JP2003070791A - 超音波内視鏡の先端部 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】超音波走査方向の背面側へのバルーンの膨らみ
を確実に規制することができ、しかも挿入部先端の前方
寄りの方向を超音波走査することができ、かつ挿入部先
端を短く形成することもできる超音波内視鏡の先端部を
提供すること。 【解決手段】バルーン１０をサック状に形成してその口
元を挿入部の先端１に緊縛固定できるようにすると共
に、挿入部の先端１にバルーン１０が取り付けられた状
態のときにバルーン１０の内側になる位置であって超音
波走査方向Ｕの背面にあたる挿入部の先端１の側面位置
に溝６を形成して、超音波走査方向Ｕの背面方向にバル
ーン１０が膨らむのを規制するためのバルーン押さえ部
材２０の突出部２０ａを、バルーン１０の外面側から溝
６に弾力的に係合させることにより、バルーン押さえ部
材２０の翼状部２０ｂがバルーン１０の外面に当てがわ
れた状態になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、液体を送り込ん
で膨らませるためのバルーンを、超音波プローブを囲ん
で取り付けるようにした超音波内視鏡の先端部に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】超音波プローブで体腔内の断層像を得よ
うとする場合、超音波プローブの焦点深度等との関係か
ら、超音波プローブと被検部との間には、一般に少なく
とも２〜３cm程度の間隔をとる必要がある。

【０００３】また、超音波は液体中は伝わり易いが空気
中は伝わり難いので、超音波プローブと被検部との間
を、超音波伝達性のよい脱気水等の液体で充満させる必
要がある。

【０００４】そこで超音波内視鏡においては、一般に、
超音波プローブが設けられた挿入部の先端を囲むように
膨縮自在なバルーンを設けて、脱気水等のような液体を
注入して膨らませたバルーンを被検体に押しあてて用い
るようにしている。

【０００５】そのようなバルーンを膨らませる場合、バ
ルーン内への液体注入量はできるだけ少ないことが望ま
しく、且つ目的部位に対してバルーンが広い面積で接触
して超音波プローブとの間に適当な間隔がとれることが
望ましい。

【０００６】そこで、バルーンを挿入部先端の超音波発
受信方向の背面側の面に粘着させて、バルーンが超音波
発受信方向に、より大きく膨らむようにしたものがあっ
た。しかし、バルーンの内面を挿入部先端の側面に粘着
させるのは、その作業がはなはだ煩わしく、粘着状態が
不確実になって使用中に外れてしまいがちである。

【０００７】そこで従来は、例えば図８に示されるよう
に、超音波内視鏡の挿入部先端である先端部本体１にバ
ルーンを固定するためのバルーン固定部材９０として、
バルーンを緊縛固定する前後一対のＯリング部９０ａ，
９０ｂを曲板状の連結部９０ｃで一体的に連結して、連
結部９０ｃによりバルーンの背面方向への膨らみを規制
したものがある（特開平５−２９３１０５号）。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のような
従来の超音波内視鏡の先端部では、図９に示されるよう
に、前後一対のＯリング部９０ａ，９０ｂによってバル
ーン１０の前後両端を先端部本体１に緊縛固定すること
から、先端部本体１が長くなって患者が挿入時に受ける
苦痛が大きくなるだけでなく、先側のＯリング９０ａの
存在によって超音波走査範囲Ｕを前方寄りに向けること
ができない欠点がある。

【０００９】そこで本発明は、超音波走査方向の背面側
へのバルーンの膨らみを確実に規制することができ、し
かも挿入部先端の前方寄りの方向を超音波走査すること
ができ、かつ挿入部先端を短く形成することもできる超
音波内視鏡の先端部を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の超音波内視鏡の先端部は、挿入部の先端
に、その側方から前方寄りの方向にわたって扇状に超音
波を発受信走査する超音波プローブが配置されて、膨縮
自在なバルーンが挿入部の先端を囲む状態に着脱自在に
取り付けられ、バルーン内に液体を送り込んでバルーン
を膨らませるようにした超音波内視鏡の先端部におい
て、バルーンをサック状に形成してその口元を挿入部の
先端に緊縛固定できるようにすると共に、挿入部の先端
にバルーンが取り付けられた状態のときにバルーンの内
側になる位置であって超音波走査方向の背面にあたる挿
入部の先端の側面位置に溝を形成し、バルーンの外面側
からバルーンを間に挟むように溝に弾力的に係脱させる
ことができる突出部と、突出部が溝に係合しているとき
にバルーンの外面に当てがわれた状態になってバルーン
の外方への膨らみを規制する翼状部とを一体的に形成し
たバルーン押さえ部材により、バルーンが超音波走査方
向の背面方向に膨らむのを規制するようにしたものであ
る。

【００１１】なお、溝が、挿入部の軸線と平行方向に挿
入部の先端の側面に形成されていてもよい。

【００１２】

【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施例を
説明する。図４は、後述するバルーンが取り付けられて
いない状態の超音波内視鏡の挿入部の先端の正面図、図
５はその部分断面側面図であり、体内に挿入される挿入
部可撓管の先端に連結された先端部本体１の中間位置付
近に形成された斜面２に、光学観察窓等が配置されてい
る。

【００１３】先端部本体１の先側半部には、超音波を扇
状に発受信走査するコンベックスタイプの超音波プロー
ブ３が配置されている。４はその表面の音響レンズ部で
あり、先端部本体１の側方から前方にわたる範囲（超音
波走査範囲Ｕ）が超音波走査される。

【００１４】先端部本体１には、弾力性のある材料から
なるＯリングを係合させるための円周溝５が、超音波プ
ローブ３の後端と斜面２との間の位置に形成されてい
て、そこにバルーンの一端を緊縛固定することができ
る。

【００１５】先端部本体１の側面の超音波走査方向の背
面にあたる位置には、先端部本体１の軸線と平行方向に
直線溝６が形成されている。この直線溝６は、図４に示
されるように、最大幅より口元幅の方が細く括れた断面
形状に形成されている。

【００１６】また、先端部本体１の先側半部の側壁面に
開口する送排水口７からは、挿入部可撓管内に挿通配置
された送排水路を介して、手元側からの操作によって脱
気水等の液体を任意に送排出することができる。

【００１７】図６は、上述のようなバルーン１０を先端
部本体１に取り付ける際の状態を示しており、弾力性の
あるゴム材等によってサック状に形成されたバルーン１
０内に先端部本体１を差し込み、円周溝５に対してバル
ーン１０の外側からＯリング１１を係合させる。

【００１８】そのようにして、バルーン１０の口元部分
が円周溝５部分に緊縛固定され、先端部本体１に取り付
けられたバルーン１０をそのまま膨らませると、図７に
示されるようにバルーン１０が全方向に大きく膨らんで
しまう。

【００１９】図３は、バルーン１０が超音波走査方向の
背面方向に膨らむのを規制するためのバルーン押さえ部
材２０を示しており、バルーン１０を間に挟んでバルー
ン１０の外面側から直線溝６に係合する突出部２０ａ
と、その突出部２０ａから翼状に両側に広がってバルー
ン１０の外面に当てがわれる翼状部２０ｂとが一体的に
形成されている。

【００２０】なお、突出部２０ａは直線溝６に対してバ
ルーン１０を間に挟んだ状態でがたつきなく嵌まり込む
断面形状に形成されていて、弾性変形することにより直
線溝６の括れた入口部を通過できるように、弾力性のあ
る例えば中程度の硬度のゴム材などによって形成されて
いる。

【００２１】図２は、バルーン押さえ部材２０を直線溝
６に係合させてバルーン１０を膨らませた状態を示し、
図１はそのＩ−Ｉ断面を示しており、バルーン押さえ部
材２０の突出部２０ａと直線溝６との間にバルーン１０
が挟み付けられた状態で、バルーン押さえ部材２０の突
出部２０ａがバルーン１０の外面側から直線溝６に係合
している。このようにして、バルーン押さえ部材２０が
先端部本体１に確実に取り付けられる。

【００２２】そして突出部２０ａが直線溝６に係合した
状態では、全方向に広がろうとするバルーン１０が、突
出部２０ａから左右両側に広がった翼状部２０ｂによっ
て外面側から押さえ付けられ、その結果、超音波走査方
向の背面側へのバルーン１０の膨らみが確実に規制され
る。

【００２３】このようにして、バルーン１０は超音波走
査方向には自由に大きく膨らみ、その背面側にはほとん
ど膨らまないので、バルーン１０を少ない注水量で大き
く膨らませることができる。

【００２４】また、超音波プローブ３の音響レンズ部４
を先端部本体１の先端まで回り込むように配置すること
ができるので、図２に例示されるように、先端部本体１
の前方寄りの方向まで超音波走査範囲Ｕに含めて、優れ
た走査能を得ることができる。

【００２５】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、例えばバルーン押さえ部材２０の突出部２
０ａと直線溝６の形状等は、曲線的、分散的等各種の態
様をとることができる。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、超音波走査方向の背面
にあたる挿入部の先端の側面位置に形成された溝に、バ
ルーン押さえ部材の突出部をバルーンの外面側から弾力
的に係合させることにより、バルーン押さえ部材の翼状
部がバルーンの外面に当てがわれた状態になって、超音
波走査方向の背面側へのバルーンの膨らみを確実に規制
することができ、しかも、挿入部先端の前方を超音波走
査する妨げにならないので優れた走査能を得ることがで
き、また、挿入部先端を短く形成することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の超音波内視鏡の先端部のバル
ーンが膨らんだ状態の正面断面図（図２におけるＩ−Ｉ
断面図）である。

【図２】本発明の実施例の超音波内視鏡の先端部のバル
ーンが膨らんだ状態の側面略示図である。

【図３】本発明の実施例のバルーン押さえ部材の斜視図
である。

【図４】本発明の実施例の超音波内視鏡の先端部のバル
ーンが取り付けられていない状態の一部を断面で示す正
面図である。

【図５】本発明の実施例の超音波内視鏡の先端部のバル
ーンが取り付けられていない状態の一部を断面で示す側
面図である。

【図６】本発明の実施例の超音波内視鏡の先端部のバル
ーンを取り付ける際の状態を示す側面図である。

【図７】本発明の実施例の超音波内視鏡の先端部のバル
ーン押さえ部材が取り付けられていない状態でバルーン
が膨らまされた状態の側面略示図である。

【図８】従来の超音波内視鏡の先端部のバルーンを取り
付ける前の状態を示す側面図である。

【図９】従来の超音波内視鏡の先端部のバルーンが膨ら
んだ状態の側面略示図である。

【符号の説明】

１ 先端部本体 ３ 超音波プローブ ４ 音響レンズ部 ５ 円周溝 ６ 直線溝 ７ 送排水口 １０ バルーン ２０ バルーン押さえ部材 ２０ａ 突出部 ２０ｂ 翼状部 Ｕ 超音波走査範囲

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4C301 EE11 EE13 FF04 FF15 GA01 GC02 GC11 GC16 4C601 EE09 EE11 FE01 GA01 GC01 GC02 GC09 GC10 GC11 GC13 GC17

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】挿入部の先端に、その側方から前方寄りの
   方向にわたって扇状に超音波を発受信走査する超音波プ
   ローブが配置されて、膨縮自在なバルーンが上記挿入部
   の先端を囲む状態に着脱自在に取り付けられ、上記バル
   ーン内に液体を送り込んで上記バルーンを膨らませるよ
   うにした超音波内視鏡の先端部において、 上記バルーンをサック状に形成してその口元を上記挿入
   部の先端に緊縛固定できるようにすると共に、上記挿入
   部の先端に上記バルーンが取り付けられた状態のときに
   上記バルーンの内側になる位置であって上記超音波走査
   方向の背面にあたる上記挿入部の先端の側面位置に溝を
   形成し、上記バルーンの外面側から上記バルーンを間に
   挟むように上記溝に弾力的に係脱させることができる突
   出部と、上記突出部が上記溝に係合しているときに上記
   バルーンの外面に当てがわれた状態になって上記バルー
   ンの外方への膨らみを規制する翼状部とを一体的に形成
   したバルーン押さえ部材により、上記バルーンが上記超
   音波走査方向の背面方向に膨らむのを規制するようにし
   たことを特徴とする超音波内視鏡の先端部。
2. 【請求項２】上記溝が、上記挿入部の軸線と平行方向に
   上記挿入部の先端の側面に形成されている請求項１記載
   の超音波内視鏡の先端部。