JP2003055724A - 積層板用銅合金箔 - Google Patents
積層板用銅合金箔Info
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Abstract
板において、液晶ポリマーとの接着性に優れた積層板用
の銅合金箔を提供すること。 【解決手段】 錫を0.01質量%〜0.5質量%を含
有した銅合金箔において極表層の酸化層、防錆皮膜の厚
さを規制することにより、強度と導電性に優れ、かつ粗
化処理を施さずに液晶ポリマーを熱融着したときに18
0°ピール強度が5.0N/cm以上となる積層板用の
銅合金箔を提供する。強度を高める作用を有するAl,
Be,Co等を総量で0.005質量%〜0.5質量%
含有させても良い。
Description
板に用いる銅合金箔に関するものである。
が多く用いられる。 プリント配線板は基材となる樹脂
の種類によって、ガラスエポキシ基板および紙フェノー
ル基板を構成材料とする硬質積層板(リジット基板)
と、ポリイミド基板およびポリエステル基板を構成材料
とする可撓性積層板(フレキシブル基板)とに大別され
る。プリント配線板の導電材としては主として銅箔が使
用されているが、銅箔はその製造方法の違いにより電解
銅箔と圧延銅箔に分類される。 電解銅箔は硫酸銅めっ
き浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出
して製造される。圧延銅箔は圧延ロールにより塑性加工
して製造されるので、圧延ロールの表面形態が箔の表面
に転写し、平滑な表面が得られることが特徴である。
なお、箔とは一般に100μm以下の厚さの薄板をい
う。
剤を用いて積層し、その後に接着剤を加熱加圧により硬
化して形成される。 上記プリント配線板のうち、フレ
キシブル基板の樹脂基板は、従来ポリイミド樹脂フィル
ムおよびポリエステル樹脂フィルムが主に用いられてい
る。 また、フレキシブル基板の導電材に用いられる銅
箔としては、可撓性が良好であることから、主に圧延銅
箔が用いられている。
ポキシ等の熱硬化性樹脂からなる接着剤が用いられ、張
り合わせ後130〜170℃の温度で1〜2時間の加熱
加圧して接着剤を硬化させる。 次に、銅箔をエッチン
グして種々の配線パターンを形成し、電子部品をハンダ
で接続して実装していく。 プリント配線板用の材料に
はこのような高温下に繰り返して晒されるため、耐熱性
が要求される。 近年は環境への配慮から鉛フリーハン
ダが用いられるようになったが、そのためハンダの融点
が高くなり、プリント配線板には高い耐熱性が求めら
れ、ポリエステルよりも耐熱性に優れたポリイミド樹脂
が広く用いられている。
徴とし、可動部の配線に用いられる他に、電子機器内で
折り曲げた状態で収納することも可能であるために、省
スペース配線材料としても用いられている。 また、基
板自体が薄いことから、半導体パッケージのインターポ
ーザー用途あるいは液晶ディスプレイのICテープキャ
リアとしても用いられている。 これらの用途では高密
度実装の要求から電子回路の配線幅と配線間隔を小さく
したファインピッチ化が進んでいる。 しかし、フレキ
シブル基板に広く使われているポリイミド樹脂は吸湿性
があり、加熱加圧により銅箔をラミネートした後に、乾
燥した状態で取り扱わないと、大気中の水分を吸湿して
変形する問題がある。 このため、ポリイミド樹脂を用
いたプリント配線板は、近年のファインピッチ化の要求
に対して寸法安定性の課題が生じている。 また、パソ
コンや移動体通信等で電気信号が高周波化しているが、
これに対応するため比誘電率の小さい樹脂基板が求めら
れている。
基板への要求に対して、液晶ポリマーの採用が検討され
ている。液晶ポリマーはスーパーエンジニアリングプラ
スチックスのひとつであり、サーモトロピック型(熱溶
融型)とリオトロピック型(溶液型)がある。 プリン
ト配線板の用途に使われるのはサーモトロピック型であ
る。 この型の液晶ポリマーは高強度、耐薬品性を有す
ると共に、吸湿性がポリイミドよりも小さく、寸法安定
性に優れるといった特徴を有している。 また、液晶ポ
リマーは比誘電率が約3.0であり、ポリイミドの約
3.5よりも小さく、高周波用途の樹脂基板に適してい
る。 液晶ポリマーは芳香族ポリエステル系の熱可塑性
樹脂であるが、耐熱性に優れており、ハンダ接続が可能
である。一方で、液晶ポリマーは融点以上に加熱するこ
とによって軟化するので、導電材である銅箔と液晶ポリ
マーとを加熱加圧することによって、接着剤を用いるこ
となく熱融着で貼り合わせることが可能である。
板に広く用いられているポリイミド樹脂の熱膨張係数は
2.7×10−5/℃であり、銅の熱膨張係数1.6×
10 −5/℃と異なるため、加熱時にプリント配線板の
反りが生じやすい。 一方、液晶ポリマーの分子は細長
い棒状であるが、長軸方向と短軸方向で熱膨張係数が異
なるという特性を持つ。 この特性から、液晶ポリマー
の分子配向性を制御することによって、液晶ポリマーの
熱膨張係数を調節することが可能である。 液晶ポリマ
ーの熱膨張係数を導電材である銅の熱膨張係数と一致さ
せることで、加熱時に寸法変化の差を小さくすることが
でき、プリント配線板の反りが生じにくくなる。 液晶
ポリマーと銅箔とを接着剤で貼り合わせることも可能で
はあるが、接着剤のような熱膨張係数の異なる材料を液
晶ポリマーと銅箔との間に入れることは寸法安定性を損
なうことになる。 プリント配線板の寸法安定性を高く
維持するには、液晶ポリマーと銅箔とを直接に貼り合わ
せることが好ましい。
純銅や少量の添加元素を含む銅合金が用いられる。 電
子回路のファインピッチ化に伴って導体である銅箔が薄
くなり、また回路幅が狭くなっていることから、銅箔の
特性に対して、直流抵抗損失が小さく導電率が高いこと
が求められている。 銅は導電性に優れた材料であり、
導電性が重視される上記の分野では純度99.9%以上
の純銅が用いられるのが一般的である。 しかし、銅は
純度を上げると強度が低下するので、銅箔が薄くなると
ハンドリング性が悪くなるため、銅箔の強度が大きいこ
とが好ましい。また,プリント配線板用の液晶ポリマー
ははんだ耐熱性が求められるので,融点が250℃〜3
50℃と高いものが使用される。 銅箔と液晶ポリマー
とを熱融着で貼り合わせるためには,液晶ポリマー融点
付近での加熱処理が必要であることから,銅箔が軟化し
てハンドリング性が悪くなる。 このため,銅箔は30
0℃で1時間程度の加熱処理で軟化しないことが好まし
い。 また,ファインピッチ化に伴って,エッチング性
に優れた材料が求められている。 表面粗さが大きい銅
箔や粗化処理で凹凸を形成した銅箔は、エッチングで回
路を形成する際に、樹脂に銅が残るエッチング残が生じ
たり、エッチング直線性が低下して回路幅が不均一にな
りやすい。 このため、電子回路をファインピッチ化す
るためには、銅箔の表面粗さの小さいことが好ましく、
粗化処理を施さない表面粗さの小さい銅箔を樹脂フィル
ムと貼り合わせることが望ましい。
層板の樹脂基板として、導電材である銅箔を、着剤を用
いずに、熱融着で貼り合わせることが試みられている。
ところが、液晶ポリマーのフィルムと圧延銅箔とを、
加熱プレス機や加熱ローラーを用いて液晶ポリマーの融
点以上の温度に保ちながら加圧して、熱融着で貼り合わ
せたところ、液晶ポリマーと純銅の圧延銅箔との接着性
が悪く、剥離しやすいことが判明している。
貼り合わせた積層板用を実用化するためには、接着性と
ハンドリング性を改善することが課題である。 積層板
製造時に求められるハンドリング性は製造条件によって
も異なるが,銅合金箔の引張強さが大きいほど好ましい
が,一般に強度と導電性は相反する関係にあり,高強度
の材料ほど導電性が低下する傾向がある。 また,プリ
ント 配線板で必要な接着強度は電子機器の製造条件や
使用環境によっても異なるが、一般に180゜ピール強
度が5.0N/cm以上であれば実用化が可能とされて
いる。 本発明の目的は、液晶ポリマーとの接着性およ
び引張強さに優れた積層板用の銅箔を提供することであ
る。
マーとの接着性を、導電性の優れる純銅をベースにし
て、少量の添加元素を加えた銅合金で改善されることを
見いだした。 具体的には、液晶ポリマーとの接着性お
よび導電性に対する各種の添加元素の影響について研究
を重ねた結果、本発明は、 (1) 添加元素の成分を重量割合にて、Snが0.0
1質量%〜0.5質量%を含み、残部が銅及び不可避不
純物からなり、極表層の酸化層の厚さが表面から10n
m以下、防錆皮膜の厚さが表面から5nm以下とするこ
とにより、導電率が70%IACS以上であり、粗化処
理を施さずに液晶ポリマーを熱融着したときに180゜
ピール強度が5.0N/cm以上であることを特徴とす
る、積層板用の銅合金箔。 (2) 添加元素の成分を重量割合にて、Snが0.0
1質量%〜0.5質量%を含み、更にAl、Be、C
o、Fe、Mg、Mn、Ni、P、Pb、Si、Tiお
よびZnの各成分の内一種以上を総量で0.005〜
2.5質量%を含有し、残部を銅及び不可避不純物から
なり、極表層の酸化層の厚さが表面から10nm以下、
防錆皮膜の厚さが表面から5nm以下とすることによ
り、引張強さが500N/mm2以上、導電率が60%
IACS以上であり、粗化処理を施さずに液晶ポリマー
を熱融着したときに180゜ピール強度が5.0N/c
m以上であることを特徴とする、積層板用の銅合金箔。 (3) 1時間の加熱を行ったときの引張強さが、加熱
前の引張強さと軟化したときの引張強さの中間となる温
度が300℃以上であることを特徴とする(1)または
(2)に記載の積層板用銅合金箔。を提供するものであ
る。
限定した理由を述べる。 (1)Sn:Snは樹脂を製造する際に、重合を促進す
る触媒としての作用が働くことが知られている。 この
ため、Snを銅に添加して合金箔とし、液晶ポリマーと
の接着性を向上することが判明した。 その理由は、S
nが金属と樹脂の結合を促進して、界面の結合が強化さ
れたためと考えられる。 これらの含有量が少なすぎる
と触媒として十分な作用をしないため、金属と樹脂の結
合が十分に行われず、接着性の改善効果が小さい。 プ
リント配線板として実用上に必要な180゜ピール強度
である5.0N/cm以上を付与するには、Snの添加
量が少なくとも重量比で0.01質量%以上であること
が必要である。 また,Snは銅中に固溶して耐熱性を
改善すること,Snによる導電率への影響が小さく,少
量の銀を含む銅合金箔は導電材料に適している。 しか
し,銅中に添加するSnの量が多くなると,導電率を低
下して回路用の導電材料として適さなくなる。このた
め,プリント配線板の積層板用銅合金箔として適切な組
成を検討した結果、重量比でSnが0.01質量%〜
0.5質量%,より好ましくは0.02質量%〜0.2
質量%であることが判明した。
性は相反する関係にあり、高強度の材料ほど導電性が低
下する傾向がある。従って、高い導電率を要求されるも
のについては、強度が劣っても導電率の高いことが必要
とされるから、導電率が70%IACSと規定した。一
方、引張強さが500N/mm2より小さい場合、ハン
ドリング等の取り扱いでしわを発生しやすいので、引張
強さが高くすると、導電率が低くなり、60%IACS
以下の場合では積層板用の導電材料として好ましくな
い。高強度でハンドリング性に優れた積層板用の銅合金
箔に適する条件としては、引張強さが500N/mm2
以上、導電率が60%IACS以上と定めた。 (3)Al、Be、Co、Fe、Mg、Mn、Ni、
P、Pb、Si、TiおよびZn:Snは銅合金の強度
を高める効果を有しているが,特にハンドリング性の点
から高強度を必要とする場合は第3元素を加えることが
効果的である。 Al、Be、Co,Fe,Mg、M
n、Ni,P,Pb、Si、TiおよびZnはいずれも
主として 固溶強化により銅合金の強度を高める効果を
有しており、必要に応じて1種以上の添加がなされる。
その含有量が総量で0.005質量%未満であると上
記の作用に所望の効果が得られず、一方で総量で2.5
質量%を越える場合には導電性、ハンダ付け性、加工性
を著しく劣化させる。 従って、Al、Be、Co,F
e,Mg、Mn、Ni,P,Pb、Si、TiおよびZ
nの含有量の範囲は総量で0.005質量%〜2.5質
量%と定めた。
銅合金の接着性は酸化層、防錆皮膜の厚さを規制するこ
とにより改善されることが判明した。 従来銅箔と樹脂
との貼りあわせには、例えば図2に示すエポキシ等の熱
硬化性樹脂からなる接着剤が用いられているが、エポキ
シ樹脂と銅合金の接着が、主にエポキシ樹脂に含まれる
水酸基と銅合金上に生成する酸化物の酸素原子との水素
結合によるためで、添加元素は母材と酸化膜の密着性を
改善している。 しかし、図1に示すような分子式を有
する液晶ポリマーでは材料表層の酸化層が厚くなると添
加元素の触媒作用を阻害するため、樹脂との密着性の改
善効果が得られないことが判明した。 また、箔製品の
表面の酸化が進行するのを防ぐために通常ベンゾトリア
ゾールなどを塗布することにより防錆皮膜を表層に形成
するが、この厚さが厚いと樹脂との加熱、貼り合わせの
時に防錆皮膜が分解して皮膜自体が母材より剥離しやす
くなるため、結果的に樹脂との密着性を低下させること
になる。 本発明者らは、研究の結果、このような液晶
ポリマーとの接着性の低下を防止するためには、材料表
層に生成する酸化層を表面から10nm以下、かつ防錆
皮膜を表面から5nm以下とすることにより更に改善さ
れることが判った。 (5)180゜ピール強度:180゜ピール強度が小さ
い場合、積層板から剥離が生じる恐れがあるので、8.
0N/cm以上の接着強度が必要である。
ものではなく、例えば合金めっき法による電解銅箔ある
いは合金を溶解鋳造して圧延する圧延銅箔のような方法
で製造できる。 以下に,溶解鋳造による製造方法を述
べる。 溶融した純銅に所定量の合金元素を添加して、
鋳型内に鋳造してインゴットとする。 銅合金の溶解鋳
造は酸化物等の生成を抑制するため、真空中あるいは不
活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。 また原料は
酸素含有量の少ない電気銅あるいは無酸素銅を用いるこ
とが望ましい。 インゴットは、熱間圧延である程度の
厚さまで薄くした後、皮削りを行い、その後冷間圧延と
焼鈍を繰返し行い、最後に冷間圧延を行って箔に仕上げ
る。 圧延上がりの材料は圧延油が付着しているので、
アセトンや石油系溶剤等で脱脂処理をする。
じた酸化層を除去することが必要である。 例えば、酸
洗で酸化層を除去するには硫酸+過酸化水素、硝酸+過
酸化水素、または硫酸+過酸化水素+弗化物を用いるこ
とが好ましい。 また、防錆皮膜の厚さを低減するため
には、例えば防錆剤の濃度を低減する方法があり、防錆
剤にベンゾトリアゾールを用いた場合には、その濃度を
5000ppm以下とすることが好ましい。
作製は、高周波真空誘導溶解炉を用いてAr雰囲気中に
て高純度黒鉛製るつぼ内で主原料の無酸素銅を溶解した
ところへ、副原料としてスズ、アルミニウム、銅ベリリ
ウム母合金、コバルト、銅鉄母合金、マグネシウム、マ
ンガン、ニッケル、銅リン母合金、鉛、銅シリコン母合
金、チタンおよび亜鉛から選ばれた添加元素を添加した
後、鋳鉄製の鋳型内に鋳造した。この方法で厚さ30m
m、幅50mm、長さ150mm、重さ約2kgの銅合
金のインゴットを得た。このインゴットを900℃に加
熱して、熱間圧延により厚さ8mmまで圧延して酸化ス
ケールを除去した後、冷間圧延と熱処理とを繰り返して
厚さ35μmの圧延上がりの銅合金箔を得た。
金箔は圧延油が付着しているのでアセトン中に浸漬して
油分を除去した。 これを硫酸10重量%および過酸化
水素1重量%を含む水溶液に浸漬して表面の酸化層およ
び防錆皮膜を除去した。 この銅合金箔を粗化処理を施
さずに液晶ポリマーとを重ねて、温度345℃に保持し
た平面加熱プレス機を用いて熱融着した。 ここで液晶
ポリマーは図1に示す分子式のものを使用した。
強さ」、「導電率」、「耐熱性」、「酸化層と防錆皮膜
の厚さ」、および液晶ポリマーとの「接着強度」を以下
の方法で評価した。 (1)引張強さ:引張強さは引張試験で室温における引
張強さを測定した。測定試料は厚さ35μmに加工した
銅箔をプレシジョンカッターを用いて幅12.7mm、
長さ150mmの短冊状に切断した。 これを評点間距
離50mmで、引張速度50mm/分で測定した。 (2)導電率:導電率は20℃における電気抵抗をダブ
ルブリッジを用いた直流四端子法で求めた。測定試料は
厚さ35μmの箔に加工した銅箔を幅12.7mmに切
断した。 これを測定間長さ50mmの電気抵抗を測定
して導電率を求めた。 (3)耐熱性:耐熱性は1時間の加熱を行ったときの室
温で引張強さを測定し,加熱前の引張強さと軟化したと
きの引張強さの中間となるような加熱温度を軟化温度と
して評価した。 (4)酸化層と防錆皮膜の厚さ:オージェ電子分光分析
の深さ方向分析をおこない、「酸化層の厚さ」は酸素の
検出強度がバックグラウンドと同一になるまでの表面か
らの深さを、「防錆皮膜の厚さ」は防錆剤を構成する元
素である窒素の検出強度がバックグラウンドと同一にな
るまでの表面からの深さをそれぞれSiO 2換算で測定
した。 (5)接着強度:接着強度は180゜ピール強度をJI
S C 5016に記載された方法に準拠して実施し
た。 測定は引き剥がし導体幅を5.0mmとし、液晶
ポリマーを引張試験機側に固定して、導体である銅合金
箔を180゜方向に曲げて引き剥がした。
実施例を示す。 表1は銅合金箔の組成および表2はそ
の特性評価結果である。実施例のNo.1〜No.4は
本発明の請求項1および請求項3に関する銅合金箔の実
施例である。 表2に示すように、本発明の銅合金箔は
導電率が70%IACS以上であり、液晶ポリマーを熱
融着したときの180゜ピール強度が5.0N/cm以
上であり、高い導電性と高い接着強度を有していること
がわかる。
する実施例を示す。 表3は銅合金箔の組成および表4
はその特性評価結果である。実施例のNo.5〜No.
9は本発明の請求項2および請求項3に関する銅合金箔
の実施例である。 表4に示すように、本発明の銅合金
箔は導電率が60%IACS以上であり、引張強さが5
00N/mm2以上,液晶ポリマーを熱融着したときの
180゜ピール強度が5.0N/cm以上であり、高い
強度と高い接着強度を有していることがわかる。
はその特性評価結果である。 No.10〜12は、本
発明の請求項1および請求項3に関する比較例である。
No.10は本発明の合金成分を加えていない圧延銅
箔である。 無酸素銅をAr雰囲気中にて溶解鋳造した
インゴットを箔に加工して、液晶ポリマーと熱融着し
た。 素材が純銅であるので導電性が大きいが、180
゜ピール強度は4.0N/cmと小さいので、ハンドリ
ング性が悪く,プリント配線板としたときに剥離が生じ
る恐れがあるため実用に適さない。
Snを添加して実施例と同様の方法で箔に加工した。
No.11はSnの濃度が少ないために,導電率が大き
いが耐熱性および接着性を改善する効果が十分でない。
180゜ピール強度が小さく,積層板に加工したとき
の剥離する恐れがある。 一方,No.12はSnの濃
度が重量比で0.5質量%を超えて添加したために、耐
熱性と180゜ピール強度が高いが,導電率が70%I
ACS未満と低くなり,高い導電率を要するプリント配
線板の導電材としては適さない。
請求項2及び請求項3関する比較例である。比較例のN
o.13はSnに加えて,それぞれFeを,またNo.
14はTiを添加して実施例と同様の方法で箔に加工し
た。 FeあるいはTiの添加量が重量比で2.5質量
%を超えて添加したために、導電率が低くなり,プリン
ト配線板の導電材としては適さない。
合金箔を用いて、ベンゾトリアゾールの濃度を7000
ppmに調整した水溶液中に浸漬する処理を行った。こ
れについてピール強度を評価したところ、防錆被膜が7
nmと厚くなったために180゜ピール強度が1.6N
/cmと小さかった。 比較例のNo.16は、実施例
のNo.2の合金箔を用いて、大気中で加熱処理するこ
とにより、酸化層の厚さを12nmに調整した。 これ
についてピール強度を評価したところ、180゜ピール
強度が4.2N/cmと小さかった。
ント配線板の積層板用に用いる銅合金箔は、高い導電性
と引張強さを有し、かつ無粗化処理で基材樹脂と優れた
接着性を有する。これによって、ハンドリング性に優
れ,微細配線の電子回路の導電材としての用途に好適で
ある。
分子式の説明図である。
エポキシ樹脂の説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 添加元素の成分を重量割合にて、Snが
0.01質量%〜0.5質量%を含み、残部を銅及び不
可避不純物からなり、極表層の酸化層の厚さが表面から
10nm以下、防錆皮膜の厚さが表面から5nm以下と
することにより、導電率が70%IACS以上であり、
粗化処理を施さずに液晶ポリマーを熱融着したときに1
80゜ピール強度が5.0N/cm以上であることを特
徴とする、積層板用の銅合金箔。 - 【請求項2】 添加元素の成分を重量割合にて、Snが
0.01質量%〜0.5質量%を含み、更にAl、B
e、Co、Fe、Mg、Mn、Ni、P、Pb、Si、
TiおよびZnの各成分の内一種以上を総量で0.00
5〜2.5質量%を含有し、残部を銅及び不可避不純物
からなり、極表層の酸化層の厚さが表面から10nm以
下、防錆皮膜の厚さが表面から5nm以下とすることに
より、引張強さが500N/mm2以上、導電率が60
%IACS以上であり、粗化処理を施さずに液晶ポリマ
ーを熱融着したときに180゜ピール強度が5.0N/
cm以上であることを特徴とする、積層板用の銅合金
箔。 - 【請求項3】 1時間の加熱を行ったときの引張強さ
が、加熱前の引張強さと軟化したときの引張強さの中間
となる温度が300℃以上であることを特徴とする請求
項1または2に記載の積層板用銅合金箔。
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