JP2003063826A - クロム酸又は重クロム酸の回収方法 - Google Patents

クロム酸又は重クロム酸の回収方法

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JP2003063826A JP2001254709A JP2001254709A JP2003063826A JP 2003063826 A JP2003063826 A JP 2003063826A JP 2001254709 A JP2001254709 A JP 2001254709A JP 2001254709 A JP2001254709 A JP 2001254709A JP 2003063826 A JP2003063826 A JP 2003063826A
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Isamu Kato
勇 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】クロム酸イオン又は重クロム酸イオンと過マン
ガン酸イオンが共存する廃水から、クロム酸イオン又は
重クロム酸イオンとマンガン化合物を分離し、規制対象
物質でもあり、有価物でもある6価クロム化合物を効率
的に回収することができるクロム酸又は重クロム酸の回
収方法を提供する。 【解決手段】クロム酸イオン又は重クロム酸イオンと過
マンガン酸イオン含む被処理水を、pH2.5〜4におい
て還元処理したのち、アニオン交換樹脂と接触させてク
ロム酸イオン又は重クロム酸イオンを分離することを特
徴とするクロム酸又は重クロム酸の回収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロム酸又は重ク
ロム酸の回収方法に関する。さらに詳しくは、本発明
は、クロム酸イオン又は重クロム酸イオンと過マンガン
酸イオンが共存する廃水から、クロム酸イオン又は重ク
ロム酸イオンとマンガン化合物を分離し、規制対象物質
でもあり、有価物でもある6価クロム化合物を効率的に
回収することができるクロム酸又は重クロム酸の回収方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】過マンガン酸塩を使用するステンレス鋼
製電子部分のエッチング廃水や、液晶、フォトマスクな
どの製造工程廃水などには、クロム酸イオン又は重クロ
ム酸イオンと過マンガン酸イオンが含まれる。過マンガ
ン酸イオン(MnO4 -)は、水中にMn(VII)として1
〜2mg/L含まれるだけでも赤紫色を呈し、また、中性
ないしアルカリ性でも強い酸化力と腐蝕性を有するため
に、そのまま放流することができない。このために、M
n(VII)を、Mn(IV)、Mn(III)又はMn(II)に還元し
たのち、難溶性の沈殿物として廃水から分離する必要が
ある。一方、クロム酸イオン(CrO4 2-)及び重クロ
ム酸イオン(Cr27 2-)は、強い毒性を有するために
6価クロムとして厳しく排水規制が行われているが、有
価物であるために、アニオン交換樹脂を用いて回収する
ことが好ましい。しかし、クロム酸イオン又は重クロム
酸イオンと過マンガン酸イオンが共存する廃水をアニオ
ン交換樹脂に通水すると、両者ともに吸着されて分別す
ることができず、また、過マンガン酸イオンの強い酸化
力のために、アニオン交換樹脂が劣化するおそれがあ
る。クロム酸イオン又は重クロム酸イオンを選択的に回
収するためには、過マンガン酸イオンのみを還元して、
Mn3+又はMn2+のカチオンにすれば、アニオン交換樹
脂には吸着されない。しかし、Mn3+イオンはpH3でM
n(OH)3となって析出し、アニオン交換樹脂を閉塞さ
せるために、中性でも水酸化物となって析出しないMn
2+イオンまで還元する必要がある。一方、クロム酸イオ
ン又は重クロム酸イオンが還元されてCr3+イオン又は
Cr2+イオンになると、もはやアニオン交換樹脂を用い
てクロムを回収することができない。しかし、これま
で、クロム酸イオン又は重クロム酸イオンと過マンガン
酸イオンが共存する水溶液について、過マンガン酸イオ
ンのみをMn(II)まで選択的に還元し、クロム酸イオン
又は重クロム酸イオンをそのまま残存させる技術は知ら
れていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、クロム酸イ
オン又は重クロム酸イオンと過マンガン酸イオンが共存
する廃水から、クロム酸イオン又は重クロム酸イオンと
マンガン化合物を分離し、規制対象物質でもあり、有価
物でもある6価クロム化合物を効率的に回収することが
できるクロム酸又は重クロム酸の回収方法を提供するこ
とを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、pH2.5〜4にお
いて還元処理することにより、過マンガン酸イオンのみ
をMn(II)まで還元し、クロム酸イオン又は重クロム酸
イオンをそのまま残存させることができ、さらに、被処
理水の酸化還元電位を目安として還元剤の添加量を制御
することにより、還元処理の管理が容易になることを見
いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、(1)クロム酸イオン又は重
クロム酸イオンと過マンガン酸イオン含む被処理水を、
pH2.5〜4において還元処理したのち、アニオン交換
樹脂と接触させてクロム酸イオン又は重クロム酸イオン
を分離することを特徴とするクロム酸又は重クロム酸の
回収方法、(2)還元処理において、還元剤が添加され
た被処理水の酸化還元電位が、所定の値に達するまで還
元剤を添加する第1項記載のクロム酸又は重クロム酸の
回収方法、を提供するものである。さらに、本発明の好
ましい態様として、(3)pH2.7〜3.5において還元
処理を行う第1項記載のクロム酸又は重クロム酸の回収
方法、(4)酸化還元電位の所定の値が、還元剤の添加
量と酸化還元電位の関係を示す曲線の変曲点における値
である第2項記載のクロム酸又は重クロム酸の回収方
法、(5)還元処理において、還元剤として亜硫酸水素
塩又は亜硫酸塩を用いる第1項記載のクロム酸又は重ク
ロム酸の回収方法、(6)還元処理後の被処理水のpHを
4〜6に調整したのち、アニオン交換樹脂と接触させる
第1項記載のクロム酸又は重クロム酸の回収方法、及
び、(7)アニオン交換樹脂が、弱塩基性アニオン交換
樹脂である第1項記載のクロム酸又は重クロム酸の回収
方法、を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のクロム酸又は重クロム酸
の回収方法においては、クロム酸イオン又は重クロム酸
イオンと過マンガン酸イオン含む被処理水を、pH2.5
〜4において還元処理したのち、アニオン交換樹脂と接
触させてクロム酸イオン又は重クロム酸イオンを分離す
る。本発明方法においては、還元剤が添加された被処理
水の酸化還元電位が、所定の値に達するまで還元剤を添
加して還元処理することが好ましい。図1は、重クロム
酸イオンと過マンガン酸イオンを含む被処理水に、亜硫
酸水素ナトリウムを添加して還元処理したときの、亜硫
酸水素ナトリウムの添加量と被処理水の酸化還元電位の
関係を示すグラフの一例である。本例においては、被処
理水はクロム及びマンガンをそれぞれ20mg/L含有
し、pH2.5において還元処理が行われている。還元処
理を行うと、被処理水の酸化還元電位は、領域I、領域
II、領域IIIの3段階に変化する。被処理水は、最初は
赤紫色を呈して透明であり、酸化還元電位は約1,00
0mVである。被処理水に亜硫酸水素ナトリウムを添加す
ると、色相が次第に赤褐色に変わり、濁りを生ずる。こ
れは、赤紫色で水溶性のMn(VII)(MnO4 -)が還元
されて、褐色で不溶性のMn(III)(Mn(OH)3)に変
化するためである。領域Iの最後において、酸化還元電
位が急速に低下し、最初の変曲点aを経由して、約60
0mVとなり、被処理水の外観は黄色透明に変化して、領
域IIに移行する。これは、Mn(III)(Mn(OH)3
が、さらに還元されて水溶性で無色のMn(II)となり、
水溶性のCr(VI)(Cr27 2-)の色調が観察されるた
めである。さらに、亜硫酸水素ナトリウムの添加を続け
ると、酸化還元電位はふたたび急速な低下を始め、2番
目の変曲点bを経由して、約250mVとなり、被処理水
の外観は透明なまま淡青緑色に変化して、領域IIIに移
行する。これは、Cr(VI)(Cr27 2-)が還元されて
淡緑色で水溶性のCr(III)(Cr3+)となるためであ
る。したがって、クロム酸イオン又は重クロム酸イオン
と過マンガン酸イオンを含む被処理水に、還元剤を添加
して還元処理し、還元剤の添加量と酸化還元電位の関係
を示す曲線の最初の変曲点aを目安として還元剤の添加
を停止することにより、クロムはクロム酸イオンCrO
4 2-又は重クロム酸イオンCr27 2-の状態を保ったま
ま、マンガンを過マンガン酸イオンMnO4 -からMn2+
カチオンに変換することができる。最初の変曲点aは、
多くの場合、酸化還元電位700〜900mVの位置に現
れる。
【0006】本発明方法において、還元処理する際の被
処理水は、pH2.5〜4、より好ましくはpH2.7〜3.
5に保つ。被処理水のpHが2.5未満であると、Cr(V
I)がCr(III)に還元され、クロム酸又は重クロム酸の
回収率が低下するおそれがある。pHが4を超えると、懸
濁性のMn(III)化合物の生成が多くなり、アニオン交
換樹脂塔の閉塞を起こすおそれがある。懸濁性のMn(I
II)化合物が生成する場合には、還元処理工程とアニオ
ン交換樹脂接触工程の間に固液分離工程を設け、懸濁性
のMn(III)化合物を除去することが好ましい。本発明
方法において、還元処理に用いる還元剤に特に制限はな
く、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウ
ム、亜硫酸水素アンモニウムなどの亜硫酸水素塩、亜硫
酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウムな
どの亜硫酸塩、塩化第一鉄、臭化第一鉄、硫酸第一鉄、
硝酸第一鉄、チオシアン酸第一鉄などの第一鉄塩などを
挙げることができる。これらの中で、亜硫酸水素塩及び
亜硫酸塩は、還元剤に由来する不溶物を生成するおそれ
がないので、好適に用いることができる。本発明方法に
おいて、還元剤の添加による還元処理方法に特に制限は
なく、例えば、回分式、連続式のいずれの方式によって
も処理することができる。回分式処理の場合には、反応
槽に被処理水を導入し、pHを調整しつつ、酸化還元電位
が所定の値に達するまで、還元剤を添加して処理するこ
とができる。連続式処理の場合には、反応槽に連続的に
被処理水を送り込み、pHを調整しつつ、還元剤の添加量
と酸化還元電位の関係を示す曲線の変曲点を目安とし
て、酸化還元電位が下方の設定値に達したとき還元剤の
添加を停止し、酸化還元電位が上方の設定値に達したと
き還元剤の添加を再開し、反応槽から還元処理された被
処理水を連続的に後段のアニオン交換樹脂接触工程に送
り出すことができる。
【0007】本発明方法においては、pH2.5〜4にお
ける還元処理後の被処理水のpHを4〜6に調整したの
ち、アニオン交換樹脂と接触させることが好ましい。pH
4〜6への調整方法に特に制限はなく、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウムなどのアルカリ剤の添加によりpH調整することが
できる。アニオン交換樹脂と接触の際のpHが4未満であ
ると、特にpH3以下の酸性では重クロム酸の酸化力によ
り樹脂が劣化するおそれがある。アニオン交換樹脂と接
触の際のpHが6を超えると、交換容量が減少し、再生頻
度が多くなる。還元処理により、被処理水に含まれてい
た過マンガン酸イオンはMn2+カチオンになり、クロム
酸イオン又は重クロム酸イオンはそのままアニオンの状
態で残存しているので、アニオン交換樹脂との接触によ
り、クロム酸イオン又は重クロム酸イオンのみを分離す
ることができる。本発明方法に用いるアニオン交換樹脂
に特に制限はなく、例えば、強塩基性アニオン交換樹
脂、弱塩基性アニオン交換樹脂のいずれをも用いること
ができる。これらの中で、弱塩基性アニオン交換樹脂
は、アニオン交換容量の少過剰の水酸化ナトリウムなど
により再生することができ、再生効率が良好なので、好
適に用いることができる。アニオン交換樹脂は、塩形、
例えば、Cl形、SO4形で使用するのが好ましく、水
酸化ナトリウムで再生後、HCl又はH2SO4通液して
塩形とすることができる。また、アニオン交換樹脂の形
態にも特に制限はなく、例えば、ゲル型樹脂、マクロポ
ーラス型樹脂のいずれをも用いることができる。これら
の中で、マクロポーラス型樹脂は、物理的耐久性に優れ
るため、好適に用いることができる。本発明方法におい
て、還元処理後の被処理水をアニオン交換樹脂と接触さ
せる方法に特に制限はないが、アニオン交換樹脂を充填
した塔に還元処理後の被処理水を通水することにより、
容易にクロム酸イオン、重クロム酸イオンを吸着させる
ことができる。アニオン交換樹脂塔が破過点に達したと
き、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いてア
ニオン交換樹脂を再生すると、同時にクロム酸のナトリ
ウム塩などとして回収することができる。
【0008】アニオン交換樹脂塔の通過水には、中性で
は水溶性のMn(II)化合物が含まれるので、アルカリ剤
を添加してpHを10以上に調整することにより、Mn(I
I)化合物を不溶物として沈殿させることができる。使用
するアルカリ剤に特に制限はなく、例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどを挙げ
ることができる。沈殿したMn(II)化合物は、沈殿槽な
どを用いて固液分離により除去することができる。Mn
(II)化合物が除去された上澄水は、クロム、マンガンと
もに含有量が極めて少ないので、pH調整することによ
り、無害な排水として放流することができる。図2は、
本発明方法の実施の一態様の工程系統図である。本態様
においては、pH計1、酸化還元電位計2を備えた還元処
理装置3に、クロム酸イオン又は重クロム酸イオンと過
マンガン酸イオンを含む被処理水が導入される。pH計の
測定値にもとづいて、pH制御器4からポンプ5に信号が
送られ、槽内において所定のpH値が維持されるように、
pH調整剤槽6からpH調整剤が供給される。また、酸化還
元電位計の測定値にもとづいて、酸化還元電位制御器7
からポンプ8に信号が送られ、槽内において所定の酸化
還元電位が維持されるように、還元剤槽9から還元剤が
供給される。過マンガン酸イオンが水溶性のMn(II)化
合物まで還元された被処理水は、混在するおそれがある
不溶性のMn(III)化合物を除去するために、固液分離
装置10に送られる。還元処理の際のpHが十分に低く、
不溶性のMn(III)化合物の混在のおそれがない場合
は、固液分離装置を省略することができる。固液分離装
置を通過して不溶物が除去された被処理水は、必要に応
じてpH調整したのち、アニオン交換樹脂塔11に通水さ
れ、クロム酸イオン又は重クロム酸イオンがアニオン交
換樹脂に吸着されて分離される。アニオン交換樹脂塔の
通過水は、中性では水溶性のMn(II)化合物を含有する
ので、pH調整槽12に導入し、アルカリ剤を添加してpH
10以上に調整することにより、Mn(II)化合物を不溶
性として析出させる。Mn(II)化合物が不溶性となって
析出した被処理水は、固液分離槽13に導入され、Mn
(II)化合物は汚泥として槽底から抜き出され、クロム、
マンガンともに含有量の少ない処理水が上澄水として得
られる。
【0009】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 過マンガン酸カリウム(試薬特級)及び重クロム酸カリ
ウム(試薬特級)を水道水に溶解して、マンガン20mg
/L及びクロム20mg/Lを含有する合成廃水を調製し
た。この合成廃水のpHを2.5に保ちながら、10g/
L亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加し、合成廃水の外
観の変化を観察するとともに、酸化還元電位を測定し
た。最初は赤紫色の透明な溶液であり、酸化還元電位が
1,051mVであった合成廃水は、亜硫酸水素ナトリウ
ム水溶液の添加とともに、赤褐色の濁った状態になり、
酸化還元電位も徐々に低下して、亜硫酸水素ナトリウム
添加量102mg/Lのとき、酸化還元電位1,009mV
となった。このとき、Mn(VII)(MnO 4 -)がMn(II
I)まで還元されたと考えられる。亜硫酸水素ナトリウム
水溶液の添加を続けると、酸化還元電位が急速に低下し
て、亜硫酸水素ナトリウム添加量121mg/Lのとき、
酸化還元電位653mVとなり、合成廃水は黄色の透明な
状態になった。このとき、マンガンはMn(II)まで還元
されたと考えられる。さらに、亜硫酸水素ナトリウム水
溶液を添加すると、酸化還元電位はしばらく安定したの
ち、ふたたび急速に低下し、亜硫酸水素ナトリウム添加
量160mg/Lのとき酸化還元電位594mVから、亜硫
酸水素ナトリウム添加量181mg/Lのとき酸化還元電
位254mVまで変化した。このとき、合成廃水の外観は
淡青緑色透明であり、Cr(VI)(Cr27 2-)がCr(I
II)まで還元されたと考えられる。亜硫酸水素ナトリウ
ムの添加量と酸化還元電位の関係及び合成廃水の外観
を、図1に示す。最初の酸化還元電位の急速な低下にお
ける曲線の変曲点の酸化還元電位は約800mVであり、
2番目の酸化還元電位の急速な低下における曲線の変曲
点の酸化還元電位は約400mVである。したがって、最
初の変曲点の酸化還元電位800mVを目安として亜硫酸
水素ナトリウム水溶液を添加すると、クロムの大部分を
6価のCr27 2-イオンの状態に保ったまま、マンガン
を2価まで還元し得ることが分かる。
【0010】実施例2 実施例1と同じ操作を最初の変曲点まで繰り返し、分析
化学用5種Aろ紙を用いて還元処理された合成廃水をろ
過し、ろ液中のCr(VI)をJIS K 010265.2.
1ジフェニルカルバジド法にしたがって定量し、Mnを
JIS K 0102 56.2フレーム原子吸光法にした
がって定量した。最初の変曲点までの亜硫酸水素ナトリ
ウムの添加量は108mg/Lであり、最初の変曲点にお
ける酸化還元電位は806mVであった。ろ紙上に懸濁性
Mn(III)化合物の残渣は認められなかった。ろ液中の
Cr(VI)は12mg/Lであり、溶解性Mn(II)は20mg
/Lであった。合成廃水のpHを3、3.5又は4に保っ
て、同じ操作を繰り返した。pH3のとき、最初の変曲点
までの亜硫酸水素ナトリウムの添加量は110mg/Lで
あり、最初の変曲点における酸化還元電位は900mVで
あった。ろ紙上に懸濁性Mn(III)化合物の残渣は認め
られなかった。ろ液中のCr(VI)は17.5mg/Lであ
り、溶解性Mn(II)は20mg/Lであった。pH3.5の
とき、最初の変曲点までの亜硫酸水素ナトリウムの添加
量は98mg/Lであり、最初の変曲点における酸化還元
電位は850mVであった。ろ紙上に懸濁性Mn(III)化
合物の残渣が認められた。ろ液中のCr(VI)は20mg/
Lであり、溶解性Mn(II)は16mg/Lであった。pH4
のとき、最初の変曲点までの亜硫酸水素ナトリウムの添
加量は90mg/Lであり、最初の変曲点における酸化還
元電位は800mVであった。ろ紙上に懸濁性Mn(III)
化合物の残渣が認められた。ろ液中のCr(VI)は20mg
/Lであり、溶解性Mn(II)は5mg/Lであった。実施
例2の結果を、第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】第1表において、溶解性Mn(II)はMn2+
のカチオンであり、アニオン交換樹脂に吸着されない
が、懸濁性Mn(III)はMn(OH)3であり、樹脂塔を閉
塞させるおそれがあるため、できるだけ少ない方がよ
い。還元処理後のクロム酸回収時に、懸濁性Mn(III)
の発生状況によっては、前処理としてろ過器又は膜分離
装置による固液分離が必要である。pHを低くすれば、全
て溶解性Mn(II)となるが、還元されるCr(VI)の量も
多くなる。 実施例3 実施例2においてpH3の条件で還元処理した合成廃水
に、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調整し、弱
塩基性アニオン交換樹脂[バイエル(株)、Lewati
t MP64、Cl形]100mLを充填したカラムに、
SV20h-1の速度で通水した。170L通水したと
き、通過水中のCr(VI)濃度が0.5mg/Lとなった。
そこで、4重量%水酸化ナトリウム水溶液300mLをS
V3h-1の速度で通水して再生を行った結果、Cr(VI)
9,500mg/Lの回収水300mLが得られ、重クロム
酸イオンと過マンガン酸イオンを含む廃水から、選択的
に重クロム酸を回収することができた。弱塩基性アニオ
ン交換樹脂塔通過水170Lには、溶解性Mn(II)が2
0mg/L及びCr3+が2.5mg/L含まれていた。この
通過水に水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH10.5に
調整してMn(OH)2を沈澱させ、さらにアニオン系高
分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフロックPA331]
1mg/Lを添加して凝集させた。上澄水のマンガン濃度
は0.2mg/Lであり、クロム濃度は0.1mg/L以下で
あった。
【0013】
【発明の効果】本発明方法によれれば、クロム酸イオン
又は重クロム酸イオンと過マンガン酸イオンを含む廃水
から、クロム酸又は重クロム酸を有価物として回収し、
クロム及びマンガンの濃度が排水基準以下の処理水を得
て、安全に放流することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、重クロム酸イオンと過マンガン酸イオ
ンを含む被処理水に、亜硫酸水素ナトリウムを添加して
還元処理したときの、亜硫酸水素ナトリウムの添加量と
被処理水の酸化還元電位の関係を示すグラフの一例であ
る。
【図2】図2は、本発明方法の実施の一態様の工程系統
図である。
【符号の説明】
1 pH計 2 酸化還元電位計 3 還元処理装置 4 pH制御器 5 ポンプ 6 pH調整剤槽 7 酸化還元電位制御器 8 ポンプ 9 還元剤槽 10 固液分離装置 11 アニオン交換樹脂塔 12 pH調整槽 13 固液分離槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D025 AA09 AB21 BA13 BA22 BB02 CA01 CA03 CA10 DA10 4D050 AA13 AB54 AB55 BA06 BD03 BD06 BD08 CA08 CA13 4G048 AA02 AB02 AB09 AE01 4K057 WA18 WB02 WE05 WE25 WH01 WH08 WH10 WN01 WN03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロム酸イオン又は重クロム酸イオンと過
    マンガン酸イオン含む被処理水を、pH2.5〜4におい
    て還元処理したのち、アニオン交換樹脂と接触させてク
    ロム酸イオン又は重クロム酸イオンを分離することを特
    徴とするクロム酸又は重クロム酸の回収方法。
  2. 【請求項2】還元処理において、還元剤が添加された被
    処理水の酸化還元電位が、所定の値に達するまで還元剤
    を添加する請求項1記載のクロム酸又は重クロム酸の回
    収方法。
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