JP2003067887A - 自律分散型信号制御システム - Google Patents

自律分散型信号制御システム

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JP2003067887A
JP2003067887A JP2001257304A JP2001257304A JP2003067887A JP 2003067887 A JP2003067887 A JP 2003067887A JP 2001257304 A JP2001257304 A JP 2001257304A JP 2001257304 A JP2001257304 A JP 2001257304A JP 2003067887 A JP2003067887 A JP 2003067887A
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signal control
autonomous distributed
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JP2001257304A
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Etsushi Nishimae
悦史 西前
Hisaharu Takeuchi
久治 竹内
Shigetaka Hosaka
重孝 穂坂
Hiroyuki Iba
博之 射場
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 制御エリア全体の各交差点の信号制御装置が
自律的に制御パターンを算出し、エリア全体の交通状況
を反映した制御を行うことができる自律分散型信号制御
システムを提供する。 【解決手段】 本システムは、制御エリアの各交差点1
をそれぞれ制御するローカルステーション2と、交差点
1のうちから交通状況に応じて基軸交差点(1)を逐
次自動的に選択する基軸交差点決定手段2、31とを備
えている。基軸交差点は自己を中心とした隣接交差点1
を含む範囲の交通状況に基づいて、信号制御パターンを
自己独立的に作成する。他の交差点は基軸交差点
(1)の制御パターンに協調しながら自己の制御パタ
ーンを作成する。マスターステーション31は各ローカ
ルステーション2と通信回路で接続され動作状況の監視
と制御指針の決定を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自律分散型信号制
御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】信号灯器の制御パターンの最適化は、道
路交通を円滑にする上で重要である。信号灯器の制御パ
ターンは、サイクル長、スプリット、オフセットの3つ
の制御パラメータにより決定される。サイクル長とは、
信号灯器の制御周期である。スプリットとは、信号灯器
が青である時間の、サイクル長に占める割合である。オ
フセットは、隣接する交差点に設けられた信号灯器が青
になる時間のずれである。これらの制御パラメータを最
適化する信号制御システム及び信号灯器制御方法の開発
が進められている。
【0003】信号制御システムの一として、多数の信号
灯器が中央信号制御装置に接続され、その中央信号制御
装置が各信号灯器の制御パターンを定める信号制御シス
テムが知られている。当該信号制御システムは、管理す
る領域全体について大局的な状況判断を行い、エリア全
体の制御を行う。当該信号制御システムでは、予め幾つ
かの制御パターンを用意しておき、計測した交通量に応
じて用意したパターンの1つを選択して実行する方法が
主流となっている。しかし、この方法は、交通状況の変
化に応じて用意するパターンを定期的に見なおす必要が
あり、交通量調査等を行って用意するパターンを作成す
る保守作業が必要となる。また、交通状況の変化に応じ
て制御パターンを逐次自動的に生成するならば、中央信
号制御装置が行うべき計算量が膨大で複雑となることか
ら右左折の分岐などの細かな交通状況にリアルタイムに
対応させにくい。
【0004】また、他の信号制御システムとして、個々
の信号灯器について個別に予め制御パターンが定めら
れ、各信号灯器は、その制御パターンに従って動作する
信号制御システムが知られている。しかし、この信号制
御システムでは、各信号灯器は、予め決められた動作を
することしかできず、予期しない交通量の増減に対応で
きない。
【0005】しかし、制御エリアの全交差点を、安定的
に、且つ、最適に制御可能な自律分散制御は、実用化さ
れていないのが現状である。全交差点を安定的に動かす
ための調整するべきパラメータが存在し、その調整ノウ
ハウが必要となると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、中央
信号制御装置で構成される大規模な管制センター設備を
持たずに、制御エリア全体の交通状況の変化に応じて、
各交差点の信号制御装置が自律的に制御パターンを算出
し、エリア全体を安定的に、且つ、最適に制御を行うこ
とができる自律分散型信号制御システムを提供すること
にある。
【0007】本発明の更に他の目的は、交通状況の変化
に応じた制御パターンを自動的に算出することにより、
定期的なパラメータ再調整を不要にし、保守費用を大幅
に削減できる自律分散型信号制御システムを提供するこ
とにある。
【0008】本発明の更に他の目的は、各交差点は自律
的に制御を行うものエリア全体の状況を判断することは
できないため、簡易的な中央装置を用意してエリア全体
の制御指針を各交差点に当てることにより大局的な最適
化を達成することにある。また、中央装置を介して運用
者が信号制御に介入できることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】以下に、[発明の実施の
形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決す
るための手段が説明される。これらの番号・符号は、
[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載と
の対応関係を明らかにするために付加されている。但
し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載
されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならな
い。
【0010】本発明による自律分散型信号制御システム
は、制御エリアの各交差点(1)にそれぞれ設けられた
信号灯器(3、4)と、各交差点(1)にそれぞれ設け
られ、前記信号灯器(3、4)をそれぞれ制御するロー
カルステーション(2)と、交差点(1)のうちから交
通状況に応じて基軸交差点(1)を逐次自動的に選択
する基軸交差点決定手段(2、31)とを備えている。
ローカルステーション(2)のうちの基軸交差点
(1)に選択された基軸ローカルステーション
(2 )は、基軸交差点(1)を中心とした隣接交差点
(1)を含む範囲の交通状況に基づいて、基軸交差点
(1)を制御する制御パターンを自己独立的に作成す
る。ローカルステーション(2)のうち、基軸交差点
(1)以外である協調交差点(1〜1)に選択され
た協調ローカルステーション(2〜2)のそれぞれ
は、基軸交差点(1)の制御パターンに協調しなが
ら、それぞれが設けられた協調交差点(1〜1)の
交通状況に基づいて、協調交差点(1〜1)の制御
パターンを作成する。当該自律分散型信号制御システム
は、ローカルステーション(2)のそれぞれと通信回線
(32)で接続可能であり、制御エリア全体の動作状況
の監視、あるいは、制御エリア全体の政策的な制御指針
を決定しローカルステーション(2)に指示可能なマス
ターステーション(31)を持つ。
【0011】ローカルステーション(2)のそれぞれ
は、マスターステーション(31)との通信が途絶した
とき、ローカルステーション(2)間の協調により制御
パターンを作成可能であることが好ましい。例えば、マ
スターステーション(31)が故障したとき、マスター
ステーション(31)がメンテナンスのために停止して
いるとき、又は通信回線(32)が故障しているときに
は、ローカルステーション(2)とマスターステーショ
ン(31)との通信は途絶する。このような場合に、ロ
ーカルステーション(2)間の協調により制御パターン
を作成可能であることにより、信号灯器(3、4)の制
御が途絶する事態が防がれる。
【0012】他の交差点(1)に新規信号灯器と新規
ローカルステーション(2)とを設け、新規ローカル
ステーション(2)を通信回線(32)に接続すること
により、前記制御エリアに前記他の交差点(1)を追加
することが可能なことが好ましい。
【0013】前記マスターステーション(31)は、制
御エリア全体の交通状況に基づき、制御エリア全体とし
て最適となる制御指針を計算し、各ローカルステーショ
ン(2)に制御指針を与え、ローカルステーション
(2)のそれぞれは、前記制御指針に基づいて、前記制
御パターンを求めることが好ましい。
【0014】前記制御指針は、制御指針サイクル長(C
)と、制御指針サイクル長(C)の許容範囲である
サイクル長許容範囲(ΔC)と、制御エリア内のリン
クそれぞれの制御指針オフセット(O )と、制御指
針オフセット(O )の許容範囲であるオフセット許
容範囲(ΔO )と、制御エリア内の交差点(1)そ
れぞれの制御指針スプリット(S)と、制御指針スプ
リット(S)の許容範囲であるスプリット許容範囲
(ΔS)とを含むことが好ましい。
【0015】制御指針は、制御エリア内のリンクそれぞ
れの交通流率の目標値である目標交通流率と、目標交通
流率の許容範囲である目標交通流率範囲とを含むことが
好ましい。
【0016】前記マスターステーション(31)は、前
記制御エリア内にある出発地と目的地との組のそれぞれ
について、前記出発地から前記目的地への交通需要の予
測値を求めてOD需要予測を算出し、且つ、前記制御指
針を、前記OD需要予測に基づいて定めることが好まし
い。
【0017】また、当該自律分散型信号制御システム
は、更に、交差点(1)のそれぞれに設けられた光ビー
コンを受信する感知器(5)を備え、前記光ビーコンの
アップリンク情報は、前記制御範囲を走行する車両を識
別する車両IDを含み、マスターステーション(31)
は、アップリンク情報に基づいて、OD需要予測を算出
することが好ましい。
【0018】基軸交差点決定手段(2、31)は、前記
ローカルステーション(2)であり、基軸交差点
(1)は、前記ローカルステーション(2)間のデー
タ交換により定められることが可能である。
【0019】また、基軸交差点決定手段(2、31)
は、前記マスターステーション(31)であることが可
能である。
【0020】前記基軸交差点(1)は、交差点(1)
それぞれの混雑程度に基づいて定められることが可能で
ある。
【0021】マスターステーション(31)は、交差点
(1)それぞれの交通量から交差点(1)それぞれの交
通量の目標値である目標交通流量を定め、前記基軸交差
点(1)は、前記目標交通流量に基づいて定められる
ことが可能である。
【0022】マスターステーション(31)は、前記ロ
ーカルステーション(2)それぞれの動作状態、及び/
又は制御エリア全体の交通状況を監視することが好まし
い。
【0023】前記マスターステーション(31)は、前
記ローカルステーション(2)それぞれの動作状態、及
び/又は前記制御エリア全体の交通状況を監視すること
が好ましい。
【0024】マスターステーション(31)は、運用者
により行われた操作に基づいてローカルステーション
(2)を制御することが好ましい。
【0025】マスターステーション(31)は、制御エ
リアに含まれるリンクのうちの特定リンクの走行を優先
するようにローカルステーション(2)に指示すること
がある。
【0026】マスターステーション(31)は、制御エ
リアに含まれるリンクのうちの特定リンクの走行を規制
するように指示することがある。
【0027】前記マスターステーション(31)は、制
御エリアのうち交通が停滞している事故エリアを検出
し、事故エリアを検出した場合、前記事故エリアを前記
制御範囲から切り離すことが好ましい。
【0028】マスターステーション(31)は、事故エ
リアへの車両の流入を抑制するように制御パターンを定
めることをローカルステーション(2)に指示すること
が好ましい。
【0029】マスターステーション(31)は、緊急車
両に関する通報を受信し、その通報に基づいて、ローカ
ルステーション(2)を制御することが好ましい。
【0030】マスターステーション(31)は、前記緊
急車両が走行するリンクの交通を制御する信号灯器を、
優先的に青にするようにローカルステーション(2)に
指示することが好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明による自律分散型信号制御システムの実施の一形
態を説明する。
【0032】実施の第1形態:本発明による信号制御シ
ステムの実施の第1形態では、図1に示されているよう
に、制御エリア内にある交差点1のそれぞれにローカル
ステーション(LS)2が設けられる。交差点1に接続
する道路は、リンクと呼ばれる。このとき、交差点に車
両が流入するリンクは、流入リンクと呼ばれ、交差点か
ら車両が流出するリンクは、流出リンクと呼ばれること
がある。
【0033】全てのローカルステーション2は、通信回
線32を介してマスターステーション31に接続されて
いる。マスターステーション31は、ローカルステーシ
ョン2の制御に必要な情報を、通信回線32を介してロ
ーカルステーション2に提供する。
【0034】また、ローカルステーション2相互の通信
も通信回線32を介して行われ、ローカルステーション
2相互で、制御に必要な情報が交換される。
【0035】図2は、一の交差点1の詳細図を示す。交
差点1には、ローカルステーション2、信号灯器3、
4、及び感知器5が設けられる。信号灯器3は、交差点
1に横方向に流入する車両のために設けられ、信号灯器
4は、交差点1に縦方向に流入する車両のために設けら
れる。
【0036】感知器5は、交差点1の交通状況を検出す
る。感知器5の検出結果から、交差点1への車両の流入
台数が検知される。感知器5は、光ビーコンを受信可能
である。車両が光ビーコンの車載器を搭載している場
合、光ビーコンのアップリング情報を受信する。そのア
ップリンク情報には、その車両のID番号が含まれてい
る。そのID番号により、感知器5は、車両のそれぞれ
を判別することができる。光ビーコンのアップリンク情
報は、後述されるように、車両の流れの検出と、制御エ
リア内の交通需要の予測に使用される。
【0037】ローカルステーション2は、信号灯器3、
4を制御する。ローカルステーション2には、CPU2
aが設けられ、ローカルステーション2で行われる演算
は、CPU2aにより実行される。ローカルステーショ
ン2は、通信回線32に接続され、その通信回線32を
介してマスターステーション31と他のローカルステー
ション2に接続される。
【0038】当該信号制御システムで行われる制御の論
理構造は、図3に示されているように、上位層、中位層
及び下位層の合計3層に分かれている。上位層、中位
層、及び下位層の制御演算は、それぞれ、周期T、周
期T、及び周期T毎に行われる。ここで、上位層の
制御演算の周期Tは、中位層の制御演算の周期T
り短く、中位層の制御演算の周期Tは、下位層の制御
演算の周期Tよりも短い。周期Tは、典型的には1
5分程度であり、周期Tは、典型的には3分程度であ
り、周期Tは、典型的には、3秒程度である。
【0039】上位層の制御演算では、制御エリア全体の
政策的な制御指針が策定される。制御指針は、制御エリ
ア内の各リンクの目標交通流量及びその許容範囲、並び
に制御指針パターン及びその許容範囲を含む。
【0040】目標交通流率とは、単位時間あたりに通過
する車両の台数の目標値である。その目標交通流率に対
して許容され得る最大値と最小値とが定められ、目標交
通流率の許容範囲が定められる。
【0041】制御指針パターンとは、簡易的に算出され
た、各交差点で行われる制御パターンの最適解に近いと
考えられる解であり、制御エリア全体のサイクル長の指
針である制御指針サイクル長、各交差点のスプリットの
指針である制御指針スプリット、及び各リンクのオフセ
ットの指針である制御指針オフセットと、これらそれぞ
れの許容範囲とで表現される。
【0042】制御指針の策定は、マスターステーション
31により行われる。マスターステーション31は、策
定した制御指針を、通信回線32を介して各ローカルス
テーション2に送信する。後述されるように、各ローカ
ルステーション2は、受信した制御指針を参照しなが
ら、より最適な制御パターンの実行解を算出し、信号灯
器3、4の制御を行う。制御パターンの実行解の算出の
際に制御指針が参照されることにより、エリア全体の大
局的な最適化が図られる。
【0043】より詳細には、上位層の制御演算は、下記
のようにして行われる。まず、OD需要予測が算出され
る。OD需要予測の予測のために、制御エリア内には、
出発地と目的地との組が定められる。OD需要予測は、
その組のそれぞれについて算出された、現時点から所定
のある一定時間後までの、出発地から目的地に向かう交
通需要の予測値から構成される。典型的には、現時点か
ら、15分〜30分間の交通需要の予測値が、OD需要
予測とされる。
【0044】OD需要予測の算出には、既述の光ビーコ
ンのアップリンク情報が用いられる。車両が制御エリア
内を走行すると、感知器5が受信した光ビーコンのアッ
プリンク情報により、その車両のID番号が識別でき
る。そのID番号から、制御エリア内を走行する各車両
の出発地と目的地とが特定される。複数の車両の出発地
と目的地との情報が集約され、過去値データベースに登
録しておく。過去値データベースは曜日、時刻毎にOD
需要を管理しておく。過去値データベースを利用して、
将来15分〜30分のOD需要予測を行う。
【0045】続いて、算出されたOD需要予測から、各
リンクの目標交通流率Qを設定する。OD需要予測に
従って、各車両が最短ルートとなるリンクを通過すると
仮定して、各リンクを通過する単位時間あたりの交通量
を求め、これを目標交通流率とする。但し、目標交通流
率が交差点の処理能力を超える場合には、交差点の処理
能力Q’を目標交通流率の上限値Q maxとして設
定する。迂回路がある場合には、迂回路となるリンクの
交通流率を修正し、迂回する交通量を加算する。
【0046】ここで、交差点の処理能力Q’は、以下
のように求める。 Q’=G×S :対象交差点のリンクk側の信号が青である時間比
率 S:リンクkの飽和交通流率 Gは、対象である交差点に接続する各リンクの目標交
通流率Qの比から算出する。
【0047】このようにして算出された各リンクの目標
交通流率Q及び上限値Q maxは、各ローカルステ
ーション2に送信され、制御パターンの算出に利用され
る。
【0048】続いて、下記の過程により、制御指針パタ
ーンの作成が行われる。まず、制御指針パターンの候補
となる複数の制御指針候補パターンが作成される。制御
指針候補パターンの作成のために、制御指針候補パター
ンのサイクル長の候補として、数パターンの候補サイク
ル長が用意され、制御指針候補パターンのスプリットの
候補として、数パターンの候補スプリットが用意され、
制御指針候補パターンのオフセットの候補として、数パ
ターンの候補オフセットが用意される。候補オフセット
は、候補サイクル長に対する比率(単位は%)で表現さ
れる、
【0049】候補サイクル長、候補スプリット、及び候
補オフセットは、それぞれ、ある値を公差とする等差数
列で与えられる。例えば、10s毎に、60s、70
s、…、150sの10個の候補サイクル長が用意さ
れ、25%毎に0%、25%、50%、75%の4つの
候補オフセットが用意される。用意された候補サイクル
長、候補スプリット、及び候補オフセットが組み合わさ
れて、複数の制御指針候補パターンが作成される。
【0050】このとき、制御指針パターンの策定に必要
な演算量を減少するために、下記の条件の下に制御指針
候補パターンが作成される。第1に、用意された候補サ
イクル長のうち、最も交通量負荷率λの大きい交差点の
必要サイクルCmin以上のもののみが組合せに使用さ
れる。ここで、必要サイクルCminは、
【数1】 L:損失時間合計(信号が黄である時間と、全ての方向
の信号が赤である時間との合計)で定義される値であ
る。ある交差点の交差点負荷率λは、図4を参照して、
次式:
【数2】 で定義される。但し、λ〜λは、交差点に車両が流
入する流入点7〜7の負荷率であり、
【数3】 :流入点7において計測された交通流率[台/
秒] s:流入点7の飽和交通流率[台/秒] R:流入点7において計測された捌け残り台数
[台] T:捌け残り処理時間の目標値(秒) で定義される。ここで、交通流率は、単位時間あたりに
通過する車両の台数である。飽和交通流率とは、単位時
間あたりにリンクが通過しうる最大の車両の台数であ
る。捌け残り台数とは、信号が青から赤になったとき
に、交差点を通過できずに残された車両の台数である。
捌け残り処理時間の目標値Tは、捌け残りが発生したと
きに、その後、どれぐらいの時間でその捌け残りを解消
するかを設定するパラメータである。
【0051】上記の交差点負荷率λは、信号が同時に青
になる2つの流入点の負荷率のうち、大きな方の和であ
る。流入点7と流入点7とは、互いに対向する位置
にあり、流入点7と流入点7との信号は同時に青に
なる。同様に、流入点7と流入点7は、互いに対向
する位置にあり、その信号は同時に青になる。交差点負
荷率λは、流入点7と流入点7の負荷率のうちの大
きい方と、流入点7と流入点7の負荷率のうちの大
きい方との和で定義される。
【0052】各ローカルステーション2は、それが設置
された交差点の交差点負荷率λをそれぞれ算出し、マス
ターステーション31に通知する。マスターステーショ
ン31は、通知された交差点負荷率λから、交差点負荷
率λが最大である交差点の必要サイクルCminを算出
する。
【0053】マスターステーション31は、用意された
候補サイクル長のうち、最も交通量負荷率λの大きい交
差点の必要サイクルCmin以上のもののみを組み合わ
せて、上述の制御指針候補パターンを作成する。必要サ
イクルCminよりも短いサイクル長は、最も負荷率λ
の大きい交差点の交通量を捌くことを考慮した場合、明
らかに最適でない。このようなサイクル長を含む制御指
針候補パターンは作成されず、これにより、制御指針候
補パターンの数が減らされている。
【0054】第2に、距離が所定の基準長よりも短いリ
ンクの制御指針候補オフセットは、全て0とされ、その
リンクについては、複数の候補オフセットは用意されな
い。距離が短いリンクのオフセットが大きな値をとるこ
とは、交通量の制御上、好ましくない。距離が所定の基
準長よりも短いリンクの制御指針候補オフセットは、全
て0とされ、制御指針候補パターンの数が減らされてい
る。
【0055】第3に、交差点を結ぶリンクのうち、目標
交通流率が所定の基準値よりも少ないリンクの制御指針
候補オフセットは、そのリンクの長さと、サイクル長と
の関数である、ある値にされる。交通量が少ないリンク
は、交通の最適制御の上で全体に及ぼす影響が少ない。
従って、このようなリンクのオフセットは、簡単なルー
ルで決定され、制御指針候補パターンの数が減らされて
いる。
【0056】第4に、複数のリンクにより閉ループが構
成される場合、図5(a)に示されているように、その
閉ループを構成するリンクのオフセットの和は100%
の倍数であるように、制御指針候補オフセットは定めら
れる。図5(b)に示されているような、閉ループを構
成するリンクのオフセットの和が100%の倍数でない
制御指針候補オフセットは採用されない。交通の最適制
御においては、閉ループを構成するリンクのオフセット
の和は100%の倍数が最適である。従って、閉ループ
を構成するリンクのオフセットの和が100%の倍数と
ならないオフセットの組は、制御指針候補パターンに含
められない。これにより、制御指針候補パターンの数が
減らされている。
【0057】作成された制御指針候補パターンのそれぞ
れについて、制御エリアに含まれる全リンクのうち、目
標交通流率が所定の基準値より多い主要リンクで発生す
る遅れ時間の総和が算出され、算出された遅れ時間の総
和が最も小さいものが、制御指針パターンと定められ
る。このとき、目標交通流率が所定の基準値より多いリ
ンクのみが遅れ時間の対象とされることにより、制御指
針パターンの策定の際の演算量の削減が図られている。
【0058】更に、マスターステーション31は、算出
された制御指針パターンの許容範囲を定める。マスター
ステーション31は、制御指針パターンの制御指針サイ
クル長Cについて許容範囲ΔCを定め、各交差点1
の制御指針スプリットS について、それぞれ許容範
囲ΔS を定め、各リンクの制御指針オフセットO
について、それぞれ許容範囲ΔO を定める。許容
範囲ΔCは、等差数列である候補サイクル長の公差に
一致するように定められる。上述された例のように、1
0s毎に、60s、70s、…、150sの10個の候
補サイクル長が用意される場合には、許容範囲ΔC
は、候補サイクル長の公差に等しい10sである。同
様に、許容範囲ΔS は、候補スプリットの公差に一
致するように定められ、許容範囲ΔO は、候補オフ
セットの公差に一致するように定められる。
【0059】各交差点の制御パターンの算出の際には、
制御エリアの全ての交差点1のサイクル長は、Cを中
心としたC−ΔCからC+ΔCの範囲で定めら
れる。更に、各交差点1のスプリットは、S を中心
としたS −S からS +ΔS の範囲で定
められ、各リンクのオフセットは、O を中心とした
−O からO +ΔO の範囲で定められ
【0060】以上で、上位層の制御演算が完了する。
【0061】中位層の制御演算は、各ローカルステーシ
ョン2で行われる。中位層の制御演算では、図3に示さ
れているように、まず、基軸交差点の選定が行われる。
基軸交差点は、各交差点の制御の基準となる交差点であ
る。各ローカルステーション2は、互いに情報を交換し
合うことにより、基軸交差点を選択する。基軸交差点に
設けられたローカルステーション2を基準として、他の
ローカルステーション2は、基軸交差点に協調した制御
を行う。
【0062】基軸交差点は、各交差点の目標交差点負荷
率λ’に基づいて定められる。目標交差点負荷率λ’と
は、マスターステーション31から与えられた目標交通
流率Qから求めた交差点の負荷率であり、図5を参照
して、ある交差点の目標交差点負荷率λ’は、次式:
【数4】 で求められる。但し、λ’〜λ’は、交差点に車両
が流入する流入点7〜7の目標負荷率であり、
【数5】 :流入点7へ流入する車両の交通流率の実測値
[台/秒] Q’:流入点7へ流入する車両の目標交通流率[台
/秒] S:流入点7の飽和交通流率[台/秒] で定義される。流入点7へ流入する車両の目標交通流
率よりも実測された交通流率が多い場合には、流入点7
〜7の目標負荷率λ’〜λ’は、上方修正さ
れ、実測値により算出されることになる。
【0063】上記の目標交差点負荷率λ’は、信号が同
時に青になる2つの流入点の目標負荷率のうち、大きな
方の和である。流入点7と流入点7とは、互いに対
向する位置にあり、流入点7と流入点7との信号は
同時に青になる。同様に、流入点7と流入点7は、
互いに対向する位置にあり、その信号は同時に青にな
る。目標交差点負荷率λ’は、流入点7と流入点7
の目標負荷率のうちの大きい方と、流入点7と流入点
の目標負荷率のうちの大きい方との和で定義され
る。各交差点の目標交差点負荷率λ’は、上述の定義に
従ってそれぞれ算出される。
【0064】交差点1〜1のうち、目標交差点負荷
率λ’が最大であるものが、基軸交差点と定められる。
基軸交差点以外の交差点は、協調交差点と定められる。
交差点1〜1の制御パターンは、上述されているよ
うに、それが基軸交差点と協調交差点とのいずれである
かに応じて定められる。また、基軸交差点に設けられた
ローカルステーションは、基軸LSと、協調交差点に設
けられたローカルステーションは、協調LSと記載され
ることがある。
【0065】基軸交差点と定められた交差点1は、以
下、基軸交差点1と記載されることがある。また、図
6に示されているように、基軸交差点1に隣接する交
差点1 〜1は、以下、協調交差点1〜1と記載
されることがある。更に、基軸交差点1に設けられた
ローカルステーション2は、以下、基軸LS2と記
載され、協調交差点1〜1に設けられたローカルス
テーション2〜2は、それぞれ、協調LS2〜2
と記載されることがある。
【0066】基軸交差点の決定は、ローカルステーショ
ン2の中位層で行うことを前提とするが、マスターステ
ーション31の上位層で実施してもよい。
【0067】また、マスターステーション31が故障す
るなどの原因により、マスターステーション31とロー
カルステーション2との間の通信が途絶した場合には、
マスターステーション31から目標交通流率が与えられ
ないため、交差点負荷率λ’は、実測した交通量Q
ら求めることにする。
【0068】基軸交差点が定められた後、各ローカルス
テーション2は、それが設置された交差点の制御目標パ
ターンを定める。制御目標パターンとは、各交差点の制
御パターンの目標値であり、サイクル長の目標値C
スプリットの目標値S、及び隣接する交差点との間の
リンクのオフセットの目標値Oの3つとで定まる。
【0069】まず、基軸交差点1に設けられた基軸L
S2が、基軸交差点1の制御目標パターンを定め
る。基軸LS2は、以下のようにして、基軸交差点1
の制御目標パターンを定める。
【0070】図7は、基軸交差点の制御目標パターンの
設定方法を示すフローチャートである。ローカルステー
ション2のうちの基軸LS2は、既述の制御指針パタ
ーンと、その許容範囲とをマスターステーション31か
ら受け取り、受け取った制御指針パターンと、その許容
範囲とから、制御目標パターンの候補となる制御目標候
補パターンを複数作成する(ステップS01)。制御指
針パターンには、制御指針サイクル長Cとその許容範
囲ΔC、制御指針スプリット長Sとその許容範囲Δ
、制御指針オフセットO 、O 、O 、O
と、その許容範囲ΔO 、ΔO 、ΔO
ΔO とが含まれている。ここで、O 、O
、O は、図8に示されているように、それぞ
れ基軸交差点1と、それに隣接する各協調交差点1
〜1とを接続するリンク11〜11について定め
られた制御指針オフセットである。許容範囲ΔO
ΔO 、ΔO 、及びΔO は、それぞれ、制御
指針オフセットO 、O 、O 、及びO
許容範囲である。
【0071】基軸LS2は、制御指針サイクル長C
を中心とし、その制御指針サイクル長Cの近傍にある
5つのサイクル長 C−2・ΔC、C−ΔC、C、C+ΔC、及び
+2・ΔC を制御目標パターンのサイクル長の候補とする。但し、 ΔC=ΔC/4, であり、C−2・ΔCからC+2・ΔCまでの
範囲で等間隔に、5つのサイクル長の候補が定められ
る。
【0072】更に、基軸LS2は、制御指針スプリッ
トSを中心とし、その制御指針スプリットSの近傍
にある5つのスプリット S−2・ΔS、S−ΔS、S、S+ΔS、及び
+2・ΔS を制御目標パターンのサイクル長の候補とする。但し、 ΔS=ΔS/4, であり、S−2・ΔSからS+2・ΔSまでの
範囲で等間隔に、5つのサイクル長の候補が定められ
る。
【0073】更に、基軸LS2は、リンク11〜1
のそれぞれについて、制御指針オフセットO
中心とし、その制御指針オフセットO の近傍にある
5つのオフセット O −2・ΔO、O −ΔO、O 、O
+ΔO、O +2・ΔO を制御目標候補パターンの各リンク11〜11のオ
フセットの候補とする。ここで、iは、2以上5以下の
整数である。更に、 ΔO=ΔC/4, であり、O −2・ΔO からO +2・ΔO
の範囲で等間隔に、5つのオフセットの候補が定めら
れる。
【0074】基軸LS2は、候補とされたサイクル
長、スプリット、及びオフセットを組み合わせて、制御
目標候補パターンを複数作成する。上記のサイクル長、
スプリット及びオフセットとの組み合わせから、5
の制御目標候補パターンが作成されることになる。
【0075】続いて基軸LS2は、図7に示されてい
るように、基軸交差点1を制御目標候補パターンに従
って制御したと仮定したときの、基軸交差点1の流入
点、及び基軸交差点1に隣接する協調交差点の流入点
において発生する遅れ時間の予測値をそれぞれ算出する
(ステップS02)。ステップS02の遅れ時間の予測
値の算出においては、基軸交差点1に隣接する協調交
差点1〜1のサイクル長は、基軸交差点1のサイ
クル長と同一であると仮定される。更に、協調交差点1
〜1のスプリットは、協調交差点1〜1への流
入台数などから一意的に定められる。遅れ時間の予測値
の算出は、現時点から将来の一定の期間について行われ
る。遅れ時間の予測値の算出期間は、期間T〜T
等分される。期間T〜Tのそれぞれの長さをΔtと
する。期間T〜Tにおける遅れ時間の予測値が、上
記の全ての流出点についてそれぞれ算出される。
【0076】図9は、基軸交差点として交差点1が選
択された場合について、遅れ時間の予測値の算出が行わ
れる流入点8〜820を示す。基軸交差点として交差
点1 が選択された場合、 (1)協調交差点1に車両が流入する流入点8〜8
、817 (2)協調交差点1に車両が流入する流入点8〜8
、818 (3)協調交差点1に車両が流入する流入点8〜8
、819 (4)協調交差点1に車両が流入する流入点810
12、820 (5)基軸交差点1に車両が流入する流入点813
16 における遅れ時間が、期間T〜Tのそれぞれについ
て算出される。
【0077】遅れ時間の予測値の算出は以下のようにし
て行われる。まず、時刻tにおいて、単位時間あたりに
流入点8に車両が流入する流入台数Q(t)(台/
秒)の算出が行われる。ここでiは、1以上20以下の
整数であり、t=0は、遅れ時間の予測値の算出期間の
開始時刻である。
【0078】基軸交差点1に隣接する協調交差点1
〜1への流入点のうち、基軸交差点1以外の交差点
(制御エリア外も含む)から車両が流入する流入点の単
位時間あたりの流入台数Q(t)は、その流入点で実
際に計測された車両の時間平均で一定であると仮定され
る。基軸交差点として交差点1が選択されている場
合、流入点8〜812の単位時間あたりの流入台数Q
(t)〜Q12(t)は、時間tに関わらず一定と仮
定される。
【0079】その他の流入点813〜820の単位時間
あたりの流入台数Q13(t)〜Q 20(t)の算出法
を、図10を参照しながら以下に説明する。Q
13(t)〜Q20(t)のうち、基軸交差点1の流
入点813の流入台数Q13(t)を例にとって説明す
る。基軸交差点1の流入点813に流入する車両は、
全て、基軸交差点1に隣接する協調交差点1の流出
点913から流出した車両である。まず、その流出点9
13から車両が流出した単位時間あたりの流出台数O
(t)が算出される。
【0080】流出点913の流出台数O13(t)は、 O13(t)=O13 (t)+O13 (t)+O
13 (t) O13 (t):単位時間あたり、流入点8からの車
両が右折して流出点9 から流出する流出台数 O13 (t):単位時間あたり、流入点8からの車
両が直進して流出点9 から流出する流出台数 O13 (t):単位時間あたり、流入点8からの車
両が左折して流出点9 から流出する流出台数 により求められる。O13 (t)は、協調交差点1
の制御パラメータと、Q (t)(=一定値)と右折率
αとの積から算出される。協調交差点1の制御パラ
メータのうち、サイクル長は、制御目標候補パターンに
定められたサイクル長及びスプリットに同じであると仮
定される。更に、協調交差点1のスプリットは、協調
交差点1への流入台数などから一意的に定められる。
同様に、O 13 (t)は、協調交差点1の制御パラ
メータと、Q(t)(=一定値)と直進率αとの積
とから算出され、O13 (t)は、協調交差点1
制御パラメータと、Q(t)(=一定値)と左折率α
との積から算出される。O 13 (t)〜O
13 (t)は、協調交差点1で行われる信号灯器の
制御の影響をうけるため、Q(t)〜Q(t)とは
異なり、一般に、時間的に一定にはならない。
【0081】流入点813の単位時間あたりの流入台数
13(t)は、 Q13(t)=O13(t−t) により求められる。ここで、tは、協調交差点1
流出点913から、基軸交差点1の流入点813への
旅行時間であり、 t=L/v L:流出点913と流入点813との距離 v:流出点913と流入点813とを結ぶリンクの設計
速度 である。
【0082】他の単位時間あたりの流入台数Q
14(t)〜Q20(t)も、同様にして算出される。
【0083】算出された流入台数Q(t)〜Q
20(t)から、流入点8の期間Tにおける遅延時
間t(i、j)が算出される。期間Tが時刻t
j−1に開始して時刻tに終了するとして、期間T
における流入点8の流入台数q(j)は、
【数6】 …式(1)
【0084】また、期間Tにおける流入点8での待
ち行列台数をR(j)とすると、流入点8に到達し
ていた車両が、期間Tにおいて交差点から流出する流
出台数o(j)は、 o(j)=min(R(j)+q(j),p(j)) …式(2) ただし、最大流出可能数p(j)は、遅れ時間の予測
対象である制御目標候補パターンに従って制御が行われ
たときに、流入点8に到達していた車両が期間T
おいて交差点から流出し得る最大の流出数であり、
【数7】 但し、P(t)は、 P(t)=0 (流入点8の信号が赤である期間) P(t)=s (流入点8の信号が青である期
間) s:流入点8の飽和交通流率 である。流出台数o(j)は、待ち行列台数R
(j)と流入台数q(j)との和が大きいときは、
最大流出可能数p(j)で制約される。一方、待ち行
列台数R(j)と流入台数q(j)との和が小さい
ときは、その和よりも多く車両が流出することは起こり
得ないため、流出台数o(j)は、待ち行列台数R
(j)と流入台数q(j)との和で定まる。
【0085】更に、期間Tにおける流入点8での待
ち行列台数R(j)、流入台数q (j)、及び流出
台数o(j)から、期間Tj+1における待ち行列台
数R (j+1)は定まり、 R(j+1)=R(j)+q(j)−o(j). …式(3) 但し、R(1)は、t=0において現実に計測されて
いる待ち行列台数である。式(1)〜式(3)により、
期間T〜Tのそれぞれについて、待ち行列台数R
(j)(jは、1以上n以下の整数)が定まる。
【0086】期間Tのそれぞれにおける流入点8
遅れ時間の予測値t(i、j)は、待ち行列台数R
(j)に比例し、 t(i、j)=k・R(j). 基軸交差点の流入点、及び基軸交差点に隣接する協調交
差点の流入点において発生する遅れ時間の予測値t
(i、j)の和tSUMは、
【数8】 により定められる。
【0087】制御目標候補パターンのうち、遅れ時間の
予測値の和tSUMを最小にするものが、基軸交差点の
制御目標パターンと決定される。
【0088】基軸交差点の制御目標パターンを定めた基
軸LSは、更に、その制御目標パターンに従って基軸交
差点を制御したと仮定して、基軸交差点に隣接する協調
交差点に向かうそれぞれの交通流の時間変化を予測し、
予測した交通流の時間変化を、通信回線を通じて協調交
差点に設置された協調LSに送信する。予測された交通
流の時間変化は、流入目標プロファイルと呼ばれる。
【0089】続いて、第1次協調交差点の制御目標パタ
ーンが定められる。ここで第1次協調交差点とは、協調
交差点のうち、基軸交差点に直接に隣接する協調交差点
をいう。更に、第2次協調交差点とは、基軸交差点に直
接に隣接せず、且つ、第1次協調交差点に直接に隣接す
る交差点をいい、同様に、第n次協調交差点は、第n−
2次協調交差点に直接に隣接せず、且つ、第n−1次協
調交差点に直接に隣接する交差点をいう。図6に示され
た交差点のうち、協調交差点1〜1が第1次協調交
差点であり、協調交差点1が第2次協調交差点であ
る。
【0090】図11は、第1次協調交差点の制御目標パ
ターンの決定方法を示す。以下では、基軸交差点1
直接に隣接する協調交差点1〜1のうち、協調交差
点1 を例にとって、第1次協調交差点の制御目標パタ
ーンの決定方法を説明する。
【0091】協調交差点1に設けられた協調LS2
は、基軸LS2から流入目標プロファイルを受け取る
(ステップS11)。以下では、受け取った流入目標プ
ロファイルをQ(t)と表す。
【0092】更に、協調LS2は、既述の制御指針パ
ターンをマスターステーション31から受け取り、受け
取った制御指針パターンから、制御目標パターンの候補
となる制御目標候補パターンを複数作成する(ステップ
S12)。
【0093】作成された全ての制御目標候補パターンの
サイクル長は、既述のようにして定められた基軸交差点
の制御目標パターンのサイクル長に一致するように
定められる。
【0094】更に、制御指針パターンに定められた協調
交差点1のスプリットSを中心とし、その制御指針
オフセットSの近傍にある下記5つのオフセット S−2・ΔS、S−ΔS、S、S+ΔS、S
+2・ΔS が、協調交差点1の制御目標候補パターンの各スプリ
ットになる。ここで、ΔSは、制御指針スプリットの許
容範囲ΔSを用いて、 ΔS=ΔS/4, で算出される。
【0095】更に、制御指針パターンに定められた協調
交差点1に接続する各リンクのオフセットO を中
心とし、その制御指針オフセットO の近傍にある下
記5つのオフセット O −2・ΔO、O −ΔO、O 、O
+ΔO、O +2・ΔO が、協調交差点1に接続する各リンクの制御目標候補
パターンの各オフセットになる。ここで、ΔOは、制
御指針オフセットに定められた各リンクの許容範囲ΔO
を用いて、 ΔO=ΔO /4, で算出される。
【0096】続いて、各制御目標候補パターンについ
て、協調交差点1への流入リンクと、協調交差点1
に隣接する第2次協調交差点、即ち、第2次協調交差点
への流入リンクと、協調交差点1から基軸交差点
に向かう流出リンクで発生する待ち時間の和が算出
される(ステップS13)。図12は、待ち時間の算出
対象である流入点10〜10を示している。待ち時
間の算出の際には、制御目標パターンの決定の対象であ
る第1次協調交差点に隣接する第2次協調交差点に流入
する車両の単位時間当たりの流入台数は、その流入台数
の実際の計測値の時間平均で一定であると仮定される。
また、当該第1次協調交差点に、制御範囲の外部から直
接に車両が流入する場合、その車両の単位時間当たりの
流入台数は、制御範囲の外部から流入する車両の実際の
計測値の時間平均で一定であると仮定される。協調LS
の制御目標パターンの決定が行われる場合、図12
に示されたQ21〜Q25が、時間に無関係に一定であ
ると仮定される。協調LS2 は、単位時間あたりの流
入台数Q21〜Q25と、流入目標プロファイルQ
(t)とから、流入点10〜10への単位時間あ
たりの流入台数Q26〜Q 29を算出し、更に、制御目
標候補パターンのそれぞれについて、協調LS2への
流入リンクと、協調LS2からの流出リンクで発生す
る待ち時間の和、即ち、流入点10〜10で発生す
る待ち時間の和を算出する。
【0097】続いて協調LS2は、図11に示されて
いるように、制御目標候補パターンのうち、待ち時間の
和が最小のものを、協調交差点1の制御目標パターン
に定める(ステップS14)。他の第1次協調交差点の
制御目標パターンも、同様にして決定される。
【0098】第2次協調交差点の制御目標パターンの決
定も、第1次協調交差点と同様にして行われる。第1次
協調交差点から第2次協調交差点への流入目標プロファ
イルが、第2次協調交差点に設けられた協調LSに送ら
れる。第1次協調交差点と同様に、その流入目標プロフ
ァイルと制御指針パターンに基づいて、第2次協調交差
点の制御目標パターンが決定される。第n次協調交差点
についても同様にして制御目標パターンが決定され、順
次、制御対象エリア全ての交差点について制御目標パタ
ーンが決定される。
【0099】図3に示された中位層の制御演算は、以上
で完了する。
【0100】下位層の制御演算では、各ローカルステー
ション2は、下記評価関数Fを最小とする制御パターン
の実行解、即ち、評価関数Fを最小とするサイクル長
C、スプリットS、オフセットOを算出する。 ここで、α、β、γ、δ、ε、及びζは、係数である。
は、TD1及びT のそれぞれに対して単調に増
加する関数である。Fは、ΔC、ΔS、及びΔO
のそれぞれに対して単調に増加する関数である。F
は、ΔC、ΔS 、及びΔOのそれぞれに対して単
調に増加する関数である。Fは、ρ及びρのそれ
ぞれに対して単調に増加する関数である。Fは、ΔC
及びΔO のそれぞれに対して単調に増加する関数で
ある。
【0101】式(4)において、TD1は、流入リンク
において発生する遅延時間であり、TD2は、流出リン
クにおいて発生する遅延時間である。
【0102】流入リンクにおいて発生する遅延時間T
D1は、自交差点のサイクル長C、スプリットS、オフ
セットOと、将来における隣接する交差点からの交通流
の時間変化、即ち、隣接する交差点からの流入予測プロ
ファイルから算出される。各ローカルステーション2の
遅延時間TD1の算出のために、各ローカルステーショ
ン2は、それが設置されている交差点での待ち行列台数
と、その上流部にある感知器で計測した交通量とをもと
に、将来において、下流側(流出リンク側)の隣接交差
点に流出する交通量を予測計算する。各ローカルステー
ション2は、予測計算した流出する交通量を、下流側の
隣接交差点のローカルステーション2に送信する。各ロ
ーカルステーション2は、その予測計算した流出する交
通量、隣接する交差点からの流入予測プロファイルとし
て受信する。各ローカルステーション2は、受信した流
入予測プロファイルと、自己のサイクル長C、スプリッ
トS、オフセットOを用いて、遅延時間TD1を算出す
る。
【0103】一方、自交差点のサイクル長C、スプリッ
トS、及びオフセットOに応じて流出リンクに流出する
交通量が予測的に求まるため、流出する交通量と自己に
隣接する交差点からの流出予測プロファイルとを照らし
合わせることで、流出リンク側の待ち行列台数の時間変
化が算出される。ここで、流出予測プロファイルは、自
己の交差点の流入リンクにある待ち行列台数が現時点以
降で減少する時間変化、及び、待ち行列台数が完全に解
消した後で上流側から流入する車を停止させることなく
受け入れることができる交通量の時間変化で構成され
る。算出した流出リンク側の待ち行列台数の時間変化を
積算することにより、流出側での遅延時間TD2が算出
される。各ローカルステーション2の遅延時間TD2
算出のために、各ローカルステーション2は、自己の交
差点のサイクル長C、スプリットS、並びにオフセット
O、及び自己の交差点に設置された感知器5から求めた
待ち行列台数をもとに、上流側(流入リンク側)の隣接
交差点から受け入れることができる交通量を予測計算す
る。予測計算した流入できる交通量を、上流側の隣接交
差点のローカルステーション2に送信する。
【0104】より詳細には、以下のようにして、流入リ
ンクにおいて発生する遅延時間T と、流出リンクに
おいて発生する遅延時間TD2とが算出される。遅延時
間T D1と遅延時間TD2とは、それぞれ、流入リンク
及び流出リンクの待ち行列台数から算出される。この流
入リンク及び流出リンクの待ち行列台数は、各交差点に
設けられた感知器5が取得した車両の通過情報と、リン
クの接続先のサイクル長C、スプリットS、及びオフセ
ットOとから求められる。前述されているように、感知
器5は、光ビーコンを受信可能である。光ビーコンによ
り伝えられるID番号から、感知器5は、光ビーコンの
車載器を搭載した車両を個別に判別することができる。
更に、感知器5は、光ビーコンの車載器を搭載していな
い車両が通過した場合でも、その車両が通過したこと自
体は、検出することができる。光ビーコンの車載器を搭
載した車両が、ID番号により個別に判別可能であるこ
とが、待ち行列台数の算出に使用される。
【0105】図13(a)に示されているように、光ビ
ーコンの車載器を搭載した車両αを含む車群が、上流側
の交差点1を通過し、下流側の交差点1に向かった
とする。上流側の交差点1に設けられた感知器5を感
知器5、下流側の交差点1 に設けられた感知器5を
感知器5とする。
【0106】図13(b)に示されているように、感知
器5は、車両αの前にn台、車両αの後にn台の
車両が通過したことを検知する。図13に示されている
例では、n=1であり、n=3である。一方、感知
器5は、下流側の交差点1 の信号が青である間に、
車両αの前にn台、車両αの後にn台の車両が通過
したことを検知する。図13(b)に示されている例で
は、n=5であり、n=1である。このとき、下流
の信号が青になる直前に、リンクに残されていた待ち行
列台数nと、下流の信号が青になる直後に、リンクに
残されていた待ち行列台数nとは、 n=n−n, n=n−n, で算出される。
【0107】流入リンクの遅延時間TD1の算出が行わ
れる場合、上流側の交差点1の信号が青である間に、
車両αの前にn台、車両αの後にn台の車両が通過
したという情報が、上流側の交差点1から下流側の交
差点1に通知される。この情報から、下流側の交差点
のローカルステーションは、流入リンクの待ち行列
台数n、nを算出することができる。更に、下流側
の交差点1のローカルステーションは、この待ち行列
台数n、nから、流入リンクで発生する遅延時間T
D1を高精度で予測して算出することができる。
【0108】同様に、流出リンクの遅延時間TD2の算
出が行われる場合、下流側の交差点1の信号が青であ
る間に、車両αの前にn台、車両αの後にn台の車
両が通過したという情報が、下流側の交差点1から上
流側の交差点1に通知される。この情報から、上流側
の交差点1のローカルステーションは、リンクの待ち
行列台数n、nとを算出することができる。更に、
上流側の交差点1のローカルステーションは、この待
ち行列台数n、nから、流出リンクで発生する遅延
時間TD2を高精度で予測して算出することができる。
【0109】評価関数Fに、上述の遅れ時間TD1、T
D2を引数とするα・F(TD1、TD2)なる項が
含まれていることにより、流入リンクと流出リンクとの
両方の遅れ時間を考慮した信号灯器の制御が実現されて
いる。即ち、ある交差点の信号灯器は、自己の交差点に
おける混雑程度と、自己の交差点の下流側にある交差点
の混雑程度の両方を最適化しながら、信号灯器の制御が
行われる。
【0110】このとき、関数Fは、流入リンクにおけ
る遅れ時間TD1の代わりに、又は遅れ時間TD1に加
えて、流入リンクで発生している待ち行列台数が最も大
きくなる時の値nを引数とすることが可能である。同
様に、流出リンクにおける遅れ時間TD2の代わりに、
又は遅れ時間TD2に加えて、流出リンクで発生してい
る待ち行列台数が最も大きくなる時の値nを引数とす
ることが可能である。従って、最も大きくなる時の待ち
行列台数を抑えることにより、待ち行列台数がそのリン
クに蓄積できる許容台数をオーバフローすることなく制
御することにより、積極的に先詰まりを未然に防止する
制御が実施される。
【0111】評価関数Fの第2項の引数であるΔC
ΔS、ΔOは、それぞれ、制御パターンの実行解の
サイクル長C、スプリットS、オフセットOと、既述の
上位層の論理演算で定められた自交差点の制御目標パタ
ーンのサイクル長C、スプリットS、オフセットO
との差分である。評価関数Fに、β・F(ΔC
ΔS、ΔO)なる項が含まれていることにより、自
交差点の制御目標パターンに則した信号灯器の制御が行
われることになる。
【0112】評価関数Fの第3項の引数であるΔC
ΔS、ΔOは、それぞれ、制御パターンの実行解の
サイクル長C、スプリットS、オフセットOと、隣接す
る交差点の制御目標パターンのサイクル長C、スプリ
ットS、オフセットOとの差分である。評価関数F
に、γ・F(ΔC、ΔS、ΔO)なる項が含ま
れていることにより、隣接した交差点の制御目標パター
ンに則した信号灯器の制御が行われることになる。
【0113】一方、評価関数Fの第4項の引数であるρ
、ρは、それぞれ、リンクの車群の速度が設計速度
を超える可能性を示し、 ρ=(O−OR1)・u(O−OR1), ρ=(O−OR2)・u(O−OR2), で表される。但し、OR1は、流出リンクの車群の速度
を、設計速度に一致するために最適であるオフセットで
ある。OR2は、流入リンクの車群の速度を、設計速度
に一致するために最適であるオフセットである。uは、
単位ステップ関数であり、 u(x)=1 (x>0), u(x)=0 (x≦0). OR1とOR2は、下記のようにして求められる。
【0114】図14は、流出リンクの車群の速度を、設
計速度に一致するために最適であるオフセットOR1
算出方法を示す。上流側の交差点1に設けられたロー
カルステーション2は、上流側の交差点1と上流側の
交差点1とに設けられた感知器5が取得した車両の通
過情報と、交差点1の制御パターンの実行解のサイク
ル長C、スプリットS、及びオフセットOとから下流側
の交差点1の信号が青になる直前の待ち行列台数を算
出する。下流側の交差点1の信号が青になって以後、
下流側の交差点1の待ち行列が解消するのに要する時
間をtR1とすると、OR1は、 OR1=L/v−tR1 である。ここでLは、交差点間の距離であり、vは、設
計速度である。上流側の交差点1と交差点1とのオ
フセットOがOR1よりも小さいと、図14に示されて
いるように、ドライバーの心理に起因して、車群の速度
が上がる傾向にある。このとき、 ρ=(O−OR1)・u(O−OR1), で定められるρが0に近づくようにオフセットOを定
めることにより、流出リンクを車群の速度を設計速度よ
り小さく保つことができる。
【0115】図15(a)は、流入リンクの車群の速度
を、設計速度に一致するために最適であるオフセットO
R2の算出方法を示す。上流側の交差点1から送信さ
れてくる流出プロファイルから、下流側の交差点1
設けられたローカルステーション2は、自己の交差点1
の信号が青になる直前の捌け残り台数が算出できる。
このとき、自己の交差点1の待ち行列が解消するのに
要する時間をtR2とすると、OR2は、 OR2=L/v−tR2 である。ここでLは、交差点間の距離であり、vは、設
計速度である。
【0116】図15(b)に示されているように、下流
側の交差点1が青になるタイミングが、オフセットO
R2で定まるタイミングよりも速くなると、ドライバー
の心理に起因して、車群の速度が上がる傾向にある。流
出リンクと同様に、 ρ=(O−OR2)・u(O−OR2), で定められるρを0に近くすることにより、流入リン
クの車群の速度を設計速度に近づけることができる。
【0117】評価関数Fに、上述のρ、ρとを引数
とするδ・F(ρ、ρ)なる項が含まれているこ
とにより、車群の速度を適切に制御することができる。
なお、Fの引数には、ρ、ρとの両方が含まれて
いるとは限られず、一方のみがFの引数とされること
が可能である。
【0118】更に、評価関数Fの第5項の引数であるΔ
、ΔOは、それぞれ、制御パターンの実行解のサ
イクル長C、オフセットOと、制御指針パターンのサイ
クル長C、オフセットOとの差分である。評価関数
Fに、ε・F(ΔC、ΔO)なる項が含まれてい
ることにより、制御指針パターンに則した信号灯器の制
御が行われることになる。
【0119】更に、評価関数Fの第6項の引数であるQ
は、既述の上位層で設定された目標交通流率である。
更に、Q maxは、既述の上位層で設定された目標交
通流率の上限値である。更に、Q は、下位層で求め
た制御パターンを実行することで達成される各リンクの
交通流率である。
【0120】達成される交通流率Q と目標交通流率
とのずれが大きくなると、関数Fは増加する。ま
た、上限値Q maxが上位層から設定されている場合
には、達成される交通流率Q と上限値Q max
のずれが大きくなると、関数Fは増加させるようにす
る。このようにして、上位層で設定した目標交通流率を
下位層の制御パターンに反映することでエリア全体を考
慮した交通流の最適配分を達成する。
【0121】下位層の制御演算は、以上で完了する。
【0122】評価関数Fの各項の係数α、β、γ、δ、
ε、及びζは、下記のように制御され、交通流の適切な
制御が実現されている。なお、各項の係数の制御は、マ
スターステーション31の上位層、あるいは、ローカル
ステーション2の中位層のどちらも行えるものとする。
【0123】制御指針パターンが大きく変更された直後
の第1期間では、全ローカルステーション2が行う制御
の制御パターンが制御指針パターンにほぼ一致するよう
に、係数α、β、γ、δ、ε、及びζが定められる。即
ち、γとεとが、大きな値に定められ、更に、α、β、
δ、及びζが小さな値に定められ、これにより、評価関
数Fは、実質的に、F≒γ・F(ΔC、ΔS、Δ
)+ε・F(ΔC、ΔO),になる。Δ
、ΔS、ΔOは、隣接する交差点との制御パタ
ーンの差分であるから、全ローカルステーション2の制
御パターンが制御指針パターンにほぼ一致すると評価関
数Fは最小になり。従って、全ローカルステーション2
の制御パターンが制御指針パターンにほぼ一致するよう
に定められる。制御指針パターンが変更されたときに、
全ローカルステーション2の制御パターンが制御指針パ
ターンにほぼ一致するように定められることにより、マ
スターステーション31で判断した大域的な最適解を各
交差点に反映することができる。
【0124】上述の第1期間が経過した後の第2期間で
は、基軸交差点と協調交差点とでは、α、β、γ、δ、
ε、及びζの値として、異なる値が使用され、基軸交差
点と協調交差点とで異なる態様での制御が行われる。
【0125】基軸交差点の制御パターンの実行解の算出
の際には、βが1.0に、α、γ、δ、ε、及びζが0
に設定されて評価関数Fが算出される。これにより、評
価関数Fは、β・F(ΔC、ΔS、ΔO)の項
により主として支配されることにある。基軸交差点は、
実質的に、基軸交差点の制御目標パターンに近い制御パ
ターンで制御される。即ち、基軸交差点は、自己独立的
に制御される。制御目標パターンは、基軸交差点と隣接
交差点とにおける遅れ時間が積極的に小さくなるように
定められるから、結局、基軸交差点の制御パラメータ
は、基軸交差点と隣接交差点とにおける遅れ時間が積極
的に小さくなるように定められる。
【0126】一方、協調交差点の制御パターンの実行解
の算出の際には、β、γ、ε及びζが小さな値に、αが
大きな値に設定されて評価関数Fが算出される。評価関
数Fは、α・F(TD1、TD2)の項に主として支
配されることになる。α・F (TD1、TD2)の項
が重視されることにより、協調交差点は、隣接する交差
点との協調を図りながら制御される。この結果、基軸交
差点に直接に隣接する第1次協調交差点では、基軸交差
点に協調して信号灯器の制御が行われる。更に、第2次
協調交差点では、第1次協調交差点に協調して信号灯器
の制御が行われる。同様に、第n次協調交差点では、第
n−1次協調交差点に協調して信号灯器の制御が行われ
る。このような協調関係の連鎖により、制御対象である
交差点は、直接的、又は間接的に、基軸交差点に協調し
て制御される。このような協調制御により、信号制御シ
ステム全体としては安定化と最適化とが達成される。
【0127】このとき、ローカルステーション2が行う
評価関数Fの演算は、パラメータα、β、γ、δ、ε、
及びζの設定値が異なるものの、いずれも、式(4)に
従って行われる。即ち、基軸交差点と協調交差点との制
御パターンの算出は、いずれも、式(4)に基づいて行
われる。これにより、全てのローカルステーション2に
ついて、制御パターンを算出するソフトウエアの共通化
が図られている。
【0128】評価関数Fの各項の係数α、β、γ、δ、
ε及びζは、地域性や、時間帯によって変更されること
が可能である。これにより、地域性や、時間帯に応じた
最適な制御が実現される。例えば、車両の速度超過が多
いと予想される道路や、夜間では、δの値が増加され
る。これにより、評価関数Fの値に対するδ・F(ρ
、ρ)の影響が大きくなり、交差点間の車群の速度
超過の防止を重視した信号灯器の制御が行われる。
【0129】更に、評価関数Fの各項の係数α、β、
γ、δ、ε及びζは、システム運用者がマスターステー
ション31を操作することにより変更されることが可能
である。システム運用者の操作に応じて、マスターステ
ーション31は、優先走行させたいリンクに接続する交
差点に設けられたローカルステーション2に、重み係数
αを増加するように指示する。そのリンクで発生する待
ち時間TD1、TD2は減少し、優先走行が実現され
る。更に、マスターステーション31は、システム運用
者の操作に応じて、規制したいリンクに接続する交差点
に設けられたローカルステーション2に、重み係数αを
0にするように指示する。これにより、そのリンクへの
交通の流入が妨げられる。
【0130】更に、評価関数Fの各項の係数α、β、
γ、δ、ε及びζは、事故エリアの発生に応じて変更さ
れることが可能である。マスターステーション31は、
各交差点2の感知器5が取得した交通状況を、制御エリ
ア全体にわたって監視する。マスターステーション31
は、ある交差点に流入する交通量が増加していないのに
も関わらず、捌け残りができ、且つ、その交差点の流出
側では、青時間を与えているのに、一定期間継続して、
車両の流出量が所定の値よりも小さいことを検出する
と、その交差点が事故交差点であると判断する。マスタ
ーステーション31は、事故交差点に流入するリンクに
接続する交差点に設けられたローカルステーション2
に、重み係数αを0にするように指示する。これによ
り、その事故エリアへの交通の流入が妨げられる。更
に、マスターステーション31は、事故交差点を制御エ
リアから切り離し、残りの制御エリア内において基軸交
差点が選定され、基軸交差点を中心とした各協調交差点
の連携が図られることになる。
【0131】更に、評価関数Fの各項の係数α、β、
γ、δ、ε及びζは、緊急車両の走行の通報に応じて変
更されることが可能である。マスターステーション31
は、緊急車両の走行の通報を受けると、緊急車両が走行
するリンクに接続する交差点1に設けられたローカルス
テーション2に、重み係数αを増加するように指示す
る。更に、緊急車両が走行しないリンクに接続する交差
点1に設けられたローカルステーション2に、重み係数
αを減少するように指示する。これにより、緊急車両が
走行するリンクの青時間は長くなり、且つ、緊急車両が
走行しないリンクの青時間は短くなり、緊急車両のスム
ーズな走行が実現される。
【0132】上述された信号制御システムは、下記に述
べられるようにして、簡便にその制御エリアを拡張する
ことができる。図16は、制御エリアの拡張方法を示
す。図13に示されているように、交差点1に隣接し
た交差点1が制御エリアに追加される場合を考える。
【0133】(1)交差点1には、新設のローカルス
テーション2と、新設の感知器5’と、信号灯器(図
示されない)とが設けられる。 (2)交差点1に設置されたローカルステーション2
は、通信回線32に接続される。 (3)ローカルステーション2には、他のローカルス
テーション2〜2と同一のソフトウエアがインスト
ールされる。これにより、ローカルステーション2
は、他のローカルステーション2〜2と同一の動
作を行う。 (4)ローカルステーション2には、信号灯器を点灯
する順序、黄時間、全赤時間、各青時間の最大秒数、最
小秒数など、運用後の安全性を考慮した設定値が入力さ
れる。 (5)更にローカルステーション2には、既設のロー
カルステーション2が設けられた交差点1の方向、
交差点1と交差点1とを接続するリンクの距離、設
計速度が設定される。 (6)一方、ローカルステーション2には、ローカル
ステーション2が新設される交差点1、交差点1
の方向、交差点1と交差点1とを接続するリンクの
距離、設計速度が設定される。設定入力の間、ローカル
ステーション2は、ハードウエアに設定された固定の
制御パターンで信号灯器の制御を行い、制御用のソフト
ウエアが停止される。 (7)設定入力完了後、ローカルステーション2のソ
フトウエアが再起動され、ローカルステーション2
は、新しい設定で、自律分散制御を再開する。 (8)更に、ローカルステーション2が起動される。 (9)更に、マスターステーション31の設定が変更さ
れ、交差点1を含めた制御エリアによる自律分散制御
が開始される。
【0134】このとき、マスターステーション31の設
定変更のためにマスターステーション31を一時的に停
止した場合でも、各ローカルステーション2は、ローカ
ルステーション2の間の協調により制御が係属可能であ
る。マスターステーション31を停止中であっても、ロ
ーカルステーション2間の、データ交換により、基軸交
差点が選択される。更に、評価関数Fの係数であるεと
ζとが0に設定され、マスターステーション31から制
御指針パターンや目標交通流率が与えられなくても、ロ
ーカルステーション2は、マスターステーション31か
ら独立して制御継続可能である。
【0135】以上に説明されているように、本実施の形
態の自律分散型信号制御システムでは、マスターステー
ション31により作成された制御指針が各ローカルステ
ーション2に示される。各ローカルステーション2は、
その示された制御指針を参照して、各交差点の制御パタ
ーンを決定する。このとき、基軸交差点は、制御指針を
参照し、且つ、計測した交通状況に基づいて定められた
制御パターンに従って制御され、且つ、協調交差点は、
基軸交差点に直接的、又は間接的に協調しながら制御が
行われ、制御エリア全体としての安定化と最適化が実現
される。
【0136】また、基軸交差点が、目標交差点負荷率
λ’に基づいて定められ、交通量が多いと予測される交
差点を中心とした信号の制御が行われる。これにより、
制御対象エリア内の最も混雑した交差点を中心にエリア
全体の協調を図るので、混雑を解消し、エリア全体の交
通量の平準化が行われる。
【0137】更に、本実施の形態の自律分散型信号制御
システムでは、流入リンクと流出リンクとの両方の遅れ
時間、及び/又は待ち行列台数を考慮した信号灯器の制
御がおこなわれ、自己の交差点における混雑程度と、自
己の交差点の下流側にある交差点の混雑程度の両方を最
適化した信号灯器の制御が実現される。
【0138】遅れ時間や待ち行列を低減することは、車
両のアイドリング時間、停止し再発進する回数を低減す
ることにほぼ等しく、結果として車両から排出されるC
を低減することに繋がり、環境保全に貢献するシス
テムが提供される。
【0139】また、本実施の形態の自律分散型信号制御
システムでは、光ビーコンを使用した待ち行列台数の検
出が行われ、流入リンク及び流出リンクにおける遅れ時
間及び待ち行列台数の正確な算出が行われる。更に、そ
の遅れ時間、及び/又は待ち行列台数を使用した信号灯
器の制御が行われ、より適切な信号灯器の制御が実現さ
れる。
【0140】なお、本実施の形態では、基軸交差点の選
定は、目標交通流率に基づいて行われるが、基軸交差点
の選定は、現実に測定された各交差点の混雑程度に基づ
いて行われ、混雑程度が最も大きい交差点が基軸交差点
と定められることも可能である。各交差点の混雑程度
は、上位層の制御演算で算出された交差点負荷率λを指
標として評価され、交差点1のうち、既述の交差点負荷
率λが最大であるものが、基軸交差点であると定められ
ることが可能である。
【0141】実施の第2形態:実施の第2形態の自律分
散型信号制御システムでは、基軸交差点における制御目
標パターンが、実施の第1形態と異なる算出法により算
出され、もって制御目標パターンの算出に必要な計算量
の削減が図られている。実施の第2形態の自律分散型信
号制御システムの他の構成及び動作は実施の第1形態と
同じである。
【0142】実施の第2形態では、ローカルステーショ
ン2のうちの基軸LS2は、制御指針パターンをマス
ターステーション31から受け取る。制御指針パターン
の内容は、実施の第1形態で記載された通りであり、制
御指針パターンには、制御指針サイクル長Cと、制御
指針スプリットSと、制御指針オフセットO 、O
、O 、O とが含まれている。ここで、O
、O 、O 、O は、図7に示されているよ
うに、それぞれ基軸交差点1と、それに隣接する各協
調交差点1〜1とを接続するリンク11〜11
について定められた制御指針オフセットである。
【0143】基軸LS2は、受け取った制御指針パタ
ーンから、まず、制御目標パターンのサイクル長の候補
である候補サイクル長を決定する。制御指針サイクル長
を中心とし、その制御指針サイクル長Cの近傍に
ある5つのサイクル長 C−2・ΔC、C−ΔC、C、C+ΔC、及び
+2・ΔC が候補サイクル長とされる。
【0144】候補であるサイクル長のうち、基軸交差点
と、それに隣接する各協調交差点1〜1とで発
生する遅れ時間の予測値の和t SUMを最小にするも
のが、制御目標パターンのサイクル長と決定される。こ
のとき、基軸交差点のスプリットは、制御指針パターン
に与えられた制御指針スプリットSに固定され、基軸
交差点1と、それに隣接する各協調交差点1〜1
とを接続するリンク11〜11のオフセットは、制
御指針パターンに与えられた制御指針オフセット
、O 、O 、O で固定される。遅れ時
間の予測値の和t UMの算出方法は、実施の第1形
態における遅れ時間の予測値の和tSUMの算出方法と
同一である。
【0145】続いて、決定された制御目標パターンのサ
イクル長を固定とし、オフセットを制御指針パターンに
与えられた制御指針オフセットO 、O
、O で固定として、且つ、互いにスプリット
が異なる複数個の制御目標候補パターンが作成される。
制御指針スプリットSを中心とし、その制御指針スプ
リットSの近傍にある5つのスプリット S−2・ΔS、S−ΔS、S、S+ΔS、及び
+2・ΔS を制御目標パターンのスプリットの候補とする。
【0146】これら5つのスプリットのうち、基軸交差
点1と、それに隣接する各協調交差点1〜1とで
発生する遅れ時間の予測値の和t SUMを最小にする
ものが、制御目標パターンのスプリットと決定される。
【0147】更に続いて、決定された制御目標パターン
のサイクル長とスプリットを固定とし、且つ、互いにオ
フセットが異なる複数個の制御目標候補パターンが作成
される。制御指針オフセットO を中心とし、その制
御指針オフセットO の近傍にある5つのオフセット O −2・ΔO、O −ΔO、O 、O +Δ
O、O +2・ΔO を制御目標候補パターンの各リンク11〜11のオ
フセットの候補とされる。ここで、iは、2以上5以下
の整数である。作成される制御目標候補パターンの数
は、5個である。
【0148】続いて、制御目標候補パターンのうち、基
軸交差点1と、それに隣接する各協調交差点1〜1
とで発生する遅れ時間の予測値の和t SUMを最小
にするものが、制御目標パターンと決定される。
【0149】このようにして制御目標パターンを決定す
ることにより、実施の第1形態では、5通りの解の探
索が必要であったのに対し、実施の第2形態では、サイ
クルについて5通り、スプリットについて5通りオフセ
ットについて5通りの計635通りの解の探索によ
り、制御目標パターンが決定できる。このように、実施
の第2形態は、基軸交差点の制御目標パターンの算出に
必要な計算量が削減される点で実施の第1形態よりも好
ましい。
【0150】
【発明の効果】本発明により、中央信号制御装置で構成
される大規模な管制センター設備を持たずに、パソコン
などの簡易的な中央装置を接続することにより、制御エ
リア全体の交通状況の変化に応じて、各交差点の信号制
御装置が自律的に制御パターンを算出し、エリア全体を
安定的に、且つ、大域的な交通状況を反映した制御を行
うことができる自律分散型信号制御システムが提供され
る。
【0151】また、本発明により、交通状況の変化に応
じた制御パターンを自動的に算出することにより、定期
的なパラメータ再調整を不要にし、保守費用を大幅に削
減できる自律分散型信号制御システムが提供される。
【0152】また、本発明により、新たに交差点を追加
する場合において、交通量調査によるパラメータ調整作
業を行うことなく、新たに信号制御装置を交差点に設置
し、隣接する交差点に設置された信号制御装置と通信回
線で接続するだけで、制御エリアを拡張できる自律分散
型信号制御システムが提供される。
【0153】また、本発明により、交通状況の変化に応
じて各交差点の信号制御装置が自律的に最適制御を実施
するシステム形態により、交通管制センターにより集中
的に制御されている範囲を除いて、地域性や交通状況を
選ばずに導入できる自律分散型信号制御システムが提供
される。
【0154】また、本発明により、中央装置の故障やメ
ンテナンスなどにより、中央装置を停止している場合で
も、各交差点の信号制御装置間の協調により中央装置か
ら独立した各交差点の自律的な信号制御を継続できる自
立分散型信号制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による信号制御システムの実施
の一形態を示す。
【図2】図2は、交差点1の近傍の詳細図である。
【図3】図3は、本発明による自律分散型信号制御シス
テムで行われる制御演算の論理構造を示す。
【図4】図4は、交差点負荷率λの算出法を説明する図
である。
【図5】図5は、閉ループを構成するリンクについての
制御指針候補オフセットの決定方法を示す。
【図6】図6は、基軸交差点1の近傍の図を示す。
【図7】図7は、基軸交差点の制御目標パターンの決定
方法を示す。
【図8】図8は、リンク11〜11と、それぞれの
リンク11〜11に定められた制御指針オフセット
〜O を示す。
【図9】図9は、遅れ時間の算出対象である流入点8
〜820を示す。
【図10】図10は、流入点813への単位時間あたり
の流入台数Q13(t)の算出方法を示す。
【図11】図11は、協調交差点の制御目標パターンの
決定方法を示す。
【図12】図12は、協調交差点1の流入リンク及び
流出リンクの遅れ時間の算出方法を説明する図である
【図13】図13は、光ビーコンを使用した待ち行列台
数の推定方法を示す。
【図14】図14は、流出リンクにおける車群の速度超
過を防ぐのに最適なオフセットO R1の算出方法を示
す。
【図15】図15は、流入リンクにおける車群の速度超
過を防ぐのに最適なオフセットO R2の算出方法を示
す。
【図16】図16は、当該自律分散型信号制御システム
の拡張方法を示す。
【符号の説明】
〜1:交差点 2〜2:ローカルステーション 3、4:信号灯器 5、5’:検出器 7〜7、8〜820、10〜10:流入点 913:流出点 31:マスターステーション 32:通信回線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 穂坂 重孝 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 射場 博之 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 Fターム(参考) 5H180 AA01 BB02 CC02 DD02 DD05 EE02 JJ02 JJ06 JJ10 JJ12 JJ13 JJ15

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御エリアの各交差点にそれぞれ設けら
    れた信号灯器と、 前記各交差点にそれぞれ設けられ、前記信号灯器をそれ
    ぞれ制御するローカルステーションと、 前記交差点のうちから交通状況に応じて基軸交差点を逐
    次自動的に選択する基軸交差点決定手段とを備え、 前記ローカルステーションのうちの前記基軸交差点に選
    択された基軸ローカルステーションは、基軸交差点を中
    心とした隣接交差点を含む範囲の交通状況に基づいて、
    前記基軸交差点を制御する制御パターンを自己独立的に
    作成し、 前記ローカルステーションのうち、前記基軸交差点以外
    である協調交差点に選択された協調ローカルステーショ
    ンのそれぞれは、前記基軸交差点の制御パターンに協調
    しながら、それぞれが設けられた協調交差点の交通状況
    に基づいて、協調交差点の制御パターンを作成し、 前記ローカルステーションのそれぞれと通信回線で接続
    可能であり、制御エリア全体の動作状況の監視、あるい
    は、制御エリア全体の政策的な制御指針を決定しローカ
    ルステーションに指示可能なマスターステーションを持
    つ、 自律分散型信号制御システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の自律分散型信号制御シ
    ステムにおいて、 前記ローカルステーションのそれぞれは、マスターステ
    ーションとの通信が途絶したとき、ローカルステーショ
    ン間の協調により制御パターンを作成可能である自律分
    散型信号制御システム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の自律分散
    型信号制御システムにおいて、 他の交差点に新規信号灯器と新規ローカルステーション
    とを設け、前記新規ローカルステーションを前記通信回
    線に接続することにより、前記制御エリアに前記他の交
    差点を追加することが可能な自律分散型信号制御システ
    ム。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の自律分散型信号制御シ
    ステムにおいて、 前記マスターステーションは、制御エリア全体の交通状
    況に基づき、制御エリア全体として最適となる制御指針
    を計算し、各ローカルステーションに制御指針を与え、 前記ローカルステーションのそれぞれは、前記制御指針
    に基づいて、前記制御パターンを求める自律分散型信号
    制御システム。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の自律分散型信号制御シ
    ステムにおいて、 前記制御指針は、 制御指針サイクル長と、 前記制御指針サイクル長の許容範囲であるサイクル長許
    容範囲と、 前記制御エリア内のリンクそれぞれの制御指針オフセッ
    トと、 前記制御指針オフセットの許容範囲であるオフセット許
    容範囲と、 前記交差点それぞれの制御指針スプリットと、 前記制御指針スプリットの許容範囲であるスプリット許
    容範囲とを含む 自律分散型信号制御システム。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の自律分散型信号制御シ
    ステムにおいて、 前記制御指針は、 前記制御エリア内のリンクそれぞれの交通流率の目標値
    である目標交通流率と、 前記目標交通流率の許容範囲である目標交通流率範囲と
    を含む自律分散型信号制御システム。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載の自律分散型信号制御シ
    ステムにおいて、 前記マスターステーションは、前記制御エリア内にある
    出発地と目的地との組のそれぞれについて、前記出発地
    から前記目的地への交通需要の予測値を求めてOD需要
    予測を算出し、且つ、前記制御指針を、前記OD需要予
    測に基づいて定める自律分散型信号制御システム。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の自律分散型信号制御シ
    ステムにおいて、 更に、 前記交差点のそれぞれに設けられた光ビーコンを受信す
    る感知器を備え、 前記光ビーコンのアップリンク情報は、前記制御範囲を
    走行する車両を識別する車両IDを含み、 前記マスターステーションは、前記アップリンク情報に
    基づいて、前記OD需要予測を算出する自律分散型信号
    制御システム。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の自律分散型信号制御シ
    ステムにおいて、 前記基軸交差点決定手段は、前記ローカルステーション
    であり、 前記基軸交差点は、前記ローカルステーション間のデー
    タ交換により定められる自律分散型信号制御システム。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の自律分散型信号制御
    システムにおいて、 前記基軸交差点決定手段は、前記マスターステーション
    である自律分散型信号制御システム。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の自律分散型信号制御
    システムにおいて、 前記基軸交差点は、前記交差点それぞれの混雑程度に基
    づいて定められる自律分散型信号制御システム。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の自律分散型信号制
    御システムにおいて、 前記マスターステーションは、前記交差点それぞれの交
    通量から前記交差点それぞれの交通量の目標値である目
    標交通流量を定め、 前記基軸交差点は、前記目標交通流量に基づいて定めら
    れる自律分散型信号制御システム。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載の自律分散型信号制御
    システムにおいて、 前記マスターステーションは、前記ローカルステーショ
    ンそれぞれの動作状態、及び/又は前記制御エリア全体
    の交通状況を監視する自律分散型信号制御システム。
  14. 【請求項14】 請求項1に記載の自律分散型制御シス
    テムにおいて、 前記マスターステーションは、運用者により行われた操
    作に基づいて前記ローカルステーションを制御する自律
    分散型信号制御システム。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の自律分散型信号制
    御システムにおいて、 前記マスターステーションは、前記制御エリアに含まれ
    るリンクのうちの特定リンクの走行を優先するように前
    記マスターステーションに指示する自律分散型信号制御
    システム。
  16. 【請求項16】 請求項14に記載の自律分散型信号制
    御システムにおいて、 前記マスターステーションは、前記制御エリアに含まれ
    るリンクのうちの特定リンクの走行を規制するように指
    示する自律分散型信号制御システム。
  17. 【請求項17】 請求項1に記載の自律分散型信号制御
    システムにおいて、 前記マスターステーションは、前記制御エリアのうち交
    通が停滞している事故エリアを検出し、前記事故エリア
    を検出した場合、前記事故エリアを前記制御範囲から切
    り離す自律分散型信号制御システム。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の自律分散型信号制
    御システムにおいて、 前記マスターステーションは、前記事故エリアへの車両
    の流入を抑制するように制御パターンを定めることを前
    記ローカルステーションに指示する自律分散型信号制御
    システム。
  19. 【請求項19】 請求項1に記載の自律分散型信号制御
    システムにおいて、 前記マスターステーションは、緊急車両に関する通報を
    受信し、且つ、前記通報に基づいて、前記ローカルステ
    ーションを制御する自律分散型信号制御システム。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の自律分散型信号制
    御システムにおいて、 前記マスターステーションは、前記緊急車両が走行する
    リンクの交通を制御する信号灯器を、優先的に青にする
    ように前記ローカルステーションに指示する自律分散型
    信号制御システム。
  21. 【請求項21】 (a)請求項1に記載の自律分散型信
    号制御システムを設置するステップと、 (b)他の交差点に新設信号灯器と、前記新設信号灯器
    を制御する新設ローカルステーションとを設置するステ
    ップと、 (c)前記新設ローカルステーションに前記通信回線を
    接続するステップと、 (d)前記新設ローカルステーションに、前記ローカル
    ステーションと同一の動作を行わせるステップと、 (e)前記マスターステーションの設定を変更するステ
    ップとを備えた自律分散型信号制御システムの拡張方
    法。
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