JPWO2002044241A1 - 封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、フリップチップ実装において、錫合金ハンダを利用するバンプ電極等の酸化皮膜を除去するフラックス処理と同等の機能をも付与され、アンダーフィル(封止充填剤)としても所望の樹脂特性を有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を提供する;具合的には、本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)硬化剤として酸無水物、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分、例えば、ジカルボン酸などを少量含有しており、かかるフラックス活性増強成分のプロトン供与能により、酸無水物のフラックス活性が増強され、アンダーフィル(封止充填剤)の熱硬化と同時に、バンプ電極等の酸化皮膜除去がなされる。

Description

技 術 分 野
本発明は、フリップチップ実装における封止充填の際に利用される、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物と、それを用いた封止充填方法に関する。より具体的には、加熱して、封止充填剤の熱硬化を行う際、フリップチップ実装に利用されるハンダ製のバンプの熔融をも行い、電極とバンプとの間をハンダ付け固着・接合する工程において、ハンダ製のバンプをも覆う封止充填剤に好適な液状エポキシ樹脂組成物に関する。例えば、バンプを形成するハンダ材にスズ−鉛共晶ハンダを使用した際にも、その低い溶融温度においても、十分なフラックス活性が達成できる封止充填剤として、より好適に利用される液状エポキシ樹脂組成物に関する。更には、バンプを形成するハンダ材に鉛を含有しない錫系合金ハンダ、所謂、鉛フリーハンダを使用した際にも、その比較的に高い溶融温度においても、十分なフラックス活性が達成できる封止充填剤として、より好適に利用される液状エポキシ樹脂組成物に関する。
背 景 技 術
電子機器の軽量化、小型化ならびに薄型化を進めるに際し、プリント配線基板上に半導体チップ部品を実装する方法として、フリップチップ実装方式の採用が進められている。このフリップチップ実装方式では、チップ部品の実装面(裏面)にチップ部品用電極を形成し、これをプリント配線基板上に形成されている基板用電極の所定の領域(実装領域)に対向させて配置し、両電極間に所望の導通を達成するためにバンプ電極が用いられる。例えば、チップ部品の実装面(裏面)に形成されるチップ部品用電極に、予め球形状のハンダで作製されるバンプ電極を設け、このバンプ電極を基板用電極の所定の領域(実装領域)に接触させる。その配置において、ハンダを熔融させると、基板用電極と接触させた所望の位置にハンダ付け固着・接合がなされる。これによりバンプ電極を介して、チップ部品とプリント配線基板の両電極間に所望の導通が達成される。あるいは、逆にバンプ電極をプリント配線基板の電極上に設ける手法を用いることもある。
このフリップチップ実装方式では、チップ部品とプリント配線基板の両電極間を接続するバンプ電極のみによって、チップ部品は固着されることになる。小型化や薄型化を目的とする実装方法であるため、このバンプ電極は、可能な限り小さくされる。チップ部品とプリント配線基板は、その熱膨張係数が異なっており、動作時の温度変化に伴い、相対的にプリント配線基板の熱膨張あるいは熱収縮が生じた際、バンプ電極には、その熱変位を吸収・緩和する遊び・撓みが存在しない。温度変化(熱サイクル)が繰り返されると、前記の熱変位に由来する応力歪みが反復された結果、バンプ電極と電極間の接合箇所(ハンダ付け箇所)における剥離を引き起こすこともある。
この熱サイクル劣化を抑制するため、チップ部品とプリント配線基板との間隙に相互を接着・固定して、相対的な熱変位を低減する役割を有する樹脂による充填・封止が行われる。この封止充填剤は、アンダーフィルと呼ばれるが、その使用目的からして、チップ部品とプリント配線基板と間隙を密に充填し、ボイドと称される未充填の残り(空隙)を生じないように充填される。さらには、バンプ電極の周囲をも密に被覆するように充填・封止が行われる。
従来は、バンプ電極と電極間の接合(ハンダ付け)を先に行い、その後、チップ部品とプリント配線基板との間隙に、液状エポキシ樹脂組成物を注入、染み込ませる手法が利用されていた。この手法では、高集積化に伴いチップ部品自体が大型化し、また、プリント配線基板の基板電極と結線すべき電極数(端子数)が多くなり、バンプ電極相互の間隔、チップ部品とプリント配線基板との間隙が更に狭まると、ボイドの発生頻度が増す懸念がある。また、液状エポキシ樹脂組成物の注入工程は、作業効率を更に上げる際の障害ともなっている。
これらの課題を回避する手法として、予め、プリント配線基板上の所定領域に合わせて、液状エポキシ樹脂組成物の層をスクリーン印刷等の手段で形成しておき、プリント配線基板上にチップ部品を配置し、バンプ電極と電極間の接触を行う際、チップ部品の実装面(裏面)で液状エポキシ樹脂組成物の層を押し伸ばす手法が提案されている(特開平11−354555号公報など)。前記のチップ部品を圧接する工程で、バンプ電極と電極間の接触とともに、チップ部品とプリント配線基板の間に隙間なく液状エポキシ樹脂組成物の充填が行われる。次いで、バンプ電極と電極間の接合(ハンダ付け)を行うべく、リフロー炉内においてハンダ製のバンプを熔融するため加熱を行う。この加熱処理の際、充填されている液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化も行われ、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着が同時に達成される。予めアンダーフィル(封止充填剤)を再現性・作業性の高いスクリーン印刷等の手段で作製でき、また、加熱工程を一体化できるため、作業効率は大幅に向上する方法である。
前記のバンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の工程で行う方法は、作業性の点では優れた方法であり、特に、高集積化に伴うチップ部品自体の大型化、電極数(端子数)の増加にも容易に対応できるという大きな利点を持っている。一方、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)の際、バンプ(球状ハンダ)の表面あるいは回路の電極面上に酸化皮膜が残っていると、バンプ(球状ハンダ)自体の熔融が均一とならない、あるいは、回路の電極面とハンダとの濡れが不良となるといった不具合が少なからず生ずる。このハンダ付け不良の問題は、フラックス処理を施すことで、一掃される。
しかしながら、前記の加熱処理を1工程で行う方法では、バンプ(球状ハンダ)自体をも覆うように、アンダーフィルの充填がなされるため、前もってフラックス処理を施しておく必要があった。それでもなお、フラックス処理後に形成される酸化皮膜の影響は残り、処理後の時間経過とともに、その影響は増すものであった。そのため、予めフラックス処理を施しても、なお、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導通不良の発生が少なからず見出されている。
加えて、従来から前記のバンプ(球状ハンダ)の作製には、Pb−Sn共晶合金ハンダ材が広く利用されているが、バンプ(球状ハンダ)表面の酸化皮膜の除去を行って、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同時に実施する上では、このPb−Sn共晶合金の低い熔融温度においても、十分なフラックス活性が発揮され、また、そのリフロー温度を高くし、その高い温度条件において、適度な熱硬化が進行するアンダーフィル(封止充填剤)が必要となる。
加えて、従来、前記のバンプ(球状ハンダ)の作製には、Pb−Sn合金ハンダ材が利用されているが、これに含まれる鉛は、例えば、その酸化物である酸化鉛など、有害な鉛化合物を与えるため、環境・健康を冒す懸念があり、その使用を控える努力が進められている。すなわち、鉛フリーハンダ材、具体的には、鉛に代えて、有害な化合物を与える懸念のない銀などを主成分の錫に混合した合金ハンダ材への置き換えが進められている。この鉛を含まない錫合金ハンダは、その熔融温度は、従来のPb−Sn合金ハンダよりも相当高く、物に依っては、250℃を超えることもある。
この鉛を含まない錫合金ハンダを利用し、また、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同時に実施する上では、当然にリフロー温度を高くし、その高い温度条件において、適度な熱硬化が進行するアンダーフィル(封止充填剤)が必要となる。
発明の開示
前記のアンダーフィル充填をチップ部品のプリント配線基板上へ配置・圧接と合わせて一工程内で行う方法においても、この工程の直前にフラックス処理を施すならば、上記する酸化皮膜の影響は概ね排除できるが、このような工程の時間的な自由度を制限する手段に代わり、アンダーフィル充填に利用する熱硬化型樹脂組成物中に、フラックス活性を有する成分を加え、酸化皮膜の影響を十分に排除し、工程の時間的な自由度を制限することのない新たな手段が望まれる。
本発明は、前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、予め酸化皮膜の影響を除くため、フラックス処理を施さなくとも、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の加熱工程で行った際、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導通不良の発生を有効に防止できる手段を提供することにある。より具体的には、本発明の目的は、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物自体を、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)における酸化皮膜の影響を排除するフラックス処理と同等の機能を持つ成分を含有したものとし、アンダーフィル(封止充填剤)として充填した際、バンプ電極と電極にかかる成分を供給でき、その後の加熱時に、バンプ電極と電極などの表面酸化皮膜をその場除去することができる、フラックス処理効果をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
さらに、本発明は、最終的な目的として、前記するフラックス処理効果をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることで、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導通不良の発生を防止できるフリップチップ実装における封止充填方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、目的とするフラックス処理効果をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とするためには、いかなる成分を含有する組成物とすべきか、鋭意検討・研究を進めた。その過程において、かかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、上述するように、通常プリント配線基板上にスクリーン印刷などに手段で、相当の膜厚で限定された領域に塗布する必要があり、その使用形態を考慮すると、塗布が可能な流動性は有するものの、ある程度の粘性をも持つことが望ましいと判断した。この制約条件の下、液状エポキシ樹脂組成物中に含有した際、その熱硬化性、接着性、硬化後の樹脂強度を所望の範囲に維持でき、しかも、バンプ電極と電極などの表面酸化皮膜に対してフラックス処理と同等の効果を発揮できる程度の濃度で添加可能な成分を探索した。その結果、バンプ電極に用いるハンダ材料、プリント配線基板上の電極に用いる銅などの金属材料について、その表面酸化皮膜を形成する金属酸化物に作用して、その除去を行う機能を有するものとして、液状エポキシ樹脂に対しては、硬化剤として機能する酸無水物が利用できることを見出した。特に、酸無水物の金属酸化物に対する作用は、加熱するとより高くなり、一方、液状エポキシ樹脂組成物中に、前記の表面酸化皮膜処理に消費される酸無水物を余剰に含有せしめた際にも、その余剰部分は、金属酸化物に対する反応に優先的に消費されるため、当初、酸無水物(硬化剤)の含有濃度がある程度高くとも、最終的に得られる熱硬化物の特性には、若干の影響を与えるのみであることを見出した。
つまり、通常、アンダーフィル(封止充填剤)の用途で推奨される比率、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、多くとも、酸無水物(硬化剤)を1当量未満の若干等量より少ない量、好ましくは0.8当量程度用いるが、本発明の目的では、この酸無水物(硬化剤)を余剰に用いる。その際、液状エポキシ樹脂組成物中に含有する液状エポキシ樹脂、その硬化剤として機能する酸無水物の比率について、最終的に得られる熱硬化物の特性に対する影響が許容できる範囲(上限)と、目的とするフラックス処理と同等の効果が有効に達成される範囲(好ましい下限)とを特定するため、さらに研究・検討を進めた。その結果、液状エポキシ樹脂組成物中に含有する液状エポキシ樹脂、その硬化剤として機能する酸無水物の比率について、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物(硬化剤)を1.0〜2.0当量の範囲とするとよく、好ましくは、1.1〜1.6当量、より好ましくは、1.1〜1.4当量の範囲に選択すると、目的とするフラックス処理と同等の効果がより確実に達成されることを、本発明者らは見出した。
発明者らは、前記のように、封止充填剤の樹脂主成分の熱硬化性エポキシ樹脂に対して、その硬化剤として酸無水物を用いると、この酸無水物自体、Pb−Sn合金ハンダ表面の酸化皮膜、具体的には、より卑な金属成分である錫の表面酸化膜と高い温度では反応し、フラックス成分として機能することを先ず見出した。発明者らは、この知見に基づき、その酸無水物のフラックス作用と硬化剤としての機能を共に利用する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の第一の発明を完成させた。
すなわち、本発明にかかる第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤の機能を有する酸無水物を含み、
(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)の酸無水物を1.0〜2.0当量含むことを特徴とする液状エポキシ樹脂組成物である。好ましくは、(B)の酸無水物を1.05〜1.6当量含むことを特徴とする液状エポキシ樹脂組成物とする。
なお、第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物においては、前記の必須成分に加えて、従来の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物での副次的に添加されていた成分をも加えてもよい。従って、例えば、副次的な添加成分として、硬化促進剤、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤から選択する1種以上の添加成分をも含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とすることもできる。
また、好ましくは、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とする。
加えて、第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物においては、(B)の酸無水物は、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸基水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、ならびに無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体からなる酸無水物の群から選択される1種以上の酸無水物であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物に調製するとより好ましい。
また、第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物に、硬化促進剤をも添加する際には、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂に対する(B)の酸無水物による硬化反応を促進する機能を有する硬化促進剤を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり0.1〜20質量部含有する液状エポキシ樹脂組成物とするとより好ましい。好ましくは、前記硬化促進剤の含有量を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり0.5〜5質量部の範囲に選択する。
さらに、本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装における封止充填に用いて、その効果を発揮するものであり、前記第一の発明に付随する、本発明にかかる封止充填の方法は、例えば、フリップチップ実装における封止充填の方法であって、
(1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
(2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記する第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
(3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
上記(1)〜(3)の一連の工程を有する、
封止充填剤として、上記する構成のいずれかを有する第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方法とするとよい。
上記第一の発明にかかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、熱硬化性エポキシ樹脂1当量に対して、その硬化剤として酸無水物を1当量よりも高い比率で含有させ、酸無水物のフラックス作用を発揮させている。酸無水物のフラックス作用、具体的には、錫の酸化物と酸無水物との反応速度は、温度の上昇とともに増すものの、Pb−Sn合金ハンダのように低い熔融温度に適合する、比較的に低いリフロー温度(熱硬化温度)においても、所望のフラックス活性を達成するには、エポキシ樹脂組成物中に含有させる酸無水物の含有比率をより高めることが必要となる。それに伴い、この錫の酸化物と酸無水物との反応により少量の酸無水物が消費され、若干の濃度低下は生じるものの、なお、高い含有比率に留まることになる。幸いにも、ハンダ材表面に存在する酸化皮膜量が僅かであった場合には、酸無水物の消費量も僅かなものとなり、酸無水物の含有比率は、当初の高い含有比率のままとなる。
一方、同時に進行する熱硬化性エポキシ樹脂の熱硬化反応は、硬化剤となる酸無水物の含有比率が高いと、酸無水物によるエポキシ環の開環反応の誘起がより高い頻度で開始することになる。その結果として、フラックス処理速度に比べて、相対的に熱硬化がより急速に進行すると、前記錫の酸化物と酸無水物との反応が終了しない間に、硬化反応によるエポキシ樹脂組成物の粘度上昇、流動性の低下が起こる。すなわち、目的とする、フラックス処理が十分に施されない間に、熱硬化性エポキシ樹脂の熱硬化が進行するため、場合によっては、導通不良を生じる事態に至ることもある。加えて、最終的な封止充填する硬化物の樹脂強度、接着強度は、熱硬化性エポキシ樹脂とその硬化剤である酸無水物との比率に依存し、熱硬化温度によって、より好適な比率が定まるが、酸無水物の含有比率がより高くなるにつれ、得られる硬化物の樹脂特性は、所望とする最適な特性と次第に離れたものとなる。
実際には、熱硬化温度(リフロー温度)を低く選択する際には、熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物との開環重合反応を促進する作用を有する硬化促進剤を併用して、所望の硬化速度を達成することが多く、この併用される硬化促進剤の添加比率を調整し、酸無水物の含有比率が高くなる際にも、適正な硬化速度とし、必要とするフラックス処理が十分に施されることを可能とすることができる。
しかしながら、熱硬化性エポキシ樹脂に対して、その硬化剤となる酸無水物の含有比率を当量比より高くするにつれ、未反応のまま残留する酸無水物の比率が増すことになる。この残余する酸無水物の量が過度になると、封止充填剤としての機能、例えば、高湿・高温条件における耐久性の維持などの観点では、必ずしも好ましいものではない。従って、フラックス処理において、酸無水物を利用するものの、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物中に含有させる酸無水物の含有比率を不要に高くすることなく、所望のフラックス処理を達成でき、また、適正な硬化特性をも得られる液状エポキシ樹脂組成物の開発が、新たな開発の目標となってくる。すなわち、従来から利用されているPb−Sn合金ハンダを利用したバンプ電極を採用する際には、そのリフロー温度を低くできることが最大の利点であるが、その利点を損なわないように、そのリフロー温度(熱硬化温度)条件においても、ハンダ表面の酸化皮膜が速やかに除去できる高いフラックス活性を有し、また、適度な速度で熱硬化が進行するアンダーフィル(封止充填剤)の開発は必要となる。
本発明は前記の課題をも解決するものであり、本発明の第二の目的は、熱硬化性エポキシ樹脂とその硬化剤として酸無水物を利用する液状エポキシ樹脂組成物において、前記酸無水物の有するフラックス活性に加えて、フラックス活性増強成分を付加的成分として添加することで、酸無水物の含有比率を高くしなくとも、所望のフラックス処理を達成でき、また、適正な硬化特性をも得られる新規な組成の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物、ならびにかかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を利用する封止充填方法を提供することにある。より具体的には、本発明の第二の目的は、例えば、リフロー温度・熱硬化温度を、例えば、スズ−鉛共晶合金ハンダの熔融温度に適合する、相対的に低い温度に選択して、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の加熱工程で行った際、熱硬化性エポキシ樹脂に対して、その硬化剤となる酸無水物の含有比率は、良好な硬化特性により適する範囲に留めつつ、一方、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導通不良の発生を有効に防止可能な優れたフラックス活性を発揮させる目的で、フラックス活性増強成分を付加的成分として添加してなる新規な組成の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
さらに、上記第二の目的において、その最終的な目的は、ハンダ材として、錫合金ハンダを利用する際、その錫合金ハンダの種類、そのリフロー温度(熱硬化温度)に依存することなく、前記するフラックス処理効果をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることで、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導通不良の発生を防止できるフリップチップ実装における封止充填方法、特には、ハンダ材として、スズ−鉛合金ハンダを利用する際にも、有効な封止充填方法を提供することにある。
例えば、フリップチップ実装において、ハンダ材として、スズ−鉛合金ハンダを利用する際、同一の実装基板上に、DIP、QFPなどのピン形態の素子をも同一基板内に実装する必要がまま生じる。これらDIP、QFPなどのピン形態を有する素子の実装は、多くの場合、クリームハンダを使用してなされており、フリップチップ実装とクリームハンダを使用した実装を同一の工程内で実施することが望まれる。上記第二の目的に含まれる、更なる目的は、フリップチップ実装に加えて、このようなクリームハンダを使用する実装をも、同一の工程中において併せて実施する際にも、前記するフラックス処理効果をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることで、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導通不良の発生を防止できるフリップチップ実装における封止充填方法、特には、ハンダ材として、スズ−鉛合金ハンダを利用する際にも、有効な封止充填方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、その熱硬化を行う温度を、スズ−鉛共晶合金ハンダの熔融温度程度の低い温度に選択した際にも、適度な熱硬化特性を維持するとともに、その熱硬化処理を進める間に、目的とするフラックス処理効果をも発揮できる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を得るため、鋭意検討・研究を進めた。特に、熱硬化性エポキシ樹脂に対して、その硬化剤となる酸無水物の含有比率を当量比あるいは、当量比より若干低い比率に留めた際にも、酸無水物自体が主に関与するフラックス活性を所望のフラックス活性まで増強を図るフラックス活性増強成分として、いかなる成分を付加的成分として含む組成物とすべきかに関して、本発明者らは、鋭意検討・研究を進めた。
前記のフラックス作用を必要としないならは、通常、アンダーフィル(封止充填剤)の用途で推奨される液状エポキシ樹脂と硬化剤の酸無水物との混合比率は、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、例えば、酸無水物を1当量未満の若干等量より少ない量、好ましくは0.8当量程度に選択される。その点を考慮すると、フラックス作用をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物において、酸無水物自体は、フラックス活性に主に関与させる上では、その過程で消費される酸無水物に相当する量を余剰に含む必要はあるものの、液状エポキシ樹脂と硬化剤の混合比率は、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、前記の0.8当量よりは有意に高いものの、1当量を極僅かに超える、できれば、1当量以下、0.9当量以上の範囲に選択することが望まれる。従って、本発明者らは、この比較的に低い含有比率において、所望のフラックス活性を達成できるフラックス活性増強成分を選択することが望ましいとの結論を得た。
また、付加的に添加するフラックス活性増強成分は、液状エポキシ樹脂組成物中に添加した際、その熱硬化特性、ならびに得られる硬化物の特性に対しては、本質的に影響を持たない成分であることが望ましい。少なくとも、酸無水物自体が主に関与するフラックス処理の活性増強を図るものの、エポキシ樹脂の硬化剤である酸無水物との反応を過度に促進する、あるいは、逆に阻害することがないものであることが望ましい。更には、フラックス処理、熱硬化処理が終了した時点で、このフラックス活性増強成分が残留していたとしても、得られるエポキシ樹脂硬化物の特性、例えば、絶縁特性などに実質的な影響を有さないものである必要もある。
これらの制約条件の下、液状エポキシ樹脂組成物中に含有した際、その熱硬化性、接着性、硬化後の樹脂強度を所望の範囲に維持でき、しかも、バンプ電極と電極などの表面酸化皮膜に対して、一般のフラックス処理と同等の効果を発揮でき、しかも僅かな添加濃度で、酸無水物の示すフラックス活性の増強が可能な成分を探索した。その結果、フラックス活性増強には、プロトン供与能を有する成分が適しており、なお、液状エポキシ樹脂組成物全体に均一に分布させることができる、つまり、液状エポキシ樹脂への混合性(溶解性・分散性)に優れたものである、ジカルボン酸が、これらの要件を満たすものの一つであることを本発明者らは見出した。
すなわち、ジカルボン酸、例えば、鎖状のジカルボン酸は、それを構成する骨格の炭化水素鎖部の親油性に因り、液状エポキシ樹脂との相溶性を有するので、室温付近でも、液状エポキシ樹脂への十分な混合性(溶解性・分散性)を示し、また、フラックス処理がなされる温度に達した際に、十分なプロトン供与能を発揮する。従って、ジカルボン酸は、ハンダ材表面の錫の酸化物に対して、その酸素にプロトンを一旦供与して、酸無水物との反応を促進するが、酸無水物に由来するジカルボン酸型の配位子からなる錯体形成、あるいは、酸無水物に由来するジカルボン酸の金属塩へと変換がなされた時点で、再び、プロトンが復して、元のジカルボン酸となる。この触媒的なフラックス活性増強作用のため、通常のフラックス剤のように、それ自体が消費されるものでないため、添加量は僅かなものとできる。
一方、フラックス処理が終了すると、その間に徐々に進行している熱硬化反応により生成するエポキシ樹脂と酸無水物の重合物における終端、具体的には、酸無水物に由来するカルボキシ・アニオン種、ならびに、エポキシ環の開環で生成しているカルボカチオン種に、ジカルボン酸に由来するプロトンとカルボキシ・アニオン種とがそれぞれ結合し、その終端に利用される。なお、ジカルボン酸からのプロトン遊離は、平衡反応であり、プロトン遊離をせずジカルボン酸の形状のものが相当割合で存在するものの、硬化物中に均一に分布しており、何らかの不具合の要因ともなる、ジカルボン酸の凝集体を形成することも少ない。勿論、ジカルボン酸自体は、エポキシ樹脂の熱硬化物と比較すると、水に対する溶解度は高いものの、最終的には熱硬化重合物の終端にその大部分が消費され、若干残留するジカルボン酸も、硬化物中に均一に分散される結果、残留するカルボキシ基は、イオン電導性を示すものとして機能せず、硬化物自体の絶縁性に本質的な影響をも与えない。本発明者らは、上記の一連の知見に基づき、液状エポキシ樹脂と硬化剤の酸無水物に加えて、ジカルボン酸を少量添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製し、比較的に低い熱硬化温度で封止充填を実施し、目的とするフラックス処理と同等の効果が有効に達成され、同時に、熱硬化反応自体には実質的な影響がなく、また、得られる熱硬化物の樹脂強度なども、遜色のないものとなることを確認し、本発明にかかる第二の発明を完成するに至った。
本発明にかかる第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化性エポキシ樹脂、硬化剤の酸無水物を必須成分とする液状エポキシ樹脂組成物に、前記酸無水物の有するフラックス活性を増強するため、プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分を少量(触媒量)、付加的成分として添加するものであり、
すなわち、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分を含んでなり、
前記(C)フラックス活性増強成分が、ジカルボン酸であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物である。その際、この第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、(B)硬化剤の酸無水物に加えて、
副次的な添加成分として、前記酸無水物によるエポキシ環の開環反応を促進する硬化促進剤をも含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とすることができる。
第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、前記ジカルボン酸は、ω,ω’−直鎖炭化水素ジカルボン酸であり、その炭素数は、C7〜C15の範囲に選択されていることが好ましい。なかでも、前記ジカルボン酸は、ω,ω’−直鎖炭化水素ジカルボン酸であり、その炭素数は、C9〜C12の範囲に選択されていることがより好ましい。
加えて、その他の副次的な添加成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤、チキソ剤から選択する1種以上の添加成分をも含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とすることもできる。
一方、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることが好ましい。
さらに、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)硬化剤の酸無水物を0.9〜1.1当量含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とすることが望ましい。さらに、前記硬化促進剤の含有量を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲に選択することが好ましい。
また、前記する範囲に、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂と(B)硬化剤の酸無水物の含有比率を選択する際、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物においては、(C)フラックス活性増強成分の前記ジカルボン酸の含有量を、(B)硬化剤の酸無水物の1モルに対して、前記ジカルボン酸が1×10−2〜1×10−1モルの範囲となる量に選択することが好ましい。より具体的には、前記液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化を行う温度を210℃以下に選択する際には、前記ジカルボン酸は、ω,ω’−直鎖炭化水素ジカルボン酸であり、その炭素数を、C9〜C12の範囲に選択した上で、前記ジカルボン酸の含有比率を、含有される前記酸無水物1モル当たり、1×10−2〜1×10−1モルの範囲に選択することが更に望ましい。
加えて、本発明は、上記する構成を有する第二の発明にかかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の有効な利用法として、封止充填の方法の発明をも提供し、すなわち、第二の発明に付随する、本発明にかかる封止充填の方法は、フリップチップ実装における封止充填の方法であって、
(1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
(2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記するいずれかの構成を有する第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
(3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
上記(1)〜(3)の一連の工程を有する、
封止充填剤として、上記第二の発明にかかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方法である。特に、この封止充填の方法は、前記のハンダ材は、スズ−鉛共晶ハンダであることを特徴とする封止充填の方法として実施すると好ましいものとなる。
本発明者らは、フラックス活性増強成分として、前記ジカルボン酸が利用可能な物質であることを見出した以外に、その探索の過程において、フラックス活性増強成分に求められる条件、すなわち、プロトン供与能を有する成分であり、かつ、液状エポキシ樹脂組成物全体に均一に分布させることができる、つまり、液状エポキシ樹脂への混合性(分散・溶解性)に優れたものであるという要件を満たすものの一つとして、有機アミン化合物のハロゲン化水素付加塩を見出した。
すなわち、有機アミン化合物のハロゲン化水素付加塩は、それを構成する有機アミン化合物部分を利用して、室温付近でも、液状エポキシ樹脂への十分な混合性(分散・溶解性)を示し、また、フラックス処理がなされる温度に達すると、付加塩を形成していたハロゲン化水素の遊離が起こり、プロトン供与能を発揮する。遊離したハロゲン化水素は、ハンダ材表面の錫の酸化物に作用して、その酸素にプロトンを一旦供与して、酸無水物との反応を促進するが、二カルボン酸型の配位子からなる錯体形成、あるいは、二カルボン酸の金属塩へと変換がなされた時点で、再び、ハロゲン化水素に復する。通常のフラックス剤のように、それ自体が消費されるものとは異なり、この触媒的なフラックス活性増強作用のため、自らは消費されないため、添加量は僅かなものとできる。
一方、フラックス処理が終了すると、その間に徐々に進行している熱硬化反応により生成するエポキシ樹脂と酸無水物の重合物における終端、具体的には、酸無水物に由来するカルボキシ・アニオン種、ならびに、エポキシ環の開環で生成しているカルボカチオン種に、ハロゲンアニオンとプロトンがそれぞれ結合し、その終端に利用される。なお、有機アミン化合物のハロゲン化水素付加塩の熱的な解離は、平衡反応であり、解離せずに存在するものが存在するものの、硬化物中に均一に分布しており、凝集体を形成して、不具合の要因ともならない。勿論、ハロゲン化水素を失った有機アミン化合物が系内に副生するものの、重合物の終端のカルボキシ基に配位して、安定化されたものとなる。この状態となると、イオン電導性を示すものとして機能せず、硬化物自体の絶縁性に本質的な影響をも与えない。本発明者らは、上記の一連の知見に基づき、液状エポキシ樹脂と硬化剤の酸無水物に加えて、有機アミン化合物のハロゲン化水素付加塩を少量添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製し、比較的に低い熱硬化温度で封止充填を実施し、目的とするフラックス処理と同等の効果が有効に達成され、同時に、熱硬化反応自体には実質的な影響がなく、また、得られる熱硬化物の樹脂強度なども、遜色のないものとなることを確認し、本発明にかかる第三の発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化性エポキシ樹脂、硬化剤の酸無水物を必須成分とする液状エポキシ樹脂組成物に、前記酸無水物の有するフラックス活性を増強するため、プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分を少量(触媒量)、付加的成分として添加するものであり、
すなわち、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、
フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分を含んでなり、
前記(C)フラックス活性増強成分が、アミン化合物の塩基性窒素原子上にハロゲン化水素付加塩を形成してなるアミンのハロゲン化水素付加塩であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物である。その際、この第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、(B)硬化剤の酸無水物に加えて、
副次的な添加成分として、前記酸無水物によるエポキシ環の開環反応を促進する硬化促進剤をも含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とすることができる。
第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、前記アミンのハロゲン化水素付加塩は、それを構成するハロゲン化水素は、塩化水素または臭化水素であることが好ましい。また、前記アミンのハロゲン化水素付加塩において、それを構成するアミン化合物自体は、その融点は、前記液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度より低く、常温で液体または固体であり、その沸点は、前記液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度よりも高い塩基性アミンであることが好ましい。
加えて、その他の副次的な添加成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤から選択する1種以上の添加成分をも含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とすることもできる。
一方、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることが好ましい。
さらに、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)硬化剤の酸無水物を0.9〜1.1当量含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とすることが望ましい。さらに、前記硬化促進剤の含有量を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲に選択することが好ましい。
一方、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物においては、(C)フラックス活性増強成分である、前記アミンのハロゲン化水素付加塩の含有量を、(B)硬化剤の酸無水物の1モルに対して、前記付加塩として添加されるハロゲン化水素が1×10−4〜2×10−2モルの範囲となる量に選択することが好ましい。
例えば、前記アミンのハロゲン化水素付加塩において、それを構成するアミン化合物自体は、ハロゲン化水素と付加塩を形成するその塩基性窒素原子は、第三級アミンを構成している塩基性アミンであることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とするとより好ましい。
加えて、本発明は、上記する構成を有する、第三の発明にかかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の有効な利用法として、封止充填の方法の発明をも提供し、すなわち、第三の発明に付随する、本発明にかかる封止充填の方法は、フリップチップ実装における封止充填の方法であって、
(1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
(2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記するいずれかの構成を有する第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
(3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
上記(1)〜(3)の一連の工程を有する、
封止充填剤として、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方法である。特に、この封止充填の方法は、前記のハンダ材は、スズ−鉛共晶ハンダであることを特徴とする封止充填の方法として実施すると好ましいものとなる。
一方、従来のPb−Sn合金ハンダに代えて、鉛を含まない錫合金ハンダを利用したバンプ電極を採用する際には、リフロー温度を高くし、その高い温度条件において、適度な熱硬化が進行するアンダーフィル(封止充填剤)が必要となる。そのような高い温度においては、封止充填剤の樹脂主成分の熱硬化性エポキシ樹脂に対して、その硬化剤として酸無水物を用い、さらに、熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物との開環重合反応を促進する作用を有する硬化促進剤として、アミン化合物を添加すると、副次的な反応として、酸無水物自体の二量化反応も進行し、例えば、下記の反応式(1)で示されるような反応に伴い、二酸化炭素の放出が起こることが判明した。かかる反応で発生する二酸化炭素が集まり、気泡を形成するが、アンダーフィル(封止充填剤)は、チップ部品とプリント配線基板の間の狭い隙間に充填されているため、発生した二酸化炭素の気泡が、その隙間から抜け出すことができず、ボイドとなり残留する現象が起こる。
反応式(1)
Figure 2002044241
特に、前記の酸無水物自体の二量化反応を誘起する開裂(開環)反応は、硬化促進剤として含有されているアミン化合物が、求核剤またはルイス塩基として作用し、開裂(開環)反応を触媒するため生じ、加えて、温度が高くなるとともにより促進される結果、かかる二酸化炭素の放出は一層多くなる。
従って、予め酸化皮膜の影響を除くため、フラックス処理を施さなくとも、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の加熱工程で実施でき、加えて、鉛を含まない錫合金ハンダの熔融温度よりも高いリフロー温度を用いる際にも、前記二酸化炭素の放出に起因するボイドの発生を防止することの可能な封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の開発が、新たな開発の目標となっている。
本発明は前記の課題をも解決するもので、本発明の第三の目的は、予め酸化皮膜の影響を除くため、フラックス処理を施さなくとも、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の加熱工程で行った際、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導通不良の発生を有効に防止できる手段となり、特に、鉛を含まない錫合金ハンダの熔融温度よりも高いリフロー温度を用いる際にも、アンダーフィル(封止充填剤)中のボイド発生を効果的に抑制することが可能な手段を提供することにある。より具体的には、第三の目的は、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物自体に、バンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)における酸化皮膜の影響を排除するフラックス処理と同等の機能を持つ成分を含ませ、アンダーフィル(封止充填剤)として充填した際、バンプ電極と電極に係る成分を供給でき、その後の加熱時に、バンプ電極と電極などの表面酸化皮膜をその場除去することができる、フラックス処理効果をも有し、さらには、硬化剤として利用する酸無水物の熱的二量化反応を抑制でき、それに起因するボイド発生を効果的に抑制されている封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
さらに、本発明にかかる第三の目的に含まれる最終的な目的は、前記するフラックス処理効果をも有する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることで、ハンダとの濡れ不良に起因するハンダ付け不良、導通不良の発生を防止できるフリップチップ実装における封止充填方法、特には、ハンダ材として、鉛を含まない錫合金ハンダを利用する際にも、有効な封止充填方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく、その熱硬化を行う温度を、鉛を含まない錫合金ハンダの熔融温度よりも高い温度に選択した際にも、適度な熱硬化特性を維持するとともに、その熱硬化処理を進める間に、目的とするフラックス処理効果をも発揮できる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物とするためには、いかなる成分を含む組成物とすべきか、鋭意検討・研究を進めた。その過程において、かかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、上述するように、通常プリント配線基板上にスクリーン印刷などに手段で、相当の膜厚で限定された領域に塗布する必要があり、その使用形態を考慮すると、塗布が可能な流動性は有するものの、ある程度の粘性をも持つことが望ましいと判断した。この制約条件の下、液状エポキシ樹脂組成物中に含有した際、その熱硬化性、接着性、硬化後の樹脂強度を所望の範囲に維持でき、しかも、バンプ電極と電極などの表面酸化皮膜に対してフラックス処理と同等の効果を発揮できる程度の濃度で添加可能な成分を探索した。その結果、バンプ電極に用いるハンダ材料、プリント配線基板上の電極に用いる銅などの金属材料について、その表面酸化皮膜を形成する金属酸化物に作用して、その除去を行う機能を有するものとして、液状エポキシ樹脂中に添加した際、その熱硬化特性、ならびに得られる硬化物の特性に対しては、本質的に影響を持たない成分である、硬化剤に用いる酸無水物を利用できることを見出した。
すなわち、酸無水物の金属酸化物に対する作用は、加熱することにより、初めて金属酸化物の酸素と反応して、二カルボン酸型の配位子からなる錯体形成、あるいは、二カルボン酸の金属塩へと変換するものであり、結果的に、表面の金属酸化物被膜の除去を行うフラックス成分としての機能を有する。一方、液状エポキシ樹脂組成物中に、含有される酸無水物の量を、前記の金属酸化物との反応によって消費される量を考慮し、硬化剤として必要とされる量よりも、適度の範囲で予め増量することで、最終的に得られる熱硬化物の特性は、実質的にその影響を被らないことを見出した。
すなわち、酸無水物の金属酸化物に対する作用は、加熱することにより、初めて金属酸化物の酸素と反応して、二カルボン酸型の配位子からなる錯体形成、あるいは、二カルボン酸の金属塩へと変換するものであり、結果的に、表面の金属酸化物被膜の除去を行うフラックス成分としての機能を有する。一方、液状エポキシ樹脂組成物中に、含有される酸無水物の量を、前記の金属酸化物との反応によって消費される量を考慮し、硬化剤として必要とされる量よりも、適度の範囲で予め増量することで、最終的に得られる熱硬化物の特性は、実質的にその影響を被らないことを見出した。
つまり、通常、アンダーフィル(封止充填剤)の用途で推奨される液状エポキシ樹脂と硬化剤の混合比率は、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、例えば、酸無水物を1当量未満の若干等量より少ない量、好ましくは0.8当量程度に選択されるが、前記フラックス成分として消費される量を増量して、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、例えば、酸無水物を1当量以上、好ましくは、若干等量を超える量、具体的には、1.0〜2.0当量の範囲、より好ましくは1.0〜1.4当量の範囲に選択するとともに、液状エポキシ樹脂と酸無水物との開環縮合反応を促進する硬化促進剤を添加しておくことで、フラックス活性成分としても利用される酸無水物は、液状エポキシ樹脂に対する硬化剤としての機能に特段の障害が生じることもなく、最終的に得られる熱硬化物の特性に対する影響は許容できる範囲となる。
一方、前記の硬化促進剤としてアミン化合物を添加すると、上述するように、酸無水物の二量化反応をも触媒的に促進するが、例えば、アミン化合物の酸付加塩を形成した形態で存在させると、相当に高温度に達し、前記酸付加塩の解離が進むまで、アミン化合物の触媒効果は十分に発揮されず、酸無水物の二量化反応に起因する二酸化炭素の放出を抑制でき、同時に、液状エポキシ樹脂の熱硬化の遅延がなされ、ボイド発生を防止できることを見出した。あるいは、酸無水物自体、前記のアミン化合物有する求核剤またはルイス塩基として作用に関して、元となる二カルボン酸のカルボキシ基が結合する炭素(α位の炭素)原子に対して、前記α位の炭素に隣接する炭素原子(β位に相当する炭素)上に、電子供与性を有する鎖式炭化水素基を置換することで、その電子供与作用により、カルボキシ基に由来する電子吸引作用を補償し、加えて、その立体障害の効果により、アミン化合物の孤立電子対を有する窒素原子(塩基性窒素原子)の近接を困難とする、この相乗的な作用により、酸無水物の二量化反応、ならびに二酸化炭素の放出を抑制できることをも見出した。
本発明者らは、以上に述べた知見に基づき、前記する硬化促進剤の選択、あるいは、酸無水物の選択を行うことで、熱硬化を行う温度を、鉛を含まない錫合金ハンダの熔融温度よりも高い温度に選択した際にも、酸無水物の二量化反応、ならびに二酸化炭素の放出を抑制でき、ボイド発生を有効に防止しつつ、目的とするフラックス処理と同等の効果が有効に達成され、同時に、熱硬化反応自体には実質的な影響がなく、また、得られる熱硬化物の樹脂強度なども、遜色のないものとなることを見出し、本発明にかかる第四の発明を完成するに至った。
本発明にかかる第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、
熱硬化性エポキシ樹脂、硬化剤の酸無水物、ならびに硬化促進剤を含んでなり、特定の硬化促進剤を選択する、あるいは、特定の酸無水物を選択するか、何れかを行ったものであり、
すなわち、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに、付加的成分として、(C)硬化促進剤を含んでなり、
(C)硬化促進剤が、アミン化合物の塩基性窒素原子上に弱いプロトン酸が付加塩を形成してなるアミン化合物の酸付加塩であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物、
あるいは、
(B)硬化剤の酸無水物が、
下記一般式(I):
Figure 2002044241
(式中、R1は、二価の鎖式炭化水素基であり、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基であり、R4は、水素原子または鎖式炭化水素基であり、R5は、水素原子または鎖式炭化水素基であり、R4とR5は、互いに連結されて、−(R4−R5)−の二価の鎖式炭化水素基を形成してもよい)で示される環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物である。
なお、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、
副次的な添加成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤から選択する1種以上の添加成分をも含むことができる。
また、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、
(A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることが好ましい。
また、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、
(C)硬化促進剤は、アミン化合物の塩基性窒素原子上に弱いプロトン酸が付加塩を形成してなるアミン化合物の酸付加塩である際には、
前記プロトン酸は、モノカルボン酸、または酸性リン酸エステルであることが好ましい。
あるいは、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物において、
(B)硬化剤の酸無水物として、上記一般式(I)で示される環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物を用いる場合、
(C)硬化促進剤は、アミン化合物であり、第三級アミンを構成する塩基性窒素原子を有してなることが好ましい。
因みに、(C)硬化促進剤として、アミン化合物の酸付加塩を用いる際には、
(B)硬化剤の酸無水物が、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体からなる酸無水物の群から選択される1種以上の酸無水物であることが好ましい。さらに、(C)の硬化促進剤の含有量を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲に選択することが好ましい。
本発明は、上記する第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を利用する、フリップチップ実装における封止充填の方法をも提供しており、
すなわち、第四の発明に付随する、本発明の封止充填の方法は、フリップチップ実装における封止充填の方法であって、
(1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
(2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記する第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
(3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
上記(1)〜(3)の一連の工程を有する、
封止充填剤として、上記する第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方法である。
加えて、本発明は、上述してきた本発明にかかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を利用する封止充填方法によりフリップチップ実装がなされる半導体装置組み立て体の提供をその最終目的とするものであり、すなわち、本発明にかかる半導体装置組み立て体は、
基板用電極を有するプリント配線基板上にチップ部品用電極を有するチップ部品をフリップチップ実装してなる半導体装置組み立て体であって、
前記フリップチップ実装において封止充填が施されており、
かかる封止充填は、上述する第一の発明、第二の発明、第三の発明、または第四の発明のいずれかにかかる封止充填の方法でなされていることを特徴とする半導体装置組み立て体である。好ましくは、かかる封止充填は、上述する第二の発明にかかる封止充填の方法でなされていることを特徴とする半導体装置組み立て体である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、上述するバンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の工程で行う方法において、その本来の効果を発揮するものである。
熱硬化性エポキシ樹脂において、その熱硬化を誘起する手段は、種々あり、硬化剤のみならず、硬化触媒もあり、また、硬化剤についても、酸無水物以外にも、ポリアミン系、有機酸含有ポリエステル、ポリフェノール系、ポリメルカプタン系、イソシナナート系などもある。本発明は、これら各種の熱硬化を誘起する手段から、硬化剤、特に、酸無水物を選択し、酸無水物を硬化剤とすると、液状エポキシ樹脂中に十分に高い濃度で混合されており、また、硬化温度も、ハンダの熔融する温度程度を選択できる点をも利用している。
以下に、本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物、その調製方法、ならびに、この封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いた封止充填の手順について、より詳しく説明する。
本発明にかかる、第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤の機能を有する酸無水物を含み、この両者を均一に混合した液状エポキシ樹脂組成物である。その際、通常、アンダーフィル(封止充填剤)の用途で用いられる液状エポキシ樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、硬化剤の酸無水物は、1当量未満で若干等量に欠ける量、好ましくは0.8当量程度用いるが、この第一の発明では、この推奨される比率を超えて、酸無水物を過剰に加える。すなわち、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)の酸無水物を1.0〜2.0当量含むことを特徴としている。好ましくは、(B)の酸無水物に関して、1.05〜1.6当量の範囲、より好ましくは、1.1〜1.6当量の範囲、更に好ましくは、1.1〜1.4当量の範囲にその含有比率を選択する。
このように酸無水物を過剰に加えることで、バンプ電極に用いるハンダ材料、プリント配線基板上の電極に用いる銅などの金属材料について、自然酸化により、その表面に不可避的に存在する酸化皮膜に対して、含まれる酸無水物を金属酸化物に作用させて、金属酸化物をカルボン酸塩へと変換して、除去する機能を付加したものである。この反応は、酸無水物濃度が高いほど、早く進行するが、酸無水物の含有率を高くしすぎると、熱硬化で得られる硬化物は、所望の樹脂強度、接着性に満たないものとなるため、自ずから、酸無水物の含有率には上限がある。
本発明者らが検討したところによると、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)の酸無水物を2.0当量を超えない範囲とすれば、許容できる範囲に収まる。好ましくは、熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物の含有比率は、1.6当量を超えない範囲とする。より好ましくは、酸無水物の含有比率を1.4当量以下にする。すなわち、この酸無水物を作用させて、その除去を図る、バンプ電極に用いるハンダ材料表面に不可避的に存在する酸化皮膜が厚いならば、金属酸化物をカルボン酸塩へと変換する反応をより速くし、また、この反応で消費される酸無水物を、バンプ電極近傍の液状エポキシ樹脂組成物から速やかに供給するため、酸無水物の含有濃度を高くすることが望ましい。そのような劣悪な条件では、酸無水物を1.4当量より高く、1.6当量以上、2.0当量を超えない範囲とすることもできる。しかしながら、通常の注意が払われている工程では、表面に不可避的に存在する酸化皮膜はそれ程までは厚くなく、酸無水物を1.4当量以下としても、なお十分すぎる過剰な量である。
一方、第一の発明における酸無水物の含有比率の下限は、上述するような機構で、酸化皮膜の処理において酸無水物が消費された際にも、バンプ電極近傍の液状エポキシ樹脂組成物において、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、硬化剤の酸無水物が推奨される比率、すなわち、0.8当量程度残留するように選択される。従って、通常の注意が払われている工程では、酸無水物の含有比率が1.0当量であっても、消費されたとしても、バンプ電極近傍には0.8当量を大きく下回らない量は残留する。なお、バンプ電極間の間隔が狭くなることも考えあわせると、酸無水物の含有比率が1.0当量を僅かに超える量、例えば1.05当量、安全を見て、酸無水物を1.1当量以上含有させると、その消費に伴う濃度低下が最も大きいバンプ電極近傍においても、残留する酸無水物量を0.7当量〜1.0当量の範囲により確実に収さめることができる。
加えて、熱硬化を行う温度を低下させるにつれ、フラックス処理が実施される温度も低下する。その際には、酸無水物の含有量を若干増し、かかる温度低下に起因する反応速度の低下を補うことが望ましい。従って、酸無水物の含有比率を、例えば1.05当量、安全を見て、酸無水物を1.1当量以上含有させることがより好ましいものとなる。
なお、酸化皮膜の形成が多い劣悪な条件では、より多くの酸無水物が消費されるため、酸無水物を当初1.6当量含有していても、バンプ電極近傍では、残留する酸無水物量は、当初の1/2以下、例えば、0.7当量となることもある。現実的には、過度の自然酸化が生じないように当業者が通常の注意を払う限り、酸無水物の含有比率を1.1当量、多くとも1.4当量の範囲に選択しても、バンプ電極近傍においても、残留する酸無水物の量は0.7当量〜1.0当量の範囲に概ね収さまる。
封止充填剤は、特に、バンプ電極近傍、すなわち、チップ部品とプリント配線基板との接合固定領域の補強を主な機能とするので、バンプ電極近傍において、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の酸無水物の最終的な含有率が好ましい範囲、具体的には、硬化剤の酸無水物が0.8当量程度となるのが最適である。バンプ電極などの金属表面から離れるに従い、硬化剤の酸無水物の含有率は高くなるが、この領域では、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の酸無水物との当量比率は、それ程重要ではない。少なくとも、チップ部品とプリント配線基板との間隙に未充填部分がなくボイドを生じない限り、通常はチップ部品の外周部に配置される、バンプ電極の近傍における封止充填剤とは異なり、硬化後の樹脂特性に若干のバラツキ、最適な封止充填剤組成からの変移があるものあっても、大きな問題とはならない。従って、本発明の液状エポキシ樹脂組成物において、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、硬化剤の酸無水物を例えば1.6当量にように、通常好ましいとされる0.8当量の2倍量としても、その封止充填効果は実用上問題とならない程度に十分達成される。
(B)の硬化剤として用いる酸無水物は、熱硬化性エポキシ樹脂の硬化を引き起こすジカルボン酸の酸無水物が一般に利用される。この酸無水物は、本発明では、バンプ電極表面に形成されている酸化皮膜の除去作用をも有するので、金属酸化物との反応性にも富むものが好ましい。具体的には、金属酸化物に作用して、ジカルボン酸イオン型の配位子などにおいて、中心の金属カチオン種を含め6員環構造を形成できるものはより好ましい。換言するならば、用いられる酸無水物自体では、−CO−O−CO−を含む環構造が5員環を構成するとより好ましい。熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として利用されている酸無水物のうち、前記の構造をするするものとして、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体からなる酸無水物などが挙げられる。なお、本発明において好適に利用される、無水テトラヒドロフタル酸や無水ヘキサヒドロフタル酸の誘導体には、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(商品名B−650;大日本インキ化学工業社製)など、無水コハク酸の誘導体には、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
(A)のエポキシ樹脂としては、封止充填剤に利用可能なエポキシ樹脂である限り、その種類に制限はない。硬化時の樹脂強度、接着性などから、例えば、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂などが、封止充填剤においては汎用されている。本発明においても、前記のビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択するとより好ましい。その際、単一の樹脂化合物を利用することも、二種以上の樹脂化合物を混合して利用することもできる。より具体的には、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテルとして、エピコート828(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量190)など、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテルとして、エピコート154(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量178)など、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステルとして、エピコート871(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量430)、エポミックR540(商品名;三井化学社製:エポキシ当量195)など、脂環式エポキシ樹脂として、セロキサイド2021(商品名;ダイセル化学工業社製:エポキシ当量135)などが使用される。
例えば、前記のビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂のいずれかをエポキシ樹脂に選択する際、その硬化剤として機能する酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体のいずれかを選択すると一層好ましい組み合わせとなる。
第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、上述する必須成分以外に、この種のエポキシ樹脂組成物に慣用される副次的な成分を添加することもできる。具体的には、副次的な成分として、硬化促進剤、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤など、さらには、可塑剤、チキソ剤などをも添加できる。いずれを添加するか、また、その添加量は、必須成分に用いる熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物に応じて、適宜選択するとよい。
例えば、硬化促進剤としては、エポキシ環と酸無水物の重合付加反応を促進するアミン類、ポリアミド類、イミダゾール類、ルイス酸などを用いることができ、硬化剤の酸無水物による反応に加えて、エポキシ樹脂の重合を促進させる。従って、硬化剤の酸無水物の種類、その含有量、また、目標とする硬化温度・時間に応じて、添加量を適宜選択する。具体的には、例えば、エポキシ当量190のエポキシ樹脂の100gあたり、イミダゾール類では0.5〜10mmol(ミリモル)の範囲に選択するとよい。硬化促進剤個々の分子量にもよるが、例えば、液状エポキシ樹脂の100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲、好ましくは、0.5〜5質量部の範囲で添加することができる。また、酸化防止剤は、封止充填した後、熱硬化処理の際、エポキシ樹脂の耐熱性を向上する目的で、予めエポキシ樹脂中に混入しておくことができる。この酸化防止剤としては、酸素除去・還元作用を有するヒドロキノン、亜リン酸エステルなどを用いることができ、その添加量は、熱処理環境、例えば、リフロー加熱炉内の残留酸素濃度・温度などを考慮して適宜選択する。
レベリング剤は、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物自体の粘度、従って、必須成分に用いる熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物の種類、含有比率に応じて、適宜添加量を選択するとよい。例えば、レベリング剤としては、ST80PA(商品名;東レ・ダウ=コーニング・シリコーン社製)などを用いることができ、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜5質量%の範囲で添加することができる。応力緩和剤としては、アデカレジンEPR−1309(商品名;旭電化工業社製、エポキシ当量280)などを用いることができ、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲で添加することができる。
また、カップリング剤は、プリント配線基板の材質、チップ部品裏面の表面に露出している材料の種類を考慮し、用いるエポキシ樹脂の種類に応じて、必要に応じて、適宜好ましいものを選択して添加する。汎用されるカップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤のγ−グリシジロトリメトキシシランなどがあるが、これらから前記の選択基準に従って好適なカップリング剤を適量添加するとよい。一般に、カップリング剤は、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲で添加することができる。
可塑剤やチキソ剤は、液状エポキシ樹脂組成物の塗布加工性を考慮して、必要に応じて、添加される。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチルなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましい可塑剤を適量添加するとよい。チキソ剤としては、例えば、ヒドロキシステアリン酸のトリグリセライド、ヒュームドシリカなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましいチキソ剤を適量添加するとよい。
第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分の熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物と、必要に応じて添加される上述の慣用される副次的な成分とを十分に混合した後、その調製工程の攪拌等により内部に発生したあるいは取り込まれた気泡を減圧脱泡して製造することができる。加えて、第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物中に含有される酸無水物は本来水分を嫌う化合物であり、また、金属材料表面の酸化皮膜の除去作用を維持するためにも、製造された液状エポキシ樹脂組成物への水分混入を抑制して、調製・保存を行う。
第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装における封止充填に用いて、その効果を発揮するものである。具体的には、フリップチップ実装において、ハンダ製のバンプ電極の熔融を、アンダーフィルを充填した後、その熱硬化とともに行う方式において、その効果を発揮する。
液状エポキシ樹脂組成物の充填方式に依らず、ハンダ製のバンプなどの金属表面に残留する酸化皮膜のその場除去作用は得られるが、例えば、以下の手順をとる封止充填方法をとる際、その効果はより高くなる。具体的には、フリップチップ実装における封止充填の方法として、
(1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
(2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記する第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
(3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
上記(1)〜(3)の一連の工程により、封止充填を行うと好ましいものとなる。
つまり、所定の粘性を有する液状エポキシ樹脂組成物をプリント配線基板上に予め厚めに塗布しておき、その上からチップ部品を押し付けることで、金属配線の電極とバンプ電極との物理的な接触を行い、同時に、押しつぶされ、広がった液状エポキシ樹脂組成物が、金属配線の電極とバンプ電極をも覆った状態となる。この際、塗布されている液状エポキシ樹脂組成物の上面はほぼ平坦であるので、その上からチップ部品を押し付けることで、未充填部分、ボイドとなる部分が発生することはない。また、物理的な接触を果たした金属配線の電極とバンプ電極の表面を、液状エポキシ樹脂組成物が密に覆っている状態とできる。この状態において、ハンダ製のバンプを熔融させるべく加熱を行うので、上で説明したように、金属表面に残留している酸化皮膜の除去がなされる。
本発明にかかる、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、バンプ電極の材料として、錫合金ハンダ、例えば、スズ−鉛共晶ハンダを利用する半導体素子の組み立てを行う際、その熱硬化を行う温度を、錫合金ハンダの熔融温度よりも高い温度に選択し、上述するバンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の工程で行う方法において、その本来の効果を発揮するものである。
熱硬化性エポキシ樹脂に対し、その熱硬化を誘起する手段として、特に、酸無水物を硬化剤として用いることで、この酸無水物の金属酸化物に対する反応を主なフラックス活性としても利用している。加えて、前記酸無水物のフラックス活性の増強を図る目的で、付加的成分として、プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分を添加して、錫合金ハンダ表面の酸化皮膜、具体的には、錫の酸化物に対する酸無水物の反応を触媒的な促進を図っている。具体的には、プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂中に溶解可能なジカルボン酸を利用している。熱硬化(リフロー)のため加熱する際、熱的に前記ジカルボン酸のカルボキシ基から、錫の酸化物の酸素原子にプロトンを供与することで、酸無水物が錫の酸化物と反応して、酸無水物に由来するジカルボン酸型の配位子からなる錯体形成、あるいは、酸無水物に由来するジカルボン酸の金属塩へと変換する過程を促進している。なお、前記の反応後、一旦錫の酸化物の酸素原子に供与されていたプロトンは、前記の一連の反応を終えると、再び、元のカルボキシ基に復し、酸解離していないジカルボン酸となることで、酸触媒として機能するものである。
第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物を含み、この両者を均一に混合した液状エポキシ樹脂組成物に、付加的成分として、(C)フラックス活性増強成分に利用するジカルボン酸を少量添加したものである。
第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物において、熱硬化物を構成する必須成分の(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂としては、封止充填剤に利用可能なエポキシ樹脂である限り、その種類に制限はない。硬化時の樹脂強度、接着性などから、例えば、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂などが、封止充填剤においては汎用されている。第二の発明においても、前記のビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択するとより好ましい。その際、単一の樹脂化合物を利用することも、二種以上の樹脂化合物を混合して利用することもできる。より具体的には、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテルとして、エピコート828(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量190)など、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテルとして、エピコート154(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量178)など、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステルとして、エピコート871(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量430)、エポミックR540(商品名;三井化学社製:エポキシ当量195)など、脂環式エポキシ樹脂として、セロキサイド2021(商品名;ダイセル化学工業社製:エポキシ当量135)などが使用される。
(B)の硬化剤として利用できる酸無水物としては、熱硬化性エポキシ樹脂の硬化を引き起こすジカルボン酸の酸無水物が一般に利用できる。この酸無水物は、エポキシ樹脂と重付加型の反応を起こし、樹脂硬化を達成する。例えば、脂肪族酸無水物、例えば、ポリアゼライン酸無水物(PAPA)、ドデセニル無水コハク酸(DDSA)など、脂環族酸無水物、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)、無水メチルナジック酸(NMT)など、芳香族酸無水物、例えば、無水トリメット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)など、ハロゲン系酸無水物、例えば、無水ヘット酸(HET)、テトラブロモ無水フタル酸(TBPA)などを、重付加型の酸無水物硬化剤の一例として挙げることができる。
なかでも、用いられる酸無水物自体では、−CO−O−CO−を含む環構造が5員環を構成するとより好ましい。熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として利用されている酸無水物のうち、前記の構造を有するものとして、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体からなる酸無水物などが挙げられる。なお、本発明において好適に利用される、無水テトラヒドロフタル酸や無水ヘキサヒドロフタル酸の誘導体には、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(商品名B−650;大日本インキ化学工業社製)など、無水コハク酸の誘導体には、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
例えば、前記のビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂のいずれかをエポキシ樹脂に選択する際、その硬化剤として機能する酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体のいずれかを選択すると一層好ましい組み合わせとなる。
加えて、下記する一般式(II):
Figure 2002044241
(式中、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基であり、R6は、水素原子または鎖式炭化水素基である)で示される環上に置換を有するテトラヒドロフタル酸型の二カルボン酸の分子内酸無水物、あるいは、一般式(III):
Figure 2002044241
(式中、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基である)で示される環上に置換と架橋鎖を有するテトラヒドロフタル酸型二カルボン酸の分子内酸無水物など、相対的な嵩高い6員環を有するものも、好適な酸無水物の一例として挙げられる。
前記酸無水物はその大半は硬化剤として消費されるが、フラックス成分として、若干量が消費されるので、その消費量を考慮し、酸無水物の使用量は、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、例えば、酸無水物を0.8当量以上、好ましくは、0.9当量以上、多くとも、若干等量を超える量、具体的には、1.1当量を超えない範囲、0.9〜1.1当量の範囲に選択することがより好ましい。
なお、酸化皮膜の形成が多い劣悪な条件では、より高いフラックス活性が必要となり、その点を考慮して、前記(B)の硬化剤の酸無水物の添加率範囲上限に近い値を選択すると好ましい。現実的には、過度の自然酸化が生じないように当業者が通常の注意を払う限り、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を0.85〜0.95当量含む組成範囲に選択しても、必要とされるフラックス活性に伴う消費量を賄い、更に残る酸無水物の量は、熱硬化に適当な0.8当量〜0.9当量の範囲に概ね収まる。なお、バンプ電極間の間隔が狭くなることも考えあわせると、表面酸化皮膜の除去で消費される酸無水物の割合が相対的に増す傾向にある。その際には、安全を見て、当初の含有比率をやや高め、例えば、1.1当量までに選択することで、フラックス作用を発揮して消費される量を除いても、熱硬化に適当な0.8当量〜1.0当量の範囲により確実に収めることができる。
前記する種々の酸無水物から、上記(A)の各種液状の熱硬化性エポキシ樹脂に応じて選択される酸無水物を(B)の硬化剤として用い、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と共に開環重合を起こさせ、熱硬化を起こさせる。その際、熱硬化温度が比較的に低い場合は、エポキシ環の開環を適度に促進する目的で、硬化促進剤を少量添加することが望ましい。すなわち、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(B)の硬化剤として酸無水物は、適正な重合の伸長に適する比率であるものの、その熱硬化の開始に、硬化促進剤の作用を利用すると、全体的な熱硬化速度を所望の範囲に調整することが容易になる。
この硬化促進剤は、エポキシ基の開環反応を促進し、酸無水物自体と反応を起こさないものである限り、特に制限はなく、酸無水物とアミドの形成を起こさないアミン化合物、ルイス酸、ならびにイミダゾール類が利用できる。前記の要件を満たすアミン化合物としては、具体的には、第三級アミン、例えば、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)など、ルイス酸としては、例えば、BF・モノエチルアミン、BF・ピペラジンなど、また、イミダゾール類としては、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EM124)、2−ヘプタデシルイミダゾール(HD12)など、これらを一例として挙げることができる。
これら硬化促進剤の内でも、イミダゾール類は、付加的成分として添加されているジカルボン酸と含有される窒素原子間での複合体(付加塩)を形成する懸念が少なく、第二の発明における添加目的により適するものである。
硬化促進剤として、前記するアミン化合物、ルイス酸、ならびにイミダゾール類などを用いる際には、これら求核性化合物のエポキシ環の開環促進作用により、反応が誘起・促進された、エポキシ樹脂と酸無水物との重付加反応により、樹脂鎖の延長がなされる。従って、熱硬化性エポキシ樹脂の1分子当たり、0.001〜0.2分子の硬化促進剤を混合することが好ましい。例えば、硬化促進剤として、具体的には、例えば、エポキシ当量190のエポキシ樹脂の100g当たり、イミダゾール類では0.5〜10mmolの範囲に選択するとよい。硬化促進剤個々の分子量にもよるが、例えば、液状エポキシ樹脂の100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲で添加することもできる。なお、硬化処理温度を高くするに伴い、硬化促進剤の添加比率を下げても、硬化剤の酸無水物との反応は進行するので、この熱硬化反応と平行して進行されるフラックス処理の反応と、その反応速度の均衡が図られるように、硬化処理温度を高く選択する際には、硬化促進剤の添加比率を相対的に下げることが望ましい。
以上に説明した、熱硬化反応に関与する主要成分を均一に混合した液状エポキシ樹脂組成物中に、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分としての機能を有する、ジカルボン酸を少量添加する。
前記ジカルボン酸は、その融点は、液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度より低く、常温では固体であり、その沸点は、前記液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度よりも高いことが好ましい。加えて、液状エポキシ樹脂組成物中の主成分であるエポキシ樹脂と均一に混和できる、相溶性に富むジカルボン酸が好ましい。
すなわち、ジカルボン酸は、酸無水物と同様に、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に溶解・混和した状態で使用されるが、熱硬化の進行とともに、溶媒としても機能している液状エポキシ樹脂自体、重合を起こし、溶媒として機能する液状エポキシ樹脂量が減少していく際にも、ジカルボン酸が液状エポキシ樹脂組成物中に均一な溶解状態を維持することが好ましい。
従って、用いるジカルボン酸は、その沸点は、液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度よりも有意に高いことがより好ましい。熱硬化とともに、フラックス処理も進行するが、仮に、熱硬化温度よりも、用いるジカルボン酸の沸点が低いと、液状エポキシ樹脂組成物中に溶解しているので、沸点上昇が生じて、実効的に気泡を生じて気化するには至らないものの、蒸散が進み、残留濃度が減少すると、目標とするフラックス活性増強作用を達成できない事態も生じる。用いるジカルボン酸の沸点が、液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度よりも有意に高いならば、前記の蒸散に伴うフラックス活性増強作用の低下は、問題とならないものとなる。また、熱硬化が完了した時点で、重合反応の終端において消費されず、なお、残留しているジカルボン酸は、その融点が熱硬化温度よりも低いと、硬化物の重合体分子間に浸漬し、均一に分散した状態がより確実に達成できる。勿論、熱硬化の際、気化したジカルボン酸が気泡を形成して、ボイドの発生させる要因ともならない。
加えて、ジカルボン酸は、その分子形状によっては、加熱する間に、自らの分子内で、二つのカルボキシ基間で脱水縮合が生じ、酸無水物へと変換されることもある。具体的には、生成する環状無水物が、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸のように、5員環を形成するもの、あるいは、グルタル酸無水物のように、6員環を形成するものは、加熱温度が増すに従って、脱水縮合による酸無水物へと変換が進行する。その際、フラックス活性増強作用を有するジカルボン酸の含有比率は結果として減少する、すなわち、フラックス活性増強作用の低下が引き起こされる。生成する酸無水物自体は、エポキシ樹脂に対する硬化剤として機能するものが多く、問題となることはないものの、当初添加するジカルボン酸量を予め増すことが必要となり、決して好ましいものではない。加えて、この5員環、あるいは、6員環の環状酸無水物を生成するに付随して、副生物の水分子が気化し、気泡を形成すると、ボイド発生の要因となり、封止充填剤の機能上好ましものではない。
それとは別に、ジカルボン酸のうち、水に対する溶解性に富む、フマル酸(trans−ブタン二酸)、シュウ酸(エタン二酸)、マロン酸(プロパン二酸)などは、前記環状酸無水物を生成する懸念はないものの、封止充填剤の耐水性、あるいは、高湿環境における保護特性の観点では、硬化物表面に存在した際、水に溶解して、酸として機能する懸念があり、その利用範囲は制限がある。
対象とするハンダ材料がスズ−鉛ハンダである場合には、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化処理の温度は、このスズ−鉛ハンダの融解温度、183℃よりは若干高く、例えば、210℃以下の範囲に選択される。従って、スズ−鉛ハンダを用いる際、好適に利用可能なジカルボン酸は、ジカルボン酸の融点は、スズ−鉛ハンダの融解温度、183℃よりも低く、沸点は、スズ−鉛ハンダの融解温度、183℃よりも十分に高く、また、水に対する溶解性が乏しいもので、加えて、含まれる二つのカルボキシ基の間に、少なくとも、炭素数で4以上の炭素鎖長に相当する隔たりがある構造を有するジカルボン酸である。
例えば、飽和脂肪族ジカルボン酸であれば、二つのカルボキシ基を両端に含む鎖(HOOC−(C)−COOH)を母体鎖とする際、この鎖長(n+2)の母体鎖は、少なくとも、炭素数6以上の鎖長を有するもの、好ましくは、炭素数7〜15の範囲の鎖長を有するもの、より好ましくは、炭素数9〜12の範囲の鎖長を有するものを、好適な例として挙げることができる。なお、この母体鎖に対して、若干数の分岐鎖が存在するものであっても、その融点が極端に上昇するものでなければ、同様に好適なものとなる。飽和脂肪族ジカルボン酸のなかでも、側鎖を持たない、直鎖のアルカン二酸であり、その炭素数は、C7〜C15の範囲、より好ましくは、C9〜C12の範囲であると、より好ましいものとなる。
また、不飽和脂肪族ジカルボン酸においても、前記飽和脂肪族ジカルボン酸に対応する、二つのカルボキシ基を両端に含む鎖を母体鎖(HOOC−(C)−COOH)が、炭素数7〜15の範囲の鎖長を有するもの、より好ましくは、炭素数9〜12の範囲の鎖長を有するものを、好適な例として挙げることができる。この場合も、その母体鎖に対して、若干数の分岐鎖が存在するものであっても、その融点が極端に上昇するものでなければ、同様に好適なものとなる。なお、母体鎖中に存在する−CH=CH−などの炭素−炭素二重結合における絶対配置によっては、二つのカルボキシ基が互いに近接して、分子内で酸無水物の生成が可能となる場合もあるが、この種の環状無水物が容易に生成する配置は、好適な範囲からは除かれる。不飽和脂肪族ジカルボン酸においても、側鎖を持たない、直鎖のジカルボン酸であり、その炭素数は、C7〜C15の範囲、より好ましくは、C9〜C12の範囲であると、より好ましいものとなる。
さらには、上記の鎖状の脂肪族ジカルボン酸における、二つのカルボキシ基を両端に含む鎖を母体鎖に代えて、鎖中に環構造を含み、その実効的な鎖長が炭素数6以上の鎖長に相当するものの、好適なジカルボン酸となる。具体的には、含まれる環構造としては、芳香環、例えば、フェニレン基(−C−)など、あるいは、脂環炭化水素に由来する環構造、例えば、シクロヘキサンジイル(−C10−)などが挙げられる。なお、これらの環構造;Rに直接、一つのカルボキシ基が結合するものでなく、HOOC−(C)n1−R−(C)n2−COOH型の、環構造上の二つの側鎖にそれぞれカルボキシ基が存在する形状のものがより好ましい。
ジカルボン酸の添加比率は、酸無水物に応じて、また、フラックス処理を行う温度をも考慮して、適宜選択するものである。つまり、フラックス処理を行う温度を高く選択する際には、主な役割が硬化剤である酸無水物は、熱硬化に急速に消費されるため、フラックス処理速度をかかる熱的な硬化速度と匹敵するものとする上では、ジカルボン酸の添加比率を増す必要がある。一方、フラックス処理を行う温度を比較的に低く選択する際には、熱的な硬化速度が比較的に遅くなっているので、ジカルボン酸の添加比率が低くとも、フラックス処理速度をかかる熱的な硬化速度と匹敵するものとすることができる。例えば、ハンダ材料がスズ−鉛共晶ハンダ(熔融点:183℃)に対して、熱硬化処理の温度は210℃以下の範囲に選択するので、一般に、(B)硬化剤の酸無水物の1モルに対して、好ましくは、前記ジカルボン酸を1×10−2〜10×10−2モルの範囲となる量、より好ましくは、3×10−2〜8×10−2モルの範囲となる量に選択することが好ましい。あるいは、樹脂組成物全体に対して、ジカルボン酸の含有量が0.2〜5質量%の範囲に選択することがより望ましい。
なお、酸無水物の含有比率が増すにつれ、酸無水物自体にフラックス活性が増すので、ジカルボン酸の添加比率を低くしても、所望のフラックス処理速度が達成できる。一方、酸無水物の含有比率が低い際には、前記の上限値を超えない範囲で、ジカルボン酸の添加比率をより高い範囲に選択し、所望のフラックス処理速度となるように一層の活性増強を図ることが好ましいものである。
さらには、残余のジカルボン酸は、ハンダ付けが終了した後もアンダーフィル中に留まるが、接触している配線金属などに対して、不要な反応を起こして、動作不良を引き起こす要因を形成することもない。
封止充填剤は、特に、バンプ電極近傍、すなわち、チップ部品とプリント配線基板との接合固定領域の補強を主な機能とするので、バンプ電極近傍において、硬化に実際に関与する、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の最終的な含有率が好ましい範囲、具体的には、重付加型の硬化剤、例えば、酸無水物が0.8当量程度となるのが最適である。熱硬化を進めるため、高温に維持される間に、表面酸化皮膜の除去に伴い、酸無水物の一部は消費される。そのため、バンプ電極近傍において、酸無水物についてみるならば、その局所的な含有率は、フラックス処理が進むにつれて、しだいに低下していく。その結果、エポキシ樹脂と硬化剤との重合付加反応の伸長を一旦遅延されるので、フラックス処理の完了する前は、エポキシ樹脂組成物の流動性が損なわれ、フラックス処理の阻害要因となってしまうことを防止している。フラックス処理が終わると、その後、熱硬化に要する期間、ハンダの融点付近の温度で一定に保つ間に、拡散により必要な酸無水物は供給される。従って、バンプ電極近傍においても、得られる熱硬化物の特性は、従来の封止充填剤と比較して、全く遜色のないものとなる。
第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、上述する(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と(B)の硬化剤の酸無水物、ならびに付加的成分の(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分として利用するジカルボン酸の必須成分に加えて、通常、先に述べた硬化促進剤を副次的な成分として添加することが多いが、それ以外も、この種のエポキシ樹脂組成物に慣用される副次的な成分を添加することもできる。具体的には、その他の副次的な成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤など、さらには、可塑剤、チキソ剤などをも添加できる。いずれを添加するか、また、その添加量は、必須成分に用いる熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物に応じて、適宜選択するとよい。
酸化防止剤は、封止充填した後、熱硬化処理の際、エポキシ樹脂の耐熱性を向上する目的で、予めエポキシ樹脂中に混入しておくことができる。この酸化防止剤としては、酸素除去・還元作用を有するヒドロキノン、亜リン酸エステル類などを用いることができ、その添加量は、熱処理環境、例えば、リフロー加熱炉内の残留酸素濃度・温度などを考慮して適宜選択する。
レベリング剤は、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物自体の粘度、従って、必須成分に用いる熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の種類、含有比率に応じて、適宜添加量を選択するとよい。例えば、レベリング剤としては、ST80PA(商品名;東レ・ダウ=コーニング・シリコーン社製)などを用いることができ、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜5質量%の範囲で添加することができる。応力緩和剤としては、アデカレジンEPR−1309(商品名;旭電化工業社製、エポキシ当量280)などを用いることができ、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲で添加することができる。
また、カップリング剤は、プリント配線基板の材質、チップ部品裏面の表面に露出している材料の種類を考慮し、用いるエポキシ樹脂の種類に応じて、必要に応じて、適宜好ましいものを選択して添加する。汎用されるカップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤のγ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどがあるが、これらから前記の選択基準に従って好適なカップリング剤を適量添加するとよい。一般に、カップリング剤は、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲で添加することができる。
可塑剤やチキソ剤は、液状エポキシ樹脂組成物の塗布加工性を考慮して、必要に応じて、添加される。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチルなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましい可塑剤を適量添加するとよい。チキソ剤としては、例えば、ヒドロキシステアリン酸のトリグリセライド、ヒュームドシリカなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましいチキソ剤を適量添加するとよい。
なお、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物においては、錫合金ハンダ材に対するフラックス処理は、主に、上記する付加的成分のジカルボン酸が示すフラックス活性増強作用を活用し、酸無水物を利用して行われるものであるが、場合によっては、更にフラックス活性増強作用を示す成分を副次的に添加することができる。例えば、この副次的に添加することが可能な、フラックス活性増強作用を示す成分としては、アクリル酸などを付加した酸変性ロジン、例えば、アクリル変性ロジン、あるいは、アミン化合物の塩基性窒素原子上にハロゲン化水素付加塩を形成してなるアミンのハロゲン化水素付加塩など、加熱した際、初めてプロトン供与能を示すものを、補足的な量を添加して利用することもできる。
第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分の熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤、付加的成分のジカルボン酸、ならびに必要に応じて添加される上述の慣用される副次的な成分とを十分に混合した後、その調製工程の攪拌等により内部に発生したあるいは取り込まれた気泡を減圧脱泡して製造することができる。加えて、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物中に含有される、硬化剤の酸無水物や、ジカルボン酸をなどは、硬化反応前から、水分が存在する環境に置くと、その本来の機能が失われる化合物であり、また、金属材料表面の酸化皮膜の除去作用を維持するためにも、製造された液状エポキシ樹脂組成物への水分混入を抑制して、調製・保存を行う。
第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装における封止充填に用いて、その効果を発揮するものである。具体的には、フリップチップ実装において、ハンダ製のバンプ電極の熔融を、アンダーフィルを充填した後、その熱硬化とともに行う方式において、その効果を発揮する。
液状エポキシ樹脂組成物の充填方式に依らず、ハンダ製のバンプなどの金属表面に残留する酸化皮膜のその場除去作用は得られるが、例えば、以下の手順をとる封止充填方法をとる際、その効果はより高くなる。具体的には、フリップチップ実装における封止充填の方法として、
(1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
(2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記する第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
(3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
上記(1)〜(3)の一連の工程により、封止充填を行うと好ましいものとなる。
つまり、所定の粘性を有する液状エポキシ樹脂組成物をプリント配線基板上に予め厚めに塗布しておき、その上からチップ部品を押し付けることで、金属配線の電極とバンプ電極との物理的な接触を行い、同時に、押しつぶされ、広がった液状エポキシ樹脂組成物が、金属配線の電極とバンプ電極をも覆った状態となる。この際、塗布されている液状エポキシ樹脂組成物の上面はほぼ平坦であるので、その上からチップ部品を押し付けることで、未充填部分、ボイドとなる部分が発生することはない。また、物理的な接触を果たした金属配線の電極とバンプ電極の表面を、液状エポキシ樹脂組成物が密に覆っている状態とできる。この状態において、ハンダ製のバンプを熔融させるべく加熱を行うので、上で説明したように、金属表面に残留している酸化皮膜の除去がなされる。
本発明にかかる、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、バンプ電極の材料として、錫合金ハンダ、例えば、スズ−鉛共晶ハンダなどを利用する半導体素子の組み立てを行う際、その熱硬化を行う温度を、錫合金ハンダの熔融温度よりも高い温度に選択し、上述するバンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の工程で行う方法において、その本来の効果を発揮するものである。
熱硬化性エポキシ樹脂に対し、その熱硬化を誘起する手段として、特に、酸無水物を硬化剤として用いることで、この酸無水物の金属酸化物に対する反応を主なフラックス活性としても利用している。加えて、前記酸無水物のフラックス活性の増強を図る目的で、付加的成分として、プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分を添加して、錫合金ハンダ表面の酸化皮膜、具体的には、錫の酸化物に対する酸無水物の反応を触媒的な促進を図っている。具体的には、プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分として、アミン化合物の塩基性窒素原子上にハロゲン化水素付加塩を形成してなるアミンのハロゲン化水素付加塩を利用している。熱硬化(リフロー)のため加熱する際、熱的に前記ハロゲン化水素付加塩からハロゲン化水素の遊離を起こさせ、このハロゲン化水素が、錫の酸化物の酸素原子にプロトンを供与することで、酸無水物が錫の酸化物と反応して、二カルボン酸型の配位子からなる錯体形成、あるいは、二カルボン酸の金属塩へと変換する過程を促進している。なお、前記の反応後、一旦錫の酸化物の酸素原子に供与されていたプロトンは、再び、ハロゲン化物アニオンと結合して、ハロゲン化水素を再生するため、酸触媒として機能するものである。
第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物を含み、この両者を均一に混合した液状エポキシ樹脂組成物に、付加的成分として、(C)フラックス活性増強成分に利用するアミンのハロゲン化水素付加塩を少量添加したものである。
第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物において、熱硬化物を構成する必須成分の(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂としては、封止充填剤に利用可能なエポキシ樹脂である限り、その種類に制限はない。硬化時の樹脂強度、接着性などから、例えば、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂などが、封止充填剤においては汎用されている。第三の発明においても、前記のビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択するとより好ましい。その際、単一の樹脂化合物を利用することも、二種以上の樹脂化合物を混合して利用することもできる。より具体的には、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテルとして、エピコート828(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量190)など、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテルとして、エピコート154(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量178)など、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステルとして、エピコート871(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量430)、エポミックR540(商品名;三井化学社製:エポキシ当量195)など、脂環式エポキシ樹脂として、セロキサイド2021(商品名;ダイセル化学工業社製:エポキシ当量135)などが使用される。
(B)の硬化剤として利用できる酸無水物としては、熱硬化性エポキシ樹脂の硬化を引き起こすジカルボン酸の酸無水物が一般に利用できる。この酸無水物は、エポキシ樹脂と重付加型の反応を起こし、樹脂硬化を達成する。例えば、脂肪族酸無水物、例えば、ポリアゼライン酸無水物(PAPA)、ドデセニル無水コハク酸(DDSA)など、脂環族酸無水物、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)、無水メチルナジック酸(NMT)など、芳香族酸無水物、例えば、無水トリメット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)など、ハロゲン系酸無水物、例えば、無水ヘット酸(HET)、テトラブロモ無水フタル酸(TBPA)などを、重付加型の酸無水物硬化剤の一例として挙げることができる。
なかでも、用いられる酸無水物自体では、−CO−O−CO−を含む環構造が5員環を構成するとより好ましい。熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として利用されている酸無水物のうち、前記の構造を有するものとして、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体からなる酸無水物などが挙げられる。なお、第三の発明において好適に利用される、無水テトラヒドロフタル酸や無水ヘキサヒドロフタル酸の誘導体には、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(商品名B−650;大日本インキ化学工業社製)など、無水コハク酸の誘導体には、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
例えば、前記のビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂のいずれかをエポキシ樹脂に選択する際、その硬化剤として機能する酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体のいずれかを選択すると一層好ましい組み合わせとなる。
加えて、下記する一般式(II):
Figure 2002044241
(式中、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基であり、R6は、水素原子または鎖式炭化水素基である)で示される環上に置換を有するテトラヒドロフタル酸型の二カルボン酸の分子内酸無水物、あるいは、一般式(III):
Figure 2002044241
(式中、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基である)で示される環上に置換と架橋鎖を有するテトラヒドロフタル酸型二カルボン酸の分子内酸無水物など、相対的な嵩高い6員環を有するものも、好適な酸無水物の一例として挙げられる。
前記酸無水物はその大半は硬化剤として消費されるが、フラックス成分として、若干量が消費されるので、その消費量を考慮し、酸無水物の使用量は、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、例えば、酸無水物を0.8当量以上、好ましくは、0.9当量以上、多くとも、若干等量を超える量、具体的には、1.1当量を超えない範囲、0.9〜1.1当量の範囲に選択することがより好ましい。
なお、酸化皮膜の形成が多い劣悪な条件では、より高いフラックス活性が必要となり、その点を考慮して、前記(B)の硬化剤の酸無水物の添加率範囲上限に近い値を選択すると好ましい。現実的には、過度の自然酸化が生じないように当業者が通常の注意を払う限り、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を0.85〜0.95当量含む組成範囲に選択しても、必要とされるフラックス活性に伴う消費量を賄い、更に残る酸無水物の量は、熱硬化に適当な0.8当量〜0.9当量の範囲に概ね収さまる。なお、バンプ電極間の間隔が狭くなることも考えあわせると、表面酸化皮膜の除去で消費される酸無水物の割合が相対的に増す傾向にある。その際には、安全を見て、当初の含有比率をやや高め、例えば、1.1当量までに選択することで、フラックス作用を発揮して消費される量を除いても、熱硬化に適当な0.8当量〜1.0当量の範囲により確実に収さめることができる。
前記する種々の酸無水物から、上記(A)の各種液状の熱硬化性エポキシ樹脂に応じて選択される酸無水物を(B)の硬化剤として用い、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と共に開環重合を起こさせ、熱硬化を起こさせる。その際、熱硬化温度が比較的に低い場合は、エポキシ環の開環を適度に促進する目的で、硬化促進剤を少量添加することが望ましい。すなわち、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(B)の硬化剤として酸無水物は、適正な重合の伸長に適する比率であるものの、その熱硬化の開始に、硬化促進剤の作用を利用すると、全体的な熱硬化速度を所望の範囲に調整することが容易になる。
この硬化促進剤は、エポキシ基の開環反応を促進し、酸無水物自体と反応を起こさないものである限り、特に制限はなく、酸無水物とアミドの形成を起こさないアミン化合物、ルイス酸、ならびにイミダゾール類が利用できる。前記の要件を満たすアミン化合物としては、具体的には、第三級アミン、例えば、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)など、ルイス酸としては、例えば、BF・モノエチルアミン、BF・ピペラジンなど、また、イミダゾール類としては、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EM124)、2−ヘプタデシルイミダゾール(HD12)など、これらを一例として挙げることができる。
これら硬化促進剤の内でも、イミダゾール類は、付加的成分として添加されているアミンのハロゲン化水素付加塩から、遊離するハロゲン化水素と含有される窒素原子間での複合体を形成する懸念が少なく、第三の発明における添加目的により適するものである。
硬化促進剤として、前記するアミン化合物、ルイス酸、ならびにイミダゾール類などを用いる際には、これら求核性化合物のエポキシ環の開環促進作用により、反応が誘起・促進された、エポキシ樹脂と酸無水物との重付加反応により、樹脂鎖の延長がなされる。従って、熱硬化性エポキシ樹脂の1分子当たり、0.001〜0.2分子の硬化促進剤を混合することが好ましい。例えば、硬化促進剤として、具体的には、例えば、エポキシ当量190のエポキシ樹脂の100g当たり、イミダゾール類では0.5〜10mmolの範囲に選択するとよい。硬化促進剤個々の分子量にもよるが、例えば、液状エポキシ樹脂の100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲で添加することもできる。
以上に説明した、熱硬化反応に関与する主要成分を均一に混合した液状エポキシ樹脂組成物中に、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分としての機能を有する、アミン化合物の塩基性窒素原子上にハロゲン化水素付加塩を形成してなるアミンのハロゲン化水素付加塩を少量添加する。
前記アミンのハロゲン化水素付加塩を構成する、ハロゲン化水素としては、塩化水素(HCl)・臭化水素(HBr)・ヨード化水素(HI)が利用可能であるが、通常、塩化水素、臭化水素による付加塩を用いることが好ましい。また、前記アミンのハロゲン化水素付加塩において、それを構成するアミン化合物自体は、その融点は、液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度より低く、常温で液体または固体であり、その沸点は、前記液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度よりも高い塩基性アミンであることが好ましい。
すなわち、加熱する間に、アミンのハロゲン化水素付加塩から、熱的にハロゲン化水素が遊離すると、結果的に、アミン化合物が残される。その場合、かかるアミン化合物自体の融点が、熱硬化温度より高いものであると、熱硬化の進行とともに、溶媒としても機能している液状エポキシ樹脂自体、重合を起こし、溶媒として機能しなくなると、アミン化合物が凝集し、粉末を形成するものとなる。その場合、遊離しているハロゲン化水素と再び、付加塩を形成することができなくなり、得られる硬化物中に、遊離しているハロゲン化水素が残留する場合もあり、封止充填剤の機能上好ましくない。
また、アミン化合物の沸点が、熱硬化温度よりも低いと、気泡を形成し、場合によっては、ボイドとなり、所望の封止充填が達成されない部位を生じることもある。アミンのハロゲン化水素付加塩自体は、当然に、前記のような不都合を生じさせないものの、遊離したハロゲン化水素の相当部分は、エポキシ樹脂と酸無水物との重合物の終端において、消費される結果、残余するアミン化合物としては、前記の不都合を引き起こす懸念のないものを用いることが好ましい。
なお、アミン化合物自体、酸無水物と反応して、アミド結合を形成すると、気泡の形成を起こさないものとなるので、エチルアミン、プロピルアミンなどのモノアルキルアミン、エチレンジアミンなどのアルキレンジアミン、ジエチルアミンなどのジアルキルアミンなども、アミンのハロゲン化水素付加塩を構成するアミン化合物として利用可能である。
一方、前記アミンのハロゲン化水素付加塩において、それを構成するアミン化合物自体として、ハロゲン化水素と付加塩を形成するその塩基性窒素原子は、第三級アミンを構成している塩基性アミンであると、上記の不都合を引き起こす懸念がなく、より好適なものである。第三級アミンのうち、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミンを用いると、樹脂組成物全体に均一に混合させる上でも、より好ましいものである。
上記する(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分としての機能を有する、アミンのハロゲン化水素付加塩は、加熱の際、ハロゲン化水素を遊離するものの、フラックス活性に主に関与する酸無水物と錫の酸化物との反応が可能な、比較的に高い温度に併せて、ハロゲン化水素を遊離することが望ましい。その点でも、第三級アミンとの付加塩を用いると、例えば、スズ−鉛共晶ハンダなどの低い熔融温度に対応する際にも、その温度領域でも、所望の程度にハロゲン化水素を遊離することが可能でより好ましいものとなる。
アミンのハロゲン化水素付加塩の添加比率は、酸無水物に応じて、また、フラックス処理を行う温度をも考慮して、適宜選択するものであるが、一般に、(B)硬化剤の酸無水物の1モルに対して、前記付加塩として添加されるハロゲン化水素が1×10−4〜2×10−2モルの範囲となる量に選択することが好ましい。あるいは、樹脂組成物全体に対して、ハロゲン含有量が100〜1500質量ppmの範囲に選択することがより望ましい。より好ましくは、前記アミンのハロゲン化水素付加塩を構成する、ハロゲン化水素としては、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)を用いることが望ましく、塩化水素(HCl)付加塩を利用する際には、酸無水物1モル当たり、1.2×10−3〜1.8×10−2モルの範囲となる量に、また、臭化水素(HBr)付加塩を利用する際には、酸無水物1モル当たり、0.5×10−3〜0.8×10−2モルの範囲となる量に選択することが望ましい。つまり、利用するハロゲン化水素の種類に応じて、熱的に遊離する比率が異なることを考慮して、前記の範囲に添加量を選択すると好ましいものとなる。
なお、酸無水物の含有比率が増すにつれ、酸無水物自体にフラックス活性が増すので、アミンのハロゲン化水素付加塩の添加比率を低くしても、所望のフラックス処理速度が達成でき、逆に、酸無水物の含有比率が低くなるにつれ、アミンのハロゲン化水素付加塩の添加比率をより高い範囲に選択し、所望のフラックス処理速度となるように一層の活性増強を図ることが好ましいものである。
さらには、残余のアミン化合物のハロゲン化水素付加塩は、ハンダ付けが終了した後もアンダーフィル中に留まるが、接触している配線金属などに対して、不要な反応を起こして、動作不良を引き起こす要因を形成することもない。
封止充填剤は、特に、バンプ電極近傍、すなわち、チップ部品とプリント配線基板との接合固定領域の補強を主な機能とするので、バンプ電極近傍において、硬化に実際に関与する、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の最終的な含有率が好ましい範囲、具体的には、重付加型の硬化剤、例えば、酸無水物が0.8当量程度となるのが最適である。熱硬化を進めるため、高温に維持される間に、表面酸化皮膜の除去に伴い、酸無水物の一部は消費される。そのため、バンプ電極近傍において、酸無水物についてみるならば、その局所的な含有率は、フラックス処理が進むにつれて、しだいに低下していく。その結果、エポキシ樹脂と硬化剤との重合付加反応の伸長を一旦遅延されるので、フラックス処理の完了する前は、エポキシ樹脂組成物の流動性が損なわれ、フラックス処理の阻害要因となってしまうことを防止している。フラックス処理が終わると、その後、熱硬化に要する期間、ハンダの融点付近の温度で一定に保つ間に、拡散により必要な酸無水物は供給される。従って、バンプ電極近傍においても、得られる熱硬化物の特性は、従来の封止充填剤と比較して、全く遜色のないものとなる。
第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、上述する(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と(B)の硬化剤の酸無水物、ならびに付加的成分の(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分として利用するアミンのハロゲン化水素付加塩の必須成分に加えて、通常、先に述べた硬化促進剤を副次的な成分として添加することが多いが、それ以外も、この種のエポキシ樹脂組成物に慣用される副次的な成分を添加することもできる。具体的には、その他の副次的な成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤など、さらには、可塑剤、チキソ剤などをも添加できる。いずれを添加するか、また、その添加量は、必須成分に用いる熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物に応じて、適宜選択するとよい。
酸化防止剤は、封止充填した後、熱硬化処理の際、エポキシ樹脂の耐熱性を向上する目的で、予めエポキシ樹脂中に混入しておくことができる。この酸化防止剤としては、酸素除去・還元作用を有するヒドロキノン、亜リン酸エステル類などを用いることができ、その添加量は、熱処理環境、例えば、リフロー加熱炉内の残留酸素濃度・温度などを考慮して適宜選択する。
レベリング剤は、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物自体の粘度、従って、必須成分に用いる熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の種類、含有比率に応じて、適宜添加量を選択するとよい。例えば、レベリング剤としては、ST80PA(商品名;東レ・ダウ=コーニング・シリコーン社製)などを用いることができ、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜5質量%の範囲で添加することができる。応力緩和剤としては、アデカレジンEPR−1309(商品名;旭電化工業社製、エポキシ当量280)などを用いることができ、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲で添加することができる。
また、カップリング剤は、プリント配線基板の材質、チップ部品裏面の表面に露出している材料の種類を考慮し、用いるエポキシ樹脂の種類に応じて、必要に応じて、適宜好ましいものを選択して添加する。汎用されるカップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤のγ−グリシジロトリメトキシシランなどがあるが、これらから前記の選択基準に従って好適なカップリング剤を適量添加するとよい。一般に、カップリング剤は、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲で添加することができる。
可塑剤やチキソ剤は、液状エポキシ樹脂組成物の塗布加工性を考慮して、必要に応じて、添加される。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチルなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましい可塑剤を適量添加するとよい。チキソ剤としては、例えば、ヒドロキシステアリン酸のトリグリセライド、ヒュームドシリカなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましいチキソ剤を適量添加するとよい。
第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分の熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤、付加的成分のアミンのハロゲン化水素付加塩、ならびに必要に応じて添加される上述の慣用される副次的な成分とを十分に混合した後、その調製工程の攪拌等により内部に発生したあるいは取り込まれた気泡を減圧脱泡して製造することができる。加えて、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物中に含有される、硬化剤の酸無水物や、アミン化合物のハロゲン化水素付加塩をなどは、水分が存在すると、その本来の機能が失われる化合物であり、また、金属材料表面の酸化皮膜の除去作用を維持するためにも、製造された液状エポキシ樹脂組成物への水分混入を抑制して、調製・保存を行う。
第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装における封止充填に用いて、その効果を発揮するものである。具体的には、フリップチップ実装において、ハンダ製のバンプ電極の熔融を、アンダーフィルを充填した後、その熱硬化とともに行う方式において、その効果を発揮する。
液状エポキシ樹脂組成物の充填方式に依らず、ハンダ製のバンプなどの金属表面に残留する酸化皮膜のその場除去作用は得られるが、例えば、以下の手順をとる封止充填方法をとる際、その効果はより高くなる。具体的には、フリップチップ実装における封止充填の方法として、
(1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
(2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記する第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
(3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
上記(1)〜(3)の一連の工程により、封止充填を行うと好ましいものとなる。
つまり、所定の粘性を有する液状エポキシ樹脂組成物をプリント配線基板上に予め厚めに塗布しておき、その上からチップ部品を押し付けることで、金属配線の電極とバンプ電極との物理的な接触を行い、同時に、押しつぶされ、広がった液状エポキシ樹脂組成物が、金属配線の電極とバンプ電極をも覆った状態となる。この際、塗布されている液状エポキシ樹脂組成物の上面はほぼ平坦であるので、その上からチップ部品を押し付けることで、未充填部分、ボイドとなる部分が発生することはない。また、物理的な接触を果たした金属配線の電極とバンプ電極の表面を、液状エポキシ樹脂組成物が密に覆っている状態とできる。この状態において、ハンダ製のバンプを熔融させるべく加熱を行うので、上で説明したように、金属表面に残留している酸化皮膜の除去がなされる。
本発明にかかる、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、バンプ電極の材料として、鉛を含まない錫合金ハンダを利用する半導体素子の組み立てを行う際、その熱硬化を行う温度を、少なくとも200℃を超える、多くに場合には、230℃をも超える、鉛を含まない錫合金ハンダの熔融温度よりも高い温度に選択し、上述するバンプ電極と電極間の接合形成(ハンダ付け)とアンダーフィル(封止充填剤)の硬化接着を同一の工程で行う方法において、その本来の効果を発揮するものである。
ただし、かかる封止充填の対象となる電子部品類の性能に影響を及ぼす可能性をもつ300℃以上の温度で、リフロー処理、ならびにそれに伴う熱硬化処理を行うことはない。従って、前記の別の要請により定まる上限温度300℃以下であるが、利用される鉛を含まない錫合金ハンダの熔融温度よりも高い温度に、熱硬化を行う温度、具体的には、リフロー温度は選択される。
熱硬化性エポキシ樹脂に対し、その熱硬化を誘起する手段として、特に、酸無水物を硬化剤として用いることで、この酸無水物の金属酸化物に対する反応をフラックス活性として利用している。加えて、硬化促進剤を付加的成分として添加することで、酸無水物とエポキシ樹脂との開環重合反応の誘起を行うことで、所望の温度以上に達した際に、その熱硬化が開始する構成を採用している。結果として、熱硬化が進行する前、樹脂組成物が流動性を有する間に、バンプ電極の材料表面の金属酸化物、あるいは、プリント配線パターン面上の金属酸化物被膜の除去が進む。従って、この加熱工程において、酸無水物によるフラックス処理が終了した時点で、ハンダ材料の熔融と、熱硬化性エポキシ樹脂の熱硬化が進むことになる。
第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、バンプ電極の材料として、鉛を含まない錫合金ハンダを利用する工程に対応するため、従来の鉛−錫合金ハンダを用いる際の加熱温度よりも、更に高い加熱温度を選択する。その温度を選択すると、従来の鉛−錫合金ハンダの融点付近で最適な熱硬化特性を与える、硬化剤の酸無水物に対して、硬化促進剤として、例えば、アミン化合物を用いる組み合わせでは、鉛を含まない錫合金ハンダの融点に達する前に熱硬化が開始してしまい、ハンダの熔融に併せて、熱硬化も進行するという所望の熱硬化特性が得られないことになる。第四の発明では、硬化剤の酸無水物と、硬化促進剤との組み合わせを、熱硬化を実施する加熱温度を、少なくとも200℃を超える、多くに場合には、230℃をも超える、鉛を含まない錫合金ハンダの融点以上に選択する際にも、ハンダの熔融に併せて、熱硬化も進行するように、特定の組み合わせを選択している。
加えて、200℃を超える、特には、230℃を超える高い温度になると、硬化促進剤として、添加されているアミン化合物が触媒し、その反応の促進がなされていた、上記の反応式(1)に示されるような、酸無水物同士の二量化反応、それに伴う二酸化炭素の放出をも、前記のように、硬化剤の酸無水物と、硬化促進剤とを特定の組み合わせとすることで、大幅に抑制する効果も達成している。また、鉛を含まない錫合金ハンダの融点、例えば、260℃程度に達するまでは、熱硬化の進行が緩やかになる構成となっている結果、仮に、二酸化炭素の放出に因り、気泡が形成されたとしても、その気泡の離脱が可能な程度に流動性を保持でき、熱硬化が進む樹脂組成物中に、気泡が取り残され、ボイドを発生することも防止されている。
第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物を含み、この両者を均一に混合した液状エポキシ樹脂組成物に、付加的成分として、(C)硬化促進剤を少量添加したものである。
第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物において、熱硬化物を構成する必須成分の(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂としては、封止充填剤に利用可能なエポキシ樹脂である限り、その種類に制限はない。硬化時の樹脂強度、接着性などから、例えば、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂などが、封止充填剤においては汎用されている。第四の発明においても、前記のビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択するとより好ましい。その際、単一の樹脂化合物を利用することも、二種以上の樹脂化合物を混合して利用することもできる。より具体的には、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテルとして、エピコート828(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量190)など、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテルとして、エピコート154(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量178)など、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステルとして、エピコート871(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量430)、エポミックR540(商品名;三井化学社製:エポキシ当量195)など、脂環式エポキシ樹脂として、セロキサイド2021(商品名;ダイセル化学工業社製:エポキシ当量135)などが使用される。
一方、(B)の硬化剤として酸無水物を用い、上記(A)の各種液状の熱硬化性エポキシ樹脂と共に開環重合を起こさせ、熱硬化を起こす際、エポキシ環の開環を促進する目的で、(C)硬化促進剤を少量添加している。すなわち、(C)硬化促進剤の作用が発揮されない状態では、熱硬化は僅かしか進行しないように、(B)の硬化剤として酸無水物を選択している。
つまり、かかる第四の発明における、第一の形態としては、(C)硬化促進剤として、アミン化合物の塩基性窒素原子上に弱いプロトン酸が付加塩を形成してなるアミン化合物の酸付加塩を選択することで、かかる(C)硬化促進剤のエポキシ環の開環促進する機能は、鉛−錫合金ハンダの融点以下の温度範囲では、十分には発揮されないものの、鉛を含まない錫合金ハンダの融点近くまで加熱を進めると、所望の硬化促進作用が発揮する形態としている。あるいは、第二の形態としては、(C)硬化促進剤として、アミン化合物を用いて、鉛−錫合金ハンダの融点以下の温度範囲でも、エポキシ環の開環促進がなされても、(B)の硬化剤として酸無水物の反応性を抑え、また、立体障害を与える構造としておくことで、鉛を含まない錫合金ハンダの融点近くまで加熱した際、所望の硬化反応速度を達成できる形態としている。
先に述べた第一の形態においては、(B)の硬化剤として酸無水物は、従来の鉛−錫合金ハンダの融点程度で熱硬化する封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物において利用されているものを利用することができる。すなわち、(B)の硬化剤として用いる酸無水物は、(A)のエポキシ樹脂に応じて、熱硬化物において、樹脂強度などが所望の特性となるものを適宜選択することができる。また、(A)のエポキシ樹脂と(B)の硬化剤となる酸無水物の含有比率も、両者の組み合わせに応じて、熱硬化物において、樹脂強度などが所望の特性となる比率を適宜選択することができるものの、フラックス成分として、若干量が消費されるので、その消費量を考慮し、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、例えば、酸無水物を1当量以上、好ましくは、若干等量を超える量、具体的には、1.0〜2.0当量の範囲、より好ましくは1.0〜1.4当量の範囲に選択することが好ましい。
(B)の硬化剤として利用できる酸無水物としては、熱硬化性エポキシ樹脂の硬化を引き起こすジカルボン酸の酸無水物が一般に利用できる。この酸無水物は、エポキシ樹脂と重付加型の反応を起こし、樹脂硬化を達成する。例えば、脂肪族酸無水物、例えば、ポリアゼライン酸無水物(PAPA)、ドデセニル無水コハク酸(DDSA)など、脂環族酸無水物、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)、無水メチルナジック酸(NMT)など、芳香族酸無水物、例えば、無水トリメット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)など、ハロゲン系酸無水物、例えば、無水ヘット酸(HET)、テトラブロモ無水フタル酸(TBPA)などを、重付加型の酸無水物硬化剤の一例として挙げることができる。
なかでも、用いられる酸無水物自体では、−CO−O−CO−を含む環構造が5員環を構成するとより好ましい。熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として利用されている酸無水物のうち、前記の構造を有するものとして、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体からなる酸無水物などが挙げられる。なお、本発明において好適に利用される、無水テトラヒドロフタル酸や無水ヘキサヒドロフタル酸の誘導体には、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(商品名B−650;大日本インキ化学工業社製)など、無水コハク酸の誘導体には、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
例えば、前記のビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂のいずれかをエポキシ樹脂に選択する際、その硬化剤として機能する酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体のいずれかを選択すると一層好ましい組み合わせとなる。
一方、(C)の硬化促進剤としては、アミン化合物の塩基性窒素原子上に弱いプロトン酸が付加塩を形成してなるアミン化合物の酸付加塩を選択する。このアミン化合物の酸付加塩としては、含まれるアミン化合物自体は、酸無水物と反応することのないものが好ましい。従って、その塩基性窒素原子に対しては、立体障害を生ずる置換基を有する、あるいは、構造自体、立体障害を有するものであることが望ましい。具体的には、トリエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ポリエーテルジアミンであるジェファーミンなど、立体障害の高い構成のアミン化合物がより好ましい。また、その塩基性窒素原子に対して、酸付加塩を形成する弱いプロトン酸は、それ自体は、エポキシ環に対して作用し、その開環を誘起することの少ないものが好ましい。また、加熱の際、比較的に低い温度で蒸散して、酸付加塩を解消し、アミン化合物の防護を行う機能を失うことのないものが好ましい。例えば、沸点の高いカルボン酸、具体的には、2エチルヘキサン酸程度の炭素鎖を有するモノカルボン酸、あるいは、酸性リン酸エステルを用いることが好ましい。
酸性リン酸エステルは、アルコール類とリン酸から生成される部分エステルであり、例えば、モノアルキル二水素リン酸(ROP(O)(OH))とジアルキル一水素リン酸((RO)P(O)OH)の双方を用いることができる。いずれも、一般的に、塩基性窒素に対して、プロトン供与体として、付加塩を形成する機能をするため、酸性リン酸エステルと呼ぶことができる。なお、遊離した酸性リン酸エステルは、高温度において、プロトン供与能を発揮することができ、本発明においては、フラックス活性を付与する成分としての機能をも、一部発揮することもある。
具体的には、アミン化合物に対して、酸付加塩を形成する形態で含有される酸性リン酸エステルは、リフロー温度、すなわち、ハンダの熔融する温度以上の温度に達すると、前記の酸付加塩から硬化促進剤のアミン化合物が遊離する結果、遊離型の酸性リン酸エステルの比率も高まる。その際、200℃を超える、望ましくは、230℃を超えるような高温度においては、遊離型の酸性リン酸エステルは、プロトン供与能を発揮し始め、金属表面の酸化皮膜、例えば、酸化錫などを侵食して、その除去を行うフラックス活性の付与をも果たす。なお、このリン酸部分に由来する金属表面処理効果は、遊離型の酸性リン酸エステルが出現する、リフロー温度程度の高温においてのみ発揮され、室温においては、酸付加塩の構成成分として存在するので、酸の機能は極めて乏しいので、不要な副次的反応は排除されたものとなる。具体的には、プロトン酸によるエポキシ環の開環反応などに、遊離型の酸性リン酸エステルが関与する可能性はあるものの、エポキシ環の開環反応は、主に、アミン化合物により誘起され、本来の目的を損なう前記の作用は、予め排除されている。さらには、残余の酸性リン酸エステルは、ハンダ付けが終了した後もアンダーフィル中に留まるが、接触している配線金属などに対して、不要な反応を起こして、動作不良を引き起こす要因を形成することもない。
このアミン化合物の酸付加塩は、(C)の硬化促進剤として利用されるアミン化合物に対して、弱いプロトン酸、例えば、モノカルボン酸や酸性リン酸エステルを、その塩基性窒素数に対応する分子数となるように、添加混合して、組成物中で、アミン化合物の酸付加塩を構成することができる。なお、アミン化合物に対して、より確実に酸付加塩を形成するため、弱いプロトン酸、例えば、モノカルボン酸や酸性リン酸エステルを、アミノ窒素1原子当たり、1分子あるいは若干量過剰な比率とすることもできる。また、前記の添加混合により、酸付加塩を形成するモノカルボン酸や酸性リン酸エステルを、選択することがより好ましい。勿論のことであるが、加熱し、利用されるリフロー温度、すなわち、ハンダの熔融する温度に達すると、酸付加塩を解離して、遊離するアミン化合物は、硬化促進剤としての本来の機能を発揮する。
第一の形態では、これらから選択する(C)の硬化促進剤は、利用される、(B)の硬化剤として用いる酸無水物と、(A)のエポキシ樹脂との反応性に応じて、適宜その添加量を選択するものである。具体的には、硬化促進剤は、200℃以上に加熱する際に、初めて、酸付加塩の解離が起こる形態であるものの、かかる解離は平衡反応であり、遊離した一部のアミン化合物のみが、硬化促進作用を有する。その点を考慮して、その添加量を選択するものである。硬化促進剤に利用するアミン化合物個々の分子量にもよるが、例えば、液状エポキシ樹脂の100質量部当たり、アミン化合物部分の総量として、0.1〜20質量部、より好ましくは、1〜20質量部の範囲で添加することができる。つまり、熱硬化性エポキシ樹脂の1エポキシ基当たり、アミノ化合物の総和が0.001〜0.2分子、より好ましくは、0.02〜0.2分子となる量の硬化促進剤を混合することが好ましい。
一方、第四の発明の液状エポキシ樹脂組成物における第二の形態では、(B)の硬化剤として利用する酸無水物自体を、下記一般式(I):
Figure 2002044241
(式中、R1は、二価の鎖式炭化水素基であり、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基であり、R4は、水素原子または鎖式炭化水素基であり、R5は、水素原子または鎖式炭化水素基であり、R4とR5は、互いに連結されて、−(R4−R5)−の二価の鎖式炭化水素基を形成してもよい)で示される環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物を用いることで、酸無水物自体の反応性を調整することで、不要な副次的な反応、具体的には、二量化反応を抑制するとともに、エポキシ環との重付加反応も、リフロー温度、すなわち、ハンダの熔融する温度程度に達しない加熱途中では、緩やかにしか進行しないものとしている。この一般式(I)の環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物において、R1を含む環は、5員環または6員環であるとより好ましく、−(R4−R5)−の二価の鎖式炭化水素基を有して、二環構造を有する際にも、この−(R4−R5)−の二価の鎖式炭化水素基を含む環も、5員環または6員環であるとより好ましい。このようなより好ましい環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物として、
例えば、下記一般式(II):
Figure 2002044241
(式中、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基であり、R6は、水素原子または鎖式炭化水素基である)で示される環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物、あるいは、
下記一般式(III):
Figure 2002044241
(式中、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基である)で示される環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物など、6員環を有するものが挙げられる。これらの分子内酸無水物では、R2とR3の一価の鎖式炭化水素基が、立体障害と電子供与作用を有し、不要な副次的反応を抑制している。また、前記の立体障害と電子供与作用は、エポキシ環との反応に対しても、その反応性を制御する機能を有し、リフロー温度、すなわち、ハンダの熔融する温度程度に達しない加熱途中では、緩やかにしか進行しないものとしている。
前記の一般式(I)の酸無水物を用いる際にも、その使用量は、フラックス成分として、若干量が消費されるので、その消費量を考慮し、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、例えば、酸無水物を1当量以上、好ましくは、若干等量を超える量、具体的には、1.0〜2.0当量の範囲、より好ましくは1.0〜1.4当量の範囲に選択することが好ましい。
一方、(C)の硬化促進剤は、特に制限はなく、アミン化合物、ならびに環状のイミダゾール類が利用できる。アミン化合物としては、具体的には、第三級アミン、例えば、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)など、また、イミダゾール類としては、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EM124)、2−ヘプタデシルイミダゾール(HD12)など、これらを一例として挙げることができる。
第二の形態においても、これらから選択する(C)の硬化促進剤は、利用される、(B)の硬化剤として用いる酸無水物と、(A)のエポキシ樹脂との反応性に応じて、適宜その添加量を選択するものである。
なお、(C)の硬化促進剤として、アミン化合物、あるいは環状のイミダゾール類などを用いる際には、これら触媒化合物によるエポキシ環の開環促進作用により、反応が誘起・促進された、エポキシ樹脂と酸無水物との重付加反応により、樹脂鎖の延長がなされる。従って、熱硬化性エポキシ樹脂の1エポキシ基当たり、0.001〜0.2分子の硬化促進剤を混合することが好ましい。例えば、硬化促進剤として、具体的には、例えば、エポキシ当量190のエポキシ樹脂の100g当たり、イミダゾール類では0.5〜10mmolの範囲に選択するとよい。硬化促進剤個々の分子量にもよるが、例えば、液状エポキシ樹脂の100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲で添加することができる。
なお、酸化皮膜の形成が多い劣悪な条件では、より高いフラックス活性が必要となり、その点を考慮して、前記の(B)の硬化剤の酸無水物の添加率範囲上限に近い値を選択すると好ましい。現実的には、過度の自然酸化が生じないように当業者が通常の注意を払う限り、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1.0〜2.0当量、より好ましくは1.0〜1.4当量の範囲で含む組成範囲に選択しても、必要とされるフラックス活性の範囲に概ね収さまる。なお、バンプ電極間の間隔が狭くなることも考えあわせると、表面酸化皮膜の除去で消費される酸無水物の割合が相対的に増す傾向にある。その際には、安全を見て、添加率をやや高めに選択することで、付与されるフラックス活性を好ましい範囲により確実に収さめることができる。
封止充填剤は、特に、バンプ電極近傍、すなわち、チップ部品とプリント配線基板との接合固定領域の補強を主な機能とするので、バンプ電極近傍において、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の最終的な含有率が好ましい範囲、具体的には、重付加型の硬化剤、例えば、酸無水物が0.8当量程度となるのが最適である。熱硬化を進めるため、高温に維持される間に、表面酸化皮膜の除去に伴い消費される。そのため、バンプ電極近傍において、酸無水物についてみるならば、その局所的な含有率は大幅に低下していく。その結果、エポキシ樹脂と硬化剤との重合付加反応の伸長を一旦遅延させるものの、熱硬化に要する期間、具体的には、図1に示すリフロープロフィールおいて、ハンダの融点付近の温度で一定に保つ間に、拡散により必要な酸無水物は供給される。従って、バンプ電極近傍において、得られる熱硬化物の特性は、従来の封止充填剤と比較して、全く遜色のないものとなる。
つまり、図1において、(1)で示す従来の鉛−スズハンダの融点より若干高い温度にリフロー温度を設定する代わりに、鉛を含まない錫合金ハンダを用いる際には、その融点より若干高い温度をリフロー温度に選択し、(2)急速に昇温する、あるいは、(3)従来と同等の昇温速度でかかる高温まで加熱するリフロープロフィールが採用される。その際、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、その熱硬化は、従来の鉛−スズハンダの融点程度では、極僅かしか進行せず、少なくとも200℃、望ましくは、230℃を超える温度に達した時点で、実質的な熱硬化は開始し、リフロー温度において、含有される酸無水物によるハンダ材表面の酸化被膜の除去が終わった時点で、所望の硬化が進むものとなる。
第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、上述する必須成分(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と(B)の硬化剤の酸無水物、ならびに付加的成分の(C)硬化促進剤以外に、この種のエポキシ樹脂組成物に慣用される副次的な成分を添加することもできる。具体的には、副次的な成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤など、さらには、可塑剤、チキソ剤などをも添加できる。いずれを添加するか、また、その添加量は、必須成分に用いる熱硬化性エポキシ樹脂と酸無水物に応じて、適宜選択するとよい。
酸化防止剤は、封止充填した後、熱硬化処理の際、エポキシ樹脂の耐熱性を向上する目的で、予めエポキシ樹脂中に混入しておくことができる。この酸化防止剤としては、酸素除去・還元作用を有するヒドロキノン、亜リン酸エステル類などを用いることができ、その添加量は、熱処理環境、例えば、リフロー加熱炉内の残留酸素濃度・温度などを考慮して適宜選択する。
レベリング剤は、封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物自体の粘度、従って、必須成分に用いる熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の種類、含有比率に応じて、適宜添加量を選択するとよい。例えば、レベリング剤としては、ST80PA(商品名;東レ・ダウ=コーニング・シリコーン社製)などを用いることができ、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜5質量%の範囲で添加することができる。応力緩和剤としては、アデカレジンEPR−1309(商品名;旭電化工業社製、エポキシ当量280)などを用いることができ、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲で添加することができる。
また、カップリング剤は、プリント配線基板の材質、チップ部品裏面の表面に露出している材料の種類を考慮し、用いるエポキシ樹脂の種類に応じて、必要に応じて、適宜好ましいものを選択して添加する。汎用されるカップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤のγ−グリシジロトリメトキシシランなどがあるが、これらから前記の選択基準に従って好適なカップリング剤を適量添加するとよい。一般に、カップリング剤は、液状エポキシ樹脂組成物全体に対して、0〜10質量%の範囲で添加することができる。
可塑剤やチキソ剤は、液状エポキシ樹脂組成物の塗布加工性を考慮して、必要に応じて、添加される。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチルなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましい可塑剤を適量添加するとよい。チキソ剤としては、例えば、ヒドロキシステアリン酸のトリグリセライド、ヒュームドシリカなどがあるが、エポキシ樹脂の種類に応じて、好ましいチキソ剤を適量添加するとよい。
第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分の熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤、付加的成分の硬化促進剤、ならびに必要に応じて添加される上述の慣用される副次的な成分とを十分に混合した後、その調製工程の攪拌等により内部に発生したあるいは取り込まれた気泡を減圧脱泡して製造することができる。加えて、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物中に含有される、硬化剤の酸無水物や、アミン化合物との酸付加塩を形成する酸性リン酸エステルなどは本来水分を嫌う化合物であり、また、金属材料表面の酸化皮膜の除去作用を維持するためにも、製造された液状エポキシ樹脂組成物への水分混入を抑制して、調製・保存を行う。
第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装における封止充填に用いて、その効果を発揮するものである。具体的には、フリップチップ実装において、ハンダ製のバンプ電極の熔融を、アンダーフィルを充填した後、その熱硬化とともに行う方式において、その効果を発揮する。
液状エポキシ樹脂組成物の充填方式に依らず、ハンダ製のバンプなどの金属表面に残留する酸化皮膜のその場除去作用は得られるが、例えば、以下の手順をとる封止充填方法をとる際、その効果はより高くなる。具体的には、フリップチップ実装における封止充填の方法として、
(1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
(2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記する第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
(3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
上記(1)〜(3)の一連の工程により、封止充填を行うと好ましいものとなる。
つまり、所定の粘性を有する液状エポキシ樹脂組成物をプリント配線基板上に予め厚めに塗布しておき、その上からチップ部品を押し付けることで、金属配線の電極とバンプ電極との物理的な接触を行い、同時に、押しつぶされ、広がった液状エポキシ樹脂組成物が、金属配線の電極とバンプ電極をも覆った状態となる。この際、塗布されている液状エポキシ樹脂組成物の上面はほぼ平坦であるので、その上からチップ部品を押し付けることで、未充填部分、ボイドとなる部分が発生することはない。また、物理的な接触を果たした金属配線の電極とバンプ電極の表面を、液状エポキシ樹脂組成物が密に覆っている状態とできる。この状態において、ハンダ製のバンプを熔融させるべく加熱を行うので、上で説明したように、金属表面に残留している酸化皮膜の除去がなされる。
本発明にかかる半導体装置組み立て体は、基板用電極を有するプリント配線基板上にチップ部品用電極を有するチップ部品をフリップチップ実装してなる半導体装置組み立て体であり、そのフリップチップ実装において、ハンダ付け接合と封止充填とを同一工程で施されている。具体的には、フリップチップ実装の際、封止充填を、上述する第一の発明、第二の発明、第三の発明、または第四の発明のいずれかにかかる封止充填の方法で行った半導体装置組み立て体である。なお、ハンダ付け接合に利用するハンダ製のバンプを構成するハンダ材料として、鉛スズ共晶ハンダを利用する際には、上述する第一の発明、第二の発明、あるいは第三の発明のいずれかにかかる封止充填の方法を採用することが好ましい。一方、ハンダ製のバンプを構成するハンダ材料として、所謂、鉛フリー錫合金系ハンダを利用する際には、第四の発明かかる封止充填の方法を採用することが好ましい。
[実施例]
以下に、具体例を挙げて、本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物、それを用いた封止充填において達成される酸化皮膜の除去効果にかんして、より具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、本発明にかかる、第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物が示す特徴である、ハンダ材料表面に生成する酸化皮膜の除去作用を検証した。
液状エポキシ樹脂組成物中に必須成分として含まれる(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤の機能を有する酸無水物の含有比率を種々に選択して、ハンダ材料の酸化皮膜に対するフラックス作用を調べた。有効なフラックス作用が達成されているか否は、封止充填剤を充填硬化させた試料について、ハンダ不良が要因と推察される、電極間の導通試験において、導通不良発生の有無により判定した。
(比較例1−1)
従来、アンダーフィル用のエポキシ樹脂として推奨されている組成、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、硬化剤の酸無水物を1当量未満で若干等量に欠ける量、具体的には、0.8当量程度用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(商品名;油化シェルエポキシ社製:エポキシ当量約190)100質量部に対して、前記エピコート828用の酸無水物系硬化剤として用いられるメチルヘキサヒドロフタル酸無水物のB−650(商品名;大日本インキ化学工業社製:酸無水物当量約170)75質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(商品名;油化シェルエポキシ社製:分子量172)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例1−1)
第一の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1当量以上、具体的には、約1.3当量用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、硬化剤として用いられるメチルヘキサヒドロフタル酸無水物のB−650(前出)115質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例1−2)
第一の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1当量以上、具体的には、約1.05当量用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、硬化剤として用いられるメチルヘキサヒドロフタル酸無水物のB−650(前出)95質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例1−3)
第一の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1当量以上、具体的には、約1.1当量用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、硬化剤として用いられるメチルヘキサヒドロフタル酸無水物のB−650(前出)99質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例1−4)
第一の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1当量以上、具体的には、約1.0当量用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、硬化剤として用いられるメチルヘキサヒドロフタル酸無水物のB−650(前出)90質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
実施例1−1、実施例1−2、ならびに、実施例1−3、実施例1−4の液状エポキシ樹脂組成物と比較例1−1の液状エポキシ樹脂組成物について、それぞれ同様の条件でフリップチップ実装を行い、得られた実装済み半導体装置について、チップ部品とプリント回路基板の電極間における導通不良の有無を評価した。表1−1に、その導通試験結果を併せて示す。導通試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合格品数の比率をもって、その指標とする。
表1−1に示す通り、硬化剤の酸無水物が1当量を超える量含有される、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3の液状エポキシ樹脂組成物においては、全数合格であったが、比較例1−1の液状エポキシ樹脂組成物では、凡そ半数に導通不良が発生している。ただし、実施例1−4のように、硬化剤の酸無水物を1当量とすると、場合によっては、数個に導通不良の発生することもある。従って、第一の発明による液状エポキシ樹脂組成物においては、過剰量含有する酸無水物により、フラックス性が付与されている結果、リフロー処理によって前記の様に良好なバンプ電極による接合がなされていると判断される。
Figure 2002044241
(比較例1−2)
従来、アンダーフィル用のエポキシ樹脂として推奨されている組成、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、硬化剤の酸無水物を1当量未満で若干等量に欠ける量、具体的には、0.8当量程度用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、前記エピコート828用の酸無水物系硬化剤として用いられるドデセニル無水コハク酸(和光純薬工業社製:酸無水物当量260)115質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例1−5)
第一の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1当量以上、具体的には、約1.3当量用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、硬化剤として用いられるドデセニル無水コハク酸(前出)180質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例1−6)
第一の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1当量以上、具体的には、約1.05当量用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、硬化剤として用いられるドデセニル無水コハク酸(前出)145質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例1−7)
第一の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1当量以上、具体的には、約1.1当量用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、硬化剤として用いられるドデセニル無水コハク酸(前出)153質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例1−8)
第一の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1当量以上、具体的には、約1.0当量用いる液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部に対して、硬化剤として用いられるドデセニル無水コハク酸(前出)135質量部を加え、さらに硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBM112(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
実施例1−5、実施例1−6、ならびに、実施例1−7、実施例1−8の液状エポキシ樹脂組成物と比較例2の液状エポキシ樹脂組成物について、それぞれ同様の条件でフリップチップ実装を行い、得られた実装済み半導体装置について、チップ部品とプリント回路基板の電極間における導通不良の有無を評価した。表1−2に、その導通試験結果を併せて示す。導通試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合格品数の比率をもって、その指標とする。
表1−2に示す通り、硬化剤の酸無水物が1当量を超える量含有される、本実施例1−5、実施例1−6、実施例1−7の液状エポキシ樹脂組成物においては、全数合格であったが、比較例1−2の液状エポキシ樹脂組成物では、凡そ1/3に導通不良が発生している。ただし、硬化剤の酸無水物を1当量含む実施例1−8の液状エポキシ樹脂組成物では、場合によっては、数個に導通不良の発生することもある。従って、第一の発明による液状エポキシ樹脂組成物においては、過剰量含有する酸無水物により、フラックス性が付与されている結果、リフロー処理によって前記の様に良好なバンプ電極による接合がなされていると判断される。
Figure 2002044241
上述する表1−1、表1−2の対比結果に示されるとおり、本発明にかかる第一の発明では、酸無水物の含有比率を1.0当量以上とすると、十分なフラックス作用が発揮されると判断される。得られる熱硬化樹脂硬化物の樹脂特性をも考慮すると、酸無水物の含有比率は、2.0当量以下とするとよく、好ましくは、1.6当量以下、より好ましくは、1.4当量以下とするとよいことも併せて結論される。
(実施例1−9)
前記の結果に基づき、酸無水物の含有比率を1.3当量と最も好ましい範囲に選択した封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物(実施例1−1ならびに実施例1−5)を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物用いて、以下の手順によりアンダーフィルの充填を行った。その結果、バンプの熔融時、表面酸化皮膜に由来するハンダ付け不良もなく、また、充填不良、ボイドの発生もないものであった。
プリント配線基板上にバンプ電極が設けられているフリップチップ実装に適用した。まず、前記のバンプ電極を予め形成したプリント配線基板に、上記アンダーフィル用エポキシ樹脂組成物をスクリーン印刷により所定のパターンに塗布する。これも裏面にバンプ電極を形成してあるチップ部品を、このアンダーフィル剤パターンを印刷した配線基板上のバンプ電極に対して、両者の電極位置が整合するように位置合わせする。この位置において、電極相互が接触するようにチップ部品を押し付ける。その過程で、塗布されているアンダーフィル剤層は押し広げられ、チップ部品の裏面とも密着する。また、接触しているバンプ電極、対応する基板上の配線表面、チップ部品の裏面電極面もしっかり、押し広げられたアンダーフィル剤で被覆される。
このチップ部品の上面から押圧した状態で、リフロー炉内に入れ、バンプ熔融を行う。バンプハンダ付けが済み、更にアンダーフィル剤のエポキシ樹脂の熱硬化が進行する。
上述する通り、この手順に従うとチップ部品を押圧するので、チップ部品裏面との間に気泡が残ることもないので、ボイドは発生しない。また、既に説明した通り、酸化被膜もその場で除去されるのでハンダ付け不良もない。このように、電極の接合不良もなく、しかも、アンダーフィルの充填・硬化も過不足なく達成される。
本発明にかかる、第一の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、必須成分として含む(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤の機能を有する酸無水物の含有比率を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)の酸無水物を通常この種の液状エポキシ樹脂組成物において好適とされている0.8当量、多くとも、1当量より若干少ない量よりも、有意に高い比率とする。具体的には、(B)の酸無水物を1.0〜2.0当量、好ましくは1.0〜1.6当量の範囲、より好ましくは、1.05〜1.6当量の範囲に選択する。この液状エポキシ樹脂組成物が充填された状態において、チップ部品とプリント配線基板の電極間に互いに物理的な接触を形成する配置されているハンダ製のバンプ電極を加熱熔融した際、過剰量の酸無水物がその表面の酸化皮膜の除去を行うフラックスとしても作用する。結果的に、酸無水物が消費された際にも、バンプ電極近傍における液状エポキシ樹脂組成物中には、酸無水物が好適とされている0.8当量程度残留しており、好適な熱硬化物となるという効果が得られる。従って、予めバンプ電極などの表面の酸化皮膜を除去するため、フラックスによる処理を施さなくとも、バンプ電極に用いるハンダの良好な熔融、ハンダ付けによる電極間の接合ができ、同時に封止充填剤の熱硬化が行えるという利点が得られる。
本発明にかかる、第二の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物が示す特徴である、ハンダ材料表面に生成する酸化皮膜の除去作用を検証した。具体的には、付加的成分として添加されている、ジカルボン酸によって、フラックス活性の増強が所望の程度に達成することを検証した。加えて、この第二の発明による構成をとると、熱硬化処理を行う際に発生すると、封止充填の効果を顕著に損なう要因となる、ボイド発生も十分に抑制されることを検証した。
ジカルボン酸の添加に伴う、液状エポキシ樹脂組成物中に必須成分として含まれる、(B)硬化剤の酸無水物が関与する、ハンダ材料の酸化皮膜を除去する効率の差異は、封止充填剤を充填硬化させた試料について、ハンダ不良が要因と推察される、電極間の導通試験における、導通不良発生の有無により判定した。
(比較例2−1)
バンプを形成するハンダ材料として、スズ−鉛共晶ハンダ(組成Sn:63%、Pb37%;熔融点:183℃)を用いる場合、その融点を大きく超えない温度で使用可能なアンダーフィル用のエポキシ樹脂として推奨されている組成、すなわち、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量 約190)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(商品名;ジャパンエポキシレジン社製、酸無水物当量 約230)120質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、分子量172)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
前記の三成分を均一に混合した後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(実施例2−1)
第二の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、バンプを形成するハンダ材料として、スズ−鉛共晶ハンダ(熔融点:183℃)が利用される際に好適な組成比を有する、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分のフラックス活性増強成分として、ジカルボン酸を含む液状エポキシ樹脂組成物とした。このジカルボン酸として、この実施例1〜3においては、直鎖状アルカン二酸;ω,ω’−アルカンジカルボン酸(HOOC−(CH−COOH)の一つであるセバシン酸(デカン二酸;1,8−オクタンジカルボン酸、豊国製油(株)製、試薬、分子量202.25、融点135℃、沸点294.5℃(100mmHg))を用いた。
液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量部と、硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、セバシン酸3質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(実施例2−2)
前記実施例2−1と比べて、セバシン酸の添加比率を低くした液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量部と、硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、セバシン酸1質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物も、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(実施例2−3)
前記実施例2−1と比べて、セバシン酸の添加比率を高くした液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量部と、硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、セバシン酸7質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(実施例2−4)
前記実施例2−1と比べて、酸無水物の含有比率を有意に低くした液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)100質量部と、硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。加えてセバシン酸3質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(参考例2−1)
α位にヒドロキシ基を有するジカルボン酸であるL(−)−リンゴ酸(2−ヒドロキシブタン二酸;融点100℃、分子量134.09)を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)130質量部と、硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を含有し、更に、リンゴ酸2質量部を加えた液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(参考例2−2)
前記比較例2−1と比べて、酸無水物の含有比率を有意に高くした液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)130質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
次いで、実施例2−1〜2−4の液状エポキシ樹脂組成物と参考例2−1、2−2、比較例2−1の液状エポキシ樹脂組成物について、それぞれ同様の条件でフリップチップ実装を行い、得られた実装済み半導体装置について、チップ部品とプリント回路基板の電極間における導通不良の有無を評価した。加えて、実装済みのプリント回路基板について、透視観察して、空隙(ボイド)の有無を検査した。
なお、用いた硬化条件は、20℃から200℃まで、120秒間で昇温(1.5℃/s)し、200℃で120秒間保持した。この保持後、強制冷却した。
表2−1に、導通試験結果を併せて示す。導通試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合格品数の比率をもって、その指標とする。
表2−1に示す通り、実施例2−1、2−3の液状エポキシ樹脂組成物においては、いずれも全数合格、セバシン酸の含有比が低い実施例2−2の液状エポキシ樹脂組成物においても、導通不良は約15%であった。実施例2−1と比較して、酸無水物の含有比率が少ない実施例2−4の液状エポキシ樹脂組成物では、導通不良が5%程度は生じているものの、セバシン酸の添加による効果は十分に発揮されている。比較例2−1の液状エポキシ樹脂組成物では、凡そ20%程度に導通不良が発生している。また、参考例2−1の液状エポキシ樹脂組成物においては、リンゴ酸を加えることにより、導通不良の発生は、比較例2−1よりは、確かに抑制されているが、その効果は、実施例2−2と同程度に留まっている。なお、参考例2−2の液状エポキシ樹脂組成物においても、全数合格であった。従って、第二の発明による液状エポキシ樹脂組成物においては、フラックス活性増強成分のセバシン酸により、酸無水物の示す、フラックス活性が付与・増進されている結果、リフロー処理によって前記の様に良好なバンプ電極による接合がなされていると判断される。
一方、ボイド発生は、実施例2−1〜2−4の液状エポキシ樹脂組成物、参考例2−2ならびに比較例2−1の液状エポキシ樹脂組成物のいずれにおいても、見出されない。しかしながら、リンゴ酸が添加されている参考例2−1の液状エポキシ樹脂組成物においては、気泡サイズは極端に大きくはないものの、全ての試料でボイドの発生が見出された。
Figure 2002044241
Figure 2002044241
加えて、フリップチップ実装される素子チップの他に、DIP、QFPなどのピン形態を有する素子をも同一基板内に実装する必要が少なからず生じる。これらDIP、QFPなどのピン形態を有する素子の実装は、多くの場合、クリームハンダを使用してなされており、フリップチップ実装とクリームハンダを使用した実装を同一の工程内で実施することが望まれる。その際には、クリームハンダ中に添加されているフラックス成分、溶剤は、スズ−鉛共晶ハンダ(熔融点:183℃)が融解する200℃前後まで急激に昇温させると発泡を生じ、適正なフラックス処理がなされないため、一旦、150℃程度まで昇温した後、その温度に一時保持し、次いで、200℃前後まで昇温させる段階的な昇温過程が利用されている。
このような段階的な昇温過程に対しても、実施例2−1の液状エポキシ樹脂組成物と参考例2−2の液状エポキシ樹脂組成物について、それぞれ同様の条件でフリップチップ実装を行い、得られた実装済み半導体装置について、チップ部品とプリント回路基板の電極間における導通不良の有無を評価した。加えて、実装済みのプリント回路基板について、透視観察して、空隙(ボイド)の有無を検査した。なお、段階的な昇温過程に相当する硬化条件として、30℃から150℃まで、40秒間で昇温(3℃/s)し、150℃で90秒間保持し、さらに、150℃から210℃まで、40秒間で昇温(1.5℃/s)し、この210℃で20秒間保持した。この保持後、強制冷却した。
表2−2に、この導通試験結果を併せて示す。導通試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合格品数の比率をもって、その指標とする。
表2−2に示す通り、実施例2−1の液状エポキシ樹脂組成物においては、全数合格であったが、一方、参考例2−2の液状エポキシ樹脂組成物においては、この段階的な昇温過程における導通不良の発生は、60%に達している。従って、第二の発明による液状エポキシ樹脂組成物においては、フラックス活性増強成分のセバシン酸により、酸無水物の示す、フラックス活性が付与・増進されている結果、150℃に保持される間にも、フラックス処理が進行することによって前記の様に良好なバンプ電極による接合がなされていると判断される。
より具体的に説明を補足すると、先に述べた20℃から200℃まで、120秒間で昇温(1.5℃/s)し、200℃で120秒間保持する条件では、スズ−鉛共晶ハンダの熔融点、183℃に達するまでの間、特に、フラックス処理ならびに熱硬化反応が進行し始める130℃前後の温度から183℃に達するまでに要する時間は、36秒である。一方、30℃から150℃まで、40秒間で昇温(3℃/s)し、150℃で90秒間保持し、さらに、150℃から210℃まで、40秒間で昇温(1.5℃/s)し、210℃で20秒間保持する条件では、150℃に保持する時間のみで90秒間に達する。その相違により、参考例2−2の液状エポキシ樹脂組成物では、150℃に保持する間に熱硬化反応により、酸無水物が急速に消費され、その結果、スズ−鉛共晶ハンダの熔融点、183℃に達した際、なおフラックス活性を維持する上では、残余する酸無水物濃度は必ずしも十分ではないものとなる。一方、実施例2−1の液状エポキシ樹脂組成物では、フラックス活性増強成分のセバシン酸を添加することで、150℃に保持する間にフラックス処理が十分に進み、加えて、スズ−鉛共晶ハンダの熔融点、183℃に達した際、残余する酸無水物濃度はより少なくなっていても、フラックス活性増強成分のセバシン酸の作用により、なお必要とされるフラックス活性の維持がなされている。このように、第二の発明による液状エポキシ樹脂組成物では、熱硬化処理、リフロー処理を行う際の昇温条件に依らず、効果的なフラックス処理と、同時に、エポキシ樹脂の熱硬化が適正に進行される。
一方、前記のように昇温を段階的に行った場合においても、ボイド発生は、実施例2−1の液状エポキシ樹脂組成物、参考例2−2の液状エポキシ樹脂組成物のいずれにおいても、見出されない。
Figure 2002044241
本発明にかかる、第二の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに付加的成分として、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分となる、ジカルボン酸、例えば、母体鎖の炭素数が7〜15の鎖状ジカルボン酸を少量添加した液状エポキシ樹脂組成物である。この液状エポキシ樹脂組成物が充填された状態において、チップ部品とプリント配線基板の電極間に互いに物理的な接触を形成する配置されているハンダ製、特には、錫合金ハンダ製のバンプ電極を加熱熔融した際、ジカルボン酸のカルボキシ基より供与されるプロトンによって、(B)硬化剤の酸無水物が有するフラックス活性の増強がなされ、バンプ電極などの表面の酸化皮膜、例えば、錫の酸化物の除去を行うことができる。一方、前記の(B)硬化剤の酸無水物は、前記錫の酸化物との反応により、若干量が消費されるものの、過度な含有量の減少でなく、例えば、副次的な成分として、硬化促進剤を加えておくなどして、錫−鉛共晶ハンダに適合する比較的に低い熱硬化温度で加熱処理をした際にも、酸化物被膜の除去が完了した後、適正な速度で熱硬化が進行し、所望の熱硬化物とできる。また、添加されるジカルボン酸の融点な熱硬化温度より十分に高いので、その気化による気泡の形成もなく、ボイドの発生の要因とならない。また、利用する母体鎖の炭素数は比較的に長いジカルボン酸は、エポキシ樹脂との相溶性も優れており、熱硬化が徐々に進行する間も、樹脂組成物中に均一に分散して、(B)硬化剤の酸無水物が有するフラックス活性の増強作用を維持でき、従って、予めバンプ電極などの表面の酸化皮膜を除去するため、フラックスによる処理を施さなくとも、バンプ電極に用いるハンダの良好な熔融、ハンダ付けによる電極間の接合ができ、同時に封止充填剤の熱硬化が行えるという利点が得られる。
本発明にかかる、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物が示す特徴である、ハンダ材料表面に生成する酸化皮膜の除去作用を検証した。具体的には、付加的成分として添加されている、アミンのハロゲン化水素付加塩によって、フラックス活性の増強が所望の程度に達成することを検証した。
加えて、第三の発明による構成をとると、従来の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物においても、鉛−錫合金ハンダの融点以下の温度範囲では、さほど問題とはならないものの、鉛を含まない錫合金ハンダの融点近くまで加熱を進めると、その発生が顕著となるボイド発生も十分に抑制されることを検証した。
アミンのハロゲン化水素付加塩の添加に伴う、液状エポキシ樹脂組成物中に必須成分として含まれる、(B)硬化剤の酸無水物が関与する、ハンダ材料の酸化皮膜を除去する効率の差異は、封止充填剤を充填硬化させた試料について、ハンダ不良が要因と推察される、電極間の導通試験における、導通不良発生の有無により判定した。
(比較例3−1)
バンプを形成するハンダ材料として、スズ−鉛共晶ハンダ(熔融点:183℃)を用いる場合、その融点を大きく超えない温度で使用可能なアンダーフィル用のエポキシ樹脂として推奨されている組成、すなわち、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量 約190)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(商品名;ジャパンエポキシレジン社製、酸無水物当量 約230)120質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、分子量 172)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
前記の三成分を均一に混合した後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(実施例3−1)
第三の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分のフラックス活性増強成分として、アミン化合物のハロゲン化水素付加塩を含む液状エポキシ樹脂組成物とした。このアミン化合物のハロゲン化水素付加塩は、具体的には、アミン化合物として、第三級アミンのトルブチルアミンに対して、臭化水素が付加塩を形成している、トルブチルアミン・臭化水素付加塩(和光純薬、試薬、分子量266)を用いた。
液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、トルブチルアミン・臭化水素付加塩0.37質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(実施例3−2)
前記実施例3−1と比べて、トルブチルアミン・臭化水素付加塩の添加比率を低くした液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、トルブチルアミン・臭化水素付加塩0.15質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(実施例3−3)
前記実施例3−1と比べて、トルブチルアミン・臭化水素付加塩の添加比率を高くした液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)120質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、トルブチルアミン・臭化水素付加塩0.74質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(参考例3−1)
前記実施例3−1と比べて、酸無水物の含有比率を有意に低くした液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)100質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。加えて、トルブチルアミン・臭化水素付加塩0.37質量部を、フラックス活性増強成分として、液状エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した。その後、減圧脱泡処理して、目的の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
(参考例3−2)
前記比較例3−1と比べて、酸無水物の含有比率を高め、フラックス活性の増強を図った液状エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)130質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度200℃において、2〜5分間で所望の硬化がなされる。
次いで、実施例3−1〜3−3の液状エポキシ樹脂組成物と参考例3−1、3−2、比較例3−1の液状エポキシ樹脂組成物について、それぞれ同様の条件でフリップチップ実装を行い、得られた実装済み半導体装置について、チップ部品とプリント回路基板の電極間における導通不良の有無を評価した。加えて、実装済みのプリント回路基板について、透視観察して、空隙(ボイド)の有無を検査した。
なお、用いた硬化条件は、20℃から200℃まで、120秒間で昇温(1.5℃/s)し、200℃で120秒間保持した。この保持後、強制冷却した。
表3−1に、導通試験結果を併せて示す。導通試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合格品数の比率をもって、その指標とする。
表3−1に示す通り、実施例3−1〜3−3の液状エポキシ樹脂組成物においては、いずれも全数合格であったが、比較例3−1の液状エポキシ樹脂組成物では、凡そ20%程度に導通不良が発生している。一方、参考例3−1の液状エポキシ樹脂組成物においては、全数合格ではないものの、導通不良の発生は、10%未満に抑制されている。なお、参考例3−2の液状エポキシ樹脂組成物においても、全数合格であった。従って、第三の発明による液状エポキシ樹脂組成物においては、フラックス活性増強成分のトルブチルアミン・臭化水素付加塩により、酸無水物の示す、フラックス活性が付与・増進されている結果、リフロー処理によって前記の様に良好なバンプ電極による接合がなされていると判断される。
一方、ボイド発生は、実施例3−1の液状エポキシ樹脂組成物、比較例3−1の液状エポキシ樹脂組成物のいずれにおいても、見出されない。
Figure 2002044241
(実施例3−4)
前記の結果に基づき、実施例3−1に記載する組成の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いて、以下の手順によりアンダーフィルの充填を行った。その結果、スズ−鉛ハンダ・バンプの熔融(183℃)時、表面酸化皮膜に由来するハンダ付け不良もなく、また、充填不良、ボイドの発生もないものであった。
プリント配線基板上にバンプ電極が設けられているフリップチップ実装に適用した。まず、前記のバンプ電極を予め形成したプリント配線基板に、上記アンダーフィル用エポキシ樹脂組成物をスクリーン印刷により所定のパターンに塗布する。これも裏面にバンプ電極を形成してあるチップ部品を、このアンダーフィル剤パターンを印刷した配線基板上のバンプ電極に対して、両者の電極位置が整合するように位置合わせする。この位置において、電極相互が接触するようにチップ部品を押し付ける。その過程で、塗布されているアンダーフィル剤層は押し広げられ、チップ部品の裏面とも密着する。また、接触しているバンプ電極、対応する基板上の配線表面、チップ部品の裏面電極面もしっかり、押し広げられたアンダーフィル剤で被覆される。
このチップ部品の上面から押圧した状態で、リフロー炉内に入れ、バンプ熔融を行う。バンプハンダ付けが済み、更にアンダーフィル剤のエポキシ樹脂の熱硬化が進行する。
上述する通り、この手順に従うとチップ部品を押圧するので、チップ部品裏面との間に気泡が残ることもないので、ボイドは発生しない。また、既に説明した通り、酸化被膜もその場で除去されるのでハンダ付け不良もない。このように、電極の接合不良もなく、しかも、アンダーフィルの充填・硬化も過不足なく達成される。
本発明にかかる、第三の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに付加的成分として、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分となる、アミン化合物の塩基性窒素原子上にハロゲン化水素付加塩を形成してなるアミンのハロゲン化水素付加塩、例えば、第三級アミンのハロゲン化水素付加塩を少量添加した液状エポキシ樹脂組成物である。この液状エポキシ樹脂組成物が充填された状態において、チップ部品とプリント配線基板の電極間に互いに物理的な接触を形成する配置されているハンダ製、特には、錫合金ハンダ製のバンプ電極を加熱熔融した際、例えば、第三級アミンのハロゲン化水素付加塩から熱的に遊離するハロゲン化水素によって、(B)硬化剤の酸無水物が有するフラックス活性の増強がなされ、バンプ電極などの表面の酸化皮膜、例えば、錫の酸化物の除去を行うことができる。一方、前記の(B)硬化剤の酸無水物は、前記錫の酸化物との反応により、若干量が消費されるものの、過度な含有量の減少でなく、例えば、副次的な成分として、硬化促進剤を加えておくなどして、錫−鉛共晶ハンダに適合する比較的に低い熱硬化温度で加熱処理をした際にも、酸化物被膜の除去が完了した後、適正な速度で熱硬化が進行し、所望の熱硬化物とできる。また、アミンのハロゲン化水素付加塩として、ハロゲン化水素の供給を行うため、気泡の形成も抑制され、ボイドの発生も防止できる。従って、予めバンプ電極などの表面の酸化皮膜を除去するため、フラックスによる処理を施さなくとも、バンプ電極に用いるハンダの良好な熔融、ハンダ付けによる電極間の接合ができ、同時に封止充填剤の熱硬化が行えるという利点が得られる。
さらに、本発明にかかる、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物が示す特徴である、ハンダ材料表面に生成する酸化皮膜の除去作用を検証した。加えて、第四の発明による構成をとると、従来の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物においても、鉛−錫合金ハンダの融点以下の温度範囲では、さほど問題とはならないものの、鉛を含まない錫合金ハンダの融点近くまで加熱を進めると、その発生が顕著となるボイド発生も十分に抑制されることを検証した。
液状エポキシ樹脂組成物中に必須成分として含まれる、(B)硬化剤の酸無水物に起因する、ハンダ材料の酸化皮膜に対するフラックス作用を調べた。有効なフラックス作用が達成されているか否は、封止充填剤を充填硬化させた試料について、ハンダ不良が要因と推察される、電極間の導通試験における、導通不良発生の有無により判定した。
(比較例4−1)
従来の鉛スズ合金ハンダを用いる場合、その融点を大きく超えない温度(230℃以下)で使用可能なアンダーフィル用のエポキシ樹脂として推奨されている組成、すなわち、液状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量 約190)100質量部当たり、硬化剤の酸無水物として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のB−650(商品名、大日本インキ化学工業社製、酸無水物当量 約170)95質量部と、硬化促進剤として、少量の、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(商品名、油化シェルエポキシ社製、分子量 172)2質量部を添加した液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
前記の三成分を均一に混合した後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度230℃において、3分間で所望の硬化がなされる。
(実施例4−1)
第四の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分の硬化促進剤として、アミン化合物の酸付加塩を含む液状エポキシ樹脂組成物とした。このアミン化合物の酸付加塩酸は、具体的には、アミン化合物として、ポリエーテルジアミンのジェファーミンD230(商品名、テキサコケミカル社製、分子量230)と、酸付加塩を形成するモノカルボン酸として、2−エチルヘキサン酸(和光純薬、試薬、分子量144)とを、互いに当量を添加して、実施例1の液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のB−650(前出)95質量部を加え、硬化促進剤として、ポリエーテルジアミンのジェファーミンD230(前出)10質量部と2−エチルヘキサン酸(前出)12.5質量部とを添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度260℃において、90秒間で所望の硬化がなされる。
(実施例4−2)
第四の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の他の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂と、酸無水物として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(商品名;油化シェルエポキシ社製、酸無水物当量 約230)に、付加的成分の硬化促進剤として、イミダゾール類の一つ、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)を添加した液状エポキシ樹脂組成物とした。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤として、テトラヒドロフタル酸無水物誘導体のYH−307(前出)130質量部を加え、硬化促進剤として、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのBMI12(前出)2質量部を添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度260℃において、90秒間で所望の硬化がなされる。
(実施例4−3)
第四の発明による封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物の一例であり、すなわち、液状エポキシ樹脂と酸無水物に、付加的成分の硬化促進剤として、アミン化合物の酸付加塩を含む液状エポキシ樹脂組成物とした。このアミン化合物の酸付加塩酸は、具体的には、アミン化合物として、ポリエーテルジアミンのジェファーミンD230(商品名、テキサコケミカル社製、分子量230)と、酸付加塩を形成する酸性リン酸エステルとして、JP−508(商品名、2−エチルヘキシルアシッドホツフェート、城北化学工業社製、酸価 300)とを、互いに当量を添加して、実施例4−3の液状エポキシ樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(前出)100質量部当たり、硬化剤として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のB−650(前出)95質量部を加え、硬化促進剤として、ポリエーテルジアミンのジェファーミンD230(前出)10質量部とJP−508(前出)15.5質量部とを添加して均一に混合した。その後、減圧脱泡処理して、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物は、熱硬化条件として、硬化温度260℃において、90秒間で所望の硬化がなされる。
実施例4−1、実施例4−2、実施例4−3の液状エポキシ樹脂組成物と比較例4−1の液状エポキシ樹脂組成物について、それぞれ同様の条件でフリップチップ実装を行い、得られた実装済み半導体装置について、チップ部品とプリント回路基板の電極間における導通不良の有無を評価した。加えて、実装済みのプリント回路基板について、透視観察して、空隙(ボイド)の有無を検査した。
なお、用いた硬化条件は、20℃から260℃まで、150秒間で昇温(1.6℃/s)し、260℃で90秒間保持した。この保持後、強制冷却した。
表4−1に、導通試験結果、ボイド発生の有無を併せて示す。導通試験結果は、全試料数50に対して、導通不良の無い合格品数の比率をもって、その指標とする。
表4−1に示す通り、実施例4−1、実施例4−2、実施例4−3の液状エポキシ樹脂組成物においては、全数合格であったが、比較例4−1の液状エポキシ樹脂組成物では、凡そ30%程度に導通不良が発生している。従って、第四の発明による液状エポキシ樹脂組成物においては、酸無水物の示す、フラックス活性が付与・増進されている結果、リフロー処理によって前記の様に良好なバンプ電極による接合がなされていると判断される。
一方、ボイド発生は、実施例4−1、4−2、4−3の液状エポキシ樹脂組成物においては、見出されないが、比較例4−1の液状エポキシ樹脂組成物では、程度の差はあるものの、評価した全ての例で見出されている。
Figure 2002044241
(実施例4−4)
前記の結果に基づき、実施例4−1、4−2、4−3に記載する組成の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物二種を調製した。この液状エポキシ樹脂組成物用いて、以下の手順によりアンダーフィルの充填を行った。その結果、鉛フリーハンダ・バンプの熔融(260℃)時、表面酸化皮膜に由来するハンダ付け不良もなく、また、充填不良、ボイドの発生もないものであった。
プリント配線基板上にバンプ電極が設けられているフリップチップ実装に適用した。まず、前記のバンプ電極を予め形成したプリント配線基板に、上記アンダーフィル用エポキシ樹脂組成物をスクリーン印刷により所定のパターンに塗布する。これも裏面にバンプ電極を形成してあるチップ部品を、このアンダーフィル剤パターンを印刷した配線基板上のバンプ電極に対して、両者の電極位置が整合するように位置合わせする。この位置において、電極相互が接触するようにチップ部品を押し付ける。その過程で、塗布されているアンダーフィル剤層は押し広げられ、チップ部品の裏面とも密着する。また、接触しているバンプ電極、対応する基板上の配線表面、チップ部品の裏面電極面もしっかり、押し広げられたアンダーフィル剤で被覆される。
このチップ部品の上面から押圧した状態で、リフロー炉内に入れ、バンプ熔融を行う。バンプハンダ付けが済み、更にアンダーフィル剤のエポキシ樹脂の熱硬化が進行する。
上述する通り、この手順に従うとチップ部品を押圧するので、チップ部品裏面との間に気泡が残ることもないので、ボイドは発生しない。また、既に説明した通り、酸化被膜もその場で除去されるのでハンダ付け不良もない。このように、電極の接合不良もなく、しかも、アンダーフィルの充填・硬化も過不足なく達成される。
本発明にかかる、第四の発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂と(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに付加的成分として、少量の(C)硬化促進剤を含有し、特に、(C)硬化促進剤として、アミン化合物の塩基性窒素原子上に弱いプロトン酸が付加塩を形成してなるアミン化合物の酸付加塩を用いる、あるいは、(B)硬化剤の酸無水物として、上記の一般式(I)の環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物を用いる液状エポキシ樹脂組成物である。この液状エポキシ樹脂組成物が充填された状態において、チップ部品とプリント配線基板の電極間に互いに物理的な接触を形成する配置されているハンダ製、特には、鉛を含まない錫合金ハンダ製のバンプ電極を加熱熔融した際、(B)硬化剤の酸無水物は、フラックス活性成分として機能して、バンプ電極などの表面から、酸化皮膜の除去を行う。一方、前記の(B)硬化剤の酸無水物と、付加的成分の(C)硬化促進剤を、特定の組み合わせを選択することで、鉛を含まない錫合金ハンダの融点程度の高い温度に加熱処理をした際にも、酸化物被膜の除去が完了するまでの間、過度の熱硬化が進行せず、所望の流動性を維持できる。また、かかる高い温度においても、含有されている酸無水物の二量化反応、それに付随する二酸化炭素の派生、気泡の形成も抑制され、ボイドの発生も防止できる。従って、予めバンプ電極などの表面の酸化皮膜を除去するため、フラックスによる処理を施さなくとも、バンプ電極に用いるハンダの良好な熔融、ハンダ付けによる電極間の接合ができ、同時に封止充填剤の熱硬化が行えるという利点が得られる。
産業上の利用の可能性
本発明にかかる封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物では、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤を必須成分とする熱硬化型エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル剤として利用する際、(B)の酸無水物が有するフラックス活性を利用して、加熱時にハンダ製のバンプ電極などの金属表面に存在する酸化皮膜の除去を行うことで、電極間のハンダ接合と、アンダーフィル剤の充填・硬化を同一の熱処理工程で実施することを可能とする。その際、酸無水物が有するフラックス活性を十分な水準とする目的で、第一の発明では、酸無水物の含有比率を相当に過剰量に選択し、第二の発明では、酸無水物が有するフラックス活性の増強を図るため、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分として、ジカルボン酸を少量添加し、また、第三の発明では、アミンのハロゲン化水素付加塩を少量添加し、例えば、鉛−スズ共晶ハンダの融点付近の温度においても、十分に速やかなフラックス処理を可能としている。また、第四の発明では、酸無水物による硬化を誘起する(C)硬化促進剤として、アミン化合物の塩基性窒素原子上に弱いプロトン酸が付加塩を形成してなるアミン化合物の酸付加塩を利用することで、例えば、鉛フリー錫合金ハンダの高い融点付近の温度でも、酸無水物による硬化の急速な進行を抑制することで、十分にフラックス処理を可能としている。この液状エポキシ樹脂組成物が充填された状態において、チップ部品とプリント配線基板の電極間に互いに物理的な接触を形成する配置されているハンダ製のバンプ電極を加熱熔融した際、過剰量の酸無水物がその表面の酸化皮膜の除去を行うフラックスとしても作用する。結果的に、酸無水物が消費された際にも、バンプ電極近傍における液状エポキシ樹脂組成物中には、酸無水物が好適とされている0.8当量程度残留しており、好適な熱硬化物となるという効果が得られる。従って、予めバンプ電極などの表面の酸化皮膜を除去するため、フラックスによる処理を施さなくとも、バンプ電極に用いるハンダの良好な熔融、ハンダ付けによる電極間の接合ができ、同時に封止充填剤の熱硬化が行えるという利点が得られる。加えて、この方式の封止充填は、高い作業効率性を持ち、特に、プリント配線基板上にスクリーン印刷などの手段で所望の液状エポキシ樹脂組成物層を塗布形成するので、プリント配線基板の形状・材質に依らず、全般的な工程の短縮化、ならびにボイド発生などの不良要因の根絶が可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を利用するフリップチップ実装時の加熱工程の一例、特に、それぞれ、利用するハンダ材料に適合する加熱工程の一例を対比する概念図であり、(2)、(3)は、鉛を含まない錫合金ハンダを利用するフリップチップ実装に適用した際の封止充填工程におけるリフロープロフィールの例であり、(1)は、従来の鉛−スズハンダを利用するフリップチップ実装に適用した際の封止充填工程におけるリフロープロフィールの例である。

Claims (41)

  1. フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
    前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤の機能を有する酸無水物を含み、
    (A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)の酸無水物を1.0〜2.0当量含むことを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  2. (A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)の酸無水物の含有比率を1.05〜1.6当量の範囲に選択することを特徴とする、1に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  3. 副次的な添加成分として、硬化促進剤、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤から選択する1種以上の添加成分をも含むことを特徴とする、1または2に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  4. (A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする、1〜3のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  5. (B)の酸無水物は、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体からなる酸無水物の群から選択される1種以上の酸無水物であることを特徴とする、1〜4のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  6. さらに、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂に対する(B)の酸無水物による硬化反応を促進する機能を有する硬化促進剤を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり0.1〜20質量部含有することを特徴とする、1〜5のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  7. フリップチップ実装における封止充填の方法であって、
    (1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
    (2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、上記1〜6のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
    (3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
    所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
    上記(1)〜(3)の一連の工程を有する、
    封止充填剤として、1〜6のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方法。
  8. フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
    前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分を含んでなり、
    前記(C)フラックス活性増強成分が、ジカルボン酸であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  9. (B)硬化剤の酸無水物に加えて、
    副次的な添加成分として、前記酸無水物によるエポキシ環の開環反応を促進する硬化促進剤をも含むことを特徴とする、8に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  10. 前記ジカルボン酸は、ω,ω’−直鎖炭化水素ジカルボン酸であり、その炭素数は、C7〜C15の範囲に選択されていることを特徴とする、8に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  11. その他の副次的な添加成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤、チキソ剤から選択する1種以上の添加成分をも含むことを特徴とする、8に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  12. (A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする、8に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  13. (A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)硬化剤の酸無水物を0.9〜1.1当量含むことを特徴とする、8に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  14. さらに、前記硬化促進剤の含有量を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲に選択することを特徴とする、9に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  15. (C)フラックス活性増強成分の前記ジカルボン酸の含有量を、(B)硬化剤の酸無水物の1モルに対して、前記ジカルボン酸が1×10−2〜1×10−1モルの範囲となる量に選択することを特徴とする、10に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  16. フリップチップ実装における封止充填の方法であって、
    (1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
    (2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、8〜15のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
    (3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
    所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
    上記(1)〜(3)の一連の工程を有する、
    封止充填剤として、8〜15のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方法。
  17. 前記のハンダ材は、スズ−鉛共晶ハンダであることを特徴とする、16に記載の封止充填の方法。
  18. フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
    前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに、付加的成分として、(C)プロトン供与能を有するフラックス活性増強成分を含んでなり、
    前記(C)フラックス活性増強成分が、アミン化合物の塩基性窒素原子上にハロゲン化水素付加塩を形成してなるアミンのハロゲン化水素付加塩であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  19. (B)硬化剤の酸無水物に加えて、
    副次的な添加成分として、前記酸無水物によるエポキシ環の開環反応を促進する硬化促進剤をも含むことを特徴とする、18に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  20. 前記アミンのハロゲン化水素付加塩は、それを構成するハロゲン化水素は、塩化水素または臭化水素であることを特徴とする、18に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  21. 前記アミンのハロゲン化水素付加塩において、それを構成するアミン化合物自体は、その融点は、前記液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度より低く、常温で液体または固体であり、その沸点は、前記液状エポキシ樹脂組成物の熱硬化温度よりも高い塩基性アミンであることを特徴とする、18に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  22. その他の副次的な添加成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤から選択する1種以上の添加成分をも含むことを特徴とする、18に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  23. (A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする、18に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  24. (A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、(B)硬化剤の酸無水物を0.9〜1.1当量含むことを特徴とする、18に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  25. さらに、前記硬化促進剤の含有量を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲に選択することを特徴とする、19に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  26. (C)フラックス活性増強成分の前記アミンのハロゲン化水素付加塩の含有量を、(B)硬化剤の酸無水物の1モルに対して、前記付加塩として添加されるハロゲン化水素が1×10−4〜2×10−2モルの範囲となる量に選択することを特徴とする、18に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  27. 前記アミンのハロゲン化水素付加塩において、それを構成するアミン化合物自体は、ハロゲン化水素と付加塩を形成するその塩基性窒素原子は、第三級アミンを構成している塩基性アミンであることを特徴とする、21に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  28. フリップチップ実装における封止充填の方法であって、
    (1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
    (2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、18〜27のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
    (3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
    所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
    上記(1)〜(3)の一連の工程を有する、
    封止充填剤として、18〜27のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方法。
  29. 前記のハンダ材は、スズ−鉛共晶ハンダであることを特徴とする、28に記載の封止充填の方法。
  30. フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
    前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに、付加的成分として、(C)硬化促進剤を含んでなり、
    (C)硬化促進剤が、アミン化合物の塩基性窒素原子上に弱いプロトン酸が付加塩を形成してなるアミン化合物の酸付加塩であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  31. フリップチップ実装の封止充填工程に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
    前記液状エポキシ樹脂組成物は、必須成分として、(A)液状の熱硬化性エポキシ樹脂、(B)前記の熱硬化性エポキシ樹脂に対する硬化剤として酸無水物、さらに、付加的成分として、(C)硬化促進剤を含んでなり、
    (B)硬化剤の酸無水物が、
    下記一般式(I):
    Figure 2002044241
    (式中、R1は、二価の鎖式炭化水素基であり、R2は、一価の鎖式炭化水素基であり、R3は、一価の鎖式炭化水素基であり、R4は、水素原子または鎖式炭化水素基であり、R5は、水素原子または鎖式炭化水素基であり、R4とR5は、互いに連結されて、−(R4−R5)−の二価の鎖式炭化水素基を形成してもよい)で示される環式炭化水素二カルボン酸の分子内酸無水物であることを特徴とする封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  32. 副次的な添加成分として、応力緩和剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤から選択する1種以上の添加成分をも含むことを特徴とする、30または31に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  33. (A)の熱硬化性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型骨格を有するジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のジグリシジルエステル、脂環式エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂の群から選択される1種以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする、30または31に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  34. (C)硬化促進剤は、アミン化合物の塩基性窒素原子上に弱いプロトン酸が付加塩を形成してなるアミン化合物の酸付加塩であり、
    前記プロトン酸は、モノカルボン酸、または酸性リン酸エステルであることを特徴とする、30に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  35. (C)硬化促進剤は、アミン化合物であり、第三級アミンを構成する塩基性窒素原子を有してなることを特徴とする、31に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  36. (B)硬化剤の酸無水物が、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂の1当量に対して、酸無水物を1.0〜2.0当量含むことを特徴とする、30または31に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  37. (B)硬化剤の酸無水物が、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(メタノテトラヒドロフタル酸)の酸無水物あるいはその炭化水素環上に置換を有する誘導体、無水フタル酸または無水フタル酸のベンゼン環上に置換を有する誘導体、無水コハク酸または無水コハク酸の炭化水素鎖上に置換を有する誘導体からなる酸無水物の群から選択される1種以上の酸無水物であることを特徴とする、30に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  38. さらに、(C)の硬化促進剤の含有量を、(A)の熱硬化性エポキシ樹脂100質量部当たり、0.1〜20質量部の範囲に選択することを特徴とする、30または31に記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物。
  39. フリップチップ実装における封止充填の方法であって、
    (1)基板用電極を有するプリント配線基板とチップ部品用電極を有するチップ部品とをハンダ製のバンプ電極を用いて両電極間の相互導通をとるべく、前記プリント配線基板上の所定の領域に前記チップ部品を配置後、前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程、
    (2)前記ハンダ製のバンプ電極と電極間の接触を図る工程後、またはその工程と併せて、前記プリント配線基板とその上の所定の領域上に配置される前記チップ部品の間隙に、前記接触を図ったハンダ製のバンプ電極と電極とを被覆するように、30〜38のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を満たす充填工程、
    (3)次いで加熱して、前記所定の領域の間隙に充填した前記液状エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の熱硬化を進めるとともに、前記液状エポキシ樹脂組成物が被覆する前記ハンダ製のバンプを熔融させる工程、
    所定時間の加熱後、冷却して、一旦熔融したハンダの再固化を行い、バンプ電極と電極とをハンダ付け固着・接合させ、同時に熱硬化したエポキシ樹脂により封止充填を完了する工程、
    上記(1)〜(3)の一連の工程を有する、
    封止充填剤として、30〜38のいずれかに記載の封止充填剤用液状エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止充填の方法。
  40. 基板用電極を有するプリント配線基板上にチップ部品用電極を有するチップ部品をフリップチップ実装してなる半導体装置組み立て体であって、
    前記フリップチップ実装において封止充填が施されており、
    かかる封止充填は、前記7、16、28、39のいずれかに記載される封止充填の方法でなされていることを特徴とする半導体装置組み立て体。
  41. 前記封止充填は、前記16に記載される封止充填の方法でなされていることを特徴とする40に記載の半導体装置組み立て体。
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