JP2003064567A - 易染性ポリウレタン繊維不織布状物 - Google Patents

易染性ポリウレタン繊維不織布状物

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JP2003064567A JP2001251017A JP2001251017A JP2003064567A JP 2003064567 A JP2003064567 A JP 2003064567A JP 2001251017 A JP2001251017 A JP 2001251017A JP 2001251017 A JP2001251017 A JP 2001251017A JP 2003064567 A JP2003064567 A JP 2003064567A
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Tomoaki Kimura
友昭 木村
Hisao Yoneda
久夫 米田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 力学特性、加工適性に優れかつ良好な染色
性、発色性を有するポリウレタン繊維不織布状物を提供
すること。 【解決手段】 平均繊維径10μm以下のポリウレタン
極細繊維からなり、繊維本数の15〜80%が束状に融
着した繊維からなる不織布状物であり、平衡染着量が6
0mg/g以上であるポリウレタン繊維不織布状物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタン繊維
不織布状物に関するものであり、より詳細には酸性染料
等に対して良好な染色性、発色性を示し、かつフラット
な表面形状を有し、力学特性、加工適性に優れたポリウ
レタン繊維不織布状物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタンを溶融紡糸してポ
リウレタンフィラメントを得ること、さらにポリウレタ
ン繊維を不織布にすることは、既にいくつもの提案がな
されている。また熱可塑性ポリウレタンをメルトブロー
紡糸法で紡糸してポリウレタン弾性繊維不織布を得るこ
とも特開昭61−22855号公報、特開昭61−55
248号公報、特公平1−30945号公報等に提案さ
れている。しかしながら、ポリウレタン樹脂は、酸性染
料、カチオン染料等の染色に必要な染着座席を有してい
ないので、良好な染色ができないという問題があった。
また、分散染料で染色した場合、染料を吸着するが、ポ
リウレタンの非晶性構造のルーズさのため染料が樹脂内
部に留まり難く放出され易く、染色性が極めて不良で、
洗濯や摩擦などにより、容易に色落ちや退色が見られ
た。
【0003】これらの欠点を改良する試みとしてポリウ
レタン樹脂中に染着座席を導入することが行われ、例え
ばスルホン酸基を含有する化合物を用いることにより、
カチオン染料に可染性のポリウレタンを得ることが知ら
れている。また、特公昭55−34815号公報には2
官能プレポリマーとアニリンモノマーまたはポリスルホ
ン酸金属塩とを反応させることにより、カチオン染料に
可染のポリウレタンが得られることが開示されている。
しかしながら、かかる方法によって導入されるアニリン
は1官能基でありポリウレタン重合体分子の末端に導入
される。そこで染色性を高めるために多量のアニリンを
使用するとポリウレタンの分子量が小さくなり過ぎ、工
程通過性が悪くなるだけでなく、樹脂の力学的性能が低
下し、好ましくない。また、力学性能、工程通過性を満
足するポリウレタンの分子量を大きくすると十分な染着
座席を確保するに必要なだけのアニリンを導入すること
ができなくなり、良好な染色性、発色性が得られないと
いう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
を解決するものであり、力学特性、加工適性に優れかつ
良好な染色性、発色性を有するポリウレタン繊維不織布
状物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、平均
繊維径10μm以下のポリウレタン極細繊維からなり、
繊維本数の15〜80%が束状に融着した繊維からなる
不織布状物であり、平衡染着量が60mg/g以上であ
るポリウレタン繊維不織布状物である。
【0006】また本発明は、平均繊維径10μm以下の
ポリウレタン極細繊維からなり、繊維本数の15〜80
%が束状に融着した繊維からなる不織布状物であって、
該不織布状物が染料により染色されており、染着量が3
0mg/g以上であるポリウレタン繊維不織布状物であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明により得られるポリウレタン繊維不織布状物
は、特に酸性染料に対して良好な染色性を示し、染料の
溶出や移行昇華などが生じ難いため、染色性に優れ、か
つ良好な加工適性を有するものである。さらにフラット
な表面形状を有することで、良好な風合、優れた発色性
が奏されるのである。
【0008】なお、本発明にいうポリウレタン繊維不織
布状物とは、不織布そのもの、さらには不織布を例えば
熱カレンダー等の熱処理により一部または全部を融着さ
せた半フィルム状または多孔質フィルム状のものや、片
面のみがフィルム状になっているものを意味する。ま
た、スパンボンド法やメルトブロー法において紡出され
た繊維が固化する前の段階で捕集し、繊維間が融着した
状態のものも本発明の繊維不織布状物に含まれる。
【0009】本発明の不織布状物は、良好な手触り、均
一な発色性を達成するためにその構成繊維は平均繊維径
10μm以下である。平均繊維径が10μmを超えると
風合いが硬くなったり、地合が粗くなるため、不織布状
物の染色均一性が劣り均一な発色性や機械的強度が確保
できなくなる。しかしながら、繊維径が細すぎると不織
布の強度が確保できなくなり、形態安定性に問題を生ず
る可能性があることから、平均繊維径は1〜10μmが
好ましい。平均繊維径が1μm未満の場合は、不織布と
しての強度が低下してしまう場合がある。
【0010】また、本発明の不織布状物は、該不織布状
物を構成する繊維本数の15〜80%が束状に融着して
いる点に特徴を有する。すなわち、構成繊維本数の15
〜80%が2本以上の束状繊維を形成し、不織布内で補
強材として働くことにより不織布の強度を維持するので
ある。かかる束状繊維の存在により、地合、風合いおよ
び染色性を維持した上で、さらに不織布強度を付与する
のである。束状繊維の割合が10%未満の場合には、不
織布強度が確保できず非常に加工しにくく、耐久性のな
い不織布状物になる。一方、束状繊維の割合が80%を
超えると、強度は確保できるものの、太い繊維からなる
不織布と同様に風合いが硬くなったり、地合が粗くなる
ため、ウェブの染色均一性が劣り、均一な発色性や、機
械的強度が確保できなくなるという問題が発生する。よ
り良好な発色性、不織布強度を確保するためには、繊維
束割合は20〜60%が好ましい。
【0011】さらに本発明のポリウレタン繊維不織布状
物は、酸性染料、特に金属錯塩染料に対して良好な染色
性を有する点が最大の特徴であり、より具体的には60
mg/gの平衡染着量を有するものである。染料を均一
に吸着し、鮮明な発色で斑のない不織布状物を形成する
ためには、平衡染着量は80mg/g以上が好ましく、
80〜300mg/gがより好ましい。平衡染着量が6
0mg/g未満であると染料との親和性が低く、鮮明な
発色がなされず、さらに不織布特有の地合斑との相乗効
果により非常に斑の目立つ不織布状物となってしまう。
なお、ここでいう平衡染着量とは、不織布状物が染料を
平衡状態になるまで吸収する能力をいう。不織布状物を
染料溶液に浸漬し、染料の吸着が平衡状態になるまで浸
漬して、不織布状物に吸収されている染料の質量を測定
し、それを不織布状物1g当たりの吸収量に換算するこ
とにより求めることができる。
【0012】本発明の不織布状物を形成するポリウレタ
ン樹脂は、熱可塑性ポリウレタンが好ましいが、ポリウ
レタン樹脂が本発明の不織布状物を形成できるものであ
れば特に限定されない。本発明に好適に用いられるポリ
ウレタン樹脂は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポ
リカーボネート系のものが好ましい。中でも樹脂の含有
するポリオール成分のうち、所定のポリエチレングリコ
ールが所定量含まれているポリウレタン樹脂であればさ
らに好適である。
【0013】特に本発明においては、該ポリウレタン樹
脂を構成するポリオール成分が、数平均分子量500〜
4000のポリエチレングリコールと数平均分子量60
0〜3000の他のポリオールとからなり、質量比が5
0:50〜10:90であることがより好ましい。ポリ
エチレングリコール成分がこれより少ないと、染料の染
着座席が少なくなり、十分な発色性が得られなくなる場
合がある。また、これより多いと、樹脂の耐熱性が損な
われ、溶融時に樹脂が分解してしまい、紡糸が困難とな
る場合がある。また、ポリエチレングリコールおよび他
のポリオールの数平均分子量が上述の範囲にない場合は
良好な染色性が得られない場合がある。
【0014】本発明のポリウレタンを構成するポリオー
ル成分は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリ
オール、ポリカーボネートポリオール、またはこれらの
共縮合物などが挙げられ、ポリエチレングリコール導入
を阻害しないものであれば、特に限定されないが、その
汎用性、コスト、性能の観点から、ポリエステルポリオ
ールまたはポリエーテルポリオールであることが好まし
い。上記ポリエステルポリオールとしてはエチレングル
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ−
ル、1,5−ペンタンジオ−ル、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、2−メチルプロパンジオールなどの
炭素数2〜10のアルカンのポリオールまたはこれらの
混合物とグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリ
ン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の炭
素数4〜12の脂肪族もしくは芳香族ジカルボン酸また
はこれらの混合物とから得られる飽和ポリエステルポリ
オールである、あるいはポリカプロラクトングリコー
ル、ポリバレロラクトングリコール等のポリラクトンジ
オールが好ましく使用されるこれらは、単独で使用して
も2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0015】一方、ポリエーテルポリオールとしては、
環状エーテルのプロピレンオキシドやテトラヒドロフラ
ンを開環重合して得られる、ポリプロピレンポリオール
(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール
(PTMG)等を好ましく用いることができる。
【0016】また、本発明において、所望により適当な
鎖伸長剤を使用してもよく、該鎖伸長剤としては、ポリ
ウレタンにおける常用の連鎖成長剤、すなわち、イソシ
アネ−トと反応しうる水素原子を少なくとも2個有する
分子量400以下の低分子化合物、例えばエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロ
ヘキサンジオール、キシリレングリコール、1,4−ビ
ス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチル
グリコール、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、イソホロンジアミン、4,4’−ジ
アミノジフェニルメタン、ヒドラジン、ジヒドラジドト
リメチロ−ルプロパン、グリセリン、2−メチルプロパ
ンジオール等が挙げられる。これらの中でも1,4−ブ
タンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール
あるいはこれらの混合物が最も有効に使用できる。また
場合によっては、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレンジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポ
リマージオールを成形性をそこなわない範囲で使用でき
る。
【0017】本発明において、熱可塑性ポリウレタン樹
脂を製造するために使用される適当な有機ジイソシアネ
ートとしてはイソシアネート基を分子中に2個以上含有
する公知の脂肪族、脂環族、芳香族有機ジイソシアネー
ト、特に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジメチル−
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、1,3−または1,4−
ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの
芳香族、脂肪族または脂環族ジイソシアネートが挙げら
れる。これらの有機ジイソシアネートは単独で用いても
良いし、2種以上を混合して用いても良い。これら有機
ジイソシアネートの中で最も好ましいのは4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネートである。
【0018】また、本発明のポリウレタン繊維不織布状
物を構成するポリウレタン樹脂の固有粘度は、0.40
〜1.50dl/g以上が好ましく、より好ましくは、
0.50〜1.20dl/gである。固有粘度が、0.
40未満の場合は、樹脂の分子量が低すぎて、繊維状に
なりにくいばかりか、仮に繊維状になったとしても強度
が低く、簡単に破断してしまう場合がある。一方、1.
50を越える場合は樹脂の溶融粘度が高いため、10μ
m以下の径を有する繊維を製造すること自体が難しくな
る場合がある。
【0019】本発明に用いるポリウレタン樹脂は、従来
のような染着座席を分子末端に設けるという方法と異な
り、良好な発色性を確保するために分子量を極端に下げ
ることを必要としないので、本発明の不織布状物とした
場合に良好な染色性と機械特性、加工適性を両立できる
のである。
【0020】次に、本発明のポリウレタン繊維不織布状
物の製造方法について説明する。本発明のポリウレタン
繊維不織布状物の製造方法としては、ポリウレタン繊維
とした後、適当な不織布化工程により不織布とする方法
やスパンボンド法、メルトブロー法等により樹脂から直
接不織布とする方法などがある。しかし必ずしも上記方
法以外に限定されないのはもちろんである。本発明の不
織布状物は、ポリウレタン樹脂を主成分とするものであ
り、公知の製法で有れば特に問題なく製造することがで
きるが、既に述べたとおりスパンボンド法またはメルト
ブロー法により製造される繊維不織布であることが好ま
しい。このうち、樹脂の持つ曳糸性をあまり強く要求し
ない技術であるメルトブロー法が特に好ましい。そして
この方法を用いることにより不織布を構成する繊維の極
細化が容易に行えるというメリットもある。
【0021】これらメルトブロー法で得られる極細繊維
からなる不織布は、フィルター用途をはじめ多くの用途
が開発されてきており、メルトブロー法による重合体の
紡糸方法については、インダストリアル・アンド・エン
ジニアリング・ケミストリー(Industrial and Enginee
ring Chemistry)48巻、第8号(p1342〜1346)、1
956年に基本的な装置および方法が開示されている。
本発明においても、同じ手法で不織布製造が可能であ
り、例えば、本発明においては常法のメルトブローン用
装置を用いて、熱可塑性ポリウレタン樹脂を紡糸孔から
溶融紡出すると同時に、紡糸孔に隣接して設置されたス
リット状気体吹出口から紡糸温度とほぼ同じ温度の高温
高速気体を噴出して細化繊維化した極細繊維流を移動す
るコンベアネット状に捕集して目的の不織布を得ること
が可能である。
【0022】とりわけ、本発明の不織布状物において、
良好な染色性、通気性および風合を有するようにするた
めには、熱可塑性ポリウレタン樹脂を220℃以上の温
度で溶融押出し、温度200℃以上、0.10Nm
分/cm幅以上の一次エア流で加速することで細化紡糸
し、次いでこれをシート状に捕集することが重要であ
る。さらに、紡糸ノズルとコンベアネット間の距離を1
0〜50cmに設定するのがよい。これが50cm以上
大きく離れるとシート形態を保つことが困難となる場合
がある。また、10cmより小さくなると繊維同士の膠
着が激しく、不織布の良好な触感がそこなわれる場合が
ある。
【0023】ただし、本発明のポリウレタン樹脂におい
てはその極細繊維流をコンベアネット上に捕集した後、
本発明の樹脂特有の粘着性によりコンベアネットから剥
離しにくい場合がある。このような場合には、樹脂にブ
ロッキング防止剤を練り込んでポリウレタン繊維不織布
状物が良好なシート形態を保ち、かつ良好な触感と柔軟
性、通気性を有するようにするのが好ましい。
【0024】かかるブロッキング防止剤としては、有機
物、無機物あるいはその混合物等、ブロッキング防止効
果を発揮する物で有れば特に限定は無い。しかしなが
ら、ポリウレタン樹脂に練混んで使用する場合には、熱
可塑性であることが好ましく、高級脂肪酸ビスアミドや
モンタン酸エステル、あるいはモンタン酸エステルとモ
ンタン酸金属塩との混合物が好適である。このブロッキ
ング防止剤は、用いる熱可塑性ポリウレタンに対して
0.1〜5.0質量%使用することで、所望の効果を得
ることができる。
【0025】その他に本発明のポリウレタン繊維不織布
状物の良好な平滑性や染色性等に影響を与えない程度で
有れば必要に応じて光安定剤、その他の添加物を添加す
ることは可能である。また、染色の補助的役割として微
量の顔料を添加することも可能である。
【0026】また、本発明の不織布状物は、不織布とし
ての利点を確保する意味で、通気性を有することがより
好ましい。この場合、良好な地合、風合いおよび染色性
を維持した上で強度を確保するには、1〜300cc/
cm/秒の範囲内の通気度を有することが好ましい。
通気度が1cc/cm/秒に満たない場合は、該不織
布状物を後加工、積層等により加工して製品としたとき
に不織布のメリットを十分生かすことができないし、ま
た、300cc/cm/秒を超えるような場合には、
地合が粗くなるため品質の安定性、形態安定性に欠ける
という問題点が発生する場合が生ずる。また、不織布の
目付としては10〜100g/mがコスト的にも好ま
しい範囲である。
【0027】本発明のポリウレタン繊維不織布状物は、
特に酸性染料、金属錯塩染料に対して良好な染色性を発
揮するのであるが、さらに本発明の不織布状物は、その
緻密で平滑な表面構造が均一な染色品を得るために寄与
しているのである。すなわち、染色性を有する樹脂から
なることと、極細繊維が均一かつ緻密に分布しており、
なおかつシート表面の平滑さを兼ね備えることにより染
色後の色むらが極めて少ない発色性の優れた繊維不織布
状物となりうるのである。
【0028】表面平滑性を有するメリットとして、1つ
には染色加工時に染料の偏在を生ずることなく均一に加
工できるという点が挙げられ、さらには、染色後の繊維
不織布状物の見栄えや手触りを良好に保つことができる
という点が最大のメリットとして挙げられる。表面平滑
性に欠ける不織布は、特に他のシート等と積層した場合
には、積層相手のシートとの地合の違いが目立ってしま
うため、色合わせが非常に困難になり、実用性に欠けて
しまうおそれがある。
【0029】本発明における平滑性は、表面粗さを示す
値として「中心線平均粗さ(Ra)」という値を用いて
表現できる。本発明の不織布状物は、この数値が15μ
m以下であることが好ましく、より好ましくは10μm
以下であり、さらに好ましくは4.5〜10μmであ
る。中心線平均粗さ(Ra)が15μmを超えると、不
織布状物に平滑性が無いため、染色したときに不織布状
物表面の凹凸が目立つことになり、さらにウェブの地合
斑を強調することにもつながり、見栄えの悪い不織布状
物になってしまう場合がある。なお、本発明に規定する
中心線平均粗さ(Ra)は後述する方法により求めるこ
とができる。
【0030】本発明の不織布状物は、その良好な染色性
から、衣料用、各種アパレル製品、インテリア製品等の
用途に用いることができる。なお、本発明のポリウレタ
ン繊維不織布状物は、単独で用いてもよいし、他の素材
と貼り合わせるなど、複合して用いることも可能であ
る。
【0031】また、本発明の不織布状物を染色した染色
品について、その染着量は30mg/g以上であり、好
ましくは50mg/g以上である。染着量が30mg/
gの未満の場合は、本発明の目的とする良好な発色性が
奏されず、また染色斑が生じやすい。なお、染着量の測
定方法は、染色後のものと染色前のものとで測定法が相
違しており、例えば、染色されている製品については一
定質量の不織布状物について染料を抽出し、分光光度計
を用いて吸光度を測定する等の方法を用いて求めること
ができる。また、未染色のものについては、後述する測
定法により平衡染着量を求め、該平衡染着量を染着量と
することができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。なお、本実施例における各物性値は、次の方
法により測定した。
【0033】1.平衡染着量 染料「イルガランレッド2GL」(チバガイギー社製)
を水に溶解して濃度0.05%染色浴を調製した。その
染色浴中に、ポリウレタンから製造した目付50g/m
の不織布を、浴比1:200、温度90℃の条件下に
60分間浸漬して染色した。染色後、不織布を染色浴か
ら取り出して、残液(染色浴)を比色定量して染色浴中
に残留している染料の量を測定し、下式の数式により平
衡染着量を求めた。 平衡染着量(mg/g)=(F0−F1)/W F0=シートを浸漬する前の染色浴中に含まれる染料の
量(mg) F1=シートを浸漬した後の染色浴中に残留している染
料の量(mg) W=染料浴中に浸漬したシートの質量(g) なお、本実施例中の不織布状物の染着量は、平衡染着量
と同一である。
【0034】2.ポリウレタン樹脂の固有粘度〔η〕 N,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、温度30℃
にて毛細管粘度計を用いて測定し、次式により求めた。
【数1】
【0035】3.平均繊維径 走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の表面を
1000倍に拡大した写真を撮影した。この写真に2本
の対角線を引き、この対角線と交わった繊維の太さを倍
率換算した値を用いた。そして、これらの繊維100本
の平均値を平均繊維径として用いた。ただし、融着した
繊維は繊維径を明確に測定できないため、対象外とし
た。
【0036】4.繊維束の割合 走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の表面を
1000倍に拡大した写真を撮影した。この写真に2本
の対角線を引き、この対角線と交わった繊維について、
繊維束状態の繊維と単繊維状態の繊維とに分けて数え、
単繊維数100本以上になる枚数の写真を撮影し、そこ
に写っている繊維全数について数えて、次式により算出
した。なお繊維束状態の繊維は、2本以上の繊維が10
0μm以上の長さに渡って2本以上の繊維が融着した形
態になっているものとし、1つの束を1本とカウントし
た。 繊維束の割合=繊維束状態の繊維本数/(繊維束状態の
繊維本数+単繊維状態の繊維本数)×100(%)
【0037】5.目付・厚さ JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」に
準拠して測定した。
【0038】6.強度・伸度 JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」に
準拠して測定した。なお、強度および伸度はMD方向お
よびCD方向について測定した。
【0039】7.通気度 JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」の
フラジール法に準拠して測定した。
【0040】8.表面粗さ JIS B0601「表面粗さの定義と表示」に準拠
し、(株)ミツトヨ社製「サーフテスト501」にて測
定した。本発明における表面粗さは、不織布状物の長さ
(MD)方向の値(RaMD)と幅(CD)方向の値
(RaCD)の平均値とした。 表面粗さ(Ra)=(RaMD+RaCD)/2 この時、カットオフ値=0.8mm、測定長さ=2.4
mmで測定した。
【0041】実施例1 3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸と
からなる数平均分子量1500のポリエステルジオール
(PMPA)と数平均分子量2000のポリエチレング
リコール(PEG)を質量比で80:20の割合で混合
し、1,4−ブタンジオールおよび4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネートと重合反応させることによ
り、ポリマー中の窒素含有量(N%)が3.8%のポリ
ウレタン樹脂とし、さらにブロッキング防止剤として高
級脂肪酸ビスアミド(日本油脂(株)社製、商品名:ア
ルフローH−50T)を1.0質量%添加した後ペレタ
イズした樹脂を得た。この樹脂の固有粘度は1.0dl
/gであった。得られたポリウレタン樹脂ペレットを、
押出機を用いて260℃にて溶融押出し、該溶融ポリマ
ー流をダイヘッドに導き、ギヤポンプで計量し、直径
0.3mmφの孔を1.0mmピッチで一列に並べたメ
ルトブローンノズルから吐出させ、同時にこの樹脂に2
60℃の熱風を噴射して吐出した繊維を成形コンベア上
に捕集し、目付30g/mのメルトブローン不織布を
得た。この時の樹脂の単孔吐出量は0.5g/分/孔、
一次エア流量は0.15Nm/分/cm幅、ノズルと
捕集コンベア間の距離は15cmであった。この不織布
の表と裏の区別は、便宜上、メルトブローンノズル側を
表とし、成形コンベア側を裏とした。
【0042】実施例2〜4 ポリウレタン樹脂製造においてポリオールとポリエチレ
ングリコール(PEG)の混合比を90:10、70:
30、60:40の質量比でブレンドしたこと以外は実
施例1と同様にして、不織布を得た。
【0043】実施例5、6 ポリエチレングリコール(PEG)の数平均分子量を
1,000および3,000としたこと以外は実施例1
と同様にしてポリウレタン樹脂を重合した。この樹脂の
固有粘度を測定したところ、共に0.7dl/gであっ
た。これらの樹脂のうち、ポリエチレングリコール(P
EG)の数平均分子量が1,000の樹脂を用いた樹脂
でメルトブローン不織布を得た(実施例5)。また、同
様にポリエチレングリコール(PEG)の数平均分子量
が3,000の樹脂を用いて不織布を得た(実施例
6)。
【0044】実施例7 ポリオール成分として数平均分子量1,000のポリテ
トラメチレングリコ−ル(PTMG)を使用し、PTM
G:PEG混合比=75:25となるように組成を調整
したこと以外は実施例1と同様の反応でポリウレタン樹
脂を重合した。この樹脂の固有粘度を測定したところ、
0.5dl/gであり、N%は4.5%であった。この
樹脂を用いて、実施例1と同じ方法で不織布を得た。
【0045】実施例8、9 混合比PTMG/PEG=80:20、70:30の質
量比にしたこと以外は実施例7と同様な方法によりそれ
ぞれ不織布を得た。
【0046】実施例10 ブロッキング防止剤の混率を2.0質量%に変更したこ
と以外は実施例1と同様にして不織布を得た。
【0047】比較例1 実施例1において、ポリエチレングリコール(PEG)
を混合せずに重合したポリウレタン樹脂を原料としたこ
と以外は、実施例1と同じ方法により、不織布を得た。
【0048】比較例2、3 PMPA:PEG混合比を98:2、40:60の質量
比としたこと以外は、実施例1と同じ方法によってそれ
ぞれ不織布を得た。しかしながら、比較例3の不織布
は、樹脂の熱劣化が著しく多数のショットを含む不織布
となり、表面がざらついており、不織布製造時にショッ
トが捕集コンベアに食い込んだために生ずる穴を有する
不織布になってしまい、評価をするような不織布ではな
かった。
【0049】比較例4 ポリウレタン樹脂重合反応において、分子量が大きくな
るよう調整することで、樹脂の基本組成が実施例1のポ
リウレタン樹脂と同様で、かつ高分子量のポリウレタン
樹脂を得た。その固有粘度は、2.0dl/gであっ
た。この樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て不織布を得た。
【0050】これら実施例および比較例の不織布につい
て、ポリマー物性を表1、不織布物性を表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】表1、表2からも明らかなように、実施例
1〜10の不織布については、良好な染着性を示し、ま
た発色性を優れたものであった。一方、比較例1、2お
よび4の不織布では、染着性がいずれも劣るものになっ
ていた。また、比較例3の不織布は、成型コンベアに不
織布が膠着し、評価をするような不織布ではなかった。
【0054】
【発明の効果】本発明により、力学特性、加工適性に優
れかつ酸性染料に対して良好な染色性、発色性を有する
ポリウレタン繊維不織布状物を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均繊維径10μm以下のポリウレタン
    極細繊維からなり、繊維本数の15〜80%が束状に融
    着した繊維からなる不織布状物であって、平衡染着量が
    60mg/g以上であるポリウレタン繊維不織布状物。
  2. 【請求項2】 平均繊維径10μm以下のポリウレタン
    極細繊維からなり、繊維本数の15〜80%が束状に融
    着した繊維からなる不織布状物であって、該不織布状物
    が染料により染色されており、染着量が30mg/g以
    上であるポリウレタン繊維不織布状物。
  3. 【請求項3】 該不織布状物を構成するポリウレタン樹
    脂が下記(a)、(b)を満足する請求項1または2に
    記載のポリウレタン繊維不織布状物。 (a)ポリオール成分が、数平均分子量500〜400
    0のポリエチレングリコールと数平均分子量600〜3
    000の他のポリオールとからなり、質量比が50:5
    0〜10:90であること、(b)該ポリウレタン樹脂
    の固有粘度が0.4〜1.5dl/gであること。
  4. 【請求項4】 該不織布状物の少なくとも一方の面にお
    ける長さ方向と幅方向の平均の中心線平均粗さ(Ra)
    が15μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記
    載のポリウレタン繊維不織布状物。
  5. 【請求項5】 該不織布状物がメルトブロー不織布であ
    って、1〜300cc/cm/秒の通気度を有する請
    求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタン繊維不
    織布状物。
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