JP2003074632A - ダイナミックダンパ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダンパマスに加工を施すことなく、脱落防止
機構を簡素化でき、生産性、経済性、信頼性を向上させ
ることができるダイナミックダンパを提供する。 【解決手段】ダンパマス１の前後両端部においてダンパ
マス１を保持する一対のマス取付金具２を、一対のブラ
ケット３に夫々ゴム弾性体４を介して支持すると共に、
前記ブラケット３とマス取付金具２との間にダンパマス
１の脱落防止機構を設けたダイナミックダンパであっ
て、脱落防止機構が、マス取付金具２と離間しつつ伸び
るブラケット３のブラケットアーム３Ａと、当該ブラケ
ットアーム３Ａと離間しつつ投影面が重なるように伸び
るマス取付金具２の取付金具アーム２Ａとからなるダイ
ナミックダンパ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体フレ
ーム、パワーステアリングの機構部分やパワーユニッ
ト、サスペンション等に取り付けて所定周波数域の振動
を抑制するためのダイナミックダンパに関するものであ
り、特に、ゴム弾性体の破壊等によるダンパマスの脱落
を防止する機構を設けたダイナミックダンパに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ダンパマスの脱落防止機構を
設けたダイナミックダンパが知られている。図４は、こ
のような従来のダイナミックダンパの一例を示す一部断
面側面図であり、ダイナミックダンパは、ダンパマス１
の前後両端部をゴム弾性体４を介してブラケット３で支
持することで構成され、更にダンパマス１の脱落防止機
構が付加されている。

【０００３】即ち、図４に示すダイナミックダンパはブ
ラケット３とゴム弾性体４とを加硫接着したものである
が、ダンパマス１の繰り返し振動によってゴム弾性体４
が破断したりブラケット３との接着部が剥離したりして
ダンパマス１が脱落することがある。そこで、図４のダ
イナミックダンパは、ブラケット３の貫通孔に頭部が平
坦なピン５を挿入すると共に、ピン５の先端部をダンパ
マス１の内部に差し込んで脱落防止機構とし、ダンパマ
ス１の万一の脱落を回避しているのである。

【０００４】しかしながら、従来のダイナミックダンパ
における脱落防止機構は、ダンパマス１に差し込み孔を
加工した上で、更にブラケット３を通してピン５を挿入
する必要があるため、生産性や経済性に問題があるもの
であった。しかも、ダンパマス１からピン５が抜ければ
脱落してしまうため、信頼性の面でも問題が残る。更
に、ゴム弾性体４をダンパマス１とブラケット３に直接
加硫接着する構造となっているため、ゴム弾性体４を造
形するための金型が大きくなるという問題も存在してい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ダン
パマスに加工を施すことなく、脱落防止機構を簡素化で
き、生産性、経済性、信頼性を向上させることができる
ダイナミックダンパを提供することを目的とするもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するためになされたものであって、その要旨は、ダ
ンパマスの前後両端部においてダンパマスを保持する一
対のマス取付金具を、一対のブラケットに夫々ゴム弾性
体を介して支持すると共に、ブラケットとマス取付金具
との間にダンパマスの脱落防止機構を設けたダイナミッ
クダンパであって、脱落防止機構が、マス取付金具と離
間しつつ伸びるブラケットのブラケットアームと、ブラ
ケットアームと離間しつつ投影面が重なるように伸びる
マス取付金具の取付金具アームとからなるダイナミック
ダンパに係るものであり、ダンパマスの加工や、脱落防
止ピンの挿入といったことが不要になっている。

【０００７】なお、脱落防止機構は、想定される方向の
脱落が防止できればそれで良いが、ブラケットアームを
ダンパマスの左右両側面に回り込むように伸ばせば、ダ
ンパマスの左右両方向の脱落を防止することができる。
また、取付金具アームをブラケットアームの上下両方向
に被さる（潜り込む）ように伸ばせば、ダンパマスの上
下両方向の脱落を防止することができる。

【０００８】また、ブラケットアームは、金属板を曲げ
加工してブラケットと一体的に形成することが、生産性
及び経済性の面から好ましい。更に、本発明のダイナミ
ックダンパはマス取付金具によってダンパマスを保持す
るが、マス取付金具の取付金具アームも同様に、金属板
を曲げ加工してマス取付金具と一体的に形成することが
好ましい。そして、マス取付金具はダンパマスの端部に
嵌まり合うものとし、特に、ダンパマスの中央部に伸び
る溶接片によって、嵌合部を溶接固定することが好まし
い。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明のダイナミックダンパは、
ブラケットとマス取付金具との間にダンパマスの脱落防
止機構を設けたものである。この脱落防止機構は、マス
取付金具と離間しつつ伸びるブラケットのブラケットア
ームと、当該ブラケットアームと離間しつつ伸びるマス
取付金具の取付金具アームとからなり、ブラケットアー
ムと取付金具アームの投影面が重なるようになってい
る。

【００１０】即ち、ブラケット（ブラケットアームを含
む）と、ダンパマスを保持するマス取付金具（取付金具
アームを含む）とを離間させることで、ダンパマスの機
能を維持すると共に、ブラケットアームと取付金具アー
ムの投影面が重なるようにすることで、ゴム弾性体が破
断したり接着部が剥離したりした場合であっても、取付
金具アームがブラケットアームに引っ掛かってダンパマ
スが脱落しないようにしたものである。

【００１１】従って、アームの投影面が重なるようにす
るだけで脱落防止機構が構成できることになり、従来の
ダイナミックダンパのように、ダンパマスに加工を施し
たりブラケットを通してピンを挿入したりする必要がな
くなるので、生産性、経済性のみならず信頼性も向上す
る。但し、ブラケットアームや取付金具アームの形状・
配置等は、ゴム弾性体が破断等してダンパマスの位置に
偏りが生じた場合であっても、アームの投影面の重なり
部分があるように設定しなければならない。

【００１２】ここで、ダンパマスの前後方向は、一対の
ブラケットに挟まれている関係上、元々脱落が防止され
ている。従って、脱落が想定される方向はダンパマスの
上下左右の４方向であるが、ブラケットアームと取付金
具アームの投影面が重なるように伸ばすアームの方向
は、想定される方向の脱落が防止できれば４方向全てで
ある必要はない。例えば、ダイナミックダンパが自動車
の車体フレーム等のプレート上に設置されるときは、プ
レート自体が脱落防止の役割を果たすため、プレート側
への脱落を防止する方向にアームを伸ばす必要はない。

【００１３】なお、ブラケットアーム及び取付金具アー
ムの方向は、投影面が重なればどの方向であってもよい
が、例えば、ブラケットアームをダンパマスの右側面に
回り込むように伸ばした場合には、ダンパマスの右方向
への脱落を防止することができ、ダンパマスの左側面に
回り込むように伸ばした場合には、ダンパマスの左方向
への脱落を防止することができる。また、取付金具アー
ムをブラケットアームの上面に被さるように伸ばした場
合には、ダンパマスの下方向への脱落を防止することが
でき、ブラケットアームの下面に潜り込むように伸ばし
た場合には、ダンパマスの上方向への飛び出しを防止す
ることができる。従って、これらの組み合わせによっ
て、上下左右の４方向全ての脱落を防止することも、４
方向から不要な方向を省略することもできる。

【００１４】次に、本発明のダイナミックダンパは、ダ
ンパマスの前後両端部においてダンパマスを保持する一
対のマス取付金具を有している。そして、マス取付金具
をゴム弾性体を介して一対のブラケットで支持してい
る。このようなマス取付金具を用いるのは、ダンパマス
に加工を施すことなく、ブラケットアームと投影面が重
なるように伸びるアームを確保するためである。

【００１５】また、ゴム弾性体をマス取付金具とブラケ
ットに加硫接着しておけば、後からマス取付金具でダン
パマスを保持するようにできるので、ダンパマスを含め
た全体を加硫接着する必要がなくなる結果、金型を小さ
くすることができるという利点も有する。

【００１６】マス取付金具でダンパマスを保持するに
は、ダンパマスの端部にマス取付金具が嵌まり合うよう
にしておいて嵌合部を溶接固定等すればよいが、溶接固
定する場合のマス取付金具は、ダンパマスの中央部に伸
びる溶接片を備えたものとすることが好ましい。溶接片
によって、ゴム弾性体から離れたダンパマスの中央部に
近い位置で溶接することができるので、溶接時にゴムに
悪影響を与えなくて済むからである。

【００１７】なお、ブラケットアーム及び取付金具アー
ムは、夫々ブラケット及びマス取付金具にアーム部材を
固着して形成してもよいが、共に金属板を曲げ加工等し
てブラケット及びマス取付金具と一体的に形成すること
が好ましい。アームとなる部分を折り曲げるだけなの
で、生産性及び経済性に優れるからである。但し、折り
曲げ等しなくても、アームの役割を果たしていればそれ
でよく、ブラケット及びマス取付金具の本体と外見上明
確に区別できなくても、アームの役割を果たす部分があ
ればそれでよい。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の好ましい実施の形態の具体例
を図面により説明する。図１は、本発明のダイナミック
ダンパの一例を示す側面図であり、図２はその上面図、
図３はその正面図である。図１〜図３に示す通り、ダイ
ナミックダンパは、ダンパマス１の前後両端部において
ダンパマス１を保持する一対のマス取付金具２を、一対
のブラケット３に夫々ゴム弾性体４を介して支持したも
のである。なお、ゴム弾性体４とマス取付金具２及びブ
ラケット３とは加硫接着されている。

【００１９】そして、マス取付金具２及びブラケット３
は、共に金属板を曲げ加工することで取付金具アーム２
Ａ及びブラケットアーム３Ａを一体的に形成している。
ここで、ブラケットアーム３Ａは、取付金具アーム２Ａ
を含むマス取付金具２と離間しているから、ダンパマス
１の機能を妨げるようなことはない。

【００２０】また、ブラケットアーム３Ａは、ダンパマ
ス１の左右両側面に回り込むように伸ばされており、そ
の長さは少なくともゴム弾性体４の厚さよりも長い。ま
た、取付金具アーム２Ａは、ブラケットアーム３Ａを中
に挟んでその上下面に被さるように上下に伸ばされてい
るので、取付金具アーム２Ａの投影面は上方向に伸びる
ものも下方向に伸びるものもブラケットアーム３Ａと重
なる。しかも、その長さは少なくとも初期状態における
ブラケットアーム３Ａの内面とマス取付金具２の側面と
の間隔よりも長い。

【００２１】従って、ゴム弾性体４が接着剥離等によっ
てマス取付金具２とブラケット３との間から抜け落ちて
しまい、ダンパマス１の位置に偏りが生じたとしても、
取付金具アーム２Ａとブラケットアーム３Ａの投影面は
常に重なっているから、取付金具アーム２Ａが必ずブラ
ケットアーム３Ａに引っ掛かり、ダンパマス１の上下左
右の４方向全てにおいてダンパマス１が脱落することは
ない。なお、ダンパマス１の前後方向はブラケット３に
よって脱落が阻止されているので、ダンパマス１が脱落
することはあり得ない。

【００２２】次に、図１〜図３に示すダイナミックダン
パの製造方法について説明する。まず、ゴム弾性体４と
マス取付金具２及びブラケット３とを加硫接着する。こ
の際使用する金型は、ダンパマス１を金型内にセットす
る必要がないので、マス取付金具２やブラケット３が入
るような大きさであれば十分である。そして、ゴム弾性
体４の加硫接着後、別途用意したダンパマス１の両端部
にマス取付金具２を嵌め込む。最後に、マス取付金具２
の溶接片２Ｂをダンパマス１に溶接固定すればダイナミ
ックダンパが完成する。

【００２３】

【発明の効果】本発明のダイナミックダンパは、脱落防
止機構が、マス取付金具と離間しつつ伸びるブラケット
のブラケットアームと、当該ブラケットアームと離間し
つつ投影面が重なるように伸びるマス取付金具の取付金
具アームとからなるので、ダンパマスに加工を施したり
ブラケットを通してピンを挿入したりする必要がなくな
り、生産性、経済性のみならず信頼性も向上する。

【００２４】また、一対のマス取付金具を一対のブラケ
ットに夫々ゴム弾性体を介して支持するようにし、マス
取付金具でダンパマスを保持するものであるので、ダン
パマスを含めた全体を加硫接着する必要がなくなる結
果、金型を小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明のダイナミックダンパの一例を
示す側面図である。

【図２】図２は、図１に示す実施例の上面図である。

【図３】図３は、図１に示す実施例の正面図である。

【図４】図４は、従来のダイナミックダンパの一例を示
す一部断面側面図である。

【符号の説明】

１‥ダンパマス ２‥マス取付金具 ２Ａ‥取付金具アーム ２Ｂ‥溶接片 ３‥ブラケット ３Ａ‥ブラケットアーム ４‥ゴム弾性体 ５‥ピン

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダンパマス（１）の前後両端部において
   ダンパマス（１）を保持する一対のマス取付金具（２）
   を、一対のブラケット（３）に夫々ゴム弾性体（４）を
   介して支持すると共に、前記ブラケット（３）とマス取
   付金具（２）との間にダンパマス（１）の脱落防止機構
   を設けたダイナミックダンパであって、脱落防止機構
   が、マス取付金具（２）と離間しつつ伸びるブラケット
   （３）のブラケットアーム（３Ａ）と、当該ブラケット
   アーム（３Ａ）と離間しつつ投影面が重なるように伸び
   るマス取付金具（２）の取付金具アーム（２Ａ）とから
   なることを特徴とするダイナミックダンパ。
2. 【請求項２】 ブラケットアーム（３Ａ）がダンパマス
   （１）の左右両側面に伸び、ダンパマス（１）の左右両
   方向の脱落を防止することを特徴とする請求項１に記載
   のダイナミックダンパ。
3. 【請求項３】 取付金具アーム（２Ａ）がブラケットア
   ーム（３Ａ）の上下両方向に伸び、ダンパマス（１）の
   上下両方向の脱落を防止することを特徴とする請求項１
   又は２に記載のダイナミックダンパ。
4. 【請求項４】 ブラケットアーム（３Ａ）及び取付金具
   アーム（２Ａ）が共に金属板を曲げ加工したものからな
   り、夫々ブラケット（３）及びマス取付金具（２）と一
   体的に形成されていることを特徴とする請求項１〜３の
   いずれか１項に記載のダイナミックダンパ。
5. 【請求項５】 マス取付金具（２）がダンパマス（１）
   の端部に嵌まり合い、嵌合部が溶接固定されていること
   を特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載のダイ
   ナミックダンパ。
6. 【請求項６】 マス取付金具（２）がダンパマス（１）
   の中央部に伸びる溶接片（２Ｂ）を備えることを特徴と
   する請求項５に記載のダイナミックダンパ。