JP6047828B2 - 交通信号制御装置 - Google Patents
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Description
また、上記の2つ現示以外に第3の現示を必要とする「多現示方式」の交通信号制御として、例えば、「歩者分離制御」や「多差路制御」がある。
多差路制御は、五差路以上の交差点についての信号制御であり、この場合、交差点に流入する道路が五本以上あるので、五本目以後の従道路(以下、「第2従道路」ともいう。)に通行権を与えるための「第2従道路用現示」が必要となる。
このリコール制御の一種として、例えば「半感応制御」があり、これは、交通需要が多いことが予想される主道路の交通流をなるべく停止させないことを目的とし、通常は主道路に通行権を与えておき、従道路側の車両や歩行者を検出した場合(リコール要求があった場合)に限り、従道路に通行権を与えるものである(特許文献1参照)。
かかる交差点では、歩行者からのリコール要求があった場合には、主道路のための第1現示と従道路のための第2現示の後に、歩行者用現示である第3現示を出し、そのリコール要求がない場合には、歩行者用現示である第3現示の代わりに、第1現示を出すようになっている。
かかる交差点では、第2従道路からのリコール要求があった場合には、主道路のための第1現示と従道路のための第2現示の後に、第2従道路用現示である第3現示を出し、そのリコール要求がない場合には、第2従道路用現示である第3現示の代わりに、第1現示を出すようになっている。
しかし、実際の交差点の交通状況は、必ずしも第1現示に対応する主道路の交通量の方が多いとは限らず、例えば曜日や時間帯によっては、第2現示に対応する従道路の交通量の方が多い場合もある。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、第3現示のリコール要求がない場合において、サイクル内の青時間の有効利用を図ることができる、交通信号制御装置を提供することを目的とする。
従って、1つのサイクルに4つ以上の現示が含まれている場合の第1〜第3現示は、その4種類以上の現示に含まれる3つの現示であり、サイクル内での順序が第1→第2→第3となる3つの現示のことをいう。
第1時間:第1現示における最大可変ステップの秒数を含む1又は複数のステップ秒数
第2時間:第2現示における最大可変ステップの秒数を含む1又は複数のステップ秒数
その理由は、第1時間は第1現示の交通流の多さと相関し、第2時間は第2現示の交通流の多さと相関するので、上記のように選択すれば、交通状況の実態に即してサイクル内の青時間を有効に利用できるからである。
第1指標:第1現示の交通流に関する交通指標
第2指標:第2現示の交通流に関する交通指標
なお、交通指標の具体例としては、交差点への流入交通量、負荷率(=交通量/飽和交通量)、渋滞長、旅行時間、バスなどの特定車両の交通量などがある。これらのパラメータは、過去の統計値でもよいし、将来の予測値でもよいし、複数種類のパラメータの重み平均値を用いることにしてもよい
その理由は、第1指標は第1現示の交通流の多さと相関し、第2指標は第2現示の交通流の多さと相関するので、上記のように選択すれば、交通状況の実態に即してサイクル内の青時間を有効に利用できるからである。
その理由は、非先頭現示と第3現示は全赤又は黄時間が異なることがあるので、上記の入れ替えを行わないと、非先頭現示の全赤又は黄時間が不適切になり得るからである。
(9) この場合、前記制御部は、第1現示と第2現示に割り当てる時間を、第1時間と第2時間の比率に基づく比例配分によって求めることが好ましい。
その理由は、第1時間は第1現示の交通流の多さと相関し、第2時間は第2現示の交通流の多さと相関するので、上記比例配分による割り当てを行えば、交通状況の実態に即してサイクル内の青時間を有効に利用できるからである。
(11) この場合、第1現示と第2現示に割り当てる時間を、第1指標と第2指標の比率に基づく比例配分によって求めることが好ましい。
その理由は、第1指標は第1現示の交通流の多さと相関し、第2指標は第2現示の交通流の多さと相関するので、上記比例配分による割り当てを行えば、交通状況の実態に即してサイクル内の青時間を有効に利用できるからである。
先頭現示を選択する理由は、次サイクルとの表示の連続性を確保するためである。また、非選択現示の可変のステップ秒数に追加する理由は、固定のステップ秒数には時間を追加できないからである。
その理由は、第1時間≧第2時間の場合や第1指標≧第2指標の場合に割当処理を行うと、その割当処理によって第1現示の青時間が減少してしまい、第1現示の方向の交通流の円滑化を却って阻害することになるからである。
パターン2:リコール対象である第3現示の時間帯に、リコール対象ではない第2現示を採用する現示方式
この場合、制御部が、切替処理を時限表に従って自律的に実行できるので、単独制御型の交通信号制御機の場合でも本発明を実装できるようになる。
<用語の定義>
本発明の実施形態を説明するに当たり、まず、本明細書で用いる用語の定義を行う。
「車両」:道路を通行する車両全般、具体的には、道路交通法上の車両のことをいう。同法上の車両には、自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスが含まれる。
例えば、直下を通行する車両を超音波で感知する超音波式の車両感知器や、車両通過時の温度変化から車両の通過を感知する温度式の車両感知器や、インダクタンス変化で車両を感知する道路に埋め込まれたループコイル等がこれに該当する。
従って、複数台の車両が車両感知器を通過した場合には、各車両に対応する感知信号が時系列に出力される。
例えば、信号灯色の開始時刻(青信号開始、黄信号開始、赤信号開始時刻及び右左折矢印の開始時刻)、信号灯色時間(青信号時間、黄信号時間、赤信号時間及び右左折矢印時間)、及び、信号パラメータ(スプリット、信号サイクル及びオフセット)などがこれに含まれる。
本実施形態では、歩車分離制御を採用する交差点において、歩行者用現示をリコール対象とするリコール制御の場合(第1実施形態)と、多差路制御を採用する交差点において、五本目以後の従道路用の現示をリコール対象とするリコール制御の場合(第2実施形態)とがある。
例えば、リコール要求には、道路を横断する歩行者により押動操作される押しボタン装置の操作信号や、従道路の停止線付近に設置した車両感知器の感知信号がある。
「リコール対象」:サイクル内の複数の現示のうち、リコール要求に応じて出される現示のことをいう。
「第2現示」:サイクル内におけるリコール対象ではない現示であって、サイクル内において第1現示よりも後出しされる現示のことである。
「第3現示」:サイクル内におけるリコール対象の現示であって、サイクル内において第2現示よりも後出しされる現示のことである。
以下、図1〜図4を参照しつつ、本発明の第1実施形態を説明する。
〔システムの全体構成〕
図1は、第1実施形態に係る交通信号制御システムの概略構成図である。
図1に例示する交差点は、十字路交差点J1(以下、単に「交差点J1」という。)である。なお、以下の説明では、便宜上、交差点J1において交差する道路のうち、東西方向の道路を「主道路」とし、南北方向の道路を「従道路」とする。
交通信号制御機1は、信号灯器と電力線を介して接続されている。信号灯器は、交差点J1の流入路を通行する車両に通行権の有無を表示する車両灯器と、流入路の横断歩道を通行する歩行者に通行権の有無を表示する歩行者灯器とを含む。
従って、中央装置2は、交通信号制御機1とそれぞれ双方向通信が可能であり、交通信号制御機1は他の交差点の同制御機1とも双方向通信が可能である。なお、中央装置2は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
すなわち、中央装置2は、所定周期(例えば、1分や1サイクル)ごとに車両感知器などの各種の路側センサから収集した計測情報に基づいて、必要な交通情報を当該所定周期ごとに算出し、算出した交通情報に基づいて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)を設定する交通感応制御を行うことができる。
また、中央装置2は、交差点での「端末感応制御」の許否を含む制御種別情報を、管轄エリア内の各交通信号制御機1に通知している。
交通信号制御機1は、車両感知器とも通信回線で繋がっており、車両感知器はその感知信号を交通信号制御機1に送信する。交通信号制御機1は、必要な場合はその感知信号を自身の端末感応制御に利用し、取得した感知信号を中央装置2に転送する。
この押しボタン装置3は、交通信号制御機1に通信回線を介して繋がっており、押しボタン装置3に対するボタン操作があった場合に、その操作信号(歩行者からのリコール要求)を交通信号制御機1に送信する。
図1に示すように、本実施形態の交通信号制御機1は、制御部101、記憶部102、通信部103及び灯器駆動部104を内部に含んでいる。
制御部101は、1又は複数のマイクロコンピュータから構成され、内部バスを介して記憶部102、通信部103及び灯器駆動部104と接続されている。制御部101はこれらのハードウェア各部の動作を制御する。
また、制御部101は、中央装置2からの制御種別情報が端末感応制御を許可している場合には、自装置で行う端末感応制御(本実施形態では、歩車分離制御の歩行者用現示をリコール対象としたリコール制御)の結果に従って、交差点J1に設けられた信号灯器の灯色切り替えタイミングを生成する。
通信部103は、中央装置2や車両感知器等との間で有線通信を行う通信インタフェースである。通信部103は、信号制御指令や制御種別情報を中央装置2から受信し、これらを自装置の制御部101に中継する。
記憶部102は、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体から構成されている。記憶部102は、通信部103が受信した各種情報(信号制御指令や計測情報など)を一時的に記憶する記憶領域を有する。
制御部101は、上記コンピュータプログラムを記憶部102から読み出して処理することにより、図2〜図4に示す現示方式を用いて、歩車分離制御における歩行者用現示(第3現示)をリコール対象としたリコール制御を行う。
図2〜図4では、1つの現示に可変ステップが1つしかないので、可変ステップ=最大可変ステップとなる。
このため、最大可変ステップのステップ秒数は、中央装置2による交通感応制御の結果に応じて、当該交通感応制御の制御周期ごとに動的に変化し得る。
交通信号制御機1の制御部101は、図2及び図3の現示階梯図に示す現示方式に従って、「第1のリコール制御」を行うことができる。
ここで、「第1のリコール制御」とは、リコール要求がない場合に第3現示φ3の代わりに出す現示を、第1現示φ1又は第2現示φのいずれかに選択する「選択処理」を行うリコール制御のことをいう。
なお、図2及び図3において、「−」は青、「=」は赤、「Y」は車両黄、「W」は歩行者点滅を示す。この点は、図4以後の図において同様である。
また、図2及び図3において、T1は、第1現示φ1に含まれる「最大可変ステップ」のステップ秒数であり、T2は、第2現示φ2に含まれる「最大可変ステップ」のステップ秒数である。この点も、図4以後の図において同様である。
図2(a)の現示方式では、第1現示φ1→第2現示φ2→第3現示φ3の順で現示が進行する。この場合、第3現示φ1は「歩行者用現示」であるから、第3現示φ3の時間帯では、歩行者の横断のみに通行権が与えられ、主道路と従道路には通行権は与えられない。
すなわち、制御部101は、歩行者からのリコール要求がなくしかもT1≧T2の場合には、図3(b)の現示方式を採用し、歩行者からのリコール要求がなくしかもT1<T2の場合には、図3(c)の現示方式を採用する。
図3(b)の現示方式は、第1現示φ1→第2現示φ2→第1現示φ1の順で現示が進行するものであり、第3現示φ3の代わりに第1現示φ1が採用されている。
従って、T1≧T2の場合は、制御部101は、リコール対象である第3現示φ3(歩行者用現示)の代わりに、第1現示φ1を選択する。
図3(c)の現示方式は、第1現示φ1→第2現示φ2→第2現示φ2の順で現示が進行するものであり、第3現示φ3の代わりに第2現示φ2が採用されている。
従って、T1<T2の場合は、制御部101は、リコール対象である第3現示φ3(歩行者用現示)の代わりに、第2現示φ2を選択する。
具体的には、主道路の交通量が多いであろうT1≧T2の場合は、第3現示φ3の代わりに第1現示φ1が選択され(図3(b))、逆に、従道路の交通量が多いであろうT1<T2の場合は、第3現示φ3の代わりに第2現示φ2が選択される(図3(c))。
このため、第3現示φ3の代わりに第2現示φ2を選択する場合には、上記の「入れ替え処理」を行わないと、第3現示φ3の代わりに採用された第2現示φ2の「黄時間」や「全赤時間」の時間長が不適切になることがあるからである。
制御部101は、受付限界時刻tk以前にリコール要求があったか否かにより、現示方式を切り替える時期を今回又は次回サイクルのいずれにするかを決定する。
このように、リコール要求ありの現示方式に切り替えるタイミングを上記のように制御する、いわゆる「回転型」のリコール制御を採用すれば、隣接交差点との系統制御が乱れるのを防止しつつ、リコール制御を実行できるという利点がある。
また、本実施形態の交通信号制御機1は、従来の交通信号制御機と同様の「待時間短縮機能」(詳細は「交通信号制御機仕様書 警交仕規第1012号『版3』 制定2009-03-10, 改版2012-03-19」36頁を参照)を備えていても良い。
交通信号制御機1の制御部101は、図2及び図4の現示階梯図に示す現示方式に従って、「第2のリコール制御」を行うことができる。
ここで、「第2のリコール制御」とは、リコール要求がない場合に、第3現示φ3の時間帯を、第1現示φ1と第2現示φにそれぞれ割り当てる「割当処理」を行うリコール制御のことをいう。
なお、図4において、Q1及びQ2は、それぞれ「主道路」と「従道路」の最大流入交通量であり、これらの交通量は次式によって算出される。
Q1=max(r1,r2)
Q2=max(r3,r4)
r1:主方向の青時間に、東から交差点J1に流入する流入交通量
r2:主方向の青時間に、西から交差点J1に流入する流入交通量
r3:従方向の青時間に、南から交差点J1に流入する流入交通量
r4:従方向の青時間に、北から交差点J1に流入する流入交通量
交通信号制御機1の制御部101は、歩行者からのリコール要求があった場合には、図2(a)に示す現示方式を実行する。この点については、第1のリコール制御の場合と同様である。
一方、制御部101は、歩行者からのリコール要求がなくしかもQ1<Q2の場合には、第3現示φ3→第1現示φ1に変更した上で、第3現示φ3の時間帯の割り当てを行う(図4(e))。
すなわち、制御部101は、第1現示φ1への割当時間αと第2現示φ2への割当時間βを、それぞれ次式によって算出する。
α=Tφ3×Q1/(Q1+Q2)
β=Tφ3×Q2/(Q1+Q2)
また、制御部101は、第2現示φ2の割当時間βについては、その第2現示φ2の可変ステップであるステップ4に、そのまま加算することによって割り当てる。
ここで、r1=28台、r2=30台、r3=25台、r4=33台とすると、Q1,Q2は、次のようになる。
Q1=max(28,30)=30台
Q2=max(25,33)=33台
α=20秒×30/(30+33)≒10秒
β=20秒×33/(30+33)≒10秒
また、第2現示φ2の割当時間β=10秒については、その第2現示φ2の可変ステップであるステップ4に、そのまま加算するので、ステップ4のステップ秒数は、T2+β=44+10=54秒となる。
すなわち、制御部101は、第1現示φ1の割当時間αから求めたステップ7のステップ秒数(以下、「演算秒数」という。)とステップ7の最低保証秒数とを比較し、演算秒数<最低保証秒数となった場合には、最低保証秒数をステップ7のステップ秒数として採用する。
従って、リコール要求がない場合に、第3現示φ3の代わりに第1現示φ1を固定的に出すだけで、そのような割当処理を行わない従来の交通信号制御機に比べて、サイクル内の青時間をより有効に利用することができる。
更に、選択されなかった第2現示φ2の割当時間βを可変ステップ4のステップ秒数に追加する理由は、例えば、「車両黄」などを含む固定のステップ秒数には割当時間βを追加できないからである。
次に、図5〜図8を参照しつつ、本発明の第2実施形態を説明する。
なお、第2実施形態では、主として第1実施形態との相違点を重点的に説明し、第1実施形態と共通する重複部分については、説明を省略する。
図5は、第2実施形態に係る交通信号制御システムの概略構成図である。
図5に例示する交差点は、六差路交差点J2(以下、単に「交差点J2」という。)である。なお、交差点J2では、従道路が2種類あるので、南北方向の従道路を「従道路1」(「第1従道路」ともいう。)といい、リコール対象の従道路を「従道路2」(「第2従道路」ともいう。)という。また、交差点J2は五差路であってもよい。
この車両感知器5は、交通信号制御機1に通信回線を介して繋がっており、第2従道路において信号待ち停止する車両を感知すると、その感知信号(従道路2からのリコール要求)を交通信号制御機1に送信する。
交通信号制御機1の制御部101は、図6及び図7の現示階梯図に示す現示方式に従って、「第1のリコール制御」を行うことができる。
図6(a)は、リコール要求ありの場合の現示階梯図である。また、図7(b)は、リコール要求なしでかつT1≧T2の場合の現示階梯図であり、図7(c)は、リコール要求なしでかつT1<T2の場合の現示階梯図である。
図6(a)の現示方式では、第1現示φ1→第2現示φ2→第3現示φ3の順で現示が進行する。この場合、第3現示φ3は「第2従道路用現示」であるから、第3現示φ3の時間帯では、従道路2のみに通行権が与えられ、主道路と従道路1には通行権は与えられない。
すなわち、制御部101は、従道路2からのリコール要求がなくしかもT1≧T2の場合には、図7(b)の現示方式を採用し、車両からのリコール要求がなくしかもT1<T2の場合には、図7(c)の現示方式を採用する。
図7(b)の現示方式は、第1現示φ1→第2現示φ2→第1現示φ1の順で現示が進行するものであり、第3現示φ3の代わりに第1現示φ1が採用されている。
従って、T1≧T2の場合は、制御部101は、リコール対象である第3現示φ3(第2従道路用現示)の代わりに、第1現示φ1を選択する。
図7(c)の現示方式は、第1現示φ1→第2現示φ2→第2現示φ2の順で現示が進行するものであり、第3現示φ3の代わりに第2現示φ2が採用されている。
従って、T1<T2の場合は、制御部101は、リコール対象である第3現示φ3(第2従道路用現示)の代わりに、第2現示φ2を選択する。
具体的には、主道路の交通量が多いであろうT1≧T2の場合は、第3現示φ3の代わりに第1現示φ1が選択され(図7(b))、逆に、従道路の交通量が多いであろうT1<T2の場合は、第3現示φ3の代わりに第2現示φ2が選択される(図7(c))。
また、図7(c)中の「tk」も、リコール要求の「受付限界時刻」である。図例では、ステップ8の終了時刻が、受付限界時刻tkとなっている。
交通信号制御機1の制御部101は、図6及び図8の現示階梯図に示す現示方式に従って、「第2のリコール制御」を行うことができる。
図6(a)は、前述の通り、リコール要求ありの場合の現示階梯図である。また、図8(d)は、リコール要求なしでかつQ1≧Q2の場合の現示階梯図であり、図8(e)は、リコール要求なしでかつQ1<Q2の場合の現示階梯図である。
一方、制御部101は、車両からのリコール要求がなくしかもQ1<Q2の場合には、第3現示φ3→第1現示φ1に変更した上で、第3現示φ3の時間帯の割り当てを行う(図8(e))。
すなわち、制御部101は、第1現示φ1の割当時間αと第2現示φ2の割当時間βを、それぞれ次式によって算出する。
α=Tφ3×Q1/(Q1+Q2)
β=Tφ3×Q2/(Q1+Q2)
また、制御部101は、第2現示φ2の割当時間βについては、その第2現示φ2の可変ステップであるステップ8に、そのまま加算することによって割り当てる。
ここで、r1=28台、r2=30台、r3=25台、r4=33台とすると、Q1,Q2は、次のようになる。
Q1=max(28,30)=30台
Q2=max(25,33)=33台
α=20秒×30/(30+33)≒10秒
β=20秒×33/(30+33)≒10秒
また、第2現示φ2の割当時間β=10秒については、その第2現示φ2の可変ステップであるステップ8に、そのまま加算するので、ステップ8のステップ秒数は、T2+β=2+10=12秒となる。
すなわち、制御部101は、第1現示φ1の割当時間αに対応するステップ11の演算秒数とステップ7の最低保証秒数とを比較し、演算秒数<最低保証秒数となった場合には、最低保証秒数をステップ11のステップ秒数として採用する。
従って、リコール要求がない場合に、第3現示φ3の代わりに第1現示φ1を固定的に出すだけで、そのような割当処理を行わない従来の交通信号制御機に比べて、サイクル内の青時間をより有効に利用することができる。
また、選択されなかった第2現示φ2については、割当時間βを可変ステップ8のステップ秒数に追加する理由も、第1実施形態と同様であり、例えば、「歩行者黄」などを含む固定のステップ秒数には割当時間βを追加できないからである。
次に、図9〜図11を参照しつつ、本発明の第3実施形態を説明する。
〔システムの全体構成〕
第3実施形態に係る交通システム制御システムは、第2実施形態の場合(図5)と同様であり、交通信号制御機1は、交差点J2に対して六差路制御を行うものとする。
もっとも、第3実施形態では、後述する時限表に従ってパターンを自律的に切り替えるので、交通信号制御機1は、中央装置2と通信しない「単独制御型」であるものとする。
本実施形態では、交通信号制御機1の記憶部102は、例えば図9に示す「時限表」を予め記憶している。
この時限表は、1日の時間帯ごとに区分された行エントリを有し、この行エントリごとに、交通点J2での信号制御に用いるステップ1〜13までのステップ秒数と、現示方式のパターン種別(パターン1又は2)とを定めた表である。
制御部101は、まず、自装置の時刻が時限表に記された行エントリのどの時間帯に属するかを判定し、判定した時間帯に対応する秒数値にステップ1〜13のステップ秒数を設定するとともに、判定した時間帯に対応するパターン種別に現示方式を切り替える。
図10及び図11は、リコール要求のあり/なしで個別に定められた現示方式を示す現示階梯図である。そのうち、図10は、リコール要求ありの場合の現示階梯図であり、図11は、リコール要求なしの場合の現示階梯図である。
記憶部102は、図9の時限表に加えて、図10及び図11の現示階梯図で定義された現示方式も予め記憶している。
図11に示すように、リコール要求なしの場合の現示方式は、パターン1とパターン2の2種類のものが定義されている。
すなわち、パターン1では、リコール対象である第3現示φ3の時間帯に、リコール対象ではない第1現示φ1を採用する現示方式になっている。
すなわち、パターン2では、リコール対象である第3現示φ3の時間帯に、リコール対象ではない第2現示φを採用する現示方式になっている。
また、従道路2からのリコール要求がない場合において、自装置の時刻が次の時間帯に移行したことにより、パターン種別がパターン2からパターン1に変化すると、制御部101は、交差点J2の現示方式をパターン2からパターン1に切り替える。
従って、第3現示φ3のリコール要求がない場合に必ず第1現示φ1を出す従来の交通信号制御機に比べて、サイクル内の青時間をより有効に利用することができる。
このため、例えば、中央装置2と通信できない遠隔地に設置された「単独制御型」の交通信号制御機1であっても、上記切替処理を自律的に実行することができる。
〔第1のリコール制御の変形例〕
上述の第1及び第2実施形態では、制御部101が、「第1のリコール制御」を行う場合に、最大可変ステップのステップ秒数T1,T2を用いて選択処理を行っているが、必ずしもステップ秒数T1,T2そのものの値を用いる必要はなく、当該ステップ秒数T1,T2に他のステップ秒数を加算した時間を用いてその選択処理を行ってもよい。
第1時間:第1現示φ1における、少なくとも最大可変ステップの秒数を含む1又は複数のステップ秒数
第2時間:第2現示φ2における、少なくとも最大可変ステップの秒数を含む1又は複数のステップ秒数
すなわち、この場合の選択処理は、後述の第1指標と第2指標の比較結果に基づいて行うものであり、具体的には、第1指標の方が大きい場合は第1現示第1を選択し、第2指標の方が大きい場合は第2現示φ2を選択する処理となる。
上述の第1及び第2実施形態では、制御部101が、「第2のリコール制御」を行う場合に、最大流入交通量Q1,Q2を用いて割当処理を行っているが、この交通量Q1,Q2だけでなく、第1現示φ1と第2現示φ2の交通流の多寡に応じて変動する他の交通指標を用いて、その割当処理を行うことにしてもよい。
第1指標:第1現示φ1の交通流の多寡に応じて変動する交通指標
第2指標:第2現示φ2の交通流の多寡に応じて変動する交通指標
すなわち、この場合の割当処理は、前述の第1時間と第2時間に基づいて行うものであり、具体的には、第1現示φ1と第2現示φ2に割り当てる時間を、第1時間と第2時間の比率に基づく比例配分によって求める処理となる。
上述の第3実施形態では、制御部101が、記憶部102が記憶する時限表(図9)に従って、第1パターンと第2パターンのいずれかに切り替える切替処理を行うが、中央装置2と通信可能な交通信号制御機1である場合には、その中央装置2から通知されたパターン1又はパターン2の指定に応じて、リコール要求がない場合における現示方式のパターン種別の切替処理を行うことにしてもよい。
本発明の権利範囲は、上述の実施形態(変形例を含む。)ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びその構成と均等な範囲内のすべての変更が含まれる。
例えば、上述の第1〜第3実施形態では、「選択処理」、「割当処理」又は「切替処理」を伴うリコール制御の実行主体が「交通信号制御機1」であるが、中央装置2が、自身が管轄する交差点J1,J2についてそのリコール制御を実施してもよい。
2 中央装置(交通信号制御装置)
3 押しボタン装置
5 車両感知器
101 制御部
102 記憶部
103 通信部
104 灯器駆動部
Claims (16)
- リコール要求に応じてリコール対象の現示を出す交通信号制御装置であって、
1つのサイクルに含まれるリコール対象ではない第1及び第2現示とリコール対象である第3現示についての、ステップごとの信号灯色とステップ秒数を記憶する記憶部と、
第1現示、第2現示及び第3現示の順で、各現示に含まれるステップごとの前記信号灯色と前記ステップ秒数に従って信号灯器を制御する信号制御を、サイクルごとに繰り返す制御部と、を備えており、
前記制御部は、第3現示のリコール要求がない場合に、第3現示の代わりに第1現示又は第2現示のいずれかを選択する選択処理を行うことを特徴とする交通信号制御装置。 - 前記制御部は、下記の第1時間と第2時間の比較結果に基づいて、前記選択処理を行う請求項1に記載の交通信号制御装置。
第1時間:第1現示における最大可変ステップの秒数を含む1又は複数のステップ秒数
第2時間:第2現示における最大可変ステップの秒数を含む1又は複数のステップ秒数 - 前記制御部は、第1時間の方が大きい場合は第1現示を選択し、第2時間の方が大きい場合は第2現示を選択する請求項2に記載の交通信号制御装置。
- 前記制御部は、下記の第1指標と第2指標の比較結果に基づいて、前記選択処理を行う請求項1に記載の交通信号制御装置。
第1指標:第1現示の交通流の多寡に応じて変動する交通指標
第2指標:第2現示の交通流の多寡に応じて変動する交通指標 - 前記制御部は、第1指標の方が大きい場合は第1現示を選択し、第2指標の方が大きい場合は第2現示を選択する請求項4に記載の交通信号制御装置。
- 前記制御部は、サイクル内で最初の現示以外の現示を第3現示の代わりに選択する場合は、選択した現示の最後の2つのステップ秒数と、第3現示の最後の2つのステップ秒数との入れ替えを行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の交通信号制御装置。
- リコール要求に応じてリコール対象の現示を出す交通信号制御装置であって、
1つのサイクルに含まれるリコール対象ではない第1及び第2現示とリコール対象である第3現示についての、ステップごとの信号灯色とステップ秒数を記憶する記憶部と、
第1現示、第2現示及び第3現示の順で、各現示に含まれるステップごとの前記信号灯色と前記ステップ秒数に従って信号灯器を制御する信号制御を、サイクルごとに繰り返す制御部と、を備えており、
前記制御部は、第3現示のリコール要求がない場合に、第3現示の時間帯を第1現示と第2現示に割り当てる割当処理を行うことを特徴とする交通信号制御装置。 - 前記制御部は、下記の第1時間と第2時間に基づいて、前記割当処理を行う請求項7に記載の交通信号制御装置。
第1時間:第1現示における最大可変ステップの秒数を含む1又は複数のステップ秒数
第2時間:第2現示における最大可変ステップの秒数を含む1又は複数のステップ秒数 - 前記制御部は、第1現示と第2現示に割り当てる時間を、第1時間と第2時間の比率に基づく比例配分によって求める請求項8に記載の交通信号制御装置。
- 前記制御部は、下記の第1指標と第2指標に基づいて、前記割当処理を行う請求項7に記載の交通信号制御装置。
第1指標:第1現示の交通流の多寡に応じて変動する交通指標
第2指標:第2現示の交通流の多寡に応じて変動する交通指標 - 前記制御部は、第1現示と第2現示に割り当てる時間を、第1指標と第2指標の比率に基づく比例配分によって求める請求項10に記載の交通信号制御装置。
- 前記制御部は、サイクル内で最初の現示を第3現示の代わりに出す現示として選択し、選択されなかった現示については、割り当てられた時間を可変ステップの秒数に追加する請求項7〜11のいずれか1項に記載の交通信号制御装置。
- 前記制御部は、第1時間<第2時間の場合又は第1指標<第2指標の場合に、前記割当処理を行う請求項8〜12のいずれか1項に記載の交通信号制御装置。
- リコール要求に応じてリコール対象の現示を出す交通信号制御装置であって、
下記のパターン1とパターン2についての、ステップごとの信号灯色とステップ秒数とを記憶する記憶部と、
第1現示、第2現示及び第3現示の順で、前記信号灯色と前記ステップ秒数に従って信号制御を行う制御部と、を備えており、
前記制御部は、第3現示のリコール要求がない場合に、パターン1をパターン2に切り替える又はその逆に切り替える切替処理を行うことを特徴とする交通信号制御装置。
パターン1:リコール対象である第3現示の時間帯に、リコール対象ではない第1現示を採用する現示方式
パターン2:リコール対象である第3現示の時間帯に、リコール対象ではない第2現示を採用する現示方式 - 前記記憶部は、採用すべきパターン1とパターン2のいずれかを1日の時間帯ごとに定めた時限表を記憶しており、
前記制御部は、前記時限表に従って前記切替処理を行う請求項14に記載の交通信号制御装置。 - 前記制御部は、中央装置から通知されたパターン1又はパターン2の指定に応じて、前記切替処理を行う請求項14に記載の交通信号制御装置。
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