JP3785920B2 - トレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の独立懸架装置の一形式として、トレーリングアーム型のサスペンションが用いられている。このトレーリングアーム型のサスペンションは、ボディにサスペンションメンバを取り付け、このサスペンションメンバの後方に、アームピボットを軸に所定の長さのトレーリングアームを上下に揺動するように装着し、その後端部でハブ、リヤアクスルを支持するもので、一般に構造が簡単で比較的スペースをとらないため、小型自動車の後輪などに用いられる。ここで図16は、従来のサスペンションメンバの取付構造を示す側面図であり、図17は分解斜視図である。従来は、図17に示すように、サスペンションメンバであるパイプ状のメインフレーム102の前側に箱状のボディマウントブラケット103をアーク溶接により接合し、このボディマウントブラケット103に上下方向に貫通する筒状のホルダ104を貫入してアーク溶接する。図中アーク溶接のポイントを短い線の連続の溶接部Aで示す。そして、図16に示すようにこのホルダ104の中に振動を吸収するゴムブッシュ105を圧入して、ゴムブッシュ105を介してボディBD側に取り付けられている。また、図17に示すようにメインフレーム102の後方側のボディマウントブラケット103と対向する位置にはアームブラケット108がアーク溶接により接合され、トレーリングアーム106をアームピボット107により揺動可能に軸支していた。従来のサスペンションメンバの取付構造では、トレーリングアーム106から入力する振動が、一次的にトレーリングアーム106を軸支するアームピボット107を介してアームブラケット108に伝わり、その振動はメインフレーム102に伝わる。さらにメインフレーム102からボディマウントブラケット103へ伝わる。そして、ボディマウントブラケット103内に装着されたホルダ104からゴムブッシュ105に入力されて振動が吸収され、最終的にボディピボット109からボディBDに入力される振動を低減していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トレーリングアーム106からアームブラケット108に入力された振動が、ボディマウントブラケット103に入力されるまでに距離があるばかりでなく、アームブラケット108、メインフレーム102、ボディマウントブラケット103が別部品となり、トレーリングアーム106から入力された力がダイレクトにボディマウントブラケット103に伝わらない。そのため剛性が低下し、振動が大きくなるという問題があった。また、部品点数も多くなり、部品のコストが高くなったり、組付けの工数が増加し、さらに、取付寸法の精度も高い精度で維持できないという問題もあった。そして、サスペンション全体の設置スペースが大きく必要になり、質量も大きくなるという問題があった。なお、アームピボット107に入力される力の方向線上からボディピボット109の位置が離れると、メインフレーム102が振動し易くなるという問題もあった。
【0004】
この発明は、上記課題を解決するため、部品点数が少なくコンパクトで質量も小さく、且つ剛性が高く、そして寸法精度も高く、その上生産コストが低いトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造では、一対のトレーリングアームと、ゴムブッシュを介してボディに固定され前記一対のトレーリングアームを後方側に揺動可能に支持するサスペンションメンバとを備えたトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造において、前記サスペンションメンバには、その両端部近傍に、上下方向に貫通する前記ゴムブッシュを固定するためのゴムブッシュ固定孔が各々形成され、前記トレーリングアームを揺動可能に軸支する軸支部を有したアームブラケットの当該軸支部が前記サスペンションメンバの前記ゴムブッシュ固定孔の後方近傍に配置されるように、前記サスペンションメンバの両端部近傍に当該アームブラケットが固定され、前記アームブラケットは、前記サスペンションメンバの上側に固定される上側固定部と、前記サスペンションメンバの下側に固定される下側固定部を備え、前記上側固定部には、前記ゴムブッシュ固定孔を露出させるための孔が設けられたことを特徴とする。
【0006】
このように構成されたトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造では、従来のようにボディマウントブラケットを介さず、サスペンションメンバをゴムブッシュを介して直接ボディに取り付けるため、部品点数が少なく、コンパクトで、質量も小さく、且つ剛性が高く、そして寸法精度も高い。また、部品点数が少なく組み立て工数も減らすことができるため生産コストも低い。
【0007】
【0008】
さらに、サスペンションメンバをアームブラケットが挟み込むようにして固定するため、取付強度が大きく振動が発生しにくい構造とすることができるとともに、ゴムブッシュとアームブラケットが干渉することがないようにゴムブッシュ固定孔を露出する孔が設けられているため、トレーリングアームを支持する支持点をゴムブッシュに近接させることができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明のトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造では、一対のトレーリングアームと、ゴムブッシュを介してボディに固定され前記一対のトレーリングアームを後方側に揺動可能に支持するサスペンションメンバとを備えたトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造において、前記サスペンションメンバには、その両端部近傍に、上下方向に貫通する前記ゴムブッシュを固定するためのゴムブッシュ固定孔が各々形成され、前記トレーリングアームを揺動可能に軸支する軸支部を有したアームブラケットの当該軸支部が前記サスペンションメンバの前記ゴムブッシュ固定孔の後方近傍に配置されるように、前記サスペンションメンバの両端部近傍に当該アームブラケットが固定され、前記アームブラケットは、前記サスペンションメンバの上側に固定される上側固定部と、前記サスペンションメンバの下側に固定される下側固定部とを備え、前記ゴムブッシュ固定孔に、前記ゴムブッシュを圧入して固定するための円筒状のゴムブッシュホルダが貫入されて固定されるとともに、前記上側固定部の上面に前記ゴムブッシュホルダの上端延長部が貫入されて固定されたことを特徴とする。
【0010】
このように構成されたトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造では、従来のようにボディマウントブラケットを介さず、サスペンションメンバをゴムブッシュを介して直接ボディに取り付けるため、部品点数が少なく、コンパクトで、質量も小さく、且つ剛性が高く、そして寸法精度も高い。また、部品点数が少なく組み立て工数も減らすことができるため生産コストも低い。また、上側固定部に貫入されたゴムブッシュホルダの上端延長部を、上側固定部の上面に固定することで、さらに強度を増すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造を実施の形態により図面を参照して説明する。
【0012】
ここで図1は、本実施の形態のトレーリングアーム式サスペンション1を備えたワゴン車の一部を下方から見た図を示す。本実施の形態のトレーリングアーム式サスペンション1は、1ボックスタイプのワゴン車のリヤサスペンションとして配置される。サスペンションメンバ2は、やや後方に膨らむように湾曲した鉄製のフレームで、その両端部は、ボディBDのサイドメンバ92に設けられたサブフレーム93にゴムブッシュ5を介して固定される。
【0013】
図2は、本実施の形態のトレーリングアーム式サスペンション1を示す図である。サスペンションメンバ2の両端部側には後方に突出するようにアームブラケット3が、その内側にはアームブラケット8がそれぞれ固定される。トレーリングアーム6は、概ねY字形の形状のアーム61を備え、一端をアームブラケット3に、他の一端がアームブラケット8にそれぞれ軸支され揺動可能に支持される。また、さらに他の一端は車両外側方向に屈曲されリヤアクスル(不図示)に駆動されるハブHBを支持する。アーム61の中央部には、図示しないコイルスプリングに支持される支持部62を備える。
【0014】
ここで図3は、サスペンションメンバ2の一部と、ここに固定されたアームブラケット3を示す斜視図である。サスペンションメンバ2は、断面部分から分かるように、鉄板をプレス成形して形成された断面コ字上の本体上21と本体下22とから構成され、これらが溶接されて全体がパイプ(図2参照)に形成される。サスペンションメンバ2の両端部は、幅に対して厚みがやや薄く形成され、アームブラケット3が後方から組み付けられて溶接部Aにおいて固定される。
【0015】
図4は、サスペンションメンバ2とアームブラケット3、ゴムブッシュホルダ4の分解斜視図である。アームブラケット3は、鉄板からプレス成形され、全体が前方と後方と下方が開放した概ね直方体の本体31を備える。本体31の上方前部には円形の孔32が開口される。そして、左右の側面の中央部は前方から矩形に切り込まれた形状の切り込み部が設けられ、上側固定部35a,35bと下側固定部36a,36bとが顎状に形成される。この上側固定部35a,35bと下側固定部36a,36bは、互いに平行に形成され、これらの距離は、サスペンションメンバ2の両端部の厚みと略同じに形成される。また、本体部の下端部及び後端部には、強度を高めるために外側にむかってフランジ部33が設けられる。また、本体部31の後部は、後方に向かって漸次全体に絞り込まれた形状とされ、後部側面の略中央部には、トレーリングアーム軸支部34a,34bが穿設される。
【0016】
サスペンションメンバ2の両端部近傍は、アームブラケット3の上側固定部35a,35bと下側固定部36a,36bの距離と略等しい厚みに、上下端が平行な平面に形成される。そして本体上21の両端部近傍には、円形のゴムブッシュ固定孔23が開口される。なお、図示しない本体下22のゴムブッシュ固定孔23の垂直下にも同様にゴムブッシュ固定孔24が開口される(図5参照)。
【0017】
ゴムブッシュホルダ4は、鉄製の円筒形の本体41と、その下端に外側に設けられたフランジであるフランジ部42とから形成される部材で、内部には、ゴムブッシュ5が圧入可能な内径を有するゴムブッシュ圧入孔43が形成される。
【0018】
ここで図5は、サスペンションメンバ2,アームブラケット3、ゴムブッシュホルダ4を車両ボディBDに組み付けた状態を図3のB−B方向から見た断面図である。サスペンションメンバ2をボディBDに取り付けるためには、まず、図4に示すようにサスペンションメンバ2のゴムブッシュ固定孔24に下方からゴムブッシュホルダ4を挿入してゴムブッシュホルダ4の先端を本体上21のゴムブッシュ固定孔23から上方に露出させ、さらにフランジ部42がゴムブッシュ固定孔24の周縁に当接するまで進入させる。そして、フランジ部42を本体下22に溶接部Aで溶接して固定する。また、ゴムブッシュホルダ4の側面と本体上21を溶接部Aで溶接して固定する。
【0019】
次に、図4に示すように、アームブラケット3を後方から上側固定部35a,35bが、サスペンションメンバ2の本体上21と当接するように、また下側固定部36a,36bが、サスペンションメンバ2の本体下22と当接するように、且つ、本体上21に開口されたゴムブッシュ固定孔23の中心と、アームブラケット3に開口された孔32の中心が同一鉛直線上になるように位置させ、この位置で、図3、図5に示すように溶接部Aで溶接して固定する。
【0020】
次に、ゴムブッシュホルダ4にゴムブッシュ5を圧入する。ゴムブッシュ5は、固定用の内筒の周囲に弾力性のあるゴムが溶着された周知の部材で、外筒から受けた振動を減衰させて内筒に伝わらないようにするものである。そして、ボディBDのサブフレーム93(図1参照)から下方に突出するように設けられたボディピボット9にゴムブッシュ5の内筒を外嵌し、ゴムブッシュ5の下方から露出したボディピボット9の先端をゴムブッシュ固定ねじ51で固定する。そして、図2に示すように、アームブラケット3のトレーリングアーム軸支部34a,34bに貫入されたアームピボット7によりトレーリングアーム6を揺動可能に軸支する。その後、トレーリングアーム6にコイルスプリング、ショックアブソーバ、リヤアクスル、ハブHB等をセットする(図示を省略)。
【0021】
以上のような取付構造により取り付けられたサスペンションメンバ2を含んで構成されたトレーリングアーム式サスペンション1は、以下のような作用がある。ここで図6は、トレーリングアーム式サスペンション1を模式的に示した図である。タイヤ、ホイル(図示を省略)からハブHBに入力した上下方向の外力は、トレーリングアーム6を支持するコイルスプリングにより吸収されるが、前後方向の外力及び左右方向の外力は、図6に示すように、アームブラケット3及びアームブラケット8に入力される。そして、この力は、アームブラケット3及びアームブラケット8を相互に支点として、アームブラケット3には矢印F1のモーメントが、アームブラケット8には矢印F2のモーメントが生じる。この場合、アームブラケット3に生じる矢印F1の力の方向にゴムブッシュ5が配置され、ボディピボット9(図5参照)からボディBDに力が入力される。そのため、アームブラケット3に掛かるトレーリングアーム6からの入力は、サスペンションメンバ2に対してボディピボット9を回転中心とするいずれの向きのモーメントも生じさせることなく、ゴムブッシュ5を介してボディBDに入力される。そのため、サスペンションメンバ2をボディピボット9を回転中心として変形させる力が生じないため、サスペンションメンバ2を振動させにくい構造となっている。このとき、図6に示すようにトレーリングアーム6からアームピボット7を介しアームブラケット3に入力された力と、この力がボディBDに入力される位置の差は、e1の距離である。
【0022】
ここで、図7に示す従来のトレーリングアーム式サスペンション101を比較のために説明する。トレーリングアーム式サスペンション101は前述のようにメインフレーム102を挟んで対向する位置にアームブラケット108と、ボディマウントブラケット103とが配置され、アームブラケット108から入力された力は、メインフレーム102を介してボディマウントブラケット103に伝えられ、ゴムブッシュ105を介してボディBDに入力される。このため、トレーリングアーム式サスペンション1においては、アームブラケット3に入力された力と、この力がボディBDに入力される位置の差がe1の距離であったが、トレーリングアーム式サスペンション101においては、その距離がe2となる。そのため、トレーリングアーム106から入力された力がボディBDに入力されるまでの距離が大きくなり、部品点数が多いばかりでなく、距離e1と距離e2の差の分だけ、サスペンションの設置スペースが余分に必要となる。さらに、同じような材料で構成すれば質量も大きくなる。さらに、部品の接合場所も増加するため、剛性は低くなる。そのため、この部分で振動を生じやすい。また、寸法精度も低下することになる。
【0023】
ここで、他の従来のトレーリングアーム式サスペンション301を図8に示す。さらに、他の従来のトレーリングアーム式サスペンション401を図9に示す。図8に示すように、トレーリングアーム式サスペンション301では、サスペンションメンバ302にゴムブッシュ305を配置し、ボディーBDのボディピボット309に取り付ける構成をとるが、従来は、ゴムブッシュ305と干渉するため、この位置ではトレーリングアーム306を支持できず、アームブラケット308はゴムブッシュ305より内側の位置に配置されたアームブラケット308で支持していた。この場合、トレーリングアーム306から入力した力は、アームブラケット308からサスペンションメンバ302に入力される。そうするとアームブラケット308から入力された力は、ボディピボット309を中心に、図中F3に示すようなモーメントを生じさせる。したがって、サスペンションメンバ302は振動を生じやすく、騒音の原因になっていた。また、図9に示すトレーリングアーム式サスペンション401も同様で、向きは異なるが、トレーリングアーム406から入力した力は、アームブラケット408からサスペンションメンバ402に入力される。そうするとアームブラケット408から入力された力は、ボディピボット409を中心に、図中F4で示すようなモーメントを生じ同じように振動を生じやすかった。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態に示す取付構造により取り付けられたサスペンションメンバ2を含んで構成されたトレーリングアーム式サスペンション1は、以下のような効果がある。まず、従来に比べ、ボディマウントブラケットなどの部品が不要で、トレーリングアームを軸支する位置を同じ位置とすれば、サスペンションメンバ2の位置を後方に移動させることができるため、トレーリングアーム式サスペンション1をコンパクトな構成とすることができるという効果がある。例えば、図1に示すワゴン車では、スライドドアレール95の内側で、フロアパネル(図示を省略)の下方に設けられるステップ94の面積を大きくとることができたり、或いは従来設置できなかった補機類を設置することが可能になるという効果がある。さらに、車両に対するサスペンションの占める体積が小さくなるので、車両自体の小型化をする場合においても有利になるという効果がある。
【0025】
また、部品点数を少なくすることで、サスペンションの質量を小さくすることにより車両を軽量化することができ、走行性能の向上や燃費の改善に寄与することができるという効果がある。
【0026】
さらに、サスペンションメンバ2をボディブラケットなどを介さず直接ボディBDに取り付けるため、剛性が強くなり振動の発生を抑えることができるという効果がある。特に、トレーリングアーム6から入力された力の方向にボディBDへの取付位置があるため、サスペンションメンバ2に対してボディBDへの取付位置を中心とするモーメントが生じることなく、このモーメントに起因する振動を生じさせることもないという効果がある。そのため、車内の振動を抑え、振動に起因する騒音を抑え静粛性を高めことができるという効果がある。
【0027】
また、部品点数が減るとともに接合部分が減り、寸法精度の向上を図ることもできるという効果がある。
【0028】
そして、部品点数が少なくなることで、部品自体のコストも低くなり、さらに組立の工程が簡単になり工数を減らすことができるため、生産コストを低く抑えることができるという効果がある。
【0029】
以上本発明を一の発明の実施の形態により説明したが、本発明は、本実施の形態に限定されることがないことは言うまでもない。例えば、本実施の形態では、トレーリングアーム式サスペンションのうち、アームピボット7が車両の中心線と垂直な線に対して、一定の偏角をもったセミトレーリングアーム式のサスペンションを例に説明したが、アームピボットが車両の中心線と垂直なフルトレーリングアーム式のサスペンションにおいても適用できることはいうまでもない。図10は、本実施の形態の変形例のフルトレーリングアーム式のサスペンション201を示す模式図である。フルトレーリングアーム式のサスペンション201は、略車両の中心線C−Cと垂直なサスペンションメンバ202を備え、トレーリングアーム206をサスペンションメンバ202に設けられたアームブラケット203,208に備えられたアームピボット207により軸支される。このアームピボット207は、車両の中心線C−Cと垂直に配置される。なお、その他の部分については、実施の形態のトレーリングアーム式サスペンション1と同様に構成される。
【0030】
また、図11は、ゴムブッシュホルダ4の変形例を示す図3のB−B部分における断面図である。実施の形態のゴムブッシュホルダ4は、図5に示すように、アームブラケット3には触れていない構成であるが、図11に示すようにゴムブッシュホルダ104を延長した上端延長部を設けてアームブラケット3の孔32から突出させ、この上端延長部を溶接部Aで溶接して固定するようにしてもよい。このように、ゴムブッシュホルダ4とアームブラケット3を溶接することでさらに強度を増すことができる。また、図12は、ゴムブッシュホルダを備えない変形例を示す図3のB−B部分における断面図である。ここでは、サスペンションメンバの本体上121のプレス加工時に、筒状のゴムブッシュ固定部123を形成し、同様に本体下122にもゴムブッシュ固定部124を形成する。ゴムブッシュ固定部123,124は同じ内径で連通するように形成され、ここにゴムブッシュが圧入される。このように構成することで、さらに部品点数を減らすことができる。
【0031】
図13は、アームブラケット3の変形例を示す図である。アームブラケット103は、実施の形態のアームブラケット3と比べ、本体31の前側上部を有さず、孔32、上側固定部35a,35bを備えていない。また、図14に示すアームブラケット203は、実施の形態のアームブラケット3と比べ、本体31の前側下部を有さず、下側固定部36a,36bを備えていない。本発明のアームブラケットは、このように構成してもよく、サスペンションメンバに一定の強度を確保でき、且つサスペンションメンバのボディへの固定位置の後側近傍にトレーリングアームの軸支部を配設できれば如何なる形状、取付方法であってもよい。さらに、図15に示すように、サスペンションメンバ自体も、丸パイプの両端を潰して角形パイプに形成し、ここにゴムブッシュを固定する孔223を設けたサスペンションメンバ202のようなものであってもよい。
【0032】
その他、車両に応じて特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、寸法、形状、位置、数量など当業者により種々変更し、改良して実施できるものである。
【0033】
【発明の効果】
上記説明より明らかなように、本発明のトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造は、部品点数が少なくコンパクトで質量も小さくすることができ、且つ剛性を高く、寸法精度も高くでき、その上生産コストを低く抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態のトレーリングアーム式サスペンション1を備えたワゴン車の一部を下方から見た図を示す。
【図2】 本実施の形態のトレーリングアーム式サスペンション1を示す図である。
【図3】 サスペンションメンバ2の一部と、ここに固定されたアームブラケット3を示す斜視図である。
【図4】 サスペンションメンバ2とアームブラケット3、ゴムブッシュホルダ4の分解斜視図である。
【図5】 サスペンションメンバ2,アームブラケット3、ゴムブッシュホルダ4を車両ボディBDに組み付けた状態を図3のB−B方向から見た断面図である。
【図6】 トレーリングアーム式サスペンション1を模式的に示した図である。
【図7】 従来のトレーリングアーム式サスペンション101を示す図である。
【図8】 従来のトレーリングアーム式サスペンション301を示す図である。
【図9】 従来のトレーリングアーム式サスペンション401を示す図である。
【図10】 本実施の形態の変形例のフルトレーリングアーム式のサスペンション201を示す模式図である。
【図11】 ゴムブッシュホルダ4の変形例を示す図3のB−B部分における断面図である。
【図12】 ゴムブッシュホルダを備えない変形例を示す図3のB−B部分における断面図である。
【図13】 アームブラケット3の変形例のアームブラケット103を示す図である。
【図14】 アームブラケット3の変形例のアームブラケット203を示す図である。
【図15】 サスペンションメンバ2の変形例のサスペンションメンバ202を示す図である。
【図16】 従来のサスペンションメンバの取付構造を示す側面図である。
【図17】 従来のサスペンションメンバの取付構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…トレーリングアーム式サスペンション,2…サスペンションメンバ,3…アームブラケット,31…本体,32…孔,33…フランジ部,34a,34b…トレーリングアーム軸支部,35a,35b…上側固定部,36a,36b…下側固定部,4…ゴムブッシュホルダ,5…ゴムブッシュ,6…トレーリングアーム,7…アームピボット,8…アームブラケット,9…ボディピボット
Claims (2)
- 一対のトレーリングアームと、ゴムブッシュを介してボディに固定され前記一対のトレーリングアームを後方側に揺動可能に支持するサスペンションメンバとを備えたトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造において、
前記サスペンションメンバには、その両端部近傍に、上下方向に貫通する前記ゴムブッシュを固定するためのゴムブッシュ固定孔が各々形成され、
前記トレーリングアームを揺動可能に軸支する軸支部を有したアームブラケットの当該軸支部が前記サスペンションメンバの前記ゴムブッシュ固定孔の後方近傍に配置されるように、前記サスペンションメンバの両端部近傍に当該アームブラケットが固定され、
前記アームブラケットは、前記サスペンションメンバの上側に固定される上側固定部と、前記サスペンションメンバの下側に固定される下側固定部とを備え、
前記上側固定部には、前記ゴムブッシュ固定孔を露出させるための孔が設けられたことを特徴とするトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造。 - 一対のトレーリングアームと、ゴムブッシュを介してボディに固定され前記一対のトレーリングアームを後方側に揺動可能に支持するサスペンションメンバとを備えたトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造において、
前記サスペンションメンバには、その両端部近傍に、上下方向に貫通する前記ゴムブッシュを固定するためのゴムブッシュ固定孔が各々形成され、
前記トレーリングアームを揺動可能に軸支する軸支部を有したアームブラケットの当該軸支部が前記サスペンションメンバの前記ゴムブッシュ固定孔の後方近傍に配置されるように、前記サスペンションメンバの両端部近傍に当該アームブラケットが固定され、
前記アームブラケットは、前記サスペンションメンバの上側に固定される上側固定部と、前記サスペンションメンバの下側に固定される下側固定部とを備え、
前記ゴムブッシュ固定孔に、前記ゴムブッシュを圧入して固定するための円筒状のゴムブッシュホルダが貫入されて固定されるとともに、
前記上側固定部の上面に前記ゴムブッシュホルダの上端延長部が貫入されて固定されたことを特徴とするトレーリングアーム式サスペンションのサスペンションメンバの取付構造。
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