JP2003064705A - 大型擁壁緑化ブロックおよび擁壁緑化構造 - Google Patents

大型擁壁緑化ブロックおよび擁壁緑化構造

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JP2003064705A JP2001254494A JP2001254494A JP2003064705A JP 2003064705 A JP2003064705 A JP 2003064705A JP 2001254494 A JP2001254494 A JP 2001254494A JP 2001254494 A JP2001254494 A JP 2001254494A JP 2003064705 A JP2003064705 A JP 2003064705A
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(57)【要約】 【課題】 保水性と安定性にすぐれ、かつ畜産廃棄物の
リサイクル化を可能にした大型擁壁緑化ブロックおよび
擁壁緑化構造を提供する。 【解決手段】 表面板2とこの表面板2の裏側に板状リ
ブとして上面板3、下面板4および縦板5をそれぞれ突
設する。表面板2に複数の植生用孔2aを形成し、植生
用孔2a内に植生促進材として植生基盤材7、ポット苗
8、改良土壌9を設置する。こうして形成した大型擁壁
緑化ブロック1を複数積層し、かつ各大型擁壁緑化ブロ
ック1の背面側に背面土11を充填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は大型擁壁緑化ブロ
ックおよび当該大型擁壁緑化ブロックを利用した擁壁緑
化構造に関し、特に施工性、安定性および保水性にすぐ
れ、しかも牛糞や馬糞などの畜産廃棄物のリサイクル化
を可能にしたものである。
【0002】
【従来の技術】切土法面や盛土法面を緑化する方法とし
て、例えば図5(a),(b),(c)にそれぞれ図示
するようなボックス型、庇突出型、ブロック穴開き型の
各擁壁ブロック20を法面21の上に積層し、各擁壁ブ
ロック20内に胴込め土砂(以下「土砂」という)22
を詰めて植物の自然植生による緑化を図る方法、土砂2
2の表面に草本類や木本類などの植物苗を植栽して積極
的に緑化を図る植生緑化ブロック工法が一般に知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
な擁壁ブロック20を使って行う、これまでの法面緑化
工法では、擁壁ブロック20を一つ一つ法面21の上に
積層し、かつ各擁壁ブロック20内に一つ一つ土砂22
を詰め込む必要があるため、施工性が非常に悪いもので
あった。
【0004】また、土砂22として一般に、施工に伴っ
て発生する掘削土が用いられているため、中には植物苗
の生育に適さないものもあり、このため植栽しても生育
が悪く、必ずしも希望通りの緑化が図れないこともあっ
た。
【0005】このため、近年試みられている擁壁の壁面
全体を緑化することにより自動車の騒音を吸収したり、
騒音の乱反射を防いだり、さらには最近の地球温暖化の
大きな要因となっている二酸化炭素(炭酸ガス)を植物
に吸収させようとする試みはほとんど期待できないもの
であった。
【0006】また近年、畜産農家においては、毎日大量
に発生する牛糞や馬糞などの畜産廃棄物の処理が問題に
なっており、その処理方法の開発が強く望まれている。
【0007】この発明は以上の課題を解決するためにな
されたもので、特に施工性、安定性および保水性にすぐ
れ、かつ長期にわたる植物の生育が可能で、しかも畜産
廃棄物のリサイクル化を可能にした大型擁壁緑化ブロッ
クおよび擁壁緑化構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の大型擁壁
緑化ブロックは、表側に横方向または/および縦方向に
連続する複数の突状リブが形成された表面板を有し、当
該表面板に複数の植生用孔が形成され、かつ当該植生用
孔内に植生促進材が内在されてなることを特徴とするも
のである。
【0009】この場合の植生用孔の形状や大きさは特に
限定されないが、特に形状としては例えば円形状、また
は縦方向または横方向に長い矩形状でよい。また、植生
用孔内に植生促進材を保持するには、植生用孔は表面側
から背面側に徐々に小径となるように(テーパ付き)形
成されているのがよい。
【0010】また、植生促進材としては、植生基盤材、
ポット苗、改良土壌などが考えられ、植生基盤材として
は、例えば牛糞や馬糞などの畜産廃棄物を処理した(コ
ンポス化)たい肥とココピート、ピートモス等の自然材
料を最適比率で混ぜ、種子、肥料、保水材などを混在し
たものを固形化または袋詰めにして植生用孔内にフイッ
トできるようにしたもの等がよい。
【0011】また、植え付け後、時間の経過とともに自
然に生育して表面板の上を自然に覆う草木類、木本類あ
るいはつた類などの苗を事前に育成した後、植生用孔内
にフイットできる形状に加工したもの等の他、改良土壌
(種子と肥料などを内在させ固形化したもの)等も考え
られる。
【0012】なお、表面板の裏側に、板状リブとして上
面板、下面板および縦板をそれぞれ突設してもよい。こ
の場合の上面板、下面板および縦板の形状は特に限定さ
れるものではないが、積層時の安定性がよく、しかも背
面土の充填に支障をきたさない形状とするのがよい。
【0013】請求項2記載の大型擁壁緑化ブロックは、
請求項1記載の大型擁壁緑化ブロックにおいて、植生促
進材として牛糞・馬糞等の蓄糞廃棄物を処理した堆肥と
ココピート、ピートモスなどの自然材料を最適比率で混
ぜ、種子、肥料、保水材等を混在し、かつ固形化または
袋詰めした植生基盤材が植生用孔内に内在されてなるこ
とを特徴とするものである。
【0014】請求項3記載の大型擁壁緑化ブロックは、
請求項1記載の大型擁壁緑化ブロックにおいて、植生促
進材として事前に育成され、かつ植生用孔の形状に加工
されたポット状の草木類、木本類、つた類等の植物苗が
植生用孔内に内在されてなることを特徴とするものであ
る。
【0015】請求項4記載の大型擁壁緑化ブロックは、
請求項1記載の大型擁壁緑化ブロックにおいて、植生促
進材として現地土壌を植生に快適な土壌に改良した改良
土壌が植生用孔内に内在されてなることを特徴とする。
【0016】請求項5記載の大型擁壁緑化ブロックは、
請求項1記載の大型擁壁緑化ブロックにおいて、植生促
進材として種子、肥料、栄養分を含んだ土壌が充填され
た植生土壌充填袋が植生用孔内に内在されてなることを
特徴とするものである。なお、この場合の植生土壌充填
袋としては、種子、肥料、栄養分を含んだ土壌を植生シ
ート等で包み込んだものでもよい。
【0017】請求項6記載の大型擁壁緑化ブロックは、
請求項1、2、3、4または5記載の大型擁壁緑化ブロ
ックにおいて、植生用孔の背面側に土砂流出防止シート
が内在されてなることを特徴とするものである。この場
合の土砂流出防止シートとしては、ジオテキスタイルや
ジオグリッド等の土木用シート、あるいは金網類が考え
られる。
【0018】請求項7記載の擁壁緑化構造は、請求項
1、2、3、4、5または6記載の大型擁壁緑化ブロッ
クを複数積層し、かつ各大型擁壁緑化ブロックの背面側
に背面土を充填してなることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】図1〜図4は、この発明に係る大
型擁壁緑化ブロックおよび当該大型擁壁緑化ブロックを
複数積層してなる擁壁緑化構造の一例を示し、図におい
て、大型擁壁緑化ブロック1は表面板2とその背面側に
板状リブとして突設された上面板3、下面板4および縦
板5をそれぞれ有し、鉄筋コンクリートまたは繊維補強
コンクリート等から一体的に形成されている。
【0020】表面板2は横方向に長い矩形板状に形成さ
れ、かつ地山法面Aの勾配にそって斜めに形成されてい
る。また、表面板2には複数の植生用孔2aと突状リブ
2bがそれぞ形成されている。
【0021】植生用孔2aは表面板2の上下方向および
横方向に所定間隔おきに形成され、各植生用孔2aの形
状は横方向に長い矩形状に形成され、かつ各植生用孔2
aの内周面は表面板2の表面側から背面側(地山側)に
向かって徐々に小径となるテーパ状に形成されている。
【0022】また、各植生用孔2aの背面側には土砂流
出防止シート6が取り付けられている。土砂流出防止シ
ート6は背面側の土砂が植生用孔2aを通って表側に流
出するのを未然に防止するためのもので、例えばジオテ
キスタイルやジオグリッド、あるいは金網などが取り付
けられている。
【0023】さらに、各植生用孔2a内には、例えば図
4(a),(b),(c),(d)にそれぞれ図示する
ように、植生促進材として例えば植生基盤材7、ポット
苗8、改良土壌9あるいは植生土壌10が内在されてい
る。
【0024】この場合の植生基盤材7としては、牛糞・
馬糞等の蓄糞廃棄物を処理した堆肥とココピート、ピー
トモスなどの自然材料を最適比率で混ぜ、種子、肥料、
保水材等を混在し、かつ固形化または袋詰めした植生基
盤材が植生用孔2a内に内在されている(図2(a)、
図4(a)参照)。
【0025】また、ポット苗8としては、事前に育成さ
れかつ植生用孔2aの形状に加工されたポット状の草木
類、木本類、つた類等の植物苗が植生用孔2a内に内在
されている(図2(b)、図4(b)参照)。
【0026】また、改良土壌9として植生に快適な土壌
に改良した現地土壌が内在されている(図2(c)、図
4(c)参照)。さらに、植生土壌10として種子、肥
料、栄養分を含んだ土壌が充填された植生土壌が麻袋に
充填して内在されている(図4(d)参照)。
【0027】突状リブ2bは、生育した植物苗を表面板
2の上に保持するための植生用棚であり、表面板2の表
側に植生用孔2aの上側、上下の植生用孔2a,2a
間、さらに植生用孔2aの下側を横方向に連続して複数
段に形成されている。
【0028】上面板3と下面板4はそれぞれ、表面板2
の上端部と下端部から後方に水平に突設され、縦板5は
上面板3と下面板4間に垂直に突設され、特に縦板5は
表面板2の長さに応じて表面板2の長手方向に所定間隔
おきに突設されている。
【0029】また、上面板3の上側面と下面板4の下側
面には、積層された際に互いに嵌合し合う凸状部3aと
4凹状部4aがそれぞれ形成されている。
【0030】このように形成された大型擁壁緑化ブロッ
クは、地山法面Aの下端部(法尻部)に形成されたコン
クリート基礎10の上に地山法面Aを覆うように複数積
み重ねられている。この場合、上下に隣接する大型擁壁
ブロックどうしは、上面板3の凸状部3aと下面板4の
凹状部4aが互いに嵌合し合うことで、位置合わせがな
されている。
【0031】そして、各大型擁壁緑化ブロック1の背面
側に土砂や砕石、あるいは客土などの背面土11がそれ
ぞれ充填されている。
【0032】このように構成されていることで、施工
後、時間の経過とともに植生促進材として植生用孔2a
内に内在された植生基盤材7や改良土壌9内の種子が発
芽して生育し、またポット苗8が植え付け後すぐに自然
に生育し、各大型擁壁緑化ブロックの表面板2の上、ひ
いては擁壁全体を覆うことで、擁壁面の緑化という目的
が達成される。
【0033】また、また表面板2の各植生用孔2aが貫
通していることで、植生基盤材7等の植生促進材は背面
土11、さらにその後方の地山とも連続していること
で、常に自然灌水をうけることができ、したがって、植
生促進材の保水性が維持され、長期にわたる植物の育成
が可能となる。
【0034】
【発明の効果】この発明は以上説明したとおりであり、
特に表面板に植生用孔が複数形成され、かつ当該植生用
孔内に植生促進材が内在され、かつ植生促進材と背面土
とは、植生用孔を介して連通しており、この植生用孔を
介して背面土側から植生促進材側に必要な灌水がなされ
るため、植生促進材の保水が維持され、長期にわたる植
物の育成が図れる。
【0035】また、植生促進材として牛糞などの畜産廃
棄物を利用した植生基盤材を使用することで牛糞などの
畜産廃棄物のリサイクル化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】擁壁緑化構造の一例を示し、(a)はその一部
正面図、(b)は縦断面図である。
【図2】(a)、(b)、(c)はいずれも、大型擁壁
緑化ブロックの一例を示す縦断面図である。
【図3】(a)は擁壁緑化構造の一例を示す一部斜視
図、(b)は大型擁壁緑化ブロックの斜視図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)はいずれも、
植生促進材の設置例を示す大型擁壁緑化ブロックの一部
縦断面図である。
【図5】従来の擁壁緑化構造の一例を示す一部縦断面図
である。
【符号の説明】
1 大型擁壁緑化ブロック 2 表面板 2a 植生用孔 2b 突状リブ 3 上面板 3a 凸状部 4 下面板 4a 凹状部 5 縦板 6 土砂流出防止シート(ジオテキスタイル、ジオグリ
ッド、金網等) 7 植生基盤材 8 ポット苗 9 改良土壌 10 植生土壌 11 背面土

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横方向または/および縦方向に連続する
    複数の突状リブが表側に形成された表面板を有し、当該
    表面板に植生用孔が複数形成され、かつ当該植生用孔内
    に植生促進材がそれぞれ内在されてなることを特徴とす
    る大型擁壁緑化ブロック。
  2. 【請求項2】 植生促進材として牛糞・馬糞等の蓄糞廃
    棄物を処理した堆肥とココピート、ピートモスなどの自
    然材料を最適比率で混ぜ、種子、肥料、保水材等を混在
    し、かつ固形化または袋詰めした植生基盤材が内在され
    てなることを特徴とする請求項1記載の大型擁壁緑化ブ
    ロック。
  3. 【請求項3】 植生促進材として事前に育成され、かつ
    植生用孔の形状に加工されたポット状の草本類、木本
    類、つた類等の植物苗が内在されてなることを特徴とす
    る請求項1記載の大型擁壁緑化ブロック。
  4. 【請求項4】 植生促進材として現地土壌を植生に快適
    な土壌に改良した改良土壌が内在されてなることを特徴
    とする請求項1記載の大型擁壁緑化ブロック。
  5. 【請求項5】 植生促進材として種子、肥料、栄養分を
    含んだ土壌が充填された植生土壌充填袋が内在されてな
    ることを特徴とする請求項1記載の大型擁壁緑化ブロッ
    ク。
  6. 【請求項6】 植生用孔の背面側に土砂流出防止シート
    が内在されてなることを特徴とする請求項1、2、3、
    4または5記載の大型擁壁緑化ブロック。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6記載
    の大型擁壁緑化ブロックを複数積層し、かつ各大型擁壁
    緑化ブロックの背面側に背面土を充填してなることを特
    徴とする擁壁緑化構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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