JP2003077119A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2003077119A
JP2003077119A JP2001268332A JP2001268332A JP2003077119A JP 2003077119 A JP2003077119 A JP 2003077119A JP 2001268332 A JP2001268332 A JP 2001268332A JP 2001268332 A JP2001268332 A JP 2001268332A JP 2003077119 A JP2003077119 A JP 2003077119A
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Tetsukazu Nakamura
哲一 中村
Tsukasa Itani
司 井谷
Hiroshi Chiba
洋 千葉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録媒体及びその製造方法に関し、保護
膜の機械的強度を保持したまま潤滑剤との付着力を向上
させ、且つ、コンタミ耐性を高める。 【解決手段】 保護膜4を成膜したのちに、その表面を
イオン化した希ガス元素を含む雰囲気中で処理し、引き
続いて外気へ暴露されることなく潤滑膜5を被膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体及びそ
の製造方法に関するものであり、特に、ハードディスク
ドライブ(HDD)に用いる磁気記録媒体の耐蝕性を高
めるための保護被膜の構成及び形成方法に特徴のある磁
気記録媒体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、情報記録装置であるヘッドの
浮上を伴う磁気記録装置(所謂ハードディスクドライ
ブ)はコンピュータや各種携帯情報端末、例えば、モバ
イルパソコン、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ、
車載ナビゲーション等の外部記憶装置として一般に広く
使用されている。
【0003】現在の磁気ディスクは、Al−Mg合金や
ガラス基板等の硬質非磁性基板上に良好な磁気特性を示
すCoCrPtTa等のコバルト系の合金を薄膜磁性合
金層として設けたものからなるが、この様な磁性合金層
は耐久性、耐蝕性に著しく劣るため、磁気ヘッドとの接
触、摺動による摩擦、摩耗や湿気吸着による腐食発生の
ため磁気特性の劣化や機械的または化学的損傷が生じ易
い。
【0004】そこで現状では、磁性合金層表面に厚さが
5〜50nm程度の保護膜層を設け、さらにその直上を
厚さが1〜9nm程度の潤滑剤で被覆することで、耐
久、耐蝕性の向上を図っている。
【0005】この様な保護膜としては、SiO2 やAl
2 3 等の様々な材質が用いられてきたが、現在では、
DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜、即ち、アモ
ルファスの炭素系保護膜が耐熱性、耐蝕性および耐摩耗
性に優れている点から磁気記録媒体および磁気ヘッドの
保護膜として好適であるとされ、PVD法やCVD法等
の種々の方法によって堆積されている。
【0006】また、保護膜層上に塗布する潤滑剤として
は、末端へ各種極性基を付与したフッ素系潤滑剤、例え
ば、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤や脂肪族炭化水
素系潤滑剤が広く用いられており、ディップ法、スピン
コート法、或いは、スプレー法などで炭素系保護膜上へ
塗布・付着させている。
【0007】ところで近年の情報化社会ではあらゆる用
途において取り扱う情報量が増大傾向にあり、これに伴
って磁気ディスクは一層の高記録密度、大容量化が切望
されている。
【0008】この様な高記録密度化への要求に応えるた
めには、磁気記録層と磁気ヘッドの記録/読取部間の間
隔(いわゆるマグネティックスペーシング)を短縮する
ことが不可欠であり、そのため磁気ヘッドの浮上量は年
々縮小しているが、現在のトレンドである年率100%
の高記録密度化を維持・向上するためには浮上量のみな
らず保護膜および潤滑剤そのものの薄層化が必要とされ
ている。
【0009】しかしながら、この保護膜の膜厚減少によ
り従来は問題とされなかった種々の弊害が懸念され始め
ている。まず、第一に、薄層化によって絶対的な機械的
強度が低下するため、なんらかの衝撃を受けることで容
易にディスクが損傷することが挙げられ、このような事
態を回避するため、現在ではより高硬度な炭素系保護膜
の成膜が可能とされるCVD法が主流となりつつある。
【0010】ここで、図5を参照して、従来の磁気記録
媒体の製造工程を説明する。 図5(a)参照 まず、例えば、スパッタリング方法を用いて、2.5イ
ンチ(≒6.5cm)のガラス基板31の両面にNiP
層32を介して厚さが、例えば、3nmのCrMo下地
層33及び厚さが、例えば、20nmのCoCrPt磁
気記録層34を設け、次いで、プラズマCVD法を用い
て、CoCrPt磁気記録層34上に厚さが、例えば、
6nmのDLC保護層35を堆積させる。
【0011】図5(b)参照 次いで、このDLC保護膜35乃至NiP層32を設け
たガラス基板31を、例えば、フッ素系の潤滑剤である
ピペロニル基を末端に持つパーフルオロポリエーテル、
具体的は、Fomblin(商標名)AM3001(ア
ウジモント社製商品名)を、溶媒であるフロリナート
(商標名)FC77(住友3M社製商品名)に溶解させ
た潤滑剤塗布溶液36中に浸漬する。
【0012】図5(c)参照 次いで、ゆっくり、例えば、1.0mm/秒の引上げ速
度で引き上げることによって、DLC保護層35の表面
に残った溶媒を蒸発させて、厚さが、例えば、1〜9n
m、例えば2nmの潤滑剤層37でDLC保護層35の
表面をコートする。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、CVD法は炭
化水素化物気体を原料ガスとして分解反応により炭素系
保護膜を形成する手法であるため、保護膜の表面が部分
的に水素終端となるが、即ち、水素化アモルファスカー
ボンとなるが、その結果として炭素系保護膜表面が不活
性となり直上に塗布される潤滑剤との結合力が減少する
ことになる。
【0014】このような結合力の低下はCSS(コンタ
クト・スタート・ストップ)方式や高速回転が採用され
る磁気記録装置においては、潤滑剤層の膜べりが顕著と
なり、耐久性や信頼性の低下を招くという新たな問題が
発生する。
【0015】一方、これまで主流であったグラファイト
焼結体などの固体ターゲットを用いたスパッタリング法
による炭素系保護膜の形成においても、保護膜の硬度増
加を目的としてダイヤモンド的結合(sp3 結合)を促
進させるために成膜時の放電ガスに水素ガスを混入させ
る手法が一般的であり、CVD法と同様に潤滑剤との結
合力低下の問題を抱えている。
【0016】上記問題点を解決する手段としては、これ
までに水素含有量の異なる2 層以上の膜からなる炭素系
保護膜を形成する方法(必要ならば、特開平7−854
61号公報参照)や、保護膜の表面や膜中を酸化もしく
は窒化する方法(特開20001−14657号公報)
など、主に保護膜の表面活性を向上させる方法が提案さ
れているが、これらは潤滑剤との結合力を増加させるた
め保護膜の基本特性である硬度を犠牲にしなければなら
ないという不具合が生じる。
【0017】さらに保護膜薄層化の進行が5nm以下の
領域、特に、3nm以下になると均一膜の形成が困難と
なり被覆劣化や欠陥密度の増加が顕著となる。このよう
な欠陥部には大気中に存在する、例えば、SOx 、NO
X 等の無機系コンタミや、シロキサン等の有機系コンタ
ミが容易に吸着・堆積するため、磁気記録層の腐食や浮
上障害の原因となり得るが、保護膜形成後に一度大気中
に取り出してから潤滑剤を付着させる現状のプロセスで
は本質的にこの問題を防ぐことはできないという問題が
ある。
【0018】また、潤滑剤処理方法としては、潤滑剤を
塗布してから紫外線を照射して保護層の表面を極性化
し、潤滑剤を保護膜へ強固に結合させる方法(必要なら
ば、特開平7−262555号公報、特開平8−124
142号公報参照)、或いは、紫外線照射処理、紫外線
+O3 照射処理、或いは、紫外線+湿潤O3 処理を行う
前に、基板を50℃以上、例えば、150℃に加熱する
ことによって処理速度を高める方法(必要ならば、特開
平5−28478号公報参照)が挙げられる。
【0019】しかし、この様な紫外線照射等の処理は、
保護膜の表面に官能基を生成し、配向分極によって保護
膜と潤滑剤層とを物理的に吸着させようとするものであ
り、ダングリング・ボンドによる化学結合に比べて数分
の一の結合力しか得られないという問題がある。
【0020】したがって、本発明は、保護膜の機械的強
度を保持したまま潤滑剤との付着力を向上させ、且つ、
コンタミ耐性を高めることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理的構
成図であり、この図1を参照して本発明における課題を
解決するための手段を説明する。なお、図における符号
2は下地層である。 図1参照 上記の目的を達成するために、本発明は、基板1上に磁
性膜3、保護膜4、潤滑膜5を順次積層する磁気記録媒
体の製造方法において、前記保護膜4を成膜したのち
に、その表面をイオン化した希ガス元素を含む雰囲気中
で処理し、例えば、プラズマ処理を施し、引き続いて外
気へ暴露されることなく潤滑膜5を被膜する工程を有す
ることを特徴とする。
【0022】即ち、保護膜4を成膜した後にイオン化し
た希ガスを含む雰囲気中での処理により保護膜4の表面
に活性なダングリング・ボンドを形成し、このダングリ
ング・ボンドを利用して潤滑剤と化学結合することによ
って、最も強固な付着状態を実現することができる。一
方、本手法では保護膜4そのものの改質は行われないた
めに本来の機械的強度は保持されるので高耐久性の磁気
記録媒体が実現できる。
【0023】この場合、活性なダングリング・ボンド
は、反応性のある元素と容易に結合し消滅するため、潤
滑剤を塗布するまでは酸素や窒素を含む外気から遮断す
る必要があり、そのため、プラズマ処理後、外気へ暴露
することなく潤滑膜5を被膜することにより、コンタミ
のない強固な結合を得ることができる。
【0024】最も効果的であるのは、プラズマ処理後に
真空中で気相法により潤滑剤を塗布する方法が挙げられ
るが、本発明はダングリングボンドの寿命時間が延長で
きれば十分効果があるので、HeやAr等の希ガス7の
雰囲気中で潤滑剤塗布溶液6を用いたディップ法、スピ
ンコート法、或いは、スプレー法により潤滑剤を塗布し
ても良い。
【0025】またプラズマ処理に用いる希ガスは、希ガ
スの内のいづれか一種類以上を用いることができるが、
プラズマ処理によるスパッタリングは入射する元素の質
量、エネルギーが小さいほど起こりづらい。したがっ
て、ダングリングボンドを形成するにはプラズマ処理に
用いる希ガス元素は、保護膜4を構成する元素の内の少
なくとも一種類以上より質量数が大きいことが望まし
い。
【0026】例えば、磁気記録媒体の保護膜4に広く用
いられる水素化アモルファスカーボンでは構成元素がC
とHであるためHe以上の希ガス元素を用いれば良い
が、Ne以上の質量数ではCも同時にスパッタリングさ
れてしまい膜へのダメージが大きくなるため、保護膜4
を構成する元素の内の2番目に小さい質量数よりも小さ
いことが望ましい。
【0027】また、結果的に得られる磁気記録媒体の構
成としては、磁性膜3上に設けた保護膜4の表面の水素
量が、保護膜4中の水素量より10原子%以上減少して
おり、且つ、前記保護膜4の表面の酸素量および窒素量
がそれぞれ2原子%以下であることが望ましい。特に、
保護膜4の厚さが、5nm以下である場合に本発明の構
成は有効となる。
【0028】
【発明の実施の形態】ここで、図2及び図3を参照し
て、本発明の実施の形態の磁気記録媒体の製造工程を説
明する。 図2(a)参照 まず、スパッタリング方法を用いて、2.5インチ(≒
6.5cm)のガラス基板11の両面にNiP層12を
介して厚さが、例えば、3nmのCrMo下地層13、
及び、厚さが、例えば、20nmのCoCrPt磁気記
録層14を順次積層させる。
【0029】図2(b)参照 次いで、RFプラズマCVD装置を用いて原料ガスであ
るCH4 と放電補助ガスであるArを1対1で混合・給
気し、放電出力700W、成膜室内圧力3Pa、基板バ
イアス−300Wの条件で、厚さが、例えば、10nm
のDLC保護膜15を形成する。なお、この場合のRF
プラズマCVD装置の反応室の容積は27リットルであ
る。
【0030】図2(c)参照 引き続いて、Heを放電ガスとして放電出力1000
W、成膜室内圧力3Paで、Heプラズマ16によるプ
ラズマ処理を行い、DLC保護膜15の表面に活性なダ
ングリング・ボンド17を形成する。
【0031】図3(d)参照 次いで、成膜室内をArガスで十分パージし、同様にA
rガス18で満たされた潤滑剤塗布室へ外気に晒すこと
なく搬送し、Fomblin(商標名)AM3001
(アウジモント社製商品名)を、溶媒であるフロリナー
ト(商標名)FC77(住友3M社製商品名)で約0.
2vol%程度に希釈した潤滑剤溶液19を用いて30
秒間浸漬する。
【0032】図3(c)参照 次いで、引き上げ速度800mm/分の条件で基板を引
き上げて、DLC保護層15の表面に残った溶媒を蒸発
させて、厚さが、例えば、2nmの潤滑剤層20を設け
て完成媒体とした。
【0033】この様に形成したDLC保護膜15中の水
素対炭素の含有量比をラザフォード後方散乱法(RB
S)および水素弾性反跳検出法(高エネルギーERD
A)で測定したところ、膜中の水素含有量は30原子%
であった。
【0034】一方、DLC保護膜15の表面の水素含有
量は低エネルギーERDAにより測定したところ、16
原子%程度とほぼ半減しており、これは、Heプラズマ
によるプラズマ処理により水素原子が選択的にエッチン
グされたと考えられる。なお、低エネルギーERDAの
入射イオンのエネルギーは、MeVオーダの高エネルギ
ーERDAに比べ、keVオーダと低いため、最表面の
2原子層程度までの情報のみ抽出できる。
【0035】また、X線光電子分光法によって、DLC
保護膜15の最表面の酸素量および窒素量を同定したと
ころ、それぞれ、2原子%であった。この両者の値が小
さいのは、プラズマ処理後、外気に晒すことなく潤滑剤
を塗布したため、DLC保護膜表面の酸化や窒化が抑制
されたためと考えられる。
【0036】また、上記のように形成した磁気記録媒体
の潤滑剤層20の付着力をフルオロカーボン系溶剤で洗
浄した後の潤滑剤層の初期膜厚に対する膜厚残存率によ
り評価したところ、86%の値を得た。
【0037】さらに、ダイヤモンド圧子を用いたナノイ
ンデンテーション法による硬度測定では、DLC保護膜
の膜硬度は12GPaであった。
【0038】次に、本発明の効果を確認するために、従
来の手法によって保護膜及び潤滑剤層を形成して、その
特性を評価したので、以下において説明する。まず、比
較例1として、上記の実施の形態と全く同様の手順でD
LC保護膜を形成した後、一旦、大気中に磁気記録媒体
を取り出して潤滑剤を塗布して磁気記録媒体を完成させ
た。
【0039】このように製造した磁気記録媒体に対し
て、RBS法および低エネルギーERDAを用いてDL
C保護膜中およびDLC保護膜表面の水素量を同定した
ところ、両者とも30原子%と同値を示した。
【0040】また、X線光電子分光法でDLC保護膜最
表面の酸素量および窒素量を同定したところ、それぞ
れ、5原子%と4原子%であり、本発明より2倍以上の
混入量であった。この様に、酸素と窒素が混入した原因
は、一旦、外気中に磁気記録媒体を取り出した際に外気
中の酸素と窒素とがDLC保護膜の表面へ付着・堆積し
たためと考えられる。
【0041】また、上記と同じ手法で潤滑剤層の膜厚残
存率を評価したところ52%であり、本発明の約6割の
膜厚残存率であり、また、ナノインデンテーション法に
よる硬度測定では膜硬度は12GPaであり、膜高度は
本発明と同様であった。
【0042】次に、比較例2として、上記の実施の形態
と全く同様の手順でDLC保護膜を形成した後、酸素を
放電ガスとして放電出力1000W、成膜室内圧力3P
aでプラズマ処理を行い、次いで、一旦、大気中に磁気
記録媒体を取り出して潤滑剤を塗布し磁気記録媒体を完
成させた。
【0043】このように製造した磁気記録媒体に対し
て、RBS法および低エネルギーERDAを用いてDL
C保護膜中およびDLC保護膜表面の水素量を同定した
ところ、それぞれ30原子%及び10原子%であり、本
発明と同様に、プラズマ処理によりDLC保護膜の表面
を終端していた水素原子が飛ばされたことが理解され
る。
【0044】また、X線光電子分光法でDLC保護膜最
表面の酸素量および窒素量を同定したところ、それぞ
れ、17原子%と5原子%であり、本発明より2倍以上
の混入量であり、特に、酸素の混入量は8.5倍であっ
た。これは、プラズマ処理によりDLC保護膜の表面に
酸化系の官能基が形成されたことに起因するものと考え
られる。
【0045】また、上記と同じ手法で潤滑剤層の膜厚残
存率を評価したところ67%であり、本発明の8割弱の
膜厚残存率であった。これは上述のように、プラズマ処
理によりDLC保護膜の表面に酸化系の官能基が形成さ
れ、この官能基による静電結合力による結合であるた
め、本発明のダングリング・ボンドによる化学的結合と
比べて弱いためと考えられる。
【0046】また、ナノインデンテーション法による硬
度測定では膜硬度が9GPaであり、膜高度の低下が見
られた。これは、DLC保護膜を構成するCより原子量
の大きなOを用いてプラズマ処理を行ったため、プラズ
マ処理中にCをスパッタリングしてDLC保護膜にダメ
ージを与えたためと考えられる。
【0047】図4参照 以上の結果を纏めたのが図4であり、図から明らかなよ
うに、本発明で作製された磁気記録媒体は潤滑剤付着力
に優れ、機械的強度も保持する上に保護膜表面へのコン
タミ付着を抑制することが理解される。
【0048】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は実施の形態に記載した構成及び条件に限られる
ものではなく、各種の変更が可能である。例えば、上記
の実施の形態においては、プラズマ処理をRF放電で行
ったが、処理効率を向上させるためにより高密度なプラ
ズマ、例えば、ECR(電子サイクロトロン共鳴)法や
HWP(ヘリコン波励起プラズマ)法などを用いても良
いものである。
【0049】さらには、純粋なプラズマ処理に限られる
ものではなく、イオン化した希ガス元素を反応室に導入
し、イオン化した希ガス元素のみを用いて保護膜の表面
を処理して水素を除去し、活性なダングリング・ボンド
を生成しても良いものである。
【0050】また、上記の実施の形態においては、潤滑
剤をディッピング法(浸漬法)によって塗布して形成し
ているが、ディッピング法に限られるものではなく、ス
ピンコート法或いはスプレー法によって塗布しても良い
ものである。
【0051】また、上記の実施の形態においては、潤滑
剤として、Fomblin AM3001(アウジモン
ド製商品名)を用いている、この様な潤滑剤に限定され
るものではなく、Fomblin Z−dol(アウジ
モンド製商品名)等の他の官能基を有する潤滑剤を用い
ても同様の効果が得られるのは言うまでもない。
【0052】また、上記の実施の形態においては、潤滑
剤の塗布をArガス雰囲気中で行っているが、Ar以外
のHeやNe等の他の希ガス中で行っても良く、さらに
は、真空中において塗布しても良いものである。
【0053】また、上記の実施の形態においては、保護
膜としてDLC保護膜を用いているが、必ずしもDLC
保護膜に限られるものではなく、SiO2 保護膜、Al
2 3 保護膜、或いは、窒化膜の場合にも本発明の手法
は適用されるものである。
【0054】また、上記の実施の形態に記載した磁気記
録媒体における基板、下地層、或いは、磁性層は単なる
一例であり、上述の材料に限定されるものでないことは
言うまでもなく、例えば、基板としては、Al−Mg合
金基板を用いても良いものである。
【0055】ここで、再び、図1を参照して、本発明の
詳細な特徴を説明する。再び、図1(a)及び(b)参
照 (付記1) 磁性膜3上に設けた保護膜4の表面の水素
量が、前記保護膜4中の水素量より10原子%以上減少
しており、且つ、前記保護膜4の表面の酸素量および窒
素量がそれぞれ2原子%以下であることを特徴とする磁
気記録媒体。 (付記2) 上記保護膜4の厚さが、5nm以下である
ことを特徴とする付記1記載の磁気記録媒体。 (付記3) 基板1上に磁性膜3、保護膜4、潤滑膜5
を順次積層する磁気記録媒体の製造方法において、前記
保護膜4を成膜したのちに、その表面をイオン化した希
ガス元素を含む雰囲気中で処理し、引き続いて外気へ暴
露されることなく潤滑膜5を被膜する工程を有すること
を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 (付記4) 上記イオン化する希ガスは、上記保護膜4
を構成する元素の内の最も質量数が小さい元素よりも質
量数が大きく、且つ、前記保護膜4を構成する元素の内
の2番目に小さい質量数よりも小さいことを特徴とする
付記3記載の磁気記録媒体の製造方法。 (付記5) 上記イオン化した希ガス元素を含む雰囲気
中で処理が、希ガスを用いたプラズマ処理であることを
特徴とする付記3または4に記載の磁気記録媒体の製造
方法。 (付記6) 上記潤滑膜5の形成を、密閉容器内で行う
ことを特徴とする付記3乃至5のいずれか1に記載の磁
気記録媒体の製造方法。 (付記7) 上記潤滑膜6の形成を、希ガス7の雰囲気
中で行うことを特徴とする付記3乃至5のいずれか1に
記載の磁気記録媒体の製造方法。 (付記8) 上記保護膜4が水素化アモルファスカーボ
ンからなり、且つ、上記プラズマ処理に用いる希ガスが
Heであることを特徴とする付記3乃至7のいずれか1
に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、磁気記録媒体の製造に
あたり、保護膜の形成後に希ガスによるプラズマ処理を
行い、引き続き外気に晒すことなく潤滑剤を塗布してい
るので、保護膜の機械的強度を保持したまま潤滑剤との
付着力を向上させ、かつコンタミ耐性を高めることがで
き、ひいては、磁気記録装置の高密度記録化及び信頼性
の向上に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態の途中までの製造工程の説
明図である。
【図3】本発明の実施の形態の図2以降の製造工程の説
明図である。
【図4】本発明の実施の形態の作用効果の説明図であ
る。
【図5】従来の磁気記録媒体の製造工程の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 下地層 3 磁性膜 4 保護膜 5 潤滑膜 6 潤滑剤塗布溶液 7 希ガス 11 ガラス基板 12 NiP層 13 CrMo下地層 14 CoCrPt磁気記録層 15 DLC保護膜 16 Heプラズマ 17 ダングリング・ボンド 18 Arガス 19 潤滑剤塗布溶液 20 潤滑剤層 31 ガラス基板 32 NiP層 33 CrMo下地層 34 CoCrPt磁気記録層 35 DLC保護膜 36 潤滑剤塗布溶液 37 潤滑剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 洋 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 5D006 AA02 AA05 AA06 BB02 EA03 5D112 AA07 BC01 BC05 FA04 FA10 GA05 GA28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性膜上に設けた保護膜の表面の水素量
    が、前記保護膜中の水素量より10原子%以上減少して
    おり、且つ、前記保護膜の表面の酸素量および窒素量が
    それぞれ2原子%以下であることを特徴とする磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 基板上に磁性膜、保護膜、潤滑膜を順次
    積層する磁気記録媒体の製造方法において、前記保護膜
    を成膜したのちに、その表面をイオン化した希ガス元素
    を含む雰囲気中で処理し、引き続いて外気へ暴露される
    ことなく潤滑膜を被膜する工程を有することを特徴とす
    る磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記イオン化する希ガスは、上記保護膜
    を構成する元素の内の最も質量数が小さい元素よりも質
    量数が大きく、且つ、前記保護膜を構成する元素の内の
    2番目に小さい質量数よりも小さいことを特徴とする請
    求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記潤滑膜の形成を、希ガス雰囲気中で
    行うことを特徴とする請求項2または3に記載の磁気記
    録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記保護膜が水素化アモルファスカーボ
    ンからなり、且つ、上記イオン化する希ガスがHeであ
    ることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記
    載の磁気記録媒体の製造方法。
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JP2010055680A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Fuji Electric Device Technology Co Ltd 磁気記録媒体用保護膜の形成方法、該方法で形成された保護膜および該保護膜を備えた磁気記録媒体

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