一価の鎖式炭化水素基で
あり、R3は、一価の鎖式炭化水素基である)で示され
る環上に置換と架橋鎖を有するテトラヒドロフタル酸型
二カルボン酸の分子内酸無水物など、相対的な嵩高い6
員環を有するものも、好適な酸無水物の一例として挙げ
られる。
【0052】加えて、得られるエポキシ樹脂硬化物にお
いて、その可撓性を増進するため、用いられる酸無水物
自体の炭素骨格内に不飽和炭素結合を含まないものを用
いることができる。例えば、熱硬化性エポキシ樹脂に対
する硬化剤として利用されている酸無水物のうち、−C
O−O−CO−を含む環構造が5員環を構成し、しか
も、この5員環は、環状の炭化水素骨格と縮合する形状
を有し、その際、環状の炭化水素骨格は、その環内に不
飽和炭素結合を含まないものが好適である。より具体的
には、飽和な環状の炭化水素二カルボン酸の分子内酸無
水物であり、−CO−O−CO−を含む環構造が5員環
を構成するものが好ましい。一例として、先に述べた脂
環族酸無水物、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(H
HPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHP
A)、無水メチルナジック酸(NMT)などに含まれ
る、環状の炭化水素骨格中の不飽和炭素結合に水素添加
を施した、飽和な脂環族酸無水物が、かかる目的ではよ
り好ましく、水素添加ナジック酸(HNA)の酸無水物
を代表例として挙げることができる。
【0053】下記する飽和な環状炭素骨格を有する水素
添加ナジック酸(HNA)の酸無水物、ビシクロ[2.
2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸由来の酸無水
物:
【0054】
【化3】
【0055】と同様に、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ
ン(ノルボルナン)骨格を含む、飽和な環状炭素骨格を
有する酸無水物である、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ
ン−2,3,5,6−テトラカルボン酸由来の酸無水
物:
【0056】
【化4】
【0057】あるいは、分子内に鎖状のシロキサン構造
(−(H2SiO)n−SiH2−)を含んでいる、末端
にビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボ
ン酸由来の酸無水物構造が置換したポリシロキサン:
【0058】
【化5】
【0059】なども、利用可能な飽和な脂環族酸無水物
に含まれる。なお、かかるビシクロ[2.2.1]ヘプ
タン−2,3−ジカルボン酸由来の酸無水物のように、
ジカルボン酸のカルボキシ基が存在する炭素原子に対し
て、その隣接する炭素原子との間で炭素−炭素二重結合
を構成する上で、立体障害となる炭素骨格を有するもの
では、より高温において熱硬化反応を行う際、かかるジ
カルボン酸からの熱的な脱炭酸に伴う二酸化炭素の生成
もなく、その点にも、利点を有している。
【0060】前記酸無水物はその大半は硬化剤として消
費されるが、フラックス成分として、若干量が消費され
るので、その消費量を考慮し、液状エポキシ樹脂の1当
量に対して、例えば、酸無水物を0.8当量以上、好ま
しくは、0.9当量以上、多くとも、若干等量を超える
量、具体的には、1.1当量を超えない範囲、0.9〜
1.1当量の範囲に選択することがより好ましい。
【0061】なお、酸化皮膜の形成が多い劣悪な条件で
は、より高いフラックス活性が必要となり、その点を考
慮して、前記(B)の硬化剤の酸無水物の添加率範囲上
限に近い値を選択すると好ましい。現実的には、過度の
自然酸化が生じないように当業者が通常の注意を払う限
り、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、
酸無水物を0.85〜0.95当量含む組成範囲に選択
しても、必要とされるフラックス活性に伴う消費量を賄
い、更に残る酸無水物の量は、熱硬化に適当な0.8当
量〜0.9当量の範囲に概ね収まる。なお、バンプ電極
間の間隔が狭くなることも考えあわせると、表面酸化皮
膜の除去で消費される酸無水物の割合が相対的に増す傾
向にある。その際には、安全を見て、当初の含有比率を
やや高め、例えば、1.1当量までに選択することで、
フラックス作用を発揮して消費される量を除いても、熱
硬化に適当な0.8当量〜1.0当量の範囲により確実
に収めることができる。
【0062】前記する種々の酸無水物から、上記(A)
の各種液状の熱硬化性エポキシ樹脂に応じて選択される
酸無水物を(B)の硬化剤として用い、(A)液状の熱
硬化性エポキシ樹脂と共に開環重合を起こさせ、熱硬化
を起こさせる。その際、熱硬化温度が比較的に低い場合
は、エポキシ環の開環を適度に促進する目的で、硬化促
進剤を少量添加することが望ましい。すなわち、本発明
の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(B)の
硬化剤として酸無水物は、適正な重合の伸長に適する比
率であるものの、その熱硬化の開始に、硬化促進剤の作
用を利用し、その添加量を硬化温度に応じて選択するこ
とで、全体的な熱硬化速度を所望の範囲に調整すること
が容易になる。
【0063】この硬化促進剤は、エポキシ基の開環反応
を促進し、酸無水物自体と反応を起こさないものである
限り、特に制限はなく、酸無水物とアミドの形成を起こ
さないアミン化合物、ルイス酸、ならびにイミダゾール
類が利用できる。前記の要件を満たすアミン化合物とし
ては、具体的には、第三級アミン、例えば、ベンジルジ
メチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリス(ジメ
チルアミノメチル)フェノール(DMP−30)など、
ルイス酸としては、例えば、BF3・モノエチルアミ
ン、BF3・ピペラジンなど、また、イミダゾール類と
しては、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−
エチル−4−メチルイミダゾール(EM124)、2−
ヘプタデシルイミダゾール(HD12)など、これらを
一例として挙げることができる。
【0064】これら硬化促進剤の内でも、イミダゾール
類は、付加的成分として添加されているジカルボン酸と
含有される窒素原子間での複合体(付加塩)を形成する
懸念が少なく、本発明の目的により適するものである。
【0065】硬化促進剤として、前記するアミン化合
物、ルイス酸、ならびにイミダゾール類などを用いる際
には、これら求核性化合物のエポキシ環の開環促進作用
により、反応が誘起・促進された、エポキシ樹脂と酸無
水物との重付加反応により、樹脂鎖の延長がなされる。
従って、熱硬化性エポキシ樹脂の1分子当たり、0.0
01〜0.02分子の硬化促進剤を混合することが好ま
しい。例えば、硬化促進剤として、具体的には、例え
ば、エポキシ当量190のエポキシ樹脂の100g当た
り、イミダゾール類では0.5〜10mmol(ミリモ
ル)の範囲に選択するとよい。硬化促進剤個々の分子量
にもよるが、例えば、液状エポキシ樹脂の100質量部
当たり、0.1〜2質量部の範囲で添加することもでき
る。なお、硬化処理温度を高くするに伴い、硬化促進剤
の添加比率を下げても、硬化剤の酸無水物との反応は進
行するので、この熱硬化反応と平行して進行されるフラ
ックス処理の反応と、その反応速度の均衡が図られるよ
うに、硬化処理温度を高く選択する際には、硬化促進剤
の添加比率を相対的に下げ、液状エポキシ樹脂の100
質量部当たり、0.1〜1.2質量部の範囲の範囲とす
ることがより望ましい。
【0066】以上に説明した、熱硬化反応に関与する主
要成分を均一に混合した液状エポキシ樹脂組成物中に、
付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラ
ックス活性増強成分としての機能を有する、ジカルボン
酸を少量添加する。
【0067】前記ジカルボン酸は、その融点は、液状エ
ポキシ樹脂組成物の熱硬化温度より低く、常温では固体
であり、その沸点は、前記液状エポキシ樹脂組成物の熱
硬化温度よりも高いことが好ましい。加えて、液状エポ
キシ樹脂組成物中の主成分であるエポキシ樹脂と均一に
混和できる、相溶性に富むジカルボン酸が好ましい。
【0068】すなわち、ジカルボン酸は、酸無水物と同
様に、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に溶解・混和し
た状態で使用されるが、熱硬化の進行とともに、溶媒と
しても機能している液状エポキシ樹脂自体、重合を起こ
し、溶媒として機能する液状エポキシ樹脂量が減少して
いく際にも、ジカルボン酸が液状エポキシ樹脂組成物中
に均一な溶解状態を維持することが好ましい。
【0069】従って、用いるジカルボン酸は、その沸点
は、液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度よりも有意に
高いことがより好ましい。熱硬化とともに、フラックス
処理も進行するが、仮に、熱硬化温度よりも、用いるジ
カルボン酸の沸点が低いと、液状エポキシ樹脂組成物中
に溶解しているので、沸点上昇が生じて、実効的に気泡
を生じて気化するには至らないものの、蒸散が進み、残
留濃度が減少すると、目標とするフラックス活性増強作
用を達成できない事態も生じる。用いるジカルボン酸の
沸点が、液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度よりも有
意に高いならば、前記の蒸散に伴うフラックス活性増強
作用の低下は、問題とならないものとなる。また、熱硬
化が完了した時点で、重合反応の終端において消費され
ず、なお、残留しているジカルボン酸は、その融点が熱
硬化温度よりも低いと、硬化物の重合体分子間に浸漬
し、均一に分散した状態がより確実に達成できる。勿
論、熱硬化の際、気化したジカルボン酸が気泡を形成し
て、ボイドの発生させる要因ともならない。
【0070】加えて、ジカルボン酸は、その分子形状に
よっては、加熱する間に、自らの分子内で、二つのカル
ボキシ基間で脱水縮合が生じ、酸無水物へと変換される
こともある。具体的には、生成する環状無水物が、無水
コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸のように、5
員環を形成するもの、あるいは、グルタル酸無水物のよ
うに、6員環を形成するものは、加熱温度が増すに従っ
て、脱水縮合による酸無水物へと変換が進行する。その
際、フラックス活性増強作用を有するジカルボン酸の含
有比率は結果として減少する、すなわち、フラックス活
性増強作用の低下が引き起こされる。生成する酸無水物
自体は、エポキシ樹脂に対する硬化剤として機能するも
のが多く、問題となることはないものの、当初添加する
ジカルボン酸量を予め増すことが必要となり、決して好
ましいものではない。加えて、この5員環、あるいは、
6員環の環状酸無水物を生成するに付随して、副生物の
水分子が気化し、気泡を形成すると、ボイド発生の要因
となり、封止充填剤の機能上好ましものではない。
【0071】それとは別に、ジカルボン酸のうち、水に
対する溶解性に富む、フマル酸(trans−ブタン二
酸)、シュウ酸(エタン二酸)、マロン酸(プロパン二
酸)などは、前記環状酸無水物を生成する懸念はないも
のの、封止充填剤の耐水性、あるいは、高湿環境におけ
る保護特性の観点では、硬化物表面に存在した際、水に
溶解して、酸として機能する懸念があり、その利用範囲
は制限がある。
【0072】対象とするハンダ材料は、その融点が20
0℃以上、高くとも、230℃を超えない範囲の鉛フリ
ーハンダであるため、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物の熱硬化処理の温度は、鉛フリーハンダの融解温度
よりは有意に、例えば10℃程度以上は高いものの、通
常、高くとも260℃を超えない範囲に選択し、フラッ
クス処理を併せて実施する。従って、かかる熱硬化処理
の温度を、230℃〜260℃の範囲に選択する際に
も、以上の種々の条件を全て満たし、制約なく、好適に
利用可能なジカルボン酸は、ジカルボン酸の融点は、例
えば、組成がSn:95.8%、Ag:3.5%、C
u:0.7%のSn−Ag系ハンダの融解温度(217
℃)よりも有意に低く、沸点は、かかるSn−Ag系ハ
ンダの融解温度よりも十分に高く、また、水に対する溶
解性が乏しいもので、加えて、含まれる二つのカルボキ
シ基の間に、少なくとも、炭素数で4以上の炭素鎖長に
相当する隔たりがある構造を有するジカルボン酸であ
る。
【0073】例えば、飽和脂肪族ジカルボン酸であれ
ば、二つのカルボキシ基を両端に含む鎖(HOOC−
(C)n−COOH)を母体鎖とする際、この鎖長(n
+2)の母体鎖は、少なくとも、炭素数6以上の鎖長を
有するもの、好ましくは、炭素数9〜15の範囲の鎖長
を有するもの、より好ましくは、炭素数10〜13の範
囲の鎖長を有するものを、好適な例として挙げることが
できる。なお、この母体鎖に対して、若干数の分岐鎖が
存在するものであっても、その融点が極端に上昇するも
のでなければ、同様に好適なものとなる。飽和脂肪族ジ
カルボン酸のなかでも、側鎖を持たない、直鎖のアルカ
ン二酸であり、その炭素数は、C9〜C15の範囲、よ
り好ましくは、C10〜C13の範囲であると、より好
ましいものとなる。
【0074】また、不飽和脂肪族ジカルボン酸において
も、前記飽和脂肪族ジカルボン酸に対応する、二つのカ
ルボキシ基を両端に含む鎖を母体鎖(HOOC−(C)
n−COOH)が、炭素数9〜15の範囲の鎖長を有す
るもの、より好ましくは、炭素数10〜13の範囲の鎖
長を有するものを、好適な例として挙げることができ
る。この場合も、その母体鎖に対して、若干数の分岐鎖
が存在するものであっても、その融点が極端に上昇する
ものでなければ、同様に好適なものとなる。なお、母体
鎖中に存在する−CH=CH−などの炭素−炭素二重結
合における絶対配置によっては、二つのカルボキシ基が
互いに近接して、分子内で酸無水物の生成が可能となる
場合もあるが、この種の環状無水物が容易に生成する配
置は、好適な範囲からは除かれる。不飽和脂肪族ジカル
ボン酸においても、側鎖を持たない、直鎖のジカルボン
酸であり、その炭素数は、C9〜C15の範囲、より好
ましくは、C10〜C13の範囲であると、より好まし
いものとなる。
【0075】さらには、上記の鎖状の脂肪族ジカルボン
酸における、二つのカルボキシ基を両端に含む鎖を母体
鎖に代えて、鎖中に環構造を含み、その実効的な鎖長が
炭素数6以上の鎖長に相当するものの、好適なジカルボ
ン酸となる。具体的には、含まれる環構造としては、芳
香環、例えば、フェニレン基(−C64−)など、ある
いは、脂環炭化水素に由来する環構造、例えば、シクロ
ヘキサンジイル(−C 610−)などが挙げられる。な
お、これらの環構造;Rに直接、一つのカルボキシ基が
結合するものでなく、HOOC−(C)n1−R−(C)
n2−COOH型の環構造上の二つの側鎖にそれぞれカル
ボキシ基が存在する形状のものがより好ましい。
【0076】なお、飽和脂肪族ジカルボン酸であれば、
母体鎖の炭素数が15を超えると、炭素数が増しても、
然程上昇しなくなり、添加比率が少ない際には、母体鎖
の炭素数が40程度に達するものであっても、利用可能
なものとなる。なお、不必要に炭素数の大きなものとす
ることは好ましいものとは言えず、一般に、母体鎖の炭
素数が15以下の範囲に留めることが望ましい。
【0077】また、不飽和脂肪族ジカルボン酸において
も、前記飽和脂肪族ジカルボン酸に対応する、二つのカ
ルボキシ基を両端に含む鎖を母体鎖(HOOC−(C)
n−COOH)が、炭素数9以上の範囲の鎖長を有する
ものが好ましく、添加比率や処理温度の選択に応じて、
場合によっては、母体鎖の炭素数が40程度であって
も、利用可能なものとなる。なお、同じく、不必要に炭
素数の大きなものとすることは好ましいものとは言え
ず、一般に、母体鎖の炭素数が15以下の範囲に留める
ことが望ましい。
【0078】加えて、不飽和脂肪酸にアクリル酸などの
短鎖のα,β−不飽和カルボン酸が付加した、炭素数2
0程度までのダイアシッド(付加ジカルボン酸)や、長
鎖の不飽和カルボン酸が相互に付加した炭素数38〜4
4のダイマー酸なども、鉛フリーハンダが対象となる場
合には、利用可能となる。なお、前記炭素数38〜44
のダイマー酸は、若干のモノマー酸、トリマー酸が混入
するものであるが、一般に、室温付近でも、高粘度の液
状を示すが、これら混入物を含め、その沸点は、前記鉛
フリーハンダの融解温度よりは十分に高いものである。
【0079】ジカルボン酸の添加比率は、酸無水物に応
じて、また、フラックス処理を行う温度をも考慮して、
適宜選択するものである。つまり、フラックス処理を行
う温度を高く選択する際には、主な役割が硬化剤である
酸無水物は、熱硬化に急速に消費されるため、フラック
ス処理速度をかかる熱的な硬化速度と匹敵するものとす
る上では、ジカルボン酸の添加比率を増す必要がある。
一方、フラックス処理を行う温度をそれほど高くしない
場合には、熱的な硬化速度もそれほど速くなっていない
ので、ジカルボン酸の添加比率が低くとも、フラックス
処理速度をかかる熱的な硬化速度と匹敵するものとする
ことができる。
【0080】鉛フリーハンダ材料としては、その融点
は、高くとも、230℃を超えない範囲のものが主に利
用されており、例えば、組成がSn:95.8%、A
g:3.5%、Cu:0.7%のSn−Ag系ハンダの
融解温度は217℃であり、その際、熱硬化処理の温度
は、230℃以上、250℃以下の範囲に選択する。従
って、本発明においては、前記熱硬化処理の温度に対応
させて、一般に、(B)硬化剤の酸無水物の1モルに対
して、前記ジカルボン酸を5×10-2〜5×10-1モル
の範囲となる量、好ましくは、5×10-2〜3×10-1
モルの範囲となる量に選択することが好ましい。あるい
は、樹脂組成物全体に対して、ジカルボン酸の含有量が
5〜15質量%の範囲に選択することがより望ましい。
【0081】なお、本発明の封止充填剤用液状エポキシ
樹脂組成物においては、鉛フリー錫合金ハンダ材に対す
るフラックス処理は、主に、上記する付加的成分のジカ
ルボン酸が示すフラックス活性増強作用を活用し、酸無
水物を利用して行われるものであるが、場合によって
は、更にフラックス活性増強作用を示す成分を副次的に
添加することができる。例えば、この副次的に添加する
ことが可能な、フラックス活性増強作用を示す成分とし
ては、アクリル酸などを付加した酸変性ロジン、例え
ば、アクリル変性ロジン、あるいは、アミン化合物の塩
基性窒素原子上にハロゲン化水素付加塩を形成してなる
アミンのハロゲン化水素付加塩など、加熱した際、初め
てプロトン供与能を示すものを、補足的な量を添加して
利用することもできる。
【0082】すなわち、本発明において、(C)プロト
ン供与能を有するフラックス活性増強成分として、上記
のジカルボン酸を主に利用するが、補足的に、ジカルボ
ン酸の含有比率を超えない範囲で、例えば、高い沸点を
有するモノカルボン酸をも用いることもできる。具体的
には、熱硬化処理の温度を、230℃〜260℃の範囲
に選択する際にも、補足的なフラックス活性増強成分と
して、好適に利用可能なモノカルボン酸は、かかるモノ
カルボン酸の融点は、例えば、組成がSn:95.8
%、Ag:3.5%、Cu:0.7%のSn−Ag系ハ
ンダの融解温度(217℃)よりも有意に低く、沸点
は、かかるSn−Ag系ハンダの融解温度よりも十分に
高く、また、水に対する溶解性が乏しいものである。前
記の条件を満たし、補足的なフラックス活性増強成分と
して、好適に利用可能なモノカルボン酸の一例は、樹脂
酸の主成分である、アビエチン酸、ピマル酸などのジテ
ンペル酸C1929COOH等を水素添加処理したもの、
あるいは、これらのジテンペル酸を主成分とするロジン
を水素添加処理した水添ロジンなどを挙げることができ
る。これらの高い沸点のモノカルボン酸をも利用する際
には、ジカルボン酸の含有比率に対して、モノカルボン
酸の含有比率が有意に低い範囲、例えば、ジカルボン酸
10質量部に対して、モノカルボン酸は5質量部を超え
ない範囲に選択することがより望ましい。少なくとも、
ジカルボン酸1分子に対して、モノカルボン酸が1/2
分子を超えない範囲に選択することがより望ましい。
【0083】一方、前記モノカルボン酸は、副次的なフ
ラックス活性増強成分としての機能に加え、エポキシ樹
脂の硬化反応に伴う重合鎖長の延長に際し、末端封止の
役割をも有する。その結果、フラックス処理後、ハンダ
付けとエポキシ樹脂の熱硬化が進む過程において、得ら
れる架橋・重合構造における鎖長の延長が過度に進み、
樹脂粘度が必要以上に増すことを回避する作用をも示
す。加えて、過度な鎖長の延長に至らないので、得られ
る熱硬化体の低温における脆性の改善にも、寄与を示す
ものとなる。かかる補足的に添加されるモノカルボン酸
も、樹脂組成物中に均一に溶解することが望ましく、加
えて、得られる熱硬化体において、その吸水率を増す、
あるいは、末端封止を行った際、かかるモノカルボン酸
の炭素骨格自体がTgの上昇の要因となるなどの不具合
を引き起こさないものが望ましい。従って、例えば、分
子内に付加重合可能な不飽和炭素結合や、熱分解を引き
起こす部位を有するロジンに対して、予め水添処理を施
した水添ロジンは、前記の観点でも好適なモノカルボン
酸の一つとなる。また、エポキシ樹脂における溶解特性
に優れ、高沸点でありつつ、高温領域における高いプロ
トン供与能も示す、酸性度の高い安息香酸類、例えば、
p−ヒドロキシ安息香酸、m−ブロモ安息香酸などを用
いることもできる。
【0084】なお、酸無水物の含有比率が増すにつれ、
酸無水物自体にフラックス活性が増すので、ジカルボン
酸の添加比率を低くしても、所望のフラックス処理速度
が達成できる。一方、酸無水物の含有比率が低い際に
は、前記の上限値を超えない範囲で、ジカルボン酸の添
加比率をより高い範囲に選択し、所望のフラックス処理
速度となるように一層の活性増強を図ることが好ましい
ものである。
【0085】さらには、残余のジカルボン酸は、ハンダ
付けが終了した後もアンダーフィル中に留まるが、接触
している配線金属などに対して、不要な反応を起こし
て、動作不良を引き起こす要因を形成することもない。
【0086】封止充填剤は、特に、バンプ電極近傍、す
なわち、チップ部品とプリント配線基板との接合固定領
域の補強を主な機能とするので、バンプ電極近傍におい
て、硬化に実際に関与する、熱硬化性エポキシ樹脂と硬
化剤の最終的な含有率が好ましい範囲、具体的には、重
付加型の硬化剤、例えば、酸無水物が0.8当量程度と
なるのが最適である。熱硬化を進めるため、高温に維持
される間に、表面酸化皮膜の除去に伴い、酸無水物の一
部は消費される。そのため、バンプ電極近傍において、
酸無水物についてみるならば、その局所的な含有率は、
フラックス処理が進むにつれて、しだいに低下してい
く。その結果、エポキシ樹脂と硬化剤との重合付加反応
の伸長を一旦遅延されるので、フラックス処理の完了す
る前は、エポキシ樹脂組成物の流動性が損なわれ、フラ
ックス処理の阻害要因となってしまうことを防止してい
る。フラックス処理が終わると、その後、熱硬化に要す
る期間、ハンダの融点付近の温度で一定に保つ間に、拡
散により必要な酸無水物は供給される。従って、バンプ
電極近傍においても、得られる熱硬化物の特性は、従来
の封止充填剤と比較して、全く遜色のないものとなる。
【0087】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物は、上述する(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と
(B)の硬化剤の酸無水物、ならびに付加的成分の
(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分
として利用するジカルボン酸の必須成分に加えて、通
常、先に述べた硬化促進剤を副次的な成分として添加す
ることが多いが、それ以外も、この種のエポキシ樹脂組
成物に慣用される副次的な成分を添加することもでき
る。具体的には、その他の副次的な成分として、応力緩
和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤な
ど、さらには、可塑剤、チキソ剤などをも添加できる。
いずれを添加するか、また、その添加量は、必須成分に
用いる熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物に応じて、適宜
選択するとよい。
【0088】酸化防止剤は、封止充填した後、熱硬化処
理の際、エポキシ樹脂の耐熱性を向上する目的で、予め
エポキシ樹脂中に混入しておくことができる。この酸化
防止剤としては、酸素除去・還元作用を有するヒドロキ
ノン、亜リン酸エステル類などを用いることができ、そ
の添加量は、熱処理環境、例えば、リフロー加熱炉内の
残留酸素濃度・温度などを考慮して適宜選択する。
【0089】レベリング剤は、封止充填剤用液状エポキ
シ樹脂組成物自体の粘度、従って、必須成分に用いる熱
硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の種類、含有比率に応じ
て、適宜添加量を選択するとよい。例えば、レベリング
剤としては、ST80PA(商品名;東レ・ダウ=コー
ニング・シリコーン社製)などを用いることができ、液
状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜5質量%の範
囲で添加することができる。応力緩和剤としては、アデ
カレジンEPR−1309(商品名;旭電化工業社製、
エポキシ当量280)などを用いることができ、液状エ
ポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲
で添加することができる。
【0090】また、カップリング剤は、プリント配線基
板の材質、チップ部品裏面の表面に露出している材料の
種類を考慮し、用いるエポキシ樹脂の種類に応じて、必
要に応じて、適宜好ましいものを選択して添加する。汎
用されるカップリング剤としては、例えば、シラン系カ
ップリング剤のγ−グリシト゛キシプロピルトリメトキシ
シランなどがあるが、これらから前記の選択基準に従っ
て好適なカップリング剤を適量添加するとよい。一般
に、カップリング剤は、液状エポキシ樹脂組成物全体に
対して、0〜10質量%の範囲で添加することができ
る。
【0091】可塑剤やチキソ剤は、液状エポキシ樹脂組
成物の塗布加工性を考慮して、必要に応じて、添加され
る。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチルなどが
あるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましい可塑剤
を適量添加するとよい。チキソ剤としては、例えば、ヒ
ドロキシステアリン酸のトリグリセライド、ヒュームド
シリカなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好
ましいチキソ剤を適量添加するとよい。
【0092】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物は、その熱硬化処理の温度は、例えば、230℃〜
260℃の範囲に選択されるので、その加熱昇温の過程
で、一旦は次第に粘度が低下し、封止充填すべき隙間を
均一に満たし、塗布する際に仮に部分的に濡れていない
箇所も、この段階で液状エポキシ樹脂組成物により覆わ
れた状態となる。従って、室温における液状エポキシ樹
脂組成物自体の液粘度は、所望とする液量を鉛フリーハ
ンダ製のバンプ電極を覆うように塗布可能な程度に流動
性を満足する範囲に選択すればよい。例えば、塗布手段
として、ディスペンサーを利用する際には、液状エポキ
シ樹脂組成物自体の液粘度は、ディスペンサーのノズル
径に応じて、0.5〜50Pa・sの範囲に調整するこ
とが好ましい。本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂
組成物は、必須成分の熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤、
付加的成分のジカルボン酸、ならびに必要に応じて添加
される上述の慣用される副次的な成分とを含むが、主な
成分である、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の液粘度の
組み合わせによって、全体の液粘度を前記の範囲に調整
することが望ましい。例えば、熱硬化性エポキシ樹脂と
して、例えば、微粒子状の熱可塑性樹脂の分散や熱可塑
性樹脂分子の付加修飾による変性を施した液状エポキシ
樹脂を用いると、これらは一般に液粘性が増すが、硬化
剤に利用する酸無水物として、相対的に液粘度の低いも
のを選択することで、全体として、好適な液粘度範囲の
液状エポキシ樹脂組成物に調製することができる。
【0093】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物は、必須成分の熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤、付
加的成分のジカルボン酸、ならびに必要に応じて添加さ
れる上述の慣用される副次的な成分とを十分に混合した
後、その調製工程の攪拌等により内部に発生したあるい
は取り込まれた気泡を減圧脱泡して製造することができ
る。加えて、本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物中に含有される、硬化剤の酸無水物や、ジカルボン
酸をなどは、硬化反応前から、水分が存在する環境に置
くと、その本来の機能が失われる化合物であり、また、
金属材料表面の酸化皮膜の除去作用を維持するために
も、製造された液状エポキシ樹脂組成物への水分混入を
抑制して、調製・保存を行う。
【0094】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物は、フリップチップ実装における封止充填に用い
て、その効果を発揮するものである。具体的には、フリ
ップチップ実装において、鉛フリーハンダ製のバンプ電
極の熔融を、アンダーフィルを充填した後、その熱硬化
とともに行う方式において、その効果を発揮する。
【0095】液状エポキシ樹脂組成物の充填方式に依ら
ず、鉛フリー錫合金ハンダ製のバンプなどの金属表面に
残留する酸化皮膜のその場除去作用は得られるが、例え
ば、以下の手順をとる封止充填方法をとる際、その効果
はより高くなる。具体的には、フリップチップ実装にお
ける封止充填の方法として、(1)基板用電極を有する
プリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部
品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導
通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に
前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と
電極間の接触を図る工程、(2)前記ハンダ製のバンプ
電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併
せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に
配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図った
ハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記
する本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満
たす充填工程、(3)次いで加熱して、前記所定の領域
の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物におけ
る、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記
液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバン
プを熔融させる工程、所定時間の加熱後、冷却して、一
旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極と
をハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキ
シ樹脂により封止充填を完了する工程、上記(1)〜
(3)の一連の工程により、封止充填を行うと好ましい
ものとなる。
【0096】つまり、所定の粘性を有する液状エポキシ
樹脂組成物をプリント配線基板上に予め厚めに塗布して
おき、その上からチップ部品を押し付けることで、金属
配線の電極とバンプ電極との物理的な接触を行い、同時
に、押しつぶされ、広がった液状エポキシ樹脂組成物
が、金属配線の電極とバンプ電極をも覆った状態とな
る。この際、塗布されている液状エポキシ樹脂組成物の
上面はほぼ平坦であるので、その上からチップ部品を押
し付けることで、未充填部分、ボイドとなる部分が発生
することはない。また、物理的な接触を果たした金属配
線の電極とバンプ電極の表面を、液状エポキシ樹脂組成
物が密に覆っている状態とできる。この状態において、
ハンダ製のバンプを熔融させるべく加熱を行うので、上
で説明したように、金属表面に残留している酸化皮膜の
除去がなされる。
【0097】従って、本発明にかかる電子部品は、上に
説明した本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物
を利用して、フリップチップ実装し、その間に封止充填
がなされてなる実装組み立て済み電子部品であり、基板
用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を
有するチップ部品との接合を、両電極間の相互導通を融
点が200℃以上、高くとも、230℃を超えない範囲
の鉛フリー錫合金ハンダ材料製のバンプ電極を利用した
際、金属表面に残留している酸化皮膜の除去が効果的に
行え、高い再現性で良好な導通特性が達成できる。加え
て、フラックス処理が終わり、鉛フリー錫合金ハンダ材
料の溶融、ハンダ付けが可能となった時点で、エポキシ
樹脂の熱硬化も進むため、未充填部分、ボイドとなる部
分が発生することもなく、ハンダ付けと封止充填がなさ
れたものとなる。また、本発明にかかる電子部品は、鉛
フリー錫合金ハンダ材料を利用してフリップチップ実装
可能な半導体素子チップをプリント配線基板上に、少な
い工程で実装したものとできる。加えて、用いる本発明
の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を、(B)硬化
剤の酸無水物として、飽和な環状炭化水素ジカルボン酸
由来の分子内酸無水物を用いる、あるいは、(A)の熱
硬化性エポキシ樹脂として、熱可塑性樹脂成分の少量添
加、微粒子状の熱可塑性樹脂の分散、熱可塑性樹脂分子
の付加修飾による変性のいずれかの処理により、かかる
熱可塑性樹脂に由来する強靭性が付与された熱硬化性エ
ポキシ樹脂成分を、少なくとも部分的に含む組成とする
ことで、得られるエポキシ樹脂硬化物の示す柔軟性、あ
るいは、靭性の強化を行うと、過酷な冷却条件、例え
ば、−65℃の冷却条件と125℃の加熱条件におい
て、冷熱サイクル処理を施しても、封止充填されている
樹脂硬化物におけるクラックの発生が効果的に抑制され
たものとできる。また、その際、接着性不良などの不良
も抑制でき、本発明にかかる電子部品は、寒暖差の大き
な環境下、外部からの水分の浸入を長期にわたり防護さ
れた、耐環境性に優れたものとなる。
【0098】
【実施例】以下に、具体例を挙げて、本発明の封止充填
剤用液状エポキシ樹脂組成物、それを用いた封止充填に
おいて達成される酸化皮膜の除去効果に関して、より具
体的に説明する。なお、以下に示す実施例などは、本発
明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発
明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0099】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
成物の示す特徴である、鉛フリーハンダ材料表面に生成
する酸化皮膜の除去作用を検証した。具体的には、付加
的成分として添加されている、ジカルボン酸によって、
フラックス活性の増強が所望の程度に達成することを検
証した。
【0100】加えて、本発明の構成をとることにより、
鉛を含まない錫合金ハンダの融点より有意に高い温度ま
で加熱を進めた際にも、含有されている成分の熱的分解
等に起因するボイドの発生を十分に抑制されることを検
証した。
【0101】ジカルボン酸の添加に伴う、液状エポキシ
樹脂組成物中に必須成分として含まれる、(B)硬化剤
の酸無水物が関与する、ハンダ材料の酸化皮膜の除去効
率の差異は、封止充填剤を充填硬化させた試料につい
て、ハンダ不良が要因と推察される、電極間の導通試験
において、導通不良発生の有無により判定した。
【0102】(比較例1)バンプを形成するハンダ材料
として、鉛を含まないスズ合金ハンダ、所謂、鉛フリー
ハンダの一つ、組成がSn:95.8%、Ag:3.5
%、Cu:0.7%(熔融点:217℃)のSn−Ag
ハンダを用いる場合、その融点を大きく超えない温度で
使用可能なアンダーフィル用のエポキシ樹脂として、液
状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂のエピコート828(商品名、ジャパンエポキシレジ
ン社製、エポキシ当量 約190)100質量部当た
り、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無
水物誘導体のYH−307(商品名;ジャパンエポキシ
レジン社製、酸無水物当量 約230)120質量部
と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一
つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI1
2(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、分子量17
2)0.8質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を
調製した。
【0103】前記の三成分を均一に混合した後、減圧脱
泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この
液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温
度250℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされ
る。
【0104】(実施例1)本発明の封止充填剤用液状エ
ポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、バンプを形
成するハンダ材料として、前記のSn−Agハンダ(熔
融点:217℃)が利用される際に好適な組成比を有す
る、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分のフラ
ックス活性増強成分として、ジカルボン酸を含む液状エ
ポキシ樹脂組成物とした。このジカルボン酸として、こ
の実施例1においては、直鎖状アルカン二酸;ω,ω’
−アルカンジカルボン酸(HOOC−(CH2n−CO
OH)の一つであるドデカン二酸(宇部興産(株)製、
分子量230.3、融点129℃、沸点245℃(1
0mmHg))を用いた。
【0105】液状エポキシ樹脂として、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質
量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフ
タル酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量
部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一
つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI1
2(前出)0.8質量部を添加した液状エポキシ樹脂組
成物を調製した。加えて、ドデカン二酸10質量部を、
フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成
物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目
的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬
化温度250℃において、2〜5分間で所望の硬化がな
される。
【0106】(実施例2)前記実施例1と比べて、ドデ
カン二酸の添加比率を高くした液状エポキシ樹脂組成物
を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前
出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テ
トラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前
出)120質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミ
ダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾ
ールのBMI12(前出)0.8質量部を添加した液状
エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、ドデカン二酸
20質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エ
ポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱
泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成
物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化
条件として、硬化温度250℃において、2〜5分間で
所望の硬化がなされる。
【0107】(実施例3)前記実施例1において用いた
ドデカン二酸に代えて、セバシン酸(デカン二酸;1,
8−オクタンジカルボン酸)を付加的成分のフラックス
活性増強成分として利用する、液状エポキシ樹脂組成物
を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前
出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テ
トラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前
出)120質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミ
ダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾ
ールのBMI12(前出)0.8質量部を添加した液状
エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、セバシン酸
(デカン二酸:豊国製油(株)製、 分子量202.2
5、融点135℃、沸点294.5℃(100mmH
g))10質量部を、フラックス活性増強成分として、
液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、
減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹
脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、
熱硬化条件として、硬化温度250℃において、2〜5
分間で所望の硬化がなされる。
【0108】(参考例1)前記比較例1と比べて、酸無
水物の含有比率を高め、フラックス活性の増強を図った
液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化
剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導
体のYH−307(前出)130質量部と、硬化促進剤
として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル
−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)0.8
質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬
化温度250℃において、2〜5分間で所望の硬化がな
される。
【0109】次いで、実施例1〜3の液状エポキシ樹脂
組成物と比較例1ならびに参考例1の液状エポキシ樹脂
組成物について、それぞれ同様の条件でフリップチップ
実装を行い、得られた実装済み半導体装置について、チ
ップ部品とプリント回路基板の電極間の導通不良の有無
を評価した。加えて、実装済みのプリント回路基板につ
いて、透視観察して、空隙(ボイド)の有無を検査し
た。
【0110】なお、用いた硬化条件は、20℃から25
0℃まで急速に昇温(1.5℃/s)し、250℃で2
0秒間保持した。この保持後、強制冷却した。
【0111】表1に、導通試験結果を併せて示す。導通
試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合
格品数の比率をもって、その指標とする。
【0112】
【表1】
【0113】表1に示す通り、ドデカン二酸を添加して
いる、実施例2の液状エポキシ樹脂組成物においては全
数合格、実施例1の液状エポキシ樹脂組成物において
も、導通不良は20%程度であった。また、セバシン酸
を用いた実施例3の液状エポキシ樹脂組成物において
も、導通不良は35%程度に抑制されていた。一方、比
較例1の液状エポキシ樹脂組成物では、凡そ95%程度
に導通不良が発生している。なお、参考例1の液状エポ
キシ樹脂組成物においては、酸無水物の含有量を増すこ
とでフラックス活性が増しているものの、なお、導通不
良は90%以上に達している。従って、本発明の液状エ
ポキシ樹脂組成物においては、フラックス活性増強成分
のドデカン二酸、あるいはセバシン酸の添加により、酸
無水物の示す、フラックス活性が付与・増進されている
結果、リフロー処理によって前記の様に良好なバンプ電
極による接合がなされていると判断される。
【0114】一方、ボイド発生は、実施例1、2の液状
エポキシ樹脂組成物においては、全く見出されず、ま
た、実施例3の液状エポキシ樹脂組成物においても、こ
の温度範囲では見出されていない。勿論、参考例1、比
較例1の液状エポキシ樹脂組成物においても、ボイド発
生は見出されていない。
【0115】(実施例4)前記の結果に基づき、実施例
1に記載する組成の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成
物を用いて、以下の手順によりアンダーフィルの充填を
行った。その結果、上記Sn−Ag系ハンダ・バンプの
熔融(217℃)時、表面酸化皮膜に由来するハンダ付
け不良もなく、また、充填不良、ボイドの発生もないも
のであった。
【0116】プリント配線基板上にバンプ電極が設けら
れているフリップチップ実装に適用した。まず、前記の
バンプ電極を予め形成したプリント配線基板に、上記ア
ンダーフィル用エポキシ樹脂組成物をスクリーン印刷に
より所定のパターンに塗布する。これも裏面にバンプ電
極を形成してあるチップ部品を、このアンダーフィル剤
パターンを印刷した配線基板上のバンプ電極に対して、
両者の電極位置が整合するように位置合わせする。この
位置において、電極相互が接触するようにチップ部品を
押し付ける。その過程で、塗布されているアンダーフィ
ル剤層は押し広げられ、チップ部品の裏面とも密着す
る。また、接触しているバンプ電極、対応する基板上の
配線表面、チップ部品の裏面電極面もしっかり、押し広
げられたアンダーフィル剤で被覆される。
【0117】このチップ部品の上面から押圧した状態
で、リフロー炉内に入れ、例えば、温度250℃まで昇
温してバンプ熔融を行う。バンプハンダ付けが済み、更
にアンダーフィル剤のエポキシ樹脂の熱硬化が進行す
る。
【0118】上述する通り、この手順に従うとチップ部
品を押圧するので、チップ部品裏面との間に気泡が残る
こともないので、ボイドは発生しない。また、既に説明
した通り、酸化被膜もその場で除去されるのでハンダ付
け不良もない。このように、電極の接合不良もなく、し
かも、アンダーフィルの充填・硬化も過不足なく達成さ
れる。
【0119】なお、用いているハンダ材料が、その融点
が217℃の上述のSn−Ag系ハンダであるため、こ
のリフロー工程における昇温過程は、かかる217℃よ
り有意に高い250℃まで一定速度で昇温する過程を用
いており、その際、130℃を超えると、徐々に熱硬化
反応が進み始めるが、添加されているドデカン二酸の作
用により、前記217℃近くに達するまでに十分にフラ
ックス処理が進み、加えて、系内に残余する酸無水物濃
度が相当低くなった状態となった時点でも、なお、必要
とするフラックス活性の確保することが可能である。
【0120】(実施例5)本発明の封止充填剤用液状エ
ポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、バンプを形
成するハンダ材料として、前記のSn−Agハンダ(熔
融点:217℃)が利用される際に好適な組成比を有す
る、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分のフラ
ックス活性増強成分として、ジカルボン酸を含む液状エ
ポキシ樹脂組成物とした。このジカルボン酸として、こ
の実施例5においても、直鎖状アルカン二酸の一つであ
るドデカン二酸(前出)を用いた。
【0121】液状エポキシ樹脂として、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質
量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフ
タル酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量
部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一
つ、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチ
ルイミダゾールの2E4MZ−CN(商品名、四国化成
社製、分子量 163)0.3質量部を添加した液状エ
ポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、ドデカン二酸2
0質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポ
キシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡
処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物
を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条
件として、硬化温度250℃において、2〜5分間で所
望の硬化がなされる。
【0122】(実施例6)前記実施例5と比べると、フ
ラックス活性増強成分として、ドデカン二酸の添加に加
え、水添ロジン:フォーラルAXE(商品名、日商岩井
ケミカル社製、平均分子量 310)をも少量添加する
変更を施し、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体
的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部
当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル
酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量部
と、硬化促進剤として、少量の2E4MZ−CN(前
出)0.3質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を
調製した。加えて、ドデカン二酸20質量部ならびに水
添ロジン(前出)10質量部を、フラックス活性増強成
分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散し
た。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液
状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹
脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度250℃にお
いて、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
【0123】(実施例7)本発明の封止充填剤用液状エ
ポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、バンプを形
成するハンダ材料として、前記のSn−Agハンダ(熔
融点:217℃)が利用される際に好適な組成比を有す
る、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分のフラ
ックス活性増強成分として、前記実施例6と同じく、直
鎖状アルカン二酸の一つであるドデカン二酸(前出)
と、少量の水添ロジン(前出)を含む液状エポキシ樹脂
組成物とした。加えて、硬化剤の酸無水物として、テト
ラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)
に代えて、水添ナジック酸の酸無水物:HNA(商品
名、新日本理化社製、酸無水物当量 95)を利用し
た。
【0124】液状エポキシ樹脂として、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質
量部当たり、硬化剤の酸無水物として、HNA(前出)
87質量部と、硬化促進剤として、少量の2E4MZ−
CN(前出)0.3質量部を添加した液状エポキシ樹脂
組成物を調製した。加えて、ドデカン二酸20質量部な
らびに水添ロジン(前出)10質量部を、フラックス活
性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に
分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填
剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポ
キシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度250
℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
【0125】次いで、実施例5〜7の液状エポキシ樹脂
組成物について、それぞれ、上記実施例2の液状エポキ
シ樹脂組成物と同様の条件でフリップチップ実装を行
い、得られた実装済み半導体装置について、チップ部品
とプリント回路基板の電極間の導通不良の有無を評価し
た。加えて、実装済みのプリント回路基板について、透
視観察して、空隙(ボイド)の有無を検査した。
【0126】なお、用いた硬化条件は、20℃から25
0℃まで急速に昇温(1.5℃/s)し、250℃で2
0秒間保持した。この保持後、強制冷却した。
【0127】表2に、導通試験結果を併せて示す。導通
試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合
格品数の比率をもって、その指標とする。
【0128】
【表2】
【0129】表2に示す通り、硬化促進剤として、BM
I12に代えて、2E4MZ−CNを用いる結果、同量
のドデカン二酸を添加している実施例2の液状エポキシ
樹脂組成物と比較すると、若干導通不良の比率は増すも
のの、実施例5の液状エポキシ樹脂組成物においても、
導通不良は20%程度に抑えられている。なお、補足的
なフラックス活性増強成分として、さらに、水添ロジン
(前出)を少量添加することで、実施例6の液状エポキ
シ樹脂組成物においては、導通不良はもはや見出されな
くなっている。また、硬化剤の酸無水物として、テトラ
ヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307に代えて、
水添ナジック酸の酸無水物HNA(前出)を採用した際
にも、補足的なフラックス活性増強成分として、さら
に、水添ロジン(前出)を少量添加することで、実施例
7の液状エポキシ樹脂組成物においては、導通不良はも
はや見出されなくなっている。
【0130】従って、硬化促進剤として利用する、イミ
ダゾール類の硬化促進作用の相違がある場合において
も、本発明の液状エポキシ樹脂組成物においては、フラ
ックス活性増強成分のドデカン二酸の添加により、酸無
水物の示す、フラックス活性が付与・増進されている結
果、リフロー処理によって前記の様に良好なバンプ電極
による接合がなされていると判断される。
【0131】一方、ボイド発生は、実施例2の液状エポ
キシ樹脂組成物と比較して、より硬化が促進されてい
る、これら実施例5〜7の液状エポキシ樹脂組成物にお
いても、全く見出されていない。
【0132】加えて、得られるエポキシ樹脂硬化物は、
それを構成するエポキシ樹脂成分と硬化剤の酸無水物の
骨格構造に応じて、可撓性、接着性に違いが生じ、特
に、氷点以下の温度に冷却した際、剪断強度、剥離強度
の低下が生じると、反復的に加熱・冷却を繰り返す間
に、封止充填した樹脂硬化物の内部分的な剥離、あるい
は、樹脂硬化物の表面における微細なクラック発生の有
無に差異が生じる。この冷却における樹脂硬化物の可撓
性、接着性の相違を比較するため、前記実施例5〜7の
液状エポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例4に記載
する実装と同じ要領で、アンダーフィルの充填・硬化
と、ハンダ材のリフロー工程を施したプリント基板上に
実装された半導体素子について、冷熱サイクル試験を実
施した。
【0133】冷熱サイクル試験は、温度条件を、冷却状
態−45℃、加熱状態125℃の条件と、特に、冷却時
の条件をより過酷とした、冷却状態−65℃、加熱状態
125℃の条件とで行った。表3に、実施例5〜7の液
状エポキシ樹脂組成物を用いて、アンダーフィルの充填
・硬化と、ハンダ材のリフロー工程を施した実装半導体
素子の冷熱サイクル試験における結果、特に、封止充填
剤部の劣化に起因する不良発生比率、ならびに、サイク
ル試験終了時における封止充填剤部の硬化樹脂に微細な
クラック発生の有無に関する評価結果を示す。冷熱サイ
クル試験結果は、全試料数50に対して、不良発生の無
い品数の比率をもって、その指標とする。
【0134】
【表3】
【0135】樹脂硬化物を構成するエポキシ樹脂成分と
その硬化剤の酸無水物が同一組成である、実施例5、6
の液状エポキシ樹脂組成物の間では、得られる樹脂硬化
物の可撓性、接着性など、特に、冷却した際、剪断強
度、剥離強度の低下の程度は同程度であるため、上記の
冷熱サイクル試験結果において、実質的な差異は見出さ
れていない。冷却状態が−45℃の条件では、樹脂硬化
物自体は、極端な脆さを示さず、樹脂硬化物とプリント
基板と熱膨張率の差異に由来する歪応力によるクラック
発生も、問題となる頻度ではない。一方、冷却状態が−
65℃の条件では、かかるエポキシ樹脂硬化物自体は、
柔軟性に乏しく、脆さを示す状態となり、冷熱サイクル
時の歪応力によるクラック発生がより顕著となってい
る。
【0136】一方、硬化剤の酸無水物として、HNAを
採用している実施例7の液状エポキシ樹脂組成物におい
ては、そのエポキシ樹脂硬化物自体は、この酸無水物に
由来する構造には、不飽和炭素結合を有してなく、テト
ラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307を利用す
る実施例5、6の液状エポキシ樹脂組成物によるエポキ
シ樹脂硬化物と比較して、より柔軟性に富むものとな
る。その相違により、冷却状態が−45℃の条件では、
未だ脆さを示さず、不良発生もなく、歪応力によるクラ
ック発生が回避されている。さらに、冷却状態が−65
℃の条件でも、樹脂硬化物自体は、極端な脆さを示さ
ず、僅かに不良発生、歪応力によるクラック発生は見ら
れるものの、問題となる頻度ではない。
【0137】樹脂硬化物自体の可撓性、接着性、特に、
冷却した際、剪断強度、剥離強度の低下をより小さなも
のとするため、利用する硬化剤の酸無水物として、不飽
和炭素結合を持たない水添ナジック酸の酸無水物HNA
を利用した上に、エポキシ樹脂成分自体も、可撓性、接
着性の向上が図られるニトリル変性エポキシ樹脂の利
用、あるいは、少量のアクリルゴムなど、熱可塑性樹脂
成分の添加、微粒子状の熱可塑性樹脂の分散など、柔軟
性を付加することで、脆さを改善し、より高靭性を発揮
する上で効果を持つものを利用して、液状エポキシ樹脂
組成物を調製した。
【0138】(実施例8)本発明の封止充填剤用液状エ
ポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、バンプを形
成するハンダ材料として、前記のSn−Agハンダ(熔
融点:217℃)が利用される際に好適な組成比を有す
る、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分のフラ
ックス活性増強成分として、前記実施例7と同じく、直
鎖状アルカン二酸の一つであるドデカン二酸(前出)
と、少量の水添ロジン(前出)を含む液状エポキシ樹脂
組成物とした。硬化剤の酸無水物として、HNA(前
出)を用い、エポキシ樹脂成分として、エピコート82
8(前出)に代えて、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
を主成分とする低粘度エポキシ樹脂であるEXA−83
5LV(商品名;大日本インキ化学工業社製、 エポキ
シ当量: 165)とCTBN変性エポキシ樹脂である
EPR−4023(商品名;旭電気化学工業社製、エポ
キシ当量: 230)とを混合して用いた。
【0139】液状エポキシ樹脂として、EXA−835
LV(前出)50質量部:EPR−4023(前出)5
0質量部の比率で混合される、エポキシ樹脂100質量
部当たり、硬化剤の酸無水物として、HNA(前出)8
0質量部と、硬化促進剤として、少量の2E4MZ−C
N(前出)0.3質量部を添加した液状エポキシ樹脂組
成物を調製した。加えて、ドデカン二酸20質量部なら
びに水添ロジン(前出)10質量部を、フラックス活性
増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分
散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤
用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキ
シ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度250℃
において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
【0140】(実施例9)本発明の封止充填剤用液状エ
ポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、バンプを形
成するハンダ材料として、前記のSn−Agハンダ(熔
融点:217℃)が利用される際に好適な組成比を有す
る、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分のフラ
ックス活性増強成分として、前記実施例7と同じく、直
鎖状アルカン二酸の一つであるドデカン二酸(前出)
と、少量の水添ロジン(前出)を含む液状エポキシ樹脂
組成物とした。硬化剤の酸無水物として、HNA(前
出)を用い、エポキシ樹脂成分として、エピコート82
8(前出)に代えて、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
を主成分とする低粘度エポキシ樹脂であるEXA−83
5LV(前出)とコアシェル型の平均粒径0.5μmゴ
ム成分微粒子を分散したエポキシ樹脂であるYR−62
8(商品名;東都化成社製、 エポキシ当量: 22
5)とを混合して用いた。
【0141】液状エポキシ樹脂として、EXA−835
LV(前出)30質量部:YR−628(前出)70質
量部の比率で混合される、エポキシ樹脂100質量部当
たり、硬化剤の酸無水物として、HNA(前出)86質
量部と、硬化促進剤として、少量の2E4MZ−CN
(前出)0.3質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成
物を調製した。加えて、ドデカン二酸20質量部ならび
に水添ロジン(前出)10質量部を、フラックス活性増
強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散
した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用
液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ
樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度250℃に
おいて、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
【0142】(実施例10)本発明の封止充填剤用液状
エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、バンプを
形成するハンダ材料として、前記のSn−Agハンダ
(熔融点:217℃)が利用される際に好適な組成比を
有する、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分の
フラックス活性増強成分として、前記実施例9と同じ
く、直鎖状アルカン二酸の一つであるドデカン二酸(前
出)と、少量の水添ロジン(前出)を含む液状エポキシ
樹脂組成物とした。硬化剤の酸無水物として、テトラヒ
ドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)を用
い、エポキシ樹脂成分として、エピコート828(前
出)に代えて、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を主成
分とする低粘度エポキシ樹脂であるEXA−835LV
(前出)とコアシェル型の平均粒径0.5μmゴム成分
微粒子を分散したエポキシ樹脂であるYR−628(前
出)とを混合して用いた。
【0143】液状エポキシ樹脂として、EXA−835
LV(前出)30質量部:YR−628(前出)70質
量部の比率で混合される、エポキシ樹脂100質量部当
たり、硬化剤の酸無水物として、YH−307(前出)
110質量部と、硬化促進剤として、少量の2E4MZ
−CN(前出)0.3質量部を添加した液状エポキシ樹
脂組成物を調製した。加えて、ドデカン二酸20質量部
ならびに水添ロジン(前出)10質量部を、フラックス
活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一
に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充
填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エ
ポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度25
0℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
【0144】次いで、実施例8〜10の液状エポキシ樹
脂組成物の液状エポキシ樹脂組成物について、それぞ
れ、上記実施例7の液状エポキシ樹脂組成物と同様の条
件でフリップチップ実装を行い、得られた実装済み半導
体装置について、チップ部品とプリント回路基板の電極
間の導通不良の有無を評価した。加えて、実装済みのプ
リント回路基板について、透視観察して、空隙(ボイ
ド)の有無を検査した。
【0145】なお、用いた硬化条件は、20℃から25
0℃まで急速に昇温(1.5℃/s)し、250℃で2
0秒間保持した。この保持後、強制冷却した。
【0146】表4に、導通試験結果を併せて示す。導通
試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合
格品数の比率をもって、その指標とする。
【0147】
【表4】
【0148】表4に示す通り、硬化剤、ならびにフラッ
クス活性の主体として機能する、酸無水物として、HN
A(前出)を用い、主なフラックス活性増強成分とし
て、ドデカン二酸を、補足的なフラックス活性増強成分
として、さらに、水添ロジン(前出)を少量添加するこ
とで、実施例7の液状エポキシ樹脂組成物に比較して、
酸無水物HNAの含有比率が若干少ない、実施例8、9
の液状エポキシ樹脂組成物においても、導通不良は見出
されていない。また、硬化剤の酸無水物として、テトラ
ヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)を
用いている実施例10の液状エポキシ樹脂組成物におい
ても、実施例9の液状エポキシ樹脂組成物と同じく、導
通不良は見出されていない。
【0149】従って、利用するエポキシ樹脂の種類は異
なるものの、実施例8、9の液状エポキシ樹脂組成物、
あるいは、実施例10の液状エポキシ樹脂組成物におい
ても、先に示す実施例7、あるいは実施例6の液状エポ
キシ樹脂組成物と同様に、フラックス活性増強成分のド
デカン二酸と水添ロジンの添加により、酸無水物の示す
フラックス活性が付与・増進されている結果、リフロー
処理によって前記の様に良好なバンプ電極による接合が
なされていると判断される。また、ボイド発生は、これ
ら実施例8〜10の液状エポキシ樹脂組成物において
も、全く見出されていない。
【0150】加えて、これら実施例8、9の液状エポキ
シ樹脂組成物は、得られるエポキシ樹脂硬化物は、それ
を構成する硬化剤の酸無水物の骨格構造に不飽和炭素結
合を含まず、同時に、エポキシ樹脂成分にも、ニトリル
ゴム成分付加による変性、あるいは、ゴム質の微粒子分
散によって、可撓性、接着性の向上を図る成分を利用す
ることで、特に、冷却した際、剪断強度、剥離強度の低
下をより緩和することを、主な目的としている。この冷
却における樹脂硬化物の可撓性、接着性の向上を検証す
るため、実施例8〜10の液状エポキシ樹脂組成物を用
いて、前記実施例4に記載する実装と同じ要領で、アン
ダーフィルの充填・硬化と、ハンダ材のリフロー工程を
施したプリント基板上に実装された半導体素子につい
て、冷熱サイクル試験を実施した。
【0151】冷熱サイクル試験は、温度条件を、冷却状
態−45℃、加熱状態125℃の条件と、特に、冷却時
の条件をより過酷とした、冷却状態−65℃、加熱状態
125℃の条件とで行った。表5に、実施例8〜10の
液状エポキシ樹脂組成物を用いて、アンダーフィルの充
填・硬化と、ハンダ材のリフロー工程を施した実装半導
体素子の冷熱サイクル試験の結果を示す。冷熱サイクル
試験結果は、全試料数50に対して、不良発生の無い品
数の比率をもって、その指標とする。
【0152】
【表5】
【0153】実施例8、9の液状エポキシ樹脂組成物を
用いた場合も、上記実施例7の液状エポキシ樹脂組成物
を用いた際と同様に、冷却状態が−45℃の条件では、
樹脂硬化物自体は、脆さを示さず、樹脂硬化物とプリン
ト基板と熱膨張率の差異に由来する歪応力によるクラッ
ク発生もなく、不良が見出されていない。加えて、実施
例8、9の液状エポキシ樹脂組成物を用いた場合、硬化
剤の酸無水物の骨格構造に不飽和炭素結合を含まず、同
時に、エポキシ樹脂成分にも、ニトリルゴム成分付加に
よる変性、あるいは、ゴム質の微粒子分散によって、可
撓性、接着性の向上を図る成分を利用する結果、冷却状
態が−65℃の条件でも、かかるエポキシ樹脂硬化物自
体は、脆さを示さず、高い靭性を保持し、冷熱サイクル
時の歪応力によるクラック発生も回避でき、不良が見出
されていない。
【0154】また、実施例10の液状エポキシ樹脂組成
物を用いた場合も、エポキシ樹脂成分に、ゴム質の微粒
子分散によって、可撓性、接着性の向上を図る成分を利
用する結果、冷却状態が−45℃の条件では、樹脂硬化
物自体は、脆さを示さず、樹脂硬化物とプリント基板と
熱膨張率の差異に由来する歪応力によるクラック発生も
なく、不良が見出されていない。なお、用いている硬化
剤の酸無水物は、その骨格構造に不飽和炭素結合を残す
結果、冷却状態が−65℃の条件では、低温における脆
さの改善がやや不足し、冷熱サイクルを繰り返すととも
に、クラック発生が若干生じ、同時に、一部に不良も見
出されている。
【0155】
【発明の効果】本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂
組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポ
キシ樹脂と(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する
硬化剤として酸無水物、さらに付加的成分として、付加
的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラック
ス活性増強成分となる、ジカルボン酸、例えば、母体鎖
の炭素数が9〜15の鎖状ジカルボン酸を少量、具体的
には、(B)硬化剤の酸無水物1モル当たり、この
(C)フラックス活性増強成分のジカルボン酸の含有量
を、5×10-2〜5×10-1モルの範囲となるように添
加した液状エポキシ樹脂組成物である。この液状エポキ
シ樹脂組成物が充填された状態において、チップ部品と
プリント配線基板の電極間に互いに物理的な接触を形成
する配置されている、融点が200℃以上、230℃を
超えない鉛フリー錫合金ハンダ製、特には、Sn−Ag
系ハンダ製のバンプ電極を加熱熔融した際、ジカルボン
酸のカルボキシ基より供与されるプロトンによって、
(B)硬化剤の酸無水物が有するフラックス活性の増強
がなされ、バンプ電極などの表面の酸化皮膜、例えば、
錫の酸化物の除去を行うことができる。一方、前記の
(B)硬化剤の酸無水物は、前記錫の酸化物との反応に
より、若干量が消費されるものの、過度な含有量の減少
でなく、例えば、副次的な成分として添加されている、
硬化促進剤の含有量を少量に留めるなどして、用いる鉛
フリー錫合金ハンダに適合する比較的に高い熱硬化温度
で加熱処理をした際にも、酸化物皮膜の除去とともに、
適正な速度で熱硬化が進行し、所望の熱硬化物とでき
る。また、添加されるジカルボン酸の沸点は熱硬化温度
より十分に高いので、その気化による気泡の形成もな
く、ボイドの発生の要因ともならない。また、利用する
母体鎖の炭素数は比較的に長いジカルボン酸は、エポキ
シ樹脂との相溶性も優れており、熱硬化が次第に進行し
ていく間も、樹脂組成物中に均一に分散して、(B)硬
化剤の酸無水物が有するフラックス活性の増強作用を維
持でき、従って、予めバンプ電極などの表面の酸化皮膜
を除去するため、フラックスによる処理を施さなくと
も、バンプ電極に用いるハンダの良好な熔融、ハンダ付
けによる電極間の接合ができ、同時に封止充填剤の熱硬
化が行えるという利点が得られる。加えて、この方式の
封止充填は、高い作業効率性を持ち、特に、プリント配
線基板上にスクリーン印刷などの手段で所望の液状エポ
キシ樹脂組成物層を塗布形成するので、プリント配線基
板の形状・材質に依らず、全般的な工程の短縮化、なら
びにボイド発生などの不良要因の根絶が可能となる。加
えて、(B)硬化剤の酸無水物として、その分子骨格内
に不飽和炭素結合を含まないものを利用し、さらには、
(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂成分として、熱可塑
性樹脂成分の少量添加、微粒子状の熱可塑性樹脂の分
散、熱可塑性樹脂分子の付加修飾による変性などによっ
て、得られる樹脂硬化物において、靭性を増し、特に、
低温脆性が改善された、接着性、可撓性に富み、特に、
冷却した際、剪断強度、剥離強度の低下がより緩和され
たものとできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 英之 茨城県つくば市東光台5丁目9番の3 ハ リマ化成株式会社筑波研究所内 Fターム(参考) 4J036 AD01 AF01 AG03 AJ08 DA04 DB18 DB19 DB20 DB21 DB22 JA07 4M109 AA01 EA02 EA17 EB02 EB04 EB18 EB19 EC20 5F044 LL01 LL05 RR17

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バンプ電極材料として、融点が200℃
    以上、高くとも、230℃を超えない範囲の鉛フリー錫
    合金ハンダ材料を用いているフリップチップ実装の封止
    充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であっ
    て、 前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、
    (A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬
    化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さら
    に、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有する
    フラックス活性増強成分を含んでなり、 前記(C)フラックス活性増強成分が、炭素数9〜15
    のジカルボン酸であり、 前記(B)硬化剤の酸無水物1モル当たり、前記(C)
    フラックス活性増強成分のジカルボン酸の含有量が、5
    ×10-2〜5×10-1モルの範囲に選択されていること
    を特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (B)硬化剤の酸無水物に加えて、 副次的な添加成分として、前記酸無水物によるエポキシ
    環の開環反応を促進する硬化促進剤をも含むことを特徴
    とする請求項1に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 その他の副次的な添加成分として、応力
    緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤、
    チキソ剤から選択する1種以上の添加成分をも含むこと
    を特徴とする請求項1に記載の封止充填剤用液状エポキ
    シ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビス
    フェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェ
    ノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン
    酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、
    脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択
    される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特
    徴とする請求項1に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 (A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量
    に対して、(B)硬化剤の酸無水物を0.9〜1.1当
    量含むことを特徴とする請求項1に記載の封止充填剤用
    液状エポキシ樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 さらに、前記硬化促進剤の含有量を、
    (A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり、
    0.1〜1.2質量部の範囲に選択することを特徴とす
    る請求項2に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記ジカルボン酸は、ω,ω’−直鎖炭
    化水素ジカルボン酸であり、その炭素数は、C10〜C
    13の範囲に選択されていることを特徴とする請求項1
    に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 (B)硬化剤の酸無水物として、飽和な
    環状炭化水素ジカルボン酸由来の分子内酸無水物を用い
    ることを特徴とする請求項1に記載の封止充填剤用液状
    エポキシ樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 (A)の熱硬化性エポキシ樹脂として、
    熱可塑性樹脂成分の少量添加、微粒子状の熱可塑性樹脂
    の分散、熱可塑性樹脂分子の付加修飾による変性のいず
    れかの処理により、かかる熱可塑性樹脂に由来する強靭
    性が付与された熱硬化性エポキシ樹脂成分を、少なくと
    も部分的に含むことを特徴とする請求項1に記載の封止
    充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 副次的な添加成分として含有される、
    前記硬化促進剤として、イミダゾール類を含有すること
    を特徴とする請求項2に記載の封止充填剤用液状エポキ
    シ樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 フリップチップ実装における封止充填
    の方法であって、(1)基板用電極を有するプリント配
    線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とを融点
    が200℃以上、高くとも、230℃を超えない範囲の
    鉛フリー錫合金ハンダ材料製のバンプ電極を用いて両電
    極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の
    所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記バンプ電極
    と電極間の接触を図る工程、(2)前記バンプ電極と電
    極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前
    記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置され
    る前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったバンプ電
    極と電極とを被覆するように、請求項1〜10のいずれ
    かに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満た
    す充填工程、(3)次いで加熱して、前記所定の領域の
    間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、
    前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状
    エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを
    熔融させる工程、所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔
    融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハ
    ンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹
    脂により封止充填を完了する工程、上記(1)〜(3)
    の一連の工程を有する、封止充填剤として請求項1〜1
    0のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組
    成物を用いることを特徴とする封止充填の方法。
  12. 【請求項12】 前記のハンダ材料は、Sn−Ag系合
    金であることを特徴とする請求項11に記載の封止充填
    の方法。
  13. 【請求項13】 プリント配線基板上に、チップ部品を
    融点が200℃以上、高くとも、230℃を超えない範
    囲の鉛フリー錫合金ハンダ材料を利用して、フリップチ
    ップ実装し、その間に封止充填がなされてなる実装組み
    立て済み電子部品であって、前記プリント配線基板は、
    基板用電極を有するプリント配線基板であり、前記チッ
    プ部品は、チップ部品用電極を有するチップ部品であ
    り、そのフリップチップ実装において、両電極間の相互
    導通は、前記鉛フリー錫合金ハンダ材料製のバンプ電極
    を用いてなされており、前記鉛フリー錫合金ハンダ材料
    を利用するフリップチップ実装と封止充填とが、前記請
    求項11または12に記載される封止充填の方法でなさ
    れていることを特徴とする電子部品。
  14. 【請求項14】 プリント配線基板上にフリップチップ
    実装、封止充填される前記チップ部品の少なくとも一つ
    は、半導体素子チップであることを特徴とする請求項1
    3に記載の電子部品。
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