JP2003073671A - 液晶組成物及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶組成物及び液晶表示素子

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JP2003073671A JP2001263666A JP2001263666A JP2003073671A JP 2003073671 A JP2003073671 A JP 2003073671A JP 2001263666 A JP2001263666 A JP 2001263666A JP 2001263666 A JP2001263666 A JP 2001263666A JP 2003073671 A JP2003073671 A JP 2003073671A
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豪 須藤
Takeshi Kuriyama
毅 栗山
Shotaro Kawakami
正太郎 川上
Hiroyuki Onishi
博之 大西
Haruyoshi Takatsu
晴義 高津
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】電気光学表示素子に求められる種々の特性を満
足し、かつ、広いネマチック温度範囲、低い粘性を有
し、高速応答性が優れ、閾値電圧が低い液晶組成物及び
これを使用した液晶表示素子を提供する。 【解決手段】第一成分:一般式I (R1はC1〜16のアルキル基又はアルコキシル基、C2〜
16のアルケニル基又はアルコキシアルキル基、C3〜16
のアルケニルオキシ基を表す。)及び第二成分:一般式
II (R2、R3は独立的にフッ素置換されても良いC1〜16の
アルキル基又はアルコキシル基、C2〜16のアルケニル
基を表す。)を含有する液晶組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気光学的液晶表示材
料として有用なネマチック液晶組成物及びこれを用いた
液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子(LCD)の急速な用途拡大に
伴い、室内で使用されるだけでなく、コンピューターの
携帯端末ディスプレイ、車載用計器、屋外使用計測機の
ディスプレイのように、温度条件の過酷な屋外で使用さ
れることが増加してきた。このとき、LCDが置かれる環
境の温度変化による表示コントラストの低下が問題にな
ってきている。この周囲の温度変化によりLCDの表示品
位が低下する原因は、閾値電圧Vthの温度依存性に起因
するところが大きい。閾値電圧Vthの温度変化の原因と
しては、ネマチック液晶の弾性定数・誘電率などの温度
変化と添加したカイラル物質の固有ピッチの温度変化が
考えられる。カイラル物質の固有ピッチの温度変化を制
御することにより、閾値電圧の温度依存性を改善する提
案は既に行われている(特開昭55-38869号公報)。しか
し、母体液晶とカイラル物質の組み合わせにより、その
効果が変化する事や、カイラル量を増やすことにより、
レスポンス等の表示特性に悪影響を及ぼすことが問題に
なっていた。また、液晶中に含まれるイオン性物質の易
動度の温度変化により電流値が増加するため、液晶にか
かる実効値電圧がイオンにより消費され、コントラスト
が低下する現象が起こっているため、電流値の抑制がコ
ントラストの改善には重要な因子となる。
【0003】最近、STN-LCD(スーパーツイステッドネマ
チック液晶表示装置)での応答特性を改善する目的でア
クティブ・アドレッシング駆動方式が提案されている。
(Proc.12th International Display Research Conferen
ce p.503 1992年)また、携帯表示端末(Personal Digit
al Assistance)では、より広い温度域で良好な表示特
性が要求されている。この様な液晶組成物として粘性が
低く、駆動電圧が低くなおかつ広い温度範囲に対して一
定値を保持することが要求されており、これに対して、
例えば、特開平3-38572号公報、米国特許5,030,382号、
特開2000-336364号公報、特開平10-330754号公報、特開
平11-106752号公報などの改善方法が提案されている。
しかし、所望の閾値電圧や時分割に対して、応答速度や
コントラストなどは未だ十分とは言えず、現在も新しい
液晶化合物あるいは液晶組成物の提案が求められてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、駆動電圧の温度依存性を改善し、コントラ
スト(急峻性)が高く、レスポンスも速く、現在の液晶組
成物が持つ問題点を軽減できる液晶組成物を提供するこ
と、及び、これを用いた液晶表示素子を提供することに
ある。具体的には、所望の閾値電圧や時分割駆動(Duty)
に対して液晶諸特性を悪化させることなく、閾値電圧の
温度依存性を改善し、より広い温度範囲で安定した高い
コントラストを有し、室温及び低温域での応答速度を改
善できる液晶組成物を提供することにあり、また、この
ような液晶組成物を使用し、例えば、1/32〜1/480Dut
y、より好適には1/64〜1/240Dutyの次世代携帯電話な
どに求められている表示容量の増大や動画対応カラーな
どの高い特性を有した液晶表示素子、特にSTN-LCDを提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、種々の液晶化合物を用いた液晶組成物を
検討した結果、以下の液晶組成物を見いだした。 一般式(I)
【0006】
【化5】
【0007】(式中、R1は炭素原子数1〜16のアルキル基
又はアルコキシル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基
又はアルコキシアルキル基、炭素原子数3〜16のアルケ
ニルオキシ基を表す。)から選ばれる化合物を1種又は2
種以上を含有し、一般式(II)
【0008】
【化6】
【0009】(式中、R2、R3はそれぞれ独立的にフッ素
置換されていても良い炭素原子数1〜16のアルキル基又
はアルコキシル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基を
表す。)から選ばれる化合物を1種又は2種以上を含有
し、なおかつネマチック相−等方性液体相転移温度が75
〜130℃の範囲であり、スメクチック相又は固体相-ネマ
チック相転移温度が-60〜-20℃の範囲であり、屈折率異
方性(Δn)が0.07〜0.30の範囲であることを特徴とする
液晶組成物。
【0010】一般式(I)の化合物は、駆動電圧の低下に
は効果があるが、粘度の上昇を伴う。一方、一般式(II)
の化合物は、応答速度の改善には有効な低粘性化合物で
あるが、極性が小さく駆動電圧を上昇させる点が問題で
あった。このような状況下、本発明は、一般式(I)の化
合物と一般式(II)のそれぞれの化合物から1種又は2種以
上選ばれる化合物を含有する組成物が、お互いの欠点を
補い、更に駆動電圧の温度依存性の改善、特に低温域で
の応答速度に驚くべき改善をもたらすことを見いだし
た。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の液晶組成物は、一般式
(I)から選ばれる化合物を1種又は2種以上を含有する
が、1種〜4種の範囲で含有することが好ましく、1種〜2
種の範囲で含有することが特に好ましい。また、式中R1
は、炭素原子数1〜16のアルキル基又はアルコキシル
基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又はアルコキシア
ルキル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基を表
すが、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16
のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル
基、炭素原子数2〜8のアルケニル基がより好ましく、炭
素原子数1〜5のアルキル基又は式(a)〜(e)のアルケニル
基が好ましく、式(a)、(b)が特に好ましい。
【0012】
【化7】
【0013】一般式(I)から選ばれる化合物の含有量
は、2質量%〜20質量%が好ましく、更に好ましくは2質量
%〜10質量%である。更に具体的には、コントラストを重
視する場合には、一般式(I)から選ばれる化合物の含有
量は2質量%〜8質量%が好ましく、低電圧又は応答速度を
重視する場合には、一般式(I)から選ばれる化合物の含
有量は、8質量%〜20質量%が好ましい。
【0014】一般式(II)から選ばれる化合物を1種もし
くは2種以上を含有するが、式(II-a)〜(II-h)から選ば
れる化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、式(II
-c)及び/又は(II-d)を含有することが特に好ましい。
【0015】
【化8】
【0016】一般式(II)から選ばれる化合物の含有量
は、5質量%〜30質量%が好ましく、更に好ましくは10質
量%〜20質量%である。更に具体的には、応答速度を重視
する場合には、一般式(II)から選ばれる化合物を少なく
とも10質量%以上含有することが好ましい。この液晶組
成物はネマチック相−等方性液体相転移温度(以下、Tni
と言う。)が75〜130℃の範囲であることが好ましく、80
〜120℃の範囲が更に好ましく、85〜110℃の範囲が特に
好ましい。更に具体的には、応答速度を重視する場合に
は、Tniが75〜95℃の範囲であることが好ましい。ま
た、高温域でのVthの温度依存性を重視する場合には、T
niが95〜120℃の範囲であることが好ましい。また、固
体相又はスメクチック相−等方性液体相転移温度(以
下、T-nと言う。)は、低い方が閾値電圧の温度依存度を
改善するために好ましく、-60〜-20℃の範囲が好まし
く、-60〜-30℃の範囲が更に好ましい。屈折率異方性
(Δn)は0.07〜0.30が好ましいが、0.08〜0.25が好まし
く、0.12〜0.20がより好ましい。更に具体的には、応答
速度を重視して液晶組成物のΔnを大きくする場合に
は、Δnは0.15〜0.20の範囲であることが好ましい。
【0017】本発明の一般式(I)から選ばれる化合物を1
種又は2種以上を含有し、一般式(II)から選ばれる化合
物を1種又は2種以上を含有する液晶組成物を使用したス
ーパーツイステッドネマチック(STN)液晶表示素子は、
表示特性に対して特に重要な下記のパラメータ(i)及び
(ii)について驚くべき改善が見られた。 (i)dV/dT(Vthの温度依存性)≦7 mV/℃(温度範囲-2
0℃〜50℃) 但し、dV/dT = |(Vth(50℃)- Vth(-20℃))/(50℃ -
(-20℃))| このパラメータは本発明に基づかない従来の液晶組成物
を使用した液晶表示素子では、この値は10を越え、周囲
の温度変化により液晶のコントラストが大きく変化する
不具合を避けることが難しかった。 (ii)τ25℃ ≦ 200 msec (25℃における応答速度)を
得るのに好適であることを見出した。これにより、低温
での表示特性や高温でのコントラストの低下を改善する
ことができ、例えば、1/32〜1/480Duty、より好適に
は1/64〜1/240Dutyの次世代携帯電話などに求められ
ている表示容量の増大や、動画対応カラーなどの高い特
性を有した液晶表示素子(STN-LCD)を得ることができ
た。
【0018】その他の同時に使用することが好ましい液
晶化合物として一般式(III)から選ばれる化合物である
一般式(III-a)〜(III-o)で表される化合物群から選ばれ
る化合物を1種もしくは2種以上を含有することが更なる
レスポンス改善の観点から好ましいが、その使用は3種
〜20種が好ましく、5種〜15種が特に好ましい。但し、
一般式(III-a)〜(III-o)中、R7、R8はR4、R5と同じ意味
を表す。
【0019】
【化9】
【0020】一般式(III)から選ばれる化合物の含有率
は5質量%〜85質量%が好ましいが、30質量%〜80質量%が
更に好ましく、40質量%〜70質量%が特に好ましい。
【0021】一般式(III)で表される化合物のR4、R5
それぞれ独立的にフッ素置換されていても良い炭素原子
数1〜16のアルキル基又はアルコキシル基、炭素原子数2
〜16のアルケニル基又はアルコキシアルキル基、炭素原
子数3〜16のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1
〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基が
好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2
〜8のアルケニル基がより好ましく、炭素原子数1〜5の
アルキル基又は式(a)〜(e)のアルケニル基が特に好まし
い。
【0022】
【化10】
【0023】一般式(III)で表される化合物の環A、環B
及び環Cはそれぞれ独立的に1,4-フェニレン基、2又は3-
フルオロ-1,4-フェニレン、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニ
レン、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン、2,6-ジフルオ
ロ-1,4-フェニレン、2-メチル-1,4-フェニレン基、3-メ
チル-1,4-フェニレン基、ナフタレン-2,6-ジイル基、フ
ェナントレン-2,7-ジイル基、フルオレン-2,7-ジイル
基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、1,2,3,4-テト
ラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタ
レン-2,6-ジイル基、トランス-1,3ジオキサン-2,5-ジイ
ル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル
基、ピラジン-2,5-ジイル基又はピリダジン-2,5-ジイル
基を表し、これらの環はF、Cl、CH3で1つ又は2つ置換さ
れていてもよいが、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-
シクロヘキシレン基が好ましく、環A、Bにおいてはトラ
ンス-1,4-シクロヘキシレン基がより好ましく、環Cにお
いては1,4-フェニレン基がより好ましい。lは0、1又は2
を表すが、0又は1が好ましい。Z1、Z2はそれぞれ独立的
に単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、
-OCO-、-CH=CH-又はC≡C-表すが、単結合又はCH2CH2-が
好ましく、単結合がより好ましい。
【0024】一般式(IV)の化合物として、一般式(IV-a)
〜(IV-o)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種
もしくは2種以上を含有することが好ましいが、3種〜20
種が好ましく、5種〜15種が特に好ましい。但し、一般
式(IV-a)〜(IV-j)中のR9は、R 6と同じ意味を表す。
【0025】
【化11】
【0026】一般式(IV)で表される化合物のR6はフッ素
置換されていても良い炭素原子数1〜16のアルキル基又
はアルコキシル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又
はアルコキシアルキル基、炭素原子数3〜16のアルケニ
ルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜16のアルキル基、
炭素原子数2〜16のアルケニル基が好ましく、炭素原子
数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基が
より好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は式(a)
〜(e)のアルケニル基が特に好ましい。
【0027】
【化12】
【0028】一般式(IV)で表される化合物の含有率は5
質量%〜60質量%であるが、5質量%〜50質量%が好まし
く、10質量%〜30質量%が更に好ましい。
【0029】一般式(III)で表される化合物と、一般式
(IV)で表される化合物との組み合わせについては、応答
速度を更に重視して液晶組成物の粘度を下げる場合に
は、(III-a)、(III-d)、(III-e)、(III-f)、(III-i)、
(IV-b)又は(IV-c)から選ばれる化合物を少なくとも1つ
含有することが好ましく、応答速度を更に重視して液晶
組成物のΔnを大きくする場合には、(III-i)、(III-
j)、(III-k)、(III-l)、(III-m)、(III-n)又は(III-o)
から選ばれる化合物を少なくとも1つ含有することが好
ましく、コントラストを更に重視した場合には、(III-
c)、(III-e)、(III-f)、(IV-a)、(IV-b)又は(IV-c)から
選ばれる化合物を少なくとも1つ含有することが好まし
く、閾値電圧の温度依存性の改善を更に重視する場合に
は、(IV-b)、(IV-c)、(IV-i)又は(IV-j)から選ばれる化
合物を少なくとも1つ含有することが好ましい。
【0030】これら一般式(III)で表される化合物と、
一般式(IV)で表される化合物との組み合わせを最適化
し、一般式(I)で表される化合物と、一般式(II)で表さ
れる化合物を含有した液晶組成物は、所望の閾値電圧や
時分割駆動(Duty)に対して液晶諸特性を悪化させること
なく、閾値電圧の温度依存性を改善し、より広い温度範
囲で安定した高いコントラスト(優れた急峻性)を有し、
室温及び低温域での応答速度を改善することができる。
【0031】また、上述の液晶組成物を使用した液晶表
示素子は、紫外線照射(サンテスト)16時間照射後の電流
値Irが、0.3μA/cm2以下となり、耐UV性が非常に優れ
ている。このため、高信頼性、高コントラストの液晶表
示を提供できる。
【0032】上述の液晶組成物は、下記条件(iii)〜(v)
の少なくとも1つ又は2つ以上を満たすことが好ましい形
態である。但し、(iii)〜(v)は20℃での測定値を表す。 (iii) 4≦Δε≦60 (iv) 1.1<k33/k11<3.0 (v) 10mPa・s<粘度<80mPa・s 条件(iii)の誘電率異方性は1以上でもよいが、4≦△ε
≦60の範囲が好ましく、閾値電圧が1.8V〜2.9Vの場合
は、4≦△ε≦10の範囲がより好ましく、閾値電圧が1.5
V〜1.9Vの場合は5≦△ε≦15の範囲がより好ましく、閾
値電圧が1.2V〜1.6Vの場合は、12≦△ε≦30の範囲がよ
り好ましく、閾値電圧が0.8V〜1.3Vの場合は12≦△ε≦
40の範囲がより好ましい。また、高速応答を重視する場
合には、4≦Δε≦13の範囲が好ましい。条件(iv)の弾
性定数比k33/k11は1.1〜3.0の範囲が好ましく、更に好
ましくは1.2〜2.8の範囲であり、特に好ましくは1.3〜
2.7の範囲である。(v)の粘度は10mPa・s〜80mPa・sの範
囲が好ましく、更に好ましくは、10mPa・s〜60mPa・sの
範囲であり、特に好ましくは、10mPa・s〜40mPa・sの範
囲である。但し、高速応答を重視する場合には、10mPa
・s〜20mPa・sの範囲が特に好ましい。
【0033】これらの条件は、一般式(I)〜(IV)から選
ばれる化合物を選択的に含有することにより得られるも
のである。なお、以上詳述した各条件(iii)〜(v)やこれ
らの個別の好ましい形態は、当然のことながら、1つま
たは2つ以上を満たすことがより好ましい。
【0034】上述のいずれかの液晶組成物を用いたスー
パーツイステッドネマチック(STN)液晶表示素子は、以
下の形態が好ましい。ねじれ角は180〜270°の範囲であ
るが、220〜260°の範囲が更に好ましく、230〜250°の
範囲が特に好ましい。また、本発明の液晶表示素子は、
-20〜50℃の駆動温度範囲において、下記条件(i)を満た
すことを特徴とするスーパーツイステッドネマチック(S
TN)液晶表示素子であることを特徴とする。つまり、 (i)dV/dT≦7mV/℃(温度範囲-20℃〜50℃) 但し、dV/dT = |(Vth(50℃)- Vth(-20℃))/(50℃ -
(-20℃))| 従来のSTN表示素子に比べ、使用温度範囲である-20〜50
℃において、閾値電圧がわずか7mV/℃以下の温度依存
性しか持たないため、広い温度範囲にわたって、高いコ
ントラストによる表示が可能となった。 (i)閾値電圧Vthの温度依存性dV/dTは7mV/℃以下が好
ましく、6mV/℃以下が更に好ましい。温度範囲が低温
側(-20〜25℃)においては、閾値電圧の温度依存性は、5
mV/℃以下が好ましい。また、高温側(25〜50℃)におい
ては、閾値電圧の温度依存性は、9mV/℃以下が好まし
い。
【0035】更に、本発明の液晶表示素子は、下記条件
(ii)を満たすことを特徴とするスーパーツイステッドネ
マチック(STN)液晶表示素子であることを特徴とする。 (ii)τ25℃ ≦ 200 msec (25℃における応答速度) 25℃における応答速度は、200msec以下が好ましく、ま
た、-20℃における応答速度は、2000msec以下が好まし
い。
【0036】また、本発明の液晶組成物を使用したSTN
液晶表示素子は、急峻性γが非常に優れており、γ≦1.
08 となるため、良好なコントラストが得られる。但
し、γ= Vth / Vsat ( Vth:閾値電圧、Vsat:飽和電
圧) また、急峻性γは、1.08以下であるが、1.07以下が好ま
しく、1.05以下が特に好ましい。-20〜50℃の温度範囲
での急峻性γの最大値と最小値の比は、3%以下にするこ
とができるが、2%以下にすることがより好ましい。な
お、本発明の液晶表示素子は、以上詳述した条件(i)又
は(ii)を同時に満たすことが特に好ましい。
【0037】本発明の液晶組成物は、上記一般式(I)〜
(IV)で表される化合物以外に、通常のネマチック液晶、
スメクチック液晶、コレステリック液晶、カイラル剤な
どを含有していてもよい。
【0038】上述ネマチック液晶組成物はTN-LCDやSTN-
LCDに有用であるが、特にSTN-LCDとして有用であり、例
えば、1/32〜1/480Duty、より好適には1/64〜1/240
Dutyの表示において特性改善に効果があり、次世代携帯
電話などに求められている表示容量の増大や動画対応カ
ラーなどの高い特性を有した液晶表示素子(STN-LCD)を
提供することができる。このとき、液晶表示素子は透過
型、半透過型又は反射型などのいずれであってもよい。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。また、以下の実施例及び比較例の組成物における
「%」は『質量%』を意味する。
【0040】実施例中、測定した特性は以下の通りであ
る。 TN-I :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃) T→N :固体相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度(℃) η :20℃での粘度(mPa・s) Δn :複屈折率 Vth :セル厚d(μm)のSTN-LCDを構成した時の閾値電圧(V) セル厚d(μm)は、Δn・d=0.90 の関係式よりきまる。 (Vthは透過率が90%のときの駆動電圧) Vsat :セル厚d(μm)のSTN-LCDを構成した時の飽和電圧(V) (Vsatは透過率が10%のときの駆動電圧) γ :25℃における急峻性 γ=Vsat/Vth τ 25℃ :STN-LCDに注入したときの25℃における応答速度(msec) τ-20℃ :STN-LCDに注入したときの-20℃における応答速度(msec) Ir :STN-LCDに注入し、25℃で16時間紫外線照射(サンテスト)後、 200Hz、2.5V矩形波印加時の電流値 (μA/cm2) dV/dTa℃〜b℃: a℃〜b℃における閾値電圧の温度依存性
【0041】
【数2】
【0042】STN-LCD表示素子の作成は以下のように行
った。ネマチック液晶組成物にカイラル剤「S-811」(メ
ルク社製)を添加して混合液晶を調製し、対向する平面
透明電極上に「サンエバー150」(日産化学社製)の有機
膜をラビングして配向膜を形成したツイスト角240°のS
TN-LCD表示用セルに注入した。なお、カイラル剤は、カ
イラル剤の添加による混合液晶の固有らせんピッチPと
表示用セルのセル厚dが、Δn・d=0.90、d/P=0.50とな
るように添加した。
【0043】化合物の記載に下記の略号を使用する。 -末端のn(数字) : -CnH2n+1 ndm- : CnH2n+1-CH=CH-(CH2)m-1- -T- : -C≡C- -ndm : -(CnH2n+1-CH=CH-(CH2)m-1) -Z- : -CH=N-N=CH- -On : -OCnH2n+1 -VO- : -COO- -CN : -C≡N -F : -F
【0044】
【化13】
【0045】例えば、以下に示すように略号を用いる。
【0046】
【化14】
【0047】(実施例1、2・比較例1)ネマチック液晶
組成物No.1、No.2を調製し、この組成物の諸特性を測定
した結果を比較例1と共に表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】比較例1の3-Cy-Ph-CNを5-Ma-Ph3-CNに置換
することにより、閾値電圧の温度依存性dV/dTが-20℃
〜25℃の低温領域でも、25℃〜50℃の高温領域でも改善
されていることがわかる。さらに、25℃での応答速度τ
も220msecから182msec、161msecと格段に改善されてい
る。なお、測定は1/64Dutyで行った。実施例1及び2に
おいて、電流値Irはそれぞれ0.25μA/cm2以下であっ
た。
【0050】(実施例3、4)ネマチック液晶組成物No.
3、No.4を調製し、この組成物の諸特性を測定した結果
を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】3-Ma-Ph3-CNを4%、5-Ma-Ph3-CNを4%、0d3-
Ph-Z-Ph-(0d3)を15%含有した液晶組成物No.3及び3-Ma-P
h3-CNを4%、0d1-Cy-Ph3-CNを4%、0d3-Ph-Z-Ph-(0d3)を1
5%含有した液晶組成物No.4は、25℃での応答速度τが16
1msecまたは104msecという高速応答であった。このと
き、急峻性γは1.050又は1.062であり、充分に高いコン
トラストが得られた。閾値電圧の温度依存性dV/dTは-2
0℃〜25℃の低温領域において、3.0(mV/℃)又は2.8(mV
/℃)という非常に小さな値を示した。なお、測定は1/
80Dutyで行った。
【0053】以上の結果から本発明による液晶組成物
は、駆動電圧の温度依存性を改善し、コントラストが高
く、応答速度も速く、現在の液晶組成物が持つ問題点を
軽減していることがわかる。
【0054】
【発明の効果】本発明の液晶化合物の組み合わせによっ
て、駆動電圧の温度依存性を改善し、コントラスト(急
峻性)が高く、レスポンスも速く、現在の液晶組成物が
持つ問題点を軽減できる液晶組成物が得られた。具体的
には、所望の閾値電圧や時分割駆動(Duty)に対して液晶
諸特性を悪化させることなく、閾値電圧の温度依存性を
改善し、より広い温度範囲で安定した高いコントラスト
を有し、室温及び低温域での応答速度を改善することが
できた。次世代携帯電話などに求められている表示容量
の増大や、動画対応カラーなどの高い表示特性を有した
液晶表示素子(STN-LCD)を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 博之 埼玉県さいたま市大原1−8−4 (72)発明者 高津 晴義 東京都東大和市仲原3−6−27 Fターム(参考) 2H089 QA06 RA10 SA07 4H027 BA01 BB04 BD02 BD03 BD05 BD06 BD07 BD08 BD20 BD23 BE05 CB01 CB02 CM01 CM04 CN01 CT02 CT04 CW02 DE04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一成分として、一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜16のアルキル基又はアルコキ
    シル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又はアルコキ
    シアルキル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基
    を表す。)から選ばれる化合物を1種又は2種以上を含有
    し、第二成分として、一般式(II) 【化2】 (式中、R2、R3はそれぞれ独立的にフッ素置換されてい
    ても良い炭素原子数1〜16のアルキル基又はアルコキシ
    ル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基を表す。)から選
    ばれる化合物を1種又は2種以上を含有し、なおかつネマ
    チック相−等方性液体相転移温度が75〜130℃の範囲で
    あり、スメクチック相又は固体相-ネマチック相転移温
    度が-60〜-20℃の範囲であり、屈折率異方性(Δn)が0.0
    7〜0.30の範囲であることを特徴とする液晶組成物。
  2. 【請求項2】 一般式(I)から選ばれる化合物の含有率
    が2〜20質量%の範囲であり、一般式(II)から選ばれる化
    合物の含有率が5〜30質量%の範囲である請求項1記載の
    液晶組成物。
  3. 【請求項3】 前記液晶組成物において、一般式(II
    I) 【化3】 (式中、R4、R5はそれぞれ独立的にフッ素置換されてい
    ても良い炭素原子数1〜16のアルキル基又はアルコキシ
    ル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又はアルコキシ
    アルキル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基を
    表し、環A、環B及び環Cはそれぞれ独立的に1,4-フェニ
    レン基、2又は3-フルオロ-1,4-フェニレン、2,3-ジフル
    オロ-1,4-フェニレン、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレ
    ン、2,6-ジフルオロ-1,4-フェニレン、2-メチル-1,4-フ
    ェニレン基、3-メチル-1,4-フェニレン基、ナフタレン-
    2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、フルオ
    レン-2,7-ジイル基、トランス-1,4-シクロヘキシレン
    基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、
    デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、トランス-1,3ジ
    オキサン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリ
    ミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基またはピ
    リダジン-2,5-ジイル基を表し、これらの環はF、Cl、CH
    3で1つ又は2つ置換されていてもよい。lは0、1又は2を
    表し、Z1、Z2は単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH
    2O-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-又はC≡C-表す。)から選ば
    れる化合物を1種又は2種以上を含有する請求項1又は2記
    載の液晶組成物。
  4. 【請求項4】 一般式(III)から選らばれる化合物の含
    有率が5〜85質量%の範囲である請求項3記載の液晶組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記液晶組成物において、一般式(IV) 【化4】 (式中、R6はフッ素置換されていても良い炭素原子数1〜
    16のアルキル基又はアルコキシル基、炭素原子数2〜16
    のアルケニル基又はアルコキシアルキル基、炭素原子数
    3〜16のアルケニルオキシ基を表し、mは0又は1を表し、
    X1はF、Cl、CF3、OCF3又はCNを表し、Y1、Y2はF又はHを
    表す。)から選ばれる化合物を1種又は2種以上を含有す
    る請求項1〜4のいずれかに記載の液晶組成物。
  6. 【請求項6】 一般式(IV)から選らばれる化合物の含有
    率が5〜60質量%の範囲である請求項5記載の液晶組成
    物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の液晶組成
    物を用いた液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の液晶組成
    物を用いたツイスト角が180〜270°であるスーパーツイ
    ステッドネマチック(STN)液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 -20℃〜50℃の駆動温度範囲に対して、
    条件式(i)を満たす請求項7又は8記載の液晶表示素子。 (i) dV/dT ≦ 7 mV/℃(温度範囲-20℃〜50℃) 但し、dV/dTa℃〜b℃は、a℃〜b℃における閾値電圧の
    温度依存性を示す。 【数1】
  10. 【請求項10】 条件式(ii)を満たす請求項7〜9のいず
    れかに記載の液晶表示素子。 (ii) τ25℃ ≦ 200 msec (25℃における応答速度)
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