JP2003080968A - 作業車両の走行伝達構造 - Google Patents

作業車両の走行伝達構造

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JP2003080968A
JP2003080968A JP2001276324A JP2001276324A JP2003080968A JP 2003080968 A JP2003080968 A JP 2003080968A JP 2001276324 A JP2001276324 A JP 2001276324A JP 2001276324 A JP2001276324 A JP 2001276324A JP 2003080968 A JP2003080968 A JP 2003080968A
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Atsuo Yoshina
敦生 吉名
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Kanzaki Kokyukoki Manufacturing Co Ltd
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Kanzaki Kokyukoki Manufacturing Co Ltd
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業車両の目的あるいは状況に応じて、駆動
モード(2輪駆動又は4輪駆動)が適切かつ自動的に選
択される作業車両を提供する。 【解決手段】 エンジン2と、エンジン2からの動力に
よって駆動される後輪6・6と、ステアリング手段15
の回動操作により操舵可能な前輪12・12と、前記前
輪12に駆動力を伝える状態及び伝えない状態との間で
切換可能なドライブトレーン9と、を具備した作業車両
に備えられる走行伝達構造において、前記ステアリング
手段15の回動角が設定値を上回る場合であって、前記
後輪6がスリップしたときには、前記前輪12にエンジ
ン2からの動力を伝える状態に前記ドライブトレーン9
を切り換える制御手段27を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業車両において
エンジン動力を車輪に伝達させるための走行伝達構造の
構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、二輪駆動と四輪駆動との切り
換えを自在に構成した作業車両の技術は公知となってい
る。この作業車両は駆動モード切換のための操作手段、
例えば操作レバーを運転座席に備え、該操作手段は、エ
ンジンから前輪に至るドライブトレーンの中途に介設さ
れたクラッチに連係されてある。この構成により、前記
操作レバーを操作することでクラッチを切り換え、前輪
に対してエンジン動力が伝達される状態(四輪駆動)、
あるいは伝達しない状態(二輪駆動)とに切り換えるこ
とができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の構成は、駆動モードを切り換えるために操作レバーを
切換操作することをオペレータに強いることとなり、車
両の操作が複雑となる不具合があった。特に、二輪駆動
状態において後輪がスリップした場合、オペレータは該
スリップ状態から脱出するために操作レバーを四輪駆動
側へ切り換えなければならず、オペレータは煩雑な操作
に苦しめられることとなっていた。特に二輪駆動状態で
旋回中に後輪がスリップしたような場合は、オペレータ
は片手でステアリング手段の操作位置を保持しながら、
反対側の手で駆動モードの切換えを行わなければなら
ず、オペレータは困難な操作を強いられていたのであ
る。一方、常に車両を四輪駆動状態におくのでは、駆動
効率が悪く、燃費(経済性)が悪化することになる。
【0004】本発明は以上の事情に鑑みてされたもので
あり、その目的は、作業車両の目的あるいは状況に応じ
て自動的かつ適切に駆動モードを切り換えることができ
る作業車両を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するた
めの手段を説明する。
【0006】即ち、請求項1においては、エンジンと、
エンジンからの動力によって駆動される後輪と、ステア
リング手段の回動操作により操舵可能な前輪と、前記前
輪にエンジンからの動力を伝える状態及び伝えない状態
との間で切換可能なドライブトレーンと、を具備した作
業車両に備えられる走行伝達構造において、前記ステア
リング手段の回動角が設定値を上回る場合であって、前
記後輪がスリップしたときには、前記前輪にエンジンか
らの動力を伝える状態に前記ドライブトレーンを切り換
える制御手段を備えたものである。
【0007】請求項2においては、前記ステアリング手
段の回動角が設定値を上回る場合であって、前記後輪が
スリップしたときには、前記制御手段は、前輪が後輪よ
りも増速されて駆動されるように前記ドライブトレーン
を制御するものである。
【0008】請求項3においては、前記ステアリング手
段の回動角が設定値以下である場合には、前記制御手段
は、前記前輪にエンジンからの動力を伝えない状態とな
るように前記ドライブトレーンを制御するものである。
【0009】請求項4においては、前記ステアリング手
段の回動角が設定値以下である場合であって、前記後輪
がスリップ状態に移行したときは、前記制御手段は前記
前輪にエンジンからの動力を伝える状態にドライブトレ
ーンを切り換えるものである。
【0010】請求項5においては、前記後輪がスリップ
状態から回復したときは、前記制御手段は前記前輪にエ
ンジンからの動力を伝えない状態にドライブトレーンを
切り換えるものである。
【0011】請求項6においては、エンジンと前輪との
間の走行伝達経路に逆入力遮断クラッチを介在させたも
のである。
【0012】請求項7においては、前記ステアリング手
段の回動角が設定値以下である場合は、前記制御手段
は、前記前輪にエンジンからの動力を伝える状態となる
ように前記ドライブトレーンを制御するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明す
る。図1は本発明の一実施例としての作業車両の概略図
である。
【0014】〔作業車両の構成〕本発明の伝達構造を農
用の作業車両(例えば、農用トラクタや運搬車等)に適
用した一実施例の概略図が図1に示される。この作業車
両1は、エンジン2からの動力をトランスミッション3
に入力させて変速するように構成し、トランスミッショ
ン3は油圧式無段変速装置(以下HST)3aを有して
おり、その変速比は車両の操作部に設けられる図示せぬ
変速ペダルにて無段的に変更できるようになっている。
車両を駆動するために、トランスミッション3は二つの
出力軸、即ち後輪出力軸4及び前輪出力軸5を備えてい
る。HST3aで変速された後の動力は、トランスミッ
ション3に配置される図略のクラッチ機構や副変速機構
や前後進切換機構や減速歯車列等を介して、両出力軸4
・5に伝達される。車両の操作部には前後進切換レバー
14が配置され、トランスミッション3内の前記前後進
切換機構に連係されている。
【0015】後輪6をそれぞれ取り付ける左右一対の後
車軸7・7はベベルギア式のデフ装置8にて差動的に連
結され、このデフ装置8が後輪出力軸4からの動力を左
右後車軸7・7にトルク分配して、左右後輪6・6を駆
動する。
【0016】トランスミッション3の前輪出力軸5の回
転は変速機9に入力され、ここで変速あるいは動力の接
続/遮断が行われる。変速機9の出力軸10は車両前方
へ延出され、ベベルギア式のデフ装置11に連結され
る。このデフ装置11は、前輪12をそれぞれ取り付け
る左右一対の前車軸13・13を差動的に結合するもの
である。前輪12は、車両の操作部に設けられるステア
リングハンドル(ステアリング手段)15によって操舵
可能とされている。変速機9はその内部にクラッチ機構
を後述する如く配設しており、前輪12に前記エンジン
2からの動力を伝達する状態及び伝達しない状態とに切
り換えることができる。
【0017】〔伝達構造の第一構成例〕次に、変速機9
の内部の第一構成例を説明する。図2は変速機内部の第
一構成例を示した図、図3はクラッチスライダを制御す
るための制御装置を示す電気回路図及び油圧回路図であ
る。図4は制御装置の作用をフローチャート的に表した
図である。尚、図5は第一構成例の変形例において、前
輪又は後輪のスリップを検出するための構成を示した図
である。
【0018】図2に示すように、トランスミッション3
の前輪出力軸5には、伝動ギア16が相対回転不能に設
置されている。変速機9のハウジングには図示しない支
壁を形成して、前記前輪出力軸5と平行に配置される中
間軸17を回転自在に支持している。該中間軸17には
中間ギア18がスプライン嵌合されて、該中間ギア18
は前記伝動ギア16と常時噛合させている。
【0019】中間軸17の前端にはスプラインを刻設し
て、第一クラッチスライダ31を相対回転不能かつ軸方
向摺動自在に設置している。また、前記中間軸17と同
心させて等速伝動軸20が回転自在に支持され、その後
端にスプラインを刻設して、中間軸17と一体的に回転
する第一クラッチスライダ31が等速伝動軸20に対し
て係脱自在となるように構成している。第一クラッチス
ライダ31を摺動操作するためにクラッチフォーク21
が該第一クラッチスライダ31に嵌合され、このクラッ
チフォーク21が図示せぬクラッチフォークシャフト等
を介して、後述する第一油圧シリンダ51の可動部に連
係されている。この構成により、第一油圧シリンダ51
に圧油を供給することで第一クラッチスライダ31を
「係合解除」位置Bにおくことができ、また、第一油圧
シリンダ51から圧油をドレンすることで第一クラッチ
スライダ31を「係合」位置Aにおくことができる。等
速伝動軸20上には伝達ギア22が相対回転不能に固定
され、後述する等速入力ギア23と噛合されている。
【0020】一方、前記中間軸17と平行させて前述の
出力軸10が回転自在に支持され、該出力軸10上には
増速入力ギア24が遊嵌設置されて、前記中間軸17上
の中間ギア18に常時噛合させている。増速入力ギア2
4の一側側面(前面)には歯部24aが形成される。出
力軸10の中途部にはスプラインが刻設され、該スプラ
イン上に第二クラッチスライダ32が相対回転不能かつ
軸方向摺動自在に設置される。第二クラッチスライダ3
2の前記増速入力ギア24と対向する端面には、該増速
入力ギア24の歯部24aと係合し得る歯部32aが形
成され、該第二クラッチスライダ32が増速入力ギア2
4に対し係脱自在とされている。第二クラッチスライダ
32を摺動操作するためにクラッチフォーク26が該第
二クラッチスライダ32に嵌合され、このクラッチフォ
ーク26が図示せぬクラッチフォークシャフト等を介し
て、後述する第二油圧シリンダ52の可動部に連係され
ている。この構成により、第二油圧シリンダ52に圧油
を供給することで第一クラッチスライダ31を「係合」
位置Dにおくことができ、また、第一油圧シリンダ51
から圧油をドレンすることで第一クラッチスライダ31
を「係合解除」位置Cにおくことができる。出力軸10
の軸方向中央近傍部位には等速入力ギア23が固定され
ている。
【0021】次に、前述した二つのクラッチスライダ3
1・32を制御するための、制御装置27の構成を説明
する。図3に示すように、前記制御装置27は、主に、
前記二つの油圧シリンダ51・52に対する圧油の供給
/遮断を行う二つの電磁バルブ41・42を主とする油
圧回路と、それぞれの電磁バルブ41・42のソレノイ
ド41a・42aに対する励磁回路からなる。
【0022】油圧回路を説明する。油溜め43からフィ
ルタ34を介して油圧ポンプ35により吸い上げられた
油は、第一電磁バルブ41に導かれる。第一電磁バルブ
41は二位置切替型のソレノイドバルブとしており、ソ
レノイド41aに電流が供給されたときには第一油圧シ
リンダ51及び第二電磁バルブ42へ油圧ポンプ35か
らの圧油を供給する一方、電流が供給されないときには
圧油の供給を遮断するとともに第一油圧シリンダ51の
油をドレンするようになっている。第二電磁バルブ42
も二位置切替型のソレノイドバルブとしており、ソレノ
イド42aに電流が供給されたときには第二油圧シリン
ダ52へ圧油を供給する一方、電流が供給されないとき
には圧油の供給を遮断するように構成している。第一電
磁バルブ41と油圧ポンプ35の間にはリリーフバルブ
36が接続され、両油圧シリンダ51・52の作動油圧
を規定している。
【0023】励磁回路を説明する。前記前後進切換レバ
ー14にはリミットスイッチ28が設けられ、このリミ
ットスイッチ28は、前後進切換レバー14が「前進」
位置にあるときは閉じ、「後進」位置にあるときは開く
ように構成している。また、前記ステアリングハンドル
15にもスイッチ29が設けられて、該ステアリングハ
ンドル15の回動操作角が所定の角度未満(直進近傍)
であるときは開き、該所定の角度以上ステアリングハン
ドル15が操作されたときは閉じるように構成してい
る。このスイッチ29は例えば、ステアリングハンドル
15の回動軸に設けたカム機構とリミットスイッチとを
組み合わせることにより構成することができるが、それ
に限るものでもない。
【0024】第一電磁バルブ41のソノイド41aに
は、前述したリミットスイッチ28及びスイッチ29の
二者が直列接続される。一方、第二電磁バルブ42のソ
レノイド42aには、前述の二者28・29のほかに、
以下に説明するスリップ判定回路37の出力側を構成す
るスイッチ38を含めた三者が直列接続される。
【0025】スリップ判定回路37は、前記後輪出力軸
4の回転数を検出する後輪回転センサ39(図1)から
入力される回転数信号と、前記変速機9の出力軸10の
回転数を検出する前輪回転センサ40から入力される回
転数信号をもとに、出力軸10の後輪出力軸4に対する
回転速度比を演算する。そしてスリップ判定回路37
は、前記演算によって得られた回転速度比が所定の値を
下回った場合は前記スイッチ38を閉じる一方、所定の
値以上である場合は前記スイッチ38を開く。即ち、後
輪6がスリップすると、空転する後輪出力軸4の回転速
度が前記変速機9の出力軸10のそれよりも大きくなっ
て、前記回転速度比は減少する。スリップ判定回路37
は、その回転速度比が所定の値を下回ったことをもって
後輪6がスリップしたと判定し、前記スイッチ38を閉
じるのである。ただし、前輪回転センサ40の代わり
に、車両の実際の対地走行速度を検出する対地速度セン
サを車両に設けるようにしても良い。この場合は例え
ば、スリップ判定回路37を、後輪回転センサ39及び
該対地速度センサの各検出値に基づいて後輪6のスリッ
プ率を算出し、該スリップ率が所定値を上回ったことを
もって後輪6がスリップしたものと判定して前記スイッ
チ38を閉じるように構成する。
【0026】以上の構成の作用を説明する。前後進切換
レバー14が「後進」位置に操作されているとき(後進
時)、あるいは該レバー14が「前進」位置に操作され
ていてもステアリングハンドル15の回動操作角が前記
所定の角度未満であるとき(前方直進時)は、スイッチ
28・29の少なくともいずれかが開かれているので、
第一電磁バルブ41のソレノイド41aにも第二電磁バ
ルブ42のソレノイド42aにも電流が供給されない。
この場合第一電磁バルブ41は図3に示すノーマル位置
とされ、油圧ポンプ35からの圧油をブロックして、該
圧油の全量をリリーフバルブ36を通過させて油溜め4
3へドレンさせる。また、この状態では、第一油圧シリ
ンダ51の圧油は第一電磁バルブ41を通過して油溜め
43へドレンされるとともに、第二油圧シリンダ52の
圧油は、第二電磁バルブ42を迂回して設けられる逆止
弁37及び前記第一電磁バルブ41を通過して、油溜め
43へドレンされる。この結果、縮退する第一油圧シリ
ンダ51に連係される第一クラッチスライダ31は「係
合」位置Aとされて、中間軸17と等速伝動軸20とを
一体的に結合する。また、同様に縮退する第二油圧シリ
ンダ52に連係される第二クラッチスライダ32は「係
合解除」位置Cとされて、増速入力ギア24と出力軸1
0との結合を解除する。従って、前輪出力軸5からの動
力は中間軸17から等速伝動軸20へ伝達され、伝達ギ
ア22に噛合する等速入力ギア23が回転し、出力軸1
0が回転される。このとき、前輪12の回転速度は後輪
6のそれと略等しくなるよう、各ギアの歯数が設定され
ている。従って、前輪12及び後輪6の『等速4輪駆
動』状態が現出されることになる。
【0027】前後進切換レバー14が「前進」位置に操
作され、かつ、ステアリングハンドル15が前記所定の
角度をこえて回動操作されているとき(即ち、前進旋回
時)は、両スイッチ28・29がともに閉じられるので
第一の電磁バルブ41のソレノイド41aに電流が流
れ、第一電磁バルブ41は図3のノーマル位置から切り
換わって、油圧ポンプ35からの圧油を第一油圧シリン
ダ51及び第二電磁バルブ42へ送る。この結果、第一
油圧シリンダ51に連係される第一クラッチスライダ3
1は「係合解除」位置Bとされる。ここで、後輪6がス
リップせず駆動力を地面に伝えている場合には、前記ス
リップ判定回路37がスイッチ38を開くので、第二の
電磁バルブ42のソレノイド42aには電流が流れな
い。この結果、第二の電磁バルブ42は図3のノーマル
位置に保持され、第二油圧シリンダ52に対する圧油の
供給をブロックする。結局、該第二油圧シリンダ52に
連係される第二クラッチスライダ32は「係合解除」位
置Cのままである。第一クラッチスライダ31も第二ク
ラッチスライダも「係合解除」位置におかれるから、前
輪出力軸5からの動力は出力軸10へ伝達されず、前輪
12は駆動されないことになる。こうして、後輪6のみ
が駆動される『2輪駆動』状態が現出される。
【0028】前述の場合は前進旋回時であって後輪6が
スリップせず駆動力を地面に伝えている場合であるが、
前進旋回時に後輪6がスリップして空転した場合は、前
記スリップ判定回路37がそのスリップを検出してスイ
ッチ38を閉じるので、第二の電磁バルブ42のソレノ
イド42aに電流が流れる。この結果、第二の電磁バル
ブ42は図3のノーマル位置から切り換わって開かれ、
第二油圧シリンダ52には圧油が供給されて伸張し、第
二油圧シリンダ52に連係される第二クラッチスライダ
32が「係合」位置Dにおかれる。なお、第一油圧シリ
ンダ51には圧油が供給された状態のままであるから、
第一クラッチスライダ31は「係合解除」位置Bに保持
されている。従って、前輪出力軸5からの動力は中間ギ
ア18を介して増速入力ギア24へ伝達され、該増速入
力ギア24に第二クラッチスライダ32を介して結合さ
れる出力軸10が回転されることになる。中間ギア18
と増速入力ギア24とにより構成される歯車列の減速比
は、前記伝達ギア22と前記等速入力ギア23とにより
構成される歯車列の減速比よりも、小さく構成してあ
る。従って前記出力軸10には、前述の『等速4輪駆
動』の場合よりも高速の回転が得られ、前輪12は後輪
6に比して大きな速度(例えば、二倍の速度)にて駆動
されることになる。こうして、前輪12が後輪6よりも
増速されて駆動される『増速4輪駆動』状態が現出され
るのである。
【0029】旋回が終了しオペレータがステアリングハ
ンドル15を「直進」位置近傍へ戻して、車両を旋回前
進から前方直進へ移行させたときは、前記スイッチ29
が開かれるので、両電磁バルブ41・42のソレノイド
41a・42aに対する電流が断たれる。従って、両油
圧シリンダ51・52の圧油がドレンされ、第一クラッ
チスライダ31が「係合」位置Aに、第二クラッチスラ
イダ32が「係合解除」位置Cにおかれる。こうして、
車両は『等速4輪駆動』状態へ戻る。
【0030】上述の作用の概略をフローチャート的に表
したものが図4に示され、この図に示すように、後進時
および前進直進時には『等速4輪駆動』状態として動力
を確実に地面に伝え、前進旋回時には、原則『2輪駆
動』状態として旋回による圃場の傷みを低減する一方
で、該旋回時に後輪6がスリップした場合には『増速4
輪駆動』状態として該スリップ状態から確実にかつ素早
く脱出することができる。このように、状況に応じて適
切な駆動モードが自動的に選択されるので、オペレータ
は駆動モードの切換のために手動操作を行う必要がなく
便宜である。
【0031】なお、作業車両1の目的によっては、後進
時および前進直進時には『2輪駆動』状態として動力効
率(燃費)を向上させ、前進旋回時には、原則『等速4
輪駆動』状態としてスリップのおそれを低減させるとと
もに、それにもかかわらず該旋回時に前後輪6・12の
いずれかがスリップしたときには『増速4輪駆動』状態
として該スリップから素早く脱出させるように作用させ
ることも可能である。これは、前述の第一構成例(図2
・図3)において、前記第一油圧シリンダ51を取り付
ける向きを逆にすることで単純に達成できる。即ちこの
変形例では、前記第一構成例と逆に、第一油圧シリンダ
51の圧油がドレンされているときには第一クラッチス
ライダ31が「係合解除」位置Bにあり、圧油が供給さ
れているときには第一クラッチスライダ31が「係合」
位置Aにあることとなるように構成すればよいのであ
る。
【0032】前記変形例において前後輪6・12のいず
れかがスリップしたことを検出するための構成として
は、例えば以下に説明する構成を適用することができ
る。図5には前記HST3aの油圧回路図が示され、可
変容積型の油圧ポンプ45と固定容積型の油圧モータ4
6とが一対の作動油循環回路47・47によって流体接
続されている。作動油循環回路47・47間はシャトル
弁48を介して接続され、その出力側が圧力検出シリン
ダ49に接続されている。圧力検出シリンダ49の可動
部は、車両の適宜位置に枢支された回動アーム54に連
結され、該回動アーム54の回動基部にはポテンショメ
ータ55が設置されて、圧力検出シリンダ49の伸張量
に応じた抵抗値をスリップ判定回路37’へ送るように
なっている。スリップ判定回路37’は該ポテンショメ
ータ55の抵抗値を読み取って所定のしきい値とを比較
し、しきい値よりも該抵抗値が大きい場合には出力側の
スイッチ38を開き、小さい場合には該スイッチ38を
閉じるように構成する。
【0033】以上の構成の作用を具体的に説明する。前
進旋回時に『等速4WD』状態とされる上記構成におい
ては、HST3aに連結される前輪12及び後輪6のそ
れぞれには抵抗(摩擦抵抗や加速抵抗等)が発生し、該
抵抗を四輪すべてについて加算したものがHST3aに
負荷として入力される。前記作動油循環回路47・47
にはその負荷に応じた圧力差が発生し、この圧力差がシ
ャトル弁48の出力側から圧力検出シリンダ49へ出力
され、圧力検出シリンダ49は該圧力差(負荷)に応じ
た量だけ伸張し、前記スリップ判定回路37’は、この
伸張量をポテンショメータ55の抵抗値として検出して
得ることになる。ここで、前後輪12・6の四輪のうち
いずれか一つがスリップして空転した場合、そのスリッ
プした車輪の抵抗は急激に低下するので、HST3aに
入力される負荷も減少して、作動油循環回路47・47
の圧力差も小さくなる。この結果、圧力検出シリンダ4
9の伸張量も小さくなって、ポテンショメータ55の抵
抗値も小さくなる。ここで、スリップ判定回路37’に
おける前記しきい値は、四輪のうちいずれか一つでもス
リップしたときの抵抗値よりも大きくなるよう、その値
を予め設定しておくこととする。この結果、作業車両1
の四輪すべてがスリップせずその駆動力を地面に伝えて
いる場合は、出力側のスイッチ38を開き、一方で、四
輪のうちいずれか一つでもスリップした場合は、出力側
のスイッチ38を閉じる、スリップ判定回路37’の構
成が達成される。
【0034】〔伝達構造の第二構成例〕次に、変速機9
内部の第二構成例を説明する。図6は変速機内部の第二
構成例を示した図、図7は第二構成例における制御装置
を示す電気回路図及び油圧回路図である。図8は第二構
成例における制御装置の作用をフローチャート的に表し
た図である。
【0035】図6に示す第二構成例においては、クラッ
チスライダは単一のものとし(31)、第二クラッチス
ライダ32は省略されている。更に、前記等速入力ギア
23と増速入力ギア24の配設位置が第一構成例の場合
と入れ替わって配置されている。増速入力ギア24は出
力軸10に対し相対回転不能とされている。増速入力ギ
ア24には、増速伝動軸20’上に相対回転不能に固定
された伝達ギア22が噛合される。増速伝動軸20’は
中間軸17と同心配置され、前記クラッチスライダ31
はその摺動操作により、中間軸17に対し増速伝動軸2
0’を一体的に結合する状態と、該結合を解除する状態
とに、切換可能である。クラッチスライダ31に対して
第一油圧シリンダ51は第一構成例(図2・図3)と逆
の向きに配置されており、第一油圧シリンダ51に圧油
が供給されたときはクラッチスライダ31が「係合」位
置Aにおかれ、該シリンダ51から圧油がドレンされた
ときはクラッチスライダ31が「係合解除」位置Bにお
かれるように構成している。中間ギア18に常時噛合さ
れる等速入力ギア23と、出力軸10との間には、逆入
力遮断クラッチ44が介在されている。この逆入力遮断
クラッチ44は、入力側から出力側へのトルク伝達を許
容する一方で、出力側から入力側へのトルク伝達を阻止
する機械要素であり、本構成においては、等速入力ギア
23から出力軸10への方向にはトルクが伝達される一
方、出力軸10から等速入力ギア23への方向にはトル
ク伝達が遮断されるようになっている。その他の機械的
構成は、前記第一構成例と同様である。
【0036】この第二構成例におけるクラッチスライダ
31を摺動操作するための制御装置27の構成が図7に
示される。第二構成例では第二クラッチスライダ32を
省略するのに伴い、第一構成例における第二油圧シリン
ダ52や、それに接続される第二電磁バルブ42や逆止
弁37が省略されている。そして、電磁バルブ41のソ
レノイド41aには、前後進切換レバー14に連係する
スイッチ28、ステアリングハンドル15が所定角度以
上回動されると閉じるスイッチ29、スリップ判定回路
37の出力側を構成するスイッチ38、の三者が直列接
続される。その他の構成は、前記第一構成例における制
御装置と同様である。
【0037】この第二構成例の作用を説明する。前後進
切換レバー14が「後進」位置に操作されているとき
(後進時)、あるいは該レバー14が「前進」位置に操
作されていてもステアリングハンドル15の回動操作角
が前記所定の角度未満であるとき(前方直進時)は、ス
イッチ28・29のうち少なくともいずれかが開かれる
ので、第一電磁バルブ41のソレノイド41aに電流は
供給されない。また、前進旋回時であっても後輪6がス
リップせず駆動力を地面に伝えている場合は、スイッチ
38が開かれるので、同様にソレノイド41aには電流
は流れない。この場合は第一油圧シリンダ51の圧油が
油溜め43にドレンされるので、第一油圧シリンダ51
に連係されるクラッチスライダ31は「係合解除」位置
Bにおかれ、中間軸17と増速伝動軸20’との結合を
切り離す。一方、後輪6には駆動力が常時伝達されてお
り、走行する車両の前輪12は地面との摩擦により回転
されて、その回転トルクが前輪側差動装置11から出力
軸10へと逆流する。しかし、この逆流トルクによって
回転される出力軸10の回転数は、前輪出力軸5からの
駆動トルクによって回転される等速入力ギア23の回転
数に比して、若干大きくなるように、前輪12・後輪6
の径の大きさ、あるいは、各歯車(例えば中間ギア18
・等速入力ギア23)の歯数を設定してある。これは、
出力軸10が等速入力ギア23を相対的に駆動しようと
することを意味する。しかし、出力軸10と等速入力ギ
ア23との間に介在される逆入力遮断クラッチ44がそ
の向きの駆動トルクの伝達を遮断するので、出力軸10
から等速入力ギア23へトルクが伝達されることはな
く、出力軸10は等速入力ギア23に対して空回りする
ことになる(この状態では勿論、等速入力ギア23から
出力軸10に対しても駆動力は伝達されない)。こうし
て、前輪12は駆動されず後輪6のみが駆動される『2
輪駆動』状態が現出される。
【0038】車両がこの『2輪駆動』状態で進行中(後
進中または前方直進中)に後輪6がスリップして空転し
た場合は、車両は推力を失ってその進行速度を低下させ
る。地面との摩擦により回転される前輪12の回転速度
もそれに伴って低下し、該前輪12に差動装置11を介
して連結される出力軸10の回転数も低下する。出力軸
10の回転数が、前輪出力軸5からの駆動トルクによっ
て回転される等速入力ギア23の回転数よりも下回った
場合、相対的にみれば、等速入力ギア23が出力軸10
を駆動しようとすることになる。逆入力遮断クラッチ4
4はその向きのトルクを伝達するので、等速入力ギア2
3が出力軸10を駆動し、前輪12にエンジン2からの
動力(トランスミッション3からの動力)が伝えられ
る。即ち、後輪6がスリップしたときには、後輪6に加
えて前輪12が駆動される『等速4輪駆動』状態に切り
換わるのである。なお、後輪6がスリップした場合は、
スリップ判定回路37のスイッチ38が閉じられること
となるが、後進時や前進直進時にはスイッチ28・29
の少なくともいずれかが開かれているから、第一電磁バ
ルブ41のソレノイド41aには電流は結局供給され
ず、クラッチスライダ31は「係合解除」位置Bのまま
である。
【0039】前述の如く『等速4輪駆動』状態とされ
て、前輪12に動力が伝達されて車両が推力を再び得る
ことで、後輪6がぬかるみ等から脱してスリップ状態か
ら回復し、車両は速度を増大させて通常の走行速度に復
帰する。車両が後輪スリップ状態が回復するに従い、地
面との摩擦により回転される前輪12は、後輪6に対す
る相対的な回転速度を増大させ、最終的には、出力軸1
0が前記等速入力ギア23を駆動させようとするほど、
その回転速度を増大させることになる。しかし、出力軸
10から等速入力ギア23へ至る向きの駆動トルクの伝
達は、前記逆入力遮断クラッチ44によって遮断される
ので、出力軸10から等速入力ギア23へトルクが伝達
されることはなく、出力軸10は等速入力ギア23に対
して空回りすることになる(この状態では勿論、等速入
力ギア23から出力軸10に対しても駆動力は伝達され
ない)。こうして、後輪6がスリップ状態から回復した
ときは、前輪12は駆動されず後輪6のみが駆動される
『2輪駆動』状態へと戻るのである。
【0040】前記第一電磁バルブ41のソレノイド41
aに電流が流れるのは、前進旋回時であって、後輪6が
スリップした場合のみである。このときは、第一油圧シ
リンダ51に圧油が供給され、クラッチスライダ31は
「係合」位置Aにおかれて中間軸17と増速伝動軸2
0’とを一体的に結合する。この結果、前輪出力軸5か
らの動力は中間ギア18・中間軸17を介して増速伝動
軸20’に伝達され、該増速伝動軸20’上の増速伝動
ギア22から増速入力ギア24を経て出力軸10が回転
される。伝達ギア22と増速入力ギア24とにより構成
される歯車列の減速比は、前記中間ギア18と前記等速
入力ギア23とにより構成される歯車列の減速比より
も、小さく構成してある。このようにして、前輪12が
後輪6よりも増速されて駆動される『増速4輪駆動』状
態が現出される。なお、このとき出力軸10は、等速入
力ギア23の回転数を上回る回転数で駆動されるので、
これは相対的にみると、出力軸10が等速入力ギア23
を駆動しようとすることを意味する。しかし、逆入力遮
断クラッチ44がその向きのトルクの伝達を遮断するの
で、出力軸10は等速入力ギア23に対して空転し、二
重動力伝達状態となることはない。
【0041】上述の作用の概略をフローチャート的に表
したものが図8に示され、この図に示すように、後進時
および前進直進時には、原則『2輪駆動』状態として動
力効率(燃費)の向上を図る一方で、後輪6がスリップ
した場合には『等速4輪駆動』状態として該スリップ状
態からの確実な脱出を図るようにする。そして前進旋回
時には、『増速4輪駆動』状態として旋回半径を小さく
するといった機能が提供されているのである。
【0042】〔伝達構造の第三構成例〕次に、変速機9
内部の第三構成例を説明する。図9は変速機内部の第三
構成例を示した図、図10は第三構成例における制御装
置を示す電気回路図及び油圧回路図である。
【0043】図9に示すように、前輪出力軸5と平行し
て中間軸17が配置され、該中間軸17の一端には中間
ギア18が相対回転不能に固定される。該中間ギア18
は、前輪出力軸5上に嵌合設置した伝動ギア16に常時
噛合されている。また、中間軸17の他端には伝達ギア
22が相対回転不能に設置される。中間軸17に平行し
て出力軸10が回転自在に支持され、この出力軸10上
には二つのギア、即ち、等速入力ギア23及び増速入力
ギア24が遊嵌設置される。両ギア23・24の設置部
位の間の位置において、出力軸10の周面にはスプライ
ンが刻設され、該スプライン上に、クラッチスライダ3
3が相対回転不能かつ軸方向摺動自在に設けられる。
【0044】クラッチスライダ33は両ギア23・24
に挟まれるようにして配置され、ギア23・24のそれ
ぞれクラッチスライダ33側を向く側面には、歯部23
a・24aが形成されている。これに対応して、クラッ
チスライダ33の軸方向両端面には、前記歯部23a・
24aに噛合可能な歯部33a・33aが形成される。
クラッチスライダ33にはクラッチフォーク26が嵌合
され、油圧シリンダ51に連係されている。従って、油
圧シリンダ51に圧油を給排することによって、クラッ
チスライダ33を、その歯部33aを等速入力ギア23
の歯部23aへ噛合させる「等速4WD」位置X、反対
側の歯部33aを増速入力ギア24の歯部24aへ噛合
させる「増速4WD」位置Z、いずれの歯部23a・2
4aへも噛合させない「2WD」位置Y、の計三位置に
摺動操作することができる。
【0045】この第三構成例におけるクラッチスライダ
31を摺動操作するための制御装置27の構成が、図1
0に示される。この構成例では、油圧シリンダ51に接
続される電磁バルブ41’は三位置切替型のものとさ
れ、そのスプールには二つのソレノイド41a・41b
が設置されている。このバルブ41’はP・T・A・B
・Cの五つのポートを有するように構成しており、ポン
プポートPは油圧ポンプ35へ接続し、タンクポートT
はドレン回路を介し油溜め43へ接続している。残りの
ポートA・B・Cは油圧シリンダ51に接続している。
ポートAはシリンダ収容室の端部に設けた油給排孔Hに
接続され、ポートB・Cはシリンダ収容室の側壁に設け
た油逃がし孔I・Jに、それぞれ接続されている。油逃
がし孔Iは逃がし孔Jよりも、シリンダ収容室の端部寄
りの位置(油給排孔Hに近い位置)に設けられている。
【0046】電磁バルブ41の第一ソレノイド41aに
は、前後進切換レバー14に連係するスイッチ28、ス
テアリングハンドル15が所定角度以上回動されると閉
じるスイッチ29、スリップ判定回路37の出力側を構
成するスイッチ38、の三者が直列接続される。第二ソ
レノイド41bには、前記スイッチ28・29の二者に
リレースイッチ61を加えた三者が直列接続される。こ
のリレースイッチ61は通常時は閉じているが、コイル
60が励磁されるとその磁界によって開かれるように構
成される。該コイル60には前記第一ソレノイド41a
と同様に、前後進切換レバー14に連係するスイッチ2
8、ステアリングハンドル15が所定角度以上回動され
ると閉じるスイッチ29、スリップ判定回路37の出力
側を構成するスイッチ38、の三者が直列接続される。
【0047】以上の構成の作用を説明する。前後進切換
レバー14が「後進」位置に操作されているとき(後進
時)、あるいは該レバー14が「前進」位置に操作され
ていてもステアリングハンドル15の回動操作角が前記
所定の角度未満であるとき(前方直進時)は、スイッチ
28・29の少なくともいずれかが開かれているから、
前記第一ソレノイド41a及び第二ソレノイド41bの
いずれに対しても電流が供給されない。この場合電磁バ
ルブ41は図10に示すノーマル位置とされ、油圧シリ
ンダ51の圧油は油給排孔HからポートA・Tを介して
油溜め43へドレンされる。この結果、縮退される油圧
シリンダ51に連係するクラッチスライダ33は「等速
4WD」位置Xとされ、等速入力ギア23とその歯部同
士33a・23aを係合させて、等速入力ギア23と出
力軸10を一体的に結合し、前輪12に動力を伝達す
る。こうして、前輪12及び後輪6の『等速4輪駆動』
状態が現出される。
【0048】前後進切換レバー14が「前進」位置に操
作され、かつ、ステアリングハンドル15が前記所定の
角度をこえて回動操作されているとき(即ち、前進旋回
時)は、両スイッチ28・29がいずれも閉じられるの
で、電磁バルブ41の第二ソレノイド41bに電流が流
れる。電磁バルブ41は切り換わってポンプポートPと
ポートAとを接続し、タンクポートTとポートBとを接
続するとともに、ポートCをブロックする。この結果、
油圧ポンプ35からの圧油は油圧シリンダ51の油給排
口Hに供給され、該油圧シリンダ51のシリンダロッド
は伸張駆動される。ただし、油逃がし孔Iがバルブ41
を介して油溜め43に連通されているので、油圧シリン
ダ51のシリンダロッドが一定程度伸張駆動されると油
逃がし孔Iが開かれて圧油がドレンされ、結局シリンダ
ロッドの伸張量は、油逃がし孔Iの位置に対応する伸張
量とされる。この結果、油圧シリンダ51に連係される
クラッチスライダ33は、等速入力ギア23及び増速入
力ギア24のいずれにも係合しない「2WD」位置Yと
され、出力軸10は駆動されず、前輪12に駆動力は伝
達されない。こうして、後輪6のみの『2輪駆動』状態
が現出される。
【0049】以上の場合は後輪6がスリップせず駆動力
を地面に伝えている場合であるが、前進旋回時に後輪6
がスリップした場合は、前記スリップ判定回路37がス
イッチ38を閉じるので、第一ソレノイド41aへ電流
が供給されると同時に、コイル60が励磁されてリレー
スイッチ61が開かれ、第二ソレノイド41bへの電流
が遮断される。これによって切り換わった電磁バルブ4
1は、ポンプポートPとポートAとを接続し、ポートB
をブロックするとともに、ポートCとタンクポートTと
を接続する。この結果、油圧ポンプ35からの圧油は油
圧シリンダ51の油給排口Hに供給され、該油圧シリン
ダ51のシリンダロッドは伸張駆動される。ただし、油
逃がし孔Jがバルブ41を介して油溜め43に連通され
ているので、油圧シリンダ51のシリンダロッドが一定
程度伸張駆動されると油逃がし孔Jが開かれて圧油がド
レンされ、結局シリンダロッドの伸張量は、油逃がし孔
Jの位置に対応する伸張量とされる。この結果、油圧シ
リンダ51に連係されるクラッチスライダ33は「増速
4WD」位置Zとされ、等速入力ギア23とその歯部同
士33a・23aを係合させて、等速入力ギア23と出
力軸10を一体的に結合する。こうして、前輪12が後
輪6よりも増速されて駆動される『増速4輪駆動』状態
が現出される。
【0050】旋回が終了しオペレータがステアリングハ
ンドル15を「直進」位置近傍へ戻して、車両を旋回前
進から前方直進へ移行させたときは、前記スイッチ29
が開かれるので、ソレノイド41a(41b)に対する
電流が断たれる。電磁バルブ41はノーマル位置に戻さ
れ、油圧シリンダ51の圧油がドレンされ、クラッチス
ライダ31が「等速4WD」位置Xに戻される。こうし
て、車両は『等速4輪駆動』状態へ戻る。
【0051】上述の構成による作用は、第一構成例の作
用(図4に示す作用)とまったく同様である。即ち、後
進時および前進直進時には『等速4輪駆動』状態として
動力を確実に地面に伝え、前進旋回時には、原則『2輪
駆動』状態として旋回による圃場の傷みを低減する一方
で、該旋回時に後輪6がスリップした場合には『増速4
輪駆動』状態として該スリップ状態からの確実な脱出を
図るものである。
【0052】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に示すような効果を奏する。
【0053】即ち、請求項1に示す如く、エンジンと、
エンジンからの動力によって駆動される後輪と、ステア
リング手段の回動操作により操舵可能な前輪と、前記前
輪にエンジンからの動力を伝える状態及び伝えない状態
との間で切換可能なドライブトレーンと、を具備した作
業車両に備えられる走行伝達構造において、前記ステア
リング手段の回動角が設定値を上回る場合であって、前
記後輪がスリップしたときには、前記前輪にエンジンか
らの動力を伝える状態に前記ドライブトレーンを切り換
える制御手段を備えたので、旋回時かつ後輪がスリップ
したときには自動的に前輪に動力を伝えて四輪駆動への
移行制御がされるから、旋回時において通常は二輪駆動
として燃費を節減し、スリップしたときのみ四輪駆動と
して旋回を円滑にするといった、適切な駆動モードの自
動切換が可能となる。特に、圃場上で用いる農用作業車
に適用した場合、旋回時において通常は二輪駆動として
圃場が荒れるのを防ぐ一方、後輪がスリップしたときの
み四輪駆動として旋回を円滑にするといった制御が行わ
れるので好適である。
【0054】請求項2に示す如く、前記ステアリング手
段の回動角が設定値を上回る場合であって、前記後輪が
スリップしたときには、前記制御手段は、前輪が後輪よ
りも増速されて駆動されるように前記ドライブトレーン
を制御するので、前輪を増速駆動することにより、後輪
スリップ状態から素早く確実に脱出できる構成となる。
【0055】請求項3に示す如く、前記ステアリング手
段の回動角が設定値以下である場合には、前記制御手段
は、前記前輪にエンジンからの動力を伝えない状態とな
るように前記ドライブトレーンを制御するので、直進時
に後輪のみを駆動する構成となるから、駆動効率を向上
でき、燃費が良好である。
【0056】請求項4に示す如く、前記ステアリング手
段の回動角が設定値以下である場合であって、前記後輪
がスリップ状態に移行したときは、前記制御手段は前記
前輪にエンジンからの動力を伝える状態にドライブトレ
ーンを切り換えるので、直進時には原則として後輪のみ
を駆動して経済性を向上させるとともに、後輪がスリッ
プしたときは後輪に加えて前輪を駆動してぬかるみ等か
ら素早く脱出できる、燃費及び悪路の走破性を両立させ
得る合理的な構成を提供できる。
【0057】請求項5に示す如く、前記後輪がスリップ
状態から回復したときは、前記制御手段は前記前輪にエ
ンジンからの動力を伝えない状態にドライブトレーンを
切り換えるので、後輪がスリップ状態から回復したとき
は後輪のみの駆動に戻ることになるから、不必要に前輪
を駆動させない、経済性に優れた構成を提供できる。
【0058】請求項6に示す如く、エンジンと前輪との
間の走行伝達経路に逆入力遮断クラッチを介在させてあ
るので、通常のドッグクラッチ等を使用する構成に比し
て、クラッチスライダやそれを摺動操作するための構成
を簡略化でき、制御手段の簡素化・小型化に貢献でき
る。
【0059】請求項7に示す如く、前記ステアリング手
段の回動角が設定値以下である場合は、前記制御手段
は、前記前輪にエンジンからの動力を伝える状態となる
ように前記ドライブトレーンを制御するので、直進時に
前後輪の四輪駆動となるから、駆動力が確実に路面に伝
えられ、悪路の走破性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての作業車両の概略図。
【図2】変速機内部の第一構成例を示した図。
【図3】クラッチスライダを制御するための制御装置を
示す電気回路図及び油圧回路図。
【図4】制御装置の作用をフローチャート的に表した
図。
【図5】第一構成例の変形例において、前輪又は後輪の
スリップを検出するための構成の一例を示した図。
【図6】変速機内部の第二構成例を示した図。
【図7】第二構成例における制御装置を示す電気回路図
及び油圧回路図。
【図8】第二構成例における制御装置の作用をフローチ
ャート的に表した図。
【図9】変速機内部の第三構成例を示した図。
【図10】第三構成例における制御装置を示す電気回路
図及び油圧回路図。
【符号の説明】
1 作業車両 2 エンジン 3 トランスミッション 3a HST 6 後輪 9 変速機(ドライブトレーン) 12 前輪 27 制御装置(制御手段) 44 逆入力遮断クラッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D036 GA14 GB05 GD03 GD04 GE04 GG35 GG42 GH05 GH18 GH26 GJ08 GJ12 3D043 AA03 AB12 EA02 EA17 EA34 EB03 EB06 EB12 EE07 EE12 EF12 EF24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと、 エンジンからの動力によって駆動される後輪と、 ステアリング手段の回動操作により操舵可能な前輪と、 前記前輪にエンジンからの動力を伝える状態及び伝えな
    い状態との間で切換可能なドライブトレーンと、を具備
    した作業車両に備えられる走行伝達構造において、 前記ステアリング手段の回動角が設定値を上回る場合で
    あって、前記後輪がスリップしたときには、前記前輪に
    エンジンからの動力を伝える状態に前記ドライブトレー
    ンを切り換える制御手段を備えたことを特徴とする、 作業車両の走行伝達構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の作業車両の走行伝達構
    造において、 前記ステアリング手段の回動角が設定値を上回る場合で
    あって、前記後輪がスリップしたときには、前記制御手
    段は、前輪が後輪よりも増速されて駆動されるように前
    記ドライブトレーンを制御することを特徴とする、作業
    車両の走行伝達構造。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の作業車両の走行伝達構
    造において、 前記ステアリング手段の回動角が設定値以下である場合
    には、前記制御手段は、前記前輪にエンジンからの動力
    を伝えない状態となるように前記ドライブトレーンを制
    御することを特徴とする、作業車両の走行伝達構造。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の作業車両の走行伝達構
    造において、 前記ステアリング手段の回動角が設定値以下である場合
    であって、前記後輪がスリップ状態に移行したときは、
    前記制御手段は前記前輪にエンジンからの動力を伝える
    状態にドライブトレーンを切り換えることを特徴とす
    る、作業車両の走行伝達構造。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の作業車両の走行伝達構
    造において、 前記後輪がスリップ状態から回復したときは、前記制御
    手段は前記前輪にエンジンからの動力を伝えない状態に
    ドライブトレーンを切り換えることを特徴とする、作業
    車両の走行伝達構造。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の作業車両の走行伝達構
    造において、 エンジンと前輪との間の走行伝達経路に逆入力遮断クラ
    ッチを介在させたことを特徴とする、作業車両の走行伝
    達構造。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の作業車両の走行伝達構
    造において、 前記ステアリング手段の回動角が設定値以下である場合
    は、前記制御手段は、前記前輪にエンジンからの動力を
    伝える状態となるように前記ドライブトレーンを制御す
    ることを特徴とする、作業車両の走行伝達構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111204345A (zh) * 2018-11-20 2020-05-29 本田技研工业株式会社 车辆控制系统

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