JP2003074569A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

車輪用軸受装置

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JP2003074569A
JP2003074569A JP2001268231A JP2001268231A JP2003074569A JP 2003074569 A JP2003074569 A JP 2003074569A JP 2001268231 A JP2001268231 A JP 2001268231A JP 2001268231 A JP2001268231 A JP 2001268231A JP 2003074569 A JP2003074569 A JP 2003074569A
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wheel
bearing device
joint member
outer joint
diameter step
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JP2001268231A
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Shigeaki Fukushima
茂明 福島
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NTN Corp
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車輪用軸受装置の軽量・コンパクト化を達成す
ると共に、大きなモーメント荷重が装置に作用しても固
定部に緩みが発生せず、かつ装置の剛性向上が図れる車
輪用軸受装置を提供する。 【解決手段】内方部材1と外方部材10との間に複列の
転動体12、12を収容し、車輪を回転自在に支承する
複列の転がり軸受を備え、内方部材1を構成するハブ輪
2に車輪取付フランジ4を一体に形成すると共に、その
小径段部6に別体の内輪3を圧入し、これらハブ輪2と
内輪3の外周にそれぞれ内側転走面2a、3aを形成
し、車体に対して車輪を回転自在に支承してなる車輪用
軸受装置において、前記内輪3と小径段部6とを電子ビ
ーム溶接にて一体結合した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輪を
支持する車輪用軸受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の懸架装置に対して車輪を
回転自在に支持する車輪用軸受装置は、燃費向上のため
の軽量化が進んでいる。特に、FR車の後輪、FF車の
前輪、あるいは4WD車の全輪といった自動車の駆動車
輪用軸受装置においては、さらに操縦安定性のための剛
性アップを図るためのユニット化が急速に進んでいる。
【0003】図7は従来の駆動車輪用軸受装置を示す縦
断面図で、内方部材50と、外方部材60と、等速自在
継手70とをユニット化して構成している。内方部材5
0は、ハブ輪51と、このハブ輪51に圧入した別体の
内輪52とからなる。ハブ輪51は、車輪(図示せず)
を取り付けるための車輪取付フランジ53を一体に有
し、この車輪取付フランジ53の円周等配位置には車輪
を固定するためのハブボルト54を植設している。ハブ
輪52に形成した小径段部55に内輪52を圧入し、さ
らに、小径段部55の端部を径方向外方に塑性変形させ
た加締部56により、内輪52が軸方向へ抜けるのを防
止している。
【0004】外方部材60は外周に車体(図示せず)に
取り付けるための車体取付フランジ61を一体に有し、
内周には複列の転走面60a、60aを形成している。
一方、内方部材50は、これら外方部材60の転走面6
0a、60aに対向する複列の転走面51a、52aを
それぞれハブ輪51と内輪52に一体形成し、それぞれ
の転走面60a、51aと60a、52a間には複列の
転動体(ボール)62、62を収容している。これは所
謂第3世代の車輪用軸受装置と呼称される構成をなして
いる。保持器63、63は、これら複列の転動体62、
62を転動可能に保持する。また、外方部材60の端部
にはシール64、65を装着し、軸受内部に封入した潤
滑グリースの漏洩を防止すると共に、外部からの雨水や
ダスト等の侵入を防止している。
【0005】等速自在継手70は外側継手部材71と継
手内輪72、ケージ73、およびトルク伝達ボール74
とからなる。外側継手部材71はカップ状のマウス部7
5と、このマウス部75から軸方向に延びる軸部76を
有し、マウス部75の内周には軸方向に延びる曲線状の
トラック溝71aを形成している。一方、トラック溝7
1aに対向し、継手内輪72の外周には曲線状のトラッ
ク溝72aを形成している。これらトラック溝71a、
72aの曲率中心は、継手中心に対して互いに軸方向に
等距離だけオフセットしている。したがって、両トラッ
ク溝71a、72a間に収容したトルク伝達ボール74
を、如何なる作動角においても常にその作動角の二等分
面上に保持して等速性を有している。
【0006】外側継手部材71の軸部76をハブ輪51
にセレーション76aを介してトルク伝達可能に内嵌す
ると共に、固定ボルト77により加締部56と外側継手
部材71の肩部78とが当接した状態で、内方部材50
と外側継手部材71とを着脱自在に締結している。
【0007】こうした駆動車輪用軸受装置において、ハ
ブ輪51に対して内輪52を固定するための加締部56
が、固定ボルト77の緊締による塑性変形を防止し、固
定ボルト77が緩むことを抑制するために、加締部56
を平坦面に形成したり(特開平11−5404号)、さ
らには、加締部56と肩部78との当接面からダスト等
の異物が侵入し、軸部76が発錆するのを防止するため
にシール部材を装着した構造(特開2001−1509
06号)のものが種々提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】車輪用軸受装置におい
て、固定ボルト、ナット等による締結や端面加締固定を
採用した場合、ねじ部や加締部を余分に設ける必要があ
るため、軽量・コンパクト化の妨げとなっていた。ま
た、特に自動車の旋回時に大きなモーメント荷重が軸受
部に作用するため、こうした固定方法では固定部の変形
を抑制することができず、装置の剛性向上にはおのずと
限界があった。
【0009】車輪用軸受装置において、溶接による固定
方法を採用すれば前述した課題を解決できると考えられ
るが、ハブ輪や軸受材料には焼入れ性や材料強度確保の
ため、溶接には不適切な炭素0.4wt%以上の中炭素
鋼が一般に用いられるため、現実として溶接による固定
方法を適用した例はなかった。
【0010】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、軽量・コンパクト化を達成すると共に、大き
なモーメント荷重が装置に作用しても固定部に緩みが発
生せず、かつ装置の剛性向上が図れる車輪用軸受装置を
提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】係る目的を達成すべく、
本発明のうち請求項1記載の発明は、内方部材と外方部
材との間に複列の転動体を収容し、車輪を回転自在に支
承する複列の転がり軸受を備え、前記内方部材または外
方部材に車輪取付フランジを一体に形成すると共に、小
径段部に圧入した別体の内輪を含む前記内方部材の外周
に複列の転走面を形成し、車体に対して車輪を回転自在
に支承してなる車輪用軸受装置において、前記内輪と小
径段部とを電子ビーム溶接にて一体結合した構成を採用
した。
【0012】このようにビーム照射の自由度が高い電子
ビーム溶接を採用することにより、予熱、あるいは後熱
処理ができ、ハブ輪等に中炭素鋼を使用しても焼割れが
発生することがなく、さらにはシャープなビード形成に
より、軸受転走面への熱影響を最小限に抑制することが
できる。
【0013】また、請求項2に記載の発明のように、内
方部材が、一端に車輪取付フランジと一方の内側転走面
と小径段部とをそれぞれ形成したハブ輪と、このハブ輪
の小径段部に圧入し、他方の内側転走面を形成した別体
の内輪とからなる構成とすることにより、軽量・コンパ
クト化が図れ、特に、軸方向寸法の短縮化が達成でき、
車輪用軸受装置としての設計自由度が格段に高くなる。
【0014】また、請求項3に記載の発明のように、内
方部材に等速自在継手の外側継手部材をトルク伝達可能
に内嵌し、この外側継手部材の肩部に前記内輪の端面を
当接すると共に、前記外側継手部材と内方部材とを着脱
可能に固定すれば、軸受部のすきま(予圧量)を予めセ
ットした状態で等速自在継手を装着することができ、従
来のように、軸受すきま設定のために固定ボルト等の締
付けトルクを厳密に管理する必要はなくなる。
【0015】また、請求項4に記載の発明は、内方部材
の小径段部に連結部を突設し、この連結部に等速自在継
手の外側継手部材をトルク伝達可能に外嵌し、この外側
継手部材の肩部に前記内輪の端面を当接すると共に、前
記外側継手部材と内方部材とを着脱可能に固定すれば、
従動側の車輪軸受装置を駆動車輪用に転用することがで
きる。
【0016】また、請求項5に記載の発明は、車輪取付
フランジを一体に形成した内方部材と等速自在継手と複
列の転がり軸受とをユニット化し、前記ハブ輪に等速自
在継手の外側継手部材を内嵌し、前記複列の転がり軸受
の一方の内側転走面を前記内方部材に、他方の内側転走
面を前記外側継手部材にそれぞれ形成し、車体に対して
車輪を回転自在に支承してなる所謂第4世代の車輪用軸
受装置において、前記内方部材と前記外側継手部材とを
電子ビーム溶接にて一体結合した構成を採用すれば、さ
らに軽量・コンパクト化が達成でき、セレーション等の
トルク伝達手段を廃止することができる。
【0017】また、請求項6に記載の発明のように、内
方部材に外挿した外方部材が、車体取付フランジを外周
に、複列の外側転走面を内周にそれぞれ一体に形成する
と共に、この複列の外側転走面間に車輪の回転速度を検
出するセンサを装着し、このセンサに対峙してパルサリ
ングを前記内方部材または外側継手部材の外周に装着す
れば、軸受組立時のグリース充填用の孔をそのままセン
サ装着用の孔として利用することができる。
【0018】さらに、請求項7に記載の発明のように、
内方部材が、炭素0.40〜0.60wt%を含む中炭
素鋼とし、少なくとも外周に形成した転走面に高周波焼
入れによる表面硬化層を形成することにより、従来の軸
受寿命、軸受強度を低下させることなく、軽量・コンパ
クト化が達成できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る車輪
用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【0020】この車輪用軸受装置は、内方部材1と、外
方部材10と、等速自在継手20とをユニット化して構
成している。なお、以下の説明では、車両に組み付けた
状態で車両の外側寄りとなる側をアウトボード側、中央
寄り側をインボード側という。
【0021】内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2
に圧入した別体の内輪3とからなる。ハブ輪2は、車輪
(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を
一体に有し、この車輪取付フランジ4の円周等配位置に
は車輪を固定するためのハブボルト5を植設している。
ハブ輪2に形成した小径段部6に内輪3を圧入し、さら
に、小径段部6の端部と内輪3の内径端部とを後述する
電子ビーム溶接により一体に結合し、内輪3が軸方向へ
抜けるのを防止している。内輪3の内径端部に所定深さ
の環状凹所3bを形成すれば、溶接によるビード部3c
が内輪3の端面から突出することはない。
【0022】外方部材10は外周に車体(図示せず)に
取り付けるための車体取付フランジ11を一体に有し、
内周には複列の転走面10a、10aを形成している。
一方、内方部材1は、これら外方部材10の転走面10
a、10aに対向する複列の転走面2a、3aをそれぞ
れハブ輪2と内輪3に一体形成し、それぞれの転走面1
0a、2aと10a、3a間には複列の転動体(ボー
ル)12、12を収容した所謂第3世代の車輪用軸受装
置と呼称される構成をなしている。保持器13、13
は、これら複列の転動体12、12を転動可能に保持す
る。また、外方部材10の端部にはシール14、15を
装着し、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩を防止
すると共に、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止し
ている。ここで転動体12、12をボールとした複列ア
ンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず転動体に円
すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良
い。
【0023】等速自在継手20は外側継手部材21と継
手内輪22、ケージ23、およびトルク伝達ボール24
とからなる。外側継手部材21はカップ状のマウス部2
5と、このマウス部25から軸方向に延びる軸部26を
有し、マウス部25の内周には軸方向に延びる曲線状の
トラック溝21aを形成している。一方、トラック溝2
1aに対向し、継手内輪22の外周には曲線状のトラッ
ク溝22aを形成している。これらトラック溝21a、
22aの曲率中心は、継手中心に対して互いに軸方向に
等距離だけオフセットしている。したがって、両トラッ
ク溝21a、22a間に収容したトルク伝達ボール24
を、如何なる作動角においても常にその作動角の二等分
面上に保持して等速性を有している。
【0024】外側継手部材21の軸部26をハブ輪2に
セレーション26aを介してトルク伝達可能に内嵌する
と共に、固定ボルト27により内輪3の端面と外側継手
部材21の肩部28とが当接した状態で、内方部材1と
外側継手部材21とを着脱自在に締結している。なお、
内方部材1と外側継手部材21を固定ボルト27によっ
て固定する以外にも、両部材を止め輪等で軸方向に位置
決め固定することも可能である。
【0025】ハブ輪2は、S53C等の炭素0.40〜
0.60wt%を含む中炭素鋼で形成し、アウトボード
側転走面2aをはじめ、シール14が摺接するシールラ
ンド部、および小径段部6を高周波焼入れによって表面
を硬化処理している。転走面2aの表面硬さを58〜6
4HRCの範囲に設定することにより、所望の転がり疲
労寿命を得ることができる。一方、内輪3もハブ輪2同
様、炭素0.40〜0.60wt%からなる中炭素鋼で
形成し、内径端部の環状凹所3bを除く、インボード側
転走面3a、内径の嵌合面、および両端面を高周波焼入
れによって表面を硬化処理する。
【0026】外側継手部材21の肩部28、およびこの
肩部28と当接する内輪3の端面を表面硬化しているた
め、固定ボルト27の緊締によって変形やフレッティン
グ摩耗を防止することができ、固定ボルト27に緩みが
生じることはない。また、研削にて精度良く平坦面に仕
上げられたこの当接面は、従来のようにシールリング等
の密封部材を装着するまでもなく良好な密封性を有して
いる。
【0027】次に、電子ビームによる溶接方法について
説明する。真空中で放射するビームは、電磁集束レンズ
にて焦点位置を自在に設定することができ、レーザビー
ム溶接やプラズマ溶接に比べ、深くてシャープなビード
を形成することができる。したがって、軸受転走面等に
熱影響し、表面硬度が焼戻しされるのを抑制することが
できる。
【0028】また、焦点位置を調整して500℃程度の
予熱工程、および後処理工程を設けることにより、中炭
素鋼において、炭素量0.40〜0.60wt%の範囲
では、溶接部近傍の焼き割れが防止できることを確認し
た。
【0029】さらに、電磁集束レンズによる焦点位置調
整と共に、偏向レンズを被溶接部間に介在させることに
より、偏向フィールドにXY座標を付与することがで
き、ビームを指定した座標に自在に移動させることがで
きる。こうした電子ビーム溶接によって形成したビード
表面は殆ど酸化されないため、製品の美観のみならず、
安定した品質や加工環境の清浄度を保つことができる。
【0030】図2は本発明を従動側の車輪軸受装置に適
用した第2の実施形態を示す縦断面図である。なお、前
述した実施形態と同一部位、同一部品には同一符号を付
け、その詳細な説明を省略する。
【0031】中実のハブ輪7は、その一端部に車輪(図
示せず)を取付ける車輪取付フランジ8を有し、アウト
ボード側転走面7a、小径段部9を外周に形成してい
る。この小径段部9に別体の内輪3を圧入し、内径端部
を電子ビーム溶接によってハブ輪7と一体に結合してい
る。こうした従動輪用においては、トルク伝達の必要が
ないため、溶接の深さを駆動輪用に比べ浅くしても良
い。したがって、他部品への熱影響を最小限に抑制する
ことができる。
【0032】外方部材10の両端部にシール14、16
を装着しているが、インボード側端部外径に装着するシ
ール16は、軸受内にグリースを充填した後に装着する
ことにより、溶接による熱影響を回避している。
【0033】図3は、本発明に係る第3の実施形態を示
す縦断面図で、前述した従動側の車輪軸受装置にトルク
伝達用のセレーションを追加し、駆動車輪用に転用した
実施形態を示す。なお、同一部位、同一部品には同一符
号を付け、その詳細な説明を省略する。
【0034】中実のハブ輪7は、小径段部9に連結部3
5を突設している。連結部35の外周にはトルク伝達手
段としてのセレーション35aを転設し、等速自在継手
20’の外側継手部材21’に内嵌する。一方、外側継
手部材21’の肩部36の内径にはセレーション35a
に係合するセレーション36aを形成し、連結部35の
端部に装着した止め輪37によって分離可能に外側継手
部材21’を固定する。この止め輪37は、予め連結部
35に装着しておき、外側継手部材21’を外嵌するこ
とにより縮径し、肩部36の開口端で拡開して両部材を
軸方向に位置決め固定し、また、外側継手部材21’に
所定の軸方向荷重を負荷すれば容易に止め輪37が縮径
するためワンタッチで外側継手部材21’の着脱ができ
る。
【0035】肩部36の端面36bは内輪3に突合せ状
態で衝合しているが、この端面36bにOリング等のシ
ールリング38を装着することにより、マウス部25内
に充填した潤滑グリースの外部への漏洩と、また外部か
ら雨水等の侵入を防止する。さらにこのシールリング3
8によってビード部3cの発錆を防止できる。
【0036】従動側の車輪軸受装置にトルク伝達用のセ
レーションを追加し、こうした駆動車輪用に転用するこ
とができるため、一部に四輪駆動仕様の設定がある車種
や、後で四輪駆動仕様が追加された場合において有効で
ある。
【0037】図4は、本発明に係る第4の実施形態を示
す縦断面図で、所謂第4世代の車輪用軸受装置に適用し
たものである。なお、前述した実施形態と同一部位、同
一部品には同一符号を付け、その詳細な説明を省略す
る。
【0038】この車輪用軸受装置は、ハブ輪30と等速
自在継手40と外方部材10とをユニット化している。
ハブ輪30は、その一端部に車輪(図示せず)を取付け
る車輪取付フランジ31を有し、外周にアウトボード側
転走面30aを形成している。
【0039】等速自在継手40は外側継手部材41と継
手内輪22、ケージ23、およびトルク伝達ボール24
とからなる。外側継手部材41はカップ状のマウス部4
2と、このマウス部42から軸方向に延びる軸部43を
有し、マウス部42の内周には軸方向に延びる曲線状の
トラック溝21aを形成している。一方、トラック溝2
1aに対向し、継手内輪22の外周には曲線状のトラッ
ク溝22aを形成している。これらトラック溝21a、
22aの曲率中心は、継手中心に対して互いに軸方向に
等距離だけオフセットして形成している。したがって、
両トラック溝21a、22a間に収容したトルク伝達ボ
ール24を、如何なる作動角においても常にその作動角
の二等分面上に保持して等速性を有している。
【0040】外側継手部材41の肩部44にインボード
側転走面44aを形成し、ハブ輪30の端面と突合せ状
態で組立ている。この外側継手部材41はS53C等の
中炭素鋼からなり、少なくとも転走面44aとトラック
溝21a、およびケージ23のガイド面(内径)を高周
波焼入れにより表面を58〜64HRCに硬化処理して
いる。なお、こうした高周波焼入れ以外にも、SCr4
15等の肌焼き鋼を使用し、浸炭焼入れによって表面に
硬化層を形成するようにしてもよい。
【0041】内径を円筒状に形成したハブ輪30を外側
継手部材41の軸部43に圧入し、その開口嵌合部を電
子ビーム溶接によって全周結合している。電磁集束レン
ズにで焦点位置を調整することにより、深くシャープな
ビード部45を形成すれば、従来のセレーション等のト
ルク伝達手段を廃止することができ、加工工数を削減で
きるばかりでなく、ハブ輪30と軸部43との嵌合部の
ガタを実質的にゼロにできるため、繰り返し負荷される
モーメント荷重に対しても固定部は充分な耐久性を有す
ると共に、有害な駆動系の振動を抑制して車両のドライ
ブフィーリングの向上を図ることができる。
【0042】このようにハブ輪30と外側継手部材41
の軸部43を電子ビーム溶接によって結合すれば、従来
の固定ボルトが不要になり、より一層軽量・コンパクト
化を達成することができる。
【0043】図5は本発明に係る第5の実施形態を示す
縦断面図である。なお、図4に例示した実施形態と同一
部位、同一部品には同一符号を付け、その詳細な説明を
省略する。異なる所は、外方部材10’にセンサを装着
した点である。
【0044】外方部材10’の転走面10a、10a間
に貫通孔10bを形成し、車輪回転速度を検出するセン
サ17を装着し、このセンサ17に対峙するように、ハ
ブ輪30の外周にパルサリング18を装着している。貫
通孔10bは、電子ビーム溶接でハブ輪30と軸部43
を結合した後、軸受内にグリースを封入する孔として共
用することができる。
【0045】図6(a)に基いて図5に例示した実施形
態の溶接方法を説明する。(b)は(a)の要部拡大断
面図である。
【0046】真空チャンバー内で、外側継手部材41の
軸部43にハブ輪30を圧入した後、立設して外側継手
部材41を位置決め固定すると共に、ハブ輪30および
外側継手部材41を回転させながら溶接を行う。この
時、貫通孔10bにキャップ等を装着して溶接時の真空
状態を保持すると良い。また、アウトボード側シール1
4が溶接時に熱影響を受けないように、シールランド形
状に成形したガードプレート19を予め装着しておくと
良い。このガードプレート19は耐熱性を有し、かつ摺
動性に富んだフッ素樹脂等からなり、周方向にスリット
を設けて溶接終了後に脱着が容易になるように形成して
いる。
【0047】以上、本発明の実施の形態について説明を
行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定され
るものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨
を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実
施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特
許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の
範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更
を含む。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る車輪
用軸受装置は、以下に挙げるような格別な効果を奏す
る。 ハブ輪と軸受部、あるいはさらに等速自在継手をユニ
ット化した車輪用軸受装置において、軽量・コンパクト
化といった所期の技術課題を解決し、固定部の緩みや摩
耗を防止することができると共に、溶接による熱が軸受
部に影響するのを可及的に抑制することができるため、
軸受強度、転がり疲労寿命に優れた炭素0.40〜0.
60wt%を含む中炭素鋼を採用することができる。し
たがって、装置の剛性を高め、操縦安定性と耐久性を格
段に向上させることができる。 また、電子ビーム溶接によって深くシャープなビード
を形成することができるため、セレーション等のトルク
伝達手段を廃止することができ、一層固定部の緩みや摩
耗を防止することができる。 さらに、別段のシール部材を設けることなく良好な固
定部の密封性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態
を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態
を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る車輪用軸受装置の第3の実施形態
を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係る車輪用軸受装置の第4の実施形態
を示す縦断面図である。
【図5】本発明に係る車輪用軸受装置の第5の実施形態
を示す縦断面図である。
【図6】(a)本発明に係る車輪用軸受装置の溶接方法
を説明するための縦断面図である。 (b)(a)の要部拡大断面図である。
【図7】従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・内方部材 2・・・・・ハブ輪 2a・・・・転走面 3・・・・・内輪 3a・・・・転走面 3b・・・・環状凹所 3c・・・・ビード部 4・・・・・車輪取付フランジ 5・・・・・ハブボルト 6・・・・・小径段部 7・・・・・ハブ輪 7a・・・・転走面 8・・・・・車輪取付フランジ 9・・・・・小径段部 10・・・・外方部材 10’・・・外方部材 10a・・・転走面 10b・・・貫通孔 11・・・・車体取付フランジ 12・・・・転動体 13・・・・保持器 14・・・・シール 15・・・・シール 16・・・・シール 17・・・・センサ 18・・・・パルサリング 19・・・・ガードプレート 20・・・・等速自在継手 20’・・・等速自在継手 21・・・・外側継手部材 21’・・・外側継手部材 21a・・・トラック溝 22・・・・継手内輪 22a・・・トラック溝 23・・・・ケージ 24・・・・トルク伝達ボール 25・・・・マウス部 26・・・・軸部 26a・・・セレーション 27・・・・固定ボルト 28・・・・肩部 30・・・・ハブ輪 30a・・・転走面 31・・・・車輪取付フランジ 35・・・・連結部 35a・・・セレーション 36・・・・肩部 36a・・・セレーション 36b・・・端面 37・・・・止め輪 38・・・・シールリング 40・・・・等速自在継手 41・・・・外側継手部材 42・・・・マウス部 43・・・・軸部 44・・・・肩部 44a・・・転走面 45・・・・ビード部 50・・・・内方部材 51・・・・ハブ輪 51a・・・転走面 52・・・・内輪 52a・・・転走面 53・・・・車輪取付フランジ 54・・・・ハブボルト 55・・・・小径段部 56・・・・加締部 60・・・・外方部材 60a・・・転走面 61・・・・車体取付フランジ 62・・・・転動体 63・・・・保持器 64・・・・シール 65・・・・シール 70・・・・等速自在継手 71・・・・外側継手部材 71a・・・トラック溝 72・・・・継手内輪 72a・・・トラック溝 73・・・・ケージ 74・・・・トルク伝達ボール 75・・・・マウス部 76・・・・軸部 76a・・・セレーション
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/62 F16C 33/62 41/00 41/00 43/04 43/04 F16D 3/20 F16D 3/20 Z Fターム(参考) 3J017 AA01 AA05 BA10 CA04 CA06 DA10 DB01 DB07 DB10 HA02 3J101 AA02 AA32 AA43 AA54 AA62 AA71 BA53 BA54 BA55 BA56 BA65 BA70 BA77 DA03 DA16 EA02 FA04 FA15 FA51 FA53 GA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内方部材と外方部材との間に複列の転動体
    を収容し、車輪を回転自在に支承する複列の転がり軸受
    を備え、前記内方部材または外方部材に車輪取付フラン
    ジを一体に形成すると共に、小径段部に圧入した別体の
    内輪を含む前記内方部材の外周に複列の転走面を形成
    し、車体に対して車輪を回転自在に支承してなる車輪用
    軸受装置において、 前記内輪と小径段部とを電子ビーム溶接にて一体結合し
    たことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 【請求項2】前記内方部材が、一端に車輪取付フランジ
    と一方の内側転走面と小径段部とをそれぞれ形成したハ
    ブ輪と、このハブ輪の小径段部に圧入し、他方の内側転
    走面を形成した別体の内輪とからなる請求項1に記載の
    車輪用軸受装置。
  3. 【請求項3】前記内方部材に等速自在継手の外側継手部
    材をトルク伝達可能に内嵌し、この外側継手部材の肩部
    に前記内輪の端面を当接すると共に、前記外側継手部材
    と内方部材とを着脱可能に固定した請求項2に記載の車
    輪用軸受装置。
  4. 【請求項4】前記内方部材の小径段部に連結部を突設
    し、この連結部に等速自在継手の外側継手部材をトルク
    伝達可能に外嵌し、この外側継手部材の肩部に前記内輪
    の端面を当接すると共に、前記外側継手部材と内方部材
    とを着脱可能に固定した請求項2に記載の車輪用軸受装
    置。
  5. 【請求項5】車輪取付フランジを一体に形成した内方部
    材と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化
    し、前記ハブ輪に等速自在継手の外側継手部材を内嵌
    し、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記内
    方部材に、他方の内側転走面を前記外側継手部材にそれ
    ぞれ形成し、車体に対して車輪を回転自在に支承してな
    る車輪用軸受装置において、 前記内方部材と前記外側継手部材とを電子ビーム溶接に
    て一体結合したことを特徴とする車輪用軸受装置。
  6. 【請求項6】前記内方部材に外挿した外方部材が、車体
    取付フランジを外周に、複列の外側転走面を内周にそれ
    ぞれ一体に形成すると共に、この複列の外側転走面間に
    車輪の回転速度を検出するセンサを装着し、このセンサ
    に対峙してパルサリングを前記内方部材または外側継手
    部材の外周に装着した請求項5に記載の車輪用軸受装
    置。
  7. 【請求項7】前記内方部材が、炭素0.40〜0.60
    wt%を含む中炭素鋼からなり、少なくとも外周に形成
    した転走面に高周波焼入れによる表面硬化層を形成した
    請求項1乃至6いずれかに記載の車輪用軸受装置。
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