JP2003080303A - 板材の幅減少方法 - Google Patents

板材の幅減少方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄い板材の板幅を圧延により効果的に減少す
る方法を提供する。 【解決手段】 初期板幅Wiの板材10を幅方向に波形
に曲げ加工して板幅Wmとしたのち、必要に応じサイド
ガイド13によって入側の両側で拘束して水平圧延用の
ロール11で水平圧延し板幅Woの板材とし、ΔWの幅
減少を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板材の熱間圧延ラ
インなどで水平圧延される薄板材の幅減少方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】薄鋼板の熱間圧延の素材として、連続鋳
造設備で製造された板厚200〜250mmの板スラブ
が用いられている。薄板の熱間圧延で製造される板材の
板幅は、それぞれの製品により決められているので、板
スラブの幅はその製品幅より、少し大きいものが使用さ
れる。
【0003】連続鋳造設備における板材の引き抜き速度
は、その冷却速度が板厚により決まり板厚が薄いほど大
きくできるので、板スラブの板幅を大きくして薄くする
ほど生産量は大きくなる。連続鋳造設備の生産量は熱間
圧延ラインの生産量より低いために、生産のバランスを
とるのに、連続鋳造設備での板スラブ幅を大きくして生
産量を増やす方向にある。しかし薄板の熱間圧延で製造
される板材の板幅は、製品毎に決められているので、連
続鋳造設備で板幅を大きくして製造した板スラブは、圧
延ラインで板幅を大きく減じる必要がある。
【0004】圧延ラインで板スラブの幅を大きく減じる
方法として、近年プレスで板スラブの幅を圧下する方
法、あるいは非常に大きなロール径を有した縦型圧延機
を用いる方法などが採用されている。しかしながら、い
ずれの方法も板スラブの板厚が200〜250mmと厚
い段階で強幅圧下(圧下量=300〜500mm)が行
われるために圧延及びプレス荷重も非常に大きなものと
なる。それに伴って設備も大きくなり、設備費も膨大な
ものになる。また、板幅を減少させても、次の水平圧延
で幅戻りが起こるために実質の幅減少量は縦型圧延機で
の幅圧下量の5〜6割の150〜300mm程度とな
る。
【0005】圧延荷重及びプレス荷重は板スラブの板厚
に比例するため、荷重を下げるためには板厚を薄くする
必要がある。一般に板スラブの板厚の薄い段階で幅を強
圧下すると、図7(a)のように上に凸の座屈変形を
し、強幅圧下ができなくなる。また縦型圧延機で圧延す
る際、板厚が薄くなるにつれて、変形が板幅端に集中す
る。その板スラブを次の水平圧延機で板厚を減ずる時に
図7(b)に示すようにドッグボーン部分が板幅方向に
流れやすくなるために、大きな幅戻りが生じ、さらに効
率が悪くなる。そのため、板厚の薄い段階での大きな幅
減少は困難であるといわれてきた。
【0006】また、近年薄スラブ連続鋳造と圧延設備を
直結したコンパクトな圧延ラインが稼動し始めた。これ
は連続鋳造設備で板厚50〜90mmの板スラブを製造
して、直接圧延ラインに送り、粗圧延機で若干板厚を減
じたあとに仕上げ圧延に送る工程を有している。この圧
延ラインにおける板幅変更は、圧延工程での薄いスラブ
幅圧下が困難なために、鋳造工程で行われているため、
鋳造設備の生産量の低下をもたらしている。この圧延ラ
インでも鋳造工程で板幅の大きな板スラブを生産して、
鋳造工程での生産量を上げ、圧延ラインとのバランスを
とる必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の板幅
減少技術が前記した問題点を有しているのに鑑み、板厚
が薄い板材の板幅を効果的に減少できるようにした板材
の幅減少方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、板材を水平圧延する前工程で、前記板材を
幅方向に波形に曲げ加工し、そのあと水平圧延するよう
にした板材の幅減少方法を提供する。
【0009】本発明の板材の幅減少方法によれば、板幅
を減少させる板材を単に幅方向に波形に曲げ加工してか
ら水平圧延を行なうことによって板幅が減少された板材
を容易に得ることができる。この場合の波形のピッチを
変えることによって幅減少量を調整することができる。
【0010】本発明の板材の幅減少方法においては、前
記水平圧延の入り側で前記板材をサイドガイドによって
板幅を拘束して圧延するのが好ましい。このように水平
圧延の入り側で前記板材をサイドガイドによって板幅を
拘束して圧延すると、水平圧延の入側近傍で圧下の影響
により板材に形成した波形が平坦になろうとするのを、
そのサイドガイドによって抑制し、板材の先端から後端
までに亘って幅減少率を大きくすることができる。
【0011】また、本発明による前記した板材の幅減少
方法において、水平圧延時の出側板厚を入側板厚以下に
なるようにすると、板材と水平圧延用のロールとの間の
摩擦が十分に働いて材料の幅方向への移動が抑制され幅
減少の割合を大きくすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて具体
的に説明する。図1に示すように、本発明では、図1の
(a)に示すような平板の板材10の水平圧延に際し、
水平圧延の前工程で図1の(b)に示すように板材10
を幅方向に波形に曲げ加工し、その上で、水平圧延を行
い、図1の(c)に示すように板幅が減少された板材を
得る。図1において、10は板材、Wiは板材10の初
期板幅、Wmは波形曲げ加工後の板幅、Woは水平圧延
後の板幅である。板材10の波形曲げ加工は、板材10
を波形のロールに通す方法、あるいは波形プレスを繰り
返す方法などで行うことができる。
【0013】図2において、11は水平圧延用のロール
である。図2では、波形曲げ加工した板材10を、その
まま水平圧延用のロール11に通して水平圧延を行う。
12は波形曲げ加工した板材10をロール11で圧延す
る際の板材10の変形領域である。
【0014】図3では、水平圧延用のロール11の入側
に、波形曲げ加工された後の板幅Wm間隔でサイドガイ
ド13を設置し、入側で板幅を拘束しながら水平圧延を
行う。12′はこの場合の板材10の変形領域である。
【0015】以下では、鋼の熱間加工時の変形と良く似
た性質のプラスティシンを材料とし、実際の圧延寸法の
約1/10のモデルを製作し、水平圧延機の作業ロール
径100mm、初期板幅Wi=200mmで、板厚を1
0mm、7mm及び5.5mmとして、図2及び図3の
装置を用い図1で示したように板材に幅方向の波形の曲
げ加工を行なったあと水平圧延することによる幅減少方
法に関する実験を行った例について説明する。板の曲げ
加工後の波形の様子を図4及び図5にそれぞれ示してあ
る。波形曲げ加工された図4対応の板モデルによる圧延
実験の結果を図6の表に示してある。
【0016】実験番号1〜3はサイドガイド無し圧延
(図2)の結果で、実験番号4はサイドガイド有り圧延
(図3)の結果である。圧延長手方向で見ると、長手方
向中央部では最も幅が小さく、次に先端部が小さく、後
端部の幅が一番大きい結果となっている。これは先端部
と後端部の片方には材料がないために拘束が少なく、波
形から平坦になり易いためと推定される。
【0017】実験によって幅減少量が異なっているのは
図4に示すごとく、形成した波形の山の数すなわちピッ
チの差によるものと思われる。ピッチを小さくして山の
数を多くすれば更に幅減少量が増加するものと推定でき
る。
【0018】板材を幅方向に波形に曲げ加工したあと水
平圧延を行うと、初期板幅Wiよりも水平圧延後の幅W
oが小さくなる。これは、幅方向に波形に曲げ加工され
た板材が水平圧延されると波形が平らになろうとする
が、板材10とロール11間の摩擦があるために材料の
幅方向への移動が抑制されるためである。従って、この
板材10とロール11間の摩擦作用を生かすために、水
平圧延時の出側板厚は入側板厚以下にする必要がある。
出側板厚を入側板厚より大きくすると、摩擦作用が十分
働かず幅減少の割合が少なくなる。
【0019】図2に示すように水平圧延の入側近傍で圧
下の影響で波形が平坦になろうとする傾向があるが、入
側近傍で板が平坦になるのを抑制するために図3のよう
にサイドガイドで板の平坦化を防ぐと幅減少率が大きく
なる。
【0020】実験番号4は、実験番号3に圧延入側の板
材10の平坦化を抑制するためにサイドガイド13をつ
けた結果である。サイドガイドで板材10を拘束する
と、先端から後端まで幅が一層小さくなる。
【0021】また、図5は山の数を少なくし、図3のサ
イドガイド付の圧延を行った結果である。板厚7mm、
初期板幅Wi=200mm、波形に曲げ加工後の板幅W
m=160mm、水平圧延後の板幅Wo=170mmと
なり、幅減少量ΔW=30mmの幅減少が得られる。板
厚が等しい実験番号2の結果と比較すると、幅減少量Δ
Wが増加しているのが判る。
【0022】従来、縦型圧延機で幅圧下を行った時の、
実際のデータや経験から、板厚が100mm以下では座
屈する限界の幅圧下量は板厚の1/2以下であり、また
その後の水平圧延で幅戻りがあるために実際の幅減少量
はさらに小さくなる。それらを考慮すると実際の幅減少
量は板厚の約1/4以下と思われる。
【0023】これに対し、前述したように、幅方向に波
形に曲げ加工したあと水平圧延を行う本発明の方法によ
れば、圧延工程での薄い板スラブに座屈を生じさせるこ
と無しに、幅減少量の大きい圧延方法を提供することが
可能になる。
【0024】すなわち、前記した実験例は寸法的に1/
10モデルなので、図6の表の実験番号4で示されるよ
うに、実際では板厚55mmで、幅減少量ΔW=350
mm(初期板幅Wi=2000mm)が得られ、薄スラ
ブ下で板厚に左右されずに大幅な幅減少圧延を行うこと
が可能になる。
【0025】また、板材10の波形曲げ加工は、従来の
縦型圧延機や他の圧縮加工よりも曲げに要する荷重が非
常に小さくて済むから、設備費も少なくなる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、板材を
水平圧延する前工程で、その板材を幅方向に波形に曲げ
加工し、そのあと水平圧延するようにした板材の幅減少
方法を提供する。
【0027】本発明の板材の幅減少方法によれば、板幅
を減少させる板材を幅方向に波形に曲げ加工してから水
平圧延を行なうことによって板幅が減少された板材を容
易に得ることができる。
【0028】本発明の板材の幅減少方法において、前記
水平圧延の入り側で前記板材をサイドガイドによって板
幅を拘束して圧延するようにしたものでは、水平圧延の
入側近傍で圧下の影響で板材に形成した波形が平坦にな
ろうとするのを、そのサイドガイドによって抑制して板
材の先端から後端までに亘って幅減少率を大きくするこ
とができる。
【0029】また、本発明の板材の幅減少方法におい
て、水平圧延時の出側板厚を入側板厚以下になるように
したものでは、板材と水平圧延用のロールとの間に摩擦
が十分に働いて材料の幅方向への移動が抑制され板幅減
少の割合を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による板材の幅減少方法の工程と板幅
との関係を板幅方向の断面で示す説明図で、(a)は板
材の初期板幅を示し、(b)は板幅方向に波形に曲げ加
工したあとの板幅を示し、(c)は水平圧延後の板幅を
示している。
【図2】 水平圧延時の実施形態の平面図。
【図3】 水平圧延時の他の実施形態の平面図。
【図4】 等しい板幅で異なる板厚の板材に、幅方向に
異なる数の波形を曲げ加工して形成させた3個の実験用
モデルの断面を(a)、(b)、(c)で示している。
【図5】 波形の数を減少させた実験用モデルの断面。
【図6】 実験結果を示す表。
【図7】 板幅を減少させる従来の方法における問題点
を説明する図面で、(a)は幅方向に圧下したときの座
屈変形の状態を示し、(b)は縦型圧延機で圧延したあ
と水平圧延した場合の幅戻り状態を示している。
【符号の説明】
10 板材 11 水平圧延用のロール 12 板材の変形領域 12’ 板材の変形領域 13 サイドガイド Wi 初期板幅 Wo 水平圧延後の板幅 Wm 波形に曲げ加工後の板幅 ΔW 幅減少量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 幹朗 広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱 重工業株式会社広島製作所内 (72)発明者 梶原 哲雄 広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱 重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 4E002 AD01 BD20 CB08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板材の板幅を圧延段階で減少させる方法で
    あって、前記板材の水平圧延の前工程で、前記板材を幅
    方向に波形に曲げ加工し、そのあと水平圧延することを
    特徴とする板材の幅減少方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法であって、前記水平
    圧延の入り側で前記板材をサイドガイドによって板幅を
    拘束して水平圧延することを特徴とする板材の幅減少方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、水平圧延時の出
    側板厚を入側板厚以下とすることを特徴とする板材の幅
    減少方法。
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